説明

資料提示装置

【課題】支柱部の構造を簡単にして操作性や収納性を向上するとともに、収納時の形態をコンパクトにできるようにした資料提示装置を提供する。
【解決手段】支柱13は基台3から立設させた直立部13aと、該直立部13aに連続させて形成した湾曲部14と、該湾曲部14の先端に基台3から離れる手前側に向かって突出する水平部15とから構成したもので、関節部やヒンジ部を有しないから構造が簡単になり、操作性や収納性を向上する。また、支柱13の直立部13aに回動部121を設け、支柱13の水平部15を基台3の上方で水平回動できるから、収納の際に基台3の手前側に突出する水平部15及び撮像カメラヘッド17を、基台3の上方に移動させることができるから、収納時の形態をコンパクトにすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステージの載置面に載置した資料の撮像画像を、モニターやスクリーン等に表示させる資料提示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の資料提示装置として特開平10−191105号公報に、2個の支柱部材の端部に設けた関節部により連結して支柱を構成し、該支柱の先端にはカメラヘッドを回動自在に取り付けた画像入力装置が開示されている。この画像入力装置は、カメラヘッドが所定の定形サイズの原稿撮影に適した高さ位置になるように、各関節部を構成するヒンジ部に複数の指標が設けられている。そして、各ヒンジ部において同一の指標に合わせることで、カメラヘッドの高さを合わせることができるようにしたものである。
【0003】
しかしながら、上記画像入力装置は、カメラヘッドの高さを合わせるために、複数個所のヒンジ部で指標を合わせる必要があり操作性がよくない。さらに、複数の関節部及びヒンジ部を有するため構造が複雑であり、収納作業も面倒となる等の問題点がある。
【特許文献1】特開平10−191105号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記問題点を解決するためになされたもので、支柱部の構造を簡単にして操作性や収納性を向上するとともに、収納時の形態をコンパクトにできるようにした資料提示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記問題点を解決するための請求項1に記載の資料提示装置は、基台と、該基台から直立部を立設させるとともに、該直立部の先端部を湾曲させて、前記基台から離れる手前側に向かって突出する水平部を形成した支柱と、該支柱の水平部の先端に取り付けた撮像カメラヘッドと、前記支柱の直立部に回動部を設け、前記支柱の水平部を水平回動できるようにしたことを特徴とする。
【0006】
また、請求項2に記載の資料提示装置は、請求項1に記載の構成において、前記支柱の水平部の先端に、該水平部の突出方向と同軸の回動軸を設け、該回動軸により前記撮像カメラヘッドを回動自在に軸支したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載の資料提示装置によれば、支柱は基台から立設させた直立部と、該直立部の先端部を湾曲させて、基台から離れる手前側に向かって突出する水平部とから構成したもので、関節部やヒンジ部を有しないから構造が簡単になり、操作性や収納性を向上する。また、支柱の直立部に回動部を設け、支柱の水平部を水平回動できるから、収納の際に基台の手前側に突出する水平部及び撮像カメラヘッドを、基台の上方に移動させることができるから、収納時の形態をコンパクトにすることができる。
【0008】
請求項2に記載の資料提示装置によれば、支柱の水平部の先端に、該水平部の突出方向と同軸の回動軸を設け、該回動軸により撮像カメラヘッドを回動自在に軸支したから、収納の際に基台の手前側に突出する水平部及び撮像カメラヘッドを、基台の上方に移動させることができるとともに、撮像カメラヘッドの姿勢を基台に対して垂直な姿勢にできるから、収納時の形態をよりコンパクトにすることができる。
【実施例】
【0009】
本発明の実施例について図面を参照して説明する。図1は、実施例に係る資料提示装置1の本体2とステージ100を結合させた基本形態の斜視図である。本体2は、基台3、支柱13及び撮像カメラヘッド17とから構成されている。基台3は、平面形状が矩形で正面4と背面5には曲成面がそれぞれ形成されている。正面4の下縁の直角の隅角部に図11に示すように、マグネット片6を貼付した位置決め部7が形成されている。
【0010】
また、基台3の内部には、制御回路ユニット8と錘9が装着されている。錘9は後述するように支柱13を前傾させたとき、基台3の背面5側が浮き上がるのを防止するものである。さらに、基台3の背面5には外部機器との電気的接続を確保するための各種の連結ソケット10等が配設されている。基台3の正面4側の曲成面の略中央部には、支柱13を傾動自在に支持する傾動部11が支承されている。傾動部11の上面には、回動軸支部12を備えた支柱13の回動部121が配設されている。該回動部121については後述する。
【0011】
支柱13は、中空であって内部にワイヤーハーネス(図示せず。)等を挿通出来るようになっている。支柱13には直立部13aが形成され、その先端部に湾曲部14が形成されている。該湾曲部14の先端は、前記基台3の正面4から離れる方向に突出する水平部15が形成されている。さらに該水平部15の先端には連結部15aが取り付けられている。該連結部15aの先端に水平部15の突出方向と同軸の中空の回動軸16が形成されている。該回動軸16には、撮像カメラヘッド17が回動可能に取り付けられる。
【0012】
図2〜図4に示すように前記傾動部11は、アルミダイカスト製の本体部材21と樹脂製のカバー部材22を合着させたものである。そして、本体部材21にカバー部材22を合着させることにより、本体部材21の上面に突出形成した支柱立設片21aとカバー部材の上面に突出形成した支柱立設片22aが合着して前記回動軸支部12が構成される。
【0013】
本体部材21には、左側面に中空軸部23が形成され、右側面に軸部24とバネ掛けピン25が形成されている。中空軸部23は、先端部に雄ネジ26が形成されている。該中空軸部23は、スペーサ27を嵌めて基台3の内部に固定したブラケット28の軸支孔29に挿通されている。中空軸部23の軸支孔29から突出する部分には、波ワッシャ30と平ワッシャ31を嵌めて、ナット32により両者をブラケット28に締め付けている。
【0014】
一方、右側面の軸部24には、スペーサ33を嵌めて基台3の内部に固定したブラケット34の軸支孔35に挿通されている。また、バネ掛けピン25は、ブラケット34に軸支孔35と同心に形成した円弧孔36に挿通されている。さらに、軸部24の軸端には捩りバネ37を装着したバネ装着軸38が固定されている。
【0015】
捩りバネ37の一端のフック39は、バネ掛けピン25に掛けられている。他端のフック40は、ブラケット34のバネ掛け部41に掛けられている。この捩りバネ37は、後述する支柱立設ホルダ124に立設される支柱13が、前傾姿勢から起立する方向にトルクを付勢する。ブラケット34には、バネ掛けピン25が当接して支柱13の起立姿勢を規制するストッパ42が設けられている。
【0016】
上記傾動部11の上面の回動部121は、回動軸支部12の内部にそれぞれ固定した軸受片122a,122bにより形成される軸受122、回動スリーブ123及び支柱立設ホルダ124とから構成される。支柱立設ホルダ124は、下面に回動軸125が一体成形されている。
【0017】
軸受片122a,122bにより形成される軸受122は、合着して回動スリーブ123を回動自在に保持する。回動スリーブ123には、支柱立設ホルダ124の回動軸125が挿通され、両者が締着ネジ126により締着固定される。軸受片122a,122bの周部には、回動スリーブ123の外周に突出する締着ネジ126の頭部127の回動を許容する溝128a,128bが一体成形されている。そして、支柱立設ホルダ124には、支柱13の直立部13aの下端部を挿入して、締着ネジ129により締着固定する。支柱13は、支柱立設ホルダ124を締着した回動スリーブ123が、軸受122により回動自在に保持されるから、支柱立設ホルダ124とともに、直立部13aが回動して水平部15が基台3の上方で水平回動する(図5,6参照)。
【0018】
図7は撮像カメラヘッド17の斜視図である。撮像カメラヘッド17は、共に細長い回動軸支部51とカメラヘッド部52とから構成されている。回動軸支部51は、上下二つ割の円筒状の合成樹脂製の筐体53a,53bで構成されている。また、カメラヘッド部52も同様に上下二つ割の円筒状の合成樹脂製の筐体54a,54bから構成されている。
【0019】
図8に示すように、回転軸支部51の下側の筐体53bの一端部の側面には、前記支柱13の水平部15の先端に取り付けた回動軸16が挿し込まれている。該回動軸16は、筐体53bに設けた回動軸受55にネジ止めする締着片56により、該回動軸受55に回動自在に軸支されている。上記のように回動軸受55の部位を、回転軸支部51の一端部に形成することにより、回動軸受55からカメラヘッド部52の他端部までの距離が、回動軸受55から回転軸支部51の一端部までの距離よりも長くなっている。また、筐体53bには回動軸16の回動角度を90度に規制するストッパ(図示せず。)が設けられている。
【0020】
さらに、筐体53bと回動軸16間には、90度の回動毎に節度感を付与する節度機構(図示せず。)が形成されている。筐体53bの基端側の側端には、中心にオートフォーカスボタン57を組み込んだズームダイヤル58が調整回転可能に取り付けられている。さらに、ズームダイヤル58が取り付けられた側端とは反対側の側端には、連結軸支ブラケット59が取り付けられている。
【0021】
カメラヘッド部52の下側の筐体54bには、撮像カメラヘッド17のカメラ制御回路ユニット60が装着されている。そして、筐体54bの先端部の下面からは、レンズ鏡筒61が突出形成されている。筐体54bの基端側の側端には、連結軸支ブラケット62が取り付けられている。上記筐体53bの連結軸支ブラケット59と、筐体54bの連結軸支ブラケット62間には、中空の連結軸63が挿通され軸支されている。この連結軸63により、カメラヘッド部52は回転軸支部51に対して回動可能に連結される。
尚、撮像カメラヘッド17は、図9に示すようにズームダイヤル58に代えて、操作ノブ64等にすることもできる。
【0022】
前記基台3内に装着された制御回路ユニット8と、カメラ制御回路ユニット60間及びオートフォーカスボタン57を組み込んだズームダイヤル58等の電気的接続を確保するワイヤーハーネス等は、傾動部11の中空軸部23、支柱13、中空の回動軸16及び連結軸63を通して配線される。
【0023】
上記構成の本体2は、図1に示す基本形態から図5に示すように支柱13を90度水平回動させた状態及び図6に示すように支柱13を180度水平回動させるとともに、撮像カメラヘッド17の回動軸支部51を回動軸16の回りで回動させて、水平姿勢から垂直姿勢に回動させた形態に変化させることができる。
【0024】
また、傾動部11を設けたことにより、図10の支柱13を前傾させた形態に変化させることができる。支柱13を前傾させる際には、基台3の内部に装着されている錘9作用により、基台3の背面5側が浮き上がることがない。そして、傾動部11には、波ワッシャ30と平ワッシャ31を介してナット32により、ブラケット26,34間に該傾動部11を締め付けることによりて制動力を作用させている。また、傾動部11の軸部24には、前傾した支柱13が起き上がる方向のトルクが捩りバネ37により付勢されている。
【0025】
従って、撮像カメラヘッド17を取りつけた支柱13の回動モーメントと、ナット32の締め付け力及び捩りバネ37の付勢力とを調整して拮抗させることにより、支柱13を任意の前傾角度で停止させることができるいわゆるフリーストップ機構とすることができる。さらに、支柱13を前傾姿勢から起立姿勢に戻す際には、捩りバネ37の付勢力のアシストにより、支柱13を簡単に起立させることができる。
【0026】
図11は、上記本体2に連結して使用されるステージ100の斜視図である。ステージ100の上面には、資料の載置面101が形成されている。また、ステージ100の前縁部には、基台3の位置決め部7に結合する被位置決め部材102が形成されている。被位置決め部材102は、直角の見当部103が形成されている。見当部103の一辺には、磁性片104が貼付されている(図12参照)。
【0027】
上記位置決め部7と被位置決め部材102は、マグネットの吸引力により結合する。このとき、基台3の直角の隅角部と見当部103が当接することにより、ステージ100の載置面101が、上記本体2の基本形態の際の撮像カメラヘッド17の撮像範囲内に対応して、載置面101の中心部と撮像カメラヘッド17の中心部とが合致するように位置決めされる。
【0028】
上記実施例に係る資料提示装置1によれば、支柱13は基台3から立設させた直立部13aと、該直立部13aに連続させて形成した湾曲部14と、該湾曲部14の先端に基台3から離れる手前側に向かって突出する水平部15とから構成したもので、関節部やヒンジ部を有しないから構造が簡単になり、操作性や収納性を向上する。また、支柱13の直立部13aに回動部121を設け、支柱13の水平部15を基台3の上方で水平回動できるから、収納の際に基台3の手前側に突出する水平部15及び撮像カメラヘッド17を、基台3の上方に移動させることができるから、収納時の形態をコンパクトにすることができる。
【0029】
また、支柱13の水平部15の先端に、該水平部15の突出方向に回動軸16を配置し、該回動軸16により撮像カメラヘッド17を回動自在に軸支したから、収納の際に基台3の手前側に突出する水平部15及び撮像カメラヘッド17を、基台3の上方に移動させることができるとともに、撮像カメラヘッド17の姿勢を基台3に対して垂直な姿勢にできるから、収納時の形態をよりコンパクトにすることができる。その他、ステージ100を使用しない場合には、支柱13が回動できることにより撮像資料の大きさや表示画像の向き等に応じて、基台3の前面若しくは側面にセットでき使い勝手が向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】実施例に係る資料提示装置の基本形態を示した斜視図である。
【図2】傾動部及び回動部の分解斜視図である。
【図3】傾動部及び回動部の断面図である。
【図4】傾動部及び回動部の斜視図である。
【図5】支柱の回動形態を示した斜視図である。
【図6】同じく支柱の回動形態を示した斜視図である。
【図7】撮像カメラヘッドの斜視図である。
【図8】撮像カメラヘッドの内部を示した斜視図である。
【図9】撮像カメラヘッドの他の形態を示した斜視図である。
【図10】支柱の傾動形態を示した斜視図である。
【図11】ステージを示した斜視図である。
【図12】位置決め部と被位置決め部を示した要部の斜視図である。
【符号の説明】
【0031】
1 資料提示装置
2 本体
3 基台
4 正面
11 傾動部
12 回動軸支部
13 支柱
13a 直立部
14 湾曲部
15 水平部
16 回動軸
17 撮像カメラ
121 回動部
122 軸受
123 回動スリーブ
124 支柱立設ホルダ
125 回動軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台と、
該基台から直立部を立設させるとともに、該直立部の先端部を湾曲させて、前記基台から離れる手前側に向かって突出する水平部を形成した支柱と、
該支柱の突出部の先端に取り付けた撮像カメラヘッドと、
前記支柱の直立部に回動部を設け、前記支柱の水平部を水平回動できるようにしたことを特徴とする資料提示装置。
【請求項2】
前記支柱の水平部の先端に、該水平部の突出方向と同軸の回動軸を設け、該回動軸により前記撮像カメラヘッドを回動自在に軸支したことを特徴とする請求項1に記載の資料提示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−193391(P2008−193391A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−25519(P2007−25519)
【出願日】平成19年2月5日(2007.2.5)
【出願人】(000000424)株式会社エルモ社 (104)
【Fターム(参考)】