説明

資料提示装置

【課題】撮像カメラを取り付けた支柱を片手で動かすことができる操作性に優れた資料提示装置を提供する。
【解決手段】資料提示装置1は、回動軸部11に波ワッシャ28による制動力と捩りバネ37による付勢力が作用し、両者を支柱の回動モーメントと拮抗させているから、支柱を任意の前傾角度で停止させることができるいわゆるフリーストップ機構とすることができる。さらに、支柱を前傾姿勢から起立姿勢に戻す際には、捩りバネ37の付勢力のアシストにより、支柱を簡単に起立させることができる。さらに、基台内に錘を装着しているから、支柱を前傾させる際に基台を押さえなくても背面側が浮き上がることがない等、支柱を片手で動かすことができる操作性に優れた資料提示装置を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、資料提示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
基台に回動軸部を設け、該回動軸部から立設して先端に撮像カメラを取り付けた支柱を、起立姿勢と前傾姿勢間で回動させるようにした従来の小型の資料提示装置では、回動軸部に皿バネや波ワッシャ等を用いて支柱が前傾しないように制動力を作用させている(特開平10−191105号参照)。
【0003】
しかしながら、上記のように制動力が作用する従来の資料提示装置では、支柱を前傾させたり前傾した支柱を起立させたりする場合には、基台部分を片方の手で押さえ、もう一方の手で支柱を動かす必要があった。基台を押さずに片手で支柱を動かそうとすると、支柱とともに基台が動いてしまうという不都合があった。
【特許文献1】特開平10−191105号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
解決しようとする問題点は、撮像カメラを取り付けた支柱を片手で動かすことができる操作性に優れた資料提示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記問題点を解決するための請求項1に記載の資料提示装置は、資料を載置するステージと別体の基台に回動軸部を設け、該回動軸部から立設して先端に撮像カメラを取り付けた支柱を、起立姿勢と前傾姿勢間で回動させるようにした資料提示装置において、前記回動軸部の軸支ブラケットに軸支した回動軸に波ワッシャを挿通し、該波ワッシャを回動軸に螺合するナットにより前記軸支ブラケットに締め付けて、該回動軸に対する制動力を作用させ、さらに回動軸には前記支柱が前傾姿勢から起立姿勢に戻る方向の付勢力を作用させる捩りバネを装着して、 前記制動力と付勢力とを支柱の回動モーメントと拮抗させるとともに、前記基台内に錘を装着して、前記支柱の回動操作時に該基台が移動しないようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
請求項1に記載の資料提示装置によれば、回動軸部には波ワッシャによる制動力と捩りバネによる付勢力が作用し、両者を支柱の回動モーメントと拮抗させているから、支柱を任意の前傾角度で停止させることができるいわゆるフリーストップ機構とすることができる。さらに、支柱を前傾姿勢から起立姿勢に戻す際には、捩りバネの付勢力のアシストにより、支柱を簡単に起立させることができる。さらに、基台内に錘を装着しているから、支柱を前傾させる際に基台を押さえなくても背面側が浮き上がることがない等、支柱を片手で動かすことができる操作性に優れた資料提示装置を提供することができる。
【実施例】
【0007】
本発明の実施例について図面を参照して説明する。図1は、実施例に係る資料提示装置1の本体2とステージ100aを結合させた基本形態の斜視図である。本体2は、基台3、支柱13及び撮像カメラ17とから構成されている。基台3は、平面形状が矩形で正面4と背面5には曲成面がそれぞれ形成されている。正面4の下縁の直角の隅角部に図11に示すように、マグネット片6を貼付した位置決め部7が形成されている。
【0008】
また、基台3の内部には、制御回路ユニット8と錘9が装着されている。錘9は後述するように支柱13を前傾させたとき、基台3の背面5側が浮き上がるのを防止するものである。さらに、基台3の背面5には外部機器との電気的接続を確保するための各種の連結ソケット10等が配設されている。基台3の正面4側の曲成面の略中央部には回動軸部11が支承されている。回動軸部11の上面には、支柱立設部12が形成されている。
【0009】
支柱立設部12には、支柱13が挿し込まれて立設されている。支柱13は、中空であって内部にワイヤーハーネス(図示せず。)等を挿通出来るようになっている。支柱13には湾曲部14が形成されている。該湾曲部14の先端は、前記基台3の正面4から離れる方向に突出する水平部15が形成されている。さらに該水平部15の先端には連結部15aが取り付けられている。該連結部15aの先端に中空の回動軸16が形成されている。該回動軸16には、撮像カメラ17が回動可能に取り付けられる。
【0010】
図2〜図4に示すように前記回動軸部11は、左右2個のアルミダイカスト製の部材21,22を合体させたものである。左側の部材21には、左側面に中空軸部23が形成されている。中空軸部23は、先端部に雄ネジ24が形成されている。該中空軸部23は、スペーサ25を嵌めて基台3の内部に固定したブラケット26の軸支孔27に挿通されている。中空軸部23の軸支孔27から突出する部分には、波ワッシャ28と平ワッシャ29を嵌めて、ナット30により両者をブラケット26に締め付けている。
【0011】
右側の部材22には、右側面に軸部31とバネ掛けピン32が形成されている。軸部31は、スペーサ33を嵌めて基台3の内部に固定したブラケット34の軸支孔35に挿通されている。また、バネ掛けピン32は、ブラケット34に軸支孔35と同心に形成した円弧孔36に挿通されている。さらに、軸部31の軸端には捩りバネ37を装着したバネ装着軸38が固定されている。
【0012】
捩りバネ37の一端のフック39は、バネ掛けピン32に掛けられている。他端のフック40は、ブラケット34のバネ掛け部41に掛けられている。この捩りバネ37は、回動軸部11の支柱立設部12に立設される支柱13が、前傾姿勢から起立する方向にトルクを付勢する。ブラケット34には、バネ掛けピン32が当接して支柱13の起立姿勢を規制するストッパ42が設けられている。
【0013】
図5は撮像カメラ17の斜視図である。撮像カメラ17は、共に細長い回動軸支部51とカメラヘッド部52とから構成されている。回動軸支部51は、上下二つ割の円筒状の合成樹脂製の筐体53a,53bで構成されている。また、カメラヘッド部52も同様に上下二つ割の円筒状の合成樹脂製の筐体54a,54bから構成されている。
【0014】
回転軸支部51の下側の筐体53bの基端側の側面には、前記支柱13の水平部15の先端に取り付けた回動軸16が挿し込まれている。該回動軸16は、筐体53bに設けた回動軸受55にネジ止めする締着片56により、該回動軸受55に回動自在に軸支されている。そして、筐体53bには回動軸16の回動角度を90度に規制するストッパ(図示せず。)が設けられている。
【0015】
さらに、筐体53bと回動軸16間には、90度の回動毎に節度感を付与する節度機構(図示せず。)が形成されている。筐体53bの基端側の側端には、中心にオートフォーカスボタン57を組み込んだズームダイヤル58が調整回転可能に取り付けられている。さらに、ズームダイヤル58が取り付けられた側端とは反対側の側端には、連結軸支ブラケット59が取り付けられている。
【0016】
カメラヘッド部52の下側の筐体54bには、撮像カメラ17のカメラ制御回路ユニット60が装着されている。そして、筐体54bの先端部の下面からは、レンズ鏡筒61が突出形成されている。筐体54bの基端側の側端には、連結軸支ブラケット62が取り付けられている。上記筐体53bの連結軸支ブラケット59と、筐体54bの連結軸支ブラケット62間には、中空の連結軸63が挿通され軸支されている。この連結軸63により、カメラヘッド部52は回転軸支部51に対して回動可能に連結される。
尚、撮像カメラ17は、図7に示すようにズームダイヤル58に代えて、操作ノブ64等にすることもできる。
【0017】
前記基台3内に装着された制御回路ユニット6と、カメラ制御回路ユニット61間及びオートフォーカスボタン57を組み込んだズームダイヤル58等の電気的接続を確保するワイヤーハーネス等は、回動軸部11の中空軸部23、支柱13、中空の回動軸16及び連結軸63を通して配線される。
【0018】
上記構成の本体2は、図1及び図8に示す基本形態から、図9の撮像カメラ17の回動軸支部51を回動軸16の回りで回動させて、水平姿勢から垂直姿勢に回動させた形態、及び図10の支柱13を前傾させた形態に変化させることができる。
【0019】
支柱13を前傾させる際には、基台3の内部に装着されている錘9作用により、基台3の背面5側が浮き上がることがない。そして、回動軸部11には波ワッシャ28と平ワッシャ29を介してナット30により、ブラケット26,34間に締め付けて制動力が作用している。また、回動軸部11の軸部31には、前傾した支柱13が起き上がる方向のトルクが捩りバネ37により付勢されている。
【0020】
従って、撮像カメラ17を取りつけた支柱13の回動モーメントと、ナット30の締め付け力及び捩りバネ37の付勢力とを調整して拮抗させることにより、支柱13を任意の前傾角度で停止させることができるいわゆるフリーストップ機構とすることができる。さらに、支柱13を前傾姿勢から起立姿勢に戻す際には、捩りバネ37の付勢力のアシストにより、支柱13を簡単に起立させることができる。
【0021】
図12〜図15は、上記本体2に連結して使用されるステージ100a〜100dを例示したものである。何れのステージ100a〜100dも上面に資料の載置面101が形成されている。また、各ステージ100a〜100dの前縁部には、基台3の位置決め部7に結合する被位置決め部材102が形成されている。被位置決め部材102は、直角の見当部103が形成されている。見当部103の一辺には、磁性片104が貼付されている。
【0022】
上記位置決め部7と被位置決め部材102は、マグネットの吸引力により結合する。このとき、基台3の直角の隅角部と見当部103が当接することにより、各ステージ100a〜100dの載置面101が、上記本体2の基本形態の際の撮像カメラ17の撮像範囲内に対応して、載置面101の中心部と撮像カメラ17の中心部とが合致するように位置決めされる。
【0023】
図12のステージ100aは、載置面101をホワイトボード105としたものである。図13のステージ100bは、載置面101にバックライト照明106を設けたものである。図14のステージ100cは、ステージ部材107a,107bを蝶番(図示しない。)で連結して折り畳できる形態としたものである。図15のステージ100dは、光沢のある資料108である場合に、付属の反射防止シート109を被せるようにしたものである。
【0024】
上記位置決め部7と被位置決め部材102との結合は、雌雄の関係で結合する蟻ほぞ形の突条と蟻溝による嵌め合いで行なってもよい。さらに被位置決め部材102を各ステージ100a〜100dに対して、着脱可能として1個の被位置決め部材102を共通的に使用することもできる。
【0025】
上記実施例に係る資料提示装置1は、回動軸部11に波ワッシャ28による制動力と捩りバネ37による付勢力が作用し、両者を支柱13の回動モーメントと拮抗させているから、支柱13を任意の前傾角度で停止させることができるいわゆるフリーストップ機構とすることができる。さらに、支柱13を前傾姿勢から起立姿勢に戻す際には、捩りバネ37の付勢力のアシストにより、支柱13を簡単に起立させることができる。さらに、基台3内に錘9を装着しているから、支柱13を前傾させる際に基台3を押さえなくても背面5側が浮き上がることがない等、支柱13を片手で動かすことができる操作性に優れた資料提示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】実施例に係る資料提示装置の基本形態を示した斜視図である。
【図2】回動軸部の分解斜視図である。
【図3】回動軸部の断面図である。
【図4】回動軸部の斜視図である。
【図5】撮像カメラの斜視図である。
【図6】撮像カメラの内部を示した斜視図である。
【図7】撮像カメラの他の形態を示した斜視図である。
【図8】本体の1形態を示した斜視図である。
【図9】本体の1形態を示した斜視図である。
【図10】本体の1形態を示した斜視図である。
【図11】位置決め部と被位置決め部を示した要部の斜視図である。
【図12】ステージの1形態を示した斜視図である。
【図13】ステージの1形態を示した斜視図である。
【図14】ステージの1形態を示した斜視図である。
【図15】ステージの1形態を示した斜視図である。
【符号の説明】
【0027】
1 資料提示装置
2 本体
3 基台
4 正面
5 背面
9 錘
11 回動軸部
12 支柱立設部
13 支柱
14 湾曲部
15 水平部
16 回動軸
17 撮像カメラ
21,22 部材
23 中空軸部
24 雄ネジ
25,33 スペーサ
26,34 ブラケット
28 波ワッシャ
30 ナット
31 軸部
37 捩りバネ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
資料を載置するステージと別体の基台に回動軸部を設け、該回動軸部から立設して先端に撮像カメラを取り付けた支柱を、起立姿勢と前傾姿勢間で回動させるようにした資料提示装置において、
前記回動軸部の軸支ブラケットに軸支した回動軸に波ワッシャを挿通し、該波ワッシャを回動軸に螺合するナットにより前記軸支ブラケットに締め付けて、該回動軸に対する制動力を作用させ、
さらに回動軸には前記支柱が前傾姿勢から起立姿勢に戻る方向の付勢力を作用させる捩りバネを装着して、
前記制動力と付勢力とを支柱の回動モーメントと拮抗させるとともに、
前記基台内に錘を装着して、前記支柱の回動操作時に該基台が移動しないようにしたことを特徴とする資料提示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2007−180713(P2007−180713A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−374610(P2005−374610)
【出願日】平成17年12月27日(2005.12.27)
【出願人】(000000424)株式会社エルモ社 (104)
【Fターム(参考)】