説明

質量分析計内でイオンを保存し反応させる方法

第一および第二端を伴う第一イオンガイドを有し、異極性の第一イオン群と第二イオン群を第一イオンガイドに導入し、第一および第二イオン群を第一イオンガイド内に半径方向に閉じ込めるために、RF電位を第一イオンガイドに印加する、イオンを分析する方法が提供される。第一イオン群を第一イオンガイド内にトラップするために、第一トラップ障壁が第一イオンガイドの第一端に提供され、第二イオン群を第一イオンガイド内にトラップするために、第二トラップ障壁が第一イオンガイドの第二端に提供され、第一イオン群を第一トラップ障壁に向かって押し、第二イオン群を第二トラップ障壁に向かって押すために、軸方向電場が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
出願人の教示は、質量分析計内でイオンを保存して反応させる方法と装置に関する。
【背景技術】
【0002】
質量分析は、サンプルから生成されたイオンの質量−電荷比の測定に基づいて化合物を同定する、広く使用される分析法である。多くの場合には、一つの極性のイオンだけが一度に分析され、この極性のイオンの通過を提供するために、イオン光路の電圧が最適化されうる。用途によっては、さらなる処理または分析のために、イオン経路のある部分、通常は3Dイオントラップまたは2Dイオントラップ内にイオンをトラップすることが望ましい。例えば、3Dイオントラップ質量分析計または2Dイオントラップ質量分析計では、イオンは、通常、数十または数百ミリ秒の時間トラップされた後、質量分析のために、トラップから質量選択的に検出器にスキャンアウトされる。他の場合においては、イオンをトラップした後、分析前にフラグメント化することが望ましい。他の場合には、分析前に中性分子と反応させるために、イオンをトラップすることが求められる。これらのケースの全てにおいて、一度に一つの極性のイオンをトラップおよび分析するのが一般である。
【0003】
いくつかの場合には、部分的な電荷中和またはイオン間の特定の反応を提供するために、陽および陰イオンを共にスペースの同じ領域で反応させうることが有用である。3Dイオントラップにおける三次元のRF場は、両方の極性のイオンを同時にトラップできるため、3Dイオントラップのスペースの一領域に両方の極性のイオンをトラップすることが可能である。トラップ力のマグニチュードおよび方向は、イオンの極性に依存しない。
【0004】
線形または2Dイオントラップは、はるかに大きなトラップ体積を提供し、したがって、3Dイオントラップより多くのイオンを保持しうる。しかし、2Dイオントラップでは、RF場が半径方向においてのみ作用し、軸に沿って作用しない。したがって、2Dトラップでは、入口および出口にイオンが軸沿いに出るのを防ぐDC場を印加することにより、イオンをトラップするのが通常である。これは通常、入口および出口にレンズまたは他のイオン光学素子を提供し、これに反発DC電圧が印加されることにより行われる。これは、一つの極性だけのイオンに有効である。しかし、両極性のイオンが2Dトラップ内に存在する場合には、一つの極性のイオンの反発場は、反対の極性のイオンの引力場であるため、反対の極性のイオンがトラップから失われる。2Dトラップの端のスペースの同じ領域内に両極性のイオンを同時にトラップするために、DC場を使用できないため、3Dトラップで達成されているのと同じ種類の反応を提供するために、2Dトラップ内に陽および陰イオンの両方を一緒にトラップできることが必要とされる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
出願人の教示の一態様によれば、質量分析計でイオンを分析する方法が、提供される。方法は、第一端と第二端とを有する第一イオンガイドを提供するステップと、第一イオンガイド内に第一イオン群および第二イオン群を導入するステップであって、第二イオン群が第一イオン群に対して反対の極性である、ステップが含まれる。方法は、第一イオン群および第二イオン群を第一イオンガイド内に半径方向に閉じ込めるために、第一イオンガイドにRF電位を印加するステップも含む。方法は、第一イオンガイド内に第一イオン群をトラップするために、第一イオンガイドの第二端にトラップ障壁を提供するステップと、第一イオン群をトラップ障壁に向かって押すために、軸方向電場を提供するステップも含む。
【0006】
別の態様においては、第一端と第二端とを有する第一イオンガイドを提供するステップと、第一イオン群と第二イオン群とを第一イオンガイド内に導入するステップであって、第二イオン群が第一イオン群に対して反対の極性であるステップとを含む、質量分析計でイオンを分析する方法が、提供される。方法は、第一イオン群および第二イオン群を第一イオンガイド内に半径方向に閉じ込めるために、第一イオンガイドにRF電位を印加するステップも含む。方法は、第一イオンガイド内に第一イオン群をトラップするために、第一イオンガイドの第一端に第一トラップ障壁を提供するステップと、第一イオンガイド内に第二イオン群をトラップするために、第一イオンガイドの第二端に第二トラップ障壁を提供するステップと、第一イオン群を第一トラップ障壁に向かって押し、第二イオン群を第二トラップ障壁に向かって押すための、軸方向電場を提供するステップも含む。
【0007】
出願人の教示の別の態様によれば、第一端と第二端とを有する第一イオンガイドを提供するステップと、第一イオン群と第二イオン群とを第一イオンガイド内に導入するステップであって、第二イオン群が第一イオン群に対して反対の極性であるステップを含む、質量分析計でイオンを分析する方法が提供される。方法は、第一イオン群と第二イオン群を第一イオンガイド内に半径方向に閉じ込めるために、第一イオンガイドにRF電位を印加するステップも含む。方法は、第一および第二イオン群がイオンガイドの別個の領域にトラップされるようにトラップするために、第一イオンガイド内に二つ以上のトラップ領域を提供するステップも含む。
【0008】
別の態様においては、イオンガイド内に軸方向電場を提供するステップと、ほとんどのイオンがトラップされて維持されるように、トラップされるのが望ましいイオンのイオンガイドの一端から他の端までのドリフト時間より短い期間に合わせて軸方向電場の方向を変えるステップとを含む、反対の極性のイオンをイオンガイド内にトラップする方法が提供される。
【0009】
出願人の教示のこれらおよび他の特徴が、本明細書に記載される。
【0010】
当業者には当然のことながら、以下の図面は、例示のみを目的とする。図面は、出願人の教示の範囲を一切制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、様々な実施形態による、陽および陰イオンを同時に保存するイオンガイドを、概略的に示す。
【図2】図2は、様々な実施形態による、陽および陰イオンをイオンガイド内に保存するステップの例を、概略的に示す。
【図3】図3は、様々な実施形態よる、陽および陰イオンを反応させるステップを、概略的に示す。
【図4】図4は、様々な実施形態よる、陽イオンがイオンガイドを流れる間に、陰イオンをトラップするステップの例を、概略的に示す。
【図5】図5は、様々な実施形態による、イオンガイド内の複数のトラップ領域の例を、概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
出願人の教示との関連で用いられる、様々な要素に関する句「a」または「an」は、文脈から逆が明らかでない限り、「一つ以上」または「少なくとも一つ」を含むものとする。図1を参照すると、出願人の教示による様々な実施形態において、概略図は、第一イオンガイドからイオンを出入りさせるための第一端12と第二端14とを有する、第一イオンガイド10を示す。図1において、第一イオンガイド10は、例えば、四重極ロッド16を含む。第一イオン群18および反対の極性の第二イオン群20が、第一イオンガイド10内に導入されうる。第一イオン群18および第二イオン群20を第一イオンガイド内に閉じ込めるために、第一イオンガイド10にRF電位が印加されうる。
【0013】
第一イオン群18をトラップするために、第一イオンガイド10の第一端12に第一トラップ障壁22が提供され、第二イオン群20をトラップするために、第一イオンガイド10の第二端14に第二トラップ障壁24が提供されうる。図1において、第一トラップ障壁22は、例えば図のように第一開口レンズでありうる、第一イオン光学素子を含む。第二トラップ障壁24は、例えば図のように第二開口レンズでありうる、第二イオン光学素子を含む。
【0014】
DC電圧が、第一トラップ障壁22に印加されうる。第一イオン群18を第一イオンガイド10の第一端12から反発し、これにより第一イオン群18が第一端12を経て第一イオンガイド10から放出されるのを妨げるように、DC電圧の極性が選択される。同様に、第二イオン群20を第一イオンガイド10の第二端14から反発するために、第二イオン群20と同じ極性のDC電圧が、第二トラップ障壁24に印加されうる。もちろん、第一イオン群10と第二イオン群20が反対の極性であるとすれば、第一イオン群が第二端部14を経て放出されうる一方で、第二イオン群が第一端部12を経て放出されうる。
【0015】
第一18および第二20イオン群をトラップするため、図1に示すように、数電子ボルト(eV)のエネルギーでイオンが第一イオンガイド10内に導入され、バックグラウンドガスと衝突してエネルギーを失いうる。この時点では、第一イオン群が第一イオンガイド10の第一端を経て逃れられず、他方で第二イオン群が第一イオンガイド10の第二端を経て逃れられないように、第一トラップ障壁22上の電圧は、第一イオン群に対して反発電圧である一方、第二トラップ障壁24上の電圧は、第二イオン群に対して反発電圧である。第一イオンガイド10内の圧力は、イオン群をトラップするのに資することができ、通常は約1×10−3トルより大きいが、約1×10−5トルまで低くてもよい。
【0016】
第一イオンガイド10は、当技術分野で周知の様々な方法で生成されうる、軸方向電場28も含む。例えば、出願人の米国特許第5,847,386号は、イオンガイド内、またはイオンガイドの異なる領域内において軸方向電場を生成する多様な方法を示す。図1においては、例として、軸方向電場28を生成する補助電極26が示される。軸方向電場が、第一イオン群18を第一トラップ障壁22に向かって押し、第二イオン群20を第二トラップ障壁24に向かって押しうる。
【0017】
図1においては、下のグラフが、陽イオンから見た第一イオンガイド10の中心軸に沿った電位を示す。例えば、開口レンズとして示される第一トラップ障壁22+10Vの印加電圧を有し、やはり開口レンズとして示される第二トラップ障壁24は、−10Vの印加電圧を有する。四重極ロッド16は、ロッドオフセットが0Vである。軸方向電場28は、当技術分野で周知のように印加され、図1に示すように、第一端と第二端の間の軸に沿って電位勾配を提供して、図1の例では陽イオンである第一イオン群18を、第一トラップ障壁22に向かって押しうる。電場は、場の陽電荷が経験する力を示す方向により従来示される、ベクトル量である。したがって、軸に沿った方向の電場である軸方向電場は、常に、軸方向電場で陽イオンにかかる力を示す方向により示される。軸方向電場により陰イオンが経験する力は、常に軸方向電場と反対方向である。同じ軸方向電場28が、第二イオン群20に対しては反対方向に作用し、それらを第二端14に向かって押す。第二トラップ障壁24は、ロッドオフセットに対して負電位であって、陰イオンを反発しうる。したがって、第二端から第一端の方向の軸方向電場と、第一端における陽イオンの反発DC障壁と、第二端における陰イオンの反発DC電位とが、イオンガイド内に両極性のイオンのトラップ領域を形成しうる。緩衝ガスまたは衝突ガスがイオンガイドに加えられると、イオンは軸方向運動エネルギーを失い、熱速度に減速することにより、入口および出口でトラップされうる。第一イオン群18は、第一イオンガイド10の第一端12の近くに集まり、第二イオン群20は、第一イオンガイド10の第二端14の近くに集まりうる。図1で使用される値は例であって、他の値が使用されてもよい。図の例では、軸方向電場が、入口および出口の間に2Vの電圧差を提供しうる。しかし、イオンをより高速で移動させるために強い力が求められる場合には、軸方向電場強度が強められうる。より強い軸方向電場により、イオンが小さい軸方向領域のスペースに集まりうる。イオンが高エネルギーで導入される場合に求められうるより高い障壁を提供するために、レンズの電圧が高められうる。
【0018】
図2は、出願人の教示を用いて二つの異なる極性のイオンがいかに質量分析計のイオン源から導入され、イオンガイド内で集められうるかを、さらに詳細に示す。図2aは、大気圧のイオン源80と、サンプリングアパーチャ82およびスキマ84と、イオンをガイドおよび集束させるためのQ0RF−only四重極86と、Q0四重極86をQ1マスフィルタ四重極92から隔て、Q1 92にイオンを通過させるためのIQ1レンズ88と、Q0 86からQ1 92へのイオンの移動を補助するスタビ(stubbies)90と、必要に応じた第一質量選択のためのQ1マスフィルタ92と、Q1 92をQ2 RF−only四重極96から隔て、Q2 96にイオンを通過させるためのIQ2レンズ94と、イオンガイドまたは衝突セルとして機能できるQ2 RF−only四重極96と、質量分析計からQ2 96を隔てるためのIQ3レンズ98とからなる、質量分析計システムの例を示す。イオンは、Q2 96から出た後、例えばTOFまたは四重極マスフィルタまたは線形イオントラップ質量分析計等でありうる、別の質量分析計に送られうる。図2bは、イオン源からの第一陽イオンがQ2 96に導入され、図のようにQ2 96の入口付近にトラップされうるように、イオン通路の軸に沿った電位がいかに設定されうるかを示す。陽イオンは、Q2 96に流れ込み、約数ミリトルの圧力でありうるQ2 96内のバックグラウンドガスと衝突しうる。イオンは減速し、運動エネルギーを失い、最終的に熱速度に達した後、軸方向電場100によりQ2の入口に向かって押されうるが、Q2の入口のイオン光学素子94上の障壁が、陽イオンが逃げるのを防ぎうる。
【0019】
陽イオンを導入し、何十ミリ秒の継続時間でありうる期間トラップした後、陰イオンを生成するようにイオン源が切替えられうる。あるいは、陽イオン源がオフにされるとともに、別の陰イオンのソースが活性化されればよい。そして、陽イオンが維持されながら陰イオンがQ2 96に流れ込みうるように、イオン通路の電位が図2cに示されるように変えられうる。イオン光学素子94に印加される、Q2の入口の小さな局所障壁が、陽イオンが出るのを防ぐ反面、陰イオンがイオン光学素子に接近した場合には入口で出るのを許容する。したがって、当然のことながら、十分なエネルギーが失われて陰イオンがQ2内にトラップされうるまで、イオンがQ2の入口から外へ跳ね返り、戻るというプロセスを数回繰り返しうるが、理想的には、陰イオンが、Q2 96に一旦入ったらQ2 96の入口へ跳ね返らないように、十分なエネルギーを失わなければならない。イオンは、ガス分子との衝突により、および、陰イオンをQ2の出口に押しうる軸方向電場により、運動エネルギーを失い、IQ3または出口レンズ98上の負電位が、陰イオンが出るのを防ぎうる。図2dは、一旦導入された陽イオンが、イオンガイドの出口に集められ、陰イオンが入口に集められうる、代替的なスキームを示す。あるいは、まず陰イオンが導入され、その後陽イオンが導入されうる。適切な電位を選択することにより、陽または陰イオンのいずれかがまず導入され、陽または陰イオンのいずれかが入口端に集められ、反対の極性のイオンが出口端に集められうる。必要なイオン通路の電位は、当業者に明らかである。イオン通路の部材は、例として示される図2aの形態に限られない。
【0020】
図3は、出願人の教示による様々な実施形態において、前述のように、異なる領域に反対の極性のイオンの両群をトラップした後、電位が逆転されて、第一イオンガイド30の第一端32の近くにトラップされうる、図3の例で陽イオンとして示される第一イオン群38が、第一イオンガイド30の第二端34の近くに移動されうることを示す。下のグラフは、陽イオンから見た、第一イオンガイド30の中心軸に沿った電位を示す。図3においては、第一イオンガイド30が、四重極ロッド36で表わされうる。同時に、第一イオンガイド30の第二端34の近くにトラップされうる、図3の例で陰イオンとして示される第二イオン群40が、第一イオンガイド30の第一端32の近くに移動しうる。二つのイオン雲は互いを通過し、移動しながら混合し、相互作用しうる。陽および陰の両イオン群間の相互作用の結果、少なくとも部分的に反応および中和がもたらされうる。相互作用の程度は、それらが互いを通過する速度に依存しうるが、これは、軸方向電場48の強さとイオンガイド内の圧力により制御されうる。図3においては、四重極ロッド36の間の補助電極46により、軸方向電場48が提供されうる。しかし、当技術分野で周知の、軸方向電場を生成するための他の方法が用いられてもよく、これには、傾斜またはテーパーロッド、異なるDC電位の分割型多重極ロッド、端間の電圧差により軸方向電場を生じうる、電気抵抗的にコートされたロッド、リング上に異なるDC電圧を伴うリングガイド、または、イオンガイドのある部分に沿って軸方向電場を提供できる任意の他の方法が含まれる。レンズ上の電位が逆転される前にイオンが第一42および第二44トラップ障壁から離れ始めるように、イオン光学素子上の電圧の極性を逆転する前に、軸方向電場48の方向が逆転されうる。これにより、端の障壁の電位が逆転され次第イオンが端から逃げるのを防ぎうる。あるいは、軸方向電場を短時間0に減少(オフに)して、イオンを障壁から離れてトラップの中央に向かって拡散させうる。これにより、二つの反対の荷電のイオン雲が、互いに向かって移動および通過しながら、互いに相互作用および反応を開始しうる。イオンがトラップの反対端に向かって拡散する前に、軸方向電場が反対方向に再印加され、イオン光学素子上の電圧が逆転されうる。その結果、イオン雲がトラップの両端に分離されうる。他の実施態様においては、イオンを互いに向かって拡散させ、相互作用させるために、単に軸方向電場が短時間オフにされた後、イオン雲を分離するために軸方向電場が再び同じ方向にかけられうる。数ミリ秒の間軸方向電場をオフにするだけでは、イオンがトラップの他方の端に拡散して失われる時間はない。軸方向電場をオフにした後再びオンにする数サイクルを用いて、障壁電圧の電位を逆転する必要を伴わずに、トラップ内でイオン間反応を生じさせうる。より完全な反応を促進するために、軸方向電場およびレンズの電位を数回逆転して、イオン群を前後に移動させうる。ある場合には、イオンが端から逃れるのに十分な時間を与えることとなくイオンを中心領域内で前後に移動させるように、端の障壁を不変にとどめ、軸方向電場48の方向を高速で逆転することが可能である。軸方向電場の方向は、場が再び逆転される前にこれらのイオンが端に到達しないように、最も高速の目的のイオンがイオントラップを通るドリフト時間より短い期間で逆転されなければならない。場の安全な最長振動期間は、トラップの長さおよびイオンの移動度に基づいて実験的または理論的に決定されうる。十分な反応時間の後、反対の極性の第二イオン群40を第一イオンガイド30内に保ちながら、第一イオン群38が、質量分析または別のトラップ領域におけるさらなる反応のために、第一イオンガイド30の一端、好ましくは第二端34から放出されうる。そして、必要に応じて、質量分析のために第二イオン群が放出されうる。
【0021】
図4は、出願人の教示による様々な実施形態において、図4の例では陰イオンである第一イオン群58が、第一イオンガイド50の第一端52の近くに第一トラップ障壁62を提供することにより、トラップされうることを示す。様々な態様においては、第一イオン群は、イオンガイドの第二端54の近くに第二トラップ障壁64を提供することによってもトラップされうる。第一トラップ障壁62は、例えば図のように第一開口レンズでありうる、第一イオン光学素子を含む。第一イオン群58を第一イオンガイド50の第一52端から反発し、これにより第一イオン群58が第一端52を経て第一イオンガイド50から放出されるのを防ぐために、DC電圧が第一トラップ障壁62に印加されうる。軸方向電場68が、第一イオン群58を第一62トラップ障壁に向かって押しうる。図の例では陽イオンである、反対の極性の第二イオン群60が、第一イオン群58を持続的に通過し、第一イオン群58と混合した後、第一イオンガイド50から放出されうる。そして、第一イオン群58も、第一イオンガイド50から放出されうる。下のグラフは、第一イオンガイド50の中心軸に沿った電位を示す。あるいは、第一イオン群は、第一イオンガイドの第二端の近くにトラップされ、第二イオン群は、第一イオン群を持続的に通過し、第一イオンガイドの第二端から放出されうる。この場合には、第一イオン群をイオンガイドの第二端に向かって押すために、軸方向電場が印加され、第一イオン群をイオンガイドの第二端から反発するために、トラップ障壁が印加されうる。その結果、第一イオン群が、イオンガイドの第二端の近くにトラップされる。第一イオン群に対して反対の極性の第二イオン群は、第一イオンガイドおよび第一イオン群を持続的に通過し、イオンガイドの第二端から持続的に出うる。この場合には、軸方向電場が、第二イオン群を第一端に向かって、第二端から離れるように押す。しかし、当然のことながら、第二イオン群の初期エネルギーが十分大きい場合には、イオンの運動量が、軸方向電場を克服して、停止およびトラップされずにイオンガイドの中を第二イオン群を通過させるのに十分でありうる。図4においては、第一イオンガイド50が四重極ロッド56によって表わされ、四重極ロッド56の間の補助電極66により、軸方向電場68が提供されうる。しかし、当技術分野で周知のように、軸方向電場を生じる他の方法も使用されうる。
【0022】
図5は、出願人の教示による様々な実施形態において、イオンガイド内の軸方向電場の方向を逆転することにより、イオンガイド内のイオンガイドの別個の領域に二つ以上のトラップ領域が生成されうることを示す。図5においては、黒い楕円形として示される同じ極性の第一イオン群70と、白い楕円形として示される、第一イオン群に対して全て反対の極性の第二イオン群72とが、イオンガイド内の複数のトラップ領域74にトラップされうる。複数のトラップ領域は、イオン群が前後に動かされる際の反応の程度を高めうる。
【0023】
様々な実施形態において、反対の極性の第一イオン群と第二イオン群が、イオンガイドに導入されうる。第一および第二イオン群をイオンガイド内に閉じ込めるために、イオンガイドにRF電位が印加されうる。第一および第二イオン群をガイドの別個の領域にトラップするために、トラップ領域がイオンガイド内に提供されうる。イオンガイド内に軸方向電場を印加し、場の方向がイオンガイド内の一つ以上のポイントで逆転されることにより、トラップ領域が生成されうる。例えば、傾斜の方向がイオンガイド全体で変更される傾斜セグメントにより、または電圧が異なる分割型補助電極により、または当業者に明白な他の手段により、軸方向電場が提供されうる。
【0024】
様々な態様においては、イオンガイドの軸に沿った一つ以上の軸方向電場により、トラップ領域を生成でき、DC電圧が第一および第二イオン光学素子に印加されうる。軸方向電場が、反対の極性の第一および第二イオン群を、イオンガイドの両端へ押しうる。
【0025】
様々な態様においては、反対の極性の第一および第二イオン群をイオンガイドの異なる領域にトラップした後、軸方向電場およびトラップ電位が変更されうる。これにより、反対の極性の第一および第二イオン群が互いに向かって移動し、イオンガイド内の同じ領域を通過し、互いに相互作用および反応する。
【0026】
様々な実施形態においては、端のイオン光学素子の一方または両方に印加されるACまたはRF電圧によって形成されうる、極性に依存しない障壁を用いて、異なる極性のイオンをイオンガイド内に制限しうる。例えば、端のレンズ素子に印加されるACまたはRF電圧により、極性に依存せずに、陽および陰イオンの両方の障壁が生じる。あるいは、ロッドオフセットに印加されるACまたはRF電圧により、イオンガイドのオフセットが端のイオン光学素子に対して振動し、これにより極性に依存しないRF障壁が生じうる。様々な実施形態において、端のイオン光学素子は、多重極でありうる。極性に依存しない障壁を生じるために、イオンガイドのロッドオフセットと端の多重極の間に交互のACまたはRF電圧が印加されうる。イオンガイドが分割型多重極を含む場合には、任意の隣接セグメントのロッドオフセットの間に印加されるRFまたはAC電圧により、セグメント間のインターフェイス領域でRF障壁が生じ、これによりイオンがイオンガイド内にトラップされうる。端またはトラップ内に極性に依存しない障壁を形成するためのこれらの任意の方法を、イオンガイド内の軸方向電場を伴うか伴わずに用いて、イオンをトラップしうる。軸方向電場が使用されない場合には、両極性のイオンがスペースの同じ領域にトラップされうる。異なる極性のイオンをスペース内で分離し、または異なる極性のイオンを互いに向かって移動および通過させるために、軸方向電場が印加されうる。
【0027】
様々な実施形態においては、端にRF障壁を伴う第一イオンガイド内の陽および陰イオンの混合物から、電荷分離が得られる。そして、イオンを各々の電荷に分離するために、軸方向電場が印加されうる。例えば、陽および陰イオンの混合物が、イオンガイドに拡散により、または、イオンを気体流に担持させることにより、導入されうる。そして、極性に依存しない障壁が印加されて、イオン混合物を一緒にトラップしうる。そして、異なる極性のイオン同士を離すために、軸方向電場が印加されうる。そして、一端で障壁を減ずることにより陽イオンが放出された後、陰イオンが放出されうる。
【0028】
様々な実施形態においては、第一および第二イオン群が分離したら、トラップ障壁を維持しながら軸方向電場をオフにすることにより、混合、相互作用および反応させうる。
【0029】
様々な実施形態においては、端にトラップ障壁を印加することを必要とせずに、方向が高速で逆転される軸方向電場を伴うRFイオンガイド内に、陽および陰イオンがトラップされうる。例えば、一つの極性のイオンがイオンガイドに導入され、出口端に達する前にガス分子との衝突により運動エネルギーを失う場合には、イオンガイドの一端から他の端へのイオンのドリフト時間より短い期間で振動する、高速で逆転される軸方向電場が、イオンを中央にトラップする。そして、反対の極性のイオンが同じ様式で導入されればよく、それらも振動軸方向電場によりトラップされる。その後、例えば、図1のような端にトラップ障壁を伴う一定の軸方向電場を印加することにより、必要に応じて反対の極性のイオンが、イオンガイドの異なる領域に分離されうる。
【0030】
出願人の教示は、様々な実施形態とともに記載されるが、出願人の教示がこのような実施形態に限定されることは意図されない。逆に、当業者には当然のことながら、出願人の教示は、様々な代替物、変更および等価物を含む。
【0031】
様々な実施形態において、イオンガイドは、多重極でありうるがこれに限られない。例えば、イオンガイドは、四重極、六重極または八重極でありうる。イオンガイドは、イオンが半径方向に逃れるのを防ぐためにイオンを半径方向に閉じ込めまたは集束するためにRF場が使用される、RFリングガイドまたは任意のRFガイドでありうる。イオンガイドは、線形イオントラップまたは衝突セルとも呼ばれる、2Dトラップでありうるがこれに限られない。
【0032】
様々な実施形態においては、第一および第二トラップ障壁は、イオンガイドの第一端および/または第二端にDC電圧を印加できる、イオン光学素子でありうる。イオン光学素子は、異なるロッドオフセット(DC)電圧がかけられうる開口レンズまたは他のイオンガイド、または当技術分野で周知の他の形態でありうる。
【0033】
様々な実施形態においては、軸方向電場は、当技術分野で周知の様々な方法で生成されうる。軸方向電場は、例えば傾斜ロッド、補助電極、分割型ロッド、電気抵抗的にコートされたロッド、およびRFリングガイドプレート上に異なる電位を印加することにより生成されうるが、その必要はない。軸方向電場は、ロッドの長さにわたりマグニチュードが一定でありうるが、その必要はない。例えば、軸方向電場は、スペースにおいて非線形であり得、スペースにおいて軸方向電場の方向が逆転されるポイントでは0の値を有していてもよい。
【0034】
様々な態様において、陽および陰イオンは、逐次的に導入されてもよいし、同時に一緒に同じ端から、または例えば、第一および第二端、または第一イオンガイドの上部および底部からなど、二つの異なる方向から、導入されうる。陽および陰イオンは、異なる端から、同じ端から、またはイオンガイドの中央から導入された後、適切な方向に操作されうる。陽および陰イオンは、保存され、必要に応じて反応させられ、その後分析されうる。
【0035】
様々な実施形態において、質量分析計は、線形イオントラップ、飛行時間型質量分析計、フーリエ変換質量分析計、3Dイオントラップ、四重極質量分析計、またはオービトラップ質量分析計でありうるが、これに限られない。
【0036】
このような変更または変化形の全てが、本明細書に添付される請求項により定義される出願人の教示の領域および範囲内であると考えられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
質量分析計でイオンを分析する方法であって、該方法は、
a.第一端と第二端とを有する第一イオンガイドを提供するステップと、
b.第一イオン群と第二イオン群とを、該第一イオンガイドに導入するステップであって、該第二イオン群は、該第一イオン群に対して反対の極性である、ステップと、
c.該第一イオン群と該第二イオン群とを、該第一イオンガイド内に半径方向に閉じ込めるために、該第一イオンガイドにRF電位を印加するステップと、
d.該第一イオン群を該第一イオンガイド内でトラップするために、該第一イオンガイドの該第二端にトラップ障壁を提供するステップと、
e.該第一イオン群を該トラップ障壁に向かって押すために、軸方向電場を提供するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記質量分析計は、前記第一イオンガイドの第二端に隣接したイオン光学素子を含み、ステップ(d)は、前記第一イオン群を該第一イオンガイドの第二端から反発させるために、該イオン光学素子にDC電位を印加することにより、前記トラップ障壁を提供するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記質量分析計は、前記第一イオンガイドの第二端に隣接したイオン光学素子を含み、ステップ(d)は、該第一イオンガイドの第二端と該イオン光学素子との間にAC電位を印加することにより、前記トラップ障壁を提供するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記質量分析計は、前記第一イオンガイドの第二端に隣接したイオン光学素子を含み、ステップ(d)が、該イオン光学素子にAC電位を印加することにより、前記トラップ障壁を提供するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第二イオン群を前記第一イオンガイドの第二端に向かって引きつけ、該第二イオン群が連続的に流れ、前記第一イオン群と混合させることを可能にするために、前記DC電位を設定するステップと、該第一イオンガイドから該第二イオン群を放出するステップとを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記第一イオンガイドから前記第二イオン群を放出した後に、前記第一イオン群を該第一イオンガイドの第二端に向かって引きつけるために、前記DC電位を設定するステップと、該第一イオンガイドから該第一イオン群を放出するステップとをさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記イオン光学素子が、開口レンズを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記イオン光学素子が、第二イオンガイドを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記第一イオンガイドが、多重極ロッドを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記多重極ロッドが、四重極、六重極、および八重極ロッドからなる群より選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記軸方向電場が、傾斜ロッドにより提供される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記軸方向電場が、補助電極により提供される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記軸方向電場が、分割型多重極に異なる電位を印加することにより提供される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記軸方向電場が、RFリングガイドプレートに異なる電位を印加することにより提供される、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記第一および第二イオン群が、逐次的に導入される、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記第一および第二イオン群が、同時に導入される、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記第一イオンガイドが、約10トル〜約1×10−5トルの間のガス圧力で操作される、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記第一イオンガイドが、約1トル〜約1×10−3トルの間のガス圧力で操作される、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
質量分析計でイオンを分析する方法であって、該方法は、
a.第一端と第二端とを有する第一イオンガイドを提供するステップと、
b.第一イオン群と第二イオン群とを、該第一イオンガイドに導入するステップであって、該第二イオン群は、該第一イオン群に対して反対の極性である、ステップと、
c.該第一イオン群と該第二イオン群とを、該第一イオンガイド内に半径方向に閉じ込めるために、該第一イオンガイドにRF電位を印加するステップと、
d.該第一イオン群を該第一イオンガイド内にトラップするために、該第一イオンガイドの第一端に第一トラップ障壁を提供するステップと、
e.該第二イオン群を該第一イオンガイド内にトラップするために、該第一イオンガイドの第二端に第二トラップ障壁を提供するステップと、
f.該第一イオン群を該第一トラップ障壁に向かって押し、該第二イオン群を該第二トラップ障壁に向かって押すために、軸方向電場を提供するステップと
を含む、方法。
【請求項20】
前記質量分析計は、前記第一イオンガイドの第一端に隣接した第一イオン光学素子を含み、該質量分析計が、該第一イオンガイドの第二端に第二イオン光学素子を含み、ステップ(d)は、該第一イオン光学素子に第一DC電位を印加することにより、前記第一トラップ障壁を提供するステップを含み、ステップ(e)は、該第二イオン光学素子に第二DC電位を印加することにより、前記第二トラップ障壁を提供するステップを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記第一イオン群と前記第二イオン群が混合し、前記第一イオンガイドの両端に向かって移動するように、該第一イオン群を前記第二トラップ障壁に向かって押し、かつ該第二イオン群を前記第一トラップ障壁に向かって押すために、前記第一および第二DC電位と前記軸方向電場の方向とを逆転するステップをさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記第一および第二イオン群のさらなる相互作用を促進するために、前記第一および第二DC電位と前記軸方向電場の電位とが、さらに一度以上逆転される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記質量分析計が、前記第一イオンガイドの第一端に隣接した第一イオン光学素子を含み、該質量分析計が、該第一イオンガイドの第二端に隣接した第二イオン光学素子を含み、ステップ(d)が、該第一イオンガイドの第一端と該第一イオン光学素子との間に第一AC電位を印加することにより、前記第一トラップ障壁を提供するステップを含み、ステップ(e)が、該第一イオンガイドの第二端と該第二イオン光学素子との間に第二AC電位を印加することにより、前記第二トラップ障壁を提供するステップを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
前記質量分析計が、前記第一イオンガイドの第一端に隣接した第一イオン光学素子を含み、前記質量分析計が、前記第一イオンガイドの第二端に隣接した第二イオン光学素子を含み、ステップ(d)が、該第一イオンガイドの第一および第二端の該イオン光学素子の一方または両方に、AC電位を印加するステップを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項25】
前記イオンガイド内で前記第一および第二イオン群がさらに混合および相互作用することを可能にするために、前記軸方向電場がオフにされる、請求項23または24に記載の方法。
【請求項26】
各端においてトラップされたイオンが前記反対端に向かって移動させ、混合および相互作用させるために、前記軸方向電場が一度以上逆転される、請求項23または24に記載の方法。
【請求項27】
前記第一および前記第二イオン群が混合および相互作用した後、質量分析のために前記第一イオンガイドから該第二イオン群を放出するために、前記第二トラップ障壁の電位が減少される、請求項21、22、25または26に記載の方法。
【請求項28】
前記第一イオンガイドの第二端に向かって前記第一イオン群を引きつけるために、前記軸方向電場を設定するステップと、該第一イオンガイドから前記第二イオン群が放出された後に、質量分析のために、該第一イオンガイドから該第一イオン群を放出するステップとをさらに含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記第一および第二イオン光学素子が、開口レンズを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項30】
前記第一および第二イオン光学素子が、第二イオンガイドを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項31】
前記第一イオンガイドが、多重極ロッドを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項32】
前記多重極ロッドが、四重極、六重極、および八重極ロッドからなる群より選択される、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記軸方向電場が、傾斜ロッドにより提供される、請求項19に記載の方法。
【請求項34】
前記軸方向電場が、補助電極により提供される、請求項19に記載の方法。
【請求項35】
前記軸方向電場が、分割型多重極に異なる電位を印加することにより提供される、請求項19に記載の方法。
【請求項36】
前記軸方向電場が、RFリングガイドプレートに異なる電位を印加することにより提供される、請求項19に記載の方法。
【請求項37】
前記第一および第二イオン群が、逐次的に導入される、請求項19に記載の方法。
【請求項38】
前記第一および第二イオン群が、同時に導入される、請求項19に記載の方法。
【請求項39】
前記第一イオンガイドが、約10トル〜1×10−5トルの間の範囲のガス圧力で操作される、請求項19に記載の方法。
【請求項40】
前記第一イオンガイドが、約1トル〜1×10−3トルの間のガス圧力で操作される、請求項19に記載の方法。
【請求項41】
質量分析計でイオンを分析する方法であって、該方法は、
a.第一端と第二端とを有する第一イオンガイドを提供するステップと、
b.第一イオン群と第二イオン群を、該第一イオンガイドに導入するステップであって、該第二イオン群が、該第一イオン群に対して反対の極性である、ステップと;
c.該第一イオン群と該第二イオン群を、該第一イオンガイド内に半径方向に閉じ込めるために、該第一イオンガイドにRF電位を印加するステップと;
d.該第一および第二イオン群を、該イオンガイドの別個の領域にトラップされるようにトラップするために、該第一イオンガイド内に二つ以上のトラップ領域を提供するステップ
を含む、方法。
【請求項42】
ステップ(d)が、前記イオンガイド内に軸に沿った方向の複数の前記軸方向電場を提供することにより、前記二つ以上のトラップ領域を提供するステップを含み、該軸方向電場の方向は、該イオンガイド内の一つ以上のポイントで逆転される、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記イオンガイドの第一端の第一イオン光学素子と、該イオンガイドの第二端の第二イオン光学素子とをさらに提供する、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
ステップ(d)が、前記イオンガイドの前記第一および第二端の第一および第二イオン光学素子にDC電圧を印加するステップをさらに含む、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
ステップ(d)が、前記イオンガイドの前記第一および第二端の第一および第二イオン光学素子にAC電圧を印加するステップをさらに含む、請求項43に記載の方法。
【請求項46】
反対の極性の前記第一および第二イオン群を前記イオンガイドの異なる領域にトラップした後に、反対の極性の該第一イオン群および該第二イオン群を互いに向かって移動させるために、前記軸方向電場およびDC電圧が逆転される、請求項44に記載の方法。
【請求項47】
反対の極性の前記第一および第二イオン群を前記イオンガイドの異なる領域にトラップした後に、反対の極性の該第一イオン群および該第二イオン群を互いに向かって移動させるために、前記軸方向電場が逆転される、請求項45に記載の方法。
【請求項48】
反対の極性の前記第一および第二イオン群が、互いに相互作用および反応するように、前記イオンガイドの同じ領域を通過する、請求項46または47に記載の方法。
【請求項49】
反対の極性のイオンをイオンガイド内にトラップする方法であって、該イオンガイド内に軸方向電場を提供するステップと、ほとんどの該イオンがトラップされて維持されるように、トラップされることが望ましい該イオンの、該イオンガイドの一方の端から他方の端までのドリフト時間より短い期間に合わせて該軸方向電場の方向を変更するステップを含む、方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公表番号】特表2009−541749(P2009−541749A)
【公表日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−516841(P2009−516841)
【出願日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際出願番号】PCT/CA2007/001162
【国際公開番号】WO2008/000083
【国際公開日】平成20年1月3日(2008.1.3)
【出願人】(508153855)エムディーエス アナリティカル テクノロジーズ, ア ビジネス ユニット オブ エムディーエス インコーポレイテッド, ドゥーイング ビジネス スルー イッツ サイエックス ディビジョン (17)
【出願人】(508298514)アプライド バイオシステムズ インコーポレイテッド (6)
【Fターム(参考)】