説明

質量分光分析におけるサンプル導入のための開放型プローブ方法および装置

【課題】質量分析計へのサンプル導入のための方法、特に、サンプルを質量分析計へと大気圧で急速に導入できる“開放型プローブ”方法を提供すること。
【解決手段】質量分析計へのサンプル導入のための開放型プローブ方法であって、分析されるべきサンプル化合物をサンプルホルダに取り込むステップ(工程)と、プローブ炉を加熱するステップと、前記サンプルホルダ内の前記サンプル化合物を前記加熱されたプローブ炉内へ導入するステップと、前記加熱されたプローブ炉内へ不活性ガスを流すステップと、炉温度および不活性ガス流の複合効果により前記加熱されたプローブ炉内で前記サンプルを気化させるステップと、前記気化されたサンプルを前記不活性ガス中に混入させるステップと、不活性ガス中の前記気化されたサンプルを質量分析計のイオン源へと移送するステップとを含み、サンプル導入中および分析中に前記加熱されたプローブ炉が環境大気へと開放されたままであり、また、前記不活性ガスが、質量分析計イオン源へ及び炉開口へと移送ラインの2つの方向で前記加熱されたプローブ炉内を流れ、不活性ガス中の前記気化されたサンプルが、加熱移送ラインを介して、質量分析計のイオン源のイオン化チャンバ内へと直接に移送される、方法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、質量分析計へのサンプル導入のための方法に関し、特に、サンプルを質量分析計へと大気圧で急速に導入できる“開放型プローブ”方法に関する。
【背景技術】
【0002】
質量分析(MS)は、特にガスクロマトグラフィ(GC)または液体クロマトグラフィ(LC)などのクロマトグラフ分離技術と組み合わされるときに、幅広い範囲の分野において多種多様な用途を見出す重要な分析技術である。
【0003】
GCおよびLCのこれらのクロマトグラフ分離技術は、複合混合物の質量分析によるそれらの検出および識別前の分離において著しいメリットを与えるが、これらの分離方法は、一般的には30〜60分程度の長い分析時間も必要とする。また、一般に使用される長いガスクロマトグラフィーカラムは、熱的に不安定な化合物をGC−MS分析において分解させる可能性があり、一方、LC−MSは、自動ライブラリベースのサンプル識別と共に使用される電子イオン化ではなくサンプルイオン化のためのエレクトロスプレーまたはAPCIのその使用に起因して低い質量スペクトル識別能力に苦しむ。結果として、ほぼ純粋なサンプルまたは事前のクロマトグラフ分離を必要としないサンプル混合物中のサンプルの分析を簡略化してその分析時間を短くするために、幾つかのタイプの質量分析プローブが開発されてきた。これらの質量分析(MS)プローブの大部分は、MSイオン源真空チャンバ内への空気侵入を防止するためにそれ自体の小型真空ポンプを有する気密・バイバス中間真空チャンバを通じてMSイオン源内へ導入される小型試験管(バイアル瓶)を介したサンプル導入に基づいている。また、これらのプローブは、イオン源でのサンプル気化速度(流束)の安定化のためにそれら自体の温度コントローラを有する。結果として、これらのMSプローブは高価であり(一般に、価格が$10,000を超える)、また、それらの使用は、典型的なGC−MS分析またはLC−MS分析よりも時間がかなり短いが、それは、リアルタイムで行なわれず、分析ごとに約5〜10分を必要とする。更に、漏れの危険に起因して、エアロックチャンバを通じたサンプル導入手続き中には、過度で有害な漏れ(真空ポンプおよびイオン源フィラメントにとって有害)の危険があるため、未熟者(学生など)によって標準的なMSプローブを操作し或いは使用することができない。
【0004】
MSプローブの他の著しい欠点は、これらのプローブの使用が、イオン源内に落ちる小さなサンプル粒子に起因するMSイオン源の大規模で持続的な汚染と関連することで知られるという事実である。これらの汚染物質は、一定の質量スペクトルバックグラウンドの形成によってプローブ感度を低下させ、定期的なイオン源洗浄の必要性をもたらすとともに、GC−MSへのシステムの変換を複雑にする。1996年に独特のタイプのMSプローブが開発され、このプローブは後にクロマトプローブ(A.AmiravおよびA.Dagan、特許文献1)と名づけられた。この装置は、標準的なプローブと同様に小型バイアル瓶でのサンプル導入によって特徴付けられるが、バイアル瓶は、バイアルホルダにより、制御されたサンプル気化速度を達成するための温度制御されたシールされたGCインジェクタ内へと導入され、また、加圧されたGCインジェクタは、流量リストリクタとしての機能を果たす短い毛細管移送ラインを介してMSイオン源に接続される。クロマトプローブは、標準的なMSプローブの問題のうちの幾つかを解決するが、インジェクタ温度を最適値に調整した後に次の分析のためにインジェクタを冷やし戻す必要があるため、約5分の分析時間(および、シールおよび圧力増大時間)を依然として必要とする。また、クロマトプローブは、GCインジェクタを使用しなければならず、そのため、MSの近くでその適用のために大きなGCの利用可能性を要する。また、この場合、現行価格は$3750であり、安価ではない。最近、脱離エレクトロスプレー(DESI)技術および類似の技術が、周囲(大気)圧力イオン化および質量分析計へのイオン移送によってサンプル生成することなく高速有機表面分析を可能にする新たな方法としてかなりの注目を受けてきた。しかしながら、これらの技術は、非常に不均一な応答を被っており、幾つかの化合物群に関して効果がなく、また、多大な質量スペクトル情報および電子イオン化のライブラリ識別力を共有しない。更に、これらの技術は、高価なLC−MS器具を必要とし、GC−MS機器の低コストの質量分析計を使用できない。
【0005】
したがって、数秒程度のサイクル時間を伴うリアルタイム分析を可能にし、かつ、小型で、安価で、高感度な、高速自動洗浄を行なうことができる、簡単なMSプローブ装置の必要性が高まっている。
【0006】
ここ18年の間、Amiravおよび共働者は、超音速分子線(SMB)(超音波GC−MSとも名づけられた)の使用に基づく新たなタイプのGC−MSを開発してきた。超音波GC−MSは、GCおよびMSのSMBとの接点に基づくとともに、飛行イオン源におけるSMB(低温EI)中の振動低温検体の電子イオン化(EI)に基づいている。このイオン源は、本質的に、不活性であり、高速応答および真空背景濾過能力によって更に特徴付けられる。また、同じイオン源は、伝統的なEIの形態も与える。低温EIは、主要の形態として、フラグメントイオンに対する分子イオンの高い比率、および、有力な同位体存在比分析法およびソフトウェアによって補足されて完全にされる効果的なライブラリサンプル識別表示を与える。分析に従う揮発度の低い熱的に不安定な化合物の範囲は、非接触飛行イオン源の使用と、高いGCカラムキャリアガス流量の独特の使用によってサンプル溶出温度を下げることができる能力とに起因して、かなり増大される。超音波GC−MSの他の重要な特徴は、超音波ノズルのための差圧真空チャンバの利用可能性に起因してその感度に対して何らの悪影響を伴わない非常に高いカラム流量とのその適合性である。実際に、超音波GC−MSは、標準的なGC−MSにおいて一般的なカラム流量よりも240倍高い240ml/分カラム流量に適合すると報告された。したがって、高流量の超音波GC−MSを用いると、GCインジェクタライナーなどの容積内へ注入されるサンプルを1秒未満で排出することができる。一方、標準的なGC−MSにおいて、注入は、インジェクタライナー容積の約70%を排出するために1分を超える時間を要し、自動洗浄全体のために約10分を要する。この違いは、超音波GC−MSと標準的なGC−MSとの間の大きな質的相違である。しかしながら、それは、付加され真空チャンバの著しい付加的な複雑さ、更なる大きな真空ポンプ、更なる空気力学、異なるイオン源およびその幾何学的配置、付加されたイオンミラー、および、幾つかの他の異なる態様の形態で、超音波GC−MSに対して大きな不利益をもたらす。
【0007】
したがって、本発明の広い目的は、質量分光分析におけるサンプル導入のための開放型プローブ方法および装置を提供することである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第5686656号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、質量分析計へのサンプル導入のための方法であって、分析されるべきサンプル化合物をサンプルホルダに取り込むステップ(工程)と、プローブ炉を加熱するステップと、前記サンプルホルダ内の前記サンプル化合物を前記加熱されたプローブ炉内へ導入するステップと、前記加熱されたプローブ炉内へ不活性ガスを流すステップと、炉温度および不活性ガス流の複合効果により前記加熱されたプローブ炉内で前記サンプルを気化させるステップと、前記気化されたサンプルを前記不活性ガス中に混入させるステップと、不活性ガス中の前記気化されたサンプルを質量分析計のイオン源へと移送するステップとを含む方法を提供することである。サンプル導入中および分析中に前記加熱されたプローブ炉が環境大気へと開放されたままであり、前記不活性ガスが、質量分析計イオン源へ及び炉開口へと移送ラインの2つの方向で前記加熱されたプローブ炉内を流れ、不活性ガス中の前記気化されたサンプルが、加熱移送ラインを介して、質量分析計のイオン源のイオン化チャンバ内へと直接に移送されることが、本発明の本質的部分である。
【0010】
この発明の更なる目的は、質量分析計へのサンプル導入のための開放型プローブ装置であって、分析されるべきサンプル化合物を保持するためのサンプルホルダと、プローブ炉と、前記プローブ炉を加熱するようになっているヒータと、外部ガス源へのプローブ炉接続部と、不活性ガス源と、前記不活性ガスを前記プローブ炉内へ導入するための手段と、前記プローブ炉内の前記不活性ガスを前記質量分析計へ及び前記炉の開口へと移送ラインの2つの方向で流すための手段と、前記不活性ガスの流量を制御するための手段と、炉温度および不活性ガス流の複合効果によって前記サンプル化合物を気化させるための加熱プローブ炉手段と、前記気化されたサンプル化合物を質量分析計のイオン源へと移送するための加熱可能手段とを備える開放型プローブ装置を提供することである。前記加熱されたプローブ炉がサンプル導入中および分析中に環境大気へと開放されたままであり、前記加熱されたプローブ炉が、前記プローブ内の前記不活性ガスを質量分析計へ及び炉開口へと移送ラインの2つの方向で流すための手段を含み、前記気化されたサンプル化合物を質量分析計のイオン源へと移送するための前記手段が、一端が前記加熱されたプローブ炉と相互接続され且つ他端が質量分析計のイオン源のイオン化チャンバと相互接続される加熱移送ラインに基づいていることが、本発明の本質的部分である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
ここで、以下の例示的な図面を参照して、特定の好ましい実施形態に関し、それが更に完全に理解され得るように説明する。ここで、特に図面を詳しく参照すると、図示の事項は、一例であって、本発明の好ましい実施形態の例示的説明を目的としているだけであり、本発明の原理および概念的態様の最も有用で容易に理解される描写であると思われるものを提供するために与えられていることを強調しておく。これに関して、本発明の根本的な理解のために必要な内容よりも詳しく本発明の構造的詳細を示そうとする試みは成されず、図面と共に解釈される説明は、本発明の幾つかの形態がどのように実際に具現化され得るのかを当業者に明らかにする。当業者に明らかなように、本発明の本質的な性質に影響を及ぼすことなく構造の詳細が異なる本発明の幾つかの実施形態が存在し、したがって、本発明は、図面に示され且つ明細書に記載されるものによって限定されず、添付の請求項に示されるものによってのみ限定され、この場合、適切な範囲は、前記請求項の最も広い解釈によってのみ決定される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は本発明に係る開放型プローブ装置を示す概略図である。
【図2】図2は別個の真空ポンプに対するフロースプリッタの付加により、イオン源への移送ラインで標準的なGC−MSシステムをそれらの低いカラム流量にもかかわらず用いて高速分析できる本発明に係る図1の開放型プローブ装置の更なる実施形態を示す概略図である。
【図3】図3はイオン源への移送ラインで標準的なGC−MSシステムをそれらの低いカラム流量にもかかわらず用いて高速分析でき、プローブ開口によるサンプル挿入後にサンプルを環境大気へと排出する更なるガス源からの時間プログラムされたガスパルスによって動作する、本発明に係る図1の開放型プローブ装置の更なる実施形態を示す概略図である。
【図4】図4はイオン源への移送ラインで標準的なGC−MSシステムをそれらの低いカラム流量にもかかわらず用いて高速分析でき、ガスに開放型プローブ炉を掃除させて洗浄させ且つ分割ガス出口を通じてガスを排出させつつ、開放型プローブパージ開口の手動閉塞によって動作する、本発明に係る図1の開放型プローブ装置の更なる実施形態を示す概略図である。
【図5】図5は開放型プローブ炉ヒータとしてGC−MS移送ラインヒータを使用し且つ移送ラインおよびパージガスの開放型プローブ供給としてGCインジェクタ流量制御装置を使用しつつ、GC−MSシステムを用いたその費用効率の高い使用を行なえる開放型プローブ装置の変形を示す概略図である。
【図6】図6はパージガス出口としての機能を果たす改良されたインジェクタ上側開口を有するGCインジェクタ自体を開放型プローブ炉として使用しつつ、GC−MSシステムにおいて使用できる開放型プローブ装置の更なる実施形態を示す概略図である。
【図7】図7はサンプルスプーンと、薄ガラスチューブと、スワブと、サンプルバイアルホルダとから成る4つの開放型プローブサンプル導入器具を示す概略図である。
【図8】図8は開放型プローブを用いて得られる典型的な実験結果を示している。
【発明を実施するための形態】
【0013】
ここで、新規な開放型プローブの好ましい実施形態が概略的に示される図1を参照する。該プローブは、GC−MS移送ライン3上に装着される別個の加熱要素2を有する加熱開放型プローブ炉1を備えており、GC−MS移送ライン3はその加熱要素4によって加熱される。開放型プローブ炉は、一般にOリング6によってシールされる不活性石英ガラスまたはガラスチューブライナー5を含む。開放型プローブ炉はガス供給源8に接続されるガス供給ライン7を更に含み、ガス供給源8は流量コントローラとバルブ9とを更に備える。ヘリウムは、その不活性および標準的なイオン源における低い空間電荷との最適化された適合性に起因して、また、超音波GC−MSにおける空気力学的加速および効果的なジェット分離のため、一般に好まれる典型的なガスである。水素、および、窒素でさえ、あるいは、これらの混合物も、この発明にしたがって使用できる。
【0014】
開放型プローブの主要で最も重要な特徴は、その炉が開口10を通じて外気圧に対して開放しており、開口10が不使用中にクランプ11によって閉じられてシールされるという点である。開口10の存在にもかかわらず、その空気感度の高いフィラメントを伴う質量分析計イオン源および開放型プローブ加熱炉の繊細なサンプルは、ガスパージプロテクタ要素12の全長にわたってガス注入口7から供給される過剰なヘリウムガスの流れによって空気から保護される。ヘリウムガスの総流量は、移送ライン流量規制毛細管13(シール14によって密閉される)を通じて流れる部分と、任意の空気または他のガスを洗い流しつつ且つ開放型プローブ内およびMSイオン源内への空気の流入を防止しつつパージガスプロテクタ12を通じて開放型プローブ炉を外気へとパージする(開口10を通じて出る)部分との間で分けられる。本発明の典型的な実施形態では、毛細管を通じた流量が約1〜2mL/分であり、パージ速度が約20〜60mL/分である。開放型プローブが超音波GC−MSと組み合わせて使用される典型的な実施形態では、ライナーIDが9mmであり、また、60ml/分のヘリウムパージ流量で空気の侵入を無視できるレベルまで減らすには3cmのパージプロテクタ長さで十分である。パージプロテクタライナーIDが細くなればなるほど及び/又はそれが長ければ長いほど、必要とされるヘリウムパージ流量は少なくなることは明らかである。更なる実施形態において、プローブ炉1は、パージガスプロテクタ要素12を通じた室内空気へのその開口の手前に、細い首部15を有している。この細い首部構造は、プローブ炉開口温度を下げるための熱伝導バリアとして及び開放型プローブサンプル導入中にユーザが誤って熱い表面に触れてしまわないようにする安全機構としての機能を果たす。また、それにより、ユーザは、サンプル挿入深さにわたってサンプル温度および気化速度を選択することもできる。
【0015】
本発明に係る移送ライン3は、(a)サンプル化合物を開放型プローブからMSイオン源へと移送する(この目的のため、移送ラインをヒータ4によって加熱してサンプル凝縮を防止しなければならない)とともに、(b)開放型プローブから質量分析計への不活性ガス流量を、質量分析計の質量分析計真空チャンバおよびそのイオン源でそれらの適切な動作のために移送ラインが形成する圧力上昇に関して受け入れられ得る低い流量レベルまで規制するための流量リストリクタとしての役目を果たすという2つの目的を果たす。したがって、移送ライン3は毛細管移送ラインチューブ13を含む。典型的な実施形態において、毛細管移送ラインチューブは、約20cmの長さであり、120ミクロンの内径(100〜150ミクロンの範囲)を有しており、これは、ヘリウム流量を約1mL/分(2mL/分未満)に規制し、一般に、標準的なGC−MSシステムにおける標準的な電子イオン化イオン源と適合する。
【0016】
移送ライン毛細管は、標準的なGC−MSシステムに関して一般的な方法として電子イオン化イオン源16の内側で終端する。移送ラインおよび開放型プローブ装置は、イオン源16と適切に位置合わせされるフランジ17によって、質量分析計真空チャンバに装着される。サンプル導入は、標準的な小型バイアル瓶によって、小さいスプーン状ガラスサンプルホルダを用いて、または、不活性スワブを用いるなど、幾つかの方法で行なうことができる。特に高速サンプリングに適合される1つの実施形態において、サンプル導入は、約3mm未満の直径を有する小さい薄壁ガラスチューブまたはロッド18、例えば有機化合物の融点の決定のために使用される約1〜1.6mm直径のチューブによって行なわれる。開放型プローブ内へのサンプル導入の好ましい方法は、以下のステップ、すなわち、(a)サンプル粉末がガラスチューブの閉じられた側の外側底面によって接触される;(b)1滴または2滴のアセトンまたはメタノールなどの溶媒が、使い捨て可能な計量ペーパーまたは顕微鏡用スライドガラスまたは他の表面上にある間に、パスツールピペット(または、点滴用器)を用いてガラスチューブ上にその底部(サンプル)側で滴下され、それにより、チューブ上のサンプルの量を約1マイクログラムまたは1マイクログラム未満まで減少させる;(c)ガラスチューブが開放型プローブへと空気により運ばれる間にわたって約数秒間にわたって乾燥される;(d)サンプルを伴うガラスチューブが加熱開放型プローブ炉内へ導入され、また、薄壁ガラスチューブが低い熱質量を有しているため、サンプルが急速に気化される;(e)サンプル蒸気がヘリウムガス流によって移送ラインを通じてイオン源内へと掃き出され、イオン源においてサンプルがイオン化されて質量分析される、ことを含む。サンプリング、サンプル導入、質量分光分析、および、自動洗浄のこの全体のプロセスに要する時間は一般に10秒未満となり得る。融点ガラスチューブ(バイアル瓶)の使用は、比較的純粋な化合物のサンプリングにおいて非常に有効であるが、人間の指紋の高速分析(10秒サイクル時間未満)において特に有効である。指紋において多数の化合物のマススペクトルを得るためには、指を融点チューブの底部に接触させるだけで十分である。我々の結果の予備分析は、数人の清潔な手の化学質量スペクトル指紋がほぼ同じであり、それにより、指紋汚染の分析におけるこの方法の実用性が立証されることを示している。
【0017】
低熱質量ガラスチューブを用いる前述した高速サンプル導入方法の実施においては、ナノグラム範囲サンプル量および等温プローブ炉温度が非常に重要である。これは、当該方法が、非常に長い自動洗浄時間を必然的に伴わなければならないという(誤った)認識に基づくその実用性に対する難点を未然に防ぐからである。この誤った認識は、標準的なGC−MSの低流量受容と、少なくとも数μgのサンプル計量の使用に起因して非常に長い自動洗浄時間および温度プログラミングを必要とする標準的なプローブバイアル瓶を用いるサンプリングの使用とに基づいている。
【0018】
図1は、新規な開放型プローブ方法および装置の好ましい実施形態を示しているが、更なる有益な特徴を備える更なる実施形態を以下で説明する。
【0019】
標準的なGC−MSを用いると、超音波GC−MSとは異なり、MS移送ライン中への開放型プローブ内の不活性ガス流量が約1mL/分に制限されるため、サンプル滞留時間およびサイクル時間(数分程度)は殆どの用途において非常に長い。簡単な計算によると、0.2mlのライナー容積および1mL/分の典型的な移送ライン流量を伴う小型開放型プローブにおいてさえ、開放型プローブ排気時定数が0.2分であり、また、その十分な自動洗浄に要する時間は、開放型プローブ炉内吸収−脱着サイクルおよび炉内に残存する粉末粒子の想定し得る存在を考慮しなくても2分を超える可能性があることが分かっている。また、そのような長い滞留時間は、サンプル分解をかなり促進させる可能性が高く、それにより、MSプローブとしての開放型プローブのその最も重要な機能のうちの1つ、すなわち、熱的に不安定な化合物の分析を果たすことができる能力が低下する。したがって、開放型プローブ炉を通じた流量の増大は、多くの用途に絶対不可欠とまではいかなくても、非常に有益となり得る。内容積が最小または減少された開放型プローブ構造は、より速い開放型プローブ応答時間に寄与し得るが、特定の最小寸法未満では、様々なサンプルホルダの使用のその容易性および柔軟性を妨げる可能性がある。
【0020】
ここで、本明細書中に開示される本発明の更なる実施形態を概略的に示す図2を参照する。明確にするため、図1で未だ示されていない構成要素だけに符号が明記されている。本実施形態は、開放型プローブ炉およびそのライナーの後側でフロースプリッタ(20〜23)を使用することによって開放型プローブ流量の増大を達成するための良好な方法を与え、それにより、不活性ガス流の一部は、移送ラインを介してMSイオン源(図1の16)へと方向付けられるが、不活性ガス流の殆どは、この付加されたフロースプリッタチューブ20を通じて、真空ポンプ21へと或いは更にはMSターボ分子ポンプのバッキングポンプとしての機能を果たすGC−MSロータリポンプへと方向付けられる。このように、開放型プローブ流量は、分割流の使用によって望みどおりに任意に増大させることができるが、欠点は、分割比率に応じて感度が低下されるという点である。殆どのプローブ分析はいかなる場合でも定性的にのみ及び多くの(巨視的)サンプル量を用いて行なわれるため、これらの用途においてはいかなる場合でも高い感度は重要ではない。サイズおよびコストを減少させるため、真空ポンプ21は一般に比較的低い真空度(約0.9Bar絶対圧)を生み出し、また、そのポンプ速度は、第1の流量規制要素22を使用するだけで調整されて制御される。実際には、分割ポンプチューブ20は、それ自体、その長さ及び内径の適切な選択により、有効な流量リストリクタとしての役目を果たすことができる。例えば、MSイオン源への1mL/分の移送ライン流量を伴う39mL/分の総ポンプ流量は、サンプル流束および開放型プローブ応答時間の両方を40のファクタだけ減少させる。あるいは、開放型プローブまたは組み合わされた開放型プローブライナー容量のより都合の良い柔軟な使用を行なうために開放型プローブ炉直径およびライナー容量を増大させることができ、また、4倍更に大きい開放型プローブライナー容量と組み合わされる10倍更に速い自動洗浄など、応答時間減少ファクタを40のファクタ分だけ増大させることができる。開放されたイオン源が使用されないときに前のサンプルのMSイオン源への逆移動およびキャリーオーバーを防止するため、および、アイドリング時間中にポンプを通じたMS真空チャンバ内への空気漏れを抑制するため、バルブ23がポンプ21と開放型プローブ炉との間に加えられてフロースプリッタチューブ20内に位置される。開放型プローブは周囲圧力に対して開放しているため、流量分割は必然的に真空ポンプを使用しなければならない。しかしながら、標準的なMSプローブを用いるのとは異なり、高真空へのサンプル導入を伴わないため、ポンプの準大気圧を最小にすることができ、また、非常に簡単で低コストの真空ポンプを使用できる。なお、所定の信号時間を伴う方形の波状信号が幾つかの質量のMS−MS分析を可能にし得るようにするためにバルブ23を時間プログラムすることもできる。
【0021】
ここで、本明細書中に開示される本発明の更なる実施形態を概略的に示す図3を参照する。明確にするため、図1で未だ示されていない構成要素だけに符号が明記されている。本実施形態は、ガスパルス発生器(25〜29)から発生されるガスパルスを使用することにより更に速い開放型プローブ応答時間を達成する他の有効な方法を与える。ガスパルスはガスパルス移送ラインチューブ25から開放型プローブ炉内へと導入され、ガスパルス移送ラインチューブ25は、その出口端からそのライナー(図2に示される実施形態ではガス分割出力としての機能を果たした)を越えたポイントで開放型プローブに対して接続される。
【0022】
サンプルが開放型プローブ内へ導入された所定時間後、不活性ガスパルスがガスパルス移送ライン25を介して開放型プローブライナーへと方向付けられる。そのとき、不活性ガスパルスは、開放型プローブライナー内の気化サンプルを開放型プローブの開口を介して環境大気へと放出する。サンプルが開放型プローブ内へ導入された所定時間後、不活性ガスパルスがガスパルス移送ライン25を介して開放型プローブライナーへと方向付けられる。そのとき、不活性ガスパルスは、開放型プローブライナー内の気化サンプルを開放型プローブの開口を介して環境大気へと放出する。本発明の好ましい実施形態において、この所定時間は約1秒〜約10秒である。ガスパルスは、開放型プローブメインガス源のそれと同じであってもよい或いは独立のガス源であってもよいガス源26から発生される。ガス源圧は圧力調整器27によって安定化され、また、その流量は、電子流量コントローラ28またはフリット流量規制要素によって或いはガス源圧と移送ラインチューブ25のフローインピーダンスとの複合効果によって調整される。ガスパルスは、ガスバルブ29のパルス時間プログラミングによって導入される。サンプルは、ほぼ安定した或いはゆっくりと低下する信号の生成に伴って気化された後、開放型プローブライナーで長時間(1分以上)にわたって残存し得る。
【0023】
ガスパルスの導入後、サンプルが急速に放出される。これは、ガスパルス流量が任意に高なる可能性があるからである。例えば非限定的な例として、ライナーの容量が1mlで且つ1秒間にわたってガスパルス流量が600ml/分の場合には、たった10mlのガスを使用しつつライナーを0.1秒で洗浄でき且つ1秒で十分に洗浄できる。なお、その名前が示すとおり、開放型プローブは開放しており、パルスガス流量は制限されない。これは、イオン源および真空チャンバ圧力に影響を与えることなく任意の過度のガスが周囲環境へと流れるからである。このように、分割ポンプの使用と同様、応答時間減少と同時に感度の低下を伴って、開放型プローブ自動洗浄応答時間を望みどおりに任意に減少させることができる。ガスバルブ29の時間プログラミングと組み合わせてライナー洗浄ガスパルスを使用すると、所定の信号時間を伴う方形波状信号の生成が幾つかの質量のMS−MS分析を可能にし得る。ガスバルブ29は、ガスパルスの使用中に同時に標準的な開放型プローブガス流量を同時に停止するために、簡単な二方弁または三方弁であってもよい。
【0024】
ガスパルスの使用は、開放型プローブの高速自動洗浄を容易にするための簡単な方法を与えるが、図2で説明した分割ポンプの使用に対して2つの欠点を有する。すなわち、A)過剰なサンプルが外気へと放出され、それにより、分割ポンプの使用とは対照的に、特定のタイプのサンプルにより開放型プローブのオペレータに対して健康上の危険をもたらす可能性がある。この場合、GC分割インジェクタにおいて一般に使用されるように、ポンプ排気に続いて化学的な捕捉を行なうことにより、この危険を排除できる。B)パルスガスは、開放型プローブへのサンプル導入の時間からの時間プログラミング起動を必要とする。
【0025】
ここで、本明細書中に開示される本発明の更なる実施形態を概略的に示す図4を参照する。明確にするため、図1で未だ示されていない構成要素だけに符号が明記されている。本実施形態は、シールを使用して開放型プローブのパージ開口を閉じることにより付加されたガスが分割ガス出口を通じて抜け出る間に当該ガスに開放型プローブ炉ライナーを掃除させて洗浄させることによって更に速い開放型プローブ応答時間を達成する他の効率的であるが簡単な方法(最小付加ハードウェアに関して)を与える。簡単な気化のためにサンプルを伴うサンプルホルダの開放型プローブ内への導入後、サンプルホルダが除去されるとともに、シール31を有するシール装置30が開放型プローブパージプロテクタ開口に配置される。そのようなパージガス出口シールの結果として、パージガス流量全体が、ライナーを通じて、フリットまたはガスチューブ流量リストリクタ33によって比較的低い流量規制を有する分割ガスライン32へと流される。ガスライン32は、2つの更なる弁、すなわち、安全逆止弁(34)と動作中に開放する第2の弁(35)とを更に含む。通常どおり、サンプル導入および気化の後にサンプル信号が形成され、また、サンプル信号は、開放型プローブ炉容積と移送ラインを介した質量分析計イオン源への流量とによって決まる比較的長い時間にわたってゆっくりと減衰しながら残存する。ユーザによって選択された時間の後、ユーザは、シール装置30+31を用いて開放型プローブをシールし、また、パージガス流全体が任意の残存するサンプルを開放型プローブから取り除く。応答時間は1秒未満となり得る。これは、パージガス流量(ml/秒)が一般にライナー容積(ml)よりも大きいからであり、また、サンプルが低い揮発度を有する場合であっても、その質量分析計信号を無視できるレベルまで減少させるために数秒しか要しないためである。なお、シール装置をシールユニットに装着されるOリングまたはGCセプタムのように簡単にすることができ、あるいは、シール装置をサンプルホルダも保持する装置の形態にすることができる。高速サンプル清浄のこの方法は、付加されるハードウェアを最小限に抑えるという観点では最も簡単であるが、当該方法は、開放型プローブ動作のために必要とされる最小時間を僅かに増大させる更なる手動ステップ(自動化できる)を付加する。他の考慮すべき事項は、バルブ35が閉じられ且つ開放型プローブパージ開口がシールされる場合に、パージガス流量全体が質量分析計真空チャンバ内へと押し進められる場合があり、それにより、そのターボ分子ポンプが損傷される場合があるということである。したがって、最大ポンプスループットを越えないようにするために、安全逆止弁34が付加され、及び/又は、ガス供給ユニットの最大圧が約1.5Bar絶対圧未満に維持されなければならない。バルブ35は、開放型プローブ動作中には開放しているが、開放型プローブが動作されていないときには閉じられており、そのため、不活性ガスは、質量分析計への空気漏れを防止するために開放型プローブに流れ込まない。
【0026】
なお、先に開示され且つ更に図2〜4に描かれた本発明の3つの更なる実施形態の全てが、開放型プローブライナーの出力端に接続されるガスチューブを有することによって特徴付けられる。この更なるガスチューブは、開放型プローブライナーからのサンプル蒸気の除去および高速清掃を容易にするために不活性キャリアガスを排出する或いは導入する役目を果たす。
【0027】
開放型プローブは、他のプローブと同様、その近傍にGCの存在を要することなく、質量分析に役立つことができるが、その予期される最も頻繁な使用はGC−MSシステムにおいてである。これは、GC−MSが独立型MSよりもはるかに幅広く使用されているからである。ここで、GC−MSシステムにおけるMSサンプル導入のための簡単で低コストの装置としての機能を果たす本発明の一実施形態を概略的に示す図5を参照する。開放型プローブは、熱接触構造体41を介して、利用可能なGC−MS移送ラインヒータ40に対して熱的に接続させることができ、したがって、任意の更なるヒータ及びその温度コントローラを必要としない。結果として、MS移送ライン温度が開放型プローブ温度でもあり、また、標準的なGC−MS移送ライン制御ソウトウェアによってMS移送ライン温度を制御できる。図5に示される構造は、幾つかの点で図2,3,4に示される構造と異なっている。すなわち、(a)移送ラインおよび開放型プローブは、良好な熱伝達のため、それらの接合部41で熱的に適切に接続される;(b)開放型プローブは、GC炉42内にそのインジェクタ43を用いて配置される;(c)インジェクタガス移送ラインカラムが開放型プローブ44(一般的に、柔軟な石英ガラス毛細管または1/16”ステンレススチールチューブ)と相互接続される;および、(d)不活性ガス(ヘリウム)シリンダ45と、その圧力調整弁46と、インジェクタ電子流量コントローラ47とを含むインジェクタガス供給システムが不活性ガス源として使用される。GC−MSが開放型プローブモードで使用されると、GCインジェクタ43及びそのGC分析カラムは使用されない。したがって、GCカラムを除去することができ、また、短い毛細管移送ライン44を用いてインジェクタを開放型プローブに接続することができる。結果として、GCインジェクタは、開放型プローブによって必要とされるガスを供給することができるとともに、標準的なGC−MS用途の場合と同様、その電子圧力コントローラまたは電子流量コントローラ47によって前記ガスを制御することができる。この場合、特別な開放型プローブ空気圧ガス供給システムは不要である。これは、この目的のためにGCインジェクタ及びそのソフトウェアが使用されるからである。図5に示される開放型プローブの実施形態は、工学的簡素化の観点から理想的な設計概念を表わしており、これにより、開放型プローブの費用効率が特に高くなる。これは、該実施形態が既に利用可能なGC−MS移送ライン加熱・GCインジェクタガス供給システムを独自に使用するからである。その結果として、開放型プローブは、専用のエレクトロニクス、空気力学及び/又はソフトウェアを何ら伴うことのない非常に簡単な機械装置となり得る。装置の更なる実施形態において、開放型プローブが独立型MSと組み合わされると、イオン源への移送ラインを、開放型プローブ(1つのヒータ要素を有する)と一体のユニットとして形成することができ、また、外部からのガス供給がなされる。
【0028】
ここで、本発明の更なる実施形態が概略的に示される図6を参照する。本実施形態では、標準的なGCインジェクタが開放型プローブ源へと変換される。本実施形態において、開放型プローブは、GC−MSシステムのGC51上に装着された改良されたGCインジェクタ50に基づいている。インジェクタは、その標準的なヒータ52と、Oリングシール54によってシールされる内部ライナー53とを有する。開放型プローブの改良されたインジェクタの実施形態に特有な点は、当初のインジェクタセプタムおよびセプタムホルダ(シート)が除去されて、周囲の部屋の空気および圧力に対する開口56を更に備えるガスパージプロテクタ要素55と置き換えられるという点である。GC分析カラムは、約1mL/分をMSイオン源58へ供給するためにその長さ及び内径によって調整される毛細管流量規制チューブ57、例えば0.15mmIDを有する50cm長の石英ガラス毛細管と置き換えられ、また、移送ラインがフランジ59を用いて真空チャンバに取り付けられる。毛細管流量規制チューブは、クランプ61によって締め付けられる口金60を用いてインジェクタに対してシールされる。毛細管流量リストリクタは、ヒータ63によって加熱されるMS移送ライン62に対し、移送ラインに対してクランプ65により締め付けられる口金64を用いてシールされる。ガスパージ要素55は、当初のインジェクタガス供給接続要素68内へとOリングシール67によってシールされるそれ自体のガス導入要素66を有している。開放型プローブのガス供給は、ヘリウムガスシリンダ69及びその圧力調整弁70によって行なわれ、また、ガス流量は、当初のインジェクタ電子流量制御要素71によって制御される。開放型プローブが使用されていないときには、開放型プローブを閉じてそのクランプ72によってシールすることができる。図6の実施形態では、開放型プローブ応答時間を減少させるために、ガス流がライナーの後方で分割される。ガスは、真空ポンプ73により、前述したような流量規制要素としての機能を果たすこともできるそのフリット流量リストリクタ74、バルブ75、および、分割流チューブ76を介して圧送される。フロースプリッタおよび真空ポンプが含まれることにより、格段に速い(<1s)応答時間を得ることができる。サンプルは、前述したようにガラスチューブ77によって都合良く導入することができる。
【0029】
なお、特定のガスクロマトグラフを用いると、漏れの場合(または、インジェクタが周囲圧力に対して開放しているとき)にインジェクタガス供給を中断するインジェクタインターロックの動作を停止しなければならない。開放型プローブの本実施形態は、インジェクタの二重用途によって独自に特徴付けられ、また、その開放型プローブへの変換は、非常に簡単であり、物品の付加的なコストを最小限に抑える。これは、インジェクタがそれ自体の加熱炉および流量制御装置を有しているからである。本発明の本実施形態によれば、移送ラインが更に長いため、サンプル経路中の低温ポイントの可能性を排除するために、開放型プローブの動作中にGC炉を加熱しなければならない。また、GCインジェクタは、一般に、それらのライナーと共に床に対して垂直に配置される。この物理的配置は、開放型プローブ源としての動作において欠点を意味する。なぜなら、そのような配置は、インジェクタ内にサンプル粉末が落下する機会を増大させ、その結果として、長期間にわたって装置を汚染し、したがって、更なる固体サンプルの導入を妨げるからである。図6に示される実施形態は、GC炉およびインジェクタからのGC分析カラムの物理的な除去も必要とする。一方、この手法の更なる主要な利点は、今日の殆どのGCでは、GCインジェクタ内へのシリンジ挿入のために適合される自動サンプラを用いてサンプルが自動的に導入されるという点である。したがって、自動サンプラのシリンジを開放型プローブのサンプルホルダおよび自動サンプルホルダ交換のための付加的な手段と置き換えることにより、自動サンプラの変更を最小限に抑えて、サンプルを自動的に導入することができる。適切な自動サンプラは、ライナー交換などの他の用途において市場で既に入手できる。このタイプの開放型プローブ自動化は、高スループット用途において非常に有益である。
【0030】
ここで、サンプルホルダの4つの実施形態が概略的に示される図7を参照する。最も広く適用できる開放型プローブサンプルホルダがサンプルスプーン81である。そのようなサンプルスプーンは、市販の8mmODガラスチューブから当業者に周知の標準的な技術によって形成することができる。サンプルホルダの本実施形態は、例えば、医薬物質を収容する錠剤、サンプルをそれらの表面に伴う物片、および、他のタイプの固体サンプルまたは液体サンプルまたはスラッジサンプルのような材料を導入するために有用である。このタイプのサンプルスプーンは、薄層クロマトグラフィプレートによって分離されたサンプルの開放型プローブサンプリング・分析においても有用である。溶出サンプル領域の近傍からの粉末が除去されてスプーン内に配置される。このスプーンサンプルホルダは、MS検査のために一定のサンプル流束を供給する場合にも有益である。しかしながら、本実施形態では、約9mmのライナーIDを有する更に大きい開放型プローブ炉が必要とされ、その結果、適度な自動洗浄時間を有するために高流量が必要である。
【0031】
サンプルホルダ82の好ましい実施形態は、例えば1.6mmODおよび1.1mmIDを有する融点チューブである。サンプルは、前述したように外面上に取り込まれる。これらのガラスチューブ(バイアル瓶)は、低い熱質量によって特徴付けられ、したがって、加熱、自動洗浄、および、次のサイクルのための冷却が速い。これらの融点薄ガラスチューブ/バイアル瓶は、幅広く利用可能であり安価であるため、使い捨てサンプルホルダとして提供できる。サンプルホルダの更なる実施形態は、例えば、開放型プローブ内へ直接に挿入されて熱抽出を行なうことができる固相微量抽出(SPME)装置、拡張されたサンプル容量を伴うSPME装置としての機能を果たすことができるシリコンチューブでコーティングされたワイヤを含む。サンプルホルダの更なる実施形態は、一定のサンプル流束を生成するために標準的なMSプローブと共に使用されるバイアル瓶を有するバイアルホルダ83である。この場合、開放型プローブ炉内への挿入深さが気化温度を決定する。標準的なMSプローブとは異なり、本発明では、高い開放型プローブガス流量が使用されると、開放型プローブは、小型の標準的なMSプローブバイアル瓶よりもかなり都合良く使用できる例えば2.5〜3mm直径を有する比較的大きいバイアル瓶を受け入れることができる。図7は、開放型プローブの汚染の機会を減らし且つ液体のサンプリングを可能にするために垂直なバイアル位置を備えるバイアルホルダ83を示している。更なる実施形態において、バイアルホルダは、バイアル瓶を水平に受け入れるように形成される。
【0032】
他の更なる実施形態のサンプルホルダ84が図7に示されている。84などのスワブは、有効なサンプルホルダであることに加え、表面からのサンプル収集の有効な手段である。しかしながら、標準的なスワブは、本発明と共に使用するのに適していない。これは、それらのスワブがフタル酸および120℃を超える接着不純物を放出するからである。したがって、本発明と共に使用するため、サンプルホルダ84は、高温Kevlarロープから構成される特別なスワブを備える。
【0033】
開放型プローブと超音波GC−MSとの組み合わせは、幾つかの理由により特に効果的である。第1に、超音波GC−MSを用いると、非常に高い開放型プローブヘリウム流量、例えば移送ラインおよび超音波ノズルへと向かう90mL/分と有効なパージガス保護のために役立つ60mL/分とに分けられる150mL/分の総流量を使用することができる。このように、開放型プローブは非常に急速に排出され(開放型プローブのライナー容積に応じて、0.2秒程度)、また、サンプル気化および除去が急速であり、そのため、サンプル分析が非常に速い。また、開放型プローブ内での短いサンプル滞留時間に起因して、熱劣化の大きさも最小限に抑えられる。更に、その後の分析サイクルのためのサンプル自動洗浄時間が最小限に抑えられる。また、高流量の使用は、例えば9mmIDの比較的大きな開放型プローブライナーの使用も可能にし、それにより、例えば8mmサンプル保持コンパートメントを有する大きなサンプルスプーンを使用できる。SMBを用いる質量分析の更なる利点としては、SMB飛行イオン源の固有の不活性および質の高い分子イオン信号を伴う改善された質量スペクトルを与えることができるその能力が挙げられる。したがって、イオン源劣化を何ら伴うことなく動作する。超音波GC−MSと開放型プローブとの組み合わせは、開放型プローブがノズルへ向かう移送ラインに対して熱的に接続され且つ開放型プローブガスがGCインジェクタによって供給される場合、あるいは、GCインジェクタ自体が開放型プローブとしての機能を果たすように変更される場合に特に魅力的である。なぜなら、これらの場合では、開放型プローブが驚くほど簡単で低コストの装置だからである。
【0034】
ヘリウムは、開放型プローブと共に使用するのに最も好ましいガスである。これは、標準的なMSのためのイオン源が、特に、最適な空間電荷および質量分析器で散乱するという悪影響を減らすことを考慮して約1mL/分のヘリウム流量を用いて機能するように開発されたからである。水素(ヘリウムほど高価ではない)も使用できるが、水素は、危険を呈し、開放型プローブライナーおよびイオン源金属壁を活性化させる場合もあり、それにより、特定の種類の化合物において触媒サンプル劣化が促進される。窒素は低コストの不活性ガスであるが、イオン源でのその空間電荷は、ヘリウムのそれよりも約8〜10倍大きい。また、超音波GC−MSは、その空気力学的加速および効率的ジェット分離に起因して、ヘリウムを使用することが好ましい。超音波GC−MSを用いる場合、(ノズルへの)メイクアップガスは水素であってもよい(その結果、部屋へ流れない)が、開放型プローブガスは窒素またはアルゴンとなり得る。ガス流量を作り出すための開放型プローブ流量比率の約5〜8%の比率では、ジェット分離効率およびSMB特徴がヘリウムのそれと同様である。
【0035】
幾つかの場合では、更に長いMS(およびMS−MS)検査にわたって一定のサンプル流束を供給することが依然として望ましい。これは、ガラススプーンホルダ内にサンプルを伴う開放型プローブの適切な温度最適化によって達成することができる。サンプルは、所望の温度およびその関連するサンプル流束が得られるまでゆっくりと加熱される(標準的なMSプローブの通常の慣行と同様)。この場合、サンプルは、オペレータがサンプルホルダを物理的に何ら保持する必要なく、開放型プローブ炉内に挿入される。先の図1に示されるように、開放型プローブは、長い加熱領域を伴って構成されるとともに、その軸に沿って温度勾配が存在する態様で構成され得る。このようにして、サンプル挿入深さの操作によって、サンプルにとって最適な気化温度が最適化される。本実施形態は、炉温度制御が必要とされないため、開放型プローブ温度プログラミング/最適化によって得ることができるよりも速いサンプル流束最適化を行なう。一方、本実施形態は、開放型プローブ炉長、したがって、炉容積を増大させ、その結果、自動洗浄時間を増大させる。冷たい開放型プローブ入口領域の比較的低い温度も自動洗浄時間を同様に増大させる場合がある。
【0036】
幾つかの場合では、空間的なサンプル情報も必要とされ、あるいは、大きすぎて開放型プローブ炉内に挿入できない本体の表面上にサンプルが位置される。そのような場合、本発明のサンプル気化構成要素およびサンプルホルダの別の実施形態が使用される。本実施形態では、炉の外側で脱離が行なわれる。開放型プローブの外側で更なるヘリウム流を供給するために、例えば8cm長、0.75mmOD、および、0.53mmIDのステンレススチールから成るチューブが使用される。ステンレススチールチューブのようなシリンジ−ニードルを横切る2−3Aの範囲の直流電流がシリンジ−ニードルを抵抗加熱し、また、それから出現する加熱されたヘリウムジェットがサンプル表面へと方向付けられる。加熱されたヘリウムがサンプルを熱的に脱離し、気化されたサンプルが混入されたヘリウムジェットが開放型プローブへと侵入される。パージ流量は、ヘリウムジェットが開放型プローブ内へ侵入できるように十分に減少される。サンプルおよびヘリウムジェットの周囲に配置された筐体は、空気が開放型プローブ装置内に入り込むことを防止する。更なる実施形態では、加熱されたジェット脱離領域の近傍に、開放側プローブの内側まで、パージ流を迂回するようにサンプル移送チューブが配置される。他の更なる実施形態では、ジェットを開放型プローブ炉内へ直接に導入するのではなく、サンプルが外気中で脱離され、また、脱離されたサンプルは、前述したように標準的な開放型プローブサンプルホルダ上に収集される。その後、サンプルホルダは、通常の方法で、開放型プローブ内へ挿入され、この開放型プローブにおいて、標準的なサンプルホルダからの二次脱離が行なわれる。本実施形態によれば、1ミクロン空間分解能を与え且つ外気サンプルサイズ独立サンプリングを行なうために、外気中でのレーザ脱離を使用することもできる。これらの間接的な2段階サンプル脱離法の1つの主要な利点は、サンプリング前にサンプル生成のために化学物質または溶媒が使用されず、また、質量分析計および実験室から遠く離れてサンプルを収集することができるという点である。
【0037】
開放型プローブを含むMSプローブの主な制限は、サンプルが混合状態で見つけられるとき或いはサンプルが汚染されているときにライブラリベースの或いは任意の他のタイプのサンプル識別を行なうことができないという点である。したがって、付加的な大きさの分離が非常に望ましいといえる。非常に有効な付加的高速分離法は、衝突活性化解離を伴う三連四重極質量分析システムを使用するMS−MSである。このようにして、周知のように、幾つかの対象化合物を複合混合物中で選別することができる。
【0038】
本発明の更なる実施形態では、移送ラインが、限られたGC分離能を有する高速GC炉へと変換される。抵抗加熱されるステンレススチールチューブの内側には移送ライン毛細管カラムが配置される。該チューブは、その低い熱質量に起因して、加熱速度(温度プログラミング)および冷却速度が比較的急速である。そのような高速GCの使用は、サンプル識別のためのライブラリを使用できるその能力において、MS−MSよりも優れているが、分析のために長い時間を要する場合がある。
【0039】
急速自動洗浄およびイオン源清浄度の維持は、開放型プローブの更なる重要な利点である。したがって、数時間で開放型プローブを分解して元の標準的なGC−MSへと変換することができる。本発明の更なる実施形態では、開放型プローブ炉の内側にGCカラムが配置され、また、この場合、開放型プローブは、標準的なGC−MSと同様に1mL/分の一部が移送ラインを通じてMSイオン源へと流れ且つ残りが開放型プローブ炉から流れ出る開放型分割インタフェースとしての役目を果たす。このようにして、約数分内で、開放型プローブの分解を何ら伴うことなく、GC−MSへの変換を行なうことができる。この場合、GCカラムは、標準的な開放型分割装置と同様に開放型プローブをシールしない特別な開放型プローブクランプによって開放型プローブに対して固定されることが好ましい。本実施形態では、GC炉温度に従うためにゆっくりとしたプログラミング速度を必要とする場合がある開放型プローブ炉の熱容量の増大に起因して、GC炉温度プログラミング速度が制限される。
【0040】
〔実施例〕
ここで、本発明を使用する実験の典型的な結果が示される図8を参照する。一定のサンプル流束を用いて動作される標準的なMSプローブとは異なり、開放型プローブ動作の好ましい形態は、図8に明示されるように、速いサンプル流束立ち上がり及び立ち下がりによって特徴付けられるサンプル導入の高速パルスを生成することである。この信号パルスは、等温開放型プローブ炉動作、低熱質量サンプルホルダの使用、限られた1マイクログラム未満サンプル量を伴うサンプリング、開放型プローブの容積に比べて高い開放型プローブヘリウム流量の使用、および、シールを伴わない開放型プローブ高速手動サンプル導入(および、除去)の結果である。実際には、開放型プローブは、特に、短い分析サイクルを可能にするように形成され、その結果、温度プログラミングを伴うことなく熱い等温炉と協働すべきことが好ましい。この場合、開放型プローブ炉が開放しているため、サンプルは開放型プローブ内へ急速に導入され、また、シールは解放されてはならず、後にクランプされる。サンプルホルダの低い熱質量に起因してサンプル気化は急速であり、また、少量のサンプルだけが取り込まれるため、サンプルは、不活性ガス流による急速なサンプル除去および自動洗浄の後に完全に脱離される。なお、サンプルは、そのホルダがヘリウムパージガス導入領域を超えて侵入するときだけライナー内へと脱離される。図8に示されるように、30秒未満の十分なサイクル時間を伴う開放型プローブ分析はかなり実現可能である。実際に、サンプルがそれらのホルダに予め取り込まれる場合には、6秒未満の分析サイクル時間を容易に達成することができる。
【0041】
開放型プローブの利点の要約
【0042】
開放型プローブは、以下の主要な特徴および利点によって特徴付けられる。
【0043】
高速:分析サイクル全体は、一般に30秒を要し、稀に1分を超える。ガラスチューブホルダ上のサンプルが第2の人物によって準備され或いは生成される場合、開放型プローブによる分析自体は、次のサンプルに備えて約6秒を必要とし、また、各サンプルは、図8に明示されるようにGC状のピークを生み出す。この分析時間は、任意の他のタイプのMSプローブを用いるよりもかなり速い。これは、プローブシールが不要であり、また、等温開放型プローブ炉が高い不活性ガス流量によって急速に洗浄されるからである。
【0044】
安全:開放型プローブは、標準的なMSプローブとは異なり、本質的に漏れる心配がなく、したがって、未熟練者によって使用され得る。この特徴における理由は、開放型プローブがMSイオン源および真空システムを適切に保護する流量規制毛細管を有しているからであり、また、ヘリウムパージ流がMSイオン源をそのフィラメントに対する酸素の潜在的悪影響を伴う空気の侵入から保護するためである。
【0045】
容易なサンプル導入:開放型プローブは、任意の標準的なMSプローブのサンプルバイアル瓶よりもかなり大きな開放型プローブ炉、したがってサンプリングバイアル瓶(または、代わりのサンプルホルダ)によって特徴付けられる。したがって、開放型プローブは、液体、スラッジ、粉末、および、固体上または固体中の或いは雑巾またはスワブ中のサンプルを含むかなり幅広い範囲のサンプルおよびサンプルマトリクス形状を受け入れることができる。
【0046】
柔軟なサンプリング:開放型プローブは、サンプル処理器具および方法において非常に柔軟であり、溶液中(標準的なMSプローブとは異なる)、粉末中、固体表面上のサンプルを、錠剤の形態で、吸収された空気中に浮遊するサンプルとして、清潔なスワブ上で受け入れることができ、また、ガス状のサンプルであっても開放型プローブ炉内へと漏れ出すことができる。
【0047】
自動洗浄:開放型プローブは、(金属と異なり)高速自動洗浄を有するその炉に不活性ガスまたは石英ガラスライナーを含む。また、その高いヘリウム流量は、高速自動洗浄を維持するのに更に役立つ。しかしながら、開放型プローブの清浄度における最も重要な理由は、サンプル量を1マイクログラム未満まで規制できる能力である。
【0048】
高感度:開放型プローブの効果的な自動洗浄および非常に速い応答時間は、感度の向上をもたらす。1ピコグラム未満の検出限度は、ピレンおよびダイアジノン農薬のための開放型プローブを用いて我々によって明らかにされた。
【0049】
GC−MSとの容易で高速な置き換え:開放型プローブを迅速に取り除いて元のGC−MSへ変換することができる。幾つかの場合では、開放型プローブの分解を伴わなくてもGC−MS動作を達成することができる。
【0050】
簡単で低コスト:開放型プローブは、非常に簡単で完全に機械的な装置となるように設計することができる。開放型プローブは標準的なGC−MS移送ラインに対して熱的に接続することができ、したがって、更なるヒータおよび温度コントローラは不要である。これの重要な理由は、開放型プローブが等温状態下で独自に機能することができ、したがって、温度プログラム可能な加熱を必要としないからである。ガスは、GC−MSシステムのGCインジェクタによって供給することができる。これは、いかなる場合でも、開放型プローブが動作されるときに標準的なカラムをMS移送ラインから取り外さなければならないからである。結果として、GCインジェクタは、インジェクタ電子流量制御装置によってその動作が利用できる。したがって、結論は、開放型プローブを完全に機械的な装置にすることができ、そのため、簡単で低コストにすることができるということである。
【0051】
本発明者らは、これらの8つの有利な特徴の組み合わせが驚くべきものであり、本出願に係る開放型プローブが、その質量分光分析を目的とする容易で速いサンプル導入のための有力で新規な方法および低コストの装置を提供すると考えている。
【符号の説明】
【0052】
1 加熱開放型プローブ
2 加熱要素
3 GC−MS移送ライン
4 加熱要素
5 ガラステューブライナー
6 Oリング
7 ガス供給ライン
8 ガス供給源
9 バルブ
10 開口
11 クランプ
12 ガスパージプロテクタ要素
13 移送ライン流量規制毛細管
14 シール
15 細い首部
16 イオン源
17 フランジ
18 ロッド
20 フロースプリッタチューブ
21 真空ポンプ
22 流量規制要素
23 バルブ
25 ガスパルス移送ラインチューブ
26 ガス源
27 圧力調整器
28 電子流量コントローラ
29 ガスバルブ
30 シール装置
31 シール
32 分割ガスライン
34 安全逆止弁
35 バルブ
40 GC−MS移送ラインヒータ
41 接合部
42 GC炉
43 インジェクタ
44 開放型プローブ
45 不活性ガスシリンダ
46圧力調整弁
47 電子流量コントローラ
50 GCインジェクタ
51 GC
52 ヒータ
53 内部ライナー
54 Oリングシール
55 ガスパージプロテクタ要素
56 開口
57 毛細管流量規制チューブ
58 MSイオン源
59 フランジ
60 口金
61 クランプ
62 MS移送ライン
63 ヒータ
64 口金
65 クランプ
66 インジェクタガス供給接続要素
67 Oリングヒール
68 インジェクタガス供給接続要素
69 ヘリウムガスシリンダ
70 圧力調整弁
71 インジェクタ電子流量制御要素
72 クランプ
73 真空ポンプ
74 フリット流量リストリクタ
75 バルブ
76 分割流チューブ
77 ガラスチューブ
81 サンプルスプーン
82 サンプルホルダ
83 バイアルホルダ
84 サンプルホルダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
質量分析計へのサンプル導入のための開放型プローブ方法であって、
a.分析されるべきサンプル化合物をサンプルホルダに取り込むステップと、
b.プローブ炉を加熱するステップと、
c.前記サンプルホルダ内の前記サンプル化合物を前記加熱されたプローブ炉内へ導入するステップと、
d.前記加熱されたプローブ炉内へ不活性ガスを流すステップと、
e.炉温度および不活性ガス流の複合効果により前記加熱されたプローブ炉内で前記サンプルを気化させるステップと、
f.前記気化されたサンプルを前記不活性ガス中に混入させるステップと、
g.不活性ガス中の前記気化されたサンプルを質量分析計のイオン源へと移送するステップと、
を含み、
サンプル導入中および分析中に前記加熱されたプローブ炉が環境大気へと開放されたままであり、また、前記不活性ガスは、質量分析計イオン源へ及び炉開口へと移送ラインの2つの方向で前記加熱されたプローブ炉内を流れ、更に、不活性ガス中の前記気化されたサンプルは、加熱移送ラインを介して、質量分析計のイオン源のイオン化チャンバ内へと直接に移送される、開放型プローブ方法。
【請求項2】
前記不活性ガスは、前記移送ラインを通じたその流量よりも多い流量で導入され、その過剰な流量が前記開放型プローブ炉および質量分析計イオン源をパージして空気の侵入から保護する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記加熱移送ラインは、前記開放型プローブ炉から質量分析計の前記イオン源およびその真空チャンバへの流量を前記質量分析計およびそのイオン源によってそれらの適切な動作のために受け入れられ得る低い流量レベルまで規制して減少させる流量規制毛細管を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記加熱されたプローブ炉内へ不活性ガスを流すステップは、
a.真空ポンプを得るステップと、
b.前記真空ポンプの入口を前記プローブ炉と相互接続するステップと、
c.前記不活性ガスを前記加熱されたプローブ炉を通過した後に圧送するステップと、
を更に含み、
前記プローブ炉の圧送は、前記加熱されたプローブ炉を通じた前記不活性ガスの流量を増大させ、また、流量の前記増大は、前記サンプルが前記加熱されたプローブ炉から除去される速度を高め、そのため、全体の分析時間を減少させる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記加熱されたプローブ炉内へ不活性ガスを流すステップは、
a.第2のガス源を得るステップと、
b.前記第2のガス源の出力を、調整ガス流量コントローラおよびガスバルブを介して、前記プローブ炉へその出口端から相互接続するステップと、
c.所定のプロトコルにしたがって時間プログラムされたガスパルスを生成するステップと、
d.前記時間プログラムされたガスパルスを前記加熱されたプローブ炉の出口端から前記加熱されたプローブ炉内へ導入するステップと、
を更に含み、
プローブ炉内へ前記出口端から導入された前記ガスパルスは、前記気化されたサンプルを前記加熱されたプローブ炉から放出し、それにより、前記サンプルが前記加熱されたプローブ炉から除去される速度が高められ、また、それにより、全体の分析時間が減少される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記加熱されたプローブ炉内へ不活性ガスを流すステップは、
a.前記開放型プローブ炉の開口に対するシールを得るステップと、
b.前記加熱されたプローブ炉を、その出口端から、環境大気へと至るガスチューブと相互接続するステップと、
c.サンプル導入後に前記シールを用いて前記開放型プローブ炉をシールし、それにより、不活性ガスの前記流れが前記ガスチューブから殆ど出るステップと、
を更に含み、
前記プローブ炉シールは、前記加熱されたプローブ炉を通じた前記不活性ガスの流量を増大させ、また、流量の前記増大は、前記サンプルが前記加熱されたプローブ炉から除去される速度を高め、そのため、全体の分析時間を減少させる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記プローブ炉を加熱させるステップは、前記移送ラインのみからの熱伝導によって行なわれる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記質量分析計がガスクロマトグラフ質量分析計システムの一部である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記不活性ガスが前記ガスクロマトグラフのインジェクタから供給される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
a.前記GC−MS装置のGC部のためのそのヒータおよび流量コントローラを有するインジェクタを得る更なるステップと、
b.毛細管ガスチューブを用いて、前記インジェクタの出口を、前記GCを介して、前記移送ラインと相互接続する更なるステップと、
c.前記変換されたインジェクタをそのヒータを用いて加熱する更なるステップと、
d.前記GC炉を加熱して、前記インジェクタから前記移送ラインへの前記サンプル化合物の移送をそれらの滞留を伴うことなく可能にする更なるステップと、
e.前記インジェクタをそのセプタムおよびセプタムホルダの除去によって外気へ開放する更なるステップと、
f.開放インジェクタの上部に対してパージ流プロテクタを付加し、それにより、前記パージ流プロテクタがサンプルホルダの非摂動的導入を可能にする更なるステップと、
g.不活性ガスを所定の速度で前記インジェクタの前記流量コントローラから前記加熱されたインジェクタへと移送ラインの2つの方向で流すとともに前記インジェクタ開口のパージ流プロテクタを通じて前記インジェクタ開口へと流す更なるステップと、
h.インジェクタ温度および不活性ガス流の複合効果によって前記加熱されたインジェクタ炉内で前記サンプルを気化させる更なるステップと、
i.前記気化されたサンプルを前記不活性ガス中に混入させる更なるステップと、
j.不活性ガス中の前記気化されたサンプルを質量分析計のイオン源へと移送する更なるステップと、
を更に含み、
これにより、ガスクロマトグラフインジェクタが開放型プローブへ変換される、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記気化されたサンプルは、加熱移送ラインで超音波ノズルへと移送されて、振動冷却サンプル分子を伴う超音速分子線を形成しつつ前記超音波ノズルから真空システムへと広げられ、振動冷却サンプル分子は、前記超音速分子線中に振動冷却分子として含まれる間、電子イオン化イオン源を通り抜ける飛行中に、電子でイオン化される、請求項7から請求項10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記プローブ炉を加熱するステップは、前記サンプルが流入する側が前記移送ラインと相互接続される側よりも冷たくなるように前記プローブ炉の軸に沿って温度勾配を与える更なるステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記サンプルをサンプルホルダに取り込むステップは、(a)約3mm未満の直径のガラスチューブと、(b)約3mm未満の直径のガラスロッドとから成るグループから選択されるサンプルホルダの外面上に前記サンプルを配置するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記サンプルをサンプルホルダに取り込むステップは、サンプルの気化が約数秒未満で完了するように少量のサンプルを取り込むステップを更に含み、また、サンプルの急速な気化は、約数秒の立ち上がり時間および立ち下がり時間を伴う信号を与える、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
サンプル分析サイクル時間が約1分未満である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記不活性ガス中に混入された前記気化されたサンプルを前記移送ラインを介して前記質量分析計のイオン源へと移送するステップは、
a.入力端と出力端とを備えるガスクロマトグラフィーカラムを得る更なるステップと、
b.前記ガスクロマトグラフィーカラムの前記入力端を前記開放型プローブ炉と相互接続する更なるステップと、
c.前記ガスクロマトグラフィーカラムの前記出力端を前記イオン源と相互接続する更なるステップと、
d.所定のプロトコルにしたがって前記移送ラインにおける前記ガスクロマトグラフィーカラムの温度をプログラムする更なるステップと、
e.前記サンプル化合物をそれらの質量分析前に適時に分離する更なるステップと、
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記サンプル化合物を前記加熱されたプローブ炉内へ導入するステップは、
a.入力端と出力端とを備えるガスクロマトグラフィーカラムを得る更なるステップと、
b.前記ガスクロマトグラフィーカラムの前記入力端を前記ガスクロマトグラフインジェクタと相互接続する更なるステップと、
c.前記ガスクロマトグラフィーカラムの前記出力端を前記開放型プローブの入力端と相互接続する更なるステップと、
を更に含む、請求項8に記載の方法。
【請求項18】
前記サンプル化合物を前記サンプルホルダに取り込むステップおよび前記サンプルホルダ内の前記サンプル化合物を前記加熱されたプローブ炉内へ導入するステップは、
a.コンピュータ制御された自動サンプラを得るステップと、
b.少なくとも1つのサンプルホルダを得るステップと、
c.前記少なくとも1つのサンプルホルダを前記自動サンプラ内に配置するステップと、
d.前記自動サンプラを前記プローブ炉と相互接続するステップと、
e.前記自動サンプラ内の前記サンプルホルダに前記サンプルを取り込むステップと、
f.前記取り込まれたサンプルホルダを前記自動サンプラから前記プローブ炉へと移送するステップと、
を更に含み、
前記取り込まれたサンプルホルダを前記自動サンプラから前記プローブ炉へと移送する前記ステップが自動的に行なわれる、請求項1または請求項10に記載の方法。
【請求項19】
前記サンプルを前記サンプルホルダに取り込むステップは、
a.(a)約3mm未満の直径のガラスチューブと、(b)約3mm未満の直径のガラスロッドとから成るグループから選択されるサンプルホルダで前記サンプルに触れるステップと、
b.前記サンプルホルダに付着するサンプルの一部を除去するステップと、
を更に含み、前記サンプルホルダに付着するサンプルの一部を除去する前記ステップは、
c.前記サンプルが付着する前記サンプルホルダの側に少なくとも1滴の溶媒を配置するステップと、
d.前記サンプルの一部を前記溶媒中に溶かすステップと、
e.前記溶液が前記サンプルホルダから垂れることができるようにするステップと、
f.前記サンプルホルダ上の前記溶媒を気化させるステップと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
質量分析計へのサンプル導入のための開放型プローブ装置であって、
a.分析されるべきサンプル化合物を保持するためのサンプルホルダと、
b.プローブ炉と、
c.前記プローブ炉を加熱するようになっているヒータと、
d.外部ガス源へのプローブ炉接続部と、
e.不活性ガス源と、
f.前記不活性ガスを前記プローブ炉内へ導入するための手段と、
g.前記プローブ炉内の前記不活性ガスを前記質量分析計へ及び前記炉の開口へと移送ラインの2つの方向で流すための手段と、
h.前記不活性ガスの流量を制御するための手段と、
i.炉温度および不活性ガス流の複合効果によって前記サンプル化合物を気化させるための加熱プローブ炉手段と、
j.前記気化されたサンプル化合物を、一端が前記加熱されたプローブ炉と相互接続され且つ他端が質量分析計のイオン源のイオン化チャンバと相互接続される質量分析計のイオン源へと移送するための加熱可能手段と、
を備え、
前記加熱されたプローブ炉は、サンプル導入中および分析中に環境大気へと開放されたままである、
開放型プローブ装置。
【請求項21】
前記開放型プローブ炉および質量分析計イオン源を空気の侵入から保護するために前記不活性ガスの一部で前記プローブ炉をパージするための手段を更に備える、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記加熱移送ラインは、前記開放型プローブ炉から質量分析計の前記イオン源への前記不活性ガスの流量を質量分析計およびそのイオン源の動作に適する所定のレベルまで減少させるようになっている流量規制毛細管を更に備える、請求項20に記載の装置。
【請求項23】
a.真空ポンプと、
b.前記不活性ガスの流路を前記真空ポンプの入口と相互接続するための手段と、
c.前記ガスの一部が前記真空ポンプへと流れるように不活性ガスの前記流れが前記プローブ炉から出た後に不活性ガスの前記流れを分割するための手段と、
を更に備え、
前記ガス流の前記圧送は、前記プローブ炉を通じたガス流量を、前記圧送を伴わない流量と比べて増大させる、請求項20に記載の装置。
【請求項24】
a.ガス出力を有する第2のガス源と、
b.前記第2のガス源の出力を、調整ガス流量コントローラおよびガスバルブを介して、前記プローブ炉へその出口端から相互接続するための手段と、
c.所定のプロトコルにしたがって時間プログラムされたガスパルスを生成するための手段と、
d.時間プログラムされたガスパルスを前記加熱されたプローブ炉内へその出口端から導入するための手段と、
を更に備え、
プローブ炉内へその出口端から導入された前記ガスパルスは、前記気化されたサンプルを前記加熱されたプローブ炉から放出し、それにより、前記サンプルが前記加熱されたプローブ炉から除去される速度が高められ、また、それにより、全体の分析時間が減少される、請求項20に記載の装置。
【請求項25】
a.前記開放型プローブ炉の開口を密閉するためのシールと、
b.前記加熱されたプローブ炉をその出口端から環境大気と相互接続するためのガスチューブと、
を更に備え、
サンプル導入後の前記プローブ炉シールは、不活性ガスの前記流れを前記ガスチューブから出させ、それにより、前記加熱されたプローブ炉を通じた前記不活性ガスの流量が増大され、また、その結果として、前記サンプルが前記加熱されたプローブ炉から除去される速度が高められ、それにより、全体の分析時間を減少される、請求項20に記載の装置。
【請求項26】
前記開放型プローブ炉を加熱させるための手段は、前記加熱移送ラインからの熱伝導によって与えられる、請求項20に記載の装置。
【請求項27】
前記質量分析計がガスクロマトグラフ質量分析計システムの構成要素である、請求項20に記載の装置。
【請求項28】
前記不活性ガスが前記ガスクロマトグラフのインジェクタによって前記プローブ炉内へと導入される、請求項27に記載の装置。
【請求項29】
前記プローブ炉を加熱するための前記ヒータがGCインジェクタヒータであり、また、前記不活性ガスを前記プローブ炉内へ導入し且つ前記不活性ガスの流量を制御するための前記手段がGCインジェクタ流量コントローラであり、更に、前記インジェクタが環境大気へと開放し、また、
a.一端が前記ガスクロマトグラフインジェクタと相互接続され且つ他端が前記移送ラインと相互接続される毛細管と、
b.開放型プローブへと変換される前記インジェクタの上部でパージ流保護するための手段と、
を更に備え、
ガスクロマトグラフインジェクタが開放型プローブとして使用できる、請求項27に記載の装置。
【請求項30】
a.前記気化されたサンプルを前記開放型プローブ炉から加熱移送ラインで超音波ノズルへと移送するための手段と、
b.前記超音波ノズルの後方にメイクアップガスを付加するための手段と、
c.略振動冷却サンプル分子を含む超音速分子線を形成するための超音波ノズル・真空チャンバ手段と、
d.前記超音速分子線中のサンプル化合物をイオン化するための飛行電子イオン化イオン源と、
e.前記イオン源を通り抜けるその飛行のために前記超音速分子線を平行にする手段と、
を更に備える、請求項26から請求項29のいずれか1項に記載の装置。
【請求項31】
前記移送チューブが前記プローブ炉と相互接続される側よりも前記サンプルホルダが導入される側で温度が低くなるように前記プローブ炉の軸に沿って温度勾配を与えるための手段を更に備える、請求項20に記載の装置。
【請求項32】
前記サンプルホルダは、(a)約3mm未満の直径のガラスチューブと、(b)約3mm未満の直径のガラスロッドとから成るグループから選択される、請求項20に記載の装置。
【請求項33】
約数秒内で前記サンプルの気化を行なうようになっており、前記気化は、約数秒の立ち上がり時間および立ち下がり時間を伴う信号パルスを与える、請求項20に記載の装置。
【請求項34】
サンプル分析サイクル時間が約1分未満である、請求項20に記載の装置。
【請求項35】
前記気化されたサンプル化合物を質量分析計のイオン源へと移送するための前記手段は、
a.入力端と出力端とを備えるガスクロマトグラフィーカラムと、
b.前記ガスクロマトグラフィーカラムの前記入力端を前記開放型プローブ炉と相互接続するための手段と、
c.前記ガスクロマトグラフィーカラムの前記出力端を前記イオン源と相互接続するための手段と、
d.加熱移送ラインと、
e.所定のプロトコルにしたがって前記移送ラインにおける前記ガスクロマトグラフィーカラムの温度をプログラムするための手段と、
を更に備える、請求項20に記載の装置。
【請求項36】
a.入力端と出力端とを備えるガスクロマトグラフィーカラムと、
b.前記ガスクロマトグラフィーカラムの前記入力端を前記ガスクロマトグラフインジェクタと相互接続するための手段と、
c.前記ガスクロマトグラフィーカラムの前記出力端を前記開放型プローブの入力端と相互接続するための手段と、
を更に備える、請求項20に記載の装置。
【請求項37】
a.コンピュータ制御された自動サンプラと、
b.前記サンプルホルダを前記自動サンプラ内に配置するための手段と、
c.前記自動サンプラを前記プローブ炉と相互接続するための手段と、
d.前記自動サンプラ内の前記サンプルホルダに前記サンプルを取り込むための手段と、
e.前記取り込まれたサンプルホルダを前記自動サンプラから前記プローブ炉へと移送するための手段と、
を更に備え、
サンプル移送が自動的に行なわれる、請求項20または請求項29に記載の装置。
【請求項38】
前記プローブ炉のための細い首部を更に備え、前記細い首部は、前記装置のユーザが熱面に触れるのを防止する、請求項20に記載の装置。
【請求項39】
特にサンプルをタンデムMS−MS内へ導入するようになっている、請求項20に記載の装置。
【請求項40】
質量分析計内へのサンプルの導入のために標準的なGCインジェクタを開放型プローブ源へ変換するための方法であって、
a.前記インジェクタをそのセプタムおよびセプタムホルダの除去によって外気へ開放するステップと、
b.セプタムおよびセプタムホルダを置き換えるために前記インジェクタの上部に対してパージ流プロテクタを付加し、それにより、前記パージ流プロテクタが、前記開放型プローブ源内へのサンプルホルダの非摂動的導入を可能にするステップと、
c.GCカラムを毛細管流量規制チューブと置き換えるステップと、
d.所定のプロトコルにしたがって、前記インジェクタの流量コントローラからの不活性ガスを、インジェクタを介して、前記パージ流プロテクタおよび毛細管流量規制チューブへと流すステップと、
e.前記毛細管流量規制チューブを、前記GC炉を介して、質量分析計への移送ラインと相互接続するステップと、
f.前記GC炉を加熱して、前記インジェクタから前記移送ラインへの前記サンプル化合物の移送をそれらの滞留を伴うことなく可能にするステップと、
を含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−25932(P2010−25932A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−162366(P2009−162366)
【出願日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(599165751)
【Fターム(参考)】