説明

質量分析装置における気体導入装置

【課題】気体試料を測定対象とする質量分析装置において、素材に吸着ないし吸蔵または内封されている微量気体を有効に分析し得る、簡単な構成で操作の簡便な気体導入装置を得る。
【解決手段】試料を挿入配置する試料室10と、この試料室を高真空に排気する真空ライン20と、前記試料室内に挿入される可動軸32を有し該室内の真空度を低下させることなく直線または回転運動を与えて試料を破砕する破砕手段34と、破砕された試料より脱離した気体成分を質量分析計に導入する可変バルブ22とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、質量分析装置への試料導入装置に係り、特に量的に制限のある気体試料の質量分析において、試料を有効に分析計に導入して分析測定するための気体導入装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、化学プラントにおける反応ガスの分析を行うプロセス分析、生体の呼、吸気ガスの分析に基づく代謝機能や麻酔状態の分析ないしは反応経過を知得するための医療用あるいは医学上の成分分析、または半導体や触媒などを加熱することにより脱離する気体成分からその表面状態もしくは反応経過を知得するための脱離気体や発生気体の分析を行う手段として、質量分析装置が提案されている。
【0003】
これら質量分析装置の内、新たにフーリエ変換方式を用いた装置として、例えば特開平5−54852号公報(特許文献1)には、十分な安定度が得られ、磁場ドリフトを自動的に補償して、高分解能質量分析を行うことができるフーリエ変換質量分析装置が開示されている。すなわち、このフーリエ変換質量分析装置は、静磁場内に置かれた高真空セル内に導入した試料気体をイオン化し、高真空セルに設けられた照射電極対に高周波を印加することにより高周波電場をイオンに印加して、測定対象である特定成分のイオンにイオンサイクロトロン共鳴を誘起させ、前記イオンサイクロトロン共鳴を高周波電気減衰信号として検出し、この高周波電気減衰信号をデジタル信号に変換し、時間領域信号であるデジタル高周波電気減衰信号を周波数領域信号に変換するものであって、静磁場としての永久磁石または電磁石と、静磁場の変動を補償する変動磁場補償コイルおよび高安定直流電源からなる磁場発生手段と、磁場の長周期変動を特定成分のイオンサイクロトロン共鳴周波数の変化として検出すると共に、その変化分を磁場変動の誤差信号として前記高安定直流電源に帰還する帰還手段とを備え、静磁場/照射周波数比を一定に保持するように磁場を制御するよう構成されている。
【0004】
このように構成されるフーリエ変換質量分析装置は、測定しようとする特定対象イオンのイオンサイクロトロン共鳴周波数に近似する照射周波数を、照射電極対に印加するので、検出された高周波減衰信号をデジタル変換する際の限られたダイナミックレンジの範囲内で、特定対象イオンを測定可能な程度に十分に大きく励起することができるようになる。そして、このフーリエ変換質量分析装置においては、試料気体を連続的にあるいは定期的に高真空セルに供給することにより、試料気体中の特定対象イオンの検出を継続的に行うことができる。
【0005】
また、静磁場の経時的変化があったとしても、その経時的変化をイオンサイクロトロン共鳴周波数の変化として検出し、そのイオンサイクロトロン共鳴周波数の変化に応じて、あるいは照射周波数または静磁場を制御することにより、磁場の経時変化を補償し、あるいは周波数測定値を校正し、フーリエ変換質量分析装置を設置する部屋や装置をとりまく周囲温度の変化に対しても高精度の測定を可能にするという利点が得られるものである。
【0006】
【特許文献1】特開平5−54852号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかるに、試料気体が微量である場合に、前述した質量分析装置による分析結果として、十分な質量スペクトルを得ることは困難である。すなわち、微量気体の場合には、赤外線分析計による赤外線分光も容易ではなく、またバックグラウンドガスの除外のために高真空中のサンプリングではガスクロマトグラフへの注入も困難である。
【0008】
例えば、素材に吸着ないし吸蔵または内封されている気体成分を分析することが必要となる場合がある。すなわち、白熱電球の残留気体を求める品質管理の要求や、放電管および特種電球の開発、さらには半導体パッケージの不純物、発泡材内の気体成分とその経時変化の分析等、様々な産業上での要求がある。この場合に、対象気体成分の濃度は、必ずしも低くはないが、量においては厳しく制限される場合が多い。従って、試料から脱離させた微量成分気体をそのまま分析計に導入し、有効にイオン化することが必要となる。
【0009】
しかしながら、従来においては、この種の微量成分気体による質量分析により適正な質量スペクトルを得るための手段について、未だ研究され、報告された事例は見当たらない。
【0010】
そこで、本発明の目的は、気体試料を測定対象とする質量分析装置において、素材に吸着ないし吸蔵または内封されている微量気体を有効に分析し得る、簡単な構成で操作の簡便な気体導入装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するため、本発明に係る質量分析装置における気体導入装置は、試料を挿入配置する試料室と、この試料室を高真空に排気する真空ラインと、前記試料室内に挿入される可動軸を有し該室内の真空度を低下させることなく該試料室の内径一杯の直径を有する直線または回転運動を与えて試料を破砕する手段と、破砕された試料より脱離した気体成分を質量分析計に導入する手段とを備えることを特徴とする質量分析装置における気体導入装置において、可動軸の先端には、多孔板ないし格子状部材により形成される可動方向の面積が大きくかつ気体分子の流通を容易にした試料を押し潰すための破砕部品を設けてなることを特徴とする。更に、本発明に係る質量分析装置における気体導入装置は、試料を挿入配置する試料室と、この試料室を高真空に排気する真空ラインと、前記試料室内に挿入される可動軸を有し該室内の真空度を低下させることなく該試料室の内径一杯の直径を有する直線または回転運動を与えて試料を破砕する手段と、破砕された試料より脱離した気体成分を質量分析計に導入する手段とを備えることを特徴とする質量分析装置における気体導入装置において、試料室における試料を挿入配置する部分を、ベローズ管ないしセラミック管等の熱伝導率の低い管を隔てて不要ガス成分を低温トラップする部分より構成してなることを特徴とする。更に、本発明に係る質量分析装置における気体導入装置は、試料を挿入配置する試料室と、この試料室を高真空に排気する真空ラインと、前記試料室内に挿入される可動軸を有し該室内の真空度を低下させることなく該試料室の内径一杯の直径を有する直線または回転運動を与えて試料を破砕する手段と、破砕された試料より脱離した気体成分を質量分析計に導入する手段とを備えることを特徴とする質量分析装置における気体導入装置において、試料を挿入配置する試料室と、この試料室を高真空に排気する真空ラインと、前記試料室内に挿入される試料加熱器を有し該室内の真空度を低下させることなく試料から気体成分を加熱脱離する加熱手段と、試料より気化脱離した気体成分を質量分析計に導入する手段とを備えることを特徴とする。
【0012】
前記の質量分析装置において、可動軸の先端には、多孔板ないし格子状部材により形成される可動方向の面積が大きくかつ気体分子の流通を容易にした試料を押し潰すための破砕部品を設けることができる。
【0013】
更に、本発明に係る質量分析装置における気体導入装置は、試料を挿入配置する試料室と、この試料室を高真空に排気する真空ラインと、前記試料室内に挿入される可動軸を有し該室内の真空度を低下させることなく直線または回転運動を与えて試料を破砕する手段と、破砕された試料より脱離した気体成分を質量分析計に導入する手段とを備えることを特徴とする質量分析装置における気体導入装置であって、可動軸の先端には、テーパーが逆向きで2枚の鋭利な刃ないし錐状部材により形成される試料の細断を行うための破砕部品を設けてなる質量分析装置における気体導入装置において、試料室における試料を挿入配置する部分を、ベローズ管ないしセラミック管等の熱伝導率の低い管を隔てて不要ガス成分を低温トラップする部分より構成してなることを特徴とする。更に、本発明に係る質量分析装置における気体導入装置は、試料を挿入配置する試料室と、この試料室を高真空に排気する真空ラインと、前記試料室内に挿入される可動軸を有し該室内の真空度を低下させることなく直線または回転運動を与えて試料を破砕する手段と、破砕された試料より脱離した気体成分を質量分析計に導入する手段とを備えることを特徴とする質量分析装置における気体導入装置であって、可動軸の先端には、テーパーが逆向きで2枚の鋭利な刃ないし錐状部材により形成される試料の細断を行うための破砕部品を設けてなる質量分析装置における気体導入装置において、試料を挿入配置する試料室と、この試料室を高真空に排気する真空ラインと、前記試料室内に挿入される試料加熱器を有し該室内の真空度を低下させることなく試料から気体成分を加熱脱離する加熱手段と、試料より気化脱離した気体成分を質量分析計に導入する手段とを備えることを特徴とする。
【0014】
さらに、前記試料室における試料を挿入配置する部分を、ベローズ管ないしセラミック管等の熱伝導率の低い管を隔てて不要ガス成分を低温トラップする部分より構成することができる。
【0015】
本発明に係る質量分析装置における気体導入装置の代案として、試料を挿入配置する試料室と、この試料室を高真空に排気する真空ラインと、前記試料室内に挿入される試料加熱器を有し該室内の真空度を低下させることなく試料から気体成分を加熱脱離する加熱手段と、試料より気化脱離した気体成分を質量分析計に導入する手段とを備えた構成とすることができる。また、質量分析装置は、フーリエ変換方式イオンサイクロトロン質量分析装置が望ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、高真空中の微量気体試料を、直接質量分析計に導入して測定することができるので、バックグラウンド信号の混入を避けた質量スペクトルが得られ、分析計のダイナミックレンジの問題も軽減できる。従って、本発明に係る質量分析装置における気体導入装置によれば、質量分析計として、特にフーリエ変換方式イオンサイクロトロン共鳴質量分析計を使用すれば、非常に高い質量分解能が容易に得られるという前記フーリエ変換方式の特徴により、導入気体成分の質量を精密に求めることができ、しかも質量数が等しくかつ質量を異にする気体成分をも、直接分離、同定および定量することができる。
【実施例】
【0017】
次に、本発明に係る気体導入装置の実施例につき、添付図面を参照しながら以下詳細に説明する。
【0018】
図1は、本発明に係る気体導入装置の一実施例を示すものであって、試料から脱離する気体成分を質量分析計に導入する構成を示すものである。すなわち、参照符号10は試料室を示す。この試料室10の具体的な一実施例を図2に示す。しかるに、図1および図2において、試料室10に対し、高真空バルブ12を介してターボ分子ポンプ14、フォアライントラップ16およびロータリーポンプ18が順次接続配置された真空ライン20が連通接続される。従って、この真空ライン20は、前記試料室10を高真空に排気するために使用される。また、前記試料室10に対し、可変バルブ22を介して質量分析計(図示せず)に接続するための分析ライン24が連通接続される。さらに、前記分析ライン24と真空ライン20とを開閉バルブ26を介して相互に連通する分岐ライン28が接続される。なお、参照符号30は、真空ライン20に接続配置した真空計を示す。
【0019】
また、本実施例装置において、前記試料室10の内部には、その軸方向に直線運動ないしはその軸周りに回転運動を行う可動軸32を有し、この可動軸32の先端部において試料を破砕するための破砕手段34が設けられている。なお、参照符号10aは、前記試料室10へ試料Sの挿入を行うための開閉自在なフランジ部を示す。
【0020】
このように構成した本実施例装置において、前記フランジ部10aを介して試料室10内に試料Sを挿入配置する。次に、高真空バルブ12および可変バルブ22を閉じると共に、開閉バルブ26を開き、ロータリーポンプ18を駆動して、試料室10内を10-1〜10-3Torrにまで排気する。その後、開閉バルブ26を閉じ、高真空バルブ12を開いて、試料室10を10-6Torr程度の高真空に排気する。これは、質量分析において、バックグラウンド信号または不要信号として微量気体検出を妨げる残留気体成分を除去する処置である。従って、前記排気の到達真空圧は、試料室10内部の残留気体量(試料室内容積×真空圧)が、試料Sから脱離する対象気体の量よりも十分に少なくなるまで高く保持することが必要である。なお、到達真空度は、真空計30で測定することができる。
【0021】
試料室10内が十分に排気されれば、可変バルブ22を開き、真空バルブ12を閉じる。そして、試料室10は引き続き質量分析計を通して排気される。試料室10の真空度が質量分析計と平衡すれば、質量分析計のモニタディスプレイ(図示せず)に表示される残留気体の質量スペクトルは、ほぼ一定となる。この状態で、破砕手段34を操作して、可動軸32により試料Sを破砕すれば、試料内部に含まれていた気体は脱離する。このようにして脱離した気体成分は、可変バルブ22を介して質量分析計に導入し、その質量スペクトルを得ることができる。この結果、得られた質量スペクトルと、先の残留気体質量スペクトルとの差から、試料内に含まれていた気体成分を分析することができる。
【0022】
図2に示す実施例において、試料Sは小型電球を示し、この小型電球Sの内部に封入されている気体成分の分析を行う場合について、以下説明する。すなわち、電球の品質管理においては、電球内部気体の圧力および成分を知ることが求められる。白熱電球は、一般に、ガラス球内にフィラメント組立等を配置し、ロータリーポンプ等で排気して熔封することにより製作される。そこで、小さな球内の気圧は、10-1〜10-3Torrであり、封入気体量は極く微量である。このため、分析に際しては、球の破砕に先立ち、試料室10内を10-6Torr以内の高真空に排気し、室内残留気体の影響を避けるように設定する。そこで、高真空に排気後、破砕手段34を操作して試料の電球Sを破砕すれば、球内の気体は試料室10内に拡散する。拡散した気体は、可変バルブ22を介して質量分析計に導入し、分析測定を行う。なお、図3の(a)、(b)は、破砕手段34の可動軸32の先端部に取付けられて電球等の試料Sを破砕するための破砕部品36を示し、この破砕部品36は、試料の置かれた位置に拘らず有効に機能するように、試料室10の内径一杯の直径を有し、かつ脱離気体が容易に通過できるように構成した多数の通孔38を穿設した多孔板あるいは格子状部材として構成される。なお、試料の分析に際し、試料内部に含まれる気体は、殆どの場合において混合成分である。従って、測定される質量スペクトルは、成分個々のスペクトルがその含有比に対応する強度で加え合わされた混合スペクトルとなる。そこで、フーリエ変換方式イオンサイクロトロン共鳴(FT−ICR)質量分析計を除く、一般の質量分析計により測定する場合は、質量数の等しい成分のスペクトルは互いに重なり合い、弁別は困難である。このような混合スペクトルから、試料の構成成分の同定、定量を行うことは、原理的に不可能である。
【0023】
そこで、混合成分の分析には、ガスクロマトグラフを前置し、個々の成分を単離した後、質量分析を行う所謂GC−MS方式が一般的な方法として実施し得るが、前記高真空中の微量混合気体をガスクロマトグラフの加圧されたキャリアガスに注入することは、現在のところ事実上不可能であり、これらの分析は困難である。
【0024】
しかるに、前述した本発明による気体導入装置によれば、高真空中の微量気体試料を、直接質量分析計に導入して測定することができるので、バックグラウンド信号の混入を避けた質量スペクトルが得られ、分析計のダイナミックレンジの問題も軽減できる。従って、フーリエ変換方式イオンサイクロトロン共鳴質量分析計と接続して使用する場合には、成分気体の質量の精密測定により、直接構成気体成分の化学組成を求めることができる。
【0025】
図4は、試料室10の別の実施例を示す要部断面側面図である。すなわち、図4においては、試料Sとして、水銀放電灯あるいはこれにハロゲン、希ガス等を添加した特種電球を対象とするものである。そこで、本実施例では、試料Sの破砕時に水銀蒸気も拡散することになる。しかるに、水銀蒸気は、試料室10、フランジ、パッキン、バルブ等の金属と反応し、アマルガムとなり、これらを劣化させることがある。このため、本実施例においては、試料Sの位置と試料室10の操作部との間を高真空ベローズ管40で接続した構成からなる。
【0026】
本実施例における、分析測定に際しては、試料および試料を配置するフランジ部10aのみを、寒剤に浸して冷却しておく。寒剤として、例えばドライアイス+酢酸アミルとした場合、水銀蒸気圧は10-9Torrレンジとなる。これは、常温における蒸気圧10-3Torrに比較して著しく低い。すなわち、脱離した水銀蒸気は、殆ど冷却されたフランジ部10aにトラップされるので、材料腐蝕はベローズ管40の接続を施さない場合に比べて、10-6程度に軽減することができる。
【0027】
なお、本実施例において、ベローズ管40は、薄いステンレス製で、沿面距離が長く、熱伝導率の非常に低いものが好適である。これにより、前述した試料配置部分を十分に冷却しても、破砕手段34やバルブ等の機械的操作部の温度低下は避けることができる。しかし、ベローズ管40では、排気コンダクタンスが低くなる。これに対しては、最近市販されている高真空セラミック管またはガラスアダプタを使用することが有効である。
【0028】
図5の(a)、(b)、(c)は、破砕手段34の可動軸32に取付けられて、試料Sを破砕するための破砕部品37の別の実施例を示すものである。すなわち、本実施例の破砕部品37は、発泡材等の試料に含まれる気体成分を分析測定する場合に、好適に使用し得るものである。すなわち、この種の試料は、電球等とは異なり、柔軟性があり、しかも弾力に富んでいるので、図3に示す構成のものでは、破砕手段34の操作で押し潰す作用が不完全となる。そこで、図示のように、破砕部品37には、テーパーが逆向きで2枚の鋭利な刃39あるいは錐状部材を取付け、これにより試料の位置がずれている場合も移動しないよう押さえつけて試料を細断して内封気体を脱離し、その気体成分を分析測定するように構成する。
【0029】
図6の(a)、(b)は、試料Sに吸着ないし吸蔵されている成分を、加熱脱離するように構成した試料室10のさらに別の実施例を示す要部断面側面図である。本実施例において、試料室10には、破砕手段に代えて貫通端子付きフランジ50を設け、端子としてヒータ用の電流端子52と温度センサ用のセンサ端子54とを装着する。そして、試料室10内には、ヒータ56で加熱し得るルツボ58を配置する。従って、本実施例による試料Sの分析測定に際しては、試料Sをルツボ58に入れ、前記フランジ50により試料室10を密閉した後、室内を高真空に排気し、その後ヒータ56に電流を供給して加熱し、ルツボ58内の試料Sを所要温度に加熱する。この時の温度は、適宜温度センサによってモニタすることができる。このようにして、加熱された試料から気化脱離した成分は、可変バルブ22を介して質量分析計へ導入し、分析測定を行うことができる。
【0030】
以上、本発明の好適な実施例について説明したが、本発明はこれら実施例に限定されることなく、本発明の精神を逸脱しない範囲内において種々の設計変更をなし得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に係る気体導入装置を備える質量分析装置の概略系統図である。
【図2】本発明に係る気体導入装置の一実施例を示す要部断面側面図である。
【図3】本発明に係る気体導入装置の試料室に設ける破砕手段の可動軸に取付ける破砕部品の一実施例を示し、(a)は側面図、(b)は底面図である。
【図4】本発明に係る気体導入装置の別の実施例を示す要部断面側面図である。
【図5】本発明に係る気体導入装置の試料室に設ける破砕手段の可動軸に取付ける破砕部品の別の実施例を示し、(a)は底面図、(b)は右側面図、(c)は正面図である。
【図6】本発明に係る気体導入装置のさらに別の実施例を示すものであって、(a)は要部断面平面図、(b)は要部断面側面図である。
【符号の説明】
【0032】
10 試料室
10a フランジ部
12 高真空バルブ
14 ターボ分子ポンプ
16 フォアライントラップ
18 ロータリーポンプ
20 真空ライン
22 可変バルブ
24 分析ライン
26 開閉バルブ
28 分岐ライン
30 真空計
32 可動軸
34 破砕手段
36 破砕部品
37 破砕部品
38 通孔
39 刃
40 ベローズ管
50 貫通端子付きフランジ
52 電流端子
54 センサ端子
56 ヒータ
58 ルツボ
S 試料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料を挿入配置する試料室と,
前記試料室を密閉する貫通端子付き又は前記試料室へ試料の挿入を行うための開閉自在なフランジ部と、
この試料室に対して高真空バルブを介してターボ分子ポンプと真空ポンプが順次接続されて高真空に排気する真空ラインと,
前記試料室に対して微量気体試料をフーリエ変換方式イオンサイクロトロン共鳴質量分析計に接続するための分析ラインと、
前記試料室と前記真空ポンプとを開閉バルブを介して相互に連通する分岐ラインと、
を備えるフーリエ変換方式イオンサイクロトロン共鳴質量分析計において、
前記フランジ部を介して試料室内に前記試料を挿入配置し、
前記開閉バルブを開いて前記試料室内を所定の真空度に分岐ラインから排気した後に前記開閉バルブを閉じ、
前記高真空バルブを開いて前記真空ラインから前記試料室を高真空に排気することにより、
質量分析におけるバックグラウンド信号または不要信号として微量気体検出を妨げる残留気体成分を除去することを特徴とするフーリエ変換方式イオンサイクロトロン共鳴質量分析計。
【請求項2】
さらに残留気体量もしくはキャリアガス量を対象気体量よりも少なくすることが可能であることを特徴とする請求項1記載のフーリエ変換方式イオンサイクロトロン共鳴質量分析計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−149681(P2007−149681A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−316373(P2006−316373)
【出願日】平成18年11月22日(2006.11.22)
【分割の表示】特願2005−202320(P2005−202320)の分割
【原出願日】平成6年4月20日(1994.4.20)
【出願人】(000226242)日機装株式会社 (383)
【Fターム(参考)】