説明

資金移動処理システム、資金移動処理方法、及び資金移動処理プログラム

【課題】口座毎に異なる金利条件が設定されている複数の口座が属する口座グループにおいて、最も有利な金利条件が設定されている口座を階層構造の最上位口座として資金移動処理を実行することで、当該口座グループ内で最適な金利条件の適用ができること。
【解決手段】口座グループの中で最も有利な金利条件が設定されている口座を選択し、選択された口座を上位口座とし、当該上位口座以外の口座を当該上位口座に対する下位口座として階層化し、下位口座のそれぞれに対して定められたターゲットバランスとなるように残高を調整した場合の利息を、少なくとも上位口座について設定されている金利条件に基づき計算する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の口座間で資金移動処理を実行するための資金移動処理システム、資金移動処理方法、及び資金移動処理プログラムに関し、特に、口座毎に設定されている金利条件に基づいて、最適化した階層構造に基づき資金移動処理を実行する資金移動処理システム、資金移動処理方法、及び資金移動処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、企業グループや企業内において複数の口座を設けている場合に、複数の口座間で資金を移動させ、各口座にある資金を効率的に活用することが求められている。また、企業グループ等における口座は、統括口座を頂点にその他の口座がそれぞれ関連付けられて階層構造を構成している。
【0003】
このような場合に、統括口座に対して資金を集中させて一元管理するシステムが提案されている(例えば、特許文献1)。特許文献1に開示されたシステムでは、企業グループの統括会社に設けた統括口座(集中口座)と、グループ所属各会社のプーリング口座とを連携させ、これらのプーリング口座の残高を一定額に調整するゼロバランス処理を行うことにより各会社の資金の一括管理を図るものである。さらに、特許文献1では、集中口座内に、仮想口座として各会社の社員の社内預金口座を開設し、当該社内預金口座の取引乃至残高を集中口座に取り込むことにより、社内預金口座の取引を各会社の口座と共に総合的に管理すると共に、集中口座の取り扱い資金を増大させるものである。
【特許文献1】特開2005−107853号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、親口座である集中口座と、その子口座であるプーリング口座という口座の階層構造が固定されたものとなるため、集中口座へ集中された資金の取り扱いには、集中口座に設定された金利条件(余剰資金に対する預金金利、又は不足資金に対する貸越金利)が適用されることとなる。そのため、グループ所属各会社の口座毎に設定された金利条件の内、必ずしも一番有利な金利とはならず、結果として、当該企業グループにとって不利益な場合がある。金利条件は、その企業が口座を有する国の市場相場、及び、その企業の信用力で決定されるため、グループ所属各会社の口座毎に異なる設定がされ、日々、変動するものだからである。
【0005】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、口座毎に異なる金利条件が設定されている複数の口座が属する口座グループにおいて、最も有利な金利条件が設定されている口座を階層構造の最上位口座として資金移動処理を実行することで、当該口座グループ内で最適な金利条件の適用ができる、資金移動処理システム、資金移動処理方法、及び資金移動処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にかかる資金移動処理システムは、口座毎に異なる金利条件が設定されている複数の口座が属する口座グループにおいて、前記口座グループの階層構造に基づいて資金移動処理を実行するものである。前記口座を識別する口座識別情報と前記口座の残高情報、前記金利条件、及びターゲットバランスとを関連付けて格納する口座情報記憶部と、前記口座グループにおいて資金移動処理を実行する制御部とを備える。前記制御部は、前記口座情報記憶部に格納された金利条件に基づいて、前記口座グループの中で最も有利な金利条件が設定されている口座を選択する口座選択手段と、前記口座選択手段により選択された口座を上位口座とし、当該上位口座以外の口座を当該上位口座に対する下位口座として階層化する口座階層化手段と、前記下位口座のそれぞれに対して定められた前記ターゲットバランスとなるように残高を調整した場合の利息を、少なくとも前記上位口座について前記口座情報記憶部に格納された金利条件に基づき計算する利息計算手段と、を備える。
【0007】
また、前記口座グループは、初期設定において少なくとも2層の階層構造を有し、前記口座階層化手段は、前記口座選択手段により選択された口座が初期設定において当該口座グループの下位階層の口座の場合、当該選択された口座と当該口座グループの上位階層の口座とを入れ替えて階層化するようにするとよい。
【0008】
さらに、前記口座グループにおいて、初期設定における最上位階層の口座は、前記口座選択手段による選択の対象から除かれる擬似口座であるとよい。
【0009】
また、前記利息計算手段により計算された利息から前記口座へ配分する利息を所定の条件に基づいて計算する利息配分計算手段をさらに備えるようにするとよい。
【0010】
また、前記口座グループは、初期設定において少なくとも、第1の口座と、当該第1の口座に対して下位の複数の第2の口座を含む2層以上の階層構造を有し、前記複数の第2の口座は、それぞれ異なる地域に属し、前記地域ごとに残高、及び金利条件が確定した時点で前記地域に属する口座の残高、及び金利条件を取得し、前記口座情報記憶部に格納する、口座情報取得手段をさらに備え、前記口座選択手段は、前記地域ごとに残高、及び金利条件が確定した後、所定の間隔で、当該地域に属する口座の中で最も有利な金利条件が設定されている口座を上位口座として選択し、全ての地域の処理が終了した後に、前記地域ごとの上位口座、及び前記第1の口座の中で最も有利な金利条件が設定されている口座を最上位口座として選択し、前記口座階層化手段は、前記口座選択手段により選択された前記最上位口座を第1の口座とし、前記最上位口座以外の前記地域ごとの上位口座を前記最上位口座の下位口座として階層化するようにするとよい。
【0011】
また、前記口座情報記憶部には、さらに前記口座識別情報と関連付けて為替レートが格納され、前記口座選択手段は、前記金利条件、及び為替レートに基づいて口座を選択するようにするとよい。
【0012】
本発明にかかる資金移動処理方法は、口座毎に異なる金利条件が設定されている複数の口座が属する口座グループにおいて、前記口座グループの階層構造に基づいて資金移動処理を実行するものである。前記金利条件に基づいて、前記口座グループの中で最も有利な金利条件が設定されている口座を選択する口座選択ステップと、前記口座選択ステップにより選択された口座を上位口座とし、当該上位口座以外の口座を当該上位口座に対する下位口座として階層化する口座階層化ステップと、前記下位口座のそれぞれに対して定められたターゲットバランスとなるように残高を調整した場合の利息を、少なくとも前記上位口座について設定されている金利条件に基づき計算する利息計算ステップと、を備える。
【0013】
また、前記口座グループは、初期設定において少なくとも2層の階層構造を有し、前記口座階層化ステップは、前記口座選択ステップにより選択された口座が初期設定において当該口座グループの下位階層の口座の場合、当該選択された口座と当該口座グループの上位階層の口座とを入れ替えて階層化するようにするとよい。
【0014】
さらに、前記口座グループにおいて、初期設定における最上位階層の口座は、前記口座選択手段による選択の対象から除かれる擬似口座であるとよい。
【0015】
また、前記利息計算ステップにより計算された利息から前記口座へ配分する利息を所定の条件に基づいて計算する利息配分計算ステップをさらに備えるとよい。
【0016】
また、前記口座グループは、初期設定において少なくとも、第1の口座と、当該第1の口座に対して下位の複数の第2の口座を含む2層以上の階層構造を有し、前記複数の第2の口座は、それぞれ異なる地域に属し、前記地域ごとに残高、及び金利条件が確定した時点で前記地域に属する口座の残高、及び金利条件を取得し、前記口座情報記憶部に格納する、口座情報取得ステップをさらに備え、前記口座選択ステップは、前記地域ごとに残高、及び金利条件が確定した後、所定の間隔で、当該地域に属する口座の中で最も有利な金利条件が設定されている口座を上位口座として選択し、全ての地域の処理が終了した後に、前記地域ごとの上位口座、及び前記第1の口座の中で最も有利な金利条件が設定されている口座を最上位口座として選択し、前記口座階層化ステップは、前記口座選択ステップにより選択された前記最上位口座を第1の口座とし、前記最上位口座以外の前記地域ごとの上位口座を前記最上位口座の下位口座として階層化するようにするとよい。
【0017】
また、前記口座には、為替レートがさらに設定され、前記口座選択ステップは、前記金利条件、及び為替レートに基づいて口座を選択するようにするとよい。
【0018】
本発明にかかる資金移動処理プログラムは、口座毎に異なる金利条件が設定されている複数の口座が属する口座グループにおいて、前記口座グループの階層構造に基づいて資金移動する処理をコンピュータに実行させるものである。前記口座を識別する口座識別情報と前記口座の残高情報、前記金利条件、及びターゲットバランスとを関連付けて格納する口座情報記憶部と、前記口座情報記憶部に格納された金利条件に基づいて、前記口座グループの中で最も有利な金利条件が設定されている口座を選択する口座選択手段と、前記口座選択手段により選択された口座を上位口座とし、当該上位口座以外の口座を当該上位口座に対する下位口座として階層化する口座階層化手段と、前記下位口座のそれぞれに対して定められた前記ターゲットバランスとなるように残高を調整した場合の利息を、少なくとも前記上位口座について前記口座情報記憶部に格納された金利条件に基づき計算する利息計算手段と、を備える。
【0019】
また、前記口座グループは、初期設定において少なくとも2層の階層構造を有し、前記口座階層化手段は、前記口座選択手段により選択された口座が初期設定において当該口座グループの下位階層の口座の場合、当該選択された口座と当該口座グループの上位階層の口座とを入れ替えて階層化するようにするとよい。
【0020】
また、前記利息計算手段により計算された利息から前記口座へ配分する利息を所定の条件に基づいて計算する利息配分計算手段をさらに備えるようにするとよい。
【0021】
また、前記口座グループは、初期設定において少なくとも、第1の口座と、当該第1の口座に対して下位の複数の第2の口座を含む2層以上の階層構造を有し、前記複数の第2の口座は、それぞれ異なる地域に属し、前記地域ごとに残高、及び金利条件が確定した時点で前記地域に属する口座の残高、及び金利条件を取得し、前記口座情報記憶部に格納する、口座情報取得手段をさらに備え、前記口座選択手段は、前記地域ごとに残高、及び金利条件が確定した後、所定の間隔で、当該地域に属する口座の中で最も有利な金利条件が設定されている口座を上位口座として選択し、全ての地域の処理が終了した後に、前記地域ごとの上位口座、及び前記第1の口座の中で最も有利な金利条件が設定されている口座を最上位口座として選択し、前記口座階層化手段は、前記口座選択手段により選択された前記最上位口座を第1の口座とし、前記最上位口座以外の前記地域ごとの上位口座を前記最上位口座の下位口座として階層化するようにするとよい。
【0022】
また、前記口座情報記憶部には、さらに前記口座識別情報と関連付けて為替レートが格納され、前記口座選択手段は、前記金利条件、及び為替レートに基づいて口座を選択するようにするとよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、口座毎に異なる金利条件が設定されている複数の口座が属する口座グループにおいて、最も有利な金利条件が設定されている口座を階層構造の最上位口座として資金移動処理を実行することで、当該口座グループ内で最適な金利条件の適用ができる、資金移動処理システム、資金移動処理方法、及び資金移動処理プログラムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下では、本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図面において、同一要素には同一の符号が付されており、説明の明確化のため、必要に応じて重複説明は省略する。また、以下の説明において、金利は全て日利率であるものとするが、これに限定されない。
【0025】
発明の実施の形態1.
図1は、本実施の形態にかかる資金移動処理システム1を含む全体構成を示すブロック図である。資金移動処理システム1は、アジア地域勘定系システム21、欧州地域勘定系システム22、米州地域勘定系システム23、及び端末3と接続されている。資金移動処理システム1と、アジア地域勘定系システム21、欧州地域勘定系システム22、米州地域勘定系システム23、及び端末3との間は、バスやケーブルを介して接続されていてもよく、また、任意の通信網を介して接続されていてもよい。
【0026】
ここで、本実施の形態にかかる資金移動処理システム1の処理対象となる口座は、例えば、親口座、子口座、孫口座の3つの階層構造を有している。親口座とは、例えば、企業グループにおける親会社の統括口座や、企業内における本社の統括管理部門の口座である。また、子口座とは、その上位層の親口座と関連付けられており、それぞれの子口座は、関連付けられた親口座との資金移動が可能である。また、孫口座とは、その上位の子口座と関連付けられており、それぞれの子口座は、関連付けられた子口座との資金移動が可能である。
【0027】
本実施の形態における子口座は、海外の地域、又は、拠点を代表する口座、例えば、企業グループにおける子会社の口座であればよい。また、本実施の形態における孫口座は、各地域、又は、拠点に属する口座、例えば、企業グループにおける孫会社の口座、又は、企業内における支店、支社、若しくは営業所の口座であればよい。本実施の形態にかかる口座は、当座預金もしくは普通預金等の流動性預金口座であればよい。
【0028】
また、本実施の形態では、一つの上位口座と、当該上位口座に関連付けられた下位の口座との2階層による複数の口座の集合を一つの口座グループとする。また、口座グループにおけるそれぞれの下位口座と、当該下位口座に関連付けられたさらに下位の口座との2階層による複数の口座の集合を別の口座グループとする。例えば、親口座と子口座の2階層を一つの口座グループ、同様に、各子口座と、当該子口座に関連付けられた孫口座の2階層をそれぞれ一つの口座グループとする。
【0029】
また、最下位の口座については、当該最下位の口座のみで口座グループとしてもよい。例えば、子口座に関連付けられた下位の口座が存在しない場合、当該子口座が最下位の口座となるが、当該子口座を上位口座とする口座グループとする。
【0030】
資金移動処理システム1は、コンピュータシステムにより構成され、制御部11及びデータベース12を備えている。さらに、当該資金移動処理システム1は、図示しない構成として、アジア地域勘定系システム21、欧州地域勘定系システム22、米州地域勘定系システム23、及び端末3等の外部装置との間でデータの入出力を実行するための制御を行なう入出力制御回路を備えている。
【0031】
制御部11は、資金移動処理システム1を実現するための種々の演算処理を実行する。制御部11は、CPU(中央演算装置)や、ROM(Read Only Memory)・RAM(Random Access Memory)等の記憶手段がバスに接続されて構成されている。制御部11において、CPUは、メインプログラムや、RAM等に展開されたプログラム、一時的に格納されたデータ等に基づき、アジア地域勘定系システム21、欧州地域勘定系システム22、米州地域勘定系システム23、及び端末3へのデータの転送処理や演算処理を実行する。RAMは、一時的にデータを格納する記憶部として機能する。RAMに展開されたプログラムには、本発明の資金移動処理を実行可能なコンピュータプログラムが含まれる。
【0032】
データベース12は、データを格納する記憶手段(記憶部)であり、メモリやハードディスク等によって構成される。本例にかかるデータベース12は、条件情報記憶部121、口座情報記憶部122、及び資金移動情報記憶部123を備えている。
【0033】
条件情報記憶部121には、資金移動に関する条件情報(以下、単に「条件情報」とする)が格納されている。当該条件情報は、端末3から資金移動処理システム1に入力され、当該資金移動処理システム1の制御部11によって当該条件情報記憶部121に格納される。条件情報は、例えば、各口座間を関連付ける構造情報、各口座のターゲットバランス情報、資金移動基準日、実行タイミング、各口座が属する拠点情報、各拠点が属する地域情報が含まれる。
【0034】
本実施の形態において構造情報は、階層番号をx=1〜i、個数(同一階層となる口座の識別番号)をy=1〜jとしたとき、次のように表わされる。
【0035】
口座 : xay(x−1)ay(x−2)ay・・・1a1
【0036】
ここで、「xay」は、表わそうとする対象口座の階層レベルと、その階層における口座の識別情報を特定し、「(x−1)ay」は、この対象口座に対してすぐ上位の階層レベルにおいて当該対象口座に関連付けられた口座の階層レベルとその階層における当該口座の識別情報である。同様にして、最も上位の口座(親口座)まで、当該対象口座と関連付けられた口座を特定する情報が並べられる。従って、このような表現形式の構造情報によって、対象口座を特定する情報と、当該対象口座に対して関連付けられた上位口座を特定する情報を識別することが可能である。尚、構造情報は、上述したものに限定されない。
【0037】
ターゲットバランス情報は、資金移動処理によって各口座に残すべき金額を示す残高を特定する情報である。例えば、残高をゼロに調整する場合には、ターゲットバランスはゼロとなり、残高を1000万円とする場合には、ターゲットバランスは1000万円となる。
【0038】
資金移動基準日は、資金移動を実行する日であり、口座毎に設定することができ、口座毎に異なる日に資金移動を行なうことができる。当該資金移動基準日は、日次、週次、日付指定、月次により特定することができる。
【0039】
実行タイミングは、1日のうちに何時に当該資金移動処理を実行するかを特定する情報であり、1日の実行タイミングの最大回数は何回でも設定することができる。
【0040】
拠点情報は、アジア地域等の所属地域、中国等の所属国及び上海等の所属都市である拠点の情報を含んでいる。
【0041】
口座情報記憶部122には、各口座の店番、口座番号、口座名、残高情報、所属する拠点、口座毎に設定される口座金利等を含む口座情報が格納されている。ここで、口座金利は、残高がプラスの場合に適用される預金金利、及び、残高がマイナスの場合に適用される貸越金利である。また、口座金利は、国単位、口座単位に定められた利率であり、日毎に変動し、毎日の各拠点の営業時間終了後に、確定されるものとする。
【0042】
具体的には、口座情報記憶部122は、口座情報を格納する口座情報テーブル(口座情報TBL)を有する。口座情報TBLは、口座情報TBL内のデータを識別する番号(No)、当該口座が属する拠点、口座名、当該口座の構造情報であるシステムKey、口座金利である預金金利、及び貸越金利、並びに、当該口座の残高(USドル)である口座残高、等を1レコードとして格納する。尚、口座情報TBLの構成はこれに限定されない。
【0043】
さらに、本実施の形態にかかる口座情報TBLには、実際には存在しない口座である擬似口座を設定可能である。擬似口座は、口座情報に仮の値が設定され、後述する本実施の形態にかかる資金移動処理では、最も不利な金利条件が設定された口座とみなされる。例えば、擬似口座の預金金利は、0%が設定され、最も不利な金利条件であり、擬似口座の貸越金利は、0%が設定されるが、その場合、金利条件の比較対象外とされる。また、擬似口座の口座残高は、0$が設定される。
【0044】
擬似口座は、任意の階層に設定可能である。特に、擬似口座は、親口座に用いることで、予めグループ内において親口座を設定する必要がなく、本実施の形態にかかる資金移動処理により、日毎に最適な金利条件を有する他の口座と親口座を入れ替えるために用いることができる。
【0045】
資金移動情報記憶部123には、起票指示である資金移動情報が格納されている。資金移動情報には、Debit(借方)側とCredit(貸方)側に分けて、口座と移動金額が関連付けられている。
【0046】
図1において、アジア地域勘定系システム21は、アジア地域に属する国、又は都市を拠点とする関連企業における口座を取り扱っており、アジア地域とは、例えば、香港、シンガポールなどの拠点である。また、欧州地域勘定系システム22は、ヨーロッパ地域に属する国、又は都市を拠点とする関連企業における口座を取り扱っており、欧州地域とは、例えば、ロンドンなどの拠点である。また、米州地域勘定系システム23は、アメリカ合衆国、又は周辺諸国に属する都市を拠点とする関連企業における口座を取り扱っており、米州地域とは、例えば、ニューヨークなどの拠点である。アジア地域勘定系システム21、欧州地域勘定系システム22、及び米州地域勘定系システム23は、キャッシュマネージメントシステム(CMS、不図示)と接続されており、CMSは、各拠点のユーザの端末(不図示)と通信網を介して接続されている。また、アジア地域勘定系システム21、欧州地域勘定系システム22、及び米州地域勘定系システム23は、それぞれの地域で複数の拠点ごとの勘定系システムにより構成されていてもよい。
【0047】
また、アジア地域勘定系システム21、欧州地域勘定系システム22、及び米州地域勘定系システム23は、各口座の登録処理や口座間の資金移動処理を実行する。日本国内の勘定系システム(不図示)は、全国銀行協会に設置されたコンピュータシステムである全銀システム等に接続されている。また、日本国内、及び海外の勘定系システムは、SWIFT(Society for Worldwide Interbank Financial Telecommunication)に接続されており、国際的な資金決済等はSWIFT経由で行なわれている。尚、アジア地域勘定系システム21、欧州地域勘定系システム22、及び米州地域勘定系システム23を含む勘定系システムと資金移動処理システム1の双方は、単一のホストコンピュータに搭載することも可能である。また、CMSは、ユーザからの照会要求に応じて資金の移動情報をユーザに対して提供する処理を含む各種の処理を実行するシステムである。
【0048】
続いて、本実施の形態にかかる資金移動処理システム1における資金移動処理の流れを説明する。図2は、当該資金移動処理の全体を示すフローチャート図である。まず、図2の資金移動処理の前提として、条件情報は、予め、資金移動処理システム1の登録処理により登録済みであるとする。当該登録処理において、条件情報は、端末3を用いて登録される。具体的に、操作者が入力手段(キーボード、マウス、外部媒体読み取り装置)を用いて条件情報を端末3に対して入力すると、当該条件情報は、資金移動処理システム1に対して送信される。資金移動処理システム1の制御部11は、当該条件情報を受信し、条件情報記憶部121に格納する。
【0049】
その後、資金移動処理システム1は、条件情報記憶部121に格納された資金移動基準日における実行タイミングに基づき、資金移動処理を開始する。ここでは、資金移動基準日は、日次であり、実行タイミングは、米州地域に属する全ての拠点の営業時間終了後であるものとする。また、当該資金移動処理は、正常に処理が実行された場合、翌日の日本の営業時間開始前までに終了するものとする。尚、当該資金移動処理は、条件情報記憶部121に格納された資金移動基準日、及び実行タイミングに従うばかりでなく、端末3に対する資金移動処理の実行要求の入力に応じて実行するようにしてもよい。
【0050】
図2において、まず、資金移動処理システム1の制御部11は、各拠点の口座情報を取得する(S11)。具体的には、制御部11は、アジア地域勘定系システム21、欧州地域勘定系システム22、及び米州地域勘定系システム23から、当日の営業時間終了時点での各口座情報、すなわち、口座金利、及び口座残高を取得し、口座情報記憶部122に格納する。このとき、口座情報TBLには、前日までの口座情報が格納されているため、制御部11は、口座情報TBLの該当する口座名が格納されたレコードの口座金利、及び口座残高を更新する。尚、ステップS11は、各拠点の営業時間終了後に、実行されてもよい。その場合、拠点単位に口座情報を取得すればよい。
【0051】
次に、制御部11は、処理対象の口座グループの最適階層化処理を行う(S12)。具体的には、制御部11は、口座情報記憶部122を参照し、処理対象の口座グループ内で、最も有利な金利条件が設定されている口座を選択し、当該口座グループ内の上位口座となるように口座グループにおける階層構造を再構成する。このとき、当該口座グループの残高合計がプラスの場合、最も有利な金利条件は、最も高い預金金利であり、上位口座は、最も高い預金金利が設定された口座となる。また、当該口座グループの残高合計がマイナスの場合、最も有利な金利条件は、最も低い貸越金利であり、上位口座は、最も低い貸越金利が設定された口座となる。尚、口座グループの最適階層化処理については、図3、及び図4で詳述する。
【0052】
続いて、制御部11は、資金移動計算を行う(S13)。具体的には、制御部11は、ステップS12で構成された当該口座グループにおける階層構造に基づいて、最上位口座以外の下位口座の口座残高を、条件情報記憶部121を参照し、各口座のターゲットバランスとなるように残高を調整する。すなわち、制御部11は、ターゲットバランスと口座残高との差がプラスの下位口座については、その差額である余剰資金を最上位口座へ移動して資金を集中する。また、制御部11は、ターゲットバランスと口座残高との差がマイナスの下位口座については、その差額である不足資金分の資金を最上位口座から移動して資金を配分する。そして、制御部11は、各口座で調整される金額を資金移動情報として生成し、資金移動情報記憶部123に格納する。
【0053】
尚、ステップS13における階層構造に基づく資金移動計算は、公知技術としてよく知られているものであるから、ここでは詳細な説明を省略する。例えば、本願と同一の出願人による先の出願にかかる特願2006−261999では、階層構造を有する複数の口座における資金集中処理を実現する資金移動処理システムを提案している。この場合、ステップS13における資金移動計算は、ステップS12で構成された当該口座グループにおける階層構造を入力とし、先の出願にかかる資金集中処理を用いることで、実現可能である。
【0054】
その後、制御部11は、資金移動の起票指示データ作成、及び配信処理を行う(S14)。具体的には、制御部11は、資金移動計算により口座ごとに生成された資金移動情報に基づいて起票指示を生成し、資金移動情報記憶部123に格納する。起票指示は、アジア地域勘定系システム21、欧州地域勘定系システム22、及び米州地域勘定系システム23に対して口座間の資金移動を実行させる要求を特定する資金移動情報である。そして、制御部11は、アジア地域勘定系システム21、欧州地域勘定系システム22、及び米州地域勘定系システム23へ起票指示を配信する。
【0055】
続いて、制御部11は、利息計算を行う(S15)。具体的には、ステップ13における資金移動計算により算出された各口座における口座残高に基づき、口座毎の金利条件を適用して利息を求める。口座残高がプラスの場合、預金金利が適用され、(1)式により、利息が算出される。また、口座残高がマイナスの場合、貸越金利が適用され、(2)式により、利息が算出される。
利息 = 口座残高 × 当該口座の預金金利・・・(1)
利息 = 口座残高 × 当該口座の貸越金利・・・(2)
【0056】
その後、制御部11は、利息記帳の起票指示データ作成、及び配信処理を行う(S16)。具体的には、制御部11は、利息計算により算出された各口座における利息に基づいて起票指示を生成し、資金移動情報記憶部123に格納する。起票指示データ作成、及び配信処理については、ステップS14と同様のため、説明を省略する。
【0057】
このように、上述した資金移動処理により、処理対象の口座グループ内で、最も有利な金利条件が設定されている口座を親口座とした階層構造が生成され、当該階層構造に基づいて資金移動が行われる。このとき、当該口座グループの残高合計がプラスの場合、下位口座の資金不足を解消しつつ、最上位口座に余剰資金が集中される。そのため、最上位口座の口座残高である余剰資金に対して、最上位口座に設定された金利条件、すなわち、当該口座グループにおける最も高い預金金利が適用され、当該口座グループ全体で最適な利益を得ることができる。
【0058】
一方、当該口座グループの残高合計がマイナスの場合、最上位口座から資金が配分されることで、下位口座の資金不足が解消され、最上位口座に当該口座グループの不足資金が集中される。そのため、最上位口座の口座残高である不足資金に対して、最上位口座に設定された金利条件、すなわち、当該口座グループにおける最も低い貸越金利が適用され、当該口座グループ全体での不利益を最小限に抑えることができる。
【0059】
図3は、本実施の形態にかかる資金移動処理システムにおける口座の最適階層化処理の流れを示すフローチャート図である。まず、制御部11は、口座グループ内の残高合計Aを算出する(S110)。具体的には、制御部11は、口座情報記憶部122を参照し、口座情報TBL内の全ての口座残高を合計して、残高合計Aとする。
【0060】
次に、制御部11は、残高合計Aが0以上であるか否かを判定する(S111)。残高合計Aが0以上であると判定された場合、制御部11は、以降の処理で口座間の金利条件の比較を行う際の比較対象金利を「預金金利」と設定する(S112)。具体的には、制御部11は、RAMに「預金金利」と設定された比較対象金利を格納する。また、ステップS111において、残高合計Aが0未満と判定された場合、制御部11は、比較対象金利を「貸越金利」と設定する(S113)。具体的には、制御部11は、RAMに「貸越金利」と設定された比較対象金利を格納する。これにより、制御部11は、後に口座間の金利条件の比較を行う際に、比較対象金利を参照することで、口座情報TBLから取得すべき口座金利を判断することができる。
【0061】
ここで、以降の処理は、最下位階層の一つ上位の階層から最上位階層までの間(カウンタm=1、2、・・・、i)、同一階層の各口座(カウンタn=1、2、・・・、N)を上位口座とする口座グループ毎に処理を行うものである。例えば、口座グループが3階層を有する場合、カウンタm=1のとき、最下位階層「3」の一つ上位の階層「2」に位置する各口座について、当該階層「2」の口座を上位口座とし、当該上位口座に関連付けられた下位口座とするそれぞれの口座グループを処理対象とする。また、カウンタm=2のとき、階層「2」の一つ上位の階層「1」の口座、つまり最上位口座について、当該最上位口座を上位口座とし、m=1のときに各口座グループで上位口座とされた階層「2」の口座を下位口座とする口座グループを処理対象とする。
【0062】
図3に戻って説明する。続いて、制御部11は、カウンタmに1を代入する(S114)。そして、制御部11は、カウンタmが階層総数i未満か否かを判定する(S115)。カウンタmが階層総数i以上と判定された場合、処理対象の口座が最上位に達したため、口座の最適階層化処理を終了する。カウンタmが階層総数i未満と判定された場合、制御部11は、階層「i−m」における口座総数Nを設定する(S116)。具体的には、制御部11は、口座情報記憶部122を参照し、口座情報TBL内のシステムKeyから階層「i−m」における口座数を算出し、RAMに格納する。
【0063】
続いて、制御部11は、カウンタnに1を代入する(S117)。そして、制御部11は、カウンタnが口座総数N以下か否かを判定する(S118)。カウンタnが口座総数Nより大きいと判定された場合、当該階層における処理対象の口座が処理されたため、ステップS121へ進む。カウンタnが口座総数N以下と判定された場合、制御部11は、口座入替処理を行う(S119)。
【0064】
図4は、本実施の形態にかかる資金移動処理システムにおける口座入替処理の流れを示すフローチャート図である。口座入替処理において、まず、制御部11は、階層「i−m」におけるn番目の口座を上位口座とする(S130)。具体的には、制御部11は、口座情報記憶部122を参照し、口座情報TBL内のシステムKeyが(i−m)a・・・である口座情報を読み出し、上位口座としてRAMに格納する。尚、制御部11が口座情報TBLから読み出し、RAMに格納する口座情報は、システムKey、口座名等、口座情報を識別できる値であればよい。
【0065】
次に、制御部11は、当該上位口座とその下位口座の比較対象金利の内、最も有利な金利条件が設定された口座を選択する(S131)。具体的には、まず、制御部11は、RAMから比較対象金利を取得し、口座情報記憶部122から、比較対象金利に基づいて当該上位口座の口座金利と、当該上位口座に関連付けられた全ての下位口座の口座金利とを取得する。次に、制御部11は、取得された口座金利のそれぞれを比較し、最も有利な金利条件が設定された口座を特定し、当該口座の口座情報を口座情報TBLから読み出す。尚、このとき、擬似口座については、常に最も不利な金利条件が設定された口座とされるものとする。例えば、擬似口座については、比較対象外としてもよい。つまり、擬似口座が上位口座である場合、常に下位口座が最も有利な金利条件が設定された口座と特定される。
【0066】
その後、制御部11は、選択された口座が上位口座であるか否かを判定する(S132)。具体的には、制御部11は、読み出された口座情報(選択された口座)と、RAMに格納された上位口座の口座情報とを比較し、一致するか否かを判定する。一致すると判定された場合、口座入れ替えは行わず、処理を終了する。また、一致しないと判定された場合、制御部11は、選択された口座と上位口座との階層位置を入れ替える(S133)。具体的には、制御部11は、選択された口座と上位口座とについて、口座情報TBL内のシステムKeyを除いた項目の値を入れ替えて、口座情報記憶部122を更新する。
【0067】
図3に戻って説明する。その後、制御部11は、カウンタnに1加算する(S120)。続いて、ステップS118へ進み、カウンタnが口座総数N以下の間、階層「i−m」に該当する口座に対して、ステップS118、ステップS119の口座入替処理、及びステップS120を繰り返す。また、カウンタnが口座総数Nより大きいと判定された場合、制御部11は、カウンタmに1加算する(S121)。続いて、ステップS115へ進み、カウンタmが階層総数i未満の間、各階層の口座に対して、ステップS115乃至S121を繰り返す。また、カウンタmが階層総数i以上と判定された場合、口座の最適階層化処理を終了する。
【0068】
このように、上述した口座の最適階層化処理により、口座グループ内で最も有利な金利条件が設定されている口座を最上位口座として配置された階層構造を生成することができる。すなわち、2階層の口座グループにおいて、上位口座には、最も有利な金利条件が設定されている口座が配置される。そして、同一階層の他の口座グループにおいても、同様に階層構造が生成される。その後、各口座グループの上位口座を下位口座とした1階層上の口座グループにおいても、同様に階層構造が生成される。そのため、日毎に変動する金利条件に基づき、最適な口座が最上位口座に選択された口座の階層構造において、資金移動計算を行うことができる。
【0069】
次に、3階層を有する口座グループに本実施の形態にかかる資金移動処理システム1を適用した処理例を説明する。図5(a)は、資金移動処理システム1への入力となる口座グループの階層構造を示す図である。また、図5(b)は、図5(a)に示す口座グループの資金移動処理システム1の適用結果の階層構造を示す図である。
【0070】
まず、図5(a)に示す階層構造が予め、資金移動処理システム1に登録済みである。図5(a)において、親口座は、擬似口座であり、子口座は、シンガポール拠点の代表口座であるSP口座A、香港拠点の代表口座であるHK口座A、ロンドン拠点の代表口座であるLN口座A、及びニューヨーク拠点の代表口座であるNY口座Aである。また、孫口座は、各拠点の代表口座以外の口座である。すなわち、シンガポール拠点には、口座グループ51に属する3口座が階層化されており、香港拠点には、口座グループ52に属する3口座が階層化されており、ロンドン拠点には、口座グループ53に属する3口座が階層化されており、ニューヨーク拠点には、口座グループ54に1口座のみが属している。
【0071】
次に、図2のステップS11に示す口座情報の取得処理により、図6に示す口座情報TBL50の状態となる。図6は、口座金利、口座残高取得後の口座情報TBL50の状態を示す図である。このとき、口座情報TBL50は、各口座の口座金利、及び口座残高が更新済みである。また、口座情報TBL50のシステムKeyにより、口座グループ51、口座グループ52、口座グループ53、及び口座グループ54が識別可能である。
【0072】
続いて、図2のステップS12の口座の最適階層化処理により、図7、及び図8に示す口座情報TBL50の状態となる。図7は、階層2と階層3の口座入替処理終了後の口座情報TBL50の状態を示す図である。また、図8は、階層1と階層2の口座入替処理終了後の口座情報TBL50の状態を示す図である。
【0073】
口座の最適階層化処理においては、まず、口座情報TBL50から残高合計Aは、120$であるため、比較対象金利は、「預金金利」と設定される。そして、カウンタm=1においては、階層総数i=3からカウンタm=1を引いた階層「2」が処理対象の階層となる。このとき、階層「2」には、SP口座A、HK口座A、LN口座A、及びNY口座Aの4口座であるため、口座総数N=4となる。
【0074】
その後、カウンタn=1のとき、図4に示す口座入替処理は、口座グループ51が処理対象となる。すなわち、階層「2」における1番目の口座であるSP口座Aを上位口座とし(S130)、SP口座Aと、SP口座Aの下位口座であるSP口座B、及びSP口座Cとの中で最も有利な預金金利3.00%が設定されているSP口座Bが選択される(S131)。そして、選択されたSP口座Bは、上位口座ではないため、図7のS133aで示すように、SP口座AとSP口座Bとの位置が入れ替えられる(S133)。
【0075】
同様に、カウンタn=2のとき、口座グループ52が処理対象となり、図7のS133bで示すように、HK口座AとHK口座Bとの位置が入れ替えられる(S133)。そして、カウンタn=3のとき、口座グループ53が処理対象となり、最も有利な預金金利3.00%が設定されているLN口座Aが選択される。ここでは、LN口座Aが口座グループ53における上位口座であるため、入れ替えは行われない。また、カウンタn=4のとき、口座グループ54が処理対象となる。このとき、最も有利な預金金利3.00%が設定されているNY口座Aが選択されるが、下位口座が存在しないため、入れ替えは行われない。尚、下位口座が存在しない口座グループが処理対象となったときは、図4の口座入替処理自体を行わなくても良い。
【0076】
また、カウンタm=2においては、階層「1」が処理対象の階層となる。このとき、階層「1」には、擬似口座の1口座であるため、口座総数N=1となる。カウンタn=1のとき、図4に示す口座入替処理は、擬似口座を上位口座とする(S130)。また、このとき、擬似口座の下位口座は、口座グループ51の上位口座であるSP口座B、口座グループ52の上位口座であるHK口座B、口座グループ53の上位口座であるLN口座A、及び口座グループ54の上位口座であるNY口座Aである。続いて、擬似口座、SP口座B、HK口座B、LN口座A、及びNY口座Aの中で、最も有利な預金金利4.00%が設定されているHK口座Bが選択される(S131)。そして、選択されたHK口座Bは、上位口座ではないため、図8のS133cで示すように、擬似口座とHK口座Bとの位置が入れ替えられる(S133)。
【0077】
この後、図2のステップS13の資金移動計算により、図11に示すような最終残高が算出される。図11は、本発明の実施の形態1にかかる資金移動計算による勘定起票TBLの状態を示す図である。まず、図8の時点の各口座残高を図11の勘定起票TBL55の初期残高550に設定する。初期残高550は、カウンタm=1における初期残高である。そして、資金集中、及び配分処理561により、カウンタm=1における最終残高551が算出される。ここで、カウンタmの意味は、図3のときと同様である。
【0078】
次に、最終残高551がカウンタm=2における初期残高552に設定され、資金集中、及び配分処理562により、カウンタm=2における最終残高553が算出される。尚、資金集中、及び配分処理561、並びに資金集中、及び配分処理562の処理の詳細については、例えば、先の出願にかかる資金集中、及び配分処理であればよいため、説明、及び図示を省略する。
【0079】
その後、図2のステップS14の資金移動の起票指示データ作成、及び配信処理により、実際の資金移動がなされ、図5(b)に示す階層構造、及び口座残高となる。
【0080】
そして、図2のステップS15の利息計算により、図9に示すような預金利息が算出される。図9は、資金移動計算、及び利息計算後の口座情報TBL50の状態を示す図である。まず、最終残高553が口座情報TBL50の口座残高554に設定される。次に、上述した(1)式に基づき、口座残高554から預金利息555が算出される。ここでは、親口座であるHK口座Bの預金利息が4.80$となり、その他の口座は、預金利息が0$となる。そのため、預金利息合計556も4.80$となる。つまり、本実施の形態にかかる資金移動処理システム1を適用することにより、図5(a)に示す口座グループ全体に対して、4.80$の預金利息を発生させることができる。
【0081】
一方、図10は、本発明の実施の形態1にかかる資金移動処理システム1を適用しない場合、すなわち、従来の利息計算後の口座情報TBLの状態を示す図である。図10において、口座残高557は、当初の口座残高であり、(1)式、及び(2)式に基づき、口座残高557から預金利息558が算出される。そして、預金利息合計559は、2.11$となる。つまり、本発明の実施の形態1にかかる資金移動処理システム1を適用しなければ、図5(a)に示す口座グループ全体に対して、2.11$の預金利息しか発生しないこととなる。
【0082】
以上のことから、本発明の実施の形態1にかかる資金移動処理システム1により、当該口座グループ内で最適な金利条件の適用ができるため、当該口座グループ内での利益を従来に比べ増すことができる。
【0083】
発明の実施の形態2.
上述した発明の実施の形態1にかかる資金移動処理システム1では、親口座に資金を集中するため、利息の支払いは、親口座のみとなる。そのため、親口座以外の口座には、利息が支払われないという問題点がある。そこで、本実施の形態では、上述した問題を解決するため、資金移動処理システム1に変更を加え、所定の条件に基づいて、口座グループ全体での利息を口座グループ内に配分できるようにしたものである。
【0084】
本実施の形態にかかる資金移動処理システムは、上述した発明の実施の形態1にかかる資金移動処理システム1と比べ、条件情報記憶部121に利息配分を行うための利息計算パターン情報、及び利息配分情報をさらに加えたものである。また、利息計算パターン情報、及び利息配分情報は、予め、端末3を用いて登録される。尚、本実施の形態にかかる資金移動処理システムを含む全体構成は、発明の実施の形態1で挙げた図1と同様であるため、図示及び説明を省略する。
【0085】
利息計算パターン情報とは、利息配分を行うための計算種類を表わす情報である。例えば、ネット記帳、若しくはグロス記帳を選択する情報、及び、利息支払いを親口座に一括する方式、又は、配分用金利、口座残高比率、均等配分、若しくは指定割合配分等に基づき、各口座に利息配分する方式を選択する情報等である。
【0086】
ここで、ネット記帳とは、資金移動処理により発生した利息の全額を配分対象とすることを指し、グロス記帳とは、資金移動処理により発生した利息と、資金移動処理を行わないことにより発生する利息との差額であるプーリングベネフィットのみを配分対象とすることを指す。また、配分用金利とは、利息配分の際、親口座以外の口座について最低限適用される金利に基づき、利息配分することを指す。口座残高比率とは、資金移動処理前の口座残高の比率に基づき、利息配分することを指す。均等配分とは、口座グループ内の各口座へ均等に利息配分することを指す。指定割合配分とは、予め口座ごとに指定された口座グループ内における比率に基づき、利息配分することを指す。
【0087】
また、利息配分情報とは、上述した各口座に利息配分する方式に対応した口座毎の実際の比率である。
【0088】
このように、本実施の形態にかかる資金移動処理システムでは、資金移動処理により発生した利息をネット記帳、又はグロス記帳のいずれかを選択することができ、当該利息を親口座へ一括する、又は所定の条件に従い、利息配分するかを選択することができる。さらに、利息配分する場合、配分用金利、口座残高比率、均等配分、又は指定割合配分であるかを選択することができる。
【0089】
図12は、本実施の形態にかかる資金移動処理システムにおける資金移動処理の流れを示すフローチャート図である。図12は、図2に比べ、ステップS14が除かれ、ステップS15とS16の間に、利息配分計算処理(S15a)が追加されたものである。
【0090】
本実施の形態では、図2のステップS14が除かれることで、処理対象の口座グループ内において、実際の資金移動が行われないノーショナルプーリングサービスとなる。ノーショナルプーリングサービスでは、各口座間、特に、企業間において資金移動による貸借を発生させないで、実際に資金移動をさせた場合と同様の効果を発生させることができる。それは、資金移動処理システムの口座情報TBL内では、ステップS13の資金移動計算により、仮想的に資金移動を行ったとみなすことができるため、実際に各勘定系システムに処理を行わせる必要なく、資金集中、及び配分後の利息計算を行うことができるからである。
【0091】
以下では、ステップS15aについて説明し、それ以外の処理は、同一の符号を付しており、説明を省略する。また、ここでは、利息計算パターン情報は、ネット記帳、及び均等配分であるものとする。
【0092】
制御部11は、ステップS15の利息計算後に、利息配分計算を行う(S15a)。具体的には、まず、制御部11は、口座情報記憶部122を参照し、口座情報TBL内の親口座の預金利息を取得する。次に、制御部11は、取得した預金利息を処理対象の口座グループの口座総数で除算し、各口座の配分後預金利息を算出する。
【0093】
次に、2階層を有する口座グループに本実施の形態にかかる資金移動処理システムを適用した処理例を説明する。図13(a)は、本実施の形態にかかる資金移動処理システムへの入力となる口座グループの階層構造を示す図である。また、図13(b)は、図13(a)に示す口座グループの本実施の形態にかかる資金移動処理システムの適用結果の階層構造を示す図である。
【0094】
まず、図13(a)に示す階層構造が予め、資金移動処理システムに登録済みである。図13(a)において、親口座は、擬似口座であり、子口座は、シンガポール拠点の口座であるSP口座、香港拠点の口座であるHK口座、ロンドン拠点の口座であるLN口座、及びニューヨーク拠点の口座であるNY口座である。そして、親口座、及び子口座は、口座グループ57に属している。
【0095】
次に、図12のステップS12、S13、S15、及びS15aにより、図15に示す口座情報TBLの状態となる。図15は、本発明の実施の形態2にかかる資金移動処理システムを適用した場合における利息計算後の口座情報TBL61の状態を示す図である。尚、擬似口座のレコードは、処理に影響しないため、図示を省略している。
【0096】
図12のステップS12の口座の最適階層化処理においては、最も有利な預金金利4.00%が設定されているHK口座が選択される(S131)。そして、擬似口座とHK口座との位置が入れ替えられる(S133)。
【0097】
この後、図12のステップS13の資金移動計算により、図15に示すように、資金移動計算後口座残高611が算出される。そして、ここでは、ノーショナルプーリングサービスであるため、実際の資金移動が行われないが、口座情報TBL61内では、計算上、資金移動がされているとみなされる。
【0098】
そして、図12のステップS15の利息計算により、資金移動計算後口座残高611から配分前預金利息612が算出される。ここでは、親口座であるHK口座の預金利息が4.80$となり、その他の口座は、預金利息が0$となる。そのため、預金利息合計613も4.80$となる。
【0099】
その後、図12のステップS15aの利息配分計算により、配分後預金利息614が算出される。すなわち、SP口座、HK口座、LN口座、及びNY口座に対して、それぞれ1.20$となる。そのため、親口座であるHK口座以外の口座にも、配分後預金利息614を配分することができる。
【0100】
一方、図14は、本発明の実施の形態2にかかる資金移動処理システムを適用しない場合、すなわち、従来の利息計算後の口座情報TBL60の状態を示す図である。図14において、(1)式、及び(2)式に基づき、預金利息601を算出することができる。そして、預金利息合計602は、2.80$となる。つまり、本発明の実施の形態2にかかる資金移動処理システムを適用しなければ、図13(a)に示す口座グループ全体に対して、2.80$の預金利息しか発生しないこととなり、さらに、預金利息601から、LN口座、及びNY口座については、口座グループ57全体が資金余剰であるにも関わらず、マイナスの利息が発生することとなる。
【0101】
以上のことから、本発明の実施の形態2にかかる資金移動処理システムにより、当該口座グループ全体の利息を配分することができる。
【0102】
尚、図12のステップS15aの利息配分計算は、ネット記帳、及び均等配分に限定されない。すなわち、利息計算パターン情報がネット記帳であり、均等配分以外、つまり、配分用金利、口座残高比率、若しくは指定割合配分の場合、又は、グロス記帳であり、配分用金利、口座残高比率、均等配分、若しくは指定割合配分のいずれかである場合、であっても構わない。
【0103】
また、本実施の形態の利息配分計算は、処理対象の口座グループの残高合計がマイナスの場合においても適用可能であることは勿論である。
【0104】
発明の実施の形態3.
本発明の実施の形態1及び2では、資金移動処理は、米州地域に属する全ての拠点の営業時間終了後、翌日の日本の営業時間開始前の間に行う必要がある。そのため、全ての資金移動処理を当該時間帯に一括して行うには、障害時の対応を考慮すると、十分に確保されているとは言えない。
【0105】
一方、海外の複数の地域に拠点を持つ企業グループにおいては、基本的に、企業グループ、すなわち、口座グループ全体の日々の残高合計を、通常は、プラスを前提としてよく、残高合計がマイナスになる可能性は極めて低いと言われる。
【0106】
そこで、本実施の形態では、資金移動処理システム1に変更を加え、地域単位に残高合計がプラスを前提に資金移動処理を行い、米州地域に属する全ての拠点の営業時間終了後、翌日の日本の営業時間開始前の間には、最上位階層における処理と、利息計算を行うことで、処理時間帯を分散させるものである。尚、本実施の形態にかかる資金移動処理システムを含む全体構成は、発明の実施の形態1で挙げた図1と同様であるため、図示及び説明を省略する。
【0107】
図16は、本実施の形態にかかる資金移動処理システムにおける資金移動処理の流れを示すフローチャート図である。まず、制御部11は、アジア地域対象処理を行う(S21)。ここで、アジア地域対象処理は、シンガポールや香港等のアジア地域に属する拠点の口座に対する図17に示す資金移動処理を指す。例えば、図5(a)における口座グループ51、及び口座グループ52のみを処理対象とする。また、アジア地域対象処理は、全てのアジア地域に属する全ての拠点の営業時間終了後に起動される。
【0108】
図17は、本実施の形態にかかる地域対象処理の流れを示すフローチャート図である。まず、制御部11は、処理対象地域の全口座情報を取得する(S211)。具体的には、図12のステップS11の口座情報の取得処理を、処理対象地域の口座に対して行う。例えば、処理対象地域がアジア地域の場合、口座グループ51、及び口座グループ52の全口座の口座情報を取得する。
【0109】
次に、制御部11は、処理対象地域に属する口座グループ毎に最適階層化処理を行う(S212)。具体的には、図12のステップS12の口座の最適階層化処理を、処理対象地域に属する口座グループ毎に行う。例えば、処理対象地域がアジア地域の場合、口座グループ51、及び口座グループ52のそれぞれの口座グループについて最適階層化処理を行う。
【0110】
但し、図3のステップS111で残高合計Aが0未満と判定された場合、つまり、処理対象地域に属する口座グループ単独で残高合計がマイナスの場合、その旨をRAMに格納し、当該地域対象処理を終了する。本実施の形態では、この時点では、口座グループ全体の残高合計がプラスか否かは不明であるが、プラスを前提に処理をするためである。そして、いずれかの処理対象地域に属する口座グループがマイナスの場合、後述する全地域取り纏め処理において、全体の資金移動処理をやり直すためである。
【0111】
続いて、制御部11は、処理対象地域に属する口座グループ毎に資金移動計算を行う(S213)。具体的には、図12のステップS13の資金移動計算を、処理対象地域に属する口座グループ毎に行う。その後、制御部11は、処理対象地域における資金移動の起票指示データ作成、及び配信処理を行う(S214)。
【0112】
尚、上述したステップS214は、ノーショナルプーリングサービスにおいては、実行を行う必要はない。
【0113】
図16に戻って説明する。次に、制御部11は、欧州地域対象処理を行う(S22)。ここで、欧州地域対象処理は、ロンドン等の欧州地域に属する拠点の口座に対する図17に示す資金移動処理を指す。例えば、図5(a)における口座グループ53のみを処理対象とする。また、欧州地域対象処理は、アジア地域対象処理の終了後、かつ、全ての欧州地域に属する全ての拠点の営業時間終了後に起動される。
【0114】
続いて、制御部11は、米州地域対象処理を行う(S23)。ここで、米州地域対象処理は、ニューヨーク等の米州地域に属する拠点の口座に対する図17に示す資金移動処理を指す。例えば、図5(a)における口座グループ54のみを処理対象とする。また、米州地域対象処理は、欧州地域対象処理の終了後、かつ、全ての米州地域に属する全ての拠点の営業時間終了後に起動される。
【0115】
その後、制御部11は、全地域取り纏め処理を行う(S24)。ここで、全地域取り纏め処理は、各地域に属する口座グループにおける最上位口座を下位口座とする口座グループに対する図17に示す資金移動処理を指す。例えば、図5(a)における擬似口座、SP口座B、HK口座B、LN口座A、及びNY口座Aからなる口座グループを処理対象とする。但し、全地域取り纏め処理においては、ステップS211を実行する必要はない。
【0116】
また、上述したように、このとき、制御部11は、RAMを参照し、ステップS21乃至S23のいずれかにおいて、残高合計がマイナスと判定されたことを確認した場合、全地域取り纏め処理では、全ての口座グループを対象としたステップS212乃至S214を実行する。
【0117】
続いて、制御部11は、利息計算を行う(S15)。その後、制御部11は、利息記帳の起票指示データ作成、及び配信処理を行う(S16)。尚、ステップS15の後、図12のステップS15aの利息配分計算を行っても良い。ステップS15、S16、及びS15aは、上述したものと同様のため、説明を省略する。
【0118】
このように、本実施の形態では、地域ごとに当該地域に属する全ての拠点の営業時間終了後にそれぞれ資金移動処理を実行させることで、処理時間帯を分散させることができる。そのため、障害時の対応の時間を考慮した余裕を持った資金移動処理を行うことができる。
【0119】
その他の発明の実施の形態.
本発明の実施の形態1におけるシステム構成は、図1に限定されない。例えば、資金移動処理システム1は、複数台のコンピュータの分散処理によって実現されても構わない。
【0120】
本発明の実施の形態1乃至3における条件情報記憶部121には、さらに、口座毎の優先順位を設定してもよい。その場合、図4のステップS131において、最も有利な金利条件が設定されている口座が複数存在する場合、当該優先順位に基づいて選択することができる。それにより、優先する口座を指定することができる。
【0121】
本発明の実施の形態1における処理対象の口座は、親口座に擬似口座が設定された例を挙げたが、これに限定されない。つまり、親口座が任意の実在する口座であっても構わない。その場合、図4のステップS131で選択対象とされることになる。
【0122】
本発明の実施の形態1における図2のステップS14の資金移動の起票指示データ作成、及び配信処理は、実行されなくても構わない。つまり、本発明の実施の形態1において、実際に資金移動が行われる必要はない。同様に、本発明の実施の形態2において、図12のステップS13の後に、資金移動の起票指示データ作成、及び配信処理を実行しても構わない。
【0123】
本発明の実施の形態1乃至3では、口座入替処理において、比較対象金利を口座金利に加え、為替レートに基づいて口座の入れ替えを行っても構わない。為替レート等は、国単位で異なるため、海外拠点の内、最も有利な為替レートで企業グループ内の資金を換金することができる。
【0124】
本発明の実施の形態2における利息配分計算は、口座ごとに異なる計算方法であっても良い。その場合、利息計算パターン情報を口座毎に設定し、利息配分計算は、親口座以外の口座について、当該口座の利息計算パターン情報に基づき、算出をする。そして、親口座は、全体の利息に対して、資金集中、及び、配分をすることで、実現可能である。
【0125】
本発明の実施の形態1及び2では、ステップS12の口座の最適階層化、及びS13の資金移動計算を順番に行っていたが、これに限定されない。例えば、カウンタm=1の口座の最適階層化後、引き続き、カウンタm=1の口座階層に対して、資金移動計算、資金移動の起票指示データ作成、及び配信処理を行い、その後、同様に、カウンタm=2以降も行うことで実現可能である。
【0126】
尚、本発明の実施の形態1乃至3では、対象とする口座の階層構造は2層又は3層の例を挙げたが、これに限らず、本発明にかかる資金移動処理システムは、4層以上の階層構造に対しても容易に適用することができる。
【0127】
また、本発明の実施の形態1乃至3においては、階層構造を有する複数の口座に対する例を挙げたが、これに限定されるものではない。すなわち、本発明にかかる資金移動処理システムは、階層構造を有しない複数の口座であり、口座毎に口座金利が設定されているものを入力とし、最適階層化処理により口座を階層化することができる。
【0128】
尚、本発明の実施の形態1乃至3においては、対象口座全体の残高合計がプラスである例を挙げたが、対象口座全体の残高合計がマイナスである場合でも適用可能であることは言うまでもない。
【0129】
さらに、本発明は上述した実施の形態のみに限定されるものではなく、既に述べた本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0130】
【図1】本発明の実施の形態1にかかる資金移動処理システムを含む全体構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態1にかかる資金移動処理システムにおける資金移動処理の流れを示すフローチャート図である。
【図3】本発明の実施の形態1にかかる口座の最適階層化処理の流れを示すフローチャート図である。
【図4】本発明の実施の形態1にかかる口座入替処理の流れを示すフローチャート図である。
【図5】(a)は、本発明の実施の形態1にかかる資金移動処理システムへの入力となる口座グループの階層構造の例を示す図である。(b)は、資金移動処理システムの適用結果の階層構造を示す図である。
【図6】口座金利、及び口座残高取得後の口座情報TBLの状態を示す図である。
【図7】階層2と階層3の口座入替処理終了後の口座情報TBLの状態を示す図である。
【図8】階層1と階層2の口座入替処理終了後の口座情報TBLの状態を示す図である。
【図9】資金移動計算、及び利息計算後の口座情報TBLの状態を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態1にかかる資金移動処理システムを適用しない場合における利息計算後の口座情報TBLの状態を示す図である。
【図11】本発明の実施の形態1にかかる資金移動計算による勘定起票TBLの状態を示す図である。
【図12】本発明の実施の形態2にかかる資金移動処理システムにおける資金移動処理の流れを示すフローチャート図である。
【図13】(a)は、本発明の実施の形態2にかかる資金移動処理システムへの入力となる口座グループの階層構造の例を示す図である。(b)は、資金移動処理システムの適用結果の階層構造を示す図である。
【図14】本発明の実施の形態2にかかる資金移動処理システムを適用しない場合における利息計算後の口座情報TBLの状態を示す図である。
【図15】本発明の実施の形態2にかかる資金移動処理システムを適用した場合における利息計算後の口座情報TBLの状態を示す図である。
【図16】本発明の実施の形態3にかかる資金移動処理システムにおける資金移動処理の流れを示すフローチャート図である。
【図17】本発明の実施の形態3にかかる地域対象処理の流れを示すフローチャート図である。
【符号の説明】
【0131】
1 資金移動処理システム
21 アジア地域勘定系システム
22 欧州地域勘定系システム
23 米州地域勘定系システム
3 端末
11 制御部
12 データベース
121 条件情報記憶部
122 口座情報記憶部
123 資金移動情報記憶部
51 口座グループ
52 口座グループ
53 口座グループ
54 口座グループ
50 口座情報TBL
55 勘定起票TBL
550 初期残高
551 最終残高
552 初期残高
553 最終残高
554 口座残高
555 預金利息
556 預金利息合計
557 口座残高
558 預金利息
559 預金利息合計
561 資金集中、及び配分処理
562 資金集中、及び配分処理
57 口座グループ
60 口座情報TBL
601 預金利息
602 預金利息合計
61 口座情報TBL
611 資金移動計算後口座残高
612 配分前預金利息
613 預金利息合計
614 配分後預金利息
A 残高合計
m カウンタ
i 階層総数
N 口座総数
n カウンタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
口座毎に異なる金利条件が設定されている複数の口座が属する口座グループにおいて、前記口座グループの階層構造に基づいて資金移動処理を実行する資金移動処理システムであって、
前記口座を識別する口座識別情報と前記口座の残高情報、前記金利条件、及びターゲットバランスとを関連付けて格納する口座情報記憶部と、
前記口座グループにおいて資金移動処理を実行する制御部とを備え、
前記制御部は、
前記口座情報記憶部に格納された金利条件に基づいて、前記口座グループの中で最も有利な金利条件が設定されている口座を選択する口座選択手段と、
前記口座選択手段により選択された口座を上位口座とし、当該上位口座以外の口座を当該上位口座に対する下位口座として階層化する口座階層化手段と、
前記下位口座のそれぞれに対して定められた前記ターゲットバランスとなるように残高を調整した場合の利息を、少なくとも前記上位口座について前記口座情報記憶部に格納された金利条件に基づき計算する利息計算手段と、を備える資金移動処理システム。
【請求項2】
前記口座グループは、初期設定において少なくとも2層の階層構造を有し、
前記口座階層化手段は、
前記口座選択手段により選択された口座が初期設定において当該口座グループの下位階層の口座の場合、当該選択された口座と当該口座グループの上位階層の口座とを入れ替えて階層化する、請求項1に記載の資金移動処理システム。
【請求項3】
前記口座グループにおいて、初期設定における最上位階層の口座は、前記口座選択手段による選択の対象から除かれる擬似口座であることを特徴とする、請求項2に記載の資金移動処理システム。
【請求項4】
前記利息計算手段により計算された利息から前記口座へ配分する利息を所定の条件に基づいて計算する利息配分計算手段をさらに備える、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の資金移動処理システム。
【請求項5】
前記口座グループは、初期設定において少なくとも、第1の口座と、当該第1の口座に対して下位の複数の第2の口座を含む2層以上の階層構造を有し、
前記複数の第2の口座は、それぞれ異なる地域に属し、
前記地域ごとに残高、及び金利条件が確定した時点で前記地域に属する口座の残高、及び金利条件を取得し、前記口座情報記憶部に格納する、口座情報取得手段をさらに備え、
前記口座選択手段は、
前記地域ごとに残高、及び金利条件が確定した後、所定の間隔で、当該地域に属する口座の中で最も有利な金利条件が設定されている口座を上位口座として選択し、全ての地域の処理が終了した後に、前記地域ごとの上位口座、及び前記第1の口座の中で最も有利な金利条件が設定されている口座を最上位口座として選択し、
前記口座階層化手段は、
前記口座選択手段により選択された前記最上位口座を第1の口座とし、前記最上位口座以外の前記地域ごとの上位口座を前記最上位口座の下位口座として階層化する、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の資金移動処理システム。
【請求項6】
前記口座情報記憶部には、さらに前記口座識別情報と関連付けて為替レートが格納され、
前記口座選択手段は、
前記金利条件、及び為替レートに基づいて口座を選択することを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の資金移動処理システム。
【請求項7】
口座毎に異なる金利条件が設定されている複数の口座が属する口座グループにおいて、前記口座グループの階層構造に基づいて資金移動処理を実行する資金移動処理方法であって、
前記金利条件に基づいて、前記口座グループの中で最も有利な金利条件が設定されている口座を選択する口座選択ステップと、
前記口座選択ステップにより選択された口座を上位口座とし、当該上位口座以外の口座を当該上位口座に対する下位口座として階層化する口座階層化ステップと、
前記下位口座のそれぞれに対して定められたターゲットバランスとなるように残高を調整した場合の利息を、少なくとも前記上位口座について設定されている金利条件に基づき計算する利息計算ステップと、を備える資金移動処理方法。
【請求項8】
前記口座グループは、初期設定において少なくとも2層の階層構造を有し、
前記口座階層化ステップは、
前記口座選択ステップにより選択された口座が初期設定において当該口座グループの下位階層の口座の場合、当該選択された口座と当該口座グループの上位階層の口座とを入れ替えて階層化する、請求項7に記載の資金移動処理方法。
【請求項9】
前記口座グループにおいて、初期設定における最上位階層の口座は、前記口座選択手段による選択の対象から除かれる擬似口座であることを特徴とする、請求項8に記載の資金移動処理方法。
【請求項10】
前記利息計算ステップにより計算された利息から前記口座へ配分する利息を所定の条件に基づいて計算する利息配分計算ステップをさらに備える、請求項7乃至9のいずれか1項に記載の資金移動処理方法。
【請求項11】
前記口座グループは、初期設定において少なくとも、第1の口座と、当該第1の口座に対して下位の複数の第2の口座を含む2層以上の階層構造を有し、
前記複数の第2の口座は、それぞれ異なる地域に属し、
前記地域ごとに残高、及び金利条件が確定した時点で前記地域に属する口座の残高、及び金利条件を取得し、前記口座情報記憶部に格納する、口座情報取得ステップをさらに備え、
前記口座選択ステップは、
前記地域ごとに残高、及び金利条件が確定した後、所定の間隔で、当該地域に属する口座の中で最も有利な金利条件が設定されている口座を上位口座として選択し、全ての地域の処理が終了した後に、前記地域ごとの上位口座、及び前記第1の口座の中で最も有利な金利条件が設定されている口座を最上位口座として選択し、
前記口座階層化ステップは、
前記口座選択ステップにより選択された前記最上位口座を第1の口座とし、前記最上位口座以外の前記地域ごとの上位口座を前記最上位口座の下位口座として階層化する、請求項7乃至10のいずれか1項に記載の資金移動処理方法。
【請求項12】
前記口座には、為替レートがさらに設定され、
前記口座選択ステップは、
前記金利条件、及び為替レートに基づいて口座を選択することを特徴とする、請求項7乃至11のいずれか1項に記載の資金移動処理方法。
【請求項13】
口座毎に異なる金利条件が設定されている複数の口座が属する口座グループにおいて、前記口座グループの階層構造に基づいて資金移動処理をコンピュータに実行させる資金移動処理プログラムであって、
前記口座を識別する口座識別情報と前記口座の残高情報、前記金利条件、及びターゲットバランスとを関連付けて格納する口座情報記憶部と、
前記口座情報記憶部に格納された金利条件に基づいて、前記口座グループの中で最も有利な金利条件が設定されている口座を選択する口座選択手段と、
前記口座選択手段により選択された口座を上位口座とし、当該上位口座以外の口座を当該上位口座に対する下位口座として階層化する口座階層化手段と、
前記下位口座のそれぞれに対して定められた前記ターゲットバランスとなるように残高を調整した場合の利息を、少なくとも前記上位口座について前記口座情報記憶部に格納された金利条件に基づき計算する利息計算手段と、を備える資金移動処理プログラム。
【請求項14】
前記口座グループは、初期設定において少なくとも2層の階層構造を有し、
前記口座階層化手段は、
前記口座選択手段により選択された口座が初期設定において当該口座グループの下位階層の口座の場合、当該選択された口座と当該口座グループの上位階層の口座とを入れ替えて階層化する、請求項13に記載の資金移動処理プログラム。
【請求項15】
前記利息計算手段により計算された利息から前記口座へ配分する利息を所定の条件に基づいて計算する利息配分計算手段をさらに備える、請求項13又は14に記載の資金移動処理プログラム。
【請求項16】
前記口座グループは、初期設定において少なくとも、第1の口座と、当該第1の口座に対して下位の複数の第2の口座を含む2層以上の階層構造を有し、
前記複数の第2の口座は、それぞれ異なる地域に属し、
前記地域ごとに残高、及び金利条件が確定した時点で前記地域に属する口座の残高、及び金利条件を取得し、前記口座情報記憶部に格納する、口座情報取得手段をさらに備え、
前記口座選択手段は、
前記地域ごとに残高、及び金利条件が確定した後、所定の間隔で、当該地域に属する口座の中で最も有利な金利条件が設定されている口座を上位口座として選択し、全ての地域の処理が終了した後に、前記地域ごとの上位口座、及び前記第1の口座の中で最も有利な金利条件が設定されている口座を最上位口座として選択し、
前記口座階層化手段は、
前記口座選択手段により選択された前記最上位口座を第1の口座とし、前記最上位口座以外の前記地域ごとの上位口座を前記最上位口座の下位口座として階層化する、請求項13乃至15のいずれか1項に記載の資金移動処理プログラム。
【請求項17】
前記口座情報記憶部には、さらに前記口座識別情報と関連付けて為替レートが格納され、
前記口座選択手段は、
前記金利条件、及び為替レートに基づいて口座を選択することを特徴とする、請求項13乃至16のいずれか1項に記載の資金移動処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2009−217780(P2009−217780A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−63730(P2008−63730)
【出願日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願人】(592131906)みずほ情報総研株式会社 (187)