説明

貼付材及び貼付製剤

【課題】皮膚等に貼付される貼付材であって、皮膚面への貼付後の一定期間は容易に剥がれずかつ皮膚刺激を与えない適度な粘着性を有し、所望の一定期間経過後に皮膚面から剥離しようとする際には苦痛や物理的刺激を伴わずに容易に剥離し得る貼付材、および当該貼付材に経皮吸収性薬物を含有してなる貼付製剤の提供。
【解決手段】支持体の片面に粘着剤層が積層されている貼付材であって、粘着剤層が、流動性の異なる2種の合成ゴムを含有し、かつ、30℃での見かけの粘度が0.2×10〜10×10Pa・sである粘着剤層である貼付材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支持体の片面に粘着剤層が積層されている、皮膚面に貼付するための貼付材であって、貼付時には適度な粘着性を有し、かつ、剥離時には容易に剥離し得る貼付材、および当該貼付材の粘着剤層に経皮吸収性薬物を含有してなる貼付製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、薬物を皮膚面を通して体内へ連続的に投与するための貼付型の経皮吸収製剤は、様々なものが開発、市販されている。これらが今後も追い求める技術方向は、良好な薬物吸収性を維持し、かつ貼付、剥離の際に生じる皮膚刺激をいかに抑えるかにある。
【0003】
しかしながら、剥離時の物理的刺激の抑制に注目する余り、いたずらに粘着力を抑制することは、貼付製剤の貼付性を損なうこととなり、望ましくない。特に薬物を含有する経皮吸収貼付製剤の場合、有効期間中での脱落は、医薬品としての有効性を失う重大な欠陥となる。
【0004】
剥離時の物理的刺激の抑制に関しては、例えば、特殊なゲル構造を構成することにより、適正な粘着力を確保し、貼付製剤剥離時の角質層損傷を抑える方法(特許文献1、特許文献2)、高通気性の支持体と特殊な粘着剤を用いる方法(特許文献3)、再粘着可能となるように設計された粘着剤層を用い、有効期間中に貼付部位を変更する方法(特許文献4)等が開示されている。しかし、良好な薬物吸収性を維持し、かつ貼付、剥離の際に生じる皮膚刺激を抑制するために、貼付初期と剥離時との剥離力を変化させることに着目したものは今までなかった。
【特許文献1】特許第2700835号公報
【特許文献2】特許第2970772号公報
【特許文献3】特許第2524190号公報
【特許文献4】米国特許第6348210号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、皮膚面に貼付される貼付材であって、皮膚面への貼付後の一定期間は容易に剥がれずかつ皮膚刺激を与えない適度な粘着性を有し、所望の一定期間経過後に皮膚面から剥離しようとする際には苦痛や物理的刺激を伴わずに容易に剥離し得る貼付材、および当該貼付材に経皮吸収性薬物を含有してなる貼付製剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、支持体の片面に粘着剤層が積層されている貼付材の貼付初期と剥離時との剥離力を変化させることに着目し、さらに検討を進めて、粘着剤層を、流動性の異なる2種の合成ゴムを含有し、かつ、30℃での見かけの粘度が0.2×10〜10×10Pa・sである粘着剤層とすることにより、上記課題を解決できることを見出して、本発明を完成させた。
【0007】
すなわち、本発明は以下の通りである。
(1)支持体の片面に粘着剤層が積層されている貼付材であって、
粘着剤層が、流動性の異なる2種の合成ゴムを含有し、かつ、30℃での見かけの粘度が0.2×10〜10×10Pa・sである粘着剤層である貼付材。
(2)上記粘着剤層に、さらに、タッキファイヤーを含有していてもよい、上記(1)記載の貼付材。
(3)上記粘着剤層に、さらに、上記流動性の異なる2種の合成ゴム、及び上記タッキファイヤーを相溶する有機液剤を含有してなる、上記(2)に記載の貼付材。
(4)上記粘着剤層の全重量に占める有機液剤の割合が、20%以下である、上記(3)記載の貼付材。
(5)流動性の異なる2種の合成ゴムのうちの第1の合成ゴムがシュタウディンガー−インデックス(Staudinger−Index)が170〜300cm/gの分岐脂肪族炭化水素であり、かつ、第2の合成ゴムがシュタウディンガー−インデックスが30〜60cm/gの分岐脂肪族炭化水素である、上記(1)または(2)に記載の貼付材。
(6)分岐脂肪族炭化水素が、2−メチルプロペン−ポリマーである、上記(5)記載の貼付材。
(7)タッキファイヤーが、40℃における動粘度が200〜4000mm/sの、エチルエチレン−ポリマー、1,2−ジメチルエチレン−ポリマーまたはエチルエチレン−1,2−ジメチルエチレン−コポリマーである、上記(2)記載の貼付材。
(8)タッキファイヤーが、軟化点70〜125℃の脂環族飽和炭化水素樹脂である、上記(2)記載の貼付材。
(9)流動性の異なる2種の合成ゴムのうちの第1の合成ゴムと、第1の合成ゴムよりシュタウディンガー−インデックス値が低い第2の合成ゴムと、タッキファイヤーとの配合比が、重量比で、10:12〜20:7〜11である、上記(2)記載の貼付材。
(10)流動性の異なる2種の合成ゴムのうちの第1の合成ゴムと、第1の合成ゴムよりシュタウディンガー−インデックス値が低い第2の合成ゴムと、タッキファイヤーの配合比が、重量比で、10:12〜20:2〜6である、上記(2)記載の貼付材。
(11)流動性の異なる2種の合成ゴムのうちの第1の合成ゴムと、第1の合成ゴムよりシュタウディンガー−インデックス値が低い第2の合成ゴムと、タッキファイヤーの配合比が、重量比で、10:25〜45:0〜2である、上記(2)記載の貼付材。
(12)有機液剤が、ミリスチン酸イソプロピルおよび長鎖分岐アルコールから選ばれる少なくとも一つである、上記(3)または(4)に記載の貼付材。
(13)長鎖分岐アルコールが、イソステアリルアルコールおよびオクチルドデカノールから選ばれる少なくとも一つである、上記(12)記載の貼付材。
(14)有機液剤がミリスチン酸イソプロピルであり、さらに有機液剤として長鎖分岐アルコールが配合されていてもよく、ミリスチン酸イソプロピルと長鎖分岐アルコールの配合比が、重量比で、1:0〜4である上記(12)または(13)に記載の貼付材。
(15)上記(1)〜(14)記載の貼付材の粘着剤層に、経皮吸収性薬物を含有してなる貼付製剤。
【発明の効果】
【0008】
本発明の貼付材は、皮膚面への貼付後の一定期間は容易に剥がれずかつ皮膚刺激を与えない適度な粘着性を有し、所望の一定期間経過後に皮膚面から剥離しようとする際には苦痛や物理的刺激を伴わずに容易に剥離することができる。本発明の貼付製剤は、皮膚面への貼付後の一定期間は容易に剥がれずかつ皮膚刺激を与えない適度な粘着性を有し、活性成分である経皮吸収性薬物の良好な薬物吸収性を維持することができ、所望の一定期間経過後に皮膚面から剥離しようとする際には苦痛や物理的刺激を伴わずに容易に剥離することができる。特に本発明の貼付材は、粘着剤層に配合する流動性の異なる2種の合成ゴム、タッキファイヤーの配合比を変えることで、1〜3日の間の所望する期間後に容易に剥離し得る貼付材に調製することができる。同様に、本発明の貼付製剤は、活性成分である薬物の種類に応じて1〜3日の間の所望する期間後に容易に剥離し得る製剤に調製することができる点で有用である。
また、本発明の貼付材(下記実施例3)に硝酸イソソルビド(ISDN)5%を添加した貼付製剤についてマウス摘出皮膚を用いたインビトロ透過性試験でISDNの経皮吸収性が確認されており、本発明の貼付製剤は薬物を体内に連続的に投与するための経皮吸収貼付製剤として有用であるといえる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の貼付材は、支持体の片面に粘着剤層を積層してなり、該粘着剤層が、流動性の異なる2種の合成ゴムを含有し、かつ、30℃での見かけの粘度が0.2×10〜10×10Pa・sである粘着剤層であることを特徴とする。
上記構成とすることで、少なくとも貼付初期には簡単には剥れない充分な粘着性を有し、適度な粘着性が持続し、使用後剥離時には苦痛や物理的刺激を伴わない程度の力で剥離できる貼付材とすることができる。
【0010】
本発明における支持体としては、特に限定されないが、実質的に薬物等不透過性であるもの、即ち粘着剤層の経皮吸収性薬物や添加剤等が支持体中を通って背面から失われて含有量の低下を引き起こさないものが好ましい。支持体としては、例えば、ポリエステル、ナイロン、サラン(登録商標)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、サーリン(登録商標)、金属箔等の単独フィルム又はこれらの積層フィルム等を用いることができる。これらのうち支持体と粘着剤層との接着力(投錨力)を良好とするために、支持体を上記材質からなる無孔のプラスチックフィルムと多孔質フィルムとの積層フィルムとすることが好ましい。この場合、粘着剤層は多孔質フィルム側に形成するようにすることが好ましい。
【0011】
このような多孔質フィルムとしては、粘着剤層との投錨力が向上するものが採用されるが、具体的には紙、織布、不織布、編布、機械的に穿孔処理を施したシート等が挙げられ、これらのうち取扱い性等の観点から、特に紙、織布、不織布が好ましい。多孔質フィルムは投錨力向上、貼付材や貼付製剤全体の柔軟性及び貼付操作性等の点から厚み10〜200μmの範囲のものが採用され、プラスタータイプや粘着テープタイプのような薄手の製剤の場合には厚み10〜100μmの範囲のものが採用される。
【0012】
また、多孔質フィルムとして織布や不織布を用いる場合、目付量を5〜30g/m、好ましくは6〜15g/mとするのがよい。本発明において最も好適な支持体としては、1.5〜6μm厚のポリエステルフィルム(好ましくは、ポリエチレンテレフタレートフィルム)と、目付量6〜12g/mのポリエステル(好ましくは、ポリエチレンテレフタレート)製不織布との積層フィルムである。
【0013】
本発明における粘着剤層は、流動性の異なる2種の合成ゴムを含有する。
本発明において、「流動性が異なる」とは、分子量や架橋密度の違いによって、粘弾性挙動に差を生じることであり、この差異は、例えば、ガラス転移温度や動粘度の差となって現われる。一般に、流動性はシュタウディンガー−インデックス等で現わすことができる。
本発明におけるシュタウディンガー−インデックスは、ASTM D445、ISO3104に従って測定するものである。
本明細書において、流動性の異なる2種の合成ゴムのうち、一方の合成ゴムを第1の合成ゴム、第1の合成ゴムよりシュタウディンガー−インデックス値が低い他方の合成ゴムを第2の合成ゴムともいう。
【0014】
本発明における粘着剤層の30℃での見かけの粘度は、0.2×10〜10×10Pa・sであり、好ましくは0.5×10〜9.5×10Pa・sである。30℃での見かけの粘度が0.2×10Pa・s未満であると、貼付期間に関係なく凝集破壊が著しく起こり、10×10Pa・sを超えると、粘着力不足となって、貼付性に乏しくなる。
本発明における見かけの粘度は、JIS K7210に準じて、フローテスターCFT−500C(島津製作所製)を用いて下記条件で測定し、下記計算式により算出するものである。
[測定条件]
シリンダー圧力:30.0kgf/cm
使用するダイ:L:10.00mm、D:1.00mm
予熱時間:300s
見かけのせん断応力:7.36×10dyn/cm
計測開始位置S:3mm
計測終了位置S:7mm
[計算式]
【0015】
【数1】

【0016】
ただし、式中各記号は以下のものを示す。
Q:フローレート
γ:見かけのせん断速度
τ:見かけのせん断応力
η:見かけの粘度
A:ピストン断面積(cm
:計測開始位置(mm)
:計測終了位置(mm)
Δt:ピストンが計測開始位置から終了位置に達するまでの経過時間
D:ダイ穴直径(mm)
P:試験圧力(Pa)
L:ダイ長さ(mm)
【0017】
本発明に用いられる合成ゴムとしては、例えば、ポリジメチルシロキサン−レジン、ブチルラバー、エチレン−ビニルアセテート−コポリマー、エチレン−エチルアクリレート−コポリマー、ポリ−アルキルビニルエーテル(例えば、ポリ−プロピルビニルエーテル、ポリ−イソプロピルビニルエーテル、ポリ−ブチルビニルエーテル等)、2−メチルプロペン−ポリマー、エチルエチレン−ポリマー、1,2−ジメチルエチレン−ポリマー、エチルエチレン−1,2−ジメチルエチレン−コポリマー、ポリ−イソプレン、ポリ−ブタジエン等が挙げられ、価格、扱いやすさ等から2−メチルプロペン−ポリマー、エチルエチレン−ポリマー、1,2−ジメチルエチレン−ポリマー、エチルエチレン−1,2−ジメチルエチレン−コポリマーが好ましい。
【0018】
本発明に用いられる合成ゴムとしては、特に分岐脂肪族炭化水素が好ましい。分岐脂肪族炭化水素としては、例えば、単量体が、2−メチルプロペン、エチルエチレン、1,2−ジメチルエチレン等からなるポリマー、コポリマーが挙げられ、具体的には、2−メチルプロペン−ポリマー、エチルエチレン−ポリマー、1,2−ジメチルエチレン−ポリマー、エチルエチレン−1,2−ジメチルエチレン−コポリマー等が挙げられる。
【0019】
本発明において、流動性の異なる2種の合成ゴムは、特に限定されるものではないが、第1の合成ゴムがシュタウディンガー−インデックスが170〜300cm/g、好ましくは180〜290cm/gの分岐脂肪族炭化水素であり、かつ、第2の合成ゴムがシュタウディンガー−インデックスが30〜60cm/g、好ましくは35〜55cm/gの分岐脂肪族炭化水素であることが好ましい。この場合において、第1の合成ゴムのシュタウディンガー−インデックスが170cm/g未満であると、凝集力不足になる傾向を示し、300cm/gを超えると粘着剤のタックが低下する傾向を示す。また、この場合において、第2の合成ゴムのシュタウディンガー−インデックスが30cm/g未満であると、粘着剤のベトツキ感が大きくなり、所望の日数での剥離に悪影響を及ぼすことがあり、60cm/gを超えると粘着剤の見かけの粘度が所定範囲よりも高くなって所望日数の貼付に耐えられないことがある。
第1の合成ゴムが「シュタウディンガー−インデックスが170〜300cm/g(好ましくは180〜290cm/g)の分岐脂肪族炭化水素」である場合の分岐脂肪族炭化水素としては、2−メチルプロペン−ポリマーが好ましい。
第2の合成ゴムが「シュタウディンガー−インデックスが30〜60cm/g(好ましくは35〜55cm/g)の分岐脂肪族炭化水素」である場合の分岐脂肪族炭化水素としては、2−メチルプロペン−ポリマー、エチルエチレン−ポリマー、1,2−ジメチルエチレン−ポリマー、エチルエチレン−1,2−ジメチルエチレン−コポリマーが好ましい。
【0020】
粘着剤層の全重量に占める流動性の異なる2種の合成ゴムの割合は、総量として、好ましくは50〜100%、より好ましくは60〜100%である。流動性の異なる2種の合成ゴムのうちの第1の合成ゴムの、粘着剤層の全重量に占める割合は、好ましくは10〜45%、より好ましくは15〜40%である。第1の合成ゴムよりシュタウディンガー−インデックス値が低い第2の合成ゴムの、粘着剤層の全重量に占める割合は、好ましくは30〜85%、より好ましくは35〜80%である。ただし、上記割合は粘着剤層に薬物を含有する場合は、薬物量を差し引いたときの割合である。
【0021】
本発明における粘着剤層は、さらに、タッキファイヤーを含有していてもよい。タッキファイヤーを添加することで、皮膚面への貼付開始時から、容易に剥離し得る剥離力となるまでの貼付期間を延長でき、流動性の異なる2種の合成ゴムと、タッキファイヤーの配合比を後に例示するような割合とすることで薬物の種類に合わせて所望の貼付期間用の貼付製剤を調製することができる。
本発明に用いられるタッキファイヤーは、貼付製剤の分野で公知のものを適宜選択して用いればよい。タッキファイヤーとしては、例えば、ポリブテン類、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、石油系樹脂、クマロン系樹脂等が挙げられ、相溶性の点からは、(i)40℃における動粘度が200〜4000mm/s、好ましくは500〜700mm/sのエチルエチレン−ポリマー、1,2−ジメチルエチレン−ポリマー、エチルエチレン−1,2−ジメチルエチレン−コポリマー;(ii)軟化点70〜125℃、好ましくは90〜115℃の脂環族飽和炭化水素樹脂が好ましい。上記(i)の動粘度が、200mm/s未満であると、剥離後の皮膚面のベトツキ感やにじみ出しの原因になることがあり、4000mm/sを超えると、所望のタックが得られないことがある。
上記(ii)の軟化点が70℃未満であると、剥離後の皮膚面のベトツキ感やにじみ出し、熱的不安定性の原因となることがあり、125℃を超えると、相溶性の悪化を招くことがある。
軟化点70〜125℃、好ましくは90〜115℃の脂環族飽和炭化水素樹脂としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、インデン、メチルインデン等を含む芳香族炭化水素(C9−C12)を重合して得られる炭化水素樹脂に水素を付加させて脂環構造にした熱可塑性水素化樹脂等が挙げられる。
タッキファイヤーは、1種または2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明における動粘度は、JIS K2283及びISO3104に従って測定するものである。
本発明における軟化点は、医薬品添加物規格(109992)に従って測定するものである。
【0022】
粘着剤層の全重量に占めるタッキファイヤーの割合は、総量として、好ましくは0〜40%、より好ましくは0〜30%である。ただし、上記割合は薬物を含有する場合には、薬物の重量を除いた割合である。
【0023】
本発明における粘着剤層は、さらに、上記流動性の異なる2種の合成ゴム、及び上記タッキファイヤーと相溶する有機液剤を含有していてもよい。
本発明で用いる有機液剤は、上記流動性の異なる2種の合成ゴム、及び上記タッキファイヤーと相溶し、粘着特性を損なわないものであれば特に限定されるものではないが、薬物を含有させて貼付製剤として応用する場合には、それを溶解し、含有させる薬物の経皮吸収性を向上させる吸収促進作用を有するものを用いることが好ましい。有機液剤としては、例えば、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール等の高級アルコール類、オリーブ油、ヒマシ油、スクワレン、ラノリン等の油脂類、酢酸エチル、エチルアルコール、ジメチルデシルスルホキシド、メチルオクチルスルホキシド、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ドデシルピロリドン、イソソルビトール等の有機溶媒、液状界面活性剤、フタル酸エステル、ジエチルセバケート、クエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリブチル等の可塑剤、流動パラフィン等の炭化水素類、エトキシ化ステアリルアルコール、グリセリン脂肪酸エステル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソトリデシル、ラウリル酸エチル、N−メチルピロリドン、オレイン酸エチル、オレイン酸、アジピン酸ジイソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、1,3−ブタンジオール等が挙げられ、これらは1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0024】
これらの有機液剤のうち、好ましくは、脂肪酸エステルやグリセリン脂肪酸エステル(特には、脂肪酸モノグリセリド)が挙げられる。しかしながら、これらの脂肪酸エステルやグリセリン脂肪酸エステルは、粘着剤を可塑化する作用を発揮するものであればよいが、必要以上に炭素数の多い脂肪酸や少ない脂肪酸からなるものでは前記合成ゴム等との相溶性が悪くなったり、製剤を調製する際の加熱工程で揮散したりする恐れがある。また、分子内に二重結合を有する脂肪酸からなるものでは酸化分解等を生じて保存安定性に問題を生じることがある。更に、貼付製剤とした場合には、単位面積あたりの経皮吸収性薬物の含有量が多いと製剤中で飽和溶解度以上の薬物が析出するが、添加する脂肪酸エステルやグリセリン脂肪酸エステルの種類によっては薬物の結晶析出を阻害したり、析出速度を遅くしたりすることがあり、得られる製剤の外観に不良を生じたり、保存安定性に悪影響を及ぼすことがある。
【0025】
よって、用いる脂肪酸エステルとしては、好ましくは炭素数が12〜16、更に好ましくは12〜14の高級脂肪酸と炭素数が1〜4の低級1価アルコールからなる脂肪酸エステルが採用される。このような高級脂肪酸としては、好ましくはラウリン酸(C12)、ミリスチン酸(C14)、パルミチン酸(C16)であり、特にミリスチン酸を用いることがよい。また、低級1価アルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコールが挙げられ、これらは直鎖アルコールに限定されず分岐アルコールであってもよい。また、望ましくはイソプロピルアルコールが用いられる。従って、最も好ましい脂肪酸エステルは、ミリスチン酸イソプロピルである。
【0026】
一方、グリセリン脂肪酸エステルとしては、炭素数が8〜10の高級脂肪酸とのグリセリドが好ましい。このような高級脂肪酸としては、好ましくはカプリル酸(オクタン酸、C8)、ペラルゴン酸(ノナン酸、C9)、カプリル酸(デカン酸、C10)であり、特にカプリル酸を用いたカプリル酸モノグリセリド、カプリル酸ジグリセリド、カプリル酸トリグリセリド又はカプリル酸カプリン酸トリグリセリドである。
【0027】
有機液剤として、高級アルコールを使用する場合には、例えばイソステアリルアルコール、オクチルドデカノール等の炭素数16〜22、好ましくは18〜20の飽和または不飽和の長鎖分岐アルコールがより好ましい。
有機液剤がミリスチン酸イソプロピルであり、さらに有機液剤として長鎖分岐アルコールが配合されていてもよい態様が特に好ましく、この場合、ミリスチン酸イソプロピルと長鎖分岐アルコールの配合比は、重量比で、好ましくは1:0〜4、さらに好ましくは1:0〜3である。
これらの配合比が、重量比で、ミリスチン酸イソプロピル1に対して長鎖分岐アルコールが4を超えると、発汗時の貼付性に乏しくなり、貼付中に脱落が生じることがある。
【0028】
粘着剤層の全重量に占める有機液剤の割合は、本発明の特殊な粘着特性を維持するためには、有機液剤の総量として、20%以下であるのが好ましい。
【0029】
粘着剤層には、本発明の効果を阻害しない限り、任意成分として他の添加剤(例えば、ポリビニルピロリドン、アミノアルキルメタクリレートコポリマー、メタクリル酸コポリマー等のポリマー類、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル等のエステル類、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等の無機物、その他無機や有機の充填剤等)を含有していてもよい。粘着剤層の全重量に占める任意成分としての他の添加剤の割合は、総量として、15%以下であるのが好ましい。
【0030】
本発明においては、流動性の異なる2種の合成ゴムと、タッキファイヤーとの配合比を特定の割合とすることで、1〜3日の間の所望する期間後に容易に剥離し得る貼付材に調製することができる。特に、本発明の貼付製剤は、活性成分である薬物の種類に応じて1〜3日の間の所望する期間後に容易に剥離し得る製剤に調製することができる点で有用である。
3日間貼付用とする場合、流動性の異なる2種の合成ゴムのうちの第1の合成ゴムと、第1の合成ゴムよりシュタウディンガー−インデックス値が低い第2の合成ゴムと、タッキファイヤーとの配合比を、重量比で、例えば10:12〜20:7〜11とすることが挙げられる。
2日間貼付用とする場合、流動性の異なる2種の合成ゴムのうちの第1の合成ゴムと、第1の合成ゴムよりシュタウディンガー−インデックス値が低い第2の合成ゴムと、タッキファイヤーとの配合比を、重量比で、例えば10:12〜20:2〜6とすることが挙げられる。
1日間貼付用とする場合、流動性の異なる2種の合成ゴムのうちの第1の合成ゴムと、第1の合成ゴムよりシュタウディンガー−インデックス値が低い第2の合成ゴムと、タッキファイヤーとの配合比を、重量比で、例えば10:25〜45:0〜2とすることが挙げられる。
【0031】
粘着剤層の厚みは、通常60μm〜200μm、好ましくは80μm〜180μm、より好ましくは100μm〜160μmである。厚みが、60μm未満であると、貼付期間中の十分な粘着力を確保することが困難となる場合があり、200μmを超えると、製造適正等の点で好ましくない。
【0032】
本発明の貼付材、貼付製剤は、例えば、流動性の異なる2種の合成ゴム、タッキファイヤー、有機液剤、任意成分としての他の添加剤、および所望の経皮吸収性薬物をトルエン等の適当な溶剤に溶解し、得られた粘着剤溶液をライナー(例えば、シリコーン剥離処理を施したポリエチレンテレフタレートフィルム等)上に塗布、乾燥して、粘着剤層を形成し、この粘着剤層上に支持体を積層して製造することができる。また、例えば、上記粘着剤溶液を支持体に直接塗布、乾燥して、支持体上に粘着剤層を形成し、製造することができる。
【0033】
本発明の貼付製剤に含有させることができる、活性成分となる薬物は特に限定されず、治療目的に応じて任意に選択することができるが、例えばコルチコステロイド類、鎮痛消炎剤、催眠鎮静剤、精神安定剤、抗高血圧剤、降圧利尿剤、抗生物質、麻酔剤、抗菌剤、抗真菌剤、ビタミン剤、冠血管拡張剤、抗ヒスタミン剤、鎮咳剤、性ホルモン剤、抗うつ剤、脳循環改善剤、制吐剤、抗腫瘍剤、生体医薬等の種々の薬物であって、皮膚面上に滞留するものではなく、皮下若しくは血中まで浸透して局所作用若しくは全身作用を発揮する経皮吸収可能な薬物が使用できる。これらの薬物は必要に応じて2種以上を併用してもよい。また、上記粘着剤層への均一な分散性や経皮吸収性の観点から、これらの薬物のうち脂溶性薬物(溶解量0.4g以下/水100ml、常温)が特に好適な薬物として挙げられる。もちろん、経皮吸収される薬物に限らず、皮膚の傷口等に直接作用する薬物を含有させることとしてもよいのは言うまでもない。
【0034】
これらの経皮吸収性薬物の含有量は、薬物種や投与目的に応じて適宜設定することができるが、通常、粘着剤中に1〜40重量%、好ましくは3〜30重量%程度の範囲である。含有量が1重量%に満たない場合には、治療や予防に有効な量の放出が期待できない場合があり、また、40重量%を超えると増量による効果の増大が期待できないので経済的にも不利であるばかりか、皮膚面に対する接着性にも劣る傾向を示す。なお、本発明においては上記薬物が粘着剤中に全部溶解している必要はなく、粘着剤への溶解度以上の薬物を含有させて未溶解状態の薬物が含有されていてもよいものである。この場合、未溶解状態の薬物は経皮吸収貼付製剤中で含有量にバラツキがないように均一に分散している必要がある。
【0035】
ただし、長期間に及ぶ持続放出性の付与や単位面積当たりの含有量を増加させて放出量の増大を図る、皮膚刺激性の軽減のために製剤の小型化を図る等の観点から、上記含有量の範囲を越えて配合させてもよいのは言うまでもない。
【0036】
本発明の貼付材、貼付製剤の形状は特に限定されず、例えばテープ状、シート状等を含む。
本発明の貼付材、貼付製剤の大きさは、特に限定されず、貼付部位、含有する薬物の種類、患者の年齢、体重、症状等により異なるが、通常10〜100cm程度である。
【0037】
本発明の貼付材、貼付製剤は使用前まで密封して保存または運搬等することが好ましい。包装方法としては、例えば、1枚1枚、あるいは数枚の貼付材、貼付製剤を重ねて、包装材料によって包装し、その周囲をヒートシールして密封する方法が挙げられる。この包装材料は、例えばシート状あるいはフィルム状のものが挙げられ、特に限定されるものではないが、包装の容易さや気密性の観点からヒートシール可能なものが望ましく、具体的には、ポリエチレンやサーリン(登録商標)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリアクリロニトリル系共重合体、ポリビニルアルコール系共重合体等のヒートシール性を有するプラスチックシートを用いた包装材料が適している。特に、貼付製剤に含有する経皮吸収性薬物の揮散や分散等を防止するためには、ポリエステルフィルムや金属箔等のガス不透過性フィルムを積層したものを用いるのが好ましい。また、この包装材料としては、通常10μm〜200μmの厚さのものが用いられる。
【0038】
特に活性成分である薬物を含む貼付製剤では、上記包装材料の最内層にバリアー性の高いポリアクリロニトリル系共重合体を用いたものがより好ましい。さらに、本発明の特殊な粘着特性によって、製剤側面からの粘着成分の流れ出しのために、包装からの取り出し性のような取り扱い性の悪化が懸念されるため、包装材料に剥離処理やエンボス加工を施したり、後述のライナー部分を製剤より若干大きくするドライエッジ加工、接触面積が小さくなるように加工したブリスター成型の包装形態等、工夫をするのが好ましい。
【0039】
本発明の貼付材、貼付製剤は、使用時まで粘着剤層の粘着面を保護するため、該粘着面に剥離ライナーを積層するのが好ましい。剥離ライナーとしては、剥離処理され、充分に軽い剥離力を確保できれば、特に限定されるものでは無く、例えば粘着剤層と接触する面にシリコーン樹脂、フッ素樹脂等を塗布することによって剥離処理が施された、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレンテレフタレート等のフィルム、上質紙、グラシン紙等の紙、あるいは上質紙またはグラシン紙等とポリオレフィンとのラミネートフィルム等が用いられる。該剥離ライナーの厚みは、通常10〜200μm、好ましくは25〜100μmである。
薬物を含有する貼付製剤に用いる剥離ライナーは、バリアー性、価格の点からポリエステル(好ましくは、ポリエチレンテレフタレート)樹脂からなるものが好ましい、さらに、この場合、取り扱い性の点から、25〜100μm程度の厚みのものがより好ましい。
【0040】
本発明の貼付材、貼付製剤は、使用直前に上記包装を破る等して取り出し、剥離ライナーを剥がして、露出した粘着面を皮膚面等に貼付して使用することができる。
本発明の貼付材、貼付製剤は、薬物の種類により予め調製された1〜3日の間の所望する期間後に、苦痛や物理的刺激を伴わずに容易に皮膚面より剥離することができる。
4日間以上の貼付では、密封閉塞されることにより引き起こされる刺激等に対処できない場合があり、また、必ずしも充分な接着性を保てるとは限らないため、本発明での貼付期間は3日間までとするのが好ましい。
【実施例】
【0041】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これらの実施例は本発明を限定するものではない。なお、以下において、部および%は重量部、重量%を示す。
実施例1〜12、比較例1〜5
表1〜4の各組成物をトルエンに溶かし溶質濃度35%の塗工溶液を得た。この溶液を乾燥後の塗布厚みが120μmとなるようにシリコーン剥離処理を施したポリエチレンテレフタレート(PET)製ライナーに塗布した。これを熱風循環式乾燥器中で70℃2分、80℃2分、95℃3分乾燥して粘着剤層を得た。この粘着剤層上に、2μm厚PETフィルムと12g/mのPET不織布をポリエステル系接着剤で貼り合わせた支持体の不織布面を積層した。この積層品を室温で2日間養生し本発明の実施例1〜12、及び、比較例1〜5のシート状の貼付材を得た。
なお、見かけの粘度を測定するサンプルは上記の支持体を積層せず、粘着層のみを回収した。
【0042】
以下の表1〜4中、各記号は次のものを示す。
A:第1の合成ゴム 2−メチルプロペン−ポリマー
B:第2の合成ゴム 2−メチルプロペン−ポリマー
T1:タッキファイヤー 40℃における動粘度600mm/sの1,2−ジメチルエチレン−ポリマー
T2:タッキファイヤー 軟化点100℃の脂環族飽和炭化水素樹脂
:シュタウディンガー−インデックス
IPM:ミリスチン酸イソプロピル
ISO:イソステアリルアルコール
【0043】
【表1】

【0044】
【表2】

【0045】
【表3】

【0046】
【表4】

【0047】
なお、物性値の測定は下記の方法で行った。
<シュタウディンガー−インデックスの測定>
シュタウディンガー−インデックス J(cm/g)は以下の条件によりASTM
D445、ISO3104に従って測定した。
粘度計:Ubbelohde Capillary 1
測定温度:20℃
試料濃度
<150:0.01g/cm イソオクタン
150<J<400:0.002g/cm イソオクタン
400<J:0.001g/cm イソオクタン
=ηsp/c(1+0.31ηsp)cm/g (Schulz−Blaschke式)
ηsp=t/t−1
t=溶液のフロータイム(Hagenbach−couette補正式による)
=溶媒のフロータイム(Hagenbach−couette補正式による)
c=溶液の濃度
<動粘度の測定>
JIS K2283およびISO3104によって測定した。
<軟化点の測定>
医薬品添加物規格(109992)によって測定した。
【0048】
試験例1(見かけの粘度測定・粘着力測定)
実施例1〜12、比較例1〜5の貼付材について、下記の方法で、見かけの粘度および粘着力を測定した。結果を表5に示す。
【0049】
<見かけの粘度測定>
JIS K7210に準じて、前述のサンプルをフローテスターCFT−500C(島津製作所製)を用いて下記条件で測定し、下記計算式により算出した。試料密度は1.0g/cmとして計算した。
[測定条件]
試料温度:30℃
シリンダー圧力:30.0kgf/cm
使用したダイ:L:10.00mm、D:1.00mm
予熱時間:300s
見かけのせん断応力:7.36×10dyn/cm
計測開始位置S:3mm
計測終了位置S:7mm
[計算式]
【0050】
【数2】

【0051】
ただし、式中各記号は以下のものを示す。
Q:フローレート
γ:見かけのせん断速度
τ:見かけのせん断応力
η:見かけの粘度
A:ピストン断面積(cm
:計測開始位置(mm)
:計測終了位置(mm)
Δt:ピストンが計測開始位置から終了位置に達するまでの経過時間
D:ダイ穴直径(mm)
P:試験圧力(Pa)
L:ダイ長さ(mm)
<粘着力測定>
ベークライト板に幅12mm、長さ200mmに裁断した帯状のサンプルを貼付し、荷重850gのローラーを1往復させて密着させ、23℃で20分放置した後、23℃60%RHの条件下、テンシロン引っ張り試験機により、180度方向に300mm/分の速度で剥離し、その際の剥離力を測定した。
【0052】
【表5】

【0053】
試験例2<ヒト貼付試験>
実施例1〜12、比較例1〜5の貼付材を、長さ10cmに調製し、ボランティア(n=3)の前腕部内側に貼付した、貼付2時間後、1日後、2日後、3日後に前記試験例1の粘着力測定と同じ条件で剥離力を測定した。ただし、引き剥がし方向は90度方向とした。また、剥離の際に痛いかどうかの確認を行った。なお、結果は剥離力は平均値、痛いかどうかについては多数の意見を採用した。結果を表6に示す。
表6中、剥離時の痛みの欄の○は「痛くない」、△は「少し痛い」、×は「かなり痛い」を示し、「注1」は「凝集破壊で剥離できず」、「注2」は「サンプルが貼付部位から脱落したため測定できず」、「注3」は「凝集破壊激しく、サンプルが破壊(位置ずれ)したため測定しなかった」を示す。
【0054】
【表6】

【0055】
試験例3
上記実施例3の貼付材の粘着剤層に硝酸イソソルビド(ISDN)5%を含有させた貼付製剤を製造し、得られた貼付製剤についてマウス摘出皮膚を用いたインビトロ透過性試験を行ったところ、ISDNの経皮吸収性が確認された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体の片面に粘着剤層が積層されている貼付材であって、
粘着剤層が、流動性の異なる2種の合成ゴムを含有し、かつ、30℃での見かけの粘度が0.2×10〜10×10Pa・sの粘着剤層である貼付材。
【請求項2】
上記粘着剤層が、さらに、タッキファイヤーを含有していてもよい、請求項1記載の貼付材。
【請求項3】
上記粘着剤層が、さらに、上記流動性の異なる2種の合成ゴム、及び上記タッキファイヤーと相溶する有機液剤を含有してなる、請求項2に記載の貼付材。
【請求項4】
上記粘着剤層の全重量に占める有機液剤の割合が、20%以下である、請求項3記載の貼付材。
【請求項5】
流動性の異なる2種の合成ゴムのうちの第1の合成ゴムがシュタウディンガー−インデックスが170〜300cm/gの分岐脂肪族炭化水素であり、かつ、第2の合成ゴムがシュタウディンガー−インデックスが30〜60cm/gの分岐脂肪族炭化水素である、請求項1または2に記載の貼付材。
【請求項6】
分岐脂肪族炭化水素が、2−メチルプロペン−ポリマーである、請求項5記載の貼付材。
【請求項7】
タッキファイヤーが、40℃における動粘度が200〜4000mm/sの、エチルエチレン−ポリマー、1,2−ジメチルエチレン−ポリマーまたはエチルエチレン−1,2−ジメチルエチレン−コポリマーである、請求項2記載の貼付材。
【請求項8】
タッキファイヤーが、軟化点70〜125℃の脂環族飽和炭化水素樹脂である、請求項2記載の貼付材。
【請求項9】
流動性の異なる2種の合成ゴムのうちの第1の合成ゴムと、第1の合成ゴムよりシュタウディンガー−インデックス値が低い第2の合成ゴムと、タッキファイヤーとの配合比が、重量比で、10:12〜20:7〜11である、請求項2記載の貼付材。
【請求項10】
流動性の異なる2種の合成ゴムのうちの第1の合成ゴムと、第1の合成ゴムよりシュタウディンガー−インデックス値が低い第2の合成ゴムと、タッキファイヤーとの配合比が、重量比で、10:12〜20:2〜6である、請求項2記載の貼付材。
【請求項11】
流動性の異なる2種の合成ゴムのうちの第1の合成ゴムと、第1の合成ゴムよりシュタウディンガー−インデックス値が低い第2の合成ゴムと、タッキファイヤーとの配合比が、重量比で、10:25〜45:0〜2である、請求項2記載の貼付材。
【請求項12】
有機液剤が、ミリスチン酸イソプロピルおよび長鎖分岐アルコールから選ばれる少なくとも一つである、請求項3または4に記載の貼付材。
【請求項13】
長鎖分岐アルコールが、イソステアリルアルコールおよびオクチルドデカノールから選ばれる少なくとも一つである、請求項12記載の貼付材。
【請求項14】
有機液剤がミリスチン酸イソプロピルであり、さらに有機液剤として長鎖分岐アルコールが配合されていてもよく、ミリスチン酸イソプロピルと長鎖分岐アルコールの配合比が、重量比で、1:0〜4である請求項12または13に記載の貼付材。
【請求項15】
請求項1〜14記載の貼付材の粘着剤層に、経皮吸収性薬物を含有してなる貼付製剤。

【公開番号】特開2006−75588(P2006−75588A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−215433(P2005−215433)
【出願日】平成17年7月26日(2005.7.26)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】