説明

質量分析装置

【課題】周回軌道を周回するイオンの挙動に影響を与えることなく周回軌道へのイオンの導入、及び周回軌道からのイオンの取り出しを行う。
【解決手段】周回軌道4にあって扇形電場E1で曲げられた後のイオンの軌道(出射軌道部4c)と一致するようにイオン導入軌道5を設ける。そして、イオン導入時には電極部11への印加電圧をゼロにして扇形電場E1を解除し、イオン導入軌道5に沿って入射させたイオンが電極部11内で直進し、電極部11の出口端面からは見かけ上、周回軌道4に沿ったイオンと同様の方向、位置でイオンが出るようにする。これにより、周回軌道上にイオン導入・導出用の偏向電極を設ける必要がない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は質量分析装置に関し、さらに詳しくは、イオンを閉じた周回軌道に沿って繰り返し飛行させるためのイオン光学系を備える多重周回飛行時間型又はフーリエ変換型の質量分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に飛行時間型質量分析装置(TOF−MS)では、一定のエネルギーで以て加速したイオンが質量に応じた飛行速度を持つことに基づき、一定距離を飛行するのに要する時間を計測することで、その飛行時間からイオンの質量を算出する。したがって、質量分解能を向上させるためには、飛行距離を伸ばすことが特に有効である。しかしながら、直線的に飛行距離を伸ばそうとすると装置が大形化することが避けられず実用的でないため、飛行距離を伸ばすために従来、多重周回飛行時間型質量分析装置と呼ばれる質量分析装置が開発されている。
【0003】
例えば特許文献1などに開示されている多重周回飛行時間型質量分析装置では、2乃至4個の扇形電場を用いて8の字状の閉じた周回軌道を形成し、この周回軌道に沿ってイオンを多数回繰り返し周回させることで飛行距離を実効的に長くしている。また特許文献2に開示されている多重周回飛行時間型質量分析装置では、多数の扇形電場を用いて略多角形状の閉じた周回軌道を形成し、この周回軌道に沿ってイオンを多数回繰り返し周回させることで飛行距離を実効的に長くしている。こうした構成によれば、飛行距離は装置サイズの制約を受けず、周回数を増す毎に質量分解能を向上させることが可能である。
【0004】
上述したような多重周回飛行時間型質量分析装置では、通常、周回軌道の外側にイオン源が配置され、このイオン源から出発したイオンが周回軌道に導入されて周回を開始する。また、周回軌道の外側にイオン検出器が配置され、周回軌道を所定回数回ったイオンは周回軌道から取り出されてイオン検出器に到達して検出される。こうしたことから、周回軌道へのイオンの導入、及び周回軌道からのイオンの導出、を行う必要がある。
【0005】
特許文献2に記載の装置では、周回軌道上にイオンを偏向させるための電極を配置し、イオンが通過する際に該電極に印加する電圧により偏向電場を形成してイオンの軌道を曲げることで周回軌道へのイオン導入及び周回軌道からのイオンの取り出しを実現している。しかしながら、周回軌道上にこうした偏向用電極を設けるとイオンの透過率を低下させる一因となり、分析感度の低下を招く可能性がある。また、偏向用電極の構造を簡単にするために例えば平行平板型のような単純な形状とすると、目的とするイオンの収束性に悪影響を及ぼすことが多く、質量分解能や質量精度の低下などを招くことがある。
【0006】
特許文献1に記載の装置では、周回軌道を形成するための扇形電場の電極の一部にイオン導入用及びイオン導出用の孔をそれぞれ設け、その孔を通してイオンを導入又は導出させる際に該電極への印加電圧をオフ(ゼロポテンシャル)するようにしている。しかしながら、扇形電場を形成するための電極に孔を設けるとその付近で電場が乱れるため、これがイオンの周回に影響を与えるおそれがある。そこで、実用上は、電場の乱れを補正するような補正手段が必要となり、構成が煩雑になる。
【0007】
【特許文献1】特開平11−135060号公報
【特許文献2】特開平11−297267号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記課題に鑑みて成されたものであり、その主な目的は、多重周回飛行時間型又はフーリエ変換型の質量分析装置において、周回軌道に沿って周回するイオンの挙動に影響を及ぼすことなく、該周回軌道にイオンを良好に導入させる又は該周回軌道からイオンを良好に取り出すことができる質量分析装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために成された第1発明は、連ねて配置された複数の扇形電場の作用によってイオンを閉じた周回軌道に沿って繰り返し飛行させることにより、該イオンを質量電荷比に応じて分離する多重周回飛行時間型又はフーリエ変換型の質量分析装置において、
前記周回軌道に外部からイオンを導入するためのイオン導入軌道が、1つの扇形電場を通過する際に偏向された後のイオンの進行方向と一致する方向で該扇形電場を形成するための電極部の入口端面に直線的に入射して来るように設定されていることを特徴としている。
【0010】
また上記課題を解決するために成された第2発明は、連ねて配置された複数の扇形電場の作用によってイオンを閉じた周回軌道に沿って繰り返し飛行させることで該イオンを質量電荷比に応じて分離する多重周回飛行時間型又はフーリエ変換型の質量分析装置において、
前記周回軌道からイオンを外部に取り出すためのイオン導出軌道が、1つの扇形電場を通過する際に偏向される前のイオンの進行方向と一致する方向で該扇形電場を形成するための電極部の出口端面から直線的に出射して来るように設定されていることを特徴としている。
【0011】
即ち、第1発明に係る質量分析装置では、外部から周回軌道にイオンを導入して該周回軌道に沿った飛行を開始させるために、専用の偏向電極などを用いることなく、1つの扇形電場を形成する電極部に印加する電圧を例えばゼロとして扇形電場を解除したときに、イオン導入軌道に沿って外部から入射して来たイオンがあたかも周回軌道に沿って飛行して来てその扇形電場で曲げられた後のイオンと同様の軌道で以て該電極部の出口端面から出るようにしている。また、第2発明に係る質量分析装置では、周回軌道に沿って飛行しているイオンを該周回軌道から離脱させて外部に取り出すために、専用の偏向電極などを用いることなく、1つの扇形電場を形成する電極部に印加する電圧を例えばゼロとして扇形電場を解除したときに、周回軌道に沿って飛行して来てその扇形電場の領域に入ったイオンが曲げられずにそのまま通り抜けて該電極部の出口端面から出るようにしている。
【0012】
但し、いずれの場合にもイオン導入軌道に沿って又はイオン導出軌道に沿って直線状に進行するイオンが上記電極部を通過し得ずに該電極部の内面に接触してしまうことを避ける必要があるから、扇形電場でのイオンの曲がりが小さい、つまりはイオン導入軌道又はイオン導出軌道が設定される電極部は、それにより形成される扇形電場によるイオンの偏向角が小さい(但し当然のことながら0°よりは大きい)ものであることが望ましい。また、直線状のイオン導入軌道やイオン導出軌道を設定するには、周回軌道に沿って上記電極部に隣接する他の電極部との間の間隔を広く確保しておくことが望ましい。
【0013】
これにより、その電極部自身や隣接する他の電極部が障害となることなく、適切にイオン導入軌道やイオン導出軌道を設けることが出来る。
【0014】
また、一般に扇形電場の入口端面と出口端面とでは電場の形状が乱れ、これがイオンの周回軌道を乱す一因となるため、扇形電場を形成する電極部の入口端面の外側及び出口端面の外側には端縁場補正用の遮蔽板が配設される。この遮蔽板は電極部の入口端面及び出口端面の面積を狭めるようにその内方に張り出して設けられることがあり、その場合にはイオン導入軌道やイオン導出軌道の妨げとなることがある。この場合には、遮蔽板に前記イオン導入軌道又は前記イオン導出軌道に沿って飛行するイオンを通過させる開口を設けるとよい。遮蔽板の電位は周回軌道の中心と同電位であるため、遮蔽板に開口を設けても扇形電場には殆ど影響がない。
【発明の効果】
【0015】
第1及び第2発明に係る質量分析装置によれば、周回軌道上にその周回軌道を構成するために必要な扇形電場を形成する電極部以外の不所望の偏向電極などを設けることなく、さらには扇形電場を形成する電極部自体にイオン通過用の開口などを設けることなく、イオンを外部から周回軌道に良好に導入することができるとともに周回軌道に沿って飛行するイオンを外部に取り出すことができる。したがって、周回軌道を飛行する際の目的イオンの損失を少なくして高い分析感度を確保することができるとともに、同一質量のイオンの空間的及び時間的収束性を高め質量分解能などの性能も確保し易い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の一実施例である多重周回飛行時間型質量分析装置について図面を参照して説明する。
【0017】
図3は本実施例による質量分析装置の概略構成図である。図3において、図示しない真空室の内部には、イオン源1、イオン検出器2、それぞれ外側電極と内側電極とを一組とする複数の電極部11〜18が配設された飛行空間3などが配設されている。
【0018】
イオン源1は分析対象のイオンの飛行開始点となるものであり、例えば分析対象である分子をイオン化するイオン化部であってイオン化法は特に限定されない。例えば本質量分析装置がGC用の検出器として利用される構成においては、イオン源1は電子衝撃イオン化法や化学イオン化法によって気体分子をイオン化するものである。また、本質量分析装置がLC用の検出器として利用される構成においては、イオン源1は大気圧化学イオン化法やエレクトロスプレイイオン化法によって液体分子をイオン化するものである。さらにまた、分析対象分子がタンパク質などの高分子化合物である場合にはMALDI(Matrix Assisted Laser Desorption Ionization:マトリクス支援レーザ脱離イオン化法)を利用するとよい。イオン源1は必ずしもイオンの発生源であるとは限らず、例えば他の部分で生成されたイオンを一旦保持した後に、エネルギーを付与して出射するイオントラップなどとしてもよい。
【0019】
飛行空間3内には、イオンを周回軌道4に沿って飛行させるために複数(この例では8)の電極部11〜18が配置されている。これら電極部11〜18はそれぞれ、同心二重円筒体を所定回転角度で切断した形状を有している。図示しないものの各電極部11〜18にはそれぞれ外側電極と内側電極との間に所定の電圧を印加する電源部が設けられ、その印加電圧によって外側電極と内側電極とで挟まれる空間にトロイダル状の扇形電場E1〜E8が形成される。8個の扇形電場E1〜E8は、それぞれ所定の間隙を以て連なって配置されており、それによって、扇形電場E1〜E8内を通過する周回軌道4が形成される。なお、隣接する扇形電場の間の空間では、原理的に電場が存在せず、イオンは直線的に飛行する。
【0020】
扇形電場E1を形成する電極部11(外側電極11aと内側電極11bとの組)の手前にはイオン源1から出発したイオンを周回軌道4に乗せるための直線状のイオン導入軌道5が設けられ、一方、扇形電場E5を形成する電極部15(外側電極15aと内側電極15bとの組)の後方には周回軌道4を周回して来たイオンを周回軌道4から離脱させて直線状にイオン検出器2に到達させるためのイオン導出軌道6が設けられている。
【0021】
このイオン導入軌道5及びイオン導出軌道6について図1により詳細に説明する。まず、イオン導入軌道5について図1(a)により述べる。
【0022】
いま、扇形電場E1の周辺の周回軌道4を考えると、前の段の扇形電場E8から出たイオンが扇形電場E1に入射するまでの入射軌道部4a、扇形電場E1内でその電場の影響を受けてイオンが曲がりながら進行する屈曲軌道部4b、扇形電場E1から出たイオンが次の段の扇形電場E2に入射するまでの出射軌道部4cに分けて考えることができる。このうち入射軌道部4a及び出射軌道部4cでは理想的にはイオンは直進する。また、厳密に言えば、図示した軌道はあくまでも中心軌道であって、実際のイオンはこの軌道の周りに分散していると考えることができる。この扇形電場E1でのイオンの曲がりは偏向角度θで表すことができ、偏向角度θが大きいほどイオンの曲がりは大きくなり、θが0であればイオンは曲がらない(この場合には扇形電場とは言えない)。
【0023】
イオン導入軌道5は基本的に出射軌道部4cと一致するように、つまり出射軌道部4cを電極部11の内部(扇形電場E1内部)及び電極部11の入口端面の手前にまで直線状に延伸させた線上に設定される。図1(a)で分かるように、偏向角度θが大きい場合には、上記のように設定されるイオン導入軌道5は外側電極11aに当たってしまう。したがって、これを避けるためにこの電極部11の偏向角度θは小さいものとしておく必要がある。また、前段の電極部18との間隔が狭すぎるとこの電極部18がイオン導入軌道5を設ける障害となるため、前段の電極部18との間隔を確保することも必要である。
【0024】
図1(a)において、イオン源1からイオンが出射されてイオン導入軌道5に沿って進むとき、電極部11に印加する電圧をゼロにすることにより扇形電場E1を解除する。すると、イオン導入軌道5に沿って電極部11の入口端面から入射したイオンは直進し、電極部11の出口端面の中央からほぼ垂直に出る。したがって、みかけ上、周回軌道4の入射軌道部4a及び屈曲軌道部4bを通って出てきたイオンと同じとなり、周回軌道4にそのまま乗ることができる。
【0025】
なお、理想的には、上述のようにイオン導入軌道5と出射軌道部4cとは完全に一致することが望ましいが、実際には屈曲軌道部4bを中心軌道として飛行するイオンの全てがこの出射軌道部4cと同じ位置、同じ方向に出てくるわけではなく、こうしたイオンも引き続き周回が可能であるように構成されているため、イオン導入軌道5から多少ずれて入射してきたイオンも周回軌道4に乗せることが可能である。
【0026】
次にイオン導出軌道6について図1(b)により述べる。扇形電場E5の周辺の周回軌道4を考えると、前の段の扇形電場E4から出たイオンが扇形電場E5に入射するまでの入射軌道部4d、扇形電場E5内でその電場の影響を受けてイオンが曲がりながら進行する屈曲軌道部4e、扇形電場E5から出たイオンが次の段の扇形電場E6に入射するまでの出射軌道部4fに分けて考えることができる。このうち入射軌道部4d及び出射軌道部4fでは理想的にはイオンは直進する。これは上記入射軌道部4a及び出射軌道部4cと同様である。
【0027】
イオン導出軌道6は基本的に入射軌道部4dと一致するように、つまり入射軌道部4dを電極部15の内部(扇形電場E5内部)及び電極部15の出口端面の後方にまで直線状に延伸させた線上に設定される。図1(b)で分かるように、偏向角度θが大きい場合には、上記のように設定されるイオン導出軌道6は外側電極15aに当たってしまう。したがって、これを避けるためにこの電極部15の偏向角度θも小さいものとしておく必要がある。また、後段の電極部16との間隔が狭すぎるとこの電極部16がイオン導出軌道6を設ける障害となるため、後段の電極部16との間隔を確保することも必要である。
【0028】
図1(b)において、周回軌道4に沿って飛行して来たイオンが電極部15に達する直前に該電極部15に印加する電圧をゼロにすることにより扇形電場E5を解除する。すると、入射軌道部4dに沿って電極部15の入口端面から入射したイオンは直進し、電極部15の出口端面に突き抜けてイオン導出軌道6に沿って進む。したがって、電極部15の入口端面の直後に周回軌道4からイオンを離脱させてイオン検出器2に導くことができる。
【0029】
ところで、上述したような電極部11〜18の入口端面や出口端面では扇形電場が乱れて理想状態から外れるため、この端縁部での扇形電場の乱れを軽減するために、図2に示すように、入口端面の外側と出口端面の外側にそれぞれ中央に大きなイオンの通過開口を設けた遮蔽板20、21を配置する。この遮蔽板20、21の電位は通常、周回軌道4の中心軌道の電位と同じである。上述のようにイオン導入軌道5やイオン導出軌道6を設定する際にこの遮蔽板20、21が障害となる場合には、遮蔽板20、21に適宜のイオン通過開口を穿孔すればよい。図2の例では、イオン導入軌道5の障害となるのを避けるために遮蔽板20にイオン通過開口20aを穿設している。遮蔽板20、21にこうしたイオン通過開口20aを穿設しても扇形電場に与える影響は小さいので、周回軌道4を通るイオンの収束性などに悪影響を及ぼしにくい。
【0030】
なお、図3の構成では周回軌道4を略長円形状としているが、周回軌道の形状はこれに限るものではなく、例えば8の字状の周回軌道など、任意の形状とすることができる。
【0031】
また上記実施例は本発明の一実施例であるから、本発明の趣旨の範囲で適宜に修正、変更、追加などを行っても本願特許請求の範囲に包含されることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の一実施例による多重周回飛行時間型質量分析装置のイオン導入軌道及びイオン導出軌道の詳細説明図。
【図2】イオン導入軌道の他の例を示す図。
【図3】本発明の一実施例による多重周回飛行時間型質量分析装置のイオン光学系の概略構成図。
【符号の説明】
【0033】
1…イオン源
2…イオン検出器
3…飛行空間
11〜18…電極部
11a〜18a…外側電極
11b〜18b…内側電極
E1〜E8…扇形電場
4…周回軌道
4a、4d…入射軌道部
4b、4e…屈曲軌道部
4c、4f…出射軌道部
5…イオン導入軌道
6…イオン導出軌道
20…遮蔽板
20a…イオン通過開口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連ねて配置された複数の扇形電場の作用によってイオンを閉じた周回軌道に沿って繰り返し飛行させることにより、該イオンを質量電荷比に応じて分離する多重周回飛行時間型又はフーリエ変換型の質量分析装置において、
前記周回軌道に外部からイオンを導入するためのイオン導入軌道が、1つの扇形電場を通過する際に偏向された後のイオンの進行方向と一致する方向で該扇形電場を形成するための電極部の入口端面に直線的に入射して来るように設定されていることを特徴とする質量分析装置。
【請求項2】
連ねて配置された複数の扇形電場の作用によってイオンを閉じた周回軌道に沿って繰り返し飛行させることにより、該イオンを質量電荷比に応じて分離する多重周回飛行時間型又はフーリエ変換型の質量分析装置において、
前記周回軌道からイオンを外部に取り出すためのイオン導出軌道が、1つの扇形電場を通過する際に偏向される前のイオンの進行方向と一致する方向で該扇形電場を形成するための電極部の出口端面から直線的に出射して来るように設定されていることを特徴とする質量分析装置。
【請求項3】
前記イオン導入軌道又はイオン導出軌道が設定される前記電極部は、それにより形成される扇形電場によるイオンの偏向角が小さいものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の質量分析装置。
【請求項4】
前記電極部の入口端面の外側又は出口端面の外側には端縁場補正用の遮蔽板が配設され、該遮蔽板には前記イオン導入軌道又は前記イオン導出軌道に沿って飛行するイオンを通過させる開口を設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の質量分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−177114(P2008−177114A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−11220(P2007−11220)
【出願日】平成19年1月22日(2007.1.22)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【Fターム(参考)】