説明

質問例提示装置、方法及びプログラム

【課題】質問回答型コンテンツについてキーワードに応じたカテゴリに適した質問を例示する技術を提供する。
【解決手段】ユーザが入力したキーワードから、質問回答型コンテンツにおける該当カテゴリを選択し、そのカテゴリにおける過去の質問のうち回答の得易さを表す評価値が優れたものを例として表示することにより、キーワードに応じたカテゴリに適した質問を例示することができる。この結果、質問回答型コンテンツに不慣れなユーザでも知りたいキーワードがわかっていれば適切なカテゴリにおける優れた質問例を参考に自ら質問を入力することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、質問回答型コンテンツに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、質問も回答もユーザが書き込む質問回答型コンテンツが普及し(例えば、非特許文献1参照)、企業や報道機関などのウェブサイトで接しにくいような情報の流通、共有に活用されている。非特許文献1の例では、質問と回答が健康、学校、子育て、PCなどのカテゴリ(分野)に分類され、階層的なカテゴリを辿ったりキーワード検索などで閲覧できるほか、優れた回答には謝礼用ポイントの付与制度があるなどの工夫がされている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】ヤフー株式会社、「Yahoo!知恵袋」、[online]、[2011年5月30日検索]、インターネット〈URL: http://chiebukuro.yahoo.co.jp/>
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−123054号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、不慣れなユーザが自ら質問したい場合、知りたいテーマに関するキーワードはわかっていても、どのような書き方で質問すればよいかわからないことが多いという課題があった。質問の書き方には、どのような切り出し方で、どのような情報項目を挙げればよいかなど、多くのパターンが想定できる。
【0006】
質問文の作成を支援する提案としては、ユーザが入力した質問文を解析した結果を基にユーザの意図に合った質問文を提示する提案はあったが(例えば、特許文献1参照)、これはユーザに一旦は質問文を入力させるもので、上記のように質問文の入力自体に不慣れなユーザの課題を解決するものではなかった。また、質問回答型コンテンツでは、カテゴリごとに適した質問スタイルが異なるのに対し、上記の提案は、そのようなカテゴリごとに異なる特性を考慮したものではないため、カテゴリに適した質問スタイルを提示できないという課題もあった。
【0007】
上記の課題に対し、本発明の目的は、質問回答型コンテンツについてキーワードに応じたカテゴリに適した質問を例示する技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的をふまえ、本発明の一態様(1)は、質問回答型コンテンツにおける質問例を出力する質問例提示装置であって、キーワードの指定を受け付けるキーワード受付手段と、受け付けられた前記キーワードに対応するカテゴリを、キーワードとカテゴリを予め対応付けた対応データに基づいて選択するカテゴリ選択手段と、質問に対する回答の獲得性を所定の基準で表した評価値をカテゴリごとに属する質問と対応付けた評価値データを用いて、選択された前記カテゴリに属する質問のなかから前記評価値に基づいて、出力する質問を抽出する質問抽出手段と、抽出された前記質問を出力する質問出力手段と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
本発明の他の態様(8)は、上記態様を方法のカテゴリで捉えたもので、質問回答型コンテンツにおける質問例をコンピュータが出力する質問例提示方法であって、キーワードの指定を受け付けるキーワード受付処理と、受け付けられた前記キーワードに対応するカテゴリを、キーワードとカテゴリを予め対応付けた対応データに基づいて選択するカテゴリ選択処理と、質問に対する回答の獲得性を所定の基準で表した評価値をカテゴリごとに属する質問と対応付けた評価値データを用いて、選択された前記カテゴリに属する質問のなかから前記評価値に基づいて、出力する質問を抽出する質問抽出処理と、抽出された前記質問を出力する質問出力処理と、をコンピュータが実行することを特徴とする。
【0010】
本発明の他の態様(9)は、上記態様をコンピュータ・プログラムのカテゴリで捉えたもので、質問回答型コンテンツにおける質問例をコンピュータに出力させる質問例提示プログラムであって、そのプログラムはコンピュータを制御することにより、キーワードの指定を受け付けさせ、受け付けられた前記キーワードに対応するカテゴリを、キーワードとカテゴリを予め対応付けた対応データに基づいて選択させ、質問に対する回答の獲得性を所定の基準で表した評価値をカテゴリごとに属する質問と対応付けた評価値データを用いて、選択された前記カテゴリに属する質問のなかから前記評価値に基づいて、出力する質問を抽出させ、抽出された前記質問を出力させることを特徴とする。
【0011】
このように、ユーザが入力したキーワードから、質問回答型コンテンツにおける該当カテゴリを選択し、そのカテゴリにおける過去の質問のうち回答の得易さを表す評価値が優れたものを例として表示することにより、キーワードに応じたカテゴリに適した質問を例示することができる。この結果、質問回答型コンテンツに不慣れなユーザでも知りたいキーワードがわかっていれば適切なカテゴリにおける優れた質問例を参考に自ら質問を入力することができる。
【0012】
本発明の他の態様(2)は、上記いずれかの態様において、質問回答型コンテンツにおける過去の質問と回答を表す質問回答データを参照し、質問に関する要素評価値及び質問への回答に関する要素評価値の少なくとも一方を取得する要素評価手段と、取得された前記要素評価値に基いて質問に対する前記評価値を算出し、その質問と評価値とを前記評価値データに反映させる評価値算出手段と、を備えたことを特徴とする。
【0013】
このように、質問に関する要素評価値や回答に関する要素評価値を判定する段階と、それを基に質問単位の評価値を算出する段階と、を組み合わせることにより、計算基準の変更や基礎データの更新などが、要素評価値判定の一部にあっても評価値算出の部分にあっても、他の部分全てを処理し直す必要が無く、処理負荷が軽減される。なお、質問に関する要素評価値及び質問への回答に関する要素評価値の双方を取得して用いれば、質問と回答の両面を反映したより優れた評価値を用いることができる。
【0014】
本発明の他の態様(3)は、上記いずれかの態様において、前記要素評価値は前記質問の文字数に関することを特徴とする。
【0015】
このように、要素評価値として質問の文字数の少なさ又は多さを用いることにより、まず、質問の文字数の少なさは表現の要領が良い質問の特徴と考えられることから、そのカテゴリで必要十分な要領の良い質問を例示し、質問回答型コンテンツの効率的利用を図ることができる。また、質問の文字数の多さは、十分な詳細情報を含む質問の特徴と考えられることから、PCトラブルシューティングに代表される詳細情報が重要なカテゴリで十分な詳細情報を含む適切な質問を例示し、質問回答型コンテンツの効率的利用を図ることができる。
【0016】
本発明の他の態様(4)は、上記いずれかの態様において、前記要素評価値は前記質問への回答数の多さに関することを特徴とする。
【0017】
このように、要素評価値として質問への回答数の多さを用いることにより、回答の多さは例え他の人が回答していても回答する気にさせる質問の特徴と考えられることから、そのカテゴリで多数の多様な回答を得やすい質問を例示し、質問回答型コンテンツの利用促進と回答の充実を図ることができる。
【0018】
本発明の他の態様(5)は、上記いずれかの態様において、前記要素評価値は前記質問への最短回答時間の短さに関することを特徴とする。
【0019】
このように、要素評価値として質問への最短回答時間の短さすなわち回答の早さを用いることにより、回答の早さは、回答しやすい、回答する気にさせる質問の特徴と考えられることから、そのカテゴリで回答を早く得やすい質問を例示し、質問回答型コンテンツの迅速な利用を図ることができる。
【0020】
本発明の他の態様(6)は、上記いずれかの態様において、前記要素評価値は前記質問の閲覧数の多さに関することを特徴とする。
【0021】
このように、要素評価値として質問の閲覧数の多さを用いることにより、閲覧数の多さは人々の関心の高さを表すと考えられることから、そのカテゴリで関心を惹きやすい質問を例示し、質問回答型コンテンツの効果的利用を図ることができる。
【0022】
本発明の他の態様(7)は、上記いずれかの態様において、前記要素評価値は前記質問に対するスパム判定結果が非スパム的であることに関することを特徴とする。
【0023】
このように、要素評価値としてスパム判定結果が非スパム的であることを用いることにより、自動判定であってもその判定結果が非スパム的であれば多くの場合に真っ当な質問であり、かつ、スパム自動判定で誤検出されるリスクも少ないと考えられることから、そのカテゴリでまともに扱われる質問を例示し、質問回答型コンテンツの適切な利用を図ることができる。
【0024】
なお、上記の各態様は、明記しない他のカテゴリ(方法、プログラム、システムなど)としても把握することができ、方法やプログラムのカテゴリについては、装置のカテゴリで示した「手段」を、「処理」や「ステップ」のように適宜読み替えるものとする。また、処理やステップの実行順序は本出願に直接明記するものに限定されず、処理順序を変更したり、一部の処理をまとめてもしくは随時一部分ずつ実行するなど、変更可能である。さらに、方法やプログラムのカテゴリにおいて、個々の処理やステップを実行するサーバや端末などのコンピュータは共通でもよいし、処理ごとにもしくはタイミングごとに異なってもよい。加えて、本発明は、後述するさらに具体的な各態様を含むものである。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、質問回答型コンテンツについてキーワードに応じたカテゴリに適した質問を例示する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施形態について構成を示す機能ブロック図。
【図2】本発明の実施形態におけるデータ例を示す図。
【図3】本発明の実施形態における処理手順を示すフローチャート。
【図4】本発明の実施形態における画面表示例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
次に、本発明を実施するための形態(「実施形態」と呼ぶ)について図に沿って例示する。なお、背景技術や課題などで既に述べた内容と共通の前提事項は適宜省略する。
【0028】
〔1.構成〕
本実施形態は、質問回答型コンテンツにおける質問例を出力する質問例提示装置(以下「例示サーバ1」や「例示サーバ」とも呼ぶ)に関するものである。そして、例示サーバ1は、図1の構成図に示すように、通信ネットワークN(例えば、携帯電話、PHS、公衆無線LANなどの移動通信網、インターネットなど)を介した端末Tからのアクセスに応答するサーバシステムである。また、評価サーバ2は、前記評価値データを生成する装置で、例示サーバ1の機能の一部を別のサーバとして構成したもので、その機能は例示サーバ1に持たせてもよい。
【0029】
また、質問回答型コンテンツを提供する質問回答型コンテンツサーバ3(以下「コンテンツサーバ3」や「コンテンツサーバ」と呼ぶ)は、通信ネットワークNを介したアクセスに応じて前記質問回答型コンテンツを提供するサーバシステムである。各サーバ1〜3は、コンピュータの構成として少なくとも、図示は一部省略するが、CPUなどの演算制御部6と、主メモリや補助記憶装置等の記憶装置7と、通信ネットワークNとの通信手段8(移動通信網との通信回路、通信ゲートウェイ装置、無線LANアダプタなど)と、を有する。
【0030】
また、端末T(以下「端末」とも呼ぶ)は、スマートフォン、ガラケー(ガラパゴスケータイ)などと呼ばれる従来からの携帯電話端末、タブレットPCなどのモバイル情報端末や、その他のパーソナルコンピュータなどである。これら端末は、図示はしないが、上記のようなコンピュータの構成に加え、例えばスマートフォンの場合は、液晶表示パネルやタッチパネル、押ボタンなどを用いた入出力部と、ウェブページを表示するブラウザ等の機能と、を有する。端末Tは、模式的な図1に拘らず、実際はユーザ数に応じ多数存在する。
【0031】
各サーバ1〜3では、それぞれ、記憶装置7に記憶(インストール)した所定のコンピュータ・プログラムが演算制御部6を制御することで、図1に示す各手段などの要素(10,20ほか)を実現する。それら要素のうち情報の記憶手段は、記憶装置7上のファイルなど任意のデータ形式で実現できるほか、ネットワークコンピューティング(クラウド)によるリモート記憶でもよい。また、記憶手段は、データの格納領域だけでなく、データの入出力や管理などの機能を含んでもよい。また、本出願に示す記憶手段の単位は説明上の便宜によるもので、適宜、構成を分けたり一体化できるほか、明示する記憶手段以外にも、各手段の処理データや処理結果などを記憶する記憶手段を適宜用いるものとする。
【0032】
そして、記憶手段のうち、例示サーバ1の評価記憶手段25は、質問に対する回答の獲得性に関する評価値データを記憶する手段であり、評価値データは、図2(4)に例示するように、質問回答型コンテンツにおける質問に対する回答の獲得性を所定の基準で表した評価値を、カテゴリごとに属する質問(図2(4)では質問IDで表している)と対応付けたデータである。また、対応データ記憶手段15は、図2(3)に例示するように、キーワードと、質問回答型コンテンツにおけるカテゴリと、を予め対応付けた対応データを記憶している手段である。図2(1)から図2(4)に示す各データの例は、破線の矢印などで示す対応関係を示している。
【0033】
なお、図中(例えば図1)の矢印は、データや制御などの流れについて主要な方向を補助的に示すもので、他の流れを否定するものでも、方向の限定を意味するものでもない。例えばデータをある方向に取得する場合、事前のデータリクエストや事後のアクノリッジ(ACK)が逆方向に送信される。また、記憶手段以外の各手段は、以下に説明するような情報処理の機能・作用を実現・実行する処理手段であるが、これらは説明のために整理した機能単位であり、実際のハードウェア要素やソフトウェアモジュールとの一致は問わない。
【0034】
〔2.作用及び効果〕
上記のように構成された本実施形態における処理手順を図3のフローチャートに示す。このうち、ユーザが入力したキーワードをもとに質問例を出力する処理手順は、図3のステップS7からS10である。
【0035】
〔2−1.作用効果の概要〕
すなわち、キーワード受付手段10が端末Tからキーワードの指定を受け付けると(ステップS6)、カテゴリ選択手段20が、受け付けられたキーワードに対応するカテゴリを、対応データ記憶手段15に記憶されている対応データ(図2(3))に基づいて選択する(ステップS7)。例えば、キーワード「エラー」に対応するカテゴリとしては、対応データ(図2(3))に基づいてカテゴリ「PCトラブル」が選択される。
【0036】
そして、質問抽出手段30が、評価記憶手段25に記憶されている評価値データ(図2(4))を用いて、選択されたカテゴリに属する質問のなかから評価値に基づいて、出力する質問を抽出し(ステップS8)、抽出された質問を質問出力手段40が出力する(ステップS9)。上記の例では、カテゴリ「PCトラブル」に属する質問が、図2(4)に示す質問ID「A123」と「B538」の二つだった場合、高い方の評価値「7.2」を得ている質問ID「A123」の質問が抽出され、質問回答データ(図2(1))に基づいて、図4の画面例のように出力される。
【0037】
このように、ユーザが入力したキーワードから(ステップS6)、質問回答型コンテンツにおける該当カテゴリを選択し(ステップS7)、そのカテゴリにおける過去の質問のうち回答の得易さを表す評価値が優れたものを例として表示することにより(ステップS8,S9)、キーワードに応じたカテゴリに適した質問を例示することができる。この結果、質問回答型コンテンツに不慣れなユーザでも知りたいキーワードがわかっていれば適切なカテゴリにおける優れた質問例を参考に自ら質問を入力することができる。例えば、図4の質問例では、PCトラブルのカテゴリでは、基本ソフトのバージョンやソフト名などのPC環境を具体的に記述する質問スタイルが好ましいことがわかる。
【0038】
〔2−2.評価値の算出〕
上記のように出力する質問の抽出に用いる評価値データは、キーワードの指定を待ってその場で生成すれば無駄なデータの事前生成が避けられるが、夜間バッチ時もしくは質問や回答が所定数増えたときといった所定の更新タイミングで(ステップS1)予め生成すれば(ステップS2〜S5)キーワード指定後、質問の例が表示される処理が迅速化できる。
【0039】
評価値データの生成の一例としては、質問に対応する評価値に反映させるいくつかの要素について、まず要素ごとの評価値である要素評価値を得て、それらを基に評価値を算出するという二段階に分けて処理することが考えられる。この場合の大まかな流れとしては、まず、評価サーバ2の要素評価手段21が、質問回答型コンテンツにおける過去の質問と回答を表す質問回答データを参照し、質問に関する要素評価値及び質問への回答に関する要素評価値の少なくとも一方を取得する(ステップS3)。取得した要素評価値は少なくとも一時的に、要素評価値記憶手段22に記憶させておく。そして、評価値算出手段23が、取得された前記要素評価値に基いて質問に対する評価値を算出し、その質問と評価値とを評価値データに反映させる(ステップS5)。
【0040】
質問回答データは、例えば、コンテンツサーバ3の質問回答記憶手段35に記憶されているものを参照する。具体的な要素評価値については後述するが、要素評価値の取得(ステップS3)と、要素評価値に基づく評価値の算出(ステップS5)は、例示サーバ1及び評価サーバ2の運用開始時に行う他、次のようなタイミングで行う。
【0041】
まず、要素評価値の取得(ステップS3)については、要素評価値の基礎となる質問回答データが所定数増加したり削除されるなど更新された場合や、質問回答データから要素評価値を取得するための計算式や計算基準、パラメータなどが更新された場合に(ステップS2)、影響の及ぶ範囲で再取得すなわち更新を行う(ステップS3)。また、要素評価値に基づく評価値の算出(ステップS5)については、少なくとも一部の要素評価値が再度取得により更新された場合や、要素評価値が更新されなくても、要素評価値から評価値を算出する計算式や計算基準、パラメータなどが更新された場合に(ステップS4)再度算出する(ステップS5)。
【0042】
このように、質問に関する要素評価値や回答に関する要素評価値を判定する段階と(ステップS2,S3)、それを基に質問単位の評価値を算出する段階と(ステップS4,S5)、を組み合わせることにより、計算基準の変更や基礎データの更新などが、要素評価値判定の一部にあっても評価値算出の部分にあっても、他の部分全てを処理し直す必要が無く、処理負荷が軽減される。なお、質問に関する要素評価値及び質問への回答に関する要素評価値の双方を取得して用いれば、質問と回答の両面を反映したより優れた評価値を用いることができる。
【0043】
〔2−3.評価値算出の基準〕
上記のように判定する要素評価値の具体的内容は自由であるが、質問に関する要素評価値の例として、質問の文字数の少なさや多さ、質問の閲覧数の多さ、質問に対するスパム判定結果が非スパム的であること、などが考えられる。また、質問への回答に関する要素評価値の例として、質問への回答数の多さ、質問への最短回答時間の短さ、などが考えられる。
【0044】
また、それら要素評価値を質問回答データから取得する際の判定や計算などの方法や基準、パラメータなども自由であるが、典型例として、質問回答データから得られる情報(例えば、質問の閲覧数、質問の文字数、質問への回答数)を属する値の範囲ごとにスコア化したり、偏差値や対数などを用いてスコア化(例えば10点満点の何点など)すれば、値の範囲(いわば、ダイナミックレンジ)が大きくても要素評価値の表現範囲(いわば、量子化ビット数やその値)が扱いやすい所定範囲に正規化できる。なお、少ないほど良い評価となる値に基づく要素評価値については、同様に10点満点の何点などにスコア化したうえで、満点の10点からそのスコアを減じた値を用いたり、符号をマイナスにして評価値の算出に反映させるなどすればよい。
【0045】
また、要素評価値から評価値を算出する計算方法や基準なども自由であるが、典型例として、各要素評価値に所定のウェイトを乗じて質問に対する評価値を算出すれば、要素評価値ごとに評価値へ反映させるバランスをウェイトの調整により容易に制御できる。なお、単純な例として、図2(2)に示す質問ID「A123」に対応する各要素評価値の値から互いに等しいウェイトで平均値を計算すれば、図2(4)に示す評価値「7.2」が得られる。
【0046】
なお、上記の例示で挙げたように、質問の文字数の少なさ又は多さに関する要素評価値を用いることにより、まず、質問の文字数の少なさは表現の要領が良い質問の特徴と考えられることから、そのカテゴリで必要十分な要領の良い質問を例示し、質問回答型コンテンツの効率的利用を図ることができる。例えば、シンプルなテーマを投げかけて多様な考え方を募ったりする場合が考えられる。また、質問の文字数の多さは、十分な詳細情報を含む質問の特徴と考えられることから、PCトラブルシューティングに代表される詳細情報が重要なカテゴリで十分な詳細情報を含む適切な質問を例示し、質問回答型コンテンツの効率的利用を図ることができる。
【0047】
また、質問への回答数の多さに関する要素評価値を用いることにより、回答の多さは例え他の人が回答していても回答する気にさせる質問の特徴と考えられることから、そのカテゴリで多数の多様な回答を得やすい質問を例示し、質問回答型コンテンツの利用促進と回答の充実を図ることができる。例えば、既存の質問や回答を十分確認したうえで、有用な新テーマで質問するような例では、回答数が多くなる傾向があると考えられる。
【0048】
さらに、質問への最短回答時間の短さすなわち回答の早さに関する要素評価値を用いることにより、回答の早さは、回答しやすい、回答する気にさせる質問の特徴と考えられることから、そのカテゴリで回答を早く得やすい質問を例示し、質問回答型コンテンツの迅速な利用を図ることができる。例えば、数日たってからやっと1件目の回答がある質問よりも、深夜であるにもかかわらず1時間もたたずに最初の回答があった質問の方が、見習うべき特徴があると考えられる。
【0049】
回答に関する要素以外にも、上記のように、質問の閲覧数の多さに関する要素評価値を用いることにより、閲覧数の多さは人々の関心の高さを表すと考えられることから、そのカテゴリで関心を惹きやすい質問を例示し、質問回答型コンテンツの効果的利用を図ることができる。難問であっても、より多数の人が見るほど回答できる知見を持つ人が見る確率が向上すると考えられる。
【0050】
加えて、上記のように、スパム判定結果が非スパム的であることに関する要素評価値を用いることにより、自動判定であってもその判定結果が非スパム的であれば多くの場合に真っ当な質問であり、かつ、スパム自動判定で誤検出されるリスクも少ないと考えられることから、そのカテゴリでまともに扱われる質問を例示し、質問回答型コンテンツの適切な利用を図ることができる。例えば、あまり推奨されないジャンルの事業者へのリンクを多数含むなど、スパム判定を招きやすい質問のスタイルは、必然性が低いと考えられる。
【0051】
〔3.他の実施形態〕
なお、上記実施形態は例示に過ぎず、本発明は、以下に例示するものやそれ以外の他の実施態様も含むものである。例えば、本出願における構成図、データの図、フローチャートなどは例示に過ぎず、各要素の有無、その配置や処理実行などの順序、具体的内容などは適宜変更可能である。一例として、本発明の質問例提示装置は、サーバとして実現する態様に限らず、スマートフォン、携帯電話端末やパーソナルコンピュータなどのアプリケーション・プログラム(所謂「アプリ」)として実現してもよい。その場合、評価値データは、ローカルに記憶してもよいが、遠隔のサーバ上のデータをリモート記憶としてアクセスすることによって利用すれば、ローカルの記憶容量を圧迫することが無い。
【0052】
また、図1に示した例示サーバ1のみで実施し、評価サーバ2を省略する例も本発明の範囲内である。逆に、コンテンツサーバ3を含むサーバ1から3を一体に構成してもよい。また、図3のフローチャートは、説明の便宜上、評価サーバ2の作用(ステップS1〜A5)と例示サーバ1の作用(ステップS6〜)を一体の順序で示しているが、これら作用は逆でも、無関係でも、同時並行でもよい。また、各サーバ1,2,3を構成する個々の手段を、さらにそれぞれ独立した装置で実現する構成も一般的である。
【0053】
また、評価値データ(図2(4))は、そのカテゴリに属する全ての質問について必ずしも存在する必要はなく、少なくとも評価値が所定以上(例えば上位何件、上位何パーセントなど)である質問だけについて記憶しているのでもよい。これにより必要なデータ記憶容量が小さくて済む。また、出力する質問の抽出基準は、回答の獲得性について優れている質問、すなわち評価値が高い順や所定以上に限らず、評価値が劣った例を悪い例として抽出、出力してもよく、そのようにすれば悪い例をユーザが避けるのに役立つ。
【0054】
また、評価値が最高の質問から順に所定数(例えば3つ)と、評価値が最低の質問から順に所定数(例えば3つ。2つなど異なった数でもよい)と、を抽出し出力するようにすれば、優れた例と劣った例を対比して見ることができるので、質問の要領をより効果的に学習可能となる。
【0055】
また、質問の評価値の表現形式としては、数値が大きいほど優れたよい評価である必然性はなく、数値が小さいほど優れているという表現形式でもよく、その場合は「所定以上」の評価値は、数値上は「所定以下」となる。また、質問の抽出や抽出した質問を出力する際、必ずしも質問の本文やタイトルなどは評価値データに含まれる必要はなく、質問IDなどをキーとして、コンテンツサーバ3の質問回答記憶手段35など他の装置から取得してもよい。
【0056】
また、外部のプラットフォーム等をAPI(アプリケーション・プログラム・インタフェース)やネットワークコンピューティング(いわゆるクラウドなど)で呼び出すことで、上記実施形態で示した各手段を実現するなど、本発明の構成は柔軟に変更できる。さらに、本発明に関する手段などの各要素は、コンピュータの演算制御部に限らず物理的な電子回路など他の情報処理機構で実現してもよい。
【符号の説明】
【0057】
1 例示サーバ
2 評価サーバ
3 コンテンツサーバ
6 演算制御部
7 記憶装置
8 通信手段
10 キーワード受付手段
15 対応データ記憶手段
20 カテゴリ選択手段
21 要素評価手段
22 要素評価値記憶手段
23 評価値算出手段
25 評価記憶手段
30 質問抽出手段
35 質問回答記憶手段
40 質問出力手段
N 通信ネットワーク
T 端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
質問回答型コンテンツにおける質問例を出力する質問例提示装置であって、
キーワードの指定を受け付けるキーワード受付手段と、
受け付けられた前記キーワードに対応するカテゴリを、キーワードとカテゴリを予め対応付けた対応データに基づいて選択するカテゴリ選択手段と、
質問に対する回答の獲得性を所定の基準で表した評価値をカテゴリごとに属する質問と対応付けた評価値データを用いて、選択された前記カテゴリに属する質問のなかから前記評価値に基づいて、出力する質問を抽出する質問抽出手段と、
抽出された前記質問を出力する質問出力手段と、
を備えたことを特徴とする質問例提示装置。
【請求項2】
質問回答型コンテンツにおける過去の質問と回答を表す質問回答データを参照し、質問に関する要素評価値及び質問への回答に関する要素評価値の少なくとも一方を取得する要素評価手段と、
取得された前記要素評価値に基いて質問に対する前記評価値を算出し、その質問と評価値とを前記評価値データに反映させる評価値算出手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1記載の質問例提示装置。
【請求項3】
前記要素評価値は前記質問の文字数に関することを特徴とする請求項2記載の質問例提示装置。
【請求項4】
前記要素評価値は前記質問への回答数の多さに関することを特徴とする請求項2又は3記載の質問例提示装置。
【請求項5】
前記要素評価値は前記質問への最短回答時間の短さに関することを特徴とする請求項2から4のいずれか一項に記載の質問例提示装置。
【請求項6】
前記要素評価値は前記質問の閲覧数の多さに関することを特徴とする請求項2から5のいずれか一項に記載の質問例提示装置。
【請求項7】
前記要素評価値は前記質問に対するスパム判定結果が非スパム的であることに関することを特徴とする請求項2から6のいずれか一項に記載の質問例提示装置。
【請求項8】
質問回答型コンテンツにおける質問例をコンピュータが出力する質問例提示方法であって、
キーワードの指定を受け付けるキーワード受付処理と、
受け付けられた前記キーワードに対応するカテゴリを、キーワードとカテゴリを予め対応付けた対応データに基づいて選択するカテゴリ選択処理と、
質問に対する回答の獲得性を所定の基準で表した評価値をカテゴリごとに属する質問と対応付けた評価値データを用いて、選択された前記カテゴリに属する質問のなかから前記評価値に基づいて、出力する質問を抽出する質問抽出処理と、
抽出された前記質問を出力する質問出力処理と、
をコンピュータが実行することを特徴とする質問例提示方法。
【請求項9】
質問回答型コンテンツにおける質問例をコンピュータに出力させる質問例提示プログラムであって、
そのプログラムはコンピュータを制御することにより、
キーワードの指定を受け付けさせ、
受け付けられた前記キーワードに対応するカテゴリを、キーワードとカテゴリを予め対応付けた対応データに基づいて選択させ、
質問に対する回答の獲得性を所定の基準で表した評価値をカテゴリごとに属する質問と対応付けた評価値データを用いて、選択された前記カテゴリに属する質問のなかから前記評価値に基づいて、出力する質問を抽出させ、
抽出された前記質問を出力させることを特徴とする質問例提示プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−16054(P2013−16054A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−148922(P2011−148922)
【出願日】平成23年7月5日(2011.7.5)
【出願人】(500257300)ヤフー株式会社 (1,128)