説明

質量分析計及び質量分析方法

【解決手段】開示される質量分析計において、イオントラップ型質量分析器(20)の上流側にイオンビーム減衰器(23)が配置される。上流側のイオン減衰部(21)と下流側のイオン蓄積部(22)とを備えるイオントンネル型イオントラップは、イオンビーム減衰器(23)の上流側に配置される。イオントンネル型イオントラップからイオンが放出され、イオントラップ型質量分析器(20)に送られたイオンビームの強度をイオンビーム減衰器(23)により制御する。イオントラップ型質量分析器(20)にイオンを入射可能な充填時間は、ほぼ一定に保たれ、イオンビームの強度とは実質的に独立である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、質量分析の方法と質量分析計とに関する。好適な実施形態によれば、イオントラップ型質量分析器に送られるイオン集団を制御する方法が提供される。
【背景技術】
【0002】
従来のイオントラップ及びイオントラップ型質量分析器は、同じ極性のイオン間の静電反発力の効果により有限数のイオンしか収容できない。この効果を、通常、空間電荷と称する。イオントラップ型質量分析器の容量を超えて過剰にイオントラップ型質量分析器にイオンが入射されると、入射されたイオンはシステム内で失われる。さらに、周知のように、空間電荷効果により、3次元又はポール(Paul)型イオントラップ、2次元又はリニアイオントラップ、FTICR質量分析器又はオービトラップ(RTM)型質量分析器、及び、その他の質量分析器等のイオントラップ型質量分析器の性能が劣化する。
【0003】
周知のように、このような空間電荷効果を防ぐためには、イオントラップの過剰充填を避ける必要がある。
【0004】
米国特許5572022(Schwartz)に開示される方法は、まず、イオン群をトラップ及び検出して、総イオン含量を求める。次に、総イオン含量をイオン含量の理想値と比較して、適切な充填時間を計算する。充填時間の間、質量分析計にイオンを移動させて、質量分析計内における空間電荷効果を防ぐ。充填時間は、求めたイオン電流に応じて変動する。
【0005】
米国特許6627876(Hagar)は、リニア・イオントラップを備える質量分析計の充填時間を設定する方法を開示する。まず、質量分析計を透過動作モードで作動させて、イオンを検出し、入射イオン電流を求める。求めたイオン電流を所望の電荷密度と比較することにより、リニア・イオントラップの充填時間を算出する。次に、算出した充填時間を用いて、トラッピングモードで質量分析計を作動させる。
【0006】
米国特許6987261(Horning)に開示される方法は、イオンを蓄積させて、検出することにより、所定のイオン集団を得るのに適した注入時間又は充填時間を求める。次に、求めた時間にわたって、イオンを蓄積させて、質量分析器に導入する。
【0007】
要するに、イオントラップ内に所定数のイオンを蓄積するために、イオンビーム電流を測定して、イオントラップ内にイオンを蓄積させる時間を算出する方法が従来知られている。しかし、従来のアプローチには、いくつかの明らかな問題がある。
【0008】
第1に、所定の実験のサイクルタイムがイオン電流に応じて変動することが挙げられる。たとえば、質量分析計を液体クロマトグラフィーシステムと組み合わせて用いる場合、イオントラップには広範囲なイオン電流が与えられる。比較的大きなイオン電流がイオントラップに与えられる場合には、設定される充填時間は比較的短くなり、一方、比較的小さなイオン電流がイオントラップに与えられる場合には、設定される充填時間は比較的長くなる。この結果、サイクルタイムが変動して、クロマトグラフィーのピークにわたって得られる測定数が不明確になる。
【0009】
第2の問題は、たとえ一定のイオン電流を仮定したとしても、実際には瞬間イオン電流において統計的な自然変動が存在することにある。また、エレクトロスプレーイオン化イオン源を用いる場合の噴射安定性等、他の変動要因も存在する。イオン電流が一時的に低い期間にイオントラップを充填した場合には、イオントラップには理想的な数のイオンよりも少ない数のイオンが蓄積され、感度の低下につながる。逆に、イオン電流が一時的に高い期間にイオントラップを充填した場合には、イオントラップには過剰な数のイオンが蓄積され、空間電荷の問題が生じる。
【0010】
従来のアプローチにおける第3の問題は、さまざまな長さの時間、イオントラップ型質量分析器にイオンを充填した場合、イオントラップ型質量分析器は、質量対電荷比の差による影響を受ける。たとえば、イオントラップ型質量分析器に比較的短い時間だけイオンを充填した場合、質量分析計の上流側のイオントラップから放出されるイオンの飛行時間は、イオントラップ型質量分析器内に蓄積されるイオンの質量対電荷比に影響を与える。この結果、異なる質量対電荷比を有するイオンのトラッピング効率は、イオントラップ型質量分析器の充填時間に応じて変動する。
【0011】
イオントラップ型質量分析器又は他の装置へのイオンの蓄積を制御する方法の改善が求められている。
【発明の概要】
【0012】
本発明の一つの態様は質量分析の方法であって、
減衰装置と減衰装置の下流側に配置されるイオントラップとを準備する工程と、
第1のイオン電流I1を求める工程と、
求めた第1のイオン電流I1に基づき減衰装置を制御して、減衰装置を透過しイオントラップに移動されたイオンの強度を第1のレベルに設定する工程と、
求めた第1のイオン電流I1と実質的に独立な第1の一定時間T1にわたって、イオントラップ内にイオンを蓄積させる工程と、を備える。
【0013】
イオントラップは、望ましくは、イオントラップ型質量分析器を備え、イオン検出器によって、イオントラップから放出される又はその他の方法でイオントラップから出現するイオンを検出することが望ましい。
【0014】
他の実施形態において、質量分析の方法が、さらに、イオントラップからイオンを放出させる、又は、イオントラップからイオンを出現させる工程を備え、放出又は出現させたイオンを、イオントラップの下流側に配置される質量分析器に送るようにしてもよい。
【0015】
第1のイオン電流I1を求める工程は、望ましくは、第1の装置を用いて、第1のイオン電流I1を求め、第1の装置は、(i)質量分析器、(ii)電荷検出器、(iii)電荷誘導装置、(iv)イメージ電流検出器、及び(v)1つ以上の溶離液の吸収プロファイルを求めるように液体クロマトグラフィーシステムと組み合わせた紫外線(UV)検出器、からなる群から選択されることが望ましい。
【0016】
第1のイオン電流I1を求める工程は、(i)以前に取得されたデータ又は質量スペクトルデータを用いる、及び/又は、(ii)以前に取得されたデータ又は質量スペクトルデータに基づき、イオン電流を推定するものでもよい。
【0017】
質量分析の方法が、さらに、求めた第1のイオン電流I1に基づいて減衰係数を算出する工程を備えることが望ましく、減衰装置を制御する工程が、減衰装置により前方に送られるイオンビームを減衰係数で減衰するように減衰装置を設定することが望ましい。
【0018】
減衰装置は、望ましくは、(i)イオンビームを変化、偏向、フォーカス、デフォーカス、減衰、妨害、拡大、縮小、迂回、反射させる静電レンズ、及び/又は、(ii)イオンビームを変化、偏向、フォーカス、デフォーカス、減衰、妨害、拡大、縮小、迂回、反射させる1つ以上の電極、ロッドセット又はイオン光学装置を備える。
【0019】
減衰装置を制御する工程が、低透過動作モードと高透過動作モードとの間で減衰装置を繰り返し切り替えることが望ましく、減衰装置は、時間ΔT1にわたって低透過動作モードに保持され、時間ΔT2にわたって高透過動作モードに保持され、減衰装置のデューティ・サイクルがΔT2/(ΔT1+ΔT2)である。
【0020】
質量分析の方法は、望ましくは、
さらに、第2のイオン電流I2を求める工程と、
求めた第2のイオン電流I2に基づき減衰装置を制御して、減衰装置を透過しイオントラップに移動されたイオンの強度を(第1のレベルと)異なる第2のレベルに設定する工程と、
求めた第2のイオン電流I2と実質的に独立な第2の一定時間T2にわたって、イオントラップ内にイオンを蓄積させる工程と、を備え、
時間T1は時間T2に等しい、又は、ほぼ等しい。
【0021】
質量分析の方法は、望ましくは、
さらに、第3のイオン電流I3を求める工程と、
求めた第3のイオン電流I3に基づき減衰装置を制御して、減衰装置を透過しイオントラップに移動されたイオンの強度を(第1のレベル及び第2のレベルと)異なる第3のレベルに設定する工程と、
求めた第3のイオン電流I3と実質的に独立な第3の一定時間T3にわたって、イオントラップ内にイオンを蓄積させる工程と、を備え、
時間T1は時間T2に等しい、又は、ほぼ等しく、時間T2は時間T3に等しい、又は、ほぼ等しい。
【0022】
質量分析の方法は、望ましくは、
さらに、第4のイオン電流I4を求める工程と、
求めた第4のイオン電流I3に基づき減衰装置を制御して、減衰装置を透過しイオントラップに移動されたイオンの強度を(第1のレベル、第2のレベル及び第3のレベルと)異なる第4のレベルに設定する工程と、
求めた第4のイオン電流I4と実質的に独立な第4の一定時間T4にわたって、イオントラップ内にイオンを蓄積させる工程と、を備え、
時間T1は時間T2に等しい、又は、ほぼ等しく、時間T2は時間T3に等しい、又は、ほぼ等しく、時間T3は時間T4に等しい、又は、ほぼ等しい。
【0023】
質量分析の方法は、望ましくは、さらに、減衰装置の上流側及び/又は下流側に、イオン蓄積装置又はイオントラップを配置する工程を備える。
【0024】
イオン蓄積装置又はイオントラップは、望ましくは、(i)使用時にイオンを透過させる少なくとも1つの開口部を各々有する複数の電極を備えるイオントンネル型又はイオンファネル型イオントラップ、(ii)多極ロッドセット、(iii)軸方向にセグメント化された多極ロッドセット、及び(iv)イオン移動平面内にほぼ配置される複数の平板電極、からなる群から選択される。
【0025】
イオン蓄積装置又はイオントラップは、望ましくは、第1の上流側イオン蓄積領域と第2の下流側イオン蓄積領域とを備え、動作モードにおいて、(i)第1の上流側イオン蓄積領域の入口側に配置された電極に直流(DC)又はRF(高周波)ポテンシャル障壁を印加して、イオン蓄積装置又はイオントラップへのこれ以上のイオンの入射を防ぐ、及び/又は、(ii)第1の上流側イオン蓄積領域と第2の下流側イオン蓄積領域との間に配置される電極に直流又はRFポテンシャル障壁を印加して、第1の上流側イオン蓄積領域から第2の下流側イオン蓄積領域へのイオンの移動を防ぐ、及び/又は、(iii)第2の下流側イオン蓄積領域の出口に配置された電極に直流又はRFポテンシャル障壁を印加して、イオン蓄積装置又はイオントラップからのイオンの出射を防ぐ。
【0026】
一実施形態において、イオン蓄積装置又はイオントラップにイオンが蓄積された後、イオン蓄積装置又はイオントラップを作動させて、不要な質量又は質量対電荷比を有する少なくとも一部のイオンを、質量選択的に、又は、質量対電荷比選択的に、除去又は減衰するようにしてもよい。
【0027】
一実施形態において、質量選択的に、又は、質量対電荷比選択的に、イオン蓄積装置又はイオントラップからイオンを放出させる、又は、前方にイオンを送り出すようにしてもよい。
【0028】
本発明の一つの態様は、質量分析計であって、
減衰装置と、
減衰装置の下流側に配置されるイオントラップと、
制御システムと、を備え、
制御システムが、
(i)第1のイオン電流I1を求め、
(ii)求めた第1のイオン電流I1に基づき減衰装置を制御して、減衰装置を透過しイオントラップに移動されたイオンの強度を第1のレベルに設定し、
(iii)求めた第1のイオン電流I1と実質的に独立な第1の一定時間T1にわたって、イオントラップ内にイオンを蓄積させる。
【0029】
イオントラップは、望ましくは、イオントラップ型質量分析器を備え、質量分析計は、望ましくは、さらに、イオントラップから放出される又はその他の方法でイオントラップから出現するイオンを検出するイオン検出器、を備える。
【0030】
別の実施形態において、質量分析計が、さらに、イオントラップの下流側に配置される質量分析器を備え、使用時に、イオンが、イオントラップから放出され、又は、イオントラップから出現し、質量分析器に送られるようにしてもよい。
【0031】
質量分析計は、望ましくは、さらに、質量分析計内のイオン電流を求める第1の装置を備える。
【0032】
第1の装置は、(i)質量分析器、(ii)電荷検出器、(iii)電荷誘導装置、(iv)イメージ電流検出器、及び(v)1つ以上の溶離液の吸収プロファイルを求めるように液体クロマトグラフィーシステムと組み合わせた紫外線(UV)検出器、からなる群から選択されることが望ましい。
【0033】
減衰装置は、望ましくは、(i)イオンビームを変化、偏向、フォーカス、デフォーカス、減衰、妨害、拡大、縮小、迂回、反射させる静電レンズ、及び/又は、(ii)イオンビームを変化、偏向、フォーカス、デフォーカス、減衰、妨害、拡大、縮小、迂回、反射させる1つ以上の電極、ロッドセット又はイオン光学装置を備える。
【0034】
減衰装置は、低透過動作モードと高透過動作モードとの間で繰り返し切り替えられることが望ましく、減衰装置は、時間ΔT1にわたって低透過動作モードに保持され、時間ΔT2にわたって高透過動作モードに保持され、減衰装置のデューティ・サイクルがΔT2/(ΔT1+ΔT2)である。
【0035】
低透過動作モードにおけるイオンビームの透過率は望ましくは0%であり、一方、高透過動作モードにおけるイオンビームの透過率は望ましくは100%である。イオンビーム減衰器から出射されるイオンビームの平均イオンビーム強度が、イオンビーム減衰器に入射されるイオンビームの平均イオンビーム強度よりも低いことが望ましい。
【0036】
求めた第1のイオン電流I1、第2のイオン電流I2、第3のイオン電流I3又は第4のイオン電流I4に基づき、イオンビームを減衰させる必要がないと判断される場合もあり、この場合には、イオンビーム減衰器は、実質的にイオンビームを減衰させることなく、イオンを透過させる。
【0037】
一実施形態において、質量分析計は、さらに、減衰装置の上流側及び/又は下流側に配置されるイオン蓄積装置又はイオントラップを備える。
【0038】
一実施形態において、イオン蓄積装置又はイオントラップが、(i)使用時にイオンを透過させる少なくとも1つの開口部を各々有する複数の電極を備えるイオントンネル型又はイオンファネル型イオントラップ、(ii)多極ロッドセット、(iii)軸方向にセグメント化された多極ロッドセット、及び(iv)イオン移動平面内にほぼ配置される複数の平板電極、からなる群から選択される。
【0039】
イオン蓄積装置又はイオントラップは、望ましくは、第1の上流側イオン蓄積領域と第2の下流側イオン蓄積領域とを備え、動作モードにおいて、(i)第1の上流側イオン蓄積領域の入口側に配置された電極に直流(DC)又はRF(高周波)ポテンシャル障壁を印加して、イオン蓄積装置又はイオントラップへのこれ以上のイオンの入射を防ぐ、及び/又は、(ii)第1の上流側イオン蓄積領域と第2の下流側イオン蓄積領域との間に配置される電極に直流又はRFポテンシャル障壁を印加して、第1の上流側イオン蓄積領域から第2の下流側イオン蓄積領域へのイオンの移動を防ぐ、及び/又は、(iii)第2の下流側イオン蓄積領域の出口側に配置された電極に直流又はRFポテンシャル障壁を印加して、イオン蓄積装置又はイオントラップからのイオンの出射を防ぐ。
【0040】
イオン蓄積装置又はイオントラップにイオンが蓄積された後、イオン蓄積装置又はイオントラップを動作モードで作動させて、不要な質量又は質量対電荷比を有する少なくとも一部のイオンを、質量選択的に、又は、質量対電荷比選択的に、除去又は減衰するようにしてもよい。
【0041】
動作モードにおいて、質量選択的に、又は、質量対電荷比選択的に、イオン蓄積装置又はイオントラップからイオンを放出させる、又は、前方にイオンを送り出すようにしてもよい。
【0042】
本発明の一つの態様は、減衰装置と減衰装置の下流側に配置されるイオントラップとを備える質量分析計の制御システムにより実行可能なコンピュータプログラムであって、
制御システムにより、
(i)第1のイオン電流I1を求め、
(ii)求めた第1のイオン電流I1に基づき減衰装置を制御して、減衰装置を透過しイオントラップに移動されたイオンの強度を第1のレベルに設定し、
(iii)求めた第1のイオン電流I1と実質的に独立な第1の一定時間T1にわたって、イオントラップ内にイオンを蓄積させる。
【0043】
本発明の一つの態様は、コンピュータで実行可能な命令が記憶されたコンピュータ読み取り可能な媒体であって、
命令は、減衰装置と減衰装置の下流側に配置されるイオントラップとを備える質量分析計の制御システムにより実行可能であり、
制御システムにより、
(i)第1のイオン電流I1を求め、
(ii)求めた第1のイオン電流I1に基づき減衰装置を制御して、減衰装置を透過しイオントラップに移動されたイオンの強度を第1のレベルに設定し、
(iii)求めた第1のイオン電流I1と実質的に独立な第1の一定時間T1にわたって、イオントラップ内にイオンを蓄積させる。
【0044】
コンピュータ読み取り可能な媒体は、望ましくは、(i)ROM、(ii)EAROM、(iii)EPROM、(iv)EEPROM、(v)フラッシュメモリ、(vi)光ディスク、(vii)RAM、及び(viii)ハードディスクからなる群から選択される。
【0045】
本発明の一つの態様は、質量分析の方法であって、
イオン電流を求める工程と、
求めたイオン電流に依存する変数量だけイオンビームを減衰させる工程と、
減衰させたイオンビームをイオントラップに移動させ、求めたイオン電流に実質的に独立な時間にわたって、イオントラップ内にイオンを蓄積させる工程と、を備える。
【0046】
本発明の一つの態様は、質量分析計であって、
イオン電流を求める装置と、
求めたイオン電流に依存する変数量だけイオンビームを減衰させる装置と、
イオントラップと、を備え、
使用時に、減衰させたイオンビームがイオントラップに移動し、求めたイオン電流に実質的に独立な時間にわたって、イオントラップ内にイオンが蓄積される。
【0047】
本発明の一つの態様は、イオントラップにイオンを蓄積させる方法であって、
イオントラップ内に入る前にイオンビームを減衰させるための減衰係数を変化させる工程を備え、
減衰係数は求めたイオン電流に依存する一方、イオントラップの充填時間は、ほぼ一定に保持され、求めたイオン電流とは独立である。
【0048】
本発明の一つの態様は、質量分析計であって、
使用時にイオンを蓄積させるイオントラップと、
イオントラップ内に入る前にイオンビームを減衰させるための減衰係数を変化させる制御システムと、を備え、
減衰係数は求めたイオン電流に依存する一方、イオントラップの充填時間は、ほぼ一定に保持され、求めたイオン電流とは独立である。
【0049】
本発明の一つの態様は、イオンを蓄積させる方法であって、
イオントラップ又は質量分析器に入る前にイオンビームを減衰させるための減衰係数を変化させる工程を備え、
減衰係数は、求めたイオン電流に依存する。
【0050】
イオントラップ又は質量分析器は、望ましくは、(i)四重極質量分析器、(ii)2次元又はリニア四重極質量分析器、(iii)ポール(Paul)トラップ型又は3次元四重極質量分析器、(iv)ペニング(Penning)トラップ型質量分析器、(v)イオントラップ型質量分析器、(vi)磁場型質量分析器、(vii)イオンサイクロトロン共鳴(Ion Cyclotron Resonance:ICR)質量分析器(viii)フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴(Fourier Transform Ion Cyclotron Resonance:FTICR)質量分析器、(ix)静電またはオービトラップ(RTM)型質量分析器、(x)フーリエ変換(Fourier Transform)静電又はオービトラップ型質量分析器、(xi)フーリエ変換(Fourier Transform)質量分析器、(xii)飛行時間型(Time of Flight)質量分析器、(xiii)直交加速飛行時間型(Time of Flight)質量分析器、及び(xiv)線形加速飛行時間型(Time of Flight)質量分析器、からなる群から選択される。
【0051】
本発明の一つの態様は、質量分析計であって、
イオントラップ又は質量分析器と、
イオントラップ又は質量分析器に入る前にイオンビームを減衰させるための減衰係数を変化させる制御システムと、を備え、
減衰係数は、求めたイオン電流に依存する。
【0052】
イオントラップ又は質量分析器は、(i)四重極質量分析器、(ii)2次元又はリニア四重極質量分析器、(iii)ポール(Paul)トラップ型又は3次元四重極質量分析器、(iv)ペニング(Penning)トラップ型質量分析器、(v)イオントラップ型質量分析器、(vi)磁場型質量分析器、(vii)イオンサイクロトロン共鳴(Ion Cyclotron Resonance:ICR)質量分析器(viii)フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴(Fourier Transform Ion Cyclotron Resonance:FTICR)質量分析器、(ix)静電またはオービトラップ(RTM)型質量分析器、(x)フーリエ変換(Fourier Transform)静電又はオービトラップ型質量分析器、(xi)フーリエ変換(Fourier Transform)質量分析器、(xii)飛行時間型(Time of Flight)質量分析器、(xiii)直交加速飛行時間型(Time of Flight)質量分析器、及び(xiv)線形加速飛行時間型(Time of Flight)質量分析器、からなる群から選択される。
【0053】
本発明の好適な実施形態は、減衰装置を備える質量分析計である。減衰装置は、望ましくは、入射イオンビームを減衰し、好ましくは減衰装置の下流側に配置されるイオントラップ、イオントラップ型質量分析器、又はその他の質量分析器内に所定数のイオンを蓄積させる。イオンは、所定のほぼ一定の時間にわたって、イオントラップ、イオントラップ型質量分析器、又はその他の質量分析器内に蓄積されることが望ましい。イオントラップ、イオントラップ型質量分析器、又はその他の質量分析器の充填時間は、求めたイオンビーム電流に対して不変であることが望ましい。これは、イオントラップ型質量分析器の充填時間が求めたイオンビーム電流に左右されて変動する従来の質量分析計と対照的である。
【0054】
好適な実施形態では、イオン電流を求めて、入射イオンビームを減衰させるための減衰係数を算出し、イオントラップ又はイオントラップ型質量分析器内に所定のイオン集団を蓄積させる。従来の技術とは異なり、ほぼ一定の所定時間にわたって、イオンがイオントラップ型質量分析器内に蓄積されることが望ましい。イオントラップ型質量分析器の充填時間は、ほぼ不変であり、求めたイオンビーム強度に左右されないことが望ましい。
【0055】
さまざまな手段でイオンビームを減衰させることができる。たとえば、1つ以上の電極を備える静電装置を用いて、イオンビームを変化、偏向、フォーカス、デフォーカス、減衰又は実質的に妨害することができる。
【0056】
本発明の実施形態では、質量分析計及びイオントラップ型質量分析器をほぼ一定のサイクルタイムで稼働できる、という大きな効果が得られる。所定の実験では、サイクルタイムが変動しないことが好ましい。これにより、クロマトグラフのピークにわたって既知の数のデータ点を取得することが可能になる。
【0057】
また、本発明の実施形態では、平均化させたイオン蓄積が可能である、という効果も得られる。本発明の実施形態では、比較的短期間ではなく、ほぼ連続的にイオンビームをサンプリングすることができる。この結果、入射イオン電流の変動を平均化することができる。
【0058】
さらに、本発明の実施形態では、イオントラップ又はイオントラップ型質量分析器の上流側に配置される別のイオントラップにイオンを蓄積可能である、という効果も得られる。別のイオントラップとして、イオントンネル型イオントラップを用いることも望ましい。これにより、イオンを別のイオントラップに貯蔵すると共に、下流側の分析用イオントラップ又はイオントラップ型質量分析器でイオンの質量分析を行ない、イオンを放出させることができる。これに対して、従来は、上流側イオントラップに蓄積されたイオンを下流側イオントラップ型質量分析器の算出された充填時間にわたって放出すると、主に、上流側イオントラップから定常的な一定の流れとしてではなく、最初に急激にイオンが放出されることにより、下流側の分析用イオントラップ型質量分析器には不正確の数のイオンが入射される場合があった。
【0059】
また、本発明の実施形態では、上述した方法でイオンビームを減衰することにより、イオン電流の時間変動に質量分析計が影響を受けない、という効果も得られる。したがって、イオンの蓄積とイオン集団の制御を組み合わせて、イオントラップ、イオントラップ型質量分析器、又はその他の質量分析器に所定数のイオンを充填するのに必要な時間を最小限に抑えることができる。
【0060】
別のイオントラップは、イオントラップ、イオントラップ型質量分析器、又はその他の質量分析器の上流側に配置することが望ましい。この場合、別のイオントラップとして、イオントンネル型イオントラップを用いることも望ましい。イオントンネル型イオントラップは、望ましくは、使用時にイオンを透過させる少なくとも1つの開口部を各々有する複数の電極を備える。
【0061】
一つの実施形態において、質量分析計が、さらに、イオントンネル型イオントラップを形成する複数の電極の少なくとも一部に1つ以上の過渡直流電圧若しくは電位又は1つ以上の過渡直流電圧波形若しくは電位波形を印加する過渡直流電圧装置を備えるものでもよい。過渡直流電圧装置は、望ましくは、イオントンネル型イオントラップの全長の少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は100%に沿って少なくとも一部のイオンを駆り立てる、押し出す、駆動する、又は、推進させることが望ましい。
【0062】
イオントンネル型イオントラップは、望ましくは、入口領域と中央領域と出口領域とを備え、使用時に、(i)>100mbar、(ii)>10mbar、(iii)>1mbar、(iv)>0.1mbar、(v)>10-2mbar、(vi)>10-3mar、(vii)>10-4mbar、(viii)>10-5mbar、(ix)>10-6mbar、(x)<100mbar、(xi)<10mbar、(xii)<1mbar、(xiii)<0.1mbar、(xiv)<10-2mbar、(xv)<10-3mar、(xvi)<10-4mbar(xvii)<10-5mbar、(xviii)<10-6mbar、(xix)10〜100mbar、(xx)1〜10mbar、(xxi)0.1〜1mbar、(xxii)10-2〜10-1mbar、(xxiii)10-3〜10-2mbar、(xxiv)10-4〜10-3mbar、及び(xxv)10-5〜10-4mbar、からなる群から選択される圧力に、入口領域、及び/又は、中央領域、及び/又は、出口領域を保持することが望ましい。
【0063】
別のイオントラップ又はイオン蓄積装置は、(i)イオントンネル型又はイオンファネル型イオンガイド、(ii)多極ロッドセット型イオンガイド、(iii)軸方向にセグメント化された多極ロッドセット型イオンガイド、又は(iv)イオン移動平面内にほぼ配置される複数の平板電極のいずれかを備えることが望ましい。
【0064】
別のイオントラップ又はイオン蓄積装置は、望ましくは、さらに、別のイオントラップ又はイオン蓄積装置が備える電極に交流(AC)電圧又はRF(高周波)電圧を供給する装置を備える。交流電圧又はRF電圧は、望ましくは、(i)50Vより小さいピークピーク値(peak to peak)、(ii)50〜100Vのピークピーク値、(iii)100〜150Vのピークピーク値、(iv)150〜200Vのピークピーク値、(v)200〜250Vのピークピーク値、(vi)250〜300Vのピークピーク値、(vii)300〜350Vのピークピーク値、(viii)350〜400Vのピークピーク値、(ix)400〜450Vのピークピーク値、(x)450〜500Vのピークピーク値、及び(xi)500Vより大きなピークピーク値、からなる群から選択される振幅を有する。
【0065】
交流電圧又はRF電圧は、望ましくは、(i)100kHz未満、(ii)100〜200kHz、(iii)200〜300kHz、(iv)300〜400kHz、(v)400〜500kHz、(vi)0.5〜1.0MHz、(vii)1.0〜1.5MHz、(viii)1.5〜2.0MHz、(ix)2.0〜2.5MHz、(x)2.5〜3.0MHz、(xi)3.0〜3.5MHz、(xii)3.5〜4.0MHz、(xiii)4.0〜4.5MHz、(xiv)4.5〜5.0MHz、(xv)5.0〜5.5MHz、(xvi)5.5〜6.0MHz、(xvii)6.0〜6.5MHz、(xviii)6.5〜7.0MHz、(xix)7.0〜7.5MHz、(xx)7.5〜8.0MHz、(xxi)8.0〜8.5MHz、(xxii)8.5〜9.0MHz、(xxiii)9.0〜9.5MHz、(xxiv)9.5〜10.0MHz、及び(xxv)10.0MHzより大きな値、からなる群から選択される周波数を有する。
【0066】
一つの実施形態において、質量分析計は、望ましくは、さらに、(i)エレクトロスプレーイオン化(Electrospray ionization: ESI)イオン源、(ii)大気圧光イオン化(Atmospheric Pressure Photo Ionization: APPI)イオン源、(iii)大気圧化学イオン化(Atmospheric Pressure Chemical Ionization: APCI)イオン源、(iv)マトリックス支援レーザー脱離イオン化(Matrix Assisted Laser Desorption Ionization: MALDI)イオン源、(v)レーザー脱離イオン化(Laser Desorption Ionization: LDI)イオン源、(vi)大気圧イオン化(Atmospheric Pressure Ionization: API)イオン源、(vii)シリコンを用いた脱離イオン化(Desorption Ionization on Silicon: DIOS)イオン源、(viii)電子衝撃(Electron Impact: EI)イオン源、(ix)化学イオン化(Chemical Ionization: CI)イオン源、(x)電界イオン化(Field Ionization: FI)イオン源、(xi)電界脱離(Field Desorption: FD)イオン源、(xii)誘導結合プラズマ(Inductively Coupled Plasma: ICP)イオン源、(xiii)高速原子衝撃(Fast Atom Bombardment: FAB)イオン源、(xiv)液体二次イオン質量分析(Liquid Secondary Ion Mass Spectrometry: LSIMS)イオン源、(xv)脱離エレクトロスプレーイオン化(Desorption Electrospray Ionization: DESI)イオン源、(xvi)ニッケル−63放射性イオン源、(xvii)大気圧マトリックス支援レーザー脱離イオン化(Atmospheric Pressure Matrix Assisted Laser Desorption Ionization: APMALDI)イオン源、(xviii)サーモスプレーイオン源、(xix)大気サンプリンググロー放電イオン化(Atmospheric Sampling Glow Discharge Ionization: ASGDI)イオン源、(xx)グロー放電(Glow Discharge: GD)イオン源、(xxi)低大気圧エレクトロスプレーイオン化イオン源、及び(xxii)DART(リアルタイム直接質量分析:Direct Analysis in Real Time)イオン源、からなる群から選択される1つ以上のイオン源を備える。
【0067】
質量分析計が、さらに、1つ以上の連続又はパルスイオン源を備えていてもよい。
【0068】
質量分析計が、さらに、1つ以上のイオンガイドを備えていてもよい。
【0069】
一つの実施形態において、質量分析計が、さらに、1つ以上のイオン移動度分離装置、及び/又は、電界非対称イオン移動度分光計(Field Asymmetric Ion Mobility Spectrometer: FAIMS)を備えていてもよい。
【0070】
質量分析計が、さらに、1つ以上のイオントラップ又は1つ以上のイオントラップ領域を備えていてもよい。
【0071】
一つの実施形態において、質量分析計が、さらに、(i)衝突誘起解離(Collisional Induced Dissociation: CID)フラグメンテーション装置、(ii)表面誘起解離(Surface Induced Dissociation: SID)フラグメンテーション装置、(iii)電子移動解離(Electron Transfer Dissociation: ETD)フラグメンテーション装置、(iv)電子捕獲解離(Electron Capture Dissociation: ECD)フラグメンテーション装置、(v)電子衝突(Electron Collision)又は電子衝撃解離(Electron Impact Dissociation)フラグメンテーション装置、(vi)光誘起解離(Photo Induced Dissociation: PID)フラグメンテーション装置、(vii)レーザー誘起解離(Laser Induced Dissociation)フラグメンテーション装置、(viii)赤外線誘起解離装置、(ix)紫外線誘起解離装置、(x)ノズル・スキマー・インターフェース・フラグメンテーション装置、(xi)インソースフラグメンテーション装置、(xii)インソース衝突誘起解離(Collision Induced Dissociation)フラグメンテーション装置、(xiii)熱源又は温度源フラグメンテーション装置、(xiv)電場誘起フラグメンテーション装置、(xv)磁場誘起フラグメンテーション装置、(xvi)酵素消化又は酵素分解フラグメンテーション装置、(xvii)イオン−イオン反応フラグメンテーション装置、(xviii)イオン−分子反応フラグメンテーション装置、(xix)イオン−原子反応フラグメンテーション装置、(xx)イオン−準安定イオン反応フラグメンテーション装置、(xxi)イオン−準安定分子反応フラグメンテーション装置、(xxii)イオン−準安定原子反応フラグメンテーション装置、(xxiii)イオンの反応により付加イオン又はプロダクトイオン(生成イオン)を形成するイオン−イオン反応装置、(xxiv)イオンの反応により付加イオン又はプロダクトイオンを形成するイオン−分子反応装置、(xxv)イオンの反応により付加イオン又はプロダクトイオンを形成するイオン−原子反応装置、(xxvi)イオンの反応により付加イオン又はプロダクトイオンを形成するイオン−準安定イオン反応装置、(xxvii)イオンの反応により付加イオン又はプロダクトイオンを形成するイオン−準安定分子反応装置、(xxviii)イオンの反応により付加イオン又はプロダクトイオンを形成するイオン−準安定原子反応装置、及び(xxix)電子イオン化解離(Electron Ionization Dissociation: EID)フラグメンテーション装置、からなる群から選択される1つ以上の衝突セル、フラグメンテーション(断片化)セル、又は反応セルを備えていてもよい。
【0072】
衝突セル、フラグメンテーション(断片化)セル、又は反応セルは、別のイオントラップ又はイオン蓄積装置及び/又は減衰装置の上流側、及び/又は、下流側に配置されるものでもよい。
【0073】
一つの実施形態において、質量分析計が、さらに、(i)四重極質量分析器、(ii)2次元又はリニア四重極質量分析器、(iii)ポール(Paul)トラップ型又は3次元四重極質量分析器、(iv)ペニング(Penning)トラップ型質量分析器、(v)イオントラップ型質量分析器、(vi)磁場型質量分析器、(vii)イオンサイクロトロン共鳴(Ion Cyclotron Resonance: ICR)質量分析器(viii)フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴(Fourier Transform Ion Cyclotron Resonance: FTICR)質量分析器、(ix)静電またはオービトラップ(RTM)型質量分析器、(x)フーリエ変換(Fourier Transform)静電又はオービトラップ型質量分析器、(xi)フーリエ変換(Fourier Transform)質量分析器、(xii)飛行時間型(Time of Flight: TOF)質量分析器、(xiii)直交加速飛行時間型(Time of Flight)質量分析器、及び(xiv)線形加速飛行時間型(Time of Flight)質量分析器、からなる群から選択される質量分析器を備えていてもよい。
【0074】
一つの実施形態において、質量分析計が、さらに、1つ以上のエネルギー分析器又は静電エネルギー分析器を備えるものでもよい。
【0075】
一つの実施形態において、質量分析計が、さらに、1つ以上のイオン検出器を備えるものでもよい。
【0076】
一つの実施形態において、質量分析計が、さらに、(i)四重極マスフィルタ、(ii)2次元又はリニア四重極イオントラップ、(iii)ポール(Paul)又は3次元四重極イオントラップ、(iv)ペニング(Penning)イオントラップ、(v)イオントラップ、(vi)磁気セクタ型マスフィルタ、(vii)飛行時間型(Time of Flight: TOF)マスフィルタ、及び(viii)ウィーン(Wien)フィルタ、からなる群から選択される1つ以上のマスフィルタを備えるものでもよい。
【0077】
一つの実施形態において、質量分析計が、さらに、減衰装置に対して、及び/又は、イオントラップ、イオントラップ型質量分析器、又はその他の質量分析器に対して、イオンをパルス状にする装置又はイオンゲートを備えるものでもよい。
【0078】
一つの実施形態において、質量分析計が、さらに、実質的に連続的なイオンビームをパルスイオンビームに変換する装置を備えるものでもよい。
【0079】
一つの実施形態において、質量分析計が、さらに、C型トラップと、外側たる形電極及び同軸の内側紡錘形電極を備える質量分析器と、を備えるようにしてもよい。ここで、第1の動作モードにおいて、イオンは、C型トラップに送られ、次に、質量分析器に注入される。第2の動作モードにおいて、イオンは、C型トラップに、次に、衝突セル又は電子移動解離(Electron Transfer Dissociation)装置に送られて、少なくとも一部のイオンがフラグメント(断片)イオンにフラグメント化(断片化)される。フラグメントイオンは、望ましくは、C型トラップに送られた後、質量分析器に注入される。
【0080】
一つの実施形態において、質量分析計が、さらに、使用時にイオンを透過させる開口部を各々有する複数の電極を備える積層リング型イオンガイドを備えるようにしてもよい。ここで、電極間の間隔は、イオン通路の長さ方向に沿って、増大するものでもよいし、減少するものでもよい。イオンガイドの上流部に配置される電極の開口部が第1の直径を有する一方で、イオンガイドの下流部に配置される電極の開口部が望ましくは第1の直径よりも小径の第2の直径を有するものでもよい。使用時に、隣り合う電極に、交流電圧又はRF電圧の逆位相を印加することが望ましい。
【0081】
以下、例示を目的として、本発明のさまざまな実施形態や実施例を添付の図面を参照して詳述する。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の一実施例において、質量分析計を稼働する方法を示す図。
【図2A】本発明の一実施例において、イオンビーム減衰装置を高透過動作モードで作動させた際にイオンビームが透過される様子を示す図。
【図2B】本発明の一実施例において、イオンビーム減衰装置を低透過動作モードで作動させた際に最終段の電極上でイオンビームが拡大される様子を示す図。
【図2C】本発明の一実施例において、イオンビーム減衰装置を低透過動作モードで作動させた際に最終段の電極に形成された開口部でイオンビームが偏向する様子を示す図。
【図3A】別の実施例において、イオンビーム減衰装置を高透過動作モードで作動させた際にイオンビームが透過される様子を示す図。
【図3B】別の実施例において、イオンビーム減衰装置を低透過動作モードで作動させた際に電極上でイオンビームが反射される様子を示す図。
【図3C】別の実施例において、イオンビーム減衰装置を低透過動作モードで作動させた際にイオンビームが電極上で偏向される様子を示す図。
【図4】本発明の一実施例において、図3Aないし図3Cに示す減衰装置の電圧タイミングチャート。
【図5】本発明の実施例において、イオントラップと、イオンビーム減衰器と、イオントラップ及びイオンビーム減衰器の下流側に配置されるイオントラップ型質量分析器と、を備える質量分析計を示す図。
【図6A】イオンガイドと、四重極マスフィルタと、衝突セルと、四重極イオントラップ型質量分析器と、を備える従来の質量分析計を示す図。
【図6B】四重極イオントラップ型質量分析器によるイオンの質量分析の様子を示す図。
【図6C】質量分析計がプレスキャン動作モードで作動される様子を示す図。
【図6D】所定時間にわたって四重極イオントラップ型質量分析器にイオンが蓄積される様子を示す図。
【図6E】四重極イオントラップ型質量分析器にトラップされたイオンが、質量分析にかけられる前にイオントラップ型質量分析器内で熱冷却される様子を示す図。
【図6F】四重極イオントラップ型質量分析器におけるイオンの2回目の分析スキャンを示す図。
【図7A】イオンガイドと、四重極マスフィルタと、上流側トラップ領域及び下流側トラップ領域に分けられるイオントンネル型イオントラップと、イオンビーム減衰器と、四重極イオントラップ型質量分析器と、を備える好適な実施例における質量分析計を示す図。
【図7B】イオントンネル型イオントラップの下流側トラップ領域内にイオンがトラップされると共に、四重極イオントラップ型質量分析器で分析スキャンが実行される様子を示す図。
【図7C】四重極イオントラップ型質量分析器で分析スキャンが完了した後の質量分析計の様子を示す図。
【図7D】イオントンネル型イオントラップの下流側トラップ領域からイオンが放出され、イオンビーム減衰器を介して四重極イオントラップ型質量分析器に送られる様子を示す図。
【図7E】イオントンネル型イオントラップの上流側トラップ領域からイオンが放出され、イオントンネル型イオントラップの出口側に移動する様子を示す図。
【図7F】次のサイクルの開始時に、イオンがイオントンネル型イオントラップ内に蓄積される様子を示す図。
【図8A】図6Aないし図6Fに関して説明した従来の質量分析計を用いて、比較的長い可変充填時間で実験を行なった場合のサイクルタイムを示す図。
【図8B】図7Aないし図7Fに関して説明した本発明の好適な実施例における質量分析計を用いて、より短い一定の充填時間で同様の実験を行なった場合のサイクルタイムを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0083】
以下の説明では、一般的な用語「イオントラップ」を用いているが、この用語には、以下に限定されるものではないが、3次元又はポール(Paul)型イオントラップ、2次元又はリニアイオントラップ、オービトラップ(RTM)型機器及びFTICR機器等のイオントラップが含まれる。
【0084】
本発明の第一の好適な実施例を図1を参照して詳述する。第1のステップ1で、質量分析計の或る領域又は或る部分内のイオン電流を求める。この場合、種々の方法でイオン電流を求めることができる。たとえば、一実施例において、四重極マスフィルタ(quadrupole mass filter: QMF)、飛行時間型(Time of Flight: TOF)質量分析器、直交加速飛行時間型(orthogonal acceletion Time of Flight: oa-TOF)質量分析器、3次元又はポール(Paul)型イオントラップ、2次元又はリニアイオントラップ、オービトラップ(RTM)型質量分析器、又はFTICR質量分析器等の質量分析器を用いて、イオンビームの質量分析を行なうものでもよい。また別の実施例において、ファラデーカップ検出器、マイクロチャネルプレート(microchannel plate: MCP)検出器、電子増倍管検出器、ガス電子増倍管(gas electron multiplier: GEM)検出器、又は電荷誘導検出器等の電荷検出器を用いて、総イオン電流を直接測定するようにしてもよい。さらに別の実施例において、電荷誘導に基づく検出やイメージ電流検出等非破壊的な手段でイオン電流を間接的に測定してもよい。また別の実施例において、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)やUHPLC(超高速液体クロマトグラフィー)システムと組み合わせて紫外線検出器を用いて、1つ以上の溶離液の吸収プロファイルを測定する等、外部手段によって入射イオン電流の予備的知識を求めるようにしてもよい。さらに別の実施例において、以前に取得された質量スペクトルやイオン電流測定値を用いるようにしてもよい。
【0085】
イオン電流を求める第1のステップ1において、測定前にイオントラップに所定の蓄積時間にわたってイオンを蓄積するようにしてもよいし、そうでなくてもよい。また、イオン電流を求める第1のステップ1が、必要に応じて、イオン電流を測定する前にイオンをフラグメント化(断片化)するフラグメンテーション(断片化)工程を備えるものでもよい。さらに、イオン電流を求める第1のステップ1が、イオン電流を測定する前に、選択された1つ又は複数の質量対電荷比を有するイオンを除くすべてのイオンをイオンビームから放出させる単離/フィルタリング工程を備えるものでもよい。
【0086】
第2のステップ2において、以下の関係式を用いて、減衰係数を計算する、又は、求める。
【0087】
【数1】

【0088】
第3のステップ3において、求めた減衰係数を減衰装置に適用する、あるいは、減衰係数を用いて減衰装置を制御する。減衰装置は、少なくとも1つの電極を有する静電装置を備えることが望ましい。減衰装置を用いて、イオンビームを変化、偏向、フォーカス、デフォーカス、減衰又は実質的に妨害するようにしてもよい。
【0089】
第4のステップにおいて、イオン電流の測定値とは独立に同じ状態に保たれる一定の時間にわたって、イオントラップ又はイオントラップ型質量分析器にイオンを蓄積する。イオントラップ又はイオントラップ型質量分析器は、減衰装置の下流側に配置されることが望ましい。また、望ましくは、イオントラップ又はイオントラップ型質量分析器に、求めた減衰係数で減衰装置により減衰されたイオンビームが入力される。あるいは、減衰装置と蓄積装置とを組み合わせて1つの装置又は1つのイオン光学部品に統合するようにしてもよい。
【0090】
好適な実施例において、イオントラップの質量分析機能を作動させて、イオントラップ又はイオントラップ型質量分析器内に蓄積されたイオンの質量分析を行なうようにしてもよい。あるいは、イオントラップから質量分析を行なう他の装置にイオンを移動するようにしてもよい。
【0091】
図2Aないし図2Cに、本発明の一実施例においてイオンビームを減衰するために用いられるイオンビーム減衰装置の例を示す。図2Aに、3つの電極6、7及び8からなる静電レンズと開口部を有する出口プレート9とをイオンビーム5が通過する例を示す。図2Bに示す例では、静電レンズ6、7及び8によりイオンビームのプロファイルを拡大させることにより、出口プレート9を透過したイオンビームの強度が低減する。また、図2Cに示す例では、電極6、7及び8によりイオンビーム5の最初の移動方向からイオンビーム5を偏向させることにより、イオンビーム5の一部だけが出口プレート9の開口部を前方に透過する。
【0092】
図3Aないし図3Cに、本発明の別の実施例においてイオンビームを減衰するために用いられるイオンビーム減衰装置の別の例を示す。図3Aに示す高透過動作モードでは、イオンビーム5が、3対の電極10、11及び12を通過後、開口部を備える最終段の電極13を通過する。高透過動作モードでは、第1の電極対10、第2の電極対11及び第3の電極対12は、すべて同一の公称電圧に維持され、3対の電極10、11及び12により構成される静電レンズ装置10、11、12内に原則的に又は実質的にフィールドフリー領域が形成される。イオンビーム5は、ほぼ減衰されることなく、最終段の電極13を透過する。したがって、減衰装置から出現するイオンビームは、静電レンズ装置10、11、12に最初に入力されたイオンビームとほぼ同じ強度のままである。
【0093】
図3B及び図3Cは、同じ静電レンズ装置10、11、12を低透過動作モードで作動させた様子を示し、電極対10、11及び12に電圧を印加することにより、イオンビーム5を、図3Bに示すように反射させる、又は、図3Cに示すように偏向させる。この場合、イオンビーム5は、最終段の電極13を透過しない。又は、イオンビーム5は最終段の電極13を透過するが、イオンビーム5の強度は実質的に低減される。
【0094】
図4に、図3A及び図3Cを参照して上述した実施例において、電極対10、11及び12の一部又は全部にゲート電圧又は逆電圧を印加した場合の電圧タイミングチャートを示す。ゲート電圧又は逆電圧は、時間T1でオンされて、印加が開始され、電極10、11及び12への印加は時間ΔT1にわたって持続される。時間ΔT1の間は、最終段の電極13に対するイオンビーム5の透過がほぼゼロまで低減される。時間ΔT1が経過後、電極10、11及び12に印加されるゲート電圧又は逆電圧がオフになる。ゲート電圧又は逆電圧は、次の時間ΔT2にわたってオフのまま保持される。時間ΔT2の間は、最終段の電極13に対するイオンビーム5の透過は高いままで、望ましくは100%に、維持される。
【0095】
イオンビーム減衰器を、ΔT2/ΔT1で与えられるマークスペース比を有するパルス透過装置として、作動させるようにしてもよい。また、イオンビームの平均透過率は、ΔT2/(ΔT1+ΔT2)で与えられる装置のデューティサイクルに比例する。図4に示す電圧タイミングチャートでは、マークスペース比は1:9であるため、デューティサイクルは0.1である。したがって、イオンビームは90%減衰される。すなわち、イオンビーム減衰器から出射されるイオンビームの強度は、イオンビーム減衰器に最初に入射されたイオンビームの強度の10%になる。
【0096】
図5に、イオン蓄積装置又はイオントラップ14がイオンビーム減衰器15の上流側に配置される実施例を示す。分析用イオントラップ16(たとえば、イオントラップ型質量分析器)は、イオンビーム減衰器15の下流側に配置される。従来の配置を用いて行なった実験と、一般的な用語で言えば、イオン蓄積装置14と、イオンビーム減衰器15と、イオントラップ又はイオントラップ型質量分析器16とを図5に示すように配置した好適な実施例を用いて行なった実験とを比較することにより、このような配置の効果を以下に説明する。
【0097】
図6Aは、四重極ロッドセットイオンガイド17と、第1の四重極ロッドセットマスフィルタ18と、衝突セル19と、第2の四重極ロッドセットマスフィルタ20と、を備える従来のトリプル四重極質量分析計を示す。第2の四重極ロッドセットマスフィルタ20は、動作モードでリニア・イオントラップとして作動させることができる。図6Bないし図6Fに、この従来の装置を用いて行なった実験の過程を示す。図6Bに示すように、リニア・イオントラップとして動作モードで作動させた第2の四重極ロッドセットマスフィルタ20を用いて、分析スキャンを実行するようにしてもよい。分析スキャンの間、質量分析計に入力されたイオンは、蓄積されることなく、失われる。分析スキャンが完了後、図6Cに示すように、プレスキャンを実行し、入射イオン電流を求めるようにしてもよい。プレスキャンの実行後、適当な(可変)充填時間を計算するようにしてもよい。充填時間は、リニア・イオントラップすなわち第2の四重極ロッドセットマスフィルタ20内にイオンを蓄積可能な時間に該当する。図6Dに、イオントラップとして作動させた第2の四重極ロッドセットマスフィルタ20内にイオンが蓄積される様子を示す。イオントラップ20内に蓄積後、図6Eに示すように、或る時間にわたって、イオントラップ20内でイオンを冷却する。最後に、図6Fに示すように、第2の四重極ロッドセットマスフィルタ20で2回目のイオンの分析スキャンを実行する。
【0098】
図7Aは、本発明の一実施例における質量分析計を示す。質量分析計は、イオンガイド17と、第1のマスフィルタ18と、を備える。ガス衝突セル21、22を第1のマスフィルタ18の下流側に配置し、ガス衝突セル21、22は、望ましくは、動作モードでイオントラップ又はイオン蓄積装置として使用可能な積層リング型イオンガイド(stacked ring ion guide: SRIG)を備える。ガス衝突セル21、22の下流側にイオンビーム減衰器23を配置し、さらに、イオンビーム減衰器23の下流側にリニア・イオントラップ20を配置することが望ましい。図7Aないし図7Fは、図6Aないし図6Fに関連して上述した実験と同様の実験を本発明の実施例に従って行なった過程を示す。
【0099】
積層リング型イオンガイド21、22は、望ましくは、使用時にイオンを透過可能な開口部を各々備える一連のリングプレート又はリング電極から形成される。RF電圧の逆位相を隣接する電極に印加することにより、装置内部に径方向にイオンを閉じ込める作用をする径方向の疑似ポテンシャル井戸が生成される。積層リング型イオンガイド21、22の電極に1つ以上の過渡直流(DC)パルス又は電圧を印加することにより、イオンガイド21、22に沿って直流電圧パルスの進行波又は進行パルス列が移動し、イオンガイド21、22の一部から他の部分にイオンが輸送される。イオンガイド21、22の個々の電極にトラッピング電位をさらに印加するようにしてもよい。この場合、積層リング型イオンガイド21、22が、事実上、2つの別々のイオン蓄積領域21及び22に分かれていてもよい。下流側イオン蓄積領域22をプレスキャン動作モードにおけるイオンの蓄積に用いる一方、上流側イオン蓄積領域21を分析スキャンにおけるイオンの蓄積に用いるようにしてもよい。イオン源から、及び/又は、質量分析計のイオン入口を介して、ガスを導入することにより、2つのイオン蓄積領域21及び22を加圧するようにしてもよい。あるいは、第2のガス源を用いて、2つのイオン蓄積領域21及び22を加圧するようにしてもよい。逆に、2つのイオン蓄積領域21及び22を減圧するようにしてもよい。
【0100】
図7Aは、質量分析計が動作モードで作動されて、イオンビーム減衰器23の下流側に配置されたリニア・イオントラップ20により分析スキャンが実行される様子を示す。分析スキャンを実行する間、下流側イオン蓄積領域22の出口側に配置された電極に直流(DC)電圧を印加することにより、イオンガイド21、22に入射イオンが蓄積される。
【0101】
所定の時間にわたって、ガス衝突セルすなわちイオンガイド21、22の電極に1つ以上の進行波又は1つ以上の過渡直流電圧を印加して、ガス衝突セルすなわちイオンガイド21、22の端まで入射イオンを移動させるようにしてもよい。下流側イオン蓄積領域22の出口側に配置された電極に直流(DC)トラッピング電位を印加することにより、イオンを閉じ込めて、イオンガイド21、22からイオンが出ていかないようにすることができる。
【0102】
所定の時間後、図7Bに示すように、ガス衝突セルすなわちイオンガイド21、22の第1の上流側イオン蓄積領域21と第2の下流側イオン蓄積領域22との間で、さらに直流障壁を形成するようにしてもよい。この結果、イオンガイド21、22内で、イオンは、第2の下流側イオン蓄積領域22に蓄積される。リニア・イオントラップ20が分析スキャンを実行する残りの時間、第1の上流側イオン蓄積領域21に入射イオンが蓄積される。
【0103】
分析スキャンの終了後、図7Dに示すように、第2の下流側イオン蓄積領域22に蓄積されたイオンを用いてプレスキャンを実行するようにしてもよい。プレスキャン動作モードの間、第2の下流側イオン蓄積領域22から放出されるプレスキャンイオンのほぼ100%を通過させるように、イオンガイド21、22の下流側に配置されるイオンビーム減衰器23を設定又は配置することが望ましい。
【0104】
プレスキャンの完了後、減衰係数を計算する、又は、求める。求めた減衰係数をイオンビーム減衰器23に適用して、上流側イオン蓄積領域21と下流側イオン蓄積領域22との間の直流障壁を取り去って、第1の上流側イオン蓄積領域21に蓄積されたイオンを放出させる。この結果、図7Eに示すように、ガス衝突セルすなわちイオンガイド21、22からリニア・イオントラップ20にイオンが移動する際に、イオン減衰器23が、第1のイオン蓄積領域21に蓄積されたイオンを減衰係数に従って減衰させる。
【0105】
イオンを下流側のリニア・イオントラップ20に移動させた後、イオンを冷却又は熱化することが望ましい。イオンの冷却又は熱化後、図7Fに示すように、分析スキャンを実行する。この分析スキャンを実行する間、ガス衝突セルすなわちイオンガイド21、22の出口側に配置された電極に直流(DC)トラッピング電位を印加することにより、イオンをガス衝突セルすなわちイオンガイド21、22内に蓄積し、イオンガイド21、22から出ていかないようにすることができる。
【0106】
この実験において、分析スキャンの実行と並行して、比較的長い時間を必要とする次回の分析スキャン用のイオン蓄積を行なうことにより、総サイクルタイムを大幅に削減することができる。図8Aに、図6Aないし図6Fを参照して上述した従来の装置を用いて、比較的長い可変充填時間で実験を行なった場合のサイクルタイム30を示す。また、図8Bには、図7Aないし図7Fを参照して説明した本発明の実施例における質量分析計を用いて、かなり短い一定の充填時間で同様の実験を行なった場合に、サイクルタイム32が短縮される様子を示す。
【0107】
たとえば、単なる一例に過ぎないが、従来の実験のサイクルタイムは、5ミリ秒のインタースキャン時間25と、10ミリ秒のプレスキャン時間26と、200ミリ秒の可変充填時間27と、10ミリ秒の冷却時間28と、200ミリ秒の分析スキャン時間29との合計であり、従来のサイクルタイム30は約425ミリ秒になる。これに対して、好適な実施例におけるサイクルタイムは、200ミリ秒の従来の可変充填時間27が5ミリ秒のかなり短いイオン移動時間31に置き換わるため、大幅に短縮される。この結果、好適な実施例におけるサイクルタイムは、たった230ミリ秒と、従来のサイクルタイムと比べて大幅に短縮されている。このことからも、本発明の効果は明白である。特に、サンプリング効率の向上と共に、1秒あたりのスキャン数が増大した場合に、顕著な効果が得られる。
【0108】
以上、本発明をその好適な実施例を参照して詳述したが、当業者には自明のことであるが、特許請求の範囲に記載される本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変形や変更が可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
質量分析の方法であって、
減衰装置と、前記減衰装置の下流側に配置されるイオントラップとを準備する工程と、
第1のイオン電流I1を求める工程と、
前記求めた第1のイオン電流I1に基づき前記減衰装置を制御して、前記減衰装置を透過し前記イオントラップに移動されたイオンの強度を第1のレベルに設定する工程と、
前記求めた第1のイオン電流I1と実質的に独立な第1の一定時間T1にわたって、前記イオントラップ内にイオンを蓄積させる工程と、を備える方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記イオントラップがイオントラップ型質量分析器を備え、
イオン検出器が、前記イオントラップから放出されるイオン又はその他の方法で前記イオントラップから出現するイオンを検出するように構成されている、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、さらに、
前記イオントラップからイオンを放出させる、又は、前記イオントラップからイオンを出現させる工程を備え、
前記放出又は出現させたイオンは、前記イオントラップの下流側に配置される質量分析器に送られる、方法。
【請求項4】
請求項1、2又は3に記載の方法であって、
前記第1のイオン電流I1を求める工程は、第1の装置を用いて、前記第1のイオン電流I1を求め、
前記第1の装置は、(i)質量分析器、(ii)電荷検出器、(iii)電荷誘導装置、(iv)イメージ電流検出器、及び(v)1つ以上の溶離液の吸収プロファイルを求めるように構成された液体クロマトグラフィーシステムと組み合わせた紫外線(UV)検出器、からなる群から選択される、方法。
【請求項5】
前記いずれかの請求項に記載の方法であって、
前記第1のイオン電流I1を求める工程は、
(i)以前に取得されたデータ又は質量スペクトルデータを用いる工程、
及び/又は、
(ii)以前に取得されたデータ又は質量スペクトルデータに基づき、前記イオン電流を推定する工程、
を含む、方法。
【請求項6】
前記いずれかの請求項に記載の方法であって、さらに、
前記求めた第1のイオン電流I1に基づいて減衰係数を算出する工程を備え、
前記減衰装置を制御する工程は、前記減衰装置から前方に送られるイオンビームを前記減衰係数で減衰するように前記減衰装置を設定する、方法。
【請求項7】
前記いずれかの請求項に記載の方法であって、
前記減衰装置が、(i)イオンビームを変化、偏向、フォーカス、デフォーカス、減衰、妨害、拡大、縮小、迂回、反射させるように構成された静電レンズ、及び/又は、(ii)イオンビームを変化、偏向、フォーカス、デフォーカス、減衰、妨害、拡大、縮小、迂回、反射させるように構成された1つ以上の電極、ロッドセット又はイオン光学装置を備える、方法。
【請求項8】
前記いずれかの請求項に記載の方法であって、
前記減衰装置を制御する工程は、低透過動作モードと高透過動作モードとの間で前記減衰装置を繰り返し切り替え、
前記減衰装置は、時間ΔT1にわたって前記低透過動作モードに保持され、時間ΔT2にわたって前記高透過動作モードに保持され、前記減衰装置のデューティ・サイクルがΔT2/(ΔT1+ΔT2)である、方法。
【請求項9】
前記いずれかの請求項に記載の方法であって、さらに、
第2のイオン電流I2を求める工程と、
前記求めた第2のイオン電流I2に基づき前記減衰装置を制御して、前記減衰装置を透過し前記イオントラップに移動されたイオンの強度を第2の異なるレベルに設定する工程と、
前記求めた第2のイオン電流I2と実質的に独立な第2の一定時間T2にわたって、前記イオントラップ内にイオンを蓄積させる工程と、を備え、
前記時間T1は前記時間T2に等しい、又は、ほぼ等しい、方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、さらに、
第3のイオン電流I3を求める工程と、
前記求めた第3のイオン電流I3に基づき前記減衰装置を制御して、前記減衰装置を透過し前記イオントラップに移動されたイオンの強度を第3の異なるレベルに設定する工程と、
前記求めた第3のイオン電流I3と実質的に独立な第3の一定時間T3にわたって、前記イオントラップ内にイオンを蓄積させる工程と、を備え、
前記時間T1は前記時間T2に等しい、又は、ほぼ等しく、
前記時間T2は前記時間T3に等しい、又は、ほぼ等しい、方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法であって、さらに、
第4のイオン電流I4を求める工程と、
前記求めた第4のイオン電流I3に基づき前記減衰装置を制御して、前記減衰装置を透過し前記イオントラップに移動されたイオンの強度を第4の異なるレベルに設定する工程と、
前記求めた第4のイオン電流I4と実質的に独立な第4の一定時間T4にわたって、前記イオントラップ内にイオンを蓄積させる工程と、を備え、
前記時間T1は前記時間T2に等しい、又は、ほぼ等しく、
前記時間T2は前記時間T3に等しい、又は、ほぼ等しく、
前記時間T3は前記時間T4に等しい、又は、ほぼ等しい、方法。
【請求項12】
前記いずれかの請求項に記載の方法であって、さらに、
前記減衰装置の上流側及び/又は下流側に、イオン蓄積装置又はイオントラップを配置する工程を備える、方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法であって、
前記イオン蓄積装置又はイオントラップが、(i)使用時にイオンを透過させる少なくとも1つの開口部を各々有する複数の電極を備えるイオントンネル型又はイオンファネル型イオントラップ、(ii)多極ロッドセット、(iii)軸方向にセグメント化された多極ロッドセット、及び(iv)イオン移動平面内にほぼ配置される複数の平板電極、からなる群から選択される、方法。
【請求項14】
請求項12又は13に記載の方法であって、
前記イオン蓄積装置又はイオントラップが、第1の上流側イオン蓄積領域と第2の下流側イオン蓄積領域とを備え、動作モードにおいて、(i)前記第1の上流側イオン蓄積領域の入口側に配置された電極に直流(DC)又はRF(高周波)ポテンシャル障壁を印加して、前記イオン蓄積装置又はイオントラップへのこれ以上のイオンの入射を防ぐ、及び/又は、(ii)前記第1の上流側イオン蓄積領域と前記第2の下流側イオン蓄積領域との間に配置される電極に直流又はRFポテンシャル障壁を印加して、前記第1の上流側イオン蓄積領域から前記第2の下流側イオン蓄積領域へのイオンの移動を防ぐ、及び/又は、(iii)前記第2の下流側イオン蓄積領域の出口に配置された電極に直流又はRFポテンシャル障壁を印加して、前記イオン蓄積装置又はイオントラップからのイオンの出射を防ぐ、方法。
【請求項15】
請求項12、13又は14に記載の方法であって、
前記イオン蓄積装置又はイオントラップにイオンが蓄積された後、前記イオン蓄積装置又はイオントラップを作動させて、不要な質量又は質量対電荷比を有する少なくとも一部のイオンを、質量選択的に、又は、質量対電荷比選択的に、除去又は減衰する、方法。
【請求項16】
請求項12ないし15のいずれかに記載の方法であって、
質量選択的に、又は、質量対電荷比選択的に、前記イオン蓄積装置又はイオントラップからイオンを放出させる、又は、前方にイオンを送り出す、方法。
【請求項17】
質量分析計であって、
減衰装置と、
前記減衰装置の下流側に配置されるイオントラップと、
制御システムと、を備え、
前記制御システムが、
(i)第1のイオン電流I1を求め、
(ii)前記求めた第1のイオン電流I1に基づき前記減衰装置を制御して、前記減衰装置を透過し前記イオントラップに移動されたイオンの強度を第1のレベルに設定し、
(iii)前記求めた第1のイオン電流I1と実質的に独立な第1の一定時間T1にわたって、前記イオントラップ内にイオンを蓄積させる、
ように構成されている、質量分析計。
【請求項18】
請求項17に記載の質量分析計であって、
前記イオントラップがイオントラップ型質量分析器を備え、
前記質量分析計が、さらに、前記イオントラップから放出される又はその他の方法で前記イオントラップから出現するイオンを検出するように構成されたイオン検出器を備える、質量分析計。
【請求項19】
請求項17に記載の質量分析計であって、さらに、
前記イオントラップの下流側に配置される質量分析器を備え、
前記質量分析計の使用時に、イオンは、前記イオントラップから放出され、又は、前記イオントラップから出現し、前記質量分析器に送られる、質量分析計。
【請求項20】
請求項17、18又は19に記載の質量分析計であって、さらに、
前記質量分析計内のイオン電流を求めるように構成された第1の装置を備える、質量分析計。
【請求項21】
請求項20に記載の質量分析計であって、
前記第1の装置は、(i)質量分析器、(ii)電荷検出器、(iii)電荷誘導装置、(iv)イメージ電流検出器、及び(v)1つ以上の溶離液の吸収プロファイルを求めるように構成された液体クロマトグラフィーシステムと組み合わせた紫外線(UV)検出器、からなる群から選択される、質量分析計。
【請求項22】
請求項17ないし21のいずれかに記載の質量分析計であって、
前記減衰装置が、(i)イオンビームを変化、偏向、フォーカス、デフォーカス、減衰、妨害、拡大、縮小、迂回、反射させるように構成された静電レンズ、及び/又は、(ii)イオンビームを変化、偏向、フォーカス、デフォーカス、減衰、妨害、拡大、縮小、迂回、反射させるように構成された1つ以上の電極、ロッドセット又はイオン光学装置を備える、質量分析計。
【請求項23】
請求項17ないし22のいずれかに記載の質量分析計であって、
使用時に、前記減衰装置は、低透過動作モードと高透過動作モードとの間で繰り返し切り替えられ、
前記減衰装置は、時間ΔT1にわたって前記低透過動作モードに保持され、時間ΔT2にわたって前記高透過動作モードに保持され、前記減衰装置のデューティ・サイクルがΔT2/(ΔT1+ΔT2)である、質量分析計。
【請求項24】
請求項17ないし23のいずれかに記載の質量分析計であって、さらに、
前記減衰装置の上流側及び/又は下流側に配置されるイオン蓄積装置又はイオントラップを備える、質量分析計。
【請求項25】
請求項24に記載の質量分析計であって、
前記イオン蓄積装置又はイオントラップが、(i)使用時にイオンを透過させる少なくとも1つの開口部を各々有する複数の電極を備えるイオントンネル型又はイオンファネル型イオントラップ、(ii)多極ロッドセット、(iii)軸方向にセグメント化された多極ロッドセット、及び(iv)イオン移動平面内にほぼ配置される複数の平板電極、からなる群から選択される、質量分析計。
【請求項26】
請求項24又は25に記載の質量分析計であって、
前記イオン蓄積装置又はイオントラップが、第1の上流側イオン蓄積領域と第2の下流側イオン蓄積領域とを備え、動作モードにおいて、(i)前記第1の上流側イオン蓄積領域の入口側に配置された電極に直流(DC)又はRF(高周波)ポテンシャル障壁を印加して、前記イオン蓄積装置又はイオントラップへのこれ以上のイオンの入射を防ぐ、及び/又は、(ii)前記第1の上流側イオン蓄積領域と前記第2の下流側イオン蓄積領域との間に配置される電極に直流又はRFポテンシャル障壁を印加して、前記第1の上流側イオン蓄積領域から前記第2の下流側イオン蓄積領域へのイオンの移動を防ぐ、及び/又は、(iii)前記第2の下流側イオン蓄積領域の出口に配置された電極に直流又はRFポテンシャル障壁を印加して、前記イオン蓄積装置又はイオントラップからのイオンの出射を防ぐ、質量分析計。
【請求項27】
請求項24、25又は26に記載の質量分析計であって、
前記イオン蓄積装置又はイオントラップにイオンが蓄積された後、前記イオン蓄積装置又はイオントラップを動作モードで作動させて、不要な質量又は質量対電荷比を有する少なくとも一部のイオンを、質量選択的に、又は、質量対電荷比選択的に、除去又は減衰する、質量分析計。
【請求項28】
請求項24ないし27のいずれかに記載の質量分析計であって、
動作モードにおいて、質量選択的に、又は、質量対電荷比選択的に、前記イオン蓄積装置又はイオントラップからイオンを放出させる、又は、前方にイオンを送り出す、質量分析計。
【請求項29】
減衰装置と前記減衰装置の下流側に配置されるイオントラップとを備える質量分析計の制御システムにより実行可能なコンピュータプログラムであって、
前記コンピュータプログラムは、前記制御システムに、
(i)第1のイオン電流I1を求め、
(ii)前記求めた第1のイオン電流I1に基づき前記減衰装置を制御して、前記減衰装置を透過し前記イオントラップに移動されたイオンの強度を第1のレベルに設定し、
(iii)前記求めた第1のイオン電流I1と実質的に独立な第1の一定時間T1にわたって、前記イオントラップ内にイオンを蓄積させる、
ように動作させる、コンピュータプログラム。
【請求項30】
コンピュータで実行可能な命令が記憶されたコンピュータ読み取り可能な媒体であって、
前記命令は、減衰装置と前記減衰装置の下流側に配置されるイオントラップとを備える質量分析計の制御システムにより実行可能に構成されており、
前記コンピュータプログラムは、前記制御システムに、
(i)第1のイオン電流I1を求め、
(ii)前記求めた第1のイオン電流I1に基づき前記減衰装置を制御して、前記減衰装置を透過し前記イオントラップに移動されたイオンの強度を第1のレベルに設定し、
(iii)前記求めた第1のイオン電流I1と実質的に独立な第1の一定時間T1にわたって、前記イオントラップ内にイオンを蓄積させる、
ように動作させる、コンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項31】
請求項30に記載のコンピュータ読み取り可能な媒体であって、
前記コンピュータ読み取り可能な媒体は、(i)ROM、(ii)EAROM、(iii)EPROM、(iv)EEPROM、(v)フラッシュメモリ、(vi)光ディスク、(vii)RAM、及び(viii)ハードディスクからなる群から選択される、コンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項32】
質量分析の方法であって、
イオン電流を求める工程と、
前記求めたイオン電流に依存する変数量だけイオンビームを減衰させる工程と、
減衰させたイオンビームをイオントラップに移動させ、前記求めたイオン電流に実質的に独立な時間にわたって、前記イオントラップ内にイオンを蓄積させる工程と、を備える方法。
【請求項33】
質量分析計であって、
イオン電流を求める装置と、
前記求めたイオン電流に依存する変数量だけイオンビームを減衰させる装置と、
イオントラップと、を備え、
前記イオントラップの使用時に、減衰させたイオンビームが前記イオントラップに移動し、前記求めたイオン電流に実質的に独立な時間にわたって、前記イオントラップ内にイオンが蓄積される、質量分析計。
【請求項34】
イオントラップにイオンを蓄積させる方法であって、
イオントラップ内に入る前にイオンビームを減衰させるための減衰係数を変化させる工程を備え、
前記減衰係数は求めたイオン電流に依存する一方、前記イオントラップの充填時間は、ほぼ一定に保持され、前記求めたイオン電流とは独立である、方法。
【請求項35】
質量分析計であって、
使用時にイオンを蓄積させるイオントラップと、
前記イオントラップ内に入る前にイオンビームを減衰させるための減衰係数を変化させるように構成された制御システムと、を備え、
前記減衰係数は求めたイオン電流に依存する一方、前記イオントラップの充填時間は、ほぼ一定に保持され、前記求めたイオン電流とは独立である、質量分析計。
【請求項36】
イオンを蓄積させる方法であって、
イオントラップ又は質量分析器に入る前にイオンビームを減衰させるための減衰係数を変化させる工程を備え、
前記減衰係数は、求めたイオン電流に依存する、方法。
【請求項37】
請求項36に記載の方法であって、
前記イオントラップ又は質量分析器が、(i)四重極質量分析器、(ii)2次元又はリニア四重極質量分析器、(iii)ポール(Paul)トラップ型又は3次元四重極質量分析器、(iv)ペニング(Penning)トラップ型質量分析器、(v)イオントラップ型質量分析器、(vi)磁場型質量分析器、(vii)イオンサイクロトロン共鳴(Ion Cyclotron Resonance:ICR)質量分析器(viii)フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴(Fourier Transform Ion Cyclotron Resonance:FTICR)質量分析器、(ix)静電またはオービトラップ(RTM)型質量分析器、(x)フーリエ変換(Fourier Transform)静電又はオービトラップ型質量分析器、(xi)フーリエ変換(Fourier Transform)質量分析器、(xii)飛行時間型(Time of Flight)質量分析器、(xiii)直交加速飛行時間型(Time of Flight)質量分析器、及び(xiv)線形加速飛行時間型(Time of Flight)質量分析器、からなる群から選択される、方法。
【請求項38】
質量分析計であって、
イオントラップ又は質量分析器と、
前記イオントラップ又は質量分析器に入る前にイオンビームを減衰させるための減衰係数を変化させるように構成された制御システムと、を備え、
前記減衰係数は、求めたイオン電流に依存する、質量分析計。
【請求項39】
請求項38に記載の質量分析計であって、
前記イオントラップ又は質量分析器が、(i)四重極質量分析器、(ii)2次元又はリニア四重極質量分析器、(iii)ポール(Paul)トラップ型又は3次元四重極質量分析器、(iv)ペニング(Penning)トラップ型質量分析器、(v)イオントラップ型質量分析器、(vi)磁場型質量分析器、(vii)イオンサイクロトロン共鳴(Ion Cyclotron Resonance:ICR)質量分析器(viii)フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴(Fourier Transform Ion Cyclotron Resonance:FTICR)質量分析器、(ix)静電またはオービトラップ(RTM)型質量分析器、(x)フーリエ変換(Fourier Transform)静電又はオービトラップ型質量分析器、(xi)フーリエ変換(Fourier Transform)質量分析器、(xii)飛行時間型(Time of Flight)質量分析器、(xiii)直交加速飛行時間型(Time of Flight)質量分析器、及び(xiv)線形加速飛行時間型(Time of Flight)質量分析器、からなる群から選択される、質量分析計。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図6E】
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【図6F】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図7E】
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【図7F】
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【図8A】
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【図8B】
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【公表番号】特表2012−515999(P2012−515999A)
【公表日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−545795(P2011−545795)
【出願日】平成22年1月20日(2010.1.20)
【国際出願番号】PCT/GB2010/000082
【国際公開番号】WO2010/084310
【国際公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【出願人】(509314666)マイクロマス・ユーケイ・リミテッド (19)
【氏名又は名称原語表記】MICROMASS UK LIMITED
【Fターム(参考)】