説明

質量分析装置及び質量分析方法

【課題】、優れた性能(感度・再現性・応答性・メモリー)を実現する。
【解決手段】導入した被検出ガスに対して、フラグメントフリーの被検出イオンを生じさせるイオン化室100と、イオン化室から輸送される被検出イオンを質量分別して検出する質量分析計160を備えた質量分析室140と、を有する質量分析装置において、液体試料あるいは固体試料を保持し、加熱手段により加熱することで液体試料あるいは固体試料から被検出ガスを生じさせるプローブ111を有し、プローブで生じた被検出ガスをイオン化室へ輸送するガスの導入手段170を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体あるいは固体試料を気化させて質量分析を行なう質量分析装置及び質量分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
質量分析法は、試料成分の分子をイオン化した後、このイオンを電磁的手法によって質量(質量数)に分別してイオンの強度を計測する。前半のイオン化する部分はイオン化部(イオン化装置)、後半の質量分別する部分は質量分析部(質量分析計)と言われている。質量分析法は、その高い感度・精度などから機器分析法の代表的な手法となっており、材料開発・製品検査・環境調査・バイオ研究など幅広い分野で利用されている。これらの多くはガスクロマトグラフ(GC)などの成分分離装置と結合して使用されているが、成分分離のために試料の精製が必要であること、成分分離が終了するまで数十分もの時間がかかること、成分分離の間に試料成分が変質・損失する場合があること、成分分離には深い知識と経験が必要なこと、などの問題がある。
【0003】
そこで、迅速・簡便・高精度を目的として、成分分離装置と結合せずに質量分析装置単独で測定する「直接測定法」も使用されている。
【0004】
「直接測定法」に使われるイオン化装置は、原理・構造が大きく異なるものがいくつかあるが、
イオン付着質量分析装置(Ion Attachment Mass Spectrometer)は、解離を発生させずに被検出ガスを質量分析することができるという利点を有している。従来、非特許文献1や非特許文献2、非特許文献3、特許文献1によって、イオン付着質量分析装置の報告がなされている。
【0005】
図5に、固体試料または液体試料を気化させてその試料の質量数を測定する従来のイオン付着質量分析装置を示す。
【0006】
図5では、イオン化室100と試料気化室110は、第一の容器130に配され、質量分析計160は第二の容器140に配され、第一及び第二の容器130、140は真空ポンプ150により減圧される。したがって、イオン化室100、試料気化室110、及び質量分析計140はすべて大気圧より低い減圧雰囲気(真空中)に存在している。
【0007】
リチウムなどのアルカリ金属酸化物などを含むアルミナシリケードであるエミッタ107が加熱され、Liなどの正電荷の金属イオン108が発生して照射される。ここでは、試料気化室110がイオン化室100とは別に設けられており、これらは接続管120でつながれている。
【0008】
この試料気化室110には、外部(図では左側)からプローブ111が挿入され、プローブ111の先端に設置された試料カップ112が加熱される。試料カップ112の内部には試料113が充填されているので、試料113は気化して試料気化室110の内部に試料113の中性気相分子106が被検出ガスとして放出される。その後、中性気相分子106は自身の拡散でイオン化室100の方向に移動して、イオン化室100に導入される。
【0009】
そこで、中性気相分子106はイオン化室100にてイオン化されてイオンとなる。
【0010】
最終的には、生成されたイオンは電場による力を受けてイオン化室100から質量分析計140まで輸送され、質量分析計160によりイオンは質量ごとに分別され、検出される。
【0011】
ここで、金属イオン108は、中性気相分子106の電荷の片寄りがある場所に付着し、金属イオン108が付着した分子(イオン付着分子109)は全体として正電荷を持つイオンとなる。付着エネルギー(付着させるためのエネルギーであり、付着後にはこれが余剰エネルギーとなる)は非常に小さいため、中性気相分子106は分解しないので、イオン付着分子109は本来の分子の形のままイオン化した分子イオンとなる。
【0012】
なお、イオン付着分子109のように、本来の分子の形のままイオン化した分子イオンをフラグメントフリーのイオンと呼び、また、この場合、イオン付着分子109が被検出イオンであれば、フラグメントフリーの被検出イオンと呼ぶ。
【0013】
しかし、中性気相分子106へ金属イオン108が付着した後、イオン付着分子109をそのまま(余剰エネルギーを保持したまま)にしておくと、この余剰エネルギーが金属イオン108と中性気相分子106の間の結合を切ってしまう。そして、金属イオン108が中性気相分子106から離れて元の中性気相分子106に戻ってしまう。そこで、イオン化室100にガスボンベ170からN2(窒素ガス)などのガスを50〜100Pa程度の圧力(流量では、5〜10sccm)まで導入し、イオン付着分子109とガス分子が頻繁に衝突するようにする。そうすると、イオン付着分子109が保持している余剰エネルギーがガス分子に移動してイオン付着分子109は安定となる。
【0014】
このガスには、エミッタ107から放出された金属イオン108を自らとの衝突によって減速させて、中性気相分子106に付着しやすくするという、イオン付着のプロセスで重要な機能を持たせており、このガスは、第三体と言われている。
【0015】
図5に示されているように、第三体用ガスボンベ170がイオン化室100に配管でつながっており、イオン化室100内に第三体ガスが導入できるようになっている。
【0016】
上述したイオン付着方式の質量分析装置では、エミッタが中心軸上に設置され金属イオン108 は中心軸に沿って(図では横向き)照射される。そのため、イオン化室100とは別に試料気化室110が必要となり、その内部に設置された試料カップ112の開口は中心軸の直角(図では上向き)で、中性気相分子106は中心軸に対して直角方向から(図では上向きに)放出させている。
【0017】
このような形態にならざるを得ない理由の一つは、イオン化に使う一次粒子である金属イオン108 が低速のイオンであり、生成されるイオン付着分子109と全く同じようにイオン化室100内での効果的に電界の作用を受けるため、金属イオン108は中心軸に沿って照射されなければならず、構造的にエミッタが中心軸を占めることになるからである。
【特許文献1】特開平6-11485号公報
【非特許文献1】Hodge(Analytical Chemistry vol.48 No.6 P825(1976))
【非特許文献2】Bombick(Analytical Chemistry vol.56 No.3 P396(1984))
【非特許文献3】藤井(Analytical Chemistry vol.61 No.9 P1026、Chemical Physics Letters vol.191 No.1.2 P162(1992))
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
しかしながら、イオン付着方式では真空中とは言え、50〜100Pa程度のN2が存在していることが大きな違いとなっており、中性気相分子106がN2に衝突せずに直進できる距離(平均自由工程)は0.1mm程度なので、上方に向かう数eVの運動エネルギーはすぐに消失してしまう。
【0019】
イオン付着方式では気化する成分の重さ(分子量)が雰囲気よりも重い場合が多く、雰囲気のN2よりも重い成分に対して浮力は発生しないので、中性気相分子106は上方には向かわず沈下していると予想される。ただし、中性気相分子106は拡散(熱運動でランダムに移動)する性質があるので、これにより一部の中性気相分子106は上方に向かうのは確かである。すなわち、中性気相分子106は上方に移動しなければならないが、その上昇力が弱いためと推測される。
【0020】
本発明の目的は、液体試料あるいは固体試料を気化させ、質量分析する質量分析装置において、優れた性能(感度・再現性・応答性・メモリー)を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
この目的を達成するために、本発明は、導入した被検出ガスに対して、フラグメントフリーの被検出イオンを生じさせるイオン化室と、
前記イオン化室から輸送される前記被検出イオンを質量分別して検出する質量分析計を備えた質量分析室と、
を有する質量分析装置において、
液体試料あるいは固体試料を保持し、加熱手段により加熱することで前記液体試料あるいは固体試料から前記被検出ガスを生じさせるプローブを有し、
前記プローブで生じた前記被検出ガスを前記イオン化室へ輸送するガスの導入手段を有することを特徴とする。
【0022】
さらに、本発明は、導入した被検出ガスに対して、フラグメントフリーの被検出イオンを生じさせるイオン化室と、
前記イオン化室から輸送される前記被検出イオンを質量分別して検出する質量分析計を備えた質量分析室と、
液体試料あるいは固体試料を保持し、加熱手段により加熱することで前記液体試料あるいは固体試料から前記被検出ガスを生じさせるプローブとを有する質量分析装置を用いた質量分析方法において、
前記プローブで加熱により生じた前記被検出ガスを、前記イオン化室へ前記被検出ガスを輸送するガスとともに、前記イオン化室へ導入することを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、優れた性能(感度・再現性・応答性・メモリー)を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。
(第一の実施形態)
図1に本発明の第一の実施形態である質量分析装置を示す。
【0025】
イオン化方式は、被検出ガスである中性気相分子の分子イオンを生成するフラグメントフリーのイオン化が行なえるイオン付着方式である。
【0026】
図1に示すように、イオン化室100と試料気化室110は第一の容器130に配され、質量分析計160は、第二の容器170(質量分析室となる)に配され、第一及び第二の容器130,140は真空ポンプ150により減圧される。したがって、イオン化室100、試料気化室110、及び質量分析計140はすべて大気圧より低い減圧雰囲気(真空中)に存在している。なお、ここではイオン化室100と試料気化室110は第一の容器130内に配されているが、イオン化室100と試料気化室110が第一の容器130を構成してもよい。
【0027】
リチウムなどのアルカリ金属酸化物などを含むアルミナシリケードであるエミッタ107が加熱され、Liなどの正電荷の金属イオン108 が発生して照射される。試料気化室110がイオン化室100とは別に設けられており、これらは接続管120でつながれている。エミッタ107はイオン放出体となる。
【0028】
ここで、イオン化室100内でフラグメントフリーのイオンが生成される中心を被検出イオン生成領域180とし、図1のようなエミッタ107があるイオン付着方式の場合、イオン化室100の底面に水平な面と、接続管120の管の中心を通る中心線との交点を中心にした領域を被検出イオン生成領域とする。
【0029】
この試料気化室110には外部からプローブ111が挿入され、プローブ111の先端に設置された、試料113の保持部となる試料カップ112が加熱される。試料の加熱は試料カップを傍熱ヒータで加熱したり、試料自体を直接、直熱ヒータで加熱することが行うことができる。加熱手段は傍熱ヒータ、直熱ヒータが該当する。試料113は液体試料あるいは固体試料である。
【0030】
なお、接続管120は必ずしも必要なものではなく、例えば、イオン化室100と試料気化室110を壁で隔て、壁に単なる穴を設ける構成でもよい。
【0031】
ここで、試料カップ112の内部には試料11充填されているので、試料113は気化して試料気化室110の内部に試料113の中性気相分子106(被検出ガスとなる)が放出される。その後、中性気相分子106はイオン化室方向に移動して、イオン化室100に導入される。次に、中性気相分子106はイオン化室100にてイオン化されてイオン付着分子109(被検出イオンとなる)が生成する。プローブ111は被検出イオン生成領域180を通る水平面より下方に配置される。
【0032】
最終的には、生成されたイオン付着分子109は電場による力を受けてイオン化室100から質量分析計140まで輸送され、質量分析計140により質量ごとに分別(質量分別)され、検出される。
【0033】
以上の説明は、図5に示した質量分析装置と同じであるが、本実施形態は以下の点で図5の構成と異なる。
【0034】
図5では第三体ガスの導入手段となる第三体用ガスボンベ170がイオン化室100に接続されていた。しかし、本実施形態に係る質量分析装置では、第三体ガス導入機構の一例として、第三体用ガスボンベ170が試料気化室110に接続されており、窒素ガス等の第三体ガス(輸送ガスとなる)が試料気化室110と接続管120を経由してイオン化室100内に導入できるようになっている。
【0035】
図2に本発明の第一の実施形態である質量分析装置(図1)における接続管付近の拡大図を示す。
【0036】
図2において、予想される第三体ガスの流れが太矢印で示されている。
【0037】
接続管120は内径が約6mmであり、接続管120入口付近での試料カップ112上面やプローブ111上面と試料気化室の天井とのギャップ(上下方向の隙間)は1〜2mm程度となっている。なお図2においては、ギャップは、図2の試料気化室への接続管120の突き出し部の端部と、試料カップ112上面やプローブ111上面との間の距離dとなる。
【0038】
一方、第三体ガスの流量は5〜10sccm程度となっているため、接続管120の内部や入口付近での第三体ガスの流れの線速度は2〜5m/秒となっている。圧力は大気圧の1/1000程度であるが、平均自由行程は0.1mm程度で粘性流となっている。
【0039】
粘性流とは、ガスの平均自由行程がまわりの容器や壁の代表的寸法よりも充分に小さい状態でのガスの流れであって、共存する他のガスは全体的にはこの流れに巻き込まれてほぼ一緒に動くことになる。
【0040】
この第三体ガスの流れが、中性気相分子106を上方へ移動させる上昇力を生み出すとともに、試料気化室110および接続管120による拡散や吸着・脱離による各種の影響を低減すると期待される。図5に示す構成では、中性気相分子106は自身の拡散などでイオン化室方向に移動していくが、本実施形態では自身の拡散の他に、第三体ガスの流れによっても中性気相分子106を上方へ移動させる上昇力が生み出される。
【0041】
試料気化室110の容積・壁の影響に関しては、接続管120入口付近のギャップにて、もしも第三体ガスの巻き込みの流れによって他のガスが逆方向(試料気化室110側)には侵入しないこと、すなわち言わば完全なガスシールが実現できたとすると、第三体ガスについて試料気化室110側の影響は消失し性能的には試料気化室110は存在しないこととなる。そして、この効果は、接続管120の入口付近のギャップが狭いほど流速は早くなって強力になるが、ギャップの大きさはプローブ111の挿入(左右方向の動き)や試料カップ112の適正位置など設計機構・寸法的な条件によって制限される。
【0042】
図3に接続管120近傍の構成の変形例を示した。ギャップを狭くするために、図2では接続管120を試料気化室110まで飛び出させているが、図3(a)ではプローブ111に突起部を、図3(b)では試料気化室の天井に突起部を設け、図3(c)ではプローブ111全体を太くしている。図3(a)ではプローブの接続管周囲に突起部(凸部)を設けており、図3(b)では試料気化室の接続管周囲に突起部(凸部)を設けている。これらの突起部(凸部)は接続管とプローブとの間隔を規定する。
【0043】
中性気相分子106の試料カップ112からイオン化室100までの上方への上昇力、および接続管120での吸着・脱離の影響については次のように考察できる。ガスの線速度は大きいほど、そして乱れ(乱流)は少ないほど効果的なので、例えば接続管120の長さを長く内径を小さくすると、接続管120の内部では線速度は早く、しかも乱れは小さくなって上方への上昇力は増すであろう。しかし、面積の増えた分だけ吸着・脱離の影響は強くなり、接続管120の入口では乱れが多くなり、しかも試料カップからの見込み角は小さくなるので損失は多くなる。なお、ガスの粘性の大きさと線速度を支配的に左右するのは圧力と流量であるが、これらは付着効率や真空ポンプなど別要素で決められているので、任意に変更することは困難である。
【0044】
以上のように、図5の構成に比べて感度(同量試料での信号強度)は50倍程度向上したことが確認され、再現性(信号強度の再現性)や応答性(信号変化への追従性)、メモリー(次回への前回測定の影響)も少なくとも数倍以上改善できることが認められた。また、イオン化室100内での第三体ガスの動作・効果については図5の構成と同じで問題はなかった。
(第二の実施形態)
図4に本発明の第二の実施形態である質量分析装置を示す。プローブ111の先端に設置された、保持部となる試料カップ112が複数となっている以外は図1と同じである。すなわち、試料カップ112(内部に試料113を有する)を大気側から真空中の試料気化室までに導入するには、プローブ111を予備排気室やバルブ(いずれも図示せず)を経由して挿入する必要があり、これらの操作時間がネックとなっている。しかし、本実施例のように、プローブ111に複数の試料カップ112(試料113)が設置されていれば、単にプローブ111を移動するだけで速やかに次の試料の測定を行なうことが出来る。このようにプローブ111のいずれの場所に試料カップ112を設置できるのは、接続管120入口付近で狭いギャップを持ちながらプローブ111が自由に移動できるからである。
【0045】
以上、本実施形態でのイオン付着方式にて使用する金属イオン108は、最も一般的なLiだけでなく、K、Na、Rb、Cs、あるいはAl、Ga、Inなども使用することができる。また、イオン化方式としてはイオン付着方式以外であっても、中性気相分子106を分解させずに本来の形のままイオン化して分子イオンを生成できるフラグメントフリーのイオン化を行なうものであれば何でも構わない。例えば、H3OイオンからのH(プロトン)を付着させるPTR(Proton Transfer Reaction http://www.ptrms.com/index.html)、あるいは水銀イオンなどからの電荷交換によるIMS(Ion Molecule Spectrometer http://www.vandf.com/)などを利用することができる。
【0046】
質量分析計としては、Qポール型質量分析計(QMS)、イオントラップ型質量分析計(IT)、磁場セクター型質量分析計(MS)、飛行時間型質量分析計(TOF)、イオンサイクロトロンレゾナンス型質量分析計(ICR)などあらゆる種類の質量分析計を使用することが出来る。さらに全体構造としては、イオン化室が設けられた第一の容器と質量分析計が設けられた第二の容器による二室構造を示したが、これに限らない。
【0047】
フラグメントフリーイオン化法では、イオン化室の外側の空間の圧力は0.01〜0.1Paとなるが、この圧力で動作できる質量分析計では一室構造が可能であり、桁違いに低い圧力を必要とする質量分析計では三室あるいは四室構造となる。一般的に、超小型QMSやITでは一室構造、通常のQMSやMSでは二室構造、TOFは三室構造、ICRは四室構造が適当と考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、質量分析法における「直接測定法」を優れた性能で実現できるので、材料開発・製品検査・環境調査・バイオ研究など幅広い分野に好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の第一実施形態の質量分析装置の構成を示す全体図である。
【図2】図1に示した接続管付近の拡大図である。
【図3】図1に示した接続管付近の構成の変形例を示す拡大図である。
【図4】本発明の第二実施形態の質量分析装置の構成を示す全体図である。
【図5】固体試料または液体試料を気化させてその試料の質量数を測定する従来のイオン付着質量分析装置を示す全体図である。
【符号の説明】
【0050】
100 イオン化室
106 中性気相分子
107 エミッタ
108 金属イオン
109 イオン付着分子
110 試料気化室
111 プローブ
112 試料カップ
113 試料
120 接続管
130 第一の容器
140 第二の容易器
150 真空ポンプ
160 質量分析計
170 第三体用ガスボンベ
180 被検出イオン生成領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導入した被検出ガスに対して、フラグメントフリーの被検出イオンを生じさせるイオン化室と、
前記イオン化室から輸送される前記被検出イオンを質量分別して検出する質量分析計を備えた質量分析室と、
を有する質量分析装置において、
液体試料あるいは固体試料を保持し、加熱手段により加熱することで前記液体試料あるいは固体試料から前記被検出ガスを生じさせるプローブを有し、
前記プローブで生じた前記被検出ガスを前記イオン化室へ輸送するガスの導入手段を有することを特徴とする質量分析装置。
【請求項2】
前記イオン化室内の被検出イオン生成領域を通る水平面より下方に前記プローブは配置されることを特徴とする請求項1に記載の質量分析装置。
【請求項3】
前記導入手段により導入される前記ガスが、第三体ガスであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の質量分析装置。
【請求項4】
前記プローブは、前記液体試料あるいは固体試料を保持する保持部を備え、該保持部は複数設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の質量分析装置。
【請求項5】
接続管を介して前記イオン化室と接続される試料気化室を有し、前記プローブは該試料気化室内に配置され、前記導入手段は前記試料気化室に接続されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の質量分析装置。
【請求項6】
前記プローブの前記接続管周囲又は前記試料気化室の前記接続管周囲に、前記接続管と前記プローブとの間隔を規定する凸部を有することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の質量分析装置。
【請求項7】
前記凸部を流れる前記第三体ガスは、粘性流であることを特徴とする請求項6に記載の質量分析装置。
【請求項8】
導入した被検出ガスに対して、フラグメントフリーの被検出イオンを生じさせるイオン化室と、
前記イオン化室から輸送される前記被検出イオンを質量分別して検出する質量分析計を備えた質量分析室と、
液体試料あるいは固体試料を保持し、加熱手段により加熱することで前記液体試料あるいは固体試料から前記被検出ガスを生じさせるプローブとを有する質量分析装置を用いた質量分析方法において、
前記プローブで加熱により生じた前記被検出ガスを、前記イオン化室へ前記被検出ガスを輸送するガスとともに、前記イオン化室へ導入することを特徴とする質量分析方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate