説明

資料提示装置

【課題】資料提示装置10は、ユーザがモニタ画面の近くで操作することで聴衆に対してプレゼンテーションを多面的かつ効果的に行なうことができ、しかもその操作も簡単である。
【解決手段】資料提示装置10は、表示装置40に表示される映像の映像信号を出力する映像信号制御部50と、リモコンRCとを備えている。映像信号制御部50は、画像センサ31aによる撮影範囲におけるライブ映像を作成する映像信号処理部60と、ハイライト領域のサイズ、輝度差を設定するハイライト設定部と、リモコンRCのハイライト指令部からの指令を受けてハイライト設定部で予め設定された設定値にてライブ映像の一部をハイライト領域に設定してライブ映像を表示装置40に表示するとともに、リモコンRCの位置指令部からの指令を受けてハイライト領域の位置を変更するズーム映像制御部とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、資料をカメラで撮影して画像を生成し、この画像を外部の表示装置に表示する資料提示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
資料提示装置は、特許文献1に記載されているように、カメラで撮影した資料をモニタ画面やプロジェクタに表示して、聴衆にプレゼンテーションを行なう場合などに利用されている。こうした資料提示装置は、資料を多面的に表示し、資料の内容を聴衆に対し効果的かつ簡単にプレゼンテーションできる機能が求められ、例えば、資料の要部を拡大したり強調したりして表示することができる機能が求められている。
【0003】
しかし、従来の資料提示装置では、資料の要部を拡大したり、強調したりするための表示手段として、資料を載置している台やカメラの付近に設置したボタンなどを操作することにより行なう構成や、ユーザが資料の一部にマーカを付したりするなど、資料提示装置の付近で操作を必要としている。このため、ユーザがモニタ画面と離れた箇所で資料を説明することになり、聴衆に対するプレゼンテーションの効果を損ない易く、また、そのボタンなどの操作も面倒であるという課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−301069号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記従来の技術の問題点を解決することを踏まえ、プレゼンテーションの最中に、ハイライト表示を面倒な操作を行なうことがなく、簡単な操作で行なうことができる資料提示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]
適用例1は、資料を撮影する画像センサからの画像信号を処理することで、表示装置に表示される映像の映像信号を出力する映像信号制御部と、該映像信号制御部に無線信号を出力することで上記表示装置に表示される映像を変更することを指令するリモコンとを備えた資料提示装置であって、
上記リモコンは、上記映像の一部をハイライト表示することを指令するハイライト指令部と、上記ハイライト表示の表示位置を表示装置の画面上で移動することを指令する位置指令部とを備え、
上記映像信号制御部は、
上記画像センサによる撮影範囲におけるライブ映像を作成する映像信号処理部と、
上記ライブ映像の一部をハイライト表示するハイライト領域の大きさ、および該ハイライト領域と他の領域との輝度差を含む設定値を予め設定するためのハイライト設定部と、
上記ハイライト指令部からの指令を受けたときに、上記ハイライト設定部で予め設定された設定値にて、上記ライブ映像の一部を信号処理してハイライト領域を作成して表示装置に表示するとともに、上記位置指令部からの指令を受けたときに、上記ハイライト領域の表示位置を変更するハイライト映像表示制御部と、
を備えたこと、を特徴とする。
【0008】
適用例1の資料提示装置において、映像信号制御部が画像センサからの画像信号を信号処理して映像信号を出力することで、表示装置に映像を表示する。また、映像信号制御部は、リモコンからの指令に応じた無線信号を受信することで、表示装置に表示される映像を変更する。すなわち、映像信号制御部のハイライト設定部により、ハイライト領域の大きさ、ハイライト領域と他の領域との輝度差を含む設定値を予め設定しておく。映像信号制御部は、映像信号処理部が画像センサの撮影範囲におけるライブ映像を作成して表示装置に出力しているときに、リモコンのズーム指令部から、ハイライト領域の設定を指令する無線信号を受けると、ハイライト映像表示制御部によりハイライト設定部で予め定められたハイライト領域および輝度差にて、ライブ映像の一部にハイライト領域が設定される。また、ハイライト映像表示制御部は、リモコンの位置指令部からの指令を受けると、ハイライト領域の位置を変更する。すなわち、ユーザは、資料から離れた表示装置の付近で、リモコンのワンタッチの操作により、ライブ映像の一部を他の領域より輝度差を異にした強調表示を行なうことができ、しかもそのハイライト領域を変更することができる。したがって、プレゼンテーションの最中に、ハイライト領域の設定などの面倒な操作を行なうことがなく、簡単な操作でハイライト表示を行なうことができる。
【0009】
また、本発明は、資料提示装置を物の発明で実現しているが、これに限らず、リモコンの無線通信により特殊映像表示を実現する方法の発明により実現してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施例にかかる資料提示装置の概略構成を示す説明図である。
【図2】リモコンを説明する説明図である。
【図3】電子ズーム表示を説明する説明図である。
【図4】静止画像キャプチャ部分表示を説明する説明図である。
【図5】ハイライト表示を説明する説明図である。
【図6】マスキング表示を説明する説明図である。
【図7】マスキング表示の他の態様を説明する説明図である。
【図8】資料提示装置に搭載された映像信号制御部を説明するブロック図である。
【図9】操作パネルおよびモード設定部により設定されるOSDの動作を説明する説明図である。
【図10】OSDの設定を選択するためのインターフェースを説明する説明図である。
【図11】ハイライト表示の範囲設定を説明する説明図である。
【図12】ハイライト表示の透過度の設定を説明する説明図である。
【図13】他の実施例にかかる特殊映像表示を説明する説明図である。
【図14】他の実施例にかかる特殊映像表示を説明する説明図である。
【図15】さらに他の実施例にかかる特殊映像表示を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(1) 資料提示装置10の概略構成:
図1は本発明の一実施例にかかる資料提示装置10の概略構成を示す説明図である。資料提示装置10は、机などに載置される操作本体11と、操作本体11から上方に湾曲して伸びた支柱20と、支柱20の上端に固定されたカメラヘッド30とを備え、さらにこれらに内蔵された映像信号制御部50を制御するリモコンRCなどによって構成されている。
【0012】
操作本体11の上面には、操作パネル12が設けられている。操作パネル12には、電源スイッチ、後述するOSD(オンスクリーンディスプレイ)の操作ボタン、映像の出力先の切り換えを設定する各種ボタン、カメラ映像の明るさを調節するボタンなどが設けられている。また、操作本体11の背面には、図示しないDC電源端子や、アナログRGBの入出力端子、USB端子などの各種の入出力端子が設けられている。
【0013】
カメラヘッド30は、CCD(電荷結合素子)からなる画像センサ31aや光を集光するためのフォーカスレンズやズームレンズを有する撮像部31と、撮像部31に近接して設定された照明ランプ(図示省略)とを備え、さらに、撮像部31のレンズの焦点を調節する焦点ボタン33、光学ズームを設定するズームダイヤル34などを備えている。画像センサ31aは、レンズを介して集光された光を画像信号に変換し、この画像信号を操作本体11の内部に設けられた映像信号制御部50(図8参照)に出力する。映像信号制御部50は、種々の映像処理を施した上で、資料提示装置10に接続された表示装置40に出力する。表示装置40としては、例えば、CRTや液晶ディスプレイ、プロジェクタ、テレビなどを利用することができる。
【0014】
資料提示装置10において、カメラヘッド30の撮像部31により資料Spを撮影し、この画像信号を映像信号制御部50で処理することで、表示装置40に資料を表示する。また、映像信号制御部50は、リモコンRCからの無線信号を受信することで、複数の特殊映像表示を行なう。こうした特殊映像表示として、電子ズーム表示、静止画像キャプチャ部分表示、ハイライト表示およびマスキング表示を備えている。
【0015】
図2はリモコンRCを説明する説明図である。リモコンRCは、各種ボタンを備えており、すなわち、電源ボタンPw、上ボタンDu、下ボタンDd、右ボタンDrおよび左ボタンDlを周囲に配置した方向ボタンRD(位置指令部)、方向ボタンRDの中央部に配置された決定/メニューボタンRNuを備えている。また、特殊映像表示を起動/終了させるためのボタンとして、ハイライトボタンHi(ハイライト指令部)、マスキングボタンMk(マスキング指令部)、ズームボタンZm(ズーム指令部)が図示の横方向に配置され、また、その下方に静止画像キャプチャボタンPi(キャプチャ指令部)が配置され、さらに、戻りボタンRRt、外部メモリや外部コンピュータとの入出力を切り換えるための各種のボタンが配置されている。
【0016】
(2) 特殊映像表示の概略:
次に、特殊映像表示について、資料Sp(図1参照)として複数のアルファベットを記載した紙面を用い、この紙面を撮像して表示装置40上に映像を表示した場合で説明する。
【0017】
(2)−1 電子ズーム表示
図3は電子ズーム表示を説明する説明図である。資料提示装置10は、図3(A)の通常のライブ映像を表示している状態にて、リモコンRCのズームボタンZmが押されると、表示装置40の画面上の中央のズーム領域Z(B)を拡大したライブ映像を図3(B)に示すように表示する。すなわち、表示されるライブ映像は、予めユーザにより設定された倍率で資料の一部を拡大した映像である。また、ズーム領域Zは、リモコンRCの移動操作によって、画面上の任意の位置に変更することができる。例えば、図2の方向ボタンRDの下ボタンDdおよび右ボタンDrを押すことにより図3(C)に示すようなズーム領域Z(C)に変更することができる。さらに、リモコンRCのズームボタンZmが押されると、電子ズーム表示が解除され、図3(A)の表示に戻る。
【0018】
(2)−2 静止画像キャプチャ部分表示
図4は静止画像キャプチャ部分表示を説明する説明図である。資料提示装置10は、図4(A)の通常のライブ映像を表示している状態にて、リモコンRCの静止画像キャプチャボタンPiが押されると、撮像部31からの画像信号が1フレーム分だけ静止画像として一時的に記憶され、さらに、1/4にリサイズされたキャプチャウインドPiWが作成され、ライブ映像に重ね合わされて、表示装置40の画面上の左下に表示される。また、このキャプチャウインドPiWは、リモコンRCの移動操作によって表示装置40の画面上を左上、右上、左下のように移動することができる。例えば、図2の方向ボタンRDの右ボタンDrを押すことにより、図4(C)のように画面の右下に移動することができる。さらに、リモコンRCの静止画像キャプチャボタンPiが押されると、静止画像キャプチャ部分表示が解除され、図4(A)の表示に戻る。
【0019】
(2)−3 ハイライト表示
図5はハイライト表示を説明する説明図である。資料提示装置10は、図5(A)の通常のライブ映像を表示している状態にて、リモコンRCのハイライトボタンHiが押されると、表示装置40の画面上にハイライト領域HRを表示する。このハイライト領域HRは、予めユーザにより設定されたサイズおよび他の領域より輝度が異なる透過率で設定される。また、このハイライト領域HRは、リモコンRCの移動操作によって、画像中の任意の位置に変更することができる。例えば、図2の方向ボタンRDの下ボタンDdを押すことにより図5(C)のように画面の中央下に移動することができる。さらに、リモコンRCのハイライトボタンHiが押されると、ハイライト表示が解除され、図5(C)の表示に戻る。
【0020】
(2)−4 マスキング手段
図6はマスキング表示を説明する説明図である。資料提示装置10は、図6(A)の通常のライブ映像を表示している状態にて、リモコンRCのマスキングボタンMkが押されると、表示装置40の全画面をマスキング領域MRとして表示する。このマスキング領域MRは、予めユーザにより設定された透過率、つまりマスキング領域MRを他の領域に対して輝度を小さくした表示である。また、マスキング領域MRは、リモコンRCの移動操作によって、画面の水平方向へ移動することができる。すなわち、リモコンRCの方向ボタンRDの右ボタンDrを1度押す毎に、図6(C)〜図6(H)のように、マスキング領域MRを所定の幅だけ水平方向に移動することができる。また、方向ボタンRDの左ボタンDlを押すことにより、マスキング領域MRを図6(D)から図6(C)の表示に戻すこともできる。さらに、リモコンRCのマスキングボタンMkが押されると、マスキング表示が解除され、図6(A)の表示に戻る。また、ユーザの設定により、マスキング領域MRは、図7に示すように、垂直方向へ移動する態様にも変更することができる。
【0021】
(3) 資料提示装置10の映像信号制御部50の構成:
図8は資料提示装置10に搭載された映像信号制御部50を説明するブロック図である。映像信号制御部50は、カメラヘッド30の撮像部31の画像センサ31aから入力した画像信号に対して、補間処理、ホワイトバランス処理、ガンマ補正などの種々の処理を施すことで、表示装置40に表示される映像の映像信号を出力する回路である。映像信号制御部50は、映像信号処理部60と、キャプチャ回路70(キャプチャ制御部)と、ハイライト回路80と、マスキング回路82と、ズーム回路84(ズーム映像制御部)と、ビデオDAC86と、リモコンRCからの無線信号を受信する受信部88と、これらの回路などを制御するマイクロコンピュータ90とを備えている。
【0022】
映像信号処理部60は、画像信号の画素に欠落している色成分値を周囲の画素の色成分から生成する補間回路61と、資料の白色部分が白色として再現されるように補正するホワイトバランス回路62と、映像信号のガンマ特性を調整してコントラストを明瞭にするガンマ補正回路63と、色相を補正する色変換回路64と、輪郭を強調するエッジ強調回路65と、データ処理回路66とを備えている。ここで、データ処理回路66は、R(赤)、G(緑)、B(青)の3原色成分(つまり、RGBの色空間)で表示されたRGB画像データを、Y(輝度)、Cb,Cr(色相)(つまり、YCbCrの色空間)で表示されたYCbCr画像データに変換して、輝度や色相を単独で扱うことにより、比較的、画質の劣化を抑えた画像データの圧縮を行なう回路である。この映像信号処理部60の構成により、画像センサ31aによる画像信号に各種の処理を施して、撮影範囲の全体にわたるライブ映像が作成される。
【0023】
キャプチャ回路70は、図4で説明した静止画像キャプチャ部分表示を実現するための回路であり、第1調停回路71と、リサイズ回路72と、第2調停回路73と、一定周期のクロック信号に同期して動作するSDRAMなどからなるメモリ74,75と、画像合成回路76とを備えている。第1調停回路71は、マイクロコンピュータ90からの指令により、画像センサ31aからの画像信号を1フレーム分静止画像データとして取り込む回路である。この静止画像データは、メモリ74に一時的に記憶され、さらに所定のタイミングにより読み出されてリサイズ回路72により1/4のサイズに縮小され、第2調停回路73に送られる。第2調停回路73は、縮小した静止画像データをメモリ75に一時的に保存するとともに、マイクロコンピュータ90からの指令により画像合成回路76に送る。画像合成回路76は、映像信号処理部60から出力されるライブ映像の信号に、画面の1/4サイズの静止画像を重ね合わせて、次段のハイライト回路80に送る。ここで、画像合成回路76は、リモコンRCの方向ボタンの操作によって、マイクロコンピュータ90を介してキャプチャウインドPiWの表示位置を変更できるように構成されている。
【0024】
ハイライト回路80は、図5で説明したライブ映像の一部にハイライト領域HRを設定する信号を作成する回路である。このハイライト領域HRは、後述するように予めユーザにより設定されたサイズ、透過率で設定される。また、このハイライト領域HRは、リモコンRCの方向ボタンRDの操作によって、マイクロコンピュータ90を介して画像中の任意の位置に変更できるように構成されている。
【0025】
マスキング回路82は、図6および図7で説明したライブ映像の一部にマスキング領域を設定する信号を作成する回路である。このマスキング領域MRは、後述するように予めユーザにより設定された方向、透過率で設定される。また、このマスキング領域は、リモコンRCの方向ボタンRDの操作によって、マイクロコンピュータ90を介して画像中の任意の位置に変更することができる。
【0026】
ズーム回路84は、図3で説明したライブ映像の一部を拡大したズーム表示するための信号を作成する回路である。このズーム表示は、予めユーザにより設定された倍率で行なわれる。また、ズームの範囲は、リモコンRCの移動操作によって、マイクロコンピュータ90を介して画像中の任意の位置に変更することができる。
【0027】
ビデオDAC86は、ズーム回路84から出力されたデジタル信号をアナログRGB信号に変換して表示装置40に送る回路であり、このRGB信号によるライブ映像を送るとともに、種々の特殊映像表示も送られる。マイクロコンピュータ90は、CPU91、不揮発性メモリであるFLASHメモリ92、RAM93を備えている。また、CPU91は、後述するOSDを設定するためのモード設定部100を内蔵している。FLASHメモリ92には、上述した各回路や特殊映像表示、OSDを制御するためのプログラムが記録されている。CPU91は、RAMを作業領域として用いつつ、このプログラムを実行する。また、マイクロコンピュータ90は、リモコンRCの受信部88を接続しており、リモコンRCからの信号を受信し、操作パネル12の操作によりCPU91のモード設定部100で設定された設定値を上述した各部に出力して制御する。
【0028】
図9は操作パネル12およびモード設定部100により設定されるOSDの動作を説明する説明図である。OSDは、資料提示装置10に対する種々の設定や操作を行うためのグラフィカルなユーザインタフェースである。操作パネル12には、様々な操作ボタンが配置されており、電源ボタン12Pw、上ボタン12Du、下ボタン12Dd、右ボタン12Drおよび左ボタン12Dlを周囲に配置した方向ボタン12D、方向ボタン12Dの中央部に配置された決定/メニューボタン12Nを備えている。
【0029】
図10はOSDの設定を選択するためのインターフェースを説明する説明図である。いま、決定/メニューボタン12Nを押すと、画面上に、色調やカメラの調整の他に、特殊映像表示の設定項目が表示される。これらを方向ボタン12Dにより適宜選択することにより、特殊映像表示の初期値からの他の設定値への変更を行なうことができる。すなわち、決定/メニューボタン12Nを押すと、「電子ズームモード」、「ハイライトモード」および「マスキングモード」の項目が選択され、これを方向ボタン12Dで選択し、決定/メニューボタン12Nで選択する。ここで、電子ズームモードを選択すると、2倍、3倍、4倍の拡大倍率を選択するための画面が表示され、方向ボタン12Dの操作で選択した後に、決定/メニューボタン12Nを押すことで倍率を決定する。この設定倍率は、CPU91によりRAM93に保存され、リモコンRCのズームボタンZmが押されたときに有効になる。
【0030】
決定/メニューボタン12Nを押した後に、「ハイライトモード」を選択すると、「領域設定」および「透過度」の項目が表示される。ここで、「領域設定」を選択すると、図11(A)に示すように、初期値のハイライト領域HR0が表示される。そして、方向ボタン12Dでサイズを調節することができる。例えば、右ボタン12Drを押すことで、図11(B)のハイライト領域HR1のように横方向のサイズを拡大でき、上ボタン12Duを押すことで、図11(C)のハイライト領域HR2に示すように縦方向のサイズを拡大できる。一方、「透過度」を選択すると、図12に示すように設定画面が表示され、上ボタン12Duまたは下ボタン12Ddの操作によりその値を変更することができる。ここで、透過度は、ハイライト領域を除く領域につき、輝度を低く設定する度合いをいう。つまり、ハイライト領域を除く領域にて、ハイライト領域よりも輝度を下げるとともに、その下げる輝度の数を設定する。例えば、画像を構成する画素毎に0から255までの値をとる輝度値が出力される場合には、0を下限値として各色の画素値から設定値を減算する。こうすることで、ハイライト領域HRがそれ以外の領域に対して相対的に明るく表示されることになる。
【0031】
また、決定/メニューボタン12Nを押した後に、「マスキングモード」を選択すると、「移動方向」および「透過度」の項目が表示される。「移動方向」を選択した場合には「垂直」および「水平」が表示され、「垂直」を選択すると、図6のようにマスキング領域MRが横方向へ移動するモードとなり、「水平」を選択すると、図7のようにマスキング領域が上下方向へ移動するモードとなる。一方、「透過度」を選択すると、ハイライト領域の透過度の設定と同様に、マスキング領域の透過度を設定することができる。
【0032】
(4) 実施例の作用・効果
上記実施例の構成により得られる作用・効果について説明する。
映像信号制御部50の映像信号処理部60は、撮像部31からの画像信号を信号処理することにより、ビデオDAC86を介して表示装置40にライブ映像を表示することができる。そして、ユーザは、資料から離れた表示装置40の付近で、リモコンRCのワンタッチのボタン操作により、以下のような特殊映像表示によって、プレゼンテーションを多面的かつ効果的に行なうことができる。
【0033】
(4)−1 リモコンRCのズームボタンZmを押すと、予め設定された拡大倍率にて、ライブ映像の一部を拡大した映像が表示され、その拡大範囲も方向ボタンRDの操作により移動することができる。しかも、ズーム映像の拡大倍率を予め設定しておくことで、ユーザの設定による種々の要求に対応することができる。
【0034】
(4)−2 リモコンRCの静止画像キャプチャボタンPiを押すと、ライブ映像が縮小されて画面上に静止画像として表示され、しかもその静止画像も方向ボタンRDの操作により移動することができる。
【0035】
(4)−3 リモコンRCのハイライトボタンHiを押すと、予め他の領域と異なる輝度で設定されたハイライト領域が表示され、そのハイライト領域も方向ボタンRDの操作により移動することができる。しかも、ハイライト領域と他の領域との輝度差も予め設定しておくことで、ユーザの設定による種々の要求に対応することができる。
【0036】
(4)−4 リモコンRCのマスキングボタンMkを押すと、予め他の領域と異なる輝度で設定されたマスキング領域MRが表示され、そのマスキング領域MRも方向ボタンRDの操作により移動することができる。しかも、マスキング領域MRと他の領域との輝度差も予め設定しておくことで、ユーザの設定による種々の要求に対応することができる。
【0037】
(5) 他の実施例
この発明は上記実施例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0038】
(5)−1 図13および図14は他の実施例にかかる特殊映像表示を説明する説明図である。本実施例は、静止画像キャプチャ部分表示と電子ズーム表示とを同時に機能させる構成に特徴を有する。すなわち、図13(A)の通常のライブ映像を表示している状態にて、静止画像キャプチャボタンPiが押されると、図13(B)に示すように画面の左下にキャプチャウインドPiWが表示され、ライブ映像の全体が静止画像として表示される。この状態にて、ズームボタンZmを押すと、静止画像を拡大させずに、資料の一部をライブ映像で拡大表示させることができる。これにより、資料の全体を静止画像として確認しつつ、資料の一部をライブ映像で拡大表示させる方法で使用することができる。また、図14(A)に示すように通常のライブ映像を表示している状態にて、ズームボタンZmを押して図14(B)に示すように電子ズーム表示を行ない、さらに静止画像キャプチャボタンPiを押し、さらにズームボタンZmを押すと、図14(C)に示すようにズームした静止画像を表示しつつ、通常のサイズのライブ映像を表示することができる。これにより、資料の全体と要部との関係が分かりやすい方法で使用することができる。
【0039】
(5)−2 図15はさらに他の実施例にかかる特殊映像表示を説明する説明図である。本実施例は、電子ズーム表示につき、ライブ映像の一部を拡大してウインド表示する構成に特徴を有する。すなわち図15(A)の通常のライブ映像を表示している状態から、ズームボタンZmを押すことで、一部をズームしたズームウインドZmWを作成し(図15(B))、これをリモコンRCの方向ボタンRDにより移動させるよう構成にしてもよい(図15C))。この構成により、資料の細かい部分を拡大表示する方法で使用することができる。
【0040】
(5)−3 上記実施例では、OSDの設定を操作本体11の操作パネル12により行なう構成としたが、これに限らず、リモコンRCの操作でOSDの操作を行なってもよい。この場合に、電池がバックアップ電源になり、電源オフの場合にもユーザの設定を保持することができる。
【0041】
(5)−4 ユーザの特殊映像表示につき、ユーザのOSDによる設定として、上述した項目の他に、種々の設定を加えることができ、例えば、マスキングの移動量やキャプチャ静止画像の大きさ、ハイライト表示やマスキング表示においてハイライト領域またはマスキング領域と他の領域との区別を鮮明にするために、色を変更するなどの項目を予め設定できるようにしてもよい。
【0042】
(5)−5 図8において、特殊映像表示を実現するための構成として、キャプチャ回路70、ハイライト回路80、マスキング回路82およびズーム回路84により主に得られているが、これらは、その機能に応じて適宜選択することができる。
【0043】
(5)−6 ソフトウェアによって実現した機能はハードウェアによって実現するものとしてもよいし、その逆もまた可能である。
【符号の説明】
【0044】
10…資料提示装置
11…操作本体
12…操作パネル
12D…方向ボタン
12N…決定/メニューボタン
12Dd…下ボタン
12Dl…左ボタン
12Dr…右ボタン
12Du…上ボタン
12Pw…電源ボタン
20…支柱
30…カメラヘッド
31…撮像部
31a…画像センサ
33…焦点ボタン
34…ズームダイヤル
40…表示装置
50…映像信号制御部
60…映像信号処理部
61…補間回路
62…ホワイトバランス回路
63…ガンマ補正回路
64…色変換回路
65…エッジ強調回路
66…データ処理回路
70…キャプチャ回路
71…第1調停回路
72…リサイズ回路
73…第2調停回路
74,75…メモリ
76…画像合成回路
80…ハイライト回路
82…マスキング回路
84…ズーム回路
86…DACビデオ
88…受信部
90…マイクロコンピュータ
91…CPU
92…FLASHメモリ
93…RAM
100…モード設定部
HR…ハイライト領域
Hi…ハイライトボタン
MR…マスキング領域
Mk…マスキングボタン
PiW…キャプチャウインド
Pi…静止画像キャプチャボタン
Pw…電源ボタン
RC…リモコン
RD…方向ボタン
Dd…下ボタン
Dl…左ボタン
Dr…右ボタン
Du…上ボタン
RNu…決定/メニューボタン
RRt…戻りボタン
Sp…資料
Z…ズーム領域
Zm…ズームボタン
ZmW…ズームウインド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
資料を撮影する画像センサからの画像信号を処理することで、表示装置に表示される映像の映像信号を出力する映像信号制御部と、該映像信号制御部に無線信号を出力することで上記表示装置に表示される映像を変更することを指令するリモコンとを備えた資料提示装置であって、
上記リモコンは、上記映像の一部をハイライト表示することを指令するハイライト指令部と、上記ハイライト表示の表示位置を表示装置の画面上で移動することを指令する位置指令部とを備え、
上記映像信号制御部は、
上記画像センサによる撮影範囲におけるライブ映像を作成する映像信号処理部と、
上記ライブ映像の一部をハイライト表示するハイライト領域の大きさ、および該ハイライト領域と他の領域との輝度差を含む設定値を予め設定するためのハイライト設定部と、
上記ハイライト指令部からの指令を受けたときに、上記ハイライト設定部で予め設定された設定値にて、上記ライブ映像の一部を信号処理してハイライト領域を作成して表示装置に表示するとともに、上記位置指令部からの指令を受けたときに、上記ハイライト領域の表示位置を変更するハイライト映像表示制御部と、
を備えたこと、を特徴とする資料提示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−278509(P2010−278509A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−126291(P2009−126291)
【出願日】平成21年5月26日(2009.5.26)
【出願人】(000000424)株式会社エルモ社 (104)
【Fターム(参考)】