説明

質量分析装置用試料導入装置

【課題】熱不安定成分や難揮発性成分も比較的低温で分解を抑制しつつガス化することが可能な質量分析装置用試料導入装置を提供する。
【解決手段】質量分析装置用試料導入装置は、超音波音源部10と試料導入部20とガス化部30とガス供給部2とからなる。超音波音源部10は、振動子11と、振動子に接続される振動伝達部12と、振動伝達部の振動子が接続される側と反対側に接続される振動板13と、振動板と平行に対向して設けられる反射板14とからなり、振動板13と反射板14の間に定在波音場の節を提供するように構成される。試料導入部20は、振動板13と反射板14の間の定在波音場の節に、試料の溶液を導入する。ガス化部30は、超音波音源部10により霧化される試料をガス化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は質量分析装置用試料導入装置に関し、特に、超音波音源により試料を霧化する質量分析装置用試料導入装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近来から、野菜や穀類、加工食品等の食料等が、農薬や殺虫剤、抗生物質、環境ホルモン、ダイオキシン類、界面活性剤、プラスチック用添加剤等の汚染物質に汚染されている可能性について指摘されている。汚染物質の分析を行う場合、種々の困難がある。分析(定性、定量分析等)を行う対象となる試料には通常、複数の被検成分が含まれている。また、これらの汚染物質の多くは、有機化合物である。そして、それらの有機化合物は、類似の分子構造を持っていても毒性が大きく異なることも多い。したがって、分析を行う際には、複数の被検成分を個々に分離し、それぞれについて同定する必要が生ずる。
【0003】
また、食料にどのような有益成分、例えば、ビタミン類、ペプチド、糖類、アミノ酸、脂肪酸等の有機酸、たんぱく質等の生体関連物質が含まれているのかを分析することも望まれている。生体関連物質は、食品に限らず、人体や動物の血液や体液、体組織等にも含まれるため、人体や動物についても分析対象の試料となり得る。
【0004】
このような被検成分の同定には、質量分析法が広く用いられている。質量分析法を適用するにあたり、上述のように試料には複数の被検物質が含まれていることが多いため、質量分析の前にガスクロマトグラフ(GC)や液体クロマトグラフ(LC)を用いて各被検成分を分離し、イオン化した後に質量分析が行われている。
【0005】
より具体的には、GCの場合には、被検成分を含む液体試料を加熱によりガス化した後、キャリアガスを用いて分離カラムにこれを導入し、各被検成分を分離処理する。各被検成分はその後、例えば電子衝撃法等によりイオン化され、そのイオンが質量分析される。
【0006】
また、LCの場合には、被検成分を含む液体試料をキャリア溶媒で分離カラムに導入し、各被検成分を分離処理する。各被検成分を含むキャリア溶媒をガス化及びイオン化し、そのイオンが質量分析される。このとき、大量のキャリア溶媒をガス化する必要があるため、加熱してガス化する前に、被検成分を含むキャリア溶媒を、例えばネプライザ等により微小液滴化(霧化)し、これを例えば200℃〜500℃程度に加熱してガス化している。
【0007】
ここで、霧化を行うものとして、超音波振動を利用したものがある。ネプライザによる霧化に比べて、超音波振動を用いた霧化は、一般的に液滴の粒径を比較的小さくでき、粒径も揃っているという利点がある。例えば、特許文献1には、LCで処理した各被検成分を含むキャリア溶媒を質量分析する前に、被検成分をイオン化するイオン源が開示されている。このイオン源は、超音波霧化部を有するものであり、液体噴出ノズルを超音波振動により振動させて試料溶液を霧化すると共に、液体噴出ノズルに高電圧を与えて霧化された液滴を帯電させるものである。そして、帯電させた液滴と加熱した窒素ガスを混合させ、混ざり合って噴出する過程で、液滴がさらに微細化されるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平6−310088号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述のような被検成分の分離やガス化の際の加熱処理は、熱不安定成分や難揮発性成分が熱により分解してしまうおそれがある。このため、従来の技術では、例えばアミノ酸や脂肪酸等の有機酸やビタミン類、ペプチド、糖類、界面活性剤等の熱不安定性成分や難揮発性成分を分析するために、分離処理に相対的に低い温度域で使用できるLC等を用いることで被検成分を分離した後、キャリア溶媒を含む被検成分をネブライザや超音波振動を利用してガス化し、質量分析装置で検出することが行われている。その一方で、LC等の分離処理が必要なため、分析操作に多くの時間と煩雑な操作を伴うので、熱不安定性成分や難揮発性成分を迅速に分析したいというニーズに応えることは従来技術では難しかった。
【0010】
熱不安定成分や難揮発性成分について、液体試料を分離処理無しで質量分析する場合、微小液滴化が可能な超音波霧化部を有する特許文献1の装置やエレクトロスプレーイオン化法を用いることが考えられる。しかしながら、特許文献1の装置やエレクトロスプレーイオン化法では、高電圧を与えて液滴を帯電させるため、被検成分が多価イオンを生じ易く、生成されるイオンも、プロトン付加体、アルカリ金属イオン付加体等が混在する場合には、マススペクトルが複雑となる。このため、分離処理無しでの分析が困難となる。また、被検成分と合わせて、キャリア溶媒として多量の液体を同時にガス化するために、大きな熱エネルギが必要となり、熱不安定成分がこの熱エネルギにより分解してしまうおそれもある。
【0011】
また、キャリア溶媒を使用せずに液体試料を超音波振動面に直接接触させることで霧化を行うことで、ガス化に要する熱エネルギを最小化し、ガス化した被検成分をキャリアガスにより質量分析装置まで輸送する装置も考えられ得る。しかしながら、この場合、被検成分の一部が超音波振動面に付着して残留し得る。この残留した被検成分は、次回、他の試料を分析するときにコンタミネーションの問題を引き起こし得る。コンタミネーションを避けるには、別途洗浄操作を加える必要があるが、これにより分析プロセスや分析装置が複雑化してしまう。また、洗浄工程に時間が必要となるため、迅速に分析したいという需要に応えることが難しくなる。
【0012】
本発明は、斯かる実情に鑑み、熱不安定成分や難揮発性成分も比較的低温で分解を抑制しつつガス化することが可能な質量分析装置用試料導入装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した本発明の目的を達成するために、本発明による質量分析装置用試料導入装置は、振動子と、該振動子に接続される振動伝達部と、該振動伝達部の振動子が接続される側と反対側に接続される振動板と、該振動板と平行に対向して設けられる反射板と、からなり、振動板と反射板の間に定在波音場の少なくとも1つの節を提供するように構成される超音波音源部であって、その定在波音場の節を通る溶液を霧化する超音波音源部と、超音波音源部の振動板と反射板の間の定在波音場の少なくとも1つの節に、試料の溶液を導入する試料導入部と、超音波音源部により霧化される試料をガス化するガス化部と、ガス化部によりガス化される試料を輸送するためのキャリアガスを供給するガス供給部と、を具備するものである。
【0014】
さらに、ガス化部によりガス化される試料をイオン化するイオン化部を具備するものであれば良い。
【0015】
さらに、イオンを発生させるイオン源部を具備するものであれば良い。
【0016】
ここで、イオン源部は、ガス化部によりガス化された後の試料に対してイオンを供給し、イオン化部はガス化された後の試料をイオン化するものであっても良い。
【0017】
また、イオン源部は、ガス化部によりガス化される前の試料に対してイオンを供給し、イオン化部はガス化されるときの試料をイオン化するものであっても良い。
【0018】
また、超音波音源部は、振動子がボルト締めランジュバン型振動子からなり、振動伝達部がエキスポネンシャルホーン及び半波長共振棒からなり、振動板が矩形たわみ振動板からなるものであれば良い。
【0019】
また、超音波音源部は、振動板と反射板の間の距離が超音波音源部の共振周波数の1/2波長であり、試料導入部は、試料を振動板と反射板の間の中心に導入するものであれば良い。
【発明の効果】
【0020】
本発明の質量分析装置用試料導入装置には、熱不安定成分や難揮発性成分も比較的低温で分解を抑制しつつガス化することが可能であるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、本発明の質量分析装置用試料導入装置を説明するための概略構成図である。
【図2】図2は、本発明の他の実施例の質量分析装置用試料導入装置を説明するための概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図示例と共に説明する。図1は、本発明の質量分析装置用試料導入装置を説明するための概略構成図である。質量分析装置用試料導入装置は、被検成分が含まれる試料を質量分析装置に導入するために用いられるものであり、図示の通り、本発明の質量分析装置用試料導入装置は、超音波音源部10と、試料導入部20と、ガス化部30と、ガス供給部2とから主に構成される。また、これらはハウジング1に組み付けられている。
【0023】
超音波音源部10は、溶液を非接触で霧化するものである。ここで、超音波霧化を行うために、超音波音源部10は強力な音場を提供する。また、質量分析装置用試料導入装置に適用する超音波音源部10は、試料導入部20からの試料の溶液を霧化するために用いられるため、ハウジング1内の溶液を導入するポイントにのみ強力な音場を提供すれば良いものである。したがって、例えば従来から存在する点収束型超音波音源は、装置が大型なためこのような用途に適用するには不向きである。また、縞モードたわみ振動板型超音波音源は、反射板と組み合わせて強力な空中音場を提供できるので、本発明の質量分析装置用試料導入装置に適用可能ではあるが、一般的に縞モードたわみ振動板の面積が大きいため、試料導入装置に適用すると装置が大型化する可能性はある。
【0024】
本発明の質量分析装置用試料導入装置では、超音波音源部10は、振動子11と、振動伝達部12と、振動板13と、反射板14とからなる。振動伝達部12は、振動子11に接続される。振動板13は、振動伝達部12の振動子11が接続される側と反対側に接続される。反射板14は、振動板13と平行に対向して設けられる。そして、超音波音源部10は、振動板13と反射板14の間に定在波音場の少なくとも1つの節を提供するように構成され、定在波音場の節を通る溶液を霧化するものである。具体的には、例えば振動子11がボルト締めランジュバン型振動子からなるものである。また、振動伝達部12は、エキスポネンシャルホーン12a及び半波長共振棒12bからなるものである。エキスポネンシャルホーン12aの一例を挙げると、ジュラルミン製であり、振幅拡大比が約5.0のものである。また、半波長共振棒12bは、例えばジュラルミン製であれば良い。なお、半波長共振棒12bの長さを調整することで、共振周波数を調整可能である。そして、振動板13は、矩形たわみ振動板からなるものである。振動板13もジュラルミン製の板であれば良い。また、反射板14は、超音波を反射可能なものであれば如何なるものでも良く、例えばジュラルミン製の板であれば良い。そして、振動板13と反射板14の間の距離を調整することで、この間に定在波音場が生成されるように構成する。振動板13と反射板14の間には、定在波音場の少なくとも1つの節が提供されれば良い。具体的には、振動板13と反射板14の間の距離は、n・λ/2(nは自然数である)となるように、振動板13と反射板14が配置されれば良い。例えばn=1のとき、振動板13と反射板14の間に定在波音場が生成され、その中心に1つの節ができる。また、n=2とした場合には、2つの節ができる。
【0025】
このように構成される超音波音源部10を用いて、振動板13と反射板14の間に強力な定在波音場が生成されるように各寸法を調整すれば良い。例えば、共振周波数が28kHzとなるように構成すると、半波長共振棒12bの寸法としては、例えば長さが76mm、直径が8mmであれば良い。また、振動板13の寸法は、例えば長さ45mm、幅25mm、厚み3mmの板であれば良い。このとき、振動板13と反射板14の間の距離を、6.5mmとすると1/2波長となり、1つの節が中心にできる。また、13mmとすると、1波長の定在波音場となり、節が2つできる。
【0026】
なお、上述の超音波音源部10の具体的構成について、本発明はこれに限定されるものではない。本発明の質量分析装置用試料導入装置では、超音波音源部の振動板と反射板の間に発生する定在波音場の音圧が高く、そこを通る溶液を霧化可能なように構成された超音波音源部であれば、如何なる構成であっても良い。
【0027】
そして、試料導入部20は、超音波音源部10の振動板13と反射板14の間の定在波音場の少なくとも1つの節に、試料の溶液を導入するものである。試料導入部20は、例えば図示例のように、ニードル21とニードルシール22とからなり、これらを介して液状の試料がハウジング1内に導入される。ニードル21の先端を、超音波音源部10の振動板13と反射板14の間の定在波音場の節、より具体的には、例えば振動板13と反射板14の間の距離が超音波音源の共振周波数の1/2波長の場合には、振動板13と反射板14の間の中心に合わせ、節の部分を通る溶液が超音波音源部10によって霧化されるように構成する。
【0028】
試料導入部20から液状の試料を超音波音源部10に導入すると、超音波音源部10では例えば100μm以下、好ましくは30μm以下の粒径で液体を霧化する。これにより、試料は容易にガス化し、試料に含まれる被検成分は1つ1つの分子に分かれ得る。そして、このように霧化された試料は、ハウジング1に接続されるガス供給部2による気流により、ガス化部30へ移動される。ガス供給部2は、ガス化部30によりガス化される試料を輸送するためのキャリアガスを供給するものである。例えば、ガス供給部2は、バルブを介してハウジング1に接続されており、窒素やヘリウム、空気等のキャリアガスをハウジング1内に導入する。また、パージガスをハウジング1内に導入するバルブ3を設けても良い。パージガスについても、例えば窒素やヘリウム、空気等が挙げられる。
【0029】
ガス化部30は、超音波音源部10により霧化される試料をガス化するものである。ガス化部30は、例えば図1のように、インサート31とOリング32と加熱器33とからなる。ハウジング1内にインサート31がOリング32を介して固定されており、ここを通る霧化された試料が加熱器33で加熱されることでガス化される。このとき、試料は超音波音源部10により微小な粒径で霧化されているため、ガス化部30では比較的低温でガス化可能である。例えば、加熱温度としては、200℃以下、より好ましくは、80℃〜150℃程度であれば良い。ガス化部30により、試料に含まれる被検成分が1個1個の分子に分解される。
【0030】
さて、このように構成された本発明の質量分析装置用試料導入装置によりガス化された試料は、その後例えば図1に示されるように、イオン化部40に減圧導入される。イオン化部40は、例えばガス化部30によりガス化される試料をイオン化するものである。例えば、イオン化部40には、被検成分のイオン化を行うためのイオンを発生させるイオン源部41が接続されている。なお、イオン源部41はイオン化部40に内蔵されていても良い。図1の例では、イオン源部41は、ガス化部30によりガス化された後の試料に対してイオンを供給し、イオン化部40においてガス化された後の試料をイオン化する。即ち、ガス化部30によりガス化された試料に含まれる被検成分が未だイオン化されていない状態でイオン化部40に導入され、イオン源部41から発生するイオンを用いて被検成分をイオン化する。また、イオン源部41から被検成分に照射する光子エネルギ等により被検成分の分子の一部(通常はプロトン)を破壊することでイオン化しても良い。
【0031】
イオン化部40におけるイオン化は、質量分析部50において得られるマススペクトルを単純化するために行われるものである。これは、例えばソフトイオン化法により行われれば良い。より具体的には、ソフトイオン化法の中でも、擬分子イオンスペクトルのみを検出できるソフトイオン化法が用いられる。このようなソフトイオン化法としては、例えば、被検成分へのイオン付着によるイオン化、被検成分からの光電子放出によるイオン化、被検成分へのプロトン移動反応によるイオン化が挙げられる。
【0032】
このような主として擬分子イオンスペクトルを検出可能なソフトイオン化法においては、被検成分(分子)はフラグメントに分解されることがないか、又はあっても大きなフラグメントに分解されるだけである。このため、複数の被検成分を同時にイオン化しても、同じ分子量のイオンが生じる可能性は小さい。したがって、個々の被検成分(分子)完全に、又は相当程度同定することが可能となる。
【0033】
このようにしてイオン化部40でイオン化された被検成分が、質量分析部50に導入され、質量分析が行われ、マススペクトル等が得られる。
【0034】
このように、本発明の質量分析装置用試料導入装置によれば、非接触で比較的低温でのガス化が可能であるため、熱不安定成分や難揮発性成分も分析できる。さらに、非接触で霧化が可能なため、コンタミネーションの問題も起こり難く、霧化部の洗浄作業等も必要なく、迅速な分析が可能である。また、ソフトイオン化により分離処理も不要となる。
【0035】
次に、図2を用いて本発明の他の実施例の質量分析装置用試料導入装置について説明する。図2は、本発明の他の実施例の質量分析装置用試料導入装置を説明するための概略構成図である。図中、図1と同一の符号を付した部分は同一物を表わしているため、詳説は省略する。図1に示される実施例では、ガス化された後の試料をイオン化した例を説明したが、図2に示される実施例は、ガス化されるときに同時にイオン化するものである。以下、図2を参照して説明する。
【0036】
図2に示される本発明の質量分析装置用試料導入装置では、ガス供給部2によりハウジング1内に供給されるキャリアガスをイオン源部44の放電部に導入し、針状電極に印加された電圧によりイオン又は励起状態の活性な化学種を生成させている。即ち、イオン源部44は、ガス化部30によりガス化される前の試料に対してイオンや励起分子を供給している。このようなキャリアガスやバルブ3からのパージガスがハウジング1内に充満し、超音波音源部10により霧化された試料と共にガス化部30へ移動される。ガス化部30において、霧化された試料と共にイオンや励起分子を加熱することで、被検成分のガス化と同時にイオン化が起こる。これは、試料に含まれる被検成分にイオンが付着したり、被検成分と励起分子とが気相反応したりすることで起こる。
【0037】
このようにしてガス化部30内でイオン化された被検成分が、直接質量分析部50に導入され、質量分析が行われ、マススペクトル等が得られる。
【0038】
このように、本発明の質量分析装置用試料導入装置では、イオン化の手法は種々のものを用いることが可能である。
【0039】
なお、本発明の質量分析装置用試料導入装置は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。また、上述した具体的な寸法や温度等については、あくまでも単なる一例として例示したものであり、本発明はこれらに限定されることは無いことは明らかである。
【符号の説明】
【0040】
1 ハウジング
2 ガス供給部
3 バルブ
10 超音波音源部
11 振動子
12 振動伝達部
12a エキスポネンシャルホーン
12b 半波長共振棒
13 振動板
14 反射板
20 試料導入部
21 ニードル
22 ニードルシール
30 ガス化部
31 インサート
32 Oリング
33 加熱器
40 イオン化部
41 イオン源部
44 イオン源部
50 質量分析部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検成分が含まれる試料を質量分析装置に導入する質量分析装置用試料導入装置であって、該質量分析装置用試料導入装置は、
振動子と、該振動子に接続される振動伝達部と、該振動伝達部の振動子が接続される側と反対側に接続される振動板と、該振動板と平行に対向して設けられる反射板と、からなり、振動板と反射板の間に定在波音場の少なくとも1つの節を提供するように構成される超音波音源部であって、その定在波音場の節を通る溶液を霧化する超音波音源部と、
前記超音波音源部の振動板と反射板の間の定在波音場の少なくとも1つの節に、試料の溶液を導入する試料導入部と、
前記超音波音源部により霧化される試料をガス化するガス化部と、
前記ガス化部によりガス化される試料を輸送するためのキャリアガスを供給するガス供給部と、
を具備することを特徴とする質量分析装置用試料導入装置。
【請求項2】
請求項1に記載の質量分析装置用試料導入装置であって、さらに、前記ガス化部によりガス化される試料をイオン化するイオン化部を具備することを特徴とする質量分析装置用試料導入装置。
【請求項3】
請求項2に記載の質量分析装置用試料導入装置であって、さらに、イオンを発生させるイオン源部を具備することを特徴とする質量分析装置用試料導入装置。
【請求項4】
請求項3に記載の質量分析装置用試料導入装置において、前記イオン源部は、ガス化部によりガス化された後の試料に対してイオンを供給し、イオン化部はガス化された後の試料をイオン化することを特徴とする質量分析装置用試料導入装置。
【請求項5】
請求項3に記載の質量分析装置用試料導入装置において、前記イオン源部は、ガス化部によりガス化される前の試料に対してイオンを供給し、イオン化部はガス化されるときの試料をイオン化することを特徴とする質量分析装置用試料導入装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5の何れかに記載の質量分析装置用試料導入装置において、前記超音波音源部は、振動子がボルト締めランジュバン型振動子からなり、振動伝達部がエキスポネンシャルホーン及び半波長共振棒からなり、振動板が矩形たわみ振動板からなることを特徴とする質量分析装置用試料導入装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6の何れかに記載の質量分析装置用試料導入装置において、前記超音波音源部は、振動板と反射板の間の距離が超音波音源部の共振周波数の1/2波長であり、試料導入部は、試料を振動板と反射板の間の中心に導入することを特徴とする質量分析装置用試料導入装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−54172(P2012−54172A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−197301(P2010−197301)
【出願日】平成22年9月3日(2010.9.3)
【出願人】(899000057)学校法人日本大学 (650)
【出願人】(500483781)ツルイ化学株式会社 (8)
【Fターム(参考)】