説明

質量分析計のイオン源を交換するためのシステム及び方法

【課題】質量分析計(MS)システムにおいてイオン源を交換する方法を提供する。
【解決手段】イオン源は、イオン化容積、少なくとも1つのイオン化要素、及び少なくとも1つの収束要素を含み、MSシステムは、イオン源、イオン源を収容する真空チャンバ150、及びインターロックチャンバ120を含む。方法は、インターロックチャンバと真空チャンバとの間の弁140を開き、開いた弁を介してイオン源をインターロックチャンバの中へ移動して弁を閉じ、イオン源をインターロックチャンバから取り除くことを含む。イオン源は更に、実質的に1回の動作でドッキングステーションにプラグ接続するための手段を含み、ドッキングステーションは、イオン源とプラグ接続する際にイオン源の動作のために十分な電気接続を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、質量分析計のイオン源を交換するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、質量分析計は、試料から生じたイオンを測定し、試料の分子含有量の同定と定量を可能にする。質量分析計は、後続の収束、フィルタリング、検出および分析のために試料をイオン化するためのイオン源を含む。イオン源は、例えば、イオン容積(即ち、イオン化が生じるイオン源の小さい区域)、1つ又は複数のイオン化要素(例えば、タングステン又はレニウムのようなフィラメントのワイヤ、電子反射器、コンタクトピン及び支持部分を一般に含む構造)、及び静電レンズのような1つ又は複数のイオン収束要素を含む。イオン容積(volume:体積)およびレンズの内面は、使用するにつれて汚れる。更に、イオン化要素のフィラメントワイヤは、数時間の使用後に断線し、全フィラメント構造、即ちイオン化要素は、質量分析計の最も一般的な消耗品にされる。質量分析計の感度および性能は、イオン容積および任意の収束要素を含むイオン源の清浄度、及び動作可能なイオン化機構、即ち固体電気接続を有する損傷を受けていないフィラメントワイヤに依存するので、イオン源は、(完全に又は部分的に)清浄にされる必要があり、イオン化要素は、日常保守実務に従って交換される必要がある。
【0003】
従来、交換プロセスは、非常に時間がかかり、一般に最低でも約4時間を必要とする。質量分析計は、電源を落として(遮断して)、ゆっくり冷却および通気する必要があり、それは必然的に動作真空状態を失うことを含む。更に、交換イオン源の性能は、8時間以上の間(例えば、一夜の間)ベーキング及び平衡させることが可能である場合、改善される。従来のイオン源の交換プロセスに必要な大部分の時間は、質量分析計の冷却および通気、その後に交換イオン源が設置されるやいなや、加熱、並びに真空状態およびバックグランドの許容できるレベルを達成することに対処することに費やされる。汚染されたイオン源を清浄なイオン源と交換、又はフィラメントアセンブリ(例えば、イオン化要素)を取り替えるのに必要な実際の時間は比較的短く、即ち、ひとたび質量分析計が冷却されて大気圧に通気されるやいなやである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2009/0242747号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、イオン容積は、電源を落として真空状態を壊すことなしに質量分析計から取り外され得る(特許文献1)。しかしながら、イオン化要素、例えばフィラメントアセンブリを取り外すことは一般に、構造の複雑性および堅牢な電気接続の必要性に起因して、電源を落とすことを必要とする。従って、本発明の課題は、このような技術的な問題を克服、又は少なくとも緩和することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態によれば、イオン源、イオン源を収容する真空チャンバ、及びインターロックチャンバを含む質量分析計(MS)システムにおいて、イオン化容積、少なくとも1つのイオン化要素および少なくとも1つの収束要素を含む前記イオン源を交換する方法が提供され、その方法は、インターロックチャンバと前記真空チャンバとの間の弁(140)を開き、開いた弁を介してイオン源をインターロックチャンバの中へ移動して、弁を閉じ、イオン源をインターロックチャンバから取り除くことを含む。
【0007】
また、本発明の一実施形態によれば、イオン源が提供され、そのイオン源は、イオン化容積と、イオン化要素と、収束要素とを含み、イオン源が、実質的に1回の動作でドッキングステーションにプラグ接続されるように構成され、ドッキングステーションが、イオン源の動作のために、イオン源とプラグ接続される際に十分な電気接続を行う。
【0008】
例示的な実施形態は、添付図面と共に読まれた場合に以下の詳細な説明から最も良く理解される。様々な特徴要素は、必ずしも一律の縮尺に従って描かれていないことが強調される。実際には、寸法は、説明を明確にするために任意に増減され得る。適用できる及び実用的である限り、同じ参照符号は同様の要素を指す。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、真空チャンバの真空状態を壊すことなしに、真空チャンバから全イオン源を取り外すことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1A】代表的な実施形態による、着脱可能なイオン源を含む質量分析システムを示すブロック図である。
【図1B】代表的な実施形態による、着脱可能なイオン源を含む質量分析システムを示すブロック図である。
【図1C】代表的な実施形態による、着脱可能なイオン源を含む質量分析システムを示すブロック図である。
【図2】代表的な実施形態による、着脱可能なイオン源および伸縮自在の伝達先端部の透視図である。
【図3】代表的な実施形態による、着脱可能なイオン源および伸縮自在の伝達先端部の斜視図である。
【図4】代表的な実施形態による、質量分析システムのインターロックチャンバ及び真空チャンバの斜視図である。
【図5】代表的な実施形態による、質量分析計からイオン源を取り外すための方法を示す流れ図である。
【図6】代表的な実施形態による、質量分析計からイオン源を交換するためにインターロックチャンバをパージングするための方法を示す流れ図である。
【図7A】代表的な実施形態による、質量分析計からイオン源を交換するためにインターロックチャンバを真空引きするための方法を示す流れ図である。
【図7B】代表的な実施形態による、質量分析計からイオン源を交換するためにインターロックチャンバを真空引きするための方法を示す流れ図である。
【図7C】代表的な実施形態による、質量分析計からイオン源を交換するためにインターロックチャンバを真空引きするための方法を示す流れ図である。
【図8】別の代表的な実施形態による、イオン源を冷却するための方法を示す流れ図である。
【図9】代表的な実施形態による、イオン源を質量分析計の中へ戻すための方法を示す流れ図である。
【図10】代表的な実施形態による、質量分析計においてイオン源を交換するためのアルゴリズムを実行するようにプログラミングされた処理ユニットを示す機能ブロック図である。
【図11】従来のイオン源を示す機能ブロック図である。
【図12】代表的な実施形態による、質量分析システムの着脱可能なイオン源を示すブロック図である。
【図13】代表的な実施形態による、質量分析計を通気した後にイオン源を交換するための方法を示す流れ図である。
【図14A】代表的な実施形態による、改良型キャップの斜視図である。
【図14B】代表的な実施形態による、改良型キャップ、及び着脱可能なイオン源の斜視図である。
【図14C】代表的な実施形態による、保護容器、改良型キャップ、及び着脱可能なイオン源の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態は、真空チャンバの真空状態を壊すことなしに、真空チャンバから全イオン源を取り外す、並びにイオン源が質量分析計システムから迅速に取り外され得るための方法を提供する。様々な実施形態において、イオン源は、ドッキングステーションに対して実質的に1回の動作でプラグ接続またはプラグを抜かれるように構成される。従って、イオン源は真空状態を壊すことなしに取り外されることが可能である。
【0012】
本発明の実施形態は、イオン容積だけでなく全イオン源も着脱可能にすることを可能にし、当該全イオン源は、イオン容積、収束要素、及び最大の消耗部品、イオン化要素、例えばフィラメントアセンブリを含む。更に、様々な実施形態は、分析の最高性能を達成するための時間を短くし、ひとたび清浄で動作可能な交換イオン源が、交換イオン源用の清浄な収納装置を提供することにより設置されやいなや、方法とハードウェアが真空インターロックチャンバから汚染物質をパージし、方法とハードウェアはひとたび質量分析計から取り外された高温のイオン源を迅速に冷却し、方法とハードウェアは、任意の汚染物質を取り除くために動作温度より上に交換イオン源を迅速に加熱する。交換イオン源を迅速に加熱する能力は、例えばヒータ/センサのアセンブリを交換イオン源の一部として含めることにより対処される。更に、様々な実施形態は、装置の損傷を防止する及びユーザに危害を加えることを防止するために、高度の自動化を含む交換方法を提供する。最後に、完全な「通気しない」システムの値段は或るユーザにひどく高いはずであり、様々な実施形態は、時間、複雑性、及び従来の方法および装置により必要とされた多数のワイヤの接続を外して再接続することに含まれる間違いの危険性を伴わずに通気モードで全イオン源を交換するための方法および装置も提供する。様々な実施形態で説明されるイオン源(容積、収束およびイオン化要素を含む)は、任意の固締具または配線された接続を取り外す必要性なしに取り外されて設置されることができ、清浄な収納装置のキャップは、清浄で完全に機能するイオン源の取り外し又は設置中に清浄な手袋さえの必要性も排除するツールとして使用され得る。
【0013】
以下の詳細な説明において、説明の目的であり制限することを目的としていない、特定の細部を開示する例示的な実施形態は、本教示に従って実施形態の完全な理解を提供するために説明される。しかしながら、当業者には明らかなように、本明細書に開示された特定の細部から逸脱する、本教示に従った他の実施形態は、添付の特許請求の範囲内にとどまる。更に、良く知られたデバイス及び方法の説明は、例としての実施形態の説明を不明瞭にしないように省略され得る。係る方法およびデバイスは本教示の範囲内にある。
【0014】
図1Aは、代表的な実施形態による、質量分析計に着脱可能なイオン源を有するシステムを示す機能ブロック図である。
【0015】
図1Aを参照すると、質量分析システム100aは、質量分析計(MS)160の主真空チャンバ150に弁140を介して接続されたインターロックチャンバ120を含む。また、MS160は、着脱可能なイオン源161、分析器/検出器162、高真空ポンプ170及び粗引きポンプ又はバッキングポンプ172を含む真空/ポンプシステム、及び様々な電子回路モジュール(図示せず)及びソフトウェア(処理ユニット180により示される)も含む。ガスクロマトグラフ(GC)装置のような注入装置155は、伝達ライン156を介して試料をイオン源161に提供する。真空チャンバ150は、例えば、着脱可能なイオン源161及び様々な試料の分子含有量を同定するための分析器/検出器162を含む、真空マニホールドとすることができる。
【0016】
真空チャンバ150は、真空システムにより提供される真空状態を維持するために封止(密封)される。例えば、高真空ポンプ170は、ターボ分子ポンプ又は油拡散ポンプとすることができ、バッキングポンプ172は、回転翼型ポンプ又はダイヤフラムポンプとすることができる。図示された実施形態において、バッキングポンプ172は、以下で説明されるように、高真空ポンプ170を支援する、並びに第1および第2の弁142及び144を用いてインターロックチャンバ120を真空引きすることの双方に役立つ。
【0017】
一実施形態において、インターロックチャンバ120と真空チャンバ150との間の弁140は、ゲート弁である。ゲート弁140は、例えば、電磁弁を介して開閉される加圧ラインを介して、空気圧で(例えば、0.45〜0.55MPa(65〜80psi)を必要とする)動作され得る。一般に、ゲート弁は、信頼性が高く、押し込み式(positive:確動、強制的な)シーリング及び故障センサを含み、図5のブロック518と524及び図9のブロック918と926に関連して後述されるように、故障センサは、弁140が完全に開いていない又は完全に閉じていないときを検出するために使用され得る。例えば、弁140は、供給ラインが減圧された場合に部分的に開く又は閉じるだけとすることができる。更に、故障センサは、図5及び図9に関連して後述される、パージ及び/又は冷却ガスのインターロックチャンバ120への導入を不能にするために処理ユニット180をトリガする故障状態を検出することができる。当然のことながら、弁140は、本教示の範囲から逸脱せずに、電磁動作可能なゲート弁、バタフライ弁、ボール弁、プラグ弁などのような様々な他のタイプの弁として実現され得る。
【0018】
様々な実施形態において、分析器/検出器162は、例えば、1つ又は複数の質量分析器、フラグメンテーション装置、及び検出器を含むことができる。一般に、イオン源161は、同定されるべき分子を含む試料を受け取り、当該試料をイオン化して質量分析器/検出器162にイオンを供給する。質量分析器(単数または複数)は、例えば、四重極質量分析器または四重極飛行時間型(Q−TOF)質量分析器、磁場型質量分析器、又はイオントラップ分析器を含む、質量分析器の任意のタイプ又は当該タイプの組合せとすることができる。
【0019】
イオン源161は、真空チャンバ150から着脱可能であるが、動作温度および真空状態は、必要に応じて適切なパージガスを用いてインターロックチャンバ120をパージングして真空引きした後で、プローブ110を操作することにより弁140を介してインターロックチャンバ120の中へイオン源161を移動させ、適切な冷却ガスを用いてインターロックチャンバ120の内部のイオン源161を冷却するることにより維持される。着脱可能にするために、イオン源161は、図12に関連して後述されるMS160のインターフェース回路(図1Aに示されず)に接続されたドッキングステーションの対応するソケットに、イオン源161の様々な構成要素となされた電気接続が着脱可能に挿入可能であるように構成される必要がある。交換イオン源161は新しいイオン源または清浄にされたイオン源とすることができる。
【0020】
図示された実施形態において、パージガス及び冷却ガスは同じ(例えば、窒素ガス)であり、ガス源130からガス注入ライン131を介してインターロックチャンバ120内へ供給される。代替の実施形態において、本教示の範囲から逸脱せずに、同じ又は異なるガスを用いて、それぞれの注入弁を介して、パージガスは、パージガス源から供給されることができ、冷却ガスは別個の冷却ガス源から供給され得る。
【0021】
処理ユニット180は、インターロックチャンバ120、弁140、注入装置155、質量分析計電子回路モジュール、真空システム(例えば、高真空ポンプ170及びバッキングポンプ172)、パージ及び冷却ガス遮断弁(図示せず)、真空引き弁142及び144、伝達ライン156、補助の流量モジュール(図示せず)など含む様々な構成要素に接続されて(波線により示される)、後述されるイオン源161の交換プロセスの全て又は一部を自動化し、フェイルセーフの特徴を提供する。ユーザは、ディスプレイ182、及びキーボード、マウス、ジョイスティック、サムホイールなどのようなインターフェース手段(図示せず)の使用を可能にするグラフィカルユーザーインターフェース181を介して処理ユニット180と相互作用することができる。処理ユニット180の実施形態は、図10に関連して以下でより詳細に説明される。別々に示されているが、理解されるべきは、処理ユニット180は、様々な実施形態において、MS160及び注入装置155の一方またはそれらの任意の組合せの中に含められ得る。
【0022】
図示された実施形態において、イオン源161は、プローブ110により係合されることができ、MS160のドッキングステーション及びインターフェース回路から切り離されて、開いた弁140を介してインターロックチャンバ120の中へ摺動可能に移動することができる。例えば、プローブ110は、近接端部にハンドルを有し、バネ仕掛けの留め具、磁気的留め具、バイオネット留め具または他のタイプの留め具(catch:止め具、キャッチ)のような係合機構を遠位端部に有することができる。一般に、プローブ110は、インターロックチャンバ120及び弁140を介して真空チャンバ150の中へ挿入され、係合機構を用いてイオン源161に取り付けるために回転される、又は別の方法で操作され、弁140を介してインターロックチャンバ120の中へ引き入れられる。様々な実施形態において、プローブ110は、ユーザにより手動で、又はコントローラ(例えば、処理ユニット180)により自動的に動作され得る。
【0023】
イオン源161は、少なくともイオン容積、1つ又は複数のイオン化要素(例えば、フィラメントアセンブリ)、一連のレンズ又は収束要素、及び注入装置155と接続して機能するための手段を含む。一実施形態において、イオン源161は、図9のブロック928に関連して後述される、ベークアウト時間期間の間に交換イオン源161を加熱することを支援するための内部ヒータ及びセンサを更に含む。イオン源161の例は、図12により提供され、図12は、代表的な実施形態による、着脱可能なイオン源1260及び対応するドッキングステーション1280を示す。更に、交換イオン源161は、例えば、プローブ110と同じタイプの接続を用いて、イオン源161を固定するように構成されたキャップ及び乾燥剤を有するボトル又は容器に収納され得る。図14A〜図14Cは、代表的な実施形態による、保護容器、キャップ、及び着脱可能なイオン源の斜視図を示す。容器およびキャップは、容器内に交換イオン源161を封止して懸架し、挿入されるまで交換イオン源161の超清浄で/乾燥した状態を維持する。
【0024】
イオン源161のイオン化要素は、消耗品であり、ひいては有限寿命を有する。定期保守は一般に、分析中にイオン化要素が故障して、予想外の休止時間および試料の損失を生じることを防止するためにイオン化要素を交換するために行われる。従来、イオン源161を清浄にすることに応じてイオン化要素を交換するために、同じ長時間の点検手順が必要とされた。イオン源161は2つのイオン化要素を含むことができるが、ユーザは、この予定休止時間に起因して、故障時に最初に故障したイオン化要素を即座に交換することを決心することができない。しかしながら、様々な実施形態による着脱可能なイオン源161は、設置されるための能力、及び短い時間期間(例えば、約30分〜60分)で始動して完全な感度で動作する能力を清浄なイオン源(又は、例えばイオン化要素の1つだけ又は交換されるべき他の構成要素)に提供する。
【0025】
MS160の動作モードに応じて、イオン源161のイオン化要素のフィラメントから放出された電子は、例えば電子衝撃(EI)モードの動作においてのように、被分析物をイオン化および断片化(フラグメント化)の双方を行うことができる。しかしながら、化学イオン化(CI)モードの動作では、フィラメントから放出された電子は、メタン、アンモニア、イソブテンなどのような二次試薬ガスの分子を優先的にイオン化する。試薬ガスのイオンは、その後、被分析物をイオン化し、被分析物の特質に応じて、正および負の被分析物イオンを生じさせる。特に、イオン源161の構造は、それがEIイオン源であるか、又はCIイオン源であるかに応じて、わずかに変化する可能性がある。例えば、アパーチャのサイズは、CIイオン源においてより小さく、CIイオン源において互いに接続された特定のレンズ要素は、EIイオン源において分離しており、EIイオン源で使用される主な材料(例えば、インコネル)は、CIイオン源で使用される主な材料(例えば、モリブデン)とは異なる等である。しかしながら、基本構造は概して同じであるので、イオン源161は、イオン源161がEIイオン源、CIイオン源、又は互換性のある構成を有する別のタイプのイオン源であることに関わらず、上述したように、(真空チャンバ150を通気せずに)ドッキングステーションに着脱可能に挿入可能である。従って、様々な実施形態によれば、本教示の範囲から逸脱せずに、イオン源161は、同じタイプ又は異なるタイプの新しい又は清浄なイオン源に交換され得る。
【0026】
例えば、GC装置または直接挿入固体プローブのような、注入装置155は、MS160に入力される試料を制御するように構成された任意のタイプの装置とすることができる。真空チャンバ150は、イオン源161を注入装置155と接続して動作させるための伝達ライン156を含む。例えば、注入装置155がGC装置である場合、イオン源161の対応する開口に物理的に挿入される先端部を有するように構成されたGCカラムは、伝達ライン156を介して挿入される。伝達ライン156は真空チャンバ150に(真空気密に)固定され、GCカラムは、真空チャンバ150内のイオン源161に係合するために伝達ラインを介して滑動することができる。GCカラムは伝達ライン156のGC端部に(真空気密に)固定される。
【0027】
図1Bは、別の代表的な実施形態による、着脱可能なイオン源を質量分析計に有するシステムを示す機能ブロック図である。
【0028】
図1Bは、質量分析システム100bを示し、質量分析システム100bは、MS160の主真空チャンバ150に弁140を介して接続されたインターロックチャンバ120を含む。また、MS160は、着脱可能なイオン源161、分析器/検出器162、高真空ポンプ170及び粗引きポンプ又はバッキングポンプ172を含む真空/ポンプシステム、及び様々な電子回路モジュール(図示せず)及びソフトウェア(処理ユニット180により示される)も含む。例えば、GC装置のような注入装置155は、伝達ライン156を介して試料をイオン源161に供給する。真空チャンバ150は、例えば、着脱可能なイオン源161及び被分析物試料を同定および定量化するための分析器/検出器162を含む、真空マニホールドとすることができる。
【0029】
例えば、高真空ポンプ170は、ターボ分子ポンプ又は油拡散ポンプとすることができ、バッキングポンプ172は、回転翼型ポンプ又はダイヤフラムポンプとすることができる。しかしながら、図1Aの質量分析計システム100aとは異なり、質量分析計システム100bのインターロックチャンバ120は、弁145を介してインターロックチャンバを真空引きするための独立した専用のバッキングポンプ175を含み、例えば、そのバッキングポンプ175も回転翼型ポンプ又はダイヤフラムポンプとすることができる。専用のバッキングポンプ175を使用することにより、2つの弁142及び144が単一の弁145に置き換えられ、かくしてインターロックチャンバ120をポンピングするときの1つのステップが排除されるので、インターロックチャンバ120の真空引き動作の効率が増大する。例えば、専用のバッキングポンプ175を使用する場合、インターロックチャンバ120の真空引き中に高真空ポンプ170の性能に悪影響を及ぼす恐れがないため、プロセスの1つのステップが排除されるだけでなく、単一の弁145が高いコンダクタンスの弁とすることができるので、インターロックチャンバ120を真空引きするために必要な時間が低減される。
【0030】
図1Cは、別の代表的な実施形態による、着脱可能なイオン源を質量分析計に有するシステムを示す機能ブロック図である。
【0031】
図1Cは、質量分析システム100cを示し、質量分析システム100cは、図1A及び図1Bに関連して上述されたように、MS160、MS160の主真空チャンバ150に弁140を介して接続されたインターロックチャンバ120、及び伝達ライン156を介して試料をMS160の着脱可能なイオン源161に供給するための注入装置155を含む。MS160は、高真空ポンプ170、及び粗引きポンプ又はバッキングポンプ172を含む真空/ポンプシステムを含む。
【0032】
質量分析システム100cにおいて、例えば、図1Aに示された二方弁142及び144は、バッキングポンプ172と高真空ポンプ170との間に配置された1つの三方弁147に置き換えられる。弁147は、インターロックチャンバ120に向かうノーマルクローズのポート、及びバッキングポンプ172に向かう共通ポートを含む。この実施形態において、弁147は高いコンダクタンスを有し、かくして通常動作中に高真空ポンプ170を支援するために必要な機能を制限しない。
【0033】
インターロックチャンバ120の真空引き中に、三方弁147は、高真空ポンプ170に対して閉じられ、所定時間の間、インターロックチャンバ120に対して開かれる。例えば、弁147が切り換えられるこの最初の時間の間に、インターロックチャンバ120は、雰囲気から、高真空ポンプ170を支援するように弁147を戻すように切り換える必要性がある前の約0.133KPa(1Torr)の直下まで迅速に真空引きされる。高真空ポンプ170は、補助真空側ラインの圧力が上昇する時間の間に、性能または信頼性に悪影響を及ぼさずに、支援のない密閉された短い期間を許容することができる。高真空ポンプ170のタイプ及びサイズに応じて、補助真空側ラインの圧力が所定のレベル(例えば、計器(図示せず)で監視される)に到達する場合、バッキングポンプ172の支援機能を回復する必要がある。
【0034】
従って、図1Cは、高真空ポンプ170の通常動作を維持すると同時に、インターロックチャンバ120が弁140を開くために必要なレベルに真空引きされるまで、三方弁147がインターロックチャンバ120を交互に真空引きするために短い期間に開閉される構成を示す。次いで、弁147はバッキングポンプ172と高真空ポンプ170との間で開いたままであり、それは弁147の通常動作位置である。図1Aの質量分析計システム100aとは異なり、インターロックチャンバ120の真空引きの流れに同時に開かれる高真空ポンプ170を保護するために、低いコンダクタンスの経路を介してインターロックチャンバ120をゆっくりと真空引きする必要はない。それどころか、弁147により、高真空ポンプ170が時間期間に完全に切り離されることが可能になるので、インターロックチャンバ120が単一のバッキングポンプを用いる場合に、より速く、より効率的に真空引きされ得る。
【0035】
図2は、代表的なイオン源161、及び伝達ライン156の接続部分の透視図である。イオン源161は、イオン源161と注入装置155を関連して動作するように接続するために、伝達ライン156(加熱され得る)の伸縮自在の伝達先端部220を受容するように構成されたアパーチャ210を含む。伝達ライン156は、真空チャンバ150内の真空状態を維持しながら、フランジ244(図3に示される)を介して真空チャンバ150の側面に接続され、伝達先端部220は、ベロー230(図3に示される)によって、図2及び図3に示されるように、水平方向に移動する。一実施形態において、伝達先端部220は、手動レバーを用いて、イオン源161と接続して機能するためにアパーチャ210の中へ伸長され、及びアパーチャ210から引き戻されてイオン源161の取り外しを可能にする。しかしながら、代替の実施形態において、本教示の範囲から逸脱せずに、伝達先端部220は、電気モータ、カム、空気圧シリンダなどのような様々な手段により、手動で又はコントローラ(例えば、処理ユニット180)により自動で移動することができる。例えば、伝達先端部220の移動は、伝達ライン156の移動軸に平行に配置された空気シリンダ(図示せず)、及び例えば、三方電磁弁により制御された圧力ラインにより提供され得る。代表的な実施形態において、シリンダは、例えば、ソレノイドにより駆動される単動式、バネ復帰式シリンダとすることができる。
【0036】
図3は、代表的なイオン源161、及び伝達先端部220がイオン源161から切り離されたような「外れた」位置にある伝達ライン156の接続部分の透視図である。図3は、イオン源161の断面部分を含み、伸長された伝達先端部220を案内するための実質的に円錐形の挿入部分を含むことができるアパーチャ210を示す。GCカラムは、ベロー230に包含される伝達先端部220の内部にある。上述したように、伝達先端部220は、アパーチャ210を介してイオン源161に伸長され、イオン源161から引き戻され得る。当然のことながら、伝達ライン156及び/又は伝達先端部220を引き戻す他の手段が、本教示の範囲から逸脱せずに利用され得る。
【0037】
清浄なイオン源161に加えて、MS160の感度は、イオン源161のイオン容積の内面の内径に対する伸縮自在な伝達先端部220及びGCカラムの位置、並びにイオン源161のイオン容積の内部の圧力にも依存する。従って、伝達先端部220及びGCカラムは、一定のコンダクタンスの短い管状アパーチャ210を通過して、イオン源161内の正確な位置で末端をなす。
【0038】
図4は、代表的な実施形態による、質量分析システムのインターロックチャンバ及び真空チャンバの斜視図である。
【0039】
図4を参照すると、ヒンジ部分351により真空チャンバ150の突出部分151の前部の外面に接続されたインターロックチャンバ120が、開いた位置で示される。閉じた位置にある場合、インターロックチャンバ120及び真空チャンバ150は、突出部分151を介して気密シールを形成する。様々な実施形態において、インターロックチャンバ120を真空チャンバ150及び/又は突出部分151と接続する他の手段が、本発明の範囲から逸脱せずに利用され得る。インターロックチャンバ120は、形状において概して円筒形として示される内側部分321を含むが、本教示の範囲から逸脱せずに、他の形状が利用され得る。イオン源161は、除去プロセス中に内側部分321の中へ移動する。真空チャンバ150は同様に内側部分352を含む。
【0040】
インターロックチャンバ120の内側部分321及び真空チャンバ150の内側部分352は、弁140の動作を通じて結合されることができ、弁140は、空気圧式ゲート弁として代表的な実施形態で示されたが、他のタイプの弁が様々な実施形態に利用され得る。弁140は、弁開口部141及びゲート143を含み、ゲート143は弁開口部141を横切って滑動することにより開閉する。ゲート143の動作は、例えば処理ユニット180により制御され得る。ゲート143は、透視図のために部分的に開いた位置で示される。ゲート143が完全に開いた位置にある場合、イオン源は、真空チャンバ150からインターロックチャンバ120の中へ移動することができ、以下で説明されるインターロックチャンバ120のパージング及び真空引きがその後に続く。
【0041】
イオン源161は、移動した位置で示され、この場合、イオン源はプローブ110の遠位端部に取り付けられている。図示されたように、イオン源161は、例えば、以下の図5に関連して説明されるプロセスに従って、真空チャンバからインターロックチャンバ120の中へ移動したばかりの汚染されたイオン源、或いは新しいフィラメントアセンブリ又は他の部分を必要とするイオン源とすることができ、当該イオン源は、インターロックチャンバ120が開かれた後でインターロックチャンバ120の外へ前方に押し出され、ユーザがプローブ110からイオン源161を物理的に切り離すことが可能になる。代案として、図4のイオン源161は、例えば、以下の図9に関連して説明されるプロセスに従って、イオン源161の真空チャンバ150内への挿入を可能にするためにプローブ110に取り付けられたばかりの清浄な又は新しい交換イオン源とすることができる。イオン源161がインターロックチャンバ161内へ引き込まれた後、当該インターロックチャンバは、弁140を介してイオン源161の挿入のために真空チャンバ上に閉じられる。図4は、イオン源161のアパーチャ210を明確に示し、当該アパーチャは、イオン源161が真空チャンバ150内に配置されるやいなや、伸縮自在の伝達先端部220を受容するように構成される。
【0042】
図5は、代表的な実施形態による、質量分析計からイオン源を交換するための方法を示す流れ図である。様々な実施形態において、図5に示された方法の全て又は一部は、本教示の範囲から逸脱せずに、例えば処理ユニット180により実行されるソフトウェアアルゴリズムの制御下で、自動的に実施され得る。
【0043】
プロセスはブロック510から始まり、そのブロック510において、イオン源161をMS160から取り外すための要求が受け取られる。例えば、ユーザは、システム100に知らせるGUI181を介して、イオン源161が取り外されるべきである命令を発行することができる。一実施形態において、ユーザは、例えば、累積使用時間、或いはイオン源161の動作効率または動作状態の何らかの測定値に基づいて、イオン源161が交換されることを必要とするMS160によるメッセージ、警告、又は他の指示に応答することができる。例えば、イオン源161の1つ又は複数のイオン化要素(例えば、フィラメントアセンブリ)は、故障を示すことができ、或いは最近の調整ファイルがMS160により分析されて、クリーニングが有益であることを示すことができる。
【0044】
応答において、イオン源161及び/又はMS160が、ブロック512において、イオン源161の除去のために準備される。例えば、イオン源の熱区域、イオン源のレンズ及びイオン化要素は、電源を切られ、分析器/検出器162の四重極および/または他のフィルタリング装置は、所定のベークアウト温度(例えば、200℃)に設定され得る。また、処理ユニット180は、インターロックチャンバ120が閉じられているか又は弁140において真空チャンバ150に取り付けられているかを確認するためにユーザに質問することができる。一実施形態において、処理ユニット180は、インターロックチャンバ120が閉じられて封止されたときを示す信号を、インターロックチャンバ120又は遠隔のセンサ(図示せず)から受け取る。次いで、処理ユニット180が係る信号を受け取っていない場合、イオン源161を取り外すために必要な後続の動作が阻止または不能にされ、及び/又は障害が、例えばディスプレイ182上に示される。
【0045】
ブロック514は、インターロックチャンバ120がガス源130により供給されるパージガスを用いてパージされるパージ動作を示す。パージ動作の目的は、弁140を開く前にインターロックチャンバ120から湿気、空気、及び汚染物質を除去することである。これは、以下で説明される真空引き動作の後でインターロックチャンバ120の内部の圧力が依然として真空チャンバ150の内部の圧力より10〜1000倍大きい可能性があり、伝達ライン156を含むMS160の様々な要素が高温のままであるからである。従って、イオン源161、分析器/検出器162などへの損傷を避けるために、ゲート140が開かれるときはいつでも、酸素、水などの急増(サージ)を最小限にすることが重要である。上述したように、パージ動作は、本教示の範囲から逸脱せずに、例えば、処理ユニット180の制御下で完全に自動化され得るか、例えば手動操作の弁および圧力計器の監視を通じた完全な手作業とすることができるか、又は双方の何らかの組合せとすることができる。
【0046】
代表的な実施形態による、例示的なパージ動作が図6に示される。図6を参照すると、インターロックチャンバ120とガス源130を接続するパージガス弁がブロック620において開かれ、それによりパージガスがガス注入ライン131を介してインターロックチャンバ120に入ることが可能になる。パージガスは、例えば乾性窒素ガスとすることができるが、他のガス又はガスの組合せを使用してもよい。ブロック622において、インターロックチャンバの内部の圧力は、圧力に必要な時間に対してインターロックチャンバ120の内部の圧力を確認して様々な所定のレベルに達するために、圧力計器(図示せず)を用いて監視される。
【0047】
監視に基づいて、ブロック624において、圧力が所定の第1の時間期間内に所定の目標値を超えたか否かが判定される。例えば、パージガス弁が約60秒間、開かれることができ、その時間中に、インターロックチャンバ120の内部の圧力が約5秒の所定の第1の時間期間内に約101.3KPa(760Torr)の目標値を超えたか否かが判定される。圧力が第1の時間期間内に所定の目標値を超えていない場合(ブロック624:No)、ブロック625において、障害が、例えばディスプレイ182に表示される。
【0048】
圧力が所定の第1の時間期間内に所定の目標値を超えている場合(ブロック624:Yes)、ブロック626において、インターロックチャンバ120の内部の圧力が所定の第2の時間期間にわたって所定の目標値に維持されているか否かが判定される。例えば、インターロックチャンバ120の内部の圧力が少なくとも約60秒、又はどんなに長くてもパージガス弁が開いたままである所定の第2の時間期間に約101.3KPa(760Torr)の目標値(又はその近く)に留まっているか否かが判定され得る、。
【0049】
圧力が所定の第2の時間期間に所定の目標値に維持されない場合(ブロック626:No)、ブロック625において、障害が、例えばディスプレイ182に表示される。圧力が所定の第2の時間期間に所定の目標値またはその近くで維持されている場合(ブロック626:Yes)、ブロック628において、パージガス弁が閉じられ、プロセスが図5に戻る。上述したように、本教示の範囲から逸脱せずに、パージガス弁の開閉、並びに圧力と時間の監視は、完全に自動化されるか、完全な手作業とすることができるか、又は双方の何らかの組合せとすることができる。
【0050】
再び図5を参照すると、ブロック516は、インターロックチャンバ120からパージガスを抜いて、インターロックチャンバ120の内部の圧力が真空チャンバ150の内部の低い圧力(例えば、真空状態)に近づけられる真空引き動作を示すが、インターロックチャンバ120の圧力は、依然として真空チャンバ150の圧力よりも10〜1000倍大きい可能性がある。ブロック518において、真空チャンバ150の内部の低い圧力(例えば、真空状態)を実質的に維持しながら、弁140が開かれることができる。ブロック514により示されたパージ動作と同様に、ブロック516により示された真空引き動作は、本教示の範囲から逸脱せずに、例えば、処理ユニット180の制御下で完全に自動化され得るか、例えば手動操作の弁および圧力計器の監視を通じた完全な手作業とすることができるか、又は双方の何らかの組合せとすることができる。
【0051】
図7A、図7B、及び図7Cは、代表的な実施形態による、真空チャンバからイオン源161を取り外すためにインターロックチャンバ120を真空引きするための代替の例示的な方法を示す流れ図である。代表的な方法は、システム100の構成に依存する。特に、図7Aに示された方法は、システム100がインターロックチャンバ120の低い圧力を生成するための、及び真空チャンバ150の高真空ポンプ170を支援するための単一のバッキングポンプ(例えば、図1Aに示されたようなバッキングポンプ172)を含む場合に実施され得る。単一のバッキングポンプ172が利用される場合、インターロックチャンバ120は2つのガス排気弁、即ち、制限を有する弁142(例えば、ブリード弁)及び制限を有さない弁144を有する。図7Bに示された方法は、インターロックチャンバ120及び真空チャンバ150の高真空ポンプ170のそれぞれが対応する専用のバッキングポンプを有するように、システム100が複数のバッキングポンプ(例えば、図1Bに示されたようなバッキングポンプ172及び175)を含む場合に実施され得る。複数のポンプが利用される場合、インターロックチャンバ120は、制限を有さない1つのガス排気弁145を有することができる。図7Cに示された方法は、システム100が三方弁147を介して高真空ポンプ170に接続された単一のバッキングポンプ(例えば、図1Cに示されたようなバッキングポンプ172)を含む場合に実施され得る。
【0052】
図7Aを参照すると、ブロック722においてインターロックチャンバ120の第1のガス排気弁142が開かれ、それによりパージガスがバッキングポンプ172によりインターロックチャンバ120から吸い出され、ポンプフィルタを介して排気として出される。第1のガス排気弁142は、例えば約10−3l/sの制限を有するブリード弁とすることができ、それはインターロックチャンバ120を出るパージガスの流れを制限する。ブロック724において、インターロックチャンバ120の内部の圧力が圧力計器(図示せず)を用いて監視され、インターロックチャンバ120の内部の圧力が所定の目標値に降下したときが判定される。
【0053】
監視に基づいて、ブロック726において、圧力が、所定の第1の時間期間内に所定の第1の目標値未満に降下したか否かが判定される。例えば、インターロックチャンバ120の圧力は、約10秒以内に約101.3KPa(760Torr)の圧力未満に降下するべきである。圧力が所定の第1の時間期間内に所定の第1の目標値未満に降下しない場合(ブロック726:No)、ブロック725において、障害が、例えばディスプレイ182に表示される。圧力が所定の第1の時間期間内に所定の目標値未満に降下する場合(ブロック726:Yes)、ブロック728において、圧力が所定の第2の時間期間内に所定の第2の目標値未満に降下したか否かが判定される。例えば、インターロックチャンバ120の圧力は、第1のガス排気弁を開いている約5分以内に約6.67KPa(50Torr)の圧力未満に降下すべきである。圧力が所定の第2の時間期間内に所定の第2の目標値未満に降下しない場合(ブロック728:No)、ブロック725において、障害が、例えばディスプレイ182に表示される。
【0054】
圧力が所定の第2の時間期間で所定の第2の値未満に降下する場合(ブロック728:Yes)、ブロック730において、インターロックチャンバ120の第2のガス排気弁144が開かれる。一実施形態において、第2のガス排気弁144を開くことは、圧力が第2の目標値に到達したときに自動的にトリガされ得る。また、一実施形態において、第2のガス排気弁144は、第1のガス排気弁142と同時に開かれ得る。第2のガス排気弁144は、制限を備えておらず、従って、第1のガス排気弁142よりも大きいオリフィス(例えば、約0.3cm(0.120インチ))を有する。これにより、バッキングポンプ172によりインターロックチャンバ120から吸い出されて排気として出されるパージガスの邪魔のない流れが可能になる。ブロック732において、インターロックチャンバ120の内部の圧力が圧力計器を用いて監視され、インターロックチャンバ120の内部の圧力が所定のレベルに降下するときが判定される。
【0055】
監視に基づいて、ブロック734において、圧力が、所定の第3の時間期間内に所定の第3の目標値未満に降下したか否かが判定される。例えば、インターロックチャンバ120の圧力は、第2のガス排気弁144を開いている約5分以内に約13.3Pa(100mTorr)の圧力未満に降下すべきである。圧力が所定の第3の時間期間内に所定の第3の目標値未満に降下しない場合(ブロック734:No)、ブロック725において、障害が、例えばディスプレイ182に表示される。圧力が所定の第3の時間期間内に所定の第3の目標値未満に降下する場合(ブロック734:Yes)、ブロック736において、第1及び第2のガス排気弁142及び144が閉じられ、プロセスが図5に戻る。上述したように、本教示の範囲から逸脱せずに、ガス排気弁142及び144の開閉、並びに圧力と時間の監視は、完全に自動化されるか、完全な手作業とすることができるか、又は双方の何らかの組合せとすることができる。
【0056】
また、上述したように、インターロックチャンバ120の真空引きは、単一のポンプ(例えば、バッキングポンプ172)の使用を可能にするために図7Aの2つのステップで行われ、当該単一のポンプは、真空チャンバ150に真空を提供するための高真空ポンプ170を支援し、並びにインターロックチャンバ120を真空引きする。制限器を備えた第1のガス排気弁142は、バッキングポンプ172とインターロックチャンバ120との間で開かれる。制限器は、パージガス(例えば、窒素)の大きな流入が高真空ポンプ170の方へ、及び真空チャンバ150内へと逆に進むことを防止する。係るパージガスの突然の激しい流れにより、高真空ポンプ170が止められ、場合によってはその寿命が脅かされる。更に、バッキングポンプ172からの流体は、高真空ポンプ170を介して真空チャンバ150の中へ送られ、場合によってはMS160の敏感な素子を汚染する。更に、弁140が開いている間(例えば、図5のブロック518)に第1及び第2のガス排気弁142及び144が開いたままである場合、高真空ポンプ170はバッキングポンプ172を反対方向に引き、場合によってはバッキングポンプ172からの汚染物質が弁140を介して真空チャンバ150の中へ進む。しかしながら、インターロックチャンバ120が約6.67KPa(50Torr)まで真空引きされれば、第2の(非制限)弁144を介したその後のガスの流れ(圧力を約13.3Pa(100mTorr)にする)は、非常に低くいので、任意の悪影響が高真空ポンプ170又はMS160に生じることができない。
【0057】
図7Bは、インターロックチャンバ120及び真空チャンバ150に接続された高真空ポンプ170のそれぞれが専用のバッキングポンプ、即ちバッキングポンプ175及び172をそれぞれ有する場合の代表的な真空引きプロセスを示す。これは、単一のバッキングポンプを使用することに関する潜在的な問題を回避する。図7Bを参照すると、ブロック742において、インターロックチャンバ120のガス排気弁145が開かれ、パージガスがバッキングポンプ175によりインターロックチャンバ120から吸い出され、排気として出される。ガス排気弁145は、図7Aに関連して上述された第2のガス排気弁144と同様に、制限を有していない。
【0058】
ブロック744において、インターロックチャンバ120の内部の圧力が圧力計器(図示せず)を用いて監視され、インターロックチャンバ120の内部の圧力が所定のレベルに降下したときが判定される。監視に基づいて、ブロック746において、圧力が、所定の時間期間内に所定の目標値未満に降下したか否かが判定される。例えば、インターロックチャンバ120の圧力は、約5秒以内に約101.3KPa(760Torr)の圧力、及び約5分以内に約13.3Pa(100mTorr)の圧力未満に降下するべきである。圧力が所定の時間期間内に所定の目標値未満に降下しない場合(ブロック746:No)、ブロック745において、障害が、例えばディスプレイ182に表示される。圧力が所定の時間期間内に所定の目標値未満に降下する場合(ブロック746:Yes)、ブロック750において、ガス排気弁が閉じられ、プロセスが図5に戻る。上述したように、本教示の範囲から逸脱せずに、ガス排気弁145の開閉、並びに圧力と時間の監視は、手動、自動、又は双方の何らかの組合せとすることができる。
【0059】
図7Cは、インターロックチャンバ120及び高真空ポンプ170が、三方弁147を介して同じバッキングポンプ、即ちバッキングポンプ172に接続された場合の代表的な真空引きプロセスを示す。上述したように、弁147は、3つのポートを有し、第1のポートは高真空ポンプ170の補助真空側ラインと接続され、第2のポートはバッキングポンプ172と接続され、第3のポートはインターロックチャンバ120と接続される。通常動作において、第1及び第2のポートが開かれ、第3のポートが閉じられる。
【0060】
図7Cを参照すると、ブロック762において、高真空ポンプ170への弁147の第1のポートが閉じられ、インターロックチャンバ120への弁147の第3のポートが開かれ、パージガスがバッキングポンプ172によりインターロックチャンバ120から吸い出されて、排気として出される。バッキングポンプ172への弁147の第2のポートはプロセスの全体にわたって開いたままである。一実施形態において、弁147は、図7Aに関連して上述された第2のガス排気弁144と同様に、制限を有さず、インターロックチャンバ120は、例えば約0.133KPa(1Torr)直下に迅速に真空引きされる。
【0061】
ブロック764において、高真空ポンプ170の補助真空側ラインの圧力が監視される。例えば、補助真空側ラインの圧力は、計器(例えば、インターロックチャンバ120の圧力を監視するために使用される計器とは異なる)を用いてリアルタイムに監視され得る。図示された実施形態において、監視に従って、ブロック765において、図7Bに関連して上述されたように、インターロックチャンバの圧力が所定の時間期間内に所定の目標値未満に降下したか否かが判定される。例えば、インターロックチャンバ120の圧力は、約5秒以内に約101.3KPa(760Torr)の圧力、及び約5分以内に約13.3Pa(100mTorr)の圧力未満に降下するべきである。当然のことながら、ブロック766で行われる補助真空側ラインの圧力の判定に基づいて、真空引きが一時停止されている時間は、以下で説明されるように、所定の時間期間へ組み入れられる必要がある。圧力が所定の時間期間内に所定の目標値未満に降下しない場合(ブロック765:No)、ブロック771において、障害が、例えばディスプレイ182に表示される。圧力が所定の時間期間内に所定の目標値未満に降下する場合(ブロック765:Yes)、プロセスはブロック766を続ける。上述したように、本教示の範囲から逸脱せずに、排気ガス弁147の開閉、並びに補助真空側ラインの圧力、インターロックチャンバの圧力、及び様々な時間の監視は、手動、自動、又は双方の何らかの組合せとすることができる。
【0062】
ブロック766において、補助真空側ラインの圧力が所定のレベルより上に上昇したか否かが判定される。補助真空側ラインの圧力が所定のレベルを超えていないと判定される場合(ブロック766:No)、ブロック770において、インターロックチャンバ120の圧力が所定の目標値未満であるか否かが判定される。インターロックチャンバ120の圧力が目標値未満でない場合(ブロック770:No)、高真空ポンプ170への弁147の第1のポートは、閉じられたままであり、インターロックチャンバ120への弁147の第3のポートは開いたままであり、それによりインターロックチャンバ120の真空引きは継続することが可能になり、プロセスはブロック764に戻る。インターロックチャンバ120の圧力が目標値未満である場合(ブロック770:Yes)、ブロック772において、高真空ポンプ170への弁147の第1のポートは開かれ、インターロックチャンバ120への弁147の第3のポートは閉じられ、真空引きが停止され、プロセスが図5に戻る。
【0063】
再びブロック766を参照すると、高真空ポンプ170の補助真空側ラインの圧力が所定の目標値を超えていると判定される場合(ブロック766:Yes)、ブロック768において、所定の時間期間の間に高真空ポンプ170への弁147の第1のポートは開かれ、インターロックチャンバ120への弁147の第3のポートが閉じられ、一時的にインターロックチャンバ120の真空引きを中止する。従って、高真空ポンプ170がバッキングポンプ172と再接続され、それにより高真空ポンプ170及びバッキングポンプ172が、高真空ポンプ170の補助真空側ラインにおいて低い圧力(例えば、真空)を再確立することが可能になる。次いで、プロセスはブロック762に戻り、ここで高真空ポンプ170への弁147の第1のポートが閉じられ、インターロックチャンバ120への弁147の第3のポートが開かれ、インターロックチャンバ120をバッキングポンプ172と再接続することにより、真空引きが継続されることが可能になる。代替の実施形態において、時間期間(リアルタイムで測定される)の間に、高真空ポンプ170への弁147の第1のポートが開かれ、インターロックチャンバ120への弁147の第3のポートが閉じられることができ、高真空ポンプ170の補助真空側ラインにおいて再確立されるべき低い圧力を実際に得る。また、代替の実施形態において、(所定の補助真空側ラインの圧力値とは対照的に)所定の時間期間との比較は、ブロック766で行われることができ、高真空ポンプ170の補助真空側ラインにおける圧力および結果としての真空チャンバ150の圧力が著しい影響を受けない短い時間期間のみ、高真空ポンプ170への弁147の第1のポートが閉じられ、且つインターロックチャンバ120への弁147の第3のポートが開かれることが可能になる。
【0064】
再び図5を参照すると、ひとたびインターロックチャンバ120がパージングされて真空引きされれば、インターロックチャンバ120の内部の圧力は、真空チャンバ150の内部の圧力に実質的に近い。従って、ブロック518において、インターロックチャンバ120と真空チャンバ150との間の弁140が開かれる。低減された圧力差に起因して、インターロックチャンバ120から真空チャンバ150へのガスの急増(サージ)は、高真空ポンプ170により迅速に吸い出されることができ、接続されたインターロックチャンバ120と真空チャンバ150を、弁140が開かれる前の真空チャンバ150と同じ高真空圧力のままにする。一実施形態において、弁140は、インターロックチャンバの内部の圧力が適切な目標値に降下したことを示す信号に基づいて、処理ユニット180の制御下で自動的に開かれる。更に、一実施形態において、ブロック522に関連して後述されるように、検査が、例えば処理ユニット180により自動的に実行され、イオン源161をインターロックチャンバ120の中へ移動しようとする前に弁140が完全に開いていることが確認される。弁140が完全に開いていない場合、障害の表示が提供される。
【0065】
注入装置155をイオン源161と接続する伝達ライン156は、ブロック520で引き戻される。一実施形態において、イオン源161が移動する軸は、伝達ライン156の軸に実質的に直交(又は交差)することができ、かくしてイオン源161を移動するために伝達ライン156が一時的に引き戻される必要がある。一実施形態において、伝達ラインは、処理ユニット180の制御下で、三方向電磁弁を開くことにより付勢される空気シリンダ、サーボモータなどを用いて自動的に引き戻される。代案として、伝達ライン156は、イオン源161から伝達ライン156の伝達先端部220を引き出すようにベロー(例えば、図3のベロー230)を付勢するように構成されたレバー(図示せず)、或いはホイール、ボタンなどのような他の装置を用いて手動で引き戻され得る。代案として、本教示の範囲から逸脱せずに、伝達ライン156は、ベローのほかに何らかの他の引き戻し方法(例えば、滑りシールのような)を用いて引き戻されるように構成され得る。
【0066】
ブロック522において、イオン源161が、開いた弁140を介して真空チャンバ150からインターロックチャンバ120の中へ物理的に移動されるが、真空チャンバ150の内部の圧力と温度は実質的に維持される(即ち、真空チャンバ150の真空状態が維持され、MS160の全ての構成要素は動作温度のままである)。一実施形態において、イオン源161は、プローブ110を用いて手動でインターロックチャンバ120の中へ移動される。上述したように、例えば、プローブ110は、インターロックチャンバ120及び弁140を介して真空チャンバ150の中へ挿入され、バイオネット留め具または他の接続機構でイオン源161に取り付けるために回転され、弁140を介してインターロックチャンバ120の中へ引き入れられることができる。様々な実施形態において、プローブ110は、処理ユニット180の制御下で自動化され得る。ひとたびイオン源161がインターロックチャンバ120の中へ移動したならば、弁140はブロック524で閉じられる。一実施形態において、ユーザは、ブロック524において、処理ユニット180からのソフトウェアのプロンプトに応じて弁140を閉じる。同じプロンプトは、ブロック526に関連して後述されるように、ソフトウェア制御の冷却シーケンスをトリガすることができる。
【0067】
ブロック526は、イオン源161がインターロックチャンバ120内で冷却ガスを用いて冷却される動作を示す。代表的な実施形態による、例示的な冷却動作は、図8に示される。図8を参照すると、イオン源161の温度および対応する冷却期間がブロック820で求められる。例えば、イオン源161の温度が測定され、対応する冷却期間が、測定された温度に基づいて処理ユニット180により求められ得る。代案として、イオン源161の温度および/または適切な冷却期間は、MS160及び/又はイオン源161の既知の動作特性に基づいて推定され得る。
【0068】
ブロック822において、インターロックチャンバ120及びガス源130を接続する冷却ガス弁(パージガス弁と同じとすることができる)が開かれ、冷却ガスが、ガス注入ライン131を介してインターロックチャンバ120に入ることが可能になる。ブロック824において、インターロックチャンバ120の内部の圧力が圧力計器(図示せず)を用いて監視され、インターロックチャンバ120の内部の圧力が所定のレベルを超えたときが判定される。監視に基づいて、ブロック826において、圧力が所定の時間期間内に所定の目標値を超えたか否かが判定される。例えば、インターロックチャンバ120の圧力は、約10秒以内に約101.3KPa(760Torr)の圧力を超えるべきである。圧力が所定の時間期間内に所定の目標値を超えていない場合(ブロック826:No)、ブロック845において、障害が、例えばディスプレイ182に表示される。
【0069】
圧力が所定の時間期間内に所定の目標値を超えている場合(ブロック826:Yes)、ブロック828において、イオン源161がインターロックチャンバ120内で冷却期間の間に冷却されることが可能になる。例えば、ブロック820において、MS160内のイオン源161の温度が約230℃であったことが求められた場合、冷却期間は、イオン源161がインターロックチャンバ120内にとどまる約10分であると求められる。上述されたように、温度に対応する冷却期間は、処理ユニット180により、例えば冷却期間および温度に関連する、予め格納されたデータベースにアクセスすることにより求められ得る。代替の実施形態において、イオン源161が所望の温度(例えば、100℃)に実際に冷却されたときがわかるように、イオン源161の温度は、インターロックチャンバ120内でリアルタイムで監視され得る。
【0070】
ひとたびイオン源161が冷却されたならば、ブロック830において、冷却ガス弁が閉じられ、プロセスは図5に戻る。上述されたように、本教示の範囲から逸脱せずに、冷却ガス弁の開閉、並びに圧力と時間の監視は、完全に自動化されるか、完全な手作業とすることができるか、又は双方の何らかの組合せとすることができる。
【0071】
図5を再び参照すると、ひとたびイオン源161がインターロックチャンバ120内で冷却されたならば、インターロックチャンバ120の内部の圧力は、実質的に周囲圧力と同じである。従って、ブロック528において、インターロックチャンバ120が開かれ、イオン源161を取り外すことが可能になる。例えば、図3及び図4に示された実施形態において、インターロックチャンバ120は、ヒンジ部材351で開いた位置まで枢動されることにより開かれる。プローブ110の端部に依然として取り付けられているイオン源161は、例えば、図4に示されるように、開いたインターロックチャンバ120の外へ押されることができ、この場合、イオン源は、プローブ110から手動で取り外され得る。
【0072】
一実施形態において、処理ユニット180は、例えば、温度および/または冷却に費やされた時間および/またはインターロックチャンバ120の内部の圧力に基づいて、インターロックチャンバ120を開いても安全であるときをユーザに通知する。また、インターロックチャンバ120は、処理ユニット180により制御可能なロッキング機構を含み、ユーザが早めにインターロックチャンバ120を開き、それにより高温のイオン源161の表面の酸化、及び/又はユーザに対する危害が生じる可能性を防止する。
【0073】
一実施形態において、冷却ガスがインターロックチャンバの中へ流れることが可能になる前に、図5のブロック524に続いて、検査が、例えば処理ユニット180により自動的に実行されて、弁140が完全に閉じられていることが確認される。弁140が完全に閉じられていない及び/又は弁140の閉じた状態が確認されることができない場合、障害表示が提供されて、インターロックチャンバ120が所定位置にロックされる。一実施形態において、インターロックチャンバ120は、ソフトウェアのロックを用いて所定位置にロックされ得る。特に、やはり図示された構成において、弁140が完全に閉じられていない場合にインターロックチャンバ120を開くことはできない。その理由は、真空チャンバ150の真空状態がインターロックチャンバ120を所定位置に堅固に保持するからである。
【0074】
イオン源161が取り除かれた後、新しい又は清浄なイオン源(イオン源161とも呼ばれる)がプローブ110の端部に取り付けられる。図9は、代表的な実施形態に従って、イオン源161をMS160の中へ戻すための方法を示す流れ図である。
【0075】
図9を参照すると、ブロック910において、例えば、処理ユニット180により、イオン源161を戻すための要求が受け取られる。例えば、ユーザは、システム100に知らせるGUI181を介して、新しいイオン源161がMS160の中へ挿入されるべきである命令を発行することができる。応答において、ブロック912において、イオン源161がプローブ110の端部に取り付けられていること、及びインターロックチャンバ120が閉じられたことが確認される。例えば、処理ユニット180は、それに応じてGUI181及びディスプレイ182を介してユーザに問い合わせ、ユーザにより入力される確認応答を待つことができる。代替の実施形態において、処理ユニット180は、遠隔センサ、インターロックチャンバ120、プローブ110からの電気信号、及び/又はイオン源161の状態、インターロックチャンバ120が閉じられて封止されたことを自動的に示す遠隔センサ(図示せず)からの電気信号を受け取ることができる。また、処理ユニット180は、インターロックチャンバ120が閉じられ、又は弁140において真空チャンバ150に取り付けられたことを確認するためにユーザに問い合わせることができる。処理ユニット180が係る信号を受信していない場合、イオン源161の挿入に必要な後続の動作は、阻止され又は不能にされ、及び/又は障害が、例えばディスプレイ182上に示される。
【0076】
ブロック914及び916はそれぞれ、パージ動作および真空引き動作を示す。ブロック914のパージ動作において、インターロックチャンバ120は、図6に関連して上述されたように、ガス源130により供給されるパージガスを用いてパージされる。パージ動作の目的は、インターロックチャンバ120から湿気、空気、及び汚染物質を除去することである。パージ動作は、本教示の範囲から逸脱せずに、例えば、処理ユニット180の制御下で完全に自動化され得るか、例えば手動操作の弁および圧力計器の監視を通じた完全な手作業とすることができるか、又は双方の何らかの組合せとすることができる。ブロック916の真空引き動作において、パージガスがインターロックチャンバ120から抜かれ、そのため図7A、図7B及び図7Cに関連して上述されたように、インターロックチャンバ120の内部の圧力は真空チャンバ150内の圧力に近い。弁140が、ブロック918で開かれることができるが、真空チャンバ150の内部の低い圧力は維持される。真空引き動作および弁140を開くことは、本教示の範囲から逸脱せずに、例えば、処理ユニット180の制御下で完全に自動化され得るか、例えば手動操作の弁および圧力計器の監視を通じた完全な手作業とすることができるか、又は双方の何らかの組合せとすることができる。
【0077】
様々な実施形態において、ブロック914のパージ動作は、図5及び図6のブロック514に関連して説明されたパージ動作と実質的に同じように実行されることができ、ブロック916の真空引き動作は、図5のブロック526、並びに図7A、図7B及び図7Cに関連して説明された真空引き動作と実質的に同じように実行され得る。従って、これらの説明は、図9に関連して繰り返されない。
【0078】
真空引き動作の後、インターロックチャンバ120の内部の圧力は実質的により低く、例えば、符号化された又は手動で観測される設定点圧力未満であり、そのため弁140が開いても安全であると同時に、真空状態が真空チャンバ150において維持される。ブロック918において、弁140が開かれることができるが、真空チャンバ150の内部の低い圧力は維持される。言い換えれば、パージガスが抜かれ、そのため、ひとたび弁140が開かれるならば、インターロックチャンバ120及び真空チャンバ150は、高真空ポンプ170及びそのバッキングポンプ172のポンプ動作の下で同じ高真空圧力に釣り合わされる。図7Aのブロック736及び図7Bのブロック750に関連してそれぞれ上述されたように、ガス排気弁142、144及び145は、弁140が開かれる前に閉じられる必要があり、それにより高真空ポンプ170がバッキングポンプ172又は175に逆らってポンプ動作(ポンピング)することが防止される。同様に、図7Cのブロック772に関連して上述されたように、三方向ガス排気弁147は、弁140が開かれる前にバッキングポンプ172とインターロックチャンバ120との間を閉じる必要があり、それにより高真空ポンプ170がバッキングポンプ172に逆らってポンプ動作することが防止される。一実施形態において、弁140は、インターロックチャンバの内部の圧力が適切な目標値未満に減少したことを示す信号に基づいて、処理ユニット180の制御下で自動的に開かれる。更に、一実施形態において、ブロック920に関連して後述されるように、検査が、例えば処理ユニット180により自動的に実行され、イオン源161を真空チャンバ150の中へ移動しようとする前に弁140が完全に開いていることが確認される。弁140が完全に開いていない場合、障害の表示が提供される。
【0079】
ブロック920において、イオン源161は、開いた弁140を介してインターロックチャンバ120から真空チャンバ150の中へ物理的に移動されるが、真空チャンバ150の内部の圧力は、実質的に同じままである(即ち、真空チャンバ150の真空状態は保持される)。イオン源161は、プローブ110を用いて真空チャンバ150の中へ手動で移動され得る。一実施形態において、プローブ110は、実質的に自己整合(自動位置合わせ)であり、それにより真空チャンバ150の真空状態が、プローブ110及びイオン源161を係合へと引っ張ることが可能になる。ユーザは、短い距離だけイオン源161を手動で押すことができ、イオン源161がMS160内の電気コンタクトに固定されることを確実にする。また、一実施形態において、プローブ110は、イオン源161が遠位端部において、高度の並進運動および回転の自由度でもって浮動するように構成される。これにより、例えばイオン源161の電気コンタクトピンが、ドッキングステーションの対応するソケットと適切に自動位置合わせされることが可能になる。
【0080】
ひとたび真空チャンバ150の内部に配置されるならば、ブロック922において、イオン源161はプローブ110から外され、プローブ110はインターロックチャンバ120の中へ移動される。様々な実施形態において、プローブ110の動作は、処理ユニット180の制御下で自動化され得る。
【0081】
ひとたびイオン源161が真空チャンバ150の中へ挿入されたならば、ブロック924において、イオン源161の導通が確認される。例えば、イオン源161のヒータ、センサ及び/又はフィラメント回路の導通が、処理ユニット180により検出され得る。フィラメントの開放のような様々な障害が検出された場合、障害が、例えばディスプレイ182上に表示され得る。ひとたび挿入されたイオン源161の導通が確認されれば、ブロック926において、プローブ110はインターロックチャンバ120に移動され、弁140が閉じられる。一実施形態において、前述したように、ブロック926に続いて、パージガス又は冷却ガスがインターロックチャンバ120を一時的に満たすことが可能になる前に、インターロックチャンバ120が開かれることができるか、又はイオン源161が真空チャンバから取り外されることができるように、検査が、例えば処理ユニット180により自動的に実行され、弁140が完全に閉じられていることが確認される。弁140が完全に閉じられていない、及び/又は弁140の閉じた状態が確認されることができない場合、障害表示が提供されて、インターロックチャンバ120が所定位置にロックされる。
【0082】
一実施形態において、イオン源161及びシステム100の様々な熱区域は、MS160の動作前に、ブロック928においてベークアウト時間期間の間に加熱される。例えば、イオン源161は約320℃まで加熱されることができ、伝達ライン156は約340℃まで加熱されることができ、分析器/検出器162は約200℃まで加熱され得る。ひとたび全ての区域が、例えば約3〜4分でそれぞれの設定温度に達するならば、それらは、例えば約8分〜約20分とすることができるベークアウト時間期間の間に保持される。次いで、当該区域は、それぞれの動作温度まで冷却され、当該動作温度は、イオン源161については約230℃であり、伝達ラインについては約280℃であり、分析器/検出器162については約150℃である。例えば、冷却は約15分かかるかもしれない。
【0083】
一実施形態において、ヒータ及びセンサが着脱可能なイオン源161内に含められるので、上述した急速な加熱シーケンスが可能である。例えば、ヒータは、イオン源161の重要な要素(例えば、リペラー及び本体)間に挟まれた40Wのヒータとすることができる。ヒータの配置により、これらの要素が急激に加熱されることが可能になり、且つ最小の時間量で残留水をはじくことが可能になる。別の実施形態において、ヒータの抵抗回路は、例えば、焼結窒化アルミニウム、又は真空状態においてでさえも、最大の熱伝達をもたらす表面平坦性特性を有する他の超清浄な材料の円板に入れられ得る。
【0084】
ブロック930において、伝達ライン156は、注入装置155をイオン源161と接続するために伸長される。様々な実施形態において、伝達ライン156は、ベロー(例えば、ベロー230)、又は滑りシールのような他の可動真空気密カップリングを付勢するように構成された、電磁弁を介して付勢される空気シリンダ、サーボモータなどを用いて、処理ユニット180の制御下で自動的に伸長される。代案として、伝達ライン156は、ベロー、又は他の可動真空気密カップリングを付勢するように構成された、レバー(図示せず)、或いはホイール又はボタンなどのような他の装置を用いて手動で伸長され得る。伸縮自在の伝達ライン156は、伝達ライン156の伝達先端部220をイオン源161の中へ(例えば、アパーチャ210を介して)挿入するための手段を提供する。
【0085】
熱区域が設定され、伝達ライン156が伸長された後、短い調整アルゴリズムが実行されて、MS160の構成要素を調整し、空気と水の検査をすることができる。次いで、MS160は、MS160を遮断、冷却、通気、又は再加熱せずに、新たな又は清浄なイオン源161を用いる動作の準備が整う。
【0086】
一実施形態において、インターロックチャンバ120は、イオン源161が交換された後に、真空チャンバ150から取り除かれ得る。例えば、インターロックチャンバ120のパージ及び/又は冷却ガス弁(単数または複数)が開かれて(例えば、約1秒間)、インターロックチャンバ120の内部の圧力を増加させることができる。次いで、インターロックチャンバ120は、開かれ及び/又は取り除かれることができ、カバーがゲート140及び真空チャンバ150の突出部分151の上に取り付けられて掛止され得る。代案として、インターロックチャンバ120は真空チャンバ150に接続されたままにすることができ、この場合、ガス排気弁(単数または複数)は、次の使用に準備して清浄なインターロックチャンバ120を維持するために開かれ得る。
【0087】
従って、上述したように、図5〜図9に示された代表的なプロセスにより、MS160及び注入装置155の熱区域の全てが、動作温度の高温、並びに汚れた及び清浄なイオン源161の除去および挿入、又は異なるタイプのイオン源(例えば、EI及びCIイオン源)の除去および挿入の間の平衡状態を維持することが可能になる。対照的に、従来の保守は、全ての熱区域をオフにして(電源を切って)、例えば100℃未満まで冷却することが必要である。従って、様々な実施形態のイオン源161は、上述したように、約30分または1時間以内で、交換されて完全な感度で動作することができる。更に、高真空ポンプ170は全力で動作し続けることができ、そのため真空チャンバ150及びMS160の様々な要素が動作真空状態のままであることができる。更に、イオン源161以外に、MS160の要素はどれも、汚染物質または酸素/水にさらされない。
【0088】
図12は、代表的な実施形態による、質量分析システムの着脱可能なイオン源を示すブロック図である。図11は、図12に示された着脱可能なイオン源161と比較するために、従来のイオン源を示す機能ブロック図である。
【0089】
図11を参照すると、従来のイオン源1160は、第1の収束要素1161、第2の収束要素1162、第3の収束要素1163、並びに第1及び第2のイオン化要素1164と1165を含む。加熱および検出要素1166は、第1の収束要素1161に隣接する。図示されたように、質量分析計のインターフェース回路基板1170に配線で接続された6本のリード線が存在し、それらはリード線の端部の矢印により示されるように、第1の収束要素1161、第3の収束要素1163、並びに第1及び第2のイオン化要素1164と1165にそれぞれ、手動でプラグ接続される必要がある。更に、ヒータ及びセンサ要素1166に配線で接続された4本のリード線が存在し、それらは各リード線の端部の矢印により示されるように、インターフェース回路基板1170に手動でプラグ接続される必要がある。更に、2つのつまみねじ(図示せず)が、例えば第2の収束要素1162を介して、質量分析計の筐体にイオン源1160を固定する。
【0090】
イオン源1160を質量分析計から取り外すために、全てのリード線は最初に、ユーザによりそれぞれの要素1161、1163、1164、1165、及びインターフェース回路基板1170から物理的にプラグを抜かれる必要がある。同様に、イオン源1160を質量分析計へ挿入するために、全てのリード線は最初に、それぞれの要素1161、1163、1164、1165、及びインターフェース回路基板1170へ物理的にプラグ接続される必要がある。手作業のリード線のプラグ抜き及びプラグ接続は、時間の浪費につながり、間違いが生じやすい。また、ユーザが、リード線および/またはインターフェース回路基板1170にアクセスするために真空チャンバの内部に物理的に到達する必要があるので、質量分析計は、完全に通気されて冷却される必要がある。従って、例えば、プローブ110を用いて、切り離し/接続が遠隔的に行われることができないので、イオン源1160は、様々な実施形態(例えば、質量分析計システム100a、100b、100c)に従って、質量分析計システムに組み込まれることができない。
【0091】
これに対して、代表的な実施形態による、図12に示された着脱可能なイオン源1260は、ドッキングステーション1280を含み、当該ドッキングステーションは、質量分析計(例えば、質量分析計160)のインターフェース回路基板1270に永久的に配線された、イオン源1260の動作に必要な全てのリード線を有する。イオン源1260は、第1の収束要素1261、第2の収束要素1262、第3の収束要素1263、並びに第1及び第2のイオン化要素1264と1265を含む。加熱および検出要素1266は、第1の収束要素1261に隣接する。
【0092】
各矢印により示されるように、加熱および検出要素1266は、4つのピンを介してドッキングステーション1280の第1のセクション1281にプラグ接続し、第1のイオン化要素1264は、2つのピンを介して第2のセクション1282にプラグ接続する。また、各矢印により更に示されるように、第1及び第2の収束要素1261と1262は、それぞれ1つのピンを介して第3のセクション1283にプラグ接続し、第2のイオン化要素1265は、2つのピンを介して第4のセクション1284にプラグ接続し、及び第3の収束要素1263は、1つのピンを介して第5のセクション1285にプラグ接続する。特に、全ての矢印は同じ方向(即ち、挿入の方向)を指しており、それは、イオン源1260が、イオン源1260をドッキングステーション1280内に位置合わせして、イオン源1260の様々な要素に対応するピンがドッキングステーション1280の対応するソケットに入るように、挿入方向にイオン源1260を滑動する又は押すことにより、インターフェース回路基板1270に電気接続され得ることを示す。更に、イオン源1260は、全てのピンが挿入された場合にドッキングステーション1280内に機械的に固定されるので、図11に関連して上述されたつまみねじは必要ない。イオン源1260は、矢印とは反対の方向(即ち、抜き取り方向)にイオン源1260を簡単に滑動する又は引っ張ることにより、イオン源1260の様々な要素に対応するピンがドッキングステーション1280の対応するソケットから切り離され、ドッキングステーション1280から取り除かれる。
【0093】
従って、代表的なイオン源1260は、ユーザがイオン源1260、インターフェース回路基板1270及び/又はリード線およびプラグに物理的に接触する必要なしに、ドッキングステーション1280に挿入および接続され、並びにドッキングステーション1280から切り離され及び引き出されることができる。従って、イオン源1260は、上述したように、真空チャンバ150を通気または冷却する必要なしに、例えば、プローブ110を用いて、遠隔的に質量分析計160に対して挿入され及び引き出され得る。例えば、イオン源1260は、図5のブロック522に関連して説明されたように、プローブ110に取り付けられ、インターロックチャンバ120の中へ移動することができるが、真空チャンバ150の真空状態が維持される。同様に、例えば、イオン源1260は、図9のブロック920に関連して説明されたように、プローブ110に取り付けられ、真空チャンバ150へ挿入され得るが、真空チャンバ150の真空状態が維持される。
【0094】
従って、様々な実施形態に従って、イオン化要素(例えば、消耗品である2つの全フィラメントアセンブリ)及び任意にヒータ/センサアセンブリを含む全イオン源は、上述したように、ドッキングステーションを用いて、着脱可能および交換可能である。全ての電気接続は、フィラメントアセンブリ及びヒータのような電流通過素子に対してさえも、信頼性のある接続を提供する堅牢なピン/ソケット型コネクタである。かくして、様々な実施形態は、複雑なフィラメントアセンブリ及びヒータのような素子(要素)に対して着脱可能な方式の堅牢な電気接続を提供する。例えば、破損したフィラメントアセンブリを取り外す及び交換する能力は、ユーザに明白な利点を提供する。着脱可能なイオン源にヒータ(及びセンサ)を含めることは、迅速に加熱し、最小量の時間で優れた性能に到達する手段を提供し、ユーザに更に利点を提供する。
【0095】
イオン源はプローブに剛性に取り付けられ得るが、本発明は、着脱可能な要素を静止した要素と位置合わせする作業を首尾よく成し遂げるために、浮動マウントを組み込む実施形態も提供する。イオン源は、それがドッキングステーションと自動位置合わせされることを可能にする高度の並進運動および回転の自由度でもってプローブの端部で浮動する。例えば、イオン源は、そのイオン源がプローブに対してあらゆる方向に傾斜および僅かに移動することができるように、フレキシブルなようにプローブに結合される。幾つかの実施形態において、プローブは、プローブの残りの部分に対して揺動する先端部を有するように構成され、イオン源がこの先端部に結合される。かくして、プローブ/イオン源の組合せがドッキングステーションに近づくにつれて、ドッキングステーションの形状構成が、浮動するイオン源、及びドッキングステーションの対応するソケットとの精密な(及び信頼性のある)係合のためにそのピンコンタクトを案内する働きをする。更に、複数のピンとソケットの係合は、質量分析計内で静止した状態のままである四重極フィルタに対して、着脱可能なイオン源に備わっている収束要素の正確な位置合わせを提供する追加の機能を果たす。同様に、ピン及びソケットの係合は、磁石アセンブリ(質量分析計内で静止した状態のままである)により生成された磁界でもってフィラメントの正確な位置合わせを提供する。着脱可能なイオン源をこれら静止した要素と正確に位置合わせする能力は、質量分析計の再現性および性能に非常に影響する。
【0096】
また、新たな/清浄なイオン源を挿入した後で、最もタイムリーに品質分析を提供するために、イオン源は、高温で少なくとも瞬間的にベークアウトされる必要がある。従って、ヒータ及び熱伝達経路は、堅牢で、信頼性があり、清浄で、且つ効率的でなければならない。実施形態は、着脱可能なイオン源またはその一部に堅固に固定された、焼結窒化アルミニウムのヒータのような高性能ヒータを提供することにより、交換後に最高の性能へ迅速に戻る必要性に対処する。ヒータ/センサをイオン源アセンブリに組み込むことは、不変の熱伝導経路を確立することにより重要な要素への熱伝達を最適化し、当該不変の熱伝導経路は、ヒータ及びセンサがイオン源アセンブリの一体部分でない限り、確実に実現されることができない。
【0097】
完全な「自動および通気しない」システム(例えば、完全な「自動および通気しない」システムは或るユーザには法外な価格である)に対する代案として、代替の実施形態は、従来のシステムの通気モードにおいてイオン源の交換に必要な多数のワイヤの切り離し及び再接続に含まれる時間、複雑性、及び間違いの危険性を伴わずに、通気モードにおいて消耗品のフィラメントアセンブリを含む全イオン源を交換するための手段を提供する。例えば、図12に関連して上述されたように、イオン源が通気しない又は通気される手順に従って交換される場合に、イオン源は、上記の説明に従って任意の固締具または配線接続を取り外す必要性なしに、取り外され及び設置され得る。更に、イオン源アセンブリに含められた高性能ヒータは、イオン源を迅速に且つ効率的に加熱および清浄化するための手段を提供し、かくしてイオン源が通気しない手順又は通気される手順を通じて交換されようとなかろうと、全性能動作状態に迅速に到達する。更に、前述されたように、清浄な収納容器に収納されたイオン源は、そのイオン源が通気しない手順又は通気される手順を介して設置されようとなかろうと、全性能動作状態に更に迅速に到達する。
【0098】
図13は、代表的な実施形態による、質量分析計を通気した後にイオン源を交換するための方法を示す流れ図である。図14A、図14B、及び図14Cは、代表的な実施形態による、清浄な保護容器、改良型キャップ、及び着脱可能なイオン源の斜視図である。
【0099】
図13を参照すると、質量分析計(例えば、MS160)のイオン源(例えば、イオン源161)を交換するために、真空チャンバ(例えば、真空チャンバ150)の冷却および通気を含むブロック1310において、質量分析計は、最初に冷却されて通気される。ブロック1312において、MS160の機器カバーが開けられて(手動で)、あらゆる外部配線が切り離される。MS分析器(例えば、分析器/検出器162)にアクセスするためのアクセスドアが、ブロック1314で開けられる。
【0100】
ブロック1316において、汚染されている、破損したフィラメントを有する、又は交換される必要があるイオン源は、清浄な収納容器1420の改良型キャップ1410を用いてMS分析器から引っ張り出され、それらの例は図14A〜図14Cに示される。特に、図14Aを参照すると、キャップ1410は、キャップ1410の内面に隆起部分1412及びコネクタボタン1414を含む。コネクタボタン1414の構成は、上述したプローブ110の遠位端部の留め具と実質的に同じとすることができ、そのため同じ着脱可能なイオン源(例えば、イオン源161)が、通気しないモード及び通気モードで使用され得る。例えば、図14Bを参照すると、イオン源161は、このようにコネクタボタン1414を介してキャップ1410の内面に接続される。次いで、イオン源161は、図14Cに示されるように収納容器1420の中へ挿入され得るか、又は処分される。従って、イオン源161は、従来のMS分析器から従来のイオン源を取り外すのに必要であったような、ユーザが清浄な手袋を装着する必要なしに(キャップ1410のみがイオン源に接触するので)、又はユーザが手動で(例えば、図11に示されたように従来のイオン源に接続された)多数のワイヤを切り離し、且つつまみねじ又は他の固定機構を外す必要なしに、MS分析器から取り外され得る。
【0101】
ブロック1318において、新しい又は清浄である、或いは破損していないフィラメントを有する交換イオン源を、清浄な収納容器1420のキャップ1410を用いて、MS分析器の中へ滑り込ませる。例えば、交換イオン源161は、図14Cに示されるように、清浄な環境である収納容器1420内に予め封止されることができる。交換イオン源161が接続されたキャップ1410は、清浄な収納容器1420から簡単に取り外され、次いで交換イオン源161をMS分析器の中へ物理的に挿入するためのツールとして使用され、ユーザが交換イオン源161に触れる必要はない。言い換えれば、キャップ1410は、通気モードにおいてMSシステムのイオン源を除去および挿入するハンドル又はツール(道具)として使用され得る。特に、キャップ1410の使用は、除去または挿入のプロセス中に、ユーザが清浄な手袋をはめる必要性をなくす。更に、ユーザは、手動で(例えば、図11に示されたように従来のイオン源に接続された)多数のワイヤを接続すること、及び従来のMS分析器に従来のイオン源を挿入するために必要とされたような、つまみねじ又は他の固定機構を再接続することは必要ない。
【0102】
交換イオン源161の挿入後、ブロック1322において、MSシステムは電源を入れられ(turn on:スイッチを入れる)、ユーザは、所望の温度および性能のレベルを待つ。上述したように、交換イオン源161は既に清浄であるので、及び高性能ヒータが様々な実施形態においてイオン源アセンブリに含められ得るので、MSシステムは、通気およびイオン源の交換後に、従来のMSシステムよりも迅速に全性能動作状態に到達する。
【0103】
図10は、代表的な実施形態による、質量分析計においてイオン源を交換するためのアルゴリズムを実行するようにプログラミングされた処理ユニットを示す機能ブロック図である。即ち、図10は、代表的な実施形態による、質量分析計160からイオン源161を取り外すためのプロセスを完全に又は部分的に実行する処理ユニット180の1つの代表的な実施形態を示す。
【0104】
処理ユニット180に示される様々な「部品」は、ソフトウェア制御のマイクロプロセッサ、例えば、プロセッサ1021、配線論理回路、ファームウェア、又はそれらの組合せを用いて、物理的に実現され得る。また、部品は、説明の目的のために代表的な処理ユニット180において機能的に分離されているが、それらは任意の物理的な具現化形態において様々に組み合わせられ得る。
【0105】
図示された実施形態において、処理ユニット180は、プロセッサ1021、メモリ1022、バス1029、及びインターフェース1025〜1026を含む。プロセッサ1021は、メモリ1022と協働して、様々な実施形態によるイオン源の除去および交換プロセスを含む1つ又は複数の論理的または数学的アルゴリズムを実行するように構成される。プロセッサ1021は同様に、様々な試料で質量分析を実行するためにMS160及び注入装置155の基本的な機能を制御するような他のプロセスも実行することができる。プロセッサ1021は、ハードウェア、ファームウェア、又はソフトウェアのアーキテクチャの任意の組合せから構築され、様々な機能を実行することを可能にする実行可能なソフトウェア/ファームウェア、実行可能なコードを格納するためのそれ自体のメモリ(例えば、不揮発性メモリ)を含むことができる。代案として、実行可能なコードは、以下で説明されるメモリ1022内の指定された記憶場所に格納され得る。一実施形態において、プロセッサ1021は、例えば、マイクロソフト社から入手可能なWindows(登録商標)オペレーティングシステム、ノベル社から入手可能なNetWare(登録商標)オペレーティングシステム、又はサンマイクロシステムズ社から入手可能なUnix(登録商標)オペレーティングシステムのような、オペレーティングシステムを実行する中央処理装置(CPU)とすることができる。オペレーティングシステムは、処理ユニット180の他のプログラムの実行を制御する。
【0106】
メモリ1022は、任意の数、タイプ、及び不揮発性読み出し専用メモリ(ROM)1023及び揮発性ランダムアクセスメモリ(RAM)1024の組合せとすることができ、例えば、様々な実施形態によるイオン源の除去および交換動作、並びに携帯機器の地理的な位置測定の基本的な機能に対して、プロセッサ1021(及び/又は他の構成要素)により実行可能なコンピュータプログラム及びソフトウェアアルゴリズム及び/又は信号のような様々なタイプの情報を格納する。ROM1023及びRAM1024により概して示されるように、メモリ1022は、任意の数、タイプ、及びディスクドライブ、消去可能PROM(EPROM)、電気的消却プログラム可能型読取専用メモリ(EEPROM)、CD、DVD、ユニバーサルシリアルバス(USB)ドライブなどのような有形のコンピュータ読み取り可能記憶媒体の組合せを含むことができる。更に、メモリ1022は、例えば、図8のブロック828に関連して上述されたような、イオン源161の動作温度と対応する冷却期間との間の所定の関連付けを格納することができる。
【0107】
更に、上述されたように、処理ユニット180は、命令を受け取る、問い合わせを提示する、障害表示を提供するなどのために、ユーザと相互作用することができる。例えば、図10の図示された実施形態において、ユーザ及び/又は他のコンピュータは、例えば、I/Oインターフェース1025を介して様々な入力装置(単数または複数)を用いて、及びGUI181を含むことができるディスプレイインターフェース1026を介して様々なディスプレイを用いて、処理ユニット180と相互作用することができる。入力装置は、キーボード、キーパッド、トラックボール、マウス、タッチパッド又はタッチセンサー式ディスプレイなどを含むことができる。
【0108】
様々な実施形態において、図5〜図9の動作は、代表的な実施形態に従って、処理ユニット180のような装置により実行可能な処理モジュールとして実現され得る。処理モジュールは、処理ユニット180及び/又はプロセッサ1021の一部とすることができ、例えば、指定された動作を実行するように構成されたソフトウェア、配線論理回路製品、及び/又はファームウェアの任意の組合せとして実現され得る。特に、ソフトウェアモジュールは、C++、C#又はJava(登録商標)のような、任意の様々なコンピューテング言語で書かれたソースコードを含むことができ、例えば、メモリ1022に関連して上述されたコンピュータ読み取り可能記憶媒体のような、有形のコンピュータ読み取り可能記憶媒体に格納される。一実施形態において、ソフトウェアモジュールは、プロセッサ1021により実行可能なソフトウェア命令のセットすることができる。
【0109】
例示的な実施形態
本発明の例示的な実施形態は、以下のものを制限されずに含む。即ち、
1.イオン源、前記イオン源を収容する真空チャンバ、及びインターロックチャンバを含む質量分析計(MS)システムにおいて、イオン容積、少なくとも1つのイオン化要素および少なくとも1つの収束要素を含む前記イオン源を交換する方法であって、
前記インターロックチャンバと前記真空チャンバとの間の弁を開き、
前記開いた弁を介して前記イオン源を前記インターロックチャンバの中へ移動して、前記弁を閉じ、
前記イオン源を前記インターロックチャンバから取り除くことを含む、方法。
2.前記弁を開く前に、パージガスを前記インターロックチャンバの中へ注入することにより前記インターロックチャンバをパージし、前記真空チャンバの内部の圧力を所定の低い圧力値未満に維持しながら、前記インターロックチャンバの内部の圧力が前記低い圧力値未満になるまで前記インターロックチャンバの前記パージガスを真空引きすることを更に含む、実施形態1の方法。
3.冷却ガスを前記インターロックチャンバの中へ注入することにより、前記インターロックチャンバの中の前記イオン源を所定の温度まで冷却することを更に含み、前記冷却ガスが前記インターロックチャンバの内部の圧力を所定の高い圧力値より上まで調整する、実施形態1又は2の方法。
4.前記イオン源を前記真空チャンバから移動する前に、着脱可能な伝達ラインを前記イオン源との係合から引き戻すことを更に含み、前記伝達ラインが、試料を前記MSシステムに供給する注入装置に接続されている、実施形態1〜3の何れか1つの方法。
5.前記インターロックチャンバと前記真空チャンバとの間の弁を開く前に、前記インターロックチャンバの内部の圧力を自動的に判定し、
前記インターロックチャンバの内部の圧力が前記低い圧力値より大きい場合に、前記弁が開かれることを阻止することを更に含む、実施形態1〜4の何れか1つの方法。
6.前記イオン源を前記インターロックチャンバから取り除くことが、
前記弁を閉じた後に前記インターロックチャンバを開くことを含み、前記インターロックチャンバは、前記インターロックチャンバの内部の圧力が前記高い圧力値未満である場合に開かれることができない、実施形態3〜5の何れか1つの方法。
7.前記冷却ガスが前記パージガスと同じである、実施形態3〜6の何れか1つの方法。
8.交換イオン源を前記インターロックチャンバの中へ配置し、
前記パージガスを前記インターロックチャンバの中へ注入することにより前記インターロックチャンバをパージし、
前記インターロックチャンバの内部の圧力が前記低い圧力値未満になるまで前記インターロックチャンバの前記パージガスを真空引きし、
前記インターロックチャンバと前記真空チャンバとの間の弁を開き、
前記開いた弁を介して、前記交換イオン源を前記インターロックチャンバから前記真空チャンバの中へ移動して、前記弁を閉じることを更に含む、実施形態1〜7の何れか1つの方法。
9.前記真空チャンバ内の前記交換イオン源を動作温度より上まで、所定のベークアウト時間期間の間、加熱し、
前記ベークアウト時間期間の後に、調整および動作のために前記動作温度まで、前記真空チャンバ内の前記交換イオン源を冷却することを更に含む、実施形態8の方法。
10.交換イオン源を前記インターロックチャンバの中へ配置し、
前記パージガスを前記インターロックチャンバの中へ注入することにより前記インターロックチャンバをパージし、
前記インターロックチャンバの内部の圧力が前記低い圧力値未満になるまで前記インターロックチャンバの前記パージガスを真空引きし、
前記インターロックチャンバと前記真空チャンバとの間の弁を開き、
前記開いた弁を介して、前記交換イオン源を前記インターロックチャンバから前記真空チャンバの中へ移動して、前記弁を閉じ、
前記真空チャンバの内部の圧力を前記低い圧力値未満に維持しながら、前記着脱可能な伝達ラインを前記イオン源へと係合するように挿入することを更に含む、実施形態4の方法。
11.前記インターロックチャンバをパージすることが、
前記インターロックチャンバの第1の弁を開いて、前記パージガスが前記インターロックチャンバを満たすことを可能にし、前記インターロックチャンバの内部の圧力が前記高い圧力値より上まで増大する、実施形態2の方法。
12.前記インターロックチャンバを真空引きすることが、
前記インターロックチャンバの前記第1の弁を閉じ、
前記インターロックチャンバの第2の弁を開いて、前記パージガスの初期部分が前記インターロックチャンバを出ていくことを可能にして、前記インターロックチャンバの内部の圧力が所定の中間圧力値未満に減少し、
前記インターロックチャンバの第3の弁を開いて、前記パージガスの追加部分が前記インターロックチャンバを出ていくことを可能にして、前記インターロックチャンバの内部の圧力が前記低い圧力値未満に更に減少することを含む、実施形態11の方法。
13.前記インターロックチャンバの前記第1の弁を開いた後に、前記高い圧力値が所定の第1の時間期間内に得られなかった場合に、前記インターロックチャンバの前記第2の弁を開いた後に、前記中間圧力値が所定の第2の時間期間内に得られなかった場合に、又は前記インターロックチャンバの前記第3の弁を開いた後に、前記低い圧力値が所定の第3の時間期間内に得られなかった場合に、自動的に障害を示すことを更に含む、実施形態12の方法。
14.前記インターロックチャンバを真空引きすることが、
前記インターロックチャンバの前記第1の弁を閉じ、
前記インターロックチャンバの第2の弁を開いて、前記パージガスが前記インターロックチャンバを出ていくことを可能にして、前記インターロックチャンバの内部の圧力が前記低い圧力値未満まで減少することを含む、実施形態11の方法。
15.前記イオン源を前記インターロックチャンバから前記真空チャンバの中へ移動することが、
前記開いた弁を介して、プローブの遠位端部において係合した前記イオン源と共に前記プローブを付勢し、前記イオン源が並進運動および回転の自由度でもって前記プローブの遠位端部において浮動し、
前記イオン源がドッキングステーションと自動位置合わせするまで、前記開いた弁を介して、前記プローブを長手方向軸に沿って前記真空チャンバの中へ滑り込ませることを含む、実施形態1〜14の何れか1つの方法。
16.コンピュータプロセッサにより実行可能なプログラムを格納するコンピュータ読み取り可能媒体であって、前記プログラムが実施形態1〜15の何れか1つの方法を実行するためのコードを含む、コンピュータ読み取り可能媒体。
17.真空チャンバ、インターロックチャンバ及びイオン源を含む質量分析計(MS)システムにおいて、イオン容積、少なくとも1つのイオン化要素および少なくとも1つの収束要素を含む前記イオン源を交換するために、コンピュータプロセッサにより実行可能なプログラムを格納するコンピュータ読み取り可能媒体であって、
パージガスを前記インターロックチャンバの中へ注入することにより前記インターロックチャンバをパージするためのパージのコードセグメントと、
前記真空チャンバの内部の圧力を所定の低い圧力値未満に維持しながら、前記インターロックチャンバの内部の圧力が前記低い圧力値未満になるまで、前記パージガスを放出するために前記インターロックチャンバの少なくとも1つの排気口弁を開くことにより前記インターロックチャンバの前記パージガスを真空引きするための真空引きのコードセグメントと、
前記インターロックチャンバの真空引き後に前記インターロックチャンバと前記真空チャンバとの間の弁を開き、前記イオン源が前記開いた弁を介して前記インターロックチャンバの中へ移動することを可能にし、前記イオン源が前記インターロックチャンバ内に入った後に前記弁を閉じるための弁制御のコードセグメントと、
冷却ガスを前記インターロックチャンバの中へ注入することにより、前記インターロックチャンバの中の前記イオン源を所定の温度まで冷却し、前記冷却ガスが前記インターロックチャンバの内部の圧力を所定の高い圧力値より上まで調整して、前記イオン源を前記インターロックチャンバから取り除くことを可能にするための冷却のコードセグメントを含む、コンピュータ読み取り可能媒体。
18.前記真空チャンバの内部の圧力を前記低い圧力値未満に維持しながら、着脱可能な伝達ラインを前記イオン源との係合から引き戻すための引き戻しのコードセグメントを更に含み、前記伝達ラインが、試料を前記MSシステムに供給する注入装置に接続されている、実施形態17のコンピュータ読み取り可能媒体。
19.イオン源であって、
イオン容積、イオン化要素、収束要素を含み、
前記イオン源が、実質的に1回の動作でドッキングステーションにプラグ接続されるように構成され、前記ドッキングステーションが、前記イオン源の動作のために、前記イオン源とプラグ接続される際に十分な電気接続を行う、イオン源。
20.ヒータを更に含む、実施形態19のイオン源。
21.センサを更に含む、実施形態18又は19のイオン源。
22.前記イオン化要素がフィラメントアセンブリである、実施形態19〜21の何れか1つのイオン源。
23.2つのフィラメントアセンブリを含む、実施形態19〜21の何れか1つのイオン源。
24.前記イオン源が、電子衝撃イオン源または化学イオン化イオン源である、実施形態19〜23の何れか1つのイオン源。
25.実施形態19〜24の実施形態の何れか1つのイオン源と、前記イオン源と取り外し可能に係合されるハンドルとを含み、前記ハンドルは、前記ハンドルを係合する場合に前記イオン源を収容する容器に係合するように更に構成されている、イオン源アセンブリ。
26.実施形態19〜24の実施形態の何れか1つのイオン源と、ドッキングステーションと、前記イオン源を収容する真空チャンバと、インターロックチャンバと、前記インターロックチャンバに対して前記真空チャンバを開くように動作可能な弁と、質量分析計と、検出器とを含む、質量分析計システム。
27.前記イオン源が、被分析物を受け取るために伸縮自在の伝達ラインに接続される、実施形態26の質量分析計システム。
【0110】
本明細書において特定の実施形態が開示されたが、依然として本発明の概念および範囲内にある様々な変形形態が可能である。係る変形形態は、本明細書、図面、及び特許請求の範囲を精査した後で明白になるであろう。従って、本発明は、添付の特許請求の範囲内を除いて制限されない。
【符号の説明】
【0111】
120 インターロックチャンバ
140 弁
150 真空チャンバ
155 注入装置
160 質量分析計システム
161、1260 イオン源
1264、1265 イオン化要素
1261、1262 収束要素
1280 ドッキングステーション

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオン源(161)、前記イオン源を収容する真空チャンバ(150)、及びインターロックチャンバを含む質量分析計(MS)システム(160)において、イオン化容積、少なくとも1つのイオン化要素および少なくとも1つの収束要素を含む前記イオン源を交換する方法であって、
前記インターロックチャンバ(120)と前記真空チャンバ(150)との間の弁(140)を開き、
前記開いた弁を介して前記イオン源(161)を前記インターロックチャンバの中へ移動して、前記弁を閉じ、
前記イオン源を前記インターロックチャンバから取り除くことを含む、方法。
【請求項2】
前記弁を開く前に、パージガスを前記インターロックチャンバの中へ注入することにより前記インターロックチャンバをパージし、前記真空チャンバの内部の圧力を所定の低い圧力値未満に維持しながら、前記インターロックチャンバの内部の圧力が前記低い圧力値未満になるまで前記インターロックチャンバの前記パージガスを真空引きすることを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
冷却ガスを前記インターロックチャンバの中へ注入することにより、前記インターロックチャンバの中の前記イオン源を所定の温度まで冷却することを更に含み、前記冷却ガスが前記インターロックチャンバの内部の圧力を所定の高い圧力値より上まで調整する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記真空チャンバの内部の圧力を前記低い圧力値未満に維持しながら、着脱可能な伝達ラインを前記イオン源との係合から引き戻すことを更に含み、前記伝達ラインが、試料を前記MSシステムに供給する注入装置に接続されている、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記インターロックチャンバと前記真空チャンバとの間の弁を開く前に、前記インターロックチャンバの内部の圧力を自動的に判定し、
前記インターロックチャンバの内部の圧力が前記低い圧力値より大きい場合に、前記弁が開かれることを阻止することを更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記冷却ガスが前記パージガスと同じである、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
交換イオン源を前記インターロックチャンバの中へ配置し、
前記パージガスを前記インターロックチャンバの中へ注入することにより前記インターロックチャンバをパージし、
前記インターロックチャンバの内部の圧力が前記低い圧力値未満になるまで前記インターロックチャンバの前記パージガスを真空引きし、
前記インターロックチャンバと前記真空チャンバとの間の弁を開き、
前記開いた弁を介して、前記交換イオン源を前記インターロックチャンバから前記真空チャンバの中へ移動して、前記弁を閉じることを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記真空チャンバ内の前記交換イオン源を動作温度より上まで、所定のベークアウト時間期間の間、加熱し、
前記ベークアウト時間期間の後に、調整および動作のために前記動作温度まで、前記真空チャンバ内の前記交換イオン源を冷却することを更に含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記イオン源を前記インターロックチャンバから前記真空チャンバの中へ移動することが、
前記開いた弁を介して、プローブの遠位端部において係合した前記イオン源と共に前記プローブを付勢し、前記イオン源が並進運動および回転の自由度でもって前記プローブの遠位端部において浮動し、
前記イオン源がドッキングステーションと自動位置合わせするまで、前記開いた弁を介して、前記プローブを長手方向軸に沿って前記真空チャンバの中へ滑り込ませることを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
イオン源(1260)であって、
イオン容積と、
イオン化要素(1264、1265)と、
収束要素(1261、1262)とを含み、
前記イオン源が、実質的に1回の動作でドッキングステーション(1280)にプラグ接続されるように構成され、前記ドッキングステーションが、前記イオン源の動作のために、前記イオン源とプラグ接続される際に十分な電気接続を行う、イオン源。
【請求項11】
請求項10に記載のイオン源と、前記イオン源と取り外し可能に係合されるハンドルとを含み、前記ハンドルは、前記ハンドルを係合する場合に前記イオン源を収容する容器に係合するように更に構成されている、イオン源アセンブリ。
【請求項12】
ヒータを更に含む、請求項10に記載のイオン源。
【請求項13】
センサを更に含む、請求項10に記載のイオン源。
【請求項14】
前記イオン化要素がフィラメントアセンブリである、請求項10に記載のイオン源。
【請求項15】
2つのフィラメントアセンブリを含む、請求項14に記載のイオン源

【図1A】
image rotate

【図1B】
image rotate

【図1C】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7A】
image rotate

【図7B】
image rotate

【図7C】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14A】
image rotate

【図14B】
image rotate

【図14C】
image rotate


【公開番号】特開2011−151008(P2011−151008A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−278763(P2010−278763)
【出願日】平成22年12月15日(2010.12.15)
【出願人】(399117121)アジレント・テクノロジーズ・インク (710)
【氏名又は名称原語表記】AGILENT TECHNOLOGIES, INC.
【Fターム(参考)】