説明

質量分析装置およびその使用方法

【課題】 真空装置の各種検査を効率的に行うことが可能な質量分析装置1の提供を目的とする。
【解決手段】 質量電荷比ごとの分圧の測定部12に連結されて測定部12を制御する電気系部14に、操作部30および測定結果の表示部16を設けた。その操作部30には、複数種類の質量電荷比ごとの分圧を切り替え表示する表示切替ボタン32を備えている。また表示部16は、質量電荷比が28の窒素ガスの分圧と質量電荷比が32の酸素ガスの分圧との比率を表示しうるようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、質量分析装置およびその使用方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体装置やフラットパネルディスプレイの製造工程では、様々な真空装置が利用されている。その真空装置のプロセス管理を行うため、四重極型の質量分析装置が使用されている(例えば、特許文献1参照)。質量分析装置は、分析対象ガスに含まれる様々な物質につき、質量電荷比(質量数/電荷数)ごとの分圧を測定する装置である。
【0003】
図3は、従来技術に係る質量分析装置の概略構成図である。質量分析装置101は、分析対象ガスを導入し質量電荷比ごとの分圧を測定する測定部112と、その測定部を電気的に制御する電気系部114とを備え、測定部112を真空装置の内部に配置し、電気系部114を真空装置の外部に配置して使用される。また質量分析装置101は、真空装置の制御用PC162に接続されている。
【0004】
この質量分析装置を用いて真空装置のプロセス管理を行うには、真空装置の制御用PC162から質量分析装置101を駆動し、運転中の真空装置の内部ガスを導入して質量電荷比ごとの分圧を測定し、その測定結果を制御用PC162に出力して表示させる。そして、表示された測定結果から内部ガスに含まれる物質の種類および量を確認し、真空装置において所定プロセスが実行されているか否かを判断する。
【特許文献1】特開平7−307301号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した質量分析装置は、真空装置のピンホール検査にも使用される。真空装置のピンホール検査として、ピンホールの有無を検出する空気リーク検査と、ピンホールの位置を検出するHeリーク検査とが順に行われる。
【0006】
真空装置の空気リーク検査を行うには、まず真空装置の内部を真空引きする。次に真空装置の制御用PC162から質量分析装置101を駆動し、真空装置の内部ガスを測定して、測定結果を制御用PC162に表示させる。その制御用PC162には、質量電荷比を横軸にとり分圧を縦軸にとったグラフが表示される。そのグラフから、質量電荷比が28の窒素ガスの分圧と、質量電荷比が32の酸素ガスの分圧との比率を、作業者が手計算する。そして、その分圧比がほぼ4:1の場合には、ピンホールを介した空気リークがあると判断する。
【0007】
上述した空気リーク検査でピンホールがあると判断された場合に、ピンホールの位置を検出するためHeリーク検査を行う。Heリーク検査を行うには、まず真空装置の外面の特定位置にHeガスを吹き付ける。次に真空装置の制御用PC162から質量分析装置101を駆動し、真空装置の内部ガスを測定して、測定結果を制御用PC162に表示させる。表示された測定結果から、内部ガスに含まれるHeガスの分圧を確認し、ピンホールを介したHeガスのリーク有無を判断する。そして、真空装置の外面の様々な位置にHeガスを吹き付け、その都度上記作業を繰り返すことにより、ピンホールの位置を検出する。
【0008】
しかしながら、空気リーク検査における分圧比の計算は面倒であり、計算ミスが発生する可能性もある。またHeリーク検査において、Heガスを吹き付ける真空装置のチャンバは、質量分析装置の操作および測定結果の表示を行う真空装置の制御用PC162から離間配置されている。そのため、真空装置のチャンバと制御用PCとの間を何度も往復する必要があり、Heリーク検査に長時間を要することになる。
【0009】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、各種検査を効率的に行うことが可能な質量分析装置およびその使用方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明に係る質量分析装置は、質量電荷比ごとの分圧の測定部に近接して、前記測定部の操作部および測定結果の表示部を設けたことを特徴とする。
この構成によれば、分析対象ガスの存在位置の近傍で質量分析装置の操作および測定結果の確認ができるので、各種検査を効率的に行うことができる。特に、メンテナンス後の真空装置のリーク検査を効率的に行うことができる。
【0011】
また前記操作部および前記表示部は、前記測定部に連結されて前記測定部を制御する電気系部に配設されていることが望ましい。
この構成によれば、操作部および表示部を測定部に近接して低コストで配設することができる。
【0012】
また前記表示部は、複数種類の質量電荷比ごとの分圧を切り替え表示しうるようになっていることが望ましい。
この構成によれば、必要な測定結果のみを簡単に確認することができるので、各種検査を効率的に行うことができる。
【0013】
前記表示部は、質量電荷比が28の窒素ガスの分圧と質量電荷比が32の酸素ガスの分圧との比率を表示しうるようになっていることが望ましい。
また質量電荷比が28の窒素ガスの分圧と質量電荷比が32の酸素ガスの分圧との比率を、外部機器に出力しうるようになっていることが望ましい。
これらの構成によれば、手計算によることなく窒素ガスと酸素ガスとの分圧比を確認することができるので、空気リーク検査を効率的に行うことができる。
【0014】
一方、本発明に係る質量分析装置の使用方法は、上述した質量分析装置を用いて、メンテナンス後の真空装置のリーク検査を行うことを特徴とする。
上述した質量分析装置によれば、分析対象ガスの存在位置の近傍で質量分析装置の操作および測定結果の確認ができるので、メンテナンス後の真空装置のリーク検査を効率的に行うことができる。
【0015】
また前記リーク検査は、真空装置におけるピンホール位置の検出手段として行うことが望ましい。
この構成によれば、検査用ガスを吹き付けるチャンバの近傍で質量分析装置の操作および測定結果の確認ができるので、真空装置のチャンバと制御用PCとの間を何度も往復する必要がなくなる。したがって、ピンホール位置の検出を効率的に行うことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る質量分析装置およびその使用方法によれば、分析対象ガスの存在位置の近傍で質量分析装置の操作および測定結果の確認ができるので、運転中の真空装置のプロセス管理だけでなく、メンテナンス後の真空装置のリーク検査を効率的に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態につき、図面を参照して説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
【0018】
(質量分析装置)
図1は、本実施形態に係る質量分析装置の側面図である。本実施形態に係る質量分析装置1は測定部12および電気系部14を備え、その電気系部14には表示部16および操作部30が設けられている。
【0019】
質量分析装置には磁場偏向型や四重極型等が存在するが、本実施形態ではトランスデューサ型の四重極型質量分析装置を例として説明する。四重極型の質量分析装置は、真空中に存在するガスの種類とそれぞれのガスの分圧を計測するものであり、測定部12の内部にイオン源部、四重極部およびイオン検出部(いずれも不図示)を備えている。質量分析の原理は、まず測定部12の先端から分析対象ガスを導入する。次に、イオン源部のフィラメントで生成された熱電子により、導入されたガス分子をイオン化する。次に、四重極部における4本のロッドに直流電圧および交流電圧による電場を加え、イオン源部から入射したイオンのうち特定の質量電荷比(質量数/電荷数)をもつイオンのみを通過させる。次にイオン検出部において、四重極部を通過したイオンをイオン電流として検出する。そして、四重極部に印加する電場をスイープさせ、質量電荷比ごとにイオン電流を測定し、ガスの種類とそれぞれのガスの分圧を計測する仕組みとなっている。
【0020】
上述した測定部12には、その測定動作を制御する電気系部14が連結されている。その電気系部14には、操作部30および測定結果の表示部16が設けられている。操作部30には、測定開始(Start)ボタン31および表示切替(CH)ボタン32が設けられている。その測定開始ボタン31を押すと、測定部12におけるイオン源部のフィラメントに通電され、質量電荷比1〜100における分圧のスキャン測定を開始する。その後、所定のサンプリングタイムごとに断続的な測定が行われる。
【0021】
また表示部16は、数値表示部17、単位表示部18および内容表示部20で構成されている。数値表示部17において分圧を表示する場合には、単位表示部18における「Pa」のランプが点灯し、数値表示部17において分圧比を表示する場合には、単位表示部18における「%」のランプが点灯するようになっている。これ以外にも、通電状態を示すPOWERランプ、フィラメントの異常や回路上の異常を検知した場合に点灯するERRORランプが設けられている。
【0022】
また内容表示部20には、表示部16における表示内容を示すための複数のランプが設けられている。操作部30の表示切替ボタン32を押すと、表示部16における表示内容が切り替わり、その表示内容に対応したランプが点灯するようになっている。
Heランプは、Heガスの質量電荷比(=4)に対応する分圧が表示されていることを示すものであり、真空装置のHeリーク検査に使用される。HOランプは、水蒸気の質量電荷比(=18)に対応する分圧が表示されていることを示すものであり、真空装置の冷却水リーク検査に使用される。N/Oランプは、N(窒素)ガスの分圧とO(酸素)ガスの分圧との比率が表示されていることを示すものであり、真空装置の空気リーク検査に使用される。ANYランプは、予め登録された特定ガスの分圧が表示されていることを示すものであり、真空装置の導入ガスリーク検査に使用される。なおデフォルトとして、例えば質量電荷比が44の特定ガスが登録されている。これ以外にも、Nガスの質量電荷比(=28)に対応する分圧が表示されていることを示すNランプ、Oガスの質量電荷比(=32)に対応する分圧が表示されていることを示すOランプ、分析対象対象ガスの全圧が表示されていることを示すTPランプが設けられている。
【0023】
なお質量分析装置1の操作は、操作部30で行われるだけでなく、配線3を介して外部から行うこともできるようになっている。また測定結果は、表示部16に表示されるだけでなく、電圧信号に変換され配線3を介して外部に出力しうるようになっている。その際、窒素ガスの分圧と酸素ガスの分圧との比率の0〜100%を、電圧の0〜10Vに割り当てて出力すればよい。これにより、真空装置のメンテナンス時だけでなく運転中にも空気リークなどの異常を監視することができる。なお測定結果の全てを出力することなく、各種ガスの分圧や分圧比が許容値を超えた場合にのみ、リレーやデジタル信号にて外部に出力するようにしてもよい。
【0024】
(質量分析装置の使用方法)
次に、本実施形態に係る質量分析装置の使用方法につき、図1および図2を用いて説明する。
【0025】
図2は、本実施形態に係る質量分析装置を装着した真空装置の概略構成図である。以下には、質量分析装置1を装着する真空装置50として、DCマグネトロンスパッタ装置を例に挙げて説明する。DCマグネトロンスパッタ装置(以下「スパッタ装置」という。)は、チャンバ52の内部にマグネトロン電極54を備えている。このマグネトロン電極54は、電極上に配置されたターゲット56の表面に磁界を印加し、高密度プラズマを発生させるものである。そして、真空ポンプ58によりチャンバ52を真空排気し、導入ガス供給手段60からArガスをチャンバ52に供給する。これにより、ターゲット56にArイオンが衝突し、飛び出したターゲット材料が対向する基板5に付着して成膜されるようになっている。このスパッタ装置50の動作は、チャンバ52から離間配置された制御用PC(パーソナルコンピュータ)62によって制御される。
【0026】
本実施形態に係る質量分析装置1は、チャンバ52の側壁部分に装着されている。具体的には、質量分析装置1の測定部12がチャンバ52の内部に配置され、電気系部14がチャンバ52の外部に配置されている。なお本実施形態では、質量分析装置1の電気系部14に測定部12の操作部および測定結果の表示部が配設されているが、質量分析装置1が真空装置50の制御用PC62に接続されて、制御用PC62においても測定部12の操作および測定結果の表示を行うことができるようになっている。
このように装着された質量分析装置1を用いて、真空装置50の各種検査を行う方法について以下に説明する。
【0027】
(プロセス管理方法)
最初に、真空装置50のプロセス管理を行う方法について説明する。まず真空装置50を運転して成膜処理を開始する。次に、制御用PC62から質量分析装置1を駆動して、チャンバ52の内部ガスの測定を開始する。その測定結果は電圧信号に変換し、制御用PC62に出力させる。制御用PC62では、質量電荷比を横軸にとり分圧を縦軸にとったグラフを表示する。次に、その測定結果から内部ガスに含まれる物質の種類および量を確認する。すなわち、正常なプロセスによる生成物が所定量だけ含まれているか、また製品に悪影響を及ぼす不純物が多量に含まれていないか確認する。この確認作業は、作業者が目視により、または制御用PCで実行されるプログラムにより行う。このようなプロセス管理を、運転中の真空装置50において定期的に実施する。
【0028】
このように、電気系部14において測定結果を表示するだけでなく、測定結果を電圧信号に変換して制御用PC62に出力する構成としたので、従来と同様に制御用PC62からプロセス管理を行うことができる。
なお測定結果の全てを制御用PCに出力することなく、予め設定された特定ガスの分圧が許容値を超えた場合にのみ、リレーやデジタル信号等にて制御用PC62に出力するようにしてもよい。この場合、制御用PC62は測定結果を表示するとともに、作業者に警報を発令する。これにより、プロセス管理をさらに効率的に行うことができる。
【0029】
(ピンホール検査)
次に、真空装置50のピンホール検査を行う方法について説明する。真空装置50のチャンバ52のメンテナンスに伴って、チャンバ52にピンホールが発生すると、真空装置50の機能が阻害されることになる。そこで、真空装置50のメンテナンス後にピンホール検査を行う。ピンホール検査として、ピンホールの有無を検出する空気リーク検査と、ピンホールの位置を検出するHeリーク検査とを順に行う。
【0030】
真空装置50の空気リーク検査を行うには、まずチャンバ52の内部を真空引きする。次に質量分析装置1を駆動し、チャンバ52の内部ガスを測定して、その測定結果を表示させる。質量分析装置の駆動および測定結果の表示は、質量分析装置1の電気系部14において行う。具体的には、図1に示す電気系部14において、まず操作部30の測定開始ボタン31を押して測定を開始する。次に表示切替ボタン32を押して、内容表示部20のN/Oランプを点灯させる。これにより、測定された窒素ガスの分圧と酸素ガスの分圧との比率が、表示部16に表示される。そして、その比率が約4.0(400%)となった場合には、図2に示すチャンバ52においてピンホールを介した空気リークがあると判断する。
【0031】
このように、表示切替ボタン32を押すだけで窒素ガスの分圧と酸素ガスの分圧との比率を確認することができるので、作業者が分圧比を手計算する必要がない。したがって、真空装置50の空気リーク検査を効率的に行うことができる。
【0032】
上述した空気リーク検査でピンホールがあると判断された場合に、ピンホールの位置を検出するためHeリーク検査を行う。Heリーク検査を行うには、まずチャンバ52の内部を真空引きする。次にチャンバ52の外面の特定部分にHeガスを吹き付ける。具体的には、ピンホールの存在する蓋然性が高いチャンバ52の溶接部分や可動部分等にHeガスを吹き付ける。次に質量分析装置1を駆動し、チャンバ52の内部ガスを測定して、その測定結果を表示させる。質量分析装置1の駆動および測定結果の表示は、質量分析装置1の電気系部14において行う。具体的には、図1に示す電気系部14において、まず操作部30の測定開始ボタン31を押して測定を開始する。次に表示切替ボタン32を押して、内容表示部20のHeランプを点灯させる。これにより、測定されたHeガスの分圧が表示部16に表示される。その分圧の大きさから、ピンホールを介したHeガスのリーク有無を判断する。そして、図2に示すチャンバ52の外面の様々な位置にHeガスを吹き付け、その都度上記作業を繰り返すことにより、ピンホールの位置を検出することができる。
【0033】
このように、検査用のHeガスを吹き付けるチャンバ52の近傍で、質量分析装置の操作および測定結果の確認ができるので、従来のようにチャンバと制御用PCとの間を何度も往復する必要がない。したがって、ピンホール位置の検出を効率的に行うことができる。
【0034】
(導入ガスリーク検査)
次に、真空装置50の導入ガスリーク検査を行う方法について説明する。真空装置50のメンテナンスに伴って、導入ガス供給手段60からチャンバ52への導入ガスのリークが発生する場合がある。そこで、真空装置50のメンテナンス後に導入ガスリーク検査を行う。
【0035】
真空装置50の導入ガスリーク検査を行うには、まずチャンバ52の内部を真空引きする。次に質量分析装置を駆動し、チャンバ52の内部ガスを測定して、その測定結果を表示させる。質量分析装置の駆動および測定結果の表示は、質量分析装置1の電気系部14において行う。具体的には、図1に示す電気系部14において、まず操作部30の測定開始ボタン31を押して測定を開始する。次に表示切替ボタン32を押して、内容表示部20のANYランプを点灯させる。なお予め導入ガスの質量電荷比を特定ガスボタン24に登録しておく。これにより、測定された導入ガスの分圧が表示部16に表示される。その分圧の大きさから、図2に示すチャンバ52への導入ガスのリーク有無を判断する。
【0036】
(冷却水リーク検査)
次に、真空装置50の冷却水リーク検査を行う方法について説明する。真空装置50のメンテナンスに伴って、真空装置50の冷却水配管(不図示)からチャンバ52への冷却水のリークが発生する場合がある。そこで、真空装置50のメンテナンス後に冷却水リーク検査を行う。
【0037】
真空装置50の冷却水リーク検査を行うには、まずチャンバ52の内部を真空引きする。次に質量分析装置を駆動し、チャンバ52の内部ガスを測定して、その測定結果を表示させる。質量分析装置の駆動および測定結果の表示は、質量分析装置1の電気系部14において行う。具体的には、図1に示す電気系部14において、まず操作部30の測定開始ボタン31を押して測定を開始する。次に表示切替ボタン32を押して、内容表示部20のHOランプを点灯させる。これにより、測定された水蒸気の分圧が表示部16に表示される。その分圧の大きさから、図2に示すチャンバ52への冷却水のリーク有無を判断する。
【0038】
なお上述した空気リーク検査、導入ガスリーク検査および冷却水リーク検査は、同時に行うことも可能である。具体的には、まずチャンバ52の内部を真空引きする。次に質量分析装置を駆動し、チャンバ52の内部ガスを測定する。この測定は、質量電荷比1〜100における分圧のスキャン測定である。そこで、その測定結果を表示させる際に、図1に示す表示切替ボタン32を繰り返し押して、内容表示部20N/Oランプ、HOランプおよびANYランプを順に点灯させればよい。これにより、測定されたNガスの分圧とOガスの分圧との比率、水蒸気の分圧、および導入ガスの分圧が順に表示される。これにより、空気リーク検査、導入ガスリーク検査および冷却水リーク検査を効率的に行うことができる。
【0039】
以上に詳述したように、本実施形態に係る質量分析装置は、質量電荷比ごとの分圧の測定部に近接して、測定部の操作部および測定結果の表示部を設ける構成とした。この構成によれば、分析対象ガスの存在位置の近傍で質量分析装置の操作および測定結果の確認ができるので、真空装置の各種検査を効率的に行うことができる。特に運転中の真空装置のプロセス管理だけでなく、メンテナンス後の真空装置のリーク検査を効率的に行うことができる。これに伴って、真空装置のメンテナンス後の立ち上げ時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】実施形態に係る質量分析装置の側面図である。
【図2】実施形態に係る質量分析装置を装着した真空装置の概略構成図である。
【図3】従来技術に係る質量分析装置の概略構成図である。
【符号の説明】
【0041】
1‥質量分析装置 12‥測定部 14‥電気系部 16‥表示部 30‥操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
質量電荷比ごとの分圧の測定部に近接して、前記測定部の操作部および測定結果の表示部を配設したことを特徴とする質量分析装置。
【請求項2】
前記操作部および前記表示部は、前記測定部に連結されて前記測定部を制御する電気系部に配設されていることを特徴とする請求項1に記載の質量分析装置。
【請求項3】
前記表示部は、複数種類の質量電荷比ごとの分圧を切り替え表示しうるようになっていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の質量分析装置。
【請求項4】
前記表示部は、質量電荷比が28の窒素ガスの分圧と質量電荷比が32の酸素ガスの分圧との比率を表示しうるようになっていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の質量分析装置。
【請求項5】
質量電荷比が28の窒素ガスの分圧と質量電荷比が32の酸素ガスの分圧との比率を、外部機器に出力しうるようになっていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の質量分析装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の質量分析装置を用いて、メンテナンス後の真空装置のリーク検査を行うことを特徴とする質量分析装置の使用方法。
【請求項7】
前記リーク検査は、真空装置におけるピンホール位置の検出手段として行うことを特徴とする請求項6に記載の質量分析装置の使用方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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