説明

貸出処理機及び貸出処理方法

【課題】上位装置で正確な売上金額を管理することを課題とする。
【解決手段】CRユニット30では、貸出単位金額の設定を受け付け、設定を受け付けた貸出単位金額がパルス関連付け金額の倍数であるか否かを判定し、パルス関連付け金額の倍数ではないと判定した場合に、当該貸出単位金額の設定を無効化することで、遊技コーナーに現金機及びCR機の遊技機が混在する状況下において遊技店の従業員等によりパルス関連付け金額との間で整合性が担保できない貸出単位金額が誤って設定されたとしてもその貸出単位金額の設定を無効化することができるようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技用記録媒体に価値付けられた有価価値の価値高から一度に遊技媒体を貸し出す金額を定めた貸出単位金額分の有価価値を減算して遊技媒体の貸出し処理を行うとともに、上位装置との間で単位パルスに関連付けられたパルス関連付け金額が貸出単位金額と等しくなるようにパルス信号を上位装置に出力する貸出処理機及び貸出処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、パチンコ遊技においては、パチンコ玉の貸し出しに関与するパチンコ機、いわゆる「CR機」が広範に普及する一方、パチスロ遊技においては、メダルの貸し出しに関与しないパチスロ機、いわゆる「現金機」が一般的に普及している。
【0003】
このうち、「CR機」であるパチンコ機に併設される遊技媒体貸出機としては、遊技客から玉貸し操作を受け付けた場合に、遊技用記録媒体(プリペイドカード)に価値付けられた価値情報と引き換えに、貸出要求額に相当するパチンコ玉の投出をパチンコ機に指示するカード処理ユニット、いわゆる「CRユニット」が広範に普及している(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
一方、「現金機」であるパチスロ機に併設される遊技媒体貸出機としては、遊技客から低額紙幣(1000円)を受け入れた場合に、その挿入紙幣に相当するメダルを内部のメダルホッパから投出するメダル貸し機が広く普及している。
【0005】
このように、遊技媒体貸出機には、併設される遊技機(CR機)に対して遊技媒体の貸出し指示を行うものと、遊技媒体の貸出制御を行わずに自らの遊技媒体投出機構を通じて遊技媒体を投出するものとが存在する。
【0006】
また、遊技店においては、店内の売上を正確に管理するために、上記したCRユニット又はメダル貸し機から売上情報を収集する上位装置(例えば、ホールコンピュータやT/C等の装置)が設けられており、このようなホールコンピュータでは、CRユニット又はメダル貸し機で遊技媒体が貸し出される度にその金額がパルス通信によって通知されるように構成されている。
【0007】
そして、パチンコ遊技では、パチスロ遊技に比べて遊技媒体の単価(パチンコ玉:4円/玉、メダル:20円/M)が安価であるため、百円単位もしくは数百円単位で貸し出すことができるようにCRユニットが構成されている一方で、パチスロ遊技では、遊技媒体の単価が高価であることから、千円単位でメダルを貸し出すようにメダル貸し機が構成されている。
【0008】
このことから、パチンココーナーでは、たとえば百円分のパチンコ玉を貸し出すと1パルスをホールコンピュータに出力するようにCRユニットを構成し、CRユニットからのパルス出力を受けたホールコンピュータでは1パルスで百円の売上げ(貸出)があったと解釈するように規定されている。
【0009】
一方、パチスロコーナーでは、たとえば千円分のパチンコ玉を貸し出すと1パルスをホールコンピュータに出力するようにメダル貸し機を構成し、メダル貸し機からのパルス出力を受けたホールコンピュータでは1パルスで千円の売上げ(貸出)があったと解釈するように規定されている。
【0010】
【特許文献1】特開2004−081591号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、最近では、パチスロ機として主流であった「現金機」が「CR機」に移行する傾向にあり、これに伴って、パチスロ機に併設されるメダル貸し機についても、「現金機」に併設されていたものから「CR機」に対応したものに移行する必要に迫られている。
【0012】
このように、ホール業界では、パチスロコーナーにおいて現金機のパチスロ機からCRパチスロ機に移行する過渡期にあるため、パチスロコーナー内に現金機とCR機が混在する状況が起こることが考えられる。
【0013】
しかしながら、パチスロコーナー内に現金機およびCR機の両方のパチスロ機が混在する場合には、CRユニット及びホールコンピュータの間でパルス出力に関連付けた金額(以下、パルス関連付け金額と称す)と1度にメダルを貸し出す金額(以下、貸出単位金額と称す)との整合性が担保できない状況に陥りケースが多く存在し、ホール売上金額を集計する際に違算が生じる結果、ホールコンピュータ等の上位装置で正確な売上金額を管理することができない虞がある。
【0014】
すなわち、CR機であるパチスロ機には、パチンココーナーに配設されていたCRユニットをそのまま接続することができるので、イニシャルコストを抑えるためにパチンココーナーのCRユニットがCRパチスロ機に併設されるケースも多くなるが、かかるCRユニットでは貸出単位金額が百円単位で設定されているのに対し、パルス関連付け金額は上位装置との間で1パルスにつき千円と規定されているケースが多く、このような場合には、メダル貸出しが行われても貸出単位金額と等しくなるようにパルス信号を上位装置に出力することができず、パルス信号により上位装置に通知される売上金額が実際の売上金額と乖離してしまう。なお、上位装置が旧型のものである場合には、性能的な制約から上記したように、パチンココーナーでは百円/パルス、パチスロコーナーでは千円/パルスとパルス関連付け金額の設定が制限されているケースが多い。
【0015】
また、最近では、女性や初心者の遊技客に低料金で比較的長い時間楽しんでもらえる遊技を提供したいというニーズ、遊技台のお試し遊技の提供や人気分析等のニーズから、通常より安価で遊技媒体の貸出しを行う低レートコーナーを設けるホールも増えてきている。
【0016】
具体的に言うと、通常では玉は4円/個、メダルは20円/枚で貸出を行っているが、例えば玉であれば2円/玉や1円/玉、メダルであれば10円/枚といった低いレートでの貸し出しを行う。
【0017】
このような低レート運用が増えてきており、今後も増えてくることが多いに予想されるのであるが、そうなると、現在1度に貸し出す金額が1000円のスロットマシンも500円等になることが予想される。そうした場合、1パルス1000円の規定では対応できないため、1パルス500円或いは100円といった設定がされることになる。
【0018】
こういった場合では、同じパチスロであってもコーナー(レートの違いによる)によってパルス関連付け金額の設定が異なる為、CRユニットをコーナー間で移動させた時などに上述の問題は発生すると考えられる。
【0019】
また、パルス関連付け金額を貸出単位金額と等しくなるように上位装置との間で規定し直すことも考えられるが、遊技場に配設されるパチスロ機の出玉性能(例えば、設置機種の機械割や所属号機など)により運用で望まれる貸出単位金額は異なるため、台入替えが行われる度にパルス関連付け金額を規定し直したのでは設定ミスを防ぐのは極めて困難である。加えて、下位装置であるCRユニットの都合で各CRユニット間で異なるパルス関連付け金額を規定させることを上位装置に強いるのは現実的とは言えない。
【0020】
このことから、遊技コーナーに現金機及びCR機の遊技機が混在する場合に、いかにしてパルス関連付け金額と貸出単位金額との整合性を担保するかが重要な課題となっている。なお、この課題は、単にCRパチスロ機に併設されるCRユニットだけでなく、パチンコ機に併設されるCRユニットを含む広義の貸出処理機に共通するものである。
【0021】
そこで、本発明は、上述した従来技術による課題(問題点)を解消するためになされたものであり、上位装置で正確な売上金額を管理することができる貸出処理機及び貸出処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る貸出処理機は、遊技用記録媒体に価値付けられた有価価値の価値高から一度に遊技媒体を貸し出す金額を定めた貸出単位金額分の有価価値を減算して遊技媒体の貸出し処理を行うとともに、上位装置との間で単位パルスに関連付けられたパルス関連付け金額が貸出単位金額と等しくなるようにパルス信号を前記上位装置に出力する貸出処理機であって、前記貸出単位金額の設定を受け付ける設定受付手段と、前記設定受付手段によって設定が受け付けられた貸出単位金額が前記パルス関連付け金額の倍数であるか否かを判定する判定手段と、前記判定手段によってパルス関連付け金額の倍数ではないと判定された場合に、当該貸出単位金額の設定を無効化する無効化手段とを備えたことを特徴とする。
【0023】
また、本発明に係る貸出処理機は、上記の発明において、前記判定手段によってパルス関連付け金額の倍数ではないと判定された場合にその旨を報知するように制御する報知制御手段をさらに備えたことを特徴とする。
【0024】
また、本発明に係る貸出処理機は、上記の発明において、前記判定手段は、前記貸出処理機の起動時に前記貸出単位金額に対する前記パルス関連付け金額の倍数可否判定を行うことを特徴とする。
【0025】
また、本発明に係る貸出処理方法は、遊技用記録媒体に価値付けられた有価価値の価値高から一度に遊技媒体を貸し出す金額を定めた貸出単位金額分の有価価値を減算して遊技媒体の貸出し処理を行うとともに、上位装置との間で単位パルスに関連付けられたパルス関連付け金額が貸出単位金額と等しくなるようにパルス信号を前記上位装置に出力する貸出処理方法であって、前記貸出単位金額の設定を受け付ける設定受付工程と、前記設定受付工程によって設定が受け付けられた貸出単位金額が前記パルス関連付け金額の倍数であるか否かを判定する判定工程と、前記判定工程によってパルス関連付け金額の倍数ではないと判定された場合に、当該貸出単位金額の設定を無効化する無効化工程とを含んだことを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、貸出単位金額の設定を受け付け、設定を受け付けた貸出単位金額がパルス関連付け金額の倍数であるか否かを判定し、パルス関連付け金額の倍数ではないと判定した場合に、当該貸出単位金額の設定を無効化するように構成したので、遊技コーナーに現金機及びCR機の遊技機或いは通常レートと低レートの運用が混在する状況下において遊技店の従業員等によりパルス関連付け金額との間で整合性が担保できない貸出単位金額が誤って設定されたとしてもその貸出単位金額の設定を無効化することができ、パルス関連付け金額と貸出単位金額との整合性を担保することができる結果、上位装置で正確な売上金額を管理することが可能になるという効果が得られる。
【0027】
また、本発明によれば、パルス関連付け金額の倍数ではないと判定した場合にその旨を報知するように制御するように構成したので、店内周知を迅速に行うことができ、新たに妥当な貸出単位金額を手動設定させることが可能になるという効果が得られる。
【0028】
また、本発明によれば、貸出処理機の起動時に貸出単位金額に対するパルス関連付け金額の倍数可否判定を行うように構成したので、貸出処理機が上位装置との通信が確立された時点で最新のパルス関連付け金額を用いて倍数可否判定を行うことができ、遊技店の運用ニーズによってパルス関連付け金額が変更されても変更後のパルス関連付け金額と比較判定できる結果、変更前のパルス関連付け金額を用いた場合の誤判定を防止することが可能になるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る貸出処理機及び貸出処理方法の好適な実施例を詳細に説明する。なお、以下では、本発明をパチスロ遊技に適用する場合について説明することとする。
【実施例1】
【0030】
以下の実施例1では、実施例1に係る貸出処理機(CRユニット)の概要および特徴、このCRユニットの構成および処理の流れを順に説明する。なお、本実施例1では、本発明をパチスロ遊技を対象とする遊技システムに適用することとする。
【0031】
[概要および特徴(実施例1)]
まず、図1及び図2を用いて、実施例1に係るCRユニットを含む売上管理システムのシステム構成を説明し、CRユニットの位置付けを明確にしてからCRユニットの概要および特徴を説明する。図1は、実施例1に係るCRユニットを含む売上管理システムのシステム構成を示すシステム構成図であり、図2は、実施例1に係るCRユニットの特徴を説明するための説明図である。
【0032】
この売上管理システム1は、CRユニット30によるメダル貸しで生じた売上金額をホールコンピュータ10に収集・管理させるものであり、図1に示すように、ホールコンピュータ10と、台ユニット(以下、DUと記載する)20と、CRユニット30と、パチスロ機40とを有する。
【0033】
かかる売上管理システム1では、4つのCRユニット30及びパチスロ機40につき1台のDU20が配設され、このDU20が遊技店内の売上金額をはじめ、パチスロ機40の遊技台情報を管理するホールコンピュータ10に接続された接続関係を有する。
【0034】
また、売上管理システム1は、メダル貸しによる売上金額を管理するため、プリペイドカードに価値付けられたプリペイド残額に基づいてメダルの貸出サービスを提供するプリペイドカードシステムとも関連しており、特に、CRユニット30は、プリペイドカードを用いたメダル貸しも行うことから両方のシステムに属している。
【0035】
このため、CRユニット30は、「島」と呼ばれるグループごとに設けられた中継装置である島コントローラ200を介してプリペイドカードT/C100に接続されている。また、ホールコンピュータ10は、プリペイドカードの残額管理を行うための管理装置であるターミナルコントローラ(以下、プリペイドカードT/Cと言う)100に接続されている。
【0036】
DU20は、CRユニット30またはパチスロ機40から出力されたパルス信号をデジタル信号に変換するユニットである。例えば、CRユニット30から売上用出力線を介して売上パルスを受信した場合には、ホールコンピュータ10とCRユニット30との間で予め規定された単位パルスと売上金額との対応関係、すなわちパルス関連付け金額(円/パルス)を参照して、CRユニット30から受信した売上パルスの回数を売上金額に換算し、出力元のCRユニット30に併設されるパチスロ機40の台番号とともにその売上金額をホールコンピュータ10に通知する。また、パチスロ機40からIN用出力線またはOUT用出力線を介してINパルスまたはOUTパルスを受信した場合には、ホールコンピュータ10とパチスロ機40との間で予め規定された単位パルスとメダル枚数との対応関係を参照して、パチスロ機40から受信したINパルスまたはOUTパルスの回数をイン枚数またはアウト枚数に換算し、出力元のパチスロ機40の台番号とともにそのイン枚数またはアウト枚数をホールコンピュータ10に通知する。なお、イン枚数とは、パチスロ機40に投入されたメダルの枚数を指し、また、アウト枚数とは、パチスロ機40から払い出されたメダル(例えば、賞メダルや貸メダル)の枚数を指す。
【0037】
CRユニット30は、各プリペイドカードの残額等を管理するプリペイドカードT/C100と各パチスロ機40との間に介在し、プリペイドカードT/C100に対してプリペイドカードの残額の問い合わせやプリペイド残額の減算依頼を行い、プリペイド残額が存在する場合にパチスロ機40に対して減算金額分のメダル投出指示を行う装置である。具体的には、残額が存在するプリペイドカードが挿入された状態で遊技客からメダル貸し操作を受け付けた場合には、その貸出対価を徴収するために、当該プリペイドカードの残額から貸出単位金額を減算するようにプリペイドカードT/C100に依頼し、プリペイドカードT/C100によってプリペイド残額の減算処理が完了した旨が通知されると、パチスロ機40に対してメダル貸し指示を行う。
【0038】
さらに、CRユニット30は、島端等に配設されるカード発行機(図示せず)までプリペイドカードを購入させに行かせる不便を解消する観点から、後述するユニット内部のカード収納部36bに発行用のプリペイドカード(有価価値が関連付けられていない残額なしのカード)を予め収納しており、上記したプリペイド残額の問合せや減算の他、プリペイドカードに対する価値付けを行う価値付け機能を有する。具体的には、紙幣の挿入を受け付けた場合に、カード収納部36bに収納されたプリペイドカードのうち1枚のプリペイドカードを価値付け対象とし、プリペイドカードT/C100に対して挿入紙幣相当のプリペイド残額を加算するように依頼することによりプリペイドカードに対して現金の価値付けを行う。
【0039】
また、CRユニット30は、挿入中のプリペイドカードに対する貸出単位金額の減算処理に応答して、ホールコンピュータ10との間で単位パルスに関連付けられたパルス関連付け金額が貸出単位金額と等しくなるように売上パルスをDU20に出力する。例えば、ホールコンピュータ10との間でパルス関連付け金額が1000円/パルスと規定されており、また、貸出単位金額が1000円と設定されている場合には、プリペイドカードの残額から貸出単位金額である1000円が減算されるので、その貸出単位金額である1000円と等しくなる回数、本例ではパルス関連付け金額が1000円/パルスであるため1回の売上パルスを売上用出力線を介してDU20に出力する。なお、本実施例では、一度のメダル操作でメダル貸し処理される貸出単位金額、すなわちプリペイドカードT/C100でプリペイド残額から減算処理させる貸出金額は、後述するように、係員操作により設定されるものとする。
【0040】
このように、遊技客によってメダル貸出操作が行われると、貸出単位金額分の貸メダルがパチスロ機40内部から投出されるとともに、売上用出力線を介して貸出単位金額分の回数の売上パルスがDU20に出力される。
【0041】
パチスロ機40は、遊技客による遊技操作に応答して、入賞役の抽選、リール駆動、リール停止制御及びメダルの投出を行う装置であり、本実施例では、プリペイドカード対応のいわゆるCRパチスロ機であるものとしている。
【0042】
また、パチスロ機40は、メダルの投入または投出に応答してINパルスまたはOUTパルスをDU20に出力する。具体的には、単位ゲームの消化などによりメダルが投入されてインが発生した場合には、IN用出力線を介してINパルスをDU20に出力し、また、貸メダルまたは賞メダルの投出によりアウトが発生した場合には、OUT用出力線を介してOUTパルスをDU20に出力する。
【0043】
ホールコンピュータ10は、図示しない売上金額管理テーブルおよび遊技台情報管理テーブルを用いて、遊技店内の売上金額および遊技台情報を管理する管理装置である。具体的には、DU20から台番号および売上金額を受信した場合には、売上金額管理テーブル内の該当台番号の売上金額を加算更新し、また、DU20からユニット番号とともにイン枚数またはアウト枚数を受信した場合には、遊技台情報管理テーブル内の該当台番号のイン枚数またはアウト枚数を加算更新する。なお、これら売上金額、イン枚数およびアウト枚数は、1つのテーブルでまとめて管理することもできる。
【0044】
ここで、本実施例に係るCRユニット30は、貸出単位金額の設定を受け付け、設定を受け付けた貸出単位金額がパルス関連付け金額の倍数であるか否かを判定し、パルス関連付け金額の倍数ではないと判定した場合に、当該貸出単位金額の設定を無効化する点にその特徴がある。
【0045】
すなわち、最近に至るまでは、CRユニット30はCRパチンコ機に対する玉貸しを念頭に設計されていた経緯がある。そして、玉単価がメダル単価に比べて安価であることから遊技客が1度の貸出しでどれだけの金額分の遊技媒体を借り受けたいかという加減は遊技台の機種や客層など多様な外的要因によって変化する。このため、CRユニット30においては、各々の店舗固有の状況によって貸出単位金額を任意に設定できるように構成されている。
【0046】
その一方で、メダル貸し機においては、低額紙幣相当(千円相当)のメダル数がクレジット上限に定められていることから、貸出単位金額を1000円固定で設定する運用が一般的に採用されており、これに伴ってパルス関連付け金額も1000円/パルスと規定されている。
【0047】
このような状況の下では、費用対効果の面からパチンココーナーに配設されていたCRユニットをパチスロコーナーに援用するホールも多く、かかる援用を行う場合には、CRユニットの貸出単位金額をパルス関連付け金額に合わせておかなければ、パルス関連付け金額と貸出単位金額との間で整合性を取れない状況に陥る。
【0048】
これと同様に、複数レートの遊技コーナーが店内に混在する場合には、低レートコーナーのパチスロに配設されたCRユニットを通常レートコーナーに援用する場合、すなわち異なるレート間でCRユニットの援用を行う場合にも同じ状況に陥る。
【0049】
例えば、図2に示すように、ホールコンピュータ10との間で1パルスにつき100円の売上があったと規定されている場合、すなわちパルス関連付け金額が100円/パルスである場合には、貸出単位金額が100円、500円、1000円のいずれの金額であったとしても、それぞれ売上パルスを1回、5回、10回をDU20に出力すれば、ホールコンピュータ10に正確な売上金額を通知することができる一方で、パルス関連付け金額1000円/パルスである場合には、貸出単位金額が100円または500円である場合に両者の金額が不均衡となり、メダル貸しが行われた時に売上パルスを出力してもしなくともホールコンピュータ10の売上金額管理テーブルに違算が生じてしまう。
【0050】
そこで、本実施例では、設定を受け付けた貸出単位金額がパルス関連付け金額の倍数であるか否かを判定することによってパルス関連付け金額と貸出単位金額との間で整合性が担保されているか否かを判定し、貸出単位金額がパルス関連付け金額の倍数ではなく、両者に整合性がない場合には、先に受け付けた設定を無効化するようにしている。
【0051】
つまり、図2の例で言えば、パルス関連付け金額1000円/パルスである場合に、貸出単位金額が100円または500円に設定されたとしてもその設定を取り消し、パルス関連付け金額と等しい金額を貸出単位金額として再設定するようにしている。
【0052】
したがって、本実施例では、遊技コーナーに現金機及びCR機の遊技機が混在する状況下において遊技店の従業員等によりパルス関連付け金額との間で整合性が担保できない貸出単位金額が誤って設定されたとしてもその貸出単位金額の設定を無効化することができ、パルス関連付け金額と貸出単位金額との整合性を担保することができる結果、ホールコンピュータ10で正確な売上金額を管理することが可能になる。
【0053】
[CRユニットの構成]
続いて、本実施例1に係るCRユニット30の構成について詳細に説明する。なお、ここでは、この実施例1に係るCRユニット30の(1)外観構成を説明した後に、このCRユニット30の(2)内部構成を説明する。
【0054】
(1)外観構成
図3は、図1に示したCRユニット30の外観を示した正面図である。同図に示すように、このCRユニット30は、縦長の直方体型の筐体として構成したもので、その本体部前面の上寄りには、下方に向かって順に、状態表示ランプ301、カード状態表示LED302、リモコン受光部310、入金可能表示LED303が付設されている。
【0055】
状態表示ランプ301は、当該CRユニット30が運用可能であるか否かを点灯色の切換えによって表すランプであり、例えば、「緑点灯」により運用可能な旨を表し、「赤点灯」により運用不能な旨を表す。
【0056】
カード状態表示LED302は、当該CRユニット30に内蔵されるプリペイドカードの補充又は回収の要否を点灯/点滅によって表すLEDであり、例えば、「点灯」によりプリペイドカードの補充が必要な旨を表し、「点滅」によりプリペイドカードの回収が必要な旨を表し、また、「消灯」によりプリペイドカードの補充及び回収が不要な旨を表す。
【0057】
リモコン受光部310は、図示しない専用のリモコンから照射される赤外線を受光する受光素子から構成され、リモコンから照射される赤外線を通じてCRユニット30に対する各種操作(例えば、紙幣収納部35cに対する解錠許可操作及び解錠操作やプリペイドカードの補充操作及び回収操作など)を受け付ける。
【0058】
入金可能表示LED303は、当該CRユニット30に紙幣の入金が可能であるか否かを点灯/点滅によって表すLEDであり、例えば、「点灯」により紙幣の入金が可能である旨を表し、また、「点滅」により紙幣の入金が不可能な旨を表す。
【0059】
また、本体部前面の中央部には、高額紙幣(例えば、「一万円」、「五千円」や「二千円」など)を含む紙幣を挿入する紙幣挿入口308、プリペイドカードや会員カードなどの各種カードを挿入するカード挿入口309が設けられている。
【0060】
さらに、本体部前面の下寄りには、下方に向かって順に、7SEG表示部304、モード表示部305及び各種ボタン群(設定ボタン311、貸出ボタン306及び返却ボタン307等)が設けられている。
【0061】
7SEG表示部304は、7セグメントのLEDから形成される表示部(本例では6桁)であり、当該CRユニット30の各種データ表示(セグメントを組み合わせて表される数字やアルファベット等の記号によるデータ表示)を行うものである。例えば、情報ボタンの押下操作に応答して挿入紙幣の金額、プリペイドカードの残額、貯メダル数、再プレイ回数やポイントを切替表示したり、設定ボタン311が押下されて貸出単位金額が入力された場合にはその入力金額を表示したり、或いは、専用のリモコンによってプリペイドカードの補充操作又は回収操作が行われている場合には、補充すべき枚数又は回収すべき枚数を表示したりする。
【0062】
モード表示部305は、7SEG表示部304にてどのモードの情報が表示されているかを表示するものである。例えば、「プリペイド残額」、「貯メダル数」、「再プレイ回数」または「ポイント」のうちいずれの情報を7SEG表示部304に表示しているのかを該当ランプを点灯させることで表す。
【0063】
貸出ボタン306は、遊技客によるメダル貸し要求を受け付ける操作ボタンであり、この貸出ボタン306が押下されると後述する制御部38にてプリペイド残額の減算、メダル貸し処理、売上パルスの出力などの処理が行われる。
【0064】
返却ボタン307は、遊技客によるプリペイドカードの返却要求を受け付ける操作ボタンであり、この返却ボタン307が押下されると挿入中のプリペイドカードがカード挿入口309から返却される。
【0065】
設定ボタン311は、遊技店の係員による貸出単位金額の設定要求を受け付ける操作ボタンであり、この設定ボタン311が押下されるとテンキーを通じて貸出単位金額を受け付ける状態に移行する。
【0066】
(2)内部構成
続いて、図4を用いて、図3に示したCRユニット30の内部構成について説明する。図4は、図3に示したCRユニット30の内部構成を示すブロック図である。図4に示すように、このCRユニット30は、操作部31と、表示部32と、通信制御I/F部33aと、遊技機用通信I/F部33bと、売上パルス出力部33cと、リモコン受光部310と、紙幣処理部35と、カード処理部36と、記憶部37と、制御部38とを有する。
【0067】
操作部31は、各種ボタン群、貸出ボタン306、返却ボタン307及び設定ボタン311などの総称であり、また、表示部32は、図3に示した状態表示ランプ301、カード状態表示LED302、入金可能LED303、7SEG表示部304及びモード表示部305などの総称である。
【0068】
通信I/F部33aは、ホールコンピュータ10、プリペイドカードT/C100及び島コントローラ200などの他の装置の間で各種通信の制御を行うインターフェースである。
【0069】
遊技機用通信I/F部33bは、当該CRユニット30に併設されるパチスロ機40との間で各種通信(例えば、メダル投出指示や投出完了応答等)の制御を行うインターフェースである。
【0070】
売上パルス出力部33cは、後述する売上パルス出力制御部38cの指示に基づいて売上金額と関連付けられたパルス信号を出力する処理部である。
【0071】
紙幣処理部35は、紙幣挿入口308から挿入された紙幣を取り扱う処理部であり、BVユニット部35aと、搬送機構部35bと、紙幣収納部35cと、施錠機構部35dとを有する。
【0072】
このうち、BVユニット部35aは、紙幣挿入口308に挿入された紙幣の金種を識別する紙幣識別機であり、識別した挿入紙幣の金種を制御部38に出力する。なお、挿入紙幣が偽造紙幣や識別不能な紙幣(保存状態が悪い紙幣)である場合には、当該紙幣を返却する。
【0073】
搬送機構部35bは、紙幣挿入口308からの受入紙幣を紙幣収納部35cに搬送するローラ等の機構部である。紙幣収納部35cは、紙幣を収納する収納部である。また、施錠機構部35dは、紙幣収納部35cを施錠するロック機構であり、リモコンからの解錠指示に応答して紙幣収納部35cの施錠を解錠する。
【0074】
カード処理部36は、カード挿入口309から挿入された各種カードを取り扱う処理部であり、C/R(カードリーダ)36aと、カード収納部36bと、搬送/繰出機構部36cとを有する。
【0075】
このうち、C/R36aは、カード挿入口309に挿入されたプリペイドカード(ICカードとする)や会員カードなどの各種カードに記録された情報を読み込むカードリーダであり、具体的には、これら各種カードからプリペイドカードIDや会員カードの識別情報を読み取り、該読み取った情報を制御部38に出力する。
【0076】
カード収納部36bは、プリペイド残額が価値付けられていないプリペイドカードを収納する収納部であり、遊技客がプリペイドカードを持参していなくとも現金により遊技可能にするため、事前に複数枚のプリペイドカードを収納したものである。例えば、遊技客によって紙幣が挿入されると、複数枚のプリペイドカードうちの一枚がC/R36aの位置に繰り出され、現金による価値付けの対象とされる。
【0077】
搬送/繰出機構部36cは、各種カードの搬送/繰出を行う機構部である。具体的には、カード挿入口309から挿入されたプリペイドカードをC/R36aに搬送したり、C/R36a内に保持されたプリペイドカードをカード収納部36bに搬送したり、また、カード収納部36bに収納された内蔵プリペイドカードをC/R36aに繰り出したり、C/R36aに保持されたプリペイドカードをカード挿入口309に繰り出したりする。
【0078】
記憶部37は、制御部38による各種処理に必要なデータ(例えば、プリペイド残額など)およびプログラムを記憶する不揮発性メモリ等の記憶デバイスであり、併せて、CRユニット30の各種設定を管理する設定管理テーブル37aを記憶する。
【0079】
この設定管理テーブル37aは、図5及び図6に示すように、台番号、パルス関連付け金額及び貸出単位金額を記憶したテーブルである。ここで、台番号は、当該CRユニット30に接続されるパチスロ機40の台番号であり、パルス関連付け金額は、ホールコンピュータ10との間で単位パルスに関連付けられた金額であり、これら両者は、CRユニット30の起動時にホールコンピュータ10から配信されるものである。また、貸出単位金額は、1度にメダルを貸し出す金額であり、たとえば遊技店の閉店後などに従業員によってリモコン上で係員メニューのボタンが押下されて係員操作モードに移行することにより係員操作であることが担保されてから設定ボタン311が押下された場合に貸出単位金額を設定することができる。
【0080】
図5に示した例では、当該CRユニット30が台番号001のパチスロ機40と接続されており、パルス関連付け金額が1000円に規定されている一方で貸出単位金額が500円に設定されており、後述する倍数可否判定部38dによって両者の金額に整合性がないことが判定され、後述する無効化処理部38fによって貸出単位金額の設定が取り消され、図6に示す例のように、貸出単位金額がパルス関連付け金額と同額に再設定れることなる。
【0081】
制御部38は、CRユニット30の全体制御を司る制御部であり、特に本発明に関連するものとしては、カードマスタ更新依頼部38aと、メダル貸し処理部38bと、売上パルス出力制御部38cと、倍数可否判定部38dと、設定処理部38eとを有する。
【0082】
カードマスタ更新依頼部38aは、当該CRユニット30にて利用されるプリペイドカードについてカードマスタの更新依頼を行う処理部である。具体的には、プリペイドカードT/C100と協働して、カード収納部36bに内蔵されるプリペイドカードに挿入紙幣の金額を価値付けたり、パチンコ玉の貸出対価として挿入中のプリペイドカードから貸出単位金額を減算(徴収)したり、また、カード挿入口309を介してプリペイドカードを受け入れた場合には、C/R36aを通じて読み取ったプリペイドカードIDに対応するプリペイド残額を問合せて取得したりもする。
【0083】
メダル貸し処理部38bは、カードマスタ更新依頼部38aによってプリペイド残額が減算された場合に、パチスロ機40にメダル投出指示を行う処理部である。具体的には、遊技機用通信I/F部33bとパチスロ機40内の通信I/F部(図示せず)との両者の間でCRユニット30による1度のメダル投出指示で所定数(例えば、5枚=100円)のメダルをパチスロ機40が投出するという規定が設定されており、挿入中のプリペイドカードのプリペイド残額から貸出単位金額が減算されると、貸出単位金額に相当する回数のメダル投出指示をパチスロ機40に行い、パチスロ機40に貸出単位金額分のメダルを投出させる。
【0084】
売上パルス出力制御部38cは、売上パルス出力部33cを通じて売上パルスをDU20に出力する処理部であり、パルス関連付け金額が貸出単位金額と等しくなる回数について売上パルスをDU20に出力するように売上パルス出力部33cに指示する。例えば、図7に示すように、パルス関連付け金額が1000円/パルスと規定されており、貸出単位金額が1000円に設定されている場合には、これら両者は等しいので売上パルスを1回出力し、また、パルス関連付け金額が100円/パルスと規定されており、貸出単位金額が1000円、500円または100円に設定されている場合には、それぞれ貸出単位金額がパルス関連付け金額の10倍、5倍、当倍となるので、10回、5回または1回の売上パルスを出力する。
【0085】
倍数可否判定部38dは、設定管理テーブル37a内に設定されている貸出単位金額がホールコンピュータ10によって設定配信されたパルス関連付け金額の倍数であるか否かを判定する処理部である。すなわち、貸出単位金額がパルス関連付け金額の倍数であるか否かによって既に設定されている貸出単位金額とパルス関連付け金額との間で整合性が担保されているか否かを判定しており、貸出単位金額がパルス関連付け金額の倍数ではない場合には、売上パルスを出力してもしなくともホールコンピュータ10の売上金額管理テーブルに違算が生じるため、設定管理テーブル37a内に設定されている貸出単位金額がパルス関連付け金額との間で整合性を欠くものであると判定する。
【0086】
設定処理部38eは、CRユニット30に関する各種設定を行う処理部であり、貸出単位金額の設定を無効化する無効化処理部38fを内在する。例えば、リモコンおよび操作部31を通じて受け付けた貸出単位金額の設定登録、ホールコンピュータ10から配信される各種設定の更新登録並びに売上金額に違算の生じる可能性がある貸出単位金額の取消・再設定を行う。
【0087】
貸出単位金額の設定形態の一例としては、遊技店の閉店後などに従業員によってリモコン上で係員メニューのボタンを押下させて係員操作モードに移行することにより係員操作であることが担保された状態で設定ボタン311が押下された場合に、操作部31のテンキーを通じて貸出単位金額の入力を受け付け、決定意思の確認ボタンとして代用される再プレイボタンが押下されると、設定管理テーブル37a内の貸出単位金額に入力受付金額を設定登録する。
【0088】
また、配信設定の更新登録の一態様としては、CRユニット30の起動時にホールコンピュータ10との通信を確立し、両者の間で通信が確立されるとホールコンピュータ10から各種設定が配信されるので、ホールコンピュータ10から受信した各種設定(例えば、台番号やパルス関連付け金額など)を設定管理テーブル37aに更新登録する。このように、CRユニット30の起動時に台番号を設定として取得するのは、台入替え等によりCRユニット30が接続されるパチスロ機40が変更された場合にその変更を反映するためであり、また、パルス関連付け金額を取得するのは、ホールコンピュータ10側でパルス関連付け金額が改定された場合にその改定を反映するためである。
【0089】
かかるホールコンピュータ10からの配信設定の受信時に、倍数可否判定部38dによって設定管理テーブル37a内に設定されている貸出単位金額がホールコンピュータ10によって設定配信されたパルス関連付け金額の倍数ではないと判定されたならば、パルス関連付け金額と同額の貸出単位金額を再設定する。
【0090】
[処理の流れ]
次に、本実施例1に係るCRユニット30の処理の流れについて詳細に説明する。なお、以下では、遊技店の閉店後等に従業員によって行われる(1)貸出単位金額設定処理を説明した後に、CRユニット30の起動時に行われる(2)設定受信処理の順に説明する。
【0091】
(1)貸出単位金額設定処理
前述したように、ここでは、本実施例1に係る貸出単位金額設定処理について説明する。図8は、実施例1に係る貸出単位金額設定処理の手順を示すフローチャートである。この処理は、遊技店の閉店後などに従業員によってリモコン上で係員メニューのボタンを押下させて係員操作モードに移行することにより係員操作であることが担保された状態で行われる処理である。
【0092】
図8に示すように、係員操作モードで設定ボタン311が押下操作されると(ステップS801肯定)、設定処理部38eは、操作部31のテンキーを通じて貸出単位金額の入力待機状態に移行する(ステップS802)。
【0093】
そして、操作部31のテンキーを通じて貸出単位金額の入力を受け付けると(ステップS802肯定)、設定処理部38eは、決定意思の確認ボタンとして代用される再プレイボタンの操作待機状態に移行する(ステップS803)。
【0094】
ここで、貸出単位金額の設定操作としての再プレイボタンの押下操作を受け付けると(ステップS803肯定)、設定処理部38eは、設定管理テーブル37a内の貸出単位金額に入力受付金額を設定登録し(ステップS804)、処理を終了する。
【0095】
なお、貸出単位金額の入力または貸出単位金額の設定操作を受け付けずに取消ボタンが押下されると(ステップS802否定またはステップS803否定)、そのまま処理を終了する。
【0096】
(2)設定受信処理
次に、本実施例1に係る設定受信処理について説明する。図9は、実施例1に係る設定受信処理の手順を示すフローチャートである。なお、この処理は、CRユニット30が起動されたことを契機に行われる処理である。
【0097】
図9に示すように、設定処理部38eは、CRユニット30の起動時にホールコンピュータ10との通信を確立し(ステップS901)、通信確立後にホールコンピュータ10から各種設定を受信すると各種設定(例えば、台番号やパルス関連付け金額など)を設定管理テーブル37aに更新登録し(ステップS902)、このうち貸出単位金額を倍数可否判定部38dに受け渡す。
【0098】
ここで、倍数可否判定部38dは、設定管理テーブル37aから貸出単位金額の設定を読み出し(ステップS903)、現在設定されている貸出単位金額がホールコンピュータ10によって設定配信されたパルス関連付け金額の倍数であるか否かを判定する(ステップS904)。
【0099】
このとき、貸出単位金額がパルス関連付け金額の倍数ではない場合(ステップS904否定)には、無効化処理部38fは、設定管理テーブル37aにパルス関連付け金額と同額の貸出単位金額を再設定し(ステップS905)、処理を終了する。なお、貸出単位金額がパルス関連付け金額の倍数である場合(ステップS904肯定)には、貸出単位金額とパルス関連付け金額との間で整合性が担保されているので、そのまま処理を終了する。
【0100】
例えば、図2に示した例では、パルス関連付け金額が100円/パルスである場合には、貸出単位金額が100円、500円、1000円のいずれの金額であったとしても、それぞれ売上パルスを1回、5回、10回をDU20に出力すれば、ホールコンピュータ10に正確な売上金額を通知することができる一方で、パルス関連付け金額1000円/パルスである場合には、貸出単位金額が100円または500円である場合に両者の金額が不均衡となるため、貸出単位金額が100円または500円に設定されたとしてもその設定を取り消し、パルス関連付け金額と同額である1000円を貸出単位金額に再設定する。
【0101】
上述してきたように、本実施例1では、貸出単位金額の設定を受け付け、設定を受け付けた貸出単位金額がパルス関連付け金額の倍数であるか否かを判定し、パルス関連付け金額の倍数ではないと判定した場合に、当該貸出単位金額の設定を無効化するように構成したので、遊技コーナーに現金機及びCR機の遊技機が混在する状況下において遊技店の従業員等によりパルス関連付け金額との間で整合性が担保できない貸出単位金額が誤って設定されたとしてもその貸出単位金額の設定を無効化することができ、パルス関連付け金額と貸出単位金額との整合性を担保することができる結果、ホールコンピュータ10で正確な売上金額を管理することが可能になる。
【0102】
また、本実施例1では、CRユニット30の起動時に貸出単位金額に対するパルス関連付け金額の倍数可否判定を行うように構成したので、CRユニット30が上位装置との通信が確立された時点で最新のパルス関連付け金額を用いて倍数可否判定を行うことができ、遊技店の運用ニーズによってパルス関連付け金額が変更されても変更後のパルス関連付け金額と比較判定できる結果、変更前のパルス関連付け金額を用いた場合の誤判定を防止することが可能になる。
【実施例2】
【0103】
さて、これまで本発明の実施例について説明したが、本発明は上述した実施例以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。そこで、以下では、本発明に含まれる他の実施例を説明する。
【0104】
(1)倍数可否判定
例えば、上記した実施例1では、CRユニット30の起動時に倍数可否判定を行うこととしたが、必ずしも起動時に行う必要はなく、貸出単位金額の設定受付時に行うようにしてもよい。すなわち、実施例1では、設定を受け付けた際にはその貸出単位金額の設定を設定管理テーブル37a内に一旦登録しておくこととしたが、貸出単位金額が入力された時点で倍数可否判定を行えば、パルス関連付け金額が略固定的に運用される場合にはより前段階で誤った貸出単位金額の設定を無効化することができる。
【0105】
(2)無効化
なお、上記した実施例1では、貸出単位金額の設定を無効化する際に既登録の設定を取り消し、パルス関連付け金額と等しい金額を貸出単位金額として再設定することとしたが、パルス関連付け金額の倍数であればよく、パルス関連付け金額の倍数であり、その中で取り消しとした金額に最も近い金額を貸出単位金額とするようにしてもよい。
【0106】
(3)応用例
また、上記した実施例1では、倍数可否判定部38eによって貸出単位金額がパルス関連付け金額の倍数ではないと判定された場合にその貸出単位金額の設定を無効化する実施例を説明したが、貸出単位金額とパルス関連付け金額との間で整合性が担保されていない旨を報知するように制御してもよい。例えば、貸出単位金額の入力受付時もしくはCRユニット30の起動時に倍数可否判定が行われた後にCRユニット30の状態表示ランプ301や従業員が所持するインカム等に報知を行えば、店内周知を迅速に行うことができる結果、新たに妥当な貸出単位金額を手動設定させることが可能になる。
【0107】
また、上記した実施例1のように、メダル貸し処理を行う度に売上パルスを出力させるのではなく、貸出単位金額がパルス関連付け金額の倍数ではない場合には、メダル貸しによる売上金額を累積加算して保持しておき、この累積加算した売上金額がパルス関連付け金額以上になった場合に、売上パルスをDU20に出力させるようにしてもよい。
【0108】
すなわち、これによって、貸出単位金額に設定可能な金額の幅がパルス関連付け金額の倍数以外にも拡張することができ、遊技店の運用ニーズにより適合した貸出単位金額を設定することが可能になる。
【0109】
(4)その他
また、上記した実施例1では、本発明をパチスロ遊技に適用する例を説明したが、パチンコ遊技を対象としてさらに含めた場合又はパチンコ遊技のみを対象とした場合にも本発明を同様に適用することができる。なお、ここでは、パチンコ店及びパチスロ店に本発明を適用する例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、ゲームセンタ等の遊技施設にも同様に適用することができる。
【0110】
また、本実施例において説明した各処理のうち、自動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を手動的におこなうこともでき、あるいは、手動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的におこなうこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0111】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0112】
以上のように、本発明に係る貸出処理機及び貸出処理方法は、上位装置で正確な売上金額を管理する場合に適している。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】実施例1に係るCRユニットを含む売上管理システムのシステム構成を示すシステム構成図である。
【図2】実施例1に係るCRユニットの特徴を説明するための説明図である。
【図3】図1に示したCRユニットの外観を示した正面図である。
【図4】図3に示したCRユニット30の内部構成を示すブロック図である。
【図5】設定管理テーブルに記憶される情報の構成例を示す図である。
【図6】設定管理テーブルに記憶される情報の構成例を示す図である。
【図7】売上パルス出力制御部38cの処理内容を説明するための図である。
【図8】実施例1に係る貸出単位金額設定処理の手順を示すフローチャートである。
【図9】実施例1に係る設定受信処理の手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0114】
1 売上管理システム
10 ホールコンピュータ
20 DU(台ユニット)
30 CRユニット
31 操作部
32 表示部
33a 通信制御I/F部
33b 遊技機用通信I/F部
33c 売上パルス出力部
35 紙幣処理部
35a BVユニット部
35b 搬送機構部
35c 紙幣収納部
35d 施錠機構部
36 カード処理部
36a C/R(カードリーダ)
36b カード収納部
36c 搬送/繰出機構部
37 記憶部
37a 設定管理テーブル
38 制御部
38a カードマスタ更新依頼部
38b メダル貸し処理部
38c 売上パルス出力制御部
38d 倍数可否判定部
38e 設定処理部
38f 無効化処理部
40 パチスロ機
100 プリペイドカードT/C
200 島コントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技用記録媒体に価値付けられた有価価値の価値高から一度に遊技媒体を貸し出す金額を定めた貸出単位金額分の有価価値を減算して遊技媒体の貸出し処理を行うとともに、上位装置との間で単位パルスに関連付けられたパルス関連付け金額が貸出単位金額と等しくなるようにパルス信号を前記上位装置に出力する貸出処理機であって、
前記貸出単位金額の設定を受け付ける設定受付手段と、
前記設定受付手段によって設定が受け付けられた貸出単位金額が前記パルス関連付け金額の倍数であるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段によってパルス関連付け金額の倍数ではないと判定された場合に、当該貸出単位金額の設定を無効化する無効化手段と
を備えたことを特徴とする貸出処理機。
【請求項2】
前記判定手段によってパルス関連付け金額の倍数ではないと判定された場合にその旨を報知するように制御する報知制御手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の貸出処理機。
【請求項3】
前記判定手段は、前記貸出処理機の起動時に前記貸出単位金額に対する前記パルス関連付け金額の倍数可否判定を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の貸出処理機。
【請求項4】
遊技用記録媒体に価値付けられた有価価値の価値高から一度に遊技媒体を貸し出す金額を定めた貸出単位金額分の有価価値を減算して遊技媒体の貸出し処理を行うとともに、上位装置との間で単位パルスに関連付けられたパルス関連付け金額が貸出単位金額と等しくなるようにパルス信号を前記上位装置に出力する貸出処理方法であって、
前記貸出単位金額の設定を受け付ける設定受付工程と、
前記設定受付工程によって設定が受け付けられた貸出単位金額が前記パルス関連付け金額の倍数であるか否かを判定する判定工程と、
前記判定工程によってパルス関連付け金額の倍数ではないと判定された場合に、当該貸出単位金額の設定を無効化する無効化工程と
を含んだことを特徴とする貸出処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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