説明

質量分析装置

【課題】パルスカウント型検出器におけるパルス信号の計数漏れをなくし、分析の精度を向上させる。
【解決手段】イオンの入射に応じて生成されるパルス信号を計数する2つのカウンタ26、27と、このカウンタ26、27の計数値をそれぞれラッチする2つのレジスタ28、29と、を並列的に設ける。一方のカウンタ26、27でパルス信号の計数をしている間に他方のカウンタ28、29の計数値をクリアし、そのクリアの直前に計数値をレジスタ28、29にラッチさせる。これにより、パルス信号の漏れも重複も生じないから、レジスタ28、29に保持した1周期分の計数値をデータ演算部32により加算することで、1周期期間の正確な計数値が求まる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は質量分析装置に関し、さらに詳しくは、イオン検出器としてパルスカウント型の検出器を利用した質量分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
質量分析装置では、試料から生成された各種イオンを質量(厳密にはm/z)に応じて分離し、分離されたイオンを検出器により検出してイオン(質量)毎の信号強度を取得する。この信号強度に基づいて、横軸をm/z、縦軸を強度とするマススペクトルを作成することができる。
【0003】
質量分析装置において、イオンを検出する検出器としては、大別して、イオンの平均電流を測定する直流型検出器と、到達したイオンの個数を計数するパルスカウント型検出器とが知られている(特許文献1、2参照)。一般的には前者の直流型検出器が利用されることが多いが、信号強度が低い場合で、且つ化学的ノイズが小さい場合には、微小イオン量の測定に有利な、後者のパルスカウント型検出器が利用される。例えば、液体クロマトグラフで成分分離された試料液中の成分のMS/MS分析(タンデム分析ともいう)を行うLC/MS/MSでは、パルスカウント型検出器が利用されることが比較的多い。
【0004】
イオン検出器として用いられるパルスカウント型検出器の概略構成を図4に示す。イオンはコンバージョンダイノード14に入射して電子に変換され、この電子は二次電子増倍管(EM)15に導入され電子の数が増倍されて検出される。この二次電子増倍管15からの出力信号がプリアンプ21で増幅され、コンパレータ22で閾値電圧VDLと比較されることで2値化される。コンパレータ22の出力信号は波形整形器23で波形整形されて正極性のパルス信号となり、カウンタ(CNT)24に入力される。カウンタ24は一定のサンプリング周期の期間T中に発生するパルス信号を計数し、その計数値が一旦レジスタ(REG)25に格納され、イオン数に応じたデータとして例えばCPUなどに出力される。
【0005】
上記のような従来のパルスカウント型検出器では、図5に示すように、カウンタ24の計数値はサンプリング周期T毎にクリアされ、クリア後にパルス信号の計数が実行される。このサンプリング周期Tは質量走査速度に応じて決められ、質量走査速度が速いほどサンプリング周期Tは短くなる。カウンタ24がクリアされている期間中にはパルス信号は計数されないため、この期間中に検出器に入射したイオンの数は強度信号に反映されない。カウンタ24のクリアに要する時間は決まっており、質量走査速度が遅くサンプリング周期Tが長い場合には、上記のようなデータの欠落は分析精度の上でそれほど問題にはならない。しかしながら、スループットを上げるため、或いは成分の見逃しを減らすために、質量走査速度を上げると、データの欠落の影響が大きくなり、分析精度を低下させるおそれがある。
【0006】
例えば、質量走査速度が15000amu/secである場合にサンプリング周期は6.6666μsecであり、カウンタ24のクリアに要する時間が20nsecであるとすると、全体の中の0.3%の期間中はパルス信号の計数が行えないことになる。
【0007】
また、質量走査速度がそれほど速くない場合であっても、目的成分の量が多く、検出器に入射するイオンの数が多い場合には、カウンタ24のオーバーフローを避けるためにサンプリング周期Tを短くする必要がある。この場合にも、カウンタ24のクリア実行期間中にパルス信号を計数できないことの影響は大きくなる。
【0008】
【特許文献1】特開平6−118176号公報
【特許文献2】特開平9−251079号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上記課題を解決するために成されたものであり、その目的は、検出器へ入射するイオンの数に応じたパルス信号の計数を行う際の計数漏れをなくし、質量走査速度が速い場合やイオン量が多い場合でも、信号強度の正確性を向上させることができる質量分析装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために成された本発明は、イオンを質量に応じて分離して選択的に通過させる質量分離器と、該質量分離器を通過したイオンを検出するイオン検出器と、を具備し、該イオン検出器として、イオンの入射に応じて発生する出力信号を所定の閾値でコンパレートしてパルス化し、生成されたパルス信号を所定期間中計数してその計数値をイオン強度信号とするパルスカウント型の検出器を用いる質量分析装置において、
a)前記パルス信号を計数し、所定周期でその計数値がクリアされる第1のカウンタと、
b)少なくとも前記第1のカウンタがクリア実行中で計数が不能である期間に前記パルス信号を計数するとともに、その計数値が第1のカウンタの計数実行中にクリアされる第2のカウンタと、
c)前記第1及び第2のカウンタによる計数値に基づいて、所定周期の期間中に得られるパルス信号の計数値を求める演算手段と、
を備えることを特徴としている。
【0011】
本発明に係る質量分析装置の一態様は、
前記第1及び第2のカウンタの計数値を所定のタイミングでそれぞれ格納する第1及び第2のレジスタと、
第1のカウンタの計数値を第1のレジスタに格納した後に第1のカウンタの計数値をクリアし、そのクリア状態を第2のカウンタの計数値が第2のレジスタに格納されるまで継続し、且つ、第2のカウンタの計数値を第2のレジスタに格納した後に第2のカウンタの計数値をクリアし、そのクリア状態を第1のカウンタの計数値が第1のレジスタに格納されるまで継続するように各カウンタ及び各レジスタを動作させるタイミング制御手段と、
を備える構成とすることができる。
【0012】
この構成では、第1のレジスタに格納される計数値と第2のレジスタに格納される計数値とは、それぞれ異なる期間で、且つ連続した期間に対応した計数値となる。これは、パルス信号の計数の漏れがなく、計数の重複もないことを意味する。したがって、1回のサンプリング周期の期間中に第1のカウンタの計数期間と第2のカウンタの計数期間とをそれぞれ1回ずつ設けることにより、第1のレジスタに格納された計数値と第2のレジスタに格納された計数値とを加算したものがそのサンプリング周期の期間中の正確な計数値となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る質量分析装置によれば、イオン検出器として使用されるパルスカウンタ型検出器において、イオンの入射に応じて生成されるパルス信号の計数を漏れなく正確に行うことができる。それにより、質量走査速度が速い場合や入射するイオン量が多い場合など、サンプリング周期が短く設定される場合においても、入射したイオンを正確にイオン強度信号に反映させることができる。その結果、質量分析の精度が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の一実施例である液体クロマトグラフタンデム型質量分析装置(以下「LC/MS/MS」という)について、添付図面を参照して詳細に説明する。図1はこのLC/MS/MSの要部の全体構成図である。
【0015】
図1において、図示しない液体クロマトグラフのカラム出口端に接続されたノズル2が配設されたイオン化室1と、第1段四重極質量フィルタ9、第2段四重極質量フィルタ(本発明における質量分離器に相当)12、及びイオン検出器13が配設された分析室8との間に、それぞれ隔壁で隔てられた第1中間真空室4と第2中間真空室6とが設けられている。イオン化室1の内部はほぼ大気圧雰囲気であり、分析室8内は図示しないターボ分子ポンプなどにより高真空雰囲気に維持される。イオン化室1から分析室8に向かって、各室毎に真空度を段階的に高くした多段差動排気系の構成が採られている。
【0016】
ほぼ連続的に供給される液体試料はノズル2の先端から電荷を付与されイオン化室1内に噴霧される。液滴中の溶媒が蒸発する過程で、試料分子はイオン化される。イオンが入り混じった微細液滴は脱溶媒パイプ3中に引き込まれ、加熱されている脱溶媒パイプ3を通過する過程でさらに溶媒の気化が促進されてイオン化が進む。第1イオンガイド5により形成される電場の助けを受けてイオンは第1中間真空室4内に入り、収束されて第2中間真空室6に送られる。
【0017】
第2中間真空室6内ではオクタポール型のイオンガイド7により形成される電場の作用により、イオンは収束されて分析室8へと送られる。分析室8内では、各ロッド電極に印加されている電圧により決まる特定の質量を有するイオンのみが、第1段四重極質量フィルタ9の長軸方向の空間を通り抜け、コリジョンセル10に送られる。コリジョンセル10内にはオクタポール型のイオンガイド11が配設されており、このイオンガイド11により形成される電場の作用によりイオンはイオン光軸C付近に収束される。コリジョンセル10内にはアルゴンなどの衝突誘起解離(CID)ガスが導入され、コリジョンセル10内に選択的に導入されたイオン(プリカーサイオン)はCIDガスに接触し、開裂が促進される。
【0018】
この開裂により生じた各種のプロダクトイオンがコリジョンセル10を出て、第2段四重極質量フィルタ12に導入される。第2段四重極質量フィルタ12でも第1段四重極質量フィルタ9と同様に、各ロッド電極に印加されている電圧により決まる特定の質量を有するイオンのみが、第2段四重極質量フィルタ12の長軸方向の空間を通り抜ける。そして、通り抜けたイオンがコンバージョンダイノード14と二次電子増倍管15とを含むイオン検出器13により検出される。イオン検出器13の出力信号は信号処理部20を経て制御/処理部30に入力される。この制御/処理部30は、マイクロコンピュータやデジタルシグナルプロセッサなどのハードウエア回路などを中心に構成される。
【0019】
図2は図1中の信号処理部20を中心とする、本実施例に特徴的な構成を示すブロック構成図である。波形整形器23よりも前段の構成は図4により既に説明した従来と同じ構成であり、同一の符号を付して説明を略す。図3は図2に示した構成において本実施例に特徴的な動作を示す概略タイミング図である。
【0020】
信号処理部20は、波形整形器23から出力される同一のパルス信号を計数する第1カウンタ26及び第2カウンタ27と、各カウンタ26、27の計数値を読み込んで保持する第1レジスタ28、第2レジスタ29とを備える。この例では、カウンタ26、27はオーバーフロービット(OFB)を含む12ビットの出力を有する2進カウンタであり、その計数値はクリア信号CNTCL1、CNTCL2によりクリアされる。レジスタ28、29はデータラッチ信号DDCK1、DDCK2の立ち上がりエッジにより12ビットの入力データを並列に取り込み、データ読み出し信号DDRD1、DDRD2がハイレベルである期間にデータを出力するレジスタである。
【0021】
制御/処理部30は、上記のクリア信号CNTCL1、CNTCL2、データラッチ信号DDCK1、DDCK2、データ読み出し信号DDRD1、DDRD2を生成するクロック生成部(本発明におけるタイミング制御手段に相当)31と、両レジスタ28、29のデータを読み込んで演算処理を行うデータ演算部32と、を含む。
【0022】
図3を参照して動作を説明する。この実施例では、基準クロック信号CLKの立ち上がりエッジから次の立ち上がりエッジまでの期間が、サンプリング周期の1周期となる(図3(a)参照)。例えば基準クロック信号CLKは150kHzであり、そのデューティ比は50%である。
【0023】
第1カウンタ26の計数値は、後述するように基準クロック信号CLKの立ち上がりエッジと一致しているデータラッチ信号DDCK1の立ち上がりエッジで第1レジスタ28に格納され、データラッチ信号DDCK1が立ち下がると同時にハイレベルからローレベルになるクリア信号CNTCL1によりクリアされる。クリア信号CNTCL1は基準クロック信号CLKが立ち下がるまでローレベルを維持し、この間、第1カウンタ26の計数値はクリア状態にあってパルス信号の計数は実行されない。基準クロック信号CLKの立ち下がりエッジと一致したクリア信号CNTCL1のハイレベルへの遷移と同時に、第1カウンタ26でのパルス信号の計数が開始される。
【0024】
パルス信号の出現頻度や間隔はイオンの数に依存するから決まってはいないが、パルス信号が入力される毎に第1カウンタ26の計数値は1ずつアップされる。この例では、最上位ビットであるオーバーフロービットを合わせて、212までのパルス信号の計数が可能である。データラッチ信号DDCK1が立ち上がると、その時点での第1カウンタ26の計数値が第1レジスタ28に格納される。例えば図3(c)にP1で示すデータラッチ信号DDCK1の立ち上がりエッジの時点で第1カウンタ26の計数値がA1であれば、この値A1が第1レジスタ28にラッチされる。第1レジスタ28の内部では、P2で示す次のデータラッチ信号DDCK1の立ち上がりエッジが到来するまで値A1を保持する。そして、データラッチ信号DDCK1が入力される毎に、第1レジスタ28の内部に保持される値は、A1→A2→A3→…、と変化する(図3(e)参照)。
【0025】
第2カウンタ27の計数値は、基準クロック信号CLKの立ち下がりエッジと一致しているデータラッチ信号DDCK2の立ち上がりエッジで第2レジスタ29に格納され、データラッチ信号DDCK2が立ち下がると同時にハイレベルからローレベルになるクリア信号CNTCL2によりクリアされる。クリア信号CNTCL2は基準クロック信号CLKが立ち上がるまでローレベルを維持し、この間、第2カウンタ27の計数値はクリア状態にあってパルス信号の計数は実行されない。基準クロック信号CLKの立ち上がりエッジと一致したクリア信号CNTCL2のハイレベルへの遷移と同時に、第2カウンタ27でのパルス信号の計数が開始される。
【0026】
パルス信号が入力される毎に第2カウンタ27の計数値は1ずつアップされ、データラッチ信号DDCK2が立ち上がると、その時点での第2カウンタ27の計数値が第2レジスタ29に格納される。例えば図3(g)にQ1で示すデータラッチ信号DDCK2の立ち上がりエッジの時点で第2カウンタ27の計数値がB1であれば、この値B1が第1レジスタ29にラッチされる。第2レジスタ29の内部では、Q2で示す次のデータラッチ信号DDCK2の立ち上がりエッジが到来するまで値B1を保持する。そして、データラッチ信号DDCK2が入力される毎に、第2レジスタ29の内部に保持される値は、B1→B2→B3→…、と変化する(図3(i)参照)。
【0027】
図3で明らかなように、第1カウンタ26と第2カウンタ27とでは一方の計数期間と他方のクリアの期間とが基本的にオーバーラップしており、データラッチクロックDDCK1、DDCK2がハイレベルである非常に短い期間のみ、計数期間がオーバーラップしている。但し、レジスタ28、29に計数値がラッチされた後の僅かな期間に計数される値は、レジスタ28、29に保持されている計数値には反映されない。つまり、基準クロック信号CLKがローレベルである期間の第1カウンタ26の計数値が第1レジスタ28に保持され、基準クロック信号CLKがハイレベルである期間の第2カウンタ26の計数値が第2レジスタ29に保持される。レジスタ28、29に保持される計数値は交互の連続した期間の計数値であり、計数の重複も漏れもない。
【0028】
第1レジスタ28に保持された計数値はデータ読み出し信号DDRD1がハイレベルである期間にのみ出力され、データ演算部32に取り込まれる。第2レジスタ29に保持された計数値はデータ読み出し信号DDRD2がハイレベルである期間にのみ出力され、同じくデータ演算部32に取り込まれる。データ演算部32は基準クロック信号CLKの1周期期間に取り込んだ2つの計数値を加算し、その半周前の周期に対応したパルス信号の計数値として取り扱う。つまり、図3で、区間S1の計数値がA1+B1、区間S2の計数値がA2+B2、区間S3の計数値がA3+B3、である。
【0029】
このようにして、パルス信号の計数漏れがない、正確な計数値を求めることができるから、この計数値をイオン強度信号とすることにより、分析精度が向上する。
【0030】
なお、データ読み出し信号DDRD1、DDRD2がローレベルの期間は各レジスタ28、29の出力をイネーブル状態として、第1レジスタ28と第2レジスタ29との各データビットの出力を共通としてデータ演算部32に入力してもよい。データ演算部32はデータ読み出し信号DDRD1、DDRD2がハイレベルである期間にデータを取り込んで、2回の連続的な取り込みで得られたデータを加算することで計数値を求めることができる。
【0031】
上記実施例は本発明をLC/MS/MSに適用したものであるが、基本的に本発明は、イオン検出器としてパルスカウント型検出器を用いる質量分析装置全般に利用することができる。したがって、イオン源の形態や質量分離の形態などは特に問わない。また、タンデム型質量分析装置でなくシングル型の(開裂操作を行わない)質量分析装置にも適用可能であるが、通常、シングル型質量分析装置では化学的ノイズが多く、パルスカウント型検出器が用いられることは少ない。
【0032】
なお、上記実施例は本発明の一例にすぎず、本発明の趣旨の範囲で適宜変更や修正、追加を行っても本願特許請求の範囲に包含されることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の一実施例である液体クロマトグラフタンデム型質量分析装置の要部の全体構成図。
【図2】図1中の信号処理部を中心とする、本実施例に特徴的な構成を示すブロック構成図。
【図3】本実施例に特徴的な動作を示す概略タイミング図。
【図4】従来の一般的なパルスカウント型検出器の概略構成図。
【図5】従来の一般的なパルスカウント型検出器におけるカウンタの概略動作タイミング図。
【符号の説明】
【0034】
1…イオン化室
2…ノズル
3…脱溶媒パイプ
4…第1中間真空室
5…第1イオンガイド
6…第2中間真空室
7…イオンガイド
8…分析室
9…第1段四重極質量フィルタ
10…コリジョンセル
11…イオンガイド
12…第2段四重極質量フィルタ
13…イオン検出器
14…コンバージョンダイノード
15…二次電子増倍管
20…信号処理部
21…プリアンプ
22…コンパレータ
23…波形整形器
26、27…カウンタ
28、29…レジスタ
30…制御/処理部
31…クロック生成部
32…データ演算部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオンを質量に応じて分離して選択的に通過させる質量分離器と、該質量分離器を通過したイオンを検出するイオン検出器と、を具備し、該イオン検出器として、イオンの入射に応じて発生する出力信号を所定の閾値でコンパレートしてパルス化し、生成されたパルス信号を所定期間中計数してその計数値をイオン強度信号とするパルスカウント型の検出器を用いる質量分析装置において、
a)前記パルス信号を計数し、所定周期でその計数値がクリアされる第1のカウンタと、
b)少なくとも前記第1のカウンタがクリア実行中で計数が不能である期間に前記パルス信号を計数するとともに、その計数値が第1のカウンタの計数実行中にクリアされる第2のカウンタと、
c)前記第1及び第2のカウンタによる計数値に基づいて、所定周期の期間中に得られるパルス信号の計数値を求める演算手段と、
を備えることを特徴とする質量分析装置。
【請求項2】
請求項1に記載の質量分析装置であって、
前記第1及び第2のカウンタの計数値を所定のタイミングでそれぞれ格納する第1及び第2のレジスタと、
第1のカウンタの計数値を第1のレジスタに格納した後に第1のカウンタの計数値をクリアし、そのクリア状態を第2のカウンタの計数値が第2のレジスタに格納されるまで継続し、且つ、第2のカウンタの計数値を第2のレジスタに格納した後に第2のカウンタの計数値をクリアし、そのクリア状態を第1のカウンタの計数値が第1のレジスタに格納されるまで継続するように各カウンタ及び各レジスタを動作させるタイミング制御手段と、
を備えることを特徴とする質量分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−266443(P2009−266443A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−111965(P2008−111965)
【出願日】平成20年4月23日(2008.4.23)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【Fターム(参考)】