説明

貼付剤

【課題】症状の改善効果を短時間で実感できると共に、血流促進のさらなる向上が図れる貼付剤。
【解決手段】一方の面に複数の突起部20が設けられたシート状の支持体10と、前記一方の面に設けられ、血流促進剤を含有する粘着剤層30とを有し、前記突起部20は、ゲルマニウム及び/又はブラックシリカを含有することよりなる。前記突起部20は、ゲルマニウム及び/又はブラックシリカと、樹脂と、発泡剤とを含む樹脂組成物を発泡させてなることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貼付剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、肩こりや腰痛、疲労による足の浮腫み等の改善には、貼付剤が広く用いられている。貼付剤は、膏体(粘着剤)に消炎鎮痛剤や血流促進剤を配合し、これらの薬物を経皮吸収させることによって、肩こり等の症状を緩和・治療するものである。
このような貼付剤には、症状の改善効果の向上が求められている。例えば、粘着剤層に、トルマリンやレアアース鉱石等のマイナスイオン発生体を含有した外用貼付剤が提案されている(例えば、特許文献1)。かかる外用貼付剤では、マイナスイオン発生体から発生するマイナスイオンによる血行促進をうたっている。このような貼付剤は、患部へ貼付した後、効果を実感できるまでに時間を要する等、即効性の面で満足できるものではなかった。
【0003】
こうした問題に対し、貼付面に突起を設け、物理的な刺激を与えることで、即効性を図った貼付剤が提案されている。貼付面に突起を設けた貼付剤としては、例えば、布にセラミックスの突起を設けた支持体を用いた鎮痛消炎貼用薬が提案されている(例えば、特許文献2)。また、樹脂製突出部を有する不織布を用いた貼付薬が提案されている(例えば、特許文献3)。あるいは、支持体の突起が設けられた面にポリアクリル酸を含む含水ゲルを塗工した貼付剤が提案されている(例えば、特許文献4)。また、例えば、樹脂を発泡して突起物を貼付面に形成させた貼付剤が提案されている(例えば、特許文献5)。特許文献5の貼付剤は、適度な硬さと弾力性とを有する突起物により、血流促進を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−171265号公報
【特許文献2】実開平3−38325号公報
【特許文献3】特開平8−260330号公報
【特許文献4】特開2004−298474号公報
【特許文献5】特開2005−185559号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した貼付剤による症状の改善効果は、必ずしも満足の行くものではなかった。特に、貼付剤には、症状の改善効果の即効性と、症状の改善効果のさらなる向上が求められている。
そこで、本発明は、症状の改善効果を短時間で実感できると共に、症状の改善効果のさらなる向上が図れる貼付剤を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは鋭意検討した結果、貼付剤は、支持体の突起部にゲルマニウム又はブラックシリカを配合することで、該突起部によるツボ刺激効果が向上すると共に、l−メントール等の血流促進剤の効果が相乗的に向上することを見い出し、本発明に至った。
【0007】
即ち、本発明の貼付剤は、一方の面に複数の突起部が設けられたシート状の支持体と、前記一方の面に設けられ、血流促進剤を含有する粘着剤層とを有し、前記突起部は、ゲルマニウム及び/又はブラックシリカを含有することを特徴とする。前記突起部は、ゲルマニウム及び/又はブラックシリカ、樹脂及び発泡剤を含む樹脂組成物を発泡させてなることが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、症状の改善効果を短時間で実感できると共に、症状の改善効果のさらなる向上が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の貼付剤の一例を示す断面図である。
【図2】図1の貼付剤の支持体を示す平面図である。
【図3】図2の支持体における突起部の構造を説明する断面図である。
【図4】本発明の貼付剤の製造方法を説明する支持体の製造装置の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の貼付剤の一例について、図1〜3を用いて説明する。図1は、本発明の貼付剤8を示す断面図である。図2は、図1の貼付剤8を構成する支持体10の平面図である。図3は、図2の支持体10における突起部20の構造を説明する断面図である。
【0011】
図1に示すように、貼付剤8は、シート状の支持体10と、支持体10の一方の面に設けられた粘着剤層30とからなるものである。支持体10は、図2、3に示すようにシート状の基材12の一方の面に、複数の突起部20がマトリックス状に設けられた突起形成部16と、突起形成部16の周辺に突起部20が設けられていない平坦部14とが形成されたものである。突起部20は、基材12に染み込んだ基部22と、基材12の表面に露出した突出部24とからなるものである。突出部24は、平面視円形の欠球状とされている。
【0012】
基材12は、従来、貼付剤の支持体として用いられる材料を用いることができる。例えば、紙、繊維シート、多孔体、発泡体、プラスチックフィルム、プラスチックフィルムと繊維シート又は紙との積層体、プラスチックフィルムのアンカーコート処理品等が挙げられる。
上記繊維シートとしては、厚織り、糸織り、ガーゼ、コール天、ネル等の織布や、平編み、ゴム編み、タック編み、二目編み等の製法による編布や、スパンレース、スパンボンド、サーマルボンド、ケミカルボンド、ニードルパンチ等の製法による不織布等が挙げられる。また、繊維シートの材質としては、例えば、レーヨン、ポリアミド、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリエステルエーテル、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリスチレン系樹脂、コットン、麻等が挙げられる。中でも、ポリエステル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂が好ましい。これらの樹脂を単独で、あるいは2種以上の混紡繊維として使用してもよい。
【0013】
多孔体、発泡体、フィルム(シート)の材質としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂;セロハン、ポリビニルアルコール、エチレン・ビニルアルコール共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリウレタン系樹脂、ポリアクリロニトリル、フッ素系樹脂、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体、スチレン・エチレン・プロピレン・スチレンブロック共重合体、スチレン・ブタジエンゴム、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリアミド、ポリスルホン、ポリエステル系、スチレン系、ポリエステル系あるいは共重合ゴムの熱可塑性エラストマー等が挙げられる。なお、これらの重合度は、特に制限されるものではなく、貼付剤の支持体として通常使用されている重合度のものを使用することができる。
【0014】
基材12の厚みは、特に限定されず、例えば、10〜200μmが好ましく、15〜100μmがより好ましい。基材12が薄すぎると、貼付剤8を皮膚から剥離する際に基材12が切れたり、剥がしにくい場合がある。基材12が厚すぎると、曲面へ貼付しにくく、粘着剤層30側が患部に密着できない場合がある。また、基材12の粘着剤層30が形成される側の面、粘着剤層30が形成される側と反対側の面には、コロナ処理等の表面改質処理を施してあってもよく、エンボス加工、印刷処理等を施してあってもよい。
【0015】
突起部20は、ゲルマニウム及び/又はブラックシリカ(以下、(A)成分という)、樹脂(以下、(B)成分という)及び発泡剤(以下、(C)成分という)を含有する樹脂組成物を発泡させて形成させたものである。
【0016】
(A)成分であるゲルマニウムとしては、例えば、酸化ゲルマニウム、有機ゲルマニウム、無機ゲルマニウムのいずれも用いることができ、これらを粉末にしたゲルマニウム粉末を用いることが好ましい。ゲルマニウム粉末を用いることで、症状の改善効果を向上できる。
樹脂組成物中の(A)成分の配合量は、(A)成分の種類等を勘案して決定でき、例えば、0.0005〜20質量%が好ましく、0.0005〜10質量%がより好ましく、1〜10質量%がさらに好ましい。0.0005質量%未満であると、肩こりや浮腫み等の症状の改善効果が得られにくく、20質量%を超えても症状の改善効果のさらなる向上が図れないと共に、コスト高となる。さらに、10質量%以下であれば、他の成分とのバランスがとれ、突起部20の形成が容易である。
【0017】
(B)成分は、突起部20に求める硬さ等を勘案して決定でき、例えば、ポリアクリル酸エステル系樹脂、エチレン・酢酸ビニル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系エチレン・塩化ビニル系樹脂、アクリル・スチレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、スチレンブタジエンゴム(SBR)系樹脂、アクリロニトリル・ブタジエンゴム(NBR)系樹脂、メタクリレート・ブタジエン系合成ゴム(MBR)系樹脂、ポリクロロプレン系樹脂、ポリイソプレン系樹脂等が挙げられる。中でも、柔軟性、耐光変色性、安全性、耐熱性、価格等を考慮すると、ポリアクリル酸エステル系樹脂、アクリル・スチレン系樹脂が好ましい。
樹脂組成物中の(B)成分の配合量は、突起部20に所望する硬さ等を考慮して決定でき、例えば、30〜60質量%が好ましい。上記範囲内であれば、所望する性状の突起部20とすることができる。
【0018】
(C)成分は、(B)成分の種類等を勘案して決定でき、例えば、加熱により内包されている気体が膨張し、体積が増加するマイクロカプセル方式の発泡剤を用いることができる。マイクロカプセル方式の発泡剤としては、内包される気体の種類にもよるが、100〜120℃で発泡するものが好ましい。(C)成分としては、例えば、熱膨張性マイクロカプセル含有エチレン・酢酸ビニル、熱膨張性マイクロカプセル含有プロピレン、熱膨張性マイクロカプセル含有ポリエチレン等が挙げられる。
樹脂組成物中の(C)成分の配合量は、(C)成分の種類、突起部20に求める硬さ等を勘案して決定でき、例えば、0.1〜10質量%が好ましい。
【0019】
樹脂組成物中の(C)成分と(A)成分との質量比は、(C)/(A)=0.005〜20000が好ましく、0.05〜4000がより好ましい。下限値未満では、樹脂組成物のバランスが悪く、突起部20が硬くなりすぎて皮膚への刺激が強すぎる場合がある。上限値を超えると樹脂組成物のバランスが悪く、物理的な刺激が不十分になり、ツボ刺激による肩こりや浮腫み等の症状の改善効果が得られにくくなる。
【0020】
樹脂組成物は、必要に応じて、無機フィラー(以下、(D)成分という)、増粘剤等を配合量してもよい。
【0021】
(D)成分としては、例えばスメクタイト、カオリン等の粘土鉱物、酸化亜鉛、酸化チタン等の酸化物、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム等の水酸化塩、ゼオライト等のケイ酸塩等が挙げられ、これらは1種単独で又は2種類以上を適宜組み合わせて使用することができる。中でも、カオリン、酸化チタン、水酸化アルミニウムが好ましく、カオリンがより好ましい。
樹脂組成物中の(D)成分の配合量は、(A)成分の配合量や(B)成分及び(C)成分の種類等を勘案して決定できる。例えば、樹脂組成物中の(D)成分の配合量は、(A)成分と(D)成分との合計量として、50〜70質量%が好ましく、50〜60質量%がより好ましい。50質量%未満であると、突起部20が軟らかくなりすぎて、ツボ刺激による症状の改善効果が発揮できないおそれがある。70質量%を超えると、突起部20に破損が生じたり、突起部20の形成が困難になったりするおそれがある。
【0022】
増粘剤は、樹脂組成物に求める粘度、加工性等を勘案し決定でき、例えば、繊維素誘導体、アルギン酸塩等が挙げられる。
樹脂組成物中の増粘剤の配合量は、0.05〜3質量%が好ましい。
【0023】
平坦部14と突起形成部16との面積比は、粘着剤層30の材質や、突起部20の大きさ数量等を勘案して決定できる。例えば、突起形成部16:平坦部14で表される面積比を、1:0.5〜1:3とすることが好ましい。上記範囲内であれば、貼付剤8の患部への良好な密着性が得られ、貼付剤8を長時間にわたり貼付できる。加えて、粘着剤層30に含まれる薬剤による使用感(冷感、温感等)を維持できる。
【0024】
任意の突起部20と、該任意の突起部20と隣接する突起部20との間隔P(図2)は、2〜25mmが好ましく、4〜15mmがより好ましい。上記範囲であれば、適度なツボ刺激が得られると共に、皮膚への刺激が少ない。
突起部20の配置密度は特に限定されないが、例えば、0.5〜10個/4cmが好ましく、1〜5個/4cmがより好ましい。突起部20の配置密度が低すぎると、血流促進効果が持続しにくいと共に、突起部20によるツボ刺激が少なく満足感が得られない。突起部20の配置密度が高すぎると、突起部20による皮膚への刺激が強くなりすぎる場合がある。
【0025】
突起部20の大きさは、突起部20の硬さ等を勘案して決定できる。例えば、突起部20の最大径は2〜10mmが好ましく、2.5〜7mmがより好ましい。
【0026】
突起部20の突出部24の高さH(図3)は、突起部20の硬さ、配置密度等を勘案して決定できる。例えば、高さHは2〜7mmが好ましく、2.5〜5mmがより好ましく、3〜5mmがさらに好ましい。上記範囲内であれば、適度なツボ刺激が得られると共に、皮膚への刺激が少ない。
【0027】
突起部20の硬さは、突起部20の大きさ等を勘案して決定できる。突起部20の硬さは、例えば、保持率が40〜100%が好ましく、60〜80%がより好ましい。上記範囲内であれば、適度なツボ刺激が得られると共に、皮膚への刺激が強くなりすぎず、症状の良好な改善効果が得られるためである。
なお、保持率は、果実硬度計(KM−1、株式会社藤原製作所製)を用い、0.9kgで突起部20を押圧した際の高さH2(mm)と、押圧前の高さH1(mm)とを測定し、下記式により求められる。なお、突起部20の保持率は、樹脂組成物中の(A)〜(C)成分の種類やその組み合わせ、各成分の配合量、後述する発泡倍率により、調節することができる。
【0028】
保持率(%)=H2÷H1×100 ・・・(1)
【0029】
突起部20は、発泡倍率が1.1〜3.0であることが好ましい。1.1未満であると、突起部20の皮膚への刺激が強くなりすぎて、貼付時に痛みを感じる場合がある。3.0を超えると、突起部20の強度が低下したり、患部への物理的な刺激が不十分になる恐れがある。なお、発泡倍率とは、(C)成分を用いずに形成した場合の突起物(発泡させずに形成した突起部)の体積に対する、発泡体である突起部20の体積の割合である。
【0030】
粘着剤層30は、血流促進剤を含有する粘着剤を含むものである。粘着剤は、血流促進剤を含有するものであれば、含水系粘着剤、非水系粘着剤のいずれを用いてもよく、中でも、含水系粘着剤を用いることが好ましい。含水系粘着剤は、患部の冷却効果が高いことに加え、患部への密着性が良好で突起部20による物理的刺激を感じやすい。さらに、含水系粘着剤は、貼付剤8を患部から剥離する際に、皮膚への刺激が少ない。
【0031】
粘着剤中に含まれる血流促進剤は、l−メントール、カンフル類等の冷感剤、カプシコシド、カプサイシン、カプサイシノイド、ジヒドロカプサイシン、カプサンチン等のカプサイシン類似体、トウガラシエキス、トウガラシチンキ、トウガラシ末等のトウガラシ由来の温感付与物質、ニコチン酸ベンジル、ニコチン酸β−ブトキシエチル、N−アシルワニルアミド、ノニル酸ワニルアミド、ノニル酸ワニリルアミド等の温感剤が挙げられる。これらの血流促進剤の中でも、冷感剤がより好ましく、l−メントールがさらに好ましい。
このような血流促進剤を用いることで、突起部20の物理的刺激による症状の改善効果と、薬剤による血流促進効果とが相乗的に向上することが期待できる。
【0032】
粘着剤中の血流促進剤の含有量は、薬剤の種類に応じて決定できる。例えば、冷感剤を用いる場合には、粘着剤中の冷感剤の含有量は、0.01〜10質量%が好ましく、0.1〜8質量%がより好ましい。上記下限値未満では、血流促進、清涼感又は冷感付与等の効果が不十分となる場合があり、上記上限値を超えると清涼感が強すぎたり、皮膚への刺激が強すぎたりするがおそれがある。
また、例えば、温感剤を用いる場合には、粘着剤中の温感剤の含有量は、0.001〜5質量%が好ましく、0.005〜2質量%がより好ましい。上記下限値未満では、血流促進、温感付与等の効果が不十分となる場合があり、上記上限値を超えると、皮膚への刺激が強すぎたりするおそれがある。
【0033】
含水系粘着剤は、水溶性高分子物質を含有するものであり、好ましくは、水溶性高分子物質により網目構造を有する高分子ゲルである。
含水系粘着剤中の含水率は、特に限定されないが、例えば、43〜85質量%が好ましい。また、含水系粘着剤のpHは、3.0〜6.0が好ましい。
【0034】
水溶性高分子物質は、特に限定されないが、例えば、分子内にカルボキシル基を有する水溶性高分子物質及びその塩もしくは部分中和物、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース及びそのナトリウム塩、カリウム塩、アルギン酸ナトリウム、無水マレイン酸共重合体、カルボキシメチルスターチナトリウム、カルボキシル基を有する天然ゴム、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース類、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ペクチン、キサンタンガム、トラガント等が挙げられる。中でも、保形性の観点から、分子内にカルボキシル基を有する水溶性高分子物質、その塩又はその部分中和物であることが好ましい。このような水溶性高分子物質としては、例えば、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸、カルボキシビニルモノマー及びこれらの塩又はその部分中和物等が挙げられる。中でも、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩又はその部分中和物(以下、総じてポリアクリル酸(塩)という)が好ましく、ポリアクリル酸(塩)と、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸、カルボキシビニルポリマー及びこれらの塩から選ばれる1種以上とを配合することが好ましい。
【0035】
ポリアクリル酸(塩)は、特に限定されないが、重量平均分子量が1万〜1000万が好ましく、使用感向上の観点から1万以上50万未満のポリアクリル酸(塩)、50万以上200万未満のポリアクリル酸(塩)、200万〜700万のポリアクリル酸(塩)を2種以上組み合わせて用いることが好ましい。
ポリアクリル酸塩としては、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸カリウム等の一価の金属塩、ポリアクリル酸モノエタノールアミン、ポリアクリル酸ジエタノールアミン、ポリアクリル酸トリエタノールアミン等のアミン塩、ポリアクリ酸のアンモニウム塩等が挙げられる。ポリアクリル酸とポリアクリル酸塩とを組み合わせる場合、ポリアクリル酸:ポリアクリル酸塩の質量比は、1:10〜10:1が好ましく、1:9〜9:1がより好ましい。
【0036】
また、ポリアクリル酸を部分中和してポリアクリル酸塩が上記比率になるようにしたものを用いてもよい。ポリアクリル酸の部分中和物を使用する場合、中和度が10〜50モル%未満が好ましい。
ポリアクリル酸(塩)は、市販品を用いることができ、ポリアクリル酸としてジュリマーAC−10H(日本純薬株式会社製、20質量%水溶液、重量平均分子量:10万)、ポリアクリル酸ナトリウムとして、アロンビスS(日本純薬株式会社製、重量平均分子量:400万〜500万)、ポリアクリル酸部分中和物としてアロンビスAH−106X(日本純薬株式会社製、重量平均分子量:400万〜500万、中和度35モル%)、アロンビスAH−105X(日本純薬株式会社製、重量平均分子量:400万〜500万、中和度50モル%)等が挙げられる。
【0037】
含水系粘着剤中のポリアクリル酸(塩)は、0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜15質量%がより好ましく、5〜10質量%がさらに好ましい。配合量が0.1質量%未満だと粘着力が不足する場合があり、20質量%を超えると粘度が高くなり、製造時の作業性に問題が生じたりするおそれがある。
【0038】
含水系粘着剤には、水溶性高分子化合物を架橋するための架橋剤を配合することができる。架橋剤は特に限定されず、例えば、カリウムミョウバン、アンモニウムミョウバン、鉄ミョウバン等のミョウバン類等、水酸化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硫酸アルミニウムアンモニウム、硫酸アルミニウムカリウム、塩化アルミニウム、ジヒドロキシアルミニウムアミノアセテート、酢酸アルミニウム、酸化アルミニウム、合成ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミニウム等のアルミニウム化合物、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硝酸カルシウム、塩化カルシウム、酢酸カルシウム、酸化カルシウム、リン酸カルシウム等のカルシウム化合物、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化マグネシウム等のマグネシウム化合物、水酸化アルミナ・マグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ヒドロタルサイト、亜鉛化合物、カドミウム化合物、チタン化合物、錫化合物、鉄化合物、クロム化合物、マンガン化合物、コバルト化合物、ニッケル化合物等の多価金属化合物が好ましい。中でも、皮膚に対する影響の観点から、アルミニウム化合物、マグネシウム化合物、カルシウム化合物等の無機多価金属化合物が好ましい。これらの架橋剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
含水系粘着剤中の架橋剤の配合量は、水溶性高分子化合物の種類等を勘案して決定でき、例えば、0.001〜10質量%が好ましく、0.01〜5質量%が好ましい。上記下限値未満では、含水系粘着剤の凝集力が低下する場合があり、上記上限値を超えると粘着力が低下する場合がある。
【0039】
含水系粘着剤には、水溶性高分子化合物、架橋剤の他、架橋調整剤、多価アルコール、油性成分、界面活性剤等を含むことができる。
架橋調整剤は、水溶性高分子化合物の架橋速度を調整するものであり、例えば、エデト酸ナトリウム、クエン酸、酒石酸等のキレート剤が挙げられる。含水系粘着剤中の架橋調整剤の配合量は、例えば、0.01〜2.0質量%が好ましい。
【0040】
多価アルコールは、特に限定されないが、例えば、1,3−ブタンジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、イソプレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、ポリグリセリン、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコール類、ソルビトール等が挙げられる。中でも、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル、イソプレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリンが好ましい。多価アルコールを配合することで、粘着剤の保形性が向上する。加えて、粘着剤の製造時に、配合成分の分散性を高めることができる。
含水系粘着剤中の多価アルコールの配合量は、例えば、0.1〜30質量%であることが好ましく、より好ましくは4〜25質量%、特に好ましくは5〜20質量%である。
【0041】
油性成分としては、例えば、ヒマシ油、オリーブ油、ヒマワリ油、マカデミアナッツ油、ホホバ油、ラノリン、硬化油、レシチン、プラスチベース、流動パラフィン、オレイン酸、ステアリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ミツロウ、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、アジピン酸ジイソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、セバスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、スクワラン、スクワレン、セタノール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ヘキサデシルアルコール、シリコン油等が挙げられる。中でも、ヒマシ油、オリーブ油、ヒマワリ油、マカデミアナッツ油、ホホバ油が気泡抑制に効果が高く、特にヒマシ油、マカデミアナッツ油、ホホバ油が好ましい。このような油性成分を配合することで、気泡がない粘着剤層30が得られる。特に、本発明においては、支持体10には突起部20が設けられているため、粘着剤層30を設ける際に、突起部20によって空気を巻き込んで気泡を形成しやすい。このため、油性成分を配合することで、気泡のない粘着剤層30を容易に設けることができる。
含水系粘着剤中の油性成分の配合量は、0.1〜5質量%であることが好ましく、0.5〜3質量%がより好ましい。
【0042】
界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリコールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンフィトステロール、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル等が挙げられる。
【0043】
非水系粘着剤はアクリル系高分子化合物からなる粘着剤である。アクリル系高分子化合物は特に限定されず、例えば、医薬品添加物事典2007(日本医薬品添加剤協会編集)に粘着剤として収載されている、アクリル酸・アクリル酸オクチルエステル共重合体、アクリル酸エステル・酢酸ビニルコポリマー、アクリル酸2−エチルヘキシル・ビニルピロリドン共重合体、アクリル酸2−エチルヘキシル・メタクリル酸2−エチルヘキシル・メタクリル酸ドデシル共重合体、アクリル酸メチル・アクリル酸2−エチルヘキシル共重合樹脂エマルジョン、メタクリル酸・アクリル酸n−ブチルコポリマー、アルカノールアミン液等の粘着剤、DURO−TAKアクリル粘着剤シリーズ(商品名、ナショナルスターチアンドケミカル社製)、オイドラギットシリーズ(商品名、株式会社樋口商会製)、コリコート(商品名、BASFジャパン株式会社製)、ロダーム(商品名、ローム・アンド・ハース・ジャパン株式会社製)、ニカゾール(商品名、日本カーバイド工業株式会社製)等が好適に使用できる。
アクリル系高分子化合物は、1種単独又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
非水系粘着剤中のアクリル系高分子化合物の割合は、30〜95質量%であることが好ましく、より好ましくは50〜90質量%であり、特に好ましくは55〜90質量%である。
【0044】
非水系粘着剤には、必要に応じて重合開始剤、還元剤、界面活性剤、架橋剤、可塑剤、架橋調整剤等を配合することができる。
重合開始剤は、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩;過酸化水素水、過酸化ラウロイル、t−ブチルハイドロパーオキサイド等の水性ラジカル重合開始剤、又はそれらの混合物等が挙げられる。
重合開始剤の配合量は、合成に用いるモノマー100質量%に対して0.01〜5質量%が好ましく、0.1〜2質量%がより好ましい。
重合開始剤に還元剤を組み合わせてレドックス系を形成することもできる。還元剤としては、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、ピロ亜硫酸塩、ホルムアルデヒドスルホン酸塩等のアルカリ金属塩;アンモニウム塩、L−アスコルビン酸、酒石酸等のカルボン酸類が挙げられる。
還元剤の配合量は、合成に用いるモノマー100質量%に対して0.01〜5質量%が好ましく、0.1〜2質量%がより好ましい。
【0045】
アクリル系高分子化合物は、乳化重合によって製造されたものが好ましい。この乳化重合に用いる界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、又はこれらの混合物を用いることができる。
界面活性剤は、1種単独又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
界面活性剤の配合量は、合成に用いるモノマー100質量%に対して0.1〜10質量%が好ましく、0.5〜5質量%がより好ましい。0.1質量%以上であれば乳化重合反応がより安定に進行し、凝集物の生成が抑制される。一方、10質量%以下であれば、乾燥性、耐水性が向上する。
前記乳化重合は、必要に応じてエチレンジアミン四酢酸ナトリウム等のキレート剤、ポリカルボン酸塩等の分散剤、リン酸塩、炭酸塩等の無機塩、チオール化合物、ハロゲン化合物等の連鎖移動剤の存在下で行うことができる。
【0046】
非水系粘着剤に配合する架橋剤は、無機多価金属化合物又は有機多価金属化合物である多価金属化合物、イソシアネート化合物(好ましくは三官能性イソシアネート化合物)、エポキシ化合物等が挙げられ、中でも、多価金属化合物が好ましく、無機多価金属化合物がより好ましい。無機多価金属化合物としては、含水系粘着剤の架橋剤と同様である。
非水系粘着剤中の架橋剤の配合量は、0.01〜2質量%が好ましく、0.05〜1質量%がより好ましく、0.1〜1質量%がさらに好ましい。
【0047】
可塑剤としては、二価アルコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ヘキシレングリコール等)、三価アルコール(例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン等)、四価アルコール(例えば、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ジグリセリン等)、五価アルコール(例えば、キシリトール等)、六価アルコール(例えば、ソルビトール、ジペンタエリスリトール等)等の多価アルコール;グルコース、マンノース、ショ糖、ソルビタン、トレハロース、アルキルグリコシド等の糖類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリグリセリン等の多価アルコールの重合体;脂肪酸エステル又はその誘導体;オクチルドデカノール等の炭素数8〜20の高級アルコール又はその誘導体;オリーブ油、ヒマシ油等の油脂類等が挙げられる。中でも、多価アルコール、脂肪酸エステル、油脂類が好ましく、多価アルコール、脂肪酸エステルがより好ましい。特に薬物を含有する場合、薬物の経皮吸収性が良好なことから、脂肪酸エステルが好ましい。脂肪酸エステルとしては、例えば、ミリスチン酸イソプロピル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソプロピル、オレイン酸エチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸オクチル、オレイン酸オレイル、ミリスチン酸イソトリデシル、ラウリン酸エチル等が挙げられる。このような可塑剤を配合することで、皮膚に対する濡れ性が向上して密着性が高まると同時に、貼付剤8を剥離する際の痛みが低減される。
これらの可塑剤は、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
非水系粘着剤中の可塑剤の配合量は、5〜35質量%が好ましく、5〜30質量%がより好ましく、5〜20質量%がさらに好ましい。
【0048】
架橋調整剤は、例えば、架橋剤とキレートを形成するキレート剤が好ましい。キレート剤としては、例えば、クエン酸、エデト酸ナトリウム水和物、酒石酸、ジエチレントリアミン五酢酸、又はこれら化合物の一価金属塩がより好ましい。架橋調整剤は、また、例えば、ポリイオシアネート化合物、有機過酸化物、有機金属塩、金属アルコラート等が挙げられる。
非水系粘着剤中の架橋調整剤の配合量は、0.01〜5質量%が好ましく、0.1〜2質量%がより好ましい。
【0049】
粘着剤には、さらに、血流促進剤以外の薬剤、香料、色素、防腐剤等を配合することができる。
血流促進剤以外の薬剤としては、例えば、消炎鎮痛剤等が挙げられる。
消炎鎮痛剤としては、インドメタシン、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、サリチル酸グリコール、サリチル酸メチル、グリチルレチン酸、グリチルレチン酸ステアリル等のグリチルレチン酸誘導体、グリチルリチン酸(塩)等が挙げられる。
粘着剤中の薬剤の含有量は、薬剤の種類に応じて決定できる。
【0050】
香料は、天然香料、合成香料又はこれらを含む香料組成物のいずれも用いることができる。天然香料としては、例えば、アニス、アンジェリカ、安息香、イモーテル、カモミール、ガーリック、カルダモン、ガルバナム、キャラウェイ、キャロットシード、グアヤックウッド、グレープフルーツ、サイプレス、サンダルウッド、シダーウッド、ジュニパー、ジャスミン、スターアニス、セージ、ゼラニウム、セロリ、タイム、タラゴン、テレビン、トウヒ、乳香、バイオレット、パイン、パセリ、バーチ、パチュリー、バラ、ヒソップ、フェンネル、ブラックペッパー、ボダイジュ花、没薬、ヤロウ、オレンジ、レモン、レモングラス、ローズマリー、ローレル、シモツケギク、モモ、ヤグルマギク、ユーカリ、ユズ、ラベンダー等のハーブ系精油類又はエキス類などが好適に使用される。
【0051】
色素は、従来、貼付剤に用いられる各種色素を使用できるが、皮膚への染着性の点から、顔料を使用することが好ましい。
【0052】
防腐剤は、安息香酸、安息香酸ナトリウム、塩化ベンザルコニウム、パラベン、クレゾール、硫酸オキシキノリン等が挙げられる。
【0053】
本発明の貼付剤8の製造方法の一例について説明する。まず、(A)〜(C)成分を樹脂分散媒に分散し、樹脂組成物スラリーを調製する。この樹脂組成物スラリーを基材12の一方の面に、図2のパターンとなるように塗布する。次いで、樹脂組成物スラリーを塗布した基材12を乾燥する。この間、樹脂組成物スラリー中の樹脂分散媒が蒸発すると共に、樹脂組成物中の発泡剤が発泡する。こうして、発泡体である突起部20が形成された支持体10が得られる。
【0054】
粘着剤の構成成分を粘着剤分散媒に分散又は溶解し、粘着剤塗工液を調製する。得られた支持体10の突起部20が形成された面に、粘着剤塗工液を塗布することで、貼付剤8を得ることができる。なお、粘着剤塗工液が非水系粘着剤を含む場合には、粘着剤塗工液を塗布した後、さらに乾燥することで、貼付剤8を得ることができる。
【0055】
樹脂分散媒は、(A)〜(C)成分の種類を勘案して決定でき、例えば、メタノール、エタノール等のアルコール類、水等が挙げられる。
【0056】
樹脂組成物の粘度は特に限定されないが、例えば、5000〜30000mPa・sの範囲で調製することが好ましい。上記範囲内であれば基材12への塗布が容易であると共に、塗布後にも形状が保たれるため、所望する形状の突起部20を得やすくなる。
【0057】
樹脂組成物スラリー中の樹脂組成物、即ち固形分量は40〜70質量%とすることが好ましい。上記範囲内であれば、乾燥が容易で、十分な強度と高さの突起部20を設けることができるためである。加えて、乾燥中に焦げや変色が生じることを防止できる。
【0058】
樹脂組成物スラリーの塗布の方法は特に限定されず、従来、公知の方法を用いることができる。例えば、ノズルからの吐出により所定のパターンに樹脂組成物スラリーを塗布する方法が挙げられる。
【0059】
また、例えば、図4の支持体の製造装置100により転写する方法が挙げられる。図4は、支持体の製造装置100を示す模式図であり、図中符号131はバックアップロール、132はバックアップロール131に対向配置されたスクリーン、133はスクリーン132内に設けられたスキージ、134はスキージサポート装置である。
【0060】
バックアップロール131は、スクリーン132と接触し、バックアップロール131とスクリーン132との間を基材12がバックアップロール131に沿うように動き、基材12に孔132aから押し出された樹脂組成物スラリー135をマトリックス状に転写したものを後工程に送り出すものである。
スクリーン132は、所定のパターンで孔132aが複数開けられており、このスクリーン132の内部に上記のような樹脂組成物スラリー135が充填されている。このスクリーン132は、スクリーン装着装置(図示略)に固定されている。
スキージ133は、その先端がバックアップロール131とスクリーン132の中心を結ぶ線と、スクリーン132との交点に重なるように、スキージサポート装置134に固定されている。
スキージ133の基材12の進行方向の上流側には、電動式駆動装置155が設けられている。電動式駆動装置155には、制御装置150が電気的に接続され、制御装置150にはセンサ140が電気的に接続されている。
【0061】
スキージサポート装置134は、回転することによりスキージ133の当て角度を調整できるものであり、回転量をゲイジ134aにより管理できるものである。また、スキージサポート装置134を前後させるハンドル134bにより押し量を調整でき、押し量はゲイジ134cにより管理できるようにされている。
【0062】
センサ140は、基材12の位置ズレ及び/又は蛇行を検知する装置である。センサ140としては、光学式透過センサ、反射式ラインセンサ、音波センサ、接触式センサ等が挙げられる。上記信号のコントローラ(制御装置)150としてはEPC(エッジポジションコントローラー)が挙げられる。
制御装置150は、基材12の一方の端部位置を検知して位置ズレ及び/又は蛇行の修正を指示する装置である。
電動式駆動装置155は、制御装置150からの指示により、基材12を任意の位置に修正する装置である。電動式駆動装置155としては、例えば、巻き出しの原反(基材12)を電動シリンダーにて左右に動かし位置制御を行うものが挙げられる。また、例えば、2本のロールを平行のまま、任意の支点をもってそのロールの角度を変化させて位置を修正するロールガイダー等が挙げられる。これらの装置は自由に組み合わせて使用することができる。
【0063】
基材12は電動式駆動装置155により、ずれ及び蛇行が修正されながらバックアップロール131に巻きとられるようにして、バックアップロール131とスクリーン132との間を進行する。この間、樹脂組成物スラリー135は、スキージ133によりスクリーン132の内側面にこすり付けられ、孔132aから押し出されて基材12に転写される。この時点で、樹脂組成物スラリー135は、スラリー状であるため、基材12に塗布されたスラリーの一部は、基材12に染み込み、残部は基材12上に突起状に残る。そして、乾燥・発泡させることにより、基材12上には突出部24(図3参照)が形成され、基材12に基部22(図3参照)が形成される。
【0064】
基材12上に塗布された樹脂組成物スラリー135の乾燥は、例えば、熱風を基材12上に吹き付ける方法や、恒温槽で加熱する方法等が挙げられる。生産性の面からは、熱風による乾燥が好ましい。熱風の温度は、樹脂組成物スラリー135中の分散媒や発泡剤の種類等を勘案して決定でき、例えば、120〜210℃が好ましく、120〜180℃がより好ましく、130〜170℃がさらに好ましい。
【0065】
支持体10への粘着剤塗工液の塗布方法は、従来、公知の方法を用いることができ、例えば、バーコーター、グラビアコーター、ナイフコーター、ロールサンドコーター等が挙げられる。突起部20の割れを防ぎつつ、含水系粘着剤が含まれる粘着剤塗工液を均一に塗工するためには、特開2006−14857号公報で開示された塗工方法を用いることが好ましい。
【0066】
上述のとおり、貼付剤8は、支持体10の一方の面に突起部20が設けられているため、突起部20が患部近傍のツボを押圧して物理的な刺激を与える。このため、症状の改善効果が短時間で発揮される。加えて、突起部20は、(A)成分を含有することで適度な硬さと弾力性を有する発泡体となるため、皮膚への刺激が強くなりすぎることを防ぎ、心地よい物理的な刺激を長時間にわたって発揮できる。さらに、突起部20の硬さを最適化することにより粘着剤層に配合されているl−メントールやノニル酸ワニリルアミド等の血流促進剤と相まって血流促進効果が向上する。
【0067】
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではない。
上述の実施形態では、突起部20の形状が平面視円形の欠球状とされている。しかしながら、突起部20の形状は突起部20の硬さ等を勘案して決定でき、例えば、平面視円形の円錐状、円錐台状、円柱状や、平面視多角形の多角錐状、角柱状等、いずれの形状としてもよい。
【0068】
上述の実施形態では、突起部20がマトリックス状に配置されているが、例えば、突起部20は、縦並び、波形、渦巻形等の帯状に配置してもよいし、格子状に配してもよい。
突起部20を帯状の配置とする場合、その最大幅は2〜6mmが好ましい。なお、最大径とは、突起部20の形状が平面視円形である場合には、その円形の直径であり、平面視多角形である場合には、該多角形に外接する円の直径である。
【0069】
上述の実施形態では、突起部20が粘着剤層30により覆われているが、突起部20は粘着剤層30から露出していてもよい。突起部20が粘着剤層30から露出している場合、貼付剤8は、突起部20の配置密度が高すぎると、粘着剤層30と皮膚との接触面積が少なくなる場合がある。
【0070】
上述の実施形態では、突起部20が、(A)〜(C)成分を含む樹脂組成物を発泡した発泡体とされている。しかし、突起部20は発泡体に限られず、例えば、(A)成分と(B)成分とを含む樹脂組成物を成型した物であってもよい。ただし、突起部20の皮膚への物理的な刺激を適度に緩和し、ツボ刺激を適度なものとするためには、突起部20は発泡体であることが好ましい。
【実施例】
【0071】
以下に実施例を示して、本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(使用原料)
[(A)成分:ゲルマニウム及び/又はブラックシリカ]
ゲルマニウム粉末:ゲルマニウムパウダー、バグ、共同組合ラテスト製
ブラックシリカ:化成品、和光純薬工業株式会社製
【0072】
[(B)成分:樹脂]
樹脂:アクリル樹脂、アクリル樹脂エマルジョン、ボンコート、DIC株式会社製
【0073】
[(C)成分:発泡剤]
発泡剤:マツモトマイクロスフィアF、松本油脂製薬株式会社製
【0074】
[(D)成分:無機フィラー]
無機フィラー:カオリン、勝光山カオリン、株式会社勝光山鉱業所製
【0075】
[血流促進剤]
冷感剤:l−メントール、高砂香料工業株式会社製
温感剤:ノニル酸ワニリルアミド、長岡実業株式会社製
【0076】
[粘着剤]
<含水系の粘着剤塗工液>
薬剤を表中の配合量とし、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(HCO−60、日光ケミカルズ株式会社製)0.5質量%を加温溶解し、精製水に溶かしたエデト酸ナトリウム(キレスト2BST、キレスト株式会社製)0.02質量%を加え疎水部とした。次いで、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC1380、ダイセル化学工業株式会社製)4.0質量%、合成ヒドロタルサイト(アルカマック、協和化学工業株式会社製)0.2質量%、ポリアクリル酸部分中和物(アロンビスAH106X、東亞合成株式会社製)6.0質量%を濃グリセリン(阪本薬品工業株式会社製)20.0質量%と混和し、親水部とした。前記疎水部と前記親水部とを混合し、さらに精製水の残部を加え均一になるまで練合し、含水系の粘着剤塗工液とした。
【0077】
<非水系の粘着剤塗工液>
薬剤を表中の配合量とし、1,3−ブチレングリコール(ダイセル化学工業株式会社製)10質量%を加温溶解し、エデト酸ナトリウム(キレスト2BST、キレスト株式会社製)0.5質量%、硫酸アルミニウムカリウム(純正化学株式会社製)0.5質量%、水酸化ナトリウム(東京応化工業株式会社製)適量及びメタクリル酸アクリル酸n−ブチルコポリマー(ローダーム、ダウ・ケミカル社製)残量を加えて均一になるまで練合し、非水系の粘着剤塗工液とした。
【0078】
(評価方法)
[血流値の測定]
各例の貼付剤を3名のパネラーの左右のふくらはぎに貼付し、血流値をレーザードップラー血流計(PERIFLUX、PERIMED社製)で測定した。貼付後15〜25分の血流値の平均値を平均血流値(20分後)とし、貼付後55〜65分の血流値の平均値を平均血流値(60分後)とし、貼付後115〜125分の血流値の平均値を平均血流値(120分後)とした。なお、各平均血流値は、貼付剤を貼付しない状態で測定した30分間の平均血流値を100とした場合の相対値として示した。
【0079】
[冷感又は温感の満足度]
各例の貼付剤を3名のパネラーの左右のふくらはぎに一昼夜貼付し、各パネラーが下記評価基準に従い、貼付剤の冷感又は温感の満足感を評価した。
5点:非常に満足した
4点:かなり満足した
3点:少し満足した
2点:やや満足した
1点:満足できなかった
【0080】
[浮腫みの改善効果]
各例の貼付剤を3名のパネラーの左右のふくらはぎに一昼夜貼付し、各パネラーが下記評価基準に従い、浮腫みの改善効果を評価した。3人のパネラーの評価点を平均し、4点以上:◎、3点以上4点未満:○、2点以上3点未満:△、2点未満:×として分類した。
5点:非常に改善された
4点:かなり改善された
3点:少し改善された
2点:やや改善された
1点:改善されなかった
【0081】
[突起の刺激感]
各例の貼付剤を3名のパネラーの左右のふくらはぎに一昼夜貼付し、各パネラーが下記評価基準に従い、突起の刺激感を評価した。3人のパネラーの評価点を平均し、4点以上:◎、3点以上4点未満:○、2点以上3点未満:△、2点未満:×として分類した。
5点:刺激感を非常に感じた
4点:刺激感をかなり感じた
3点:刺激感を感じた
2点:刺激感をやや感じた
1点:刺激感を感じなかった
【0082】
[突起の刺激の満足度]
各例の貼付剤を3名のパネラーの左右のふくらはぎに一昼夜貼付し、各パネラーが下記評価基準に従い、突起の刺激の満足度を評価した。3人のパネラーの評価点を平均し、4点以上:◎、3点以上4点未満:○、2点以上3点未満:△、2点未満:×として分類した。
5点:非常に満足できる刺激感が得られた
4点:かなり満足できる刺激感が得られた
3点:満足できる刺激感が得られた
2点:やや満足できる刺激感が得られた
1点:満足できる刺激感は得られなかった
【0083】
(実施例1〜12、14〜23)
表1〜3に示す組成に従い、樹脂組成物の各組成をミキサーで分散混合し、樹脂組成物スラリーを調製した。図4に示す支持体の製造装置100と同様の製造装置を用い、調製した樹脂組成物スラリーを基材(材質;ポリエステル繊維、厚み;0.5mm、寸法;12cm×9cm、日本バイリーン株式会社製)にマトリックス状に塗布した。塗布にあたっては、表中に示す突起部の数量となるように、樹脂組成物スラリーをマトリックス状に配置した。また、樹脂組成物スラリーは、直径2.2mmφの略円形に塗布した。
樹脂組成物スラリーを塗布した基材に、熱風(120℃)を吹き付けて、樹脂組成物スラリーを乾燥した。こうして、直径3.0mmφ、高さ2.5mmの突起部が設けられた支持体を得た。
得られた支持体の突起部形成面に、表中に示した粘着剤を厚さ1.5mmで塗布した。得られた貼付剤について、血流値の測定、冷感又は温感の満足度、浮腫み改善効果、突起の刺激感、突起の刺激の満足度を評価し、その結果を表1〜3に示す。なお、表中の突起部の数量は、4cm(2cm四方)当たりの突起部の数量を示す(以降において同じ)。
【0084】
(実施例13)
粘着剤を塗布した後、90℃の恒温槽で粘着剤を乾燥した以外は、実施例1と同様にして貼付剤を得た。得られた貼付剤について、血流値の測定、冷感又は温感の満足度、浮腫み改善効果、突起の刺激感、突起の刺激の満足度を評価し、その結果を表2に示す。
【0085】
(比較例1)
突起部を設けない支持体を用いた以外は、実施例1と同様にして貼付剤を得た。得られた貼付剤について、血流値の測定、冷感又は温感の満足度、浮腫み改善効果、突起の刺激感、突起の刺激の満足度を評価し、その結果を表3に示す。
【0086】
(比較例2)
基材に突起部を1つのみ設けた以外は、実施例1と同様にして貼付剤を得た。得られた貼付剤について、血流値の測定、冷感又は温感の満足度、浮腫み改善効果、突起の刺激感、突起の刺激の満足度を評価し、その結果を表3に示す。
【0087】
(比較例3)
樹脂組成物に(A)成分及び血流促進剤を配合しなかった以外は、実施例1と同様にして貼付剤を得た。得られた貼付剤について、血流値の測定、冷感又は温感の満足度、浮腫み改善効果、突起の刺激感、突起の刺激の満足度を評価し、その結果を表3に示す。
【0088】
(比較例4)
樹脂組成物に(A)成分を配合しなかった以外は、実施例1と同様にして貼付剤を得た。得られた貼付剤について、血流値の測定、冷感又は温感の満足度、浮腫み改善効果、突起の刺激感、突起の刺激の満足度を評価し、その結果を表3に示す。
【0089】
(比較例5)
樹脂組成物に血流促進剤を配合しなかった以外は、実施例1と同様にして貼付剤を得た。得られた貼付剤について、血流値の測定、冷感又は温感の満足度、浮腫み改善効果、突起の刺激感、突起の刺激の満足度を評価し、その結果を表3に示す。
【0090】
【表1】

【0091】
【表2】

【0092】
【表3】

【0093】
表1〜3の実施例1〜23の結果のとおり、本発明の貼付剤は突起の刺激感が「○」以上であった。加えて、突起の刺激の満足度が「△」以上であった。これに対し、表3の比較例1、2は、突起の刺激感及び突起の刺激の満足度が「×」であった。このことから、複数の突起部を設けることで、突起の刺激効果及び突起の刺激の満足度が向上できることが分かった。
実施例1と比較例3〜5との比較において、実施例1は、平均血流値(60分後)、平均血流値(120分後)が、(A)成分及び血流促進剤を配合しなかった比較例3、(A)成分を配合しなかった比較例4及び血流促進剤を配合しなかった比較例5よりも大幅に向上していた。加えて、実施例1は、冷感、浮腫み改善効果の評価結果が比較例3〜5よりも向上していた。
以上の結果から、本発明の貼付剤は、突起部に(A)成分を含むことで、薬剤の効果を相乗的に向上できることが判った。
【符号の説明】
【0094】
8 貼付剤
10 支持体
12 基材
20 突起部
30 粘着剤層


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の面に複数の突起部が設けられたシート状の支持体と、前記一方の面に設けられ、血流促進剤を含有する粘着剤層とを有し、
前記突起部は、ゲルマニウム及び/又はブラックシリカを含有することを特徴とする貼付剤。
【請求項2】
前記突起部は、ゲルマニウム及び/又はブラックシリカと、樹脂と、発泡剤とを含む樹脂組成物を発泡させてなることを特徴とする、請求項1に記載の貼付剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−87922(P2011−87922A)
【公開日】平成23年5月6日(2011.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−210716(P2010−210716)
【出願日】平成22年9月21日(2010.9.21)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】