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貼付剤の製造方法
説明

貼付剤の製造方法

【課題】
本発明は、端部から粘着剤がはみ出したり、流れ出すことを抑制し得る貼付剤の製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】
本発明は、貼付剤の製造方法であって、支持体の少なくとも片面上に粘着剤層を、および該粘着剤層上に剥離ライナーを備える粘着シートを用意し、該粘着シートから、凸状押し切り刃で、支持体の少なくとも片面上に粘着剤層を、および該粘着剤層上に剥離ライナーを備える貼付剤を打ち抜く工程を含み、ここで、該凸状押し切り刃の少なくとも先端部において、凸状押し切り刃の延設方向に直交する断面形状は、角度aは角度bよりも大きいことを特徴とする、製造方法を提供する。ここで、前記断面形状において、角度aおよび角度bは、本明細書中に記載した意味を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、凸状押し切り刃を用いる貼付剤の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、皮膚を保護するため、または薬物を皮膚面を通して生体内へ投与するためなどの目的で、種々の貼付剤が開発されている。貼付剤はある形状、例えば略矩形の形状を有する。このような形状は、ウェブ状の粘着シートをまず調製し、刃物でそのような形状に切断することで得ることができる。そのような刃物に関する文献としては例えば、特開2001−269896号公報(特許文献1)および特開2004−330364号公報(特許文献2)が挙げられる。一般に、刃物は、切断対象の物理的および化学的性質によって特有の考慮を要する。これらの文献はそれぞれ、金属等のワーク材、およびラベル等が切断対象となるものであって、上述のような貼付剤の切断を開示・示唆するものではない。
【0003】
ところで、貼付剤は、その端部から粘着剤層がはみ出したり、貼付剤保管中にいわゆるコールドフロー現象により、粘着剤層が流れ出すことがある。その場合、粘着剤層が貼付剤の包装体の内面へ付着し、貼付剤を包装体から容易に取り出すことが難しくなり、または、使用時に手がべとついて不快感を与えることがある。
【0004】
したがって、ウェブ状の粘着シートから、刃物である形状に切断することで、貼付剤の端部から、粘着剤層がはみ出したり、貼付剤保管中に粘着剤層が流れ出すことを抑制し得る貼付剤の製造方法が望まれる。
【特許文献1】特開2001−269896号公報
【特許文献2】特開2004−330364号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記に鑑み本発明は、端部から粘着剤がはみ出したり、流れ出すことを抑制し得る貼付剤の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
驚くべきことに、本発明の課題は、所定の断面形状の凸状押し切り刃で、粘着シートから貼付剤を打ち抜く工程を含む製造方法によって達成される。かくして、本発明は:
(1)
貼付剤の製造方法であって:
支持体の少なくとも片面上に粘着剤層を、および該粘着剤層上に剥離ライナーを備える粘着シートを用意し;
該粘着シートから、凸状押し切り刃で、支持体の少なくとも片面上に粘着剤層を、および該粘着剤層上に剥離ライナーを備える貼付剤を打ち抜く工程を含み;
ここで、該凸状押し切り刃の少なくとも先端部において、凸状押し切り刃の延設方向に直交する断面形状は、角度aは角度bよりも大きいことを特徴とする、製造方法:
ここで、前記断面形状において、角度aは、刃先先端中心部を通って延びる切れ刃中心線に関し、凸状押し切り刃の貼付剤側を向く面の先端部が該切れ刃中心線に対してなす角度であり;
角度bは、刃先先端中心部を通って延びる切れ刃中心線に関し、凸状押し切り刃の貼付剤側を向かない面の先端部が該切れ刃中心線に対してなす角度である;
(2)
該凸状押し切り刃は、該粘着シートを、支持体側から剥離ライナー側へ切断する、請求項1記載の製造方法;
(3)
該粘着シートから、該凸状押し切り刃を有するダイカッターとアンビルロールとを備えるダイカットロールで、該貼付剤を打ち抜く、(1)または(2)記載の製造方法;
(4)
角度aは、15〜47.5度である、(1)〜(3)いずれかに記載の製造方法;
(5)
貼付剤の粘着剤層の端部の少なくとも一部位は、支持体の端部または剥離ライナーの端部よりも、貼付剤の中央部側に位置する、(1)〜(4)いずれかに記載の製造方法;
(6)
角度bは、0〜27.5度である、(1)〜(5)いずれかに記載の製造方法;
(7)
角度aと角度bの合計角度は、15〜55度である、(1)〜(6)いずれかに記載の製造方法;
(8)
貼付剤の剥離ライナーの端部は、貼付剤の支持体の端部から剥離ライナーへ垂下した線分が剥離ライナーと交わる剥離ライナー上の部位よりも、貼付剤の周辺部側に位置する、(1)〜(7)いずれかに記載の製造方法;
(9)
粘着剤層が有機液状成分を含む、(1)〜(8)いずれかに記載の製造方法;および
(10)
粘着剤層の厚さが100μm以上である、(1)〜(9)いずれかに記載の製造方法;
を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の製造方法によれば、粘着剤層の端部の少なくとも一つの部位が、貼付剤の中央部側の所定の位置に位置する貼付剤を追加的な工程の必要性無く、容易に製造することができる。そのような貼付剤では、貼付剤の端部から粘着剤層がはみ出したり、貼付剤保管中にいわゆるコールドフロー現象により、粘着剤層が流れ出すことを抑制することができる。それによって、そのような貼付剤では、粘着剤層が貼付剤の包装体の内面へ付着が抑制されるので、貼付剤を包装体から容易に取り出すことができ、使用時に手がべとついて不快感を与えることも少ない。
【0008】
また、本発明の製造方法による貼付剤では、粘着剤層の端部が露出され、すなわち支持体の端部および剥離ライナーの端部により覆われていない。このことと、上述の粘着剤層のはみ出しおよび流れ出しが抑制されて使用時に手がべとつきにくいこととがあいまって、本発明の貼付剤は、使用時に剥離ライナーの端部に手指をかけてこれを剥離することがきわめて容易である。
【0009】
以上のように、本発明の製造方法によれば、快適に使用できる貼付剤を容易に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の好ましい実施態様を示すが、それらの詳細な説明、図面および特定の例は、例示の目的のみのためのものであることが意図されており、本発明の範囲を限定しない。以下の好ましい実施態様の説明は、単に例示的な性質のものであり、決して本発明、その応用、または用途を限定することが意図されるわけではない。図面は、本発明の概念を理解しやすく示すため、実際の製造で使用される物とサイズ、比率および形状は必ずしも一致しないことがある。
【0011】
本発明の貼付剤の製造方法は、粘着シートを用意し、該粘着シートから、凸状押し切り刃で、貼付剤を打ち抜く工程を含む。
【0012】
図1は、粘着シート11であって、支持体12の少なくとも片面上に粘着剤層13を、および該粘着剤層13上に剥離ライナー14を備える粘着シート11を用意する工程を示す概略的斜視図である。本工程に、このような粘着シート11から、ある形状の、例えば破線に示されるような略矩形の貼付剤15を打ち抜く工程が続く。
【0013】
図2Aは、貼付剤を粘着シート21から打ち抜く工程の概略を、凸状押し切り刃26の延設方向に直交する平面における断面図によって示す。図2Aに示されるように、前記断面図において、凸状押し切り刃26は、その少なくとも先端部において、角度aは角度bよりも大きい形状である。ここで、前記断面形状において、角度aは、凸状押し切り刃26の、貼付剤に向く方向27を向く面に対応する直線が、刃先端部を通り凸状押し切り刃の切断方向210に対応する刃中心線211に対してなす角度である。以下、これを貼付剤側の角度aという。前記断面形状において、角度bは、凸状押し切り刃26の貼付剤に向かない方向28を向く面に対応する直線が、刃先端部を通り凸状押し切り刃の切断方向210に対応する刃中心線211に対してなす角度である。以下、これを非貼付剤側の角度bという。切断方向210および刃中心線211は通常、粘着シート21に対して略垂直であり、すなわちこれらのそれぞれが粘着シート21に対してなす角度は通常、70〜110度である。
【0014】
貼付剤側の角度aは、非貼付剤側の角度bよりも大きいので、凸状押し切り刃26は、粘着シート21を切断して貼付剤を生成する際に、粘着シート21の粘着剤層23を、貼付剤の中央部側に押し込むよう作用する。それによって、生成した貼付剤の端部の粘着剤層23の端部の少なくとも一つの部位が、貼付剤の中央部側に好ましくは位置する。
【0015】
凸状押し切り刃26はその先端部が、前記断面形状を有する限りとくに限定されず、例えば、図2Bに示されるように、先端部(破線円内で示される)以外の部位は、より厚い断面形状を有してもよい。図2Aに示されるように、好ましくは本工程は、硬い台29上、例えばアンビルロール上に、粘着シート21を配置し、粘着シート21を前記凸状押し切り刃26で押し切り、貼付材を打ち抜くことを含む。
【0016】
図3は、本発明の製造方法で好ましくは得られる貼付剤35の概略図である。図3Aは、その模式的斜視図であり、図3Bは矢印におけるその模式的断面図を示す。図3Aを参照すると、そのような貼付剤35の形態は特に限定されないが、例えば実質的な平面状のシート状の形態であり、その平面形状は略矩形である。その大きさは特に限定されないが、特定の例では、ある一辺の長さが約20〜80mm、他の一辺の長さが約20〜80mmである。他の平面形状、例えば略三角形、略五角形などの略多角形、略楕円形、略円形、無定形なども考えられる。
【0017】
図3Aおよび3Bに示され、前述したように、本発明の製造方法で得られる貼付剤35の粘着剤層33の端部の少なくとも一部位は、支持体32の端部または剥離ライナー34の端部よりも、貼付剤35の中央部側に好ましくは位置する。これにより、粘着剤層33の端部は、貼付剤35の端部からはみ出したり、流れ出したりしにくい。
【0018】
図3Aおよび3Bに示されるように、本発明の製造方法で得られる貼付剤35の端部は、好ましくは粘着剤層33の端部が露出している、すなわち支持体32の端部および/または剥離ライナー34の端部により覆われていない。それによって、使用時に剥離ライナー34の端部に手指をかけてこれを剥離する際に、手指の取り掛かりが得やすいので、剥離ライナー34を容易に剥離することができる。
【0019】
支持体の厚さは、好ましくは15〜150μm、より好ましくは20〜100μmである。15μm以上であることで粘着剤層の端部からはみ出しまたは流れ出した粘着剤層が支持体の粘着剤層とは反対側表面へ回りこむことが十分に抑制される。また150μm未満であると、貼付剤の使用時のゴワゴワ感を十分に抑制することができる。
【0020】
粘着剤層の厚さは、有利には100μm以上、より有利には100〜300μmである。通常、粘着剤層の厚みは100μm以上であるとき、粘着剤層は貼付剤の端部からはみ出したり流れ出しやすい傾向にある。しかし、本発明の製造方法で得られる貼付剤の端部は好ましくは前記形状を有することから、このような場合であっても、効果的にそのような粘着剤層がはみ出すことおよび流れ出すことを抑制することができる。300μm以下であることで、粘着剤層の形状が一層維持され、そのような粘着剤層がはみ出すことおよび流れ出すことが抑制できる。
【0021】
図3Aおよび3Bを参照すると、粘着剤層33の端部の断面形状は実質的に直線状であるが、この形状は直線状に限定されるものではなく、例えば曲線状、例えば貼付剤の中央部側または端部側に湾曲した形状、波線状、ジグザグ線状などであることができる。湾曲形状が粘着剤層が流れ出しにくく好ましい。
【0022】
貼付剤を貼付する際に、支持体は貼付剤本体、すなわち粘着剤層プラス支持体の一部として、皮膚への貼付中にも使用される。一方、剥離ライナーは、皮膚貼付前に貼付剤の剛性を確保し貼付剤の取り扱い性を確保するが、皮膚への貼付剤の使用前に通常破棄される。したがって、貼付剤の皮膚への貼付中に皮膚に違和感を与えないためには、支持体が剥離ライナーよりも柔らかいことが好ましい。このような観点から、剥離ライナーの厚みは、好ましくは200〜1000μmである。
【0023】
再び図2Aを参照すると、この例のように、凸状押し切り刃26は、粘着シート21を、支持体22側から剥離ライナー24側へ切断することが好ましい。支持体22は剥離ライナー24よりも好ましくは柔らかいので、凸状押し切り刃26から粘着シート21へ印加される応力が、支持体22を通して粘着剤層23へと効率的に伝達される。それによって、凸状押し切り刃26が粘着シート21を切断して貼付剤を生成する際に、凸状押し切り刃26が、粘着シート21の粘着剤層23の端部を貼付剤の中央部側に十分押し込むことができる。なお、本明細書にいう支持体および剥離ライナー24の柔らかさは、日本工業規格「JIS L1085 5.7剛軟度A法(45°カンチレバー法)」によって判定されるものである。
【0024】
図2Aを参照すると、凸状押し切り刃26が粘着シート21の粘着剤層の端部を貼付剤の中央部側に十分に押し込むためには、前記角度aは、好ましくは15〜47.5度、より好ましくは37.5〜47.5度である。角度aが15度未満であると、貼付剤の端部において粘着剤層の端部を貼付剤の中央部側に十分押し込むことが困難となる。一方、角度aが47.5度を越えると、凸状押し切り刃の切れ味が低下し、打ち抜き効率が低下する可能性を考慮する必要がある。
【0025】
図2Aを参照すると、角度aと角度bの合計角度は、好ましくは15〜55度、より好ましくは20〜50度である。合計角度が15度より小さいと、凸状押し切り刃の耐久性が低下して打ち抜き性が低下する可能性を考慮する必要がある。一方、合計角度が55度を越えると、凸状押し切り刃の切れ味が低下し、打ち抜き性が低下する可能性を考慮する必要がある。
【0026】
角度bは、好ましくは0〜27.5度、より好ましくは2.5〜27.5度である。角度bが0度未満の凸状押し切り刃を製造することは困難である。一方、角度bが27.5度を越えると、打ち抜き性が低下する可能性を考慮する必要がある。凸状押し切り刃の先端部はその延設方向に略矩形の平面形状を有する凸状押し切り刃を用いて粘着シートを打ち抜く場合、粘着シートを確実に打ち抜くためには、角度bは7.5度以下が好ましい。
【0027】
次に図4を参照し、図4は、粘着シート41から、該凸状押し切り刃46を有するダイカッター47とアンビルロール48とを備えるダイカットロールで、該貼付剤を打ち抜く工程の概略を示す。この図には、ダイカッターおよびアンビルロールの回転軸412に直交する平面における断面図が模式的に示される。粘着シートは、矢印方向に回転するアンビルロール上を矢印方向へ移動する。矢印方向に回転するダイカッター47の凸状押し切り刃46は、粘着シート41から貼付剤を打ち抜く。このようなダイカットロールは、上述の切断工程を、連続的に、早く行うことができるので、貼付剤の工業的製造において有利である。
【0028】
図5は、打ち抜かれるべき貼付剤55の端部の模式的断面図を示す。図5に示される貼付剤55は、図3に示された貼付剤35と同様、粘着剤層53の端部の少なくとも一部位は、支持体52の端部または剥離ライナー54の端部よりも、貼付剤55の中央部側に位置する。図5に示される貼付剤55の剥離ライナー54の端部は、貼付剤55の支持体52の端部から剥離ライナー54へ垂下した線分59が剥離ライナー54と交わる剥離ライナー54上の部位よりも、貼付剤55の周辺部側に位置する。この例では、剥離ライナー54は、貼付剤の支持体の端部から剥離ライナー54へ垂下した線分57が剥離ライナーと交わる剥離ライナー上の部位よりも、貼付剤55の周辺部側へ延出した延出部513を有する。このような貼付剤の粘着剤層53が貼付剤の端部からはみ出したとしても、破線で示される剥離ライナー端部と支持体端部とが結ぶ線分514よりも貼付剤の中央部側の空間は、粘着剤層53が、貼付剤の包装体の内壁に接触することを抑制することができる。したがって、このような貼付剤は、貼付剤が包装体に付着し難い点で優れる。
【0029】
このような貼付剤は、本発明の製造方法で容易に得ることができる。すなわち、凸状押し切り刃を、支持体側から剥離ライナーへと移動させ、剥離ライナーに接する瞬間で、押し切りを停止すればよい。
【0030】
以上のような本発明の貼付剤の製造方法において、支持体としては特に限定されず、自体公知のフィルム状またはシート状材料が用いられる。そのような支持体は、実質的に薬物、添加剤などの粘着剤層中の成分が不透過性であるもの、これらが支持体中を通って背面から失われて含有量の低下を引き起こさないものが好ましい。
【0031】
このような支持体としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ナイロン、サラン(登録商標)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、サーリン(登録商標)、金属箔等の単独フィルム又はこれらの積層フィルム等が挙げられる。
【0032】
粘着剤層としては、特に限定されず:アクリル系重合体からなるアクリル系粘着剤;スチレン−ジエン−スチレンブロック共重合体(例えばスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体など)、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン等のゴム系粘着剤;シリコーンゴム、ジメチルシロキサンベース、ジフェニルシロキサンベース等のシリコーン系粘着剤;ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルエチルエーテル、ポリビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル系粘着剤;酢酸ビニル−エチレン共重合体等のビニルエステル系粘着剤;ジメチルテレフタレート、ジメチルイソフタレート、ジメチルフタレート等のカルボン酸成分とエチレングリコール等の多価アルコール成分からなるポリエステル系粘着剤等が挙げられる。 粘着剤層は架橋粘着剤層でも非架橋粘着剤層でもよい。皮膚接着性の観点から疎水性粘着剤が好ましく、非含水系の粘着剤層が好ましい。
【0033】
なかでも、ゴム系粘着剤は、粘着剤層のはみ出しまたは流れ出しが起こりやすい傾向にあることから、これを効果的に抑制できる本発明は、ゴム系粘着剤を粘着剤層に採用する場合に特に有利である。同じ理由により、本発明は非架橋粘着剤層で有利である。
【0034】
ゴム系粘着剤は、適度な粘着力および薬剤溶解性を得るために、同一成分または異なる成分で平均分子量の異なるものを混合して使用することができる。例えば、ポリイソブチレンを例に挙げて説明すると、粘度平均分子量1,800,000〜5,500,000の高分子量のポリイソブチレンと、粘度平均分子量40,000〜85,000の中分子量のポリイソブチレン、および必要によりさらに低分子量のポリイソブチレンとの混合物が好ましい。
【0035】
ここで、高分子量のポリイソブチレンを10〜80重量%、好ましくは10〜50重量%、中分子量のポリイソブチレンを0〜90重量%、好ましくは10〜80重量%、低分子量のポリイソブチレンを0〜80重量%、好ましくは0〜60重量%の割合で配合することが好適である。ここにいう粘度平均分子量とは、Flory の粘度式から計算される粘度平均分子量である。
【0036】
ゴム系粘着剤には、適度な粘着性を付与するために、例えば、ロジン系樹脂、ポリテルペン樹脂、クマロン−インデン樹脂、石油系樹脂、テルペン−フェノール樹脂、キシレン樹脂等の粘着付与剤が配合されていてもよく、これらは一種でまたは2種以上混合して用いられる。粘着付与剤は、粘着剤層中に例えば10〜40重量%である。
【0037】
所望により、粘着剤層は薬物を含み、貼付製剤を提供することができる。ここにいう薬物は特に限定されず、ヒトなどの哺乳動物にその皮膚を通して投与し得る、すなわち経皮投与可能な薬物が好ましい。薬物は、粘着剤層中に例えば0.1〜50重量%含ませることができる。
【0038】
有機液状成分としては、特に限定されず、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のグリコール類、オリーブ油、ヒマシ油、ラノリン等の油脂類、スクアラン、流動パラフィンのような炭化水素類、各種界面活性剤、エトキシ化ステアリルアルコール、オレイン酸モノグリセリド、カプリル酸モノグリセリド、ラウリル酸モノグリセリドのようなグリセリンモノエステル、ポリプロピレン(一般的には、ポリアルキレン)グリコールジアルキルエステルなどのグリセリンジエステル、グリセリントリアセテートなどのグリセリントリエステル、またはそれらの混合物、クエン酸トリエチルなどの脂肪酸アルキルエステル、長鎖アルコール、オレイン酸、カプリル酸のような高級脂肪酸、N−メチルピロリドン、N−ドデシルピロリドンのようなピロリドン類、デシルメチルスルホキシドのようなスルホキシド類、1,3−ブタンジオール等が挙げられ、これらは1種でも2種以上混合してもよい。有機液状成分は粘着剤層の全重量基準で、好ましくは10〜60重量%、より好ましくは15〜60重量%、最も好ましくは20〜60重量%含有させることができる。10重量%以上含有される場合に、粘着剤層が可塑化しやすく、粘着剤層のはみ出しまたは流れ出しが起こりやすいので、これを効果的に抑制できる本発明はこのような場合に有利である。なお、60重量%を超えて含有される場合、粘着剤層が一定形状を保持することが困難となる可能性がある。
【0039】
剥離ライナーとしては特に限定されず、その材質としては、この分野で自体既知のものが挙げられ、具体的にはポリエチレンテレフタレートをはじめとするポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、各種アクリル系及びメタクリル系ポリマー、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリイミド、酢酸セルロース(アセテート)、再生セルロース(セロファン)、セルロイド等のプラスチックフィルム、あるいは上質紙またはグラシン紙等とポリオレフィンとのラミネートフィルム等が例示される。安全性、経済性、薬物移行性の点でポリエステルフィルムを用いることが好ましい。剥離ライナーは、粘着剤層との剥離を容易にするように粘着剤との界面側が易剥離処理されるものが好ましい。本明細書における貼付剤の断面形状に関する評価値は、実施例に記載の方法により得られる値を意味する。
【実施例】
【0040】
以下に具体例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されないものとする。
(1)粘着シートの作製
塗工液の調製
トルエン 6.250kg、n−ヘキサン 8.750kg、高分子量ポリイソブチレン(粘度平均分子量4,000,000)1.043kgを秤量し、調合タンクにて24時間以上攪拌した。その後、中分子量ポリイソブチレン(粘度平均分子量55,000) 2.087kg、脂環族飽和炭化水素樹脂 2.087kg、トルエン 0.500kgを秤量し、調合タンクに投入し24時間以上攪拌した。その後、ミリスチン酸イソプロピル 2.282kg、トルエン 2.000kgを秤量し、調合タンクに投入し4時間以上攪拌して塗工液を得た。
粘着シートの調製
塗工液を、バックロールとコンマロールからなるコーターを用いて、剥離ライナーとしての厚さ75μmのポリエチレンテレフタレート(以下「PET」)の軽剥離面に、乾燥後の粘着剤層厚みは160μmとなるよう塗工・乾燥した。得られた粘着面を、支持体としてのPETフィルム/PET不織布積層体のPET不織布面に圧着させ粘着シートを得た。
【0041】
(2)ダイカット機による貼付剤の作製
試験1および試験2を実施し、粘着シートから、凸状押し切り刃を有するダイカッターとアンビルロールを備えるダイカットロールで貼付剤のサンプルを打ち抜いた。試験1(実施例1〜4及び比較例1〜5)で使用した凸状押し切り刃の先端部のその延設方向に直角な断面形状を図6に示した。試験1では、粘着シートの流れ方向に垂直方向のストレート凸状押し切り刃を有するダイカットロール用いた。試験2(実施例5〜9および比較例6)では、凸状押し切り刃の先端部はその延設方向に略矩形の平面形状を有するダイカットロールを用いた。
粘着シートの支持体面をアンビルロール側に、粘着シートの剥離ライナー面をダイカッター側に配置して粘着シートを切断して、実施例1〜8および比較例1〜6の貼付剤を得た。併せてこのとき、後述の評価基準にて打ち抜き性を評価した。
【0042】
(3)試験方法
打ち抜き性
粘着シートから貼付剤を打ち抜いた直後に、下記基準で目視評価した。
〇:正常に打ち抜けている。
△:たまに打ち抜き不良がある。
×:ほぼ打ち抜き不良である。
【0043】
粘着剤層のはみ出し
A.カミソリ刃、木槌、および、アクリル板を準備した。
B.アクリル板上に貼付剤を乗せ、カミソリ刃を貼付剤の支持体の上に垂直に当て、木槌で一回たたき、長さ2cm、幅2cmの略正方形に切断してサンプルを得た。各実施例および比較例につき5個のサンプルを作製した。
C.サンプルそれぞれの断面形状を、デジタルマイクロスコープ(キーエンス製、VHX500)にて観察し(倍率500倍)、下記基準にて評価した。また、試験2においては断面形状撮影も行った。
【0044】
◎:支持体からライナーに垂下した線分よりも、粘着剤層は十分に内側にある。
〇:支持体からライナーに垂下した線分よりも、粘着剤層は内側にある。
△:支持体からライナーに垂下した線分上に、粘着剤層はある。
×:支持体からライナーに垂下した線分上よりも、粘着剤層は外側にある。
試験1の結果を表1に、試験2の結果を表2および図7に示す。
【0045】
【表1】

【0046】
【表2】

【0047】
表1および表2から明らかなように、凸状押し切り刃の貼付剤側の角度aが、非貼付剤側の角度bより大きい実施例は、粘着剤層の端部を貼付剤中央部側に押しこむことが可能であり、実施例の貼付剤の端部の断面形状は好ましいものであった。また、実施例は、打ち抜き性も良好であった。したがって、実施例では、製造直後から、貼付剤の端部べたつき、粘着剤層のはみだしは、従来よりも低減できた。これに対して、凸状押し切り刃の貼付剤側の角度aと非貼付剤側の角度bが同じ比較例は、打ち抜き性が劣るまたは、断面形状が好ましくないものであった。
【0048】
本発明の説明は、単に例示的な性質のものであり、かくして本発明の要旨から離れないその変形態様は、本発明の範囲内であるべきことが意図される。そのような変形態様は、本発明の精神および範囲から離れるものとしてみなされるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】図1は、粘着シートを用意する工程の例を示す模式図である。
【図2】図2は、粘着シートから、凸状押し切り刃で、貼付剤を打ち抜く工程の例を示す模式図である。
【図3】図3は、本発明の製造方法で得られる貼付剤の例を示す模式図である。
【図4】図4は、粘着シートから、ダイカットロールで、該貼付剤を打ち抜く工程の例を示す模式図である。
【図5】図5は、本発明の製造方法で得られる貼付剤の例を示す模式図である。
【図6】図6は、実施例および比較例で用いた凸状押し切り刃の断面形状の模式図である。
【図7】図7は、実施例および比較例の製造方法により得られる貼付剤の断面写真である。
【符号の説明】
【0050】
11 粘着シート
12 支持体
13 粘着剤層
14 剥離ライナー
15 貼付剤
21 粘着シート
22 支持体
23 粘着剤層
24 剥離ライナー
26 凸状押し切り刃
27 貼付剤に向く方向
28 貼付剤に向かない方向
29 硬い台
210 切断方向
211 刃中心線
32 支持体
33 粘着剤層
34 剥離ライナー
35 貼付剤
41 粘着シート
46 凸状押し切り刃
47 ダイカッター
48 アンビルロール
412 アンビルロールの回転軸
52 支持体
53 粘着剤層
54 剥離ライナー
55 貼付剤
59 剥離ライナーへ垂下した線分
513 延出部
514 剥離ライナー端部と支持体端部とが結ぶ線分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貼付剤の製造方法であって:
支持体の少なくとも片面上に粘着剤層を、および該粘着剤層上に剥離ライナーを備える粘着シートを用意し;
該粘着シートから、凸状押し切り刃で、支持体の少なくとも片面上に粘着剤層を、および該粘着剤層上に剥離ライナーを備える貼付剤を打ち抜く工程を含み;
ここで、該凸状押し切り刃の少なくとも先端部において、凸状押し切り刃の延設方向に直交する断面形状は、角度aは角度bよりも大きいことを特徴とする、製造方法:
ここで、前記断面形状において、角度aは、刃先先端中心部を通って延びる切れ刃中心線に関し、凸状押し切り刃の貼付剤側を向く面の先端部が該切れ刃中心線に対してなす角度であり;
角度bは、刃先先端中心部を通って延びる切れ刃中心線に関し、凸状押し切り刃の貼付剤側を向かない面の先端部が該切れ刃中心線に対してなす角度である。
【請求項2】
該凸状押し切り刃は、該粘着シートを、支持体側から剥離ライナー側へ切断する、請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
該粘着シートから、該凸状押し切り刃を有するダイカッターとアンビルロールとを備えるダイカットロールで、該貼付剤を打ち抜く、請求項1記載の製造方法。
【請求項4】
角度aは、15〜47.5度である、請求項1記載の製造方法。
【請求項5】
貼付剤の粘着剤層の端部の少なくとも一部位は、支持体の端部または剥離ライナーの端部よりも、貼付剤の中央部側に位置する、請求項1記載の製造方法。
【請求項6】
角度bは、0〜27.5度である、請求項1記載の製造方法。
【請求項7】
角度aと角度bの合計角度は、15〜55度である、請求項1記載の製造方法。
【請求項8】
貼付剤の剥離ライナーの端部は、貼付剤の支持体の端部から剥離ライナーへ垂下した線分が剥離ライナーと交わる剥離ライナー上の部位よりも、貼付剤の周辺部側に位置する、請求項1記載の製造方法。
【請求項9】
粘着剤層が有機液状成分を含む、請求項1記載の製造方法。
【請求項10】
粘着剤層の厚さが100μm以上である、請求項1記載の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−23136(P2010−23136A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−184670(P2008−184670)
【出願日】平成20年7月16日(2008.7.16)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】