質問器、非接触データキャリアシステム、非接触データキャリアのデータ取得方法、及び、非接触データキャリアのデータ取得用プログラム
【課題】 非接触データキャリアに物理量の測定機能を搭載しても、安価、小型化を維持でき、しかも、測定可能な物理量の融通性を高くする。
【解決手段】 本発明の非接触データキャリアシステムは、質問器と、質問器とデータ授受を行う測定ポートを有する非接触データキャリアと、測定ポートに接続された、周囲の物理量に応じて被比較信号を発生する被比較信号発生源とを有する。非接触データキャリアは、接続される測定ポートと、入力された被比較信号を閾値と比較し、比較結果を出力する比較手段と、閾値を可変出力する可変閾値手段と、質問器と測定のための通信を行う比較制御手段を有する。質問器は、閾値を変更させた上記比較手段の比較を繰り返し実行させ、比較結果の論理が変化した閾値の情報を取り込んで、被比較信号に係る物理量の情報を得る。
【解決手段】 本発明の非接触データキャリアシステムは、質問器と、質問器とデータ授受を行う測定ポートを有する非接触データキャリアと、測定ポートに接続された、周囲の物理量に応じて被比較信号を発生する被比較信号発生源とを有する。非接触データキャリアは、接続される測定ポートと、入力された被比較信号を閾値と比較し、比較結果を出力する比較手段と、閾値を可変出力する可変閾値手段と、質問器と測定のための通信を行う比較制御手段を有する。質問器は、閾値を変更させた上記比較手段の比較を繰り返し実行させ、比較結果の論理が変化した閾値の情報を取り込んで、被比較信号に係る物理量の情報を得る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、質問器、非接触データキャリアシステム、非接触データキャリアのデータ取得方法、及び、非接触データキャリアのデータ取得用プログラムに関し、特に、センサシステムに適用し得るようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
非接触データキャリア(応答器)及び質問器でなる非接触データキャリアシステムが、簡易なデータ処理システムとして種々の用途で用いられている。さらに、特許文献1に記載のように、非接触データキャリアが温度センサや圧力センサなどのセンサを備え、非接触データキャリアシステムを測定システムに適用する用途も出現してきている。
【特許文献1】特開平10−289297号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載の非接触データキャリアや非接触データキャリアシステムは、以下のような課題を有するものであった。
【0004】
非接触データキャリアが温度センサや圧力センサなどのセンサを備えるため、製品単価が安く、小型、軽量であるという非接触データキャリアの特質が失われる恐れがある。例えば、非接触データキャリアから質問器へ、センサが得たアナログ信号をデジタルデータに変換して送信するためには、送信のために必要なある程度の電力が必要である。非接触データキャリアに電池を設けない場合、この必要な電力を確保することが困難であるが、電池を設ければ必要な電力を確保することができる。しかしながら、非接触データキャリアに電池を設けたならば、小型、軽量化が阻害される。
【0005】
また、非接触データキャリアが備えるセンサの種類によって測定項目(温度、圧力など)が定まっている。言い換えると、測定項目が複数の場合には、各測定項目対応の非接触データキャリアを別途独立して形成しなければならない。
【0006】
そのため、製品単価が安く、小型、軽量である非接触データキャリアの特質を保持しつつ、かつ、測定項目に対する融通性を高くできる、質問器、非接触データキャリアシステム、非接触データキャリアのデータ取得方法、及び、非接触データキャリアのデータ取得用プログラムが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる課題を解決するため、第1の本発明の非接触データキャリアシステムは、(1)質問器と、(2)上記質問器と無線通信によりデータ授受を行う、少なくとも1個の測定ポートを有する非接触データキャリアと、(3)上記非接触データキャリアの少なくとも1個の測定ポートに接続された、周囲の物理量に応じて被比較信号を発生する被比較信号発生源とを有し、上記非接触データキャリアが、(2−1)外部からの被比較信号が入力される測定ポートと、(2−2)上記測定ポートから入力された被比較信号を閾値と比較し、両者の大小関係を表す論理値の比較結果を出力する比較手段と、(2−3)上記閾値を出力する可変閾値手段と、(2−4)上記質問器からの比較出力要求に従い、上記可変閾値手段からの閾値を制御し、上記比較手段の比較結果、又は、上記比較結果に関係する情報を返信する比較制御手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
第2の本発明の非接触データキャリアシステムは、(1)質問器と、(2)上記質問器と無線通信によりデータ授受を行う、外部からの被比較信号が入力される測定ポートと、上記測定ポートから入力された被比較信号を閾値と比較し、比較結果を出力する比較手段と、上記閾値を出力する可変閾値手段と、上記質問器からの比較出力要求に従い、上記可変閾値手段からの閾値を制御し、上記比較手段の比較結果、又は、上記比較結果に関係する情報を返信する比較制御手段とを備える非接触データキャリアと、(3)上記非接触データキャリアの少なくとも1個の測定ポートに接続された、周囲の物理量に応じて被比較信号を発生する被比較信号発生源とを有し、(4)上記質問器は、閾値の変更値をその都度上記非接触データキャリアに指示することを特徴とする。
【0009】
第3の本発明は、少なくとも1個の測定ポートに周囲の物理量に応じて被比較信号を発生する被比較信号発生源が接続された第1の本発明の非接触データキャリアシステムにおける非接触データキャリアを配下にしている質問器であって、測定モードで、閾値を変更させた上記非接触データキャリアの上記比較手段の比較を繰り返し実行させて、上記比較手段の比較結果の論理が変化した閾値の情報を上記比較制御手段から取り込み、上記被比較信号発生源が発生した上記被比較信号に係る物理量の情報を得ることを特徴とする。
【0010】
第4の本発明は、質問器が、少なくとも1個の測定ポートに周囲の物理量に応じて被比較信号を発生する被比較信号発生源が接続された第1の本発明の非接触データキャリアシステムにおける非接触データキャリアを配下にしており、上記非接触データキャリアから、上記被比較信号発生源が発生した上記被比較信号に係る物理量の情報を得る、非接触データキャリアのデータ取得方法であって、(1)上記質問器が、上記非接触データキャリアに、閾値を変更させた上記比較手段の比較を繰り返し実行させる探索工程と、(2)上記比較手段の比較結果の論理が変化した閾値の情報を、上記質問器又は上記非接触データキャリアが認識する変化閾値認識工程と、(3)上記質問器が、論理が変化した閾値の情報に基づき、上記被比較信号発生源が発生した上記被比較信号に係る物理量の情報を得る物理量同定工程とを含むことを特徴とする。
【0011】
第5の本発明は、外部からの被比較信号が入力される測定ポートと、上記測定ポートから入力された被比較信号を閾値と比較し、比較結果を出力する比較手段と、上記閾値を出力する可変閾値手段と、上記質問器からの比較出力要求に従い、上記可変閾値手段からの閾値を制御し、上記比較手段の比較結果、又は、上記比較結果に関係する情報を返信する比較制御手段とを備える非接触データキャリアであって、少なくとも1個の測定ポートに周囲の物理量に応じて被比較信号を発生する被比較信号発生源が接続された非接触データキャリアを、質問器が配下にしており、上記質問器が、上記非接触データキャリアから、上記被比較信号発生源が発生した上記被比較信号に係る物理量の情報を得る、非接触データキャリアのデータ取得方法であって、(1)上記質問器が、上記非接触データキャリアに、閾値を変更させた上記比較手段の比較を繰り返し実行させる探索工程と、(2)上記比較手段の比較結果の論理が変化した閾値の情報を、上記質問器又は上記非接触データキャリアが認識する変化閾値認識工程と、(3)上記質問器が、論理が変化した閾値の情報に基づき、上記被比較信号発生源が発生した上記被比較信号に係る物理量の情報を得る物理量同定工程とを含み、(4)上記探索工程で、上記質問器が上記非接触データキャリアに、閾値の変更値をその都度指示することを特徴とする。
【0012】
第6の本発明は、第4又は第5の本発明の非接触データキャリアのデータ取得方法の各工程をコンピュータに実行させる非接触データキャリアのデータ取得プログラムであって、質問器に搭載される第1のプログラム部分と、非接触データキャリアに搭載される第2のプログラム部分でなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、非接触データキャリアの構成を高価、複雑化することなく、同一の非接触データキャリアが多様な物理量の同定に用いることができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(A)第1の実施形態
以下、本発明による質問器、非接触データキャリアシステム、非接触データキャリアのデータ取得方法、及び、非接触データキャリアのデータ取得用プログラムの第1の実施形態を図面を参照しながら詳述する。
【0015】
図1は、第1の実施形態の非接触データキャリアシステムの構成を示すブロック図である。
【0016】
図1において、第1の実施形態の非接触データキャリアシステム1は、非接触データキャリア2、質問器3及び上位装置4を有し、非接触データキャリア2には1又は複数(図1は2個の場合を示している)のセンサ5−1、5−2が適宜接続可能なものである。
【0017】
なお、第1の実施形態の場合、非接触データキャリア2が固定位置のものであっても可搬式のものであっても良く、質問器3も固定位置のものであっても可搬式のものであっても良い(後述する動作説明では少なくとも一方が可搬式のものであるとして説明を行う)。また、質問器3が通信し得る非接触データキャリア2は1個だけでも複数あっても良い(後述する動作説明では複数存在するとして説明を行う)。非接触データキャリア2とセンサ5−1、5−2とは一旦接続された以降、継続して接続されている接続形態でも良く、また、測定の度に、オペレータによって接続されるものであっても良い。
【0018】
非接触データキャリア2は、例えば、RFIDタグが該当し、IDタグコア部10、不揮発性メモリ11、アンテナ12、1又は複数(図1は2個の場合を示している)のアナログ比較器13−1、13−2、及び、可変閾値部14を有し、さらに、アナログ比較器13−1、13−2と同数の測定ポート15−1、15−2と、外部拡張端子16と、外部入出力端子(外部I/O端子)17とを有する。
【0019】
IDタグコア部10は、CPUや無線部などが該当するIDタグとしての一般的な処理を実行する部分である。IDタグコア部10は、アンテナ12が捕捉した無線信号をデジタル信号(シリアル信号;質問信号)に復調し、そのデジタル信号(又は、そのデジタル信号をシリアル/パラレル変換したデータ)を解析し、得られた質問器3からの質問に応じた処理を実行し、応答信号(例えば、パラレルデータでなる)を形成し、その応答信号(又は、その応答信号をパラレル/シリアル変換した信号)を変調してアンテナ12から返信させるものである。質問器3からの質問信号として、後述するような測定モードでの信号が存在し、このとき、IDタグコア部10は、測定モードでの動作を制御するものとなっている(特許請求の範囲での「比較制御手段」にIDタグコア部10が該当する)。
【0020】
また、IDタグコア部10は、アンテナ12が捕捉した無線信号から、当該非接触データキャリア2が動作する際に必要となる電源を得る電源部を有し、各部に動作電源として供給するものである(図1では電源供給線を省略している)。
【0021】
不揮発性メモリ11は、例えば、FeRAMなどでなり、当該非接触データキャリア2に割り当てられたIDなどのデータや、IDタグコア部10が実行するプログラムを格納している。なお、不揮発性メモリ11に、後述する閾値データが格納されることもあり得る。また、不揮発性メモリ11に格納されているプログラムとして、測定モード用プログラム11Pが存在する。
【0022】
アンテナ12は、例えば、送受共用アンテナ(送信、受信用が別個であっても良い)である。アンテナ12は、例えば、アンテナコイルと、IDタグコア部10などを構成するICチップの容量成分などとで所定周波数に共振する形式のものであり、その共振によって、当該非接触データキャリア2が動作する際に必要なエネルギーを効率良く取り出せるようになされているものである。
【0023】
各アナログ比較器13−1、13−2はそれぞれ、例えば、コンパレータ回路又はシュミットトリガ回路などでなり、対応する測定ポート15−1、15−2を介して接続されているセンサ5−1、5−2の検出信号(検出電圧)を、可変閾値部14による閾値(閾値電圧)と比較し、センサ検出信号が閾値より大きいときに論理「1」、センサ検出信号が閾値以下のときに論理「0」を出力するものである。
【0024】
なお、当該非接触データキャリア2に接続し得るセンサ5−1、5−2の種類は問われない。例えば、温度センサ、導電度センサ、歪センサ、圧力センサ、濃度センサ、水分センサ、抵抗分センサなどの任意のもので良い。但し、各センサ5−1、5−2は、電圧出力型のものであることを要する。また、各センサ5−1、5−2は、検出出力のダイナミックレンジを内蔵する増幅器やアッテネータなどで調整し得るものであることが好ましい。
【0025】
可変閾値部14は、IDタグコア部10から与えられた閾値データに応じた閾値(閾値電圧)を、アナログ比較器13−1、13−2に与えるものである。可変閾値部14は、例えば、閾値データのラッチ部14Aと、図2に詳細に示すような直列接続された複数の抵抗を有し、分圧電圧を選択して閾値(閾値電圧)として取り出す閾値形成部14Bとを有するものを適用でき、閾値形成部14Bにおけるスイッチのオンオフがラッチ部14Aの閾値データに応じて制御され、閾値データに対応した閾値(閾値電圧)を出力するものである。
【0026】
ここで、ラッチ部14Aにラッチされる閾値データとしては、質問器3から転送されてきた閾値データの場合(第1の測定モードの場合)もあれば、不揮発性メモリ11に格納されている閾値データの場合(第2の測定モードの場合)もある。
【0027】
なお、外部拡張端子16は、可変閾値部14によって設定されている閾値(閾値電圧)を、外部から参照し得るように出力するためのものである。また、外部入出力端子(外部I/O端子)17は、不揮発性メモリ11に記憶されているデータやプログラムを外部から有線によって参照し得ると共に、外部から有線によって不揮発性メモリ11に新たなデータやプログラムを書き込むことができるようにするためのものである。
【0028】
質問器3は、従来と同様なハードウェア構成を有し、例えば、有線又は無線回線を介して接続されている上位装置4の制御下で、質問信号を変調した無線信号を非接触データキャリア2に送信し、非接触データキャリア2が返信した応答信号を変調した無線信号を受信し、復調処理して応答信号を取り出すものである。ここで、第1の実施形態の場合、質問器3は、動作用のプログラムとして後述する測定モード用プログラム3P(図3参照)を有し、上位装置4が測定モードの動作を起動指示したときには、質問器3の主制御部(図示せず)は、測定モード用プログラム3Pに従って、非接触データキャリア2との間で質問信号及び応答信号を授受する。質問器3と非接触データキャリア2との間の質問信号及び応答信号の授受は、例えば、ISO15693などの規格に従って又は準拠して実行する。
【0029】
上位装置4は、例えば、パソコンが該当し、質問器3を起動して、質問器3及び非接触データキャリア2間の通信を制御するものである。上位装置4は、非接触データキャリア2に係る測定データを収集するものである。なお、上位装置4に対し、有線又は無線で接続するさらに上位の装置が存在していても構わない。
【0030】
次に、第1の実施形態の非接触データキャリアシステムの特徴動作である測定モードでの動作を説明する。
【0031】
質問器3は、例えば、周期的に近傍に非接触データキャリア2が存在しているか否かを確認するための質問信号(の変調信号)の送信を行っており、その質問信号に対する応答信号(の変調信号)が返信されてきたことにより、非接触データキャリア2が近傍に存在していることを認識し、応答信号に含まれていたIDを含めてそのことを上位装置4に通知する。
【0032】
上位装置4は、非接触データキャリア2のIDに、測定モードの動作対象か否かや、第1の測定モードを適用するか第2の測定モードを適用するかや、有効な測定ポートや、各測定ポートでの最小閾値に対応する測定データ(温度センサを接続した測定ポートであれば最小温度)や、各測定ポートでの閾値の1単位分に対応する測定データの変換分(温度センサを接続した測定ポートであれば温度の検出精度)などを対応付けたテーブル情報4Tを保持しており、上位装置4は、近傍に存在する非接触データキャリア2が測定モードの動作対象である場合には、第1の測定モードを適用するか第2の測定モードを適用するかや有効な測定ポートの情報を含む測定動作の起動指令を質問器3に与える。このとき、質問器3は、図3に示す測定モード用プログラム3Pを開始する。なお、上位装置4は、第1の測定モードを適用することを通知した場合には、テーブル情報4Tの当該非接触データキャリア2のレコードを、次回は第2の測定モードを適用するように更新させる。
【0033】
なお、上述したようなテーブル情報4Tを質問器3に持たせ、質問器3自体が、測定モードの動作を起動するか否かなどを確認するようにしても良い。
【0034】
ここで、第1の測定モードとは、その非接触データキャリア2に対する初めて(テーブル情報4Tのクリアにより初めてと見なされる場合を含む)の測定動作のモードであり、第2の測定モードとは、その非接触データキャリア2に対する2回目以降の測定動作のモードである。
【0035】
質問器3は、図3に示す測定モード用プログラム3Pを開始すると、まず、第1の測定モードの動作を実行するか第2の測定モードの動作を実行するかを判別する(ステップ100)。
【0036】
第1の測定モードであれば、質問器3は、第1の測定モードにおける初期の測定依頼の質問信号を形成して非接触データキャリア2に送信し(ステップ101)、それに対する非接触データキャリア2からの返信を待ち受ける(ステップ102)。
【0037】
ここでの質問信号は、非接触データキャリア2のID、第1の測定モードであること、最小の閾値データ(又は最小の閾値データを指示するコード)、測定ポートの番号などを含んでいる。このような質問信号を受信した非接触データキャリア2のIDタグコア部10においては、質問信号に含まれているIDにより自己への質問信号であることを認識し、測定モードが第1の測定モードであることを不揮発性メモリ11に記憶し、質問信号に含まれている最小の閾値データに係る閾値を可変閾値部14によって設定させ、質問信号に含まれている測定ポートの番号に対応付けられたアナログ比較器13−1又は13−2の比較結果(「0」又は「1」)を取り込む。そして、IDタグコア部10は、その比較結果を含む応答信号を形成して質問器3に返信する。なお、IDタグコア部10は、比較結果が「0」の場合には、応答信号の形成だけでなく、その際の閾値データより所定単位分だけ小さい閾値データを、次回の第2の測定モードにおける測定開始時の閾値データとして不揮発性メモリ11に記憶させることも行う。
【0038】
上述のような応答信号の返信を受けた質問器3は比較結果が「0」であるか「1」であるかを判別する(ステップ103)。比較結果が「1」であると、今回の閾値データが最大のものでないことを確認して(ステップ104)、今回より閾値データが1単位分だけ大きく指示する測定依頼の質問信号を形成して非接触データキャリア2に送信し(ステップ105)、上述と同様に、それに対する非接触データキャリア2からの返信を待ち受ける(ステップ102)。
【0039】
なお、今回の質問信号における閾値データが最大のものであった場合には、質問器3は、測定値として最大の閾値データに係る最大閾値より大きいものに設定し(ステップ106)、後述するステップ108に移行する。
【0040】
非接触データキャリア2からの応答信号内の比較結果が「0」であると、質問器3は、測定値として、今回と前回の質問信号における閾値データに対応する2個の閾値の中間値に設定する(ステップ107)。
【0041】
その後、未測定の測定ポートが残っているか判断し(ステップ108)、残っていると、ステップ101に戻って、その測定ポートについての測定を実行する(ステップ101〜ステップ107)。
【0042】
以上のようにして、その非接触データキャリア2についての全ての測定ポートについての測定値を得ると、質問器3は、非接触データキャリア2に対しては、測定終了を表す質問信号を送信し(ステップ109)、その返信を待って(ステップ110)、上位装置4に測定結果を送信し(ステップ111)、一連の処理を終了する。なお、このとき、上位装置4は、テーブル情報4Tを参照しつつ、閾値(閾値電圧)で表現された測定結果を、その測定項目(例えば温度)に係る表現の測定結果(温度)に変換し、内部記憶したり外部に送信したりする。なお、測定項目(例えば温度)に係る表現の測定結果(温度)への変換も質問器3が行うようにしても良い。
【0043】
上位装置から指示された測定モードが第2の測定モードであれば、質問器3は、第2の測定モードにおける初期の測定依頼の質問信号を形成して非接触データキャリア2に送信し(ステップ112)、それに対する非接触データキャリア2からの返信を待ち受ける(ステップ113)。
【0044】
ここでの質問信号は、非接触データキャリア2のID、第2の測定モードであること、測定ポートの番号などを含んでいる。このような質問信号を受信した非接触データキャリア2(のIDタグコア部10)は、後述する図4に示すような制御処理により、比較結果が「1」から「0」へ変化する境界の閾値データを得、その境界閾値データを含む応答信号を形成して質問器3に返信する。
【0045】
上述のような応答信号の返信を受けた質問器3は、測定値として、応答信号に含まれている境界閾値データに係る閾値より1/2単位分だけ小さい値に設定する(ステップ114)。なお、境界閾値データが最大閾値データの場合には、測定値として、最大閾値より大きいことを設定する。
【0046】
その後、未測定の測定ポートが残っているか判断し(ステップ115)、残っていると、ステップ112に戻って、その測定ポートについての測定を実行させる(ステップ112〜ステップ114)。
【0047】
以上のようにして、第2の測定モードでも、その非接触データキャリア2についての全ての測定ポートについての測定値を得ると、質問器3は、上述したステップ109に移行して、非接触データキャリア2に対して測定終了を表す質問信号を送信し、その返信を待って(ステップ110)、上位装置4に測定結果を送信し(ステップ111)、一連の処理を終了する。
【0048】
次に、図4を参照しながら、第2の測定モードの測定依頼の質問信号を受信した非接触データキャリア2(のIDタグコア部10)の制御処理を説明する。
【0049】
IDタグコア部10は、第2の測定モードの測定依頼の質問信号を受信すると、その質問信号に含まれている測定ポートの番号が規定する測定ポートの測定開始時用の閾値データを不揮発性メモリ11から取り出して可変閾値部14によって設定させ(ステップ200、201)、その測定ポートの番号に対応付けられたアナログ比較器13−1又は13−2の比較結果(「0」又は「1」)を取り込む(ステップ202)。そして、比較結果が「0」であるか「1」であるかを判別する(ステップ203)。
【0050】
比較結果が「1」であると、IDタグコア部10は、今回の閾値データが最大のものでないことを確認して(ステップ204)、今回より閾値データを1単位分だけ大きくし(ステップ205)、上述したステップ201に戻って、可変閾値部14によって設定させる。
【0051】
なお、最大の閾値データでも「1」の比較結果を得た場合には、境界閾値データとして最大閾値データを設定し(ステップ206)、後述するステップ210に移行する。
【0052】
一方、比較結果が「0」であると、IDタグコア部10は、適用した閾値データが測定開始時用の閾値データであるか否かを判別し(ステップ207)、適用した閾値データが測定開始時用の閾値データであると、閾値データを最小データ(又は測定開始時用の閾値データより所定単位分だけ小さいデータ)に更新し(ステップ208)、上述したステップ201に戻って、可変閾値部14によって設定させる。
【0053】
比較結果として「0」が得られた際の閾値データが測定開始時用の閾値データでなければ、今回の閾値データを境界閾値データに設定する(ステップ209)。そして、境界閾値データを含む応答信号を形成して質問器3に返信する(ステップ210)。その後、不揮発性メモリ11に記憶されている測定開始時用の閾値データを、境界閾値データより所定値だけ小さいものに更新し(ステップ211)、一連の処理を終了する。
【0054】
上記第1の実施形態によれば、以下のような効果を奏することができる。
【0055】
第1の実施形態の非接触データキャリアは、IDタグコア部10及び不揮発性メモリ11のみが1つの半導体集積回路中に形成した例を示した(すなわち、IDタグコア部10及び不揮発性メモリ11は1チップ化されている)。
【0056】
しかしながら、この実施形態の非接触データキャリアは、上述のチップ構成に限定されるものではなく、アナログ比較器13及び可変閾値部14が1チップ化され、この1チップ化されたアナログ比較器13及び可変閾値部14と、上述の1チップ化されたIDタグコア部10及び不揮発性メモリ11とのマルチチップ構成であっても良い。
【0057】
このような構成を採用することにより、測定機能対応の非接触データキャリアを安価、軽量、小型で実現できることが期待できる。
【0058】
第1の実施形態の非接触データキャリアは、センサは外付けのものであるため、非接触データキャリアから見れば、センサの種類は問わない。すなわち、第1の実施形態の非接触データキャリアは、測定項目に関して汎用性が高いものである。また、従来の測定機能付きの非接触データキャリアの場合、センサそのものを搭載しているため、1個の非接触データキャリアが複数の測定項目に対応するようにすることは実際上難しい面があったが、第1の実施形態の場合、追加構成が、アナログ比較器とそれに対する閾値の設定構成だけであるので、従来に比較して、複数の測定項目に対応させることは容易である。
【0059】
第1の実施形態の場合、閾値を変化させ、比較結果が「0」と「1」との境界の閾値を探索し、その境界閾値を間接的な測定値とするようにしたので、測定信号をアナログ/デジタル変換するような構成要素を不要とでき、この点からも、非接触データキャリアの構成を安価、軽量、小型に抑えることができ、また、非接触データキャリア及び質問器間で必要な通信ビット数も抑えることができる。
【0060】
また、2回目以降の測定動作では、前回の測定結果を利用して、比較結果が「0」と「1」との境界閾値の探索動作での初期閾値を設定するようにしたので、探索時間の短縮化が期待できる。
【0061】
(B)第2の実施形態
次に、本発明による質問器、非接触データキャリアシステム、非接触データキャリアのデータ取得方法、及び、非接触データキャリアのデータ取得用プログラムの第2の実施形態を図面を参照しながら説明する。
【0062】
図5は、第2の実施形態の非接触データキャリアシステムの構成を示すブロック図であり、上述した第1の実施形態に係る図1との同一、対応部分には同一、対応符号を付して示している。
【0063】
第2の実施形態は、上述した第1の実施形態と比較すると、非接触データキャリア2の内部構成が異なっている。第2の実施形態の非接触データキャリア2は、複数(図5のものは2個の例)の測定ポート15−1、15−2の全てに共通に、アナログ比較器13を設けると共に、共通なアナログ比較器13と複数の測定ポート15−1、15−2との間に、アナログスイッチ(セレクタ)20を設けたものであり、その他の構成は、第1の実施形態と同様である。
【0064】
アナログスイッチ20は、各測定ポート15−1、15−2からのセンサ検出信号から1個の信号を選択して共通なアナログ比較器13に入力させるものであり、どの測定ポート15−1、15−2からのセンサ検出信号を選択するかは、IDタグコア部10からの選択制御信号による。
【0065】
第2の実施形態の場合も、IDタグコア部10は、第1の実施形態の場合とほぼ同様な制御処理を行うが、その時点の測定対象の測定ポート(センサ)に対応したアナログ比較器から比較結果を取り込むことに代え、その時点の測定対象の測定ポート(センサ)からのセンサ検出信号が共通なアナログ比較器13に入力されるようにアナログスイッチ20を制御すると共に、その共通なアナログ比較器から比較結果を取り込む。
【0066】
この第2の実施形態によっても、上述した第1の実施形態と同様な効果を奏する。測定ポート数が多い場合には、第2の実施形態の方が、非接触データキャリア内の回路の小型、簡易化を期待できる。
【0067】
(C)第3の実施形態
次に、本発明による質問器、非接触データキャリアシステム、非接触データキャリアのデータ取得方法、及び、非接触データキャリアのデータ取得用プログラムの第3の実施形態を図面を参照しながら説明する。
【0068】
図6は、第3の実施形態の非接触データキャリアシステムの構成を示すブロック図であり、上述した第1の実施形態に係る図1との同一、対応部分には同一、対応符号を付して示している。
【0069】
第3の実施形態は、上述した第1の実施形態と比較すると、非接触データキャリア2の内部構成が異なっている。第3の実施形態は、上述した第1の実施形態と比較すると、各アナログ比較器13−1、13−2(図6では1個のアナログ比較器13−1だけを示している)と対応する測定ポート15−1(測定ポート15−1は厳密に言えば一対のポート15−1P及び15−1Nでなる;図1や図5なども同様)、15−2との間に、センサ検出信号のダイナミックレンジを拡大するブリッジ回路21−1、21−2を設けたものであり、その他の構成は、第1の実施形態と同様である。なお、第2の実施形態の構成に対してブリッジ回路を追加する場合であれば、アナログスイッチ20の出力側に設けることが好ましい。
【0070】
ブリッジ回路21−1(21−2も同様)は、例えば、図7に示すように、測定ポート対15−1P及び15−1Nを介して接続されたセンサ5−1を一辺とする抵抗のブリッジ部21Aと、そのブリッジ部21Aの2個の出力端子間の電圧を取り出す差分部21Bとからなり、差分部21Bからの出力電圧がアナログ比較器13−1に入力されるようになされている。
【0071】
この第3の実施形態によれば、上述した第1の実施形態と同様な効果に加え、センサ検出信号が小信号であっても高精度に検出できるという効果をも奏する。
【0072】
(D)第4の実施形態
次に、本発明による質問器、非接触データキャリアシステム、非接触データキャリアのデータ取得方法、及び、非接触データキャリアのデータ取得用プログラムの第4の実施形態を図面を参照しながら説明する。
【0073】
図8は、第4の実施形態の非接触データキャリアシステムの構成を示すブロック図であり、上述した第1の実施形態に係る図1との同一、対応部分には同一、対応符号を付して示している。なお、図8では、質問器3及び上位装置4の図示を省略している。
【0074】
第4の実施形態は、上述した第1の実施形態と比較すると、非接触データキャリア2の内部構成と、センサ側の外部構成とが異なっている。第4の実施形態は、可変閾値部14の一方の構成要素であるラッチ部14Aだけを非接触データキャリア2の内部に残し、可変閾値部14の他方の構成要素である閾値形成部14Bを非接触データキャリア2の外部に設けるようにしたものである。すなわち、第4の実施形態の非接触データキャリア2は、閾値データの出力ポート22と、閾値(閾値電圧)の入力ポート23とを備えている。
【0075】
なお、非接触データキャリア2の内部のラッチ部14Aから、非接触データキャリア2の外部の閾値形成部14Bへの閾値データの転送は、図8に示すようなパラレル転送に限定されず、シリアル転送であっても良い。
【0076】
また、閾値形成部14Bを非接触データキャリア2の外部に設けるようにしたのは、閾値データの1ビットの相違に対応する閾値(閾値電圧)の変化分(単位変化)を任意に設定できるようにしていることを意図している。例えば、閾値データの1ビットの相違を閾値(閾値電圧)の0.1Vに対応させることもでき、また、0.2Vに対応させることもでき、閾値(閾値電圧)の単位変化をオペレータが任意に設定できる。例えば、単位変化が0.1Vの閾値形成部や、単位変化が0.2Vの閾値形成部など、単位変化が異なる複数種類の閾値形成部を用意しておき、いずれかの種類の閾値形成部14Bを非接触データキャリア2に接続させて閾値(閾値電圧)の単位変化を任意に設定させるようにしても良い。また、調整操作子を備え、その調整操作子の位置に応じて閾値(閾値電圧)の単位変化を任意に設定させる閾値形成部14Bを非接触データキャリア2に接続させるようにしても良い。例えば、可変型の閾値形成部としては、図2における直列接続されている各抵抗を可変抵抗に置き換え、調整操作子の位置に応じて、全ての可変抵抗の抵抗値を変化させるものを挙げることができる。
【0077】
この第4の実施形態によれば、上述した第1の実施形態と同様な効果に加え、閾値(閾値電圧)のステップ幅を選択できるという効果を奏する。
【0078】
(E)第5の実施形態
次に、本発明による質問器、非接触データキャリアシステム、非接触データキャリアのデータ取得方法、及び、非接触データキャリアのデータ取得用プログラムの第5の実施形態を図面を参照しながら説明する。
【0079】
図9は、第5の実施形態の非接触データキャリアの内部構成を示すブロック図であり、上述した第1の実施形態に係る図1との同一、対応部分には同一、対応符号を付して示している。
【0080】
第5の実施形態は、上述した第1の実施形態と比較すると、非接触データキャリア2の内部構成が異なっている。第5の実施形態の場合、不揮発性メモリ11には、測定ポート15−1、15−2(図9では一方の測定ポート15−1だけを示している)毎の閾値データ補正テーブル11T−1、11T−2が格納されている。
【0081】
閾値データ補正テーブル11T−1(テーブル11T−2も同様)は、可変閾値部14の閾値を規定する閾値データを受信したときや内部で決定した場合に(図3、図4参照)、その閾値データに対応する補正後の閾値データを得るためのものであり、この補正後の閾値データが可変閾値部14のラッチ部14Aにラッチされる。
【0082】
一般には、測定対象項目の状態(値;例えば温度)とセンサの出力検出信号(例えば電圧値)とは線形な関係にはなく、非線形である。詳述をしなかったが、既述した第1〜第4の実施形態は、センサ5−1、5−2が非線形関係を線形関係に補正する機能を有しているか、又は、上位装置4が、出力検出信号に対応する測定結果を、実際の測定対象項目の状態に補正する機能を備えていることを前提としている。この第5の実施形態は、閾値データを補正することにより、センサ5−1、5−2の入出力の非線形性を補償しようとしたものである。
【0083】
ここで、非接触データキャリア2の測定ポート15−1、15−2に接続されるセンサ5−1、5−2の種類は任意であるので、不揮発性メモリ11の閾値データ補正テーブル11T−1、11T−2を任意に書き換えられることができるものとしておく。書換(上書き)は、例えば、質問器3からのコマンド列の送信などによって実行したり、外部入出力端子17から入力させることで行う。
【0084】
この第5の実施形態によれば、上述した第1の実施形態と同様な効果に加え、非接触データキャリアに接続されているセンサの非線形性を補償できるという効果を奏する。
【0085】
(F)第6の実施形態
次に、本発明による質問器、非接触データキャリアシステム、非接触データキャリアのデータ取得方法、及び、非接触データキャリアのデータ取得用プログラムの第6の実施形態を図面を参照しながら説明する。
【0086】
図10は、第6の実施形態の非接触データキャリアの内部構成を示すブロック図であり、上述した第1の実施形態に係る図1との同一、対応部分には同一、対応符号を付して示している。
【0087】
第6の実施形態は、非接触データキャリア2が電源供給制御部24を有する点が第1の実施形態と異なっている。電源供給制御部24は、IDタグコア部10からの供給制御信号に応じて、アナログ比較器13−1、13−2(図10では13−1のみ示している)や可変閾値部14への動作電源の供給を制御(オン又はオフ)するものである。IDタグコア部10は、質問器3からの供給制御コマンドを含む信号の受信に応じて電源供給制御部24を制御したり、測定モードを規定する質問信号の受信や測定動作の終了の認識などに応じて電源供給制御部24を制御したりする。
【0088】
すなわち、測定動作以外の通常動作(非接触データキャリア2としての質問器3との一般的な通信動作)では、アナログ比較器13−1、13−2や可変閾値部14などの測定動作にのみ機能する部分への電源供給を停止し得るようにしている。
【0089】
電池を搭載しない非接触データキャリア2の場合、動作エネルギーを質問器3側から得ているが、一般的な通信動作時に、測定動作にのみ機能する部分へ電源が供給され、僅かながらでも消費電力が生じている場合には、消費電力が生じていない場合に比べ、有効な交信距離が短くなってしまう。これを防止すべく、電源供給制御部24が設けられている。
【0090】
第6の実施形態によれば、上述した第1の実施形態と同様な効果に加え、測定機能構成を設けても、通常動作時の所望する交信距離(例えば、規格が定めている交信距離)を確保できるという効果を奏する。
【0091】
(G)第7の実施形態
次に、本発明による質問器、非接触データキャリアシステム、非接触データキャリアのデータ取得方法、及び、非接触データキャリアのデータ取得用プログラムの第7の実施形態を図面を参照しながら説明する。
【0092】
図11は、第7の実施形態の非接触データキャリアシステムの構成を示すブロック図であり、上述した第1の実施形態に係る図1との同一、対応部分には同一、対応符号を付して示している。なお、図11では、質問器3及び上位装置4を省略しており、また、アナログ比較器も1個のみ(13)示している。
【0093】
第7の実施形態は、非接触データキャリア2が一対の電源外部供給ポート25P及び25Nと、電源外部供給制御部26とを有する点が第1の実施形態と異なっている。
【0094】
一対の電源外部供給ポート25P及び25Nは、電源を搭載していないセンサ5の電源入力端子VINP、VINN(VINNがグランド側端子)と接続されるものであり、非接触データキャリア2からセンサ5への電源供給を可能としているものである。電源外部供給制御部26は、IDタグコア部10からの供給制御信号に応じて、センサ5への動作電源の供給を制御(オン又はオフ)するものである。IDタグコア部10は、質問器3からの供給制御コマンドを含む信号の受信に応じて電源外部供給制御部26を制御したり、測定モードを規定する質問信号の受信や測定動作の終了の認識などに応じて電源外部供給制御部26を制御したりする。
【0095】
第7の実施形態によれば、上述した第1の実施形態と同様な効果に加え、センサが電源を搭載していないものであっても(例えば、サーミスタ)、測定動作を実行できるという効果や、通常動作時の所望する交信距離を確保できるという効果(第6の実施形態の場合と同様)を奏する。
【0096】
(H)第8の実施形態
次に、本発明による質問器、非接触データキャリアシステム、非接触データキャリアのデータ取得方法、及び、非接触データキャリアのデータ取得用プログラムの第8の実施形態を図面を参照しながら説明する。
【0097】
図12は、第8の実施形態の非接触データキャリアシステムの構成を示すブロック図であり、上述した第1の実施形態に係る図1との同一、対応部分には同一、対応符号を付して示している。なお、図12では、質問器3及び上位装置4を省略しており、また、アナログ比較器も1個のみ(13)を示している。
【0098】
第8の実施形態は、非接触データキャリア2が動作コマンド出力ポート27を有する点が第1の実施形態と異なっている。
【0099】
動作コマンド出力ポート27は、IDタグコア部10が出力した測定動作のオン又はオフを表す動作コマンドを、接続されているセンサ5に与えるために設けられているものである。この第8の実施形態の場合、センサ5が、外部からの動作コマンドによって、動作のオン、オフが制御されるものであることを前提としている。
【0100】
IDタグコア部10は、質問器3からの動作コマンドを含む信号の受信に応じて、動作コマンド出力ポート27へ動作コマンドを出力したり、測定モードを規定する質問信号の受信や測定動作の終了の認識などに応じて動作コマンド出力ポート27へ動作コマンドを出力したりする。
【0101】
オペレータは、例えば、センサ5の測定タイミングがある場合には、上位装置4からそのタイミングに合わせて動作コマンドを出力させたり、また、センサ5の電源をオン状態にした後、所定時間の経過を待って上位装置4からオンの動作コマンドを出力させたりし、センサ5の測定動作状態を任意に制御する。なお、センサ5の電源のオンオフ信号を非接触データキャリア2のIDタグコア部10に入力させる入力ポートを設け、センサ5の電源オンの検知に基づいて、IDタグコア部10が動作コマンド出力ポート27へオンの動作コマンドを出力するようにしても良い。
【0102】
第8の実施形態によれば、上述した第1の実施形態と同様な効果に加え、センサの動作状態を非接触データキャリアを介して質問器や上位装置が制御できるという効果を奏する。
【0103】
(I)第9の実施形態
次に、本発明による質問器、非接触データキャリアシステム、非接触データキャリアのデータ取得方法、及び、非接触データキャリアのデータ取得用プログラムの第9の実施形態を図面を参照しながら説明する。
【0104】
図13は、第9の実施形態の非接触データキャリアシステムの構成を示すブロック図であり、上述した第1の実施形態に係る図1との同一、対応部分には同一、対応符号を付して示している。なお、図13では、質問器3及び上位装置4を省略しており、また、アナログ比較器も1個のみ(13)を示している。
【0105】
第9の実施形態は、非接触データキャリア2が、測定モードオンオフ信号生成器6と接続される測定モードオンオフ信号入力ポート28を有する点が第1の実施形態と異なっている。
【0106】
測定モードオンオフ信号生成器6は、例えば、トグルスイッチの位置に応じて論理「0」(測定モードのオフを表す)か論理「1」(測定モードのオンを表す)をとる測定モードオンオフ信号を生成するものであり、この測定モードオンオフ信号が測定モードオンオフ信号入力ポート28を介してIDタグコア部10に与えられるようになされている。
【0107】
IDタグコア部10は、測定モードオンオフ信号が論理「1」の場合には、質問器3から測定モードの動作が指示されると測定モードの動作を実行させ、測定モードオンオフ信号が論理「0」の場合には、質問器3から測定モードの動作が指示されてもそれを無視し測定モードの動作を実行させない。
【0108】
なお、測定モードオンオフ信号入力ポート28からIDタグコア部10への経路上にタイマを設け、測定モードオンオフ信号入力ポート28への測定モードオンオフ信号が一旦「1」に変化した場合には、測定モードオンオフ信号入力ポート28への測定モードオンオフ信号が「0」に戻っても、IDタグコア部10へは、所定時間は「1」である測定モードオンオフ信号を入力させるようにしても良い。
【0109】
また、測定モードオンオフ信号生成器6とセンサ5とが別個独立なものでなくても良い。例えば、センサ5が測定モードオンオフ信号生成器6を内蔵し、自己が所定状態(例えば測定可能状態)のときにのみ、「1」の測定モードオンオフ信号を生成するようにしても良い。
【0110】
第9の実施形態によれば、上述した第1の実施形態と同様な効果に加え、質問器からの要求に基づいた非接触データキャリアの測定動作の実行可否を、非接触データキャリアの外部から指示できるという効果を奏する。
【0111】
(J)他の実施形態
上記各実施形態の説明においても、種々変形実施形態に言及したが、さらに、以下に例示するような変形実施形態を挙げることができる。
【0112】
上述した各実施形態の技術思想は矛盾が生じない限り、他の実施形態の技術思想と組み合わせて良いことは勿論である。また、測定ポートが複数ある場合には、測定ポートによって適用する技術思想を変えるようにしても良い。
【0113】
上記各実施形態では、測定値を探索している期間では閾値を変化させるものを示したが、閾値を固定化し、センサ検出信号の直流レベルを閾値データに合わせてシフトさせてアナログ比較器に入力させるようにしても良い。すなわち、アナログ比較器に入力される2入力のいずれを、閾値データに合わせてシフトさせるかは問われない。なお、特許請求の範囲の表現は、閾値側を変化させる場合だけを含むように読めるが、センサ検出信号の直流レベルをシフトさせる場合をも含むものとする。
【0114】
上記各実施形態では、初回の測定動作のみ、最小値の閾値から閾値を徐々に変化(増加)させて比較結果の論理が変化する2つの閾値を探索する第1の測定モードで動作させる場合を示したが、全ての測定動作を、第1の測定モードで動作させるようにしても良い。
【0115】
第1の測定モードにおける閾値変化は、最大値の閾値から徐々に小さくなる場合であっても良い。
【0116】
なお、比較結果の論理が変化する閾値の探索方法は、上述した第1の測定モードの方法に限定されない。例えば、いわゆる2分探索法などを適用することができる。すなわち、閾値の総数をNとしたとき、最初に、小さい方から数えてN/2番目の閾値を設定して比較結果を取り込み、その論理が「0」であれば小さい方から数えてN/4番目の閾値を設定して比較結果を取り込み、一方、初回の比較結果の論理が「1」であれば小さい方から数えて3N/4番目の閾値を設定して比較結果を取り込み、以下同様にして、前回の比較結果の論理に応じて探索範囲を半分ずつに絞り込んでいって、比較結果の論理が変化する2つの閾値を見つけ出す。
【0117】
上記各実施形態においては、第1の測定モードで閾値データを変更させる実行主体が質問器であるものを示したが、非接触データキャリアや上位装置が、第1の測定モードで閾値データを変更させる実行主体であっても良い。同様に、上記各実施形態においては、第2の測定モードで閾値データを変更させる実行主体が非接触データキャリアであるものを示したが、質問器や上位装置が、第2の測定モードで閾値データを変更させる実行主体であっても良い。
【0118】
上記各実施形態においては、測定モードにおいては、非接触データキャリアから質問器へ、比較結果を返信したり、又は、論理が「1」に変化した閾値データを返信したりするものを示したが、測定結果を表す他のパラメータを返信するようにしても良い。例えば、ローパスフィルタのような徐々に充電電圧が変化する可変閾値部を用い、充電開始時点から、センサ検出信号が閾値を越えるようになった時点までの時間をIDタグコア部内のタイマで計時し、その計時時間(この計時時間は比較結果が変化した閾値の情報に対応しているものである)を、測定値を表すパラメータとして、質問器へ返信するようにしても良い。
【0119】
上記各実施形態においては、質問器から非接触データキャリアへ閾値データそのものを与えるものを示したが、閾値データを規定する閾値コードを与え、非接触データキャリアが不揮発性メモリのコード/データ変換テーブルに従って閾値データに変換するものであっても良い。この場合においては、測定結果を表すパラメータとして、閾値データではなく閾値コードを、非接触データキャリアから質問器へ返信するようにしても良い。
【0120】
なお、質問器及び非接触データキャリア間の情報伝送方式は、電磁結合方式やマイクロ波方式などのいずれであっても良い。非接触データキャリアが、電池搭載型であっても良く、この場合には、電磁誘導方式や光通信方式などを適用することができる。
【0121】
上記各実施形態においては、閾値との大小を比較結果として出力するアナログ比較器の場合を示したが、センサ検出信号が+閾値〜−閾値の範囲の中か外かを判定するウィンドコンパレータを適用するようにしても良い。また、デジタル出力のセンサを考慮してデジタル比較器を適用しても良い。例えば、この場合でも、デジタル比較器は、センサ出力データと閾値データが一致しているか否かの比較結果を出力するものであっても良い。このようなデジタル比較器は、例えば、各ビット毎に設けられたイクスクルーシブオア素子と、全てのイクスクルーシブオア素子の出力が入力されるオア素子とで構成することができる。
【0122】
また、上記各実施形態においては、1個の測定項目については1個のアナログ比較器で比較結果を得るものを示したが、1個の測定項目について複数個のアナログ比較器で比較結果を得るようにしても良い。例えば、1個の測定項目用に2個のアナログ比較器を設け、それぞれに異なる閾値(例えば、Aと、A+1単位分)を設定して比較させ、2個の比較結果を同時に得て、質問器に送信するようにしても良い。
【0123】
各実施形態の非接触データキャリアに搭載する半導体チップの数や、各半導体チップにどのような構成要素を形成させるかは任意であって良い。
【0124】
上記各実施形態においては、質問器が1個の非接触データキャリアから測定動作に係る応答信号を得る場合を示したが、1個の質問器が複数の非接触データキャリアを配下にしている場合には、例えば、以下の処理1〜処理4により、各非接触データキャリアから、測定情報を取り込むようにすれば、効率よく測定情報を取り込むことができる。
【0125】
処理1:質問器は、全ての非接触データキャリアに対し、放送機能により、測定モードを指示する。
【0126】
処理2:質問器は、全ての非接触データキャリアに対し、放送機能により、閾値データを与えると共に、閾値データを、徐々に大きくしていく。
【0127】
処理3:非接触データキャリアは、測定モードが指示された後は、閾値データが与えられる毎に、アナログ比較器の比較結果を確認し、比較結果が変化した際の閾値データを内部の不揮発性メモリに記憶させる。比較結果が変化した際の閾値データを内部の不揮発性メモリに記憶させた場合には、非接触データキャリアは、それ以降、閾値データが与えられても比較動作を実行しない。
【0128】
処理4:質問器は、最大の閾値データを送出した後には、各非接触データキャリアを個別に指定して(例えば、ポーリング方式による)、その非接触データキャリアの不揮発性メモリに記憶されている、比較結果が変化した際の閾値データを取り込む。
【0129】
質問器と上位装置との機能分けは、上記各実施形態のものに限定されない。なお、特許請求の範囲では、非接触データキャリアに対する上位側の装置をまとめて質問器と呼んでいる。
【0130】
また、固定データの保持面などについての、非接触データキャリアと質問器との機能分けは、上記各実施形態のものに限定されない。例えば、閾値データ補正テーブルを質問器が備え、質問器が閾値データの補正処理を実行するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0131】
【図1】第1の実施形態の非接触データキャリアシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】第1の実施形態の可変閾値部の要部構成を示す回路図である。
【図3】第1の実施形態の質問器の測定モードでの動作を示すフローチャートである。
【図4】第1の実施形態の非接触データキャリアの第2の測定モードでの動作を示すフローチャートである。
【図5】第2の実施形態の非接触データキャリアシステムの構成を示すブロック図である。
【図6】第3の実施形態の非接触データキャリアシステムの構成を示すブロック図である。
【図7】第3の実施形態のブリッジ回路の内部構成例を示す回路図である。
【図8】第4の実施形態の非接触データキャリアシステムの構成を示すブロック図である。
【図9】第5の実施形態の非接触データキャリアの内部構成を示すブロック図である。
【図10】第6の実施形態の非接触データキャリアの内部構成を示すブロック図である。
【図11】第7の実施形態の非接触データキャリアシステムの構成を示すブロック図である。
【図12】第8の実施形態の非接触データキャリアシステムの構成を示すブロック図である。
【図13】第9の実施形態の非接触データキャリアシステムの構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0132】
1…非接触データキャリアシステム、2…非接触データキャリア、3…質問器、4…上位装置、5、5−1、5−2…センサ、6…測定モードオンオフ信号生成器、10…IDタグコア部、11…不揮発性メモリ、11T−1、11T−2…閾値データ補正テーブル、12…アンテナ、13、13−1、13−2…アナログ比較器、14…可変閾値部、15、15−1、15−2…測定ポート、16…外部拡張端子、17…外部入出力端子(外部I/O端子)、20…アナログスイッチ、21…ブリッジ回路、22…閾値データの出力ポート、23…閾値(閾値電圧)の入力ポート、24…電源供給制御部、25P、25N…電源外部供給ポート、26…電源外部供給制御部、27…動作コマンド出力ポート、28…測定モードオンオフ信号入力ポート。
【技術分野】
【0001】
本発明は、質問器、非接触データキャリアシステム、非接触データキャリアのデータ取得方法、及び、非接触データキャリアのデータ取得用プログラムに関し、特に、センサシステムに適用し得るようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
非接触データキャリア(応答器)及び質問器でなる非接触データキャリアシステムが、簡易なデータ処理システムとして種々の用途で用いられている。さらに、特許文献1に記載のように、非接触データキャリアが温度センサや圧力センサなどのセンサを備え、非接触データキャリアシステムを測定システムに適用する用途も出現してきている。
【特許文献1】特開平10−289297号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載の非接触データキャリアや非接触データキャリアシステムは、以下のような課題を有するものであった。
【0004】
非接触データキャリアが温度センサや圧力センサなどのセンサを備えるため、製品単価が安く、小型、軽量であるという非接触データキャリアの特質が失われる恐れがある。例えば、非接触データキャリアから質問器へ、センサが得たアナログ信号をデジタルデータに変換して送信するためには、送信のために必要なある程度の電力が必要である。非接触データキャリアに電池を設けない場合、この必要な電力を確保することが困難であるが、電池を設ければ必要な電力を確保することができる。しかしながら、非接触データキャリアに電池を設けたならば、小型、軽量化が阻害される。
【0005】
また、非接触データキャリアが備えるセンサの種類によって測定項目(温度、圧力など)が定まっている。言い換えると、測定項目が複数の場合には、各測定項目対応の非接触データキャリアを別途独立して形成しなければならない。
【0006】
そのため、製品単価が安く、小型、軽量である非接触データキャリアの特質を保持しつつ、かつ、測定項目に対する融通性を高くできる、質問器、非接触データキャリアシステム、非接触データキャリアのデータ取得方法、及び、非接触データキャリアのデータ取得用プログラムが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる課題を解決するため、第1の本発明の非接触データキャリアシステムは、(1)質問器と、(2)上記質問器と無線通信によりデータ授受を行う、少なくとも1個の測定ポートを有する非接触データキャリアと、(3)上記非接触データキャリアの少なくとも1個の測定ポートに接続された、周囲の物理量に応じて被比較信号を発生する被比較信号発生源とを有し、上記非接触データキャリアが、(2−1)外部からの被比較信号が入力される測定ポートと、(2−2)上記測定ポートから入力された被比較信号を閾値と比較し、両者の大小関係を表す論理値の比較結果を出力する比較手段と、(2−3)上記閾値を出力する可変閾値手段と、(2−4)上記質問器からの比較出力要求に従い、上記可変閾値手段からの閾値を制御し、上記比較手段の比較結果、又は、上記比較結果に関係する情報を返信する比較制御手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
第2の本発明の非接触データキャリアシステムは、(1)質問器と、(2)上記質問器と無線通信によりデータ授受を行う、外部からの被比較信号が入力される測定ポートと、上記測定ポートから入力された被比較信号を閾値と比較し、比較結果を出力する比較手段と、上記閾値を出力する可変閾値手段と、上記質問器からの比較出力要求に従い、上記可変閾値手段からの閾値を制御し、上記比較手段の比較結果、又は、上記比較結果に関係する情報を返信する比較制御手段とを備える非接触データキャリアと、(3)上記非接触データキャリアの少なくとも1個の測定ポートに接続された、周囲の物理量に応じて被比較信号を発生する被比較信号発生源とを有し、(4)上記質問器は、閾値の変更値をその都度上記非接触データキャリアに指示することを特徴とする。
【0009】
第3の本発明は、少なくとも1個の測定ポートに周囲の物理量に応じて被比較信号を発生する被比較信号発生源が接続された第1の本発明の非接触データキャリアシステムにおける非接触データキャリアを配下にしている質問器であって、測定モードで、閾値を変更させた上記非接触データキャリアの上記比較手段の比較を繰り返し実行させて、上記比較手段の比較結果の論理が変化した閾値の情報を上記比較制御手段から取り込み、上記被比較信号発生源が発生した上記被比較信号に係る物理量の情報を得ることを特徴とする。
【0010】
第4の本発明は、質問器が、少なくとも1個の測定ポートに周囲の物理量に応じて被比較信号を発生する被比較信号発生源が接続された第1の本発明の非接触データキャリアシステムにおける非接触データキャリアを配下にしており、上記非接触データキャリアから、上記被比較信号発生源が発生した上記被比較信号に係る物理量の情報を得る、非接触データキャリアのデータ取得方法であって、(1)上記質問器が、上記非接触データキャリアに、閾値を変更させた上記比較手段の比較を繰り返し実行させる探索工程と、(2)上記比較手段の比較結果の論理が変化した閾値の情報を、上記質問器又は上記非接触データキャリアが認識する変化閾値認識工程と、(3)上記質問器が、論理が変化した閾値の情報に基づき、上記被比較信号発生源が発生した上記被比較信号に係る物理量の情報を得る物理量同定工程とを含むことを特徴とする。
【0011】
第5の本発明は、外部からの被比較信号が入力される測定ポートと、上記測定ポートから入力された被比較信号を閾値と比較し、比較結果を出力する比較手段と、上記閾値を出力する可変閾値手段と、上記質問器からの比較出力要求に従い、上記可変閾値手段からの閾値を制御し、上記比較手段の比較結果、又は、上記比較結果に関係する情報を返信する比較制御手段とを備える非接触データキャリアであって、少なくとも1個の測定ポートに周囲の物理量に応じて被比較信号を発生する被比較信号発生源が接続された非接触データキャリアを、質問器が配下にしており、上記質問器が、上記非接触データキャリアから、上記被比較信号発生源が発生した上記被比較信号に係る物理量の情報を得る、非接触データキャリアのデータ取得方法であって、(1)上記質問器が、上記非接触データキャリアに、閾値を変更させた上記比較手段の比較を繰り返し実行させる探索工程と、(2)上記比較手段の比較結果の論理が変化した閾値の情報を、上記質問器又は上記非接触データキャリアが認識する変化閾値認識工程と、(3)上記質問器が、論理が変化した閾値の情報に基づき、上記被比較信号発生源が発生した上記被比較信号に係る物理量の情報を得る物理量同定工程とを含み、(4)上記探索工程で、上記質問器が上記非接触データキャリアに、閾値の変更値をその都度指示することを特徴とする。
【0012】
第6の本発明は、第4又は第5の本発明の非接触データキャリアのデータ取得方法の各工程をコンピュータに実行させる非接触データキャリアのデータ取得プログラムであって、質問器に搭載される第1のプログラム部分と、非接触データキャリアに搭載される第2のプログラム部分でなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、非接触データキャリアの構成を高価、複雑化することなく、同一の非接触データキャリアが多様な物理量の同定に用いることができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(A)第1の実施形態
以下、本発明による質問器、非接触データキャリアシステム、非接触データキャリアのデータ取得方法、及び、非接触データキャリアのデータ取得用プログラムの第1の実施形態を図面を参照しながら詳述する。
【0015】
図1は、第1の実施形態の非接触データキャリアシステムの構成を示すブロック図である。
【0016】
図1において、第1の実施形態の非接触データキャリアシステム1は、非接触データキャリア2、質問器3及び上位装置4を有し、非接触データキャリア2には1又は複数(図1は2個の場合を示している)のセンサ5−1、5−2が適宜接続可能なものである。
【0017】
なお、第1の実施形態の場合、非接触データキャリア2が固定位置のものであっても可搬式のものであっても良く、質問器3も固定位置のものであっても可搬式のものであっても良い(後述する動作説明では少なくとも一方が可搬式のものであるとして説明を行う)。また、質問器3が通信し得る非接触データキャリア2は1個だけでも複数あっても良い(後述する動作説明では複数存在するとして説明を行う)。非接触データキャリア2とセンサ5−1、5−2とは一旦接続された以降、継続して接続されている接続形態でも良く、また、測定の度に、オペレータによって接続されるものであっても良い。
【0018】
非接触データキャリア2は、例えば、RFIDタグが該当し、IDタグコア部10、不揮発性メモリ11、アンテナ12、1又は複数(図1は2個の場合を示している)のアナログ比較器13−1、13−2、及び、可変閾値部14を有し、さらに、アナログ比較器13−1、13−2と同数の測定ポート15−1、15−2と、外部拡張端子16と、外部入出力端子(外部I/O端子)17とを有する。
【0019】
IDタグコア部10は、CPUや無線部などが該当するIDタグとしての一般的な処理を実行する部分である。IDタグコア部10は、アンテナ12が捕捉した無線信号をデジタル信号(シリアル信号;質問信号)に復調し、そのデジタル信号(又は、そのデジタル信号をシリアル/パラレル変換したデータ)を解析し、得られた質問器3からの質問に応じた処理を実行し、応答信号(例えば、パラレルデータでなる)を形成し、その応答信号(又は、その応答信号をパラレル/シリアル変換した信号)を変調してアンテナ12から返信させるものである。質問器3からの質問信号として、後述するような測定モードでの信号が存在し、このとき、IDタグコア部10は、測定モードでの動作を制御するものとなっている(特許請求の範囲での「比較制御手段」にIDタグコア部10が該当する)。
【0020】
また、IDタグコア部10は、アンテナ12が捕捉した無線信号から、当該非接触データキャリア2が動作する際に必要となる電源を得る電源部を有し、各部に動作電源として供給するものである(図1では電源供給線を省略している)。
【0021】
不揮発性メモリ11は、例えば、FeRAMなどでなり、当該非接触データキャリア2に割り当てられたIDなどのデータや、IDタグコア部10が実行するプログラムを格納している。なお、不揮発性メモリ11に、後述する閾値データが格納されることもあり得る。また、不揮発性メモリ11に格納されているプログラムとして、測定モード用プログラム11Pが存在する。
【0022】
アンテナ12は、例えば、送受共用アンテナ(送信、受信用が別個であっても良い)である。アンテナ12は、例えば、アンテナコイルと、IDタグコア部10などを構成するICチップの容量成分などとで所定周波数に共振する形式のものであり、その共振によって、当該非接触データキャリア2が動作する際に必要なエネルギーを効率良く取り出せるようになされているものである。
【0023】
各アナログ比較器13−1、13−2はそれぞれ、例えば、コンパレータ回路又はシュミットトリガ回路などでなり、対応する測定ポート15−1、15−2を介して接続されているセンサ5−1、5−2の検出信号(検出電圧)を、可変閾値部14による閾値(閾値電圧)と比較し、センサ検出信号が閾値より大きいときに論理「1」、センサ検出信号が閾値以下のときに論理「0」を出力するものである。
【0024】
なお、当該非接触データキャリア2に接続し得るセンサ5−1、5−2の種類は問われない。例えば、温度センサ、導電度センサ、歪センサ、圧力センサ、濃度センサ、水分センサ、抵抗分センサなどの任意のもので良い。但し、各センサ5−1、5−2は、電圧出力型のものであることを要する。また、各センサ5−1、5−2は、検出出力のダイナミックレンジを内蔵する増幅器やアッテネータなどで調整し得るものであることが好ましい。
【0025】
可変閾値部14は、IDタグコア部10から与えられた閾値データに応じた閾値(閾値電圧)を、アナログ比較器13−1、13−2に与えるものである。可変閾値部14は、例えば、閾値データのラッチ部14Aと、図2に詳細に示すような直列接続された複数の抵抗を有し、分圧電圧を選択して閾値(閾値電圧)として取り出す閾値形成部14Bとを有するものを適用でき、閾値形成部14Bにおけるスイッチのオンオフがラッチ部14Aの閾値データに応じて制御され、閾値データに対応した閾値(閾値電圧)を出力するものである。
【0026】
ここで、ラッチ部14Aにラッチされる閾値データとしては、質問器3から転送されてきた閾値データの場合(第1の測定モードの場合)もあれば、不揮発性メモリ11に格納されている閾値データの場合(第2の測定モードの場合)もある。
【0027】
なお、外部拡張端子16は、可変閾値部14によって設定されている閾値(閾値電圧)を、外部から参照し得るように出力するためのものである。また、外部入出力端子(外部I/O端子)17は、不揮発性メモリ11に記憶されているデータやプログラムを外部から有線によって参照し得ると共に、外部から有線によって不揮発性メモリ11に新たなデータやプログラムを書き込むことができるようにするためのものである。
【0028】
質問器3は、従来と同様なハードウェア構成を有し、例えば、有線又は無線回線を介して接続されている上位装置4の制御下で、質問信号を変調した無線信号を非接触データキャリア2に送信し、非接触データキャリア2が返信した応答信号を変調した無線信号を受信し、復調処理して応答信号を取り出すものである。ここで、第1の実施形態の場合、質問器3は、動作用のプログラムとして後述する測定モード用プログラム3P(図3参照)を有し、上位装置4が測定モードの動作を起動指示したときには、質問器3の主制御部(図示せず)は、測定モード用プログラム3Pに従って、非接触データキャリア2との間で質問信号及び応答信号を授受する。質問器3と非接触データキャリア2との間の質問信号及び応答信号の授受は、例えば、ISO15693などの規格に従って又は準拠して実行する。
【0029】
上位装置4は、例えば、パソコンが該当し、質問器3を起動して、質問器3及び非接触データキャリア2間の通信を制御するものである。上位装置4は、非接触データキャリア2に係る測定データを収集するものである。なお、上位装置4に対し、有線又は無線で接続するさらに上位の装置が存在していても構わない。
【0030】
次に、第1の実施形態の非接触データキャリアシステムの特徴動作である測定モードでの動作を説明する。
【0031】
質問器3は、例えば、周期的に近傍に非接触データキャリア2が存在しているか否かを確認するための質問信号(の変調信号)の送信を行っており、その質問信号に対する応答信号(の変調信号)が返信されてきたことにより、非接触データキャリア2が近傍に存在していることを認識し、応答信号に含まれていたIDを含めてそのことを上位装置4に通知する。
【0032】
上位装置4は、非接触データキャリア2のIDに、測定モードの動作対象か否かや、第1の測定モードを適用するか第2の測定モードを適用するかや、有効な測定ポートや、各測定ポートでの最小閾値に対応する測定データ(温度センサを接続した測定ポートであれば最小温度)や、各測定ポートでの閾値の1単位分に対応する測定データの変換分(温度センサを接続した測定ポートであれば温度の検出精度)などを対応付けたテーブル情報4Tを保持しており、上位装置4は、近傍に存在する非接触データキャリア2が測定モードの動作対象である場合には、第1の測定モードを適用するか第2の測定モードを適用するかや有効な測定ポートの情報を含む測定動作の起動指令を質問器3に与える。このとき、質問器3は、図3に示す測定モード用プログラム3Pを開始する。なお、上位装置4は、第1の測定モードを適用することを通知した場合には、テーブル情報4Tの当該非接触データキャリア2のレコードを、次回は第2の測定モードを適用するように更新させる。
【0033】
なお、上述したようなテーブル情報4Tを質問器3に持たせ、質問器3自体が、測定モードの動作を起動するか否かなどを確認するようにしても良い。
【0034】
ここで、第1の測定モードとは、その非接触データキャリア2に対する初めて(テーブル情報4Tのクリアにより初めてと見なされる場合を含む)の測定動作のモードであり、第2の測定モードとは、その非接触データキャリア2に対する2回目以降の測定動作のモードである。
【0035】
質問器3は、図3に示す測定モード用プログラム3Pを開始すると、まず、第1の測定モードの動作を実行するか第2の測定モードの動作を実行するかを判別する(ステップ100)。
【0036】
第1の測定モードであれば、質問器3は、第1の測定モードにおける初期の測定依頼の質問信号を形成して非接触データキャリア2に送信し(ステップ101)、それに対する非接触データキャリア2からの返信を待ち受ける(ステップ102)。
【0037】
ここでの質問信号は、非接触データキャリア2のID、第1の測定モードであること、最小の閾値データ(又は最小の閾値データを指示するコード)、測定ポートの番号などを含んでいる。このような質問信号を受信した非接触データキャリア2のIDタグコア部10においては、質問信号に含まれているIDにより自己への質問信号であることを認識し、測定モードが第1の測定モードであることを不揮発性メモリ11に記憶し、質問信号に含まれている最小の閾値データに係る閾値を可変閾値部14によって設定させ、質問信号に含まれている測定ポートの番号に対応付けられたアナログ比較器13−1又は13−2の比較結果(「0」又は「1」)を取り込む。そして、IDタグコア部10は、その比較結果を含む応答信号を形成して質問器3に返信する。なお、IDタグコア部10は、比較結果が「0」の場合には、応答信号の形成だけでなく、その際の閾値データより所定単位分だけ小さい閾値データを、次回の第2の測定モードにおける測定開始時の閾値データとして不揮発性メモリ11に記憶させることも行う。
【0038】
上述のような応答信号の返信を受けた質問器3は比較結果が「0」であるか「1」であるかを判別する(ステップ103)。比較結果が「1」であると、今回の閾値データが最大のものでないことを確認して(ステップ104)、今回より閾値データが1単位分だけ大きく指示する測定依頼の質問信号を形成して非接触データキャリア2に送信し(ステップ105)、上述と同様に、それに対する非接触データキャリア2からの返信を待ち受ける(ステップ102)。
【0039】
なお、今回の質問信号における閾値データが最大のものであった場合には、質問器3は、測定値として最大の閾値データに係る最大閾値より大きいものに設定し(ステップ106)、後述するステップ108に移行する。
【0040】
非接触データキャリア2からの応答信号内の比較結果が「0」であると、質問器3は、測定値として、今回と前回の質問信号における閾値データに対応する2個の閾値の中間値に設定する(ステップ107)。
【0041】
その後、未測定の測定ポートが残っているか判断し(ステップ108)、残っていると、ステップ101に戻って、その測定ポートについての測定を実行する(ステップ101〜ステップ107)。
【0042】
以上のようにして、その非接触データキャリア2についての全ての測定ポートについての測定値を得ると、質問器3は、非接触データキャリア2に対しては、測定終了を表す質問信号を送信し(ステップ109)、その返信を待って(ステップ110)、上位装置4に測定結果を送信し(ステップ111)、一連の処理を終了する。なお、このとき、上位装置4は、テーブル情報4Tを参照しつつ、閾値(閾値電圧)で表現された測定結果を、その測定項目(例えば温度)に係る表現の測定結果(温度)に変換し、内部記憶したり外部に送信したりする。なお、測定項目(例えば温度)に係る表現の測定結果(温度)への変換も質問器3が行うようにしても良い。
【0043】
上位装置から指示された測定モードが第2の測定モードであれば、質問器3は、第2の測定モードにおける初期の測定依頼の質問信号を形成して非接触データキャリア2に送信し(ステップ112)、それに対する非接触データキャリア2からの返信を待ち受ける(ステップ113)。
【0044】
ここでの質問信号は、非接触データキャリア2のID、第2の測定モードであること、測定ポートの番号などを含んでいる。このような質問信号を受信した非接触データキャリア2(のIDタグコア部10)は、後述する図4に示すような制御処理により、比較結果が「1」から「0」へ変化する境界の閾値データを得、その境界閾値データを含む応答信号を形成して質問器3に返信する。
【0045】
上述のような応答信号の返信を受けた質問器3は、測定値として、応答信号に含まれている境界閾値データに係る閾値より1/2単位分だけ小さい値に設定する(ステップ114)。なお、境界閾値データが最大閾値データの場合には、測定値として、最大閾値より大きいことを設定する。
【0046】
その後、未測定の測定ポートが残っているか判断し(ステップ115)、残っていると、ステップ112に戻って、その測定ポートについての測定を実行させる(ステップ112〜ステップ114)。
【0047】
以上のようにして、第2の測定モードでも、その非接触データキャリア2についての全ての測定ポートについての測定値を得ると、質問器3は、上述したステップ109に移行して、非接触データキャリア2に対して測定終了を表す質問信号を送信し、その返信を待って(ステップ110)、上位装置4に測定結果を送信し(ステップ111)、一連の処理を終了する。
【0048】
次に、図4を参照しながら、第2の測定モードの測定依頼の質問信号を受信した非接触データキャリア2(のIDタグコア部10)の制御処理を説明する。
【0049】
IDタグコア部10は、第2の測定モードの測定依頼の質問信号を受信すると、その質問信号に含まれている測定ポートの番号が規定する測定ポートの測定開始時用の閾値データを不揮発性メモリ11から取り出して可変閾値部14によって設定させ(ステップ200、201)、その測定ポートの番号に対応付けられたアナログ比較器13−1又は13−2の比較結果(「0」又は「1」)を取り込む(ステップ202)。そして、比較結果が「0」であるか「1」であるかを判別する(ステップ203)。
【0050】
比較結果が「1」であると、IDタグコア部10は、今回の閾値データが最大のものでないことを確認して(ステップ204)、今回より閾値データを1単位分だけ大きくし(ステップ205)、上述したステップ201に戻って、可変閾値部14によって設定させる。
【0051】
なお、最大の閾値データでも「1」の比較結果を得た場合には、境界閾値データとして最大閾値データを設定し(ステップ206)、後述するステップ210に移行する。
【0052】
一方、比較結果が「0」であると、IDタグコア部10は、適用した閾値データが測定開始時用の閾値データであるか否かを判別し(ステップ207)、適用した閾値データが測定開始時用の閾値データであると、閾値データを最小データ(又は測定開始時用の閾値データより所定単位分だけ小さいデータ)に更新し(ステップ208)、上述したステップ201に戻って、可変閾値部14によって設定させる。
【0053】
比較結果として「0」が得られた際の閾値データが測定開始時用の閾値データでなければ、今回の閾値データを境界閾値データに設定する(ステップ209)。そして、境界閾値データを含む応答信号を形成して質問器3に返信する(ステップ210)。その後、不揮発性メモリ11に記憶されている測定開始時用の閾値データを、境界閾値データより所定値だけ小さいものに更新し(ステップ211)、一連の処理を終了する。
【0054】
上記第1の実施形態によれば、以下のような効果を奏することができる。
【0055】
第1の実施形態の非接触データキャリアは、IDタグコア部10及び不揮発性メモリ11のみが1つの半導体集積回路中に形成した例を示した(すなわち、IDタグコア部10及び不揮発性メモリ11は1チップ化されている)。
【0056】
しかしながら、この実施形態の非接触データキャリアは、上述のチップ構成に限定されるものではなく、アナログ比較器13及び可変閾値部14が1チップ化され、この1チップ化されたアナログ比較器13及び可変閾値部14と、上述の1チップ化されたIDタグコア部10及び不揮発性メモリ11とのマルチチップ構成であっても良い。
【0057】
このような構成を採用することにより、測定機能対応の非接触データキャリアを安価、軽量、小型で実現できることが期待できる。
【0058】
第1の実施形態の非接触データキャリアは、センサは外付けのものであるため、非接触データキャリアから見れば、センサの種類は問わない。すなわち、第1の実施形態の非接触データキャリアは、測定項目に関して汎用性が高いものである。また、従来の測定機能付きの非接触データキャリアの場合、センサそのものを搭載しているため、1個の非接触データキャリアが複数の測定項目に対応するようにすることは実際上難しい面があったが、第1の実施形態の場合、追加構成が、アナログ比較器とそれに対する閾値の設定構成だけであるので、従来に比較して、複数の測定項目に対応させることは容易である。
【0059】
第1の実施形態の場合、閾値を変化させ、比較結果が「0」と「1」との境界の閾値を探索し、その境界閾値を間接的な測定値とするようにしたので、測定信号をアナログ/デジタル変換するような構成要素を不要とでき、この点からも、非接触データキャリアの構成を安価、軽量、小型に抑えることができ、また、非接触データキャリア及び質問器間で必要な通信ビット数も抑えることができる。
【0060】
また、2回目以降の測定動作では、前回の測定結果を利用して、比較結果が「0」と「1」との境界閾値の探索動作での初期閾値を設定するようにしたので、探索時間の短縮化が期待できる。
【0061】
(B)第2の実施形態
次に、本発明による質問器、非接触データキャリアシステム、非接触データキャリアのデータ取得方法、及び、非接触データキャリアのデータ取得用プログラムの第2の実施形態を図面を参照しながら説明する。
【0062】
図5は、第2の実施形態の非接触データキャリアシステムの構成を示すブロック図であり、上述した第1の実施形態に係る図1との同一、対応部分には同一、対応符号を付して示している。
【0063】
第2の実施形態は、上述した第1の実施形態と比較すると、非接触データキャリア2の内部構成が異なっている。第2の実施形態の非接触データキャリア2は、複数(図5のものは2個の例)の測定ポート15−1、15−2の全てに共通に、アナログ比較器13を設けると共に、共通なアナログ比較器13と複数の測定ポート15−1、15−2との間に、アナログスイッチ(セレクタ)20を設けたものであり、その他の構成は、第1の実施形態と同様である。
【0064】
アナログスイッチ20は、各測定ポート15−1、15−2からのセンサ検出信号から1個の信号を選択して共通なアナログ比較器13に入力させるものであり、どの測定ポート15−1、15−2からのセンサ検出信号を選択するかは、IDタグコア部10からの選択制御信号による。
【0065】
第2の実施形態の場合も、IDタグコア部10は、第1の実施形態の場合とほぼ同様な制御処理を行うが、その時点の測定対象の測定ポート(センサ)に対応したアナログ比較器から比較結果を取り込むことに代え、その時点の測定対象の測定ポート(センサ)からのセンサ検出信号が共通なアナログ比較器13に入力されるようにアナログスイッチ20を制御すると共に、その共通なアナログ比較器から比較結果を取り込む。
【0066】
この第2の実施形態によっても、上述した第1の実施形態と同様な効果を奏する。測定ポート数が多い場合には、第2の実施形態の方が、非接触データキャリア内の回路の小型、簡易化を期待できる。
【0067】
(C)第3の実施形態
次に、本発明による質問器、非接触データキャリアシステム、非接触データキャリアのデータ取得方法、及び、非接触データキャリアのデータ取得用プログラムの第3の実施形態を図面を参照しながら説明する。
【0068】
図6は、第3の実施形態の非接触データキャリアシステムの構成を示すブロック図であり、上述した第1の実施形態に係る図1との同一、対応部分には同一、対応符号を付して示している。
【0069】
第3の実施形態は、上述した第1の実施形態と比較すると、非接触データキャリア2の内部構成が異なっている。第3の実施形態は、上述した第1の実施形態と比較すると、各アナログ比較器13−1、13−2(図6では1個のアナログ比較器13−1だけを示している)と対応する測定ポート15−1(測定ポート15−1は厳密に言えば一対のポート15−1P及び15−1Nでなる;図1や図5なども同様)、15−2との間に、センサ検出信号のダイナミックレンジを拡大するブリッジ回路21−1、21−2を設けたものであり、その他の構成は、第1の実施形態と同様である。なお、第2の実施形態の構成に対してブリッジ回路を追加する場合であれば、アナログスイッチ20の出力側に設けることが好ましい。
【0070】
ブリッジ回路21−1(21−2も同様)は、例えば、図7に示すように、測定ポート対15−1P及び15−1Nを介して接続されたセンサ5−1を一辺とする抵抗のブリッジ部21Aと、そのブリッジ部21Aの2個の出力端子間の電圧を取り出す差分部21Bとからなり、差分部21Bからの出力電圧がアナログ比較器13−1に入力されるようになされている。
【0071】
この第3の実施形態によれば、上述した第1の実施形態と同様な効果に加え、センサ検出信号が小信号であっても高精度に検出できるという効果をも奏する。
【0072】
(D)第4の実施形態
次に、本発明による質問器、非接触データキャリアシステム、非接触データキャリアのデータ取得方法、及び、非接触データキャリアのデータ取得用プログラムの第4の実施形態を図面を参照しながら説明する。
【0073】
図8は、第4の実施形態の非接触データキャリアシステムの構成を示すブロック図であり、上述した第1の実施形態に係る図1との同一、対応部分には同一、対応符号を付して示している。なお、図8では、質問器3及び上位装置4の図示を省略している。
【0074】
第4の実施形態は、上述した第1の実施形態と比較すると、非接触データキャリア2の内部構成と、センサ側の外部構成とが異なっている。第4の実施形態は、可変閾値部14の一方の構成要素であるラッチ部14Aだけを非接触データキャリア2の内部に残し、可変閾値部14の他方の構成要素である閾値形成部14Bを非接触データキャリア2の外部に設けるようにしたものである。すなわち、第4の実施形態の非接触データキャリア2は、閾値データの出力ポート22と、閾値(閾値電圧)の入力ポート23とを備えている。
【0075】
なお、非接触データキャリア2の内部のラッチ部14Aから、非接触データキャリア2の外部の閾値形成部14Bへの閾値データの転送は、図8に示すようなパラレル転送に限定されず、シリアル転送であっても良い。
【0076】
また、閾値形成部14Bを非接触データキャリア2の外部に設けるようにしたのは、閾値データの1ビットの相違に対応する閾値(閾値電圧)の変化分(単位変化)を任意に設定できるようにしていることを意図している。例えば、閾値データの1ビットの相違を閾値(閾値電圧)の0.1Vに対応させることもでき、また、0.2Vに対応させることもでき、閾値(閾値電圧)の単位変化をオペレータが任意に設定できる。例えば、単位変化が0.1Vの閾値形成部や、単位変化が0.2Vの閾値形成部など、単位変化が異なる複数種類の閾値形成部を用意しておき、いずれかの種類の閾値形成部14Bを非接触データキャリア2に接続させて閾値(閾値電圧)の単位変化を任意に設定させるようにしても良い。また、調整操作子を備え、その調整操作子の位置に応じて閾値(閾値電圧)の単位変化を任意に設定させる閾値形成部14Bを非接触データキャリア2に接続させるようにしても良い。例えば、可変型の閾値形成部としては、図2における直列接続されている各抵抗を可変抵抗に置き換え、調整操作子の位置に応じて、全ての可変抵抗の抵抗値を変化させるものを挙げることができる。
【0077】
この第4の実施形態によれば、上述した第1の実施形態と同様な効果に加え、閾値(閾値電圧)のステップ幅を選択できるという効果を奏する。
【0078】
(E)第5の実施形態
次に、本発明による質問器、非接触データキャリアシステム、非接触データキャリアのデータ取得方法、及び、非接触データキャリアのデータ取得用プログラムの第5の実施形態を図面を参照しながら説明する。
【0079】
図9は、第5の実施形態の非接触データキャリアの内部構成を示すブロック図であり、上述した第1の実施形態に係る図1との同一、対応部分には同一、対応符号を付して示している。
【0080】
第5の実施形態は、上述した第1の実施形態と比較すると、非接触データキャリア2の内部構成が異なっている。第5の実施形態の場合、不揮発性メモリ11には、測定ポート15−1、15−2(図9では一方の測定ポート15−1だけを示している)毎の閾値データ補正テーブル11T−1、11T−2が格納されている。
【0081】
閾値データ補正テーブル11T−1(テーブル11T−2も同様)は、可変閾値部14の閾値を規定する閾値データを受信したときや内部で決定した場合に(図3、図4参照)、その閾値データに対応する補正後の閾値データを得るためのものであり、この補正後の閾値データが可変閾値部14のラッチ部14Aにラッチされる。
【0082】
一般には、測定対象項目の状態(値;例えば温度)とセンサの出力検出信号(例えば電圧値)とは線形な関係にはなく、非線形である。詳述をしなかったが、既述した第1〜第4の実施形態は、センサ5−1、5−2が非線形関係を線形関係に補正する機能を有しているか、又は、上位装置4が、出力検出信号に対応する測定結果を、実際の測定対象項目の状態に補正する機能を備えていることを前提としている。この第5の実施形態は、閾値データを補正することにより、センサ5−1、5−2の入出力の非線形性を補償しようとしたものである。
【0083】
ここで、非接触データキャリア2の測定ポート15−1、15−2に接続されるセンサ5−1、5−2の種類は任意であるので、不揮発性メモリ11の閾値データ補正テーブル11T−1、11T−2を任意に書き換えられることができるものとしておく。書換(上書き)は、例えば、質問器3からのコマンド列の送信などによって実行したり、外部入出力端子17から入力させることで行う。
【0084】
この第5の実施形態によれば、上述した第1の実施形態と同様な効果に加え、非接触データキャリアに接続されているセンサの非線形性を補償できるという効果を奏する。
【0085】
(F)第6の実施形態
次に、本発明による質問器、非接触データキャリアシステム、非接触データキャリアのデータ取得方法、及び、非接触データキャリアのデータ取得用プログラムの第6の実施形態を図面を参照しながら説明する。
【0086】
図10は、第6の実施形態の非接触データキャリアの内部構成を示すブロック図であり、上述した第1の実施形態に係る図1との同一、対応部分には同一、対応符号を付して示している。
【0087】
第6の実施形態は、非接触データキャリア2が電源供給制御部24を有する点が第1の実施形態と異なっている。電源供給制御部24は、IDタグコア部10からの供給制御信号に応じて、アナログ比較器13−1、13−2(図10では13−1のみ示している)や可変閾値部14への動作電源の供給を制御(オン又はオフ)するものである。IDタグコア部10は、質問器3からの供給制御コマンドを含む信号の受信に応じて電源供給制御部24を制御したり、測定モードを規定する質問信号の受信や測定動作の終了の認識などに応じて電源供給制御部24を制御したりする。
【0088】
すなわち、測定動作以外の通常動作(非接触データキャリア2としての質問器3との一般的な通信動作)では、アナログ比較器13−1、13−2や可変閾値部14などの測定動作にのみ機能する部分への電源供給を停止し得るようにしている。
【0089】
電池を搭載しない非接触データキャリア2の場合、動作エネルギーを質問器3側から得ているが、一般的な通信動作時に、測定動作にのみ機能する部分へ電源が供給され、僅かながらでも消費電力が生じている場合には、消費電力が生じていない場合に比べ、有効な交信距離が短くなってしまう。これを防止すべく、電源供給制御部24が設けられている。
【0090】
第6の実施形態によれば、上述した第1の実施形態と同様な効果に加え、測定機能構成を設けても、通常動作時の所望する交信距離(例えば、規格が定めている交信距離)を確保できるという効果を奏する。
【0091】
(G)第7の実施形態
次に、本発明による質問器、非接触データキャリアシステム、非接触データキャリアのデータ取得方法、及び、非接触データキャリアのデータ取得用プログラムの第7の実施形態を図面を参照しながら説明する。
【0092】
図11は、第7の実施形態の非接触データキャリアシステムの構成を示すブロック図であり、上述した第1の実施形態に係る図1との同一、対応部分には同一、対応符号を付して示している。なお、図11では、質問器3及び上位装置4を省略しており、また、アナログ比較器も1個のみ(13)示している。
【0093】
第7の実施形態は、非接触データキャリア2が一対の電源外部供給ポート25P及び25Nと、電源外部供給制御部26とを有する点が第1の実施形態と異なっている。
【0094】
一対の電源外部供給ポート25P及び25Nは、電源を搭載していないセンサ5の電源入力端子VINP、VINN(VINNがグランド側端子)と接続されるものであり、非接触データキャリア2からセンサ5への電源供給を可能としているものである。電源外部供給制御部26は、IDタグコア部10からの供給制御信号に応じて、センサ5への動作電源の供給を制御(オン又はオフ)するものである。IDタグコア部10は、質問器3からの供給制御コマンドを含む信号の受信に応じて電源外部供給制御部26を制御したり、測定モードを規定する質問信号の受信や測定動作の終了の認識などに応じて電源外部供給制御部26を制御したりする。
【0095】
第7の実施形態によれば、上述した第1の実施形態と同様な効果に加え、センサが電源を搭載していないものであっても(例えば、サーミスタ)、測定動作を実行できるという効果や、通常動作時の所望する交信距離を確保できるという効果(第6の実施形態の場合と同様)を奏する。
【0096】
(H)第8の実施形態
次に、本発明による質問器、非接触データキャリアシステム、非接触データキャリアのデータ取得方法、及び、非接触データキャリアのデータ取得用プログラムの第8の実施形態を図面を参照しながら説明する。
【0097】
図12は、第8の実施形態の非接触データキャリアシステムの構成を示すブロック図であり、上述した第1の実施形態に係る図1との同一、対応部分には同一、対応符号を付して示している。なお、図12では、質問器3及び上位装置4を省略しており、また、アナログ比較器も1個のみ(13)を示している。
【0098】
第8の実施形態は、非接触データキャリア2が動作コマンド出力ポート27を有する点が第1の実施形態と異なっている。
【0099】
動作コマンド出力ポート27は、IDタグコア部10が出力した測定動作のオン又はオフを表す動作コマンドを、接続されているセンサ5に与えるために設けられているものである。この第8の実施形態の場合、センサ5が、外部からの動作コマンドによって、動作のオン、オフが制御されるものであることを前提としている。
【0100】
IDタグコア部10は、質問器3からの動作コマンドを含む信号の受信に応じて、動作コマンド出力ポート27へ動作コマンドを出力したり、測定モードを規定する質問信号の受信や測定動作の終了の認識などに応じて動作コマンド出力ポート27へ動作コマンドを出力したりする。
【0101】
オペレータは、例えば、センサ5の測定タイミングがある場合には、上位装置4からそのタイミングに合わせて動作コマンドを出力させたり、また、センサ5の電源をオン状態にした後、所定時間の経過を待って上位装置4からオンの動作コマンドを出力させたりし、センサ5の測定動作状態を任意に制御する。なお、センサ5の電源のオンオフ信号を非接触データキャリア2のIDタグコア部10に入力させる入力ポートを設け、センサ5の電源オンの検知に基づいて、IDタグコア部10が動作コマンド出力ポート27へオンの動作コマンドを出力するようにしても良い。
【0102】
第8の実施形態によれば、上述した第1の実施形態と同様な効果に加え、センサの動作状態を非接触データキャリアを介して質問器や上位装置が制御できるという効果を奏する。
【0103】
(I)第9の実施形態
次に、本発明による質問器、非接触データキャリアシステム、非接触データキャリアのデータ取得方法、及び、非接触データキャリアのデータ取得用プログラムの第9の実施形態を図面を参照しながら説明する。
【0104】
図13は、第9の実施形態の非接触データキャリアシステムの構成を示すブロック図であり、上述した第1の実施形態に係る図1との同一、対応部分には同一、対応符号を付して示している。なお、図13では、質問器3及び上位装置4を省略しており、また、アナログ比較器も1個のみ(13)を示している。
【0105】
第9の実施形態は、非接触データキャリア2が、測定モードオンオフ信号生成器6と接続される測定モードオンオフ信号入力ポート28を有する点が第1の実施形態と異なっている。
【0106】
測定モードオンオフ信号生成器6は、例えば、トグルスイッチの位置に応じて論理「0」(測定モードのオフを表す)か論理「1」(測定モードのオンを表す)をとる測定モードオンオフ信号を生成するものであり、この測定モードオンオフ信号が測定モードオンオフ信号入力ポート28を介してIDタグコア部10に与えられるようになされている。
【0107】
IDタグコア部10は、測定モードオンオフ信号が論理「1」の場合には、質問器3から測定モードの動作が指示されると測定モードの動作を実行させ、測定モードオンオフ信号が論理「0」の場合には、質問器3から測定モードの動作が指示されてもそれを無視し測定モードの動作を実行させない。
【0108】
なお、測定モードオンオフ信号入力ポート28からIDタグコア部10への経路上にタイマを設け、測定モードオンオフ信号入力ポート28への測定モードオンオフ信号が一旦「1」に変化した場合には、測定モードオンオフ信号入力ポート28への測定モードオンオフ信号が「0」に戻っても、IDタグコア部10へは、所定時間は「1」である測定モードオンオフ信号を入力させるようにしても良い。
【0109】
また、測定モードオンオフ信号生成器6とセンサ5とが別個独立なものでなくても良い。例えば、センサ5が測定モードオンオフ信号生成器6を内蔵し、自己が所定状態(例えば測定可能状態)のときにのみ、「1」の測定モードオンオフ信号を生成するようにしても良い。
【0110】
第9の実施形態によれば、上述した第1の実施形態と同様な効果に加え、質問器からの要求に基づいた非接触データキャリアの測定動作の実行可否を、非接触データキャリアの外部から指示できるという効果を奏する。
【0111】
(J)他の実施形態
上記各実施形態の説明においても、種々変形実施形態に言及したが、さらに、以下に例示するような変形実施形態を挙げることができる。
【0112】
上述した各実施形態の技術思想は矛盾が生じない限り、他の実施形態の技術思想と組み合わせて良いことは勿論である。また、測定ポートが複数ある場合には、測定ポートによって適用する技術思想を変えるようにしても良い。
【0113】
上記各実施形態では、測定値を探索している期間では閾値を変化させるものを示したが、閾値を固定化し、センサ検出信号の直流レベルを閾値データに合わせてシフトさせてアナログ比較器に入力させるようにしても良い。すなわち、アナログ比較器に入力される2入力のいずれを、閾値データに合わせてシフトさせるかは問われない。なお、特許請求の範囲の表現は、閾値側を変化させる場合だけを含むように読めるが、センサ検出信号の直流レベルをシフトさせる場合をも含むものとする。
【0114】
上記各実施形態では、初回の測定動作のみ、最小値の閾値から閾値を徐々に変化(増加)させて比較結果の論理が変化する2つの閾値を探索する第1の測定モードで動作させる場合を示したが、全ての測定動作を、第1の測定モードで動作させるようにしても良い。
【0115】
第1の測定モードにおける閾値変化は、最大値の閾値から徐々に小さくなる場合であっても良い。
【0116】
なお、比較結果の論理が変化する閾値の探索方法は、上述した第1の測定モードの方法に限定されない。例えば、いわゆる2分探索法などを適用することができる。すなわち、閾値の総数をNとしたとき、最初に、小さい方から数えてN/2番目の閾値を設定して比較結果を取り込み、その論理が「0」であれば小さい方から数えてN/4番目の閾値を設定して比較結果を取り込み、一方、初回の比較結果の論理が「1」であれば小さい方から数えて3N/4番目の閾値を設定して比較結果を取り込み、以下同様にして、前回の比較結果の論理に応じて探索範囲を半分ずつに絞り込んでいって、比較結果の論理が変化する2つの閾値を見つけ出す。
【0117】
上記各実施形態においては、第1の測定モードで閾値データを変更させる実行主体が質問器であるものを示したが、非接触データキャリアや上位装置が、第1の測定モードで閾値データを変更させる実行主体であっても良い。同様に、上記各実施形態においては、第2の測定モードで閾値データを変更させる実行主体が非接触データキャリアであるものを示したが、質問器や上位装置が、第2の測定モードで閾値データを変更させる実行主体であっても良い。
【0118】
上記各実施形態においては、測定モードにおいては、非接触データキャリアから質問器へ、比較結果を返信したり、又は、論理が「1」に変化した閾値データを返信したりするものを示したが、測定結果を表す他のパラメータを返信するようにしても良い。例えば、ローパスフィルタのような徐々に充電電圧が変化する可変閾値部を用い、充電開始時点から、センサ検出信号が閾値を越えるようになった時点までの時間をIDタグコア部内のタイマで計時し、その計時時間(この計時時間は比較結果が変化した閾値の情報に対応しているものである)を、測定値を表すパラメータとして、質問器へ返信するようにしても良い。
【0119】
上記各実施形態においては、質問器から非接触データキャリアへ閾値データそのものを与えるものを示したが、閾値データを規定する閾値コードを与え、非接触データキャリアが不揮発性メモリのコード/データ変換テーブルに従って閾値データに変換するものであっても良い。この場合においては、測定結果を表すパラメータとして、閾値データではなく閾値コードを、非接触データキャリアから質問器へ返信するようにしても良い。
【0120】
なお、質問器及び非接触データキャリア間の情報伝送方式は、電磁結合方式やマイクロ波方式などのいずれであっても良い。非接触データキャリアが、電池搭載型であっても良く、この場合には、電磁誘導方式や光通信方式などを適用することができる。
【0121】
上記各実施形態においては、閾値との大小を比較結果として出力するアナログ比較器の場合を示したが、センサ検出信号が+閾値〜−閾値の範囲の中か外かを判定するウィンドコンパレータを適用するようにしても良い。また、デジタル出力のセンサを考慮してデジタル比較器を適用しても良い。例えば、この場合でも、デジタル比較器は、センサ出力データと閾値データが一致しているか否かの比較結果を出力するものであっても良い。このようなデジタル比較器は、例えば、各ビット毎に設けられたイクスクルーシブオア素子と、全てのイクスクルーシブオア素子の出力が入力されるオア素子とで構成することができる。
【0122】
また、上記各実施形態においては、1個の測定項目については1個のアナログ比較器で比較結果を得るものを示したが、1個の測定項目について複数個のアナログ比較器で比較結果を得るようにしても良い。例えば、1個の測定項目用に2個のアナログ比較器を設け、それぞれに異なる閾値(例えば、Aと、A+1単位分)を設定して比較させ、2個の比較結果を同時に得て、質問器に送信するようにしても良い。
【0123】
各実施形態の非接触データキャリアに搭載する半導体チップの数や、各半導体チップにどのような構成要素を形成させるかは任意であって良い。
【0124】
上記各実施形態においては、質問器が1個の非接触データキャリアから測定動作に係る応答信号を得る場合を示したが、1個の質問器が複数の非接触データキャリアを配下にしている場合には、例えば、以下の処理1〜処理4により、各非接触データキャリアから、測定情報を取り込むようにすれば、効率よく測定情報を取り込むことができる。
【0125】
処理1:質問器は、全ての非接触データキャリアに対し、放送機能により、測定モードを指示する。
【0126】
処理2:質問器は、全ての非接触データキャリアに対し、放送機能により、閾値データを与えると共に、閾値データを、徐々に大きくしていく。
【0127】
処理3:非接触データキャリアは、測定モードが指示された後は、閾値データが与えられる毎に、アナログ比較器の比較結果を確認し、比較結果が変化した際の閾値データを内部の不揮発性メモリに記憶させる。比較結果が変化した際の閾値データを内部の不揮発性メモリに記憶させた場合には、非接触データキャリアは、それ以降、閾値データが与えられても比較動作を実行しない。
【0128】
処理4:質問器は、最大の閾値データを送出した後には、各非接触データキャリアを個別に指定して(例えば、ポーリング方式による)、その非接触データキャリアの不揮発性メモリに記憶されている、比較結果が変化した際の閾値データを取り込む。
【0129】
質問器と上位装置との機能分けは、上記各実施形態のものに限定されない。なお、特許請求の範囲では、非接触データキャリアに対する上位側の装置をまとめて質問器と呼んでいる。
【0130】
また、固定データの保持面などについての、非接触データキャリアと質問器との機能分けは、上記各実施形態のものに限定されない。例えば、閾値データ補正テーブルを質問器が備え、質問器が閾値データの補正処理を実行するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0131】
【図1】第1の実施形態の非接触データキャリアシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】第1の実施形態の可変閾値部の要部構成を示す回路図である。
【図3】第1の実施形態の質問器の測定モードでの動作を示すフローチャートである。
【図4】第1の実施形態の非接触データキャリアの第2の測定モードでの動作を示すフローチャートである。
【図5】第2の実施形態の非接触データキャリアシステムの構成を示すブロック図である。
【図6】第3の実施形態の非接触データキャリアシステムの構成を示すブロック図である。
【図7】第3の実施形態のブリッジ回路の内部構成例を示す回路図である。
【図8】第4の実施形態の非接触データキャリアシステムの構成を示すブロック図である。
【図9】第5の実施形態の非接触データキャリアの内部構成を示すブロック図である。
【図10】第6の実施形態の非接触データキャリアの内部構成を示すブロック図である。
【図11】第7の実施形態の非接触データキャリアシステムの構成を示すブロック図である。
【図12】第8の実施形態の非接触データキャリアシステムの構成を示すブロック図である。
【図13】第9の実施形態の非接触データキャリアシステムの構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0132】
1…非接触データキャリアシステム、2…非接触データキャリア、3…質問器、4…上位装置、5、5−1、5−2…センサ、6…測定モードオンオフ信号生成器、10…IDタグコア部、11…不揮発性メモリ、11T−1、11T−2…閾値データ補正テーブル、12…アンテナ、13、13−1、13−2…アナログ比較器、14…可変閾値部、15、15−1、15−2…測定ポート、16…外部拡張端子、17…外部入出力端子(外部I/O端子)、20…アナログスイッチ、21…ブリッジ回路、22…閾値データの出力ポート、23…閾値(閾値電圧)の入力ポート、24…電源供給制御部、25P、25N…電源外部供給ポート、26…電源外部供給制御部、27…動作コマンド出力ポート、28…測定モードオンオフ信号入力ポート。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
質問器と、
上記質問器と無線通信によりデータ授受を行う、少なくとも1個の測定ポートを有する非接触データキャリアと、
上記非接触データキャリアの少なくとも1個の測定ポートに接続された、周囲の物理量に応じて被比較信号を発生する被比較信号発生源とを有し、
上記非接触データキャリアが、
外部からの被比較信号が入力される上記測定ポートと、
上記測定ポートから入力された被比較信号を閾値と比較し、両者の大小関係を表す論理値の比較結果を出力する比較手段と、
上記閾値を出力する可変閾値手段と、
上記質問器からの比較出力要求に従い、上記可変閾値手段からの閾値を制御し、上記比較手段の比較結果、又は、上記比較結果に関係する情報を返信する比較制御手段とを備える
ことを特徴とする非接触データキャリアシステム。
【請求項2】
上記比較手段は、アナログ信号でなる被比較信号とアナログ信号でなる閾値とを比較するものであることを特徴とする請求項1に記載の非接触データキャリアシステム。
【請求項3】
上記可変閾値手段は、直列接続された複数の抵抗を有し、分圧電圧を選択してアナログ信号でなる閾値として取り出す閾値形成部を有することを特徴とする請求項2に記載の非接触データキャリアシステム。
【請求項4】
上記測定ポートと上記比較手段との対応組が複数組設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の非接触データキャリアシステム。
【請求項5】
上記測定ポートとして複数を備えると共に、いずれかの上記測定ポートからの被比較信号を共通な上記比較手段に入力させる信号選択手段を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の非接触データキャリアシステム。
【請求項6】
上記測定ポートから上記比較手段への経路上に、被比較信号のダイナミックレンジを拡大するブリッジ回路手段を備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の非接触データキャリアシステム。
【請求項7】
上記可変閾値手段の構成が2分され、一方の構成部分が外付け要素とされていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の非接触データキャリアシステム。
【請求項8】
上記非接触データキャリアが、周囲の物理量に応じて上記被比較信号を発生する被比較信号発生源の非線形性の情報を記憶する非線形性補償情報記憶手段を備え、
上記比較制御手段は、上記非線形性補償情報記憶手段の記憶情報に従い、上記可変閾値手段に出力閾値を指示する情報を変更する
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の非接触データキャリアシステム。
【請求項9】
上記非接触データキャリアが、少なくとも上記比較手段と上記可変閾値手段への動作電源の供給をオンオフ制御する電源制御手段を有することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の非接触データキャリアシステム。
【請求項10】
上記非接触データキャリアが、上記質問器からの無線エネルギーから得た電源を外部に供給し得る電源外部供給ポートを有することを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の非接触データキャリアシステム。
【請求項11】
上記非接触データキャリアが、上記電源外部供給ポートへの電源供給をオンオフ制御する電源外部供給制御手段を有することを特徴とする請求項10に記載の非接触データキャリアシステム。
【請求項12】
上記非接触データキャリアが、周囲の物理量に応じて上記被比較信号を発生する外部の被比較信号発生源に対し、動作のオンオフを指示するコマンドを与える動作コマンド出力ポートを有することを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の非接触データキャリアシステム。
【請求項13】
上記非接触データキャリアが、上記質問器からの比較出力要求を許容するか無視するかを指示する、外部からの比較出力要求オンオフ信号を取り込んで上記比較制御手段に与える入力ポートを有することを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の非接触データキャリアシステム。
【請求項14】
上記非接触データキャリアの構成要素となっている複数の上記手段中、少なくとも1個の手段は半導体チップ上に形成したことを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の非接触データキャリアシステム。
【請求項15】
上記非接触データキャリアの構成要素となっている複数の上記手段の全て又は一部を、複数の半導体チップ上に分散して形成したことを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の非接触データキャリアシステム。
【請求項16】
上記質問器は、測定モードで、閾値を変更させた上記比較手段の比較を繰り返し実行させて、上記比較手段の比較結果の論理が変化した閾値の情報を上記比較制御手段からの返信信号から得て、上記被比較信号発生源が発生した上記被比較信号に係る物理量の情報を得ることを特徴とする請求項1〜15のいずれかに記載の非接触データキャリアシステム。
【請求項17】
上記質問器は、閾値の変更値をその都度上記非接触データキャリアに指示することを特徴とする請求項16に記載の非接触データキャリアシステム。
【請求項18】
上記質問器は、閾値を変更することを上記非接触データキャリアに指示し、上記非接触データキャリアの上記比較制御手段が閾値の変更を自律的に実行することを特徴とする請求項16に記載の非接触データキャリアシステム。
【請求項19】
1個の上記質問器が、複数の上記非接触データキャリアと通信し得ることを特徴とする請求項1〜15のいずれかに記載の非接触データキャリアシステム。
【請求項20】
上記質問器は、同報通信により、上記各非接触データキャリアに、閾値を変更させた上記比較手段の比較を繰り返し実行させて、上記比較手段の比較結果の論理が変化した閾値の情報を記憶させておき、
その後、個別通信により、上記各非接触データキャリアから、比較結果の論理が変化した閾値の情報を取り込んで、上記被比較信号発生源が発生した上記被比較信号に係る物理量の情報を得ることを特徴とする請求項19に記載の非接触データキャリアシステム。
【請求項21】
質問器と、
上記質問器と無線通信によりデータ授受を行う、外部からの被比較信号が入力される測定ポートと、上記測定ポートから入力された被比較信号を閾値と比較し、比較結果を出力する比較手段と、上記閾値を出力する可変閾値手段と、上記質問器からの比較出力要求に従い、上記可変閾値手段からの閾値を制御し、上記比較手段の比較結果、又は、上記比較結果に関係する情報を返信する比較制御手段とを備える非接触データキャリアと、
上記非接触データキャリアの少なくとも1個の測定ポートに接続された、周囲の物理量に応じて被比較信号を発生する被比較信号発生源とを有し、
上記質問器は、閾値の変更値をその都度上記非接触データキャリアに指示する
ことを特徴とする非接触データキャリアシステム。
【請求項22】
少なくとも1個の測定ポートに周囲の物理量に応じて被比較信号を発生する被比較信号発生源が接続された請求項1〜15のいずれかに記載の非接触データキャリアシステムにおける非接触データキャリアを配下にしている質問器であって、
測定モードで、閾値を変更させた上記非接触データキャリアの上記比較手段の比較を繰り返し実行させて、上記比較手段の比較結果の論理が変化した閾値の情報を上記比較制御手段からの返信信号から得て、上記被比較信号発生源が発生した上記被比較信号に係る物理量の情報を得ることを特徴とする質問器。
【請求項23】
閾値の変更値をその都度上記非接触データキャリアに指示することを特徴とする請求項22に記載の質問器。
【請求項24】
閾値を変更することを上記非接触データキャリアに指示し、上記非接触データキャリアの上記比較制御手段に閾値の変更を自律的に実行させることを特徴とする請求項22に記載の質問器。
【請求項25】
閾値の変更の初期値が、前回の測定モード時に、上記比較手段の比較結果の論理が変化した閾値に基づいて定められることを特徴とする請求項23又は24に記載の質問器。
【請求項26】
複数の上記非接触データキャリアを配下に有することを特徴とする請求項22に記載の質問器。
【請求項27】
同報通信により、上記各非接触データキャリアに、閾値を変更させた上記比較手段の比較を繰り返し実行させて、上記比較手段の比較結果の論理が変化した閾値の情報を記憶させておき、
その後の個別通信により、上記各非接触データキャリアから、比較結果の論理が変化した閾値の情報を取り込んで、上記被比較信号発生源が発生した上記被比較信号に係る物理量の情報を得る
ことを特徴とする請求項26に記載の質問器。
【請求項28】
質問器が、少なくとも1個の測定ポートに周囲の物理量に応じて被比較信号を発生する被比較信号発生源が接続された請求項1〜15のいずれかに記載の非接触データキャリアシステムにおける非接触データキャリアを配下にしており、上記非接触データキャリアから、上記被比較信号発生源が発生した上記被比較信号に係る物理量の情報を得る、非接触データキャリアのデータ取得方法であって、
上記質問器が、上記非接触データキャリアに、閾値を変更させた上記比較手段の比較を繰り返し実行させる探索工程と、
上記比較手段の比較結果の論理が変化した閾値の情報を、上記質問器又は上記非接触データキャリアが認識する変化閾値認識工程と、
上記質問器が、論理が変化した閾値の情報に基づき、上記被比較信号発生源が発生した上記被比較信号に係る物理量の情報を得る物理量同定工程とを含む
ことを特徴とする非接触データキャリアのデータ取得方法。
【請求項29】
上記探索工程で、上記質問器が上記非接触データキャリアに、閾値の変更値をその都度指示することを特徴とする請求項28に記載の非接触データキャリアのデータ取得方法。
【請求項30】
上記探索工程で、上記質問器は、閾値を変更することを上記非接触データキャリアに指示し、上記非接触データキャリアの上記比較制御手段が閾値の変更を自律的に実行することを特徴とする請求項28に記載の非接触データキャリアのデータ取得方法。
【請求項31】
上記探索工程は、閾値の変更の初期値を、前回の探索工程時に、上記比較手段の比較結果の論理が変化した閾値に基づいて定めていることを特徴とする請求項29又は30に記載の非接触データキャリアのデータ取得方法。
【請求項32】
上記質問器が、複数の上記非接触データキャリアから、上記被比較信号に係る物理量の情報を得ることを特徴とする請求項28に記載の非接触データキャリアのデータ取得方法。
【請求項33】
上記探索工程は、上記質問器から上記非接触データキャリアへの同報通信により、上記各非接触データキャリアについて並行して実行され、
上記変化閾値認識工程は、上記各非接触データキャリアが実行し、上記比較手段の比較結果の論理が変化した閾値の情報を内部記憶させ、
上記物理量同定工程は、上記質問器が、個別通信により、上記各非接触データキャリアから、比較結果の論理が変化した閾値の情報を取り込んで、上記各非接触データキャリアについて繰り返し実行する
ことを特徴とする請求項32に記載の非接触データキャリアのデータ取得方法。
【請求項34】
外部からの被比較信号が入力される測定ポートと、上記測定ポートから入力された被比較信号を閾値と比較し、比較結果を出力する比較手段と、上記閾値を出力する可変閾値手段と、上記質問器からの比較出力要求に従い、上記可変閾値手段からの閾値を制御し、上記比較手段の比較結果、又は、上記比較結果に関係する情報を返信する比較制御手段とを備える非接触データキャリアであって、少なくとも1個の測定ポートに周囲の物理量に応じて被比較信号を発生する被比較信号発生源が接続された非接触データキャリアを、質問器が配下にしており、
上記質問器が、上記非接触データキャリアから、上記被比較信号発生源が発生した上記被比較信号に係る物理量の情報を得る、非接触データキャリアのデータ取得方法であって、
上記質問器が、上記非接触データキャリアに、閾値を変更させた上記比較手段の比較を繰り返し実行させる探索工程と、
上記比較手段の比較結果の論理が変化した閾値の情報を、上記質問器又は上記非接触データキャリアが認識する変化閾値認識工程と、
上記質問器が、論理が変化した閾値の情報に基づき、上記被比較信号発生源が発生した上記被比較信号に係る物理量の情報を得る物理量同定工程とを含み、
上記探索工程で、上記質問器が上記非接触データキャリアに、閾値の変更値をその都度指示する
ことを特徴とする非接触データキャリアのデータ取得方法。
【請求項35】
請求項28〜34のいずれかに記載の非接触データキャリアのデータ取得方法の各工程をコンピュータに実行させる非接触データキャリアのデータ取得用プログラムであって、質問器に搭載される第1のプログラム部分と、非接触データキャリアに搭載される第2のプログラム部分でなることを特徴とする非接触データキャリアのデータ取得用プログラム。
【請求項1】
質問器と、
上記質問器と無線通信によりデータ授受を行う、少なくとも1個の測定ポートを有する非接触データキャリアと、
上記非接触データキャリアの少なくとも1個の測定ポートに接続された、周囲の物理量に応じて被比較信号を発生する被比較信号発生源とを有し、
上記非接触データキャリアが、
外部からの被比較信号が入力される上記測定ポートと、
上記測定ポートから入力された被比較信号を閾値と比較し、両者の大小関係を表す論理値の比較結果を出力する比較手段と、
上記閾値を出力する可変閾値手段と、
上記質問器からの比較出力要求に従い、上記可変閾値手段からの閾値を制御し、上記比較手段の比較結果、又は、上記比較結果に関係する情報を返信する比較制御手段とを備える
ことを特徴とする非接触データキャリアシステム。
【請求項2】
上記比較手段は、アナログ信号でなる被比較信号とアナログ信号でなる閾値とを比較するものであることを特徴とする請求項1に記載の非接触データキャリアシステム。
【請求項3】
上記可変閾値手段は、直列接続された複数の抵抗を有し、分圧電圧を選択してアナログ信号でなる閾値として取り出す閾値形成部を有することを特徴とする請求項2に記載の非接触データキャリアシステム。
【請求項4】
上記測定ポートと上記比較手段との対応組が複数組設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の非接触データキャリアシステム。
【請求項5】
上記測定ポートとして複数を備えると共に、いずれかの上記測定ポートからの被比較信号を共通な上記比較手段に入力させる信号選択手段を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の非接触データキャリアシステム。
【請求項6】
上記測定ポートから上記比較手段への経路上に、被比較信号のダイナミックレンジを拡大するブリッジ回路手段を備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の非接触データキャリアシステム。
【請求項7】
上記可変閾値手段の構成が2分され、一方の構成部分が外付け要素とされていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の非接触データキャリアシステム。
【請求項8】
上記非接触データキャリアが、周囲の物理量に応じて上記被比較信号を発生する被比較信号発生源の非線形性の情報を記憶する非線形性補償情報記憶手段を備え、
上記比較制御手段は、上記非線形性補償情報記憶手段の記憶情報に従い、上記可変閾値手段に出力閾値を指示する情報を変更する
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の非接触データキャリアシステム。
【請求項9】
上記非接触データキャリアが、少なくとも上記比較手段と上記可変閾値手段への動作電源の供給をオンオフ制御する電源制御手段を有することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の非接触データキャリアシステム。
【請求項10】
上記非接触データキャリアが、上記質問器からの無線エネルギーから得た電源を外部に供給し得る電源外部供給ポートを有することを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の非接触データキャリアシステム。
【請求項11】
上記非接触データキャリアが、上記電源外部供給ポートへの電源供給をオンオフ制御する電源外部供給制御手段を有することを特徴とする請求項10に記載の非接触データキャリアシステム。
【請求項12】
上記非接触データキャリアが、周囲の物理量に応じて上記被比較信号を発生する外部の被比較信号発生源に対し、動作のオンオフを指示するコマンドを与える動作コマンド出力ポートを有することを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の非接触データキャリアシステム。
【請求項13】
上記非接触データキャリアが、上記質問器からの比較出力要求を許容するか無視するかを指示する、外部からの比較出力要求オンオフ信号を取り込んで上記比較制御手段に与える入力ポートを有することを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の非接触データキャリアシステム。
【請求項14】
上記非接触データキャリアの構成要素となっている複数の上記手段中、少なくとも1個の手段は半導体チップ上に形成したことを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の非接触データキャリアシステム。
【請求項15】
上記非接触データキャリアの構成要素となっている複数の上記手段の全て又は一部を、複数の半導体チップ上に分散して形成したことを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の非接触データキャリアシステム。
【請求項16】
上記質問器は、測定モードで、閾値を変更させた上記比較手段の比較を繰り返し実行させて、上記比較手段の比較結果の論理が変化した閾値の情報を上記比較制御手段からの返信信号から得て、上記被比較信号発生源が発生した上記被比較信号に係る物理量の情報を得ることを特徴とする請求項1〜15のいずれかに記載の非接触データキャリアシステム。
【請求項17】
上記質問器は、閾値の変更値をその都度上記非接触データキャリアに指示することを特徴とする請求項16に記載の非接触データキャリアシステム。
【請求項18】
上記質問器は、閾値を変更することを上記非接触データキャリアに指示し、上記非接触データキャリアの上記比較制御手段が閾値の変更を自律的に実行することを特徴とする請求項16に記載の非接触データキャリアシステム。
【請求項19】
1個の上記質問器が、複数の上記非接触データキャリアと通信し得ることを特徴とする請求項1〜15のいずれかに記載の非接触データキャリアシステム。
【請求項20】
上記質問器は、同報通信により、上記各非接触データキャリアに、閾値を変更させた上記比較手段の比較を繰り返し実行させて、上記比較手段の比較結果の論理が変化した閾値の情報を記憶させておき、
その後、個別通信により、上記各非接触データキャリアから、比較結果の論理が変化した閾値の情報を取り込んで、上記被比較信号発生源が発生した上記被比較信号に係る物理量の情報を得ることを特徴とする請求項19に記載の非接触データキャリアシステム。
【請求項21】
質問器と、
上記質問器と無線通信によりデータ授受を行う、外部からの被比較信号が入力される測定ポートと、上記測定ポートから入力された被比較信号を閾値と比較し、比較結果を出力する比較手段と、上記閾値を出力する可変閾値手段と、上記質問器からの比較出力要求に従い、上記可変閾値手段からの閾値を制御し、上記比較手段の比較結果、又は、上記比較結果に関係する情報を返信する比較制御手段とを備える非接触データキャリアと、
上記非接触データキャリアの少なくとも1個の測定ポートに接続された、周囲の物理量に応じて被比較信号を発生する被比較信号発生源とを有し、
上記質問器は、閾値の変更値をその都度上記非接触データキャリアに指示する
ことを特徴とする非接触データキャリアシステム。
【請求項22】
少なくとも1個の測定ポートに周囲の物理量に応じて被比較信号を発生する被比較信号発生源が接続された請求項1〜15のいずれかに記載の非接触データキャリアシステムにおける非接触データキャリアを配下にしている質問器であって、
測定モードで、閾値を変更させた上記非接触データキャリアの上記比較手段の比較を繰り返し実行させて、上記比較手段の比較結果の論理が変化した閾値の情報を上記比較制御手段からの返信信号から得て、上記被比較信号発生源が発生した上記被比較信号に係る物理量の情報を得ることを特徴とする質問器。
【請求項23】
閾値の変更値をその都度上記非接触データキャリアに指示することを特徴とする請求項22に記載の質問器。
【請求項24】
閾値を変更することを上記非接触データキャリアに指示し、上記非接触データキャリアの上記比較制御手段に閾値の変更を自律的に実行させることを特徴とする請求項22に記載の質問器。
【請求項25】
閾値の変更の初期値が、前回の測定モード時に、上記比較手段の比較結果の論理が変化した閾値に基づいて定められることを特徴とする請求項23又は24に記載の質問器。
【請求項26】
複数の上記非接触データキャリアを配下に有することを特徴とする請求項22に記載の質問器。
【請求項27】
同報通信により、上記各非接触データキャリアに、閾値を変更させた上記比較手段の比較を繰り返し実行させて、上記比較手段の比較結果の論理が変化した閾値の情報を記憶させておき、
その後の個別通信により、上記各非接触データキャリアから、比較結果の論理が変化した閾値の情報を取り込んで、上記被比較信号発生源が発生した上記被比較信号に係る物理量の情報を得る
ことを特徴とする請求項26に記載の質問器。
【請求項28】
質問器が、少なくとも1個の測定ポートに周囲の物理量に応じて被比較信号を発生する被比較信号発生源が接続された請求項1〜15のいずれかに記載の非接触データキャリアシステムにおける非接触データキャリアを配下にしており、上記非接触データキャリアから、上記被比較信号発生源が発生した上記被比較信号に係る物理量の情報を得る、非接触データキャリアのデータ取得方法であって、
上記質問器が、上記非接触データキャリアに、閾値を変更させた上記比較手段の比較を繰り返し実行させる探索工程と、
上記比較手段の比較結果の論理が変化した閾値の情報を、上記質問器又は上記非接触データキャリアが認識する変化閾値認識工程と、
上記質問器が、論理が変化した閾値の情報に基づき、上記被比較信号発生源が発生した上記被比較信号に係る物理量の情報を得る物理量同定工程とを含む
ことを特徴とする非接触データキャリアのデータ取得方法。
【請求項29】
上記探索工程で、上記質問器が上記非接触データキャリアに、閾値の変更値をその都度指示することを特徴とする請求項28に記載の非接触データキャリアのデータ取得方法。
【請求項30】
上記探索工程で、上記質問器は、閾値を変更することを上記非接触データキャリアに指示し、上記非接触データキャリアの上記比較制御手段が閾値の変更を自律的に実行することを特徴とする請求項28に記載の非接触データキャリアのデータ取得方法。
【請求項31】
上記探索工程は、閾値の変更の初期値を、前回の探索工程時に、上記比較手段の比較結果の論理が変化した閾値に基づいて定めていることを特徴とする請求項29又は30に記載の非接触データキャリアのデータ取得方法。
【請求項32】
上記質問器が、複数の上記非接触データキャリアから、上記被比較信号に係る物理量の情報を得ることを特徴とする請求項28に記載の非接触データキャリアのデータ取得方法。
【請求項33】
上記探索工程は、上記質問器から上記非接触データキャリアへの同報通信により、上記各非接触データキャリアについて並行して実行され、
上記変化閾値認識工程は、上記各非接触データキャリアが実行し、上記比較手段の比較結果の論理が変化した閾値の情報を内部記憶させ、
上記物理量同定工程は、上記質問器が、個別通信により、上記各非接触データキャリアから、比較結果の論理が変化した閾値の情報を取り込んで、上記各非接触データキャリアについて繰り返し実行する
ことを特徴とする請求項32に記載の非接触データキャリアのデータ取得方法。
【請求項34】
外部からの被比較信号が入力される測定ポートと、上記測定ポートから入力された被比較信号を閾値と比較し、比較結果を出力する比較手段と、上記閾値を出力する可変閾値手段と、上記質問器からの比較出力要求に従い、上記可変閾値手段からの閾値を制御し、上記比較手段の比較結果、又は、上記比較結果に関係する情報を返信する比較制御手段とを備える非接触データキャリアであって、少なくとも1個の測定ポートに周囲の物理量に応じて被比較信号を発生する被比較信号発生源が接続された非接触データキャリアを、質問器が配下にしており、
上記質問器が、上記非接触データキャリアから、上記被比較信号発生源が発生した上記被比較信号に係る物理量の情報を得る、非接触データキャリアのデータ取得方法であって、
上記質問器が、上記非接触データキャリアに、閾値を変更させた上記比較手段の比較を繰り返し実行させる探索工程と、
上記比較手段の比較結果の論理が変化した閾値の情報を、上記質問器又は上記非接触データキャリアが認識する変化閾値認識工程と、
上記質問器が、論理が変化した閾値の情報に基づき、上記被比較信号発生源が発生した上記被比較信号に係る物理量の情報を得る物理量同定工程とを含み、
上記探索工程で、上記質問器が上記非接触データキャリアに、閾値の変更値をその都度指示する
ことを特徴とする非接触データキャリアのデータ取得方法。
【請求項35】
請求項28〜34のいずれかに記載の非接触データキャリアのデータ取得方法の各工程をコンピュータに実行させる非接触データキャリアのデータ取得用プログラムであって、質問器に搭載される第1のプログラム部分と、非接触データキャリアに搭載される第2のプログラム部分でなることを特徴とする非接触データキャリアのデータ取得用プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2008−159066(P2008−159066A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−3622(P2008−3622)
【出願日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【分割の表示】特願2004−144926(P2004−144926)の分割
【原出願日】平成16年5月14日(2004.5.14)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【出願人】(391006773)株式会社沖電気コミュニケーションシステムズ (16)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【分割の表示】特願2004−144926(P2004−144926)の分割
【原出願日】平成16年5月14日(2004.5.14)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【出願人】(391006773)株式会社沖電気コミュニケーションシステムズ (16)
【Fターム(参考)】
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