説明

資源再利用装置、処理装置群コントローラ、資源再利用システム、資源再利用方法、及び資源再利用プログラム

【課題】排熱等の使用済み資源を回収して生成した再利用資源を有効活用して、エネルギー消費量の低減も図る。
【解決手段】資源再利用装置6は、被処理体を処理する複数の処理装置それぞれから排出された使用済み資源を回収する資源回収部34,35,36と、 資源回収部で回収された資源から再利用資源を生成する資源生成部31,31,32と、複数の処理装置それぞれの種類と、被処理体の処理工程ごとに複数の処理装置で行われる処理内容と、複数の処理装置の稼働状況および稼働予定とに基づいて、複数の処理装置に再利用資源を振り分ける資源振分部37,38,39,40,41,42と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被処理体を処理する処理装置で使用する資源を再利用する処理装置群コントローラ、資源再利用システム、処理装置群制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ジョブショップ型の生産システムを有する製造工場(例えば、半導体デバイス製造工場や有機ELデバイス製造工場)では、生産実行制御装置(MES: Manufacturing Execution System)により生産の実行が制御されている。このような製造工場では、被処理体を処理する複数の処理装置と、各処理装置へ被処理体を搬送する搬送装置と、搬送装置の動作を制御する搬送制御装置と、被処理体が処理されるべき処理装置を決定し、被処理体の搬送先を搬送制御装置へ指示すると共に、被処理体に対する処理内容を処理装置に指示する生産実行制御装置とを備える資源再利用システムが実用化されている。
【0003】
特許文献1には、被処理体を処理する複数の処理装置と通信する手順と、任意の処理装置間で被処理体を搬送する搬送装置と通信する手順と、被処理体に対する処理を処理装置に指示する生産指示装置と通信する手順とを有するソフトウェアが開示されている。
【0004】
非特許文献1には、工場の生産管理システム(MES)と、MESからの各種指示を受け、搬送装置(OHT: Overhead Hoist Transport)を制御する搬送制御装置(MCS: Material Control System)とが、工場レイアウト等の情報を共有することで、搬送の効率化を図ることができる旨が開示されている。
【0005】
特許文献2には、半導体製造装置から排出される冷却水を加熱源として再利用することにより、半導体製造設備の省エネルギー化を達成し得る排熱利用システムが開示されている。この特許文献2に開示された排熱利用システムでは、熱交換器を介して冷却装置により廃棄されていた半導体製造装置から排出される温冷却水の熱の一部を、他の半導体製造装置の加熱処理用に再利用しており、これにより、半導体製造設備全体の省エネルギー化を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−135275号公報
【特許文献2】再公表特許WO2002/067301公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】SEMI News 2006 Vol.22 No.6
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述した特許文献2に開示されたシステムでは、低温冷却水、中温冷却水および高温冷却水を利用して、冷却水の冷却および加熱を行っているだけであり、個々の半導体製造装置の稼働状況や稼働予定を考慮に入れて、適切な温度の冷却水を供給するような制御は行っていない。
【0009】
また、各半導体製造装置ごと、あるいは処理工程ごとに、必要とする冷却水の水量が異なる場合があるが、上述したシステムでは、水量の制御は一切行っていない。さらに、半導体製造装置によっては、定期的なメンテナンスのために、稼働を停止する場合もあるが、上記システムでは、メンテナンスで稼働を停止するか否かにかかわらず、各半導体製造装置に冷却水を提供しており、冷却水の効率的な供給を行っているとはいえない。
【0010】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、排熱等の使用済み資源を回収して生成した再利用資源を有効活用して、エネルギー消費量の低減も図ることができる資源再利用装置、処理装置群コントローラ、資源再利用システム、資源再利用方法、及び資源再利用プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様では、被処理体を処理する複数の処理装置それぞれから排出された使用済み資源を回収する資源回収部と、
前記資源回収部で回収された資源から再利用資源を生成する資源生成部と、
前記複数の処理装置それぞれの種類と、前記被処理体の処理工程ごとに前記複数の処理装置で行われる処理内容と、前記複数の処理装置の稼働状況および稼働予定とに基づいて、前記複数の処理装置に前記再利用資源を振り分ける資源振分部と、を備える資源再利用装置が提供される。
【0012】
また、本発明の他の一態様では、被処理体を処理する複数の処理装置の種類に関する情報を記憶する処理装置情報記憶部と、
前記被処理体の処理工程ごとに前記複数の処理装置で行われる処理内容に関する情報を記憶する処理内容記憶部と、
前記処理装置情報記憶部および前記処理内容記憶部に記憶された情報と、前記複数の処理装置の稼働状況および稼働予定とに基づいて、資源再利用装置から前記複数の処理装置に供給される再利用資源の振り分けを決定して、決定した振り分けに関する情報を含む制御信号を前記資源再利用装置に供給する振分決定部と、を備えることを特徴とする処理装置群コントローラが提供される。
【0013】
また、本発明の他の一態様では、被処理体を処理する複数の処理装置と、
前記被処理体を前記複数の処理装置に順に搬送する搬送装置と、
前記複数の処理装置から提供される各処理装置の稼働状況および稼働予定に基づいて、前記複数の処理装置の稼働を制御するホストコンピュータと、
前記複数の処理装置それぞれから排出された使用済み資源を利用して生成された再利用資源を前記複数の処理装置に振り分ける資源再利用装置と、
前記複数の処理装置それぞれの種類と、前記被処理体の処理工程ごとに前記複数の処理装置で行われる処理内容と、前記複数の処理装置の稼働状況および稼働予定とに基づいて、前記資源再利用装置での前記再利用資源の振り分けを決定する処理装置群コントローラと、を備えることを特徴とする資源再利用システムが提供される。
【0014】
また、本発明の他の一態様では、被処理体を処理する複数の処理装置それぞれから排出された使用済み資源を回収するステップと、
前記回収された資源から再利用資源を生成するステップと、
前記複数の処理装置それぞれの種類と、前記被処理体の処理工程ごとに前記複数の処理装置で行われる処理内容と、前記複数の処理装置の稼働状況および稼働予定とに基づいて、前記再利用資源の振り分けを決定するステップと、
前記決定した再利用資源の振り分けに従って、前記複数の処理装置に前記再利用資源を振り分けるステップと、を備えることを特徴とする資源再利用方法が提供される。
【0015】
また、本発明の他の一態様では、被処理体を処理する複数の処理装置それぞれから排出された使用済み資源を回収するステップと、
前記回収された資源から再利用資源を生成するステップと、
前記複数の処理装置それぞれの種類と、前記被処理体の処理工程ごとに前記複数の処理装置で行われる処理内容と、前記複数の処理装置の稼働状況および稼働予定とに基づいて、前記再利用資源の振り分けを決定するステップと、
前記決定した再利用資源の振り分けに従って、前記複数の処理装置に前記再利用資源を振り分けるステップと、をコンピュータに実行させることを特徴とする資源再利用プログラムが提供される。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、排熱等の使用済み資源を回収して生成した再利用資源を、複数の処理装置それぞれの種類と、被処理体の処理工程ごとに複数の処理装置で行われる処理内容と、複数の処理装置の稼働状況および稼働予定とに基づいて、複数の処理装置に振り分けるため、使用済み資源を有効活用でき、かつエネルギー消費量も低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態に係る処理装置群コントローラ1を有する資源再利用システムの構成の一例を示したブロック図。
【図2】処理装置2の構成の一例を示したブロック図。
【図3】処理装置群コントローラ7のハードウェア構成の一例を示したブロック図。
【図4】CPU11が実行する制御プログラムの処理手順の一例を示すフローチャート。
【図5】資源再利用装置6の内部構成の一例を示すブロック図。
【図6】資源再利用装置6の処理動作の一例を示すフローチャート。
【図7】処理装置群コントローラ7を階層化した例を示すブロック図。
【図8】共用設備を設けた例を示すブロック図。
【図9】最上位コントローラを設けた例を示すブロック図。
【図10】資源再利用装置を複数の処理搬送群で共用する例を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。以下では一例として、半導体装置の製造に利用される資源再利用システムについて説明するが、本発明が処理対象とする被処理体は、必ずしも半導体装置に限定されるものではない。
【0019】
本実施形態では、複数の処理装置のそれぞれから排出される排熱、排ガスおよび廃水等の使用済み資源を利用して再利用資源を生成して、その再利用資源を複数の処理装置で再利用することを念頭に置いている。ここで、資源とは、必ずしも排熱、排ガスおよび廃水に限定されるものではなく、被処理体の処理に利用され、かつ再利用可能な物質であれば、その具体的な内容は問わない。
【0020】
図1は本発明の実施形態に係る処理装置群コントローラ1を有する資源再利用システムの構成の一例を示したブロック図である。図1の資源再利用システム1は、被処理体を処理する複数の処理装置2と、被処理体を複数の処理装置2に順に搬送する複数の搬送装置3と、これら搬送装置3を制御する搬送制御装置4と、複数の処理装置2の稼働を制御するホストコンピュータ(以下、ホストと呼ぶ)5と、複数の処理装置2それぞれから排出された使用済み資源に基づいて生成された再利用資源を複数の処理装置2に振り分ける資源再利用装置6と、ホスト5から供給された複数の処理装置2の稼働計画に基づいて資源再利用装置6での再利用資源の振り分けを決定する処理装置群コントローラ7と、を備える。
【0021】
処理装置2のそれぞれには、処理装置2に付帯する設備8が接続されている。本実施形態では、複数の処理装置2と、これら処理装置2に接続された複数の設備8とを合わせた構成を処理装置群9と呼ぶ。また、本実施形態では、一つ処理装置群9と、資源再利用装置6と、搬送装置3と、搬送制御装置4とを合わせた構成を処理搬送群10と呼ぶ。
【0022】
ホスト5は、いわゆるMES(Manufacturing Execution System)を構成しており、製造されるべき製品の種類、仕様等に応じて生産計画を作成するスケジューラモジュールや、作成した生産計画にしたがって被処理体が処理されるべき処理装置2を特定し、被処理体に対する処理条件(レシピ)を複数の処理装置2へ指示すると共に、搬送計画を搬送制御装置4へ指示するディスパッチャモジュール等を有する。ここで、搬送計画とは、被処理体を処理装置2へ搬入するタイミングや、処理装置2で処理された被処理体を搬出するタイミングを規定したものである。また、ホスト5は、各処理装置2から後述する稼働予定を受信し、搬送計画及び各処理装置2の稼働予定を処理装置群コントローラ7へ送信する。
【0023】
複数の処理装置2は、例えば、有機ELデバイス製造用のガラス基板や、半導体デバイス等製造用のシリコンウェーハ等の被処理体を処理するプラズマCVD装置、プラズマエッチング装置、スパッタリング装置、およびPVD装置等であり、具体的な処理内容は問わない。
【0024】
1つの処理装置群9内の複数の処理装置2は同じ種類の装置であってもよいし、一連の処理シーケンスに対応した別種類の装置でもよい。
【0025】
各処理装置2には、部品の交換、クリーニング、定期点検等のメンテナンスが行われる時期が稼働予定として設定されている。各処理装置2は、この稼働予定をホスト5に通知する。
【0026】
各処理装置2に付帯する設備8は、例えば、処理装置2のチャンバ内を所望の真空度にする真空ポンプや、処理装置2から排出されたガスを除害する除害装置である。
【0027】
処理装置2は、チャンバ内を所定の温度に設定したり、チャンバ内に所定成分のガスを供給したり、被処理体への処理が終了した後に洗浄したりしなければならず、各処理装置2には、熱、ガスおよび水等の資源を供給する必要がある。
【0028】
本実施形態では、これらの資源を各処理装置2および各設備8で使用した後に回収して、再利用することを特徴としている。
【0029】
各処理装置2で使用した熱、ガスおよび水等の資源は、それぞれ別個の配管を介して、資源再利用装置6に送られる。
【0030】
図2は処理装置2の構成の一例を示したブロック図である。処理装置2は、例えば、マルチチャンバ式の基板処理システムである。処理装置2は、被処理体Wを収容するFOUP(Front Open Unified Pod)を受け渡しするためにFOUPが載置される第1及び第2ロードポート(LP: Load Port)22a、22bが設けられたロードモジュール(LM: Load Module)23を備える。ロードモジュール23には、ロードロックモジュール(LLM: Load Lock Module)24a、24bを介してトランスファーモジュール(TM: Transfer Module)25が接続されている。トランスファーモジュール25が有する真空ロボット(図示せず)は、ロードロックモジュール24a、24bを通じて搬入された被処理体Wをプロセスモジュール(PM: Process Module)26a〜26dへ搬送する。プロセスモジュール26a〜26dは、レシピに基づいて、被処理体Wに所定の処理を施す。処理された被処理体Wは、搬入とは逆の経路を辿って第1ロードポート22a又は第2ロードポート22bに載置されたFOUPに回収され、FOUP単位で搬出される。
【0031】
図2に示すマルチチャンバ式の基板処理システムでは、プロセスモジュール26a〜26d及びトランスファーモジュール25が常に真空状態に保持されており、ロードロックモジュール24a、24bとトランスファーモジュール25とはゲートバルブ(図示せず)で仕切られる。ロードロックモジュール24a、24bが真空になった状態でゲートバルブが開かれて、被処理体Wが、プロセスモジュール26a〜26dとロードロックモジュール24a、24bとの間で搬送される。設備8である真空ポンプが、ロードロックモジュール24a、24bの真空引きを行う。
【0032】
搬送装置3は、例えば、天井又は床上に設置された軌道を走行する搬送シャトル、所定のルートを走行する無人搬送車等であり、FOUPを搬送する。搬送装置3は、搬送制御装置4から与えられた指示に基づいて、複数の処理装置2と、FOUPを保管しているストッカとの間を移動し、FOUPに収容された被処理体を搬送する。
【0033】
搬送制御装置4は、いわゆるMCS(Material Control System)を構成しており、ホスト5から与えられた搬送計画に基づいて、搬送装置3の動作を制御する。ホスト5は、各処理装置2から提供された各装置の稼働状況と稼働予定に基づいて、搬送計画を作成して、搬送制御装置4に供給する。
【0034】
図3は処理装置群コントローラ7のハードウェア構成の一例を示したブロック図である。処理装置群コントローラ7は、CPU(中央演算処理装置2)11、ディスク装置12、メインメモリ13、及びネットワークインタフェース14を備える。処理装置群コントローラ7の各部はバス15を介して接続されている。ディスク装置12は、CPU11により実行される制御プログラム16と、被処理体を処理する複数の処理装置2の種類に関する情報を記憶する処理装置情報記憶部17と、被処理体の処理工程ごとに複数の処理装置2で行われる処理内容を記憶する処理内容記憶部18と、を格納する。
【0035】
なお、制御プログラム16は、ディスク装置12でなく、ROMや磁気テープ(共に図示せず)に格納されていてもよい。
【0036】
CPU11は、ディスク装置12内の制御プログラム16をメインメモリ13にロードして実行する。CPU11は、複数の処理装置2の稼働状況および稼働予定に基づいて、資源再利用装置6から複数の処理装置2に供給される再利用資源の振り分けを決定して、決定した振り分けに関する情報を含む制御信号を資源再利用装置6に供給する振分決定部として機能する。
【0037】
図4はCPU11が実行する制御プログラムの処理手順の一例を示すフローチャートである。まず、処理装置情報記憶部17にアクセスして、処理装置群9を構成する複数の処理装置2それぞれがどのような種類で、どのような機能を持っているかを把握する(ステップS1)。
【0038】
次に、処理内容記憶部18にアクセスして、被処理体の処理工程ごとに、複数の処理装置2が行う具体的な処理内容を把握する(ステップS2)。
【0039】
次に、各処理装置2から送られてきた各処理装置2の稼働状況に基づいて、近いうちにメンテナンスに入る処理装置2が存在するかどうかを検出する(ステップS3)。
【0040】
次に、ステップS1およびS2で把握した情報と、ステップS3で検出した情報と、ホスト5で生成した各処理装置2の稼働計画とに基づいて、資源再利用装置6から各処理装置2に供給される再利用資源の振り分けを決定し、決定した振り分けの情報を含む制御信号を資源再利用装置6に供給する(ステップS4)。
【0041】
このとき、近いうちにメンテナンスのために稼働停止になる予定の処理装置2については、熱、ガスおよび水等の再利用資源を資源再利用装置6から供給する必要はないため、再利用資源を供給しない旨の情報を制御信号に含める。
【0042】
また、処理装置群コントローラ7に、ホスト5から搬送計画が送信されて来ない場合、処理装置群9の処理装置2の使用予定がないものと判定し、対応する処理装置2に再利用資源を振り分けないようにしてもよい。
【0043】
さらに、処理装置群コントローラ7に、ホスト5から一部の処理装置2の稼働状況が送信されてこない場合も、その処理装置2に再利用資源を振り分けないようにしてもよい。
【0044】
処理装置2は、稼働状況の変更に伴い、現在の稼働状況をホスト5に通知する機能を有している。処理装置2の稼働状況として、例えば、ラン状態(被処理体の処理を行っている状態)、レディ状態、アイドル状態がある。処理装置群コントローラ7は、ホスト5から各処理装置2の稼働状況を取得し、ホスト5から搬送計画が送信されて来ない場合に、各処理装置2の稼働履歴(過去の稼働状況)に基づいて、各処理装置2に再利用資源を供給するか否かを決定するようにしてもよい。例えば、処理装置群コントローラ7は、処理装置2の稼働履歴からこの処理装置2で当分の間は処理が行われないと予測される場合、この処理装置2に対する再利用資源の供給を停止することを決定する。
【0045】
図5は資源再利用装置6の内部構成の一例を示すブロック図である。図5の資源再利用装置6は、各処理装置2から排出された排熱、排ガスおよび廃水等の使用済み資源を回収して再利用資源を生成し、この再利用資源を各処理装置2に振り分ける処理を行う。
【0046】
図5の資源再利用装置6は、排熱を利用して所定の温度を生成する熱交換器31と、排ガスに含まれる特定の成分のガスを抽出する特定ガス抽出器32と、廃水を浄化して純度を向上させた中水を生成する浄化器33と、各処理装置2から排出された排熱を熱交換器31まで伝送する排熱伝送配管34と、各処理装置2から排出された排ガスを特定ガス抽出器32まで伝送する排ガス伝送配管35と、各処理装置2から排出された廃水を浄化器33まで伝送する廃水伝送配管36と、熱交換器31で生成した熱を各処理装置2に供給する再利用熱伝送配管37と、特定ガス抽出器32で抽出したガスを各処理装置2に供給する再利用ガス伝送配管38と、浄化器33で生成した中水を各処理装置2に供給する再利用水伝送配管39と、再利用熱伝送配管37に取り付けられて各処理装置2に供給する熱量を個別に調整可能な熱用調整バルブ40と、再利用ガス伝送配管38に取り付けられて各処理装置2に供給するガス量を個別に調整可能なガス用調整バルブ41と、再利用水伝送配管39に取り付けられて各処理装置2に供給する水量を個別に調整可能な水用調整バルブ42と、これらバルブを調整する再利用コントローラ43とを有する。
【0047】
図5の排熱伝送配管34、排ガス伝送配管35および廃水伝送配管36が資源回収部に対応し、熱交換器31、特定ガス抽出器32および浄化器33が資源生成部に対応する。また、再利用熱伝送配管37、再利用ガス伝送配管38、再利用水伝送配管39、熱用調整バルブ40、ガス用調整バルブ41および水用調整バルブ42が資源振分部に対応する。このうち、再利用熱伝送配管37、再利用ガス伝送配管38および再利用水伝送配管39が資源供給路に対応し、熱用調整バルブ40、ガス用調整バルブ41および水用調整バルブ42が資源調整部に該当する。
【0048】
熱交換器31では、排熱を空気に混合させた状態で、特定の温度になるように昇温または降温させる。場合によっては、熱交換器31で複数種類の温度の空気を生成して、別個の配管で各処理装置2に供給してもよい。
【0049】
特定ガス抽出器32は、例えば排ガスに含まれる高価な希ガス(例えばクリプトンやキセノンなど)を抽出する。
【0050】
浄化器33は、廃水から不純物を除去して純度を高めることを目的としており、純水を必要とする場合には利用できないが、それほど純度が高くなくてもよい場合に利用することを想定している。
【0051】
図6は資源再利用装置6の処理動作の一例を示すフローチャートである。熱交換器31は各処理装置2からの排熱を回収し、特定ガス抽出器32は各処理装置2からの排ガスを回収し、浄水器は各処理装置2からの廃水を回収する(ステップS11)。
【0052】
次に、処理装置群コントローラ7は、ホスト5を介して送られてくる各処理装置2の稼働状況および稼働予定に基づいて制御信号を生成する。この制御信号が送られてくると、再利用コントローラ43は、熱用調整バルブ40、ガス用調整バルブ41および水用調整バルブ42を調整するための調整信号を生成する(ステップS12)。
【0053】
例えば、近いうちにメンテナンスのために稼働停止になる処理装置2については、熱、ガスおよび水の再利用資源を供給しないように、再利用コントローラ43は調整信号を生成する。これにより、再利用資源を必要とする処理装置2のみに再利用資源を提供でき、再利用資源の有効活用とエネルギー消費量の低減を図ることができる。
【0054】
次に、熱用調整バルブ40、ガス用調整バルブ41および水用調整バルブ42は、再利用コントローラ43からの調整信号に基づいて、再利用資源を各処理装置2に振り分ける(ステップS13)。
【0055】
図6の資源再利用装置6は、排熱、排ガスおよび廃水の再利用を行う例を説明したが、排熱、排ガスおよび廃水のすべてを再利用する必要はなく、例えば排熱のみ再利用してもよい。また、上述したように、排熱、排ガスおよび廃水以外の資源(例えば、特定の材料からなる溶媒など)を再利用してもよい。
【0056】
図1の資源再利用システム1では、1つの処理装置群コントローラ7が1つの処理装置群9に含まれる複数の処理装置2の運転状態の切り替えを行っていたが、図7の資源再利用システム1aに示すように、複数の処理搬送群10と、これらに対応する複数の処理装置群コントローラ7とを設け、さらに、処理装置群コントローラ7とホスト5との間で情報の送受信を行う上位コントローラ50を設けてもよい。なお、図7では、搬送装置3および搬送制御装置4の図示を省略している。
【0057】
例えば、上位コントローラ50は、ホスト5からある処理装置群9に含まれる複数の処理装置2の稼働予定を受信すると、その処理装置群9に含まれる複数の処理装置2の稼働予定を、対応する処理装置群コントローラ7へ送信する。同様に、上位コントローラ50は、他の処理装置群9に含まれる複数の処理装置2の稼働予定を、対応する処理装置群コントローラ7へ送信し、その処理装置群9に含まれる複数の処理装置2の稼働予定を、対応する処理装置群コントローラ7へ送信する。
【0058】
また、図8の資源再利用システム1bに示すように、処理装置群9に含まれる複数の処理装置2が共用する共用設備51が設けられている場合、上位コントローラ50が、共用設備51の使用調停や、運転状態の切り替えを行ってもよい。
【0059】
例えば、上位コントローラ50は、共用設備51の運転負荷が所定値以上となった場合に、処理装置群9に対して共用設備51の使用可否を指示し、共用設備51に過大な負荷がかからないようにする。
【0060】
また、例えば、上位コントローラ50は、搬送計画と、処理装置群9に含まれる複数の処理装置2の稼働予定とを比較し、すべての処理装置2がメンテナンス直前の処理を終了し、メンテナンスを待っている状態となった時に、共用設備51をアイドル状態に切り替える。このことにより、共用設備51を効率良く計画的に利用することができる。
【0061】
図7に示した例では、上位コントローラ50及び処理装置群コントローラ7の2階層のコントローラを設けていたが、コントローラの階層を3以上としてもよい。図9は、3階層のコントローラを設けた資源再利用システム1cの概略構成を示しており、ホスト5と通信する最上位コントローラ52と、複数の処理搬送群10Aに含まれる各処理装置2の運転状態の切り替えを行う複数の処理装置群コントローラ7Aと、複数の処理搬送群10Bに含まれる各処理装置2の運転状態の切り替えを行う複数の処理装置群コントローラ7Bと、最上位コントローラ52と複数の処理装置群コントローラ7Aとの間で情報の送受信を行う上位コントローラ50Aと、最上位コントローラ52と複数の処理装置群コントローラ7Bとの間で情報の送受信を行う上位コントローラ50Bとが設けられている。
【0062】
例えば、図9では不図示の共用設備を共用する複数の処理搬送群10Aを一つのグループとし、同様に他の共用設備を共用する複数の処理搬送群10Bを別の一つのグループとし、各グループごとに上位コントローラ50A、50Bを設け、複数の上位コントローラ50A、50Bとホスト5との間に最上位コントローラ52を設けることで、グループ単位で共用設備の計画的利用や使用調停等を行うことができる。
【0063】
上述した図7〜図9では、各処理搬送群10の内部に資源再利用装置6を設けて、一つの処理搬送群10の内部でのみ、再利用資源の振り分けを行っている。これに対して、図10の資源再利用システム1dに示すように、複数の処理搬送群10に対して再利用資源の振り分けを行ってもよい。
【0064】
図10の場合、処理搬送群10の内部には資源再利用装置6は設けられず、複数の処理搬送群10で一つの資源再利用装置6を共用する。この場合、上位コントローラ50は、複数の処理搬送群10に含まれるすべての処理装置2の稼働状況と稼働予定に基づいて、各処理装置2への再利用資源の振り分けを決定し、決定した振分情報を含む制御信号を資源再利用装置6に提供する。資源再利用装置6は、上位コントローラ50から提供された制御信号に基づいて、複数の処理搬送群10内の各処理装置2に再利用資源を割り振る。
【0065】
このように、本実施形態では、複数の処理装置2が排出した排熱等の使用済み資源を回収して再利用資源を生成し、その再利用資源を複数の処理装置2の稼働状況と稼働予定に基づいて各処理装置2に割り分けるため、資源の有効利用を図ることができるとともに、エネルギー消費量を低減することができる。
【0066】
上述した実施形態で説明した処理装置群コントローラ7及びホスト5の少なくとも一部は、ハードウェアで構成してもよいし、ソフトウェアで構成してもよい。ソフトウェアで構成する場合には、処理装置群コントローラ7及びホスト5の少なくとも一部の機能を実現するプログラムをフレキシブルディスクやCD−ROM等の記録媒体に収納し、コンピュータに読み込ませて実行させてもよい。記録媒体は、磁気ディスクや光ディスク等の着脱可能なものに限定されず、ハードディスク装置やメモリなどの固定型の記録媒体でもよい。
【0067】
また、処理装置群コントローラ7及びホスト5の少なくとも一部の機能を実現するプログラムを、インターネット等の通信回線(無線通信も含む)を介して頒布してもよい。さらに、同プログラムを暗号化したり、変調をかけたり、圧縮した状態で、インターネット等の有線回線や無線回線を介して、あるいは記録媒体に収納して頒布してもよい。
【0068】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0069】
1 資源再利用システム、2 処理装置、3 搬送装置、4 搬送制御装置、5 ホストコンピュータ、6 資源再利用装置、7 処理装置群コントローラ、8 設備、9 処理装置群、10 処理搬送群、11 CPU、12 ディスク装置、16 制御プログラム、17 処理装置情報記憶部、18 処理内容記憶部、31 熱交換器、32 特定ガス抽出器、33 浄化器、34 排熱伝送配管、35 排ガス伝送配管、36 廃水伝送配管、37 再利用熱伝送配管、38 再利用ガス伝送配管、39 再利用水伝送配管、40 熱用調整バルブ、41 ガス用調整バルブ、42 水用調整バルブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理体を処理する複数の処理装置それぞれから排出された使用済み資源を回収する資源回収部と、
前記資源回収部で回収された資源から再利用資源を生成する資源生成部と、
前記複数の処理装置それぞれの種類と、前記被処理体の処理工程ごとに前記複数の処理装置で行われる処理内容と、前記複数の処理装置の稼働状況および稼働予定とに基づいて、前記複数の処理装置に前記再利用資源を振り分ける資源振分部と、を備える資源再利用装置。
【請求項2】
前記資源振分部は、
前記資源生成部で生成された前記再利用資源を前記複数の処理装置に供給するための複数の資源供給路と、
前記複数の資源供給路のそれぞれに取り付けられ、対応する資源供給路を通過する前記再利用資源の量を前記複数の処理装置の稼働状況および稼働予定に基づいて調整する資源調整部と、を有することを特徴とする請求項1に記載の資源再利用装置。
【請求項3】
前記使用済み資源および前記再利用資源は、排熱、排ガスおよび廃水の少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の資源再利用装置。
【請求項4】
前記資源生成部は、排熱を利用して所定の温度の熱を生成する熱交換器と、排ガスに含まれる特定の成分のガスを抽出する特定ガス抽出器と、廃水を浄化して純度を向上させた中水を生成する浄化器と、の少なくとも一つを有することを特徴とする請求項3に記載の資源再利用装置。
【請求項5】
被処理体を処理する複数の処理装置の種類に関する情報を記憶する処理装置情報記憶部と、
前記被処理体の処理工程ごとに前記複数の処理装置で行われる処理内容に関する情報を記憶する処理内容記憶部と、
前記処理装置情報記憶部および前記処理内容記憶部に記憶された情報と、前記複数の処理装置の稼働状況および稼働予定とに基づいて、資源再利用装置から前記複数の処理装置に供給される再利用資源の振り分けを決定して、決定した振り分けに関する情報を含む制御信号を前記資源再利用装置に供給する振分決定部と、を備えることを特徴とする処理装置群コントローラ。
【請求項6】
被処理体を処理する複数の処理装置と、
前記被処理体を前記複数の処理装置に順に搬送する搬送装置と、
前記複数の処理装置から提供される各処理装置の稼働状況および稼働予定に基づいて、前記複数の処理装置の稼働を制御するホストコンピュータと、
前記複数の処理装置それぞれから排出された使用済み資源を利用して生成された再利用資源を前記複数の処理装置に振り分ける資源再利用装置と、
前記複数の処理装置それぞれの種類と、前記被処理体の処理工程ごとに前記複数の処理装置で行われる処理内容と、前記複数の処理装置の稼働状況および稼働予定とに基づいて、前記資源再利用装置での前記再利用資源の振り分けを決定する処理装置群コントローラと、を備えることを特徴とする資源再利用システム。
【請求項7】
それぞれが前記複数の処理装置と、前記搬送装置と、前記資源再利用装置とを含み、対応する前記処理装置群コントローラにより制御される複数の処理搬送群と、
前記複数の処理搬送群のそれぞれに対応する複数の前記処理装置群コントローラを統括的に制御する上位コントローラと、を備えることを特徴とする請求項6に記載の資源再利用システム。
【請求項8】
それぞれが前記複数の処理装置と、前記搬送装置とを含み、対応する前記処理装置群コントローラにより制御される複数の処理搬送群と、
前記複数の処理搬送群のそれぞれに対応する複数の前記処理装置群コントローラを統括的に制御する上位コントローラと、を備え、
前記資源再利用装置は、前記複数の処理装置群コントローラのそれぞれが決定した前記再利用資源の振り分けに基づいて、前記複数の処理搬送群内のすべての処理装置に対して、前記再利用資源を振り分けることを特徴とする請求項6に記載の資源再利用システム。
【請求項9】
被処理体を処理する複数の処理装置それぞれから排出された使用済み資源を回収するステップと、
前記回収された資源から再利用資源を生成するステップと、
前記複数の処理装置それぞれの種類と、前記被処理体の処理工程ごとに前記複数の処理装置で行われる処理内容と、前記複数の処理装置の稼働状況および稼働予定とに基づいて、前記再利用資源の振り分けを決定するステップと、
前記決定した再利用資源の振り分けに従って、前記複数の処理装置に前記再利用資源を振り分けるステップと、を備えることを特徴とする資源再利用方法。
【請求項10】
被処理体を処理する複数の処理装置それぞれから排出された使用済み資源を回収するステップと、
前記回収された資源から再利用資源を生成するステップと、
前記複数の処理装置それぞれの種類と、前記被処理体の処理工程ごとに前記複数の処理装置で行われる処理内容と、前記複数の処理装置の稼働状況および稼働予定とに基づいて、前記再利用資源の振り分けを決定するステップと、
前記決定した再利用資源の振り分けに従って、前記複数の処理装置に前記再利用資源を振り分けるステップと、をコンピュータに実行させることを特徴とする資源再利用プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−115117(P2013−115117A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−257685(P2011−257685)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】