説明

質量分析計

【課題】未知の混合物試料を、一連の測定操作により高速で計測することが可能で、操作者の手間を低減することの可能な質量分析計を提供する。
【解決手段】混合物試料を液体クロマトグラフ1により分離して導入する試料を分析する質量分析計であって、分離された試料をイオン源7によりイオン化し、この生成した試料のイオンをイオン導入細孔14a、14bから取り込んで当該イオンを質量分析部により分析するが、この質量分析部をイオントラップ型の質量分析を行うイオントラップ型質量分析部により構成すると共に、さらに、制御装置41により、分離されて導入される試料を、前記イオントラップ型質量分析部により、正イオン計測と負イオン計測との一連の測定操作により特定する。または、計測の最初に行われる正イオン計測、負イオン計測、判別により、試料の極性を自動的に選択・設定し、高速で高精度の計測を可能とし、かつ、操作者の手間を低減する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液相中に混合物として存在する、様々な化学的性質を有する物質(試料)を分析する質量分析計に関し、特に、その質量分析部に四重極イオントラップ型の質量分析計を採用して試料を一度に分析することが可能な質量分析計に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、分析の分野では、混合物の分析技術の確立が求められている。これは、例えば、環境中の有害物質を分析する場合において、採取した試料(例えば、湖沼の水)の中には様々な物質が含まれている。また、生体関連物質の分析においても同様である。さらに、血液や尿といった生体由来の試料中には、様々な物質が含まれている。このように、環境関連物質や生体関連物質の分析には、混合物を扱える技術が必須であり、かかる混合物試料を一度に分析することが可能な質量分析計が求められている。
【0003】
しかしながら、上記の混合物を直接分析することは、一般に、困難である。このため、混合物を分離する過程を経た後に、各々の成分を検出し、もって、混合物の各成分を同定することが行われる。この様な状況の中では、混合物の各成分への分離に優れた液体クロマトグラフと、物質の同定に優れた質量分析計とを結合した装置である、所謂、液体クロマトグラフ/質量分析計(以下、LC/MSと記載する)は、上述の環境や生体関連物質である混合物試料の分析に大変有効である。
【0004】
ところで、従来、静電噴霧法等を用いて試料をイオン化し、生成したて試料イオンを、いわゆる、イオントラップ型質量分析部と呼ばれる質量分析部により分析する質量分析計は、例えば、以下の非特許文献1に開示されている。また、かかるイオントラップ質量分
析部の動作原理については、例えば、以下の特許文献1により既に開示されている。
【0005】
また、一方、液体クロマトグラフ/質量分析計を用いて、例えば、有機物質などの試料を、一回の分析で感度良く分析することは、例えば、以下の特許文献2により既に知られている。
【0006】
【特許文献1】米国特許第4,540,884号
【特許文献2】特開平05−275053号公報「LC/API質量分析方法」
【非特許文献1】アナリティカル ケミストリー、1991年、63巻、375頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、かかる分析計では、測定する混合物試料により、イオン源において正イオンあるいは負イオンに変換される効率(イオン化効率)が異なる。例えば、酸性ペプチドは負イオンを生成し易く、また、塩基性ペプチドは正イオンを生成し易い。このため、酸性ペプチドを分析するためには、質量分析計の動作を負イオン検出モードに、他方、塩基性ペプチドを分析するためには正イオン検出モードにすることにより、感度良く分析することができる。
【0008】
しかしながら、上記従来のLC/MSでは、検出するイオンの極性は分析に先立って決定しておかなければならず、そのため、未知の物質の分析を行う場合には、操作者は、まず、正または負イオンの一方の極性による検出を試み、これにより満足できる結果が得られない場合には、改めて逆の極性を試みるといった、二重の手間が必要であった。
【0009】
これに対して、試料の正イオンと負イオンとを一度の測定操作で分析する方法については、上記特開平05−275053号公報に記載されているが、しかしながら、この従来技術では、その質量分析部として、磁場型、あるいは、四重極型の質量分析計が用いられている。そのため、かかる従来技術には、以下のような問題点があった。
【0010】
すなわち、磁場型や四重極型の質量分析部では、分析する質量範囲や要求される質量分解能などにもよるが、一般に、1つの質量スペクトルを取得するのに4〜5秒を要する。従って、上記の分析計で正イオン計測と負イオン計測を切り替えて一度づつ行うと、少なくとも10秒程度の時間が必要である。そのため、試料の液体クロマトグラフから送られてくる時間幅が十分(例えば、数分程度)である場合には、上記のような10秒ごとに計測する上記従来技術になる分析方法や装置でも問題はなかった。
【0011】
しかしながら、特に、上記の環境関連物質や生体関連物質の分析では、混合物を分離する液体クロマトグラフから質量分析される試料が送られてくるこの時間幅は、その分離条件等によっても異なるが、1分以内になる場合も多い。そのため、かかる試料の場合、質量分析により得られるマスクロマトグラムを用いて定量分析を行う際に測定点が少な過ぎ、そのため、測定精度が低下してしまうと言う課題が生じていた。かかる課題は、キャピラリー電気泳動等、特に、液相の試料の分離を高速で行うLCを備えた質量分析計では著しく、そのため、上記従来技術の特開平05−275053号公報に記載された質量分析方法や装置は、必ずしも、高速で試料の計測を行うことの可能な質量分析装置には適していないという問題点があった。
【0012】
そこで、本発明では、上記の従来技術における問題点に鑑み、上記のような高速で試料を分離が可能な液体クロマトグラフ(LC)を用いた場合にも測定精度の低下を生じることなく、もって、環境関連物質や生体関連物質を含む様々な化学的性質を有する混合物試料を、操作者の手間を低減すると共に、高速で計測することが可能な質量分析計を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明によれば、上記の目的を達成するため、まず、混合物試料を液相で分離する分離部において分離されて導入される試料を分析する質量分析計であって、該分離部で分離された試料をイオン化するためのイオン化手段と、該イオン化手段で生成した該試料に関するイオンを真空中に取り込むためのイオン導入細孔と、該イオン導入細孔から導入された該イオンを分析するための質量分析部とを備えたものにおいて、前記質量分析部をイオントラップ型の質量分析を行うイオントラップ型質量分析部により構成すると共に、さらに、前記分離部から導入される試料を、前記イオントラップ型質量分析部により、正イオン計測と負イオン計測との一連の測定操作により特定する手段を備えた質量分析計が提供される。
【0014】
なお、本発明によれば、前記の質量分析計において、前記イオントラップ型質量分析部は、該イオン導入細孔から導入された該イオンを閉じ込める空間を形成する電極を備えているものである。また、本発明によれば、前記イオン化手段に分離された試料を導入する前記分離部は、分析対象である混合物試料を液相で分離して送る時間幅が1分以下の高速分離手段であり、例えば、液体クロマトグラフ、又は、キャピラリー電気泳動による分離手段である。
【0015】
本発明によれば、上記の目的を達成するため、上記の発明に加え、さらに、分離されて導入される混合物試料を分析する質量分析計であって、分離された試料をイオン化するためのイオン化手段と、該イオン化手段で生成した該試料に関するイオンを真空中に取り込むためのイオン導入細孔と、該イオン導入細孔から導入された該イオンを分析するための質量分析部とを備えたものにおいて、さらに、前記質量分析部による計測動作の最初の部分において、正イオン計測と負イオン計測との計測を行ない、その計測結果に基づいて続くる計測動作の極性を設定する制御装置を備えた質量分析計が提供される。
【0016】
そして、本発明によれば、前記制御装置は、前記計測動作の最初の部分の正イオン計測と負イオン計測との計測と、その計測結果に基づいて続くる計測動作の極性を設定とを、所定の期間において、繰り返して行うものであってもよい。さらに、前記質量分析部をイオントラップ型の質量分析を行うイオントラップ型質量分析部により構成し、また、前記イオン化手段へ導入される分離してイオン化された試料を供給する手段として、液体クロマトグラフ、あるいは、キャピラリー電気泳動による手段を使用することも可能である。
【発明の効果】
【0017】
以上の詳細な説明からも明らかなように、上記の第一の発明によれば、高速で試料を分離が可能な分離手段を用いた場合にも、その測定精度の低下を生じることなく、環境関連物質や生体関連物質を含む様々な化学的性質を有する混合物試料を、イオントラップ型の質量分析部の採用と正イオン計測と負イオン計測との一連の測定操作により、未知の物質を高速で計測することが可能でとなり、かつ、操作者の手間を低減することの可能な質量分析計を提供することが可能になるという優れた効果を達成する。
【0018】
さらに、上記の第二の発明によれば、計測の最初に行われる正イオン計測、負イオン計測、判別により、試料に適切な極性が自動的に選択されて設定されることから、未知の物質の計測においても、正イオン計測と負イオン計測を繰り返すことなく、より高速な測定が可能で、かつ、操作者の手間を低減することの可能な質量分析計を提供することが可能になるという優れた効果を達成する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、添付の図面を参照しながらその詳細を説明する。
【0020】
まず、図4には、イオントラップ型の質量分析部を有する質量分析計を用いた本発明の一実施の形態になる質量分析装置が示されている。図において、液体クロマトグラフ1は、送液ポンプ2、移動相溶媒槽3、サンプルインジェクタ4、分離カラム5及び配管6で構成される。また、移動相溶媒は、上記送液ポンプ2により一定流量で分離カラム5に送られる。他方、混合物試料は、送液ポンプ2と分離カラム5との間に配置されたサンプルインジェクタ4より導入される。そして、分離カラム5に到達した試料は、分離カラム5内に充填された充填材との相互作用により分離される。なお、かかる液体クロマトグラフ1により分離された試料は、上記移動相溶媒と共に、以下に説明するイオン源7に導入される。
【0021】
イオン源には様々なタイプがあるが、本実施の形態では、その代表的な例として、静電噴霧法について説明する。この静電噴霧法によるイオン源7に到達した試料は、コネクタ8を介して金属管9に導入される。この金属管9と、金属管9に対向して配置される電極10との間に、例えば、高圧電源11により数キロボルトの高電圧を印加すると、上記金属管9aの末端からその対向電極10への方向に沿って静電噴霧が発生する。なお、これにより安定に静電噴霧を持続できる溶液流量は、毎分数マイクロリットル程度である。しかしながら、一方、上記液体クロマトグラフ1から、このイオン源7に送られてくる溶液流量は、毎分1ミリリットル程度である。そこで、この金属管9の外部から、ガス供給管12より供給される噴霧用ガス13を流し、このガスにより静電噴霧を補助する。
【0022】
なお、上記の静電噴霧により生成された液滴中には、試料分子に関するイオンが含まれている。そこで、この液滴を乾燥させることにより、ガス状のイオンが得られる。この様にして生成されたイオンは、対向電極10に開口するイオン導入細孔14a、排気系15aにより排気された差動排気部16、イオン導入細孔14bを介して、排気系15bにより排気された真空部17に導入される。この真空部17に導入されたイオンは、電極18a、18b、18cで構成されるイオン集束レンズにより収束された後、所謂、イオントラップ型の質量分析部に導入される。また、ゲート電極21は、イオントラップ質量分析部へのイオンの入射を制御するために設けられる。
【0023】
次に、イオントラップ質量分析部の動作原理について説明する。所謂、イオントラップ質量分析部は、エンドキャップ電極19a、19b及びリング電極20により構成される。図5は、上記イオントラップ質量分析部において、1回の質量スペクトルを取得する間の、正イオンを計測する場合におけるリング電極20に印加される高周波電圧の振幅、及び、ゲート電極21に印加される電圧の時間的な変化(制御波形)を示す。
【0024】
すなわち、イオントラップ質量分析計では、まず、イオン蓄積区間101において、リング電極20に高周波電圧を印加し、リング電極20及びエンドキャップ電極19a、19bで囲まれた空間に、イオン閉じ込めのためのポテンシャルを形成する。例えば、正イオンを分析する場合には、図に示した様に、イオンがゲート電圧21を通過できるよう、ゲート電極21に印加する電圧を下げる。これにより真空部17に取り込まれたイオンは、その後、集束レンズにより収束され、エンドキャップ電極19aの開口部から、上記リング電極20及びエンドキャップ電極19a、19bで囲まれた空間に入射する。なお、このリング電極20及びエンドキャップ電極19a、19bで囲まれた空間には、例えばヘリウムなどの衝突ガスが導入されており、1ミリトール程度の圧力に保たれる。すなわち、イオンは衝突ガス分子と衝突することでエネルギーを失い、リング電極20及びエンドキャップ電極19a、19bで囲まれた空間に形成された閉じ込めポテンシャルに閉じ込められる。
【0025】
次に、スキャン区間102では、ゲート電極21に印加する電圧を高くし、イオンがゲート電極21を通過できないように設定する(offの状態)。リング電極20に印加する高周波電圧の振幅を徐々に高くすることにより、イオンの質量をイオンの電荷で割った値(以下、これをm/zと記載する)の小さいものから順に、順次その軌道が不安定になり、そして、エンドキャップ電極19a、19bに設けられた開口部から質量分析部の外部に排出される。なお、この排出されたイオンはイオン検出器22により検出され、検出された信号は、信号ライン23を介してデータ処理装置24に送られ処理される。
【0026】
その後、上記スキャン区間102終了後は、リング電極20に印加する電圧を切り、イオン閉じ込めポテンシャルを消失させることで、質量分析部内に残留するイオンを除去する(残留イオン除去区間103)。そして、イオントラップ質量分析計では、このような一連の操作(イオン蓄積101、スキャン102、残留イオン除去103)を繰り返し行うことにより、液体クロマトグラフ1から順に送られてくる試料を、上記m/zの小さいイオンから順に質量分析を行い、もって高速で様々な物質が含まれる混合物試料の成分を同定することができる。
【0027】
さらに、添付の図1には、上記図4に示したイオントラップ型の質量分析部を有する質量分析計の構成に加え、さらに、その制御系の構成をも含めた構成を示す。すなわち、上記サンプルインジェクタ4には、自動的に試料を導入するためのオートサンプラ25が接続されている。なお、このオートサンプラ25にセットされた試料は、サンプルインジェクタ4から分離カラム5に送られ、分離される。そして、この分離された試料は、移動相溶媒と共にイオン源7に導入されることは、上記と同様である。また、イオン源7に到達した試料は、やはり、上記コネクタ8を介して金属管9に導入され、金属管9には、高圧電源11により高電圧を印加することで、静電噴霧を発生させることも同様である。
【0028】
そして、上記静電噴霧によるイオン化により生成されたイオンは、対向電極10に開口する第1のイオン導入細孔14a、排気系15により排気された差動排気部16、細孔付電極26に開口する第二のイオン導入細孔14bを介して、排気系15bにより排気された真空部17に導入される。なお、この対向電極10には、ドリフト電圧電源27により電圧を印加する。このドリフト電圧には、差動排気部16に取り込まれたイオンを第二のイオン導入細孔14bの方向にドリフトさせることで、イオン導入細孔14bのイオン透過率を向上させる効果に加え、さらに、上記差動排気部16に残留しているガス分子とイオンとを衝突させることで、イオンに付着している水などの溶媒分子を脱離させる効果を有する。
【0029】
また、上記細孔付電極26には、加速電圧電源28により加速電圧を印加する。この加速電圧は、イオンがエンドキャップ電極19aに設けられた開口部を通過する際のエネルギー(入射エネルギー)に影響する。すなわち、イオントラップ質量分析部のイオン閉じ込め効率は、このイオンの入射エネルギーに依存するので、閉じ込め効率が高くなるように加速電圧を設定する。
【0030】
更に、真空部17に導入されたイオンは、電極18a、18b、18cで構成きれるイオン集束レンズにより収束された後、リング状のゲート電極21を通って上記イオントラップ型の質量分析部に導入される。そして、上述したように、この質量分析部には、ガス供給器29から、ガス導入管30を介して、ヘリウムなどの衝突ガスが導入されている。なお、エンドギャップ電極19a、19bとリング電極20の間の絶縁は、石英リング31により行う。なお、上記電極18a、18b、18cはイオン集束レンズ電源38に接続され、また、上記ゲート電極21はゲート電極電源39に接続されている。
【0031】
そして、上記のようにして質量分析され、質量分析部の外に排出されたイオンは、次に、変換電極33、シンチレータ34、フォトマルチプライヤ35等により構成される検出器により検出される。すなわち、排出イオンは、変換電極電源32によりイオンを加速する電圧が印加された変換電極33に衝突する。このイオンと変換電極33の衝突により、変換電極33の表面より荷電粒子が放出される。そして、この荷電粒子をシンチレータ34により検知し、その検知信号をフォトマルチプライヤ35で増幅する。なお、これらのシンチレータ34とフォトマルチプライヤ35は、各々、シンチレータ電源36とフォトマルチプライヤ電源37に接続されている。そして、検出された信号は上記データ処理装置24へ送られる。なお、上記の液体クロマトグラフ1やイオントラップ型質量分析部は、制御部41(図示しないが、制御用電源、制御回路、制御ソフトなどを含む)により制御される。すなわち、図示のように、上記制御部41は、上記オートサンプラ25、高圧電源11、ドリフト電源27、加速電圧電源28、イオン収束レンズ電源38、ゲート電極電源39、データ処理装置24、変換電極電源32に接続されており、これらを制御する。
【0032】
次に、上記にその構成を詳述したイオントラップ型の質量分析部を有する質量分析計における制御方法の一例を、添付の図2によって示す。なお、この計測の制御方法では、正イオン測定と負イオン測定とを交互に行う方法を採用している。すなわち、図示のように、正イオン計測モードと負イオン計測モードとを交互に用いることにより、一度の測定で正イオンに関する情報と負イオンに関する情報とを取得し、もって、環境関連物質や生体関連物質を含む様々な化学的性質を有する混合物試料を、操作者の手間を低減すると共に、高速で計測することを可能にする。
【0033】
この制御方法では、図2に示すように、まず、リング電極に印加する高周波の振幅(101から103)に同期させ、イオン源のイオン化モード(401、402)、イオン光学系のイオン透過モード(301、302)、及び、検出器のイオン検出モード(501、502)を切り替える。ゲート電極21に印加する電圧についても、イオンを透過させる区間(201)と、イオンを遮蔽する区間(202)を交互に設けるが、印加する電圧の極性はイオン化のモードにより反転させる。この様に、正イオン分析モードと負イオン分析モードとを交互に用いることにより、一度の測定操作で正イオン、負イオンの情報を得ることができるので、未知試料の分析においても操作者はモードの設定などで煩わされることなく装置を使うことができる。
【0034】
また、その際、上記のイオントラップ型の質量分析部の採用により、後にも具体的に述べるが、極性を切り替えながら質量スペクトルを取得するための期間を、上記従来技術の磁場型や四重極型の質量分析計に比較して、著しく短くする(例えば、質量スペクトルを1つ取得するのに、0.2秒程度)ことが可能となることから、質量分析部へ分離した試料を供給する上記液体クロマトグラフ1が、例えばキャピラリー電気泳動による、分離供給される試料の時間幅が数秒程度の、いわゆる高速分離手段であっても、十分な測定点による高い精度による分析が可能になる。
【0035】
なお、計測するイオンの極性を反転させるためには、イオン源、イオン軌道収束レンズなどのイオン光学系、イオン検出器22などに印加される電圧の極性を反転させなければならない。例えば、上記の静電噴霧イオン源では、金属管9と対向電極10との間に高電圧を印加するが、正イオン計測モードでは金属管9に正の電位を、負イオン計測モードでは金属管9に負の電位を印加する。同様に、イオン光学系や検出器に印加する電圧の極性も、計測しようとするイオンの極性に合わせて反転しなければならない。
【0036】
また、これらの極性を反転させる部分において、特に、注意が必要なのはイオン源のイオン化モードの切り替えである。上記の静電噴霧イオン源を例に用いると、正イオン計測モードにおいては金属管9に正の数キロボルトを印加し、負イオン計測モードにおいては、負の数キロボルトを印加する。この金属管9に印加する電圧の極性を反転した直後は、イオン生成が不安定になる。なお、この極性を反転してからどの程度の時間が経過すればイオン生成が安定になるかについては詳細な研究はなされていないが、これまでの本発明者等の経験から推測すると、0.05秒程度と思われる。従って、質量スペクトルを取得する一連の操作(イオン蓄積区間101、スキャン区間102)が終了した後の残留イオン除去区間103で、上記イオン化モードを切り替えると、次のイオン蓄積区間101まで、しばらく待たなければならない。この待ち時間を減らすため、図2に示すように、スキャン区間102においてイオン源のモードを切り替えても良い。
【0037】
さらに、イオン光学系の切り替え、及び、ゲート電圧の極性反転は、イオン源のイオン化モードの切り替えと同期させることが好ましいが、しかしながら、前述のように、イオン源のイオン化モードはすぐには切り替わらない。そこで、イオン源のイオン化モードを変換する際には、イオン生成停止区間403を設け、このイオン生成停止区間403においてイオン光学系の切り替えやゲート電圧の極性反転を行うことが好ましい。
【0038】
さらに、上記イオン検出器22の電圧は、イオン蓄積区間101または残留イオン除去区間103において反転させればよい。これは、イオンの検出は、上記スキャン区間102において行うためである。なお、本実施の形態では、上記図2に示したように、イオン検出器22における正イオン検出区間501と負イオン検出区間502とを、交互に設ける。
【0039】
以上整理すると、イオン源のモード切り替え、ゲート電圧やイオン光学系の極性反転は、スキャン区間102または残留イオン除去区間103で行うことができるが、しかし、これらの切り替えは、同期していることが望ましい。また、イオン検出器22のモード切り替えは、イオン蓄積区間または残留イオン除去区間103で行うことができる。
【0040】
ここで、参考のため、正イオン計測モードと負イオン計測モードにおいて、各々の部分に印加する電圧の一例を以下に記載する。
(1)正イオン計測モード
金属管(9):3kV
第一細孔の開口する電極(10):60V
第二細孔の開口する電極(26):10V
イオン収束レンズ(静電レンズ)の第一の電極(18a):−120V
イオン収束レンズ(静電レンズ)の第二の電極(18b):−30V
イオン収束レンズ(静電レンズ)の第三の電極(18c):−120V
ゲート電極(21、イオン透過時、すなわちonの状態):−60V
ゲート電極(21、イオン遮蔽時、すなわちoffの状態):60V
変換電極(33):−5kV
シンチレータ(34):10kV
フォトマルチプライヤ(35):500V
(2)負イオン計測モード
金属管(9):−3kV
第一細孔の開口する電極(10):−60V
第二細孔の開口する電極(26):−10V
イオン収束レンズ(静電レンズ)の第一の電極(18a):120V
イオン収束レンズ(静電レンズ)の第二の電極(18b):30V
イオン収束レンズ(静電レンズ)の第三の電極(18c):120V
ゲート電極(21、イオン透過時、すなわちonの状態):60V
ゲート電極(21、イオン遮蔽時、すなわちoffの状態):−60V
変換電極(33):2.5kV
シンチレータ(34):10kV
フォトマルチプライヤ(35):500V
なお、上記の本実施の形態では、シンチレータ34とフォトマルチプライヤ35には、計測するイオンの極性によらずに、同符号の電圧を用いている。何故なら、シンチレータが主に変換電極33から放出された電子を検出しているためである。なお、シンチレータ34とフォトマルチプライヤ35以外の部分には、基本的には、極性を反転し絶対値の等しい電圧を印加することが望ましいが、しかしながら、変換電極33に印加する電圧は正・負の計測モードで異なる絶対値の電圧を用いると良い。
【0041】
これは、負イオン計測において、変換電極33により高い電圧(例えば5kV)を印加すると、変換電極33とシンチレータとの間の電位差が少なくなり、変換電極33から放出された電子が効率良くシンチレータ34に到達しなくなることによる。そして、この様な状態では、変換電極33に印加する電圧を高くしていくと、実効的な検出感度が低下するという現象が起きる。そこで、このような現象を防ぐためには、上記実施の形態に記載したように、正・負の計測モードで異なる絶対値の電圧(最適電圧は電極の形状や配置関係などの影響を受けるので、印加電圧を決定する際には、実験により最適値を求めると良い)を変換電極33に印加するか、または、変換電極33とシンチレータ34との間の電位差が小さくならないよう、変換電極33に印加する電圧に応じてシンチレータ34の電圧も変えればよい。
【0042】
ところで、一般に、イオントラップ質量分析部による計測時間は、イオン蓄積区間101が0.1秒程度、質量分析区間102は0.1秒程度、そして、残留イオン除去区間103は0.01秒程度である。このため、イオントラップ質量分析部によって、質量スペクトルを1つ取得するのに要する時間は、約0.2秒程度である。そのため、イオントラップ質量分析部からなる質量分析部により正イオン計測と負イオン計測とを交互に行ったとしても、約0.4秒あれば、正・負の両方の極性のスペクトルを得ることができる。これは、高速の液体クロマトグラフなどの分離手段から試料が送られてくる時間幅(一般的には、液体クロマトグラフの場合で約1分、キヤピラリー電気泳動の場合で約数秒)に比べて十分に短い。そのため、正・負の両極性を計測したとしても、実用上十分な時間間隔で質量スペクトルを収集することができる。
【0043】
また、正イオン計測・負イオン計測の切り替えは、上述のように1つの質量スペクトルを取得する毎に行うだけではなく、2つあるいはそれ以上のスペクトルを取得してから切り替えるようにしても良い。例えば、正イオン計測モードにおいて5つのスペクトルを取得し、その後、これを切り替えて、負イオン計測モードにおいて5つのスペクトルを取得したとしても、正イオン計測・負イオン計測を1シリーズ行うのに要する時間は約2秒程度であり、上記した液体クロマトグラフ1から試料が送られてくる時間幅から判断しても、十分に高精度の分析が可能である。
【0044】
また、試料によっては、正イオン計測モードにおいてプロトン付加した正イオン((M+H)、 Mは試料分子、Hはプロトンを表す)として検出され、また、負イオン計測モードにおいては、プロトン脱離した負イオン((M−H))として検出されるものがある。従って、試料の分子量を決定する場合において、両方の極性の質量スペクトルを比較することは有用である。すなわち、正イオン計測で得られた質量スペクトルと、負イオン計測で得られた質量スペクトルとを比較し、イオンの分子量が2原子質量単位だけずれて測定された場合には、正イオン計測と負イオン計測とで測定された分子量の中間が試料の真の分子量である。
【0045】
なお、上記の本実施の形態では、その一例として静電噴霧イオン化を用いた方法を記載したが、本発明はかかるイオン化法によらずに有効である。例えば、いわゆる大気圧化学イオン化(コロナ放電利用タイプ)、大気圧スプレーイオン化(加熱噴霧利用タイプ)、ソニックスプレーイオン化(高速ガス流利用タイプ)を用いることができる。これは、これらのイオン化方法を用いると、静電噴霧イオン化と同様に、生体物質のプロトン付加した正イオンや、プロトン脱離した負イオンを生成できるので、試料の性質によって正イオン計測を行う場合と負イオン計測を行う場合があるためである。
【0046】
上記の静電噴霧イオン化、大気圧化学イオン化、大気圧スプレーイオン化、ソニックスプレーイオン化は、当該技術分野では大気圧イオン化として総称される。しかしながら、このイオン源の配置される部分の圧力は、必ずしも、大気圧でなくとも良い。例えば、静電噴霧イオン化の例では、金属管9に高電圧を印如した際に、金属管9と対向電極10との間に静電噴霧イオン化現象を妨げる放電現象が起きない程度の圧力の範囲で用いることができる。すなわち、イオン源は、各々のイオン化法におけるイオン生成のメカニスムが損なわれない範囲の圧力になるような位置に配置すればよい。
【0047】
次に、本発明の第2の実施の形態について、添付の図3を用いて説明する。上記第1の実施の形態では、その質量分析部において、正イオン計測と負イオン計測とを交互に行うことで、正イオンの質量スペクトルと負イオンの質量スペクトルとを、一度の測定操作で取得する方法を実現する質量分析装置について述べた。しかしながら、本発明では、必ずしも、常に正イオン計測と負イオン計測とを交互に行う必要はない。
【0048】
すなわち、この未知試料の分析において試料の特性が分からない場合、分析開始時の所定の期間だけ、上記の第2の実施の形態では、第1の実施の形態に示したと同様に、正イオン計測と負イオン計測とを交互に行うことで、どちらの極性による計測が適しているかを判断するものである。すなわち、この正イオン計測と負イオン計測を実施して得られた結果を比較することにより、目的とする試料に対し正・負イオン計測のどちらが適しているかを判定し、これが判明した場合に、その後の測定を、上記目的の試料の分析ができる適切な極性に選択して設定するものである。
【0049】
図3(a)は、上記の第2の実施の形態におけるイオン極性を選択する方法を示すタイミングを示しており、まず、試料を導入し、測定を開始した後、正イオン計測区間601と負イオン計測区間602とを設け、正イオンの質量スペクトルと負イオンの質量スペクトルとを取得する。なお、この第2の実施の形態では、上記に説明した液体クロマトグラフやキャピラリー電気泳動などの分離手段を用いずに、これに代え、試料溶液をシリンジポンプなどで常にイオン源に導入する、いわゆるフローインジェクション分析を用いた例について説明する。また、上記正イオン計測区間601における正イオンの計測、上記負イオン計測区間602における負イオンの計測、及び、計測するイオンの極性変換の手段は、上記図2に示した実施の形態と同様の構成によって実現することが可能である。
【0050】
そして、上記正・負イオン計測区間(601、602)に続いて、次の判定区間603において、上記双方の計測区間で得られた質量スペクトルを比較する。これにより、どちらの計測区間で得られた質量スペクトルの方が試料に由来するイオンを明確に捉えているかを判定する。なお、この判定方法としては、種々の方法が考えられるが、簡単には、例えば、試料由来のイオンの強度を比較し、より強度の強い方を選択するよう、上記のデータ処理装置24や制御装置41等をプログラムすれば良い。なお、本実施の形態では、この判定は、データ処理装置24により自動的に行い、その判定の結果が制御装置41に送られる。その後は、判定区間603で選択された極性で計測を行う(上記図3(a)の例では正イオンであり、正イオン計測区間(601)が続いている)。
【0051】
図3(b)は、本発明の第2の実施の形態を、LC/MS等の分離手段と質量分析計とを結合した分析装置において実施するための方法手順を示す。なお、上記の分離手段を用いると、(1)溶媒、(2)正イオン計測で分析できる試料、(3)負イオン計測で分析できる試料、あるいは、(4)正・負イオン計測のどちらでも分析できる試料が、時間的に差を持って順次イオン源に送られてくる。
【0052】
しかしながら、未知試料の分析では、どの様なタイミングで、どの様な試料が送られてくるかは予測できない。そこで、図3(b)に示すように、動作シーケンスの最初には、正イオン計測区間601、負イオン計測区間602、判別区間603とを順に設ける。なお、これにより得られた信号が溶媒由来のイオンであると場合には、これらの操作を繰り返しながら、試料が送られてくるのを待つ。その後、試料由来のイオンが検出された段階で、その試料を分析するのに適した極性を判別して選択し、測定を行う。
【0053】
一般に、上記のような分離手段からは、一つの試料は、数秒〜数分の時間幅でイオン源に導入され、その後は、これとは異なる物質がイオン源に導入される。そこで、上記最初の正イオン計測区間601、負イオン計測区間602、判別区間603の後、ある程度の期間は(この期間は、分離手段にもよるが、LC/MSの場合には、例えば5秒程度)、上記判別区間603により判別された片方の極性で計測を行う。この片方の極性での計測を行った後は、再び、上記と同様に、正イオン計測区間601、負イオン計測区間、判別区間603を順に設け、再度、正イオン計測が適しているか負イオン計測が適しているかを確認する。その後、この判別区間603により判別された極性に従って計測を行い、これを所定の回数繰り返す。このように、本第2の実施の形態では、計測の最初に行われる正イオン計測、負イオン計測、判別により、試料に適切な極性が自動的に選択されて設定されることから、未知の物質の計測においても、正イオン計測と負イオン計測を繰り返すことなく、より高速な測定が可能になる。
【0054】
なお、上記の判別や分析装置の必要な各部の極性の切り替え制御は、上記制御装置41により行われ、また、正・負のどちらでも計測できる試料であると判別された場合には、どちらの極性を用いても良いが、なお、上述のように、正・負の計測で得られる分子量の違いから試料の真の分子量を推定できる場合があるので、その場合には、正・負両方の極性を交互に計測しても良い。さらに、上記では、分離されてイオン化された混合物試料を質量分析する質量分析部を、高速の計測動作を達成するためには、上記のイオントラップ質量分析計により構成することが好適であり、そのように説明したが、しかしながら、本発明では、これに限らず、導入される混合物試料の導入速度によっては、所望の速度が得られる範囲で、上記分離手段として、その他の一般の質量分析計を採用することも可能であろう。
【0055】
このように、本発明の上記の実施の形態によれば、操作者はオートサンプラ(またはシリンジポンプ)に試料をセットし、分析開始の操作をすれば、その後は、質量分析計の制御装置41により、装置自体が自動的に正・負の計測モードを交互に実施するか、あるいは、試料に適した極性の計測モードを自動的に選択して分析データを取得する。従って、操作者は、試料の特性、特に、正・負の計測モードを試料によって選択・考慮することなしに、高い精度での高速な計測が可能となり、かつ、一度の操作で分析を完了でき、もって、操作者の負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の実施の形態になるイオントラップ型の質量分析部を備えた質量分析計の、制御部をも含む全体構成を示す図である。
【図2】上記本発明の質量分析計における各部の電圧を印加するタイミングやモードを変換するタイミングを示す図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態におけるイオン極性を選択する方法を示す図である。
【図4】上記本発明の質量分析計における液体クロマトグラフ/質量分析計の構成を示す図である。
【図5】上記液体クロマトグラフ/質量分析計におけるイオントラップ型の質量分析部へ電圧を印加するタイミングを示す図である。
【符号の説明】
【0057】
1…液体クロマトグラフ、2…送液ポンプ、3…移動相溶媒槽、4…サンプルインジェクタ、5…分離カラム、6…配管、7…イオン源、8…コネクタ、9…金属管、10…対向電極、11…電源、12…ガス供給管、13…噴霧用ガス、14a、14b…イオン導入細孔、15a、15b…排気系、16…差動排気部、17…高真空部、18a、18b、18c…電極、19a、19b…エンドキャップ電極、20…リング電極、21…リング状ゲート電極、22…検出器、23…信号ライン、24…データ処理装置、101…イオン蓄積区間、102…スキャン区間、103…残留イオン除去区間、201…ゲート電極によるイオン遮蔽区間、202…ゲート電極によるイオン透過区間、301…質量分析計の正イオン計測区間、302…質量分析計の負イオン計測区間、401…イオン源における正イオン生成区間、402…イオン源の負イオン生成区間、403…イオン生成停止区間、501…検出器における正イオン検出区間、502…検出器における負イオン検出区間。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
混合試料を分離する分離部と、
前記分離部で分離された前記試料をイオン化するイオン化部と、
前記イオン化部で生成した前記試料に関するイオンを真空中に取り込むイオン導入細孔と、
前記イオン導入細孔から導入されたイオンを分析するイオントラップ部と、
前記イオントラップ部からのイオンを検出する検出器と、
正イオンと負イオンとを交互に測定して得られた結果を比較して測定の極性を選択する制御部とを有することを特徴とする質量分析計。
【請求項2】
請求項1に記載の質量分析計において、前記制御部は、正イオン測定と負イオン測定との測定結果に基づいて、続く測定動作における測定極性の設定を行うことを特徴とする質量分析計。
【請求項3】
請求項1に記載の質量分析計において、前記制御部は、正イオン測定と負イオン測定と、その測定結果に基づいて行われる測定動作における測定極性の設定とを、繰り返して行うことを特徴とする質量分析計。
【請求項4】
請求項1に記載の質量分析計において、前記分離部は、液体クロマトグラフ、あるいは、キャピラリー電気泳動による手段であることを特徴とする質量分析計。
【請求項5】
試料をイオン化するイオン化部と、
前記イオン化部で生成されたイオンを閉じ込めるイオントラップ部と、
前記イオントラップ部から排出されたイオンを検出する検出器とを備えた質量分析計であって、
前記検出部の極性の切り替えを、前記イオントラップ部にイオンを閉じ込めている間、又は、前記イオントラップ部から残留イオンを排出している間に行い、正イオンと負イオンとを交互に分析することを特徴とする質量分析計。
【請求項6】
試料をイオン化するイオン化部と、
前記イオン化部で生成されたイオンを閉じ込めるイオントラップ部と、
前記イオントラップ部から排出されたイオンを検出する検出器と、
正イオン計測と負イオン計測とを交互に測定する制御部とを備え、
前記正イオン計測で得られた質量スペクトルと、前記負イオン計測で得られた質量スペクトルとを比較し、イオン分子量が2原子質量単位だけずれて測定された場合には、前記正イオン計測と前記負イオン計測とで測定された分子量の中間値を前記試料の分子量と決定することを特徴とする質量分析計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−232728(P2007−232728A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−87114(P2007−87114)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【分割の表示】特願2005−309516(P2005−309516)の分割
【原出願日】平成10年9月30日(1998.9.30)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】