説明

質量分析のためにイオンを生成するための方法および装置

質量分析機器システムにおける混入を減らすための装置および方法が開示される。システムは、レーザ脱離/イオン化でイオンを生成する第1圧力にあるイオン源と、イオン源の第1圧力よりも低い第2圧力にある真空チェンバへの入口開口部とを含む。イオン源内のサンプルプレートが、上に堆積させたサンプルを支持し、レーザが、質量分析計の第1イオン光学軸の中心線に対して約0から約80度の入射角でサンプルの少なくとも一部に当たるレーザパルスを生成し、プルームを生成するように構成できる。レーザパルスの入射角と、サンプルプレートと入口領域開口部との間の距離との組み合わせが、入口開口部に引き込まれるプルームにおける中性混入物を減らすことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で使用されるセクションの見出しは、構成目的のみのためであり、任意の方法で記載された主題を限定するとみなされるべきではない。
【0002】
(関連出願への相互参照)
この出願は、2006年3月7日に出願された米国仮特許出願第60/779,818号(これは、参考として本明細書に援用される)の利益を主張する。
【0003】
(分野)
出願人の教示は、質量分析計による分析のためにレーザ脱離/イオン化によってイオンを生成する方法および装置に関する。
【背景技術】
【0004】
質量分析法は、荷電された分子から生成されるイオンの質量電荷比の検出に基づき、化合物中の分子を識別する一般に用いられる分析方法である。分子をイオン化させるには多数の方法がある。このような方法の1つがレーザ脱離/イオン化である。
【0005】
レーザ脱離/イオン化技法の例としてマトリクス支援レーザ脱離/イオン化(MALDI:matrix−assisted laser desorption/ionization)がある。MALDIにおいて、サンプルは、典型的に、MALDIマトリクスとして知られる紫外線吸収化合物と混合され、表面に堆積され、レーザパルスでイオン化される。レーザのエネルギーは、マトリクス分子で吸収され、サンプル分子に伝達され、これを蒸発、イオン化させる。イオンのプルームが生成され、次にイオンが質量分析計により分析される。
【0006】
さらにプルーム中には、イオンとともに、マトリクスおよび中性分子といった混入物質があるかもしれない。これらの混入物質も同様に質量分析計に入り、表面にくっつき、ぶつかって堆積物を形成するかもしれない。これらの堆積物は時間の経緯とともに蓄積し、質量分析計システムの性能を下げることがあり得る。例えば、電極上の堆積物により電位が歪み、これによりシステムの感度と分解能を低下させる可能性がある。さらに、混入物質を除去するために頻繁に洗浄が必要となり、結果的にシステムの操作性が低下するかもしれないが、このことは、特に高処理能力の用途にとって非能率的で、問題である。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
出願人の教示の一態様により、イオン源の第1圧力よりも低い第2圧力にある真空チェンバへの入口開口部を有する有質量分析計による分析のためにレーザ脱離/イオン化でイオンを生成する、第1圧力にあるイオン源が提供される。イオン源は、上に堆積されたサンプルを支持するための面(例えば、サンプルプレート)と、サンプルの少なくとも一部に当たるレーザパルスを生成するように構成されるレーザとを備える。種々の実施形態において、レーザパルスは、本明細書において質量分析計の第1イオン光学軸と呼ばれる質量分析計のイオン経路の中心線に対して約0から約80度の入射角を取り得る。例えば、種々の実施形態において、レーザパルスが質量分析計の第1イオン光学軸に対して約20度よりも大きな角度でサンプルプレートに当たる。種々の実施形態において、サンプルプレートの法線を質量分析計の第1イオン光学軸に対して約0から約45度の角度に置くことが可能である。種々の実施形態において、サンプルプレートの法線を質量分析計の第1イオン光学軸に対して約20から約45度の角度で傾斜させることが可能である。レーザ脱離において、サンプルおよび中性混入物質の分析物イオンを含み得るプルームが生成される。入口領域を質量分析計から分離する構造において、分子は入口開口部を通して質量分析計に入る。
【0008】
サンプルプレートと入口領域開口部との間の距離は、イオン源と質量分析計との間の差圧から得られる気体流により質量分析計の入口領域に引き込まれる中性分子を減らすように選定される。種々の実施形態において、プルームがサンプルプレート表面から離れると、プルームの中心が入口領域から実質的に離れる方に向き、電場がかけられ、質量分析計の入口領域に分析物イオンを引き込む。種々の実施形態において、レーザパルスの入射角と、サンプルプレートと入口領域開口部との間の距離の組み合わせが、プルームがサンプルプレート表面から離れると、プルームが質量分析計の入口領域から実質的に離れ、中性混入物質が質量分析計に引き込まれないように構成される。イオン源と質量分析計との間の差圧から得られる気体抵抗力により、入口開口部を通り中性混入物質の相当な比率を引き込むことがないように、このような気体抵抗力がかなり低くされるという効果をもたらすように、サンプルプレートと入口開口部との間の距離が選定される。種々の実施形態において、レーザパルスが質量分析計の第1イオン光学軸に対して約20度よりも大きな入射角でサンプルプレートに当たる。種々の実施形態において、電場がかけられ、質量分析計の入口領域に分析物イオンを引き込む。
【0009】
他の態様において、質量分析のためのサンプルのレーザ脱離/イオン化で分析物イオンを生成するためのシステムが提供される。システムは、分析物イオンを生成するための第1圧力にあるイオン源と、イオン源の第1圧力よりも低い第2圧力にある真空チェンバで分析物イオンを受け入れるための入口開口部を有する質量分析計とを備える。イオン源は、上に堆積されたサンプルを支持するための面(例えば、サンプルプレート)と、サンプルの少なくとも一部に当たるレーザパルスを生成するように構成されるレーザとを備える。種々の実施形態において、サンプルプレートの法線を質量分析計の第1イオン光学軸に対して約0から約45度の角度に置くことが可能であり、レーザパルスは、質量分析計の第1イオン光学軸の中心線に対して約0から約80度の入射角を取り得る。種々の実施形態において、サンプルプレートの法線を質量分析計の第1イオン光学軸に対して約20から約45度の角度で傾斜させることが可能であり、レーザパルスは、質量分析計の第1イオン光学軸の中心線に対して約0から約80度の入射角を取り得る。レーザ脱離において、サンプルおよび中性混入物質の分析物イオンを含み得るプルームが生成される。イオン源と質量分析計との間の差圧から得られる気体抵抗力により、入口開口部を通って相当な比率の中性混入物質を引き込むことがないように、このような気体抵抗力がかなり低くされるという効果をもたらすように、サンプルプレートと入口開口部との間の距離が選定される。種々の実施形態において、電場がかけられ、質量分析計に分析物イオンを引き込む。
【0010】
種々の態様において、質量分析のためのサンプルのレーザ脱離/イオン化で分析物イオンを生成する方法が提供される。方法は、上に堆積されたサンプルを支持するための面を有する第1圧力にあるイオン源と、分析物イオンを含むプルームを生成するために、面上のサンプルの少なくとも一部に当たるレーザパルスを生成するように適応されるレーザとを提供する工程を含む。方法はさらに、分析物イオンの少なくとも一部を受け入れるためにイオン源の第1圧力よりも低い第2圧力にある真空チェンバへの入口開口部を有する質量分析計を提供する工程を含み、イオン源と質量分析計との間における圧力差で生じ、イオン源から入口領域に分子を引き込むガス流速度効果の影響を減らすように、イオン源と入口開口部との間の距離が選定される。種々の実施形態において、面は、質量分析計の第1イオン光学軸に対して約0から約45度の角度に置かれるサンプルプレートが可能であり、レーザは、質量分析計の第1イオン光学軸の中心線に対して約0から約80度の入射角でエネルギーのパルスを生成するように構成することが可能である。種々の実施形態において、面は、質量分析計の第1イオン光学軸に対して約20から約45度の角度で法線を傾斜させることのできるサンプルプレートが可能であり、レーザは、質量分析計の第1イオン光学軸の中心線に対して約0から約80度の入射角でエネルギーのパルスを生成するように構成することが可能である。種々の実施形態において、方法は、質量分析計に分析物イオンを引き込むためにかけられる電場を提供する工程を含む。
【0011】
出願人の教示のこれらと他の特性は、本明細書において明らかにされる。
【0012】
当業者は、以下で記述される図面が単に例示目的であることを理解するであろう。図面は、以下なる場合でも、出願人の教示の範囲を限定するように意図されない。
【0013】
図面中、同様の参照符号は同様の部品を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
出願人の教示に関連し種々の要素に対して用いられる表現は、別途、明らかな記載がない限り、「1つ以上」あるいは「少なくとも1つ」の意味を含む。出願人の教示により、質量分析のためのイオンを生成するためのイオン源10を概略的に示す図1を最初に参照する。イオンまたは中性粒子の軌道がレーザアブレーション時の気体流の衝撃の影響を受けないように、約1トルの圧力を維持するためにイオン源10へのガス抜きを行うことができる。種々の実施形態において、イオン源の圧力は、約100mトルから約2トルの間の範囲を取り得る。開口部11を有するイオン源10は、分析物を含むサンプル16を支持することのできるサンプルプレート14を備える。種々の態様において、サンプル16は、限定ではないが、MALDIマトリクスを含むことが可能である。当該技術で公知のとおり、マトリクス物質は、限定ではないが、a−シアノ−4−ヒドロキシ−桂皮酸(CHCA:a−cyano−4−hydroxy−cinnamic acid)、2,5−ジヒドロキシ安息香酸(DHB:dihydroxybenzoic acid)、シナビン酸(SA:sinapinic acid)、3−ヒドロキシピコリン酸、ニコチン酸−N−酸化物、2,6−ジヒドロキシアセトフェノン、およびフェルラ酸が可能である。サンプルプレート14の法線を、質量分析計20のイオン経路の中心線に対応する第1イオン光学軸18に対して約0から約45度の角度に置くことが可能であり、図1では、サンプルプレートの法線が第1イオン光学軸18に対して約20度の角度で傾斜される。質量分析計20の入口領域26は、例えば、約3から約50mトルの間の、イオン源圧力よりも低いことがあり得る、入口開口部28aと真空チェンバ12とを有する入口錘状体28を備えることができる。種々の実施形態において、真空チェンバ内の圧力は約8mトルである。レーザ22は、質量分析計20の第1イオン光学軸18の中心線に対して約0から約80度の入射角でサンプルプレート14上のサンプル16の少なくとも一部に当たるレーザパルスを生成する。種々の実施形態において、レーザは高反復レーザとすることができ、約500ヘルツから約1500ヘルツのパルスレートを有することが可能である。種々の態様では、サンプルの少なくとも一部を、一秒未満の高反復レーザのレーザパルスによって減少させることができる。プルーム24は、分析物イオンとマトリクス物質などの中性混入物質とを含むものであり、入射レーザパルスの軌道に従い生成させることができる。これによりプルームの中心が質量分析計の入口領域26から離れる方に向く。錘状体28は開口部28aを備え、種々の実施形態において、開口部28aは直径4mmが可能である。イオン源10と真空チェンバ12との間の差圧によって気体流が生成され、これにより質量分析計20の入口領域26を通して気体抵抗力を誘起できる。このような差圧の条件下にある気体流をプルーム輸送の主モードとすることができる。このため、従来技術で公知のとおり、気体流に入口領域26の近辺で分析物イオン、中性粒子、マトリクス分子(中性または荷電)を取り込ませ、質量分析計20の真空チェンバ12に開口部28aを通して引き込むことができる。気体流に影響される領域は、本出願全体において、気体抵抗領域と呼ばれ、図1において符号29で示される。
【0015】
本教示において、差圧領域のあるところで、質量分析計20の入口領域26、すなわち、気体抵抗および電場に向けてイオンを加速するのに利用可能な2つの物理的力がある。2つの力は別個の特性を有する。特に、気体抵抗が荷電粒子と中性粒子の両方を動かすのに対し、電場は荷電粒子だけを動かす。これら2つの力を合わせた効果を用いて、イオンの高伝達効率を達成し、イオンと中性粒子との間で、ある程度の区別を維持するという利点を得ることができる。
【0016】
従来技術の画像処理の研究(Puretzky他、Physical Review Letters、1999、83、444−447)によれば、一部の分析物イオンがプルームの中心軸を占める一方、マトリクスまたは他の粒子の大部分が径方向で急速に広がることが指摘されている。真空チェンバへの入口錘状体の開口部の直前の気体抵抗力は強力であり、開口部を通してイオンと中性粒子の両方を効率的に引き込むであろう。これら2つの領域(開口部の上流と下流)を隔てる開口部にわたる差圧は十分に高いため、開口部を規定する壁との衝突による損失があまり顕著にならないように、衝突間の平均自由行程は開口部の4mmのオリフィス直径よりもはるかに小さい。その後のガス膨張により、真空チェンバ内に分析物イオンおよび中性混入物質の両方を十分奥(例えば、数センチメートル)までほぼ音速で注入する。サンプルプレートを錘状体開口部の近くに置くことで、イオンの効率的な伝達が確保されるが、分析物イオンとともに中性混入物質が質量分析計内に入ることを許容してしまうという欠点がある。目的物質を気体抵抗領域の直接影響下の外に置くことができ、電場を用いてイオン気体流に向けさせることができるので、このようにすればイオンと中性粒子との間を区別する機会を提供できる。
【0017】
光学および分析計の混入は、高サンプル負荷を実施することを目的とする機器の場合、特に懸念される。出願人の教示によれば、イオンを中性粒子と区別する機会を手に入れることは可能である。中性混入物質に対するイオンの選択伝達は、粘性気体抵抗力の利点を取り込みつつ、イオン源と(Q0光学領域としばしば呼ばれる)真空チェンバとの間の差圧と集束電場とから達成され得るのかを調べるために実験が計画された。種々の実施形態において、急速に広がるマトリクスプルームの中性構成要素のかなりの部分が、気体抵抗領域の影響外に置かれれば、真空系統で排気できる。こういった検討の重要な点は、気体抵抗領域内全体に及ぶ分析物イオンの伝達効率の高さと、イオンと中性粒子との区別をある程度維持しつつ集束させる電場での伝達効率の低さとの間に合理的な平衡点を見出すことである。イオンと中性粒子との間の区別を達成できることを調べるために実験が行われた。気体抵抗力が主に作用する気体抵抗領域の内外にアブレーションプルームを移動させるために、目的物質を錘状体開口部からさまざまな距離に置いて3つの実験が行われた。絶対信号強度がイオン伝達の効率の測度として用いられた。中性粒子の区別の程度の測定には、多数のサンプルでレーザアブレーションをすることと、目視検査およびイオン光学素子の荷電による信号強度喪失の測定の両方で、真空チェンバ内に置かれたレンズ上の中性物質を追跡することを含めるものとした。この荷電の影響によって、時間の経過とともにイオン光学素子上の絶縁層のビルドアップによる電位の歪みを生じることがあり得る。サンプルプレート上の1つの位置から物質の一部にレーザアブレーションすることを「1サンプル」と規定し、絶対信号強度が始動条件の50%未満まで低下するまでサンプルを連続的にアブレードした。実験は、標準CHCAマトリクスを用いて、2つの異なる薬剤種に対して繰り返された。
【0018】
第1の実験では、質量分析計の中心線に対して25度の入射角でサンプルプレートに当たるレーザパルスを用い、入口開口部直径を4mmとし、サンプルプレートと入口開口部との間の間隔を2mmとした。このとき、全プルームは気体抵抗領域内になり、高効率のイオン伝達を示した。その一方で、本構成は、混入の影響を最も受けやすく、入口開口部と真空チェンバのQ0領域の四極子棒の周囲には堆積物があるのがはっきりとわかり、30,000サンプルしかアブレーションしていないのにQ0領域の出口開口部の周囲はひどく混入され、50%の信号低下が観察された。この混入の証拠は図4で示される。実質的に気体流が支配的である条件からわかってはいたが、イオンを開口部に向ける電位は必要でなかった。第2の実験では、質量分析計の第1イオン光学軸の中心線に対して62度の入射角でサンプルプレートに当たるレーザパルスを用い、入口開口直径を4mmとし、サンプルプレートと入口開口部との間の間隔を4mmとした。2mm間隔にした実験で達成された絶対信号強度の70%が得られることがわかっている。この構成は先の構成とは対照的に混入に影響されにくく、平均で約40,000サンプルのアブレーションの後に初期信号の50%の減少を示した。イオンを錘状体開口部に向けて移動させるために、サンプルプレートと錘状体との間で5から30Vの電位差が確立されたが、いかなる質量依存性も示さず、電位差を一定の電位に保つことができた。アブレーションプルームの一部は、混入物質の一部を排気できる気体抵抗領域外であった。これは、レーザ入射角がプルームの軌道に同様に影響を与えることがあり、このためイオン源と入口開口部との間の距離に加えて考慮事項になり得ることを示唆する。第3の実験では、質量分析計の第1イオン光学軸の中心線に対して80度の入射角でサンプルプレートに当たるレーザパルスと、20度の角度で傾斜するサンプルプレートとを用い、入口開口部直径を4mmとし、サンプルプレートと入口開口部との間の間隔を16mmとした。光学素子の混入は他の実験と比較して際立って減少した。200,000を超えるサンプルアブレーションをしてはじめて50%の信号低下が記録された。サンプルプレートと錘状体との間のドリフト電位は、4mm間隔を用いた実験よりも高い電圧の50から150Vを用いた。この実験からは、中性粒子とイオンとの間の区別を行う機能に優れていることがわかり、イオンはほとんど損失なくドリフト領域を通って移動し、イオン源での脱離から錘状体開口部への移動まで広がることがわかった。中性粒子は、開口部に近い気体抵抗領域の強力な真空引き込みに達する前に排気された。
【0019】
図2を参照すると、出願人の教示による種々の実施形態において、質量分析システムは、サンプルプレート34を有するイオン源30と、イオン源30により生成されるイオンを受ける質量分析計40とを備える。種々の実施形態において、イオン源の圧力は、約100mトルから約2トルの間の範囲を取ることが可能であり、約1トルも可能である。イオン源はイオン源開口部58を備える。サンプルプレート34は、分析物を含むサンプル36を含むことができる。種々の態様において、サンプル36は、限定ではないが、MALDIマトリクスを含むことが可能である。当該技術で公知のとおり、マトリックス物質は、限定ではないが、a−シアノ−4−ヒドロキシ−桂皮酸(CHCA)、2,5−ジヒドロキシ安息香酸(DHB)、シナビン酸(SA)、3−ヒドロキシピコリン酸、ニコチン酸−N−酸化物、2,6−ジヒドロキシアセトフェノン、およびフェルラ酸が可能である。サンプルプレート34の法線を、質量分析計40のイオン経路の中心線に対応する第1イオン光学軸38に対して約0から約45度の角度に置くことが可能であり、図2では、サンプルプレートの法線が第1イオン光学軸38に対して約20度の角度で傾斜される。質量分析計40の入口領域46は、開口部54aを有する錘状体54を備えることができる。レーザ42は、質量分析計40の第1イオン光学軸38の中心線に対して約0から約80度の入射角でサンプルプレート34上のサンプル36の少なくとも一部に当たるレーザパルスを生成する。種々の実施形態では、レーザ42は高反復レーザとすることができ、約500ヘルツから最大約1500ヘルツのパルスレートを有することが可能である。種々の態様において、サンプル36の少なくとも一部を、一秒未満の高反復レーザのレーザパルスによって減少させることができる。プルーム24は、分析物イオンとマトリクス物質などの中性混入物質とを含むものであり、入射レーザパルスの軌道に従い生成することができる。種々の実施形態において、真空チェンバ48の気体圧力は約3mトルから約50mトルの間になり得る。種々の実施形態において、真空チェンバ48内の気体圧力は約8mトルになり得る。電場を生成し、目的の分析物イオンを第1イオン光学軸38に沿って質量分析計40の入口領域46内に向けることができる。電場の強さは次式によって規定できる:
E=V/d、 (式1)
ここで、Eは電場の強さを表し、Vは、錘状体54にかけられる電位に対して測定されたサンプルプレート34上にかけられる第1電位を表し、dは質量分析計40のサンプルプレート34と開口部54aとの間の距離を表す。
【0020】
前述のとおり、質量分析計の入口に向けてイオンを加速するのに利用可能な気体抵抗および電場力はそれぞれ、分析計システム内での粒子の動きに関して別個の特性をもつ。すなわち、気体抵抗は荷電および中性粒子の両方を動かすのに対して、電場は荷電粒子だけを動かす。気体抵抗力は、これらの実験でかけられる電位に対する電場力よりも、荷電粒子に対して大きな影響をもたらし得る。中性粒子は荷電していないため、電場力の影響を受けない。出願人の教示の種々の実施形態では、アブレーションプルームが入口領域から十分離れるようにし、これによって気体抵抗力が荷電および中性混入物質粒子を質量分析計内に実質的に引き込むことがないように、イオン源と入口開口部との間の間隔など、機器の幾何学的形状を構成することができる。プルームが気体抵抗領域と実質的に交差せず、このため気体抵抗領域で生成される気体抵抗力の影響を実質的に受けないよう十分な距離にしたところ、電場をかけると、プルーム中に存在しうる中性混入粒子から荷電分析物イオンを分離できる。電場は、気体抵抗力が分析物イオンを質量分析計内に引き込み、これによりシステムの混入を減らすことができるように、荷電分析物イオンだけを気体抵抗領域の近くに向けることができる。これら2つの力を合わせた効果を用いれば、イオンの高伝達効率を達成しつつ、イオンと中性粒子との区別を、ある程度維持するのに適切な機器の幾何学的形状を決めることができる。例えば、電場力の影響は、質量分析計40の入口領域46からサンプルプレートの距離と、錘状体54にかけられる電位に対してサンプルプレート34にかけられる電位とに依存する。かけられた電場を用いれば、質量分析計40の入口領域46にイオンを向けることができる。種々の実施形態において、電位は10Vから250Vまでが可能である。種々の実施形態において、サンプルプレート34は、質量分析計40の入口錘状体54aから少なくとも16mmに置くことができ、サンプルプレート34上の電位は60Vであり、3.75V/mm、すなわち3,750V/mとなる60V/16mmの電場強さをもたらすことができる。
【0021】
プルームに対する気体抵抗の影響は、機器の適切な幾何学的形状の決定でも考慮される。特定の理論に裏付けられているわけではないが、気体抵抗力に対して機器の幾何学的形状を決めるための定性的指針は、入口開口部を中心とする半球の表面積に対する開口部(例えば、28a、54a)の表面積から推定できると考えられる。開口部からの所定距離(半径「r」)において、気体を「引き入れる」効果は、入口開口部からさらに離れた気体速度減少によって近似できる。この減少は、所定距離rにおける半球の面積に対する入口開口部の面積の比率によって近似できる。半球の表面積は2πrによって求めることができる。
【0022】
入口開口部から距離r離れた位置において、相対気体速度減少は次のように求めることができる:
【0023】
【化1】

ここで、Dは入口開口部の直径であり、rは入口開口部からの距離である。
【0024】
rが開口部直径の一倍であれば、速度は、入口開口部を通して速度の1/8(D/D)すなわち1/8まで減少する。この距離における気体流の速度は(4mmの入口開口部直径と、サンプルプレートから入口開口部まで4mmの距離とをもつ従来技術システムの場合のように)実質的に減らず、入口開口部を通って速度の1/8までしか低下しないため、時間の経過とともに質量分析計に入る混入量は大きく、質量分析計の性能が低下する。
【0025】
rがの開口部直径の1.5倍であれば、r=1.5Dであり、気体速度は、入口開口部を通って、速度の1/8(D/1.5D)すなわち1/8×1/2.25=1/18まで低下し、rが開口部直径の一倍に等しい場合よりも改善される。
【0026】
同様に、rが開口部直径の2倍であれば、さらなる改善が達成できる。この場合、r=2Dであり、気体速度は、入口開口部を通って、速度の1/8(D/2D)すなわち1/8×1/4=1/32まで低下する。
【0027】
同じように、rが開口部直径の3倍であれば、r=3Dであり、気体速度はさらに低下する。すなわち、入口開口部を通って、速度の1/8(D/3D)すなわち1/8×1/9=1/72まで低下する。
【0028】
rが開口部直径の4倍であればさらなる改善が達成できるが、この場合、r=4Dであり、気体速度は、入口開口部を通って、速度の1/8(D/4D)すなわち1/8×1/16=1/128まで低下する。プルームの中心が気体抵抗領域と実質的に交差しない距離において、プルーム中に存在する中性混入粒子から荷電分析物イオンを分離するように電場を設けることができる。電場は、気体抵抗力が分析物イオンを質量分析計内に引き込みつつ、中性粒子が電場の影響を受けず、質量分析計内に入らないように、荷電分析物イオンを気体抵抗領域の近くに向けることができる。これによりシステムの混入を減らすことができる。
【0029】
当業者であれば分かることだが、前記分析は、機器の幾何学的形状を設定する際に、アブレーションプルームから質量分析計に入る中性粒子の影響をどのようにして最小化するかを決めるための定性的方法を表す。プルームが気体抵抗領域の外側で実質的に留まるのに必要な幾何学的形状についてさらに厳密に分析するには、レーザパルスの入射角と、イオン源気体の圧力と、入口開口部の直径とを含む他のパラメータを考慮にする。
【0030】
次式において、∝は比例関係を表す。
【0031】
イオン源から入口開口部に流れる気体の速度VGASは、上で論じたとおり、入口開口部の先端からの径方向距離rの二乗とともに低下し、以下のとおり求めることができる:
【0032】
【化2】

ここで、
【0033】
【化3】

は入口開口部へのイオン源ガスの質量流であり、rは入口開口部からの距離である。
【0034】
質量流は次式から求めることができる:
【0035】
【化4】

ここで、
【0036】
【化5】

はオリフィスに入るイオン源気体の質量流であり、Mはイオン源気体の分子量であり、Tはイオン源気体の温度であり、pはイオン源気体の圧力であり、Dは入口開口部の直径である。
【0037】
式4を式3に置き換えることで、次式が与えられる:
【0038】
【化6】

レーザアブレーションプルーム内に含まれる中性混入物質は、ある速度VPLUMEで、気体流優勢領域の、所定半径距離r=R(図9参照)外で動き、気体流の速度VGASが非常に遅いため、中性粒子は気体流場に引き込まれることもなく、引っぱられて入口開口部を通ることもない。よって、システムの混入が減少する。VPLUMEとVGASとの間の関係は以下のように記述できる:
AVPLUME>VGAS (式6)
ここで、Aは1の近似値と比例する定数である。
【0039】
式5を式6に置き換えることで、次式が与えられる:
【0040】
【化7】

これは式2に類似しており、p、TおよびMは定数である。
【0041】
定数A、M、T、およびVPLUMEを定数Bにまとめ、距離r=Rに対して解くことで式7を変形すると、気体流優勢領域の半径を求める、以下の数学的関係式が得られる:
【0042】
【化8】

図9に示すように、プルームが実質的に気体抵抗領域の外に留まるのに必要な幾何学的形状を、以下の式から求めることができる:
【0043】
【化9】

ここで、θは機器のイオン経路の中心線とプルームとの間の角度であり、Rは気体流優勢領域の所定半径であり、Lはサンプルプレートと入口開口部との間の距離である。
【0044】
式8を式9に置き換えることで、次式が与えられる:
【0045】
【化10】

ここで、定数Bは中性粒子によるシステムの混入の測度であり、Bが大きいことはサンプル毎の混入が少ないことを示す。
【0046】
例えば、商業的に利用可能なQSTAR(登録商標)システム(Applied Biosystems/MDS Sciex)では、p=1トル、D=4mm、L=4mm、およびθ=62度である。QSTARシステムよりも良好に混入を減らすことのできるシステムを構成するには、Bは1トル−1/2または1になるように選ばれ、これにより次式が与えられる:
【0047】
【化11】

ここで、pがトルで表されれば、同式は無単位とみなすことができる。
【0048】
したがって、角度θを大きくするか、またはサンプルプレートと入口開口部との間の距離Lを大きくする、もしくは入口開口部の直径Dを小さくするか、またはイオン源圧力pを小さくすることで、従来技術と比較して混入を減らすことができる。
【0049】
イオン源圧力を下げることは、式10で与えられる関係式が非線形(平方根)であるため、効率的または実際的な設計の検討ではない。例えば、サンプルプレートと入口開口部との間の距離を4mmから16mmまで大きくするのと同じ効果を得るには、イオン源圧力を16分の1に(種々の実施形態において、60mトルまで)小さくする必要があるが、これは通常の作業領域を大きくはずれている。入口開口部の直径を変えることは、機器の設計に対して、他の有害な影響をもたらす。例えば、直径を大きくすると、真空圧力を所望レベルに維持するための圧送負荷が増加し、これにより大型の、費用のかかるポンプの利用が必要となる。一方、直径を小さくすると、イオン伝達効率に影響を及ぼし、ひいては感度に影響する。したがって、実際的な検討では、角度θまたはサンプルプレートと入口開口部との間の距離のいずれかの調整を行うことが好まれる傾向がある。
【0050】
例えば、入口開口部直径Dが4mmであれば、pは1トルで、Bは1トル−1/2であり、機器のイオン経路の中心線とプルームとの間の角度である角度θは0から80度が可能であり、サンプルプレートと入口開口部との間の距離Lは、表1で示されるように計算され、システムに入る混入を減少させることができる
表1(注:入口開口部直径Dが4mm、pが1トル、およびBが1トル−1/2の例について、以下の値が計算された。)
【0051】
【化12】

マトリクスが用いられる場合、プルーム44中には中性粒子もマトリクス分子も存在し得る。プルーム44が入射レーザビーム42に向けた方向で移動する傾向があることは公知である(Rapid Communications in Mass Spectrometry、1995、9、515−518;International Journal of Mass Spectrometry、1998、177、111−118;Rapid Communications in Mass Spectrometry、1999、13、792−797)。上で示すとおり、出願人の教示の種々の実施形態の幾何学的形状により、プルーム44と気体抵抗領域56とを十分に離すことができるため、質量分析計に入る混入物質を実質的に減らすことができる。この方式で、プルーム44中に存在し得て、システムの混入になりやすい中性粒子およびマトリクス分子は、実質的に電場の影響を受けず、質量分析計40の第1イオン光学軸38の中心線に対して約0から約80度の入射角にあるレーザビーム42に向かい、且つ質量分析計40の入口領域46から離れる軌道に従う。
【0052】
図2で示されるとおり、電極50は、サンプルプレート34と質量分析計40の入口領域46との間に置くことができ、錘状体54にかかる電位に対して第2の電位が電極50にかけられ、分析物イオンを、レーザビーム42から離し、第2イオン光学軸52に沿って質量分析計40の入口領域46内に向けることができる。電極は、電位の与えられる導電要素とすることが可能であり、限定ではないが、板、環体、ロッドまたは管があり得る。電極50は、分析物イオンを質量分析計40の入口領域46内に向けるため、当該技術分野で公知のとおり、サンプルプレート34と質量分析計40の入口領域46との間に、種々の方法と位置で置くことができる。種々の実施形態において、錘状体54の電位とプレート34の電位との間の第2の電位はドリフト可能である。種々の実施形態において、第2電位は20から250Vまでが可能であり、種々の態様において、電極50は、サンプルプレート34と同じ電位が可能である。第2電位については、サンプルプレートとの間の電位と関連付けてかけるか、または第1電位から独立してかけることが可能である。電極50と錘状体54との間の第2電位が分析物イオンを質量分析計40の入口領域46に向けることができなくても、サンプルプレートと錘状体との間に同様に電位を独立してかけることが可能である。
【0053】
図3を参照すると、出願人の教示による種々の実施形態において、質量分析システムは、分析物を含むサンプル66を含むことのできるサンプルプレート64を有するイオン源60と、イオン源60により生成されるイオンを受ける質量分析計70とを備える。イオン源は開口部62を備え、種々の実施形態において、イオン源の圧力は、約100mトルから約2トルの間の範囲を取ることが可能であり、約1トルも可能である。種々の実施形態において、サンプルプレート64は、典型的には、第1イオン光学軸に対して0度の傾斜角をなすように、質量分析計70の第1イオン光学軸68に対して実質的に直交する。質量分析計70は、開口部84aを有する錘状体84と真空チェンバ78とを備えることができる。イオン源60と真空チェンバ78との間の差圧によって気体流が生成され、これにより質量分析計70の入口領域76を通して気体抵抗力を誘起できる。レーザ72は、サンプルプレート64上のサンプル66の少なくとも一部に当たるレーザパルスを生成する。分析物イオンを含むレーザアブレーションプルーム74を生成することができる。これにより、入口領域76の近辺で気体抵抗領域86では、分析物イオン、中性粒子、マトリクス分子(中性または荷電のいずれか)を取り込み、これらを質量分析計70の真空チェンバ78に開口部84aを通して引き込むことができる。出願人の教示の種々の実施形態では、レーザアブレーションプルームが気体抵抗領域から十分離れるようにし、これによって気体抵抗力が荷電および中性混入物質粒子を質量分析計内に実質的に引き込むことがないように、イオン源と入口開口部との間の間隔など、機器の幾何学的形状を構成することができる。プルームが気体抵抗領域と実質的に交差せず、このためプルームが気体抵抗領域で生成される気体抵抗力の影響を実質的に受けないよう、十分な距離にしたところで電場をかけると、目的の分析物イオンが第1イオン光学軸68に沿って質量分析計70の入口領域76に向き、これによってプルーム中に存在しうる中性混入粒子から荷電分析物イオンを分離することができる。対照的に、中性混入物質粒子は電場の影響を受けないこととなる。
【0054】
図4は、約30,000サンプルが従来技術のシステムで分析された後に従来技術の質量分析計内の(図3で示されるレンズ82といった)レンズ上に蓄積し得る深刻な混入80の写真を示す。レンズが典型的にはわずか1.5mmの開口部しか有しないため、レンズ上に混入物質が小さく堆積物しても質量分析計を通るイオンの流量を大幅に減少させることがあり得るため、図4で見られる混入は深刻であると考えられる。写真の真ん中にある黒い円は、レンズ開口部と、システムに入った混入物質が開口部の周囲に蓄積したもの(符号80で示される)である。なお、レンズ開口部の周りで対照的に配置される4つの黒いリングは、質量分析計のQ0領域の四極子棒の端部を示す。
【0055】
図7は、質量分析計170の入口領域176の近辺にある分析物イオン188、中性粒子およびマトリクス分子187を取り込むことができ、錘状体184を通して質量分析計170内に引き込むことのできる従来技術の質量分析計の入口領域186を示す。図8は、出願人の教示の種々の実施形態により、気体抵抗領域156がプルーム144から分離できる様子を示す。さらに、式1および2で与えられるパラメータが図8で示される。分析物イオン145は、質量分析計140内に引き込むことができ、中性粒子143は、レーザビーム142の方向でプルーム144に沿わせることができる。
【0056】
図5は、化合物ハロペリドールを用いて処理されたサンプルの数に対して、従来技術のイオン源と出願人のイオン源との感度を比較する例を示す。相対的なシグナルは、サンプル数が1に等しい清浄なシステムから得られた信号に対して正規化された信号を示す。図5で見られるとおり、分析されたサンプル数が増えると、従来技術システムでは感度が下がり、分析サンプルが約30,000を超えると感度が大幅に下がる。出願人の教示により構成されるシステムでは、180,000サンプルが分析された後でも、感度はほぼ一定であった。
【0057】
さらなる例において、出願人の教示により構成されるシステムに対するものと同じ設定の下でサンプルが分析された。以下のパラメータが用いられた。真空チェンバ内の圧力は8mトルであり、レーザ繰返し率は1kHzであり、パルスエネルギーは2.5〜3.5μJであり、錘状体上の電圧は0ボルトであり、サンプルプレート上の電圧は60Vであった。分析された化合物はプラゾシンであった。図6は、サンプルプレートにかけられる第1電位が60Vである場合に図2で示される電極50のような電極にかけられる第2電位に対するプラゾシンの分析の感度を示す。感度は、電極電位がアースされている状態で得られる感度に正規化される。感度は、この場合、サンプルプレート上の電位が3.75V/mmすなわち3,750V/mである電場の強さ60V/16mmをもたらす60Vという電極上の電位とほぼ同じになるまで上昇する。
【0058】
以下に、特定の実施形態に限定されるものではないが、いずれかの実施形態に適用できる、出願人の教示の一般的な利用について記述する。操作において、高繰り返し率固体レーザが可能であるものの限定ではないレーザが、傾斜したサンプルプレート上に分析物を含むサンプルの一部に当たる。分析物イオンを含むプルームが生成でき、入射レーザビームの方向かって、質量分析計の入口領域から離れるように動く。分析物イオンは、典型的には、当該技術分野で公知のとおり、高圧MALDI用途で約0.2トルから約2トルの圧力で生成される。プルーム中に存在し得る中性およびマトリクス粒子が、質量分析計の入口領域に入り込み、システムの性能に影響を及ぼし得る場所、一般にはイオン軌道近くに堆積するとシステムに混入する可能性がある。出願人の教示では、イオンも、あるのであれば中性およびマトリクス粒子も、入射レーザビームに向かい質量分析計の入口領域から離れる初期の軌道に沿う。これにより、中性粒子および混入物質は、イオン軌道に影響を与えない場所で堆積することが可能になり、これにより、多数のサンプルを処理したあとのシステムの信号品位を劇的に改善することができる。その一方で、イオンの初期の軌道が質量分析計の入口領域から同様に離れるため、本システムの感度は低くなる。そこで、第1電位をかける電場を生成させれば、分析物イオンを質量分析計の入口領域に向けることができる。第2電位は、独立か、または第1電位と関連するかのいずれかでかけられ、気体抵抗力によって分析物イオンを質量分析計の入口開口部に引き込むことのできる気体抵抗領域の近くに分析物イオンを向けることができる。
【0059】
出願人の教示は、種々の実施形態と関連させて記述されるが、出願人の教示がこのような実施形態に限定されることは意図されない。逆に、当業者には当然のことであるが、出願人の教示は、種々の代替例、変更例、および等価例を包含するものである。
【0060】
種々の実施形態において、サンプルプレートと入口開口部との間の距離は5ミリメートル以上が可能である。種々の実施形態において、サンプルプレートと入口開口部との間の距離は6ミリメートル以上が可能である。種々の実施形態において、サンプルプレートと入口開口部との間の距離は10ミリメートル以上が可能である。種々の実施形態において、サンプルプレートと入口開口部との間の距離は5から20ミリメートルの間が可能である。種々の実施形態において、サンプルプレートと入口開口部との間の距離は12から20ミリメートルの間が可能である。種々の実施形態において、サンプルプレートと入口開口部との間の距離は16ミリメートルが可能である。
【0061】
種々の態様において、高反復レーザの利用により、データを速やかに取得することが可能になり、サンプルプレート上の各サンプル点に対して約1秒以下の速度が達成できる。高反復レーザを用いて、数秒間でサンプル毎に数千回のレーザショットを得ることができ、これにより、全体の精度を改善し、サンプルの高スループットスクリーニングを得ることができる。典型的には、このような高スループットシステムにおいて、サンプルを素早く分析することができるが、混入物質の蓄積が短時間で起こり得る。例えば、従来技術システムで約30,000サンプルの分析後に、システムの洗浄が必要になるほど性能が目立って低下し得る。システムの洗浄が必要とされる際に真空を破る必要があるが、これは、システムにとって大きな作業休止時間になり得る。出願人の教示により、システム洗浄の頻度を減らすことができ、そのため作業休止時間を減らすことができるが、このことは高スループット用途にとって特に重要である。
【0062】
種々の実施形態において、サンプルはMALDIマトリクスを含むことができるが、特に、質量範囲がマトリクス干渉によって制限されるサンプルでは、マトリクスなしのサンプルも同様に利用できる。マトリクスなしの技術の例として、シリコン上脱離/イオン化(DIOS:desorption/ionization on silicon)があるが、ここで、分析物イオンは、レーザ脱離され、イオン化される多孔性シリコン面内でトラップされる(Nature、1999、399、243−246)。マトリクス干渉がないことで、300m/z未満の小さな分子の分析が可能になる。マトリクスなしのサンプルを用いることができるが、中性粒子および他の混入物質が存在し得るため、堆積物を形成し、これがシステムに混入する可能性がある。
【0063】
図で示されるサンプルプレートは典型的なプレートを示しているが、出願人の教示はこのような構成に限定されない。当該技術分野で公知の、他の構成のサンプルプレートを用いることができる。例えば、サンプルプレートは、当該技術分野で公知のとおり、位相幾何学的特性を含むことができる。サンプルプレートは、曲がったディスク形状が可能であるか、またはテープのような他の材料を含むことが可能である。
【0064】
種々の実施形態において、電極は、電位を与えられる導電要素が可能である。電極は、限定ではないが、板、環体、ロッドまたは管があり得る。
【0065】
種々の実施形態において、質量分析計は、限定されるものではないが、単一MS、タンデム(MS/MS)または多次元(MS)質量分析を利用可能な質量分析機器が可能である。質量分析器は、限定されるものではないが、三重四極子、イオントラップ、ハイブリッド線形イオントラップ、飛行時間、四極子飛行時間、RF多極子、磁気セクタ、静電セクタ、およびイオン移動度分光計が可能である。質量分析計は、限定されるものではないが、マスフィルタ、質量セレクタ、イオン集束および/またはイオンステアリング要素、例えば、イオンガイドが可能である。質量分析計は、限定されるものではないが、イオン反射体および/またはイオンフラグメンタ、例えば、衝突セル、光分解セル、および表面分解フラグメンタも可能である。
【0066】
限定されるものではないが、特許、特許出願、記事、書籍、論文、およびウェブページといった文献および同様の資料の様式にかかわらず、これらを含む、本出願で引用されたすべての文献および同様の資料は、そのすべてが引用によって明示的に組み込まれる。限定されるものではないが、定義された語句、語句の利用、記述された技術、あるいはその他を含む、組み込まれた文献および同様の資料のうちの1つ以上が本出願と異なるか、矛盾するような場合、本出願が優先される。
【0067】
出願人の教示が、特定の例示実施形態を参照しながら特に示され、記述されてきたが、教示の精神および範囲から離れることなく、形態および詳細について種々の変更が行われる場合もあるという点を理解するべきである。したがって、教示の範囲および精神の範囲内にあるすべての実施形態およびそれと等価なものが請求される。出願人の教示の方法についての記述および図面は、その効果に述べられていない限りにおいて、要素の記述された順番に限定されるものとして読まれるべきではない。
【0068】
出願人の教示は種々の実施形態および例と関連させて記述されたが、出願人の教示がこのような実施形態および例に限定されることは意図されない。逆に、当業者であれば分かることだが、出願人の教示は、種々の代替例、変更例、および等価例を含み、これらの変更例または変形例はすべて本発明の領域および範囲内にあるものと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】出願人の教示の種々実施形態によるイオン源を概略的に示す。
【図2】出願人の教示の種々実施形態による傾斜サンプルプレートのある質量分析計システムを概略的に示す。
【図3】出願人の教示の種々実施形態による質量分析計システムを概略的に示す。
【図4】およそ30,000サンプルが分析された後に、MALDI源を有する従来技術の質量分析計の真空領域内に置かれたレンズ上の典型的な混入様式を示す。
【図5】分析されたサンプル物質の量に対して従来技術のイオン源と出願人のイオン源との感度を比較する。
【図6】出願人の教示により、入口錘状体に対するサンプルプレート上の電位が60Vである場合、質量分析計の電極と入口錘状体との間の電位に対する機器の感度の測定結果を示す。
【図7】プルーム中のイオンおよび中性分子に対する気体抵抗領域の影響を示す、従来技術の質量分析計システムを概略的に示す。
【図8】プルームからの気体抵抗領域の分離を示す、出願人の教示の種々実施形態による質量分析計システムを概略的に示す。
【図9】混入を最小化するように変動可能なパラメータを示す、出願人の教示の種々実施形態による質量分析計システムを概略的に示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1圧力にあって、質量分析計による分析のためにレーザ脱離/イオン化によってイオンを生成するイオン源であり、該質量分析計が入口領域開口部と、該イオン源の該第1圧力よりも低い第2圧力にある真空チェンバとを有し、該イオン源は、
サンプルプレート上に堆積させたサンプルを支持するための該サンプルプレートと、
入射角が該質量分析計の第1イオン光学軸の中心線に対して約0から80度であって、該サンプルプレート上の該サンプルの少なくとも一部に当たるレーザパルスを生成するように構成され、分析物イオンと中性分子とを含むプルームを生成するように適合される、レーザと、
該イオン源領域と該質量分析計との間における圧力差で生じるガス流により該入口領域開口部に引き込まれる中性分子を減らすように構成される、該レーザパルスの該入射角と、該サンプルプレートと該入口領域開口部との間の距離との組み合わせと、
を備えるイオン源。
【請求項2】
前記レーザパルスが前記質量分析計の前記第1イオン光学軸に対して約20度よりも大きな角度で前記サンプルプレートに当たる、請求項1に記載のイオン源。
【請求項3】
前記サンプルプレートの法線が前記質量分析計の前記第1イオン光学軸に対して約0から約45度の位置にある、請求項1に記載のイオン源。
【請求項4】
前記サンプルプレートの法線が前記質量分析計の前記第1イオン光学軸に対して約20から約45度の角度で傾斜する、請求項1に記載のイオン源。
【請求項5】
前記サンプルプレートが前記質量分析計の前記入口領域開口部から約5mm以上の位置にある、請求項1、2、3、または4のうちいずれか1つの項に記載のイオン源。
【請求項6】
前記サンプルプレートが前記質量分析計の前記入口領域開口部から約16mmの位置にある、請求項1、2、3、または4のうちいずれか1つの項に記載のイオン源。
【請求項7】
前記サンプルプレートが前記質量分析計の前記入口領域開口部から5から20mmの間の位置にある、請求項1、2、3、または4のうちいずれか1つの項に記載のイオン源。
【請求項8】
前記サンプルプレートが前記質量分析計の前記入口領域開口部から12から20mmの間の位置にある、請求項1、2、3、または4のうちいずれか1つの項に記載のイオン源。
【請求項9】
前記プルームが前記サンプルプレートから離れると、該プルームの中心が前記入口領域から実質的に離れる方に向く、請求項1に記載のイオン源。
【請求項10】
前記質量分析計の前記入口領域に分析物イオンを引き込むように電場がかけられる、請求項1に記載のイオン源。
【請求項11】
前記質量分析計の前記真空チェンバのガス圧力が約3mトルから約50mトルである、請求項1に記載のイオン源。
【請求項12】
前記質量分析計の前記真空チェンバのガス圧力が約8mトルである、請求項1に記載のイオン源。
【請求項13】
前記レーザが高反復レーザである、請求項1に記載のイオン源。
【請求項14】
前記レーザのパルスレートが200Hzから5000Hzの間である、請求項13に記載のイオン源。
【請求項15】
前記サンプルがMALDIマトリクスを含む、請求項1に記載のイオン源。
【請求項16】
前記質量分析計が、三重四極子、イオントラップ、ハイブリッド線形イオントラップ、四極子飛行時間、RF多極子、磁気セクタ、静電セクタ、イオン移動度分光計、およびイオン反射体のうち少なくとも1つを備える、請求項1に記載のイオン源。
【請求項17】
質量分析計による分析のためにサンプルのレーザ脱離/イオン化によって分析物イオンを生成するためのシステムであり、該質量分析計が、真空チェンバ内に分析物イオンを受け入れるための入口領域開口部を有し、該システムは、
サンプルプレート上に堆積させたサンプルを支持するためのサンプルプレートを有し、第1圧力にあり、分析物イオンを生成するためのイオン源であり、該分析物イオンが、該イオン源の該第1圧力よりも低い第2圧力にある真空チェンバ内に受容される、イオン源と、
入射角が該質量分析計の第1イオン光学軸の中心線に対して約0から約80度であって、該サンプルプレート上の該サンプルの少なくとも一部に当たるレーザパルスを生成するように構成されたレーザであって、分析物イオンと中性分子とを含むプルームを生成するように適合されるレーザと、
該イオン源領域と該質量分析計との間における圧力差で生じるガス流により該入口領域開口部に引き込まれる中性分子を減らすように構成される、該レーザパルスの該入射角と、該サンプルプレートと該入口領域開口部との間の距離との組み合わせと、
を備えるシステム。
【請求項18】
前記レーザパルスが前記質量分析計の前記第1イオン光学軸に対して約20度よりも大きな角度で前記サンプルプレートに当たる、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記サンプルプレートの法線が前記質量分析計の前記第1イオン光学軸に対して約0から約45度の位置にある、請求項17に記載のシステム。
【請求項20】
前記サンプルプレートの法線が前記質量分析計の前記第1イオン光学軸に対して約20から約45度の角度で傾斜する、請求項17に記載のシステム。
【請求項21】
前記サンプルプレートが前記質量分析計の前記入口領域から約5mm以上の位置にある、請求項17、18、19、または20のうちのいずれか1つの項に記載のシステム。
【請求項22】
前記サンプルプレートが前記質量分析計の前記入口領域開口部から約16mmの位置にある、請求項17、18、19、または20のうちのいずれか1つの項に記載のシステム。
【請求項23】
前記サンプルプレートが前記質量分析計の前記入口領域開口部から5から20mmの間の位置にある、請求項17、18、19、または20のうちのいずれか1つの項に記載のシステム。
【請求項24】
前記サンプルプレートが前記質量分析計の前記入口領域開口部から12から20mmの間の位置にある、請求項17、18、19、または20のうちのいずれか1つの項に記載のシステム。
【請求項25】
前記プルームが前記サンプルプレートから離れると、該プルームの中心が前記入口領域から実質的に離れる方に向く、請求項17に記載のシステム。
【請求項26】
前記質量分析計の前記入口領域に分析物イオンを引き込むように電場がかけられる、請求項17に記載のシステム。
【請求項27】
前記質量分析計の前記真空チェンバのガス圧力が約3mトルから約50mトルである、請求項17に記載のシステム。
【請求項28】
前記質量分析計の前記真空チェンバのガス圧力が約8mトルである、請求項17に記載のシステム。
【請求項29】
前記レーザが高反復レーザである、請求項17に記載のシステム。
【請求項30】
前記レーザのパルスレートが200Hzから5000Hzの間にある、請求項29に記載のシステム。
【請求項31】
前記サンプルがMALDIマトリクスを含む、請求項17に記載のシステム。
【請求項32】
前記質量分析計が、三重四極子、イオントラップ、ハイブリッド線形イオントラップ、四極子飛行時間、RF多極子、磁気セクタ、静電セクタ、イオン移動度分光計、およびイオン反射体のうち少なくとも1つを備える、請求項17に記載のシステム。
【請求項33】
質量分析計による分析のためにサンプルのレーザ脱離/イオン化によって分析物イオンを生成するための方法であり、該質量分析計が入口領域開口部と真空チェンバとを有し、該方法が、
サンプルプレート上に堆積させたサンプルを支持するための該サンプルプレートを有するイオン源を第1圧力にて提供する工程と
該サンプルプレート上の該サンプルの少なくとも一部に当たるレーザパルスを生成するように適合され、分析物イオンと中性分子とを含むプルームを生成するレーザを提供する工程と、
該分析物イオンの少なくとも一部を受け入れるために該イオン源の該第1圧力よりも低い第2圧力にある真空チェンバへの入口領域開口部を有する質量分析計を提供する工程であり、該レーザパルスの入射角と、該サンプルプレートと該入口領域開口部との間の距離の組み合わせが、該イオン源領域と該質量分析計との間における圧力差で生じるガス流により該入口領域開口部に引き込まれる中性分子を減らすように構成される、工程と、
を含む方法。
【請求項34】
前記レーザは、入射角が前記質量分析計の第1イオン光学軸の中心線に対して約0から約80度であって、前記サンプルプレート上の前記サンプルの少なくとも一部に当たるレーザパルスを生成するように構成される、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記レーザパルスが、前記質量分析計の第1光学軸に対して約20度よりも大きな角度で前記サンプルプレートに当たる、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記サンプルプレートの法線が前記質量分析計の第1イオン光学軸に対して約0から約45度の位置にある、請求項33に記載の方法。
【請求項37】
前記サンプルプレートの法線が前記質量分析計の第1イオン光学軸に対して約20から約45度の角度で傾斜する、請求項33に記載の方法。
【請求項38】
前記サンプルプレートが前記質量分析計の前記入口領域開口部から約5mm以上の位置にある、請求項33、34、35、36、または37のうちのいずれか1つの項に記載の方法。
【請求項39】
前記サンプルプレートが前記質量分析計の前記入口領域開口部から約16mmの位置にある、請求項33、34、35、36、または37のうちのいずれか1つの項に記載の方法。
【請求項40】
前記サンプルプレートが前記質量分析計の前記入口領域開口部から5から20mmの間の位置にある、請求項33、34、35、36、または37のうちのいずれか1つの項に記載の方法。
【請求項41】
前記サンプルプレートが前記質量分析計の前記入口領域開口部から12から20mmの間の位置にある、請求項33、34、35、36、または37のうちのいずれか1つの項に記載の方法。
【請求項42】
前記プルームが前記サンプルプレートから離れると、該プルームの中心が前記入口領域から実質的に離れる方に向く、請求項33に記載の方法。
【請求項43】
前記質量分析計の前記入口領域に分析物イオンを引き込むように電場がかけられる、請求項33に記載の方法。
【請求項44】
前記質量分析計の前記真空チェンバのガス圧力が約3mトルから約50mトルである、請求項33に記載の方法。
【請求項45】
前記質量分析計の前記真空チェンバのガス圧力が約8mトルである、請求項33に記載の方法。
【請求項46】
前記レーザが高反復レーザである、請求項33に記載の方法。
【請求項47】
前記レーザのパルスレートが200Hzから5000Hzの間にある、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記サンプルがMALDIマトリクスを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項49】
前記質量分析計が、三重四極子、イオントラップ、ハイブリッド線形イオントラップ、四極子飛行時間、RF多極子、磁気セクタ、静電セクタ、イオン移動度分光計、およびイオン反射体のうち少なくとも1つを備える、請求項33に記載の方法。
【請求項50】
サンプルからイオンを生成、分析するための質量分析計システムであり、
第1圧力にあり、サンプルプレート上に堆積させたサンプルを支持するための該サンプルプレートを有するイオン源と
該イオン源の該第1圧力よりも低い第2圧力にあり、所定直径の入口開口部を有し、該サンプルプレートと該入口開口部が所定距離離れている、質量分析計と、
該質量分析計の第1イオン光学軸の中心線に対して所定の入射角で該サンプルプレート上の該サンプルの少なくとも一部に当たるレーザパルスを生成するように構成され、分析物イオンと中性分子とを含むプルームを生成するように適合されるレーザと、
を備え、
該質量分析計システムが、以下の式
【数1】

により、該入口開口部に引き込まれる中性分子を減らすように構成され、ここで
θは所定入射角であり、pは該イオン源の圧力をトルで表したものであり、Dは該入口開口部の該所定直径であり、Lは該サンプルプレートと該入口開口部との間の該所定距離である、システム。
【請求項51】
前記サンプルプレートと前記入口開口部との間の前記所定距離が16mmであり、前記質量分析計の前記第1イオン光学軸の前記中心線に対する前記所定入射角が約0から約80度である、請求項50に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2010−509748(P2010−509748A)
【公表日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−551982(P2009−551982)
【出願日】平成19年3月2日(2007.3.2)
【国際出願番号】PCT/US2007/063134
【国際公開番号】WO2008/105880
【国際公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【出願人】(509130413)アプライド バイオシステムズ, エルエルシー (48)
【出願人】(506183133)エムディーエス インコーポレーテッド (7)
【Fターム(参考)】