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質量分析計を用いた膜性能のリアルタイムモニタリング方法及びその装置
説明

質量分析計を用いた膜性能のリアルタイムモニタリング方法及びその装置

【課題】質量分析計を用いた膜性能のリアルタイムモニタリング方法及びその装置を提供する。
【解決手段】被験対象の分離膜の透過特性及び/又は分離性能を測定及び/又はモニタリングする方法であって、試験流体を分離膜に供給し、標準ガスを被験対象の分離膜の透過側に供給し、透過側の成分の一部を分析手段に導入し、膜透過分離試験中の分離膜の透過挙動を連続的に測定、監視、及び/又はモニタリングするとともに、分離膜の透過特性及び/又は分離性能の外部因子依存性を迅速に測定及び/又はモニタリングすること、又は、これらに加えて、更に、膜透過分離試験における非定常状態における分離膜の透過特性及び/又は分離性能を測定及び/又はモニタリングすること、を特徴とする分離膜の透過特性及び/又は分離性能を測定及び/又はモニタリングする方法、及びその装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、質量分析計を用いた分離膜の膜性能のリアルタイムモニタリング方法及びその装置に関するものであり、更に詳しくは、分離膜の透過特性及び/又は分離性能を連続的に測定及び/又はモニタリングし、その透過分離挙動を観察し、監視することが可能な上記膜性能のリアルタイムモニタリング(RTM)方法及びその装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
膜分離法は、状態変化を伴わない分離手法であり、蒸留等の状態変化を伴う分離手法と比べて、省エネルギーな分離プロセスである。例えば、MFI型ゼオライト膜を用いたエタノール水溶液の浸透気化特性のように、気液平衡を超える分離性能を有する分離膜を用いれば、状態変化を伴う浸透気化分離であっても、膜分離法は、省エネルギーな分離プロセスとなり得る。
【0003】
膜分離法において、分子が分離膜を透過する駆動力は、膜両表面の濃度差であり、その濃度勾配を大きくするために、(1)透過側を負圧にする方法、(2)透過側に不活性なスイープガスを流通させる方法、(3)供給流体を加圧する方法、が用いられる。これらの方法のうち、スイープガスを用いる方法は、透過成分に対して不活性な乾燥ガスを用いなければならず、実際の分離プロセスには適用が困難である。
【0004】
また、混合物を高濃度に濃縮させるためには、分子と同程度の大きさの細孔(直径が2ナノメートル未満のミクロ孔)を有する分離膜を用いることが有効であるが、このようなミクロ孔を持つ分離膜の透過分離特性は、透過成分の吸着特性に大きく影響を受けることが知られている。
【0005】
一般的に、ミクロ孔を持つ多孔質材料の吸着特性は、圧力が1kPa未満の極低圧領域で吸着量が急激に増加し、それ以上の圧力範囲では、ほとんど吸着量は増加しないLangmuir型の吸着特性を示す。そのため、上記(3)の供給流体を加圧する方法だけでは、充分な透過量及び分離性が得られない。
【0006】
以上のような理由から、膜分離法では、上記(1)の透過側を負圧にする方法が用いられるが、負圧下の透過側を流れる成分の流量測定及び組成分析を行うためには、液体窒素のような冷媒を用いて、透過物を液化もしくは固化して回収しなければならず、連続的、且つリアルタイムに分離膜の透過分離特性をモニターすることができなかった。
【0007】
負圧にした配管内を流れる成分の組成は、質量分析装置により分析することができ(非特許文献1−3)、この手法は、分析化学の分野では、Membrane Introduction Mass Spectrometryとして知られている。質量分析装置と膜透過分離試験装置を組み合わせることで、分離膜の透過分離特性を連続的、且つリアルタイムにモニターすることが可能であり、遷移状態における透過挙動、迅速な膜性能のスクリーニング、及び連続的な膜分離プロセスの監視などに応用できる。
【0008】
【非特許文献1】R.C.Johnson,R.G.Cooks,T.M.Allen,M.E.Cisper,P.H.Hemberger,Membrane introduction mass spectrometry:trends and applications,Mass Spectrometry Reviews,19(2000)1−37
【非特許文献2】T.C.Bowen,J.C.Wyss,R.D.Noble,J.L.Falconer,Measurement of diffusion through a zeolite membrane using isotopic−transient pervaporation,Micropor.Mesopor.Mater.71(2004)199−210
【非特許文献3】T.Schafer,J.Vital,J.G.Crespo,Coupled pervaporation/mass spectrometry for investigating membrane mass transport phenomena,J.Membr.Sci.241(2004)197−205
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このような状況の中で、本発明者らは、上記従来技術に鑑みて、分離膜の透過挙動を観察することを可能とするリアルタイムモニタリング(RTM)システムを開発することを目標として鋭意研究を積み重ねた結果、質量分析計を用いた、分離膜の透過特性及び/又は分離性能のリアルタイムモニタリングシステムを開発することに成功し、本発明を完成するに至った。本発明は、分離膜の透過特性及び/又は分離性能を簡便、且つ連続的に観察することのできるリアルタイムモニタリング(RTM)方法を提供することを目的とするものである。また、本発明は、膜透過分離試験装置と、質量分析計及び標準ガスにより構成される分離膜の透過分離試験装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するための本発明は、以下の技術的手段から構成される。
(1)被験対象の分離膜の透過特性及び/又は分離性能を測定及び/又はモニタリングする方法であって、試験流体を分離膜に供給し、標準ガスを被験対象の分離膜の透過側に供給し、透過側の成分の一部を分析手段に導入し、膜透過分離試験中の分離膜の透過挙動を連続的に測定、監視、及び/又はモニタリングするとともに、分離膜の透過特性及び/又は分離性能の外部因子依存性を迅速に測定及び/又はモニタリングすること、任意に、更に、膜透過分離試験における非定常状態における分離膜の透過特性及び/又は分離性能を測定及び/又はモニタリングすること、を特徴とする分離膜の透過特性及び/又は分離性能を測定及び/又はモニタリングする方法。
(2)被験対象の透過側が大気圧未満である、前記(1)に記載の分離膜の透過特性及び/又は分離性能を測定及び/又はモニタリングする方法。
(3)以下の式(1)及び(2)
【0011】
【数1】

【0012】
(但し、NHeは標準ガスのモル流量、Aは透過に有効な膜面積、xは供給液中のi成分のモル分率、yは透過側におけるi成分のモル分率を表す。)により、透過流束J及び/又は分離係数α(i/j)を算出することにより分離膜の透過特性及び/又は分離性能を連続的に測定及び/又はモニタリングする、前記(1)又は(2)に記載の分離膜の透過特性及び/又は分離性能を測定及び/又はモニタリングする方法。
(4)分離膜内を移動する分子の透過挙動を測定する、前記(1)に記載の分離膜の透過特性及び/又は分離性能を測定及び/又はモニタリングする方法。
(5)分離膜の透過特性及び/又は分離能の温度又は第3成分添加効果の膜以外の外部因子依存性を迅速に測定する、前記(3)に記載の分離膜の透過特性及び/又は分離性能を測定及び/又はモニタリングする方法。
(6)透過側の成分の組成を質量分析計で分析する、前記(1)から(4)のいずれかに記載の分離膜の透過特性及び/又は分離性能を測定及び/又はモニタリングする方法。
(7)標準ガスが、ヘリウムである、前記(1)又は(2)に記載の分離膜の透過特性及び/又は分離性能を測定及び/又はモニタリングする方法。
(8)分離膜の透過特性及び/又は分離性能を測定及び/又はモニタリングする装置であって、分離膜を装置に保持する保持手段、試験流体を分離膜に供給する供給手段、透過側を排気する排気手段を有する膜透過分離試験装置、標準ガスを被験対象の分離膜の透過側に供給する標準ガス供給手段、及び透過側の成分の一部を導入して分析する分析手段を有することを特徴とする分離膜の透過特性及び/又は分離性能の測定及び/又はモニタリング装置。
(9)以下の式(1)及び(2)
【0013】
【数2】

【0014】
(但し、NHeは標準ガスのモル流量、Aは透過に有効な膜面積、xは供給液中のi成分のモル分率、yは透過側におけるi成分のモル分率を表す。)により、透過流束J及び/又は分離係数α(i/j)を算出することにより分離膜の透過特性及び/又は分離性能を連続的に測定及び/又はモニタリングする、前記(8)に記載の分離膜の透過特性及び/又は分離性能の測定及び/又はモニタリング装置。
(10)標準ガスの供給速度を調節するマスフローコントローラーを有する、前記(8)に記載の分離膜の透過特性及び/又は分離性能の測定及び/又はモニタリング装置。
(11)透過側の成分の組成を分析する分析手段が、質量分析計である、前記(8)に記載の分離膜の透過特性及び/又は分離性能の測定及び/又はモニタリング装置。
(12)試験流体が異性体でない混合物である、前記(8)に記載の分離膜の透過特性及び/又は分離性能の測定及び/又はモニタリング装置。
(13)標準ガスが、ヘリウムである、前記(8)に記載の分離膜の透過特性及び/又は分離性能の測定及び/又はモニタリング装置。
(14)試験流体が水及び/又はエタノール混合物である、前記(8)に記載の分離膜の透過特性及び/又は分離性能の測定及び/又はモニタリング装置。
【0015】
次に、本発明について更に詳細に説明する。
本発明は、被験対象の分離膜の透過特性及び/又は分離性能を測定及び/又はモニタリングする方法であって、試験流体を分離膜に供給し、標準ガスを被験対象の分離膜の透過側に供給し、透過側の成分の一部を分析手段に導入し、膜透過分離試験中の分離膜の透過挙動を連続的に測定、監視、及び/又はモニタリングするとともに、分離膜の透過特性及び/又は分離性能の外部因子依存性を迅速に測定及び/又はモニタリングすること、任意に、更に、膜透過分離試験における非定常状態における分離膜の透過特性及び/又は分離性能を測定及び/又はモニタリングすること、を特徴とするものである。
【0016】
本発明では、被験対象の透過側が大気圧未満であること、以下の式(1)及び(2)
【0017】
【数3】

【0018】
(但し、NHeは標準ガスのモル流量、Aは透過に有効な膜面積、xは供給液中のi成分のモル分率、yは透過側におけるi成分のモル分率を表す。)により、透過流束J及び/又は分離係数α(i/j)を算出することにより分離膜の透過特性を測定し、モニタリングすること、を好適な実施態様としている。
【0019】
また、本発明では、分離膜内を移動する分子の透過挙動を測定すること、分離膜の透過特性及び/又は分離能の温度又は第3成分添加効果の膜以外の外部因子依存性を迅速に測定すること、透過側の成分の組成を質量分析計で分析すること、標準ガスが、ヘリウムであること、を好ましい実施の態様としている。
【0020】
また、本発明は、分離膜の透過特性及び/又は分離性能を測定及び/又はモニタリングする装置であって、分離膜を装置に保持する保持手段、試験流体を分離膜に供給する供給手段、透過側を排気する排気手段を有する膜透過分離試験装置、標準ガスを被験対象の分離膜の透過側に供給する標準ガス供給手段、及び透過側の成分の一部を導入して分析する分析手段を有することを特徴とするものである。
【0021】
本発明は、膜透過分離性能を簡便、且つ連続的に観測することのできるリアルタイムモニタリング(RTM)システムを提供するとともに、分離膜による混合流体の透過分離試験に適用した、本RTMシステムは、一般的な膜透過分離試験装置と、質量分析計及び標準ガスにより構成される。
【0022】
本発明の方法は、適宜の方法で作製した分離膜に適用可能である。分離膜としては、例えば、MFI型ゼオライト膜等の分離膜が例示されるが、これに制限されるものではなく、透過分離に使用される分離膜であれば全ての分離膜が対象とされる。分離膜の形態も、例えば、多孔質ムライト管等の任意の形態の支持体に形成した管状分離膜だけでなく、任意の形態の支持体の外表面に形成した分離膜、自立膜、有機系(高分子)膜に構成することができる。
【0023】
分離膜は、例えば、MFI型ゼオライト膜を一例に説明すると、多孔質ムライト支持管等の支持体を、MFI型ゼオライト結晶を含む水溶液に室温で10数時間浸し、種結晶を支持体孔内に埋め込み、所定の温度で乾燥させ、種結晶を2次成長させる。
【0024】
種結晶を2次成長させるには、例えば、コロイダルシリカ、水酸化ナトリウム、臭化テトラプロピルアンモニウム(TPABr)及び蒸留水を混合し、例えば、モル比でSiO:NaO:TPABr:HO=1:0.05:0.1:80の2次成長水溶液を調製し、上記支持管と2次成長水溶液をオートクレーブに入れ、例えば、約170℃で24時間程度水熱処理を行い、支持体の外表面に所定の膜厚のゼオライト膜を形成する。
【0025】
続いて、これを、例えば、約500℃で12時程度空気焼成することにより、鋳型剤(TPA)を除去する。上述の手法を採用することにより、例えば、膜15−20μmのMFI型ゼオライト多結晶層を支持体の外表面に形成することができる。本発明は、上記の方法で作製した分離膜に限定されるものではなく、他の方法で作製した全ての分離膜に適用することができる。
【0026】
本発明の方法は、分離膜の透過挙動をリアルタイムモニタリング(RTM)により連続的にモニタリングすることを可能とする分離膜内における透過特性の観察手法を提供するものである。本発明では、例えば、図2に示した浸透気化試験装置が用いられるが、本発明は、回分式浸透気化試験装置に限定されるものではなく、気体、蒸気、液体を対象とした膜透過分離試験装置、流通式の装置にも適用可能である。この装置は、一般的な回分式浸透気化試験装置と部分的には同じであるが、標準ガスとしてヘリウム等を透過側に供給できるようにした点、透過側の成分の一部を質量分析装置等の分析手段に導入するようにした点、で従来装置とは本質的に相違している。
【0027】
本発明では、例えば、図2に示した浸透気化試験装置を用いて、例えば、ゼオライト膜等の分離膜を試験水溶液に浸し、透過側をロータリーポンプで排気し、分離膜の37−80℃におけるエタノール水溶液に対する浸透気化性能を測定する。ヘリウム等の標準ガスの供給速度は、MFC(マスフローコントローラー)により調節し、例えば、外径0.8mm、内径0.5mm程度のステンレス細管を用いてヘリウム等の標準ガスを分離膜の透過側に供給する。
【0028】
透過側を流れる成分の一部は、透過側に設けられたバブルLVを介して四重極質量分析装置等の分析手段に導入する。例えば、質量分析計の場合、該質量分析計の真空チャンバー内圧力、イオン化電圧及びエミッション電流は、例えば、10−6Pa、70V及び30μA程度にするが、これらの条件は、用いる装置に応じて適宜調整する。
【0029】
上記方法において、透過の駆動力である膜両面の分圧差はほとんど無いので、標準ガス(ヘリウム等)の供給側への逆透過は無視できる。そのために、標準ガス(ヘリウム等)の流量及びモル分率を基準として、後記する実施例1の式(1)及び(2)により、透過流束及び分離係数を算出することができる。ここでは、分離膜として、管状のMFI型ゼオライト膜を例にして説明する。
【0030】
標準ガス(ヘリウム)が分離膜(ゼオライト膜)の浸透気化性能に及ぼす影響について測定し、一般的に用いられる液体窒素による回収法により測定した結果と比べた結果、標準ガス(ヘリウム)を用いても、透過流束は変化しなかった。分子は、膜両表面の濃度差を駆動力として、ゼオライト層内では表面拡散によって、支持管細孔内ではKnudsen拡散によって移動するが、標準ガス(ヘリウム)は、これらの拡散及び透過機構に影響を及ぼさないことが分かった。
【0031】
また、透過側を流れる成分の一部を質量分析計に導入し、ヘリウム、エタノール及び水の検出強度の時間変化を調べた結果、透過側におけるヘリウムのモル分率がエタノールや水のモル分率と比べて非常に小さいため、ヘリウムの供給量が0−3.0mL(STP)/minでは、エタノール及び水のモル分率はほとんど変化しなかった。透過側におけるモル分率比に対する質量分析計の検出強度比をプロットしたところ、検出強度比はモル分率比に比例し、透過側のヘリウムに対するエタノール及び水のモル分率比は、本発明のRTMシステムにおける検出強度比から算出できることが分かった。
【0032】
分離膜(ゼオライト膜)の浸透気化試験中の標準ガス(ヘリウム)に対するエタノール及び水の検出強度比の経時変化を調べた結果、本発明のRTMシステムを用いて測定した透過流束は、液体窒素を用いた回収法により測定した結果とよく一致し、本発明の方法が、再現よく分離膜(ゼオライト膜)の透過挙動を測定できることが分かった。また、後記する実施例に示されるように、本発明の方法は、高感度に透過特性の差を検出できることが分かった。
【0033】
本発明は、分離膜の透過特性及び/又は分離性能を測定及び/又はモニタリングする装置であって、分離膜を装置に保持する保持手段、試験流体を分離膜に供給する供給手段、透過側を排気する排気手段を有する膜透過分離試験装置、標準ガスを被験対象の分離膜の透過側に供給する標準ガス供給手段、及び透過側の成分の一部を導入して分析する分析手段を有することを特徴とする分離膜の透過特性及び/又は分離性能の測定及び/又はモニタリング装置を有することを特徴とするものである。
【0034】
本発明の装置では、標準ガスの供給速度を調節するマスフローコントローラーを有すること、透過側の成分の組成を分析する分析手段が、質量分析計であること、試験流体が異性体でない混合物であること、標準ガスが、ヘリウムであること、を好ましい実施の態様としている。本発明において、分析装置が質量分析計である場合は、供給流体が異性体の混合物でないことが好ましい実施態様である。
【0035】
本発明では、分離膜の透過特性及び/又は分離性能のリアルタイムモニタリングのためのシステムを開発した。本RTMシステムは、膜透過分離試験中の透過挙動を簡便、且つ連続的に観測することができる。本システムの有効性を検証するため、一例として、ゼオライト膜を用いてエタノール水溶液の分離を行い、一般的な液体窒素を用いた回収法により得られた測定結果と比べても、再現性良く妥当な測定データを得ることができることが分かった。また、本RTMシステムは、透過流束にして0.02mmolm−2−1の違いを検出できる感度を有しており、膜性能の迅速なスクリーニングも可能である。非定常状態におけるゼオライト膜の透過特性を観測したところ、浸透気化試験の開始初期に水の特異な透過挙動が観察される。この結果は、透過分子の競争吸着、拡散、透過経路がゼオライト膜の透過分離性能に重要であることを示している。
【0036】
本発明は、分離膜の透過挙動を測定するための分離膜の透過性能及び/又は分離性能のリアルタイムモニタリングシステムを提供するものである。本発明では、好適には、質量分析計及び標準ガスを用いることで、簡便に、連続的に、且つ高感度に膜透過分離試験中の分離膜の透過挙動を監視することができる。本モニタリングシステムを、例えば、温度プログラム膜透過分離試験に応用することで、透過特性の温度依存性を迅速に測定することが可能であり、また、第3成分の添加の影響などの操作条件(膜以外の外部因子)に対する依存性を迅速に測定することが可能である。
【0037】
本発明では、本RTMシステムを分離膜の透過挙動のモニタリングに用いることにより、試験開始直後の非定常状態における流体の特異的な透過挙動及び/又は遷移状態における透過挙動を観測することができ、これらの結果は、競争吸着、拡散及び分子の透過経路が分離膜の透過分離に有用であることを示している。
【発明の効果】
【0038】
本発明により、次のような効果が奏される。
(1)分離膜の透過特性及び/又は分離性能を観察できるRTMシステムを提供することができる。
(2)本発明の方法は、透過流束にして0.02mmolm−2−1の違いを検出できる感度を有しており、膜性能を高感度に測定することができる。
(3)本発明の方法により、膜透過分離試験中の透過挙動を簡便、且つ連続的に観察することができる。
(4)質量分析計及び標準ガスを用いたことで、簡便に、連続的に、且つ高感度に膜透過分離試験中の透過挙動を監視することができる。
(5)本発明の方法を温度プログラム膜透過分離試験に応用することで、透過特性の温度依存性を迅速に測定することが可能である。
(6)回収法では困難であった、非定常状態における第3成分の添加が膜透過分離性能に及ぼす影響を、連続的に、簡便に、且つ高感度にモニターすることが可能である。
(7)分離膜の膜性能を迅速にスクリーニングすることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
【0040】
以下の実施例では、本RTMシステムの妥当性を検証するとともに、その有効性について実証し、また、浸透気化試験水溶液の昇温過程及び非定常状態における透過特性を連続的にモニタリングし、分離膜(MFI型ゼオライト膜)内における透過挙動について実証したが、本発明は、分離膜の種類に制限されることなく、すべての分離膜の透過特性及び/又は分離性能の測定及び/又はモニタリング方法として適用可能である。
【実施例1】
【0041】
(1)ゼオライト膜の調製
本実施例では、同じ条件下で作製した3本のMFI型ゼオライト膜を用いた。多孔質ムライト支持管(ニッカトー社製、PM、外径10mm、内径7mm、長さ100mm、空間率45%、平均細孔径1.9μm)を支持体として用いた。直径100nmのシリカライト結晶を10g/Lだけ含む水溶液に、室温で12時間浸し、種結晶を支持体細孔内に埋め込んだ。60℃で12時間乾燥させ、2次成長に用いた。
【0042】
種結晶を2次成長させるために、コロイダルシリカ(触媒化成工業製、カタロイド SI−30)、水酸化ナトリウム(和光純薬工業)、臭化テトラプロピルアンモニウム(TPABr、東京化成)及び蒸留水を混合し、モル比でSiO:NaO:TPABr:HO=1:0.05:0.1:80の水溶液を調製した。
【0043】
支持管3本と2次成長水溶液100gをオートクレーブに入れ、170℃で24時間水熱処理を行い、支持体の外表面に膜厚15−20μmのMFI型ゼオライトの多結晶層を形成した管状ゼオライト膜を作製した。最後に、500℃で12時間空気焼成することにより、鋳型剤(TPA)を除去した(昇降温速度は1℃/minとした)。図1に、MFI型ゼオライト膜の最表面(a)及び焼成断面(b)のSEM像を示す。
【0044】
(2)浸透気化試験
図2に示すように、接着剤(Varian社製、Torr Seal)を用いて、管状ゼオライト膜の片端をステンレス製キャップに、他端をステンレス管に接続した。ゼオライト膜A、B及びCの透過に有効な膜面積は、それぞれ17.9、18.3及び15.3cmであった。
【0045】
これらのゼオライト膜の37−80℃におけるエタノール水溶液に対する浸透気化性能を、図2に示す浸透気化試験装置を用いて測定した。ゼオライト膜を試験水溶液に浸し、管内表面(透過側)をロータリーポンプで排気した。透過側の全圧は、0.1−0.4kPaであった。本浸透気化試験装置は、次の2点を除けば、一般的な回分式浸透気化試験装置と同じである。(1)標準ガスとしてヘリウムを透過側に供給する点。(2)透過側の成分の一部を質量分析装置に導入する点。
【0046】
ヘリウムの供給速度は、マスフローコントローラー(堀場エステック社製、SEC−40E)により調節し、ステンレス細管(外径0.8mm、内径0.5mm)を用いて、ヘリウムを管状膜の内表面に供給した。
【0047】
透過側を流れる成分の一部は、透過側に設けられたバルブLV(図2参照、キャノンアネルバテクニクス社製バリアブルリークバルブ)を介して四重極質量分析装置(ハイデンアナリティカル社製、HAL−301RC)に導入した。
【0048】
質量分析計の真空チャンバー内圧力、イオン化電圧及びエミッション電流は、それぞれ10−6Pa、70V及び30μAとした。
【0049】
図3に示すように、本分析条件では、幾つかのフラグメントが検出される。例えば、エタノールであれば、質量数m/z=26−31、42、43、45及び46にフラグメントが発生する。本実験では、各成分に対して最も大きな強度を示すフラグメントを選択した。すなわち、ヘリウムはm/z=4、水はm/z=18、エタノールはm/z=31、アルゴンはm/z=40とした。
【0050】
膜透過の駆動力である膜両面の分圧差がほとんど無いので、標準ガス(ヘリウム)の逆透過は無視できる。それゆえ、標準ガスの流量及びモル分率を基準として、次式(1)及び(2)により、透過流束J及び分離係数α(i/j)を算出することができる。
【0051】
【数4】

【0052】
ここで、NHeは標準ガスのモル流量、Aは透過に有効な膜面積、xは供給液中のi成分のモル分率、yは透過側におけるi成分のモル分率を表す。
【0053】
また、RTMシステムで測定した浸透気化特性と比較するために、一般的に用いられる液体窒素を用いて透過成分を回収する方法でも、ゼオライト膜の浸透気化性能を測定した。図2に示す濃縮器C1及びC2を用いて透過成分を回収し、その回収液の重量及び組成から透過流束及び分離係数を決定した。回収液の組成は、ガスクロマトグラフ(GC−TCD、島津社製、GC−8A)により分析した。
【0054】
(3)RTMシステムの妥当性、再現性及び感度
まず初めに、標準ガスであるヘリウムが浸透気化性能に及ぼす影響について検証する。図4(a)に、ヘリウムの供給流量が333Kにおける28mol%のエタノール水溶液に対するゼオライト膜Aの浸透気化性能に及ぼす影響を示す。本測定結果は、一般的に用いられる液体窒素による回収法により測定した。
【0055】
標準ガス(ヘリウム)を用いなかったとき、エタノール及び水の透過流束は、それぞれ3.61及び0.69mmolm−2−1であった。ヘリウムを0.5−20mL(STP)/minで透過側に供給しても、透過流束は変化しなかった。分子は、膜両表面の濃度差を駆動力として、ゼオライト層内では表面拡散によって、支持管細孔内ではKnudsen拡散によって移動する。すなわち、標準ガスが、これらの拡散及び透過機構に影響を及ぼさなかったために、透過流束は一定であった。
【0056】
上記の浸透気化試験中に、バルブLV(図2参照)を開き、透過側を流れる成分の一部を質量分析計に導入した。図4(b)に、ヘリウム、エタノール及び水の検出強度の時間変化を示す。ヘリウムの供給流量を変化させると、直ちに検出強度は変化した。しかしながら、透過側におけるヘリウムのモル分率がエタノールや水のモル分率と比べて非常に小さかったため、ヘリウムの供給流量が0−3.0mL(STP)/minでは、エタノール及び水のモル分率はほとんど変化しなかった。
【0057】
図5に、透過側におけるモル分率の比(y/yHe)に対する質量分析計の検出強度比(I/IHe)のプロットを示す。モル分率比y/yHeは、図4(a)の結果から算出し、検出強度比I/IHeは、図4(b)の測定結果に基づいている。検出強度比はモル分率比に比例した。これは、エタノール及び水の検量線であり、透過側のヘリウムに対するエタノール及び水のモル分率比は、本RTMシステムにおける検出強度比から算出できることを示している。すなわち、式(1)及び式(2)を用いて、透過流束及び分離係数を算出することが可能である。
【0058】
図6(a)に、ゼオライト膜Aの浸透気化試験中のヘリウムに対するエタノール及び水の検出強度比の経時変化を示す。試験温度は333Kとし、試験水溶液は1.5−80mol%のエタノール水溶液とした。80mol%のエタノール水溶液を用いたとき、水/ヘリウムの検出強度比は2.433であった。水溶液の濃度を50mol%とすると、検出強度比は10分後に3.250で一定になった。
【0059】
80及び50mol%の水溶液に対するこれらの検出強度比は、水の透過流束にして、それぞれ0.46及び0.62mmolm−2−1に相当する。図6(b)で比較するように、RTMシステムを用いて測定した透過流束は、液体窒素を用いた回収法により測定した結果とよく一致した。これは、本RTMシステムが、再現よく透過挙動を測定できることを示している。
【0060】
図4(b)に示す検出強度を検出強度比に換算すると、ヘリウムの供給流量が20mL(STP)/minのとき、水/ヘリウムの検出強度比は0.0971±0.0013であった。その揺らぎ(±0.0013)は、ヘリウムの供給流量の揺らぎに起因しており、平均強度比の1.3%に過ぎなかった。ヘリウムの供給流量が0.50mL(STP)/minのとき、水/ヘリウムの強度比は3.8179±0.0852で、揺らぎは平均強度比の2.2%に過ぎなかった。この揺らぎ±0.0852を透過流束に換算すると、0.02mmolm−2−1である。これは、本RTMシステムが、高感度に透過特性の差を検出できることを示している。
【0061】
(4)温度プログラム浸透気化試験
図7に、2.0mol%のエタノール水溶液に対してゼオライト膜Bを透過したエタノール及び水の流束を示す。図7(a)に示すように、37℃でエタノール/ヘリウム及び水/ヘリウムの検出強度比が一定になった後、供給水溶液を80℃まで0.5℃/minで加熱した。検出強度比は温度とともに増大し、水溶液の温度が80℃で一定となった。これは、ゼオライト膜の透過特性が温度に対する応答性が良いことを示唆しており、この特性は、温度プログラム浸透気化試験に適用可能であることを示している。
【0062】
すなわち、図7(a)の結果は、図7(b)に示すエタノール及び水の透過流束の温度依存性に書き直すことができる。エタノール及び水の透過の活性化エネルギーは、それぞれ38.4及び34.0kJ/molで、これは既報の値とよく一致した[T.Sano,K.Yamada,S.Ejiri,M.Hasegawa,Y.Kawakami,H.Yanagishita,Silylation of silicalite membrane and its pervaporation performance,Stud.Surf.Sci.Catal.105(1997)2179−2186、X.Lin,H.Kita,K.−I.Okamoto,Silicalite membrane preparation,characterization,and separation performance,Ind.Eng.Chem.Res.40(2001)4069−4078]。この結果は、本RTMシステムが、温度依存性、余剰成分の添加による影響といった膜性能の迅速なスクリーニングに有効であることを示している。
【0063】
(5)非定常状態における浸透気化特性のリアルタイムモニタリング
RTMシステムを用いて、非定常状態における膜Cを透過するエタノール及び水の透過挙動を観測した。試験温度は60℃、試験水溶液は4.2mol%のエタノール水溶液を用いた。標準ガス(ヘリウム)の供給流量は、3.0mL(STP)/minとし、まず初めにシリカゲルにより脱水したアルゴンを0.5L/minで供給した。
【0064】
アルゴン/ヘリウムの検出強度比が一定となった後、予め60℃に加熱しておいた4.2mol%のエタノール水溶液(2.0kg)を供給した。図8に、アルゴン、エタノール及び水の透過流束の経時変化を示す。水溶液の供給前のアルゴンの透過流束は9.60mmolm−2−1であった。これは、透過率に換算すると、およそ10−7molm−2−1Pa−1であり、既報の透過率と概ね一致した[Y.Hasegawa,T.Nagase,Y.Kiyozumi,F.Mizukami,Influence of permeation routes on permeation behaviors in polycrystalline MFI−type zeolite membranes,Micropor.Mesopor.Mater.,submitted for publication、Y.Takata,T.Tsuru,T.Yoshioka,M.Asaeda,Gas permeation properties of MFI zeolite membranes prepared by the secondary growth of colloidal silicalite and application to the methylation of toluene,Micropor.Mesopor.Mater.54(2002)257−268]。
【0065】
アルゴンを供給しているとき、エタノール及び水の透過流束は、0.01mmolm−2−1未満であった。水溶液を供給すると、供給直後にアルゴンの透過流束は急激に減少し、エタノール及び水の透過流束は増加した。エタノールの透過流束は、およそ10分後に一定になった。しかしながら、水の透過流束は供給開始から1分後に極大となり、時間とともに減少し、およそ6時間後に定常に到達した。定常状態におけるエタノール及び水の透過流束は、それぞれ2.90及び3.28mmolm−2−1であった。
【0066】
図8に示すように、非選択透過成分である水は、浸透気化試験の初期段階で特異的な透過挙動を示した。Kapteijnら[F.Kapteijn,W.J.W.Bakker,J.Van de Graaf,G.Zheng,J.Poppe,J.A.Moulijn,Permeation and separation behavior of a silicalite−1 membrane,Catal.Today 25(1995)213−218]は、水素とブタンの混合気体に対して、水素が類似の透過挙動を示すことを報告している。
【0067】
MFI型ゼオライトに対する水の飽和吸着量を0.8mol/kgとすると[T.Sano,H.Yanagishita,Y.Kiyozumi,F.Mizukami,K.Haraya,Separation of ethanol/water mixture by silicalite membrane on pervaporation,J.Membr.Sci.95(1994)221−228]、本実験条件では、ゼオライト層におよそ0.2mmolの水が吸着できる。しかしながら、図8の斜線部分は、55mmolの水に相当する。この結果は、浸透気化試験の初期段階における特異的な水の透過挙動は、予めゼオライトに吸着していた水の脱着ではなく、エタノールと水の競争吸着に由来していることを示唆している。
【0068】
浸透気化試験開始直後における水の高い透過流束は、膜内におけるエタノールと水の拡散係数の違いに由来しているのかも知れないと考えられる。Bowenら[T.C.Bowen,J.C.Wyss,R.D.Noble,J.L.Falconer,Measurement of diffusion through a zeolite membrane using isotopic−transient pervaporation,Micropor.Mesopor.Mater.71(2004)199−210]は、同位体を用いて浸透気化中のGe置換MFI型ゼオライト膜を透過する極性分子の過渡透過挙動を観測している。彼らは、同位体を含まない水溶液で透過特性が定常に到達した後、同位体を供給液に添加しており、単純に、図8の結果を、彼らのモデルを用いて、解析することはできない。
【0069】
しかしながら、Bowenらは、HDO(DはHの同位体)の拡散係数が、CODの拡散係数の6倍大きいと見積もっている。膜分離において、分子の透過経路も重要である。エタノールが選択吸着成分なので、エタノール分子はゼオライト細孔内を吸着拡散する。一方、大部分の水分子は、ゼオライト膜内の結晶粒子間空隙を拡散する。すなわち、試験開始初期における水の特異な透過挙動は、水分子の拡散係数及び透過挙動に由来しているのかも知れないと考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0070】
以上詳述したように、本発明は、質量分析計等の分析手段を用いた膜性能のリアルタイムモニタリング方法及びその装置に係るものであり、本発明に係る、膜透過分離特性のリアルタイムモニタリングのためのシステムとして開発された本RTMシステムは、膜透過分離試験中の透過挙動を簡便、且つ連続的に観測することができる。本システムの有効性を検証するため、分離膜(ゼオライト膜)を用いてエタノール水溶液の分離を行い、一般的な液体窒素を用いた回収法により得られた測定結果と比べても、再現性良く妥当な測定データを得ることが可能であることが実証された。また、本RTMシステムは、透過流束にして0.02mmolm−2−1の違いを検出できる感度を有しており、膜性能の迅速なスクリーニングも可能である。連続的に膜性能をモニタリングできるようになったことで、回収法では困難であった、非定常状態における膜性能を観察することが可能となる。本発明は、分離膜開発の迅速化、膜分離プロセスの運転条件の検討、及び安全なプロセス操業に寄与することができる新しい分離膜の透過特性及び/又は分離性能の測定及び/又はモニタリング方法及び装置を提供するものとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】MFI型ゼオライト膜の上表面(a)及び焼成断面(b)のSEM像を示す。
【図2】本発明の浸透気化試験装置の一例を示す。
【図3】(a)ヘリウム、(b)水、(c)エタノール、及び(d)アルゴンの質量−電荷プロフィールを示す。
【図4】図4(a)は、回収法により測定した結果であり、ヘリウムの供給流量が333Kにおける28mol%のエタノール水溶液の浸透気化性能に及ぼす影響、図4(b)は、ヘリウム、エタノール及び水の検出強度の時間変化、を示す。
【図5】透過側におけるモル分率の比(y/yHe)に対する質量分析計の検出強度比(I/IHe)のプロットを示す。
【図6】図6(a)は、ヘリウムの供給流量が0.50mL(STP)/minのとき、ヘリウムに関するエタノール及び水の検出強度比の経時変化、図6(b)は、供給中のエタノールのモル分率と水及びエタノールの透過流束の関係を示す。
【図7】2.0モル%エタノール溶液についてのエタノール及び水の透過流束の温度依存性を示す。図7(a)は、ヘリウムの供給流量が0.50mL(STP)/minのとき、ヘリウムに関するエタノール及び水の検出強度比の経時変化、図7(b)は、エタノール及び水の透過流束のArrheniusプロット、を示す。
【図8】アルゴン、エタノール及び水の透過流束の経時変化を示す。
【符号の説明】
【0072】
(図2の符号)
1 恒温水槽
2 供給溶液
3 ゼオライト膜
4 撹拌子
5 マグネチックスターラー
C1 凝縮器
C2 凝縮器
LV 質量分析計への導入バルブ
MFC マスフローコントローラー
P ピラニ圧力計
QMS 質量分析計
RP ロータリーポンプ
TC 熱電対
TMP ターボ分子ポンプ
V1 ストップバルブ
V2 切換バルブ
V3 切換バルブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験対象の分離膜の透過特性及び/又は分離性能を測定及び/又はモニタリングする方法であって、試験流体を分離膜に供給し、標準ガスを被験対象の分離膜の透過側に供給し、透過側の成分の一部を分析手段に導入し、膜透過分離試験中の分離膜の透過挙動を連続的に測定、監視、及び/又はモニタリングするとともに、分離膜の透過特性及び/又は分離性能の外部因子依存性を迅速に測定及び/又はモニタリングすること、又は、これらの測定及び/又はモニタリングに加えて、更に、膜透過分離試験における非定常状態における分離膜の透過特性及び/又は分離性能を測定及び/又はモニタリングすること、を特徴とする分離膜の透過特性及び/又は分離性能を測定及び/又はモニタリングする方法。
【請求項2】
被験対象の透過側が大気圧未満である、請求項1に記載の分離膜の透過特性及び/又は分離性能を測定及び/又はモニタリングする方法。
【請求項3】
以下の式(1)及び(2)
【数1】

(但し、NHeは標準ガスのモル流量、Aは透過に有効な膜面積、xは供給液中のi成分のモル分率、yは透過側におけるi成分のモル分率を表す。)により、透過流束J及び/又は分離係数α(i/j)を算出することにより分離膜の透過特性及び/又は分離性能を連続的に測定及び/又はモニタリングする、請求項1又は2に記載の分離膜の透過特性及び/又は分離性能を測定及び/又はモニタリングする方法。
【請求項4】
分離膜内を移動する分子の透過挙動を測定する、請求項1に記載の分離膜の透過特性及び/又は分離性能を測定及び/又はモニタリングする方法。
【請求項5】
分離膜の透過特性及び/又は分離能の温度又は第3成分添加効果の膜以外の外部因子依存性を迅速に測定する、請求項3に記載の分離膜の透過特性及び/又は分離性能を測定及び/又はモニタリングする方法。
【請求項6】
透過側の成分の組成を質量分析計で分析する、請求項1から4のいずれかに記載の分離膜の透過特性及び/又は分離性能を測定及び/又はモニタリングする方法。
【請求項7】
標準ガスが、ヘリウムである、請求項1又は2に記載の分離膜の透過特性及び/又は分離性能を測定及び/又はモニタリングする方法。
【請求項8】
分離膜の透過特性及び/又は分離性能を測定及び/又はモニタリングする装置であって、分離膜を装置に保持する保持手段、試験流体を分離膜に供給する供給手段、透過側を排気する排気手段を有する膜透過分離試験装置、標準ガスを被験対象の分離膜の透過側に供給する標準ガス供給手段、及び透過側の成分の一部を導入して分析する分析手段を有することを特徴とする分離膜の透過特性及び/又は分離性能の測定及び/又はモニタリング装置。
【請求項9】
以下の式(1)及び(2)
【数2】

(但し、NHeは標準ガスのモル流量、Aは透過に有効な膜面積、xは供給液中のi成分のモル分率、yは透過側におけるi成分のモル分率を表す。)により、透過流束J及び/又は分離係数α(i/j)を算出することにより分離膜の透過特性及び/又は分離性能を連続的に測定及び/又はモニタリングする、請求項8に記載の分離膜の透過特性及び/又は分離性能の測定及び/又はモニタリング装置。
【請求項10】
標準ガスの供給速度を調節するマスフローコントローラーを有する、請求項8に記載の分離膜の透過特性及び/又は分離性能の測定及び/又はモニタリング装置。
【請求項11】
透過側の成分の組成を分析する分析手段が、質量分析計である、請求項8に記載の分離膜の透過特性及び/又は分離性能の測定及び/又はモニタリング装置。
【請求項12】
試験流体が異性体でない混合物である、請求項8に記載の分離膜の透過特性及び/又は分離性能の測定及び/又はモニタリング装置。
【請求項13】
標準ガスが、ヘリウムである、請求項8に記載の分離膜の透過特性及び/又は分離性能の測定及び/又はモニタリング装置。
【請求項14】
試験流体が水及び/又はエタノール混合物である、請求項8に記載の分離膜の透過特性及び/又は分離性能の測定及び/又はモニタリング装置。

【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図1】
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【図2】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−125631(P2009−125631A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−301070(P2007−301070)
【出願日】平成19年11月20日(2007.11.20)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 2007年5月21日 インターネットアドレス「http://www.sciencedirect.com/science/journal/13835866」に発表
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】