説明

貼付剤

本発明は、粘着層組成物が、ビソプロロールおよび/またはその薬学的に許容される塩、ならびに(メタ)アクリル酸エステルおよびカルボキシル基を含む(メタ)アクリル酸を共重合させたアクリル系高分子を含有する貼付剤であって、安定かつ皮膚透過性に優れる貼付剤を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はβ遮断薬であるビソプロロールを含む貼付剤に関する。
【背景技術】
【0002】
薬物の投与法として多くの薬剤で錠剤、カプセル剤、シロップ剤等を使用した経口投与が行われている。しかしながら、経口投与の場合、効果の持続性に欠けることや、投与後一時的に必要以上の血中濃度が認められ、副作用が起こり易い等の欠点があった。この様な経口投与の持つ欠点を解消するため、経皮吸収型製剤の開発が積極的に進められている。経皮吸収型製剤はそれらの欠点を補うだけでなく、投与回数の減少や、コンプライアンスの向上、投与及びその中止の容易さ等の利点も期待され、特に高齢者や小児の患者で有用であることが知られている。
【0003】
ビソプロロールはβ受容体選択性が高く、内因性交感神経刺激作用及び膜安定化作用を有さないβ遮断薬である。現在臨床の場において高血圧症、狭心症、心室性期外収縮などの治療薬として経口剤としてのみ使用されている。
ビソプロロールは、高β選択性のため気管支への影響が比較的少ないものであるが、徐脈、めまい、倦怠感等の症状を生ずる場合があり、血中濃度の安定化および効果の持続性の観点から、経皮製剤の開発が望まれていた。
経皮的に薬剤を投与する技術として、立体特異薬剤を電気搬送式に投与する装置に関する発明が開示されているが(たとえば、特許文献1参照)、電気エネルギーを用いるため皮膚刺激が起こり、さらには投与の簡便性に欠けるという欠点を有するものである。
したがって、簡易に投与しうるビソプロロール含有経皮吸収型製剤であって、簡易にかつ皮膚刺激が少なく、ビソプロロールの安定性を図ると共に、その血中濃度を安定的に保持できる経皮吸収製剤のニーズが存在した。
なお、ビソプロロール含有の貼付剤であって、粘着剤層にアクリル系粘着剤を使用するものが本願の優先権の基礎となる出願後に公開されているが(特許文献2参照)、アクリル系粘着剤は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、これと共重合可能でありカルボキシル基およびスルホ基のいずれも含有しない単量体とを重合させたものであり、カルボキシル基を含有しない単量体との共重合体では、ビソプロロールの安定性を維持できないことが本願発明者らの研究により明らかとなっている。
【0004】
【特許文献1】米国特許第6136327号明細書
【特許文献2】特開2003−313122号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、活性物質としてビソプロロールおよび/またはその薬学的に許容される塩を含む貼付剤において、自己粘着力を持つ特定の粘着層とすることにより、皮膚粘着性に優れ、かつ血中濃度を一定に保つことが可能な貼付剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねる中で、粘着性を保持しながら、ビソプロロールの有効量を溶解しかつ長期間安定に含有しうる特定の粘着層組成物を見出すことに成功し、さらに研究を進めた結果、本発明の完成に至った。
また、特定の粘着層組成物中にさらに特定の経皮吸収促進剤を含有させることにより、ビソプロロールの皮膚透過性を上昇させることが可能であることも見出した。
【0007】
すなわち、本発明は、ビソプロロールおよび/またはその薬学的に許容される塩を含む粘着層を有する貼付剤であって、粘着層組成物が(メタ)アクリル酸エステルおよびカルボキシル基を含む(メタ)アクリル酸を共重合させたアクリル系高分子を含有する貼付剤に関する。
また、本発明は、アクリル系高分子が分子中にアルコール性水酸基を実質的に含有しない、前記貼付剤に関する。
さらにまた、本発明は、アクリル系高分子を構成する(メタ)アクリル酸エステルがアクリル酸−2−エチルヘキシルである、前記貼付剤に関する。
【0008】
本発明は、アクリル系高分子が、アクリル酸−2−エチルヘキシル・酢酸ビニル・アクリル酸共重合体である、前記貼付剤に関する。
また、本発明は、疎水性高分子として、さらにゴム系高分子を含有する、前記貼付剤に関する。
【0009】
本発明は、ゴム系高分子が、スチレンーイソプレンースチレンブロック共重合体、ポリイソブチレン、イソプレンゴム、スチレンーブタジエンースチレンブロック共重合体、スチレンーブタジエンゴム、シリコンゴムからなる群より選択される1種であり、好ましくは、スチレンーイソプレンースチレンブロック共重合体である、前記貼付剤に関する。
また、本発明は、経皮吸収促進剤が、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、セバシン酸ジエチル、ラウリン酸ジエタノールアミド、ミリスチン酸イソプロピル、グリセリンモノカプレート、グリセリンモノラウレート、グリセリンモノオレエート、ソルビタンモノラウレート、プロピレングリコールモノラウレート、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ピロチオデカン、有機酸およびそれらの薬学的に許容しうる塩からなる群より選択される1種以上である、前記貼付剤に関する。
さらにまた、本発明は、有機酸および/またはその薬学的に許容し得る塩が、酢酸、プロピオン酸、乳酸、サリチル酸およびそれらの薬学的に許容し得る塩からなる群より選択される少なくとも1種である、前記貼付剤に関する。
【0010】
本発明は、経皮吸収促進剤がミリスチン酸イソプロピルである、前記貼付剤に関する。
また本発明は、経皮吸収促進剤として、さらに酢酸ナトリウムを含有する、前記貼付剤に関する。
さらに、本発明は、薬物が、フマル酸ビソプロロールである、前記貼付剤に関する。
さらにまた本発明は、ビソプロロールおよび/または薬学的に許容される塩の皮膚透過速度が3〜300μg/h・cmである、前記貼付剤に関する。
【0011】
本発明は上記構成を備えることにより、製剤中のビソプロロールを安定に保つことができ、さらに薬剤の皮膚透過性にも優れ、血中濃度も一過性に立ち上がることがないため、ビソプロロールの濃度を徐脈等の症状が発現する濃度に到達させることなく、一定に保つことが可能となる、貼付剤を提供するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の貼付剤に関してさらに詳細に説明する。
本明細書でいう貼付剤とは、少なくとも支持体と粘着層組成物を含有する貼付剤をいい、一般にいわれるリザーバータイプの外用貼付剤およびマトリックスタイプの外用貼付剤を包含する。リザーバータイプの外用貼付剤とマトリックスタイプの外用貼付剤とを比較すると、一般的に自己粘着力を有する粘着層組成物が直接皮膚に接着するマトリックスタイプの外用貼付剤の方が接着性に優れ、薬物の皮膚への透過性も優れるため、以下主として本発明の貼付剤をマトリックスタイプの貼付剤を例として説明するが、これに限定されるものではない。
【0013】
本発明の貼付剤は、粘着層組成物およびビソプロロールおよび/またはその薬学的に許容される塩を薬物として含有する貼付剤であって、該薬物が薬理学的に有効な速度で放出され、かつその皮膚透過速度は1時間あたり3〜300μg/cmとなりうる。
典型的には、図1に示されるような薬物(ビソプロロールおよび/またはその薬学的に許容される塩)を含有する疎水性マトリックス(粘着層)とその背面の支持体からなる形態である。この粘着層は、少なくとも12時間以上皮膚表面に治療上問題の無い有効面積を維持できるだけの粘着力を有することが好ましいが、それが困難な場合には、薬物含有層より面積が大きく、かつ粘着力を有するシート状のカバーを用いて使用することも可能である。
【0014】
本発明に用いることができるビソブロロールはフリー体であっても塩であってもよい。塩を用いる場合は、特に薬学的に許容される塩であれば特に限定されないが、フマル酸塩、塩酸塩、硫酸塩、メシル酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、マレイン酸塩、酢酸塩が好ましい。なかでもフマル酸ビソプロロール(bisoprolol hemifumarate)であることがより好ましい。
【0015】
一般に経口剤としてフマル酸ビソプロロールを用いるときは、常用量として5mgないしは10mgを1日1回投与する。すなわち、かかる量を経口剤として用いることがビソプロロールの薬効を引き出す上での必要量ということになる。
一方、経口剤で利用する場合の薬物の血中濃度が明らかになったとしても、それを経皮吸収に利用する場合は、皮膚透過性がそれぞれの薬物により全く異なった挙動を示すため、どのような皮膚透過速度であれば経口投与した場合とほぼ同等の薬効を示す血中濃度が得られるのか容易に類推できるものではない。
【0016】
このような状況において、本発明にかかる貼付剤は、ビソプロロールを薬物動態的に考慮し、ビソプロロールの治療に有効な血中濃度を維持するためには1時間あたり3〜300μg/cmの皮膚透過速度が必要であることを見出し、さらにその目標値を達成するための粘着層組成物を有する貼付剤とした。
【0017】
ここで1時間あたり3〜300μg/cmという皮膚透過速度は貼付剤の適用面積により左右されるが、一般的な貼付剤の面積が1〜100cmであること(1cm未満となると貼付時の取り扱い性が困難となり、100cmを越えると貼付時の違和感が問題となる)を考慮し、本発明を完成するに至った。なお、ここでいう皮膚透過速度とはヒト皮膚における貼付剤適用期間中の最大皮膚透過速度のことを意味する。
【0018】
本発明のビソプロロールを含有する貼付剤の粘着層組成物は、上記の皮膚透過速度を得るための十分な薬物溶解性を得ること、および薬物であるビソプロロールの粘着層組成物中での安定性を維持できることから、(メタ)アクリル酸エステルおよびカルボキシル基を含む(メタ)アクリル酸を共重合させたアクリル系高分子が用いられる。
【0019】
アクリル系高分子を構成する(メタ)アクリル酸エステルとしては、2−エチルヘキシルアクリレート、メチルアクリレート、ブチルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート等が挙げられるが、2−エチルヘキシルアクリレートが特に好ましい。
また、アクリル系高分子を構成するカルボキシル基を含む(メタ)アクリル酸としては、アクリル酸、メタクリル酸等が挙げられるが、アクリル酸が好ましい。分子中にカルボキシル基を含有するアクリル酸ポリマーを含む共重合体を用いると、活性物質であるビソプロロールの安定性を維持すると共に、粘着力を向上させることができ、あるいは必要に応じて架橋を行う場合、その反応点として使用できる。
【0020】
活性物質のさらなる安定のためには、粘着剤層基剤として使用するアクリル系高分子が、分子中にアルコール性水酸基を実質的に含有しない共重合体であることが好ましい。
分子中にアルコール性水酸基を実質的に含有しないアクリル系高分子を用いることにより、ビソプロロール(またはその塩)の製剤安定性をさらに向上できるものであり、その理由は定かではないが、アルコール性水酸基が存在すると、アルコール性水酸基とビソプロロールの間で何らかの相互作用が生じるためであると予想される。
【0021】
このようなアクリル系高分子としてはアルコール性水酸基を実質的に有さず、カルボキシル基を有すれば特に限定はないが、例えば、アクリル酸−2−エチルヘキシル・酢酸ビニル・アクリル酸共重合体、アクリル酸・アクリル酸オクチルエステル共重合体、Duro−Tak87−2852、Duro−Tak87−2194、Duro−Tak87−2196、Duro−Tak87−2353、Duro−Tak87−2051、Duro−Tak87−2052、Duro−Tak87−2054、Duro−Tak87−2825、Duro−Tak87−2677、Duro−Tak80−1196(ナショナルスターチ&ケミカル社製)などが挙げられる。
なお、上記のアクリル系高分子の製造工程において、原料モノマー中に水酸基を有するモノマーが不純物として微量存在したり、重合の際に熱劣化などの副反応が起きると、得られるアクリル系高分子中に不純物に由来する水酸基が導入される場合があるが、このようなアクリル系高分子中は、本発明の貼付剤が有する特性を損なわない限りにおいて、分子中に水酸基を実質的に有さず、カルボキシル基を有するアクリル系高分子に包含されることとする。
【0022】
また本発明にかかる粘着剤層基剤は、上記のアクリル系高分子の他にさらにゴム系高分子を含むものが好ましい。ゴム系高分子を粘着層にさらに含むことにより、製剤の粘着性をコントロールできるからである。本発明に用いられるゴム系高分子は、天然または合成の弾性ポリマーの両者を含む。このようなゴム系高分子の好ましい例としては、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、イソプレンゴム、ポリイソブチレン、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合、スチレン−ブタジエンゴム、ポリシロキサン等が挙げられる。中でもスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体および/またはポリイソブチレンが好適に用いられる。
【0023】
このような疎水性高分子は1種であっても、また2種以上混合して使用しても良いが、アクリル系高分子とゴム系高分子を混合すると、薬物の皮膚透過性と製剤物性の双方が満足できる製剤となるのでより好ましい。これら高分子の組成全体の重量に基づく配合量は、粘着剤層の形成及び充分な透過性を考慮して、5〜90重量%、好ましくは10〜70重量%、さらに好ましくは10〜50重量%の量であることができる。
【0024】
本発明において、活性物質の形態が薬学的に許容される酸付加塩の場合は粘着層中にさらに有機酸を含有させることが望まれ、使用される有機酸としては、脂肪族(モノ、ジ、トリ)カルボン酸(例えば、酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、カプロン酸、カプリル酸、乳酸、マレイン酸、ピルビン酸、シュウ酸、コハク酸、酒石酸等)、芳香族カルボン酸(例えば、フタル酸、サリチル酸、安息香酸、アセチルサリチル酸等)、アルキルスルホン酸(例えば、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロピルスルホン酸、ブタンスルホン酸、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホン酸等)、アルキルスルホン酸誘導体(例えば、N−2−ヒドロキシエチルピペリジン−N’−2−エタンスルホン酸(以下、「HEPES」と略記する)等)、コール酸誘導体(例えば、デヒドロコール酸等)を挙げることができ、その中でも酢酸、プロピオン酸、乳酸、サリチル酸が好ましく、特に酢酸が好ましい。またこれらの有機酸は、その塩または、塩との混合物をもちいてもよい。このような有機酸を粘着層組成物に含有させることにより、皮膚透過性を増強させることが可能となる。
【0025】
特にビソプロロールのフマル酸塩を用いる時は、酢酸塩を粘着組成物に含有させることにより、上記に示した十分な皮膚透過速度を得ることができる。
【0026】
これらの有機酸は、貼付剤としての充分な透過量及び皮膚への刺激性を考慮すると、粘着剤層の組成全体の重量に基づいて、0.01〜20重量%であることが好ましく、さらに好ましくは、0.1〜15重量%、特に好ましくは0.1〜10重量%の量で配合されることができる。
【0027】
本発明の貼付剤の粘着層には吸収促進剤を含有させてもよく、使用され得る吸収促進剤としては、従来皮膚での吸収促進作用が認められている化合物のいずれでも良く、例えば炭素鎖数6〜20の脂肪酸、脂肪アルコール、脂肪酸エステル、アミド、またはエーテル類、芳香族系有機酸、芳香族系アルコール、芳香族系有機酸エステルまたはエーテル(以上は飽和、不飽和のいずれでもよく、また、環状、直鎖状分枝状のいずれでもよい)、さらに、乳酸エステル類、酢酸エステル類、モノテルペン系化合物、セスキテルペン系化合物、エイゾン(Azone)、エイゾン(Azone)誘導体、ピロチオデカン、グリセリン脂肪酸エステル類、プロピレングリコール脂肪酸エステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類(Span系)ポリソルベート系(Tween系)、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油系(HCO系)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ショ糖脂肪酸エステル類、植物油等が挙げられる。
【0028】
具体的にはカプリル酸、カプリン酸、カプロン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、セチルアルコール、ラウリン酸メチル、ラウリン酸ヘキシル、セバシン酸ジエチル、ラウリン酸ジエタノールアミド、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸セチル、サリチル酸、サリチル酸メチル、サリチル酸エチレングリコール、ケイ皮酸、ケイ皮酸メチル、クレゾール、乳酸セチル、乳酸ラウリル、酢酸エチル、酢酸プロピル、ゲラニオール、チモール、オイゲノール、テルピネオール、l−メントール、ボルネオロール、d−リモネン、イソオイゲノール、イソボルネオール、ネロール、dl−カンフル、グリセリンモノカプリレート、グリセリンモノカプレート、グリセリンモノラウレート、グリセリンモノオレエート、ソルビタンモノラウレート、ショ糖モノラウレート、ポリソルベート20、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HCO−60、ピロチオデカン、オリーブ油が好ましく、特にラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、セバシン酸ジエチル、ラウリン酸ジエタノールアミド、ミリスチン酸イソプロピル、グリセリンモノカプレート、グリセリンモノラウレート、グリセリンモノオレエート、ソルビタンモノラウレート、プロピレングリコールモノラウレート、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ピロチオデカンが好ましく、ミリスチン酸イソプロピルがさらに好ましい。
【0029】
このような吸収促進剤は2種以上混合して使用しても良く、貼付剤としての充分な透過性及び発赤、浮腫等の皮膚への刺激性等を考慮して、粘着層の組成全体の重量に基づいて、0.01〜40重量%であることが好ましく、さらに好ましくは、0.05〜30重量%、とくに好ましくは、0.1〜20重量%の量で配合されることができる。
【0030】
本発明の貼付剤の粘着層には可塑剤を含有させてもよい。使用され得る可塑剤としては、石油系オイル(例えば、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイル等)、スクワラン、スクワレン、植物系オイル(例えば、オリーブ油、ツバキ油、ひまし油、トール油、ラッカセイ油)、シリコンオイル、二塩基酸エステル(例えば、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等)、液状ゴム(例えば、ポリブテン、液状イソプレンゴム)、液状脂肪酸エステル類(ミリスチン酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピル)、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、サリチル酸グリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリアセチン、クエン酸トリエチル、クロタミトン等が挙げられる。特に流動パラフィン、液状ポリブテン、ミリスチン酸イソプロピル、セバシン酸ジエチル、ラウリン酸ヘキシルが好ましい。
【0031】
これらの成分は2種以上混合して使用しても良く、このような可塑剤の粘着層の組成全体に基づく配合量は、充分な透過性及び貼付剤としての充分な凝集力の維持を考慮して合計で、1〜70重量%、好ましくは3〜50重量%、さらに好ましくは5〜40重量%であることができる。
【0032】
本発明の粘着層には、少なくとも12時間適用可能な粘着力が不足している場合に粘着付与樹脂を含有することが望ましく、使用され得る粘着付与樹脂としては、ロジン誘導体(例えば、ロジン、ロジンのグリセリンエステル、水添ロジン、水添ロジンのグリセリンエステル、ロジンのペンタエリストールエステル等)、脂環族飽和炭化水素樹脂(例えばアルコンP−100、荒川化学工業)、脂肪族系炭化水素樹脂(例えばクイントンB170、日本ゼオン)、テルペン樹脂(例えばクリアロンP125、ヤスハラケミカル)、マレイン酸レジン等が挙げられる。特に水添ロジンのグリセリンエステル、脂環族飽和炭化水素樹脂、テルペン樹脂が好ましい。
【0033】
このような粘着付与樹脂の粘着層の組成全体に基づく配合量は、貼付剤としての充分な粘着力及び剥離時の皮膚への刺激性を考慮して、1〜70重量%、好ましくは5〜60重量%、さらに好ましくは10〜50重量%であることができる。
【0034】
また、必要に応じて、抗酸化剤、充填剤、架橋剤、防腐剤、紫外線吸収剤を用いることができ、抗酸化剤としては、トコフェロール及びこれらのエステル誘導体、アスコルビン酸、アスコルビン酸ステアリン酸エステル、ノルジヒトログアヤレチン酸、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール等が望ましい。充填剤としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸塩(例えば、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム等)、ケイ酸、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、亜鉛酸カルシウム、酸化亜鉛、酸化チタン等が望ましい。架橋剤としては、アミノ樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル等の熱硬化性樹脂、イソシアネート化合物、ブロックイソシアネート化合物、有機系架橋剤、金属または金属化合物等の無機系架橋剤が望ましい。防腐剤としては、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル等が望ましい。紫外線吸収剤としては、p−アミノ安息香酸誘導体、アントラニル酸誘導体、サリチル酸誘導体、クマリン誘導体、アミノ酸系化合物、イミダゾリン誘導体、ピリミジン誘導体、ジオキサン誘導体等が望ましい。
【0035】
このような抗酸化剤、充填剤、架橋剤、防腐剤、紫外線吸収剤は、合計で、貼付剤の粘着層の組成全体の重量に基づいて、好ましくは10重量%以下、さらに好ましくは5重量%以下、とくに好ましくは2重量%以下の量で配合されることができる。
【0036】
上記したような組成を有する薬物含有粘着層は、いずれの方法によっても製造されることができる。例えば、薬物を含む基剤組成を熱融解させ、離型紙又は支持体に塗工後、支持体又は離型紙と張り合わせて本剤を得る。また、薬物を含む基剤成分をトルエン、ヘキサン、酢酸エチル等の溶媒に溶解させ、離型紙又は支持体上に伸展して溶剤を乾燥除去後、支持体あるいは離型紙と張り合わせ本剤を得る。
【0037】
本発明の貼付剤は、典型的には、図1に示されるような貼付剤であるが、支持体には、伸縮性または非伸縮性の支持体を用いることができる。例えば織布、編布、不織布、ポリウレタン、ポリエステル、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、アルミニウムシート等、又はそれらの複合素材から選択される。
またライナーは、貼付剤を皮膚に適用するまで、粘着層を保護し得るものであれば特に限定されないが、具体的には、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のフィルム、上質紙とポリオレフィンとのラミネートフィルム等が挙げられる。これらのライナーにおいては、粘着層と接触する側の面にシリコーン処理を施すと、製剤からライナーを剥離する際の作業容易性が高められるので好ましい。
【実施例】
【0038】
以下、本発明の実施例を示して、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲での種々の変更が可能である。尚、実施例において、「%」は、全て重量%を意味するものとする。
【0039】
〔実施例1〕
アクリル酸−2−エチルヘキシル・酢酸ビニル・アクリル酸共重合体
19.3%
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 8.4%
脂環族飽和炭化水素樹脂 40.8%
流動パラフィン 10.5%
ミリスチン酸イソプロピル 10.5%
フマル酸ビソプロロール 10.5%
全量100.0%
フマル酸ビソプロロール、ミリスチン酸イソプロピルおよび流動パラフィンを乳鉢に取り十分混合した。この混合物をアクリル酸−2−エチルヘキシル・酢酸ビニル・アクリル酸共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、脂環族飽和炭化水素樹脂(アルコンP−100、荒川化学工業製)をトルエンおよび酢酸エチルに溶解したものと混合する。得られた塗工液をポリエチレンテレフタレート製離型フィルム上に塗工後溶剤を乾燥除去し、ポリエチレンテレフタレート製支持体と張り合わせて本発明の貼付剤を得た。
【0040】
〔実施例2〕
アクリル酸−2−エチルヘキシル・酢酸ビニル・アクリル酸共重合体
20.6%
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 8.9%
脂環族飽和炭化水素樹脂 43.3%
流動パラフィン 11.1%
酢酸ナトリウム 5.0%
フマル酸ビソプロロール 11.1%
全量100.0%
経皮吸収促進剤として、ミリスチン酸イソプロピルの代わりに酢酸ナトリウムを加えた以外は実施例1と同様にして、本発明の貼付剤を作製した。
【0041】
〔実施例3〕
アクリル酸−2−エチルヘキシル・酢酸ビニル・アクリル酸共重合体
18.5%
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 8.0%
脂環族飽和炭化水素樹脂 39.0%
流動パラフィン 10.0%
ミリスチン酸イソプロピル 10.0%
酢酸ナトリウム 4.5%
フマル酸ビソプロロール 10.0%
全量100.0%
経皮吸収促進剤として、ミリスチン酸イソプロピルおよび酢酸ナトリウムを加えた上記の処方により実施例1と同様の方法で本発明の貼付剤を作製した。
【0042】
〔実施例4〕
アクリル酸−2−エチルヘキシル・酢酸ビニル・アクリル酸ヒドロキシエチル共重合体
18.5%
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 8.0%
脂環族飽和炭化水素樹脂 39.0%
流動パラフィン 10.0%
ミリスチン酸イソプロピル 10.0%
酢酸ナトリウム 4.5%
フマル酸ビソプロロール 10.0%
全量100.0%
アクリル酸−2−エチルヘキシル・酢酸ビニル・アクリル酸共重合体の代わりに、アクリル酸−2−エチルヘキシル・酢酸ビニル・アクリル酸ヒドロキシエチル共重合体を用いたこと以外は実施例3と同様にして本発明の貼付剤を作製した。
【0043】
〔実施例5〕
アクリル酸−2−エチルヘキシル・酢酸ビニル・アクリル酸共重合体
56.5%
ミリスチン酸イソプロピル 15.0%
酢酸ナトリウム 8.5%
フマル酸ビソプロロール 20.0%
全量100.0%
フマル酸ビソプロロール、酢酸ナトリウムおよびミリスチン酸イソプロピルを乳鉢に取り十分混合した。この混合物をアクリル酸−2−エチルヘキシル・酢酸ビニル・アクリル酸共重合体を酢酸エチルに溶解したものと混合する。得られた塗工液をポリエチレンテレフタレート製離型フィルム上に塗工後溶剤を乾燥除去し、ポリエチレンテレフタレート製支持体と張り合わせて本発明の貼付剤を得た。
【0044】
〔実施例6〕
アクリル酸−2−エチルヘキシル・酢酸ビニル・アクリル酸共重合体
18.5%
ポリイソブチレン 8.0%
脂環族飽和炭化水素樹脂 39.0%
流動パラフィン 10.0%
ミリスチン酸イソプロピル 10.0%
酢酸ナトリウム 4.5%
フマル酸ビソプロロール 10.0%
全量100.0%
フマル酸ビソプロロール、酢酸ナトリウム、流動パラフィンおよびミリスチン酸イソプロピルを乳鉢に取り十分混合した。この混合物をアクリル酸−2−エチルヘキシル・酢酸ビニル・アクリル酸共重合体、ポリイソブチレン、脂環族飽和炭化水素樹脂(アルコンP−100、荒川化学工業製)をトルエンおよび酢酸エチルに溶解したものと混合する。得られた塗工液をポリエチレンテレフタレート製離型フィルム上に塗工後溶剤を乾燥除去し、ポリエチレンテレフタレート製支持体と張り合わせて本発明の貼付剤を得た。
【0045】
〔実施例7〕
Duro−Tak87−2194(ナショナルスターチアンドケミカル社製)
15.0%
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 15.0%
脂環族飽和炭化水素樹脂 39.0%
流動パラフィン 8.5%
イソステアリルアルコール 8.0%
酢酸ナトリウム 4.5%
フマル酸ビソプロロール 10.0%
100.0%
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、脂環族飽和炭化水素樹脂(アルコンP−100、荒川化学工業製)をトルエンに溶解し、Duro−Tak87−2194(ナショナルスターチアンドケミカル社製)と混合した。次にフマル酸ビソプロロール、イソステアリルアルコールおよび流動パラフィンを乳鉢に取り十分混合したものを加え、均一な溶液になるように攪拌した。得られた塗工液をポリエチレンテレフタレート製離型フィルム上に塗工後溶剤を乾燥除去し、ポリエチレンテレフタレート製支持体と張り合わせて本発明の貼付剤を得た。
【0046】
〔実施例8〕
Duro−Tak87−2852(ナショナルスターチアンドケミカル社製)
15.0%
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 15.0%
脂環族飽和炭化水素樹脂 40.0%
流動パラフィン 10.3%
ラウリン酸ジエタノールアミド 5.0%
乳酸 4.7%
フマル酸ビソプロロール 10.0%
全量100.0%
粘着剤としてDuro−Tak87−2852を使用し、経皮吸収促進剤としてラウリン酸ジエタノールアミドおよび乳酸を加えた上記処方により、実施例1と同様の方法で本発明の貼付剤を作製した。
【0047】
〔比較例1〕
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 14.5%
ポリイソブチレン 7.5%
脂環族飽和炭化水素樹脂 37.5%
流動パラフィン 21.0%
ミリスチン酸イソプロピル 5.0%
酢酸ナトリウム 4.5%
フマル酸ビソプロロール 10.0%
全量100.0%
フマル酸ビソプロロール、酢酸ナトリウム、流動パラフィンおよびミリスチン酸イソプロピルを乳鉢に取り十分混合した。この混合物をスチレンーイソプレンースチレンブロック共重合体、ポリイソブチレン、脂環族飽和炭化水素樹脂(アルコンP−100、荒川化学工業製)をトルエンに溶解したものと混合する。得られた塗工液をポリエチレンテレフタレート製離型フィルム上に塗工後溶剤を乾燥除去し、ポリエチレンテレフタレート製支持体と張り合わせて本発明の貼付剤を得た。
【0048】
〔比較例2〕
アクリル酸−2−エチルヘキシル・酢酸ビニル共重合体 18.5%
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 8.0%
脂環族飽和炭化水素樹脂 39.0%
流動パラフィン 10.0%
ミリスチン酸イソプロピル 10.0%
酢酸ナトリウム 4.5%
フマル酸ビソプロロール 10.0%
全量100.0%
アクリル酸−2−エチルヘキシル・酢酸ビニル・アクリル酸共重合体の代わりに、アクリル酸−2−エチルヘキシル・酢酸ビニル共重合体を用いたこと以外は実施例3と同様にして本発明の貼付剤を作製した。
【0049】
試験1:ヘアレスマウス皮膚透過試験
ヘアレスマウス背部皮膚を剥離し、真皮側をレセプター相側にし、皮膚表面の温度が32℃となるように設定した温水を外周部に循環させたフロースルーセル(5cm)に装着した。角質層側に実施例1〜8および比較例1〜2において得られた製剤を貼付し、レセプター相にpH7.4リン酸緩衝生理食塩水を用い、5ml/時間の速さで40分毎に8時間までサンプリングを行った。各時間毎に得られたレセプター溶液は、流量を正確に測り、高速液体クロマトグラフ法により薬物濃度を測定した。流量及び薬物濃度の測定値より1時間当たりの透過速度を算出し、各実施例の最大皮膚透過速度を求めた。結果を表1に示す。
【0050】
試験2:粘着力試験
得られた貼付剤について、プローブタックテスターおよびピール試験機により粘着力を、クリープ試験機により凝集力をそれぞれ測定し、以下の基準:
A:粘着力、凝集力共に十分である
B:粘着力、凝集力の少なくとも一方が不十分であるが、シート状のカバーを用いて使用が可能である
C:粘着力、凝集力のが使用できるレベルにない
に基づいて評価を行った。結果を表1に示す。
【0051】
試験3:薬物含量安定性試験
得られた貼付剤について、製剤一枚あたりの薬物含量の経時的な安定性試験を実施した。保存条件は40℃、3箇月で、アルミ包材中に密封した形で行った。ビソプロロールの薬物含量はHPLC法により測定した。結果を表1に示す。
【0052】
【表1】

【0053】
ヒト血漿中濃度プロファイル算出法
フマル酸ビソプロロールのヒト経口投与における薬物動態パラメーターを、公表されている経口剤(5mg)のデータを用いて、薬物動態解析ソフト、WinNonlin(Scientific Consulting Inc.)により求めた。それらパラメーターと実施例3で得られたのヒト皮膚透過試験結果(図2)を用いて、経皮吸収予測システム、SKIN−CADTMProfessional Edition ver.2.0(株)イーハイブ・コミュニケーション)により、単回投与及び連続投与時でのヒト血漿中濃度を算出した。結果を図3に示す。尚、製剤面積は12cmとした。また、比較のために5mg経口剤の血漿中濃度も同時に示した。
【0054】
図3のグラフからも明らかであるように、本発明の新規なビソプロロール含有貼付剤は、薬物皮膚透過速度が高いうえに、薬物血中濃度が一過性に立ち上がることがなくほぼ一定に保つことができ、経口製剤に比して安全かつ効果的に生体に長期間投与することが可能である。
【0055】
本発明の貼付剤によれば、ビソプロロールが、皮膚を介して循環血中に効率よく吸収されることができる。また、経口投与の場合に見られる消化器系の副作用や急激な血中濃度の上昇に伴って起こり得る副作用も回避することができ、経皮適用を目的とする外用製剤としてとくに有効である。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本願発明の貼付剤の構造の説明図である。
【図2】本願発明の貼付剤を貼付時のヒト皮膚透過速度を示す図である。
【図3】本願発明の貼付剤を連続投与した時のビソプロロール血漿中濃度推移の図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビソプロロールおよび/またはその薬学的に許容される塩を含む粘着層を有する貼付剤であって、粘着層組成物が(メタ)アクリル酸エステルおよびカルボキシル基を含む(メタ)アクリル酸を共重合させたアクリル系高分子を含有する貼付剤。
【請求項2】
アクリル系高分子が、分子中にアルコール性水酸基を実質的に含有しない、請求項1に記載の貼付剤。
【請求項3】
アクリル系高分子を構成する(メタ)アクリル酸エステルがアクリル酸−2−エチルヘキシルである、請求項1または2に記載の貼付剤。
【請求項4】
アクリル系高分子が、アクリル酸−2−エチルヘキシル・酢酸ビニル・アクリル酸共重合体である、請求項1〜3のいずれかに記載の貼付剤。
【請求項5】
粘着層組成物がさらにゴム系高分子を含有する、請求項1〜4のいずれかに記載の貼付剤。
【請求項6】
ゴム系高分子が、スチレンーイソプレンースチレンブロック共重合体、ポリイソブチレン、イソプレンゴム、スチレンーブタジエンースチレンブロック共重合体、スチレンーブタジエンゴム、シリコンゴムからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項5に記載の貼付剤。
【請求項7】
経皮吸収促進剤が、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、セバシン酸ジエチル、ラウリン酸ジエタノールアミド、ミリスチン酸イソプロピル、グリセリンモノカプレート、グリセリンモノラウレート、グリセリンモノオレエート、ソルビタンモノラウレート、プロピレングリコールモノラウレート、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ピロチオデカン、有機酸およびその薬学的に許容しうる塩からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1〜6のいずれかに記載の貼付剤。
【請求項8】
有機酸および/またはその薬学的に許容し得る塩が、酢酸、プロピオン酸、乳酸、サリチル酸およびそれらの薬学的に許容し得る塩からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項7に記載の貼付剤。
【請求項9】
経皮吸収促進剤がミリスチン酸イソプロピルである、請求項7に記載の貼付剤。
【請求項10】
経皮吸収促進剤としてさらに酢酸ナトリウムを含有する、請求項9に記載の貼付剤。
【請求項11】
薬物が、フマル酸ビソプロロールである、請求項1〜10のいずれかに記載の製剤。
【請求項12】
ビソプロロールの皮膚透過速度が3〜300μg/h・cmである、請求項1〜11のいずれかに記載の貼付剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【国際公開番号】WO2005/011662
【国際公開日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【発行日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−512519(P2005−512519)
【国際出願番号】PCT/JP2004/010908
【国際出願日】平成16年7月30日(2004.7.30)
【出願人】(000160522)久光製薬株式会社 (121)
【Fターム(参考)】