説明

質量分析計

第1の四重極ロッドセット質量フィルタ(7)、衝突セル(8)、イオン移動度分光計またはセパレータ、イオン移動度分光計またはセパレータの下流に配置されたイオンガイドまたは衝突セル(13)、第2の四重極ロッドセット質量フィルタ(16)、およびイオン検出器(15)を含む質量分析計が開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、質量分析計および質量分析の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
タンデム質量分析(すなわち、MS/MS)は、質量分析が一部をなす多くのアプリケーションにとって
好適な技術となってきた。タンデム質量分析は、対象の特定化合物の選択および分離ならびにそれらのその後の同定を可能にする。MS/MSは、非常に高い選択性があるので、複雑なマトリックスが存在してもターゲット化合物の定量に使用することができる。
【0003】
質量フィルタ、質量フィルタの下流に配置され、選択された親または前駆体イオンをフラグメント化する衝突セル、および衝突セルから現れるフラグメントまたは娘イオンを質量分析する質量分析器を備えるタンデム質量分析計が公知である。イオンは、衝突セルにおいて衝突誘起解離(「CID」)によってフラグメント化される。CIDでは、イオンは、特に封止された衝突セルにおいてガス分子と多数回衝突を行う。
【0004】
大半のタンデム質量分析計では、特定の親または前駆体イオンを選択し、選択された親または前駆体イオンをフラグメント化し、得られたフラグメントまたは娘イオンを質量分析する処理が空間的に順次起こる。質量フィルタは、ターゲットの化合物の親または前駆体イオンを選択するために使用され得る。次いで、親または前駆体イオンは、衝突セルに転送され、衝突セルにおいてこれらの親または前駆体イオンがフラグメント化される。次いで、質量分析器を使用して、得られたフラグメントまたは娘イオンを質量分析する。
【0005】
一般に三連四重極質量分析計と呼ばれる公知のタンデム質量分析計がある。三連四重極質量分析計は、衝突セルの前段に第1の四重極ロッドセット質量フィルタまたは質量分析器を備える。第2の四重極ロッドセット質量フィルタまたは質量分析器は、イオン検出器の前段の衝突セルの下流に配置される。三連四重極という名称は、イオンが衝突セルを通るようにガイドするためにRF四重極が使用された最初のそのような機器にちなんで付けられている。
【0006】
第1の四重極ロッドセット質量フィルタは、特定の質量電荷比を有する親または前駆体イオンを選択するために通常使用される。したがって、全質量スペクトルを記録するために、第1の四重極ロッドセット質量フィルタは、異なる質量電荷比を有するイオンを順次送るために全質量電荷比範囲にわたってスキャンされる必要がある。このプロセスに対するデューティサイクルは、比較的低く、その結果、全質量スペクトルを記録するために使用される場合の四重極ロッドセット質量フィルタの感度は、比較的低い。他方、四重極質量フィルタは、特定の質量電荷比を有するイオンを送るために使用される場合に100%のデューティサイクルを有する。
【0007】
三連四重極質量分析計は、選択反応モニタリング(「SRM」)実験のために使用され得る。SRM実験では、特定の質量電荷比を有する親または前駆体イオンは、衝突セルの上流に配置された第1の四重極ロッドセット質量フィルタによって送られる(transmit)ように配置される。次いで、特定の親または前駆体イオンは、衝突セルに送られ、フラグメント化され、これによりフラグメントまたは娘イオンを形成する。第2の質量フィルタは、特定の質量電荷比を有するフラグメントまたは娘イオンを送るように配置される。この配置は、非常に特異的であり、かつ感度が非常に高い。三連四重極質量分析計は、薬剤の発見および開発過程において非常に有用であり、そこでは、選択反応モニタリング実験およびマルチプル反応モニタリング(「MRM」)実験の両方において生物学的に重要なターゲット化合物を定量するために使用される。
【0008】
従来の質量分析計をマルチプル反応モニタリング(「MRM」)モードにおいて使用して多くの異なる遷移または反応をモニタリングしようとすると、従来の三連四重極質量分析計の限界が顕在化する。実験に含まれる反応が1つ増えるごとに、モニタリングされる各反応に対するサンプリングデューティサイクルはその分だけ低減する。ある定量分析の確定または確認のためには、いくつかの反応をモニタリングすることが望ましい。実際に、いくつかのアプリケーションに対して、定量分析を確定または確認するためにいくつかの反応をモニタリングすることが規定要件となっている。
【0009】
三連四重極質量分析計のためのペプチドおよびタンパク質分析における一般のアプリケーションは、親または前駆体イオンスキャン動作モードを使用する。この動作モードにおいて、衝突セルの下流に配置された第2の質量フィルタまたは質量分析器は、特定の特徴のあるフラグメントまたは娘イオンだけを送るように設定される。衝突セルの上流に配置された第1の質量フィルタは、異なる親または前駆体イオンをその後のフラグメンテーションのために衝突セルに順次送るためにスキャンされる。特定のフラグメントまたは娘イオンが検出されると、次いで衝突セルの上流の第1の質量フィルタによって送られた対応する親または前駆体イオンの質量電荷比が記録される。この手法は、特にリン酸化およびグリコシル化などのタンパク質の翻訳後修飾の分析において有用であることが分かってきた。しかし、衝突セルの上流の第1の四重極質量フィルタをスキャンする必要があるので、サンプリングデューティサイクルは非常に低くなる(一般に1%未満)可能性があり、その結果、感度も比較的低い。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、従来技術の一部のまたはすべての問題を回避する、改善された質量分析計および質量分析の方法を提供することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様によると、
イオンをフラグメント化または反応させ、かつ生成物、娘、付加生成物またはフラグメントイオンを生成するように配置され適合される第1のイオンガイドまたは第1の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイスと、
第1のイオンガイドまたは第1の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイスの下流に配置されたイオン移動度分光計またはセパレータであって、第1のイオンガイドまたは第1の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイスから現れるか、またはそこから送られてきた(transmit)生成物、娘、付加生成物またはフラグメントイオンをそのイオン移動度にしたがって時間的に分離するように配置されるイオン移動度分光計またはセパレータと
を含む質量分析計が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
イオンは、好ましくは衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスまたは反応デバイスにおいてフラグメント化または反応が行われ、次いで、得られたフラグメント、娘、生成物または付加生成物イオンは、好ましくはイオン移動度分光計またはセパレータにおいて時間的に分離され、好ましくはイオン検出器によって検出される。
【0013】
一実施形態によると、衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスまたは反応デバイスは、衝突誘起解離(「CID」)によってイオンをフラグメント化するように配置され適合され得る。この実施形態によると、イオンは、デバイスに入ると同時に比較的高い運動エネルギーを有することにより、デバイス内のガス分子と衝突する際にフラグメントまたは娘イオンにフラグメント化されるように加速され得る。あるいはおよび/または加えて、イオンは、デバイスおよびフラグメント内でエネルギー的に背景ガス分子と衝突してフラグメントまたは娘イオンとなるように加速され得る。
【0014】
あるいは、衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスまたは反応デバイスは、(i)表面誘起解離(「SID」)フラグメンテーションデバイス、(ii)電子移動解離フラグメンテーションデバイス、(iii)電子捕獲解離フラグメンテーションデバイス、(iv)電子衝突または衝撃解離フラグメンテーションデバイス、(v)光誘起解離(「PID」)フラグメンテーションデバイス、(vi)レーザ誘起解離フラグメンテーションデバイス、(vii)赤外放射誘起解離デバイス、(viii)紫外放射誘起解離デバイス、(ix)ノズル−スキマーインターフェースフラグメンテーションデバイス、(x)インソースフラグメンテーションデバイス、(xi)イオン源衝突誘起解離フラグメンテーションデバイス、(xii)熱または温度源フラグメンテーションデバイス、(xiii)電界誘起フラグメンテーションデバイス、(xiv)磁場誘起フラグメンテーションデバイス、(xv)酵素消化または酵素分解フラグメンテーションデバイス、(xvi)イオン−イオン反応フラグメンテーションデバイス、(xvii)イオン−分子反応フラグメンテーションデバイス、(xviii)イオン−原子反応フラグメンテーションデバイス、(xix)イオン−準安定イオン反応フラグメンテーションデバイス、(xx)イオン−準安定分子反応フラグメンテーションデバイス、(xxi)イオン−準安定原子反応フラグメンテーションデバイス、(xxii)イオンを反応させて付加生成物イオンまたは生成物イオンを形成するためのイオン−イオン反応デバイス、(xxiii)イオンを反応させて付加生成物イオンまたは生成物イオンを形成するためのイオン−分子反応デバイス、(xxiv)イオンを反応させて付加生成物イオンまたは生成物イオンを形成するためのイオン−原子反応デバイス、(xxv)イオンを反応させて付加生成物イオンまたは生成物イオンを形成するためのイオン−準安定イオン反応デバイス、(xxvi)イオンを反応させて付加生成物イオンまたは生成物イオンを形成するためのイオン−準安定分子反応デバイス、および(xxvii)イオンを反応させて付加生成物イオンまたは生成物イオンを形成するためのイオン−準安定原子反応デバイスからなる群から選択され得る。
【0015】
反応デバイスは、イオン、原子または分子を新しい種のイオン、原子または分子を形成するように再構成または反応させるようなデバイスを含むと理解されるべきである。X−Y反応フラグメンテーションデバイスは、XおよびYが合成して生成物を形成し、次いでこの生成物がフラグメント化するデバイスを意味すると理解されるべきである。これは、最初に生成物を形成することなくイオンをフラグメント化させ得るフラグメンテーションデバイス自体とは異なる。X−Y反応デバイスは、XおよびYが組み合わさって(combine)生成物を形成し、かつ次いでその生成物が必ずしもフラグメント化しないデバイスを意味すると理解されるべきである。
【0016】
衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスまたは反応デバイスは、動作モードにおいてイオンを衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスまたは反応デバイス内にトラップするように配置され適合され得る。
【0017】
一実施形態によると、衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスまたは反応デバイスは、イオンを、前記衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスまたは反応デバイスから、前記イオン移動度分光計またはセパレータ内へまたはそれらに向かってパルスするように配置され適合される。
【0018】
質量分析計は、好ましくは第1のイオンガイドまたは第1の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイスの上流および/または下流に配置された質量フィルタまたは質量分析器をさらに含む。質量フィルタまたは質量分析器は、好ましくは(i)四重極ロッドセット質量フィルタまたは質量分析器、(ii)飛行時間質量フィルタまたは質量分析器、(iii)ウィーンフィルタ、および(iv)磁場型質量フィルタまたは質量分析器からなる群から選択される。
【0019】
本発明の別の態様によると、
第1の質量フィルタまたは質量分析器と、
イオン移動度分光計またはセパレータであって、第1の質量フィルタまたは質量分析器の下流に配置されたイオン移動度分光計またはセパレータと、
イオン移動度分光計またはセパレータの下流に配置された第2の質量フィルタまたは質量分析器と
を含む質量分析計が提供される。
【0020】
第1の質量フィルタもしくは質量分析器および/または第2の質量フィルタもしくは質量分析器は、好ましくは(i)四重極ロッドセット質量フィルタまたは質量分析器、(ii)飛行時間質量フィルタまたは質量分析器、(iii)ウィーンフィルタ、および(iv)磁場型質量フィルタまたは質量分析器からなる群から選択される。
【0021】
第1の質量フィルタもしくは質量分析器および/または第2の質量フィルタもしくは質量分析器は、好ましくは複数の電極またはロッドを含む。第1の動作モードにおいて、第1の質量フィルタもしくは質量分析器および/または第2の質量フィルタもしくは質量分析器の電極またはロッドの実質的にすべては、実質的に同じDC電位または電圧で維持される。第1の動作モードにおいて、第1の質量フィルタもしくは質量分析器および/または第2の質量フィルタもしくは質量分析器は、好ましくは実質的に非分離(non−resolving)またはイオンガイド動作モードにおいて動作される。
【0022】
第2の動作モードにおいて、第1の質量フィルタもしくは質量分析器および/または第2の質量フィルタもしくは質量分析器の隣接する電極またはロッドは、好ましくは実質的に異なるDC電位または電圧で維持される。第2の動作モードにおいて、DC電位または電圧差は、第1の質量フィルタもしくは質量分析器および/または第2の質量フィルタもしくは質量分析器の隣接する電極またはロッドの間で維持され、DC電位または電圧差は、好ましくは(i)<1V、(ii)1〜2V、(iii)2〜3V、(iv)3〜4V、(v)4〜5V、(vi)5〜6V、(vii)6〜7V、(viii)7〜8V、(ix)8〜9V、(x)9〜10V、(xi)10〜20V、(xii)20〜30V、(xiii)30〜40V、(xiv)40〜50V、(XV)50〜60V、(xvi)60〜70V、(xvii)70〜80V、(xviii)80〜90V、(xix)90〜100V、および(xx)>100Vからなる群から選択される。第2の動作モードにおいて、第1の質量フィルタもしくは質量分析器および/または第2の質量フィルタもしくは質量分析器の対向する電極またはロッドは、好ましくは実質的に同じDC電位または電圧で維持される。動作モードにおいて、第1の質量フィルタもしくは質量分析器および/または第2の質量フィルタもしくは質量分析器は、好ましくは分離(resolving)または質量フィルタリング動作モードにおいて動作される。
【0023】
動作モードにおいて、第1の質量フィルタもしくは質量分析器および/または第2の質量フィルタもしくは質量分析器は、好ましくはスキャンされる。
【0024】
動作モードにおいて、第1の質量フィルタもしくは質量分析器および/または第2の質量フィルタもしくは質量分析器は、好ましくはイオン移動度分光計またはセパレータに同期してスキャンされる。
【0025】
動作モードにおいて、第1の質量フィルタまたは質量分析器は、第2の質量フィルタまたは質量分析器に同期してスキャンされる。
【0026】
一実施形態によると、質量分析計は、好ましくは第1のイオンガイドまたは第1の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスまたは反応デバイスをさらに含み、第1のイオンガイドまたは第1の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイスは、イオン移動度分光計またはセパレータの上流および/または第1の質量フィルタまたは質量分析器の下流に配置される。
【0027】
第1の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスまたは反応デバイスは、好ましくは衝突誘起解離(「CID」)によってイオンをフラグメント化するように配置され適合される。
【0028】
あるいは、第1の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスまたは反応デバイスは、(i)表面誘起解離(「SID」)フラグメンテーションデバイス、(ii)電子移動解離フラグメンテーションデバイス、(iii)電子捕獲解離フラグメンテーションデバイス、(iv)電子衝突または衝撃解離フラグメンテーションデバイス、(v)光誘起解離(「PID」)フラグメンテーションデバイス、(vi)レーザ誘起解離フラグメンテーションデバイス、(vii)赤外放射誘起解離デバイス、(viii)紫外放射誘起解離デバイス、(ix)ノズル−スキマーインターフェースフラグメンテーションデバイス、(x)インソースフラグメンテーションデバイス、(xi)イオン源衝突誘起解離フラグメンテーションデバイス、(xii)熱または温度源フラグメンテーションデバイス、(xiii)電界誘起フラグメンテーションデバイス、(xiv)磁場誘起フラグメンテーションデバイス、(xv)酵素消化または酵素分解フラグメンテーションデバイス、(xvi)イオン−イオン反応フラグメンテーションデバイス、(xvii)イオン−分子反応フラグメンテーションデバイス、(xviii)イオン−原子反応フラグメンテーションデバイス、(xix)イオン−準安定イオン反応フラグメンテーションデバイス、(xx)イオン−準安定分子反応フラグメンテーションデバイス、(xxi)イオン−準安定原子反応フラグメンテーションデバイス、(xxii)イオンを反応させて付加生成物イオンまたは生成物イオンを形成するためのイオン−イオン反応デバイス、(xxiii)イオンを反応させて付加生成物イオンまたは生成物イオンを形成するためのイオン−分子反応デバイス、(xxiv)イオンを反応させて付加生成物イオンまたは生成物イオンを形成するためのイオン−原子反応デバイス、(xxv)イオンを反応させて付加生成物イオンまたは生成物イオンを形成するためのイオン−準安定イオン反応デバイス、(xxvi)イオンを反応させて付加生成物イオンまたは生成物イオンを形成するためのイオン−準安定分子反応デバイス、および(xxvii)イオンを反応させて付加生成物イオンまたは生成物イオンを形成するためのイオン−準安定原子反応デバイスからなる群から選択される。
【0029】
第1のイオンガイドまたは第1の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイスは、好ましくは
(i)多重極ロッドセットまたは分割多重極ロッドセット(segmented multipole rod set)、
(ii)イオントンネルまたはイオンファンネル、あるいは
(iii)平面電極、平板電極またはメッシュ電極のスタックまたはアレイ
を含む。
【0030】
多重極ロッドセットは、好ましくは四重極ロッドセット、六重極ロッドセット、八重極ロッドセット、または8より多くのロッドを含むロッドセットを含む。
【0031】
イオントンネルまたはイオンファンネルは、好ましくは使用時にイオンが送られる開口部を有する複数の電極または少なくとも2、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90もしくは100の電極を含み、電極のうちの少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%は、実質的に同じサイズもしくは面積である開口部を有するか、またはサイズもしくは面積が漸進的に大きくおよび/または小さくなる開口部を有する。好ましくは、電極のうちの少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%は、(i)≦1.0mm、(ii)≦2.0mm、(iii)≦3.0mm、(iv)≦4.0mm、(v)≦5.0mm、(vi)≦6.0mm、(vii)≦7.0mm、(viii)≦8.0mm、(ix)≦9.0mm、(x)≦10.0mm、および(xi)>10.0mmからなる群から選択される内径または寸法を有する。
【0032】
平面電極、平板電極またはメッシュ電極のスタックまたはアレイは、好ましくは使用時にイオンが移動する(travel)平面内に概ね配置される、複数または少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19もしくは20の平面電極、平板電極またはメッシュ電極を含み、平面電極、平板電極またはメッシュ電極のうちの少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%は、使用時にイオンが移動する平面内に概ね配置される。
【0033】
質量分析計は、好ましくは複数の平面電極、平板電極またはメッシュ電極にACまたはRF電圧を供給するためのACまたはRF電圧手段をさらに含み、隣り合う平面電極、平板電極またはメッシュ電極に、好ましくは逆位相のACまたはRF電圧が供給される。
【0034】
第1のイオンガイドまたは第1の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイスは、好ましくは複数の軸方向セグメントまたは少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95もしくは100の軸方向セグメントを含む。
【0035】
一実施形態によると、質量分析計は、好ましくは第1のイオンガイドまたは第1の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイスの軸方向長さの少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%に沿って少なくともいくつかのイオンを駆動するために、1つ以上の過渡DC電圧もしくは電位または1つ以上の過渡DC電圧波形もしくは電位波形を第1のイオンガイドまたは第1の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイスを形成する電極に印加するように配置され適合される過渡DC電圧手段をさらに含む。
【0036】
別の実施形態によると、質量分析計は、好ましくは第1のイオンガイドまたは第1の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイスの軸方向長さの少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%に沿って少なくともいくつかのイオンを駆動するために、2つ以上の位相シフトACまたはRF電圧を第1のイオンガイドまたは第1の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイスを形成する電極に印加するように配置され適合されるACまたはRF電圧手段をさらに含む。
【0037】
一実施形態によると、第1のイオンガイドまたは第1の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイスは、(i)<20mm、(ii)20〜40mm、(iii)40〜60mm、(iv)60〜80mm、(v)80〜100mm、(vi)100〜120mm、(vii)120〜140mm、(viii)140〜160mm、(ix)160〜180mm、(x)180〜200mm、(xi)200〜220mm、(xii)220〜240mm、(xiii)240〜260mm、(xiv)260〜280mm、(xv)280〜300mm、および(xvi)>300mmからなる群から選択される軸方向長さを有する。
【0038】
第1のイオンガイドまたは第1の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイスは、好ましくはイオンを第1のイオンガイドまたは第1の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイス内の半径方向に閉じ込めるために、ACまたはRF電圧を第1のイオンガイドまたは第1の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイスの複数の電極のうちの少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%に印加するように配置され適合されるACまたはRF電圧手段をさらに含む。
【0039】
ACまたはRF電圧手段は、好ましくは(i)<50Vピーク・トゥ・ピーク、(ii)50〜100Vピーク・トゥ・ピーク、(iii)100〜150Vピーク・トゥ・ピーク、(iv)150〜200Vピーク・トゥ・ピーク、(v)200〜250Vピーク・トゥ・ピーク、(vi)250〜300Vピーク・トゥ・ピーク、(vii)300〜350Vピーク・トゥ・ピーク、(viii)350〜400Vピーク・トゥ・ピーク、(ix)400〜450Vピーク・トゥ・ピーク、(x)450〜500Vピーク・トゥ・ピーク、および(xi)>500Vピーク・トゥ・ピークからなる群から選択される振幅を有するACまたはRF電圧を、第1のイオンガイドまたは第1の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイスの複数の電極に供給するように配置され適合される。
【0040】
一実施形態によると、ACまたはRF電圧手段は、好ましくは、(i)<100kHz、(ii)100〜200kHz、(iii)200〜300kHz、(iv)300〜400kHz、(v)400〜500kHz、(vi)0.5〜1.0MHz、(vii)1.0〜1.5MHz、(viii)1.5〜2.0MHz、(ix)2.0〜2.5MHz、(x)2.5〜3.0MHz、(xi)3.0〜3.5MHz、(xii)3.5〜4.0MHz、(xiii)4.0〜4.5MHz、(xiv)4.5〜5.0MHz、(xv)5.0〜5.5MHz、(xvi)5.5〜6.0MHz、(xvii)6.0〜6.5MHz、(xviii)6.5〜7.0MHz、(xix)7.0〜7.5MHz、(xx)7.5〜8.0MHz、(xxi)8.0〜8.5MHz、(xxii)8.5〜9.0MHz、(xxiii)9.0〜9.5MHz、(xxiv)9.5〜10.0MHz、および(xxv)>10.0MHzからなる群から選択される周波数を有するACまたはRF電圧を、第1のイオンガイドまたは第1の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイスの複数の電極に供給するように配置され適合される。
【0041】
好ましくは、1〜100、100〜200、200〜300、300〜400、400〜500、500〜600、600〜700、700〜800、800〜900または900〜1000の範囲の質量電荷比を有する1価イオンは、第1のイオンガイドまたは第1の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイスを通るドリフト時間または通過時間が(i)0〜10μs、(ii)10〜20μs、(iii)20〜30μs、(iv)30〜40μs、(v)40〜50μs、(vi)50〜60μs、(vii)60〜70μs、(viii)70〜80μs、(ix)80〜90μs、(x)90〜100μs、(xi)100〜110μs、(xii)110〜120μs、(xiii)120〜130μs、(xiv)130〜140μs、(xv)140〜150μs、(xvi)150〜160μs、(xvii)160〜170μs、(xviii)170〜180μs、(xix)180〜190μs、(xx)190〜200μs、(xxi)200〜210μs、(xxii)210〜220μs、(xxiii)220〜230μs、(xxiv)230〜240μs、(xxv)240〜250μs、(xxvi)250〜260μs、(xxvii)260〜270μs、(xxviii)270〜280μs、(xxix)280〜290μs、(xxx)290〜300μs、および(xxxi)>300μsの範囲内にある。
【0042】
一実施形態によると、質量分析計は、好ましくは第1のイオンガイドまたは第1の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイスの少なくとも一部を(i)>0.0001mbar、(ii)>0.001mbar、(iii)>0.01mbar、(iv)>0.1mbar、(v)>1mbar、(vi)>10mbar、(vii)0.0001〜0.1mbar、および(viii)0.001〜0.01mbarからなる群から選択される圧力に維持するように配置され適合される手段をさらに含む。
【0043】
質量分析計は、好ましくはイオンを第1のイオンガイドまたは第1の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイス内へ加速するように配置され適合される第1の加速手段をさらに含み、動作モードにおいて、イオンのうちの少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%を、第1のイオンガイドまたは第1の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイスに入ると同時にフラグメント化または反応させる。
【0044】
質量分析計は、第1のイオンガイドまたは第1の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイスに入る前にイオンが通過する電位差を、イオンが第1のイオンガイドまたは第1の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイスに入ると同時にイオンを実質的にフラグメント化または反応させる比較的高いフラグメンテーションまたは反応動作モードと、第1のイオンガイドまたは第1の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイスに入ると同時に実質的により少ないイオンをフラグメント化または反応させるか、または実質的にイオンをフラグメント化または反応させない比較的低いフラグメンテーションまたは反応動作モードとを切り替えるか、または繰り返し切り替えるように配置され適合される制御システムをさらに含む。
【0045】
比較的高いフラグメンテーションまたは反応動作モードにおいて、第1のイオンガイドまたは第1の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイスに入るイオンは、好ましくは(i)≧10V、(ii)≧20V、(iii)≧30V、(iv)≧40V、(V)≧50V、(vi)≧60V、(vii)≧70V、(viii)≧80V、(ix)≧90V、(x)≧100V、(xi)≧110V、(xii)≧120V、(xiii)≧130V、(xiv)≧140V、(xv)≧150V、(xvi)≧160V、(xvii)≧170V、(xviii)≧180V、(xix)≧190V、および(xx)≧200Vからなる群から選択される電位差を通して加速される。
【0046】
比較的低いフラグメンテーションまたは反応動作モードにおいて、第1のイオンガイドまたは第1の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイスに入るイオンは、好ましくは(i)≦20V、(ii)≦15V、(iii)≦10V、(iv)≦5V、および(v)≦1Vからなる群から選択される電位差を通して加速される。
【0047】
制御システムは、好ましくは第1のイオンガイドまたは第1の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイスを比較的高いフラグメンテーションまたは反応動作モードと比較的低いフラグメンテーションまたは反応動作モードとの間で、1ms、5ms、10ms、15ms、20ms、25ms、30ms、35ms、40ms、45ms、50ms、55ms、60ms、65ms、70ms、75ms、80ms、85ms、90ms、95ms、100ms、200ms、300ms、400ms、500ms、600ms、700ms、800ms、900ms、1s、2s、3s、4s、5s、6s、7s、8s、9sまたは10s毎に少なくとも1回切り替えるように配置され適合される。
【0048】
第1のイオンガイドまたは第1の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイスは、好ましくはイオンビームを受け取り、かつ少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20の個別群またはパケットのイオンが第1のイオンガイドまたは第1の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイス内にいずれかの特定の時点に閉じ込め(confine)および/または隔離される(isolate)ようにイオンビームを変換または分割するように配置され適合される。各群またはパケットのイオンは、好ましくは第1のイオンガイドまたは第1の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイス内に形成された個別の軸方向ポテンシャル井戸内に個別に閉じ込めおよび/または隔離される。
【0049】
質量分析計は、好ましくは第2のイオンガイドまたは第2の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスまたは反応デバイスをさらに含み、第2のイオンガイドまたは第2の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイスは、イオン移動度分光計またはセパレータの下流に配置される。
【0050】
第2のイオンガイドまたは第2の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイスは、好ましくは衝突誘起解離(「CID」)によってイオンをフラグメント化するように配置され適合される。
【0051】
あるいは、第2のイオンガイドまたは第2の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイスは、(i)表面誘起解離(「SID」)フラグメンテーションデバイス、(ii)電子移動解離フラグメンテーションデバイス、(iii)電子捕獲解離フラグメンテーションデバイス、(iv)電子衝突または衝撃解離フラグメンテーションデバイス、(v)光誘起解離(「PID」)フラグメンテーションデバイス、(vi)レーザ誘起解離フラグメンテーションデバイス、(vii)赤外放射誘起解離デバイス、(viii)紫外放射誘起解離デバイス、(ix)ノズル−スキマーインターフェースフラグメンテーションデバイス、(x)インソースフラグメンテーションデバイス、(xi)イオン源衝突誘起解離フラグメンテーションデバイス、(xii)熱または温度源フラグメンテーションデバイス、(xiii)電界誘起フラグメンテーションデバイス、(xiv)磁場誘起フラグメンテーションデバイス、(xv)酵素消化または酵素分解フラグメンテーションデバイス、(xvi)イオン−イオン反応フラグメンテーションデバイス、(xvii)イオン−分子反応フラグメンテーションデバイス、(xviii)イオン−原子反応フラグメンテーションデバイス、(xix)イオン−準安定イオン反応フラグメンテーションデバイス、(xx)イオン−準安定分子反応フラグメンテーションデバイス、(xxi)イオン−準安定原子反応フラグメンテーションデバイス、(xxii)イオンを反応させて付加生成物イオンまたは生成物イオンを形成するためのイオン−イオン反応デバイス、(xxiii)イオンを反応させて付加生成物イオンまたは生成物イオンを形成するためのイオン−分子反応デバイス、(xxiv)イオンを反応させて付加生成物イオンまたは生成物イオンを形成するためのイオン−原子反応デバイス、(xxv)イオンを反応させて付加生成物イオンまたは生成物イオンを形成するためのイオン−準安定イオン反応デバイス、(xxvi)イオンを反応させて付加生成物イオンまたは生成物イオンを形成するためのイオン−準安定分子反応デバイス、および(xxvii)イオンを反応させて付加生成物イオンまたは生成物イオンを形成するためのイオン−準安定原子反応デバイスからなる群から選択され得る。
【0052】
第2のイオンガイドまたは第2の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイスは、好ましくは
(i)多重極ロッドセットまたは分割多重極ロッドセット、
(ii)イオントンネルまたはイオンファンネル、あるいは
(iii)平面電極、平板電極またはメッシュ電極のスタックまたはアレイ
を含む。
【0053】
多重極ロッドセットは、好ましくは四重極ロッドセット、六重極ロッドセット、八重極ロッドセット、または8より多くのロッドを含むロッドセットを含む。
【0054】
イオントンネルまたはイオンファンネルは、好ましくは使用時にイオンが送られる開口部を有する複数の電極または少なくとも2、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90もしくは100の電極を含み、電極のうちの少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%は、実質的に同じサイズもしくは面積である開口部を有するか、またはサイズもしくは面積が漸進的に大きくおよび/または小さくなる開口部を有する。好ましくは、電極のうちの少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%は、(i)≦1.0mm、(ii)≦2.0mm、(iii)≦3.0mm、(iv)≦4.0mm、(v)≦5.0mm、(vi)≦6.0mm、(vii)≦7.0mm、(viii)≦8.0mm、(ix)≦9.0mm、(x)≦10.0mm、および(xi)>10.0mmからなる群から選択される内径または寸法を有する。
【0055】
平面電極、平板電極またはメッシュ電極のスタックまたはアレイは、好ましくは使用時にイオンが移動する平面内に概ね配置される、複数または少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19もしくは20の平面電極、平板電極またはメッシュ電極を含み、平面電極、平板電極またはメッシュ電極のうちの少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%は、使用時にイオンが移動する平面内に概ね配置される。
【0056】
質量分析計は、好ましくは複数の平面電極、平板電極またはメッシュ電極にACまたはRF電圧を供給するためのACまたはRF電圧手段をさらに含み、隣り合う平面電極、平板電極またはメッシュ電極に、逆位相のACまたはRF電圧が供給される。
【0057】
第2のイオンガイドまたは第2の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイスは、好ましくは複数の軸方向セグメントまたは少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95もしくは100の軸方向セグメントを含む。
【0058】
一実施形態によると、質量分析計は、好ましくは第2のイオンガイドまたは第2の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイスの軸方向長さの少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%に沿って少なくともいくつかのイオンを駆動するために、1つ以上の過渡DC電圧もしくは電位または1つ以上の過渡DC電圧波形もしくは電位波形を第2のイオンガイドまたは第2の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイスを形成する電極に印加するように配置され適合される過渡DC電圧手段をさらに含む。
【0059】
別の実施形態によると、質量分析計は、第2のイオンガイドまたは第2の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイスの軸方向長さの少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%に沿って少なくともいくつかのイオンを駆動するために、2つ以上の位相シフトACまたはRF電圧を第2のイオンガイドまたは第2の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイスを形成する電極に印加するように配置され適合されるACまたはRF電圧手段をさらに含む。
【0060】
第2のイオンガイドまたは第2の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイスは、好ましくは(i)<20mm、(ii)20〜40mm、(iii)40〜60mm、(iv)60〜80mm、(v)80〜100mm、(vi)100〜120mm、(vii)120〜140mm、(viii)140〜160mm、(ix)160〜180mm、(x)180〜200mm、(xi)200〜220mm、(xii)220〜240mm、(xiii)240〜260mm、(xiv)260〜280mm、(xv)280〜300mm、および(xvi)>300mmからなる群から選択される軸方向長さを有する。
【0061】
第2のイオンガイドまたは第2の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイスは、イオンを好ましくは第2のイオンガイドまたは第2の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイス内の半径方向に閉じ込めるために、ACまたはRF電圧を第2のイオンガイドまたは第2の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイスの複数の電極のうちの少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%に印加するように配置され適合されるACまたはRF電圧手段をさらに含む。
【0062】
ACまたはRF電圧手段は、好ましくは(i)<50Vピーク・トゥ・ピーク、(ii)50〜100Vピーク・トゥ・ピーク、(iii)100〜150Vピーク・トゥ・ピーク、(iv)150〜200Vピーク・トゥ・ピーク、(v)200〜250Vピーク・トゥ・ピーク、(vi)250〜300Vピーク・トゥ・ピーク、(vii)300〜350Vピーク・トゥ・ピーク、(viii)350〜400Vピーク・トゥ・ピーク、(ix)400〜450Vピーク・トゥ・ピーク、(x)450〜500Vピーク・トゥ・ピーク、および(xi)>500Vピーク・トゥ・ピークからなる群から選択される振幅を有するACまたはRF電圧を、第2のイオンガイドまたは第2の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイスの複数の電極に供給するように配置され適合される。
【0063】
ACまたはRF電圧手段は、好ましくは(i)<100kHz、(ii)100〜200kHz、(iii)200〜300kHz、(iv)300〜400kHz、(v)400〜500kHz、(vi)0.5〜1.0MHz、(vii)1.0〜1.5MHz、(viii)1.5〜2.0MHz、(ix)2.0〜2.5MHz、(x)2.5〜3.0MHz、(xi)3.0〜3.5MHz、(xii)3.5〜4.0MHz、(xiii)4.0〜4.5MHz、(xiv)4.5〜5.0MHz、(xv)5.0〜5.5MHz、(xvi)5.5〜6.0MHz、(xvii)6.0〜6.5MHz、(xviii)6.5〜7.0MHz、(xix)7.0〜7.5MHz、(xx)7.5〜8.0MHz、(xxi)8.0〜8.5MHz、(xxii)8.5〜9.0MHz、(xxiii)9.0〜9.5MHz、(xxiv)9.5〜10.0MHz、および(xxv)>10.0MHzからなる群から選択される周波数を有するACまたはRF電圧を、第2のイオンガイドまたは第2の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイスの複数の電極に供給するように配置され適合される。
【0064】
一実施形態によると、1〜100、100〜200、200〜300、300〜400、400〜500、500〜600、600〜700、700〜800、800〜900または900〜1000の範囲の質量電荷比を有する1価イオンは、好ましくは第2のイオンガイドまたは第2の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイスを通るドリフト時間または通過時間が(i)0〜10μs、(ii)10〜20μs、(iii)20〜30μs、(iv)30〜40μs、(v)40〜50μs、(vi)50〜60μs、(vii)60〜70μs、(viii)70〜80μs、(ix)80〜90μs、(x)90〜100μs、(xi)100〜110μs、(xii)110〜120μs、(xiii)120〜130μs、(xiv)130〜140μs、(xv)140〜150μs、(xvi)150〜160μs、(xvii)160〜170μs、(xviii)170〜180μs、(xix)180〜190μs、(xx)190〜200μs、(xxi)200〜210μs、(xxii)210〜220μs、(xxiii)220〜230μs、(xxiv)230〜240μs、(xxv)240〜250μs、(xxvi)250〜260μs、(xxvii)260〜270μs、(xxviii)270〜280μs、(xxix)280〜290μs、(xxx)290〜300μs、および(xxxi)>300μsの範囲内にある。
【0065】
質量分析計は、好ましくは第2のイオンガイドまたは第2の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイスの少なくとも一部を(i)>0.0001mbar、(ii)>0.001mbar、(iii)>0.01mbar、(iv)>0.1mbar、(v)>1mbar、(vi)>10mbar、(vii)0.0001〜0.1mbar、および(viii)0.001〜0.01mbarからなる群から選択される圧力に維持するように配置され適合される手段をさらに含む。
【0066】
質量分析計は、好ましくはイオン移動度分光計またはセパレータから現れるイオンを第2のイオンガイドまたは第2の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイス内へ加速するように配置され適合される加速手段をさらに含み、動作モードにおいて、イオンのうちの少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%を、第2のイオンガイドまたは第2の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイスに入ると同時にフラグメント化または反応させる。
【0067】
加速手段は、好ましくはイオン移動度分光計またはセパレータから現れるイオンが第2のイオンガイドまたは第2の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイスへ送られる際にイオンの運動エネルギーを漸進的に変化または増加させるように配置され適合される。
【0068】
加速手段は、好ましくは電位差が維持される領域を備え、電位差は、経時的に漸進的に変化または増加される。
【0069】
質量分析計は、好ましくは第2のイオンガイドまたは第2の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイスに入る前にイオンが通過する電位差を、イオンが第2のイオンガイドまたは第2の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイスに入ると同時にイオンを実質的にフラグメント化または反応させる比較的高いフラグメンテーションまたは反応動作モードと、イオンが第2のイオンガイドまたは第2の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイスに入ると同時に実質的により少ないイオンをフラグメント化または反応させるか、または実質的にイオンをフラグメント化または反応させない比較的低いフラグメンテーションまたは反応動作モードとを切り替えるか、または繰り返し切り替えるように配置され適合される制御システムをさらに含む。
【0070】
比較的高いフラグメンテーションまたは反応動作モードにおいて、第2のイオンガイドまたは第2の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイスに入るイオンは、好ましくは(i)≧10V、(ii)≧20V、(iii)≧30V、(iv)≧40V、(V)≧50V、(vi)≧60V、(vii)≧70V、(viii)≧80V、(ix)≧90V、(x)≧100V、(xi)≧110V、(xii)≧120V、(xiii)≧130V、(xiv)≧140V、(xv)≧150V、(xvi)≧160V、(xvii)≧170V、(xviii)≧180V、(xix)≧190V、および(xx)≧200Vからなる群から選択される電位差を通して加速される。
【0071】
比較的低いフラグメンテーションまたは反応動作モードにおいて、第2のイオンガイドまたは第2の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイスに入るイオンは、好ましくは(i)≦20V、(ii)≦15V、(iii)≦10V、(iv)≦5V、および(v)≦1Vからなる群から選択される電位差を通して加速される。
【0072】
制御システムは、好ましくは第2のイオンガイドまたは第2の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイスを比較的高いフラグメンテーションまたは反応動作モードと比較的低いフラグメンテーションまたは反応動作モードとの間で、1ms、5ms、10ms、15ms、20ms、25ms、30ms、35ms、40ms、45ms、50ms、55ms、60ms、65ms、70ms、75ms、80ms、85ms、90ms、95ms、100ms、200ms、300ms、400ms、500ms、600ms、700ms、800ms、900ms、1s、2s、3s、4s、5s、6s、7s、8s、9sまたは10s毎に少なくとも1回切り替えるように配置され適合される。
【0073】
一実施形態によると、第2のイオンガイドまたは第2の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイスは、好ましくはイオン移動度分光計またはセパレータから現れるイオンビームを受け取り、かつ少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20の個別群またはパケットのイオンが第2のイオンガイドまたは第2の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイス内にいずれかの特定の時点に閉じ込めおよび/または隔離されるようにイオンビームを変換または分割するように配置され適合される。各群またはパケットのイオンは、好ましくは第2のイオンガイドまたは第2の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイス内に形成された個別の軸方向ポテンシャル井戸内に個別に閉じ込めおよび/または隔離される。
【0074】
第2のイオンガイドまたは第2の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイス内に閉じ込めおよび/または隔離されたイオン群またはパケットの各々におけるイオンの平均イオン移動度は、好ましくは経時的に漸進的に低減し、および/または第2のイオンガイドまたは第2の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイスの出射口領域から第2のイオンガイドまたは第2の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイスの入射口領域に向かって漸進的に低減する。
【0075】
第2のイオンガイドまたは第2の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイスは、好ましくはイオン移動度分光計またはセパレータから現れるイオンを貯留および/または閉じ込めおよび/または分割し、かつ(i)イオンがイオン移動度分光計またはセパレータから現れる秩序(order)および/または忠実度(fidelity)を実質的に維持するか、および/または(ii)1つ以上の群またはパケットのイオンが第2のイオンガイドまたは第2の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイスに沿って平行移動される際に実質的にイオンの組成を維持するかのいずれかを行いながら、イオンを第2のイオンガイドまたは第2の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイスの軸方向長さの少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%に沿って1つ以上の群またはパケットのイオンとして平行移動するように配置され適合される。
【0076】
イオン移動度分光計またはセパレータは、好ましくは気相電気泳動デバイスを含む。
【0077】
一実施形態によると、イオン移動度分光計またはセパレータは、
(i)ドリフト管、
(ii)多重極ロッドセットまたは分割多重極ロッドセット、
(iii)イオントンネルまたはイオンファンネル、あるいは
(iv)平面電極、平板電極またはメッシュ電極のスタックまたはアレイ
を含む。
【0078】
ドリフト管は、好ましくは1つ以上の電極とドリフト管の軸方向長さの少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%に沿って軸方向DC電圧勾配または実質的に一定もしくは直線の軸方向DC電圧勾配を維持するための手段と備える。
【0079】
多重極ロッドセットは、好ましくは四重極ロッドセット、六重極ロッドセット、八重極ロッドセット、または8より多くのロッドを含むロッドセットを含む。
【0080】
イオントンネルまたはイオンファンネルは、好ましくは使用時にイオンが送られる開口部を有する複数の電極または少なくとも2、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90もしくは100の電極を含み、電極のうちの少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%は、実質的に同じサイズもしくは面積である開口部を有するか、またはサイズもしくは面積が漸進的に大きくおよび/または小さくなる開口部を有する。好ましくは、電極のうちの少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%は、(i)≦1.0mm、(ii)≦2.0mm、(iii)≦3.0mm、(iv)≦4.0mm、(v)≦5.0mm、(vi)≦6.0mm、(vii)≦7.0mm、(viii)≦8.0mm、(ix)≦9.0mm、(x)≦10.0mm、および(xi)>10.0mmからなる群から選択される内径または寸法を有する。
【0081】
平面電極、平板電極またはメッシュ電極のスタックまたはアレイは、好ましくは複数または少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19もしくは20の平面電極、平板電極またはメッシュ電極を含み、平面電極、平板電極またはメッシュ電極の少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%は、使用時にイオンが移動する平面内に概ね配置される。好ましくは、平面電極、平板電極またはメッシュ電極の少なくともいくつかまたは少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%もしくは100%には、ACまたはRF電圧が供給され、隣り合う平面電極、平板電極またはメッシュ電極に、逆位相のACまたはRF電圧が供給される。
【0082】
イオン移動度分光計またはセパレータは、好ましくは複数の軸方向セグメントまたは少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95もしくは100の軸方向セグメントを含む。
【0083】
一実施形態によると、質量分析計は、好ましくは少なくともいくつかのイオンをイオン移動度分光計またはセパレータの軸方向長さの少なくとも一部または少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%もしくは100%に沿って駆動するために、イオン移動度分光計またはセパレータの軸方向長さの少なくとも一部または少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%もしくは100%に沿って実質的に一定のDC電圧勾配を維持するためのDC電圧手段をさらに含む。
【0084】
一実施形態によると、質量分析計は、少なくともいくつかのイオンをイオン移動度分光計またはセパレータの軸方向長さの少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%に沿って駆動するために、1つ以上の過渡DC電圧もしくは電位または1つ以上の過渡DC電圧波形もしくは電位波形をイオン移動度分光計またはセパレータを形成する電極に印加するように配置され適合される過渡DC電圧手段をさらに含む。
【0085】
一実施形態によると、質量分析計は、少なくともいくつかのイオンをイオン移動度分光計またはセパレータの軸方向長さの少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%に沿って駆動するために、2つ以上の位相シフトACまたはRF電圧をイオン移動度分光計またはセパレータを形成する電極に印加するように配置され適合されるACまたはRF電圧手段を含む。
【0086】
イオン移動度分光計またはセパレータは、好ましくは(i)<20mm、(ii)20〜40mm、(iii)40〜60mm、(iv)60〜80mm、(v)80〜100mm、(vi)100〜120mm、(vii)120〜140mm、(viii)140〜160mm、(ix)160〜180mm、(x)180〜200mm、(xi)200〜220mm、(xii)220〜240mm、(xiii)240〜260mm、(xiv)260〜280mm、(xv)280〜300mm、および(xvi)>300mmからなる群から選択される軸方向長さを有する。
【0087】
イオン移動度分光計またはセパレータは、好ましくはイオンをイオン移動度分光計またはセパレータ内に半径方向に閉じ込めるために、ACまたはRF電圧をイオン移動度分光計またはセパレータの複数の電極のうちの少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%に印加するように配置され適合されるACまたはRF電圧手段をさらに含む。
【0088】
ACまたはRF電圧手段は、好ましくは(i)<50Vピーク・トゥ・ピーク、(ii)50〜100Vピーク・トゥ・ピーク、(iii)100〜150Vピーク・トゥ・ピーク、(iv)150〜200Vピーク・トゥ・ピーク、(v)200〜250Vピーク・トゥ・ピーク、(vi)250〜300Vピーク・トゥ・ピーク、(vii)300〜350Vピーク・トゥ・ピーク、(viii)350〜400Vピーク・トゥ・ピーク、(ix)400〜450Vピーク・トゥ・ピーク、(x)450〜500Vピーク・トゥ・ピーク、および(xi)>500Vピーク・トゥ・ピークからなる群から選択される振幅を有するACまたはRF電圧を、イオン移動度分光計またはセパレータの複数の電極に供給するように配置され適合される。
【0089】
ACまたはRF電圧手段は、好ましくは(i)<100kHz、(ii)100〜200kHz、(iii)200〜300kHz、(iv)300〜400kHz、(v)400〜500kHz、(vi)0.5〜1.0MHz、(vii)1.0〜1.5MHz、(viii)1.5〜2.0MHz、(ix)2.0〜2.5MHz、(x)2.5〜3.0MHz、(xi)3.0〜3.5MHz、(xii)3.5〜4.0MHz、(xiii)4.0〜4.5MHz、(xiv)4.5〜5.0MHz、(xv)5.0〜5.5MHz、(xvi)5.5〜6.0MHz、(xvii)6.0〜6.5MHz、(xviii)6.5〜7.0MHz、(xix)7.0〜7.5MHz、(xx)7.5〜8.0MHz、(xxi)8.0〜8.5MHz、(xxii)8.5〜9.0MHz、(xxiii)9.0〜9.5MHz、(xxiv)9.5〜10.0MHz、および(xxv)>10.0MHzからなる群から選択される周波数を有するACまたはRF電圧を、イオン移動度分光計またはセパレータの複数の電極に供給するように配置され適合される。
【0090】
一実施形態によると、1〜100、100〜200、200〜300、300〜400、400〜500、500〜600、600〜700、700〜800、800〜900または900〜1000の範囲の質量電荷比を有する1価イオンは、イオン移動度分光計またはセパレータを通るドリフト時間または通過時間が(i)0〜1ms、(ii)1〜2ms、(iii)2〜3ms、(iv)3〜4ms、(v)4〜5ms、(vi)5〜6ms、(vii)6〜7ms、(viii)7〜8ms、(ix)8〜9ms、(x)9〜10ms、(xi)10〜11ms、(xii)11〜12ms、(xiii)12〜13ms、(xiv)13〜14ms、(xv)14〜15ms、(xvi)15〜16ms、(xvii)16〜17ms、(xviii)17〜18ms、(xix)18〜19ms、(xx)19〜20ms、(xxi)20〜21ms、(xxii)21〜22ms、(xxiii)22〜23ms、(xxiv)23〜24ms、(xxv)24〜25ms、(xxvi)25〜26ms、(xxvii)26〜27ms、(xxviii)27〜28ms、(xxix)28〜29ms、(xxx)29〜30ms、(xxxi)30〜35ms、(xxxii)35〜40ms、(xxxiii)40〜45ms、(xxxiv)45〜50ms、(xxxv)50〜55ms、(xxxvi)55〜60ms、(xxxvii)60〜65ms、(xxxviii)65〜70ms、(xxxix)70〜75ms、(xl)75〜80ms、(xli)80〜85ms、(xlii)85〜90ms、(xliii)90〜95ms、(xliv)95〜100ms、および(xlv)>100msの範囲内にある。
【0091】
一実施形態によると、質量分析計は、イオン移動度分光計またはセパレータの少なくとも一部を(i)>0.001mbar、(ii)>0.01mbar、(iii)>0.1mbar、(iv)>1mbar、(v)>10mbar、(vi)>100mbar、(vii)0.001〜100mbar、(viii)0.01〜10mbar、および(ix)0.1〜1mbarからなる群から選択される圧力に維持するように配置され適合される手段をさらに含む。
【0092】
質量分析計は、第1のガスをイオン移動度分光計またはセパレータに導入するための手段をさらに含み、第1のガスは、(i)窒素、(ii)アルゴン、(iii)ヘリウム、(iv)メタン、(v)ネオン、(vi)キセノン、および(vii)空気から選択されるか、またはその群から選択されるガスを少なくとも部分的に含む。
【0093】
質量分析計は、好ましくはイオン移動度分光計またはセパレータのためのハウジングをさらに含み、ハウジングは、イオン入射口開口部、イオン出射口開口部、およびガスをハウジング内へ導入するためのポートを除いて実質的に気密な封入体を形成する。
【0094】
質量分析計は、好ましくは0〜5ms、5〜10ms、10〜15ms、15〜20ms、20〜25ms、25〜30ms、30〜35ms、35〜40ms、40〜45ms、45〜50ms、50〜55ms、55〜60ms、60〜65ms、65〜70ms、70〜75ms、75〜80ms、80〜85ms、85〜90ms、90〜95ms、95〜100msまたは>100ms毎に1回イオンをイオン移動度分光計またはセパレータにパルスするための手段を含む。
【0095】
質量分析計は、好ましくはイオン源をさらに含む。イオン源は、好ましくは(i)エレクトロスプレーイオン化(「ESI」)イオン源、(ii)大気圧光イオン化(「APPI」)イオン源、(iii)大気圧化学イオン化(「APCI」)イオン源、(iv)マトリックス支援レーザ脱離イオン化(「MALDI」)イオン源、(v)レーザ脱離イオン化(「LDI」)イオン源、(vi)大気圧イオン化(「API」)イオン源、(vii)シリコンを用いた脱離イオン化(「DIOS」)イオン源、(viii)電子衝突(「EI」)イオン源、(ix)化学イオン化(「CI」)イオン源、(x)電界イオン化(「FI」)イオン源、(xi)電界脱離(「FD」)イオン源、(xii)誘導結合プラズマ(「ICP」)イオン源、(xiii)高速原子衝撃(「FAB」)イオン源、(xiv)液体二次イオン質量分析(「LSIMS」)イオン源、(xv)脱離エレクトロスプレーイオン化(「DESI」)イオン源、(xvi)ニッケル−63放射性イオン源、(xvii)大気圧マトリックス支援レーザ脱離イオン化イオン源、および(xviii)熱スプレーイオン源からなる群から選択される。
【0096】
イオン源は、パルス化または連続イオン源を含み得る。
【0097】
質量分析計は、質量分析器をさらに含み得る。質量分析器は、(i)四重極質量分析器、(ii)2Dまたは直線四重極質量分析器、(iii)ポールまたは3D四重極質量分析器、(iv)ペニングトラップ質量分析器、(v)イオントラップ質量分析器、(vi)磁場型質量分析器、(vii)イオンサイクロトロン共鳴(「ICR」)質量分析器、(viii)フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴(「FTICR」)質量分析器、(ix)静電またはオービトラップ質量分析器、(x)フーリエ変換静電またはオービトラップ質量分析器、(xi)フーリエ変換質量分析器、(xii)飛行時間質量分析器、(xiii)直交加速飛行時間質量分析器、および(xiv)軸方向加速飛行時間質量分析器からなる群から選択され得る。
【0098】
質量分析計は、好ましくはイオン検出器をさらに含む。
【0099】
本発明の別の態様によると、
第1のイオンガイドまたは第1の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイスにおいてイオンをフラグメント化または反応させ、生成物、娘、付加生成物またはフラグメントイオンを生成するステップと、
第1のイオンガイドまたは第1の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイスから現れるか、または送られてきた生成物、娘、付加生成物またはフラグメントイオンをそのイオン移動度にしたがって、イオン移動度分光計またはセパレータにおいて、時間的に分離するステップと
を含む質量分析の方法が提供される。
【0100】
本発明の別の態様によると、
第1の質量フィルタまたは質量分析器においてイオンを質量分析する質量フィルタリングステップと、
イオン移動度分光計またはセパレータにおいてイオンを時間的に分離するステップであって、イオン移動度分光計またはセパレータは、第1の質量フィルタまたは質量分析器の下流に配置される、ステップと、
イオン移動度分光計またはセパレータの下流に配置された第2の質量フィルタまたは質量分析器において質量フィルタリングまたは質量分析するステップと
を含む質量分析の方法が提供される。
【0101】
イオン移動度分光計またはセパレータにおけるイオンは、好ましくはバッファガスの存在下での電界にさらされる。異なる種は、好ましくは異なる速度を獲得し、好ましくはそれらのイオン移動度または別の物理化学特性にしたがって分離される。そのような分光計におけるイオンの移動度は、サイズ、形状および電荷に依存する。
【0102】
好適な実施形態において、1つ以上の特定の質量電荷比を有するイオンは、まず質量フィルタを通って送られる。次いで、イオンを衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスまたは反応デバイスにおいてフラグメント化または反応させる。次いで、得られたフラグメント、娘、生成物または付加生成物イオンは、好ましくはイオン移動度分光計またはセパレータにおいて時間的に分離され、検出される。質量フィルタは、好ましくは四重極質量フィルタを含むが、他のタイプの質量フィルタも考えられる。
【0103】
好適な実施形態によると、イオンをフラグメント化または反応させるステップと、フラグメント、娘、生成物または付加生成物イオンのパルスを提供するステップと、別のイオンパルスを提供する前にイオン移動度分光計またはセパレータにおいてイオンのうちの少なくともいくつかをそれらのイオン移動度に従って時間的に分離するステップと、フラグメント、娘、生成物または付加生成物イオンのうちのいくつかを検出するステップとを含む質量分析の方法が提供される。
【0104】
質量フィルタではなく、イオン移動度分光計またはセパレータを使用してフラグメントまたは娘イオンを分析することの利点は、異なるフラグメントまたは娘イオンのうちのいくつかまたはすべてが検出され得ることである。これは、四重極ロッドセット質量フィルタまたは質量分析器を使用して狭い範囲の質量電荷比を有するイオンだけを送り検出される場合よりも多くのイオンを検出する手段を提供する。それは、また2つ以上の特定のフラグメント、娘、生成物または付加生成物イオンの相対的な存在量を測定する手段を提供し、次いで分析を確認する手段を提供する。四重極ロッドセット質量フィルタは、分析の確認のために異なるフラグメントまたは娘イオンを送るように切り替えるようプログラムされ得るが、各特定のフラグメントイオンの測定に対するデューティサイクルにおいてその分だけ不可避な低減がある。これは、各特定のフラグメントまたは娘イオンに対する感度の損失を招く。これに対し、イオン移動度分光計またはセパレータを含む好適な実施形態は、各種のイオンがデューティサイクルまたは感度を損失することなく記録されるように、異なるフラグメント、娘、生成物または付加生成物イオンを時間において分離する。
【0105】
本発明の一実施形態によると、1つ以上の特定の質量電荷比を有するイオンは、衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスまたは反応デバイスにおけるフラグメント化または反応の前に、第1の質量フィルタを通って送られる。次いで、得られたフラグメント、娘、付加生成物または生成物イオンは、好ましくはイオン移動度分光計またはセパレータにおいて時間的に分離される。次いで、1つ以上の特定の質量電荷比を有するフラグメント、娘、付加生成物または生成物イオンは、好ましくは第2の質量フィルタを通って送られ、イオンは、イオン検出器によって検出される。第1および第2の質量フィルタは、好ましくは四重極質量フィルタを含むが、他のタイプの質量フィルタもまた考えられる。
【0106】
他の実施形態によると、1つ以上の特定の質量電荷比を有するイオンは、第1の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスまたは反応デバイスにおけるフラグメント化または反応の前に、第1の質量フィルタを通って送られる。次いで、得られたフラグメント、娘、付加生成物または生成物イオンは、好ましくはイオン移動度分光計またはセパレータにおいて時間的に分離される。次いで、フラグメント、娘、付加生成物または生成物イオンは、好ましくは第2の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスまたは反応デバイスにおいてさらにフラグメンテーションされ、1つ以上の特定の質量電荷比を有する第2世代のフラグメント、娘、生成物または付加生成物イオンは、好ましくは第2の質量フィルタを通って送られ、好ましくイオン検出器によって検出される。第1および第2の質量フィルタは、好ましくは四重極質量フィルタを含むが、他のタイプの質量フィルタもまた考えられる。
【0107】
三連四重極質量分析計のように、分析の特異性は、衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスまたは反応デバイスにおけるフラグメント化または反応の前に存在し得るいずれかの親または前駆体イオンを排除することによって向上させ得る。イオンは、衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスまたは反応デバイスの上流に位置する質量フィルタを通るように配置され得る。質量フィルタは、好ましくは四重極ロッドセット質量フィルタを含むが、他のタイプの質量フィルタもまた考えられる。質量フィルタは、すべてのイオンを送るように設定され得るか、または選択された目的の親または前駆体イオンだけを送るように設定され得る。
【0108】
上記好適な実施形態にかかるイオン移動度分光計またはセパレータは、好ましくは実質的にすべてのイオンを送るように配置されるが、四重極ロッドセット質量フィルタほど特異性は高くなくてもよい。イオン移動度分光計またはセパレータの有効な分解能は、一般的には約20であるが、他方四重極ロッドセット質量フィルタの分解能は、単位質量であり得る。すなわち、四重極ロッドセット質量フィルタは、質量電荷比100において分解能が100、質量電荷比200において分解能が200、または質量電荷比500において分解能が500であるなどである。
【0109】
イオン移動度分光計またはセパレータのより低い分解能を考慮し、特に好適な実施形態によると、好ましくは、イオン移動度分光計またはセパレータから前方へ送られるイオンは、好ましくはイオン移動度分光計またはセパレータの下流に位置または配置された質量フィルタを通過する(passed through)。質量フィルタは、好ましくはイオン検出器の上流に位置する。
【0110】
イオン移動度分光計またはセパレータの下流に配置された質量フィルタは、好ましくは四重極ロッドセット質量フィルタを含むが、他のタイプの質量フィルタもまた考えられる。質量フィルタは、すべてのイオンを送るように設定され得るか、または目的のイオンだけを送るように設定され得る。すべてのイオンが送られるように設定される場合、イオン移動度分光計またはセパレータは、フラグメント、娘、生成物または付加生成物イオンの分析に限定して使用され得る。しかし、質量フィルタは、多くの特定のフラグメント、娘、生成物または付加生成物イオンを送るように設定され得る。
【0111】
好適な実施形態において、イオン移動度分光計またはセパレータの下流に配置された質量フィルタは、イオン移動度分離サイクル時間過程の間に予め選択された時点で多くの予め選択された質量電荷比に切り替わるように設定され得る。予め選択された質量電荷比伝送(transmission)ウィンドウは、多くの特定の目的フラグメント、娘、生成物または付加生成物イオンの質量電荷比に対応するように選択され得る。予め選択された時点は、イオン移動度分光計またはセパレータからこれらの具体的に選択されたフラグメント、娘、生成物または付加生成物イオンの予測された出射または溶離時点を含むように設定され得る。この実施形態によると、多くのフラグメント、娘、生成物または付加生成物イオンは、デューティサイクルを損失せず、したがって感度を損失することなく質量フィルタの特異性により測定され得る。
【0112】
他の実施形態において、イオン移動度分光計またはセパレータの下流に配置された質量フィルタは、イオン移動度分光計またはセパレータサイクル時間に同期してスキャンされ得る。質量フィルタのスキャン法則またはスキャン機能は、イオン移動度分光計またはセパレータを出射した実質的に多くのイオン(親もしくは前駆体イオンまたはフラグメント、娘、生成物もしくは付加生成物イオンのいずれか)がその後に質量フィルタを通って送られるように、イオンの質量電荷比とイオン移動度分光計またはセパレータからの出射または溶離時間との間の関係に可能な限り近く一致するように配置され得る。
【0113】
一般的な四重極質量フィルタに対する最大スキャンレート(rate)は、一般的には1ms当たり10〜20ダルトンのオーダーであるが、一般的なイオン移動度分光計またはセパレータに対する実験実行時間は、一般的には5〜20msのオーダーであり得る。いくつかのアプリケーションについては、従来の四重極質量フィルタは、イオン移動度分光計またはセパレータの出射口でのイオンの到着レート(rate)に遅れないように十分に速くはスキャンできないことがあることは明らかである。一実施形態によると、イオン移動度分光計またはセパレータの下流に配置された四重極質量フィルタは、例えばロッドセットの長さを低減することによって、スキャンレートを速くするように配置され得る。イオン移動度分光計またはセパレータはまた、例えばイオン移動度分光計またはセパレータの長さを増加することによってドリフト時間を長くするように配置され得る。
【0114】
本発明の一実施形態によると、イオン源、第1の質量フィルタ、衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスまたは反応デバイス、および1パケットのフラグメント、娘、生成物または付加生成物イオンを衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスまたは反応デバイスへパルスとして放出する手段を含む質量分析計が提供される。質量分析計は、好ましくはイオン移動度分光計またはセパレータ、第2の質量フィルタ、およびイオン検出器をさらに含む。第2のフラグメンテーション、衝突または反応デバイスが、イオン移動度分光計またはセパレータの下流かつ第2の質量フィルタの上流に配置され得る。
【0115】
第2の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスまたは反応デバイスは、好ましくはイオン移動度分光計またはセパレータから現れるフラグメント、娘、生成物または付加生成物イオンをさらにフラグメント化または反応させて、第2世代のフラグメント、娘、生成物または付加生成物イオン(すなわち、孫娘イオン)を形成することを可能にする。その後、孫娘イオンは、第2の質量フィルタによって分析され得る。
【0116】
イオン移動度分光計またはセパレータに存在する際に、各フラグメント、娘、生成物または付加生成物イオンをフラグメント化または反応させて複数の第2世代のまたは孫娘イオンを形成し得る。1つ以上の特定の孫娘イオンは、第2の質量フィルタを通って送られ、したがってその後にイオン検出器に検出されるように配置され得る。特定の娘、フラグメント、生成物または付加生成物イオン(これ自身は特定の親または前駆体イオンから得られる)からの特定の孫娘イオンを検出することで、さらにより高い特異性が提供される。さらに、単一の親または前駆体イオンからの娘、フラグメント、生成物または付加生成物イオンおよび孫娘イオンのいくつかの組み合わせは、各孫娘イオンの測定に対するデューティサイクルを低減することなく検出され得る。したがって、単一の親または前駆体イオンからの娘、フラグメント、生成物または付加生成物イオンおよび孫娘イオンのいくつかの組み合わせは、感度を損失することなく検出され得る。
【0117】
一実施形態によると、イオンを受け取り、フラグメント化または反応させるための手段、フラグメント、娘、生成物または付加生成物イオンを格納するための手段、イオンパルスをイオン移動度分光計またはセパレータへ放出するための手段、およびイオンを検出するための手段が提供される。
【0118】
イオンは、衝突セルまたは他の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスまたは反応デバイスにおいて受け取られ、フラグメント化または反応するようにされ得る。衝突セルデバイスまたは他の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスまたは反応デバイスは、10-4mbar〜1mbar、さらに好ましくは10-3〜10-1mbarの圧力に維持され得る。衝突セルデバイスまたは他の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスまたは反応デバイスは、ACまたはRFイオンガイドを備え得る。ACまたはRFイオンガイドにおいて、イオンは、背景ガス分子と衝突する場合でも中心軸の近傍に閉じ込められる。RFイオンガイドは、ACまたはRF電圧が隣接するロッド間で印加される多重極ロッドセットイオンガイド、ACまたはRF電圧が隣接するロッド間で印加されるリングスタック、または多くの他のタイプのRFイオンガイドのうちの1つを含み得る。少なくとも10eV以上のエネルギーで衝突セルに入るイオンは、ガス分子と多数回衝突を行い、フラグメント化するよう誘導され得る。
【0119】
衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスまたは反応デバイスは、またイオンを格納し、イオンをパルスとして放出するために使用され得る。衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスまたは反応デバイスの出射口における平板または電極は、ポテンシャル障壁を形成し、これによりイオンが衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスまたは反応デバイスを出射することを防止するような電圧に設定され得る。正のイオンについては、衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスまたは反応デバイスに対して約+10Vの電位で十分であり得る。衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスまたは反応デバイスの入射口における同様の電位での同様な平板または電極がまたイオンが入射口を介して衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスまたは反応デバイスから離脱または出射することを防止し得る。衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスまたは反応デバイスの出射口における平板または電極上の電位が瞬間的に衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスまたは反応デバイスに対して0Vまたは0V未満に低減されるならば、イオンは、好ましくはパルスとして放出される。イオンパルスがイオン移動度分光計またはセパレータ内へ放出されると、好ましくは新しいイオン移動度分離実験が開始される。
【0120】
上記好適なイオン移動度分光計またはセパレータにおけるイオンは、好ましくはバッファガスの存在下での電界にさらされる。異なる種のイオンは、好ましくは異なる速度を得、好ましくはそれらのイオン移動度または別の物理化学特性にしたがって分離される。そのようなイオン移動度分光計またはセパレータにおけるイオンの移動度は、サイズ、形状および電荷に依存する。一形態のイオン移動度分光計またはセパレータは、軸方向の電界が維持されるドリフト管またはセルからなる。バッファガスが存在することによって、比較的高いイオン移動度を有するイオンは、比較的低いイオン移動度を有するイオンに比較して、デバイスをより短時間で通過する。その結果、イオンは、イオン移動度にしたがって分離される。ドリフトセルは、またドリフトセルを含む電極に不均一なACまたはRF電界を印加することによってイオンを半径方向に閉じ込めるイオンガイドとして作用し得る。
【0121】
イオン移動度分光計またはセパレータは、好ましくはバッファガスの存在下でイオンガイドの軸に沿って動く電位の山または障壁によってイオンが前方へ推進されるように、不均一なACまたはRF電界をイオンガイドに印加することによってイオンを半径方向に閉じ込めるように配置され得る。移動する電位障壁の振幅および速度ならびにガスのタイプおよび圧力を適切に選択することによって、好ましくはイオンがイオン移動度にしたがって選択的にするりと越えることができる。次いで、これにより、異なるイオン移動度のイオンが異なる速度で運ばれ、これにより分離され得る。
【0122】
イオン移動度分離実験についてのサイクル時間は、2〜50ms、より好ましくは5〜20ms、さらにより好ましくは約10msであり得る。イオン移動度分光計またはセパレータを出射するイオンは、好ましくは検出および記録される。次いで、サイクルは、繰り返され得る。
【0123】
好ましくはレーザ脱離イオン化イオン源、マトリックス支援レーザ脱離/イオン化イオン源、またはシリコンを用いた脱離/イオン化イオン源などのパルス化イオン源を含むイオン源が提供され得る。
【0124】
あるいは、連続イオン源が使用され得る。連続イオン源は、エレクトロスプレーイオン化イオン源、大気圧イオン化イオン源、電子衝突イオン源、化学イオン化イオン源、高速原子衝撃イオン源、液体二次イオン質量分析イオン源、電界イオン化イオン源、電界脱離イオン源、電界脱離イオン源を備え得る。他の連続または準連続イオン源もまた使用され得る。
【0125】
質量分析計は、イオン源の下流かつ衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスまたは反応デバイスの上流に配置された質量フィルタを備え得る。質量フィルタは、単一の特定の質量電荷比を有するイオンまたはある範囲の質量電荷比を有するイオンを送るために使用され得る。質量フィルタは、多重極ロッドセット質量フィルタ、四重極質量フィルタ、飛行時間質量フィルタ、ウィーンフィルタまたは磁場型質量フィルタもしくは質量分析器を備え得る。
【0126】
質量分析計は、好ましくはイオン移動度分光計またはセパレータの下流かつ好ましくはイオン検出器に上流に配置された第2の質量フィルタを備え得る。第2の質量フィルタは、単一の特定の質量電荷比を有するイオンまたはある範囲の質量電荷比を有するイオンを送るように配置され得る。第2の質量フィルタは、多重極ロッドセット質量フィルタ、四重極質量フィルタ、飛行時間質量フィルタ、ウィーンフィルタ、または磁場型質量フィルタもしくは質量分析器を備え得る。
【0127】
質量分析計は、またイオン移動度分光計またはセパレータの下流かつ好ましくは第2の質量フィルタの上流に配置された第2の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスまたは反応デバイスを備え得る。一動作モードにおいて、好ましくは、第2の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスまたは反応デバイスに入る少なくともいくつかのイオンをフラグメントまたは反応させる。
【0128】
第2の衝突、フラグメンテーションまたは反応セルは、10-4mbar〜1mbar、さらに好ましくは10-3〜10-1mbarの圧力に維持され得る。第2の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスまたは反応デバイスは、イオンを背景ガス分子との衝突を行う場合でも中心軸の近傍に閉じ込めるようにACまたはRFイオンガイドを含み得る。ACまたはRFイオンガイドは、ACまたはRF電圧が隣接するロッド間で印加される多重極ロッドセットイオンガイド、RF電圧が隣接するロッド間で印加されるリングスタック、または多くの他のタイプのRFイオンガイドのうちの1つを備え得る。少なくとも10eV以上のエネルギーで第2の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスまたは反応デバイスに入るイオンは、ガス分子と多数回衝突を行い、フラグメント化するよう誘導され得る。
【0129】
ここで、添付の図面を参照し、本発明の種々の実施形態を、あくまで例として、説明する。
【0130】
従来の三連四重極質量分析計を図1に示す。イオン源(図示せず)からのイオン1は、四重極ロッドセット質量フィルタ2に転送される。四重極ロッドセット質量フィルタ2は、特定の質量電荷比を有する親または前駆体イオンを選択的に送るように配置される。次いで、選択された親または前駆体イオンは、衝突ガスを供給された比較的高圧な四重極ロッドセットイオンガイドを含む衝突セル3内へ前方に送られ、加速される。
【0131】
衝突セル3に入射した、選択された親または前駆体イオンは、衝突セル3内に存在する衝突ガス分子と多数回衝突を行う。親または前駆体イオンは、フラグメント化するように誘導され、この処理においてフラグメントまたは娘イオンを形成する。次いで、得られたフラグメントまたは娘イオンおよびいずれかのフラグメント化されなかった前駆体または親イオンは、衝突セル3から、衝突セル3の下流に配置された四重極ロッドセット質量分析器4に転送される。衝突セル3の下流に配置された四重極ロッドセット質量分析器4は、スキャンされ得る。次いで、四重極ロッドセット質量分析器4によって送られたフラグメントまたは娘イオンは、四重極ロッドセット質量分析器4の下流に配置されたイオン検出器5によって検出される。
【0132】
衝突セル3の上流に配置された四重極ロッドセット質量フィルタ2および衝突セル3の下流に配置された四重極質量分析器4は、単一のまたは特定の質量電荷比を有するイオンを送るように動作され得る。衝突セル3の上流の四重極質量フィルタ2および衝突セル3の下流に配置された四重極ロッドセット質量分析器4は、単一の特定の質量電荷比を有するイオンを送るように動作される場合に、実質的に100%のデューティサイクルを有する。
【0133】
三連四重極質量分析計を使用して選択反応モニタリング(SRM)実験を行い得る。この実験において、特定の親または前駆体イオンは、四重極質量フィルタ2によって送られ、次いで衝突セル3においてフラグメント化される。衝突セル3の下流に配置された四重極質量分析器4は、特定のフラグメントまたは娘イオンについてモニタリングするように設定され得る。そのような配置は、非常に特異的であり、かつ感度が非常に高い。
【0134】
三連四重極質量分析計は、薬剤の発見および開発の分野において非常に有用であり、そこでは、SRMおよびMRM(マルチプル反応モニタリング)の両モードにおいてターゲット化合物を定量するために使用される。
【0135】
図2は、本発明の第1の実施形態にかかる質量分析計を示す。質量分析計は、好ましくは、四重極ロッドセット質量フィルタ7、衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスまたは反応デバイス8、イオン移動度分光計またはセパレータ10、イオン移動度分光計またはセパレータ10の下流に配置されたイオンガイド13、およびイオン検出器15を含む。
【0136】
エレクトロスプレーイオン源などの連続イオン源(図示せず)が設けられ得る。好ましくは、イオン源は、好ましくは衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスまたは反応デバイス8の上流に配置された四重極ロッドセット質量フィルタ7を通過することが好ましいイオンビーム6を生成する。
【0137】
ある特定の親または前駆体イオンは、四重極ロッドセット質量フィルタ7によって選択的に送られ、好ましくは四重極ロッドセット質量フィルタ7の下流に配置された衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスまたは反応デバイス8を通過する配置され得る。
【0138】
一実施形態において、衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスまたは反応デバイス8は、またイオントラップとして機能し得る。親または前駆体イオンは、衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスまたは反応デバイス8に入り、一実施形態によると、衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスまたは反応デバイス8内に存在する背景ガス分子と多数回衝突を行うように配置され得る。親または前駆体イオンは、好ましくはフラグメント、娘、付加生成物または生成物イオンを形成するために反応またはフラグメント化するように誘導される。得られたフラグメント、娘、付加生成物または生成物イオンおよびいずれかの残りのフラグメンテーションされなかった親または前駆体イオンは、好ましくは衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスまたは反応デバイス8においてトラップされる。
【0139】
次いで、好ましくは、衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスまたは反応デバイス8内にトラップされたイオンは、例えば、好ましくは衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスまたは反応デバイス8の出射口に一般に位置するイオンゲート9に引き出し電圧を印加することによって、衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスまたは反応デバイス8からパルスされ得る。次いで、好ましくは、衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスまたは反応デバイス8からパルスされるか、または排出されるイオンは、好ましくは衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスまたは反応デバイス8の下流に配置されたイオン移動度分光計またはセパレータ10を通過する。
【0140】
衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスまたは反応デバイス8は、一実施形態によると、好ましくは約75mmの長さを有する四重極ロッドセットまたは他の多重極ロッドセットを含み得る。別の実施形態によると、衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスまたは反応デバイス8は、内部に開口部を有する複数の電極を含むイオントンネルイオンガイドを含み得る。電極の開口部は、好ましくはすべて同じサイズである。他の実施形態において、衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスまたは反応デバイス8の電極のうちの少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%または95%は、実質的に同じサイズである開口部を有する。衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスまたは反応デバイス8は、好ましくは約50の電極を含み得る。隣接する電極は、好ましくは二位相ACまたはRF電圧源の逆の位相に接続される。好ましくは、電極に印加されるACまたはRF電圧は、好ましくはイオンを衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスまたは反応デバイス8内に半径方向に閉じ込めるように作用する擬ポテンシャル井戸が生成されるようにする。
【0141】
上記好適な実施形態において、衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスまたは反応デバイス8を形成する電極は、好ましくはDC電圧V1に維持される。好ましくは、衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスまたは反応デバイス8の下流のイオンゲート9は、好ましくはV1より高いDC電圧V2に通常時保持される。イオンゲート9に印加される電圧は、好ましくはV1より低い電圧V3に定期的に降下または低下され得る。したがって、イオンは、イオン衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスまたは反応デバイス8を出射するように加速され得る。次いで、イオンは、好ましくはイオン移動度分光計またはセパレータ10内へ入射されるか、またはパルスとして入射される。
【0142】
衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスまたは反応デバイス8を形成する隣接電極は、ACまたはRF電圧源の逆の位相に接続され得る。好ましくは、ACまたはRF電圧源は、0.1〜3.0MHz、好ましくは0.3〜2.0MHz、さらに好ましくは0.5〜1.5MHzの範囲内の周波数を有する。
【0143】
別の実施形態によると、マトリックス支援レーザ脱離イオン化(「MALDI」)イオン源またはレーザ脱離イオン化イオン源などのパルス化イオン源が連続イオン源の代わりに使用され得る。パルス化イオン源が使用されるならば、イオンゲート9は省略され得る。
【0144】
イオン移動度分光計またはセパレータ10は、好ましくはイオンがそのイオン移動度にしたがって時間的に分離されるようにする。イオン移動度分光計またはセパレータ10は、多くの異なる形態を備え得る。
【0145】
一実施形態において、イオン移動度分光計またはセパレータ10は、ドリフト管内に分散される多くのガードリングから構成されるドリフト管を含む。ガードリングは、値の等しい抵抗器によって相互接続され得、かつDC電圧源に接続され得る。好ましくはドリフト管の長さの少なくとも一部に沿って維持される直線DC電圧勾配が生成され得る。ガードリングは、ACまたはRF電圧源に接続されなくてもよい。すなわち、イオンは、この実施形態にかかるイオン移動度分光計またはセパレータ10内に半径方向に閉じ込められなくてもよい。
【0146】
別の実施形態によると、イオン移動度分光計またはセパレータ10は、多くのリング、環状または平板電極を含み得る。好ましくは、電極は、好ましくはイオンが送られる開口部を内部に有する。開口部は、好ましくはすべて同じサイズであり、かつ好ましくは円状である。他の実施形態において、電極のうちの少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%または95%は、実質的に同じサイズまたは面積の開口部を有する。イオン移動度分光計またはセパレータ10は、真空チャンバに配置された複数の電極を含み得る。
【0147】
イオン移動度分光計またはセパレータ10は、好ましくは100mm〜200mmの長さを有する。好ましくは、イオン移動度分光計またはセパレータ10は、好ましくは使用時に0.1〜10mbarの範囲内の圧力に維持される真空チャンバ内に設けられる。好ましさのより低い実施形態によると、真空チャンバは、10mbarよりも大きい圧力から大気圧と等しいかまたはその近傍までの圧力に維持され得る。また、より好ましさの低い実施形態によると、真空チャンバは、あるいは0.1mbarより低い圧力に維持され得る。
【0148】
イオン移動度分光計またはセパレータ10の電極は、好ましくは交互に二位相ACまたはRF電圧源の逆の位相に接続される。好ましくは、ACまたはRF電圧源は、0.1〜3.0MHz、好ましくは0.3〜2.0MHz、さらに好ましくは0.5〜1.5MHzの範囲内の周波数を有する。
【0149】
衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスまたは反応デバイス8を構成する(comprising)電極およびイオン移動度分光計またはセパレータ10を構成する電極は、好ましくは抵抗器を介して400V源を含むDC電圧源に相互接続される。イオン移動度分光計またはセパレータ10を形成する電極を相互接続する抵抗器は、実質的に値が等しい。この場合、直線軸方向DC電圧勾配は、好ましくはイオン移動度分光計またはセパレータ10の長さに沿って維持され得る。DC電圧勾配は、直線または非直線であり得る。一実施形態によると、DC電圧勾配は、好ましくは階段状である。印加されたACまたはRF電圧は、好ましくはDC電圧に重ね合わされ、イオンをイオン移動度分光計またはセパレータ10内に半径方向に閉じ込めるように働く。イオンゲート9に印加されるDC電圧V2またはV3は、好ましくはDC電圧源上で浮動する。ACまたはRF電圧源は、好ましくはキャパシタによってDC電圧源から絶縁される。
【0150】
別の実施形態において、イオン移動度分光計またはセパレータ10は、使用時にイオンが送られる開口部を有する複数の電極を含むイオンガイドを備え得る。1つ以上の過渡DC電圧もしくは電位または1つ以上の過渡DC電圧波形もしくは電位波形は、好ましくは漸進的に電極に印加される。イオン移動度分光計またはセパレータ10を形成する電極の開口部は、好ましくはすべて同じサイズである。他の実施形態において、電極のうちの少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%または95%は、実質的に同じサイズの開口部を有する。隣接する電極は、好ましくは二位相ACまたはRF源の逆の位相に接続される。好ましくはイオン移動度分光計またはセパレータ10の長さに沿って平行移動される1つ以上の電位の山または障壁を形成するために、1つ以上の過渡DC電圧もしくは電位または1つ以上の過渡DC電圧波形もしくは電位波形は、好ましくはイオン移動度分光計またはセパレータ10の1つ以上の電極に印加される。1つ以上の電位の山または障壁がイオン移動度分光計またはセパレータ10の軸に沿ってイオンが推進または駆動される方向に移動するように、1つ以上の過渡DC電圧もしくは電位または1つ以上の過渡DC電圧波形もしくは電位波形は、好ましくはイオン移動度分光計またはセパレータを形成する一続きの電極に漸進的に印加される。
【0151】
好ましくは、イオン移動度分光計またはセパレータ10は、好ましくは使用時に0.1〜10mbarの範囲の圧力に維持される真空チャンバ内に設けられる。より好ましさの低い実施形態によると、真空チャンバは、10mbarよりも大きい圧力から大気圧と等しいかまたはその近傍までの圧力に維持され得る。別のより好ましさの低い実施形態によると、真空チャンバは、0.1mbarより低い圧力に維持され得る。
【0152】
イオン移動度分光計またはセパレータ10が好ましくはイオンの動きに粘性抵抗を与えるガスの存在、および、1以上の電位の山または障壁の振幅および平均速度(velocity)は、好ましくはイオンがときどき電位の山または障壁をするりと越えるように設定される。イオンの移動度が低いほど、そのイオンが電位の山をするりと越えるか、またはそうでなければ乗り越える可能性がより高くなる。次いで、これにより、異なるイオン移動度を有するイオンは、異なる速度でイオン移動度分光計またはセパレータ10を輸送され、したがって、時間的に分離されることが可能となる。
【0153】
好適なイオン移動度分光計またはセパレータ10を通る典型的なドリフト時間は、数ミリ秒のオーダーである。イオン移動度分光計またはセパレータ10内へパルスされるイオンのすべてがイオン移動度分光計またはセパレータ10の長さを縦断した後、好ましくは新しいイオンパルスは、好ましくは新しい動作サイクルを開始するイオン移動度分光計またはセパレータ10内に入射されるか、またはパルスされる。1回の実験で多くのサイクルが行われ得る。
【0154】
好適な実施形態によると、好ましくは、差動ポンプ開口部12がイオン移動度分光計またはセパレータ10の下流に設けられ得る。また、イオンガイド13がイオン移動度分光計またはセパレータ10の下流に設けられ得る。さらなる差動ポンプ開口部14がイオンガイド13の下流に設けられ得る。イオン検出器15を収容する真空チャンバがさらなる差動ポンプ開口部14の下流に配置され得る。イオンガイド13は、イオン移動度分光計またはセパレータ10の真空段階とイオン検出器15の真空段階との間の中間真空段階を形成し得る。一実施形態によると、イオンガイド13は、衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスまたは反応デバイス8と実質的に同じ圧力に維持され得る。
【0155】
イオンガイド13は、四重極ロッドセットまたは他の多重極ロッドセットを含み得、好ましくは約75mmの長さを有する。あるいは、イオンガイド13は、内部に開口部を有する複数の電極を含むイオントンネルイオンガイドを含み得る。開口部は、好ましくはすべて同じサイズである。他の実施形態において、電極のうちの少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%または95%は、実質的に同じサイズの開口部を有する。イオントンネルイオンガイド13は、好ましくは約50の電極を有する。イオンガイド13の隣接する電極は、好ましくはイオンが使用時にイオントンネルイオンガイド13内に半径方向に閉じ込められるように、二位相ACまたはRF電圧源の逆の位相に接続される。
【0156】
特に好適な実施形態によると、イオンガイド13は、イオントンネルイオンガイドを含む。イオントンネルイオンガイドにおいて、1つ以上の過渡DC電圧もしくは電位または1つ以上の過渡DC電圧波形もしくは電位波形は、イオンガイド13を形成する電極に印加される。イオンガイド13を形成する電極の開口部は、好ましくはすべて同じサイズである。他の実施形態において、電極の少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%または95%は、実質的に同じサイズの開口部を有する。隣接する電極は、好ましくは二位相ACまたはRF源の逆の位相に接続される。
【0157】
イオンガイド13の電極に印加される1つ以上の過渡DC電圧または1つ以上の過渡DC電圧波形は、好ましくは1つ以上の電位の山または障壁を形成する。好ましくは、1つ以上の過渡DC電圧もしくは電位または1つ以上の過渡DC電圧波形もしくは電位波形は、好ましくは1つ以上の電位の山または障壁がイオンガイド13の軸に沿ってイオンガイド13の出射口に向かって移動するように、漸進的にイオンガイド13の一続きの電極に印加される。
【0158】
好ましくは、イオンガイド13は、好ましくは使用時に10-3mbar〜10-1mbarの範囲内の圧力に維持される真空チャンバに設けられる。より好ましさの低い実施形態によると、真空チャンバは、10-3mbarより大きな圧力から1mbarに等しいかまたはその近傍までの圧力に維持され得る。別のより好ましさの低い実施形態によると、真空チャンバは、10-3mbar未満の圧力に維持され得る。
【0159】
ガス圧力は、好ましくはイオンの動きに衝突減衰を与えるのに十分であるが、好ましくはイオンの動きに過度の粘性抵抗を与えるほどには十分でない。1つ以上の電位の山または障壁の振幅および平均速度は、好ましくはイオンが電位の山または障壁をするりと越えないように設定される。イオンは、好ましくはその質量、質量電荷比、または移動度に関わらずに各進行電位の山または障壁に先行して輸送される。
【0160】
好ましくは1つ以上の過渡DC電圧もしくは電位または1つ以上の過渡DC電圧波形もしくは電位波形がイオンガイド13を形成する電極に印加される点でイオンガイド13を設ける利点は、イオン移動度分光計またはセパレータ10を出射するイオンの時間的分離が、イオンがイオンガイド13からイオン検出器15へ輸送される際に維持されることである。イオン検出器15は、好ましくは分解能または特異性を損失することなくフラグメントイオンのイオン移動度スペクトルを記録できる。
【0161】
図3は、多くの点で第1の実施形態と実質的に同様である本発明の第2の実施形態を示す。この実施形態によると、好ましくは、第2の質量フィルタ16が、好ましくはイオン移動度分光計またはセパレータ10の下流に配置されたイオンガイド13の下流にさらに設けられる。第2の質量フィルタ16は、好ましくはイオン検出器15の上流に配置される。図2に示す第1の実施形態のように、連続イオン源(例えば、エレクトロスプレーイオン源など)は、好ましくはイオンビーム6を生成し、次いでイオンビーム6は、好ましくは第1の四重極ロッドセット質量フィルタ7に伝わる。
【0162】
第1の主な好適な実施形態に関連して記載のイオン源および他の態様は、また第2の主な好適な実施形態において使用され得るか、または設けられ得る。
【0163】
第1の四重極ロッドセット質量フィルタ7は、ある特定の親または前駆体イオンを前方へ送るように配置される。次いで、その特定の親または前駆体イオンは、好ましくは第1の四重極ロッドセット質量フィルタ7の下流に配置された衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスまたは反応デバイス8に入るように配置される。衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスまたは反応デバイス8は、また好ましくはイオンをトラップするように配置される。一実施形態によると、衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスまたは反応デバイス8内のイオンは、背景ガス分子と多数回衝突を行い、フラグメント化するように誘導され得る。フラグメント、娘、付加生成物または生成物イオンおよびいずれかの残りのフラグメント化されなかった親または前駆体イオンは、好ましくは衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスまたは反応デバイス8においてトラップされる。次いで、イオンは、例えば、好ましくは衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスまたは反応デバイス8の出射口に配置されたイオンゲート9に引き出し電圧を印加することによって、衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスまたは反応デバイス8からパルスされ得るか、または排出され得る。
【0164】
イオン移動度分光計またはセパレータ10は、好ましくは衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスまたは反応デバイス8の下流に配置される。イオン移動度分光計またはセパレータ10は、好ましくは衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスまたは反応デバイス8から出射されたイオンを受け取るように配置される。
【0165】
イオン移動度分光計またはセパレータ10は、その内部に分散された多くのガードリングを有するドリフト管を含み得る。別の実施形態において、イオン移動度分光計またはセパレータ10を形成する電極は、好ましくは二位相ACまたはRF電圧源の逆の位相に接続され得る。別の実施形態において、イオン移動度分光計またはセパレータ10は、使用時にイオンが送られる開口部を有する複数の電極を含み得る。1つ以上の過渡DC電圧もしくは電位または1つ以上の過渡DC電圧波形もしくは電位波形がイオン移動度分光計またはセパレータ10を構成する電極に印加され得る。
【0166】
差動ポンプ開口部12がイオン移動度分光計またはセパレータ10の下流に設けられ得る。イオンガイド13が、好ましくは差動ポンプ開口部12の下流に配置される。さらなる差動ポンプ開口部14がイオンガイド13の下流に設けられ得る。第2の四重極ロッドセット質量フィルタ16が、好ましくはさらなる差動ポンプ開口部14の下流に設けられ得る。好ましくは、第2の四重極質量フィルタ16によって送られるイオンは、好ましくは第2の四重極ロッドセット質量フィルタ16の下流に配置されたイオン検出器15によって検出される。
【0167】
イオン移動度分光計またはセパレータ10の下流に配置されたイオンガイド13は、好ましくはイオン移動度分光計またはセパレータ10の真空段階と第2の四重極ロッドセット質量フィルタ16およびイオン検出器15の真空段階との間の中間真空段階を提供する。便宜上、イオンガイド13は、イオン移動度分光計またはセパレータ10の上流に配置された衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスまたは反応デバイス8と同じ圧力に維持され得る。
【0168】
イオン移動度分光計またはセパレータ10の下流に配置されたイオンガイド13は、四重極ロッドセットまたは他の多重極ロッドセットを備え得る。あるいは、イオンガイド13は、その内部に開口部を有する複数の電極を含むイオントンネルイオンガイドを備え得る。1つ以上の過渡DC電圧もしくは電位または1つ以上の電圧波形もしくは電位波形がイオンガイド13の電極に印加され得る。イオンガイド13内のガス圧力は、イオンの動きに衝突減衰を与えるのに十分であり得る。ガス圧力は、好ましくはイオンの動きに過度の粘性抵抗を与えるほどには十分でない。イオンは、好ましくはその質量、質量電荷比、またはイオン移動度に関わらずに各進行電位の山または障壁に先行して輸送される。
【0169】
1つ以上の過渡DC電圧もしくは電位または1つ以上の過渡DC電圧波形もしくは電位波形がイオンガイド13の電極に印加されるイオンガイド13を使用する利点は、好ましくはイオン移動度分光計またはセパレータ10を出射するイオンの時間的分離がそのイオンが第2の質量フィルタ16方向へかつイオン検出器15へ向かって前方へ輸送される際に維持され得ることである。
【0170】
第2の質量フィルタ16は、好ましくは四重極ロッドセット質量フィルタを含む。しかし、より好ましさの低い他の実施形態によると、第2の質量フィルタ16は、異なる形態の質量フィルタを備え得る。第2の質量フィルタ16は、すべてのイオンを送るように配置され得る。すなわち、第2の質量フィルタ16は、非分離またはイオンガイド動作モードにおいて動作され得る。あるいは、第2の質量フィルタ16は、特定の質量電荷比またはある範囲の質量電荷比を有するイオンを送るように配置され得る。
【0171】
1つの動作モードにおいて、第2の質量フィルタ16は、イオン移動度分離サイクル過程の間(すなわち、イオン移動度分光計またはセパレータ10から現れるイオンの過程および、イオン移動度分光計またはセパレータ10へ入射される新しいイオンパルスの前の間)、単一種のフラグメント、娘、付加生成物または生成物イオンが送られるように設定され得る。特定の質量電荷比を有し、かつ特定のイオン移動度溶離時点でのフラグメント、娘、生成物または付加生成物イオンを記録することは、測定の特異性を向上させる。
【0172】
別の動作モードにおいて、第2の質量フィルタ16は、多くの異なる特定のフラグメント、娘、生成物または付加生成物イオンを多くの異なる特定のイオン移動度溶離時点において送るように設定され得る。これにより、各フラグメント、娘、生成物または付加生成物質量に対する感度を損失することなく、1より多いフラグメント、娘、生成物または付加生成物イオンを測定する可能性が与えられる。1より多いフラグメント、娘、生成物または付加生成物イオンが測定され得るので、全測定信号は、たった1つのフラグメント、娘、生成物または付加生成物質量が測定される場合と比較して増加される。特定の質量電荷比および特定のイオン移動度溶離時点を有する多くの異なるフラグメント、娘、生成物または付加生成物イオンを記録することにより、各測定の対する特異性が増加する。それぞれに高い特異性を有するいくつかのフラグメント、娘、生成物または付加生成物イオンを記録することによって、各フラグメント、娘、生成物または付加生成物質量の相対的存在度が比較できるようになり、測定をさらに有効にする手段を提供する。
【0173】
別の動作モードにおいて、第2の質量フィルタ16は、イオン移動度分光計またはセパレータ10から溶離する際の異なるイオンのいくつか又はすべてを送るためにスキャンされ得る。第2の質量フィルタ16のスキャン法則またはスキャン機能は、1つ以上の特定の荷電状態を有するイオンのイオン移動度分光計またはセパレータ10からの既知の溶離時点に可能な限り近くに一致するように設定され得る。これにより、親、前駆体またはフラグメント、娘、生成物または付加生成物イオンのいくつかまたはすべてを高いサンプリングデューティサイクルで測定する可能性が提供される。次いで、これにより、四重極質量フィルタを用いて完全な親または前駆体またはフラグメント、娘、生成物または付加生成物イオン質量スペクトルをより高い感度で記録する手段が提供される。
【0174】
イオンの従来の四重極ロッドセット質量フィルタを通る通過時間が過度に長いために、四重極質量フィルタがイオン移動度分光計またはセパレータ10からのイオンの到着を追随するほどに十分に短い時間でスキャンできないことがあり得る。例えば、3eVのエネルギーを有するイオンが130mm長の四重極ロッドセット質量フィルタを通過するのにかかる時間は、5.45√(m/z)μsである。ここで、m/zは、イオンの質量電荷比である。質量電荷比が200のイオンであれば、例えば、通過時間が77μsである。質量電荷比が400のイオンであれば、通過時間は110μsである。このように、最大スキャンレートは、およそ1質量単位当たり100μsまたは1000質量単位当たり100msのオーダーである。これは、質量電荷比が1000のイオンのイオン移動度分光計またはセパレータ10を通るドリフト時間が約10msの場合には、遅すぎてイオン移動度分光計またはセパレータ実験を追随できない。
【0175】
好適な実施形態によると、より速いスキャンレートを有する四重極質量フィルタ16および/またはより長いドリフト時間を有するイオン移動度分光計またはセパレータ10が使用され得る。第2の質量フィルタ16のスキャンレートは、第2の質量フィルタ16の長さを、例えば、50mmに低減するか、および/またはイオンエネルギーを、例えば、5eVに増加することによって増加され得る。この構成の場合、スキャンレートは、約3倍増加する。
【0176】
イオン移動度分光計またはセパレータ10を通るドリフト時間は、またイオン移動度分光計またはセパレータ10の長さを増加し、かつイオン移動度分光計またはセパレータ10の電極に印加される進行波(すなわち、過渡DC電圧または電位)の電界強度または振幅を低減することによって、少なくとも3倍増加され得る。
【0177】
一実施形態によると、第2の質量フィルタ16は、イオン移動度分光計またはセパレータ10からのイオンの到着と互換性のある速度(rate)でスキャンされ得る。これにより、親または前駆体イオンおよびまたフラグメント、娘、生成物または付加生成物イオン質量分析スキャンの両方について、四重極質量フィルタ16の感度を増加することができる。
【0178】
別の動作モードにおいて、フラグメント、娘、生成物または付加生成物イオンは、十分なエネルギーを有してイオンガイド13に入射し、イオンガイド13内に存在するガス分子に衝突した際に、第2世代のフラグメント、娘、生成物もしくは付加生成物イオン、すなわち孫娘イオンにフラグメント化されるように配置され得る。その後、特定の孫娘または第2世代のイオンが第2の質量フィルタ16を通り、イオン検出器15へ向かって前方へ送られることによって、二段階反応をモニタリングすることが可能となる。ある場合には、これによりさらなる特異性を測定に提供できる。
【0179】
別の動作モードにおいて、フラグメント、娘、生成物または付加生成物イオンは、イオンガイド13において第2世代のフラグメント、娘、生成物または付加生成物イオンを形成するようにフラグメント化または反応するように誘導され得、第2の質量フィルタ16は、多くの異なる特定のイオン移動度溶離時点でいくつかの異なる特定のイオンを送るように設定され得る。これにより、いくつかの異なる第2世代のフラグメント、娘、生成物または付加生成物イオンがイオン移動度サイクル時間過程の間、測定されることが可能になる。各第2世代のフラグメント、娘、生成物または付加生成物イオンは、感度を大きく損失させることなく測定され得るので、全体の感度が増加される。ある場合には、これらのさらなる測定は、測定をさらに有効にする手段を提供し得る。
【0180】
別の動作モードにおいて、異なるフラグメント、娘、生成物または付加生成物イオンは、イオンガイド13に入ると同時に異なる運動エネルギーを有するように配置され得る。異なる運動エネルギーは、選択された第2世代のフラグメント、娘、生成物または付加生成物イオンを形成するためのフラグメント化または反応の効率が各フラグメントイオンに対して最適化されるように選択され得る。
【0181】
イオン運動エネルギーは、また選択されたフラグメント、娘、生成物または付加生成物イオンが低い運動エネルギーでイオンガイド13に入射し、フラグメント化または反応するようには誘導されないように設定され得る。このように、イオン移動度分離実験の1サイクルにおいて、フラグメント、娘、生成物または付加生成物イオンの運動エネルギーは、いくつかの異なる値にプログラムされ、第2の質量フィルタ16は、いくつかの異なる種のイオンを同期して送るようにプログラムされる。イオン移動度実験の1サイクルで第2の質量フィルタ16によってイオン検出器15へ送られる異なる種のイオンは、例えば、すべての第1世代のフラグメント、娘、生成物もしくは付加生成物イオン、またはすべての第2世代のフラグメント、娘、生成物もしくは付加生成物イオン、または第1および第2世代のフラグメント、娘、生成物または付加生成物イオンの混合物を含み得る。
【0182】
好ましくは、イオンガイド13に入るイオンのエネルギーは、例えば、イオンガイド13に入る前にイオンが受ける電圧差のレベルを設定することによって制御され得る。電圧差はほぼ瞬時に切り替えられ得るので、イオンガイド13は、実際に、比較的高いフラグメンテーションまたは反応動作モードと比較的低いフラグメンテーションまたは反応動作モードとの間で切り替え可能と考えられる。
【0183】
衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスまたは反応デバイス8は、イオントラップとして機能し得、かつフラグメント、娘、生成物または付加生成物イオンを格納し、これらをパルスにしてイオン移動度分光計またはセパレータ10へ放出するように配置され得る。好適な実施形態において、衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスまたは反応デバイス8は、1つ以上の過渡DC電圧もしくは電位または1つ以上の過渡DC電圧波形もしくは電位波形が衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスまたは反応デバイス8を構成する電極に印加されるようなイオンガイドを含み得る。
【0184】
衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスまたは反応デバイス8を形成する電極の開口部は、好ましくはすべて同じサイズである。隣接する電極は、好ましくはACまたはRF源の逆の位相に接続される。1つ以上の過渡DC電圧もしくは電位または1つ以上の過渡DC電圧波形もしくは電位波形は、好ましくは1つ以上の電位の山または障壁を形成するために、衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスまたは反応デバイス8の1つ以上の電極に印加される。好ましくは、1つ以上の過渡DC電圧もしくは電位または1つ以上の過渡DC電圧波形もしくは電位波形は、1つ以上の電位の山または障壁が好ましくは衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスまたは反応デバイス8の軸に沿ってイオンが推進または駆動される方向に移動するように、衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスまたは反応デバイス8の一続きの電極に漸進的に印加される。
【0185】
好ましくは、衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスまたは反応デバイス8は、好ましくは使用時に10-3mbar〜10-1mbarの範囲内の圧力に維持される真空チャンバ内に設けられる。より好ましさの低い実施形態によると、真空チャンバは、10-1mbarより大きな圧力から1mbarに等しいかまたはその近傍までの圧力に維持され得る。より好ましさの低い他の実施形態によると、真空チャンバは、あるいは10-3mbar未満の圧力に維持され得る。ガス圧力は、好ましくはイオンの動きに衝突減衰を与えるのに十分であるが、好ましくはイオンの動きに過度の粘性抵抗を与えるほどには十分でない。1つ以上の電位の山または障壁の振幅および平均速度は、好ましくはイオンが電位の山または障壁をするりと越えないように設定される。イオンは、好ましくはその質量、質量電荷比、またはイオン移動度に関わらずに各進行電位の山または障壁に先行して輸送される。
【0186】
イオンは、衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスまたは反応デバイス8内を輸送され得、好ましくはイオン移動度分光計またはセパレータ10へパケットとして放出される。衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスまたは反応デバイス8の波サイクル時間は、好ましくはイオン移動度分光計またはセパレータ10のサイクル時間に等しい。あるいは、イオンは、衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスまたは反応デバイス8の出射口の近傍のトラップ領域において蓄積および保持され、イオン移動度分離実験の各サイクルの開始においてイオン移動度分光計またはセパレータ10へ放出され得る。この動作モードにおいて、衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスまたは反応デバイス8の波サイクル時間は、イオン移動度分光計またはセパレータ10の波サイクル時間に一致しなくてもよい。
【0187】
一実施形態によると、衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスまたは反応デバイス8内の圧力は、イオンガイド13内の圧力と実質的に同じであり得る。好適な実施形態において、衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスまたは反応デバイス8およびイオンガイド13は、好ましくは同じ真空チャンバ内に位置する。イオン移動度分光計またはセパレータ10は、衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスまたは反応デバイス8およびイオンガイド13を収容する真空チャンバ内に位置する内部チャンバ内に含まれるか、またはそうでなければ収容され得る。衝突ガス(好ましくは窒素またはアルゴン)は、0.l〜10mbarの好適な圧力に内部チャンバを維持するために、内部チャンバに漏洩または供給され得る。衝突ガスは、内部チャンバの入射および出射開口部を通って外部チャンバ内へ漏洩し得る。外部チャンバは、好ましくは0.001〜0.01mbarの範囲に外部チャンバ内の圧力を維持するようにポンプされる。
【0188】
図4は、エレクトロスプレーイオン源を使用してサンプルをイオン化することによって生成されたペプチドであるGlu−フィブリノペプチドBの質量スペクトルを示す。最も多量なイオンは、質量電荷比が785.8の2価プロトン化イオン(M+2H)2+であることが分かる。
【0189】
図5は、イオン移動度スペクトルを示す(最初にペプチドであるGlu−フィブリノペプチドBのイオン移動度スペクトルがあり、次いでその後にそのペプチドのフラグメントのイオン移動度スペクトルがある)。質量電荷比が785.8である2価プロトン化親イオンは、まず第1の四重極ロッドセット質量フィルタ7によって送られ、衝突セルを構成する衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスまたは反応デバイス8内へ注入されるように配置された。15Vのエネルギー電圧が衝突セルに印加された。イオンは、衝突セルから現れるように構成され、イオン移動度分光計またはセパレータ10へ転送された。次いで、イオンは、イオン移動度分光計またはセパレータ10においてそのイオン移動度にしたがって時間的に分離された。300m/secで進行する7Vの電位の山は、イオンを時間的に分離するために、イオン移動度分光計またはセパレータ10の長さに沿って繰り返し平行移動された。イオン移動度分光計またはセパレータ10は、0.2mbarの圧力に維持された。イオンは、イオン検出器15を用いて検出された。次いで、ペプチドイオンは、フラグメント化された。ペプチドイオンをフラグメント化するために、イオンが衝突セルにおいてエネルギー的に加速されるように、38Vの電位差が維持された。得られたフラグメントイオンのイオン移動度スペクトルも図5に示す。
【0190】
図6は、ペプチドGlu−フィブリノペプチドBの2価プロトン化イオンのフラグメンテーションから得られたフラグメントイオンの正常な質量スペクトルを示す。
【0191】
図7の上側の曲線は、ペプチドGlu−フィブリノペプチドBの2価イオンのフラグメンテーションから得られたフラグメントイオンのすべてに対するイオン移動度スペクトルを示す。図7の下側の曲線は、同じペプチドの2価イオンのフラグメンテーションから得られた種々の特定のフラグメントイオンについて重ね合わせたイオン移動度スペクトルを示す。第2の四重極質量フィルタ16は、図7に示す各個のイオン移動度スペクトルを生成するために、指定された質量電荷比だけを有するイオンを送るように設定された。イオン移動度実験の継続時間は、12msであり、各個別イオン移動度スペクトルは、イオン移動度実験の全継続時間にわたって記録された。このデータから、第2の四重極質量フィルタ16は、イオン移動度実験過程の間において異なる段階または時点でいくつかの異なるフラグメントまたは娘イオンを送るように設定され得ることが分かる。
【0192】
図3に示す実施形態は、また親または前駆体イオンスキャン実験を行うために使用され得る。従来の質量分析計において、第2の四重極ロッドセット質量フィルタは、特定の特徴のあるフラグメントまたは娘イオンを送るように設定され、他方第1の四重極ロッドセット質量フィルタは、フラグメンテーションのために特定の親または前駆体イオンをガス衝突セルに順次送るようにスキャンされる。特定のフラグメントまたは娘イオンが検出される場合、第1の四重極質量フィルタによって送られる対応する親または前駆体イオンの質量電荷比が記録される。この手法は、特にリン酸化およびグリコシル化などのタンパク質の翻訳後修飾の分析において有用であることが分かってきた。しかし、第1の四重極質量フィルタをスキャンする必要があるので、サンプリングデューティサイクルは非常に低くなる(一般に1%未満)。その結果、感度が低い。
【0193】
図3に示す実施形態にかかる質量分析計は、すべてのイオンが第1の四重極ロッドセット質量フィルタ7を通って送られ、フラグメント化または反応させずに衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスまたは反応デバイス8において受け取られかつ蓄積されるような動作モードにおいて動作され得る。次いで、格納された親または前駆体イオンは、好ましくは衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスまたは反応デバイス8から定期的にパルスとして放出され、次いで好ましくはイオン移動度分光計またはセパレータ10において時間的に分離される。次いで、親または前駆体イオンは、好ましくは、イオンがイオンガイド13に入ると同時に、イオン移動度分光計またはセパレータ10の下流に配置されたイオンガイド13においてフラグメント化または反応するようにされる。次いで、好ましくは、得られたフラグメント、娘、生成物または付加生成物イオンは、好ましくはある特定のフラグメント、娘、生成物または付加生成物イオンだけを送るように配置された第2の質量フィルタ16に送られる。この実施形態によると、デューティサイクルが実質的に100%である親または前駆体イオンスキャン手段が提供される。これは、例えば従来の三連四重極質量分析計をスキャンする際にデューティサイクルが非常に低い従来の構成と比較して、特に有利であることが分かる。
【0194】
また、イオン移動度分光計またはセパレータ10、および/またはイオン移動度分光計またはセパレータ10の下流のイオンガイド13、および/またはイオン移動度分光計またはセパレータ10の上流の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスまたは反応デバイス8を形成する電極に供給されるACまたはRF電圧が非正弦電圧を備え、かつ例えば方形波を備えるような本発明の他の実施形態が考えられる。
【0195】
一実施形態によると、衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスまたは反応デバイス8、イオン移動度分光計またはセパレータ10、およびイオンガイド13は、イオントンネルイオンガイド、すなわち、各電極がイオンの送られる開口部を内部に備える複数の電極を含み得る。電極は、好ましくは実質的に同様なサイズの開口部を有する。電極は、本質的に正方形または長方形の平板またはリングを備え得る。開口部は、好ましくは円形である。衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスまたは反応デバイス8および/またはイオン移動度分光計またはセパレータ10および/またはイオンガイド13は、少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、90または100の電極を含み得、そのうちの少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%または95%は、実質的に同じサイズまたは面積の開口部を有する。
【0196】
本発明は、好適な実施形態を参照して説明されたが、形態および詳細において種々の変更が添付の特許請求項の範囲に記載の本発明の範囲を逸脱せずになされ得ることが当業者に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0197】
【図1】図1は、従来の三連四重極質量分析計を示す。
【図2】図2は、第1の質量フィルタ、衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスまたは反応デバイス、イオン移動度分光計またはセパレータ、イオンガイド、およびイオン検出器を含む本発明の第1の実施形態を示す。
【図3】図3は、第1の質量フィルタ、衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスまたは反応デバイス、イオン移動度分光計またはセパレータ、イオンガイド、第2の質量フィルタ、およびイオン検出器を含む本発明の第2の実施形態を示す。
【図4】図4は、ペプチドGlu−フィブリノペプチドBについてのエレクトロスプレー質量スペクトルを示す。
【図5】図5は、ペプチドGlu−フィブリノペプチドBのイオン移動度スペクトル、およびペプチドGlu−フィブリノペプチドBのフラグメントのイオン移動度スペクトルを示す。
【図6】図6は、ペプチドGlu−フィブリノペプチドBの2価イオンをフラグメント化して得られたフラグメントイオンの質量スペクトルを示す。
【図7】図7は、ペプチドGlu−フィブリノペプチドBの2価イオンからのすべてのフラグメントイオンのイオン移動度スペクトル、およびペプチドGlu−フィブリノペプチドBの2価イオンからの多くの特定のフラグメントイオンを示すイオン移動度スペクトルを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオンをフラグメント化または反応させ、かつ生成物、娘、付加生成物またはフラグメントイオンを生成するように配置され適合される第1のイオンガイドまたは第1の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイスと、
前記第1のイオンガイドまたは前記第1の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイスの下流に配置されたイオン移動度分光計またはセパレータであって、前記第1のイオンガイドまたは前記第1の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイスから現れるか、またはそこから送られてきた生成物、娘、付加生成物またはフラグメントイオンを、そのイオン移動度にしたがって時間的に分離するように配置されるイオン移動度分光計またはセパレータと
を含む質量分析計。
【請求項2】
前記衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスまたは反応デバイスは、衝突誘起解離(「CID」)によってイオンをフラグメント化するように配置され適合される、請求項1に記載の質量分析計。
【請求項3】
前記衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスまたは反応デバイスは、(i)表面誘起解離(「SID」)フラグメンテーションデバイス、(ii)電子移動解離フラグメンテーションデバイス、(iii)電子捕獲解離フラグメンテーションデバイス、(iv)電子衝突または衝撃解離フラグメンテーションデバイス、(v)光誘起解離(「PID」)フラグメンテーションデバイス、(vi)レーザ誘起解離フラグメンテーションデバイス、(vii)赤外放射誘起解離デバイス、(viii)紫外放射誘起解離デバイス、(ix)ノズル−スキマーインターフェースフラグメンテーションデバイス、(x)インソースフラグメンテーションデバイス、(xi)イオン源衝突誘起解離フラグメンテーションデバイス、(xii)熱または温度源フラグメンテーションデバイス、(xiii)電界誘起フラグメンテーションデバイス、(xiv)磁場誘起フラグメンテーションデバイス、(xv)酵素消化または酵素分解フラグメンテーションデバイス、(xvi)イオン−イオン反応フラグメンテーションデバイス、(xvii)イオン−分子反応フラグメンテーションデバイス、(xviii)イオン−原子反応フラグメンテーションデバイス、(xix)イオン−準安定イオン反応フラグメンテーションデバイス、(xx)イオン−準安定分子反応フラグメンテーションデバイス、(xxi)イオン−準安定原子反応フラグメンテーションデバイス、(xxii)イオンを反応させて付加生成物イオンまたは生成物イオンを形成するためのイオン−イオン反応デバイス、(xxiii)イオンを反応させて付加生成物イオンまたは生成物イオンを形成するためのイオン−分子反応デバイス、(xxiv)イオンを反応させて付加生成物イオンまたは生成物イオンを形成するためのイオン−原子反応デバイス、(xxv)イオンを反応させて付加生成物イオンまたは生成物イオンを形成するためのイオン−準安定イオン反応デバイス、(xxvi)イオンを反応させて付加生成物イオンまたは生成物イオンを形成するためのイオン−準安定分子反応デバイス、および(xxvii)イオンを反応させて付加生成物イオンまたは生成物イオンを形成するためのイオン−準安定原子反応デバイスからなる群から選択される、請求項1に記載の質量分析計。
【請求項4】
前記衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスまたは反応デバイスは、動作モードにおいてイオンを前記衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスまたは反応デバイス内にトラップするように配置され適合される、請求項1、2または3に記載の質量分析計。
【請求項5】
前記衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスまたは反応デバイスは、イオンを、前記衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスまたは反応デバイスから、前記イオン移動度分光計またはセパレータ内へまたはそれらに向かってパルスするように配置され適合される、先行する請求項のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項6】
前記第1のイオンガイドまたは前記第1の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイスの上流および/または下流に配置された質量フィルタまたは質量分析器をさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項7】
前記質量フィルタまたは質量分析器は、(i)四重極ロッドセット質量フィルタまたは質量分析器、(ii)飛行時間質量フィルタまたは質量分析器、(iii)ウィーンフィルタ、および(iv)磁場型質量フィルタまたは質量分析器からなる群から選択される、請求項6に記載の質量分析計。
【請求項8】
第1の質量フィルタまたは質量分析器と、
イオン移動度分光計またはセパレータであって、前記第1の質量フィルタまたは質量分析器の下流に配置されたイオン移動度分光計またはセパレータと、
前記イオン移動度分光計またはセパレータの下流に配置された第2の質量フィルタまたは質量分析器と
を含む質量分析計。
【請求項9】
前記第1の質量フィルタもしくは質量分析器および/または前記第2の質量フィルタもしくは質量分析器は、(i)四重極ロッドセット質量フィルタまたは質量分析器、(ii)飛行時間質量フィルタまたは質量分析器、(iii)ウィーンフィルタ、および(iv)磁場型質量フィルタまたは質量分析器からなる群から選択される、請求項8に記載の質量分析計。
【請求項10】
前記第1の質量フィルタもしくは質量分析器および/または前記第2の質量フィルタもしくは質量分析器は、複数の電極またはロッドを含む、請求項8または9に記載の質量分析計。
【請求項11】
第1の動作モードにおいて、前記第1の質量フィルタもしくは質量分析器および/または前記第2の質量フィルタもしくは質量分析器の実質的にすべての電極またはロッドは、実質的に同じDC電位または電圧で維持される、請求項10に記載の質量分析計。
【請求項12】
第1の動作モードにおいて、前記第1の質量フィルタもしくは質量分析器および/または前記第2の質量フィルタもしくは質量分析器は、実質的に非分離またはイオンガイド動作モードにおいて動作される、請求項10または11に記載の質量分析計。
【請求項13】
第2の動作モードにおいて、前記第1の質量フィルタもしくは質量分析器および/または前記第2の質量フィルタもしくは質量分析器の隣接する電極またはロッドは、実質的に異なるDC電位または電圧で維持される、請求項10、11または12のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項14】
前記第2の動作モードにおいて、DC電位または電圧差は、前記第1の質量フィルタもしくは質量分析器および/または前記第2の質量フィルタもしくは質量分析器の隣接する電極またはロッドの間で維持され、前記DC電位または電圧差は、(i)<1V、(ii)1〜2V、(iii)2〜3V、(iv)3〜4V、(v)4〜5V、(vi)5〜6V、(vii)6〜7V、(viii)7〜8V、(ix)8〜9V、(x)9〜10V、(xi)10〜20V、(xii)20〜30V、(xiii)30〜40V、(xiv)40〜50V、(XV)50〜60V、(xvi)60〜70V、(xvii)70〜80V、(xviii)80〜90V、(xix)90〜100V、および(xx)>100Vからなる群から選択される、請求項13に記載の質量分析計。
【請求項15】
前記第2の動作モードにおいて、前記第1の質量フィルタもしくは質量分析器および/または前記第2の質量フィルタもしくは質量分析器の対向する電極またはロッドは、実質的に同じDC電位または電圧で維持される、請求項13または14に記載の質量分析計。
【請求項16】
動作モードにおいて、前記第1の質量フィルタもしくは質量分析器および/または前記第2の質量フィルタもしくは質量分析器は、分離または質量フィルタリング動作モードにおいて動作される、請求項13、14または15に記載の質量分析計。
【請求項17】
動作モードにおいて、前記第1の質量フィルタもしくは質量分析器および/または前記第2の質量フィルタもしくは質量分析器は、スキャンされる、請求項8〜16のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項18】
動作モードにおいて、前記第1の質量フィルタもしくは質量分析器および/または前記第2の質量フィルタもしくは質量分析器は、前記イオン移動度分光計またはセパレータに同期してスキャンされる、請求項8〜17のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項19】
動作モードにおいて、前記第1の質量フィルタまたは質量分析器は、前記第2の質量フィルタまたは質量分析器に同期してスキャンされる、請求項8〜18のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項20】
前記質量分析計は、第1のイオンガイドまたは第1の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスまたは反応デバイスをさらに含み、前記第1のイオンガイドまたは前記第1の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイスは、前記イオン移動度分光計またはセパレータの上流および/または前記第1の質量フィルタまたは質量分析器の下流に配置される、請求項8〜19のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項21】
前記第1の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスまたは反応デバイスは、衝突誘起解離(「CID」)によってイオンをフラグメント化するように配置され適合される、請求項20に記載の質量分析計。
【請求項22】
前記第1の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスまたは反応デバイスは、(i)表面誘起解離(「SID」)フラグメンテーションデバイス、(ii)電子移動解離フラグメンテーションデバイス、(iii)電子捕獲解離フラグメンテーションデバイス、(iv)電子衝突または衝撃解離フラグメンテーションデバイス、(v)光誘起解離(「PID」)フラグメンテーションデバイス、(vi)レーザ誘起解離フラグメンテーションデバイス、(vii)赤外放射誘起解離デバイス、(viii)紫外放射誘起解離デバイス、(ix)ノズル−スキマーインターフェースフラグメンテーションデバイス、(x)インソースフラグメンテーションデバイス、(xi)イオン源衝突誘起解離フラグメンテーションデバイス、(xii)熱または温度源フラグメンテーションデバイス、(xiii)電界誘起フラグメンテーションデバイス、(xiv)磁場誘起フラグメンテーションデバイス、(xv)酵素消化または酵素分解フラグメンテーションデバイス、(xvi)イオン−イオン反応フラグメンテーションデバイス、(xvii)イオン−分子反応フラグメンテーションデバイス、(xviii)イオン−原子反応フラグメンテーションデバイス、(xix)イオン−準安定イオン反応フラグメンテーションデバイス、(xx)イオン−準安定分子反応フラグメンテーションデバイス、(xxi)イオン−準安定原子反応フラグメンテーションデバイス、(xxii)イオンを反応させて付加生成物イオンまたは生成物イオンを形成するためのイオン−イオン反応デバイス、(xxiii)イオンを反応させて付加生成物イオンまたは生成物イオンを形成するためのイオン−分子反応デバイス、(xxiv)イオンを反応させて付加生成物イオンまたは生成物イオンを形成するためのイオン−原子反応デバイス、(xxv)イオンを反応させて付加生成物イオンまたは生成物イオンを形成するためのイオン−準安定イオン反応デバイス、(xxvi)イオンを反応させて付加生成物イオンまたは生成物イオンを形成するためのイオン−準安定分子反応デバイス、および(xxvii)イオンを反応させて付加生成物イオンまたは生成物イオンを形成するためのイオン−準安定原子反応デバイスからなる群から選択される、請求項20に記載の質量分析計。
【請求項23】
前記第1のイオンガイドまたは前記第1の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイスは、
(i)多重極ロッドセットまたは分割多重極ロッドセット、
(ii)イオントンネルまたはイオンファンネル、あるいは
(iii)平面電極、平板電極またはメッシュ電極のスタックまたはアレイ
を含む、請求項1〜7または20〜22のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項24】
前記多重極ロッドセットは、四重極ロッドセット、六重極ロッドセット、八重極ロッドセット、または8より多くのロッドを含むロッドセットを含む、請求項23に記載の質量分析計。
【請求項25】
前記イオントンネルまたはイオンファンネルは、使用時にイオンが送られる開口部を有する複数の電極または少なくとも2、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90もしくは100の電極を含み、前記電極のうちの少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%は、実質的に同じサイズもしくは面積である開口部を有するか、またはサイズもしくは面積が漸進的に大きくおよび/または小さくなる開口部を有する、請求項23に記載の質量分析計。
【請求項26】
前記電極のうちの少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%は、(i)≦1.0mm、(ii)≦2.0mm、(iii)≦3.0mm、(iv)≦4.0mm、(v)≦5.0mm、(vi)≦6.0mm、(vii)≦7.0mm、(viii)≦8.0mm、(ix)≦9.0mm、(x)≦10.0mm、および(xi)>10.0mmからなる群から選択される内径または寸法を有する、請求項25に記載の質量分析計。
【請求項27】
前記平面電極、平板電極またはメッシュ電極のスタックまたはアレイは、使用時にイオンが移動する平面内に概ね配置される、複数または少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19もしくは20の平面電極、平板電極またはメッシュ電極を含み、前記平面電極、平板電極またはメッシュ電極のうちの少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%は、使用時にイオンが移動する平面内に概ね配置される、請求項23に記載の質量分析計。
【請求項28】
前記質量分析計は、前記複数の平面電極、平板電極またはメッシュ電極にACまたはRF電圧を供給するためのACまたはRF電圧手段をさらに含み、隣り合う平面電極、平板電極またはメッシュ電極に、逆位相の前記ACまたはRF電圧が供給される、請求項27に記載の質量分析計。
【請求項29】
前記第1のイオンガイドまたは前記第1の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイスは、複数の軸方向セグメントまたは少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95もしくは100の軸方向セグメントを含む、請求項20〜28のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項30】
前記質量分析計は、前記第1のイオンガイドまたは前記第1の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイスの軸方向長さの少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%に沿って少なくともいくつかのイオンを駆動するために、1つ以上の過渡DC電圧もしくは電位または1つ以上の過渡DC電圧波形もしくは電位波形を前記第1のイオンガイドまたは前記第1の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイスを形成する電極に印加するように配置され適合される過渡DC電圧手段をさらに含む、請求項20〜29のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項31】
前記質量分析計は、前記第1のイオンガイドまたは前記第1の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイスの軸方向長さの少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%に沿って少なくともいくつかのイオンを駆動するために、2つ以上の位相シフトACまたはRF電圧を前記第1のイオンガイドまたは前記第1の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイスを形成する電極に印加するように配置され適合されるACまたはRF電圧手段をさらに含む、請求項20〜30のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項32】
前記第1のイオンガイドまたは前記第1の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイスは、(i)<20mm、(ii)20〜40mm、(iii)40〜60mm、(iv)60〜80mm、(v)80〜100mm、(vi)100〜120mm、(vii)120〜140mm、(viii)140〜160mm、(ix)160〜180mm、(x)180〜200mm、(xi)200〜220mm、(xii)220〜240mm、(xiii)240〜260mm、(xiv)260〜280mm、(xv)280〜300mm、および(xvi)>300mmからなる群から選択される軸方向長さを有する、請求項20〜31のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項33】
前記第1のイオンガイドまたは前記第1の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイスは、イオンを前記第1のイオンガイドまたは前記第1の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイス内の半径方向に閉じ込めるために、ACまたはRF電圧を前記第1のイオンガイドまたは前記第1の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイスの複数の電極のうちの少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%に印加するように配置され適合されるACまたはRF電圧手段をさらに含む、請求項20〜32のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項34】
前記ACまたはRF電圧手段は、(i)<50Vピーク・トゥ・ピーク、(ii)50〜100Vピーク・トゥ・ピーク、(iii)100〜150Vピーク・トゥ・ピーク、(iv)150〜200Vピーク・トゥ・ピーク、(v)200〜250Vピーク・トゥ・ピーク、(vi)250〜300Vピーク・トゥ・ピーク、(vii)300〜350Vピーク・トゥ・ピーク、(viii)350〜400Vピーク・トゥ・ピーク、(ix)400〜450Vピーク・トゥ・ピーク、(x)450〜500Vピーク・トゥ・ピーク、および(xi)>500Vピーク・トゥ・ピークからなる群から選択される振幅を有するACまたはRF電圧を、前記第1のイオンガイドまたは前記第1の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイスの前記複数の電極に供給するように配置され適合される、請求項33に記載の質量分析計。
【請求項35】
前記ACまたはRF電圧手段は、(i)<100kHz、(ii)100〜200kHz、(iii)200〜300kHz、(iv)300〜400kHz、(v)400〜500kHz、(vi)0.5〜1.0MHz、(vii)1.0〜1.5MHz、(viii)1.5〜2.0MHz、(ix)2.0〜2.5MHz、(x)2.5〜3.0MHz、(xi)3.0〜3.5MHz、(xii)3.5〜4.0MHz、(xiii)4.0〜4.5MHz、(xiv)4.5〜5.0MHz、(xv)5.0〜5.5MHz、(xvi)5.5〜6.0MHz、(xvii)6.0〜6.5MHz、(xviii)6.5〜7.0MHz、(xix)7.0〜7.5MHz、(xx)7.5〜8.0MHz、(xxi)8.0〜8.5MHz、(xxii)8.5〜9.0MHz、(xxiii)9.0〜9.5MHz、(xxiv)9.5〜10.0MHz、および(xxv)>10.0MHzからなる群から選択される周波数を有するACまたはRF電圧を、前記第1のイオンガイドまたは前記第1の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイスの前記複数の電極に供給するように配置され適合される、請求項33または34に記載の質量分析計。
【請求項36】
1〜100、100〜200、200〜300、300〜400、400〜500、500〜600、600〜700、700〜800、800〜900または900〜1000の範囲の質量電荷比を有する1価イオンは、前記第1のイオンガイドまたは前記第1の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイスを通るドリフト時間または通過時間が(i)0〜10μs、(ii)10〜20μs、(iii)20〜30μs、(iv)30〜40μs、(v)40〜50μs、(vi)50〜60μs、(vii)60〜70μs、(viii)70〜80μs、(ix)80〜90μs、(x)90〜100μs、(xi)100〜110μs、(xii)110〜120μs、(xiii)120〜130μs、(xiv)130〜140μs、(xv)140〜150μs、(xvi)150〜160μs、(xvii)160〜170μs、(xviii)170〜180μs、(xix)180〜190μs、(xx)190〜200μs、(xxi)200〜210μs、(xxii)210〜220μs、(xxiii)220〜230μs、(xxiv)230〜240μs、(xxv)240〜250μs、(xxvi)250〜260μs、(xxvii)260〜270μs、(xxviii)270〜280μs、(xxix)280〜290μs、(xxx)290〜300μs、および(xxxi)>300μsの範囲内にある、請求項1〜7または20〜35のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項37】
前記第1のイオンガイドまたは前記第1の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイスの少なくとも一部を(i)>0.0001mbar、(ii)>0.001mbar、(iii)>0.01mbar、(iv)>0.1mbar、(v)>1mbar、(vi)>10mbar、(vii)0.0001〜0.1mbar、および(viii)0.001〜0.01mbarからなる群から選択される圧力に維持するように配置し適合する手段をさらに含む、請求項1〜7または20〜36のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項38】
前記質量分析計は、イオンを前記第1のイオンガイドまたは前記第1の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイス内へ加速するように配置され適合される第1の加速手段をさらに含み、動作モードにおいて、前記イオンのうちの少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%を、前記第1のイオンガイドまたは前記第1の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイスに入ると同時にフラグメント化または反応させる、請求項1〜7または20〜37のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項39】
前記質量分析計は、前記第1のイオンガイドまたは前記第1の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイスに入る前にイオンが通過する電位差を、イオンが前記第1のイオンガイドまたは前記第1の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイスに入ると同時にイオンを実質的にフラグメント化または反応させる比較的高いフラグメンテーションまたは反応動作モードと、第1のイオンガイドまたは前記第1の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイスに入ると同時に実質的により少ないイオンをフラグメント化または反応させるか、または実質的にイオンをフラグメント化または反応させない比較的低いフラグメンテーションまたは反応動作モードとを切り替えるか、または繰り返し切り替えるように配置され適合される制御システムをさらに含む、請求項1〜7または20〜38のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項40】
前記比較的高いフラグメンテーションまたは反応動作モードにおいて、前記第1のイオンガイドまたは前記第1の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイスに入るイオンは、(i)≧10V、(ii)≧20V、(iii)≧30V、(iv)≧40V、(V)≧50V、(vi)≧60V、(vii)≧70V、(viii)≧80V、(ix)≧90V、(x)≧100V、(xi)≧110V、(xii)≧120V、(xiii)≧130V、(xiv)≧140V、(xv)≧150V、(xvi)≧160V、(xvii)≧170V、(xviii)≧180V、(xix)≧190V、および(xx)≧200Vからなる群から選択される電位差を通して加速される、請求項39に記載の質量分析計。
【請求項41】
前記比較的低いフラグメンテーションまたは反応動作モードにおいて、前記第1のイオンガイドまたは前記第1の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイスに入るイオンは、(i)≦20V、(ii)≦15V、(iii)≦10V、(iv)≦5V、および(v)≦1Vからなる群から選択される電位差を通して加速される、請求項39または40に記載の質量分析計。
【請求項42】
前記制御システムは、前記第1のイオンガイドまたは前記第1の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイスを前記比較的高いフラグメンテーションまたは反応動作モードと前記比較的低いフラグメンテーションまたは反応動作モードとの間で、1ms、5ms、10ms、15ms、20ms、25ms、30ms、35ms、40ms、45ms、50ms、55ms、60ms、65ms、70ms、75ms、80ms、85ms、90ms、95ms、100ms、200ms、300ms、400ms、500ms、600ms、700ms、800ms、900ms、1s、2s、3s、4s、5s、6s、7s、8s、9sまたは10s毎に少なくとも1回切り替えるように配置され適合される、請求項39、40または41のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項43】
前記第1のイオンガイドまたは前記第1の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイスは、イオンビームを受け取り、かつ少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20の個別群またはパケットのイオンが前記第1のイオンガイドまたは前記第1の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイス内にいずれかの特定の時点に閉じ込めおよび/または隔離されるように前記イオンビームを変換または分割するように配置され適合され、各群またはパケットのイオンは、前記第1のイオンガイドまたは前記第1の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイス内に形成された個別の軸方向ポテンシャル井戸内に個別に閉じ込めおよび/または隔離される、請求項1〜7または20〜42のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項44】
前記質量分析計は、第2のイオンガイドまたは第2の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスまたは反応デバイスをさらに含み、前記第2のイオンガイドまたは前記第2の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイスは、前記イオン移動度分光計またはセパレータの下流に配置される、先行する請求項のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項45】
前記第2のイオンガイドまたは前記第2の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイスは、衝突誘起解離(「CID」)によってイオンをフラグメント化するように配置され適合される、請求項44に記載の質量分析計。
【請求項46】
前記第2のイオンガイドまたは前記第2の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイスは、(i)表面誘起解離(「SID」)フラグメンテーションデバイス、(ii)電子移動解離フラグメンテーションデバイス、(iii)電子捕獲解離フラグメンテーションデバイス、(iv)電子衝突または衝撃解離フラグメンテーションデバイス、(v)光誘起解離(「PID」)フラグメンテーションデバイス、(vi)レーザ誘起解離フラグメンテーションデバイス、(vii)赤外放射誘起解離デバイス、(viii)紫外放射誘起解離デバイス、(ix)ノズル−スキマーインターフェースフラグメンテーションデバイス、(x)インソースフラグメンテーションデバイス、(xi)イオン源衝突誘起解離フラグメンテーションデバイス、(xii)熱または温度源フラグメンテーションデバイス、(xiii)電界誘起フラグメンテーションデバイス、(xiv)磁場誘起フラグメンテーションデバイス、(xv)酵素消化または酵素分解フラグメンテーションデバイス、(xvi)イオン−イオン反応フラグメンテーションデバイス、(xvii)イオン−分子反応フラグメンテーションデバイス、(xviii)イオン−原子反応フラグメンテーションデバイス、(xix)イオン−準安定イオン反応フラグメンテーションデバイス、(xx)イオン−準安定分子反応フラグメンテーションデバイス、(xxi)イオン−準安定原子反応フラグメンテーションデバイス、(xxii)イオンを反応させて付加生成物イオンまたは生成物イオンを形成するためのイオン−イオン反応デバイス、(xxiii)イオンを反応させて付加生成物イオンまたは生成物イオンを形成するためのイオン−分子反応デバイス、(xxiv)イオンを反応させて付加生成物イオンまたは生成物イオンを形成するためのイオン−原子反応デバイス、(xxv)イオンを反応させて付加生成物イオンまたは生成物イオンを形成するためのイオン−準安定イオン反応デバイス、(xxvi)イオンを反応させて付加生成物イオンまたは生成物イオンを形成するためのイオン−準安定分子反応デバイス、および(xxvii)イオンを反応させて付加生成物イオンまたは生成物イオンを形成するためのイオン−準安定原子反応デバイスからなる群から選択される、請求項44または45に記載の質量分析計。
【請求項47】
前記第2のイオンガイドまたは前記第2の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイスは、
(i)多重極ロッドセットまたは分割多重極ロッドセット、
(ii)イオントンネルまたはイオンファンネル、あるいは
(iii)平面電極、平板電極またはメッシュ電極のスタックまたはアレイ
を含む、請求項44、45または46のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項48】
前記多重極ロッドセットは、四重極ロッドセット、六重極ロッドセット、八重極ロッドセット、または8より多くのロッドを含むロッドセットを含む、請求項47に記載の質量分析計。
【請求項49】
前記イオントンネルまたはイオンファンネルは、使用時にイオンが送られる開口部を有する複数の電極または少なくとも2、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90もしくは100の電極を含み、前記電極のうちの少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%は、実質的に同じサイズもしくは面積である開口部を有するか、またはサイズもしくは面積が漸進的に大きくおよび/または小さくなる開口部を有する、請求項47に記載の質量分析計。
【請求項50】
前記電極のうちの少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%は、(i)≦1.0mm、(ii)≦2.0mm、(iii)≦3.0mm、(iv)≦4.0mm、(v)≦5.0mm、(vi)≦6.0mm、(vii)≦7.0mm、(viii)≦8.0mm、(ix)≦9.0mm、(x)≦10.0mm、および(xi)>10.0mmからなる群から選択される内径または寸法を有する、請求項49に記載の質量分析計。
【請求項51】
前記平面電極、平板電極またはメッシュ電極のスタックまたはアレイは、使用時にイオンが移動する平面内に概ね配置される、複数または少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19もしくは20の平面電極、平板電極またはメッシュ電極を含み、前記平面電極、平板電極またはメッシュ電極のうちの少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%は、使用時にイオンが移動する平面内に概ね配置される、請求項47に記載の質量分析計。
【請求項52】
前記質量分析計は、前記複数の平面電極、平板電極またはメッシュ電極にACまたはRF電圧を供給するためのACまたはRF電圧手段をさらに含み、隣り合う平面電極、平板電極またはメッシュ電極に、逆位相の前記ACまたはRF電圧が供給される、請求項51に記載の質量分析計。
【請求項53】
前記第2のイオンガイドまたは前記第2の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイスは、複数の軸方向セグメントまたは少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95もしくは100の軸方向セグメントを含む、請求項44〜52のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項54】
前記質量分析計は、前記第2のイオンガイドまたは前記第2の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイスの軸方向長さの少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%に沿って少なくともいくつかのイオンを駆動するために、1つ以上の過渡DC電圧もしくは電位または1つ以上の過渡DC電圧波形もしくは電位波形を前記第2のイオンガイドまたは前記第2の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイスを形成する電極に印加するように配置され適合される過渡DC電圧手段をさらに含む、請求項44〜53のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項55】
前記質量分析計は、前記第2のイオンガイドまたは前記第2の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイスの軸方向長さの少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%に沿って少なくともいくつかのイオンを駆動するために、2つ以上の位相シフトACまたはRF電圧を前記第2のイオンガイドまたは前記第2の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイスを形成する電極に印加するように配置され適合されるACまたはRF電圧手段をさらに含む、請求項44〜54のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項56】
前記第2のイオンガイドまたは前記第2の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイスは、(i)<20mm、(ii)20〜40mm、(iii)40〜60mm、(iv)60〜80mm、(v)80〜100mm、(vi)100〜120mm、(vii)120〜140mm、(viii)140〜160mm、(ix)160〜180mm、(x)180〜200mm、(xi)200〜220mm、(xii)220〜240mm、(xiii)240〜260mm、(xiv)260〜280mm、(xv)280〜300mm、および(xvi)>300mmからなる群から選択される軸方向長さを有する、請求項44〜55のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項57】
前記第2のイオンガイドまたは前記第2の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイスは、イオンを前記第2のイオンガイドまたは前記第2の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイス内の半径方向に閉じ込めるために、ACまたはRF電圧を前記第2のイオンガイドまたは前記第2の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイスの複数の電極のうちの少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%に印加するように配置され適合されるACまたはRF電圧手段をさらに含む、請求項44〜56のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項58】
前記ACまたはRF電圧手段は、(i)<50Vピーク・トゥ・ピーク、(ii)50〜100Vピーク・トゥ・ピーク、(iii)100〜150Vピーク・トゥ・ピーク、(iv)150〜200Vピーク・トゥ・ピーク、(v)200〜250Vピーク・トゥ・ピーク、(vi)250〜300Vピーク・トゥ・ピーク、(vii)300〜350Vピーク・トゥ・ピーク、(viii)350〜400Vピーク・トゥ・ピーク、(ix)400〜450Vピーク・トゥ・ピーク、(x)450〜500Vピーク・トゥ・ピーク、および(xi)>500Vピーク・トゥ・ピークからなる群から選択される振幅を有するACまたはRF電圧を、前記第2のイオンガイドまたは前記第2の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイスの前記複数の電極に供給するように配置され適合される、請求項57に記載の質量分析計。
【請求項59】
前記ACまたはRF電圧手段は、(i)<100kHz、(ii)100〜200kHz、(iii)200〜300kHz、(iv)300〜400kHz、(v)400〜500kHz、(vi)0.5〜1.0MHz、(vii)1.0〜1.5MHz、(viii)1.5〜2.0MHz、(ix)2.0〜2.5MHz、(x)2.5〜3.0MHz、(xi)3.0〜3.5MHz、(xii)3.5〜4.0MHz、(xiii)4.0〜4.5MHz、(xiv)4.5〜5.0MHz、(xv)5.0〜5.5MHz、(xvi)5.5〜6.0MHz、(xvii)6.0〜6.5MHz、(xviii)6.5〜7.0MHz、(xix)7.0〜7.5MHz、(xx)7.5〜8.0MHz、(xxi)8.0〜8.5MHz、(xxii)8.5〜9.0MHz、(xxiii)9.0〜9.5MHz、(xxiv)9.5〜10.0MHz、および(xxv)>10.0MHzからなる群から選択される周波数を有するACまたはRF電圧を、前記第2のイオンガイドまたは前記第2の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイスの前記複数の電極に供給するように配置され適合される、請求項57または58に記載の質量分析計。
【請求項60】
1〜100、100〜200、200〜300、300〜400、400〜500、500〜600、600〜700、700〜800、800〜900または900〜1000の範囲の質量電荷比を有する1価イオンは、前記第2のイオンガイドまたは前記第2の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイスを通るドリフト時間または通過時間が(i)0〜10μs、(ii)10〜20μs、(iii)20〜30μs、(iv)30〜40μs、(v)40〜50μs、(vi)50〜60μs、(vii)60〜70μs、(viii)70〜80μs、(ix)80〜90μs、(x)90〜100μs、(xi)100〜110μs、(xii)110〜120μs、(xiii)120〜130μs、(xiv)130〜140μs、(xv)140〜150μs、(xvi)150〜160μs、(xvii)160〜170μs、(xviii)170〜180μs、(xix)180〜190μs、(xx)190〜200μs、(xxi)200〜210μs、(xxii)210〜220μs、(xxiii)220〜230μs、(xxiv)230〜240μs、(xxv)240〜250μs、(xxvi)250〜260μs、(xxvii)260〜270μs、(xxviii)270〜280μs、(xxix)280〜290μs、(xxx)290〜300μs、および(xxxi)>300μsの範囲内にある、請求項44〜59のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項61】
前記第2のイオンガイドまたは前記第2の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイスの少なくとも一部を(i)>0.0001mbar、(ii)>0.001mbar、(iii)>0.01mbar、(iv)>0.1mbar、(v)>1mbar、(vi)>10mbar、(vii)0.0001〜0.1mbar、および(viii)0.001〜0.01mbarからなる群から選択される圧力に維持するように配置され適合される手段をさらに含む、請求項44〜60のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項62】
前記質量分析計は、前記イオン移動度分光計またはセパレータから現れるイオンを前記第2のイオンガイドまたは前記第2の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイス内へ加速するように配置され適合される加速手段をさらに含み、動作モードにおいて、前記イオンのうちの少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%を、前記第2のイオンガイドまたは前記第2の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイスに入ると同時にフラグメント化または反応させる、請求項44〜61のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項63】
前記加速手段は、前記イオン移動度分光計またはセパレータから現れるイオンが第2のイオンガイドまたは前記第2の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイスへ送られる際に前記イオンの運動エネルギーを漸進的に変化または増加させるように配置され適合される、請求項62に記載の質量分析計。
【請求項64】
前記加速手段は、電位差が維持される領域を備え、前記電位差は、経時的に漸進的に変化または増加される、請求項62または63に記載の質量分析計。
【請求項65】
前記質量分析計は、前記第2のイオンガイドまたは前記第2の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイスに入る前にイオンが通過する電位差を、イオンが前記第2のイオンガイドまたは前記第2の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイスに入ると同時にイオンを実質的にフラグメント化または反応させる比較的高いフラグメンテーションまたは反応動作モードと、イオンが第2のイオンガイドまたは前記第2の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイスに入ると同時に実質的により少ないイオンをフラグメント化または反応させるか、または実質的にイオンをフラグメント化または反応させない比較的低いフラグメンテーションまたは反応動作モードとを切り替えるか、または繰り返し切り替えるように配置され適合される制御システムをさらに含む、請求項62、63または64のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項66】
前記比較的高いフラグメンテーションまたは反応動作モードにおいて、前記第2のイオンガイドまたは前記第2の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイスに入るイオンは、(i)≧10V、(ii)≧20V、(iii)≧30V、(iv)≧40V、(V)≧50V、(vi)≧60V、(vii)≧70V、(viii)≧80V、(ix)≧90V、(x)≧100V、(xi)≧110V、(xii)≧120V、(xiii)≧130V、(xiv)≧140V、(xv)≧150V、(xvi)≧160V、(xvii)≧170V、(xviii)≧180V、(xix)≧190V、および(xx)≧200Vからなる群から選択される電位差を通して加速される、請求項65に記載の質量分析計。
【請求項67】
前記比較的低いフラグメンテーションまたは反応動作モードにおいて、前記第2のイオンガイドまたは前記第2の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイスに入るイオンは、(i)≦20V、(ii)≦15V、(iii)≦10V、(iv)≦5V、および(v)≦1Vからなる群から選択される電位差を通して加速される、請求項65または66に記載の質量分析計。
【請求項68】
前記制御システムは、前記第2のイオンガイドまたは前記第2の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイスを前記比較的高いフラグメンテーションまたは反応動作モードと前記比較的低いフラグメンテーションまたは反応動作モードとの間で、1ms、5ms、10ms、15ms、20ms、25ms、30ms、35ms、40ms、45ms、50ms、55ms、60ms、65ms、70ms、75ms、80ms、85ms、90ms、95ms、100ms、200ms、300ms、400ms、500ms、600ms、700ms、800ms、900ms、1s、2s、3s、4s、5s、6s、7s、8s、9sまたは10s毎に少なくとも1回切り替えるように配置され適合される、請求項65、66または67のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項69】
前記第2のイオンガイドまたは前記第2の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイスは、前記イオン移動度分光計またはセパレータから現れるイオンビームを受け取り、かつ少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20の個別群またはパケットのイオンが前記第2のイオンガイドまたは前記第2の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイス内にいずれかの特定の時点に閉じ込めおよび/または隔離されるように前記イオンビームを変換または分割するように配置され適合され、各群またはパケットのイオンは、前記第2のイオンガイドまたは前記第2の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイス内に形成された個別の軸方向ポテンシャル井戸内に個別に閉じ込めおよび/または隔離される、請求項44〜68のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項70】
前記第2のイオンガイドまたは前記第2の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイス内に閉じ込めおよび/または隔離された前記イオン群またはパケットの各々におけるイオンの平均イオン移動度は、経時的に漸進的に低減し、および/または前記第2のイオンガイドまたは前記第2の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイスの出射口領域から前記第2のイオンガイドまたは前記第2の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイスの入射口領域に向かって漸進的に低減する、請求項69に記載の質量分析計。
【請求項71】
前記第2のイオンガイドまたは前記第2の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイスは、前記イオン移動度分光計またはセパレータから現れるイオンを貯留および/または閉じ込めおよび/または分割し、かつ(i)イオンが前記イオン移動度分光計またはセパレータから現れる秩序および/または忠実度を実質的に維持するか、および/または(ii)1つ以上の群またはパケットのイオンが前記第2のイオンガイドまたは前記第2の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイスに沿って平行移動される際に実質的にイオンの組成を維持するかのいずれかを行いながら、イオンを前記第2のイオンガイドまたは前記第2の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイスの軸方向長さの少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%に沿って1つ以上の群またはパケットのイオンとして平行移動するように配置され適合される、請求項44〜70のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項72】
前記イオン移動度分光計またはセパレータは、気相電気泳動デバイスを含む、先行する請求項のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項73】
前記イオン移動度分光計またはセパレータは、
(i)ドリフト管、
(ii)多重極ロッドセットまたは分割多重極ロッドセット、
(iii)イオントンネルまたはイオンファンネル、あるいは
(iv)平面電極、平板電極またはメッシュ電極のスタックまたはアレイ
を含む、先行する請求項のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項74】
前記ドリフト管は、1つ以上の電極と、前記ドリフト管の軸方向長さの少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%に沿って軸方向DC電圧勾配または実質的に一定もしくは直線の軸方向DC電圧勾配を維持するための手段とを含む、請求項73に記載の質量分析計。
【請求項75】
前記多重極ロッドセットは、四重極ロッドセット、六重極ロッドセット、八重極ロッドセット、または8より多くのロッドを含むロッドセットを含む、請求項73に記載の質量分析計。
【請求項76】
前記イオントンネルまたはイオンファンネルは、使用時にイオンが送られる開口部を有する複数の電極または少なくとも2、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90もしくは100の電極を含み、前記電極のうちの少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%は、実質的に同じサイズもしくは面積である開口部を有するか、またはサイズもしくは面積が漸進的に大きくおよび/または小さくなる開口部を有する、請求項73に記載の質量分析計。
【請求項77】
前記電極のうちの少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%は、(i)≦1.0mm、(ii)≦2.0mm、(iii)≦3.0mm、(iv)≦4.0mm、(v)≦5.0mm、(vi)≦6.0mm、(vii)≦7.0mm、(viii)≦8.0mm、(ix)≦9.0mm、(x)≦10.0mm、および(xi)>10.0mmからなる群から選択される内径または寸法を有する、請求項76に記載の質量分析計。
【請求項78】
前記平面電極、平板電極またはメッシュ電極のスタックまたはアレイは、複数または少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19もしくは20の平面電極、平板電極またはメッシュ電極を含み、前記平面電極、平板電極またはメッシュ電極の少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%は、使用時にイオンが移動する平面内に概ね配置される、請求項73に記載の質量分析計。
【請求項79】
前記平面電極、平板電極またはメッシュ電極の少なくともいくつかまたは少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%もしくは100%には、ACまたはRF電圧が供給され、隣り合う平面電極、平板電極またはメッシュ電極に、逆位相の前記ACまたはRF電圧が供給される、請求項78に記載の質量分析計。
【請求項80】
前記イオン移動度分光計またはセパレータは、複数の軸方向セグメントまたは少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95もしくは100の軸方向セグメントを含む、先行する請求項のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項81】
前記質量分析計は、少なくともいくつかのイオンを前記イオン移動度分光計またはセパレータの軸方向長さの少なくとも一部または少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%もしくは100%に沿って駆動するために、前記イオン移動度分光計またはセパレータの軸方向長さの少なくとも一部または少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%もしくは100%に沿って実質的に一定のDC電圧勾配を維持するためのDC電圧手段をさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項82】
前記質量分析計は、少なくともいくつかのイオンを前記イオン移動度分光計またはセパレータの軸方向長さの少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%に沿って駆動するために、1つ以上の過渡DC電圧もしくは電位または1つ以上の過渡DC電圧波形もしくは電位波形を前記イオン移動度分光計またはセパレータを形成する電極に印加するように配置され適合される過渡DC電圧手段をさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項83】
前記質量分析計は、少なくともいくつかのイオンを前記イオン移動度分光計またはセパレータの軸方向長さの少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%に沿って駆動するために、2つ以上の位相シフトACまたはRF電圧を前記イオン移動度分光計またはセパレータを形成する電極に印加するように配置され適合されるACまたはRF電圧手段をさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項84】
前記イオン移動度分光計またはセパレータは、(i)<20mm、(ii)20〜40mm、(iii)40〜60mm、(iv)60〜80mm、(v)80〜100mm、(vi)100〜120mm、(vii)120〜140mm、(viii)140〜160mm、(ix)160〜180mm、(x)180〜200mm、(xi)200〜220mm、(xii)220〜240mm、(xiii)240〜260mm、(xiv)260〜280mm、(xv)280〜300mm、および(xvi)>300mmからなる群から選択される軸方向長さを有する、先行する請求項のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項85】
前記イオン移動度分光計またはセパレータは、イオンを前記イオン移動度分光計またはセパレータ内に半径方向に閉じ込めるために、ACまたはRF電圧を前記イオン移動度分光計またはセパレータの複数の電極のうちの少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%に印加するように配置され適合されるACまたはRF電圧手段をさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項86】
前記ACまたはRF電圧手段は、(i)<50Vピーク・トゥ・ピーク、(ii)50〜100Vピーク・トゥ・ピーク、(iii)100〜150Vピーク・トゥ・ピーク、(iv)150〜200Vピーク・トゥ・ピーク、(v)200〜250Vピーク・トゥ・ピーク、(vi)250〜300Vピーク・トゥ・ピーク、(vii)300〜350Vピーク・トゥ・ピーク、(viii)350〜400Vピーク・トゥ・ピーク、(ix)400〜450Vピーク・トゥ・ピーク、(x)450〜500Vピーク・トゥ・ピーク、および(xi)>500Vピーク・トゥ・ピークからなる群から選択される振幅を有するACまたはRF電圧を、前記イオン移動度分光計またはセパレータの前記複数の電極に供給するように配置され適合される、請求項85に記載の質量分析計。
【請求項87】
前記ACまたはRF電圧手段は、(i)<100kHz、(ii)100〜200kHz、(iii)200〜300kHz、(iv)300〜400kHz、(v)400〜500kHz、(vi)0.5〜1.0MHz、(vii)1.0〜1.5MHz、(viii)1.5〜2.0MHz、(ix)2.0〜2.5MHz、(x)2.5〜3.0MHz、(xi)3.0〜3.5MHz、(xii)3.5〜4.0MHz、(xiii)4.0〜4.5MHz、(xiv)4.5〜5.0MHz、(xv)5.0〜5.5MHz、(xvi)5.5〜6.0MHz、(xvii)6.0〜6.5MHz、(xviii)6.5〜7.0MHz、(xix)7.0〜7.5MHz、(xx)7.5〜8.0MHz、(xxi)8.0〜8.5MHz、(xxii)8.5〜9.0MHz、(xxiii)9.0〜9.5MHz、(xxiv)9.5〜10.0MHz、および(xxv)>10.0MHzからなる群から選択される周波数を有するACまたはRF電圧を、前記イオン移動度分光計またはセパレータの前記複数の電極に供給するように配置され適合される、請求項85または86に記載の質量分析計。
【請求項88】
1〜100、100〜200、200〜300、300〜400、400〜500、500〜600、600〜700、700〜800、800〜900または900〜1000の範囲の質量電荷比を有する1価イオンは、前記イオン移動度分光計またはセパレータを通るドリフト時間または通過時間が(i)0〜1ms、(ii)1〜2ms、(iii)2〜3ms、(iv)3〜4ms、(v)4〜5ms、(vi)5〜6ms、(vii)6〜7ms、(viii)7〜8ms、(ix)8〜9ms、(x)9〜10ms、(xi)10〜11ms、(xii)11〜12ms、(xiii)12〜13ms、(xiv)13〜14ms、(xv)14〜15ms、(xvi)15〜16ms、(xvii)16〜17ms、(xviii)17〜18ms、(xix)18〜19ms、(xx)19〜20ms、(xxi)20〜21ms、(xxii)21〜22ms、(xxiii)22〜23ms、(xxiv)23〜24ms、(xxv)24〜25ms、(xxvi)25〜26ms、(xxvii)26〜27ms、(xxviii)27〜28ms、(xxix)28〜29ms、(xxx)29〜30ms、(xxxi)30〜35ms、(xxxii)35〜40ms、(xxxiii)40〜45ms、(xxxiv)45〜50ms、(xxxv)50〜55ms、(xxxvi)55〜60ms、(xxxvii)60〜65ms、(xxxviii)65〜70ms、(xxxix)70〜75ms、(xl)75〜80ms、(xli)80〜85ms、(xlii)85〜90ms、(xliii)90〜95ms、(xliv)95〜100ms、および(xlv)>100msの範囲内にある、先行する請求項のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項89】
前記イオン移動度分光計またはセパレータの少なくとも一部を(i)>0.001mbar、(ii)>0.01mbar、(iii)>0.1mbar、(iv)>1mbar、(v)>10mbar、(vi)>100mbar、(vii)0.001〜100mbar、(viii)0.01〜10mbar、および(ix)0.1〜1mbarからなる群から選択される圧力に維持するように配置され適合される手段をさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項90】
前記質量分析計は、第1のガスを前記イオン移動度分光計またはセパレータに導入するための手段をさらに含み、前記第1のガスは、(i)窒素、(ii)アルゴン、(iii)ヘリウム、(iv)メタン、(v)ネオン、(vi)キセノン、および(vii)空気から選択されるか、またはその群から選択されるガスを少なくとも部分的に含む、先行する請求項のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項91】
前記質量分析計は、前記イオン移動度分光計またはセパレータのためのハウジングをさらに含み、前記ハウジングは、イオン入射口開口部、イオン出射口開口部、およびガスを前記ハウジング内へ導入するためのポートを除いて実質的に気密な封入体を形成する、先行する請求項のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項92】
0〜5ms、5〜10ms、10〜15ms、15〜20ms、20〜25ms、25〜30ms、30〜35ms、35〜40ms、40〜45ms、45〜50ms、50〜55ms、55〜60ms、60〜65ms、65〜70ms、70〜75ms、75〜80ms、80〜85ms、85〜90ms、90〜95ms、95〜100msまたは>100ms毎に1回イオンを前記イオン移動度分光計またはセパレータにパルスするための手段をさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項93】
イオン源をさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項94】
前記イオン源は、(i)エレクトロスプレーイオン化(「ESI」)イオン源、(ii)大気圧光イオン化(「APPI」)イオン源、(iii)大気圧化学イオン化(「APCI」)イオン源、(iv)マトリックス支援レーザ脱離イオン化(「MALDI」)イオン源、(v)レーザ脱離イオン化(「LDI」)イオン源、(vi)大気圧イオン化(「API」)イオン源、(vii)シリコンを用いた脱離イオン化(「DIOS」)イオン源、(viii)電子衝突(「EI」)イオン源、(ix)化学イオン化(「CI」)イオン源、(x)電界イオン化(「FI」)イオン源、(xi)電界脱離(「FD」)イオン源、(xii)誘導結合プラズマ(「ICP」)イオン源、(xiii)高速原子衝撃(「FAB」)イオン源、(xiv)液体二次イオン質量分析(「LSIMS」)イオン源、(xv)脱離エレクトロスプレーイオン化(「DESI」)イオン源、(xvi)ニッケル−63放射性イオン源、(xvii)大気圧マトリックス支援レーザ脱離イオン化イオン源、および(xviii)熱スプレーイオン源からなる群から選択される、請求項93に記載の質量分析計。
【請求項95】
前記イオン源は、パルス化または連続イオン源を含む、請求項93または94に記載の質量分析計。
【請求項96】
質量分析器をさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項97】
前記質量分析器は、(i)四重極質量分析器、(ii)2Dまたは直線四重極質量分析器、(iii)ポールまたは3D四重極質量分析器、(iv)ペニングトラップ質量分析器、(v)イオントラップ質量分析器、(vi)磁場型質量分析器、(vii)イオンサイクロトロン共鳴(「ICR」)質量分析器、(viii)フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴(「FTICR」)質量分析器、(ix)静電またはオービトラップ質量分析器、(x)フーリエ変換静電またはオービトラップ質量分析器、(xi)フーリエ変換質量分析器、(xii)飛行時間質量分析器、(xiii)直交加速飛行時間質量分析器、および(xiv)軸方向加速飛行時間質量分析器からなる群から選択される、請求項96に記載の質量分析計。
【請求項98】
イオン検出器をさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項99】
第1のイオンガイドまたは第1の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイスにおいてイオンをフラグメント化または反応させ、生成物、娘、付加生成物またはフラグメントイオンを生成するステップと、
前記第1のイオンガイドまたは前記第1の衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスもしくは反応デバイスから現れるか、または送られてきた生成物、娘、付加生成物またはフラグメントイオンをそのイオン移動度にしたがって、イオン移動度分光計またはセパレータにおいて、時間的に分離するステップと
を含む質量分析の方法。
【請求項100】
第1の質量フィルタまたは質量分析器においてイオンを質量分析する質量フィルタリングステップと、
イオン移動度分光計またはセパレータにおいてイオンを時間的に分離するステップであって、前記イオン移動度分光計またはセパレータは、前記第1の質量フィルタまたは質量分析器の下流に配置される、ステップと、
前記イオン移動度分光計またはセパレータの下流に配置された第2の質量フィルタまたは質量分析器において質量フィルタリングまたは質量分析するステップと
を含む質量分析の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2008−523553(P2008−523553A)
【公表日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−544974(P2007−544974)
【出願日】平成17年12月7日(2005.12.7)
【国際出願番号】PCT/GB2005/004672
【国際公開番号】WO2006/061593
【国際公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【出願人】(504142097)マイクロマス ユーケー リミテッド (57)
【Fターム(参考)】