説明

質量分析装置

【課題】大気圧雰囲気下で粒子線を試料に照射してイオン化を行う場合、粒子線の照射範囲を絞ることができないため空間分解能を高めることが困難であった。
【解決手段】大気圧雰囲気にあるイオン化室1内でノズル8から噴射される粒子線の経路に小孔6を穿設した粒子線遮蔽板5を配設し、該小孔6を通過した一部の粒子線を試料3に照射する。そして、試料3上の粒子線の照射部位4から発生したイオンをイオン輸送管7で収集して質量分析部に送る。さらに、この遮蔽板5の位置を固定し試料3を保持する試料ステージ2を二次元面内で移動させることにより、試料3上での粒子線の照射部位4を移動させる走査を行い、それにより試料3上の所定範囲の定性情報や定量情報の二次元分布を取得可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大気圧雰囲気から中真空雰囲気の条件の下でイオン線や中性分子線といった粒子線を試料に照射して該試料中の成分をイオン化するイオン源を備える質量分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より質量分析は様々な分野で利用されているが、近年、例えばタンパク質やペプチドの解析など生化学分野、医療分野などでの利用が盛んになっている。こうした分野では、生体組織などの固体状の試料を顕微観察しながらその観察部分の組織成分の構造解析を行いたいという要求が高く、こうした目的のために、顕微鏡と質量分析装置との機能を兼ね備えた顕微質量分析装置が開発されている。
【0003】
質量分析装置では分析を行うために試料を何らかの方法でイオン化する必要があり、上記のような装置ではレーザ脱離イオン化法(LDI)やマトリクス支援レーザ脱離イオン化法(MALDI)が使用されることが多い。特にMALDIを用いた質量分析装置は、分子量の大きな高分子化合物をあまり開裂させることなく分析することが可能であり、しかも微量分析にも好適であることから、近年、生命科学などの分野で広範に利用されている。また、顕微質量分析装置の場合、試料を手軽に交換して観察や分析が行えるように略大気圧又は真空度があまり高くない条件の下でイオン化を行うことが好ましく、大気圧マトリクス支援レーザ脱離イオン化法(AP−MALDI)も開発されている。
【0004】
一方、最近、レーザを使用しない大気圧イオン化法も注目されてきている。こうしたイオン化法として、脱離エレクトロスプレーイオン化法(DESI)や大気圧ペニングイオン化法(APPI)が知られている。DESIはエレクトロスプレーにより生成される溶媒イオンを大気圧雰囲気下で試料に照射するものであり(非特許文献1など参照)、他方、APPIは、放電により生成する中性準安定励起原子(分子)を大気圧雰囲気下で試料に照射するものであるが(特許文献1など参照)、いずれも固体試料の表面に存在する物質をマトリクス無しでイオン化することができる。
【0005】
しかしながら、上記DESI法では、大気圧雰囲気下でイオンを試料に照射するため、入射イオンが大気分子と衝突し、電磁レンズ等の集光手段を用いたとしても入射イオンのビーム径の拡がりが回避できない。一方、APPI法では、入射粒子が電気的に中性であるため、電磁レンズでは入射ビームを収束させることができない。そのため、こうしたイオン化法では、入射粒子を絞ることができないために高い空間分解能を実現することができない。
【0006】
【特許文献1】米国公開特許公報2005/0056775
【非特許文献1】ゾルタン・タカツ(Zoltan Takats)ほか3名、「マス・スペクトロメトリー・サンプリング・アンダー・アンビエント・コンディションズ・ウィズ・デソープション・エレクトロスプレー・イオナイゼイション(Mass Spectrometry Sampling Under Ambient Conditions with Desorption Electrospray Ionization)」、サイエンス(Science)、October 15, 2004、Vol.306、p. 471-473.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記課題を解決するために成されたものであり、その目的とするところは、大気圧雰囲気から中真空雰囲気という条件下で試料に粒子線を照射してイオン化を行う際に、粒子線の照射径を絞ることで高い空間分解能を達成することができる質量分析装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために成された本発明は、試料に粒子線を照射して該試料に含まれる成分をイオン化するイオン源を具備する質量分析装置において、
前記試料に照射される粒子線の通過経路上に開口を有する粒子線通過域制限部材を配置し、前記開口を通過した粒子線を試料に照射することを特徴としている。
なお、ここで粒子線とはイオン線又は中性原子(分子)線のことを言う。
【0009】
本発明に係る質量分析装置では、拡がろうとする粒子線を絞るのではなく、拡がろうとする粒子線の一部を粒子線通過域制限部材の開口を通過させ、それ以外の粒子線を遮蔽することにより、試料に到達する粒子線の径を小さなものとする。粒子線の噴射部は例えば高電圧が印加されている等の理由により試料に近付けることが難しい場合であっても、粒子線通過域制限部材を試料に近付けて開口から試料までの距離を短くすれば、試料上での粒子線の照射面積をかなり小さくすることができる。
【0010】
本発明に係る質量分析装置は、特に粒子線が拡がり易い条件の下で固体試料の表面付近に存在する成分をイオン化したいような用途に向く。したがって、例えば、上記イオン源が大気圧雰囲気から中真空雰囲気の条件下で固体試料に含まれる成分をイオン化するような質量分析装置に好適である。ここで中真空とは、一般に質量分析装置において四重極質量フィルタなどの質量分析器や検出器を配設する圧力10-4[Torr]程度以下の高真空雰囲気よりも圧力の高い10-3[Torr]程度の状態を言う。
【0011】
こうした条件の下では、粒子線噴射部から噴射された粒子は大気ガス分子や残留ガス分子と接触する機会が多いため拡がり易いが、上記本発明を適用することにより、試料に当たる粒子線の面積を小さくして狭い範囲に存在する成分の質量分析を行うことが可能となる。
【0012】
具体的には、本発明に係る質量分析装置において、前記イオン源は脱離エレクトロスプレーイオン化法によるイオン化を行うものとすることができる。この場合には、粒子線はイオン線である。
【0013】
また本発明に係る質量分析装置において、前記イオン源は大気圧ペニングイオン化法によるイオン化を行うものとすることもできる。この場合には、粒子線は中性準安定励起原子(分子)線である。
【0014】
但し、脱離エレクトロスプレーイオン化法の場合、粒子線噴射部から噴射される粒子線は溶媒の微小液滴が入り混じったものとなり、この溶媒が粒子線通過域制限部材の開口周縁部に付着すると目詰まりの原因となる。そこで、粒子線通過域制限部材にあって少なくとも開口の周縁部を加熱する加熱手段を備える構成とするとよい。
【0015】
この構成によれば、粒子線通過域制限部材の開口周縁部に近付いた微小液滴は熱によって気化が促進されるため、液体状のまま開口周縁部に付着することを抑制できる。また液体状のまま溶媒が付着した場合でも瞬時に気化する。それにより、開口の目詰まりを軽減することができる。なお、一般に溶媒の気化を促進するためには開口周縁部の温度をできるだけ高くするほうがよいが、粒子線通過域制限部材と試料とが近接しており且つ試料自体が熱に弱いものである場合には、温度を上げ過ぎると試料が損傷してしまうおそれがある。そこで、試料の種類などの条件に応じて、50〜500℃程度の範囲で適宜に加熱温度を決めるとよい。
【0016】
また、本発明に係る質量分析装置では、試料に到達する粒子線の照射面積が小さいため、その微小範囲に存在する物質の質量分析を行ってその物質の同定や定量が可能となる。その試料上のさらに広い範囲に存在する物質の種類や含有量などの空間的分布を調べたい場合には、例えば、上記開口の位置を空間的に固定する一方、試料をその開口に対し相対的に移動させることで、該試料上の二次元的な質量分析を行う構成とすることができる。また、試料の位置を空間的に固定する一方、開口をその試料に対し相対的に移動させることで、該試料上の二次元的な質量分析を行うようにしてもよい。
【0017】
いずれの方法でも、試料上で粒子線の照射位置が移動するので、例えばステップ状の移動毎に質量分析を行うことにより、試料上の所定範囲を細かく区切った各微小領域に存在する物質の同定や定量を行い、その二次元的な分布を調べることができる。なお、特に前者の構成によれば、粒子線通過域制限部材は移動せずに試料が移動されるので、空間的な粒子線の照射位置は変化せず、例えば試料上で生成されるイオンを収集するためイオン輸送部などの位置をイオンの収集効率が最良又はそれに近い状態となるように固定することができる。
【発明の効果】
【0018】
以上のように本発明に係る質量分析装置によれば、大気圧雰囲気や比較的圧力の高い真空雰囲気の下で試料に対し微小径の粒子線を照射し、その照射範囲付近に存在する物質をイオン化して質量分析することができる。これにより、質量分析の空間分解能を大幅に向上させることができる。また、こうしたイオン源では試料をマトリクス化する必要がなく、手軽に且つ効率よく分析を遂行することができる。また、試料と粒子線を通過する開口との相対位置を移動させることにより、試料上に存在する物質を高い空間分解能で以て分析してマッピング等を行うことができ、装置の付加価値が一層向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の一実施例による質量分析装置について図面に基づいて説明する。図1は本実施例の質量分析装置の全体構成図、図2はイオン源の概略側面図である。
【0020】
この質量分析装置において、イオン源は脱離エレクトロスプレーイオン化法(DESI)方法によるものであり、略大気圧雰囲気にあるイオン化室1内に溶媒イオンを噴射するノズル8が配設されている。一般的なESIと同様に、このノズル8は二重筒構造を有しており、内筒には溶媒が案内されるとともに高電圧が印加されており、ノズル8の先端に達した溶媒は高電圧により片寄った電荷を付与される。外筒からはネブライズガスが噴出し、このネブライズガスにより溶媒が微小液滴となって噴霧され、溶媒が気化する過程で溶媒イオンが生成される。而して、ノズル8からは完全には気化していない溶媒の微小液滴が入り混じった溶媒イオンが粒子線として出射される。
【0021】
一方、分析対象である固体状の試料3は試料ステージ2上に保持され、この試料ステージ2はモータ等を含むステージ駆動部14によりX、Yの二軸方向にそれぞれ所定範囲で移動可能となっている。ノズル8と試料3との間には本発明における粒子線通過域制限手段としての粒子線遮蔽板5が配置され、この粒子線遮蔽板5に穿設された本発明における開口としての小孔(ピンホール)6を通過した粒子線が試料3に照射される。
【0022】
試料3の上方には試料3から放出されたイオンを引き込むイオン輸送管7の入口が設けられ、イオンはこのイオン輸送管7を通って真空室10内に配設された質量分析部に送られる。質量分析部においては、イオン輸送管7を通ってきたイオンはイオン光学系11で収束されて四重極質量フィルタ12に導入され、四重極質量フィルタ12に印加される高周波電圧の周波数により決まる質量数を持つイオンのみが選択的にその長軸方向の空間を通過して検出器13に到達して検出される。検出器13は到達したイオンの量に応じた検出信号を発生し、これをデータ処理部16に与える。四重極質量フィルタ12への印加電圧の周波数を走査することにより検出器13に到達するイオンの質量数が順次変化するから、これによりデータ処理部16では所定の質量範囲の質量スペクトルを得ることができる。
【0023】
真空室10は図示しない真空排気ポンプにより高真空雰囲気(真空度10-4[Torr]以下)に維持される。但し、イオン化室1内を大気圧とし、真空室10内を高真空雰囲気とする場合、両者の圧力差が大きすぎるため、イオン化室1内から真空室10内に流れ込むガスによって真空室10内を高真空雰囲気に維持するのが困難である。そこで、実際には、イオン化室1と真空室10との間に1乃至複数段階の中間真空室を設ける多段差圧排気の構成とするとよい。
【0024】
上記構成の質量分析装置における分析動作について説明する。前述のようにノズル8から溶媒イオンを含む粒子線が出射されるが、イオン化室1内には多量の大気分子が存在するため、溶媒イオンは大気分子に衝突して進行方向が曲げられ、その結果、粒子線は図1及び図2に示すように略円錐形状に拡がる。こうして拡がった状態で粒子線は粒子線遮蔽板5に当たるが、小孔6の部分のみで粒子は通過可能であるため、粒子線遮蔽板5の粒子線入射面(図2中の上面)と反対面(図2中の下面)からは、見かけ上、小孔6の位置を出射源とする微小径の粒子線が出射して試料3に当たる。小孔6を通過した粒子線も進行に伴ってその径が大きくなるが、粒子線遮蔽板5と試料3との距離を短くしておくことで径の拡がりは抑えられる。
【0025】
これにより、試料3には微小径の粒子線が照射され、試料3上の照射部位4に存在する物質(分子や原子)が溶媒イオンとの間の電子のやりとりによりイオン化される。但し、粒子線には気化していない溶媒の微細液滴が混じっているため、これが小孔6の周りに付着すると小孔6の開口を塞いでしまうおそれがある。そこで、この実施例では、熱伝導性の良好な金属から成る粒子線遮蔽板5にヒータ17を付設し、加熱制御部18からヒータ17に加熱電流を供給することにより粒子線遮蔽板5を加熱するようにしている。粒子線遮蔽板5、特に小孔6の周縁部付近が高温に維持されると、小孔6に近付いてくる微小液滴から溶媒の気化が促進され、また溶媒が残った状態で小孔6の周縁部に到達してもすぐに気化する。したがって、液体状の溶媒が小孔6を閉塞してしまうことを防止することができる。
【0026】
溶媒の気化を促進させるという観点では加熱温度は高いほうが好ましいが、粒子線遮蔽板5の温度が高いと試料3にも熱が伝導して試料3の温度も上昇する可能性がある。試料3が生体組織など熱による影響を受け易いものである場合に、上記のような温度上昇は好ましくないから、試料3の種類や試料3と粒子線遮蔽板5の間の距離、或いは使用する溶媒の種類(気化温度)などに応じて、50〜500℃程度の範囲で適宜の温度を決めるとよい。
【0027】
上述したように試料3上の照射部位4から発生したイオンはイオン輸送管7により収集され、その質量数毎に分離されて検出器13により検出される。このとき、四重極質量フィルタ12において質量数の走査を行うことで、データ処理部16では照射部位4に対するマススペクトルを作成することができる。そして、こうして作成されるマススペクトルに現れるピークの位置(質量数)に基づいて物質を同定することができ、ピーク強度に基づいてその物質の濃度(量)を推定することができる。
【0028】
但し、こうして得られる定性情報や定量情報は粒子線が当たった狭い範囲(照射部位4)に対応するものである。そこで、制御部15は、ステージ駆動部14により所定のステップ幅で以て試料ステージ2を二次元面内で移動させ、その移動毎に上記のように粒子線を照射した照射部位4に対する質量分析を実行する。試料3の位置の走査により試料3上で粒子線が当たる位置、つまり照射部位4が移動するから、各照射部位4の定性情報や定量情報を取得することができる。そして、試料3の位置走査の位置情報と各照射部位4の定性情報や定量情報を対応付けることにより、試料3上の所定範囲に存在する物質の二次元分布やその含有量の二次元分布(マッピング)などを得ることができる。上述のように粒子線遮蔽板5により試料3に当たる粒子線の照射面積を小さくすることができるので、マッピングの空間分解能が向上し、より精緻なマッピングを得ることができる。
【0029】
なお、上記実施例では、イオン源はDESIによるものであったが、APPIによるものに変更することができる。その場合には、放電により生成する中性準安定励起原子分子をノズル8から出射させるようにすればよい。APPIの場合、粒子線には微小液滴を含まないので、上記実施例のように粒子線遮蔽板5の小孔6に液体が目詰まりするおそれがないため、粒子線遮蔽板5の加熱は不要である。
【0030】
図3は上記実施例の変形例におけるイオン源の概略側面図である。これはイオン源がDESIである場合のように粒子が荷電粒子である場合にのみ有効な構成であり、APPIのように非荷電粒子では有効でない。この構成では、ノズル8と粒子線遮蔽板5との間に粒子線を収束させる電磁レンズ20を備える。例えば電磁レンズ20は円環状であって、電圧印加部21から電磁レンズ20に電圧をかけて粒子線の径を絞るようにする。この場合でも、大気粒子との衝突により収束は不十分であるが、図2に示したように電磁レンズが無い場合に比べれば粒子線遮蔽板5に到達する時点での粒子線の拡がりが抑制されるので、単位面積当たりの粒子量が増加することになる。したがって、小孔6を通過する粒子(イオン)の量は増加するため、試料3上での目的成分のイオン化効率は向上する。これにより、分析感度の向上が期待できる。
【0031】
また図4はさらに別の変形例におけるイオン源の概略側面図である。上記実施例において、試料3上での照射部位4の面積を小さくするためには粒子線遮蔽板5をできるだけ試料3に近付けることが望ましい。しかしながら、試料3上方にはイオン輸送管7など、試料3から発生したイオンを収集する手段も配置する必要があり、そうした手段との干渉を避けるために上記のような構成の粒子線遮蔽板5を試料3に近接させるのが難しい場合がある。そこで、図4の構成では、本発明における粒子線通過域制限部材として先端に向かって絞られた略切頭円錐形状の粒子線遮蔽筒体22を用い、その先端部に穿設した小孔23から粒子線を出射するようにしている。この構成では、粒子線遮蔽筒体22の先端部の周囲にヒータ17を設ければよい。
【0032】
こうした構成によれば、イオン輸送管7との干渉を避けながら小孔23を試料3に近付けることができるので、試料3上での粒子線の照射部位の面積が一層小さくなり、空間分解能のさらなる向上が図れる。また、DESIの場合に、ノズル8の内筒には高電圧が印加されるが、粒子線遮蔽筒体22を例えば接地することにより、放電を起こすことなく粒子線を絞ることができる。
【0033】
なお、上記実施例では、イオン化室1内を大気圧雰囲気に維持するようにしていたが、大気圧でなくても、例えば低真空から中真空(10-1〜10-3[Torr]程度)の雰囲気下でも残留大気分子との衝突の影響により粒子線が拡がるから、こうした条件下でイオン化を行うイオン源を利用する場合にも本発明は有用である。
【0034】
また、上記実施例では、試料3の定性情報、定量情報の二次元分布を得るために粒子線遮蔽板5の位置を固定して試料3を二次元面内で移動させるようにしていたが、小孔6(又は23)から試料3に向かう粒子線と試料3との相対的な位置関係が変化すればよいから、例えば試料3の位置を固定して粒子線遮蔽板5を二次元面内で移動させるようにしてもよい。また、試料3と粒子線遮蔽板5との両方をそれぞれ二次元面内で移動させるようにしてもよい。
【0035】
また、上記実施例は本発明の一例であり、上記記載の点以外についても、本発明の趣旨の範囲で適宜に変更、修正、追加を行っても本願特許請求の範囲に包含されることは当然である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の一実施例による質量分析装置の全体構成図。
【図2】本実施例の質量分析装置におけるイオン源の概略側面図。
【図3】他の実施例の質量分析装置におけるイオン源の概略側面図。
【図4】他の実施例の質量分析装置におけるイオン源の概略側面図。
【符号の説明】
【0037】
1…イオン化室
2…試料ステージ
3…試料
4…照射部位
5…粒子線遮蔽板
6、23…小孔
7…イオン輸送管
8…ノズル
10…真空室
11…イオン光学系
12…四重極質量フィルタ
13…検出器
14…ステージ駆動部
15…制御部
16…データ処理部
17…ヒータ
18…加熱制御部
20…電磁レンズ
21…電圧印加部
22…粒子線遮蔽筒体


【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料に粒子線を照射して該試料に含まれる成分をイオン化するイオン源を具備する質量分析装置において、
前記試料に照射される粒子線の通過経路上に開口を有する粒子線通過域制限部材を配置し、前記開口を通過した粒子線を試料に照射することを特徴とする質量分析装置。
【請求項2】
前記イオン源は大気圧雰囲気から中真空雰囲気の条件下で固体状の試料に含まれる成分をイオン化するものであることを特徴とする請求項1に記載の質量分析装置。
【請求項3】
前記イオン源は脱離エレクトロスプレーイオン化法によるイオン化を行うものであることを特徴とする請求項2に記載の質量分析装置。
【請求項4】
前記イオン源は大気圧ペニングイオン化法によるイオン化を行うものであることを特徴とする請求項2に記載の質量分析装置。
【請求項5】
前記粒子線通過域制限部材にあって少なくとも前記開口の周縁部を加熱する加熱手段を備えることを特徴とする請求項3に記載の質量分析装置。
【請求項6】
前記開口の位置を空間的に固定する一方、前記試料をその開口に対し相対的に移動させることで、該試料上の二次元的な質量分析を行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の質量分析装置。
【請求項7】
前記試料の位置を空間的に固定する一方、前記開口をその試料に対し相対的に移動させることで、該試料上の二次元的な質量分析を行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の質量分析装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2007−165116(P2007−165116A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−359847(P2005−359847)
【出願日】平成17年12月14日(2005.12.14)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【出願人】(504261077)大学共同利用機関法人自然科学研究機構 (156)
【Fターム(参考)】