質量分析器デバイス及び質量分析器の製造方法
結合されたシリコンオン絶縁物(BSOI)ウエハから、マイクロエンジニアリングされた質量分析器を製造する方法が、四極子分析器を参照して記載される。四極子幾何形状は、モノリシックブロック410を形成するようにともに結合される2つのBSOIウエハ200を使用して達成される。外側シリコン層に形成されたディープエッチングされた特徴及びばねは、円筒状金属電極ロッド300を位置付けるために使用される。アセンブリの精度は、リソグラフィとディープエッチングとの組み合わせにより、かつ結合されたシリコン層の機械的構成度合により決定される。内側シリコン層に形成されディープエッチングされた特徴は、イオン入口及びイオン収集光学部品を画定するために使用される。また、流体チャネルなどの他の特徴を組み込むことができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、質量分析器デバイス及び質量分析器の製造方法に関し、より詳細には、モノリシックマイクロエンジニアリング(monolithic micro−engineered)された質量分析器デバイス及び質量分析器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
質量分析器は、従来技術において良く知られており、サンプル測定に特に適用される。可搬型の測定システムとしての特定の適用を有する小型化されたデバイスを提供することも良く知られている。そのような質量分析器の使用は、生物学的及び化学的材料、薬剤、爆発物、及び汚染物の検出から、宇宙探索のための機器、残留ガス分析器、及びプロセス制御のための機器としての使用まで様々である。このような質量分析器は、3つの主要なサブシステムからなり、すなわち、イオンソースとイオンフィルタとイオンカウンタである。これらは、全て異なる原理に基づくものであるので、構成される様々な範囲のシステムが存在する。
【0003】
最も成功した変形の1つは、質量フィルタ(mass filter)として四極子静電レンズ(quadrupole electrostatic lens)を使用する四極子質量分析器(quadrupole mass spectrometer)である。従来の四極子レンズ(例えば、非特許文献1参照)は、4個の円筒状電極からなり、この4個の円筒状電極は、正確に平行に搭載され、かつそれら電極の直径に対して明確な比のそれら電極の中心間間隔を有している。
【0004】
イオンは、電極間に配置される瞳孔(pupil)内に注入され、かつ時間で変動する双曲線静電界の影響の下で電極に平行に進む。この電界は、直流(DC)及び交流(AC)成分の両方を含む。AC成分の周波数は固定され、かつAC電圧に対するDC電圧の比も固定される。そのような電界におけるイオンの動力学の研究から、質量に対する特定の電荷比のイオンだけが、ロッドの1つに対して放電することなく四極子を通過することが示されている。したがって、そのデバイスは質量フィルタとして作用する。この質量フィルタをうまく出るイオンを検出することができる。DC及びAC電圧がともに勾配を有するなら、検出される信号は、イオンフラックスに存在する異なる質量のスペクトルである。検出されることができる最大の質量は、印加されることができる最大電圧によって決定される。
【0005】
四極子フィルタの分解能(resolution)は、2つの主要な要因、すなわち、各イオンによって受けられる交流電圧のサイクル数、及び所望の電界が作られる精度によって決定される。そのため、各イオンは、十分に大きなサイクル数を受け、イオンは、小さな軸方向速度で注入され、かつ無線周波数(RF)AC成分が使用される。この無線周波数は、フィルタの長さが低減されるときに明らかに増大されなければならない。所望の双曲線電界を作るために、構造の高い精度の方法が用いられる。しかしながら、構成のサイズが低減されるにつれ、所望の精度を得ることは、ますます困難になる。
【0006】
質量分析器の感度及び全体性能は、入口瞳孔のサイズが減少されるにつれ、同様に明らかに低減されるイオンフラックスによっても影響される。
【0007】
いくつかの小型化された四極子質量分析器が作られた。そのような機器の2つの例は、小型化された静電四極子レンズの方形アレイに基づく(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。この方形アレイを使用する利点は、平行操作が、小型化によって失われた感度を回復できることにある。N2個の四極子のアレイは(N+1)2個の電極だけを必要とするので、方形アレイ幾何構成は特に有効である。
【0008】
上述した特許文献1に開示されるデバイスは、”The Ferran Micropole”というブランド名で市販されており、高圧残留ガス分析器として利用可能である。それは、小型のガラス金属シール(glass−to−metal)に搭載された1mm径で20mm長さの16本の円筒状金属ロッドを使用して構成された、9個の四極子分析器の方形平行アレイからなる。イオンソースは、従来の熱陰極デバイスである。四極子は、RF発生器によって平行に駆動され、イオン検出器は、ともに接続された9個のファラデーコレクタのアレイからなる。
【0009】
上述した特許文献2に記載されるアレイタイプの四極子質量分析器は、Jet Propulsion Laboratory(JPL)によって開発され、メタライゼーションされたセラミックジグに溶接された電極を有する。イオン化装置(ioniser)は、イリジウムタングステンフィラメントを有する小型Nierタイプの設計である。検出器は、ファラデーカップ又はチャネルタイプの乗算器であることができる。
【0010】
上述したデバイスより小さい四極子レンズアレイは、シンクロトロン放射にフォトレジストを露光し、次に電気めっきによってニッケルで結果として生じる型を充填することによって製造され、これは、JPLとBrookhaven National Laboratoryとの共同である(例えば、特許文献3参照)。レンズアセンブリは、平坦な素子であり、完全な質量分析器において積み重ねられた構造に構成される。しかしながら、デバイスの動作がうまくいく証拠はない。
【0011】
異なるマイクロエンジニアリングされた四極子レンズは、Imperial単科大学及びLiverpool大学によって共同で開発された(例えば、特許文献4参照)。
【0012】
図1は、従来のマイクロエンジニアリングされた四極子静電レンズを示す図である。図1に示されるようなデバイス100は、2つの円筒状スペーサ120によって離間されて保持された、2つの酸化シリコン基板105上に対で搭載された4個の円筒状電極115からなる。異方性ウエット化学エッチングによって形成されたV形状溝110は、円筒状電極115及び円筒状スペーサ120を配置するために使用される。円筒状電極115は、V形状溝110内に堆積された金属膜125にはんだ付けされた金属被覆されたガラスロッドである。
【0013】
搭載方法は、精密リボンファイバコネクタにおけるシングルモード光ファイバを保持するために使用される搭載方法に類似する。各場合において、配置精度は、円筒状構成部品のための運動学的なマウント(kinematic mount)を形成するために、フォトリソグラフィに続く結晶面に沿ったエッチングの使用によって達成される。しかしながら、四極子レンズにおいて、構造の2つの半体(halve)はまたセルフアライン(self−aligning)する。小型化の程度は、ただ中程度であり、動作は、直径0.5mmで長さ30mmの電極を有するデバイスを使用して示された。ワイヤボンドコネクタ135が、デバイスの構成部品への電気接点を提供するために使用された。
【0014】
質量フィルタリングは示されたが、製造方法はいくつかの欠点を有する。電極ロッドは、長い切断、研磨、及びメタライゼーションを必要とする。電極は、全ての場所に金属被覆されなければならないので、メタライゼーションは、複数の真空蒸着のサイクルを伴う。電極ロッドを取り付けるために使用される接合プロセスは、時間がかかる手動の動作であり、軸方向のアライメント(alignment)を必要とする。追加の取り付け具が、アセンブリをともに保持するために必要であり、互いにわたって滑動することができる2つの基板の軸方向アライメントは無い。
【0015】
製造方法は、また、結果としていくつかの重要な性能を制限する。酸化物層は電気的に漏れ易く、駆動電圧(及びしたがって質量範囲)が制限される。結果として、電流デバイス性能は、大きな質量の測定を必要とする適用(例えば、薬物又は爆発物検出)には不十分である。
【0016】
また、RF周波数が増大すると発生する、抵抗性基板に対する有意な容量結合が存在する。したがってデバイスは、弱いRF負荷を形成し、質量選択性が制限される。基板における抵抗加熱は、又はんだを溶融する傾向があり、ロッドをV形溝から分離させる傾向がある。
【0017】
さらに、構造は、質量フィルタだけを形成し、イオンソース及び検出器は、完全な質量分析器を形成するためにまた追加されなければならない。これらの要素は、イオンの生成及び検出、ならびにまたイオンを加速し、かつ集束するための構成部品を必要とする。
【0018】
【特許文献1】米国特許第5401962号明細書
【特許文献2】米国特許第5719393号明細書
【特許文献3】米国特許第6188067号明細書
【特許文献4】米国特許第6025591号明細書
【特許文献5】国際公開第97/47025号パンフレット
【非特許文献1】Batey J.H.,"Quadrupole gas analysers", Vacuum 37,659〜668,1987
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
したがって、容易に製造されることができる改善された質量分析器デバイス(mass spectrometer device)を提供する必要がある。さらに、現在の低い機器感度を増大するために使用されることができるアレイタイプのデバイスを提供する必要がある。
【0020】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、モノリシックマイクロエンジニアリングされた、改善された質量分析器デバイス及び質量分析器の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
したがって、本発明は、集積型質量分析器デバイスを提供する。ウエハスケールのバッチ製造プロセスにおいて、複数の同様のダイが、2つの多層ウエハ上に形成され、各多層ウエハは、内側層及び外側層を有し、かつ内側層と外側層との間に設けられた絶縁層を有する。代わりに、小さなスケールの製造プロセスにおいて、単一のデバイスは、単一の多層ウエハから取られた2つのダイから形成される。2つのアプローチは類似しており、以下の記載において、「ダイ(die)」は、一般的な意味と交替せずに「ウエハ」の代わりに使用されることができる。デバイスは、複数の電極ロッド及び複数の電極を設けられ、電極及び電極ロッドは、ウエハの別個の層に形成される。
【0022】
質量分析器は、望ましくは四極子質量分析器であり、本発明は、さらに、上述した従来技術に関連する多くの困難性を解消する、そのようなマイクロエンジニアリングされた四極子質量分析器の製造方法を提供する。そのような四極子デバイスは、少なくとも一般に円筒状の4本の電極ロッドを必要とし、各電極ロッドは、四極子動作のために正確に選択されたその直径及び中心間間隙を有する。
【0023】
各ウエハ内の円筒状電極の水平方向間隙は、望ましくはリソグラフィ及びディープ反応性イオンエッチングによって形成される。
【0024】
円筒状電極の垂直方向間隙は、一般に製造プロセスの間にともに結合される2つの内側層の組み合わせられた厚みによって形成される。
【0025】
追加の被覆を無視して、各多層ウエハは、望ましくは5層構造を形成するために組み合わされる3つの層を有する。
【0026】
電極ロッドは、好ましくは、各多層ウエハの外側層に搭載可能である。望ましくは、電極ロッドは、円筒状電極ロッドでありかつ金属から作られ、したがって、電極の準備を簡単にする。
【0027】
各多層ウエハの外側層は、外側層内に電極ロッドを受けるように適切に寸法決定され、電極ロッドは、外側層内に形成された少なくとも1つの弾性部材を提供することによって、外側層との接触状態を維持される。そのような維持は、望ましくは、多層ウエハ内のエッチングされたスロット内に電極ロッドを搭載することによって提供され、かつそれら電極ロッドを、シリコンバネ(silicon spring)を使用してスロット内に維持し、したがって、アセンブリを簡単にし、接合材料の必要性を除き、かつ分離の可能性を低減する。スロット及びバネは、一般に、ディープ反応性イオンエッチングを使用して、結合されたシリコンオン絶縁体基板にエッチングされる。アセンブリの精度は、リソグラフィ及びディープエッチングによって、及び結合されたシリコン層の機械的構成度合(mechanical definition)によって決定される。
【0028】
各第1及び第2のウエハは、一般に、第1の側の外側パターン及び第2の側の内側パターンでパターニングされる。それによって、各ウエハの両側の使用が可能である。
【0029】
第2の側に設けられた内側パターンは、一般に、イオンを加速し、集束し、又は反射するための構成部品とともに使用されることができる、質量分析器のイオンソース及びイオン収集構成部品(ion collection component)を提供する。
【0030】
絶縁層は、望ましくはパターンが重なり合う領域に設けられる。
【0031】
第1及び第2のウエハは、一般に、モノリシックブロックを形成するために結合される。結合は、望ましくは、電極ロッドがブロックの外側部分上に配置され、かつ電極がブロックの内側部分内に配置されるように行われる。
【0032】
複数の電極の少なくともいくつかは、望ましくは、イオン入口光学部品を形成するように構成される。これらのイオン入口光学部品は、一般に、アインツェルレンズ(einzel lens)によって形成される。
【0033】
複数の電極の少なくともいくつかは、望ましくは、イオン出口光学部品を形成するように構成される。これらのイオン出口光学部品は、イオンの望ましい部分を反射するモードで動作されることもでき、したがって、線形四極子質量フィルタとして動作することに加えて、例えば、特許文献5に記載されるような線形四極子質量トラップとしての動作も可能にする。複数の電極の1つは、さらに、イオンコレクタを形成するように構成されることができる。
【0034】
熱陰極電子ソースは、電子衝撃によるイオン生成の目的のために、イオン入口光学部品の前に設けられることができる。他の実施形態において、冷陰極電界放出電子ソースは、同様の目的のためにイオン入口光学部品の前に設けられることができる。使用される電子ソースの選択は、一般に、必要なイオンフラグメンテーションのタイプに基づいて決定されること、及びいくつかのタイプのソースは、他のタイプより適切な1つのタイプのフラグメンテーションであるとして選択される。
【0035】
他の実施形態において、一対の無線周波数電極は、イオンが抽出されることができるプラズマを生成するためにイオン入口光学部品の前に配置される。
【0036】
さらなる実施形態において、一対の電極は、イオン入口光学部品の前に配置され、かつイオンが抽出されることができるグロー又はコロナ放電を生成するために直流電圧で使用される。
【0037】
さらなる実施形態において、イオン入口光学部品は、ともにイオンの電子スプレーソースを規定する一組の電極と組み合わせられたエッチングされた流体チャネル(fluid channel)から形成される。
【0038】
2つ以上のデバイスは、並列又は直列のいずれかに形成される複数のデバイスとして形成されることができる、アレイを形成するために組み合わされることができる。並列に配置されるとき、アレイは、より大きな全体のイオンスループット及びより大きな測定精度を有する複数四極子フィルタを形成する。直列に配置されるとき、アレイは、より複雑な測定可能性を有するタンデム(tandem)質量分析器を形成する。この構成は、プラズマを形成するように直列の各対のデバイス間に設けられる一対の電極を含むことができる。
【0039】
本発明は、さらに、質量分析器の製造方法を提供し、この製造方法は、質量分析器のための構成部品を構成する、ウエハ上の内側パターン及び外側パターンをエッチングするステップと、多層の積層デバイスを形成するように第2のウエハに前記ウエハを結合するステップと、デバイス内に少なくとも1つの電極ロッドを挿入するステップとを含む。少なくとも1つの電極及び少なくとも1つの電極ロッドは、必要に応じて、ウエハの個別の層上に提供される。
【0040】
四極子幾何配置は、結合ツールを使用して単一ブロックにアライメントされかつ結合される2つの基板を使用して達成される。モノリシックブロックの形成は、デバイスの剛性及び信頼性を増大する。構造をアライメントし又はそれをもとに保持するために、追加の構成部品は必要ではない。2つの基板の外側に電極を搭載することは、電極のアクセス及び位置付けをより容易にすることを確実にする。電気絶縁は、望ましくは、高品質の二酸化シリコンの薄層によって提供され、したがって、リークを最小化し、かつ印加されることができる電圧を最大化する。ロッドの周りのシリコンの大部分が、典型的には取り除かれ、したがって、結合容量を最小化しかつ使用可能な周波数を最大化する。
【0041】
イオン結合光学部品及び流体チャネルなどの他の特徴が、構造内に組み込まれることができる。電極がブロックの外側に配置されるので、アレイデバイスを構築することは簡単である。タンデム質量分析器などの縦続接続されたデバイスは、同様の方法で構築されることができる。
【0042】
本発明のこれら及び他の特徴は、以下の図面及び記載を参照してより良好に理解されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
以下、図面を参照して本発明の実施の態様について説明する。
図2乃至図6は、本発明の好ましい実施形態による、結合されたシリコンオン絶縁体(BSOI)材料に形成されるディープエッチングされた特徴に基づく新規な構築方法の例を示す図である。BSOIは、酸化されたシリコンウエハからなる、このシリコンウエハに、第2のシリコンウエハが結合される。この第2のシリコンウエハは、シリコン−酸化物−シリコンの多層を残すために、所望の厚みまで研磨して戻されることができる。BSOIウエハは、一般に、高電圧マイクロ電子工学で適用される。しかしながら、ウエハにおける異なる層は、三次元構造を作るために半導体マイクロ製造技術を使用して処理されることもできる。さらなる実施形態又は修正形態は、図7乃至図11を参照して示される。
【0044】
本発明によれば、2つのBSOIウエハが必要であり、各ウエハは、両面研磨される。代わりに、同一のウエハからの2つのダイが、小さなスケールのプロセスで使用されることができる。
【0045】
図2は、本発明によるモノリシックのマイクロエンジニアリングされた質量分析器における、a)外側及びb)内側のエッチングされた層パターンを示す平面図である。つまり、どのように各ウエハが、第1の側200上の外側層パターン(図2a;元々の基板ウエハ側)及び第2の側205上の内側層パターン(図2b;結合されたウエハ側)で、パターニングされることができるかを示す図である。この特徴は、望ましくは、非常に高精度でほぼ垂直方向のトレンチを形成するために使用されるプロセスである、ディープ反応性イオンエッチング(DRIE)によって作られている点である。
【0046】
層パターンは、ディープ反応性イオンエッチングで一般に用いられる反応種に耐えるより浅い表面マスク層からシリコンに移される。適切なマスク材料は、ハードベークされたフォトレジスト及び二酸化シリコンの厚い層である。したがって、処理の第1のステップは、マスク層の堆積及びパターニングを含んでおり。フォトレジストは、スピン被覆されかつフォトリソグラフィによってパターニングされることができる。二酸化シリコンは、熱酸化によって形成される、又は化学気相堆積によって被覆されることができる。それは、マスクとしてフォトレジストのより薄い層を使用する、反応性イオンエッチングによってパターニングされることができる。
【0047】
使用されることができる層パターンにはかなりの柔軟性がある。図2乃至図6を参照する以下の記載は、本発明によって提供される構築アプローチの利点、及び前述された従来技術との差異を示す例示的な実施形態に対応し、記載される特定の層パターンに対する修正実施形態が、本発明の範囲から逸脱することなく行われることができることは、当業者には理解されよう。さらなる実施態様は、図7乃至図11に示される。
【0048】
図2(a)は、外側層パターンの平面図である。この外側層パターン200は、電極の維持を提供するように構成され、この示された実施形態において、2つの円筒状電極ロッド(図示せず)、及び所定の場所に円筒状電極ロッドを維持するためのバネ220,225として示される2つの可撓性部材のための一組の位置特徴部分210,215を有している。円筒状電極ロッドの直径は、ウエハの厚みに匹敵している。
【0049】
図2(b)は、内側層パターンの平面図である。この内側層パターン205の左側端には、荷電粒子を電子又はイオン光学システムに集束するために使用される共通静電光学構成部品である、アインツェルレンズ(einzel lens)として作用することができる一組の3つの電極230,235,240が配置されている。また、この内側層パターン205の右側端には、システムの出口でファラデーケージ及びイオンコレクタとして作用することができる、同様の(しかし同一ではない)一組の2つの電極245、250が配置されている。実際、第1及び第2の電極の組は、イオンソース及びイオンカウンタ、すなわち、質量分析器デバイスの入口及び出口光学瞳孔構成部品を形成している。
【0050】
これらの層パターンは、結合された層の全厚みにわたってエッチングされることができる。代わりに、2つのマスク層を含むより複雑な処理が、いくつかの領域における層パターンの深さを制限するために使用されることができる。例えば、シリコンのわずかな厚みは、図2(b)において細かな陰影(fine shading)255によって示されるように、アインツェルレンズ及びファラデーケージにおける上側及び下側電極にリンクしたままであることができる。このプロセスは、遅延されたシャドウマスキングなどの多数の異なる技術を使用して達成されることができることは理解されよう。所定の他の技術が、層の下に連続される電極パターンのいくつかの部品を提供する。
【0051】
図3(a)は、外側層パターンと内側層パターンの関係を示す図である。いくつかの領域において、さらなる特徴が、全体構造が剛性になるように、2つの層間の機械的連続性を確実にするために外側層パターン200に追加される。他の領域において、全ての電極が構造の外側からアクセスされることができるように、外側層パターン200が切断される。2つの層パターン200,205は、両側マスクアライナーを使用して高精度でともに位置合わせされることができる。
【0052】
図3(b)は、外側層パターン内の円筒状電極ロッドの最終位置を示す図である。位置付けバネ220,225は、2つの円筒状電極ロッド300が、内側層上のパターンによって形成された入口及び出口光学部品瞳孔によって形成される光学軸の両側に対称に変位されるように、2本の円筒状電極ロッド300を保持する。バネ200,225は、また、円筒状電極ロッド300に対する電気接点を構成している。
【0053】
図4(a)は、図3に示されたデバイスのウエハ結合の場合の断面図で、酸化物中間層又は絶縁層400は、各ウエハの内側及び外側層間に設けられる。ディープ反応性イオンエッチングの後で、酸化物中間層は、内側及び外側層内のパターンが重なる領域内だけで酸化物が残るように、ウエット化学エッチングによって部分的に取り除かれる。所定の適用は、熱酸化によって、又は化学気相堆積などの被覆プロセスによって、構造上に設けられる追加の酸化物絶縁の追加を必要とすることがある。さらなる処理は、次に、入口及び出口光学システムにおける各シリコン電極、及び円筒状電極を維持するシリコンバネに金属接点を提供するために使用される。接点は、全て構造の外側層からアクセスされることができるので、この金属は、単一側真空蒸着によって追加されることができる。代わりに、スパッタリング堆積などの等角被覆プロセス(conformal coating process)が、全てのシリコン部品に金属被覆を提供するために使用することができる。
【0054】
各2つのウエハがパターニングされると、それらウエハは、ともにアライメントされかつ結合されることができる。金属などのさらなる被覆を無視して、このプロセスは、図4(a)の断面図に示されるように、シリコン−酸化物−シリコン−酸化物−シリコンの多層積層物410を残す。各ウエハは、3つの層、すなわち、外側層200と、内側層205と、外側層200と内側層205との間に設けられた絶縁層400とを備えている。結合プロセスにおいて、各内側層205は、完全な多層積層物410においてただ5つの別個の層が存在するように、結合インタフェース420を形成するように一体に結合される。ちょうど記載された5つの別個層の構成は、多層積層物410を形成する各個別層又は1つの個別層に存在することがある追加の被覆を含まない。アライメント及び結合は、顕微鏡と圧縮及び加熱のための機構部を備える結合ツールなどの様々な技術を使用して実行されることができる。はんだ材料などのさらなる結合剤も使用されることができる。結果として生じる複合ウエハは、個別ダイに分離するためにダイシングされる。この段階で、各デバイスは、単一の剛性のモノリシックブロックである。各デバイスは、次に、サブマウントに取り付けられ、ワイヤボンド接続が、接点メタライゼーションになされる。
【0055】
図4(b)は、図3に示したデバイスの電極ロッド挿入の場合を示す断面図で、望ましくは円筒状である金属電極300は、外側からブロック410に挿入される。四極子分析器の例において、4つの電極300は、四極子動作のために選択されるそれらの直径及び中心間間隙を有する。各電極の水平方向位置は、外側層パターン200内にエッチングされた位置特徴部分210,215及びバネ220,225によって構成される。電極の垂直方向間隙は、市販の利用可能なBSOI材料において正確に特定されることができる、2つの内側の結合されたシリコン層の厚みによって形成される。
【0056】
図5は、本発明によるモノリシックのマイクロエンジニアリングされた質量分析器の製造方法を説明するためのフローチャートを示す図である。
【0057】
本発明に係る質量分析器の製造方法は、(1)ウエハの第1及び第2の側上にマスク層を堆積するステップ(S1)と、(2)第1及び第2の側上のマスク層をパターニングするステップ(S2)と、(3)ウエハの第1及び第2の側をディープ反応性イオンエッチングするステップ(S3)と、(4)マスク層の残留部分を取り除くステップ(S4)と、(5)酸化物中間層をウエットエッチングするステップ(S5)と、(6)ウエハの第1の側又は両側をメタライゼーションするステップ(S6)と、(7)2つのウエハを2ウエハ積層物に結合するステップ(S7)と、(8)結果として生じた複合ウエハをダイシングするステップ(S8)と、(9)個別のダイを搭載してワイヤボンディングするステップ(S9)と、(10)円筒状電極ロッドを挿入するステップ(S10)とを有している。プロセスステップ又はそれらの使用順序における変化は、また同様の結果を達成することができ、本発明を任意の1つのステップの順次の組に制限するものではない。
【0058】
図6は、本発明によるモノリシックのマイクロエンジニアリングされた質量分析器への電気接続の概略図である。直流電圧V1、V2、及びV3は、アインツェルレンズ電極に印加され、V4は、ファラデーケージに印加される。直流及び交流成分の両方を含む電圧VRF1及びVRF2は、円筒状電極に印加される。直流及び交流成分は、質量フィルタリングを提供するために、四極子質量分析器で一般に使用される比を有する。イオン電流Iは、電極からファラデーケージの右側に収集され、トランスインピーダンス増幅器(図示せず)へ通過される。
【0059】
代わりの構成において、集積されたイオンコレクタは省略されることができ、チャネルタイプのマルチプライヤなどの外部検出器を使用されることができる。
【0060】
上述した電極は、イオンフラックスを四極子アセンブリに結合し、質量フィルタリング動作を実行し、かつイオンの結果として生じるフィルタリングされたストリームを検出するために適している。さらなる構成部品は、イオンフラックスを作るために必要である。
【0061】
図7(a)乃至(c)は、本発明の好ましい実施形態によるモノリシックのマイクロエンジニアリングされた質量分析器への入力での、(a)冷陰極電界放出電子ソースと、(b)無線周波数プラズマソースと、(c)電子スプレーソースの位置の概略図で、図7(a)及び図7(b)は、気体状の分析物に関して性能を最適化するような、前述の構成に対する変形実施形態を示す図で、図7(c)は、液体状の分析物に適している修正実施形態を示す図である。
【0062】
気体状の分析物に関して、イオン化は、電子衝撃によって実行されることができる。適切な電子ストリームは、Spindtエミッタ700の平面アレイとして製造された、冷陰極電界放出電子ソースによって提供されることができる。ソースは、図7(a)に示されるようなイオン入力結合光学部品の直前の、エッチングされたシリコンテラス上に配置される(例えば、ハイブリッド集積によって)ことができる。電子及びイオンストリームが効果的に分離されるように、ソースは、質量分析器の主軸に垂直な方向に電子を放出するように構成される。
【0063】
代わりに、電子ソースは、デバイスの外側に配置されることができ、電子は、メッシュ形状又は他の形状あるいは寸法決定された開口を介して注入されることができる。メッシュ形状の利点は、この構成が、等電位のソースケージ内にイオンが作られることを可能にすることである。
【0064】
代わりに、イオン化は、ガスプラズマ内で実行されることができ、ガスプラズマ自体は、図7(b)に示されるように、無線周波数電界705によって生成することができる。この無線周波数電界705は、イオン入力結合光学部品の直前に配置された、エッチングされたシリコンテラス上に配置された一対の電極間に確立されることができる。再び、電子及びイオンストリームが効果的に分離されるように、無線周波数電界705は、質量分析器の主軸に垂直な方向に電子を加速するように構成される。
【0065】
代わりに、イオン化は、直流電位を有する同様の一対の電極によって作られることができる直流放電で実行されることができる。
【0066】
比較的高い圧力は、プラズマ又は直流放電を維持するために必要である。この圧力は、平均自由行程があまりにも短いので、質量フィルタの動作には通常適合しない。本発明で記載されるような2つのウエハを結合することによって密封された、又は部分的に密封されたチャンバを作成する能力は、ソースチャンバが高圧で動作する、又は質量フィルタが低圧で動作する、差動ポンピングされるシステムの構築を可能にする。
【0067】
液体検出物(例えば、液体クロマトグラフィカラムによって提供されるような)に関しては、イオン化は、電子スプレーソース内で実行されることができる。適切なソースは、図7(c)に示されるようなイオン入力結合光学部品の直前に配置された、エッチングされた毛細管チャネル(etched capillary channel)710を使用して構築されることができる。液体は、そのような毛細管チャネル710から、十分に大きな直流電位に保持されたすぐ近くの電極によって帯電された滴のストリームとして抽出されることができる。
【0068】
上述した事項の全ては、図5に記載されるプロセスを使用して実施されることができ、又は、エッチングされた構造のレイアウトに簡単な変更を含むか、又は金属及び酸化物堆積、パターニング、及びエッチングの追加のステップを必要とする記載されたプロセスに対する修正によって実施されることができる。
【0069】
上述された製造アプローチ(すなわち、半導体ウエハ上に多数の同様の構造を作るためのパターニング、堆積、及びエッチングの使用)は、個別のデバイスの製造を参照して記載されたが、それは、アレイタイプの質量分析器として作用することができる、近接するデバイスの並列アレイを生成することに明らかに拡張されることができる。機器感度における増大を得るために、四極子レンズは並列に駆動され、かつイオン電流が合計されることができる。代わりに、多数の異なるイオン種の別個の測定を得るために、四極子レンズは別個に駆動されることができ、かつイオン電流は別個に測定されることができる。
【0070】
上述した製造アプローチは、改善された機能性を提供することができる、近接するデバイスの直列アレイを生成するように拡張されることもできる。
【0071】
図8は、タンデム質量分析器で必要な縦続接続された四極子レンズ間の衝突チャンバの位置の概略図である。タンデム質量分析器として作用するように直列に接続される2つの四極子レンズ800,805を示す。第1の四極子レンズ800は、特定範囲の質量を有するこれらのイオンだけを通過させ、したがって、プレフィルタとして作用するように設定されることができる。選択されたイオンは、衝突チャンバ(collision chamber)810においてフラグメントにされ、さらなる解析のための第2の四極子レンズ805に通過されることができる。
【0072】
衝突チャンバ810は、望ましくは、プラズマは、一対の無線周波数電極815を使用して不活性ガス(例えばアルゴン)の励起によって生成されることができる小さな容積である。上述した方法を使用する衝突チャンバ810の作製は、金属及び酸化物堆積、パターニング、及びエッチングの追加のステップを単に含むものである。差動ポンピングは、この衝突チャンバ810が四極子フィルタより高い圧力で動作することを可能にするために、再び用いられることができる。これらの追加のステップは、当業者には明らかであろう。
【0073】
複合電極及び/又は静電要素の形成又は準備は、多数の表面マスク層によって提供されるものなど特定の複数レベルの処理を必要とすることがある。そのような技術において、2つ以上のマスクは、所望の物理的構成を提供するように、ベースシリコン材料の複合パターニングを提供するために互いに組み合わせられて使用される。
【0074】
図9Aは、一次元メッシュによって覆われる開口に基づく静電要素を形成するための2つのエッチングされた部品のアセンブリを示す図で、どのようにそのような複数レベルの特徴が、イオン又は電子などの荷電粒子を制御するのに適した電極を構築するために使用されることができるかを示す図である。2つのウエハ900,905(又は代わりに2つのダイ)が示され、完全な電極910は、2つのウエハをともに結合することによって作製される。部分的にエッチングされた特徴は、完全にエッチングされた特徴によって確定された平面ダイアフラム電極920に形成された開口915を作るように組み合わせる。
【0075】
図9Bは、一次元メッシュによって覆われる開口に基づく静電要素を形成するための2つのエッチングされた部品のアセンブリを示す図で、一次元メッシュ930によって覆われる開口からなる電極925を形成するためにどのように拡張されることができるかを示す図である。この場合、第1のマスク層は、開口の近傍に一組の近く間隔を開いたストリップを残すようにパターニングされなければならない。
【0076】
このように形成された電極構造は、様々なレンズ要素及び静電デバイスを作製するために使用されることができる。
図10A乃至図10Cは、開口、チューブ、及びメッシュの異なる組み合わせを使用して3要素静電レンズを構築するための、1つの基板上に必要なパターンの平面図である。3つの開口が設けられたダイアフラム1000は、図10Aで示されるようなアインツェルレンズを形成するために使用されることができる。代わりに、中央ダイアフラムは、図10Bによって示されるようなメッシュ1010と置き換えられることができる。この構成は、より強い集束又はより強い反射を可能にする。最後に、3つの電極のうち任意の電極又は全ての電極は、図10Cに示されるように、矩形又は方形断面を有するチューブ1020を形成するように、軸方向に拡張されることができる。
【0077】
最後の構成である図10Cは、本発明で記載されるような四極子デバイスで特に有利である。四極子レンズの入口及び出口の近くで、電界は、円筒状電極ロッドを支持し、かつ位置付けるために使用される近くの構造の存在によってゆがめられる。チューブ形状の電極は、有利に、これらの電界の不完全性からイオンを遮蔽するために四極子のいずれかの端部で用いられることができる。
【0078】
図11A及び図11Bは、質量分析器システムの構成部品を形成するために複数レベルの処理のさらなる使用を示す図で、図11Aは、外部フィラメントを使用して構築される熱陰極イオンソースの平面図で、図11Bは、集積されたフィラメントを使用して構築される熱陰極イオンソースの平面図である。
【0079】
図11Aにおいて、メッシュ素子1100は、電子が外部フィラメント1130から注入されるソースケージ1120のメッシュ素子1100の周囲部分を形成するために使用される。図11Bにおいて、同様の構成は、またエッチングによっても形成される集積されたフィラメント1140を含んでいる。他の構造においては、エッチングによって形成される取り除き可能なフィラメントが使用される。そのような構成の多数の他の可能な配置が存在し、かつこれらの例が排他的ではないことが理解されよう。
【0080】
上述のように、複数の電極の少なくともいくつかは、所望のイオンの部分を反射するモードにおいて動作するように構成される、イオン入口又は出口光学部品を形成するように構成されることができる。イオン反射器のそのような構成は、イオントラップを提供するために使用されることができる。
【0081】
動作において、イオンは、質量分析器の質量フィルタに導入され、次に、イオン入口又は出口光学部品に印加される電圧を逆転することによって、質量フィルタ内のイオンは、質量フィルタの上下で連続して反射され、それによって光学部品に印加された電圧が、イオンをトラップから逃れさせることができるように帯電されるまで、又はイオンが、質量フィルタ自体から得られたエネルギーによって逃れるまで、トラップされかつさらにフィルタリングされる。
【0082】
質量フィルタの入口及び出口の両方での電極の配置は、複数の異なる配置の1つで構成されることができる。例えば、3つの電極構成は、2つの外側要素が同一の電圧が与えられる状態で提供されることができる。そのような配置において、イオンは、システムが主に単一電位の仕方で動作するように、レンズの両側で実質的に同一電位を有する。そのような配置は、一般にアインツェルレンズ配置として知られている。他の配置において、異なる数の電極は、代わりのレンズ構成又は構造を提供するように提供されることができる。電極の数又は個別の電極に印加される電圧は、システムが適用されるアプリケーションに応じて変わることができ、本発明をいずれか1つの配置に限定することを意図するものではない。
【0083】
本発明は、従来のデバイスに対して有利である質量分析器を提供するものである。本発明によるデバイスを使用して、縦続接続フィルタ、一般に四極子フィルタによって従来可能であったより複雑な質量分析を提供することが可能である。本発明の質量分析器デバイスは、そのようなデバイスの適用範囲を拡張するように、気体又は液体クロマトグラフィシステムにおけるような(例えば、ガスクロマトグラフィ質量分析器又はGC−MSシステムにおけるような)、エッチングされたチャネルを含む流体デバイスへの四極子フィルタの接続を可能にすることにも有利である。
【0084】
本発明を参照して本明細書で使用されるとき、用語「備える/備えている」及び用語「有する/含む」は、上述された特徴、整数、ステップ、又は構成部品の存在を特定するために使用されるが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、構成部品、又はそれらのグループの存在又は追加を妨げない。同様に本明細書で使用されるとき、用語「上側」、「下側」、「右側」、「左側」は、説明の都合のためであり、本発明のデバイス又は技術の適用を任意の1つの特定構造に限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】従来のマイクロエンジニアリングされた四極子静電レンズを示す図である。
【図2】本発明によるモノリシックのマイクロエンジニアリングされた質量分析器デバイスにおける、(a)外側及び(b)内側のエッチングされたパターンを示す平面図である。
【図3】本発明による質量分析器デバイスにおける、(a)外側パターンと内側パターンの位置合わせ、及び(b)外側パターンによる電極ロッドの位置を示す平面図である。
【図4】図3に示した質量分析器デバイスの、(a)ウエハ結合、及び(b)電極ロッド挿入を示す断面図である。
【図5】本発明によるモノリシックのマイクロエンジニアリングされた質量分析器の製造方法を説明するためのフローチャートを示す図である。
【図6】本発明によるモノリシックのマイクロエンジニアリングされた質量分析器への電気接続の概略図である。
【図7】本発明の好ましい実施形態によるモノリシックのマイクロエンジニアリングされた質量分析器への入力での、(a)冷陰極電界放出電子ソース、(b)無線周波数プラズマソース、及び(c)電子スプレーソースの位置の概略図である。
【図8】タンデム質量分析器で必要な縦続接続された四極子レンズ間の衝突チャンバの位置の概略図である。
【図9A】一次元メッシュによって覆われる開口に基づく静電要素を形成するための2つのエッチングされた部品のアセンブリを示す図である。
【図9B】一次元メッシュによって覆われる開口に基づく静電要素を形成するための2つのエッチングされた部品のアセンブリを示す図である。
【図10A】開口、チューブ、及びメッシュの異なる組み合わせを使用して3要素静電レンズを構築するための、1つの基板上に必要なパターンの平面図である。
【図10B】開口、チューブ、及びメッシュの異なる組み合わせを使用して3要素静電レンズを構築するための、1つの基板上に必要なパターンの平面図である。
【図10C】開口、チューブ、及びメッシュの異なる組み合わせを使用して3要素静電レンズを構築するための、1つの基板上に必要なパターンの平面図である。
【図11A】外部フィラメントを使用して構築される熱陰極イオンソースの平面図である。
【図11B】集積されたフィラメントを使用して構築される熱陰極イオンソースの平面図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、質量分析器デバイス及び質量分析器の製造方法に関し、より詳細には、モノリシックマイクロエンジニアリング(monolithic micro−engineered)された質量分析器デバイス及び質量分析器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
質量分析器は、従来技術において良く知られており、サンプル測定に特に適用される。可搬型の測定システムとしての特定の適用を有する小型化されたデバイスを提供することも良く知られている。そのような質量分析器の使用は、生物学的及び化学的材料、薬剤、爆発物、及び汚染物の検出から、宇宙探索のための機器、残留ガス分析器、及びプロセス制御のための機器としての使用まで様々である。このような質量分析器は、3つの主要なサブシステムからなり、すなわち、イオンソースとイオンフィルタとイオンカウンタである。これらは、全て異なる原理に基づくものであるので、構成される様々な範囲のシステムが存在する。
【0003】
最も成功した変形の1つは、質量フィルタ(mass filter)として四極子静電レンズ(quadrupole electrostatic lens)を使用する四極子質量分析器(quadrupole mass spectrometer)である。従来の四極子レンズ(例えば、非特許文献1参照)は、4個の円筒状電極からなり、この4個の円筒状電極は、正確に平行に搭載され、かつそれら電極の直径に対して明確な比のそれら電極の中心間間隔を有している。
【0004】
イオンは、電極間に配置される瞳孔(pupil)内に注入され、かつ時間で変動する双曲線静電界の影響の下で電極に平行に進む。この電界は、直流(DC)及び交流(AC)成分の両方を含む。AC成分の周波数は固定され、かつAC電圧に対するDC電圧の比も固定される。そのような電界におけるイオンの動力学の研究から、質量に対する特定の電荷比のイオンだけが、ロッドの1つに対して放電することなく四極子を通過することが示されている。したがって、そのデバイスは質量フィルタとして作用する。この質量フィルタをうまく出るイオンを検出することができる。DC及びAC電圧がともに勾配を有するなら、検出される信号は、イオンフラックスに存在する異なる質量のスペクトルである。検出されることができる最大の質量は、印加されることができる最大電圧によって決定される。
【0005】
四極子フィルタの分解能(resolution)は、2つの主要な要因、すなわち、各イオンによって受けられる交流電圧のサイクル数、及び所望の電界が作られる精度によって決定される。そのため、各イオンは、十分に大きなサイクル数を受け、イオンは、小さな軸方向速度で注入され、かつ無線周波数(RF)AC成分が使用される。この無線周波数は、フィルタの長さが低減されるときに明らかに増大されなければならない。所望の双曲線電界を作るために、構造の高い精度の方法が用いられる。しかしながら、構成のサイズが低減されるにつれ、所望の精度を得ることは、ますます困難になる。
【0006】
質量分析器の感度及び全体性能は、入口瞳孔のサイズが減少されるにつれ、同様に明らかに低減されるイオンフラックスによっても影響される。
【0007】
いくつかの小型化された四極子質量分析器が作られた。そのような機器の2つの例は、小型化された静電四極子レンズの方形アレイに基づく(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。この方形アレイを使用する利点は、平行操作が、小型化によって失われた感度を回復できることにある。N2個の四極子のアレイは(N+1)2個の電極だけを必要とするので、方形アレイ幾何構成は特に有効である。
【0008】
上述した特許文献1に開示されるデバイスは、”The Ferran Micropole”というブランド名で市販されており、高圧残留ガス分析器として利用可能である。それは、小型のガラス金属シール(glass−to−metal)に搭載された1mm径で20mm長さの16本の円筒状金属ロッドを使用して構成された、9個の四極子分析器の方形平行アレイからなる。イオンソースは、従来の熱陰極デバイスである。四極子は、RF発生器によって平行に駆動され、イオン検出器は、ともに接続された9個のファラデーコレクタのアレイからなる。
【0009】
上述した特許文献2に記載されるアレイタイプの四極子質量分析器は、Jet Propulsion Laboratory(JPL)によって開発され、メタライゼーションされたセラミックジグに溶接された電極を有する。イオン化装置(ioniser)は、イリジウムタングステンフィラメントを有する小型Nierタイプの設計である。検出器は、ファラデーカップ又はチャネルタイプの乗算器であることができる。
【0010】
上述したデバイスより小さい四極子レンズアレイは、シンクロトロン放射にフォトレジストを露光し、次に電気めっきによってニッケルで結果として生じる型を充填することによって製造され、これは、JPLとBrookhaven National Laboratoryとの共同である(例えば、特許文献3参照)。レンズアセンブリは、平坦な素子であり、完全な質量分析器において積み重ねられた構造に構成される。しかしながら、デバイスの動作がうまくいく証拠はない。
【0011】
異なるマイクロエンジニアリングされた四極子レンズは、Imperial単科大学及びLiverpool大学によって共同で開発された(例えば、特許文献4参照)。
【0012】
図1は、従来のマイクロエンジニアリングされた四極子静電レンズを示す図である。図1に示されるようなデバイス100は、2つの円筒状スペーサ120によって離間されて保持された、2つの酸化シリコン基板105上に対で搭載された4個の円筒状電極115からなる。異方性ウエット化学エッチングによって形成されたV形状溝110は、円筒状電極115及び円筒状スペーサ120を配置するために使用される。円筒状電極115は、V形状溝110内に堆積された金属膜125にはんだ付けされた金属被覆されたガラスロッドである。
【0013】
搭載方法は、精密リボンファイバコネクタにおけるシングルモード光ファイバを保持するために使用される搭載方法に類似する。各場合において、配置精度は、円筒状構成部品のための運動学的なマウント(kinematic mount)を形成するために、フォトリソグラフィに続く結晶面に沿ったエッチングの使用によって達成される。しかしながら、四極子レンズにおいて、構造の2つの半体(halve)はまたセルフアライン(self−aligning)する。小型化の程度は、ただ中程度であり、動作は、直径0.5mmで長さ30mmの電極を有するデバイスを使用して示された。ワイヤボンドコネクタ135が、デバイスの構成部品への電気接点を提供するために使用された。
【0014】
質量フィルタリングは示されたが、製造方法はいくつかの欠点を有する。電極ロッドは、長い切断、研磨、及びメタライゼーションを必要とする。電極は、全ての場所に金属被覆されなければならないので、メタライゼーションは、複数の真空蒸着のサイクルを伴う。電極ロッドを取り付けるために使用される接合プロセスは、時間がかかる手動の動作であり、軸方向のアライメント(alignment)を必要とする。追加の取り付け具が、アセンブリをともに保持するために必要であり、互いにわたって滑動することができる2つの基板の軸方向アライメントは無い。
【0015】
製造方法は、また、結果としていくつかの重要な性能を制限する。酸化物層は電気的に漏れ易く、駆動電圧(及びしたがって質量範囲)が制限される。結果として、電流デバイス性能は、大きな質量の測定を必要とする適用(例えば、薬物又は爆発物検出)には不十分である。
【0016】
また、RF周波数が増大すると発生する、抵抗性基板に対する有意な容量結合が存在する。したがってデバイスは、弱いRF負荷を形成し、質量選択性が制限される。基板における抵抗加熱は、又はんだを溶融する傾向があり、ロッドをV形溝から分離させる傾向がある。
【0017】
さらに、構造は、質量フィルタだけを形成し、イオンソース及び検出器は、完全な質量分析器を形成するためにまた追加されなければならない。これらの要素は、イオンの生成及び検出、ならびにまたイオンを加速し、かつ集束するための構成部品を必要とする。
【0018】
【特許文献1】米国特許第5401962号明細書
【特許文献2】米国特許第5719393号明細書
【特許文献3】米国特許第6188067号明細書
【特許文献4】米国特許第6025591号明細書
【特許文献5】国際公開第97/47025号パンフレット
【非特許文献1】Batey J.H.,"Quadrupole gas analysers", Vacuum 37,659〜668,1987
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
したがって、容易に製造されることができる改善された質量分析器デバイス(mass spectrometer device)を提供する必要がある。さらに、現在の低い機器感度を増大するために使用されることができるアレイタイプのデバイスを提供する必要がある。
【0020】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、モノリシックマイクロエンジニアリングされた、改善された質量分析器デバイス及び質量分析器の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
したがって、本発明は、集積型質量分析器デバイスを提供する。ウエハスケールのバッチ製造プロセスにおいて、複数の同様のダイが、2つの多層ウエハ上に形成され、各多層ウエハは、内側層及び外側層を有し、かつ内側層と外側層との間に設けられた絶縁層を有する。代わりに、小さなスケールの製造プロセスにおいて、単一のデバイスは、単一の多層ウエハから取られた2つのダイから形成される。2つのアプローチは類似しており、以下の記載において、「ダイ(die)」は、一般的な意味と交替せずに「ウエハ」の代わりに使用されることができる。デバイスは、複数の電極ロッド及び複数の電極を設けられ、電極及び電極ロッドは、ウエハの別個の層に形成される。
【0022】
質量分析器は、望ましくは四極子質量分析器であり、本発明は、さらに、上述した従来技術に関連する多くの困難性を解消する、そのようなマイクロエンジニアリングされた四極子質量分析器の製造方法を提供する。そのような四極子デバイスは、少なくとも一般に円筒状の4本の電極ロッドを必要とし、各電極ロッドは、四極子動作のために正確に選択されたその直径及び中心間間隙を有する。
【0023】
各ウエハ内の円筒状電極の水平方向間隙は、望ましくはリソグラフィ及びディープ反応性イオンエッチングによって形成される。
【0024】
円筒状電極の垂直方向間隙は、一般に製造プロセスの間にともに結合される2つの内側層の組み合わせられた厚みによって形成される。
【0025】
追加の被覆を無視して、各多層ウエハは、望ましくは5層構造を形成するために組み合わされる3つの層を有する。
【0026】
電極ロッドは、好ましくは、各多層ウエハの外側層に搭載可能である。望ましくは、電極ロッドは、円筒状電極ロッドでありかつ金属から作られ、したがって、電極の準備を簡単にする。
【0027】
各多層ウエハの外側層は、外側層内に電極ロッドを受けるように適切に寸法決定され、電極ロッドは、外側層内に形成された少なくとも1つの弾性部材を提供することによって、外側層との接触状態を維持される。そのような維持は、望ましくは、多層ウエハ内のエッチングされたスロット内に電極ロッドを搭載することによって提供され、かつそれら電極ロッドを、シリコンバネ(silicon spring)を使用してスロット内に維持し、したがって、アセンブリを簡単にし、接合材料の必要性を除き、かつ分離の可能性を低減する。スロット及びバネは、一般に、ディープ反応性イオンエッチングを使用して、結合されたシリコンオン絶縁体基板にエッチングされる。アセンブリの精度は、リソグラフィ及びディープエッチングによって、及び結合されたシリコン層の機械的構成度合(mechanical definition)によって決定される。
【0028】
各第1及び第2のウエハは、一般に、第1の側の外側パターン及び第2の側の内側パターンでパターニングされる。それによって、各ウエハの両側の使用が可能である。
【0029】
第2の側に設けられた内側パターンは、一般に、イオンを加速し、集束し、又は反射するための構成部品とともに使用されることができる、質量分析器のイオンソース及びイオン収集構成部品(ion collection component)を提供する。
【0030】
絶縁層は、望ましくはパターンが重なり合う領域に設けられる。
【0031】
第1及び第2のウエハは、一般に、モノリシックブロックを形成するために結合される。結合は、望ましくは、電極ロッドがブロックの外側部分上に配置され、かつ電極がブロックの内側部分内に配置されるように行われる。
【0032】
複数の電極の少なくともいくつかは、望ましくは、イオン入口光学部品を形成するように構成される。これらのイオン入口光学部品は、一般に、アインツェルレンズ(einzel lens)によって形成される。
【0033】
複数の電極の少なくともいくつかは、望ましくは、イオン出口光学部品を形成するように構成される。これらのイオン出口光学部品は、イオンの望ましい部分を反射するモードで動作されることもでき、したがって、線形四極子質量フィルタとして動作することに加えて、例えば、特許文献5に記載されるような線形四極子質量トラップとしての動作も可能にする。複数の電極の1つは、さらに、イオンコレクタを形成するように構成されることができる。
【0034】
熱陰極電子ソースは、電子衝撃によるイオン生成の目的のために、イオン入口光学部品の前に設けられることができる。他の実施形態において、冷陰極電界放出電子ソースは、同様の目的のためにイオン入口光学部品の前に設けられることができる。使用される電子ソースの選択は、一般に、必要なイオンフラグメンテーションのタイプに基づいて決定されること、及びいくつかのタイプのソースは、他のタイプより適切な1つのタイプのフラグメンテーションであるとして選択される。
【0035】
他の実施形態において、一対の無線周波数電極は、イオンが抽出されることができるプラズマを生成するためにイオン入口光学部品の前に配置される。
【0036】
さらなる実施形態において、一対の電極は、イオン入口光学部品の前に配置され、かつイオンが抽出されることができるグロー又はコロナ放電を生成するために直流電圧で使用される。
【0037】
さらなる実施形態において、イオン入口光学部品は、ともにイオンの電子スプレーソースを規定する一組の電極と組み合わせられたエッチングされた流体チャネル(fluid channel)から形成される。
【0038】
2つ以上のデバイスは、並列又は直列のいずれかに形成される複数のデバイスとして形成されることができる、アレイを形成するために組み合わされることができる。並列に配置されるとき、アレイは、より大きな全体のイオンスループット及びより大きな測定精度を有する複数四極子フィルタを形成する。直列に配置されるとき、アレイは、より複雑な測定可能性を有するタンデム(tandem)質量分析器を形成する。この構成は、プラズマを形成するように直列の各対のデバイス間に設けられる一対の電極を含むことができる。
【0039】
本発明は、さらに、質量分析器の製造方法を提供し、この製造方法は、質量分析器のための構成部品を構成する、ウエハ上の内側パターン及び外側パターンをエッチングするステップと、多層の積層デバイスを形成するように第2のウエハに前記ウエハを結合するステップと、デバイス内に少なくとも1つの電極ロッドを挿入するステップとを含む。少なくとも1つの電極及び少なくとも1つの電極ロッドは、必要に応じて、ウエハの個別の層上に提供される。
【0040】
四極子幾何配置は、結合ツールを使用して単一ブロックにアライメントされかつ結合される2つの基板を使用して達成される。モノリシックブロックの形成は、デバイスの剛性及び信頼性を増大する。構造をアライメントし又はそれをもとに保持するために、追加の構成部品は必要ではない。2つの基板の外側に電極を搭載することは、電極のアクセス及び位置付けをより容易にすることを確実にする。電気絶縁は、望ましくは、高品質の二酸化シリコンの薄層によって提供され、したがって、リークを最小化し、かつ印加されることができる電圧を最大化する。ロッドの周りのシリコンの大部分が、典型的には取り除かれ、したがって、結合容量を最小化しかつ使用可能な周波数を最大化する。
【0041】
イオン結合光学部品及び流体チャネルなどの他の特徴が、構造内に組み込まれることができる。電極がブロックの外側に配置されるので、アレイデバイスを構築することは簡単である。タンデム質量分析器などの縦続接続されたデバイスは、同様の方法で構築されることができる。
【0042】
本発明のこれら及び他の特徴は、以下の図面及び記載を参照してより良好に理解されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
以下、図面を参照して本発明の実施の態様について説明する。
図2乃至図6は、本発明の好ましい実施形態による、結合されたシリコンオン絶縁体(BSOI)材料に形成されるディープエッチングされた特徴に基づく新規な構築方法の例を示す図である。BSOIは、酸化されたシリコンウエハからなる、このシリコンウエハに、第2のシリコンウエハが結合される。この第2のシリコンウエハは、シリコン−酸化物−シリコンの多層を残すために、所望の厚みまで研磨して戻されることができる。BSOIウエハは、一般に、高電圧マイクロ電子工学で適用される。しかしながら、ウエハにおける異なる層は、三次元構造を作るために半導体マイクロ製造技術を使用して処理されることもできる。さらなる実施形態又は修正形態は、図7乃至図11を参照して示される。
【0044】
本発明によれば、2つのBSOIウエハが必要であり、各ウエハは、両面研磨される。代わりに、同一のウエハからの2つのダイが、小さなスケールのプロセスで使用されることができる。
【0045】
図2は、本発明によるモノリシックのマイクロエンジニアリングされた質量分析器における、a)外側及びb)内側のエッチングされた層パターンを示す平面図である。つまり、どのように各ウエハが、第1の側200上の外側層パターン(図2a;元々の基板ウエハ側)及び第2の側205上の内側層パターン(図2b;結合されたウエハ側)で、パターニングされることができるかを示す図である。この特徴は、望ましくは、非常に高精度でほぼ垂直方向のトレンチを形成するために使用されるプロセスである、ディープ反応性イオンエッチング(DRIE)によって作られている点である。
【0046】
層パターンは、ディープ反応性イオンエッチングで一般に用いられる反応種に耐えるより浅い表面マスク層からシリコンに移される。適切なマスク材料は、ハードベークされたフォトレジスト及び二酸化シリコンの厚い層である。したがって、処理の第1のステップは、マスク層の堆積及びパターニングを含んでおり。フォトレジストは、スピン被覆されかつフォトリソグラフィによってパターニングされることができる。二酸化シリコンは、熱酸化によって形成される、又は化学気相堆積によって被覆されることができる。それは、マスクとしてフォトレジストのより薄い層を使用する、反応性イオンエッチングによってパターニングされることができる。
【0047】
使用されることができる層パターンにはかなりの柔軟性がある。図2乃至図6を参照する以下の記載は、本発明によって提供される構築アプローチの利点、及び前述された従来技術との差異を示す例示的な実施形態に対応し、記載される特定の層パターンに対する修正実施形態が、本発明の範囲から逸脱することなく行われることができることは、当業者には理解されよう。さらなる実施態様は、図7乃至図11に示される。
【0048】
図2(a)は、外側層パターンの平面図である。この外側層パターン200は、電極の維持を提供するように構成され、この示された実施形態において、2つの円筒状電極ロッド(図示せず)、及び所定の場所に円筒状電極ロッドを維持するためのバネ220,225として示される2つの可撓性部材のための一組の位置特徴部分210,215を有している。円筒状電極ロッドの直径は、ウエハの厚みに匹敵している。
【0049】
図2(b)は、内側層パターンの平面図である。この内側層パターン205の左側端には、荷電粒子を電子又はイオン光学システムに集束するために使用される共通静電光学構成部品である、アインツェルレンズ(einzel lens)として作用することができる一組の3つの電極230,235,240が配置されている。また、この内側層パターン205の右側端には、システムの出口でファラデーケージ及びイオンコレクタとして作用することができる、同様の(しかし同一ではない)一組の2つの電極245、250が配置されている。実際、第1及び第2の電極の組は、イオンソース及びイオンカウンタ、すなわち、質量分析器デバイスの入口及び出口光学瞳孔構成部品を形成している。
【0050】
これらの層パターンは、結合された層の全厚みにわたってエッチングされることができる。代わりに、2つのマスク層を含むより複雑な処理が、いくつかの領域における層パターンの深さを制限するために使用されることができる。例えば、シリコンのわずかな厚みは、図2(b)において細かな陰影(fine shading)255によって示されるように、アインツェルレンズ及びファラデーケージにおける上側及び下側電極にリンクしたままであることができる。このプロセスは、遅延されたシャドウマスキングなどの多数の異なる技術を使用して達成されることができることは理解されよう。所定の他の技術が、層の下に連続される電極パターンのいくつかの部品を提供する。
【0051】
図3(a)は、外側層パターンと内側層パターンの関係を示す図である。いくつかの領域において、さらなる特徴が、全体構造が剛性になるように、2つの層間の機械的連続性を確実にするために外側層パターン200に追加される。他の領域において、全ての電極が構造の外側からアクセスされることができるように、外側層パターン200が切断される。2つの層パターン200,205は、両側マスクアライナーを使用して高精度でともに位置合わせされることができる。
【0052】
図3(b)は、外側層パターン内の円筒状電極ロッドの最終位置を示す図である。位置付けバネ220,225は、2つの円筒状電極ロッド300が、内側層上のパターンによって形成された入口及び出口光学部品瞳孔によって形成される光学軸の両側に対称に変位されるように、2本の円筒状電極ロッド300を保持する。バネ200,225は、また、円筒状電極ロッド300に対する電気接点を構成している。
【0053】
図4(a)は、図3に示されたデバイスのウエハ結合の場合の断面図で、酸化物中間層又は絶縁層400は、各ウエハの内側及び外側層間に設けられる。ディープ反応性イオンエッチングの後で、酸化物中間層は、内側及び外側層内のパターンが重なる領域内だけで酸化物が残るように、ウエット化学エッチングによって部分的に取り除かれる。所定の適用は、熱酸化によって、又は化学気相堆積などの被覆プロセスによって、構造上に設けられる追加の酸化物絶縁の追加を必要とすることがある。さらなる処理は、次に、入口及び出口光学システムにおける各シリコン電極、及び円筒状電極を維持するシリコンバネに金属接点を提供するために使用される。接点は、全て構造の外側層からアクセスされることができるので、この金属は、単一側真空蒸着によって追加されることができる。代わりに、スパッタリング堆積などの等角被覆プロセス(conformal coating process)が、全てのシリコン部品に金属被覆を提供するために使用することができる。
【0054】
各2つのウエハがパターニングされると、それらウエハは、ともにアライメントされかつ結合されることができる。金属などのさらなる被覆を無視して、このプロセスは、図4(a)の断面図に示されるように、シリコン−酸化物−シリコン−酸化物−シリコンの多層積層物410を残す。各ウエハは、3つの層、すなわち、外側層200と、内側層205と、外側層200と内側層205との間に設けられた絶縁層400とを備えている。結合プロセスにおいて、各内側層205は、完全な多層積層物410においてただ5つの別個の層が存在するように、結合インタフェース420を形成するように一体に結合される。ちょうど記載された5つの別個層の構成は、多層積層物410を形成する各個別層又は1つの個別層に存在することがある追加の被覆を含まない。アライメント及び結合は、顕微鏡と圧縮及び加熱のための機構部を備える結合ツールなどの様々な技術を使用して実行されることができる。はんだ材料などのさらなる結合剤も使用されることができる。結果として生じる複合ウエハは、個別ダイに分離するためにダイシングされる。この段階で、各デバイスは、単一の剛性のモノリシックブロックである。各デバイスは、次に、サブマウントに取り付けられ、ワイヤボンド接続が、接点メタライゼーションになされる。
【0055】
図4(b)は、図3に示したデバイスの電極ロッド挿入の場合を示す断面図で、望ましくは円筒状である金属電極300は、外側からブロック410に挿入される。四極子分析器の例において、4つの電極300は、四極子動作のために選択されるそれらの直径及び中心間間隙を有する。各電極の水平方向位置は、外側層パターン200内にエッチングされた位置特徴部分210,215及びバネ220,225によって構成される。電極の垂直方向間隙は、市販の利用可能なBSOI材料において正確に特定されることができる、2つの内側の結合されたシリコン層の厚みによって形成される。
【0056】
図5は、本発明によるモノリシックのマイクロエンジニアリングされた質量分析器の製造方法を説明するためのフローチャートを示す図である。
【0057】
本発明に係る質量分析器の製造方法は、(1)ウエハの第1及び第2の側上にマスク層を堆積するステップ(S1)と、(2)第1及び第2の側上のマスク層をパターニングするステップ(S2)と、(3)ウエハの第1及び第2の側をディープ反応性イオンエッチングするステップ(S3)と、(4)マスク層の残留部分を取り除くステップ(S4)と、(5)酸化物中間層をウエットエッチングするステップ(S5)と、(6)ウエハの第1の側又は両側をメタライゼーションするステップ(S6)と、(7)2つのウエハを2ウエハ積層物に結合するステップ(S7)と、(8)結果として生じた複合ウエハをダイシングするステップ(S8)と、(9)個別のダイを搭載してワイヤボンディングするステップ(S9)と、(10)円筒状電極ロッドを挿入するステップ(S10)とを有している。プロセスステップ又はそれらの使用順序における変化は、また同様の結果を達成することができ、本発明を任意の1つのステップの順次の組に制限するものではない。
【0058】
図6は、本発明によるモノリシックのマイクロエンジニアリングされた質量分析器への電気接続の概略図である。直流電圧V1、V2、及びV3は、アインツェルレンズ電極に印加され、V4は、ファラデーケージに印加される。直流及び交流成分の両方を含む電圧VRF1及びVRF2は、円筒状電極に印加される。直流及び交流成分は、質量フィルタリングを提供するために、四極子質量分析器で一般に使用される比を有する。イオン電流Iは、電極からファラデーケージの右側に収集され、トランスインピーダンス増幅器(図示せず)へ通過される。
【0059】
代わりの構成において、集積されたイオンコレクタは省略されることができ、チャネルタイプのマルチプライヤなどの外部検出器を使用されることができる。
【0060】
上述した電極は、イオンフラックスを四極子アセンブリに結合し、質量フィルタリング動作を実行し、かつイオンの結果として生じるフィルタリングされたストリームを検出するために適している。さらなる構成部品は、イオンフラックスを作るために必要である。
【0061】
図7(a)乃至(c)は、本発明の好ましい実施形態によるモノリシックのマイクロエンジニアリングされた質量分析器への入力での、(a)冷陰極電界放出電子ソースと、(b)無線周波数プラズマソースと、(c)電子スプレーソースの位置の概略図で、図7(a)及び図7(b)は、気体状の分析物に関して性能を最適化するような、前述の構成に対する変形実施形態を示す図で、図7(c)は、液体状の分析物に適している修正実施形態を示す図である。
【0062】
気体状の分析物に関して、イオン化は、電子衝撃によって実行されることができる。適切な電子ストリームは、Spindtエミッタ700の平面アレイとして製造された、冷陰極電界放出電子ソースによって提供されることができる。ソースは、図7(a)に示されるようなイオン入力結合光学部品の直前の、エッチングされたシリコンテラス上に配置される(例えば、ハイブリッド集積によって)ことができる。電子及びイオンストリームが効果的に分離されるように、ソースは、質量分析器の主軸に垂直な方向に電子を放出するように構成される。
【0063】
代わりに、電子ソースは、デバイスの外側に配置されることができ、電子は、メッシュ形状又は他の形状あるいは寸法決定された開口を介して注入されることができる。メッシュ形状の利点は、この構成が、等電位のソースケージ内にイオンが作られることを可能にすることである。
【0064】
代わりに、イオン化は、ガスプラズマ内で実行されることができ、ガスプラズマ自体は、図7(b)に示されるように、無線周波数電界705によって生成することができる。この無線周波数電界705は、イオン入力結合光学部品の直前に配置された、エッチングされたシリコンテラス上に配置された一対の電極間に確立されることができる。再び、電子及びイオンストリームが効果的に分離されるように、無線周波数電界705は、質量分析器の主軸に垂直な方向に電子を加速するように構成される。
【0065】
代わりに、イオン化は、直流電位を有する同様の一対の電極によって作られることができる直流放電で実行されることができる。
【0066】
比較的高い圧力は、プラズマ又は直流放電を維持するために必要である。この圧力は、平均自由行程があまりにも短いので、質量フィルタの動作には通常適合しない。本発明で記載されるような2つのウエハを結合することによって密封された、又は部分的に密封されたチャンバを作成する能力は、ソースチャンバが高圧で動作する、又は質量フィルタが低圧で動作する、差動ポンピングされるシステムの構築を可能にする。
【0067】
液体検出物(例えば、液体クロマトグラフィカラムによって提供されるような)に関しては、イオン化は、電子スプレーソース内で実行されることができる。適切なソースは、図7(c)に示されるようなイオン入力結合光学部品の直前に配置された、エッチングされた毛細管チャネル(etched capillary channel)710を使用して構築されることができる。液体は、そのような毛細管チャネル710から、十分に大きな直流電位に保持されたすぐ近くの電極によって帯電された滴のストリームとして抽出されることができる。
【0068】
上述した事項の全ては、図5に記載されるプロセスを使用して実施されることができ、又は、エッチングされた構造のレイアウトに簡単な変更を含むか、又は金属及び酸化物堆積、パターニング、及びエッチングの追加のステップを必要とする記載されたプロセスに対する修正によって実施されることができる。
【0069】
上述された製造アプローチ(すなわち、半導体ウエハ上に多数の同様の構造を作るためのパターニング、堆積、及びエッチングの使用)は、個別のデバイスの製造を参照して記載されたが、それは、アレイタイプの質量分析器として作用することができる、近接するデバイスの並列アレイを生成することに明らかに拡張されることができる。機器感度における増大を得るために、四極子レンズは並列に駆動され、かつイオン電流が合計されることができる。代わりに、多数の異なるイオン種の別個の測定を得るために、四極子レンズは別個に駆動されることができ、かつイオン電流は別個に測定されることができる。
【0070】
上述した製造アプローチは、改善された機能性を提供することができる、近接するデバイスの直列アレイを生成するように拡張されることもできる。
【0071】
図8は、タンデム質量分析器で必要な縦続接続された四極子レンズ間の衝突チャンバの位置の概略図である。タンデム質量分析器として作用するように直列に接続される2つの四極子レンズ800,805を示す。第1の四極子レンズ800は、特定範囲の質量を有するこれらのイオンだけを通過させ、したがって、プレフィルタとして作用するように設定されることができる。選択されたイオンは、衝突チャンバ(collision chamber)810においてフラグメントにされ、さらなる解析のための第2の四極子レンズ805に通過されることができる。
【0072】
衝突チャンバ810は、望ましくは、プラズマは、一対の無線周波数電極815を使用して不活性ガス(例えばアルゴン)の励起によって生成されることができる小さな容積である。上述した方法を使用する衝突チャンバ810の作製は、金属及び酸化物堆積、パターニング、及びエッチングの追加のステップを単に含むものである。差動ポンピングは、この衝突チャンバ810が四極子フィルタより高い圧力で動作することを可能にするために、再び用いられることができる。これらの追加のステップは、当業者には明らかであろう。
【0073】
複合電極及び/又は静電要素の形成又は準備は、多数の表面マスク層によって提供されるものなど特定の複数レベルの処理を必要とすることがある。そのような技術において、2つ以上のマスクは、所望の物理的構成を提供するように、ベースシリコン材料の複合パターニングを提供するために互いに組み合わせられて使用される。
【0074】
図9Aは、一次元メッシュによって覆われる開口に基づく静電要素を形成するための2つのエッチングされた部品のアセンブリを示す図で、どのようにそのような複数レベルの特徴が、イオン又は電子などの荷電粒子を制御するのに適した電極を構築するために使用されることができるかを示す図である。2つのウエハ900,905(又は代わりに2つのダイ)が示され、完全な電極910は、2つのウエハをともに結合することによって作製される。部分的にエッチングされた特徴は、完全にエッチングされた特徴によって確定された平面ダイアフラム電極920に形成された開口915を作るように組み合わせる。
【0075】
図9Bは、一次元メッシュによって覆われる開口に基づく静電要素を形成するための2つのエッチングされた部品のアセンブリを示す図で、一次元メッシュ930によって覆われる開口からなる電極925を形成するためにどのように拡張されることができるかを示す図である。この場合、第1のマスク層は、開口の近傍に一組の近く間隔を開いたストリップを残すようにパターニングされなければならない。
【0076】
このように形成された電極構造は、様々なレンズ要素及び静電デバイスを作製するために使用されることができる。
図10A乃至図10Cは、開口、チューブ、及びメッシュの異なる組み合わせを使用して3要素静電レンズを構築するための、1つの基板上に必要なパターンの平面図である。3つの開口が設けられたダイアフラム1000は、図10Aで示されるようなアインツェルレンズを形成するために使用されることができる。代わりに、中央ダイアフラムは、図10Bによって示されるようなメッシュ1010と置き換えられることができる。この構成は、より強い集束又はより強い反射を可能にする。最後に、3つの電極のうち任意の電極又は全ての電極は、図10Cに示されるように、矩形又は方形断面を有するチューブ1020を形成するように、軸方向に拡張されることができる。
【0077】
最後の構成である図10Cは、本発明で記載されるような四極子デバイスで特に有利である。四極子レンズの入口及び出口の近くで、電界は、円筒状電極ロッドを支持し、かつ位置付けるために使用される近くの構造の存在によってゆがめられる。チューブ形状の電極は、有利に、これらの電界の不完全性からイオンを遮蔽するために四極子のいずれかの端部で用いられることができる。
【0078】
図11A及び図11Bは、質量分析器システムの構成部品を形成するために複数レベルの処理のさらなる使用を示す図で、図11Aは、外部フィラメントを使用して構築される熱陰極イオンソースの平面図で、図11Bは、集積されたフィラメントを使用して構築される熱陰極イオンソースの平面図である。
【0079】
図11Aにおいて、メッシュ素子1100は、電子が外部フィラメント1130から注入されるソースケージ1120のメッシュ素子1100の周囲部分を形成するために使用される。図11Bにおいて、同様の構成は、またエッチングによっても形成される集積されたフィラメント1140を含んでいる。他の構造においては、エッチングによって形成される取り除き可能なフィラメントが使用される。そのような構成の多数の他の可能な配置が存在し、かつこれらの例が排他的ではないことが理解されよう。
【0080】
上述のように、複数の電極の少なくともいくつかは、所望のイオンの部分を反射するモードにおいて動作するように構成される、イオン入口又は出口光学部品を形成するように構成されることができる。イオン反射器のそのような構成は、イオントラップを提供するために使用されることができる。
【0081】
動作において、イオンは、質量分析器の質量フィルタに導入され、次に、イオン入口又は出口光学部品に印加される電圧を逆転することによって、質量フィルタ内のイオンは、質量フィルタの上下で連続して反射され、それによって光学部品に印加された電圧が、イオンをトラップから逃れさせることができるように帯電されるまで、又はイオンが、質量フィルタ自体から得られたエネルギーによって逃れるまで、トラップされかつさらにフィルタリングされる。
【0082】
質量フィルタの入口及び出口の両方での電極の配置は、複数の異なる配置の1つで構成されることができる。例えば、3つの電極構成は、2つの外側要素が同一の電圧が与えられる状態で提供されることができる。そのような配置において、イオンは、システムが主に単一電位の仕方で動作するように、レンズの両側で実質的に同一電位を有する。そのような配置は、一般にアインツェルレンズ配置として知られている。他の配置において、異なる数の電極は、代わりのレンズ構成又は構造を提供するように提供されることができる。電極の数又は個別の電極に印加される電圧は、システムが適用されるアプリケーションに応じて変わることができ、本発明をいずれか1つの配置に限定することを意図するものではない。
【0083】
本発明は、従来のデバイスに対して有利である質量分析器を提供するものである。本発明によるデバイスを使用して、縦続接続フィルタ、一般に四極子フィルタによって従来可能であったより複雑な質量分析を提供することが可能である。本発明の質量分析器デバイスは、そのようなデバイスの適用範囲を拡張するように、気体又は液体クロマトグラフィシステムにおけるような(例えば、ガスクロマトグラフィ質量分析器又はGC−MSシステムにおけるような)、エッチングされたチャネルを含む流体デバイスへの四極子フィルタの接続を可能にすることにも有利である。
【0084】
本発明を参照して本明細書で使用されるとき、用語「備える/備えている」及び用語「有する/含む」は、上述された特徴、整数、ステップ、又は構成部品の存在を特定するために使用されるが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、構成部品、又はそれらのグループの存在又は追加を妨げない。同様に本明細書で使用されるとき、用語「上側」、「下側」、「右側」、「左側」は、説明の都合のためであり、本発明のデバイス又は技術の適用を任意の1つの特定構造に限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】従来のマイクロエンジニアリングされた四極子静電レンズを示す図である。
【図2】本発明によるモノリシックのマイクロエンジニアリングされた質量分析器デバイスにおける、(a)外側及び(b)内側のエッチングされたパターンを示す平面図である。
【図3】本発明による質量分析器デバイスにおける、(a)外側パターンと内側パターンの位置合わせ、及び(b)外側パターンによる電極ロッドの位置を示す平面図である。
【図4】図3に示した質量分析器デバイスの、(a)ウエハ結合、及び(b)電極ロッド挿入を示す断面図である。
【図5】本発明によるモノリシックのマイクロエンジニアリングされた質量分析器の製造方法を説明するためのフローチャートを示す図である。
【図6】本発明によるモノリシックのマイクロエンジニアリングされた質量分析器への電気接続の概略図である。
【図7】本発明の好ましい実施形態によるモノリシックのマイクロエンジニアリングされた質量分析器への入力での、(a)冷陰極電界放出電子ソース、(b)無線周波数プラズマソース、及び(c)電子スプレーソースの位置の概略図である。
【図8】タンデム質量分析器で必要な縦続接続された四極子レンズ間の衝突チャンバの位置の概略図である。
【図9A】一次元メッシュによって覆われる開口に基づく静電要素を形成するための2つのエッチングされた部品のアセンブリを示す図である。
【図9B】一次元メッシュによって覆われる開口に基づく静電要素を形成するための2つのエッチングされた部品のアセンブリを示す図である。
【図10A】開口、チューブ、及びメッシュの異なる組み合わせを使用して3要素静電レンズを構築するための、1つの基板上に必要なパターンの平面図である。
【図10B】開口、チューブ、及びメッシュの異なる組み合わせを使用して3要素静電レンズを構築するための、1つの基板上に必要なパターンの平面図である。
【図10C】開口、チューブ、及びメッシュの異なる組み合わせを使用して3要素静電レンズを構築するための、1つの基板上に必要なパターンの平面図である。
【図11A】外部フィラメントを使用して構築される熱陰極イオンソースの平面図である。
【図11B】集積されたフィラメントを使用して構築される熱陰極イオンソースの平面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの多層ウエハから構成される集積型質量分析器デバイスであって、
前記多層ウエハの各々は、内側層と、外側層と、前記内側層と前記外側層との間に設けられた絶縁層とを有し、前記デバイスは、複数の電極と複数の電極ロッドを有し、前記複数の電極と前記複数の電極ロッドは、前記多層ウエハの別個の層上に設けられていることを特徴とするデバイス。
【請求項2】
前記多層ウエハの各々は、5層構造を構成するために組み合わせられた少なくとも3層を有することを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記電極ロッドは、前記多層ウエハの各々の前記外側層に搭載可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記多層ウエハの各々の前記外側層は、該外側層内に前記電極ロッドを受けるように寸法決定され、前記電極ロッドは、前記外側層内に設けられた少なくとも1つの弾性部材によって前記外側層との接触状態を維持されていることを特徴とする請求項3に記載のデバイス。
【請求項5】
前記少なくとも1つの弾性部材は、前記多層ウエハに設けられたバネによって提供されていることを特徴とする請求項4に記載のデバイス。
【請求項6】
前記電極ロッドは、前記多層ウエハの前記外側層内にエッチングされた特徴部によって配置され、該特徴部は、前記電極ロッドを適切に受けるように寸法決定され、前記弾性部材は、前記外側層をエッチングすることによって形成されていることを特徴とする請求項4に記載のデバイス。
【請求項7】
前記多層ウエハを構成する第1及び第2のウエハの各々は、第1の側の外側パターン及び第2の側の内側パターンでパターニングされていることを特徴とする請求項1乃至6にいずれかに記載のデバイス。
【請求項8】
前記第2の側に設けられた前記内側パターンは、前記質量分析器のイオンソース及びイオン収集構成部品を提供することを特徴とする請求項7に記載のデバイス。
【請求項9】
前記絶縁層は、前記パターンが重なり合う領域に設けられていることを特徴とする請求項7又は8に記載のデバイス。
【請求項10】
前記第1及び第2のウエハ、又は前記第1及び第2のウエハからの個々のダイは、モノリシックブロックを構成するために結合されていることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載のデバイス。
【請求項11】
前記第1及び第2のウエハの結合は、前記電極ロッドが前記モノリシックブロックの外側部分上に配置され、かつ前記電極が前記モノリシックブロックの内側部分内に配置されるように行われていることを特徴とする請求項10に記載のデバイス。
【請求項12】
前記電極ロッドは、前記質量分析器の質量フィルタ構成部品を構成することを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載のデバイス。
【請求項13】
4つの円筒状電極ロッドを含み、該円筒状電極ロッドの各々は、四極子動作のために正しく選択されたその直径及び中心間間隙を有することを特徴とする請求項12に記載のデバイス。
【請求項14】
前記各多層ウエハ内の前記円筒状電極の水平方向間隙は、リソグラフィ及びディープ反応性イオンエッチングによって形成されていることを特徴とする請求項12又は13に記載のデバイス。
【請求項15】
前記円筒状電極の垂直方向間隙は、アセンブリの間にともに結合される2つの内側層の組み合わせられた厚みによって形成されていることを特徴とする請求項12乃至15のいずれかに記載のデバイス。
【請求項16】
前記複数の電極の少なくともいくつかは、イオン入口光学部品を形成するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至15のいずれかに記載のデバイス。
【請求項17】
前記イオン入口光学部品は、アインツェルレンズによって構成されていることを特徴とする請求項16に記載のデバイス。
【請求項18】
前記イオン入口光学部品の前に設けられた冷陰極電界放出電子ソースを備えていることを特徴とする請求項16に記載のデバイス。
【請求項19】
a)熱陰極ソースと、
b)直流放電ソースと、
c)交流放電ソースと、
d)電子スプレーソースと
の1つから選択された電子ソースを備えていることを特徴とする請求項16に記載のデバイス。
【請求項20】
一対の無線周波数電極が、プラズマを生成するために前記イオン入口光学部品の前に配置されていることを特徴とする請求項16に記載のデバイス。
【請求項21】
前記イオン入口光学部品は、ともに電子スプレーソースを構成する一組の電極と組み合わせられたエッチングされた流体チャネルから構成されていることを特徴とする請求項16に記載のデバイス。
【請求項22】
前記多層ウエハの各々は、絶縁体ウエハ上のシリコンに結合されていることを特徴とする請求項1乃至21のいずれかに記載のデバイス。
【請求項23】
2つ以上の別個のチャンバを有し、個別のチャンバの提供は、差動ポンピングされるシステム内での前記デバイスの使用を可能にすることを特徴とする請求項1乃至22のいずれかに記載のデバイス。
【請求項24】
メッシュ構成で設けられたイオンソースを備えたことを特徴とする請求項1乃至23のいずれかに記載のデバイス。
【請求項25】
前記複数の電極の少なくともいくつかは、メッシュ構成で配置されていることを特徴とする請求項1乃至24のいずれかに記載のデバイス。
【請求項26】
前記複数の電極の少なくともいくつかは、チューブ配置で構成されていることを特徴とする請求項1乃至23のいずれかに記載のデバイス。
【請求項27】
前記チューブ配置は、前記電極ロッドに対する入口又は出口の少なくとも1つに配置されたレンズを提供することを特徴とする請求項26に記載のデバイス。
【請求項28】
前記複数の電極の少なくともいくつかは、イオン反射器として構成されていることを特徴とする請求項1乃至27のいずれかに記載のデバイス。
【請求項29】
前記イオン反射器は、線形イオントラップを提供するように構成されていることを特徴とする請求項28に記載のデバイス。
【請求項30】
電子のソースを提供するように構成されるフィラメント要素を備え、該フィラメント要素は、
a)外部に提供されたフィラメントと、
b)内部に形成されたフィラメント又は
c)取り外し可能なフィラメントと
のタイプの1つとして構成されていることを特徴とする請求項1乃至29のいずれかに記載のデバイス。
【請求項31】
イオンソース及び/又はイオン検出器と協働する請求項1に記載のデバイスを備え、前記イオンソース及び/又は前記イオン検出器の少なくとも1つは、前記デバイスの外部に設けられていることを特徴とする質量分析器システム。
【請求項32】
請求項1乃至30のいずれかに記載の複数のデバイスを備えていることを特徴とする質量分析器アレイ。
【請求項33】
請求項1乃至30のいずれかに記載のデバイスを2つ以上備え、前記2つ以上のデバイスは、タンデム質量分析器を構成するように直列に設けられていることを特徴とする質量分析器システム。
【請求項34】
前記直列のデバイスを構成する前記各デバイスは、四極子デバイスであり、一対の無線周波数電極は、プラズマを生成するために縦続接続された前記四極子デバイス間に配置されていることを特徴とする請求項33に記載の質量分析器システム。
【請求項35】
a)前記質量分析器のための構成部品を構成する、ウエハ上の内側及び外側パターンをエッチングするステップと、
b)多層の積層デバイスを構成するように第2のウエハに前記ウエハを結合するステップと、
c)前記デバイス内に少なくとも1つの電極ロッドを挿入するステップと、
d)前記デバイス内に少なくとも1つの電極を提供するステップとを有し、
前記少なくとも1つの電極及び少なくとも1つの電極ロッドは、前記ウエハの個別の層上に提供されていることを特徴とする質量分析器の製造方法。
【請求項36】
少なくとも1つの前記個別の層は、少なくとも2つのマスクを含むエッチングステップによって提供されていることを特徴とする請求項35に記載の質量分析器の製造方法。
【請求項37】
前記少なくとも1つの電極を提供するステップは、
a)チューブ配置と、
b)メッシュ配置と、及び/又は
c)ダイアフラム電極配置と
の少なくとも1つの構成に前記少なくとも1つの電極を提供することを含むことを特徴とする請求項31又は32に記載の質量分析器の製造方法。
【請求項38】
前記メッシュ配置は、内部に電子が外部フィラメントから放出されることができるソースケージの周囲の少なくとも一部を形成するように提供されることを特徴とする請求項37に記載の質量分析器の製造方法。
【請求項39】
前記ダイアフラム電極配置は、3電極構成の形態で提供され、該3電極構成の内側及び外側電極は、同一の電位で動作するように構成されていることを特徴とする請求項37に記載の質量分析器の製造方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの多層ウエハから形成される集積型質量分析器デバイスであって、
前記多層ウエハの各々は、第1の層と、第2の層と、前記第1の層と前記第2の層との間に設けられた絶縁層とを有し、前記デバイスは、複数の電極ロッドと複数の平面電極とを有し、該平面電極は前記第1の層に形成され、かつ前記電極ロッドは前記第2の層に設けられ、該第2の層は、前記電極ロッドを受けるように寸法決定され、該電極ロッドは、前記第2の層内に形成された少なくとも1つの弾性部材によって、前記第2の層との接触状態を維持されていることを特徴とするデバイス。
【請求項2】
前記多層ウエハの各々は、5層構造を構成するために組み合わせられた3層を有することを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記電極ロッドは、前記多層ウエハの各々の前記第2の層に搭載可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記少なくとも1つの弾性部材は、前記多層ウエハに構成されたバネによって提供されることを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
前記電極ロッドは、前記多層ウエハの前記第2の層内にエッチングされた特徴部によって配置され、該特徴部は、前記電極ロッドを適切に受けるように寸法決定され、前記弾性部材は、前記第2の層をエッチングすることによって形成されていることを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
前記多層ウエハを構成する第1及び第2のウエハの各々は、前記第2の層に設けられた外側パターン及び前記第1の層に設けられた内側パターンでパターニングされていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のデバイス。
【請求項7】
前記第1の層上に設けられた前記内側パターンは、前記質量分析器のイオンソース及びイオン収集構成部品を提供することを特徴とする請求項6に記載のデバイス。
【請求項8】
前記絶縁層は、前記パターンが重なり合う領域に設けられていることを特徴とする請求項6又は7に記載のデバイス。
【請求項9】
前記第1及び第2のウエハは、モノリシックブロックを構成するために結合されていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載のデバイス。
【請求項10】
前記第1及び第2のウエハの結合は、前記電極ロッドが前記ブロックの外側部分上に配置され、かつ前記電極が前記ブロックの内側部分内に配置されるように行われることを特徴とする請求項9に記載のデバイス。
【請求項11】
前記電極ロッドは、前記質量分析器の質量フィルタ構成部品を構成していることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載のデバイス。
【請求項12】
4つの円筒状電極ロッドを含み、該円筒状電極ロッドの各々は、四極子動作のために正しく選択されたその直径及び中心間間隙を有することを特徴とする請求項11に記載のデバイス。
【請求項13】
前記各多層ウエハ内の前記円筒状電極の水平方向間隙は、リソグラフィ及びディープ反応性イオンエッチングによって形成されることを特徴とする請求項11又は12に記載のデバイス。
【請求項14】
前記円筒状電極の垂直方向間隙は、結合された2つのウエハの組み合わせられた厚みによって形成されることを特徴とする請求項11乃至13のいずれかに記載のデバイス。
【請求項15】
前記複数の電極の少なくともいくつかは、イオン入口光学部品を形成するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至14のいずれかに記載のデバイス。
【請求項16】
前記イオン入口光学部品は、アインツェルレンズによって構成されていることを特徴とする請求項15に記載のデバイス。
【請求項17】
前記イオン入口光学部品の前に設けられた冷陰極電界放出電子ソースを備えていることを特徴とする請求項15に記載のデバイス。
【請求項18】
a)熱陰極ソースと、
b)直流放電ソースと、
c)交流放電ソースと、
d)電子スプレーソースと
の1つから選択された電子ソースを備えていることを特徴とする請求項15に記載のデバイス。
【請求項19】
一対の無線周波数電極が、プラズマを生成するために前記イオン入口光学部品の前に配置されていることを特徴とする請求項15に記載のデバイス。
【請求項20】
前記イオン入口光学部品は、ともに電子スプレーソースを規定する一組の電極と組み合わせられたエッチングされた流体チャネルから構成されていることを特徴とする請求項15に記載のデバイス。
【請求項21】
前記多層ウエハの各々は、絶縁体ウエハ上のシリコンに結合されていることを特徴とする請求項1乃至20のいずれかに記載のデバイス。
【請求項22】
2つ以上の別個のチャンバを有し、個別のチャンバの提供は、差動ポンピングされるシステム内での前記デバイスの使用を可能にすることを特徴とする請求項1乃至21のいずれかに記載のデバイス。
【請求項23】
メッシュ構成で設けられたイオンソースを備えたことを特徴とする請求項1乃至22のいずれかに記載のデバイス。
【請求項24】
前記複数の電極の少なくともいくつかは、メッシュ構成で配置されていることを特徴とする請求項1乃至23のいずれかに記載のデバイス。
【請求項25】
前記複数の電極の少なくともいくつかは、チューブ配置で構成されていることを特徴とする請求項1乃至22のいずれかに記載のデバイス。
【請求項26】
前記チューブ配置は、前記電極ロッドに対する入口又は出口の少なくとも1つに配置されたレンズを提供することを特徴とする請求項25に記載のデバイス。
【請求項27】
前記複数の電極ロッドの少なくともいくつかは、イオン反射器として構成されていることを特徴とする請求項1乃至26のいずれかに記載のデバイス。
【請求項28】
前記イオン反射器は、線形イオントラップを提供するように構成されていることを特徴とする請求項27に記載のデバイス。
【請求項29】
電子のソースを提供するように構成されるフィラメント要素を備え、該フィラメント要素は、
a)外部に提供されたフィラメントと、
b)内部に形成されたフィラメントと、又は
c)取り外し可能なフィラメントと
のタイプの1つとして構成されていることを特徴とする請求項1乃至28のいずれかに記載のデバイス。
【請求項30】
イオンソース及び/又はイオン検出器と協働する請求項1に記載のデバイスを備え、前記イオンソース及び/又はイオン検出器の少なくとも1つは、前記デバイスの外部に設けられていることを特徴とする質量分析器システム。
【請求項31】
請求項1乃至29のいずれかに記載のデバイスを備えていることを特徴とする質量分析器アレイ。
【請求項32】
請求項1乃至29のいずれかに記載のデバイスを2つ以上備え、前記2つ以上のデバイスは、タンデム質量分析器を構成するように直列に設けられていることを特徴とする質量分析器システム。
【請求項33】
前記直列のデバイスを構成する前記各デバイスは、四極子デバイスであり、一対の無線周波数電極は、プラズマを生成するために縦続接続された前記四極子デバイス間に配置されていることを特徴とする請求項32に記載の質量分析器システム。
【請求項34】
a)第1の層と、第2の層と、前記第1の層と前記第2の層との間に設けられた絶縁層とからなる少なくとも3つの層を有する、第1及び第2のウエハを準備するステップと、
b)各ウエハ上で、それぞれ前記第1及び第2の層上で内側パターンと外側パターンをエッチングするステップであって、前記内側パターンと外側パターンは、前記質量分析器のための構成部品を形成し、各ウエハの前記第1の層は、その上に形成された少なくとも1つの電極を有し、各ウエハの前記第2の層は、少なくとも1つの電極ロッドを受けるように寸法決定され、前記第2の層は、前記第2の層に形成される少なくとも1つの弾性部材を有し、該弾性部材は、前記第2の層と接触した状態で前記電極ロッドを維持するように構成され、
c)その後、多層の積層デバイスを形成するように、前記2つのパターニングされたウエハをともに結合するステップと、
d)デバイスの各ウエハの前記第2の層に少なくとも1つの電極ロッドを挿入するステップと
を有することを特徴とする質量分析器の製造方法。
【請求項35】
少なくとも1つの前記個別の層は、少なくとも2つのマスクを含むエッチングステップによって提供されることを特徴とする請求項34に記載の質量分析器の製造方法。
【請求項36】
前記少なくとも1つの電極を提供するステップは、
a)チューブ配置と、
b)メッシュ配置と、及び/又は
c)ダイアフラム電極配置と
の少なくとも1つの構成に前記少なくとも1つの電極を提供することを含むことを特徴とする請求項34又は35に記載の質量分析器の製造方法。
【請求項37】
前記メッシュ配置は、内部に電子が外部フィラメントから放出されることができるソースケージの周囲の少なくとも一部を形成するように提供されることを特徴とする請求項36に記載の質量分析器の製造方法。
【請求項38】
前記ダイアフラム電極配置は、3電極構成の形態で提供され、該3電極構成の内側及び外側電極は、同一の電位で動作するように構成されていることを特徴とする請求項36に記載の質量分析器の製造方法。
【請求項1】
2つの多層ウエハから構成される集積型質量分析器デバイスであって、
前記多層ウエハの各々は、内側層と、外側層と、前記内側層と前記外側層との間に設けられた絶縁層とを有し、前記デバイスは、複数の電極と複数の電極ロッドを有し、前記複数の電極と前記複数の電極ロッドは、前記多層ウエハの別個の層上に設けられていることを特徴とするデバイス。
【請求項2】
前記多層ウエハの各々は、5層構造を構成するために組み合わせられた少なくとも3層を有することを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記電極ロッドは、前記多層ウエハの各々の前記外側層に搭載可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記多層ウエハの各々の前記外側層は、該外側層内に前記電極ロッドを受けるように寸法決定され、前記電極ロッドは、前記外側層内に設けられた少なくとも1つの弾性部材によって前記外側層との接触状態を維持されていることを特徴とする請求項3に記載のデバイス。
【請求項5】
前記少なくとも1つの弾性部材は、前記多層ウエハに設けられたバネによって提供されていることを特徴とする請求項4に記載のデバイス。
【請求項6】
前記電極ロッドは、前記多層ウエハの前記外側層内にエッチングされた特徴部によって配置され、該特徴部は、前記電極ロッドを適切に受けるように寸法決定され、前記弾性部材は、前記外側層をエッチングすることによって形成されていることを特徴とする請求項4に記載のデバイス。
【請求項7】
前記多層ウエハを構成する第1及び第2のウエハの各々は、第1の側の外側パターン及び第2の側の内側パターンでパターニングされていることを特徴とする請求項1乃至6にいずれかに記載のデバイス。
【請求項8】
前記第2の側に設けられた前記内側パターンは、前記質量分析器のイオンソース及びイオン収集構成部品を提供することを特徴とする請求項7に記載のデバイス。
【請求項9】
前記絶縁層は、前記パターンが重なり合う領域に設けられていることを特徴とする請求項7又は8に記載のデバイス。
【請求項10】
前記第1及び第2のウエハ、又は前記第1及び第2のウエハからの個々のダイは、モノリシックブロックを構成するために結合されていることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載のデバイス。
【請求項11】
前記第1及び第2のウエハの結合は、前記電極ロッドが前記モノリシックブロックの外側部分上に配置され、かつ前記電極が前記モノリシックブロックの内側部分内に配置されるように行われていることを特徴とする請求項10に記載のデバイス。
【請求項12】
前記電極ロッドは、前記質量分析器の質量フィルタ構成部品を構成することを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載のデバイス。
【請求項13】
4つの円筒状電極ロッドを含み、該円筒状電極ロッドの各々は、四極子動作のために正しく選択されたその直径及び中心間間隙を有することを特徴とする請求項12に記載のデバイス。
【請求項14】
前記各多層ウエハ内の前記円筒状電極の水平方向間隙は、リソグラフィ及びディープ反応性イオンエッチングによって形成されていることを特徴とする請求項12又は13に記載のデバイス。
【請求項15】
前記円筒状電極の垂直方向間隙は、アセンブリの間にともに結合される2つの内側層の組み合わせられた厚みによって形成されていることを特徴とする請求項12乃至15のいずれかに記載のデバイス。
【請求項16】
前記複数の電極の少なくともいくつかは、イオン入口光学部品を形成するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至15のいずれかに記載のデバイス。
【請求項17】
前記イオン入口光学部品は、アインツェルレンズによって構成されていることを特徴とする請求項16に記載のデバイス。
【請求項18】
前記イオン入口光学部品の前に設けられた冷陰極電界放出電子ソースを備えていることを特徴とする請求項16に記載のデバイス。
【請求項19】
a)熱陰極ソースと、
b)直流放電ソースと、
c)交流放電ソースと、
d)電子スプレーソースと
の1つから選択された電子ソースを備えていることを特徴とする請求項16に記載のデバイス。
【請求項20】
一対の無線周波数電極が、プラズマを生成するために前記イオン入口光学部品の前に配置されていることを特徴とする請求項16に記載のデバイス。
【請求項21】
前記イオン入口光学部品は、ともに電子スプレーソースを構成する一組の電極と組み合わせられたエッチングされた流体チャネルから構成されていることを特徴とする請求項16に記載のデバイス。
【請求項22】
前記多層ウエハの各々は、絶縁体ウエハ上のシリコンに結合されていることを特徴とする請求項1乃至21のいずれかに記載のデバイス。
【請求項23】
2つ以上の別個のチャンバを有し、個別のチャンバの提供は、差動ポンピングされるシステム内での前記デバイスの使用を可能にすることを特徴とする請求項1乃至22のいずれかに記載のデバイス。
【請求項24】
メッシュ構成で設けられたイオンソースを備えたことを特徴とする請求項1乃至23のいずれかに記載のデバイス。
【請求項25】
前記複数の電極の少なくともいくつかは、メッシュ構成で配置されていることを特徴とする請求項1乃至24のいずれかに記載のデバイス。
【請求項26】
前記複数の電極の少なくともいくつかは、チューブ配置で構成されていることを特徴とする請求項1乃至23のいずれかに記載のデバイス。
【請求項27】
前記チューブ配置は、前記電極ロッドに対する入口又は出口の少なくとも1つに配置されたレンズを提供することを特徴とする請求項26に記載のデバイス。
【請求項28】
前記複数の電極の少なくともいくつかは、イオン反射器として構成されていることを特徴とする請求項1乃至27のいずれかに記載のデバイス。
【請求項29】
前記イオン反射器は、線形イオントラップを提供するように構成されていることを特徴とする請求項28に記載のデバイス。
【請求項30】
電子のソースを提供するように構成されるフィラメント要素を備え、該フィラメント要素は、
a)外部に提供されたフィラメントと、
b)内部に形成されたフィラメント又は
c)取り外し可能なフィラメントと
のタイプの1つとして構成されていることを特徴とする請求項1乃至29のいずれかに記載のデバイス。
【請求項31】
イオンソース及び/又はイオン検出器と協働する請求項1に記載のデバイスを備え、前記イオンソース及び/又は前記イオン検出器の少なくとも1つは、前記デバイスの外部に設けられていることを特徴とする質量分析器システム。
【請求項32】
請求項1乃至30のいずれかに記載の複数のデバイスを備えていることを特徴とする質量分析器アレイ。
【請求項33】
請求項1乃至30のいずれかに記載のデバイスを2つ以上備え、前記2つ以上のデバイスは、タンデム質量分析器を構成するように直列に設けられていることを特徴とする質量分析器システム。
【請求項34】
前記直列のデバイスを構成する前記各デバイスは、四極子デバイスであり、一対の無線周波数電極は、プラズマを生成するために縦続接続された前記四極子デバイス間に配置されていることを特徴とする請求項33に記載の質量分析器システム。
【請求項35】
a)前記質量分析器のための構成部品を構成する、ウエハ上の内側及び外側パターンをエッチングするステップと、
b)多層の積層デバイスを構成するように第2のウエハに前記ウエハを結合するステップと、
c)前記デバイス内に少なくとも1つの電極ロッドを挿入するステップと、
d)前記デバイス内に少なくとも1つの電極を提供するステップとを有し、
前記少なくとも1つの電極及び少なくとも1つの電極ロッドは、前記ウエハの個別の層上に提供されていることを特徴とする質量分析器の製造方法。
【請求項36】
少なくとも1つの前記個別の層は、少なくとも2つのマスクを含むエッチングステップによって提供されていることを特徴とする請求項35に記載の質量分析器の製造方法。
【請求項37】
前記少なくとも1つの電極を提供するステップは、
a)チューブ配置と、
b)メッシュ配置と、及び/又は
c)ダイアフラム電極配置と
の少なくとも1つの構成に前記少なくとも1つの電極を提供することを含むことを特徴とする請求項31又は32に記載の質量分析器の製造方法。
【請求項38】
前記メッシュ配置は、内部に電子が外部フィラメントから放出されることができるソースケージの周囲の少なくとも一部を形成するように提供されることを特徴とする請求項37に記載の質量分析器の製造方法。
【請求項39】
前記ダイアフラム電極配置は、3電極構成の形態で提供され、該3電極構成の内側及び外側電極は、同一の電位で動作するように構成されていることを特徴とする請求項37に記載の質量分析器の製造方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの多層ウエハから形成される集積型質量分析器デバイスであって、
前記多層ウエハの各々は、第1の層と、第2の層と、前記第1の層と前記第2の層との間に設けられた絶縁層とを有し、前記デバイスは、複数の電極ロッドと複数の平面電極とを有し、該平面電極は前記第1の層に形成され、かつ前記電極ロッドは前記第2の層に設けられ、該第2の層は、前記電極ロッドを受けるように寸法決定され、該電極ロッドは、前記第2の層内に形成された少なくとも1つの弾性部材によって、前記第2の層との接触状態を維持されていることを特徴とするデバイス。
【請求項2】
前記多層ウエハの各々は、5層構造を構成するために組み合わせられた3層を有することを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記電極ロッドは、前記多層ウエハの各々の前記第2の層に搭載可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記少なくとも1つの弾性部材は、前記多層ウエハに構成されたバネによって提供されることを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
前記電極ロッドは、前記多層ウエハの前記第2の層内にエッチングされた特徴部によって配置され、該特徴部は、前記電極ロッドを適切に受けるように寸法決定され、前記弾性部材は、前記第2の層をエッチングすることによって形成されていることを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
前記多層ウエハを構成する第1及び第2のウエハの各々は、前記第2の層に設けられた外側パターン及び前記第1の層に設けられた内側パターンでパターニングされていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のデバイス。
【請求項7】
前記第1の層上に設けられた前記内側パターンは、前記質量分析器のイオンソース及びイオン収集構成部品を提供することを特徴とする請求項6に記載のデバイス。
【請求項8】
前記絶縁層は、前記パターンが重なり合う領域に設けられていることを特徴とする請求項6又は7に記載のデバイス。
【請求項9】
前記第1及び第2のウエハは、モノリシックブロックを構成するために結合されていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載のデバイス。
【請求項10】
前記第1及び第2のウエハの結合は、前記電極ロッドが前記ブロックの外側部分上に配置され、かつ前記電極が前記ブロックの内側部分内に配置されるように行われることを特徴とする請求項9に記載のデバイス。
【請求項11】
前記電極ロッドは、前記質量分析器の質量フィルタ構成部品を構成していることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載のデバイス。
【請求項12】
4つの円筒状電極ロッドを含み、該円筒状電極ロッドの各々は、四極子動作のために正しく選択されたその直径及び中心間間隙を有することを特徴とする請求項11に記載のデバイス。
【請求項13】
前記各多層ウエハ内の前記円筒状電極の水平方向間隙は、リソグラフィ及びディープ反応性イオンエッチングによって形成されることを特徴とする請求項11又は12に記載のデバイス。
【請求項14】
前記円筒状電極の垂直方向間隙は、結合された2つのウエハの組み合わせられた厚みによって形成されることを特徴とする請求項11乃至13のいずれかに記載のデバイス。
【請求項15】
前記複数の電極の少なくともいくつかは、イオン入口光学部品を形成するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至14のいずれかに記載のデバイス。
【請求項16】
前記イオン入口光学部品は、アインツェルレンズによって構成されていることを特徴とする請求項15に記載のデバイス。
【請求項17】
前記イオン入口光学部品の前に設けられた冷陰極電界放出電子ソースを備えていることを特徴とする請求項15に記載のデバイス。
【請求項18】
a)熱陰極ソースと、
b)直流放電ソースと、
c)交流放電ソースと、
d)電子スプレーソースと
の1つから選択された電子ソースを備えていることを特徴とする請求項15に記載のデバイス。
【請求項19】
一対の無線周波数電極が、プラズマを生成するために前記イオン入口光学部品の前に配置されていることを特徴とする請求項15に記載のデバイス。
【請求項20】
前記イオン入口光学部品は、ともに電子スプレーソースを規定する一組の電極と組み合わせられたエッチングされた流体チャネルから構成されていることを特徴とする請求項15に記載のデバイス。
【請求項21】
前記多層ウエハの各々は、絶縁体ウエハ上のシリコンに結合されていることを特徴とする請求項1乃至20のいずれかに記載のデバイス。
【請求項22】
2つ以上の別個のチャンバを有し、個別のチャンバの提供は、差動ポンピングされるシステム内での前記デバイスの使用を可能にすることを特徴とする請求項1乃至21のいずれかに記載のデバイス。
【請求項23】
メッシュ構成で設けられたイオンソースを備えたことを特徴とする請求項1乃至22のいずれかに記載のデバイス。
【請求項24】
前記複数の電極の少なくともいくつかは、メッシュ構成で配置されていることを特徴とする請求項1乃至23のいずれかに記載のデバイス。
【請求項25】
前記複数の電極の少なくともいくつかは、チューブ配置で構成されていることを特徴とする請求項1乃至22のいずれかに記載のデバイス。
【請求項26】
前記チューブ配置は、前記電極ロッドに対する入口又は出口の少なくとも1つに配置されたレンズを提供することを特徴とする請求項25に記載のデバイス。
【請求項27】
前記複数の電極ロッドの少なくともいくつかは、イオン反射器として構成されていることを特徴とする請求項1乃至26のいずれかに記載のデバイス。
【請求項28】
前記イオン反射器は、線形イオントラップを提供するように構成されていることを特徴とする請求項27に記載のデバイス。
【請求項29】
電子のソースを提供するように構成されるフィラメント要素を備え、該フィラメント要素は、
a)外部に提供されたフィラメントと、
b)内部に形成されたフィラメントと、又は
c)取り外し可能なフィラメントと
のタイプの1つとして構成されていることを特徴とする請求項1乃至28のいずれかに記載のデバイス。
【請求項30】
イオンソース及び/又はイオン検出器と協働する請求項1に記載のデバイスを備え、前記イオンソース及び/又はイオン検出器の少なくとも1つは、前記デバイスの外部に設けられていることを特徴とする質量分析器システム。
【請求項31】
請求項1乃至29のいずれかに記載のデバイスを備えていることを特徴とする質量分析器アレイ。
【請求項32】
請求項1乃至29のいずれかに記載のデバイスを2つ以上備え、前記2つ以上のデバイスは、タンデム質量分析器を構成するように直列に設けられていることを特徴とする質量分析器システム。
【請求項33】
前記直列のデバイスを構成する前記各デバイスは、四極子デバイスであり、一対の無線周波数電極は、プラズマを生成するために縦続接続された前記四極子デバイス間に配置されていることを特徴とする請求項32に記載の質量分析器システム。
【請求項34】
a)第1の層と、第2の層と、前記第1の層と前記第2の層との間に設けられた絶縁層とからなる少なくとも3つの層を有する、第1及び第2のウエハを準備するステップと、
b)各ウエハ上で、それぞれ前記第1及び第2の層上で内側パターンと外側パターンをエッチングするステップであって、前記内側パターンと外側パターンは、前記質量分析器のための構成部品を形成し、各ウエハの前記第1の層は、その上に形成された少なくとも1つの電極を有し、各ウエハの前記第2の層は、少なくとも1つの電極ロッドを受けるように寸法決定され、前記第2の層は、前記第2の層に形成される少なくとも1つの弾性部材を有し、該弾性部材は、前記第2の層と接触した状態で前記電極ロッドを維持するように構成され、
c)その後、多層の積層デバイスを形成するように、前記2つのパターニングされたウエハをともに結合するステップと、
d)デバイスの各ウエハの前記第2の層に少なくとも1つの電極ロッドを挿入するステップと
を有することを特徴とする質量分析器の製造方法。
【請求項35】
少なくとも1つの前記個別の層は、少なくとも2つのマスクを含むエッチングステップによって提供されることを特徴とする請求項34に記載の質量分析器の製造方法。
【請求項36】
前記少なくとも1つの電極を提供するステップは、
a)チューブ配置と、
b)メッシュ配置と、及び/又は
c)ダイアフラム電極配置と
の少なくとも1つの構成に前記少なくとも1つの電極を提供することを含むことを特徴とする請求項34又は35に記載の質量分析器の製造方法。
【請求項37】
前記メッシュ配置は、内部に電子が外部フィラメントから放出されることができるソースケージの周囲の少なくとも一部を形成するように提供されることを特徴とする請求項36に記載の質量分析器の製造方法。
【請求項38】
前記ダイアフラム電極配置は、3電極構成の形態で提供され、該3電極構成の内側及び外側電極は、同一の電位で動作するように構成されていることを特徴とする請求項36に記載の質量分析器の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図11A】
【図11B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図11A】
【図11B】
【公表番号】特表2006−501603(P2006−501603A)
【公表日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−525359(P2004−525359)
【出願日】平成15年7月29日(2003.7.29)
【国際出願番号】PCT/EP2003/008354
【国際公開番号】WO2004/013890
【国際公開日】平成16年2月12日(2004.2.12)
【出願人】(505037981)マイクロサイク システムズ リミテッド (8)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成15年7月29日(2003.7.29)
【国際出願番号】PCT/EP2003/008354
【国際公開番号】WO2004/013890
【国際公開日】平成16年2月12日(2004.2.12)
【出願人】(505037981)マイクロサイク システムズ リミテッド (8)
【Fターム(参考)】
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