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質量分析装置
説明

質量分析装置

【課題】サンプルに対し略垂直上方からレーザ光を照射することにより、発生・収集されるイオン量を増加させるとともに収集されたイオンを無駄なく質量分析器に輸送することでイオンの利用効率を高め、最終的に分析感度を改善する。
【解決手段】サンプルプレート3表面に直交する中心軸Cに沿って、イオンレンズ5、6などのイオン輸送光学系、イオントラップ7、検出部9などの質量分離・検出部を配置し、イオン光軸と中心軸Cとを一致させる。レーザ光源10、レンズ12、13、14を含むレーザ照射部10は中心軸C上で、サンプルSから最も離れた部位である検出部9よりもさらに離れた位置に配置され、レーザ光の光軸と中心軸Cとも一致させる。長焦点のレンズ14から出て徐々に光束径が絞られるレーザ光は出射口75、入射口74などを通過し、遮られることなくサンプルSに当たる。また、サンプルSから放出されたイオンは屈曲されることなくイオントラップ7に導入され質量分析に供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は質量分析装置に関し、さらに詳しくは、試料にレーザ光を照射して試料をイオン化するイオン源を用いた質量分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
質量分析装置のイオン源として様々なイオン化法が知られている。レーザ脱離イオン化法(LDI=Laser Desorption /Ionization)は、試料にレーザ光を照射し、レーザ光を吸収した物質の内部で電荷の移動を促進させてイオン化を行うものである。また、マトリクス支援レーザ脱離イオン化法(MALDI=Matrix Assisted Laser Desorption /Ionization)は、レーザ光を吸収しにくい試料やタンパク質などレーザ光で損傷を受けやすい試料を分析するために、レーザ光を吸収し易く且つイオン化し易い物質をマトリクスとして試料に予め混合しておき、これにレーザ光を照射することで試料をイオン化するものである。特にMALDIを用いた質量分析装置は、分子量の大きな高分子化合物をあまり開裂させることなく分析することが可能であり、しかも微量分析にも好適であることから、近年、生命科学などの分野で広範に利用されている。
【0003】
例えば非特許文献1には、MALDIイオン源を用いたイオントラップ飛行時間型質量分析装置の概略構成が開示されている。この装置では、レーザ光源から出射された波長337nmの紫外レーザ光が微小径に絞られてサンプルに照射される。その際に、サンプルから放出されたイオンが進行する経路を妨げないように、サンプルに直交する方向(法線方向)から数度程度の角度を有して斜め方向からレーザ光が当たるようにレーザ照射光学系が構成されている。一方、サンプルから発生するイオンはサンプルの法線方向に引き出され、イオンレンズなどのイオン輸送光学系で収束されたあとに3次元四重極型のイオントラップに導入される。
【0004】
しかしながら、サンプルに対してレーザ光が斜めに入射した場合、サンプルからその法線方向とは異なる方向に放出されるイオンの割合が相対的に多くなる。そのため、質量分析に利用されるイオンの効率は必ずしも最良でなく、これが分析感度の低下の一因となっている。
【0005】
質量分析に利用されるイオンの効率を上げるには、サンプルの法線方向からレーザ光を照射することが好ましい。特許文献1に記載の質量分析装置では、サンプルに対してその法線方向からレーザ光が入射するようにする一方、そのレーザ照射光学系とイオン経路との干渉を避けるために、サンプルからその法線方向に放出されたイオンを収集しつつ、質量分析部まで輸送する途中で電場によりイオン経路を屈曲させるようにしている。しかしながら、このように電場等を用いてイオンの進行を屈曲させると、その過程でイオンの損失が起こり易く、結局のところ、質量分析に供されるイオンの量が減ってしまい分析感度を上げるのは難しいという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2007−514274号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】田中耕一、ほか1名、「MALDI-QIT-TOF MSnを用いたトップダウンプロテオミクス解析法の試行」、島津評論、島津評論編集部、第61巻、第1・2号、2004年10月30日発行
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記課題を解決するために成されたものであり、その目的とするところは、サンプルに対してその法線方向からイオン化のためのレーザ光を照射するとともに、サンプルからその法線方向を中心として放出されたイオンを収集し、効率よく質量分析に供することで分析感度を改善することができる質量分析装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために成された本発明は、サンプルプレート上に載置されたサンプルにレーザ光を照射するレーザ照射部と、前記レーザ光の照射を受けて発生した前記サンプル由来のイオンを質量分析するための質量分離・検出部と、前記サンプルから前記質量分離・検出部までイオンを輸送するイオン輸送光学系と、を備える質量分析装置において、
前記イオン輸送光学系及び前記質量分離・検出部は、前記サンプルプレートの表面に直交する中心軸に沿って、そのサンプルプレート表面から前記質量分離・検出部までイオンが進行する際のイオン光軸と前記中心軸とが一致するように、且つその構成要素の一部が前記中心軸を遮ることがないように配置され、
前記レーザ照射部は、当該照射部から出射するレーザ光の光軸が前記中心軸と一致するように、前記イオン輸送光学系及び前記質量分離・検出部において前記サンプルから最も離れた部位よりもさらに離れた位置に配置されることを特徴としている。
【0010】
サンプルを載置するためのサンプルプレートとしては、表面が略平面である導電性基板、略平面である表面上のサンプル載置位置に微小ウエルが形成されている導電性基板、などが用いられる。
【0011】
また、例えばイオン輸送光学系はイオンレンズ、イオンガイドなどと称されるものであり、電場の作用により、イオンを収束させたり、イオンを加速・減速させたり、或いは、イオンを一時的に捕捉・保持したり、するものである。質量分離・検出部はイオンを質量電荷比m/zに応じて分離して検出するものであり、例えば、イオントラップと検出器との組み合わせ、飛行時間型質量分離器と検出器との組み合わせ、四重極質量フィルタと検出器との組み合わせなどが考えられる。
【0012】
本発明に係る質量分析装置は、レーザ脱離イオン化法(LDI)によるイオン化を行うもの、より実用的には、マトリックス支援レーザ脱離イオン化法(MALDI)によるイオン化を行うものに適用することができる。
【0013】
上記レーザ照射部は、少なくとも、レーザ光源と、所定光束径のレーザ光をサンプル表面上で1点又は1点とみなし得る微小光束径に絞るための長焦点のレーザ光学系と、を含むものとすることができる。通常、イオン輸送光学系はサンプルから発生したイオンが最も高い効率で質量分離・検出部まで輸送されるように構成されるが、そうしたイオン輸送光学系が有するイオン通過開口で、サンプルに到達するまで徐々に径が絞られる光束が遮られることがないように、上記レーザ照射部は構成されるものとすることができる。
【0014】
これによれば、レーザ照射部とサンプルとの間には、イオン輸送光学系、質量分離・検出部といったイオンを質量分析するための構成要素が配置されるが、レーザ照射部から出射されたレーザ光は、上記のような構成要素によって遮られることなくサンプルに当たる。このレーザ光の光軸とサンプルプレートの表面に直交する中心軸とが一致しているので、サンプルプレート上に載置されたサンプルにはほぼ垂直上方からレーザ光が当たることになり、サンプルからはほぼ垂直上方に向けて最も多くの量のイオンが放出される。こうして放出されたイオンは、イオン輸送光学系により効率よく収集され、質量分離・検出部に到達する。イオン光軸もサンプルプレート表面に直交する中心軸と一致しており、質量分析に供されるまでイオンの進行方向は屈曲されないので、輸送途中でのイオンの損失は少なく、より多くの量のイオンを質量分析に供することができる。
【0015】
本発明に係る質量分析装置において、イオン輸送光学系又は質量分離・検出部として3次元四重極型イオントラップを含む場合には、該イオントラップのエンドキャップ電極に設けられたイオン入射口及びイオン出射口の中心が前記中心軸に一致するように該イオントラップを配置するようにすればよい。即ち、この構成では、レーザ照射部から出射されたレーザ光はイオン出射口から3次元四重極型イオントラップの内部に入り、そこを通り抜けイオン入射口から出てサンプルに向かう。したがって、イオン出射口を通過する際のレーザ光の光束径をイオン出射口の開口径よりも小さくしておけば、レーザ光はイオントラップにも遮られることなくサンプルに照射される。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る質量分析装置によれば、サンプルに対してほぼ直交するようにレーザ光を照射することができるので、サンプル由来のイオンがその表面に直交する方向により多く放出される。また、サンプル表面上でレーザ光の照射強度がほぼ均一になるため、発生するイオン量の増加も期待できる。また、サンプルから放出されたイオンは効率良く収集され、損失を抑えつつ輸送して質量分析に供することができる。それにより、最終的に質量分析に供されるイオンの量が従来よりも増加するため、分析感度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施例によるMALDI−IT−MSの全体構成図。
【図2】レーザ照射光学系の設計手法を説明するための概念図。
【図3】レーザ照射光学系の設計手法を説明するための概念図。
【図4】本発明の他の実施例によるMALDI−IT−TOFMSの全体構成図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の一実施例であるMALDI−IT−MSについて、添付図面を参照して説明する。図1は本実施例によるMALDI−DIT−MSの概略構成図である。
【0019】
真空排気される真空チャンバ1の内部には、分析対象であるサンプルSが載置された平板状で導電性を有するサンプルプレート3が配置され、サンプルプレート3に直交する中心軸(本発明における中心軸)Cに沿って、アパーチャ4、第1イオンレンズ5、ミラー8、第2イオンレンズ6、イオントラップ7、検出部9、が順に、且つ、中心軸C上を遮らず、また同軸となるように配置されている。
【0020】
ミラー8はサンプルプレート3上のサンプルSの表面画像を反射させるものであり、この画像は真空チャンバ1の外側に取り出されてCCDカメラ16で撮影される。この撮影画像は図示しないモニタ等に表示され、ユーザはこれによりサンプルSの表面観察が可能である。
【0021】
イオントラップ7は3次元四重極型のイオントラップであって、内周面が回転1葉双曲面形状を有する1個の円環状のリング電極71と、それを挟んで対向配置された内周面が回転2葉双曲面形状を有する一対のエンドキャップ電極72、73とからなる。入口側エンドキャップ電極72のほぼ中央にイオン入射口74が、出口側エンドキャップ電極73のほぼ中央にはイオン出射口75が穿設されているが、イオン入射口74及びイオン出射口75の中心を中心軸Cが挿通している。また、検出部9は、イオンの通過範囲を制限するアパーチャ91と、イオンを電子に変換するコンバージョンダイノード92と、変換された電子を増倍して検出する2次電子増倍管93とからなり、コンバージョンダイノード92と2次電子増倍管93とは中心軸Cを挟んで対向して配置されている。
【0022】
真空チャンバ1にあって中心軸C上には石英ガラスなどからなる透過窓2が形成され、その透過窓2を通して、真空状態である真空チャンバ1内部と略大気圧である真空チャンバ1外部とが光学的に接続されている。サンプルSにレーザ光を照射するためのレーザ照射部10は、真空チャンバ1外部に配置されたレーザ光源11、第1レンズ12、及び第2レンズ13と、真空チャンバ1内部に配置された第3レンズ14とを含み、これらは全て中心軸C上に配置されている。
【0023】
本実施例のMALDI−IT−MSの分析動作を概略的に説明する。レーザ光源11から出射されたレーザ光は、第1レンズ12及び第2レンズ13により所定光束径の平行光に変換され、透過窓2を透過して真空チャンバ1内に導入される。そして、第3レンズ14により、サンプルS表面付近が焦点となるように光束が絞られる。レーザ光源11からサンプルSまで達するレーザ光の光軸は中心軸Cと一致している。
【0024】
第3レンズ14とサンプルSとの間には、上述したように、質量分析を行うための多数の構成要素が配置されているが、中心軸C上、つまりレーザ光の光軸上にはいずれの構成要素も存在していない。また後述するように、それら構成要素において中心軸Cの周囲に形成される開口の径よりも、レーザ光の光束径は小さくなっている。そのため、第3レンズ14で絞られたレーザ光は徐々にその光束径を縮小しつつ、途中で遮られることなく、サンプルSにごく微小径で当たる。即ち、サンプルプレート3に対してその法線方向から(つまり垂直上方から)レーザ光が照射されるから、レーザ光照射位置でサンプルSの表面がサンプルプレート3表面と略平行であるとみなせれば、サンプルS表面に対しても略垂直にレーザ光が照射されることになる。
【0025】
ごく短時間のパルス的なレーザ光の照射により、サンプルSからパケット状にイオンが放出される。実際にはイオンは様々な方向に放出されるが、上記のように法線方向からレーザ光が照射された場合、通常、法線方向に放出されるイオンの量が最も多い。ここでは、この法線方向を中心としてその周囲の所定立体角の範囲に放出されたイオンが、アパーチャ4を経て、イオンレンズ5、6で収束され、イオン入射口74を通してイオントラップ7内空間に導入される。導入されたイオンは、リング電極71に印加される高周波電圧により形成される高周波電場により捕捉され、イオントラップ7内に閉じ込められる。なお、このときイオンはイオントラップ7内で振動しているが、その振動の軌道中心はイオン光軸、つまり中心軸C上にある。
【0026】
そのあと、エンドキャップ電極72、73に所定の電圧が印加され、特定の質量電荷比m/zを有するイオンが選択的に、イオン出射口75を通してイオントラップ7内から排出される。排出されたイオンが検出部9に到達すると、電場により誘引されてコンバージョンダイノード92に衝突し、コンバージョンダイノード92から放出された電子が2次電子増倍管93に達して増倍されて検出される。この構成では、イオントラップ7自体が質量分離部に相当するが、サンプルSから放出されたイオンがイオントラップ7に到達するまでのイオン経路の中心、つまりイオン光軸は中心軸Cと一致している。即ち、この実施例のMALDI−IT−MSでは、サンプルSに照射されるレーザ光の光軸、サンプルSから発してイオントラップ7に達するまでのイオン光軸がともに、サンプルSに直交する法線である中心軸Cに一致している。
【0027】
サンプルプレート3の表面に対するレーザ光の照射方向がその法線方向であることにより、一般に、サンプルSからその法線方向に最も多くの量のイオンが放出される。また、そうして生成された、相対的に多くの量のイオンを収集して輸送し、しかもイオントラップ7に導入するまでにイオンを電場などにより屈曲させたり偏向させたりすることがないので、イオンの利用効率が高い。それによって、高い分析感度を達成することができる。
【0028】
上記のようなレーザ照射光学系及びイオン輸送光学系を実現するために、本実施例のMALDI−IT−MSでは、サンプルSからみて一般に最も離れた部位である検出部9よりもさらに離れた位置で且つ中心軸C上に、レーザ照射部10を設置している。そのレーザ照射部10から発したレーザ光がサンプルSに到達するまでに途中で遮られないようにするためには、例えば次のような手順でレーザ照射部10の光学系を設計すればよい。
【0029】
即ち、サンプルSから検出部9までの間には、イオン輸送光学系や質量分離・検出部の構成要素が多数配置されている。図1の例の場合には、アパーチャ4、イオンレンズ5、6、ミラー8、イオントラップ7がこれに相当するものであるが、これは装置の構成によってそれぞれ異なり、その構成要素の形状も様々である。上記構成要素の中でレーザ光の光路の妨げとなるおそれのあるものの開口を、図2に例示するように、実際のサイズに従って描く。そして、サンプルプレート3表面と検出部9との間の距離よりも長い焦点距離f1の光学特性を有するレンズLを選定し、中心軸C上でサンプルプレート3表面から焦点距離f1だけ離れた位置にそのレンズLを置く。次に、全ての開口の中で、その開口の周縁端と、サンプルプレート3表面と中心軸Cとの交点と、を結ぶ線を引いたときに、他の全ての開口の周縁端の内側となるような線を見い出す。この線が引かれる開口が、レーザ光の光束を制限する開口である。図2では、矢印aで示すもの、即ち、イオントラップ7のイオン出射口75が、レーザ光の光束を制限する開口である。
【0030】
図2に示すように、上記線をレンズLの位置まで延伸させると、全ての光がサンプルSに到達し得る最大の光束サイズx’が求められる。このx’よりも光束径が小さな平行光束をレンズLに入射すれば、光軸がサンプルプレート3表面に対し法線方向で、途中で光束の一部が遮られることのないレーザ光をサンプルSに照射することが可能である。レーザ光源11からほぼ平行光として出射するレーザ光の光束径がx’以下である場合には、レーザ光源11から出射したレーザ光をそのままレンズLに入射させればよい。
【0031】
これに対し、図1に示した例のように、レーザ光源11から出射するレーザ光の光束径がx’を超える場合には、コリメータにより光束径を調整する。具体的には、図3に示すように、適当な焦点距離faを持つレンズAと、x’/X>fb/faとなるような焦点距離fbを持つレンズBと、からコリメータを構成する。ここで、Xはレーザ光源11から出射するレーザ光の光束径である。そして、レーザ光源11から適宜離れた位置にレンズAを置き、そのレンズAからfa+fbだけ離れた位置にレンズBを置く。図3に示すように、レンズAに光束径Xで平行に入射したレーザ光はレンズAとレンズBとの間で一旦、1点に集束され、そのあと拡がってレンズBに入射し、光束径がx’以下である平行なレーザ光になる。図1では、第1レンズ12、第2レンズ13がレンズA、レンズBに相当する。なお、図3において、レンズAからfaだけ離れた位置にスペーシャルフィルタを挿入してもよい。
【0032】
図1に示した例のように、図2におけるレンズLに相当する第3レンズ14が真空チャンバ1内に配置されており、その位置の調整が困難である場合には、レンズBに相当する第2レンズ13を中心軸Cに沿ってその延伸方向に移動させることにより、サンプルS表面上でのレーザ光の光束径を調整することが可能である。一方、上記レンズLに相当する第3レンズ14が真空チャンバ1の外部に配置されている場合には、このレンズ14を中心軸Cに沿ってその延伸方向に移動させることにより、サンプルS表面上でのレーザ光の光束径を調整することができる。但し、上述したようにサンプルS表面上でレーザ光の集光が可能であるようにレーザ照射部10の光学系を設計した場合には、サンプルS表面上でのレーザ光の光束径を大きくすると、その光束の一部がイオン輸送光学系や質量分離・検出部の構成要素の一部によって遮られる場合があり得る。
【0033】
イオン輸送光学系やイオンを質量分離・検出部などの構成要素は上記実施例に記載のものに限らない。例えば図4は本発明の別の実施例によるMALDI−IT−TOFMSの概略構成図である。この装置は、静電場によりイオンを折り返すリフレクトロン101を有する反射飛行時間型質量分離器100を質量分離器として備え、折返し飛行する際に質量電荷比に応じて分離されたイオンを検出する検出器102を検出部として備える。ここでは、イオントラップ7はイオンに初期エネルギーを与えて反射飛行時間型質量分離器100に送り出すイオン出射部として機能する。
【0034】
この実施例の構成においても、図1の構成と同様に、レーザ照射部10は、質量分離・検出部においてサンプルプレート3から最も離れた部位であるリフレクトロン101よりもさらに離れた位置に配置されている。また、中心軸C上に光束を遮る構成要素は配置されておらず、レーザ照射部10から出射されたレーザ光は全く遮られることなくサンプルSに照射される。一方、サンプルSからサンプルプレート3表面の法線方向及びその周囲に放出されたイオンは、途中で電場等により軌道が屈曲されることなく質量分析に供されることになる。したがって、この構成においても上記実施例と同様の効果を奏することは明らかである。
【0035】
また、上記実施例はいずれも本発明の一例にすぎず、本発明の趣旨の範囲で適宜、変形、追加、修正を行っても本願特許請求の範囲に包含されることは当然である。
【符号の説明】
【0036】
10…レーザ照射部
11…レーザ光源
12…第1レンズ
13…第2レンズ
14…第3レンズ
2…透過窓
3…サンプルプレート
4…アパーチャ
5、6…イオンレンズ
7…イオントラップ
71…リング電極
72…入口側エンドキャップ電極
73…出口側エンドキャップ電極
74…イオン入射口
75…イオン出射口
8…ミラー
9…検出部
91…アパーチャ
92…コンバージョンダイノード
93…2次電子増倍管
16…CCDカメラ
100…反射飛行時間型質量分離器
101…リフレクトロン
102…検出器
S…サンプル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプルプレート上に載置されたサンプルにレーザ光を照射するレーザ照射部と、前記レーザ光の照射を受けて発生した前記サンプル由来のイオンを質量分析するための質量分離・検出部と、前記サンプルから前記質量分離・検出部までイオンを輸送するイオン輸送光学系と、を備える質量分析装置において、
前記イオン輸送光学系及び前記質量分離・検出部は、前記サンプルプレート表面に直交する中心軸に沿って、前記サンプルプレート表面から前記質量分離・検出部までイオンが進行する際のイオン光軸と前記中心軸とが一致するように、且つその一部が前記中心軸を遮ることがないように配置され、
前記レーザ照射部は、当該照射部から出射するレーザ光の光軸が前記中心軸と一致するように、前記イオン輸送光学系及び前記質量分離・検出部において前記サンプルから最も離れた部位よりもさらに離れた位置に配置されることを特徴とする質量分析装置。
【請求項2】
請求項1に記載の質量分析装置であって、
前記レーザ照射部は、レーザ光源と、所定光束径のレーザ光をサンプル表面上で1点又は1点とみなし得る微小光束径に絞るための長焦点のレーザ光学系と、を含むことを特徴とする質量分析装置。
【請求項3】
請求項2に記載の質量分析装置であって、
前記レーザ照射部は、前記輸送光学系及び前記質量分離・検出部が有するイオン通過開口で、サンプルに到達するまで徐々に径が絞られる光束が遮られないようにすることを特徴とする質量分析装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の質量分析装置であって、
前記イオン輸送光学系又は前記質量分離・検出部として3次元四重極型イオントラップを含み、該イオントラップのエンドキャップ電極に設けられたイオン入射口及びイオン出射口の中心が前記中心軸に一致するように該イオントラップを配置することを特徴とする質量分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−34900(P2011−34900A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−182110(P2009−182110)
【出願日】平成21年8月5日(2009.8.5)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【Fターム(参考)】