説明

貴重品投入口付き収納庫

【課題】病院、老人ホーム又はホテル等で居室の適当な位置に設置する収納庫は、不特定多数の人が利用する場合が多いため、引出し等収容室に施錠機構を取り付けていないので不用心であった。
【解決手段】開閉可能な収容室を備えた収納庫において、前記収容室前面部の上方部に見舞い袋あるいは財布等の貴重品を収容室内部に投入できる人の指又は手先を差し入れできない開口高さで凹設又は穿設してなる投入口と、鍵による施錠・開錠、ならびに収容室内部の重量検知器が重量を検知して自動的に施錠する施錠機構とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、病院又はホテル等に配置する収納庫に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、病院、老人ホーム又はホテル等では、居室の適当な位置に収納庫を配置していて、該収納庫には書類や食膳等を載置するための芯出しテーブルや、身の回りの品を収容する引出し及び衣類や洗面道具等を収納する開閉扉を取り付けて、利用者が日常生活するための必需品を収納できるよう便宜を図っている。
【特許文献1】特許公開平8−93291号
【特許文献2】登録実用新案第3010123号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
通常の収納庫は、不特定多数の人が利用する場合が多いため、引出し等に施錠機構を取り付けていないものが多いので不用心であった。
【0004】
このため、貴重品や財布などはコイン式電子ロック等施錠機構が装着してある貴重品保管庫あるいは引出し又は金庫に収納する必要があり、その都度、前記貴重品保管庫あるいは引出しのコイン式電子ロック施錠機構に暗証番号を入力して開錠したり、金庫を専用の鍵によって開錠する必要があり、また、収納後再び施錠する手間暇がかかるため、例えば、金子の入ったお見舞いを頂いた場合でも、施錠せずにそのまま引出しに入れたり、芯出しテーブルに放置したまま、退室する場合もあり非常に不用心であった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願発明者は、上記に鑑み鋭意研究の結果、次の手段によりこの課題を解決した。
(1)開閉可能な収容室を備えた収納庫において、前記収容室前面部の上方部に見舞い袋あるいは財布等の貴重品を収容室内部に投入できる投入口を開設し、また前記収容室を施錠する施錠機構とを備えてなることを特徴とする貴重品投入口付き収納庫。
【0006】
(2)前記収容室が、引出しを備えたものであることを特徴とする前項(1)に記載の貴重品投入口付き収納庫。
(3) 前記収容室が、前後又は上下に開閉できる開閉扉を備えたものであることを特徴とする前項(1)に記載の貴重品投入口付き収納庫。
【0007】
(4)前記投入口が、人の指又は手先を差し入れできない開口高さで凹設又は穿設してなるものであることを特徴とする前項(1)〜(3)のいずれか1項に記載の貴重品投入口付き収納庫。
【0008】
(5)前記施錠機構が、鍵による施錠・開錠、ならびに収容室内部の重量検知器が重量を検知して自動的に施錠するものであることを特徴とする前項(1)〜(4)のいずれか1項に記載の貴重品投入口付き収納庫。
【0009】
(6)前記施錠機構が、収容室前面部又は収納庫のいずれかに施錠されたことを示す表示手段を備えてなることを特徴とする前項(1)〜(5)のいずれか1項に記載の貴重品投入口付き収納庫。
【0010】
(7)前記貴重品投入口付き収納庫が、更に小型金庫を併設してなることを特徴とする前項(1)〜(6)のいずれか1項に記載の貴重品投入口付き収納庫。
【発明の効果】
【0011】
本願発明によれば、次のような効果が発揮される。
1.本願発明の請求項1〜3の発明によれば、
前記収容室前面部の上方部に見舞い袋あるいは財布等の貴重品を収容室内部に投入できる投入口を開設し、また前記収容室を施錠する施錠機構を備えているので、いつでもあるいは監視人が不在時でも、見舞い袋あるいは財布等の貴重品を投入口から容易に収容室へ収納でき、かつ安全であるので、盗難の心配もなくすることができる。
【0012】
また、投入口が、前記収容室前面部の上方部に備えられているため、見舞い袋あるいは財布等の貴重品が投入されると収容室内部の一番下部に収納されるため、施錠してあれば投入口から収納品を引き上げて盗み出すことは簡単にはできない。
【0013】
2.本願発明の請求項4の発明によれば、
請求項1〜3の効果に加えて、前記投入口が、人の指又は手先を差し入れできない開口高さで凹設又は穿設してあるため、見舞い袋あるいは財布等は容易に投入できるが、施錠してあれば、指を挿入するなどして収容室内部のものを取り出すことはできない。
【0014】
3.本願発明の請求項5の発明によれば、
請求項1〜4の効果に加えて、前記施錠機構が、鍵による施錠・開錠、ならびに収容室内部の重量検知器が重量を検知して自動的に施錠するので、鍵が手元に無くても軽量の見舞い袋を投入するのみで自動的に施錠され、施錠する手間暇が不要となり、利用価値が高まると同時に、盗難防止ができる。
【0015】
4.本願発明の請求項6の発明によれば、
請求項1〜5の効果に加えて、前記施錠機構が、収容室前面部又は収納庫のいずれかに施錠されたことを示す表示手段を備えているので、施錠の要否が判断し易く、また、施錠忘れを防止することができる。
【0016】
5.本願発明の請求項7の発明によれば、
請求項1〜6の効果に加えて、前記貴重品投入口付き収納庫が、更に小型金庫を併設しているので、別途設置された貴重品収納ロッカー又は金庫等まで足を運ぶことなく、手元で簡単に貴重品等を小型金庫に収納することができ、耐火性小型金庫であれば火災時にも貴重品が保護される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本願発明を実施するための最良の形態を実施例図に基づいて説明する。
図1は本願発明実施例の貴重品投入口付き収納庫の斜視図であり、図2は図1のA−A’断面図であり、貴重品投入口付き引出し内部の重量検知器と施錠機構の設置例を示す図である。
【0018】
図1及び図2において、貴重品投入口付き収納庫1は、天板2及び側板3と、書類や食膳等を載置するためのテーブルを手前に引き出しできる芯だしテーブル4と、貴重品投入口5付き引出し6と、引出し7(又は引出し式小型金庫7’)と、前記芯だしテーブル4と2つの引出し6、7間の仕切板8と、引出し6、7の上部及び下部に身の回り品や洗面道具等を収納する蝶番16で蝶着された収納庫扉9’付き収納庫9で構成されている。
【0019】
取っ手6’と前記貴重品投入口5付き引出し6は、その引出し6前面部の上方部に見舞い袋10あるいは財布等を引出し内部に投入できる投入口5と、施錠機構11の錠前12が装着されている。
【0020】
前記引出し6前面部の上方部に設けられた投入口5は、人の指又は手先を差し入れできない開口高さで凹設(又は穿設)されている。また、前記芯だしテーブル4を引き出したときでも引出し6内部は見えないように、また芯だしテーブルを取り外したときも引出し内部に手を差し込めないように仕切板8を配設してある。
【0021】
図2において、前記引出し6は、引出し6内部の重量検知器13と、同重量検知器13に制御されて自動的に施錠し、かつ鍵によって施錠・開錠もできる施錠機構11と、引出し6前面部の上方部に設けられた前記施錠機構11用錠前12とで構成されている。
【0022】
前記重量検知器13は、マイクロスイッチ14にアクチュエータ15を取り付けて重量検知器13とし、見舞い袋10等が引出し6上部から投入され前記アクチュエータ15先端上に落下するとマイクロスイッチ14が作動し、電気的に前記施錠機構11を施錠する。
【0023】
前記引出し6前面部又は収納庫1のいずれかの箇所に施錠されたことを示す図示しないLED等による表示手段を備えることが好ましい。
【0024】
上記のように施錠状態であっても、錠前12に鍵を挿入して前記施錠機構11を手動で開錠すれば引出し6を引き出すことができる。
【0025】
前記重量検知器13は、上記マイクロスイッチ14による電気的な制御に限定されることなく、例えば、見舞い袋10等が引出し6上部から投入され、重量検知器13上に落下すると、極軽量の見舞い袋10であっても梃子の原理を応用して前記施錠機構11を制御して施錠する機械的な施錠・開錠手段としてもよい。この場合は、前記施錠・開錠手段に機械的に連動して、引出し6前面部に施錠されたことを示す、例えば、赤色・白色マーク等を付した樹脂板を回転させて、施錠・開錠の表示を行うようにしてもよい。
【0026】
前記貴重品投入口付き収納庫1が、更に引出し7の代わりに、はめ込み式金属製小型金庫7’を併設してもよい。このように小型金庫7’が併設されていれば、別途設置された貴重品収納ロッカー又は金庫等まで足を運ぶことなく、手元で簡単に貴重品等を小型金庫7’に収納することができ、耐火性小型金庫であれば火災時にも貴重品の類焼を防ぐことができる。
【0027】
上記実施例において、収容室は引出し6として記述したが、これに限定されることなく、前後又は上下に開閉できる開閉扉であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0028】
開閉可能な収容室を備えた収納庫において、前記収容室前面部の上方部に見舞い袋あるいは財布等の貴重品を収容室内部に投入できる人の指又は手先を差し入れできない開口高さで凹設又は穿設してなる投入口5と、鍵による施錠・開錠、ならびに収容室内部の重量検知器が重量を検知して自動的に施錠する施錠機構とを備えているので、病院、老人ホーム又はホテル等で利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本願発明実施例の貴重品投入口付き収納庫の斜視図。
【図2】図1のA−A’断面図であり、貴重品投入口付き引出し内部の重量検知器と施錠機構の設置例を示す図。
【符号の説明】
【0030】
1:貴重品投入口付き収納庫
2:天板
3:側板
4:芯だしテーブル
5:投入口
6:引出し
6’:取っ手
7:引出し
7’:小型金庫
8:仕切板
9:収納庫
9’:収納庫扉
10:見舞い袋
11:施錠機構
12:錠前
13:重量検知器
14:マイクロスイッチ
15:アクチュエータ
16:蝶番

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉可能な収容室を備えた収納庫において、前記収容室前面部の上方部に見舞い袋あるいは財布等の貴重品を収容室内部に投入できる投入口を開設し、また前記収容室を施錠する施錠機構とを備えてなることを特徴とする貴重品投入口付き収納庫。
【請求項2】
前記収容室が、引出しを備えたものであることを特徴とする請求項1に記載の貴重品投入口付き収納庫。
【請求項3】
前記収容室が、前後又は上下に開閉できる開閉扉を備えたものであることを特徴とする請求項1に記載の貴重品投入口付き収納庫。
【請求項4】
前記投入口が、人の指又は手先を差し入れできない開口高さで凹設又は穿設してなるものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の貴重品投入口付き収納庫。
【請求項5】
前記施錠機構が、鍵による施錠・開錠、ならびに収容室内部の重量検知器が重量を検知して自動的に施錠するものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の貴重品投入口付き収納庫。
【請求項6】
前記施錠機構が、収容室前面部又は収納庫のいずれかに施錠されたことを示す表示手段を備えてなることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の貴重品投入口付き収納庫。
【請求項7】
前記貴重品投入口付き収納庫が、更に小型金庫を併設してなることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の貴重品投入口付き収納庫。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−29593(P2008−29593A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−206363(P2006−206363)
【出願日】平成18年7月28日(2006.7.28)
【出願人】(395012075)
【Fターム(参考)】