説明

貼付体用セパレータ及びこれを用いた貼付体

【課題】本発明は、剥離力の異なる個所を有する付着防止層を有する貼付体用セパレータ及びこれを用いた貼付体に関する。
【解決手段】本発明の貼付体用セパレータは、一側に粘着層を有する貼付体の前記粘着層に剥離可能に接着されるセパレータにおいて、セパレータの支持層の一側に形成された付着防止層が、複数の剥離力の異なる個所に分けられて形成されていることを特徴とする。剥離力の異なる個所は、複数種類の剥離力の異なるシリコーン系付着防止剤をゾーンコートすることで形成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経皮吸収剤等の貼付体に形成された粘着面を覆って剥離可能に接着されるセパレータ及びこれを用いた貼付体であって、セパレータの剥離力をコントロールしうる構造に関し、剥離を塗工する同面で、剥離力の違う剥離剤を多重塗りやグラビアコート等を行うことで性能を付与することを目的とする。
【背景技術】
【0002】
従来、粘着面を有する貼付体10は、例えば経皮吸収剤の場合、典型的には基材/粘着層(経皮吸収剤含有粘着層)/セパレータ(剥離シート)(1)の積層構造からなっている(図7参照)。
また、セパレータ(1’)/粘着層/基材/粘着層/セパレータ(1)のような両面にセパレータを設けた構造も知られている(図8参照)。
通常、貼付体に貼り合せているセパレーターは、シリコーン等の付着防止剤を塗工したものが主流で、同じシリコーンをセパレータの全面に塗工している。
このため、セパレータの剥離力は均一であり、剥離力を軽くする場合は剥離力の軽い剥離剤を用い、剥離力を重くする場合は剥離力の重い剥離剤を使用しなければならなかった。
また、特開2000−290174号には経皮吸収剤製品用セパレータは開示されている。
このセパレータは、最内層および最外層が共に透明な樹脂層であり、かつこれらの両層の中間に視認性付与機能を有する判別層が位置する積層体からなり、かつその積層体の少なくとも一方の表面に剥離剤による剥離処理層が形成された構造からなっている。
これにより、積層体への剥離処理層の形成が容易でかつ表面が平滑で安定した剥離性を発揮させることができる等の効果を有しているが、セパレータの剥離力については一律に安定した剥離性が開示されているに過ぎない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−290174
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、高齢者等が例えばシップ剤等を貼る際にセパレーターを剥がすのに剥離力が重いと剥がしにくく、軽すぎると貼る前に包装袋から取り出す際や貼付の位置決めの際に、粘着面が他のものや相互に接着して粘着面を使用できなくする場合があった。
セパレータの剥離性を部分的に変更するためには、セパレータに付着防止剤の未塗工部分を作る構成が想定されるが、剥離性を用途に合わせて最適に調整することは困難であった。
この発明は上記事情に鑑みて創案されたものであって、その解決しようとする問題点は、セパレータに剥離力の異なる複数種類のシリコーン等の付着防止剤をゾーンコートすることで剥離力を制御することができる貼付体用セパレータ及びこれを用いた貼付体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を達成するために請求項1の発明では、
一側に粘着層を有する貼付体の前記粘着層に剥離可能に接着されるセパレータにおいて、
セパレータの支持層の一側に形成された付着防止層が、複数の剥離力の異なる個所に分けられて形成されていることを特徴とする。
請求項2の発明では、
前記付着防止層の剥離力の重い個所と剥離力の軽い個所とが、方眼模様や縞模様等の交互に繰り返す模様状に形成されていることを特徴とする。
請求項3の発明では、
前記付着防止層が、その外周に沿って内側より剥離力の軽い個所が形成されており、貼付体から剥離する際のきっかけ部に形成されていることを特徴とする。
請求項4の発明では、
前記貼付体がその一部のみをセパレータから引き剥がす切抜線を有しており、セパレータの付着防止層が、前記切抜線に対応して囲まれた個所がその外側より剥離力が軽い個所に形成されていることを特徴とする。
請求項5の貼付体の発明では、
前記請求項1から4の貼付体用セパレータを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
付着防止層が、複数の剥離力の異なる付着防止個所から形成されているので、セパレータを剥離する際の剥離力を用途に合わせて全体に又は部分的に必要な個所を最適にコントロールすることができる。
また、貼付体が型抜きなどの場合であっても、容易に型抜きを行うことができる。
剥離力の異なる付着防止剤を使用する場合には、色着した付着防止剤を用いることで、剥離力の差異を視覚的に確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】セパレータの一例を示す断面図である。
【図2】付着防止層の剥離力の異なる個所を方眼模様とした状態の図である。
【図3】同縞模様とした状態の図である。
【図4】付着防止層の外周に沿って剥離力の軽い個所を設けた状態の図である。
【図5】貼付体の型抜き個所に対応して付着防止層に剥離力の軽い個所を設けた状態の図であって(a)は平面図、(b)は断面図である。
【図6】両面テープに用いた場合の斜視図である。
【図7】一側にセパレータを有する貼付体の一例を示す斜視図である。
【図8】両側にセパレータを有する貼付体の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、この発明の貼付体用セパレータの好適実施例について、図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0009】
[支持層]
セパレータ1は、図1に示すように、支持層2の一側面に付着防止剤による付着防止層3が形成された構造からなる。
支持層2は、例えば、紙、織布、不織布、編布、ラミネート、単層または積層フィルムなどが用いられる。
この発明では、その素材や構造は特に限定されるものではない。
【0010】
[付着防止層]
付着防止層3は、例えば、シリコーンなどの付着防止剤を溶剤で希釈して支持層2に塗工し、加熱定着することにより形成される。
付着防止層3の形成に用いる付着防止剤としては、公知の剥離剤が用いられるが、本実施例ではシリコーン系の付着防止剤を用いた。
付着防止層3の厚みは、塗工法による場合、固形分基準で、0.01〜3g/m程度が適当であるが、この発明では限定されない。
また、貼付体の用途も特に限定されず、広く適用することができる。
【0011】
[剥離力]
本実施例では、付着防止層3として剥離力の異なる付着防止剤を複数、本実施例では剥離力の異なる2種類の付着防止剤を用い、支持層2上にゾーンコートする。
ここで剥離力は、付着防止剤が処理された面にポリエステル粘着テープを貼り合わせて、所定の加重を載せて一定温度(70℃)で一定時間(20時間)熱処理し、これを引張試験機にかけ、前記処理面から前記ポリエステルテープを180°の角度で、一定の速度(0.3m/min)で剥がすときの抵抗値をいう。
本実施例では、上記抵抗値を相対的に大きい場合を「重い」とし、小さい場合を「軽い」と表現するが、セパレータ1の用途に合わせて各抵抗値は特定して用いられる。
【0012】
[ゾーンコート]
本実施例では2種類の異なる剥離力の付着防止剤を用いたゾーンコートの一例を挙げて説明する。
図2に示す付着防止層3は、グラビアコーター等の公知の方法により、細かい方眼模様、ストライプ模様又はスリット模様などの交互に繰り返す模様状に塗工した場合を示す。
図において、黒く塗りつぶした部分が通常の剥離力を有するシリコーン系付着防止剤が塗工された個所3a、白い部分が超軽な剥離力を有するシリコーン系付着防止剤が塗工された個所3bである。
上記方眼パターンとすることで、簡単には剥がれにくいが付着防止層3全体の剥離力を下げることができ、剥がれ易い剥離力を得ることができる。
【0013】
図3に示す付着防止層3は、同様に短いピッチの縞模様に塗工した場合を示す。
この場合も、黒く塗りつぶした部分が通常の剥離力を有するシリコーン系付着防止剤が塗工された個所3a、白い部分が超軽な剥離力を有するシリコーン系付着防止剤が塗工された個所3bであり、前記短いピッチの縞模様とすることで、簡単には剥がれにくいが、縞の延出方向に対する付着防止層3全体の剥離力を下げることができ、剥がれ易い剥離力を得ることができる。
【0014】
図4に示す付着防止層3は、その外周縁に沿った周辺部を軽い剥離力を有するシリコーン系付着防止剤が塗工された軽剥離個所3cとし、該軽剥離個所3cで囲まれた内側の図中ハッチング部分を重い剥離力を有するシリコーン系付着防止剤が塗工された重剥離個所3dとしている。
上記パターンにすることで、周辺部が剥がすきっかけ部分となり、剥がし易くなる。
【0015】
図2〜図4のセパレータ1は、貼付体10の全面がセパレータ1から分離される場合について説明したが、貼付体10が切抜線を有して、その一部だけをセパレータ1から剥離する場合にも適用することができる。
【0016】
図5に示す付着防止層3は、貼付体10の切抜き個所に対応した部分を軽い剥離力を有するシリコーン系付着防止剤が塗工された軽剥離個所3eとし、前記切抜き個所以外に対応する部分を重い剥離力を有するシリコーン系付着防止剤が塗工された重剥離個所3fとしている。
図5(a)は貼付体10Aを貼付体の基材から剥がした状態の斜視図であり、ハッチング部分は貼付体10Aが抜き取られて軽剥離個所3eの一部が露出した状態を示し、図5(b)はその断面を示す。
これにより、貼付体10の抜き取りたい部分に強弱をつけることで、セパレータ1からの型抜き等を容易に行うことができる。
【0017】
型抜きの場合、いずれか一方(例えば軽い剥離力のシリコーン系付着防止剤)、または各シリコーン系付着防止剤に着色したものを用いることで、型抜き個所を視覚的に判別させることも可能である。
【0018】
上記実施例では、剥離力が異なる2種類の付着防止剤で処理した付着防止層について例示したが、この発明では剥離力が異なる2種類以上の付着防止剤で処理した付着防止層を形成するものであってもよい。
また、色彩や輪郭形状などの塗工デザインを工夫して、視覚効果を得るようにしてもよい。
貼付体は経皮吸収剤に限らず、セパレータを有する各種の貼付体に適用しうる。
【0019】
また、上記実施例では、異なる剥離力の付着防止剤を用いたが、この発明では同じ剥離力の付着防止剤を部分的に重ねて塗工することで、部分的に異なる剥離力としてもよい。
【0020】
また、産業用の別の実施例として、図6に貼付体10を両面テープに適用した場合を示す。
この両面テープ10では、表面のセパレータ1’を剥がし、被接着体に貼り付けて逆表面のセパレータ1を剥がすときに、セパレータ1、1’の一方又は双方の内面の左右の端面部を軽い剥離力を有するシリコーン系付着防止剤が塗工された軽剥離個所3cとし、該軽剥離個所3cで囲まれた内側の部分を重い剥離力を有するシリコーン系付着防止剤を塗工した重剥離個所3dとしているので、セパレータを剥がしやすくことができる。
【0021】
上記各実施例では貼付体は基材を有する場合を例示したが、この発明では基材が存在しない貼付体のセパレータとしても用いることができる。
その他、要するにこの発明の要旨を変更しない範囲で種々設計変更しうること勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0022】
この発明では、メディカル、電子部品・光学分野、産業・工業分野等に関連する分野に広く適用することができる。
また、菓子などの食品加工の工程等でクッキングシートとして用いることができる。
【符号の説明】
【0023】
1、1’ 貼付体用セパレータ
2 支持層
3 付着防止層
10 貼付体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一側に粘着層を有する貼付体の前記粘着層に剥離可能に接着されるセパレータにおいて、
セパレータの支持層の一側に形成された付着防止層が、複数の剥離力の異なる個所に分けられて形成されていることを特徴とする貼付体用セパレータ。
【請求項2】
付着防止層の剥離力の重い個所と剥離力の軽い個所とが、方眼模様や縞模様等の交互に繰り返す模様状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の貼付体用セパレータ。
【請求項3】
付着防止層が、その外周に沿って内側より剥離力の軽い個所が形成されており、貼付体から剥離する際のきっかけ部に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の貼付体用セパレータ。
【請求項4】
貼付体がその一部のみをセパレータから引き剥がす切抜線を有しており、セパレータの付着防止層が、前記切抜線に対応して囲まれた個所がその外側より剥離力が軽い個所に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の貼付体用セパレータ。
【請求項5】
請求項1から4の貼付体用セパレータを有することを特徴とする貼付体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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