説明

質量分析計の磁気セクションの安定化

質量分析計のような分析機器であって、この機器は、制御可能な電磁場を有する磁気セクションを有する。この電磁場を制御することは、その磁気セクション内のベースプレートの温度を制御することにより、この磁気セクション内に配置されるコイルを通過する電流を制御することにより、磁気分路子を磁石のヨークの一部にわたって配置することにより、あるいは単独にまたは組合せて上記のもののいずれかにより達成される。磁気分路子は、この磁気セクション内に置かれた第1の対の永久磁石の、残留磁束密度の温度係数とは反対の残留磁束密度の温度係数を有するような構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本出願は、2004年3月31日に出願された米国仮特許出願第60/557,968号の利益を主張し、ここで、この仮出願は、その全体が参考として本明細書中に援用される。
【0002】
(発明の分野)
本開示は、質量分析計の磁気セクション、特にその磁気セクション内の磁束を制御するためのデバイスおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
(関連する技術の説明)
質量分析計は、プロセスモニタリングから生命科学まで多くの適用において広く用いられている。過去60年間にわたって種々の機器が開発されてきた。新たな開発の焦点は、以下の2つの部分からなる:(1)高い質量範囲および高質量解像度を有する質量分析計(MS)、および(2)小さな、デスクトップMS機器。
【0004】
質量分析計は、しばしば、複雑な混合物、例えば、揮発性有機化合物(VOC)および準揮発性有機化合物(semi−VOC)の分析のために、ガスクロマトグラフ(GC)とガスクロマトグラフ/質量分析計機器(GS/MS)へと結合される。GS/MS機器は、代表的には、ガス入口システム、イオン抽出器を備えた、電子衝撃(EI)を基礎にしたイオナイザー、イオンビームを焦点集めするためのイオン光学(optic)構成要素、イオン分離構成要素、およびイオン検出構成要素を含む。イオン化はまた、化学的イオン化を経由して実施され得る。
【0005】
イオン分離は、時間または空間ドメインで実施され得る。時間ドメインにおける質量分離の例は、飛行時間型質量分析計である。時間ドメインイオン分離は、四重極MSで一般に用いられるイオン分離の方法である。1つの一般的なタイプの四重極質量フィルターは、唯一の質量/電荷比が、イオナイザーから検出器に伝達されるのを可能にする。完全な質量スペクトルは、この質量フィルターを通る質量範囲を走査することにより記録される。別の時間ドメインイオン分離法は、イオンエネルギーまたは磁場強度いずれかが変動される磁場に基づく。ここで再び、上記質量フィルターは、唯一の質量/電荷比が伝達されることを可能にする。
【0006】
空間ドメインにおけるイオン分離は、磁場中でイオンを空間的に分離し、そしてそのイオンが位置感受性検出器を衝撃するときにそのイオンの位置を検出することにより、達成される。
【0007】
MSの1つのタイプは、MattauchおよびHerzog(MH)によって1940年に導入された二重焦点合わせMSである(非特許文献1)。このタイプのMSは、一般に、Mattauch−Herzog MSと称される。
【0008】
二重焦点合わせは、拡散されたエネルギーおよび拡散された空間的ビームの両方を再焦点合わせするMSの能力をいう。磁石およびマイクロマシン技術における現代の発展は、これらMSのサイズにおける劇的な縮小を可能にする。従って、現在開発された質量分析計における焦点面の長さは、数センチメートルまで低減されている。
【0009】
小共焦点面レイアウトMattauch−Herzog機器の代表的な仕様は、以下のように要約される:
電子衝撃イオン化、レニウムフィラメント
DC−電圧および永久磁石
イオンエネルギー:0.5−2.5kV DC
質量範囲:2−200D
ファラデーカップ検出器アレイまたはストリップ電荷検出器
衝撃係数(デューティサイクル):>99%
読み出し時間:0.001秒〜10秒
イオン光学要素は、真空チャンバーフロア内またはチャンバー壁上に取り付けられる。小機器では、しかし、これらイオン光学要素は、「光学ベンチ」として作用するベースプレート上に構築され得る。このベンチは、これらイオン光学要素のすべてを支持する。このベースプレートは、真空フランジに対して取り付けられ、真空下で質量分析計を作動するために必要な真空シールを提供する。上記ベースプレートはまた、それ自体、真空フランジとして作用し得る。
【0010】
Mattauch−HerzogMSにおけるイオン検出器は、位置感受性検出器である。最近の開発は、以前に用いられた電子光学イオン検出(EOID)の代替として固体状態ベースの直接イオン検出に焦点をあてている。
【0011】
このEOIDは、マルチチャネルプレート中のイオンを、電子に変換し、これら電子を増幅し、そしてこの電子でリンのフィルムを照射する。リンのフィルム上に形成されたイメージは、特許文献1に記載されるように、光ファイバーカプラーを経由してフォトダイオードアレイで記録される。このEOIDは、MSの焦点面に沿って空間的に分離されたイオンの同時測定を実施し得る。加えて、この電子は、イオン誘導信号のイメージを形成する光子にさらに変換され得る。
【0012】
これらイオンは、マイクロチャネル電子増倍管アレイに衝突することにより電子を生成する。これら電子は、光検出器アレイを使用して光子イメージを生成する、リン光体で被覆された光ファイバープレートに加速される。EOIDのいくつかの欠点は、それが複数回の変換を必要とすることである。さらに、リン光体の使用は、EOIDのダイナミックレンジを制限し得る。マイクロチャネルデバイスは、例えば、1KVという高電圧を必要とし得、これはマイクロチャネルデバイスが、約106Torrという圧力下で真空チャンバ中に配置され得るということを必要とし得る。そのような圧力下では、マイクロチャネルデバイスは、イオンフィードバック、電気放電を起こし得、そして周縁磁場は、電子軌道に影響を及ぼし得る。さらに、EOIDの解像度は、等方性リン光発光により有害な影響を受け得、これはまた、質量分析器の解像度に影響を及ぼし得る。
【0013】
異なるタイプの検出器は、マイクロマシン加工されたファラデーカップ検出器であり、これは、イオンビームをモニターするための個々にアドレス指定が可能なファラデーカップのアレイを備える。1つのタイプのファラデーカップ検出器が、非特許文献2、非特許文献3、および米国特許出願第09/744,360号に詳細に記載されている。
【0014】
分析計に関するその他の重要な参考文献は、非特許文献4および非特許文献5である。
【0015】
低エネルギーイオンについて使用され得る別のタイプの検出器は、平坦金属ストリップであり、ストリップ電荷検出器(SCD)と称される。
【0016】
さらに別のタイプの検出器は、シフトレジスターを基礎にした直接イオン検出器であり、特許文献2に記載されている。
【0017】
このシフトレジスターを基礎にした直接イオン検出器は、GS/MS機器で、使用され得る。このシフトレジスターを基礎にした直接イオン検出器は、測定に先立つ電子および光子への変換(例えば、EOID)なくしてMSにおけるイオンの直接測定を可能にする。このシフトレジスターを基礎にした直接イオン検出器は、電荷結合素子(CCD)技術を組み込み得、このCCD技術は、金属酸化物半導体の使用を包含する。検出された電荷粒子は、上記CCDの一部に関連するシフトレジスター中に直接蓄積する信号電荷を形成する。この信号電荷は、CCDを通じて単一の出力増幅器にクロックされ得る。CCDは、唯一の電荷−電圧変換増幅器のみを用いるので、検出器アレイ中の個々の要素の信号ゲインおよびオフセット変動は最小にされる。
【0018】
Mattauch−Herzog MSでは、ファラデーカップ検出器アレイ、ストリップ電荷検出器、または前述の検出器のうちの1つであり得る検出器は、焦点面と呼ばれる磁石セクションの出口に配置される。
【0019】
Mattauch−Herzog MSでは、イオン光学要素は、真空チャンバの壁上に配置され、イオン検出器は、イオン飛行経路の出口フランジに取付けられる。この配置は、真空チャンバの外側の磁石セクションを有することの結果として必要とされる。マルチプレクサーおよび増幅器もまた、Mattauch−Herzog MSの真空チャンバの外側に配置される。
【0020】
図1は、GC12と組合されたMattauch−Herzog二重焦点MS10を示し、MS10は、イオナイザー14、シャントおよびアパーチャ16、静電エネルギー分析器18、磁石20、および焦点面セクション22を備える。
【0021】
MS10の操作において、ガス状または気化物質が、直接にかまたは(複雑な混合物または化合物に対しては)GC12を通してイオナイザー14中に導入される。この物質は、電子によって衝突され、イオンを生成する。このイオンは、シャントおよびアパーチャセクション16によって集束され、イオンビーム24を生成する。これらイオンは、それらが静電エネルギー分析器18および磁気セクション20を通って移動するときに、それらの電荷/質量比に従って分離される。このイオンは、特許文献1に記載されるように、次いで焦点面セクション22で検出される。このイオン分離プロセスは、真空ポンプ(示さず)を用いて達成され得る、約10−5Torrのオーダーの真空下で起こる。
【0022】
GC12は、サンプルインジェクターバルブVを備え、このバルブはサンプルの導入のための入口ポートS、サンプルが、代表的には熱により気化および/または分解された後の廃棄物のための出口ポートWを備える。サンプルインジェクターバルブVは、液体インジェクターであってもよい。分析物と称される分析されるべき部分は、乾燥空気、水素、またはヘリウムのようなキャリアガスにより、例えば、キャピラリミクロボアカラムM(壁が被覆された開口した管、または多孔性層の開口した管、またはパックド(packed)など)に運ばれ、そこでその構成成分がミクロボアカラムMの壁上で異なる吸収速度により分離される。ミクロボアカラムMは、図示される実施形態では、約50〜500μmのオーダーのかなり小さい内径を有する。キャリアガスの流量は、約0.2〜5atm.cm/秒であるが、より高い流量、例えば20atm.cm/秒が可能である。
【0023】
より大きいミクロボアカラムMのボアは、より大きい真空ポンプを必要とし、他方より小さいボアは、流出物のより狭いピークを生成し、これは信号の低下を生じ得る。一般に、ガス流量は、カラムMの内径、長さ、キャリアガスの圧力、およびキャリアガスの温度の関数である。ピークの幅は、ここでもまた、注入時間、カラムの固定相(例えば、極性、膜厚、カラム中の分布)、カラムの幅および長さ、温度およびガス速度の関数である。ミクロボアカラムMのボアのサイズを決定する1つの方法は、特許文献3で扱われている。
【0024】
特にMSの磁気セクションにおける温度変化は、MSの頻繁な較正に対する必要性を誘起する。温度変化は、環境による要因により、および/または熱い電極(例えば、グローレニウムフィラメント)を利用するイオナイザーのような内部構成要素から引き起こされ得る。頻繁な較正は、時間を浪費し、そして操作者はそれを避ける傾向があり、従ってそれは測定値における不正確さを導く。
【0025】
磁場セクションに置かれた永久磁石は、特に温度変化を受けやすいかも知れない。永久磁石の容積および質量は、代表的には磁石のエネルギー積の値に反比例することが理解される。1つのタイプの磁気材料は、AlNiCoVであり、これは約5〜6MGOeのエネルギー積を有する。他の磁化材料としては、Sm−Co合金およびNd−B−Fe合金が挙げられるが、これらに限定されない。これらの材料は、温度変化に敏感である。頻繁な機器の較正および/または他の問題を回避するための温度補償のための方法が、特許文献4および米国仮特許出願番号第60/557,920号に記載されている。
【0026】
他の関連する特許は、特許文献5、特許文献6および特許文献7である。
【特許文献1】米国特許第5,801,380号明細書
【特許文献2】米国特許第6,576,899号明細書
【特許文献3】米国特許第6,046,451号明細書
【特許文献4】米国特許第6,403,956号明細書
【特許文献5】米国特許第5,317,151号明細書
【特許文献6】米国特許第6,182,831号明細書
【特許文献7】米国特許第6,191,419号明細書
【非特許文献1】Mattauch J.,Herzog,R.Ueber einen neuen Massenspektographen.Z.Phisik,1934年、第89巻、786〜795頁
【非特許文献2】A.A.Scheidemann、R.B.Darling、F.J.Schumacher、およびA.Isakarov、Tech.Digest of the 14th Int.Forum on Process Analytical Chem.(IFPAC−2000)、Lake Las Vegas、Nevada、2000年1月23〜26日、アブストラクトI−067
【非特許文献3】R.B.Darling、A.A.Scheidemann、K.N.Bhat、およびT.C.Chen.、Proc.of the 14th IEEE Int.Conf.on Micro Electro Mechanical Systems(MEMS−2001)、Interlaken、Switzerland、2001年1月21〜25日、90〜93頁
【非特許文献4】Nier、D.J.Schlutter Rev.Sci.Instrum.1985年、第56巻、第2号、214〜219頁
【非特許文献5】T.W.Burgoyneら、J.Am.Soc.Mass Spectrum 1997年、第8巻、307〜318頁
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0027】
(発明の簡単な要旨)
1つの局面では、分析機器の磁気セクションは、主要本体、第1のヨーク端部、および第2のヨーク端部を有するヨーク;この第1のヨーク端部に近接してこのヨークに結合されている第1の永久磁石;この第2のヨーク端部に結合されている第2の永久磁石であって、この第2の永久磁石は、この第1の永久磁石から離れて間隔を空けられ、それらの間に磁気的隙間を形成する、第2の永久磁石;このヨークの少なくとも一部のまわりに形成されるコイルであって、このコイルは電流を通すような構成であり、この電流がこのコイルを通過するとき、磁束が生成される、コイル;この磁気的隙間の近くに配置され、この磁束の測定値を示すシグナルを生成する、磁気センサー;ならびに、この磁気センサーおよびこのコイルと連絡するコントローラーであって、この磁気センサーから、この磁束の測定値を示すシグナルを受容するような構成であり、かつこのコイルを通過する電流を調節して、この磁束を所望の範囲内に制御可能に維持するような構成である、コントローラー、を備える。
【0028】
別の局面では、質量分析計は、ベースプレート;真空ハウジングであって、真空チャンバを形成するような構成である少なくとも1つの壁および真空フランジを備え、この真空フランジがこのベースにシールするように結合されている、真空ハウジング;このベースプレート上に支持される磁気セクションであって、この磁気セクションは、主要本体、第1のヨーク端部、および第2のヨーク端部を有するヨーク;この第1のヨーク端部に近接してこのヨークに結合されている第1の永久磁石;この第2のヨーク端部に結合されている第2の永久磁石であって、この第2の永久磁石は、この第1の永久磁石から離れて間隔を空けられ、それらの間に磁気的隙間を形成する、第2の永久磁石;このヨークの少なくとも一部のまわりに形成されるコイルであって、このコイルは電流を通すような構成であり、この電流がこのコイルを通過するとき、磁束が生成される、コイル;磁気センサーであって、この磁気的隙間の近くに配置され、この磁束の測定値を示すシグナルを生成する、磁気センサー;ならびにこの磁気センサーおよびこのコイルと連絡するコントローラーであって、この磁気センサーから、この磁束の測定値を示すシグナルを受容するような構成であり、かつこのコイルを通過する電流を調節して、この磁束を所望の範囲内に制御可能に維持するような構成である、コントローラー、を備える、磁気セクション、を備える。
【0029】
さらに別の局面では、質量分析計は、ベースプレート;真空ハウジングであって、真空チャンバを形成するような構成である少なくとも1つの壁および真空フランジを備え、この真空フランジがこのベースにシールするように結合されている、真空ハウジング;磁気セクションであって、磁束を発生するような構成であり、かつこのベースプレート上に支持される、磁気セクション;このベースプレートの第1の部分内に置かれる第1の加熱要素;このベースプレート第2の部分内に置かれる第1の温度センサー;および、温度コントローラーであって、この温度コントローラーは、この第1の加熱要素および第1の温度センサーと電気連絡しており、この温度コントローラーは、この第1の加熱要素を制御してこのベースプレートの温度を制御するような構成であり、かつこの磁束を所望の範囲内に制御可能に維持するような構成である、温度コントローラー、を備える。
【0030】
さらに別の局面では、分析機器の磁気セクション中の磁束のレベルを制御する方法は、この磁気セクションのある領域内に存在する磁束を測定する工程;および測定された磁束に基づき、この磁気セクション内のコイルを通過する電流の量を制御する工程を包含し、ここでこの電流は、磁束を所望の範囲内に維持するように制御される。
【0031】
なおさらに別の局面では、質量分析計の磁気セクションのある領域内で温度を制御する方法は、ベースプレートの第1の領域内に配置された温度センサーを用いて、このベースプレートの温度を測定する工程;この測定されたベースプレートの温度に応答して、このベースプレートの第1の領域内に配置される加熱要素に対する温度調整量を決定する工程;およびこの加熱要素の温度を制御可能に調整し、この磁気セクション内に置かれる第1の対の永久磁石の間の相対的分離の量を制御可能に維持し、そしてこの第1の対の永久磁石の間に存在する磁束を所望の範囲内に制御可能に維持する工程、を包含する。
【0032】
さらに別の局面では、分光計セグメントは、主要本体およびヨーク端部を有するヨーク;磁場を有する磁気的隙間を形成する様式で、このヨーク端部の各1つに結合されている永久磁石;この磁気的隙間の近くに配置される、磁気センサー;このヨークの少なくとも一部のまわりに形成される電気コイル;ならびに、この磁気センサーおよびこのコイルに連結される電磁気コントローラー、を備える。
【0033】
このコントローラーは、磁気センサーから磁束の情報を受け取り、上記コイルを通過する電流を調節し、その結果、この磁気センサーにより検出される磁束が所望のレベルに維持される。
【0034】
この磁気セクションは、このヨーク内に配置され、そのヨークの端部に取付けられた永久磁石と比べて反対の、残留磁束密度の温度係数を有する磁気分路子を備え得る。
【0035】
この磁気分路子の組み込みは、磁束を所望の範囲内に維持するために必要とされる電流を最小にしつつ、上記磁気的隙間におけるずれを低減し得る。この磁気セクションにおける温度変化は、磁束のずれを引き起こし得る。
【0036】
さらに別の局面では、分光計セグメントは、前面端部および背面端部を有するベースプレート;このベースプレートの前面端部の近くに配置されたイオナイザー;ならびにこのベースプレートの背面端部の近くに配置される磁気セクション;ベースプレート内、ベースプレート上、およびベースプレートの近くから選択される位置に配置される第1の加熱要素;ならびにベースプレート内、ベースプレート上、およびベースプレートの近くから選択される位置に配置される第1の温度センサーを備える。
【0037】
さらにまたはあるいは、この第1の加熱要素および第1の温度センサーは、ベースプレート内に配置され得る。さらに、第1の温度センサーは、第1の加熱要素の近くに配置され得る。第1の温度センサーおよび第1の加熱要素の両方は、1つの代替の実施形態では、ベースプレートの背面端部に配置され得る。
【0038】
第2の温度センサーは、磁気セクション内、磁気セクション上、または磁気セクションの近くに、選択して配置され得る。
【0039】
このベースプレートの温度を制御することは、磁気的隙間中の磁束を制御する1つの方法である。ベースプレートの温度は変化している間、磁束のずれは、磁束を測定するための磁気センサーを備える電磁石コントローラーにより制御され得る。測定された磁束に基づき、電磁石コントローラーは、磁束が所望の範囲内に留まるように、適切な量および方向だけ、コイルへの電流を調整する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
(発明の詳細な説明)
以下の説明では、種々の開示される実施形態の完全な理解を提供するために、特定の具体的な詳細が、提示される。しかし、実施形態が、これらの具体的な詳細の1つ以上がなくとも、または他の方法、構成要素、材料などを用いても、実施形態が実施され得ることを当業者は認識する。他の例では、質量分析計機器に関連する周知の構造体は、実施形態の不必要に不明瞭にする記載を回避するために、示されてもいないし記載もされていない。
【0041】
そうではないことを文脈が必要としない限り、以下の本明細書および上述の特許請求の範囲全体を通して、語「含む(comprise)」ならびに「含む(comprises)」および「含む(comprising)」のようなその派生語は、開放型の、包含的な意味で、すなわち、「含むが、それらに限定されない」として解釈されるべきである。
【0042】
本明細書を通して、「1つの実施形態(one embodiment)」または「1つの実施形態(an embodiment)」への言及は、その実施形態に関連して記載される特定の特徴(feature)、構造または特徴(characteristic)が、少なくとも1つの実施形態中に含まれていることを意味する。従って、本明細書全体にわたる様々な場所での、語句「1つの実施形態では(in one embodiment)」または「1つの実施形態では(in an embodiment)」の出現は、必ずしもすべてが同じ実施形態に言及しているわけではない。さらに、特定の特徴(feature)、構造または特徴(characteristic)は、1つ以上の実施形態で、任意の適切な方法で組合され得る。
【0043】
本明細書中で提供される見出しは、便宜上のみのものであり、実施形態の範囲も意味も説明していない。
【0044】
本明細書中の開示は、全体として、質量分析計(MS)の磁気セクションに関する。その磁気セクション内の磁場は、制御可能に調節可能である。本明細書中に開示されるMSは、他のMS、ガスクロマトグラフ(GC)または他の機器を伴う構成とされ得ることが理解され(understood)、認識される(appreciated)。
【0045】
図2は、イオナイザー114、シャントおよびアパーチャ116、静電エネルギー分析器118、磁気セクション120、および焦点面122を有する質量分析計100を示す。磁気セクション120は、ヨーク120bおよびヨーク120bに結合された磁石120aを備える。焦点面122で受け取られる情報は、マルチプレクサー/増幅器130に転送され得る。このマルチプレクサー/増幅器130は、ベースプレート128の上に置かれ得、そして可撓性コネクタ133で焦点面122に連結され得る。
【0046】
ベースプレート128は、真空フランジ126上に支持される。真空フランジ126は、前面126aを有する。真空ハウジング(示さず)は、フランジ126の前面126aに固定され、真空チャンバを形成する。ベースプレート128は、図7および8によりよく図示されるように、前面端部128aおよび背面端部128bを有する。
【0047】
1つの実施形態では、イオナイザー114、シャントおよびアパーチャ116、エネルギー分析器118、磁気セクション120、および焦点面122は、ベースプレート128上に支持される。この構成は、真空ハウジングの壁上に上記の構成要素を取り付けることによりも有利である。なぜなら、真空チャンバが加圧されたとき、圧力差に起因して真空ハウジングの壁は移動するからである。これらの構成要素のわずかな、相対的な移動がそれらの繊細な配置を変更し得る。図示された実施形態では、ベースプレート128は、すべての側でほぼ等しい圧力に曝されている。なぜなら、ベースプレート128は、完全に真空ハウジング内に置かれているからである。従って、この真空ハウジングにより形成される真空チャンバが加圧された場合、上記構成要素の配置は、あまり変更されそうにない。
【0048】
多くの真空シールされた入力/出力リード線132が、真空ハウジング内の種々の構成要素の間の連絡目的で、真空フランジ126上に配置される。リード線132はまた、真空ハウジングの外側に置かれた他の構成要素と連絡し得る。
【0049】
1つの実施形態では、ヨーク120bの磁石120aは、少なくとも15,000Gの飽和値を有する。別の実施形態では、ヨーク120bの磁石120aは、20,000Gより大きい飽和値を有する。ヨーク120bの磁石120aは、1つの実施形態によれば、hyperco−51A VNiFe合金から作製される。
【0050】
図4は、1つの例示の実施形態に従って、主要本体120cおよびヨーク端部120dを有するヨーク120bを有する磁気セクション120を示す。永久磁石120aは、それぞれのヨーク端部120dの各1つに、磁気的隙間120eを形成するように、取付けられる。作動の間、磁場は磁気的隙間120eの内で発生される。磁気センサー120fは、磁気的隙間120eの近くに配置され、他方、電気コイル120gは、少なくとも部分的にヨーク120bのまわりに配置される。
【0051】
電磁石コントローラー142m(図4)は、磁気センサー120fと連絡しており、電気コイル120gに連絡している。
【0052】
電磁石142mは、磁束の情報を磁気センサー120fから受け取り、コイル120gを通過する電流を調節する。磁気センサー120fにより検出される磁束は、所望の範囲内に制御され維持される。
【0053】
図5は、図4の磁気セクションと類似であり、さらにヨーク120bのヨーク端部120dにわたって配置される磁気分路子120hを有する磁気セクション120を示す。磁気分路子120hは、ヨーク120bのヨーク端部120dに取付けられた永久磁石120aとは反対の、残留磁束密度の温度係数を有する。磁気分路子120hの使用は、温度変化により引き起こされる磁気的隙間120e内の磁場のずれを低減し、その結果、磁束を所望の範囲内に維持するために、より少ない電流が必要とされる。
【0054】
図6〜8は、磁気セクション200を示す。磁気セクション200は、ベースプレート228上に支持されている。第1の加熱要素234および/または第1の温度センサー236は、1つの例示の実施形態によれば、ベースプレート228内に配置され得る(図3)。
【0055】
図7に示されるように、第1の温度センサー236は、第1の加熱要素234の近くに配置される。さらに、第1の温度センサー236および第1の加熱要素234の両方が、ベースプレート228の背面端部228bの近くに配置される。さらにまたはあるいは、第2の温度センサー238が、磁気セクション220の別の位置に配置され得る。
【0056】
図6を参照して、第1の加熱要素234および温度センサー236、238は、温度コントローラー242tに電気的に結合され得、この温度コントローラー242tは、磁気セクション220の温度を所望の範囲に維持する。温度コントローラー242tから第1の加熱要素234に提供される電気エネルギーの量は、それぞれ第1の温度センサー236および第2の温度センサー238により測定されるとおりの磁気セクション220の温度に基づき決定される。
【0057】
追加の加熱要素(示さず)および追加の温度センサー240が、第1の加熱要素234および第1の温度センサー236と類似の様式で、ベースプレート228の中、その上、またはその近くに配置され得ることが理解され、認識される。
【0058】
ここで再度図6を参照して、電磁石コントローラー242mは、磁気センサー220fから磁束の情報を受け取り、磁気センサー220fにより検出される磁束が所望の範囲に維持されるように、コイル220gを通過する電流を制御する。
【0059】
さらに、温度コントローラー242tは、第1の加熱要素234に電気エネルギーを提供する。加熱要素234の近くの温度は、温度センサー236により測定され、その情報は温度コントローラー242tに転送される。温度センサー236により示される温度が所望のレベルに到達するとき、電磁石コントローラー242mは、電気エネルギーの転送を中止する。温度センサー236が約1〜3℃の温度の変化を検出するとき、このプロセスが繰返す。
【0060】
第1の温度センサー236を第1の加熱要素234の近くに置き、少なくとも第1の温度センサー236により提供されるフィードバックに基づき、第1の加熱要素234へ提供されるエネルギーを制御することにより、ベースプレート228の温度の良好な制御が達成され得る。その温度が第1の加熱要素234から離れて配置された温度センサーにより検出されるとすれば、ベースプレート228および磁気セクション220の温度は、熱移動のヒステリシスに起因して、維持するのがより困難になり得る。
【0061】
代替の実施形態では、温度コントローラー242tだけが磁気的隙間220e中の磁束を制御するのに使用される。別の実施形態では、電磁石コントローラー242mは、温度コントローラー242tと関連して作動し、磁束を制御する。ベースプレート228の温度を制御することには時間がかかるので、コイル220g中の電流は、必要とされる場合には、この時間のずれの間に調整され得る。温度遷移の期間の間、磁束が変化するいかなる傾向も、電磁石コントローラー242mにより制御され得る。磁気センサー120fは、電磁石コントローラー242mを誘導して、磁束が所望の範囲内に留まるように、適切な量および方向だけ、電流をコイル220gへ提供する。
【0062】
電磁石コントローラー242mおよび温度コントローラー242tは、ライン248を通して互いに連絡する。
【0063】
コイル220gにより生成される磁場を使用して磁束を微調整することにより、ベースプレート228の温度が一時的に制御されるとき、そして/または磁気分路子120h(図5)が、それぞれ、磁気セクション120、220のヨーク(図4)にわたって配置されるとき、より少ないエネルギーが必要とされる。
【0064】
この実施形態は、磁束を制御するようにコイル220g中の電流を調整するために、より少ないエネルギーしか必要としない。
【0065】
磁気セクション220およびベースプレート228の背面部分228bが維持されるはずの温度は、MSの意図された使用およびそのMSが使用される環境に依存することが理解される。この温度は、環境温度および/またはイオナイザー14の温度の合計を超えるかも知れず、そしておそらく超える。イオナイザー14は、レニウムから作製される熱いグローフィラメントを備え得るからである。例えば、温度の合計が10〜30℃の範囲であるとき、ベースプレート228、および磁気セクション220の作動温度は、40〜50℃の範囲にあるはずである。
【0066】
図8に図示される別の実施形態では、断熱材226bが真空フランジ226とベースプレート228との間に配置され、真空フランジ226を通る伝導率により散逸される熱の量を低減する。
【0067】
本明細書中に開示されるMSの実施形態の1つの可能性のある利点は、このMSがすばやく作動し、その結果、小さいミクロボアカラムおよび/または小容量の真空ポンプを用いても、多くのサンプルが分析され得ることである。
【0068】
本明細書中で参照され、そして/または出願データシートに列挙された上記の米国特許、米国特許出願公報、米国特許出願、外国特許、外国特許出願および非特許文献のすべて(以下を含む:米国特許第5,801,380号明細書;米国特許第6,576,899号明細書;米国特許第6,403,956号明細書;米国特許第5,317,151号明細書;米国特許第6,182,831号明細書;米国特許第6,191,419号明細書;米国特許第6,046,451号明細書;および米国特許出願番号第09/744,360号)は、その全体が本明細書中に参考として援用される。
【0069】
さらに、上記のすべての刊行物(「A.A.Scheidemann、R.B.Darling、F.J.Schumacher、およびA.Isakarov、Tech.Digest of the 14th Int.Forum on Process Analytical Chem.(IFPAC−2000)、Lake Las Vegas、Nevada、2000年1月23〜26日、アブストラクトI−067」;「R.B.Darling、A.A.Scheidemann、K.N.Bhat、およびT.−C.Chen.、Proc.of the 14th IEEE Int.Conf.on Micro Electro Mechanical Systems(MEMS 2001)、Interlaken、Switzerland、2001年1月21〜25日、90〜93頁」および「Nier、D.J.Schlutter Rev.Sci.Instrum.1985年、第56巻、第2号、214〜219頁」;ならびにT.W.Burgoyneら、J.Am.Soc.Mass Spectrum 1997年、第8巻、307〜318頁」を含む)は、その全体が本明細書中に参考として援用される。
【0070】
要約に記載されたものを含んで、図示された実施形態の上記の説明は、網羅的であることは意図されておらず、本発明を開示された正確な形態に限定することも意図されていない。具体的な実施形態および実施例は、例示の目的のために本明細書中に記載されているが、当業者に認識されるように、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、種々の等価な改変がなされ得る。本明細書中に提供される教示は、上記に説明された例示の実施形態を含んで、種々の質量分析計に適用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0071】
図面では、同一の参照数字は、類似の要素または類似の作用を識別する。図面における要素のサイズおよび相対的位置は、必ずしも一定寸法で描かれているわけではない。例えば、種々の要素の形状および角度は、一定寸法で描かれているわけではなく、これらのいくつかは、任意に拡大されて図面の明瞭さを改善するように配置されている。さらに、描かれているような要素の特定の形状は、その特定の要素の実際の形状に関するあらゆる情報を網羅することは意図されておらず、そしてそれらは、単に、図面中で認識され易いように選択されている。
【図1】図1は、ガスクロマトグラフに連結される、先行技術のMattauch−Herzog質量分析計の概略図である。
【図2】図2は、例示的な実施形態従う、真空フランジ、ベースプレート、イオナイザー、静電エネルギー分析器、磁気セクション、および焦点面セクションを有するMattauch−Herzog質量分析計の、前面上面右等角図である。
【図3】図3は、図2の質量分析計の前面上方右等角図であるが、実施形態の特定の局面をよりよく図示するために、質量分析計から入力/出力リード線が省略されている。
【図4】図4は、1つの例示の実施形態に従う質量分析計の磁気セクションの概略図である。
【図5】図5は、1つの例示の実施形態に従う、磁気分路子を備える磁気セクションの概略図である。
【図6】図6は、1つの例示の実施形態に従う温度コントローラーを有する質量分析計の磁気セクションの概略図である。
【図7】図7は、1つの例示の実施形態に従う、加熱要素内で真空フランジにより支持されるベースプレートおよびこのベースプレート内に配置される温度センサーの前面上方右等角図である。
【図8】図8は、断熱材がベースプレートと真空フランジとの間に配置されている、真空フランジにより支持されるベースプレートの前面上方右分解等角図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分析機器の磁気セクションであって、該磁気セクションは、
ヨークであって、主要本体、第1のヨーク端部、および第2のヨーク端部を有するヨーク;
第1の永久磁石であって、該第1のヨーク端部に近接して該ヨークに結合されている第1の永久磁石;
該第2のヨーク端部に結合されている第2の永久磁石であって、該第2の永久磁石は、該第1の永久磁石から離れて間隔を空けられ、それらの間に磁気的隙間を形成する、第2の永久磁石;
該ヨークの少なくとも一部のまわりに形成されるコイルであって、該コイルは電流を通すような構成であり、該電流が該コイルを通過するとき、磁束が生成される、コイル;
磁気センサーであって、該磁気的隙間の近くに配置され、該磁束の測定値を示すシグナルを生成する、磁気センサー;ならびに
該磁気センサーおよび該コイルと連絡するコントローラーであって、
該磁気センサーから、該磁束の測定値を示すシグナルを受容するような構成であり、かつ該コイルを通過する該電流を調節して、該磁束を所望の範囲内に制御可能に維持するような構成である、コントローラー、
を備える、磁気セクション。
【請求項2】
前記第1のヨーク端部および前記第2のヨーク端部を横切って配置される磁気分路子をさらに備え、該磁気分路子は、前記ヨークの第1の温度が第2の温度へと変化するとき、前記磁気的隙間の変化を低減する、請求項1に記載の磁気セクション。
【請求項3】
質量分析計であって、
ベースプレート;
真空ハウジングであって、真空チャンバを形成するような構成である少なくとも1つの壁および真空フランジを備え、該真空フランジが該ベースにシールするように結合されている、真空ハウジング;
該ベースプレート上に支持される磁気セクションであって、該磁気セクションは、
分析機器の磁気セクションであって、該磁気セクションが、
ヨークであって、主要本体、第1のヨーク端部、および第2のヨーク端部を有するヨーク;
第1の永久磁石であって、該第1のヨーク端部に近接して該ヨークに結合されている第1の永久磁石;
該第2のヨーク端部に結合されている第2の永久磁石であって、該第2の永久磁石は、該第1の永久磁石から離れて間隔を空けられ、それらの間に磁気的隙間を形成する、第2の永久磁石;
該ヨークの少なくとも一部のまわりに形成されるコイルであって、該コイルは電流を通すような構成であり、該電流が該コイルを通過するとき、磁束が生成される、コイル;
磁気センサーであって、該磁気的隙間の近くに配置され、該磁束の測定値を示すシグナルを生成する、磁気センサー;ならびに
該磁気センサーおよび該コイルと連絡するコントローラーであって、該磁気センサーから、該磁束の測定値を示すシグナルを受容するような構成であり、かつ該コイルを通過する該電流を調節して、該磁束を所望の範囲内に制御可能に維持するような構成である、コントローラー、
を備える、磁気セクション、
を備える、質量分析計。
【請求項4】
前記第1のヨーク端部および前記第2のヨーク端部を横切って配置される磁気分路子をさらに備え、該磁気分路子は、前記ヨークの第1の温度が第2の温度へと変化するとき、前記磁気的隙間の変化を低減する、請求項3に記載の質量分析計。
【請求項5】
前記ベースプレートの第1の部分内に置かれる第1の加熱要素;および
該ベースプレート第2の部分内に置かれる第1の温度センサー、
をさらに備え、該第1の部分が、一定量のベースプレート材料により、該第2の部分から引き離されている、請求項3に記載の質量分析計。
【請求項6】
前記第1の部分および前記第2の部分の位置が、前記磁気セクションが支持されている前記ベースプレートの領域に対応する、請求項5に記載の質量分析計。
【請求項7】
前記第1の加熱要素を制御するように結合され、前記第1の温度センサーに連絡して結合される温度コントローラーをさらに備え、該温度コントローラーは、該温度センサーにより獲得されるベースプレートの温度測定値に従って該第1の加熱要素を調節するような構成である、請求項5に記載の質量分析計。
【請求項8】
質量分析計であって、
ベースプレート;
真空ハウジングであって、真空チャンバを形成するような構成である少なくとも1つの壁および真空フランジを備え、該真空フランジが該ベースにシールするように結合されている、真空ハウジング;
磁気セクションであって、磁束を発生するような構成であり、かつ該ベースプレート上に支持される、磁気セクション;
該ベースプレートの第1の部分内に置かれる第1の加熱要素;
該ベースプレート第2の部分内に置かれる第1の温度センサー;および
温度コントローラーであって、該温度コントローラーは、該第1の加熱要素および第1の温度センサーと電気連絡しており、該温度コントローラーは、該第1の加熱要素を制御して該ベースプレートの温度を制御するような構成であり、かつ該磁束を所望の範囲内に制御可能に維持するような構成である、温度コントローラー、
を備える、質量分析計。
【請求項9】
前記ベースプレートの第2の部分内に置かれる第2の加熱要素;および
該ベースプレートの第3の部分内に置かれる第2の温度センサー
をさらに備える、請求項8に記載の質量分析計。
【請求項10】
前記磁気セクションが、
ヨークであって、主要本体、第1のヨーク端部、および第2のヨーク端部を有するヨーク;
第1の永久磁石であって、該第1のヨーク端部に近接して結合されている第1の永久磁石;
該第2のヨーク端部に結合されている第2の永久磁石であって、該第2の永久磁石は、該第1の永久磁石から離れて間隔を空けられ、それらの間に磁気的隙間を形成する、第2の永久磁石;
該ヨークの主要本体の少なくとも一部のまわりに形成されるコイルであって、該コイルは電流を通すような構成であり、該電流が該コイルを通過するとき、磁束が生成される、コイル、
をさらに備える、請求項8に記載の質量分析計。
【請求項11】
前記第1のヨーク端部および前記第2のヨーク端部を横切って配置される磁気分路子をさらに備え、該磁気分路子は、前記ヨークの第1の温度が第2の温度へと変化するとき、前記磁気的隙間の変化を低減する、請求項10に記載の質量分析計。
【請求項12】
さらに、
磁気センサーであって、前記磁気的隙間の近くに配置され、前記磁束の測定値を示すシグナルを生成する、磁気センサー;ならびに
該磁気センサーおよび前記コイルと連絡するコントローラーであって、該磁気センサーから、該磁束の測定値を示すシグナルを受容するような構成であり、かつ少なくとも一部は該磁束の測定値に基づき、該コイルを通過する前記電流を調節するような構成である、コントローラー、
をさらに備える、請求項10に記載の質量分析計。
【請求項13】
分析機器の磁場セクションにおける磁束のレベルを制御する方法であって、該方法は、
該磁気セクションのある範囲内に存在する磁束を測定する工程;および
該測定された磁束に基づき、該磁気セクション内でコイルを通過する電流の量を制御する工程であって、該電流は、該磁束を所望の範囲内に維持するように制御される、工程、
を包含する、方法。
【請求項14】
前記磁気セクションのある範囲内に存在する磁束を測定する工程が、2つの対向する永久磁石により形成される磁気的隙間内の該磁束を測定することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記磁気セクションのある範囲内に存在する磁束を測定する工程が、2つの対向する永久磁石により形成される磁気的隙間内に実質的に置かれる磁気センサーを用いて、該磁束を測定することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記測定された磁束に基づき、前記コイルを通過する電流の量を制御する工程が、前記電流の量を増やして、該磁気セクションの温度の変化から生じる磁束のずれを補うことを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記ヨークの第1のヨーク端部および第2のヨーク端部を横切って分路し、前記2つの対向する永久磁石の間の相対的分離の量を制限する工程、
をさらに包含する、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
質量分析計の磁気セクションのある領域内で温度を制御する方法であって、該方法は、
ベースプレートの第1の領域内に配置された温度センサーを用いて、該ベースプレートの温度を測定する工程;
該測定されたベースプレートの温度に応答して、該ベースプレートの第1の領域内に配置される加熱要素に対する温度調整量を決定する工程;および
該加熱要素の温度を制御可能に調整し、該磁気セクション内に置かれる第1の対の永久磁石の間の相対的分離の量を制御可能に維持し、そして該第1の対の永久磁石の間に存在する磁束を所望の範囲内に制御可能に維持する工程、
を包含する、方法。
【請求項19】
前記磁場セクションに置かれたヨークの第1のヨーク端部および第2のヨーク端部を横切って分路し、前記第1の対の永久磁石の間の相対的分離の量を制限する工程、
をsらに包含する、請求項18に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2007−531973(P2007−531973A)
【公表日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−506594(P2007−506594)
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【国際出願番号】PCT/US2005/011006
【国際公開番号】WO2005/098900
【国際公開日】平成17年10月20日(2005.10.20)
【出願人】(505469757)オイ コーポレイション (3)
【Fターム(参考)】