質量分析検出用の基質及び内部標準

式:A-(B1-B2-B3)で表される基質化合物を含む、本発明の基質を提供するが、ここでAは糖部分であり、B1は該部分Aと、該基質の残りの構造との結合を可能とするリンカー部分であり、B2は、質量分析法による分析のために、プロトンアフィニティー及びイオン化効率を高めるための、四級アンモニウム基等の永続的に帯電した要素を含み、またB3はターゲット酵素に対する特異性を与える、様々な炭素鎖長を持つものである。また、本発明は、内部標準と共に、本発明の基質とサンプルとを接触させることにより、リソソーム蓄積症を検出する方法をも提供するものであり、ここで該内部標準は、同位体-標識された、該基質にターゲット酵素を作用させた際に開裂されて得られる生成物の類似体である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願との相互引照)
本件特許出願は、2006年3月13日付で出願された、米国仮特許出願第60/718,855号に基く優先権を主張するものである。該米国仮特許出願を、参考として本明細書に組み入れる。
本発明は、分析試薬及びサンプル中のタンパク質を同時に定量するための、該分析試薬を使用する、質量分析法に基く方法に関するものである。より詳しくは、本発明は、質量分析法を利用する、リソソーム酵素活性を定量するための、多重アッセイ及び試薬に関するものである。
【背景技術】
【0002】
リソソーム蓄積症は、身体内の特定の酵素の欠乏によって特徴付けられる、一群の遺伝性の疾患であり、代謝物質の分解に係る、身体の無能力化を結果する。一例として、ファブリー病は、40,000人に一人の割合で見られるリソソーム蓄積症の一種である。この疾患は、酵素としてのα-ガラクトシダーゼの欠乏に起因し、該酵素の欠乏は、グロボトリアオシルセラミドと呼ばれる特定の脂肪物質の分解に係る、身体の無能力化を結果する。第二の例は、ゴーシェ病であり、これはグルコシルセラミドと呼ばれる(グルコセレブロシドとも呼ばれる)脂肪物質又は脂質の分解に係る無能力化に起因するリソソーム蓄積症である。ゴーシェ病に罹患した個人は、グルコセレブロシダーゼ、即ちこれらの脂肪物質を分解するのに必要とされる酵素を製造しない。従って、これらの脂肪物質は、肝臓、脾臓、及び骨髄の細胞内に蓄積される。第三の例は、ポンペ病、即ちグリコーゲンと呼ばれる幾つかの糖を分解するのに必要とされる酵素、酸性α-グルコシダーゼの欠乏に起因するリソソーム蓄積症の一種である。この酵素、即ち酸性α-グルコシダーゼが失われると、グリコーゲンが、身体内の様々な組織及び器官内に蓄積される。
【0003】
これらの諸疾患は、大体において幼児期の疾患である。その殆どにおいて、患者は、その誕生時点においては正常であり、またその後のある時点において開始する、段階的な神経学的な劣化を呈する。その幾つかにおいて、該疾患は、成人期において顕れる。その臨床上の表現型は、生化学的な欠陥の型お重篤度に依存する。これらリソソーム症の幾つか、例えばポンペ病及びクラッベ病は、主として小児期においてみられる。従って、臨床的な症状の発症前に、これら諸疾患を検出して、治療の介入を開始できるような方法の開発における、絶え間ない努力がなされている。
【0004】
過去10年間に渡り、代謝不全に関してテストする研究所は、新生児のスクリーニングプログラムに、タンデム質量分析法を組込んだ。タンデム質量分析法は、臨床において一般化されつつあり、その理由は、この技術が、単一のサンプル中の多数の代謝産物に関するアッセイを可能とすることにある。例えば、この技術は、乾燥血液班サンプルを用いた、新生児における遺伝的な代謝不全の検出のための、日常的な臨床上の実務として実行されている(Schulze A等, Pediatrics, 2003, 111:1399-406)。リソソーム酵素活性は、タンデム質量分析法を利用して定量できる(Gelb MH等, Clinical Chemistry, 50:10, 1785-1796, 2004)が、公開されたアッセイ法が、厄介な手順及びクロロホルム等の苛酷なアッセイ成分を使用することから、これらを臨床上の設定に適合させることは、容易ではなかった。
【0005】
従って、リソソーム症を検出するための方法並びに組成物の改良に対して、絶えることのない要求がある。
【発明の開示】
【0006】
質量分析法を用いて、酵素反応を検出するための、改良された組成物及び方法が、本発明の態様によって提供される。
【0007】
本発明の基質は、以下の一般式:A-(B1-B2-B3)で表される。ここで、Aは、単糖又は二糖であり、またB1はC1-C20アルキル基、置換C6-C20アリール基を持つC1-C20、ヘテロ原子N、O又はSを含有するC6-C20ヘテロ環式基であり、B2は、以下の一般式で表される基であり、
【0008】
【化1】

【0009】
該一般式において、R1はC1-C20アルキル基;C4-C20エーテル基;N、O又はSを含む置換基を持つC1-C20アルキル基;ヘテロ原子含有C6-C20アリール基、C1-C20カルボニル基、C1-C20アミジル基、C1-C20エーテル基、C6-C20アリール基、ヘテロ原子N、O又はSを含有するC6-C20ヘテロ環式基であり;R2は、出現する各場合において独立に、H、C1-C20アルキル基、C1-C20アルキル置換基を有するC2-C20アルキル基であり;Xは出現する各場合において独立に、何も表さないか、酸素、硫黄又は窒素原子であり;R3は、出現する各場合において独立に、何も表さないか、C1-C20アルキル基、置換C6-C20アリール基を持つC1-C20、ヘテロ原子N、O又はSを含有するC6-C20ヘテロ環式基であり;nは、境界値をも含む0〜30なる範囲の整数であり;R4は、出現する各場合において独立に、何も表さないか、C1-C20アルキル基、置換C6-C20アリール基を持つC1-C20、C1-C20カルボニル基、C1-C20アミジル基、C1-C20エーテル基、C6-C20アリール基、ヘテロ原子N、O又はSを含むC6-C20ヘテロ環式基であり;またB3は何も表さないか、C1-C20アルキル基、C4-C20エーテル基;N、O又はSを含む置換基を持つC1-C20アルキル基;C1-C20エステル基;C1-C20アルコール基;C1-C20アルケニル基;ヘテロ原子C6-C20アリール基、ヘテロ原子N、O又はSを含有するC6-C20ヘテロ環式基である。
【0010】
本発明は、サンプルを、本発明の基質及び本発明の内部標準を含むアッセイ溶液と共にインキュベートする工程、及び得られたサンプルを質量分析法による分析にかける工程を含む方法を提供する。この本発明の方法は、従来技術においてみられた、洗浄剤の使用、クロロホルム等の、使用者にとって不適切な溶媒の使用、並びに液-液及び固相抽出段階の使用を回避する。従って、本発明の方法は、従来技術の方法よりも時間の浪費が少ない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明は、リソソーム蓄積症を検出するための、分析用試薬組成物としての有用性を持つ。質量分析に適用可能な溶液に容易に溶解し得る、基質及び内部標準の適用によって、リソソーム蓄積症と関連する異常な酵素活性の検出が、より実用的となり、また厄介なものではなくなる。
【0012】
本発明は、酸性α-ガラクトシダーゼA(GLA)、酸性β-グルコセレブロシダーゼ(ABG)、ガラクトセレブロシドα-ガラクトシダーゼ(GALC)、及び酸性α-グルコシダーゼ(GAA)を包含するリソソーム酵素を標的とする基質に関連する。これら酵素の該基質に及ぼす作用が、サンプル中の該対応する酵素の活性を測定するのに利用され、かくしてこれらの基質は、以下のようなリソソーム蓄積症の検出のために利用される:ファブリー病(GLA)、ゴーシェ病(ABG)、クラッベ病(GALC)及びポンペ病(GAA)。
【0013】
本発明の基質は、以下の一般式:A-(B1-B2-B3)で表される。ここで、Aは、単糖又は二糖であり;またB1はC1-C20アルキル基、置換C6-C20アリール基を持つC1-C20(落丁がある可能性があります)、ヘテロ原子N、O又はSを含有するC6-C20ヘテロ環式基であり;B2は、以下の一般式で表される基であり、
【0014】
【化2】

【0015】
該一般式において、R1はC1-C20アルキル基;C4-C20エーテル基;N、O又はSを含む置換基を持つC1-C20アルキル基;ヘテロ原子含有C6-C20アリール基、C1-C20カルボニル基、C1-C20アミジル基、C1-C20エーテル基、C6-C20アリール基、ヘテロ原子N、O又はSを含有するC6-C20ヘテロ環式基であり;R2は、出現する各場合において独立に、H、C1-C20アルキル基、C1-C20アルキル置換基を有するC2-C20アルキル基であり;Xは出現する各場合において独立に、何も表さないか、酸素、硫黄又は窒素原子であり;R3は、出現する各場合において独立に、何も表さないか、C1-C20アルキル基、置換C6-C20アリール基を持つC1-C20、ヘテロ原子N、O又はSを含有するC6-C20ヘテロ環式基であり;nは、境界値をも含む0〜30なる範囲の整数であり;R4は、出現する各場合において独立に、何も表さないか、C1-C20アルキル基、置換C6-C20アリール基を持つC1-C20、C1-C20カルボニル基、C1-C20アミジル基、C1-C20エーテル基、C6-C20アリール基、ヘテロ原子N、O又はSを含むC6-C20ヘテロ環式基であり;またB3は何も表さないか、C1-C20アルキル基、C4-C20エーテル基;N、O又はSを含む置換基を持つC1-C20アルキル基;C1-C20エステル基;C1-C20アルコール基;C1-C20アルケニル基;ヘテロ原子含有C6-C20アリール基、ヘテロ原子N、O又はSを含有するC6-C20ヘテロ環式基である。
【0016】
特定のリソソーム酵素に対する該基質の特異性は、一部には、単糖又は二糖等である、糖部分Aにおける構造上の変化により与えられる。糖部分の例は、ポンペ病を検出するためのα-D-グルコース、ゴーシェ病を検出するためのβ-D-グルコース、ファブリー病を検出するためのα-D-ガラクトース、クラッベ病を検出するためのβ-D-ガラクトースを含む。更に、該基質の特異性は、B3の脂肪-アシル基内の炭素鎖長及び飽和度における変動によっても付与される。B3の化学構造の例は、ポンペ病の検出にとって特異的な12個の炭素原子の脂肪-アシル基、ゴーシェ病の検出にとって特異的な14個の炭素原子の脂肪-アシル基、ファブリー病の検出にとって特異的な16個の炭素原子の脂肪-アシル基、及びクラッベ病の検出にとって特異的な18個の炭素原子の脂肪-アシル基を包含する。
【0017】
B1は該糖部分Aと、該基質の残りの構造との結合を可能とするように機能する、リンカー部分である。B1は、また該糖部分Aと、該基質の残りの構造との間のスペーサとしても機能して、ターゲット酵素に対して融通性のある利用性をもたらす。
【0018】
四級アンモニウム基は、B2にとって決定的な成分である。この基は、多くの場合において正の電荷である、永続的な電荷を担持している。酵素反応に際して、B1-B2-B3の開裂生成物は、該B2に位置する四級アンモニウム基の存在の故に、所定のプロトンアフィニティー及びイオン化効率を有している。この特性は、該タンデム質量分析法において高いシグナルをもたらし、また該アッセイ全体におけるより少ない制限をもたらす。更に、該永続的な電荷は、本発明の基質の水性バッファーに対する溶解性を更に高めて、クロロホルム等の極めて非極性に富む溶媒の使用に対する必要性を回避する。従来技術の基質と比較して、本発明による基質は、一層親水性であり、また洗浄剤使用の必要性を低下又は排除する。このことは、クロロホルムの使用の如く、洗浄剤の使用は、労力を要する液-液及び固相抽出を包含する厄介な清浄化段階を要することから、有利である。
【0019】
本発明の基質は、構造上B3によって終端している。上で述べたように、B3は、その炭素鎖に様々な炭素鎖長及び/又は飽和度を与えることにより、様々な酵素に対する特異性を与えるように、構造的にあつらえられている。従って、該質量分析法による識別を可能とする、分子量に差を持つように合成されている。
【0020】
従って、本発明において目論まれているように、各々特定のリソソーム酵素に特異的な、また各々サブグループB3において僅かに異なる炭素鎖長を持つ、4種の異なる糖を含む基質を合成することができる。従って、質量におけるこの変動は、該基質が、多重アッセイにおいて使用される場合において、これら4種の基質各々及び対応する酵素反応生成物の質量分析による同定を可能とする。該多重アッセイにおいては、2種又はそれ以上のものが、同一のサンプル又は同一のチューブあるいはマイクロタイタープレートのウエル中で分析される。この組成物は、従って単一の合成反応を見越したものである。従来技術において、各基質は、固有の合成経路を必要とする。2又はそれ以上のこれら基質に対する共通の合成経路を得ることは、製造方法がより短縮され、またより単純化されること、及び一般的な原料物質が使用できることから、製造環境における著しい節減を意味するものであり得る。
【0021】
ポンペ病を検出するための、糖部分の例は、α-D-グルコースであり、またB1-B2-B3部分の例は、10-20炭素原子なる長さ及び好ましくは12炭素原子なる長さのB3を持つ、4-アミノフェニルカルニチニル(cartnitinyl)-アルキル鎖である。ゴーシェ病を検出するための、糖部分の例は、β-D-グルコースであり、またB1-B2-B3部分の例は、10-20炭素原子なる長さ及び好ましくは14炭素原子なる長さのB3を持つ、4-アミノフェニルカルニチニル-アルキルである。ファブリー病を検出するための、糖部分の例は、α-D-ガラクトースであり、またB1-B2-B3部分の例は、10-20炭素原子なる長さ及び好ましくは16炭素原子なる長さのB3を持つ、4-アミノフェニルカルニチニル-アルキルである。クラッベ病を検出するための、糖部分の例は、β-D-ガラクトースであり、またB部分の例は、10-20炭素原子なる長さ及び好ましくは18炭素原子なる長さのB3を持つ、4-アミノフェニルカルニチニル-アルキルである。
【0022】
本発明は、また、酵素反応の際に、本発明の基質から開裂される、一般式:B1-B2-B3で表される生成物の量を測定するように設計された、内部標準にも関連する。内部標準は、このものが同位体標識を含む変性段階により、質量-電荷(m/z)比において、該開裂された生成物とは異なる点以外、該開裂生成物と構造上同一である。従って、本発明の内部標準は、該開裂生成物の安定な同位体-標識した類似体であり、ここでは、1又はそれ以上の原子が、対応する原子の同位体で置換されて、質量におけるシフトをもたらす。このような標識の一例は、B3のアシル基上の1Hを2Dで置換することである。その結果として、置換された2Dを含む「より重質の」内部標準分子は、その質量分析結果において、開裂生成物が通常示すm/zとは異なるm/zを示す。この質量におけるシフトは、質量分析実験において、該内部標準由来の開裂生成物を同定するのに使用される。これは、該内部標準が、既知濃度にて該アッセイ溶液に添加されていることから、可能となるものである。
【0023】
一特定の態様において、本発明の基質のサブグループB1は、置換アミノフェニル基である。
【0024】
もう一つの特定の態様では、結合したサブグループB2-B3は、正に帯電した四級アンモニウム部分を持つアシルカルニチンであり、そのアシル末端は、炭素鎖の長さが12〜18なる範囲内のものである。
【0025】
別の特定の態様では、内部標準はジューテリウムで標識され、その対応する開裂生成物から、3〜9ダルトンなる範囲の質量変化を生じる。
【0026】
更に別の特定の態様において、クラッベ病の検出にとって特異的な本発明の基質は、β-D-ガラクトースからなる基A、メチル基からなる基B1、四級アンモニウムを含むアミジル末端からなる基B2、及び炭素鎖長12〜20なる範囲の、アルケニルアルコールからなる基B3を持つ。
【0027】
更に別の特定の態様において、ゴーシェ病の検出にとって特異的な本発明の基質は、β-D-グルコースからなる基A、メチル基からなる基B1、四級アンモニウムを含むアミジル末端からなる基B2、及び炭素鎖長12〜20なる範囲の、アルケニルアルコールからなる基B3を持つ。
【0028】
本発明は、またサンプル中の標的とするリソソーム酵素の活性を測定する方法にも関連する。該サンプルは、血清、血漿、全血、尿、唾液、又は他の生物学的な流体又は組織溶解物のサンプルを包含する。該サンプルを、濾紙のマトリックスに付着させ、かつ乾燥させる。該濾紙サンプルの一部を切取り、アッセイチューブ又はマイクロタイタープレートのウエルに入れ、これにアッセイ溶液を添加する。該アッセイ溶液は、水性バッファー、基質及び内部標準並びに必要なプロテアーゼ阻害剤、例えばグリコシダーゼと競合するものを含む。次いで、該サンプル混合物を、30分〜8時間なる範囲の所定期間、及び30〜41℃なる範囲の特定の温度にて、インキュベートする。インキュベーションが完了した後、該酵素を沈殿させるように機能する溶液の添加により、該酵素反応を停止させる。この型の溶液の一例は、アルコール、アセトニトリル、又は希薄トリフルオロ酢酸を含む。該インキュベーション混合物の一部を、新たなアッセイ容器に移し、これに純粋な溶液、例えばメタノール、アセトニトリル、水-メタノール混合物又は水-アセトニトリル混合物を添加する。他の型の純粋な溶液は、タンデム質量分析法と相溶性となるように、当業者によって選択される。純粋溶液のアリコートによって、このように希釈された該テストサンプルは、内因性の競合物質の量を減じて、該タンデム質量分析法の感度を比較的高くする。該希釈されたサンプルは、更なる変性なしに、手作業で、あるいは自動サンプラー及び液体ハンドラーの助けにより自動的に、該タンデム質量分析装置に直接注入される。該タンデム質量分析装置は、該添加された基質及びこれに対応して生成される酵素反応生成物、及び対応する内部標準物質を同時に検出するように設定されている。このような検出は、親イオンの走査、プリカーサイオンの走査又は多重反応追跡走査によって達成される。該タンデム質量分析装置は、1又はそれ以上の基質、生成物、及び対応する内部標準を検出するように設定されている。該観測される生成物、及び対応する内部標準の相対的な存在量を利用して、該対応する酵素の活性を定量する。
【0029】
乾燥血液班の形状にあるサンプルは、新生児及び幼児患者由来の血液をスクリーニングする際に、一般的に利用される。これら患者の対象に対して、採取し、濾紙の上に保持させた血液が、実験室用の検体であり、これは容易に集めることができ、また容易に保存される。濾紙上のサンプルは、該アッセイ溶液とインキュベートする前に溶出することができる。該溶出段階は、該乾燥濾紙からのタンパク質を、水を主成分とするバッファー、例えばリン酸緩衝塩水及びプロテアーゼ阻害剤を含有する、水性溶液に遊離させることである。該プロテアーゼ阻害剤は、例えば以下に列挙するものの1又はそれ以上を含むことができる:最終濃度50〜400μg/mLのAEBSF塩酸塩、最終濃度0.2〜25mg/mLのEDTA二ナトリウム脱水和物、最終濃度0.5〜1μg/mLのロイペプチンヘミサルフェート、及び最終濃度0.5〜1μg/mLのペプスタチンA。この溶出は、使用する検体のサイズに応じて、20〜60分なる範囲の期間に渡り実施することができ、また垂直又は水平に振とうすることにより容易に抽出できる。次いで、液状抽出物を、手作業で、又は自動化された液体取扱い装置によって、チューブ又はマイクロタイタープレートに移すことができる。
【0030】
該乾燥血液サンプルから溶解された全タンパク質は、比色ビシンコニン(bicinchoninic)酸(BCA)アッセイ等の方法によって定量される。この方法を利用して、2、1、0.5、0.2、及び0.05mg/mLなる濃度における、標準物質としてのウシ血清アルブミンを用いて、タンパク質標準曲線を作成できる。サンプルを該混合BCA試薬1mLで希釈し、攪拌により混合し、37℃にて60分間インキュベートする。これらサンプルを室温まで冷却し、水のブランクに対して分析する。これらサンプルを、ポリスチレンキュレット内で、562nmにおける吸光度を追跡することにより分析する。平均の患者の吸光度値をブランクに対して補正し、線形回帰によって標準と比較する。
【0031】
上記のように、先ず可溶化させ、あるいは可溶化させずに、該乾燥血液サンプルを、アッセイ溶液中でインキュベートする。特に、該アッセイ溶液は、水を主成分とするものである。該アッセイ溶液は、適当なバッファー、例えばリン酸緩衝塩水、適当なプロテアーゼ阻害剤、例えばグリコシダーゼと競合するもの、同位体で標識した基質、及び異なる同位体で標識された内部標準を含む。該プロテアーゼ阻害剤は、1又はそれ以上の以下に列挙するものを含む:グリコシダーゼ阻害剤、最終濃度50〜400μg/mLのAEBSF塩酸塩、最終濃度0.2〜25mg/mLのEDTA二ナトリウム脱水和物、最終濃度0.5〜1μg/mLのロイペプチンヘミサルフェート、及び最終濃度0.5〜1μg/mLのペプスタチンA。該インキュベーション期間中、該基質及び内部標準両者は、該乾燥血液サンプル由来の酵素によって開裂されて、各生成物を生成する。
【0032】
一局面において、該インキュベーション反応は、純アルコール、アセトニトリル又は希薄トリフルオロ酢酸の添加により停止される。該酵素反応により生成される該生成物は、主として本来的に備わった正に帯電した部分、例えば四級アンモニウムカチオンのために、寧ろ極性の高いものであり、従ってクロロホルム等の非極性の溶媒を使用して、該酵素反応を終了させ、また該生成物を溶液中に維持する必要はない。該MS/MS装置の複雑さのために、結局のところ該MS/MS装置による分析にかけられるタンパク質は、該MS/MS装置にとって「不利になる」ことのない溶媒中にある必要がある。例えば、このような溶媒は、洗浄剤を主成分とするものである必要はなく、またクロロホルム等の腐食性の薬剤を含むものであるべきではない。純エタノール又は純メタノールは、単に機械的な乾燥工程に際して、容易に蒸発するという理由から好ましい。該液状抽出物内に含まれる該有機溶媒は、該プレートを穏やかに加温しつつ、窒素気流下で、あるいは窒素、又はこの目的のために特別にあつらえた乾燥機と共に使用して、乾燥される。
【0033】
検出すべき各酵素に関連して、一連の特定の基質及び内部標準は、該アッセイ溶液に含まれている。このアッセイ溶液は、ある特定の酵素の検出のために固有かつ特異的となるように設計されており、あるいはまた多数の酵素の同時の検出に適応可能なように、また一般的となるように、設計されている。該インキュベーションは、個々のチューブ、バイアル、又は多重-ウエルフィルタープレート、例えば96-ウエル又は386-ウエルフィルタープレート中で行われる。
【0034】
濾紙上のサンプルの必要とされるサイズ及び結果として検出のために利用可能な乾燥血液の必要量は、テストすべき酵素の数に応じて変動する。実際には、単一の酵素を分析するためには、通常は、1-3mmなるサイズの濾紙上の乾燥血液班検体を使用する。この型の検体は、該検出すべき酵素が、該検体中に比較的低濃度で存在する場合には、特に有用である。というのは、単一の被検体を分析する場合には、多数回の酵素抽出を必要としないからである。あるいはまた、比較的高い発現レベル及び/又は酵素活性を持つ酵素は、より大きなサイズで、一つの検体から同時に分析される。例えば、乾燥血液班を含む3-10mmの濾紙を加水分解し、多重酵素テストのための一体化されたサンプル源として使用する。
【0035】
場合により、エステル化段階を、該インキュベーション段階に付加して、該テスト検体を誘導体化する(derivitize)。より長期間及びより高い温度条件は、より低温かつより短期間の誘導体化条件と比較して、アシルカルニチンのより徹底した加水分解をもたらす傾向がある。この反応は、乾燥窒素を使用して、該誘導体化試薬を除去することによって停止させる。誘導体化された検体は、MS/MS分析の型に適合する液状マトリックス中で再生される。エレクトロスプレーイオン化を利用する通常の方法は、揮発性の、部分的に有機物を主成分とする溶媒を必要とし、これは場合によっては僅かに酸性とされる。通常使用される溶媒は、アセトニトリルと水との等量混合物である。更に、低割合の蟻酸を添加して、溶媒を酸性とし、かつイオン化を促進する。
【0036】
対象とする、選択されたタンパク質に対する基質は、天然又は合成起源のものである。該対象とするタンパク質は、疾患状態、又は先天性欠損症、又は医学的目的のために、日常的にアッセイされるものと関連する酵素からなる。対象とする酵素基質は、酸性α-ガラクトシダーゼA、酸性β-グルコセレブロシダーゼ、酸性ガラクトセレブロシドα-ガラクトシダーゼ、酸性スフィンゴミエリナーゼ、及び酸性α-グルコシダーゼを含む。
【0037】
上記一般式:A-B1-B2-B3で表される本発明の組成物は、純メタノール又は純エタノール等の溶媒中において親水性である。Aは単糖又は二糖である。B1は、リンカーアームであり、B2は、永続的に正に帯電した四級アンモニウムカチオンを含み、B3は、長鎖炭素末端基である。該A部分の型又はB1-B2-B3部分におけるアルキル鎖長は、検討すべきターゲット酵素に応じて異なる。該リンカーアームB1は、比較的高い親水性を持つように設計されている。特に、該リンカーアームB1は、ヒドロフェノール構造を有している。全体として(in toto)、該B1-B2-B3部分は親水性であって、該基質の良好な溶解性を保証し、またこれは塩基性の基、例えば永続的に正に帯電した四級アンモニウムカチオンを有し、該基は、ESIによって効果的にプロトン化され、結果的に質量分析法による高感度での検出を保証している。
【0038】
一態様において、本発明は、一般式:A-B1-B2-B3で表される試薬を提供するものであり、ここでAは単糖又は二糖であり、また好ましくはアルドヘキソース又はケトヘキソースであり;B1はフェノール、ニトロフェノール、又はフェニルエステル基、例えばフェニルベンゾエート基であり;B2は、B1単独又はB3末端基と縮合する前には、カルニチンとしての構造から伸びている、ペンダント四級アンモニウムカチオンを含む。
【0039】
【化3】

(AV29285L 800, ARVI Co. Ltd., Yerevan, Armenia)
【0040】
【化4】

(Pubchem No. 3833216)
【0041】
【化5】

(Pubchem No. 786970, CAS 25518-46-1)又は
【0042】
【化6】

(Chembank 1271)
【0043】
Aは、単糖又は二糖であり、またB1はC1-C20アルキル基、置換C6-C20アリール基を持つC1-C20、ヘテロ原子N、O又はSを含有するC6-C20ヘテロ環式基であり、B2は、以下の一般式で表される基であり:
【0044】
【化7】

【0045】
該一般式において、R1は、C1-C20アルキル基;C4-C20エーテル基;N、O又はSの置換基を持つC1-C20アルキル基;ヘテロ原子含有C6-C20アリール基、ヘテロ原子N、O又はSを含有するC6-C20ヘテロ環式基であり;R2は、出現する各場合において独立に、H、C1-C20アルキル基、C1-C20アルキル置換基のC2-C20アルキル基、C1-C20カルボニル基、C1-C20アミジル基、C1-C20エーテル基、C6-C20アリール基、ヘテロ原子N、O又はSを含有するC6-C20ヘテロ環式基であり;Xは出現する各場合において独立に、何も表さないか、酸素、硫黄又は窒素原子であり;R3は、出現する各場合において独立に、何も表さないか、C1-C20アルキル基、置換C6-C20アリール基を持つC1-C20、ヘテロ原子N、O又はSを含有するC6-C20ヘテロ環式基であり;nは、0〜30なる範囲の整数であり;R4は、出現する各場合において独立に、何も表さないか、C1-C20アルキル基、置換C6-C20アリール基を持つC1-C20、ヘテロ原子N、O又はSを含むC6-C20ヘテロ環式基であり;またB3は何も表さないか、C1-C20アルキル基、C4-C20エーテル基;N、O又はSを含む置換基を持つC1-C20アルキル基;C1-C20エステル基;C1-C20アルコール基;C1-C20アルケニル基;ヘテロ原子含有C6-C20アリール基、ヘテロ原子N、O又はSを含有するC6-C20ヘテロ環式基である。
【0046】
図1は、リソソーム蓄積症を検出するための例示的基質構造を示す。この構造は、グルコース又はガラクトースとしての糖(A)、及び脂肪族基Bで構成されている。基Bは、更にニトロフェニル基としてのリンカーアーム(B1)、カルニチニルのサブグループB2、及び12,14,16,又は18なる範囲の炭素鎖長を持つアルキル基としてのサブグループB3で構成されている。サブグループB2上に位置する四級アンモニウムカチオンは、質量分析法による検出に必要とされる、更なるイオン化の必要性を排除するイオンを提供する。
【0047】
図2は、本発明の基質を使用した、一般的な酵素反応を明示する。特異的アフィニティー結合及び酵素反応に際して、該基質は、2つの基、即ち糖部分A及び脂肪族基Bに開裂する。該基Bは、ニトロフェニル、カルニチニル、及び長鎖アルキル部分で構成される。次いで、これら両者の基を、MS/MSにより解析する。内部標準も同時に該MS/MS分析に付される。該内部標準は、ジューテリウムによって同位体標識されたBの類似体であって、メチル基上の水素原子が該同位体により置換されている。
【0048】
図3は、本発明の基質と当分野において公知の従来技術の参考基質との間の、主な構造上の差異を示す。これらの差異は、主として長鎖アシル部分にあり、そこでは従来技術の基質と異なり、本発明の基質において存在する、永続的に正に帯電した四級アンモニウムカチオン自体が、下流側の質量分析法による分析のための、「既製の」イオンを生成する。その結果、更なるイオン化は必要とされず、また結果としてシグナル強度の喪失がない。更に、従来技術の基質と比較して、本発明の基質は、化学的に非極性ではない。従って、本発明の基質を溶解するための溶媒は、著しく非極性のものである必要はなく、また洗浄剤添加の必要性もない。該著しく非極性の溶媒、例えばクロロホルムは、使用者にとって都合のよいものではなく、またESI-MS/MSに対しても推奨されるものではない。洗浄剤の使用も、該質量分析装置の機能を劣化させる。というのは、洗浄剤は、極めて迅速に該質量分析器の内部部分を汚染し、性能の著しい低下を引起す。このような試薬を使用した場合、サンプルをMS/MSに掛ける前に、これらの試薬を除去するための余分な段階を必要とする。分析すべき生成物を回収するために、従来技術では、液-液抽出段階において、クロロホルム又は酢酸エチルを使用している。該洗浄剤を除去するために、従来技術では、固相抽出を利用している。従って、臨床的研究室では、これらの手順に適応することは可能であるが、該公知技術による基質は、該手順を、実施不能ではないとしても、極めて厄介なものとしている。
【0049】
図4は、本発明の基質と従来技術の基質との間の構造上の差異を示している。アフィニティーの識別及び酵素反応の際に、「酵素(反応)生成物」と呼ばれる、本発明の基質の一部が開裂される。該従来技術の基質から生成される生成物とは異なり、本発明の該酵素生成物は、永続的に正に帯電した、出来合いの「既製」イオン(下方の図)を有している。該質量分析器に導入される任意の被検体は、検出すべきイオンとなるものである必要がある。感度に影響を与える最も重要な因子の一つは、イオン化効率、即ち該被検体が、一度イオン化源に暴露された際の、イオン化され易さである。一度該イオン化源に暴露されると、分子は、プロトンに対して相互に競合する。高いプロトンアフィニティーを持つ分子は、プロトンとの結合に対してより効果的に競合し、より一層効果的にイオン化される。既に永続的な正の電荷をもつ本発明の分子の場合には、該分子がプロトン化され、結果として本発明の該酵素反応生成物は、より良好な大きさのシグナル強度を放出する。
【0050】
図5は、従来の方法との関連で、本発明の方法を利用する、酵素発現及び酵素活性の測定法の差を示すものである。本発明の方法は、基質濃度における低下及び生成物の濃度における増加両者を、同時に測定することを可能とする。このことは、酵素反応の生成物に関する測定のみを利用している、従来の他の方法よりも有利である。従って、本発明の方法は、より高い感度及び特異性をもたらす。本発明の基質に関連して、該A部分及び該B部分両者は、第一のシグナル発生タグにより標識されている。シグナル発生タグの例は、同位体標識である。該基質に対する本発明の内部標準に関連して、該A部分及び該B部分両者は、該第一のシグナル発生タグとは異なる、第二のシグナル発生タグにより標識されている。第一のシグナル発生タグ及び第二のシグナル発生タグは、各々独立に以下に列挙するものの一つである:炭素-12、炭素-13、プロチウム、ジューテリウム、ヨウ素-131、窒素-15、リン-31、ヘリウム-3、及びウラニウム-238。
【0051】
図6は、本発明の方法の例を示すものであり、下の図は、本図の上に示された公知の参考方法と比較して、有利な質量分析装置を使用した、酵素反応の検出を示すものである。従来の方法と比較して、本発明の方法は多くの段階を排除するが、これは、非極性基質及びこれらに関連する内部標準の使用に固有のものである。より具体的には、本発明の方法は、質量分析機器にとって有害な、非極性溶媒及び/又は洗浄剤の清浄化のために必要な段階を最早必要としない。これらの段階は、液-液抽出段階によるクロロホルムの除去、シリカゲル-分離段階による洗浄剤の除去、及び固-相抽出(SPE)工程を含む。これらの余分な段階は、また統計的な誤差を付加し、これは下流側における分析に付加される。本発明による基質は、従来技術のものと比較してより低非極性であり、低非極性の溶媒、例えば純メタノール又は純エタノール等が、本発明において使用できる。
【0052】
場合により、該A部分及びB1-B2-B3部分両者は、各々シグナル発生タグによって標識されている。該シグナル発生タグは、C、H、P、N、又はSを包含する1又はそれ以上の原子上に位置する。該シグナル発生タグは、蛍光性タグ及び同位体タグを含むが、これらに限定されない。同位体標識の場合、該基質構造における少なくとも一つの原子が、安定同位元素で置換されている。例えば、水素はDで置換され、また12Cは13Cで置換される。
【0053】
2以上の疾患が、各酵素に充てられた、多数の基質を組み合わせることにより同時に検出された場合、これら基質は、酵素特異性を与える、糖部分の型のみならず、そのB3末端部分の長さにおいても異なっている。これは、検出手段としてMS/MSの使用に関連して特に重要である。というのは、対応する差の与えられた質量の指標を持つ、該区別された本発明の基質分子が、検討すべき様々な酵素に対応するからである。
【0054】
内部標準は、サンプル中のタンパク質の絶対的な定量的量を測定するために使用される。内部標準は、酵素反応のアフィニティータグを付した生成物を定量するために、同位体標識されている。該内部標準は、該アフィニティータグを付した酵素基質に対する該酵素の作用によって生成した、タグを付した酵素反応生成物と化学的に同一であるが、D、13C、15N、17O、18O、又は34Sを含むことができる同位体標識を有しており、これは、同位体標識された類似体を、MS技術によって独立に検出することを可能とする。内部標準は、アフィニティータグを付したタンパク質の消化によって発生した、対応するアフィニティータグを付したペプチドと実質上化学的に同一であるが、これらは、区別可能に同位体標識されており、MS技術により独立に検出可能である。該内部標準は、その糖部分A及び結合部分B1-B2-B3両者において、異なるように標識されている。質量分析法によって、同時測定がもたらされ、結果として基質シグナルの減少と、生成物A及びB1-B2-B3の増加両者が、同時に記録される。この設計は、該アッセイの感度及び特異性を高める。
【0055】
後に多数のアッセイ反応に割当てるために、患者当たり唯一つの乾燥血液サンプルを抽出する目的での、汎用性の基質カクテルバッファーの使用は、自動的かつ高い処理量でのスクリーニングに取って有利である。というのは、これにより、同一の乾燥血液サンプルから数個のサンプルパンチ(sample punches)を得る必要性が排除されるからである。これは、また該濾紙上の血液の不均一な分配によって引起される変化を減じる。該汎用性基質カクテルバッファーの使用は、該濾紙上の血液の不均一な分配によって引起される変化を減じる。抽出効率は、分析される様々な酵素に応じて変動する可能性がある。特に、本発明の汎用性基質カクテルバッファーの組成は、酵素の最高の性能を保証して、テストされる全ての酵素の最低の特異的活性を反映するように選択される。
【0056】
該基質、該開裂された生成物及び該内部標準を包含する全ての試薬は、場合により逆相HPLCによる均質性まで精製され、また高電場ESI-MSによって特徴付けされる。アッセイ成分、例えば酵素基質、アッセイ生成物、及び内部標準は、過剰なバッファー成分を除去するために、媒体で処理される。該バッファー成分の除去は、タンデム質量分析法において特に適している。というのは、被検体のエレクトロスプレーイオン化が、過剰なバッファー成分の存在によって抑制されることが予想されるからである。
【0057】
基質試薬及びESI-MSを用いて、酵素をアッセイするために記載された、本発明による方法は、広範囲に渡り適用可能である。多数の技術が、単一の反応において、数十の又はそれ以上の酵素を同時にアッセイするように拡張でき、これは、稀な疾患の診断を援助するための、多数のアッセイの必要性を排除する。この方法は、特定の生化学的な経路を通して、化学薬品の流れの速度を評価する際に、あるいは生化学的なシグナル発生経路を追跡するために、数個の酵素を同時に測定する目的で使用することができる。アッセイ当たり、μg以下の量の該基質試薬のみを必要とする、使用する外ESI-MSの高い感度の故に、低-グラム規模での数百個の基質試薬の合成が、実現可能となり、また経済的なものとなる。殆どの酵素活性サイトは、溶媒に対して露出しているので、アフィニティータグを付したリンカーを、大部分の酵素基質に結合させ、しかも酵素活性を保存することが可能である。
【実施例】
【0058】
実施例1
各サンプルに対して、径3mmのディスクを、濾紙上の乾燥血液を含む領域から、打ち抜き処理して、微量遠沈管又は96-ウエルマイクロタイタープレートのウエルに入れる。次いで、該血液ディスクを、最終濃度3mM/Lの、ファブリー病向けの基質及び最終濃度0.05mM/Lの内部標準を含有するアッセイ溶液と共に直接インキュベートする。該アッセイ溶液に、最終濃度0.5M/L酢酸ナトリウムバッファーをも添加する。該血液ディスクを含む該アッセイ混合物を、恒温エアーシェーカー内で、オービタル振とう(150rpm)しつつ、37℃にて15〜24時間に渡りインキュベートする。該インキュベーション期間の経過後、(クロロホルムを使用することなく)純メタノールのアリコートを各管又はウエルに添加して、該酵素反応を停止させる。質量分析に入る前に、該インキュベーションした反応混合物を、溶液から取出し、真空デシケータの助けにより乾燥させる。質量分析法による分析のために、エレクトロスプレー源を、正のモードで稼働させ、生成するイオンを、親イオン及び中性-損失(neutral-loss)走査モードで検出する。該乾燥サンプルを、溶融シリカキャピラリーを通して、流量3μL/分にて注射器の駆動を利用して、流動注入により導入する。酵素反応生成物の量は、該生成物対該内部標準とブランクとの差のイオン存在量の比から算出する。
【0059】
図7に示したように、該内部標準は、494.5なるm/zにおいて検出され、又はブリー病向けの基質の酵素反応生成物は、491.5なるm/zにおいて、水ブランクにおいては最少量(上部)で、また乾燥血液サンプル(下部)の存在においては有意な量で、検出される。
実施例2
【0060】
その後、ポンペ病に向けた基質及び質量分析法による分析を利用した酵素反応を、実施例1において特定した方法を利用して実施する。
【0061】
図8は、本発明の基質、例えば図1に示したもの等を、糖部分としてα-D-グルコースを使用して合成した、即ちリソソーム酵素GAA(ポンペ病)に対して特異的な基質を合成した例を示す。この特定の例のアルキル鎖は、10個の炭素原子を含むように選択され、即ちデカノイル-カルニチンを、該基質の合成において使用した。同様に、該内部標準は、デカノイル-カルニチンを用いて合成したが、このデカノイル-カルニチンにおいては、そのカルニチニル部分の3個のメチル基の一つにおける3つの水素原子が、ジューテリウムで置換されていた。この基質及び内部標準を用いて、1名は健康な新生児であり、もう一名はポンペ病に関して陽性であることが確認されている、2名の新生児由来の乾燥血液班サンプルを、図5に示したように、本発明の方法で処理した。更に、血液を含まない、ブランク濾紙サンプルを、該乾燥血液班と同様な手順に従って処理した。バッファー、基質、阻害剤及び内部標準を含有する、同一のアッセイ溶液を、これら3種全てのサンプルに対して使用した。従って、全てのサンプルは、同一濃度の試薬の適用を受けた。該最終的なサンプル溶液を、ウォーターズクアトロミクロ(Waters Quattro Micro) ESI-トリプルコドラポール(ESI-triple quadrupole)タンデム質量分析装置で、176走査なる親イオンを使用して分析した。スペクトルにおいて示された支配的なピークは、純粋な基質、内部標準に相当するもの、及び対応する酵素反応生成物に関するものである。全てのサンプルは、同一濃度の試薬で処理されているので、生成物と内部標準との間の相対的な存在量が、サンプル間の相対的な酵素活性の指標である。
【0062】
これらのスペクトルは、基質の生成物への転化が、該内部標準の量に相対的な、該生成物の存在量によれば、著しく顕著であることから、該健康な新生児において、高いGAA活性が存在することを明確に示している。対照的に、ポンペ病陽性の新生児に相当するサンプルは、基質の生成物への顕著な転化が見られないことから、無視できる程度のGAA酵素活性を示している。該ポンペ病陽性の新生児に関するスペクトルにおいて顕著である、該生成物に相当する小さなピークは、バックグラウンドによるものとされる。ブランクサンプルの処理に起因するスペクトルの検討においても、該生成物に相当する小さなピークが現れる。この場合には、このサンプルには血液が存在しないことから、該サンプルの処理は、僅かな程度の、該基質の酵素作用によらない加水分解を引起すことが明らかである。該ポンペ病及びブランクサンプルの、生成物/内部標準ピークの相対的な量の比較は、該ポンペ病陽性のサンプルにおける小さな生成物のピークが、主として酵素作用によらない加水分解によるものであることを示している。少量の酵素作用によらない基質の加水分解が存在するという事実は、グリコシド結合がかなり不安定であることから、驚くほどのことではない。しかし、この例から、酵素作用によらない基質加水分解の程度が、健康な新生児における生成物への添加量と一度比較すれば、無視できることは明白である。従って、このバックグラウンドは、本発明の方法に何ら限定をもたらすものではない。これらのスペクトルは、本発明の基質の有用性を明確に示している。というのは、該スペクトルが、本発明の基質が臨床的に特異的であり、高感度であり、かつ安定であることを示しているからである。更に、これらの試薬は、その有用性を維持しており、しかも同時に、上記アッセイを著しく簡略化する。
実施例3
【0063】
図9は、12個の健康な新生児由来の、及び3個のポンペ病陽性新生児由来の乾燥血液班を処理した結果を示す。使用した試薬及び方法は、図6において説明したものと同じである。該内部標準は既知濃度にて導入されるので、該生成物及び内部標準の相対的な量と、該内部標準の濃度とを関連付けることにより、酵素活性の定量が可能となる。この図は、該15個の対象に関する、血液単位μM/時/Lで表した、測定された酵素活性の点図表を示す。このプロットから、健康な新生児のGAA活性と、罹患した新生児の活性との間における明らかな差異があることを明確に見ることができる。3名のポンペ病患者の記録された活性は、健康な新生児の記録された活性と比較して、無視できる。図6に示したように、酵素作用によらない加水分解が、程度の低いバックグラウンドを形成することに気付く。ここに示されたデータは、バックグラウンドに対して補正されていない。依然として、健康な新生児と罹患した新生児との間の差は顕著である。
実施例4
【0064】
図10は、本発明の基質及び内部標準が、図1に示したように、二種の型の基質及び内部標準を含有するアッセイ溶液を使用して、該サンプルを処理することによって、多重法において使用される例を示すものである。該二種の一方は、ポンペ病をターゲットとする基質であり、また他方はクラッベ病をターゲットとするものである。使用する方法は、図8に関して説明したものと同一であるが、唯一の違いは、本例では二種の酵素に対する基質が分析される点にある。該ポンペ病向けの基質は、デカノイル-カルニチンを用いて製造した、図1の基質であり、また該クラッベ病向けの基質は、テトラデカノイル-カルニチンを用いて製造した、図1の基質である。本例において使用したサンプルは、健康な新生児由来の乾燥血液班サンプルである。更に、血液を含まないブランク溶液サンプルは、同一の手順に従って処理した。図8において説明した単一酵素アッセイとは対照的に、図10のスペクトルに示される支配的なピークは、該溶液に添加された完全な2種の基質に対応するもの、該溶液に添加された2種の内部標準及び2種の対応する酵素反応生成物に対するものである。
【0065】
本例においては、2種又はそれ以上の酵素の活性が、同時に検出され、しかも十分に良好な感度が維持されていることが分かる。本例は、サンプルの調製の整理統合を可能とすることから、該方法を更に単純化することによる、本発明の有用性をも立証している。
実施例5:
【0066】
図11は、本発明の内部標準の感度に及ぼす、洗浄剤の作用を示す図である。このデータは、該アッセイの全体としての感度に及ぼす、洗浄剤の影響を例示するために使用される。該内部標準が、該質量分析前に、既に帯電しているという事実にも係わらず、イオン抑制が、依然としてその感度における役割を演じている。洗浄剤は、かなりのイオン抑制を引起すことが知られている。この場合は、洗浄剤を含む又はこれを含まない完全な溶液(純メタノール)における該内部標準の感度を示す。更に、洗浄剤を含む又はこれを含まない、抽出された乾燥血液班を含む溶液中の、該内部標準の活性も図示されている。本例においては、数種のアルキル鎖長及びα-及びβ-グルコース及びガラクトースを含む内部標準を、完全な溶液に溶解するか、あるいは乾燥血液班を抽出するのに使用した該アッセイ溶液に溶解し、図8及び10において説明したように処理した。本例においては、各型の溶液のアリコートは、洗浄剤を含まないか、これを含んでいた。従って、これら対をなすサンプルにおける唯一の差異は、洗浄剤の有無であった。該対をなすサンプルを、タンデム質量分析法により分析した。各サンプルにおける該内部標準のシグナル強度を記録し、平均の相対的感度を得るのに使用した。該プロットは、洗浄剤を含む、又はこれを含まない処理液で処理したサンプルの、規格化され、また平均された強度を示す。洗浄剤を含むサンプルにおける低い強度によって示されるように、洗浄剤が、確かにイオン抑制を生じることが明らかである。本図は、また洗浄剤の影響が、複合マトリックス、例えば血液を含有するサンプルにおいてより一層顕著であり、従ってタンデム質量分析アッセイにおいては、このような物質の使用を回避する必要があることを強調している。
実施例7
【0067】
図12は、酵素活性に及ぼす洗浄剤の効果を分析した例を示す。本例においては、α-D-グルコース及び16-炭素の脂肪酸鎖を含む、本発明の基質(図1)を、図6に記載した手順に従って、乾燥血液班を処理するために使用した。洗浄剤の効果をテストするために、同一の患者からの同様なサンプルを、洗浄剤を使用し、又は使用せずに上記方法に従って調製した。図11は、洗浄剤が、該アッセイの感度を低下することを立証している。しかし、該洗浄剤が酵素活性に影響を与えるか否かに関する問題が残された。図12に示したスペクトルは、評価された酵素活性に影響を与えることを、明確に示している。この場合において、該アッセイ溶液に洗浄剤が存在しないことは、洗浄剤なしに処理された該サンプルに関する、対応する内部標準に対する生成物のより一層高い量によって明らかな如く、酵素活性の割合を高める。この例は、更に該方法が単純化できるばかりでなく、簡略化することによって、イオン抑制を減じられ、しかも該ターゲット酵素の活性が高められることにより、該アッセイの感度が高められることを立証することによって、本発明の有用性を再確認するものである。
【0068】
本明細書において述べた特許文献及び刊行物は、本発明が関連する当分野における当業者のレベルの指標である。これらの文献及び刊行物は、個々の文献及び刊行物が、具体的にかつ独立に、参考としてここに組み込まれた場合と同程度に、参考としてここに組み入れる。
【0069】
上記の説明は、本発明の特定の態様の例示であり、本発明を実施する際の制限を意味するものではない。あらゆる等価なものを含めて、添付した特許請求の範囲が、本発明の範囲を規定するものである。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】リソソーム蓄積症を検出するための、基質構造の一例を示す図である。
【図2】本発明の基質を用いた、一般的な酵素反応式を示す図である。
【図3】本発明の基質及び従来技術の基質の構造上の主な差を示す図である。
【図4】従来技術の基質と比較した、本発明に基質により与えられる、高い検出感度のメカニズムを示す図である。
【図5】本発明の基質の二重標識を利用した、もう一つの酵素活性の検出方法を示す図である。
【図6】従来技術の参考法と比較して有利である、質量分析法を利用した、本発明による酵素反応の検出方法を示す図である。
【図7】従来の方法に従う、また対応するブランクを用いた、ファブリー病向けの基質サンプルの、タンデムマススペクトルである。
【図8】疾患に罹患した患者のサンプル、健常者のサンプル、又はブランクに対する、ポンペ病に関するGAA向けの本発明の基質の、タンデムマススペクトルである。
【図9】12個の健康な新生児由来の、及び3個のポンペ病陽性新生児由来のサンプルに関する、差分GAA活性を示す点図表である。
【図10】本発明の基質及び内部標準が、二種の型の基質及び内部標準を含有するアッセイ溶液を使用して、該サンプルを処理することによって、多重法において使用される例を示すものである。
【図11】本発明の内部標準の感度に及ぼす、洗浄剤の作用を示す図である。
【図12】洗浄剤の存在下又は不在下での、ポンペ病向けの本発明の基質サンプルの、並びに対応するブランクの、差分タンデムマススペクトルを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式(I)、
A-(B1-B2-B3) (I)
で表される酵素を質量分析するための基質。
ここで、Aは、単糖又は二糖であり、またB1は、C1-C20アルキル基、置換C6-C20アリール基を持つC1-C20、ヘテロ原子N、O又はSを含有するC6-C20ヘテロ環式基であり、B2は、以下の式、
【化1】

で示される基であって、
該一般式において、R1は、C1-C20アルキル基;C4-C20エーテル基;N、O又はSの置換基を持つC1-C20アルキル基;ヘテロ原子C6-C20アリール基、C1-C20カルボニル基、C1-C20アミジル基、C1-C20エーテル基、C6-C20アリール基、ヘテロ原子N、O又はSを含有するC6-C20ヘテロ環式基であり、R2は、出現する各場合において独立に、H、C1-C20アルキル基、C1-C20アルキル置換基を有するC2-C20アルキル基であり、Xは、出現する各場合において独立に、何も表さないか、酸素、硫黄又は窒素原子であり、R3は、出現する各場合において独立に、何も表さないか、C1-C20アルキル基、置換C6-C20アリール基を持つC1-C20、ヘテロ原子N、O又はSを含有するC6-C20ヘテロ環式基であり、nは、0〜30なる範囲の整数であり、R4は、出現する各場合において独立に、何も表さないか、C1-C20アルキル基、置換C6-C20アリール基を持つC1-C20(落丁がある可能性があります)、C1-C20カルボニル基、C1-C20アミジル基、C1-C20エーテル基、C6-C20アリール基、ヘテロ原子N、O又はSを含むC6-C20ヘテロ環式基であり、またB3は何も表さないか、又はC1-C20アルキル基、C4-C20エーテル基;N、O又はSの置換基を持つC1-C20アルキル基;C1-C20エステル基;C1-C20アルコール基;C1-C20アルケニル基;ヘテロ原子C6-C20アリール基、ヘテロ原子N、O又はSを含有するC6-C20ヘテロ環式基である。
【請求項2】
前記A及び(B1-B2-B3)が、前記酵素の作用により分離される、請求項1記載の基質。
【請求項3】
前記Aが、アルドヘキソース又はケトヘキソースである、請求項1記載の基質。
【請求項4】
前記Aが、D-グルコース又はD-ガラクトースである、請求項1記載の基質。
【請求項5】
前記B1が、C6アリール基であり、該アリール基はそのリングから伸びた置換基を持つ、請求項1記載の基質。
【請求項6】
前記B1が、フェニル、ニトロフェニル、又はフェニルエステル基である、請求項1記載の基質。
【請求項7】
前記B2が、カルニチニル基である、請求項6記載の基質。
【請求項8】
前記B3が、カルボニル基として存在するOを含む置換基を持つ、C2-C20アルキル基である、請求項7記載の基質。
【請求項9】
前記A及び(B1-B2-B3)部分が、各々、一元素の安定な第二の広く用いられている同位体を含む、請求項1記載の基質。
【請求項10】
前記安定な第二の広く用いられている同位体が、出現する各場合において、2D、13C、15N、17O、18O、31P及び34Sからなる群から選択される、請求項9記載の基質。
【請求項11】
酵素の質量分析法であって、
該酵素と、請求項1記載の、式I: A-(B1-B2-B3)で表される基質とを接触させて、酵素反応の際に開裂生成物の分子量を持つ、式:(B1-B2-B3)で表される開裂生成物を製造する工程、
該基質に、式:(B1-B2-B3)'で表される内部標準を供給する工程、ここで該(B1-B2-B3)'は、前記開裂生成物の分子量とは異なる分子量をもつ、少なくとも一つの安定な第二の広く用いられている同位体を有し、かつ該(B1-B2-B3)'のB1、B2及びB3が、請求項1に記載の式Iにおいて説明した通りであり、及び
前記開裂生成物と前記内部標準との間の質量対電荷比を、質量分析を利用して定量する工程、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項12】
前記酵素が、酸性α-ガラクトシダーゼA、酸性β-グルコセレブロシダーゼ、ガラクトセレブロシドα-ガラクトシダーゼ、酸性スフィンゴミエリナーゼ、及び酸性α-グルコシダーゼからなる群から選択される、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記(B1-B2-B3)の開裂生成物が、前記(B1-B2-B3)'で表される内部標準と、構造的に同一である、請求項11記載の方法。
【請求項14】
活性成分としての、請求項1記載の前記式Iの基質:A-(B1-B2-B3);該(B1-B2-B3)とは異なる分子量の、安定な第二の広く用いられている同位体を持つ、式:(B1-B2-B3)'で表される内部標準;及び質量分析法による分析によって、サンプル中の酵素の活性を検出するための指示を含むことを特徴とする、商用包装体。
【請求項15】
酵素の質量分析法による分析方法であって、
請求項1記載の前記式Iの基質:A-(B1-B2-B3)を、同位体タグL1で標識して、第一の基質:L1(A)-L1(B1-B2-B3)を生成する工程;
請求項1記載の前記式Iの試薬:A-(B1-B2-B3)を、同位体タグL2で標識して、第二の基質:L2(A)-L2(B1-B2-B3)を生成する工程、ここで該同位体タグL2は、該同位体タグL1とは異なっており、
該第一の基質:L1(A)-L1(B1-B2-B3)及び該第二の基質:L2(A)-L2(B1-B2-B3)を、ハウジング内で前記酵素と結合する工程、ここで該ハウジングにおいて、該第一の基質:L1(A)-L1(B1-B2-B3)は、該酵素によって開裂されて、L1A及びL1(B1-B2-B3)を生成し、かつ該第二の基質:L2(A)-L2(B1-B2-B3)は、該酵素によって開裂されて、L2A及びL2(B1-B2-B3)を生成し、及び
該第一の基質:(L1A)(L1B1-B2-B3)及び該第二の基質:(L2)(AL2B1-B2-B3)の減少量、及び該L1A、L1(B1-B2-B3)、L2A及びL2(B1-B2-B3)の増加量を定量する工程、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項16】
前記ハウジングが、試験管、テストバイアル、又は多重-ウエルマイクロプレートである、請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記測定が、質量分析法で達成される、請求項15記載の方法。
【請求項18】
前記酵素が、酸性α-ガラクトシダーゼA、酸性β-グルコセレブロシダーゼ、ガラクトセレブロシドα-ガラクトシダーゼ、酸性スフィンゴミエリナーゼ、及び酸性α-グルコシダーゼからなる群から選択される、請求項15記載の方法。
【請求項19】
個体から採取したサンプル中の第一のリソソーム蓄積症を検出するための、請求項1記載の基質の使用方法。
【請求項20】
更に、第二のリソソーム蓄積症を、同時に検出する工程をも含む、請求項19記載の方法。
【請求項21】
添付した実施例の何れかに関連して、実質的に本明細書に記載した、リソソーム蓄積症の検出方法。
【請求項22】
請求項1記載の式:A-(B1-B2-B3)で表される、クラッベ病を質量分析法により検出するための基質であって、該基Aが、β-D-ガラクトースであり、B1がメチル基であり、B2が四級アンモニウムで終端しているアミジル基であり、またB3が12〜20なる範囲の炭素長を持つアルケニルアルコール基であることを特徴とする、前記基質。
【請求項23】
請求項1記載の式:A-(B1-B2-B3)で表される、ゴーシェ病を質量分析法により検出するための基質であって、該基Aが、β-D-グルコースであり、B1がメチル基であり、B2が四級アンモニウムで終端しているアミジル基であり、またB3が12〜20なる範囲の炭素長を持つアルケニルアルコール基であることを特徴とする、前記基質。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2009−530310(P2009−530310A)
【公表日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−500586(P2009−500586)
【出願日】平成19年3月13日(2007.3.13)
【国際出願番号】PCT/US2007/063894
【国際公開番号】WO2007/106816
【国際公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【出願人】(508280243)パーキンエルマー ラス インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】