説明

質量分析計

直交加速式飛行時間質量分析器(13)に連結されたMALDIイオン源を備えた質量分析計を開示する。前記質量分析計は、特定の親イオンが質量フィルターにより選択され、第1の軸方向エネルギーをもつように加速される、第1機器設定で操作される。そして、フラグメントイオンは、第1遅延時間の後直交方向に加速され、第1質量スペクトルデータが得られる。続いて、前記質量分析計は、親イオンの軸方向エネルギーを増加させ、その結果得られるフラグメントイオンが、短縮された遅延時間の後、直交方向に加速される、第2機器設定で操作される。そして、第2質量スペクトルデータが得られる。その後、第1および第2質量スペクトルデータを組み合わせ、最終的な複合質量スペクトルを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、質量分析計および質量分析法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
公知の質量分析計は、直交加速式飛行時間質量分析器に連結されたマトリックス支援レーザー脱離イオン化(「MALDI」)イオン源を備えている。前記質量分析器内でイオンを直交方向に加速し、前記イオンの飛行時間を測定する。これにより、前記イオンの質量電荷比を求めることができる。直交加速式飛行時間質量分析器は、MALDIイオン源と連結された場合、直交加速式飛行時間質量分析器の分解能、質量校正、および質量精度は、前記MALDIイオン源からのイオン脱離速度のばらつきに実質的に影響されないという点で、軸方向またはインライン飛行時間質量分析器と比べて特に有利である。
【0003】
直交加速式飛行時間質量分析器をMALDIイオン源と組み合わせて使用することのさらなる利点は、サンプルの厚みまたはMALDIターゲットプレートに印加される表面電位のばらつきが、その後の前記直交加速式飛行時間質量分析器の飛行またはドリフト領域におけるイオン飛行時間に直接影響を与えることがないという点である。
【0004】
タイプの異なる2種類の機器が公知である。第1のタイプの機器は、軸方向および直交方向のイオンの運動エネルギーを直交加速式飛行時間質量分析器に適したレベルまで低下させる高周波衝突冷却ガスセルを利用するものである。このような機器は、飛行時間質量分析器を備えたインラインまたは軸方向MALDI質量分析計と比べると、より複雑で、より高価で、かつ効率が劣る。前記冷却ガスは、化学的背景を増加させ、信号対雑音を低下させるマトリックスクラスターの形成を促進するおそれがある。第2のタイプの機器は、気体衝突による減衰を採用しておらず、よって、より高い前駆イオンの運動エネルギーにより、高エネルギーの衝突誘起解離(CID)MS/MSフラグメント化質量スペクトルの記録が可能となる。イオンはその軸方向速度を維持することができ、直交加速式飛行時間質量分析器の検出器は、より大きな軸方向エネルギー拡散によって生じるより大きなイオン角拡散に対応するため、大型化される必要がある。第2のタイプの機器の一例として、ハイブリッド磁場型直交加速飛行時間タンデムMS/MS機器(非特許文献1)が挙げられる。当該機器は、MALDIイオン源と、前駆イオンを高分解能で選択するための磁場型質量フィルターと、衝突誘起解離(CID)気体セルと、前記気体セル内で生成されるフラグメントまたは娘イオンを記録するための直交加速式飛行時間質量分析器とを備えている。
【0005】
この機器においては、フラグメントまたは娘イオンは、元の親または前駆イオンの速度を維持しており、よって、その運動エネルギーはその質量に比例する。親または前駆イオンおよびこれに関連するフラグメントまたは娘イオンが直交加速式飛行時間質量分析器に到達すると、前記イオンは一定の電場によって加速され、押し出し領域から直交加速式飛行時間飛行管へと送られる。
【0006】
直交加速式飛行時間質量分析器に連結されたMALDIイオン源を備えた、上述の第2のタイプの機器に該当する従来の質量分析計には、前記質量分析器の直交加速領域に到達したイオンが広範囲にわたる軸方向エネルギーを有するという問題がある。よって、前記イオンを直交方向に加速した場合、イオン検出器は、比較的狭い、または小規模な範囲の質量または質量電荷比を有するイオンしか検出および記録できない。前記質量分析器内における直交方向のイオンの飛行または経路長さは限られており、かつ前記イオン検出器は大きさが制約されているため、これらの要因(詳細については後述する)により、直交方向に加速され、さらにその後、前記質量分析器のイオン検出器によって検出され得るイオンの質量または質量電荷比の範囲が制限される。
【非特許文献1】Bateman et al., Rapid Commun. Mass Spectrom. 9 (1995) 1227
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、改良された質量分析計および改良された質量分析法の提供が所望されている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様によれば、
直交加速領域を備えた直交加速式飛行時間質量分析器を用意することと、
第1の親または前駆イオンのパケットまたは群を用意することと、
前記第1の親または前駆イオンのパケットまたは群を加速し、前記第1の親または前駆イオンのパケットまたは群が第1の軸方向エネルギーを有するようにすることと、
前記第1の親または前駆イオンのパケットまたは群を、複数の第1フラグメントまたは娘イオンへとフラグメント化するか、あるいは、前記第1の親または前駆イオンのパケットまたは群を、複数の第1フラグメントまたは娘イオンへと自ずとフラグメント化させることと、
第1遅延時間の後、前記複数の第1フラグメントまたは娘イオンの少なくとも一部を直交方向に加速することと、
前記複数の第1フラグメントまたは娘イオンのうち、第1の範囲の軸方向エネルギーを有するフラグメントまたは娘イオンを検出することと、
前記複数の第1フラグメントまたは娘イオンのうち、前記第1の範囲の軸方向エネルギーを有するフラグメントまたは娘イオンに関する第1の質量スペクトルデータを生成することと、
第2の親または前駆イオンのパケットまたは群を用意することと、
前記第2の親または前駆イオンのパケットまたは群を加速し、前記第2の親または前駆イオンのパケットまたは群が第2の異なる軸方向エネルギーを有するようにすることと、
前記第2の親または前駆イオンのパケットまたは群を、複数の第2フラグメントまたは娘イオンへとフラグメント化するか、あるいは、前記第2の親または前駆イオンのパケットまたは群を、複数の第2フラグメントまたは娘イオンへと自ずとフラグメント化させることと、
第2遅延時間の後、前記複数の第2フラグメントまたは娘イオンの少なくとも一部を直交方向に加速することと、
前記複数の第2フラグメントまたは娘イオンのうち、第2の範囲の軸方向エネルギーを有するフラグメントまたは娘イオンを検出することと、
前記複数の第2フラグメントまたは娘イオンのうち、前記第2の範囲の軸方向エネルギーを有する前記フラグメントまたは娘イオンに関する第2の質量スペクトルデータを生成することと、
前記第1の質量スペクトルデータと前記第2の質量スペクトルデータを使用する、組み合わせる、または部分的に重ねることによって複合質量スペクトルを形成することとを含む質量分析法が提供される。
【0009】
前記遅延時間とは、親または前駆イオンが、例えば、MALDIターゲットプレートに向けてレーザーを発射することによって生成された時点と、イオンを直交方向に加速して前記飛行時間質量分析器のドリフトまたは飛行領域へと送るために、飛行時間質量分析器の直交加速領域に隣接して配置された押し出し電極(pusher electrode)に通電した時点との時間差であることが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
前記第1の範囲の軸方向エネルギーは、前記第2の範囲の軸方向エネルギーと実質的に同一であることが好ましい。また、前記第1遅延時間は、前記第2遅延時間とは実質的に異なることが好ましい。
【0011】
好ましい実施形態によれば、第1電場領域と第1フィールドフリー領域を設けることが好ましい。前記第1フィールドフリー領域は、前記第1電場領域の下流に配置されることが好ましい。
【0012】
第2電場領域を設けることが好ましく、さらに、第2フィールドフリー領域を設けることが好ましい。前記第2フィールドフリー領域は、前記第2電場領域の下流に配置されることが好ましい。
【0013】
1以上の電極が、前記直交加速領域に隣接して配置されていることが好ましい。
【0014】
前記第1の親または前駆イオンのパケットまたは群を加速する工程は、前記第1電場および/または前記第1フィールドフリー領域および/または前記第2電場および/または前記第2フィールドフリー領域および/または前記1以上の電極を、第1電場強度、電圧もしくは電位、または電圧もしくは電位差に保持することを含むことが好ましい。前記第2の親または前駆イオンのパケットまたは群を加速する工程は、前記第1電場および/または前記第1フィールドフリー領域および/または前記第2電場および/または前記第2フィールドフリー領域および/または前記1以上の電極を、第2電場強度、電圧もしくは電位、または電圧もしくは電位差に保持することを含むことが好ましい。前記第2電場強度、電圧もしくは電位、または電圧もしくは電位差は、前記第1電場強度、電圧もしくは電位、または電圧もしくは電位差とは、少なくとも1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、110%、120%、130%、140%、150%、160%、170%、180%、190%、200%、210%、220%、230%、240%、250%、260%、270%、280%、290%、300%、350%、400%、450%、または500%異なる。
【0015】
一実施形態によれば、前記第1の軸方向エネルギーは、(i)<20eV、(ii)20〜40eV、(iii)40〜60eV、(iv)60〜80eV、(v)80〜100eV、(vi)100〜120eV、(vii)120〜140eV、(viii)140〜160eV、(ix)160〜180eV、(x)180〜200eV、(xi)200〜220eV、(xii)220〜240eV、(xiii)240〜260eV、(xiv)260〜280eV、(xv)280〜300eV、(xvi)300〜320eV、(xvii)320〜340eV、(xviii)340〜360eV、(xix)360〜380eV、(xx)380〜400eV、(xxi)400〜420eV、(xxii)420〜440eV、(xxiii)440〜460eV、(xxiv)460〜480eV、(xxv)480〜500eV、(xxvi)500〜550eV、(xxvii)550〜600eV、(xxviii)600〜650eV、(xxix)650〜700eV、(xxx)700〜750eV、(xxxi)750〜800eV、(xxxii)800〜850eV、(xxxiii)850〜900eV、(xxxiv)900〜950eV、(xxxv)950〜1000eV、および(xxxvi)>1keVからなる群から選択される。
【0016】
前記第1の軸方向エネルギーは、(i)1.0〜1.2keV、(ii)1.2〜1.4keV、(iii)1.4〜1.6keV、(iv)1.6〜1.8keV、(v)1.8〜2.0keV、(vi)2.0〜2.2keV、(vii)2.2〜2.4keV、(viii)2.4〜2.6keV、(ix)2.6〜2.8keV、(x)2.8〜3.0keV、(xi)3.0〜3.2keV、(xii)3.2〜3.4keV、(xiii)3.4〜3.6keV、(xiv)3.6〜3.8keV、(xv)3.8〜4.0keV、(xvi)4.0〜4.2keV、(xvii)4.2〜4.4keV、(xviii)4.4〜4.6keV、(xix)4.6〜4.8keV、(xx)4.8〜5.0keV、(xxi)5.0〜5.5keV、(xxii)5.5〜6.0keV、(xxiii)6.0〜6.5keV、(xxiv)6.5〜7.0keV、(xxv)7.0〜7.5keV、(xxvi)7.5〜8.0keV、(xxvii)8.0〜8.5keV、(xxviii)8.5〜9.0keV、(xxix)9.0〜9.5keV、(xxx)9.5〜10.0keV、および(xxxi)>10keVからなる群から選択してもよい。
【0017】
前記第1遅延時間は、(i)<1μs、(ii)1〜5μs、(iii)5〜10μs、(iv)10〜15μs、(v)15〜20μs、(vi)20〜25μs、(vii)25〜30μs、(viii)30〜35μs、(ix)35〜40μs、(x)40〜45μs、(xi)45〜50μs、(xii)50〜55μs、(xiii)55〜60μs、(xiv)60〜65μs、(xv)65〜70μs、(xvi)70〜75μs、(xvii)75〜80μs、(xviii)80〜85μs、(xix)85〜90μs、(xx)90〜95μs、(xxi)95〜100μs、(xxii)100〜100μs、(xxiii)110〜120μs、(xxiv)120〜130μs、(xxv)130〜140μs、(xxvi)140〜150μs、(xxvii)150〜160μs、(xxviii)160〜170μs、(xxix)170〜180μs、(xxx)180〜190μs、(xxxi)190〜200μs、(xxxii)200〜250μs、(xxxiii)250〜300μs、(xxxiv)300〜350μs、(xxxv)350〜400μs、(xxxvi)400〜450μs、(xxxvii)450〜500μs、(xxxviii)500〜1000μs、および(xxxix)>1000μsからなる群から選択されることが好ましい。
【0018】
前記複数の第1フラグメントまたは娘イオンの前記少なくとも一部を直交方向に加速し、前記複数の第1フラグメントまたは娘イオンの前記少なくとも一部が第1の直交方向エネルギーを有するようにすることが好ましい。前記第1の直交方向エネルギーは、(i)<1.0keV、(ii)1.0〜1.5keV、(iii)1.5〜2.0keV、(iv)2.0〜2.5keV、(v)2.5〜3.0keV、(vi)3.0〜3.5keV、(vii)3.5〜4.0keV、(viii)4.0〜4.5keV、(ix)4.5〜5.0keV、(x)5.0〜5.5keV、(xi)5.5〜6.0keV、(xii)6.0〜6.5keV、(xiii)6.5〜7.0keV、(xiv)7.0〜7.5keV、(xv)7.5〜8.0keV、(xvi)8.0〜8.5keV、(xvii)8.5〜9.0keV、(xviii)9.0〜9.5keV、(xix)9.5〜10.0keV、(xx)10.0〜10.5keV、(xxi)10.5〜11.0keV、(xxii)11.0〜11.5keV、(xxiii)11.5〜12.0keV、(xxiv)12.0〜12.5keV、(xxv)12.5〜13.0keV、(xxvi)13.0〜13.5keV、(xxvii)13.5〜14.0keV、(xxviii)14.0〜14.5keV、(xxix)14.5〜15.0keV、(xxx)15.0〜15.5keV、(xxxi)15.5〜16.0keV、(xxxii)16.0〜16.5keV、(xxxiii)16.5〜17.0keV、(xxxiv)17.0〜17.5keV、(xxxv)17.5〜18.0keV、(xxxvi)18.0〜18.5keV、(xxxvii)18.5〜19.0keV、(xxxviii)19.0〜19.5keV、(xxxix)19.5〜20.0keV、(xl)>20keVからなる群から選択されることが好ましい。
【0019】
前記第2の軸方向エネルギーは、(i)<20eV、(ii)20〜40eV、(iii)40〜60eV、(iv)60〜80eV、(v)80〜100eV、(vi)100〜120eV、(vii)120〜140eV、(viii)140〜160eV、(ix)160〜180eV、(x)180〜200eV、(xi)200〜220eV、(xii)220〜240eV、(xiii)240〜260eV、(xiv)260〜280eV、(xv)280〜300eV、(xvi)300〜320eV、(xvii)320〜340eV、(xviii)340〜360eV、(xix)360〜380eV、(xx)380〜400eV、(xxi)400〜420eV、(xxii)420〜440eV、(xxiii)440〜460eV、(xxiv)460〜480eV、(xxv)480〜500eV、(xxvi)500〜550eV、(xxvii)550〜600eV、(xxviii)600〜650eV、(xxix)650〜700eV、(xxx)700〜750eV、(xxxi)750〜800eV、(xxxii)800〜850eV、(xxxiii)850〜900eV、(xxxiv)900〜950eV、(xxxv)950〜1000eV、および(xxxvi)>1keVからなる群から選択されることが好ましい。
【0020】
前記第2の軸方向エネルギーは、(i)1.0〜1.2keV、(ii)1.2〜1.4keV、(iii)1.4〜1.6keV、(iv)1.6〜1.8keV、(v)1.8〜2.0keV、(vi)2.0〜2.2keV、(vii)2.2〜2.4keV、(viii)2.4〜2.6keV、(ix)2.6〜2.8keV、(x)2.8〜3.0keV、(xi)3.0〜3.2keV、(xii)3.2〜3.4keV、(xiii)3.4〜3.6keV、(xiv)3.6〜3.8keV、(xv)3.8〜4.0keV、(xvi)4.0〜4.2keV、(xvii)4.2〜4.4keV、(xviii)4.4〜4.6keV、(xix)4.6〜4.8keV、(xx)4.8〜5.0keV、(xxi)5.0〜5.5keV、(xxii)5.5〜6.0keV、(xxiii)6.0〜6.5keV、(xxiv)6.5〜7.0keV、(xxv)7.0〜7.5keV、(xxvi)7.5〜8.0keV、(xxvii)8.0〜8.5keV、(xxviii)8.5〜9.0keV、(xxix)9.0〜9.5keV、(xxx)9.5〜10.0keV、および(xxxi)>10keVからなる群から選択されることが好ましい。
【0021】
前記第2遅延時間は、(i)<1μs、(ii)1〜5μs、(iii)5〜10μs、(iv)10〜15μs、(v)15〜20μs、(vi)20〜25μs、(vii)25〜30μs、(viii)30〜35μs、(ix)35〜40μs、(x)40〜45μs、(xi)45〜50μs、(xii)50〜55μs、(xiii)55〜60μs、(xiv)60〜65μs、(xv)65〜70μs、(xvi)70〜75μs、(xvii)75〜80μs、(xviii)80〜85μs、(xix)85〜90μs、(xx)90〜95μs、(xxi)95〜100μs、(xxii)100〜100μs、(xxiii)110〜120μs、(xxiv)120〜130μs、(xxv)130〜140μs、(xxvi)140〜150μs、(xxvii)150〜160μs、(xxviii)160〜170μs、(xxix)170〜180μs、(xxx)180〜190μs、(xxxi)190〜200μs、(xxxii)200〜250μs、(xxxiii)250〜300μs、(xxxiv)300〜350μs、(xxxv)350〜400μs、(xxxvi)400〜450μs、(xxxvii)450〜500μs、(xxxviii)500〜1000μs、および(xxxix)>1000μsからなる群から選択されることが好ましい。
【0022】
前記複数の第2フラグメントまたは娘イオンの前記少なくとも一部を直交方向に加速し、前記複数の第2フラグメントまたは娘イオンの前記少なくとも一部が第2の直交方向エネルギーを有するようにすることが好ましい。前記第2の直交方向エネルギーは、(i)<1.0keV、(ii)1.0〜1.5keV、(iii)1.5〜2.0keV、(iv)2.0〜2.5keV、(v)2.5〜3.0keV、(vi)3.0〜3.5keV、(vii)3.5〜4.0keV、(viii)4.0〜4.5keV、(ix)4.5〜5.0keV、(x)5.0〜5.5keV、(xi)5.5〜6.0keV、(xii)6.0〜6.5keV、(xiii)6.5〜7.0keV、(xiv)7.0〜7.5keV、(xv)7.5〜8.0keV、(xvi)8.0〜8.5keV、(xvii)8.5〜9.0keV、(xviii)9.0〜9.5keV、(xix)9.5〜10.0keV、(xx)10.0〜10.5keV、(xxi)10.5〜11.0keV、(xxii)11.0〜11.5keV、(xxiii)11.5〜12.0keV、(xxiv)12.0〜12.5keV、(xxv)12.5〜13.0keV、(xxvi)13.0〜13.5keV、(xxvii)13.5〜14.0keV、(xxviii)14.0〜14.5keV、(xxix)14.5〜15.0keV、(xxx)15.0〜15.5keV、(xxxi)15.5〜16.0keV、(xxxii)16.0〜16.5keV、(xxxiii)16.5〜17.0keV、(xxxiv)17.0〜17.5keV、(xxxv)17.5〜18.0keV、(xxxvi)18.0〜18.5keV、(xxxvii)18.5〜19.0keV、(xxxviii)19.0〜19.5keV、(xxxix)19.5〜20.0keV、(xl)>20keVからなる群から選択されることが好ましい。
【0023】
好ましい実施形態によれば、前記方法は、
第3の親または前駆イオンのパケットまたは群を用意することと、
前記第3の親または前駆イオンのパケットまたは群を加速し、前記第3の親または前駆イオンのパケットまたは群が第3の異なる軸方向エネルギーを有するようにすることと、
前記第3の親または前駆イオンのパケットまたは群を、複数の第3フラグメントまたは娘イオンへとフラグメント化するか、あるいは、前記第3の親または前駆イオンのパケットまたは群を、複数の第3フラグメントまたは娘イオンへと自ずとフラグメント化させることと、
第3遅延時間の後、前記複数の第3フラグメントまたは娘イオンの少なくとも一部を直交方向に加速することと、
前記複数の第3フラグメントまたは娘イオンのうち、第3の範囲の軸方向エネルギーを有するフラグメントまたは娘イオンを検出することと、
前記複数の第3フラグメントまたは娘イオンのうち、前記第3の範囲の軸方向エネルギーを有する娘イオンのフラグメントに関する第3の質量スペクトルデータを生成することとをさらに含むことが好ましい。
【0024】
前記第1、第2、および第3の範囲の軸方向エネルギーは、実質的に同一であることが好ましい。前記第1、第2、および第3遅延時間は、実質的に異なることが好ましい。前記第3の親または前駆イオンのパケットまたは群を加速する工程は、前記第1電場および/または前記第1フィールドフリー領域および/または前記第2電場および/または前記第2フィールドフリー領域および/または前記1以上の電極を、第3電場強度、電圧もしくは電位、または電圧もしくは電位差に保持することを含むことが好ましい。前記第3電場強度、電圧もしくは電位、または電圧もしくは電位差は、前記第1および/または第2電場強度、電圧もしくは電位、または電圧もしくは電位差とは、少なくとも1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、110%、120%、130%、140%、150%、160%、170%、180%、190%、200%、210%、220%、230%、240%、250%、260%、270%、280%、290%、300%、350%、400%、450%、または500%異なることが好ましい。
【0025】
前記第3の軸方向エネルギーは、(i)<20eV、(ii)20〜40eV、(iii)40〜60eV、(iv)60〜80eV、(v)80〜100eV、(vi)100〜120eV、(vii)120〜140eV、(viii)140〜160eV、(ix)160〜180eV、(x)180〜200eV、(xi)200〜220eV、(xii)220〜240eV、(xiii)240〜260eV、(xiv)260〜280eV、(xv)280〜300eV、(xvi)300〜320eV、(xvii)320〜340eV、(xviii)340〜360eV、(xix)360〜380eV、(xx)380〜400eV、(xxi)400〜420eV、(xxii)420〜440eV、(xxiii)440〜460eV、(xxiv)460〜480eV、(xxv)480〜500eV、(xxvi)500〜550eV、(xxvii)550〜600eV、(xxviii)600〜650eV、(xxix)650〜700eV、(xxx)700〜750eV、(xxxi)750〜800eV、(xxxii)800〜850eV、(xxxiii)850〜900eV、(xxxiv)900〜950eV、(xxxv)950〜1000eV、および(xxxvi)>1keVからなる群から選択されることが好ましい。
【0026】
前記第3の軸方向エネルギーは、(i)1.0〜1.2keV、(ii)1.2〜1.4keV、(iii)1.4〜1.6keV、(iv)1.6〜1.8keV、(v)1.8〜2.0keV、(vi)2.0〜2.2keV、(vii)2.2〜2.4keV、(viii)2.4〜2.6keV、(ix)2.6〜2.8keV、(x)2.8〜3.0keV、(xi)3.0〜3.2keV、(xii)3.2〜3.4keV、(xiii)3.4〜3.6keV、(xiv)3.6〜3.8keV、(xv)3.8〜4.0keV、(xvi)4.0〜4.2keV、(xvii)4.2〜4.4keV、(xviii)4.4〜4.6keV、(xix)4.6〜4.8keV、(xx)4.8〜5.0keV、(xxi)5.0〜5.5keV、(xxii)5.5〜6.0keV、(xxiii)6.0〜6.5keV、(xxiv)6.5〜7.0keV、(xxv)7.0〜7.5keV、(xxvi)7.5〜8.0keV、(xxvii)8.0〜8.5keV、(xxviii)8.5〜9.0keV、(xxix)9.0〜9.5keV、(xxx)9.5〜10.0keV、および(xxxi)>10keVからなる群から選択されることが好ましい。
【0027】
前記第3遅延時間は、(i)<1μs、(ii)1〜5μs、(iii)5〜10μs、(iv)10〜15μs、(v)15〜20μs、(vi)20〜25μs、(vii)25〜30μs、(viii)30〜35μs、(ix)35〜40μs、(x)40〜45μs、(xi)45〜50μs、(xii)50〜55μs、(xiii)55〜60μs、(xiv)60〜65μs、(xv)65〜70μs、(xvi)70〜75μs、(xvii)75〜80μs、(xviii)80〜85μs、(xix)85〜90μs、(xx)90〜95μs、(xxi)95〜100μs、(xxii)100〜100μs、(xxiii)110〜120μs、(xxiv)120〜130μs、(xxv)130〜140μs、(xxvi)140〜150μs、(xxvii)150〜160μs、(xxviii)160〜170μs、(xxix)170〜180μs、(xxx)180〜190μs、(xxxi)190〜200μs、(xxxii)200〜250μs、(xxxiii)250〜300μs、(xxxiv)300〜350μs、(xxxv)350〜400μs、(xxxvi)400〜450μs、(xxxvii)450〜500μs、(xxxviii)500〜1000μs、および(xxxix)>1000μsからなる群から選択されることが好ましい。
【0028】
前記複数の第3フラグメントまたは娘イオンの前記少なくとも一部を直交方向に加速し、前記複数の第3フラグメントまたは娘イオンの前記少なくとも一部が第3の直交方向エネルギーを有するようにすることが好ましい。前記第3の直交方向エネルギーは、(i)<1.0keV、(ii)1.0〜1.5keV、(iii)1.5〜2.0keV、(iv)2.0〜2.5keV、(v)2.5〜3.0keV、(vi)3.0〜3.5keV、(vii)3.5〜4.0keV、(viii)4.0〜4.5keV、(ix)4.5〜5.0keV、(x)5.0〜5.5keV、(xi)5.5〜6.0keV、(xii)6.0〜6.5keV、(xiii)6.5〜7.0keV、(xiv)7.0〜7.5keV、(xv)7.5〜8.0keV、(xvi)8.0〜8.5keV、(xvii)8.5〜9.0keV、(xviii)9.0〜9.5keV、(xix)9.5〜10.0keV、(xx)10.0〜10.5keV、(xxi)10.5〜11.0keV、(xxii)11.0〜11.5keV、(xxiii)11.5〜12.0keV、(xxiv)12.0〜12.5keV、(xxv)12.5〜13.0keV、(xxvi)13.0〜13.5keV、(xxvii)13.5〜14.0keV、(xxviii)14.0〜14.5keV、(xxix)14.5〜15.0keV、(xxx)15.0〜15.5keV、(xxxi)15.5〜16.0keV、(xxxii)16.0〜16.5keV、(xxxiii)16.5〜17.0keV、(xxxiv)17.0〜17.5keV、(xxxv)17.5〜18.0keV、(xxxvi)18.0〜18.5keV、(xxxvii)18.5〜19.0keV、(xxxviii)19.0〜19.5keV、(xxxix)19.5〜20.0keV、(xl)>20keVからなる群から選択されることが好ましい。
【0029】
複合質量スペクトルを形成する工程は、前記第1の質量スペクトルデータ、前記第2の質量スペクトルデータ、および前記第3の質量スペクトルデータを使用する、組み合わせる、または部分的に重ねることをさらに含むことが好ましい。
【0030】
前記方法は、
第4の親または前駆イオンのパケットまたは群を用意することと、
前記第4の親または前駆イオンのパケットまたは群を加速し、前記第4の親または前駆イオンのパケットまたは群が第4の異なる軸方向エネルギーを有するようにすることと、
前記第4の親または前駆イオンのパケットまたは群を、複数の第4フラグメントまたは娘イオンへとフラグメント化するか、あるいは、前記第4の親または前駆イオンのパケットまたは群を、複数の第4フラグメントまたは娘イオンへと自ずとフラグメント化させることと、
第4遅延時間の後、前記複数の第4フラグメントまたは娘イオンの少なくとも一部を直交方向に加速することと、
前記複数の第4フラグメントまたは娘イオンのうち、第4の範囲の軸方向エネルギーを有するフラグメントまたは娘イオンを検出することと、
前記複数の第4フラグメントまたは娘イオンのうち、前記第4の範囲の軸方向エネルギーを有する娘イオンのフラグメントに関する第4の質量スペクトルデータを生成することとをさらに含むことが好ましい。
【0031】
前記第1、第2、第3、および第4の範囲の軸方向エネルギーは、実質的に同一であることが好ましい。前記第1、第2、第3、および第4遅延時間は、実質的に異なることが好ましい。
【0032】
前記第4の親または前駆イオンのパケットまたは群を加速する工程は、前記第1電場および/または前記第1フィールドフリー領域および/または前記第2電場および/または前記第2フィールドフリー領域および/または前記1以上の電極を、第4電場強度、電圧もしくは電位、または電圧もしくは電位差に保持することを含むことが好ましい。
【0033】
前記第4電場強度、電圧もしくは電位、または電圧もしくは電位差は、前記第1および/または第2および/または第3電場強度、電圧もしくは電位、または電圧もしくは電位差とは、少なくとも1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、110%、120%、130%、140%、150%、160%、170%、180%、190%、200%、210%、220%、230%、240%、250%、260%、270%、280%、290%、300%、350%、400%、450%、または500%異なることが好ましい。
【0034】
前記第4の軸方向エネルギーは、(i)<20eV、(ii)20〜40eV、(iii)40〜60eV、(iv)60〜80eV、(v)80〜100eV、(vi)100〜120eV、(vii)120〜140eV、(viii)140〜160eV、(ix)160〜180eV、(x)180〜200eV、(xi)200〜220eV、(xii)220〜240eV、(xiii)240〜260eV、(xiv)260〜280eV、(xv)280〜300eV、(xvi)300〜320eV、(xvii)320〜340eV、(xviii)340〜360eV、(xix)360〜380eV、(xx)380〜400eV、(xxi)400〜420eV、(xxii)420〜440eV、(xxiii)440〜460eV、(xxiv)460〜480eV、(xxv)480〜500eV、(xxvi)500〜550eV、(xxvii)550〜600eV、(xxviii)600〜650eV、(xxix)650〜700eV、(xxx)700〜750eV、(xxxi)750〜800eV、(xxxii)800〜850eV、(xxxiii)850〜900eV、(xxxiv)900〜950eV、(xxxv)950〜1000eV、および(xxxvi)>1keVからなる群から選択されることが好ましい。
【0035】
前記第4の軸方向エネルギーは、(i)1.0〜1.2keV、(ii)1.2〜1.4keV、(iii)1.4〜1.6keV、(iv)1.6〜1.8keV、(v)1.8〜2.0keV、(vi)2.0〜2.2keV、(vii)2.2〜2.4keV、(viii)2.4〜2.6keV、(ix)2.6〜2.8keV、(x)2.8〜3.0keV、(xi)3.0〜3.2keV、(xii)3.2〜3.4keV、(xiii)3.4〜3.6keV、(xiv)3.6〜3.8keV、(xv)3.8〜4.0keV、(xvi)4.0〜4.2keV、(xvii)4.2〜4.4keV、(xviii)4.4〜4.6keV、(xix)4.6〜4.8keV、(xx)4.8〜5.0keV、(xxi)5.0〜5.5keV、(xxii)5.5〜6.0keV、(xxiii)6.0〜6.5keV、(xxiv)6.5〜7.0keV、(xxv)7.0〜7.5keV、(xxvi)7.5〜8.0keV、(xxvii)8.0〜8.5keV、(xxviii)8.5〜9.0keV、(xxix)9.0〜9.5keV、(xxx)9.5〜10.0keV、および(xxxi)>10keVからなる群から選択してもよい。
【0036】
前記第4遅延時間は、(i)<1μs、(ii)1〜5μs、(iii)5〜10μs、(iv)10〜15μs、(v)15〜20μs、(vi)20〜25μs、(vii)25〜30μs、(viii)30〜35μs、(ix)35〜40μs、(x)40〜45μs、(xi)45〜50μs、(xii)50〜55μs、(xiii)55〜60μs、(xiv)60〜65μs、(xv)65〜70μs、(xvi)70〜75μs、(xvii)75〜80μs、(xviii)80〜85μs、(xix)85〜90μs、(xx)90〜95μs、(xxi)95〜100μs、(xxii)100〜100μs、(xxiii)110〜120μs、(xxiv)120〜130μs、(xxv)130〜140μs、(xxvi)140〜150μs、(xxvii)150〜160μs、(xxviii)160〜170μs、(xxix)170〜180μs、(xxx)180〜190μs、(xxxi)190〜200μs、(xxxii)200〜250μs、(xxxiii)250〜300μs、(xxxiv)300〜350μs、(xxxv)350〜400μs、(xxxvi)400〜450μs、(xxxvii)450〜500μs、(xxxviii)500〜1000μs、および(xxxix)>1000μsからなる群から選択されることが好ましい。
【0037】
前記複数の第4フラグメントまたは娘イオンの前記少なくとも一部を直交方向に加速し、前記複数の第4フラグメントまたは娘イオンの前記少なくとも一部が第4の直交方向エネルギーを有するようにすることが好ましい。前記第4の直交方向エネルギーは、(i)<1.0keV、(ii)1.0〜1.5keV、(iii)1.5〜2.0keV、(iv)2.0〜2.5keV、(v)2.5〜3.0keV、(vi)3.0〜3.5keV、(vii)3.5〜4.0keV、(viii)4.0〜4.5keV、(ix)4.5〜5.0keV、(x)5.0〜5.5keV、(xi)5.5〜6.0keV、(xii)6.0〜6.5keV、(xiii)6.5〜7.0keV、(xiv)7.0〜7.5keV、(xv)7.5〜8.0keV、(xvi)8.0〜8.5keV、(xvii)8.5〜9.0keV、(xviii)9.0〜9.5keV、(xix)9.5〜10.0keV、(xx)10.0〜10.5keV、(xxi)10.5〜11.0keV、(xxii)11.0〜11.5keV、(xxiii)11.5〜12.0keV、(xxiv)12.0〜12.5keV、(xxv)12.5〜13.0keV、(xxvi)13.0〜13.5keV、(xxvii)13.5〜14.0keV、(xxviii)14.0〜14.5keV、(xxix)14.5〜15.0keV、(xxx)15.0〜15.5keV、(xxxi)15.5〜16.0keV、(xxxii)16.0〜16.5keV、(xxxiii)16.5〜17.0keV、(xxxiv)17.0〜17.5keV、(xxxv)17.5〜18.0keV、(xxxvi)18.0〜18.5keV、(xxxvii)18.5〜19.0keV、(xxxviii)19.0〜19.5keV、(xxxix)19.5〜20.0keV、(xl)>20keVからなる群から選択される。
【0038】
前記複合質量スペクトルを形成する工程は、前記第1の質量スペクトルデータ、前記第2の質量スペクトルデータ、前記第3の質量スペクトルデータ、および前記第4の質量スペクトルデータを使用する、組み合わせる、または部分的に重ねることをさらに含むことが好ましい。
【0039】
前記方法は、
第5の親または前駆イオンのパケットまたは群を用意することと、
前記第5の親または前駆イオンのパケットまたは群を加速し、前記第5の親または前駆イオンのパケットまたは群が第5の異なる軸方向エネルギーを有するようにすることと、
前記第5の親または前駆イオンのパケットまたは群を、複数の第5フラグメントまたは娘イオンへとフラグメント化するか、あるいは、前記第5の親または前駆イオンのパケットまたは群を、複数の第5フラグメントまたは娘イオンへと自ずとフラグメント化させることと、
第5遅延時間の後、前記複数の第5フラグメントまたは娘イオンの少なくとも一部を直交方向に加速することと、
前記複数の第5フラグメントまたは娘イオンのうち、第5の範囲の軸方向エネルギーを有するフラグメントまたは娘イオンを検出することと、
前記複数の第5フラグメントまたは娘イオンのうち、前記第5の範囲の軸方向エネルギーを有する娘イオンのフラグメントに関する第5の質量スペクトルデータを生成することとをさらに含むことが好ましい。
【0040】
前記第1、第2、第3、第4および第5の範囲の軸方向エネルギーは、実質的に同一であることが好ましい。前記第1、第2、第3、第4、および第5遅延時間は、実質的に異なることが好ましい。
【0041】
前記第5の親または前駆イオンのパケットまたは群を加速する前記工程は、前記第1電場および/または前記第1フィールドフリー領域および/または前記第2電場および/または前記第2フィールドフリー領域および/または前記1以上の電極を、第5電場強度、電圧もしくは電位、または電圧もしくは電位差に保持することを含むことが好ましい。
【0042】
前記第5電場強度、電圧もしくは電位、または電圧もしくは電位差は、前記第1および/または第2および/または第3および/または第4電場強度、電圧もしくは電位、または電圧もしくは電位差とは、少なくとも1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、110%、120%、130%、140%、150%、160%、170%、180%、190%、200%、210%、220%、230%、240%、250%、260%、270%、280%、290%、300%、350%、400%、450%、または500%異なることが好ましい。
【0043】
前記第5の軸方向エネルギーは、(i)<20eV、(ii)20〜40eV、(iii)40〜60eV、(iv)60〜80eV、(v)80〜100eV、(vi)100〜120eV、(vii)120〜140eV、(viii)140〜160eV、(ix)160〜180eV、(x)180〜200eV、(xi)200〜220eV、(xii)220〜240eV、(xiii)240〜260eV、(xiv)260〜280eV、(xv)280〜300eV、(xvi)300〜320eV、(xvii)320〜340eV、(xviii)340〜360eV、(xix)360〜380eV、(xx)380〜400eV、(xxi)400〜420eV、(xxii)420〜440eV、(xxiii)440〜460eV、(xxiv)460〜480eV、(xxv)480〜500eV、(xxvi)500〜550eV、(xxvii)550〜600eV、(xxviii)600〜650eV、(xxix)650〜700eV、(xxx)700〜750eV、(xxxi)750〜800eV、(xxxii)800〜850eV、(xxxiii)850〜900eV、(xxxiv)900〜950eV、(xxxv)950〜1000eV、および(xxxvi)>1keVからなる群から選択されることが好ましい。
【0044】
前記第5の軸方向エネルギーは、(i)1.0〜1.2keV、(ii)1.2〜1.4keV、(iii)1.4〜1.6keV、(iv)1.6〜1.8keV、(v)1.8〜2.0keV、(vi)2.0〜2.2keV、(vii)2.2〜2.4keV、(viii)2.4〜2.6keV、(ix)2.6〜2.8keV、(x)2.8〜3.0keV、(xi)3.0〜3.2keV、(xii)3.2〜3.4keV、(xiii)3.4〜3.6keV、(xiv)3.6〜3.8keV、(xv)3.8〜4.0keV、(xvi)4.0〜4.2keV、(xvii)4.2〜4.4keV、(xviii)4.4〜4.6keV、(xix)4.6〜4.8keV、(xx)4.8〜5.0keV、(xxi)5.0〜5.5keV、(xxii)5.5〜6.0keV、(xxiii)6.0〜6.5keV、(xxiv)6.5〜7.0keV、(xxv)7.0〜7.5keV、(xxvi)7.5〜8.0keV、(xxvii)8.0〜8.5keV、(xxviii)8.5〜9.0keV、(xxix)9.0〜9.5keV、(xxx)9.5〜10.0keV、および(xxxi)>10keVからなる群から選択されることが好ましい。
【0045】
前記第5遅延時間は、(i)<1μs、(ii)1〜5μs、(iii)5〜10μs、(iv)10〜15μs、(v)15〜20μs、(vi)20〜25μs、(vii)25〜30μs、(viii)30〜35μs、(ix)35〜40μs、(x)40〜45μs、(xi)45〜50μs、(xii)50〜55μs、(xiii)55〜60μs、(xiv)60〜65μs、(xv)65〜70μs、(xvi)70〜75μs、(xvii)75〜80μs、(xviii)80〜85μs、(xix)85〜90μs、(xx)90〜95μs、(xxi)95〜100μs、(xxii)100〜100μs、(xxiii)110〜120μs、(xxiv)120〜130μs、(xxv)130〜140μs、(xxvi)140〜150μs、(xxvii)150〜160μs、(xxviii)160〜170μs、(xxix)170〜180μs、(xxx)180〜190μs、(xxxi)190〜200μs、(xxxii)200〜250μs、(xxxiii)250〜300μs、(xxxiv)300〜350μs、(xxxv)350〜400μs、(xxxvi)400〜450μs、(xxxvii)450〜500μs、(xxxviii)500〜1000μs、および(xxxix)>1000μsからなる群から選択されることが好ましい。
【0046】
前記複数の第5フラグメントまたは娘イオンの前記少なくとも一部を直交方向に加速し、前記複数の第5フラグメントまたは娘イオンの前記少なくとも一部が第5の直交方向エネルギーを有するようにすることが好ましい。前記第5の直交方向エネルギーは、(i)<1.0keV、(ii)1.0〜1.5keV、(iii)1.5〜2.0keV、(iv)2.0〜2.5keV、(v)2.5〜3.0keV、(vi)3.0〜3.5keV、(vii)3.5〜4.0keV、(viii)4.0〜4.5keV、(ix)4.5〜5.0keV、(x)5.0〜5.5keV、(xi)5.5〜6.0keV、(xii)6.0〜6.5keV、(xiii)6.5〜7.0keV、(xiv)7.0〜7.5keV、(xv)7.5〜8.0keV、(xvi)8.0〜8.5keV、(xvii)8.5〜9.0keV、(xviii)9.0〜9.5keV、(xix)9.5〜10.0keV、(xx)10.0〜10.5keV、(xxi)10.5〜11.0keV、(xxii)11.0〜11.5keV、(xxiii)11.5〜12.0keV、(xxiv)12.0〜12.5keV、(xxv)12.5〜13.0keV、(xxvi)13.0〜13.5keV、(xxvii)13.5〜14.0keV、(xxviii)14.0〜14.5keV、(xxix)14.5〜15.0keV、(xxx)15.0〜15.5keV、(xxxi)15.5〜16.0keV、(xxxii)16.0〜16.5keV、(xxxiii)16.5〜17.0keV、(xxxiv)17.0〜17.5keV、(xxxv)17.5〜18.0keV、(xxxvi)18.0〜18.5keV、(xxxvii)18.5〜19.0keV、(xxxviii)19.0〜19.5keV、(xxxix)19.5〜20.0keV、(xl)>20keVからなる群から選択されることが好ましい。
【0047】
複合質量スペクトルを形成する工程は、前記第1の質量スペクトルデータ、前記第2の質量スペクトルデータ、前記第3の質量スペクトルデータ、前記第4の質量スペクトルデータ、および前記第5の質量スペクトルデータを使用する、組み合わせる、または部分的に重ねることをさらに含むことが好ましい。
【0048】
前記方法は、
第6の親または前駆イオンのパケットまたは群を用意することと、
前記第6の親または前駆イオンのパケットまたは群を加速し、前記第6の親または前駆イオンのパケットまたは群が第6の異なる軸方向エネルギーを有するようにすることと、
前記第6の親または前駆イオンのパケットまたは群を、複数の第6フラグメントまたは娘イオンへとフラグメント化するか、あるいは、前記第6の親または前駆イオンのパケットまたは群を、複数の第6フラグメントまたは娘イオンへと自ずとフラグメント化させることと、
第6遅延時間の後、前記複数の第6フラグメントまたは娘イオンの少なくとも一部を直交方向に加速することと、
前記複数の第6フラグメントまたは娘イオンのうち、第6の範囲の軸方向エネルギーを有するフラグメントまたは娘イオンを検出することと、
前記複数の第6フラグメントまたは娘イオンのうち、前記第6の範囲の軸方向エネルギーを有する娘イオンのフラグメントに関する第6の質量スペクトルデータを生成することとをさらに含むことが好ましい。
【0049】
前記第1、第2、第3、第4、第5、および第6の範囲の軸方向エネルギーは、実質的に同一であることが好ましい。前記第1、第2、第3、第4、第5、および第6遅延時間は、実質的に異なることが好ましい。
【0050】
前記第6の親または前駆イオンのパケットまたは群を加速する工程は、前記第1電場および/または前記第1フィールドフリー領域および/または前記第2電場および/または前記第2フィールドフリー領域および/または前記1以上の電極を、第6電場強度、電圧もしくは電位、または電圧もしくは電位差に保持することを含むことが好ましい。
【0051】
前記第6電場強度、電圧または電位は、前記第1および/または第2および/または第3および/または第4および/または第5電場強度、電圧もしくは電位、または電圧もしくは電位差とは、少なくとも1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、110%、120%、130%、140%、150%、160%、170%、180%、190%、200%、210%、220%、230%、240%、250%、260%、270%、280%、290%、300%、350%、400%、450%、または500%異なることが好ましい。
【0052】
前記第6の軸方向エネルギーは、(i)<20eV、(ii)20〜40eV、(iii)40〜60eV、(iv)60〜80eV、(v)80〜100eV、(vi)100〜120eV、(vii)120〜140eV、(viii)140〜160eV、(ix)160〜180eV、(x)180〜200eV、(xi)200〜220eV、(xii)220〜240eV、(xiii)240〜260eV、(xiv)260〜280eV、(xv)280〜300eV、(xvi)300〜320eV、(xvii)320〜340eV、(xviii)340〜360eV、(xix)360〜380eV、(xx)380〜400eV、(xxi)400〜420eV、(xxii)420〜440eV、(xxiii)440〜460eV、(xxiv)460〜480eV、(xxv)480〜500eV、(xxvi)500〜550eV、(xxvii)550〜600eV、(xxviii)600〜650eV、(xxix)650〜700eV、(xxx)700〜750eV、(xxxi)750〜800eV、(xxxii)800〜850eV、(xxxiii)850〜900eV、(xxxiv)900〜950eV、(xxxv)950〜1000eV、および(xxxvi)>1keVからなる群から選択されることが好ましい。
【0053】
前記第6の軸方向エネルギーは、(i)1.0〜1.2keV、(ii)1.2〜1.4keV、(iii)1.4〜1.6keV、(iv)1.6〜1.8keV、(v)1.8〜2.0keV、(vi)2.0〜2.2keV、(vii)2.2〜2.4keV、(viii)2.4〜2.6keV、(ix)2.6〜2.8keV、(x)2.8〜3.0keV、(xi)3.0〜3.2keV、(xii)3.2〜3.4keV、(xiii)3.4〜3.6keV、(xiv)3.6〜3.8keV、(xv)3.8〜4.0keV、(xvi)4.0〜4.2keV、(xvii)4.2〜4.4keV、(xviii)4.4〜4.6keV、(xix)4.6〜4.8keV、(xx)4.8〜5.0keV、(xxi)5.0〜5.5keV、(xxii)5.5〜6.0keV、(xxiii)6.0〜6.5keV、(xxiv)6.5〜7.0keV、(xxv)7.0〜7.5keV、(xxvi)7.5〜8.0keV、(xxvii)8.0〜8.5keV、(xxviii)8.5〜9.0keV、(xxix)9.0〜9.5keV、(xxx)9.5〜10.0keV、および(xxxi)>10keVからなる群から選択されることが好ましい。
【0054】
前記第6遅延時間は、(i)<1μs、(ii)1〜5μs、(iii)5〜10μs、(iv)10〜15μs、(v)15〜20μs、(vi)20〜25μs、(vii)25〜30μs、(viii)30〜35μs、(ix)35〜40μs、(x)40〜45μs、(xi)45〜50μs、(xii)50〜55μs、(xiii)55〜60μs、(xiv)60〜65μs、(xv)65〜70μs、(xvi)70〜75μs、(xvii)75〜80μs、(xviii)80〜85μs、(xix)85〜90μs、(xx)90〜95μs、(xxi)95〜100μs、(xxii)100〜100μs、(xxiii)110〜120μs、(xxiv)120〜130μs、(xxv)130〜140μs、(xxvi)140〜150μs、(xxvii)150〜160μs、(xxviii)160〜170μs、(xxix)170〜180μs、(xxx)180〜190μs、(xxxi)190〜200μs、(xxxii)200〜250μs、(xxxiii)250〜300μs、(xxxiv)300〜350μs、(xxxv)350〜400μs、(xxxvi)400〜450μs、(xxxvii)450〜500μs、(xxxviii)500〜1000μs、および(xxxix)>1000μsからなる群から選択されることが好ましい。
【0055】
前記複数の第6フラグメントまたは娘イオンの前記少なくとも一部を直交方向に加速し、前記複数の第6フラグメントまたは娘イオンの前記少なくとも一部が第6の直交方向エネルギーを有するようにすることが好ましい。前記第6の直交方向エネルギーは、(i)<1.0keV、(ii)1.0〜1.5keV、(iii)1.5〜2.0keV、(iv)2.0〜2.5keV、(v)2.5〜3.0keV、(vi)3.0〜3.5keV、(vii)3.5〜4.0keV、(viii)4.0〜4.5keV、(ix)4.5〜5.0keV、(x)5.0〜5.5keV、(xi)5.5〜6.0keV、(xii)6.0〜6.5keV、(xiii)6.5〜7.0keV、(xiv)7.0〜7.5keV、(xv)7.5〜8.0keV、(xvi)8.0〜8.5keV、(xvii)8.5〜9.0keV、(xviii)9.0〜9.5keV、(xix)9.5〜10.0keV、(xx)10.0〜10.5keV、(xxi)10.5〜11.0keV、(xxii)11.0〜11.5keV、(xxiii)11.5〜12.0keV、(xxiv)12.0〜12.5keV、(xxv)12.5〜13.0keV、(xxvi)13.0〜13.5keV、(xxvii)13.5〜14.0keV、(xxviii)14.0〜14.5keV、(xxix)14.5〜15.0keV、(xxx)15.0〜15.5keV、(xxxi)15.5〜16.0keV、(xxxii)16.0〜16.5keV、(xxxiii)16.5〜17.0keV、(xxxiv)17.0〜17.5keV、(xxxv)17.5〜18.0keV、(xxxvi)18.0〜18.5keV、(xxxvii)18.5〜19.0keV、(xxxviii)19.0〜19.5keV、(xxxix)19.5〜20.0keV、(xl)>20keVからなる群から選択されることが好ましい。
【0056】
複合質量スペクトルを形成する工程は、前記第1の質量スペクトルデータ、前記第2の質量スペクトルデータ、前記第3の質量スペクトルデータ、前記第4の質量スペクトルデータ、前記第5の質量スペクトルデータ、および前記第6の質量スペクトルデータを使用する、組み合わせる、または部分的に重ねることをさらに含むことが好ましい。
【0057】
一実施形態によれば、前記第1の軸方向エネルギーおよび/または前記第2の軸方向エネルギーおよび/または前記第3の軸方向エネルギーおよび/または前記第4の軸方向エネルギーおよび/または前記第5の軸方向エネルギーおよび/または前記第6の軸方向エネルギーは、互いに実質的に異なることが好ましい。一実施形態によれば、前記第1遅延時間および/または前記第2遅延時間および/または前記第3遅延時間および/または前記第4遅延時間および/または前記第5遅延時間および/または前記第6遅延時間は、互いに実質的に異なることが好ましい。一実施形態によれば、前記第1の直交方向エネルギーおよび/または前記第2の直交方向エネルギーおよび/または前記第3の直交方向エネルギーおよび/または前記第4の直交方向エネルギーおよび/または前記第5の直交方向エネルギーおよび/または前記第6の直交方向エネルギーは、実質的に同一であることが好ましい。
【0058】
前記方法は、衝突、フラグメント化、または反応装置を用意することをさらに含むことが好ましい。
【0059】
前記衝突、フラグメント化、または反応装置は、衝突誘起解離(「CID」)によってイオンをフラグメント化するように構成されることが好ましい。
【0060】
別の実施形態によれば、前記衝突、フラグメント化、または反応装置は、(i)表面誘起解離(「SID」)フラグメント化装置、(ii)電子移動解離フラグメント化装置、(iii)電子捕獲解離フラグメント化装置、(iv)電子衝突または衝撃解離フラグメント化装置、(v)光誘起解離(「PID」)フラグメント化装置、(vi)レーザー誘起解離フラグメント化装置、(vii)赤外線誘起解離装置、(viii)紫外線誘起解離装置、(ix)ノズル−スキマー・インターフェースフラグメント化装置、(x)インソースフラグメント化装置、(xi)イオン源衝突誘起解離フラグメント化装置、(xii)熱または温度源フラグメント化装置、(xiii)電場誘起フラグメント化装置、(xiv)磁場誘起フラグメント化装置、(xv)酵素消化または酵素分解フラグメント化装置、(xvi)イオン−イオン反応フラグメント化装置、(xvii)イオン−分子反応フラグメント化装置、(xviii)イオン−原子反応フラグメント化装置、(xix)イオン−準安定イオン反応フラグメント化装置、(xx)イオン−準安定分子反応フラグメント化装置、(xxi)イオン−準安定原子反応フラグメント化装置、(xxii)イオンを反応させて付加または生成イオンを形成するイオン−イオン反応装置、(xxiii)イオンを反応させて付加または生成イオンを形成するイオン−分子反応装置、(xxiv)イオンを反応させて付加または生成イオンを形成するイオン−原子反応装置、(xxv)イオンを反応させて付加または生成イオンを形成するイオン−準安定イオン反応装置、(xxvi)イオンを反応させて付加または生成イオンを形成するイオン−準安定分子反応装置、および(xxvii)イオンを反応させて付加または生成イオンを形成するイオン−準安定原子反応装置からなる群から選択される。
【0061】
反応装置とは、イオン、原子、または分子を再構成または反応させて新たな種のイオン、原子、または分子を形成する装置を含むものと解釈されるべきである。X−Y反応フラグメント化装置とは、XとYとを組み合わせて、後にフラグメント化する生成物を形成する装置を意味するものと解釈されるべきである。この装置は、生成物を最初に形成することなくイオンをフラグメント化させ得るフラグメント化装置自体とは異なるものである。X−Y反応装置とは、XとYとを組み合わせて生成物を形成し、かつ、前記生成物を必ずしもフラグメント化する必要がない装置を意味するものと解釈されるべきである。
【0062】
イオンを自ずとフラグメント化させる工程は、ポストソース分解(「PSD」)によってイオンをフラグメント化させることを含むことが好ましい。
【0063】
前記方法は、静電エネルギー分析器および/または質量フィルターおよび/または特定の親または前駆イオンを選択するためのイオンゲートを用意することをさらに含むことが好ましい。前記質量フィルターは、磁場型質量フィルター、RF四重極質量フィルター、ウィーンフィルター、または直交加速式飛行時間質量フィルターを含むことが好ましい。
【0064】
本発明の他の態様によれば、
直交加速領域を備えた直交加速式飛行時間質量分析器と、
(i)第1の親または前駆イオンのパケットまたは群を加速し、前記第1の親または前駆イオンのパケットまたは群が第1の軸方向エネルギーを有するようにし、
(ii)前記第1の親または前駆イオンのパケットまたは群を、複数の第1フラグメントまたは娘イオンへとフラグメント化するか、あるいは、前記第1の親または前駆イオンのパケットまたは群を、複数の第1フラグメントまたは娘イオンへと自ずとフラグメント化させ、
(iii)第1遅延時間の後、前記複数の第1フラグメントまたは娘イオンの少なくとも一部を直交方向に加速し、
(iv)第2の親または前駆イオンのパケットまたは群を加速し、前記第2の親または前駆イオンのパケットまたは群が第2の異なる軸方向エネルギーを有するようにし、
(v)前記第2の親または前駆イオンのパケットまたは群を、複数の第2フラグメントまたは娘イオンへとフラグメント化するか、あるいは、前記第2の親または前駆イオンのパケットまたは群を、複数の第2フラグメントまたは娘イオンへと自ずとフラグメント化させ、かつ
(vi)第2遅延時間の後、前記複数の第2フラグメントまたは娘イオンの少なくとも一部を直交方向に加速するように構成された制御システムと、
(i)前記複数の第1フラグメントまたは娘イオンのうち、第1の範囲の軸方向エネルギーを有するフラグメントまたは娘イオンを検出し、
(ii)前記複数の第2フラグメントまたは娘イオンのうち、第2の範囲の軸方向エネルギーを有するフラグメントまたは娘イオンを検出するように構成されたイオン検出器を備えた質量分析計であって、
前記複数の第1フラグメントまたは娘イオンのうち、前記第1の範囲の軸方向エネルギーを有するフラグメントまたは娘イオンに関する第1の質量スペクトルデータを生成するように構成された手段と、
前記複数の第2フラグメントまたは娘イオンのうち、前記第2の範囲の軸方向エネルギーを有する前記フラグメントまたは娘イオンに関する第2の質量スペクトルデータを生成するように構成された手段と、
前記第1の質量スペクトルデータと前記第2の質量スペクトルデータを使用する、組み合わせる、または部分的に重ねることによって複合質量スペクトルを形成するように構成された手段とをさらに備えた質量分析計が提供される。
【0065】
前記第1の範囲の軸方向エネルギーは、前記第2の範囲の軸方向エネルギーと実質的に同一であることが好ましい。また、前記第1遅延時間は、前記第2遅延時間とは実質的に異なることが好ましい。
【0066】
前記質量分析計は、第1電場領域と第1フィールドフリー領域をさらに備えていることが好ましい。前記第1フィールドフリー領域は、前記第1電場領域の下流に配置されることが好ましい。
【0067】
前記質量分析計は、第2電場領域および第2フィールドフリー領域をさらに備えていることが好ましい。前記第2フィールドフリー領域は、前記第2電場領域の下流に配置されることが好ましい。
【0068】
前記質量分析計は、前記直交加速領域に隣接して配置された1以上の電極をさらに備えていることが好ましい。
【0069】
前記制御システムは、前記第1の親または前駆イオンのパケットまたは群を加速するため、前記第1電場および/または前記第1フィールドフリー領域および/または前記第2電場および/または前記第2フィールドフリー領域および/または前記1以上の電極を、第1電場強度、電圧もしくは電位、または電圧もしくは電位差に保持するように構成されていることが好ましい。
【0070】
前記制御システムは、前記第2の親または前駆イオンのパケットまたは群を加速するため、前記第1電場および/または前記第1フィールドフリー領域および/または前記第2電場および/または前記第2フィールドフリー領域および/または前記1以上の電極を、第2電場強度、電圧もしくは電位、または電圧もしくは電位差に保持するように構成されていることが好ましい。
【0071】
前記第2電場強度、電圧もしくは電位、または電圧もしくは電位差は、前記第1電場強度、電圧もしくは電位、または電圧もしくは電位差とは、少なくとも1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、110%、120%、130%、140%、150%、160%、170%、180%、190%、200%、210%、220%、230%、240%、250%、260%、270%、280%、290%、300%、350%、400%、450%、または500%異なることが好ましい。
【0072】
前記第1の軸方向エネルギーは、(i)<20eV、(ii)20〜40eV、(iii)40〜60eV、(iv)60〜80eV、(v)80〜100eV、(vi)100〜120eV、(vii)120〜140eV、(viii)140〜160eV、(ix)160〜180eV、(x)180〜200eV、(xi)200〜220eV、(xii)220〜240eV、(xiii)240〜260eV、(xiv)260〜280eV、(xv)280〜300eV、(xvi)300〜320eV、(xvii)320〜340eV、(xviii)340〜360eV、(xix)360〜380eV、(xx)380〜400eV、(xxi)400〜420eV、(xxii)420〜440eV、(xxiii)440〜460eV、(xxiv)460〜480eV、(xxv)480〜500eV、(xxvi)500〜550eV、(xxvii)550〜600eV、(xxviii)600〜650eV、(xxix)650〜700eV、(xxx)700〜750eV、(xxxi)750〜800eV、(xxxii)800〜850eV、(xxxiii)850〜900eV、(xxxiv)900〜950eV、(xxxv)950〜1000eV、および(xxxvi)>1keVからなる群から選択されることが好ましい。
【0073】
前記第1の軸方向エネルギーは、(i)1.0〜1.2keV、(ii)1.2〜1.4keV、(iii)1.4〜1.6keV、(iv)1.6〜1.8keV、(v)1.8〜2.0keV、(vi)2.0〜2.2keV、(vii)2.2〜2.4keV、(viii)2.4〜2.6keV、(ix)2.6〜2.8keV、(x)2.8〜3.0keV、(xi)3.0〜3.2keV、(xii)3.2〜3.4keV、(xiii)3.4〜3.6keV、(xiv)3.6〜3.8keV、(xv)3.8〜4.0keV、(xvi)4.0〜4.2keV、(xvii)4.2〜4.4keV、(xviii)4.4〜4.6keV、(xix)4.6〜4.8keV、(xx)4.8〜5.0keV、(xxi)5.0〜5.5keV、(xxii)5.5〜6.0keV、(xxiii)6.0〜6.5keV、(xxiv)6.5〜7.0keV、(xxv)7.0〜7.5keV、(xxvi)7.5〜8.0keV、(xxvii)8.0〜8.5keV、(xxviii)8.5〜9.0keV、(xxix)9.0〜9.5keV、(xxx)9.5〜10.0keV、および(xxxi)>10keVからなる群から選択されることが好ましい。
【0074】
前記第1遅延時間は、(i)<1μs、(ii)1〜5μs、(iii)5〜10μs、(iv)10〜15μs、(v)15〜20μs、(vi)20〜25μs、(vii)25〜30μs、(viii)30〜35μs、(ix)35〜40μs、(x)40〜45μs、(xi)45〜50μs、(xii)50〜55μs、(xiii)55〜60μs、(xiv)60〜65μs、(xv)65〜70μs、(xvi)70〜75μs、(xvii)75〜80μs、(xviii)80〜85μs、(xix)85〜90μs、(xx)90〜95μs、(xxi)95〜100μs、(xxii)100〜100μs、(xxiii)110〜120μs、(xxiv)120〜130μs、(xxv)130〜140μs、(xxvi)140〜150μs、(xxvii)150〜160μs、(xxviii)160〜170μs、(xxix)170〜180μs、(xxx)180〜190μs、(xxxi)190〜200μs、(xxxii)200〜250μs、(xxxiii)250〜300μs、(xxxiv)300〜350μs、(xxxv)350〜400μs、(xxxvi)400〜450μs、(xxxvii)450〜500μs、(xxxviii)500〜1000μs、および(xxxix)>1000μsからなる群から選択されることが好ましい。
【0075】
前記複数の第1フラグメントまたは娘イオンの前記少なくとも一部を直交方向に加速し、前記複数の第1フラグメントまたは娘イオンの前記少なくとも一部が第1の直交方向エネルギーを有するようにすることが好ましい。前記第1の直交方向エネルギーは、(i)<1.0keV、(ii)1.0〜1.5keV、(iii)1.5〜2.0keV、(iv)2.0〜2.5keV、(v)2.5〜3.0keV、(vi)3.0〜3.5keV、(vii)3.5〜4.0keV、(viii)4.0〜4.5keV、(ix)4.5〜5.0keV、(x)5.0〜5.5keV、(xi)5.5〜6.0keV、(xii)6.0〜6.5keV、(xiii)6.5〜7.0keV、(xiv)7.0〜7.5keV、(xv)7.5〜8.0keV、(xvi)8.0〜8.5keV、(xvii)8.5〜9.0keV、(xviii)9.0〜9.5keV、(xix)9.5〜10.0keV、(xx)10.0〜10.5keV、(xxi)10.5〜11.0keV、(xxii)11.0〜11.5keV、(xxiii)11.5〜12.0keV、(xxiv)12.0〜12.5keV、(xxv)12.5〜13.0keV、(xxvi)13.0〜13.5keV、(xxvii)13.5〜14.0keV、(xxviii)14.0〜14.5keV、(xxix)14.5〜15.0keV、(xxx)15.0〜15.5keV、(xxxi)15.5〜16.0keV、(xxxii)16.0〜16.5keV、(xxxiii)16.5〜17.0keV、(xxxiv)17.0〜17.5keV、(xxxv)17.5〜18.0keV、(xxxvi)18.0〜18.5keV、(xxxvii)18.5〜19.0keV、(xxxviii)19.0〜19.5keV、(xxxix)19.5〜20.0keV、(xl)>20keVからなる群から選択されることが好ましい。
【0076】
前記第2の軸方向エネルギーは、(i)<20eV、(ii)20〜40eV、(iii)40〜60eV、(iv)60〜80eV、(v)80〜100eV、(vi)100〜120eV、(vii)120〜140eV、(viii)140〜160eV、(ix)160〜180eV、(x)180〜200eV、(xi)200〜220eV、(xii)220〜240eV、(xiii)240〜260eV、(xiv)260〜280eV、(xv)280〜300eV、(xvi)300〜320eV、(xvii)320〜340eV、(xviii)340〜360eV、(xix)360〜380eV、(xx)380〜400eV、(xxi)400〜420eV、(xxii)420〜440eV、(xxiii)440〜460eV、(xxiv)460〜480eV、(xxv)480〜500eV、(xxvi)500〜550eV、(xxvii)550〜600eV、(xxviii)600〜650eV、(xxix)650〜700eV、(xxx)700〜750eV、(xxxi)750〜800eV、(xxxii)800〜850eV、(xxxiii)850〜900eV、(xxxiv)900〜950eV、(xxxv)950〜1000eV、および(xxxvi)>1keVからなる群から選択されることが好ましい。
【0077】
前記第2の軸方向エネルギーは、(i)1.0〜1.2keV、(ii)1.2〜1.4keV、(iii)1.4〜1.6keV、(iv)1.6〜1.8keV、(v)1.8〜2.0keV、(vi)2.0〜2.2keV、(vii)2.2〜2.4keV、(viii)2.4〜2.6keV、(ix)2.6〜2.8keV、(x)2.8〜3.0keV、(xi)3.0〜3.2keV、(xii)3.2〜3.4keV、(xiii)3.4〜3.6keV、(xiv)3.6〜3.8keV、(xv)3.8〜4.0keV、(xvi)4.0〜4.2keV、(xvii)4.2〜4.4keV、(xviii)4.4〜4.6keV、(xix)4.6〜4.8keV、(xx)4.8〜5.0keV、(xxi)5.0〜5.5keV、(xxii)5.5〜6.0keV、(xxiii)6.0〜6.5keV、(xxiv)6.5〜7.0keV、(xxv)7.0〜7.5keV、(xxvi)7.5〜8.0keV、(xxvii)8.0〜8.5keV、(xxviii)8.5〜9.0keV、(xxix)9.0〜9.5keV、(xxx)9.5〜10.0keV、および(xxxi)>10keVからなる群から選択されることが好ましい。
【0078】
前記第2遅延時間は、(i)<1μs、(ii)1〜5μs、(iii)5〜10μs、(iv)10〜15μs、(v)15〜20μs、(vi)20〜25μs、(vii)25〜30μs、(viii)30〜35μs、(ix)35〜40μs、(x)40〜45μs、(xi)45〜50μs、(xii)50〜55μs、(xiii)55〜60μs、(xiv)60〜65μs、(xv)65〜70μs、(xvi)70〜75μs、(xvii)75〜80μs、(xviii)80〜85μs、(xix)85〜90μs、(xx)90〜95μs、(xxi)95〜100μs、(xxii)100〜100μs、(xxiii)110〜120μs、(xxiv)120〜130μs、(xxv)130〜140μs、(xxvi)140〜150μs、(xxvii)150〜160μs、(xxviii)160〜170μs、(xxix)170〜180μs、(xxx)180〜190μs、(xxxi)190〜200μs、(xxxii)200〜250μs、(xxxiii)250〜300μs、(xxxiv)300〜350μs、(xxxv)350〜400μs、(xxxvi)400〜450μs、(xxxvii)450〜500μs、(xxxviii)500〜1000μs、および(xxxix)>1000μsからなる群から選択されることが好ましい。
【0079】
前記複数の第2フラグメントまたは娘イオンの前記少なくとも一部を直交方向に加速し、前記複数の第2フラグメントまたは娘イオンの前記少なくとも一部が第2の直交方向エネルギーを有するようにすることが好ましい。前記第2の直交方向エネルギーは、(i)<1.0keV、(ii)1.0〜1.5keV、(iii)1.5〜2.0keV、(iv)2.0〜2.5keV、(v)2.5〜3.0keV、(vi)3.0〜3.5keV、(vii)3.5〜4.0keV、(viii)4.0〜4.5keV、(ix)4.5〜5.0keV、(x)5.0〜5.5keV、(xi)5.5〜6.0keV、(xii)6.0〜6.5keV、(xiii)6.5〜7.0keV、(xiv)7.0〜7.5keV、(xv)7.5〜8.0keV、(xvi)8.0〜8.5keV、(xvii)8.5〜9.0keV、(xviii)9.0〜9.5keV、(xix)9.5〜10.0keV、(xx)10.0〜10.5keV、(xxi)10.5〜11.0keV、(xxii)11.0〜11.5keV、(xxiii)11.5〜12.0keV、(xxiv)12.0〜12.5keV、(xxv)12.5〜13.0keV、(xxvi)13.0〜13.5keV、(xxvii)13.5〜14.0keV、(xxviii)14.0〜14.5keV、(xxix)14.5〜15.0keV、(xxx)15.0〜15.5keV、(xxxi)15.5〜16.0keV、(xxxii)16.0〜16.5keV、(xxxiii)16.5〜17.0keV、(xxxiv)17.0〜17.5keV、(xxxv)17.5〜18.0keV、(xxxvi)18.0〜18.5keV、(xxxvii)18.5〜19.0keV、(xxxviii)19.0〜19.5keV、(xxxix)19.5〜20.0keV、(xl)>20keVからなる群から選択されることが好ましい。
【0080】
前記質量分析計は、イオン源をさらに備えていることが好ましい。前記イオン源は、(i)エレクトロスプレーイオン化(「ESI」)イオン源、(ii)大気圧光イオン化(「APPI」)イオン源、(iii)大気圧化学イオン化(「APCI」)イオン源、(iv)マトリックス支援レーザー脱離イオン化(「MALDI」)イオン源、(v)レーザー脱離イオン化(「LDI」)イオン源、(vi)大気圧イオン化(「API」)イオン源、(vii)シリコン基板上脱離イオン化(「DIOS」)イオン源、(viii)電子衝撃(「EI」)イオン源、(ix)化学イオン化(「CI」)イオン源、(x)電界イオン化(「FI」)イオン源、(xi)電界脱離(「FD」)イオン源、(xii)誘導結合プラズマ(「ICP」)イオン源、(xiii)高速原子衝撃(「FAB」)イオン源、(xiv)液体二次イオン質量分析(「LSIMS」)イオン源、(xv)脱離エレクトロスプレーイオン化(「DESI」)イオン源、(xvi)ニッケル63放射性イオン源、(xvii)大気圧マトリックス支援レーザー脱離イオン化イオン源、および(xviii)サーモスプレーイオン源からなる群から選択されることが好ましい。
【0081】
前記イオン源は、連続またはパルスイオン源を含んでいてもよい。
【0082】
前記質量分析計は、衝突、フラグメント化、または反応装置をさらに備えていることが好ましい。
【0083】
前記衝突、フラグメント化、または反応装置は、衝突誘起解離(「CID」)によってイオンをフラグメント化するように構成されていてもよい。
【0084】
あるいは、前記衝突、フラグメント化、または反応装置は、(i)表面誘起解離(「SID」)フラグメント化装置、(ii)電子移動解離フラグメント化装置、(iii)電子捕獲解離フラグメント化装置、(iv)電子衝突または衝撃解離フラグメント化装置、(v)光誘起解離(「PID」)フラグメント化装置、(vi)レーザー誘起解離フラグメント化装置、(vii)赤外線誘起解離装置、(viii)紫外線誘起解離装置、(ix)ノズル−スキマー・インターフェースフラグメント化装置、(x)インソースフラグメント化装置、(xi)イオン源衝突誘起解離フラグメント化装置、(xii)熱または温度源フラグメント化装置、(xiii)電場誘起フラグメント化装置、(xiv)磁場誘起フラグメント化装置、(xv)酵素消化または酵素分解フラグメント化装置、(xvi)イオン−イオン反応フラグメント化装置、(xvii)イオン−分子反応フラグメント化装置、(xviii)イオン−原子反応フラグメント化装置、(xix)イオン−準安定イオン反応フラグメント化装置、(xx)イオン−準安定分子反応フラグメント化装置、(xxi)イオン−準安定原子反応フラグメント化装置、(xxii)イオンを反応させて付加または生成イオンを形成するイオン−イオン反応装置、(xxiii)イオンを反応させて付加または生成イオンを形成するイオン−分子反応装置、(xxiv)イオンを反応させて付加または生成イオンを形成するイオン−原子反応装置、(xxv)イオンを反応させて付加または生成イオンを形成するイオン−準安定イオン反応装置、(xxvi)イオンを反応させて付加または生成イオンを形成するイオン−準安定分子反応装置、および(xxvii)イオンを反応させて付加または生成イオンを形成するイオン−準安定原子反応装置からなる群から選択してもよい。
【0085】
親または前駆イオンの少なくとも一部は、使用時に前記衝突、フラグメント化、または反応装置内でフラグメント化されるか、または反応させられ、フラグメント、娘、付加、または生成イオンを形成することが好ましく、前記フラグメント、娘、付加または生成イオンおよび/またはこれらに対応するあらゆる親または前駆イオンは、実質的に同じ速度で前記衝突、フラグメント化、または反応装置から離脱し、実質的に同時に前記直交加速領域に到達する。
【0086】
前記質量分析計は、ポストソース分解(「PSD」)によるイオンのフラグメント化を引き起こす、および/またはイオンをフラグメント化させるように構成された手段を備えていてもよい。
【0087】
前記質量分析計は、静電エネルギー分析器および/または質量フィルターおよび/または特定の親または前駆イオンを選択するためのイオンゲートをさらに備えていてもよい。前記質量フィルターは、磁場型質量フィルター、RF四重極質量フィルター、ウィーンフィルター、または直交加速式飛行時間質量フィルターを含んでいてもよい。
【0088】
本発明の他の態様によれば、
直交加速領域を備えた直交加速式飛行時間質量分析器を用意することと、
第1の親または前駆イオンのパケットまたは群を用意することと、
前記第1の親または前駆イオンのパケットまたは群を、複数の第1フラグメントまたは娘イオンへとフラグメント化するか、あるいは、前記第1の親または前駆イオンのパケットまたは群を、複数の第1フラグメントまたは娘イオンへと自ずとフラグメント化させることと、
前記複数の第1フラグメントまたは娘イオンの少なくとも一部を直交方向に加速し、前記複数の第1フラグメントまたは娘イオンの前記少なくとも一部が第1の直交方向エネルギーを有するようにすることと、
前記複数の第1フラグメントまたは娘イオンのうち、前記第1の直交方向エネルギーを有するフラグメントまたは娘イオンを検出することと、
前記複数の第1フラグメントまたは娘イオンのうち、前記第1の直交方向エネルギーを有するフラグメントまたは娘イオンに関する第1の質量スペクトルデータを生成することと、
第2の親または前駆イオンのパケットまたは群を用意することと、
前記第2の親または前駆イオンのパケットまたは群を、複数の第2フラグメントまたは娘イオンへとフラグメント化するか、あるいは、前記第2の親または前駆イオンのパケットまたは群を、複数の第2フラグメントまたは娘イオンへと自ずとフラグメント化させることと、
前記複数の第2フラグメントまたは娘イオンの少なくとも一部を直交方向に加速し、前記複数の第2フラグメントまたは娘イオンの前記少なくとも一部が第2の異なる直交方向エネルギーを有するようにすることと、
前記複数の第2フラグメントまたは娘イオンのうち、前記第2の直交方向エネルギーを有するフラグメントまたは娘イオンを検出することと、
前記複数の第2フラグメントまたは娘イオンのうち、前記第2の直交方向エネルギーを有する前記フラグメントまたは娘イオンに関する第2の質量スペクトルデータを生成することと、
前記第1の質量スペクトルデータと前記第2の質量スペクトルデータを使用する、組み合わせる、または部分的に重ねることによって複合質量スペクトルを形成することとを含む質量分析法が提供される。
【0089】
前記第1の直交方向エネルギーは、(i)<1.0keV、(ii)1.0〜1.5keV、(iii)1.5〜2.0keV、(iv)2.0〜2.5keV、(v)2.5〜3.0keV、(vi)3.0〜3.5keV、(vii)3.5〜4.0keV、(viii)4.0〜4.5keV、(ix)4.5〜5.0keV、(x)5.0〜5.5keV、(xi)5.5〜6.0keV、(xii)6.0〜6.5keV、(xiii)6.5〜7.0keV、(xiv)7.0〜7.5keV、(xv)7.5〜8.0keV、(xvi)8.0〜8.5keV、(xvii)8.5〜9.0keV、(xviii)9.0〜9.5keV、(xix)9.5〜10.0keV、(xx)10.0〜10.5keV、(xxi)10.5〜11.0keV、(xxii)11.0〜11.5keV、(xxiii)11.5〜12.0keV、(xxiv)12.0〜12.5keV、(xxv)12.5〜13.0keV、(xxvi)13.0〜13.5keV、(xxvii)13.5〜14.0keV、(xxviii)14.0〜14.5keV、(xxix)14.5〜15.0keV、(xxx)15.0〜15.5keV、(xxxi)15.5〜16.0keV、(xxxii)16.0〜16.5keV、(xxxiii)16.5〜17.0keV、(xxxiv)17.0〜17.5keV、(xxxv)17.5〜18.0keV、(xxxvi)18.0〜18.5keV、(xxxvii)18.5〜19.0keV、(xxxviii)19.0〜19.5keV、(xxxix)19.5〜20.0keV、(xl)>20keVからなる群から選択されることが好ましい。
【0090】
前記第2の直交方向エネルギーは、(i)<1.0keV、(ii)1.0〜1.5keV、(iii)1.5〜2.0keV、(iv)2.0〜2.5keV、(v)2.5〜3.0keV、(vi)3.0〜3.5keV、(vii)3.5〜4.0keV、(viii)4.0〜4.5keV、(ix)4.5〜5.0keV、(x)5.0〜5.5keV、(xi)5.5〜6.0keV、(xii)6.0〜6.5keV、(xiii)6.5〜7.0keV、(xiv)7.0〜7.5keV、(xv)7.5〜8.0keV、(xvi)8.0〜8.5keV、(xvii)8.5〜9.0keV、(xviii)9.0〜9.5keV、(xix)9.5〜10.0keV、(xx)10.0〜10.5keV、(xxi)10.5〜11.0keV、(xxii)11.0〜11.5keV、(xxiii)11.5〜12.0keV、(xxiv)12.0〜12.5keV、(xxv)12.5〜13.0keV、(xxvi)13.0〜13.5keV、(xxvii)13.5〜14.0keV、(xxviii)14.0〜14.5keV、(xxix)14.5〜15.0keV、(xxx)15.0〜15.5keV、(xxxi)15.5〜16.0keV、(xxxii)16.0〜16.5keV、(xxxiii)16.5〜17.0keV、(xxxiv)17.0〜17.5keV、(xxxv)17.5〜18.0keV、(xxxvi)18.0〜18.5keV、(xxxvii)18.5〜19.0keV、(xxxviii)19.0〜19.5keV、(xxxix)19.5〜20.0keV、(xl)>20keVからなる群から選択されることが好ましい。
【0091】
本発明の他の態様によれば、
直交加速領域を備えた直交加速式飛行時間質量分析器と、
(i)第1の親または前駆イオンのパケットまたは群を、複数の第1フラグメントまたは娘イオンへとフラグメント化するか、あるいは、前記第1の親または前駆イオンのパケットまたは群を、複数の第1フラグメントまたは娘イオンへと自ずとフラグメント化させ、
(ii)前記複数の第1フラグメントまたは娘イオンの少なくとも一部を直交方向に加速し、前記複数の第1フラグメントまたは娘イオンの前記少なくとも一部が第1の直交方向エネルギーを有するようにし、
(iii)第2の親または前駆イオンのパケットまたは群を、複数の第2フラグメントまたは娘イオンへとフラグメント化するか、あるいは、前記第2の親または前駆イオンのパケットまたは群を、複数の第2フラグメントまたは娘イオンへと自ずとフラグメント化させ、かつ
(iv)前記複数の第2フラグメントまたは娘イオンの少なくとも一部を直交方向に加速し、前記複数の第2フラグメントまたは娘イオンの前記少なくとも一部が第2の異なる直交方向エネルギーを有するようにするように構成された制御システムと、
(i)前記複数の第1フラグメントまたは娘イオンのうち、前記第1の直交方向エネルギーを有するフラグメントまたは娘イオンを検出し、
(ii)前記複数の第2のフラグメントまたは娘イオンのうち、前記第2の直交方向エネルギーを有するフラグメントまたは娘イオンを検出するように構成されたイオン検出器とを備えた質量分析計であって、
前記複数の第1フラグメントまたは娘イオンのうち、前記第1の直交方向エネルギーを有するフラグメントまたは娘イオンに関する第1の質量スペクトルデータを生成するように構成された手段と、
前記複数の第2フラグメントまたは娘イオンのうち、前記第2の直交方向エネルギーを有する前記フラグメントまたは娘イオンに関する第2の質量スペクトルデータを生成するように構成された手段と、
前記第1の質量スペクトルデータと前記第2の質量スペクトルデータを使用する、組み合わせる、または部分的に重ねることによって複合質量スペクトルを形成するように構成された手段とをさらに備えた質量分析計が提供される。
【0092】
前記好ましい実施形態によれば、イオン検出器の大きさまたは長さを増大させる必要なく、広範囲の質量または質量電荷比を有するフラグメントまたは娘イオンに関する質量スペクトルデータを得ることが可能となる。前記好ましい実施形態では、親または前駆イオンの軸方向運動エネルギーを、複数の別個の機器設定における一連の別個の工程において漸進的に増加させることが好ましい。レーザー発射によりイオンパルスを生成する時点と、直交方向にイオンを加速して直交加速式飛行時間質量分析器の飛行またはドリフト領域へと送る(直交加速領域に隣接して配置された押し出し電極に電圧を印加することによって行われる)時点との間の遅延時間もまた、工程ごと、または後続の機器設定ごとに、漸進的に短縮されることが好ましい。
【0093】
前記好ましい実施形態によれば、ある一定の範囲内の質量または質量電荷比を有するフラグメントまたは娘イオンは、軌道をたどり質量分析器の飛行またはドリフト領域を通過し、最後にイオン検出器によって検出されるように、適切なエネルギーを有するようにしておくことが好ましい。次に質量分析計は、第2およびそれ以降の機器設定で操作されることが好ましく、異なる質量または質量電荷比を有するフラグメントまたは娘イオンは、軌道をたどり質量分析器の飛行またはドリフト領域を通過し、最後にイオン検出器によって検出されるように、適切なエネルギーを有するようにしておくことが好ましい。最終的な複合質量スペクトルは、上述の様々な機器設定のそれぞれにおいて得られる質量スペクトルデータを組み合わせることによって生成されることが好ましい。
【0094】
本発明の各種実施形態について、説明目的においてのみ示すその他の配置構成と共に、あくまでも例示を目的として、添付図面を参照しながら説明する。
【0095】
図1は、直交加速式飛行時間質量分析器に連結されたMALDIイオン源を備えた従来の質量分析計であって、磁場型質量フィルターと、イオンをフラグメント化するための衝突セルをさらに備えた質量分析計を示している。
【0096】
図2は、直交加速式飛行時間質量分析器に連結されたMALDIイオン源を備えた本発明の一実施形態に係る質量分析計であって、第1フィールドフリー領域と、第2フィールドフリー領域と、任意に衝突セルまたはフラグメント化セルとをさらに備えた質量分析計を示している。
【0097】
図3は、後続の機器設定で親または前駆イオンの軸方向エネルギーを漸進的に増加させ、かつ、イオンパルスの生成と、イオンを直交方向に加速して前記質量分析器の飛行またはドリフト領域へと送るために行われる飛行時間質量分析器の押し出し電極への通電との間の遅延時間を漸進的に短縮することによって本発明の実施形態で得られた5つの質量スペクトルを示している。
【0098】
公知の質量分析計を、図1に示している。当該公知の質量分析計は、ターゲットプレート2とレーザー1とを備えたMALDIイオン源を備えている。レーザー1は、ターゲットプレート2に衝突するようにしてあるパルスレーザービームを放射するように構成されている。前記レーザーパルスは、ターゲットプレート2からイオンを脱離させる。
【0099】
前記MALDIイオン源は、イオンパルスを発生させ、前記イオンパルスは、前記イオン源の下流に配置された磁場型質量フィルター3に搬送される。磁場型質量フィルター3は、特定の質量電荷比を有する親または前駆イオンのみが質量フィルター3により前方に搬送されるように、前記イオン源から放出された親または前駆イオンを質量に基づいて濾過するように構成された高分解能質量フィルターを備えている。
【0100】
質量フィルター3により前方に搬送される特定の親または前駆イオンは、次に、磁場型質量フィルター3の下流に配置された衝突誘起解離(「CID」)気体セル4へと入るようにしてある。質量フィルター3により搬送される親または前駆イオンは、気体セル4内でフラグメント化され、複数のフラグメントまたは娘イオンが生じるようにしてある。この結果生じたフラグメントまたは娘イオンは、次に、気体セル4から直交加速式飛行時間質量分析器5の直交加速領域へと移動するようにしてある。直交加速式飛行時間質量分析器5は、気体セル4の下流に配置されている。
【0101】
直交加速式飛行時間質量分析器5は、直交加速領域に隣接して配置された押し出し電極6を備えている。イオンはまず、直交加速領域を貫通する軸7に沿って質量分析器5へと入るようにしてある。また、軸7は、押し出し電極6の面と平行である。押し出し電極6は、押し出し電極6に電圧を印加することにより、一定周期で通電される。押し出し電極6への電圧パルスの印加により、軸7に直交する方向に電場が生じる。前記直交方向の電場により、直交加速領域に存在するイオンが直交方向に加速され、質量分析器5の飛行またはドリフト領域へと送られる。飛行またはドリフト領域は、フィールドフリー領域を備えており、飛行またはドリフト領域を通過するイオンが、その質量電荷比に応じて一時的に分離されるように構成されている。
【0102】
マイクロチャネルプレート検出器を備えたイオン検出器8が飛行またはドリフト領域の端部に配置され、前記飛行またはドリフト領域を通過して到達したイオンを検出するように構成されている。さらにイオン検出器8は、前記イオンのイオン検出器8への到達時間の測定も行うように構成されている。そして、前記イオンが質量分析器5の飛行またはドリフト領域を通過するのに要する飛行時間から、前記イオンの質量電荷比を導き出すことができる。
【0103】
直交加速式飛行時間質量分析器5は、操作モードにおいて、気体セル4内で生じたフラグメントまたは娘イオンの一部の質量電荷比を記録するように構成されている。しかしながら、イオン検出器8の大きさが制限されていることから、イオン検出器8は、比較的狭い範囲の質量または質量電荷比を有するフラグメントまたは娘イオンしか検出することができない。
【0104】
気体セル4内で生じたフラグメントまたは娘イオンは、これらが由来する親または前駆イオンと本質的に同一の速度を保持している。したがって、前記フラグメントまたは娘イオンの運動エネルギーは、前記イオンの質量または質量電荷比に比例する。
【0105】
直交方向に加速されて質量分析器5の飛行またはドリフト領域へと送られるイオンは角拡散の大きな異なる軌道に沿って移動するため、気体セル4内で生じた娘イオンのフラグメントを全て検出するためには、イオン検出器8を非常に大型または幅広にする必要がある。前記大きな角拡散は、直交方向に加速されて質量分析器5の飛行またはドリフト領域へと送られるフラグメントまたは娘イオンの軸方向運動エネルギーの拡散が大きいことに起因するものである。
【0106】
下記式より、直交方向に加速されて質量分析器5の飛行またはドリフト領域へと送られるフラグメントまたは娘イオンは、質量分析器5へと入った当初にイオンが沿って移動する軸7に対し、広範囲の異なる角度αを成す軌道をとることが分かる。質量分析器5の飛行またはドリフト領域を通るフラグメントまたは娘イオンの軌道と、軸7とが成す角度αを図1に示しているが、これは、下記関係式から導き出すことができる。
【0107】
【数1】


【0108】
式中、Mpはある親または前駆イオンの質量または質量電荷比、Mdは前記親または前駆イオン由来のフラグメントまたは娘イオンの質量または質量電荷比、Eoはイオンが持ち得ると共に、イオン検出器で検出し得る最大軸方向イオンエネルギー、Exは直交方向に加速されて質量分析器の飛行またはドリフト領域へと送られる際にイオンに付与される直交方向エネルギーである。
【0109】
Mdを長さまたは幅が制限されたイオン検出器8で検出可能な最低質量または最低質量電荷比のフラグメントまたは娘イオンであると仮定すると、イオン検出器8の長さまたは幅Ldは、下記式により求められる。
【0110】
【数2】


【0111】
式中、Lxは直交方向の有効飛行または経路長さ、Eoはイオンが持ち得ると共に、イオン検出器で検出し得る最大軸方向イオンエネルギー、Exは直交方向に加速されて質量分析器の飛行またはドリフト領域へと送られる際にイオンに付与される直交方向エネルギーである。
【0112】
イオン検出器8の物理的な長さまたは幅Ldにより、イオン検出器8により検出可能な最低質量または最低質量電荷比のイオンが決定されることは明らかである。よって、当該公知の質量分析計によれば、比較的狭い、もしくは限られた範囲の質量または質量電荷比を有するイオンの質量スペクトルしか作成できないことが理解されるであろう。
【0113】
直交方向の飛行または経路長さLxは、質量分解能を向上させるために最大限に延長してもよい重要なパラメータである。しかしながら、直交方向の飛行または経路長さLxを長くした場合には、イオン検出器8の長さもまた長くする必要がある。しかしながら、イオン検出器8の大きさまたは長さをある一定の実用限界を超えて増大し続けることは、実用上不可能である。また、イオン検出器8のコストは、イオン検出器8の大きさまたは長さに比例して増加することが理解されるであろう。さらに、イオン検出器8の大きさまたは長さLdが増大すれば、高質量分解能に必要な平面度公差(flatness tolerance)を維持することも非常に難しくなる。さらに、イオン検出器8によって質量または質量電荷比が比較的低いイオンを検出できるようにイオン検出器8の長さを延長した場合、このようなイオンが有する低い運動エネルギーにより、前記イオンは、望ましくない表面帯電効果によって生じるものなどの静電欠陥(electrostatic imperfections)に起因する、偏向またはデフォーカス効果の影響をより受けやすくなる。これらの効果は、低エネルギーイオンのイオン搬送を低下させ、感度に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0114】
したがって、当該公知の質量分析計には、気体または衝突セル4内で生成され得るフラグメントまたは娘イオンのうち、比較的少ない割合のイオンを質量分析することしかできないという問題があること、さらに、単にイオン検出器8をより大きく、幅広に、あるいは長くすることでこの問題の解決を図ることは実際的でないことが理解されるであろう。
【0115】
図2は、本発明の一実施形態に係る質量分析計を示している。前記質量分析計は、直交加速式飛行時間質量分析器13に連結されたマトリックス支援レーザー脱離イオン化(「MALDI」)イオン源を備えている。イオンは、前記イオン源の一部であるターゲットまたはサンプルプレート2より生成、放出、または脱離されることが好ましい。次に、前記イオンは、2つの別個の電場領域L1、L2を通過することが好ましい。電場領域L1、L2は、前記イオン源の内部および/または下流に配置することができる。
【0116】
第1電場領域L1は、ターゲットまたはサンプルプレート2のすぐ隣に配置することが好ましい。第1電場領域L1全体にわたって電場が保持されることが好ましく、この電場は、少なくとも、生成されたイオンの好ましくは実質的に全てが第1電場領域L1を通過するまでの時間、実質的に一定であることが好ましい。第1電場領域L1全体にわたって保持される前記電場は、親または前駆イオンを実質的に一定のエネルギーまで加速するように構成されることが好ましい。次に、前記親または前駆イオンは、好ましくは第1電場領域L1の下流に配置されている第1フィールドフリー領域9に入るようにしておくことが好ましい。
【0117】
第2電場領域L2は、第1電場領域L1の下流に配置されることが好ましい。しかしながら、好ましい操作モードにおいて、電場は実際には第2電場領域L2全体にわたって保持されてはいないが、好適性の低い実施形態では、このようにすることも可能である。第2フィールドフリー領域10は、第2電場領域L2の下流に設けられることが好ましい。
【0118】
好ましい実施形態によれば、第1フィールドフリー領域9、第2電場領域L2、および第2フィールドフリー領域10は、単一のフィールドフリー領域を備えるものと考えてもよい。すなわち、これらの領域9、L2、10に存在する全てのイオン光学部品の電位を、実質的に同一に保つことが好ましい。
【0119】
前記質量分析計は、好ましくは特定の質量電荷比を有する親または前駆イオンを選択するように構成された質量フィルター(図示せず)をさらに備えていることが好ましい。前記質量フィルターは、磁場型質量フィルター、RF四重極質量フィルター、ウィーンフィルター、または直交加速式飛行時間質量フィルターを含んでいてもよい。
【0120】
前記質量フィルターは、第1フィールドフリー領域9の上流に設けられてもよい。あるいは、より好ましくは、前記質量フィルターは、第1フィールドフリー領域9内、第2電場領域L2内、または第2フィールドフリー領域10内に設けられてもよい。
【0121】
飛行時間による質量選択は、ターゲットプレートから直交加速式飛行時間質量フィルターの直交方向抽出領域(図示せず)に至るまでのイオンの飛行時間を測定することによって行われることが好ましい。前記抽出領域に隣接して配置された抽出プレート(図示せず)が通電されると、前記抽出領域近傍のイオンのみが抽出されるか、または直交方向に加速される。前記抽出領域の通電の遅延時間は、親または前駆イオンの質量または質量電荷比の平方根に比例することが好ましい。これを省略した場合には、選択された親または前駆イオン、ならびにこれらと同一速度で移動するあらゆる関連フラグメントまたは娘イオンもまた、さらに下流に配置されることが好ましい直交加速式飛行時間質量分析器において、質量分析のために抽出される。
【0122】
衝突またはフラグメンテーションセル11、あるいはその他の衝突、フラグメント化、または反応装置を、第2フィールドフリー領域10内または第2フィールドフリー領域10の一部として、あるいは当該質量分析計内のその他の箇所に、任意に設けてもよい。衝突またはフラグメンテーションセル11は、操作モードにおいて、第2フィールドフリー領域10を通過するイオンの少なくとも一部が、衝突またはフラグメンテーションセル11内でフラグメントまたは娘イオンへとフラグメント化されるように構成してもよい。そして、このようにして得られたフラグメントまたは娘イオンは、これらに対応する親または前駆イオンのフラグメント化直前の移動速度と実質的に同じ速度で第2フィールドフリー領域10の残りの部分を通過するか、または進み続けることが好ましい。
【0123】
別の実施形態によれば、フラグメントまたは娘イオンをポストソース分解(「PSD」)によって形成してもよく、その際、レーザー1を、短時間の経過後にフラグメントまたは娘イオンへと自発的にフラグメント化する準安定な親または前駆イオンが形成されるようなパワーで操作する。前記フラグメントまたは娘イオンは、これらに対応する親または前駆イオンの自発的フラグメント化直前の移動速度と実質的に同じ速度で質量分析計を通過し続ける。よって、親または前駆イオンおよびこれらに対応するあらゆるフラグメントまたは娘イオンは、直交加速式飛行時間質量分析器13の抽出または直交加速領域に実質的に同時に到達することが好ましい。
【0124】
質量分析器13の抽出または直交加速領域にイオンが到達すると、イオンを抽出するか、または直交方向に加速して直交加速式飛行時間質量分析器13の飛行またはドリフト領域へと送るため、好ましくは前記抽出または直交加速領域に隣接して配置された押し出し電極12にパルスを発生させるか、そうでなければ押し出し電極12に通電することが好ましい。
【0125】
直交加速式飛行時間質量分析器13は、イオンを反射するためのイオンミラーまたはリフレクトロン14と、イオンを検出するためのイオン検出器15を備えることが好ましい。リフレクトロンまたはイオンミラー14は、直交方向エネルギーの集束状態を維持しながら質量分析器13の有効経路長さを延長するために設けられることが好ましい。イオン検出器15は、マイクロチャネルプレートイオン検出器を含むことが好ましい。ただし、好適性は劣るが、これ以外のタイプのイオン検出器を採用してもよい。
【0126】
質量スペクトルは、イオン検出器15によって記録された飛行時間データを使用して生成することが好ましい。一操作モードにおいて、前記質量スペクトルは、親または前駆イオンと、例えば、ポストソース分解によって、あるいは衝突またはフラグメンテーションセル11内、あるいはその他の衝突、フラグメント化、または反応装置内での親または前駆イオンのフラグメント化による衝突誘起解離によって生じた対応するフラグメントまたは娘イオンを含んでいてもよい。
【0127】
イオンは、飛行時間質量分析器13の飛行またはドリフト領域へと注入された後、当該イオンの質量電荷比の平方根に反比例した時間にイオン検出器15に到達する。そして、1以上の親または前駆イオン、ならびに対応親または前駆イオンのポストソース分解(「PSD」)および/または対応親または前駆イオンの衝突またはフラグメンテーションセル11内での衝突誘起解離によって生成または形成される、前記親または前駆イオンに対応するあらゆるフラグメントまたは娘イオンを含んでもよい質量スペクトルを生成することができる。さらに、衝突、フラグメント化、または反応装置内に、その他のメカニズムによって生じたフラグメント、娘、生成、または付加イオンが存在してもよい。
【0128】
押し出し電極12は、親または前駆イオンおよび/またはこれらに関連するフラグメントまたは娘イオンが押し出し電極12に隣接する直交加速領域に到達した時に通電されることが好ましい。
【0129】
好ましい実施形態における直交方向のイオンの有効経路または飛行長さLxは、押し出し電極12に隣接する直交加速領域からイオンミラー14までの飛行またはドリフト領域の長さと、イオンミラー14内における有効経路長さと、イオンミラー14からイオン検出器15までの経路長さを含むように構成されることが好ましい。イオン検出器15は、長さLdを有し、特定の機器設定において、特定範囲の質量電荷比を有するイオンのみを検出可能であるように制限されていることが好ましい。特定の機器設定において検出可能なイオンの質量電荷比の範囲は、イオンの軸方向エネルギーと、イオンに付与される直交方向エネルギーに依存する。
【0130】
好ましい実施形態によれば、広範囲の質量電荷比を有するフラグメントまたは娘イオンを含む質量スペクトルを作成するため、前記質量分析計を、多数の異なる連続した機器設定で操作することが好ましく、さらに、別個の機器設定のそれぞれにおいて、質量スペクトルデータおよび/または別個の質量スペクトルを得ることが好ましい。
【0131】
好ましい実施形態によれば、前記質量分析計を多数または一連の異なる機器設定で操作することにより、フラグメントまたは娘イオンの軸方向運動エネルギーを、効果的かつ漸進的に増加させることが好ましい。親または前駆イオンの軸方向運動エネルギーを、別個の後続の機器設定へと移るごとに漸進的に増加させることが好ましい。したがって、好ましくは衝突誘起解離またはポストソース分解のいずれかによって複数のフラグメントまたは娘イオンへとフラグメント化する親または前駆イオンは、機器設定ごとに次第に大きくなる軸方向運動エネルギーを有するようにしておくことが好ましい。その結果、後続の機器設定へと移るごとに形成される同一種のフラグメントまたは娘イオンは、より大きな軸方向運動エネルギーを有するようになることが好ましい。
【0132】
親または前駆イオンは、第1フィールドフリー領域9または第2フィールドフリー領域10のいずれかにおいてフラグメント化するようにしておくことが好ましい。好ましい実施形態によれば、第1および第2フィールドフリー領域9、10は、第1および第2フィールドフリー領域9、10が単一のフィールドフリー領域として機能するか、あるいは単一のフィールドフリー領域を形成するように、機器設定ごとに実質的に同一の電位に保持することが好ましい。
【0133】
親または前駆イオンの運動エネルギーは、当該親または前駆イオンのイオン電荷と、当該イオンを軸方向に加速するためにターゲットプレート2と第1フィールドフリー領域9および/または第2フィールドフリー領域10および/または押し出し電極12との間に印加される加速電圧との積に依存する。好適性の低い一実施形態によれば、第2フィールドフリー領域10および/または押し出し電極12の電位を、機器設定ごとに変更または増加させてもよく、一方、第1フィールドフリー領域9の電位は、機器設定ごとに一定に保ってもよい。
【0134】
一実施形態によれば、ターゲットプレート2および/または第1フィールドフリー領域9の電位および/または第2フィールドフリー領域10の電位および/または押し出し電極12の電位は、機器設定ごとに一定に保持、変更、増加、または減少させてもよい。
【0135】
いずれの特定の機器設定においても、低質量または低質量電荷比Mlと高質量または高質量電荷比Mhとの間にある質量または質量電荷比を有するイオンがイオン検出器15によって検出されるように構成することができる。ある特定の機器設定においてイオン検出器15によって検出し得る最高質量または最高質量電荷比のイオンMhは、軸方向運動エネルギーEoを有しているものと見なすことができる。
【0136】
好ましい実施形態によれば、親または前駆イオンの軸方向運動エネルギーは、一機器設定から次の機器設定にかけて増加することが好ましい。好ましい実施形態では、親または前駆イオンは、当該親または前駆イオンのエネルギーが、好ましくはエネルギーEoから下記関係式で表されるエネルギーEpへと増加する軸方向運動エネルギーを有するようにしてあることが好ましい。
【0137】
【数3】


【0138】
式中、Mpは親または前駆イオンの質量または質量電荷比、Epは親または前駆イオンの軸方向エネルギー(これは、新たな機器設定ではイオン検出器で検出されない。なぜなら、親または前駆イオンの運動エネルギーがあまりにも大きく、イオン検出器を飛び越えてしまうためである)、Eoは前の機器設定においてイオン検出器によって検出され得る最高質量または最高質量電荷比のイオンの軸方向エネルギー、Mhは新たな機器設定で検出され得る、最高質量または最高質量電荷比のイオンである。
【0139】
新たな機器設定へと移るごとに親または前駆イオンの軸方向エネルギーを増加させると、前記親または前駆イオンの軸方向速度もまた増加することは明らかである。同様に、前記親または前駆イオンはフィールドフリー領域内でフラグメント化することが好ましいので、これらに対応するフラグメントまたは娘イオンの軸方向速度もまた、新たな機器設定において増加する。したがって、サンプルターゲットプレート2から、第1フィールドフリー領域9および第2フィールドフリー領域10を経て、押し出し電極12に隣接する直交加速領域へと到達するまでのイオンの飛行時間が短縮される。よって、好ましい実施形態によれば、イオンパルス生成と、イオンを直交方向に加速して質量分析器13の飛行またはドリフト領域へと送るための押し出し電極12の通電との間の遅延時間は、後続の新たな機器設定へと移るごとに相応に短縮されることが好ましい。
【0140】
新たな機器設定へと移るごとに短縮される、イオンパルス生成と押し出し電極12の通電との間の遅延時間Tpは、下記の関係を満たすようにしておくことが好ましい。
【0141】
【数4】


【0142】
式中、Toはターゲットプレート2から押し出し電極12に隣接する直交加速領域へと移動するまでの親または前駆イオン(質量分析計を前の機器設定で操作した際、軸方向エネルギーEoを有する)の飛行時間、Mhは新たな機器設定で検出され得る最高質量または最高質量電荷比のイオン、Mpは前記親または前駆イオンの質量電荷比である。
【0143】
先に挙げた式2を並べ替えることにより、ある特定の機器設定においてイオン検出器で検出可能なイオンの質量または質量電荷比の範囲が下記式によって求められる。
【0144】
【数5】


【0145】
式中、Mlは前記特定の機器設定において検出可能な最低質量電荷比のイオン、Mhは前記特定の機器設定において検出可能な最高質量電荷比のイオン、Exは直交方向に加速されて質量分析器の飛行またはドリフト領域へと送られた後にイオンに付与される直交方向エネルギー、Eoは前記特定の機器設定においてイオン検出器で検出可能なイオンの最大軸方向運動エネルギー、Ldはイオン検出器の長さまたは幅、Lxは質量分析器の直交方向の有効飛行または経路長さである。
【0146】
ある特定の機器設定においてイオン検出器15で検出可能なイオンの最高質量電荷比に対する最低質量電荷比の比率は、直交加速電場およびイオン検出器15の長さまたは幅Ldが一定に保たれると想定されることから、いずれの特定の機器設定でも一定であることが好ましい。
【0147】
好ましい実施形態では、多数の別個の機器設定で質量分析計を操作することにより、多数回の別個のデータ収集を行う。別個の機器設定のそれぞれにおいて、1以上の質量スペクトルまたは1以上の組の質量スペクトルデータを得ることが好ましい。そして、前記様々な別個の質量スペクトルまたは質量スペクトルデータの組を組み合わせ、最終的な複合質量スペクトルを形成することが好ましい。
【0148】
好ましい実施形態によれば、フラグメントまたは娘イオンを含み、かつ、従来の質量分析計を用いて生成可能な質量スペクトルと比べて質量または質量電荷比の範囲が極めて広い最終的な複合質量スペクトルを生成してもよい。
【0149】
好ましい実施形態を例証するため、質量電荷比がM0である親または前駆イオンを考慮してもよい。前記親または前駆イオンは、質量電荷比が異なる5種類の特定のフラグメントまたは娘イオンを含む、多数の異なるフラグメントまたは娘イオンを生じるようにフラグメント化するものと考えることができる。前記5種類の特定のフラグメントまたは娘イオンは、質量電荷比M1、M2、M3、M4、およびM5を有し、M0>M1>M2>M3>M4>M5であると考えることができる。あくまでも説明を容易にするという目的のため、前記親または前駆イオンおよび前記5種類の特定のフラグメントまたは娘イオンの質量電荷比は、次の関係を満たすものと考えることができる:M0/M1=M1/M2=M2/M3=M3/M4=M4/M5。
【0150】
説明目的の前記例によれば、質量分析計は、5つの別個の連続した異なる機器設定で操作されるように構成してもよい。
【0151】
第1機器設定では、M0からM1の範囲内にある質量電荷比を有するイオンを、イオン検出器15によって検出および記録してもよい。第2機器設定では、イオン検出器15は、M1からM2の範囲内にある質量電荷比を有するイオンを検出および記録することができる。第3機器設定では、イオン検出器15は、M2からM3の範囲内にある質量電荷比を有するイオンを検出および記録することができる。第4機器設定では、イオン検出器15は、M3からM4の範囲内にある質量電荷比を有するイオンを検出および記録することができる。第5機器設定では、イオン検出器15は、M4からM5の範囲内にある質量電荷比を有するイオンを検出および記録することができる。
【0152】
第1機器設定においては、質量電荷比M0を有する親または前駆イオンは、軸方向運動エネルギーE0を持つ、または有するようにしてある。
【0153】
第2機器設定においては、質量電荷比M0を有する前記親または前駆イオンの軸方向運動エネルギーは、軸方向運動エネルギーE0から下記関係式で表されるより高い軸方向運動エネルギーE1へと増加することが好ましい。
【0154】
【数6】


【0155】
式中、E0は第1機器設定における親または前駆イオンの軸方向運動エネルギー、E1は第2機器設定における親または前駆イオンの増加した軸方向運動エネルギー、M0は親または前駆イオンの質量電荷比、M1は第1の特定のフラグメントまたは娘イオンの質量電荷比である。
【0156】
押し出し電極12の活性化または通電を正確な時刻に行うため、第2機器設定における押し出し電極遅延時間T1は、第1機器設定における押し出し電極遅延時間T0よりも短くなるようにしておくことが好ましい。前記2つの遅延時間は、下記式で表される関連性を有していることが好ましい。
【0157】
【数7】


【0158】
式中、T1は第2機器設定での押し出し遅延時間、T0は第1機器設定での押し出し遅延時間、M1は第1の特定のフラグメントまたは娘イオンの質量電荷比、M0は親または前駆イオンの質量電荷比である。
【0159】
一般に、M0(親または前駆イオンの質量電荷比)とMn(Mnは最低質量または最低質量電荷比のフラグメントまたは娘イオン)の間にある質量電荷比を有し、かつMn-1/Mnの比率が各機器設定において一定のイオンを組み入れた質量スペクトルを作成するため、好ましくは、質量分析計をn個の別個の連続した機器設定で操作する構成とすべきである。
【0160】
各機器設定nにおいて、親または前駆イオンの軸方向エネルギーをEn-1に設定することが好ましく、また押し出し電極遅延時間をTn-1に設定することが好ましい。
【0161】
【数8】


【0162】
【数9】


【0163】
式中、En-1は第n機器設定における親または前駆イオンの軸方向運動エネルギー、E0は第1機器設定における親または前駆イオンの軸方向運動エネルギー、M0は親または前駆イオンの質量電荷比、Mn-1は第n機器設定で検出され得る最高質量電荷比のイオン、Mnは第n機器設定において検出され得る最低質量電荷比のイオン、T0は第1機器設定における押し出し電極遅延時間、Tn-1は第n機器設定における押し出し電極遅延時間である。
【0164】
別個の機器設定のそれぞれにおいて質量スペクトルデータを獲得することが好ましく、また、質量スペクトルを任意に生成してもよい。
【0165】
各機器設定において、レーザー1を繰り返し発射させ、同一の機器設定で得られた多数の収集データから、質量スペクトルまたは一組の質量スペクトルデータを構築または獲得するようにしてもよい。
【0166】
次に、前記異なる連続した機器設定のそれぞれにおいて記録された質量スペクトルまたは質量スペクトルデータを合算するか、あるいは少なくとも部分的に重ねて、好ましくは広範囲の質量電荷比をカバーする最終的な複合質量スペクトルを作成することが好ましい。
【0167】
前記最終的な複合質量スペクトルは、前記異なる連続した機器設定のそれぞれにおいて取得された前記種々の別個の質量スペクトルまたは質量スペクトルデータの組を組み合わせることによって形成してもよい。なぜなら、直交加速式飛行時間質量分析器の校正は、直交方向に加速されて質量分析器13の直交加速領域へと送られる際のイオンの軸方向エネルギーに実質的に依存しないことが好ましいからである。
【0168】
後続の機器設定へと移るごとに親または前駆イオンの軸方向イオンエネルギーEnを変更(例えば、増加)し、後続の機器設定へと移るごとにイオン生成と、これに続く押し出し電極12の通電との間の押し出し電極遅延時間Tnを変更(例えば、短縮または低減)し、さらに各機器設定において質量スペクトルデータを取得することにより、従来の配置構成と比較して、低質量電荷比のフラグメントまたは娘イオンの収量および搬送効率を実質的に向上させることができる。
【0169】
好ましい実施形態のさらなる利点は、後続の機器設定へと移るごとにフラグメントまたは娘イオンの軸方向運動エネルギーを効果的に増加させることにより、前記フラグメントまたは娘イオンが、望ましくない表面荷電効果の影響を受けにくくなることである。後続の機器設定へと移るごとに運動エネルギーを増加させることにおける別の利点は、前記フラグメントまたは娘イオンの立体発散角(solid divergence angle)が小さくなることである。
【0170】
好ましい実施形態によれば、質量分析計内にある種々の固定開口により、イオン搬送の実質的な増加を達成できることが好ましい。
【0171】
好適性の低い一実施形態によれば、親または前駆イオンの軸方向エネルギーを機器設定ごとに低下させてもよく、また、押し出し電極遅延時間を機器設定ごとに延長してもよい。
【0172】
親または前駆イオンの軸方向エネルギーおよび/または押し出し電極遅延時間を、非漸進的または非直線状に変化させることや、さらにはランダムに変化させることも考えられる。
【0173】
好適性の低い一実施形態では、親または前駆イオンの軸方向エネルギーを後続の機器設定で変更または増加させる代わりに、押し出し電極12に印加する電圧または電位を機器設定ごとに変更または変化させることによって、機器設定ごとに直交加速領域内のイオンに付与される直交方向エネルギーを変えてもよい。
【0174】
この実施形態では、第n機器設定でイオンに付与される直交方向エネルギーExnは、前の機器設定でイオンに付与される直交方向エネルギーExに対し、下記関係式で表される関連性を有することが好ましい。
【0175】
【数10】


【0176】
式中、Exnは第n機器設定でイオンに付与される直交方向エネルギー、Exは第1または初期機器設定でイオンに付与される直交方向エネルギー、Mn-1は第n機器設定で検出され得る最高質量電荷比のイオン、Mnは第n機器設定においてイオン検出器で検出し得る最低質量電荷比のイオン、M0は親または前駆イオンの質量電荷比である。
【0177】
この好適性の低い実施形態によれば、イオン生成と押し出し電極12の通電との間の遅延時間は、一機器設定から次の機器設定にかけて、実質的に一定に保持してもよい。また、質量分析器13の飛行またはドリフト領域を形成する電極および/またはイオンミラーまたはリフレクトロン14の電極に印加する電圧も変更し、イオン検出器15において空間的時間的収束(spatial time focusing)も確実に行えるようにすることにより、この好適性の低い実施形態をさらに改良することが考えられる。
【0178】
本発明の一実施形態によれば、押し出し電極12に印加する電圧を変えることにより、イオンに付与される直交方向エネルギーを後続の機器設定において変更してもよい。さらに、親または前駆イオンの軸方向イオンエネルギーも、後続の機器設定において変更、増加、または減少させてもよい。イオン生成と押し出し電極15の通電との間の押し出し電極遅延時間もまた、後続の機器設定において変更、減少、または増加させてもよい。
【0179】
本発明の一実施形態で得られた実験結果のいくつかを図3に示している。図3は、5つの異なる機器設定で獲得または取得した質量スペクトルデータから作成または取得した5個の質量スペクトルを示している。前記質量スペクトルデータは、直交加速式飛行時間質量分析器に連結されたMALDIイオン源を備えた質量分析計を使用して獲得または取得されたものである。前記質量分析計は、図2に示す質量分析計と実質的に同様のものだった。
【0180】
前記実験データを得るため、ACTH(MH+2465.2)のペプチドサンプルを使用した。ACTHペプチドイオンは、前記MALDIサンプルプレートと前記飛行時間質量分析器の直交加速領域との間でポストソース分解(「PSD」)によって解離するようにした。
【0181】
図3に示す第1質量スペクトルに対応する第1機器設定では、親または前駆イオンが、275eVの軸方向エネルギーを有するようにした。イオンパルスの生成と、前記イオンを直交方向に加速するための押し出し電極の通電との間の遅延時間は、54.7μsに設定した。第1機器設定では、測定対象イオンの最高質量電荷比を2465Daに設定した。
【0182】
図3に示す第2質量スペクトルに対応する第2機器設定では、親または前駆イオンが、511eVの軸方向エネルギーを有するようにした。イオンパルスの生成と、前記イオンを直交方向に加速するための押し出し電極の通電との間の遅延時間は、40.0μsに設定した。第2機器設定では、測定対象イオンの最高質量電荷比を1327Daに設定した。
【0183】
図3に示す第3質量スペクトルに対応する第3機器設定では、親または前駆イオンが、972eVの軸方向エネルギーを有するようにした。イオンパルスの生成と、前記イオンを直交方向に加速するための押し出し電極の通電との間の遅延時間は、28.8μsに設定した。第3機器設定では、測定対象イオンの最高質量電荷比を698Daに設定した。
【0184】
図3に示す第4質量スペクトルに対応する第4機器設定では、親または前駆イオンが、2085eVの軸方向エネルギーを有するようにした。イオンパルスの生成と、前記イオンを直交方向に加速するための押し出し電極の通電との間の遅延時間は、19.4μsに設定した。第4機器設定では、測定対象イオンの最高質量電荷比を325Daに設定した。
【0185】
図3に示す第5質量スペクトルに対応する第5機器設定では、親または前駆イオンが、4000eVの軸方向エネルギーを有するようにした。イオンパルスの生成と、前記イオンを直交方向に加速するための押し出し電極の通電との間の遅延時間は、13.7μsに設定した。第5機器設定では、測定対象イオンの最高質量電荷比を169Daに設定した。
【0186】
この特定の例においては、前記別個の連続した機器設定のそれぞれにおいてイオンに付与された直交方向エネルギーExは、実質的に一定に9500eVに保たれていた。直交方向の有効飛行または経路長さLxは0.8mであり、イオン検出器の長さLdは40cmであった。
【0187】
図3は、前記5つの別個の連続した機器設定で獲得された5つの別個の質量スペクトルを示している。各機器設定での親または前駆イオンの軸方向エネルギーおよびイオン生成と押し出し電極への通電の間の対応遅延時間は、先に挙げた式8および9に概ね従って設定された。
【0188】
この特定の説明目的の例においては、各機器設定においてイオン検出器によって検出された最低質量電荷比のイオンMlに対する最高質量電荷比のイオンMhの比率は、約2.1となるようにした。
【0189】
親または前駆イオンの軸方向エネルギーの増加および押し出し電極遅延時間の短縮の正確な比率は機器設定ごとに若干異なっていたが、一般にこの比率は、各機器設定で取得または獲得された質量スペクトルデータ間にある程度の重複が見られるようにするため、通常2.1未満となるようにした。これにより、前記別個の機器設定のそれぞれにおいて獲得された質量スペクトルデータまたは質量スペクトルをより容易に組み合わせて最終的な複合質量スペクトルを形成できるようになった。
【0190】
図3に示す第2、第3、第4および第5質量スペクトルより、好ましい実施形態に従って親または前駆イオンの軸方向エネルギーが増加され、押し出し電極遅延時間が短縮されるにつれて、後続の機器設定へと移るごとにフラグメントまたは娘イオンの質量または質量電荷の漸進的な低下が観察されたことが分かる。
【0191】
本発明について、好ましい実施形態を参照しながら説明してきたが、添付の請求の範囲に記載されている本発明の範囲から逸脱しない限り、形態および詳細において種々の変更を行ってもよいことは、当業者には理解される。
【図面の簡単な説明】
【0192】
【図1】直交加速式飛行時間質量分析器に連結されたMALDIイオン源を備えた従来の質量分析計であって、磁場型質量フィルターと、イオンをフラグメント化するための衝突セルをさらに備えた質量分析計を示す図
【図2】直交加速式飛行時間質量分析器に連結されたMALDIイオン源を備えた本発明の一実施形態に係る質量分析計であって、第1フィールドフリー領域と、第2フィールドフリー領域と、任意に衝突セルまたはフラグメント化セルとをさらに備えた質量分析計を示す図
【図3】連続した機器設定で親または前駆イオンの軸方向エネルギーを漸進的に増加させ、かつ、イオンパルスの生成と、イオンを直交方向に加速して前記質量分析器の飛行またはドリフト領域へと送るために行われる飛行時間質量分析器の押し出し電極への通電との間の遅延時間を漸進的に短縮することによって本発明の実施形態で得られた5つの質量スペクトルを示す図

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直交加速領域を備えた直交加速式飛行時間質量分析器を用意することと、
第1の親または前駆イオンのパケットまたは群を用意することと、
前記第1の親または前駆イオンのパケットまたは群を加速し、前記第1の親または前駆イオンのパケットまたは群が第1の軸方向エネルギーを有するようにすることと、
前記第1の親または前駆イオンのパケットまたは群を、複数の第1フラグメントまたは娘イオンへとフラグメント化するか、あるいは、前記第1の親または前駆イオンのパケットまたは群を、複数の第1フラグメントまたは娘イオンへと自ずとフラグメント化させることと、
第1遅延時間の後、前記複数の第1フラグメントまたは娘イオンの少なくとも一部を直交方向に加速することと、
前記複数の第1フラグメントまたは娘イオンのうち、第1の範囲の軸方向エネルギーを有するフラグメントまたは娘イオンを検出することと、
前記複数の第1フラグメントまたは娘イオンのうち、前記第1の範囲の軸方向エネルギーを有するフラグメントまたは娘イオンに関する第1の質量スペクトルデータを生成することと、
第2の親または前駆イオンのパケットまたは群を用意することと、
前記第2の親または前駆イオンのパケットまたは群を加速し、前記第2の親または前駆イオンのパケットまたは群が第2の異なる軸方向エネルギーを有するようにすることと、
前記第2の親または前駆イオンのパケットまたは群を、複数の第2フラグメントまたは娘イオンへとフラグメント化するか、あるいは、前記第2の親または前駆イオンのパケットまたは群を、複数の第2フラグメントまたは娘イオンへと自ずとフラグメント化させることと、
第2遅延時間の後、前記複数の第2フラグメントまたは娘イオンの少なくとも一部を直交方向に加速することと、
前記複数の第2フラグメントまたは娘イオンのうち、第2の範囲の軸方向エネルギーを有するフラグメントまたは娘イオンを検出することと、
前記複数の第2フラグメントまたは娘イオンのうち、前記第2の範囲の軸方向エネルギーを有する前記フラグメントまたは娘イオンに関する第2の質量スペクトルデータを生成することと、
前記第1の質量スペクトルデータと前記第2の質量スペクトルデータを使用する、組み合わせる、または部分的に重ねることによって複合質量スペクトルを形成することとを含む質量分析法。
【請求項2】
前記第1の範囲の軸方向エネルギーが、前記第2の範囲の軸方向エネルギーと実質的に同一である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1遅延時間が、前記第2遅延時間とは実質的に異なる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
第1電場領域を設けることをさらに含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
第1フィールドフリー領域を設けることをさらに含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1フィールドフリー領域が、前記第1電場領域の下流に配置される、請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
第2電場領域を設けることをさらに含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
第2フィールドフリー領域を設けることをさらに含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記第2フィールドフリー領域が、前記第2電場領域の下流に配置される、請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
前記直交加速領域に隣接して配置される1以上の電極を設けることさらに含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の親または前駆イオンのパケットまたは群を加速する前記工程が、前記第1電場および/または前記第1フィールドフリー領域および/または前記第2電場および/または前記第2フィールドフリー領域および/または前記1以上の電極を、第1電場強度、電圧もしくは電位、または電圧もしくは電位差に保持することを含む、請求項4〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記第2の親または前駆イオンのパケットまたは群を加速する前記工程が、前記第1電場および/または前記第1フィールドフリー領域および/または前記第2電場および/または前記第2フィールドフリー領域および/または前記1以上の電極を、第2電場強度、電圧もしくは電位、または電圧もしくは電位差に保持することを含む、請求項4〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記第2電場強度、電圧もしくは電位、または電圧もしくは電位差が、前記第1電場強度、電圧もしくは電位、または電圧もしくは電位差とは、少なくとも1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、110%、120%、130%、140%、150%、160%、170%、180%、190%、200%、210%、220%、230%、240%、250%、260%、270%、280%、290%、300%、350%、400%、450%、または500%異なる請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の軸方向エネルギーが、(i)<20eV、(ii)20〜40eV、(iii)40〜60eV、(iv)60〜80eV、(v)80〜100eV、(vi)100〜120eV、(vii)120〜140eV、(viii)140〜160eV、(ix)160〜180eV、(x)180〜200eV、(xi)200〜220eV、(xii)220〜240eV、(xiii)240〜260eV、(xiv)260〜280eV、(xv)280〜300eV、(xvi)300〜320eV、(xvii)320〜340eV、(xviii)340〜360eV、(xix)360〜380eV、(xx)380〜400eV、(xxi)400〜420eV、(xxii)420〜440eV、(xxiii)440〜460eV、(xxiv)460〜480eV、(xxv)480〜500eV、(xxvi)500〜550eV、(xxvii)550〜600eV、(xxviii)600〜650eV、(xxix)650〜700eV、(xxx)700〜750eV、(xxxi)750〜800eV、(xxxii)800〜850eV、(xxxiii)850〜900eV、(xxxiv)900〜950eV、(xxxv)950〜1000eV、および(xxxvi)>1keVからなる群から選択される、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の軸方向エネルギーが、(i)1.0〜1.2keV、(ii)1.2〜1.4keV、(iii)1.4〜1.6keV、(iv)1.6〜1.8keV、(v)1.8〜2.0keV、(vi)2.0〜2.2keV、(vii)2.2〜2.4keV、(viii)2.4〜2.6keV、(ix)2.6〜2.8keV、(x)2.8〜3.0keV、(xi)3.0〜3.2keV、(xii)3.2〜3.4keV、(xiii)3.4〜3.6keV、(xiv)3.6〜3.8keV、(xv)3.8〜4.0keV、(xvi)4.0〜4.2keV、(xvii)4.2〜4.4keV、(xviii)4.4〜4.6keV、(xix)4.6〜4.8keV、(xx)4.8〜5.0keV、(xxi)5.0〜5.5keV、(xxii)5.5〜6.0keV、(xxiii)6.0〜6.5keV、(xxiv)6.5〜7.0keV、(xxv)7.0〜7.5keV、(xxvi)7.5〜8.0keV、(xxvii)8.0〜8.5keV、(xxviii)8.5〜9.0keV、(xxix)9.0〜9.5keV、(xxx)9.5〜10.0keV、および(xxxi)>10keVからなる群から選択される、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記第1遅延時間が、(i)<1μs、(ii)1〜5μs、(iii)5〜10μs、(iv)10〜15μs、(v)15〜20μs、(vi)20〜25μs、(vii)25〜30μs、(viii)30〜35μs、(ix)35〜40μs、(x)40〜45μs、(xi)45〜50μs、(xii)50〜55μs、(xiii)55〜60μs、(xiv)60〜65μs、(xv)65〜70μs、(xvi)70〜75μs、(xvii)75〜80μs、(xviii)80〜85μs、(xix)85〜90μs、(xx)90〜95μs、(xxi)95〜100μs、(xxii)100〜100μs、(xxiii)110〜120μs、(xxiv)120〜130μs、(xxv)130〜140μs、(xxvi)140〜150μs、(xxvii)150〜160μs、(xxviii)160〜170μs、(xxix)170〜180μs、(xxx)180〜190μs、(xxxi)190〜200μs、(xxxii)200〜250μs、(xxxiii)250〜300μs、(xxxiv)300〜350μs、(xxxv)350〜400μs、(xxxvi)400〜450μs、(xxxvii)450〜500μs、(xxxviii)500〜1000μs、および(xxxix)>1000μsからなる群から選択される、請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記複数の第1フラグメントまたは娘イオンの前記少なくとも一部を直交方向に加速し、前記複数の第1フラグメントまたは娘イオンの前記少なくとも一部が第1の直交方向エネルギーを有するようにする、請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記第1の直交方向エネルギーが、(i)<1.0keV、(ii)1.0〜1.5keV、(iii)1.5〜2.0keV、(iv)2.0〜2.5keV、(v)2.5〜3.0keV、(vi)3.0〜3.5keV、(vii)3.5〜4.0keV、(viii)4.0〜4.5keV、(ix)4.5〜5.0keV、(x)5.0〜5.5keV、(xi)5.5〜6.0keV、(xii)6.0〜6.5keV、(xiii)6.5〜7.0keV、(xiv)7.0〜7.5keV、(xv)7.5〜8.0keV、(xvi)8.0〜8.5keV、(xvii)8.5〜9.0keV、(xviii)9.0〜9.5keV、(xix)9.5〜10.0keV、(xx)10.0〜10.5keV、(xxi)10.5〜11.0keV、(xxii)11.0〜11.5keV、(xxiii)11.5〜12.0keV、(xxiv)12.0〜12.5keV、(xxv)12.5〜13.0keV、(xxvi)13.0〜13.5keV、(xxvii)13.5〜14.0keV、(xxviii)14.0〜14.5keV、(xxix)14.5〜15.0keV、(xxx)15.0〜15.5keV、(xxxi)15.5〜16.0keV、(xxxii)16.0〜16.5keV、(xxxiii)16.5〜17.0keV、(xxxiv)17.0〜17.5keV、(xxxv)17.5〜18.0keV、(xxxvi)18.0〜18.5keV、(xxxvii)18.5〜19.0keV、(xxxviii)19.0〜19.5keV、(xxxix)19.5〜20.0keV、(xl)>20keVからなる群から選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記第2の軸方向エネルギーが、(i)<20eV、(ii)20〜40eV、(iii)40〜60eV、(iv)60〜80eV、(v)80〜100eV、(vi)100〜120eV、(vii)120〜140eV、(viii)140〜160eV、(ix)160〜180eV、(x)180〜200eV、(xi)200〜220eV、(xii)220〜240eV、(xiii)240〜260eV、(xiv)260〜280eV、(xv)280〜300eV、(xvi)300〜320eV、(xvii)320〜340eV、(xviii)340〜360eV、(xix)360〜380eV、(xx)380〜400eV、(xxi)400〜420eV、(xxii)420〜440eV、(xxiii)440〜460eV、(xxiv)460〜480eV、(xxv)480〜500eV、(xxvi)500〜550eV、(xxvii)550〜600eV、(xxviii)600〜650eV、(xxix)650〜700eV、(xxx)700〜750eV、(xxxi)750〜800eV、(xxxii)800〜850eV、(xxxiii)850〜900eV、(xxxiv)900〜950eV、(xxxv)950〜1000eV、および(xxxvi)>1keVからなる群から選択される、請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記第2の軸方向エネルギーが、(i)1.0〜1.2keV、(ii)1.2〜1.4keV、(iii)1.4〜1.6keV、(iv)1.6〜1.8keV、(v)1.8〜2.0keV、(vi)2.0〜2.2keV、(vii)2.2〜2.4keV、(viii)2.4〜2.6keV、(ix)2.6〜2.8keV、(x)2.8〜3.0keV、(xi)3.0〜3.2keV、(xii)3.2〜3.4keV、(xiii)3.4〜3.6keV、(xiv)3.6〜3.8keV、(xv)3.8〜4.0keV、(xvi)4.0〜4.2keV、(xvii)4.2〜4.4keV、(xviii)4.4〜4.6keV、(xix)4.6〜4.8keV、(xx)4.8〜5.0keV、(xxi)5.0〜5.5keV、(xxii)5.5〜6.0keV、(xxiii)6.0〜6.5keV、(xxiv)6.5〜7.0keV、(xxv)7.0〜7.5keV、(xxvi)7.5〜8.0keV、(xxvii)8.0〜8.5keV、(xxviii)8.5〜9.0keV、(xxix)9.0〜9.5keV、(xxx)9.5〜10.0keV、および(xxxi)>10keVからなる群から選択される、請求項1〜19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記第2遅延時間が、(i)<1μs、(ii)1〜5μs、(iii)5〜10μs、(iv)10〜15μs、(v)15〜20μs、(vi)20〜25μs、(vii)25〜30μs、(viii)30〜35μs、(ix)35〜40μs、(x)40〜45μs、(xi)45〜50μs、(xii)50〜55μs、(xiii)55〜60μs、(xiv)60〜65μs、(xv)65〜70μs、(xvi)70〜75μs、(xvii)75〜80μs、(xviii)80〜85μs、(xix)85〜90μs、(xx)90〜95μs、(xxi)95〜100μs、(xxii)100〜100μs、(xxiii)110〜120μs、(xxiv)120〜130μs、(xxv)130〜140μs、(xxvi)140〜150μs、(xxvii)150〜160μs、(xxviii)160〜170μs、(xxix)170〜180μs、(xxx)180〜190μs、(xxxi)190〜200μs、(xxxii)200〜250μs、(xxxiii)250〜300μs、(xxxiv)300〜350μs、(xxxv)350〜400μs、(xxxvi)400〜450μs、(xxxvii)450〜500μs、(xxxviii)500〜1000μs、および(xxxix)>1000μsからなる群から選択される、請求項1〜20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記複数の第2フラグメントまたは娘イオンの前記少なくとも一部を直交方向に加速し、前記複数の第2フラグメントまたは娘イオンの前記少なくとも一部が第2の直交方向エネルギーを有するようにする、請求項1〜21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記第2の直交方向エネルギーが、(i)<1.0keV、(ii)1.0〜1.5keV、(iii)1.5〜2.0keV、(iv)2.0〜2.5keV、(v)2.5〜3.0keV、(vi)3.0〜3.5keV、(vii)3.5〜4.0keV、(viii)4.0〜4.5keV、(ix)4.5〜5.0keV、(x)5.0〜5.5keV、(xi)5.5〜6.0keV、(xii)6.0〜6.5keV、(xiii)6.5〜7.0keV、(xiv)7.0〜7.5keV、(xv)7.5〜8.0keV、(xvi)8.0〜8.5keV、(xvii)8.5〜9.0keV、(xviii)9.0〜9.5keV、(xix)9.5〜10.0keV、(xx)10.0〜10.5keV、(xxi)10.5〜11.0keV、(xxii)11.0〜11.5keV、(xxiii)11.5〜12.0keV、(xxiv)12.0〜12.5keV、(xxv)12.5〜13.0keV、(xxvi)13.0〜13.5keV、(xxvii)13.5〜14.0keV、(xxviii)14.0〜14.5keV、(xxix)14.5〜15.0keV、(xxx)15.0〜15.5keV、(xxxi)15.5〜16.0keV、(xxxii)16.0〜16.5keV、(xxxiii)16.5〜17.0keV、(xxxiv)17.0〜17.5keV、(xxxv)17.5〜18.0keV、(xxxvi)18.0〜18.5keV、(xxxvii)18.5〜19.0keV、(xxxviii)19.0〜19.5keV、(xxxix)19.5〜20.0keV、(xl)>20keVからなる群から選択される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記方法が、
第3の親または前駆イオンのパケットまたは群を用意することと、
前記第3の親または前駆イオンのパケットまたは群を加速し、前記第3の親または前駆イオンのパケットまたは群が第3の異なる軸方向エネルギーを有するようにすることと、
前記第3の親または前駆イオンのパケットまたは群を、複数の第3フラグメントまたは娘イオンへとフラグメント化するか、あるいは、前記第3の親または前駆イオンのパケットまたは群を、複数の第3フラグメントまたは娘イオンへと自ずとフラグメント化させることと、
第3遅延時間の後、前記複数の第3フラグメントまたは娘イオンの少なくとも一部を直交方向に加速することと、
前記複数の第3フラグメントまたは娘イオンのうち、第3の範囲の軸方向エネルギーを有するフラグメントまたは娘イオンを検出することと、
前記複数の第3フラグメントまたは娘イオンのうち、前記第3の範囲の軸方向エネルギーを有する娘イオンのフラグメントに関する第3の質量スペクトルデータを生成することとをさらに含む、請求項1〜23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記第1、第2、および第3の範囲の軸方向エネルギーが実質的に同一である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記第1、第2、および第3遅延時間が実質的に異なる、請求項24または25に記載の方法。
【請求項27】
前記第3の親または前駆イオンのパケットまたは群を加速する前記工程が、前記第1電場および/または前記第1フィールドフリー領域および/または前記第2電場および/または前記第2フィールドフリー領域および/または前記1以上の電極を、第3電場強度、電圧もしくは電位、または電圧もしくは電位差に保持することを含む、請求項24〜26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記第3電場強度、電圧もしくは電位、または電圧もしくは電位差が、前記第1および/または第2電場強度、電圧もしくは電位、または電圧もしくは電位差とは、少なくとも1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、110%、120%、130%、140%、150%、160%、170%、180%、190%、200%、210%、220%、230%、240%、250%、260%、270%、280%、290%、300%、350%、400%、450%、または500%異なる、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記第3の軸方向エネルギーが、(i)<20eV、(ii)20〜40eV、(iii)40〜60eV、(iv)60〜80eV、(v)80〜100eV、(vi)100〜120eV、(vii)120〜140eV、(viii)140〜160eV、(ix)160〜180eV、(x)180〜200eV、(xi)200〜220eV、(xii)220〜240eV、(xiii)240〜260eV、(xiv)260〜280eV、(xv)280〜300eV、(xvi)300〜320eV、(xvii)320〜340eV、(xviii)340〜360eV、(xix)360〜380eV、(xx)380〜400eV、(xxi)400〜420eV、(xxii)420〜440eV、(xxiii)440〜460eV、(xxiv)460〜480eV、(xxv)480〜500eV、(xxvi)500〜550eV、(xxvii)550〜600eV、(xxviii)600〜650eV、(xxix)650〜700eV、(xxx)700〜750eV、(xxxi)750〜800eV、(xxxii)800〜850eV、(xxxiii)850〜900eV、(xxxiv)900〜950eV、(xxxv)950〜1000eV、および(xxxvi)>1keVからなる群から選択される、請求項24〜28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記第3の軸方向エネルギーが、(i)1.0〜1.2keV、(ii)1.2〜1.4keV、(iii)1.4〜1.6keV、(iv)1.6〜1.8keV、(v)1.8〜2.0keV、(vi)2.0〜2.2keV、(vii)2.2〜2.4keV、(viii)2.4〜2.6keV、(ix)2.6〜2.8keV、(x)2.8〜3.0keV、(xi)3.0〜3.2keV、(xii)3.2〜3.4keV、(xiii)3.4〜3.6keV、(xiv)3.6〜3.8keV、(xv)3.8〜4.0keV、(xvi)4.0〜4.2keV、(xvii)4.2〜4.4keV、(xviii)4.4〜4.6keV、(xix)4.6〜4.8keV、(xx)4.8〜5.0keV、(xxi)5.0〜5.5keV、(xxii)5.5〜6.0keV、(xxiii)6.0〜6.5keV、(xxiv)6.5〜7.0keV、(xxv)7.0〜7.5keV、(xxvi)7.5〜8.0keV、(xxvii)8.0〜8.5keV、(xxviii)8.5〜9.0keV、(xxix)9.0〜9.5keV、(xxx)9.5〜10.0keV、および(xxxi)>10keVからなる群から選択される、請求項24〜29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記第3遅延時間が、(i)<1μs、(ii)1〜5μs、(iii)5〜10μs、(iv)10〜15μs、(v)15〜20μs、(vi)20〜25μs、(vii)25〜30μs、(viii)30〜35μs、(ix)35〜40μs、(x)40〜45μs、(xi)45〜50μs、(xii)50〜55μs、(xiii)55〜60μs、(xiv)60〜65μs、(xv)65〜70μs、(xvi)70〜75μs、(xvii)75〜80μs、(xviii)80〜85μs、(xix)85〜90μs、(xx)90〜95μs、(xxi)95〜100μs、(xxii)100〜100μs、(xxiii)110〜120μs、(xxiv)120〜130μs、(xxv)130〜140μs、(xxvi)140〜150μs、(xxvii)150〜160μs、(xxviii)160〜170μs、(xxix)170〜180μs、(xxx)180〜190μs、(xxxi)190〜200μs、(xxxii)200〜250μs、(xxxiii)250〜300μs、(xxxiv)300〜350μs、(xxxv)350〜400μs、(xxxvi)400〜450μs、(xxxvii)450〜500μs、(xxxviii)500〜1000μs、および(xxxix)>1000μsからなる群から選択される、請求項24〜30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記複数の第3フラグメントまたは娘イオンの前記少なくとも一部を直交方向に加速し、前記複数の第3フラグメントまたは娘イオンの前記少なくとも一部が第3の直交方向エネルギーを有するようにする、請求項24〜31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記第3の直交方向エネルギーが、(i)<1.0keV、(ii)1.0〜1.5keV、(iii)1.5〜2.0keV、(iv)2.0〜2.5keV、(v)2.5〜3.0keV、(vi)3.0〜3.5keV、(vii)3.5〜4.0keV、(viii)4.0〜4.5keV、(ix)4.5〜5.0keV、(x)5.0〜5.5keV、(xi)5.5〜6.0keV、(xii)6.0〜6.5keV、(xiii)6.5〜7.0keV、(xiv)7.0〜7.5keV、(xv)7.5〜8.0keV、(xvi)8.0〜8.5keV、(xvii)8.5〜9.0keV、(xviii)9.0〜9.5keV、(xix)9.5〜10.0keV、(xx)10.0〜10.5keV、(xxi)10.5〜11.0keV、(xxii)11.0〜11.5keV、(xxiii)11.5〜12.0keV、(xxiv)12.0〜12.5keV、(xxv)12.5〜13.0keV、(xxvi)13.0〜13.5keV、(xxvii)13.5〜14.0keV、(xxviii)14.0〜14.5keV、(xxix)14.5〜15.0keV、(xxx)15.0〜15.5keV、(xxxi)15.5〜16.0keV、(xxxii)16.0〜16.5keV、(xxxiii)16.5〜17.0keV、(xxxiv)17.0〜17.5keV、(xxxv)17.5〜18.0keV、(xxxvi)18.0〜18.5keV、(xxxvii)18.5〜19.0keV、(xxxviii)19.0〜19.5keV、(xxxix)19.5〜20.0keV、(xl)>20keVからなる群から選択される、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記複合質量スペクトルを形成する工程が、前記第1の質量スペクトルデータ、前記第2の質量スペクトルデータ、および前記第3の質量スペクトルデータを使用する、組み合わせる、または部分的に重ねることをさらに含む、請求項24〜33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記方法が、
第4の親または前駆イオンのパケットまたは群を用意することと、
前記第4の親または前駆イオンのパケットまたは群を加速し、前記第4の親または前駆イオンのパケットまたは群が第4の異なる軸方向エネルギーを有するようにすることと、
前記第4の親または前駆イオンのパケットまたは群を、複数の第4フラグメントまたは娘イオンへとフラグメント化するか、あるいは、前記第4の親または前駆イオンのパケットまたは群を、複数の第4フラグメントまたは娘イオンへと自ずとフラグメント化させることと、
第4遅延時間の後、前記複数の第4フラグメントまたは娘イオンの少なくとも一部を直交方向に加速することと、
前記複数の第4フラグメントまたは娘イオンのうち、第4の範囲の軸方向エネルギーを有するフラグメントまたは娘イオンを検出することと、
前記複数の第4フラグメントまたは娘イオンのうち、前記第4の範囲の軸方向エネルギーを有する娘イオンのフラグメントに関する第4の質量スペクトルデータを生成することとをさらに含む、請求項24〜34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記第1、第2、第3、および第4の範囲の軸方向エネルギーが実質的に同一である、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記第1、第2、第3、および第4遅延時間が実質的に異なる、請求項35または36に記載の方法。
【請求項38】
前記第4の親または前駆イオンのパケットまたは群を加速する前記工程が、前記第1電場および/または前記第1フィールドフリー領域および/または前記第2電場および/または前記第2フィールドフリー領域および/または前記1以上の電極を、第4電場強度、電圧もしくは電位、または電圧もしくは電位差に保持することを含む、請求項35〜37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記第4電場強度、電圧もしくは電位、または電圧もしくは電位差が、前記第1および/または第2および/または第3電場強度、電圧もしくは電位、または電圧もしくは電位差とは、少なくとも1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、110%、120%、130%、140%、150%、160%、170%、180%、190%、200%、210%、220%、230%、240%、250%、260%、270%、280%、290%、300%、350%、400%、450%、または500%異なる、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記第4の軸方向エネルギーが、(i)<20eV、(ii)20〜40eV、(iii)40〜60eV、(iv)60〜80eV、(v)80〜100eV、(vi)100〜120eV、(vii)120〜140eV、(viii)140〜160eV、(ix)160〜180eV、(x)180〜200eV、(xi)200〜220eV、(xii)220〜240eV、(xiii)240〜260eV、(xiv)260〜280eV、(xv)280〜300eV、(xvi)300〜320eV、(xvii)320〜340eV、(xviii)340〜360eV、(xix)360〜380eV、(xx)380〜400eV、(xxi)400〜420eV、(xxii)420〜440eV、(xxiii)440〜460eV、(xxiv)460〜480eV、(xxv)480〜500eV、(xxvi)500〜550eV、(xxvii)550〜600eV、(xxviii)600〜650eV、(xxix)650〜700eV、(xxx)700〜750eV、(xxxi)750〜800eV、(xxxii)800〜850eV、(xxxiii)850〜900eV、(xxxiv)900〜950eV、(xxxv)950〜1000eV、および(xxxvi)>1keVからなる群から選択される、請求項35〜39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記第4の軸方向エネルギーが、(i)1.0〜1.2keV、(ii)1.2〜1.4keV、(iii)1.4〜1.6keV、(iv)1.6〜1.8keV、(v)1.8〜2.0keV、(vi)2.0〜2.2keV、(vii)2.2〜2.4keV、(viii)2.4〜2.6keV、(ix)2.6〜2.8keV、(x)2.8〜3.0keV、(xi)3.0〜3.2keV、(xii)3.2〜3.4keV、(xiii)3.4〜3.6keV、(xiv)3.6〜3.8keV、(xv)3.8〜4.0keV、(xvi)4.0〜4.2keV、(xvii)4.2〜4.4keV、(xviii)4.4〜4.6keV、(xix)4.6〜4.8keV、(xx)4.8〜5.0keV、(xxi)5.0〜5.5keV、(xxii)5.5〜6.0keV、(xxiii)6.0〜6.5keV、(xxiv)6.5〜7.0keV、(xxv)7.0〜7.5keV、(xxvi)7.5〜8.0keV、(xxvii)8.0〜8.5keV、(xxviii)8.5〜9.0keV、(xxix)9.0〜9.5keV、(xxx)9.5〜10.0keV、および(xxxi)>10keVからなる群から選択される、請求項35〜40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記第4遅延時間が、(i)<1μs、(ii)1〜5μs、(iii)5〜10μs、(iv)10〜15μs、(v)15〜20μs、(vi)20〜25μs、(vii)25〜30μs、(viii)30〜35μs、(ix)35〜40μs、(x)40〜45μs、(xi)45〜50μs、(xii)50〜55μs、(xiii)55〜60μs、(xiv)60〜65μs、(xv)65〜70μs、(xvi)70〜75μs、(xvii)75〜80μs、(xviii)80〜85μs、(xix)85〜90μs、(xx)90〜95μs、(xxi)95〜100μs、(xxii)100〜100μs、(xxiii)110〜120μs、(xxiv)120〜130μs、(xxv)130〜140μs、(xxvi)140〜150μs、(xxvii)150〜160μs、(xxviii)160〜170μs、(xxix)170〜180μs、(xxx)180〜190μs、(xxxi)190〜200μs、(xxxii)200〜250μs、(xxxiii)250〜300μs、(xxxiv)300〜350μs、(xxxv)350〜400μs、(xxxvi)400〜450μs、(xxxvii)450〜500μs、(xxxviii)500〜1000μs、および(xxxix)>1000μsからなる群から選択される、請求項35〜41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記複数の第4フラグメントまたは娘イオンの前記少なくとも一部を直交方向に加速し、前記複数の第4フラグメントまたは娘イオンの前記少なくとも一部が第4の直交方向エネルギーを有するようにする、請求項35〜42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記第4の直交方向エネルギーが、(i)<1.0keV、(ii)1.0〜1.5keV、(iii)1.5〜2.0keV、(iv)2.0〜2.5keV、(v)2.5〜3.0keV、(vi)3.0〜3.5keV、(vii)3.5〜4.0keV、(viii)4.0〜4.5keV、(ix)4.5〜5.0keV、(x)5.0〜5.5keV、(xi)5.5〜6.0keV、(xii)6.0〜6.5keV、(xiii)6.5〜7.0keV、(xiv)7.0〜7.5keV、(xv)7.5〜8.0keV、(xvi)8.0〜8.5keV、(xvii)8.5〜9.0keV、(xviii)9.0〜9.5keV、(xix)9.5〜10.0keV、(xx)10.0〜10.5keV、(xxi)10.5〜11.0keV、(xxii)11.0〜11.5keV、(xxiii)11.5〜12.0keV、(xxiv)12.0〜12.5keV、(xxv)12.5〜13.0keV、(xxvi)13.0〜13.5keV、(xxvii)13.5〜14.0keV、(xxviii)14.0〜14.5keV、(xxix)14.5〜15.0keV、(xxx)15.0〜15.5keV、(xxxi)15.5〜16.0keV、(xxxii)16.0〜16.5keV、(xxxiii)16.5〜17.0keV、(xxxiv)17.0〜17.5keV、(xxxv)17.5〜18.0keV、(xxxvi)18.0〜18.5keV、(xxxvii)18.5〜19.0keV、(xxxviii)19.0〜19.5keV、(xxxix)19.5〜20.0keV、(xl)>20keVからなる群から選択される、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記複合質量スペクトルを形成する工程が、前記第1の質量スペクトルデータ、前記第2の質量スペクトルデータ、前記第3の質量スペクトルデータ、および前記第4の質量スペクトルデータを使用する、組み合わせる、または部分的に重ねることをさらに含む、請求項35〜44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記方法が、
第5の親または前駆イオンのパケットまたは群を用意することと、
前記第5の親または前駆イオンのパケットまたは群を加速し、前記第5の親または前駆イオンのパケットまたは群が第5の異なる軸方向エネルギーを有するようにすることと、
前記第5の親または前駆イオンのパケットまたは群を、複数の第5フラグメントまたは娘イオンへとフラグメント化するか、あるいは、前記第5の親または前駆イオンのパケットまたは群を、複数の第5フラグメントまたは娘イオンへと自ずとフラグメント化させることと、
第5遅延時間の後、前記複数の第5フラグメントまたは娘イオンの少なくとも一部を直交方向に加速することと、
前記複数の第5フラグメントまたは娘イオンのうち、第5の範囲の軸方向エネルギーを有するフラグメントまたは娘イオンを検出することと、
前記複数の第5フラグメントまたは娘イオンのうち、前記第5の範囲の軸方向エネルギーを有する娘イオンのフラグメントに関する第5の質量スペクトルデータを生成することとをさらに含む、請求項35〜45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記第1、第2、第3、第4および第5の範囲の軸方向エネルギーが実質的に同一である、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記第1、第2、第3、第4、および第5遅延時間が実質的に異なる、請求項46または47に記載の方法。
【請求項49】
前記第5の親または前駆イオンのパケットまたは群を加速する前記工程が、前記第1電場および/または前記第1フィールドフリー領域および/または前記第2電場および/または前記第2フィールドフリー領域および/または前記1以上の電極を、第5電場強度、電圧もしくは電位、または電圧もしくは電位差に保持することを含む、請求項46〜48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記第5電場強度、電圧もしくは電位、または電圧もしくは電位差が、前記第1および/または第2および/または第3および/または第4電場強度、電圧もしくは電位、または電圧もしくは電位差とは、少なくとも1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、110%、120%、130%、140%、150%、160%、170%、180%、190%、200%、210%、220%、230%、240%、250%、260%、270%、280%、290%、300%、350%、400%、450%、または500%異なる、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記第5の軸方向エネルギーが、(i)<20eV、(ii)20〜40eV、(iii)40〜60eV、(iv)60〜80eV、(v)80〜100eV、(vi)100〜120eV、(vii)120〜140eV、(viii)140〜160eV、(ix)160〜180eV、(x)180〜200eV、(xi)200〜220eV、(xii)220〜240eV、(xiii)240〜260eV、(xiv)260〜280eV、(xv)280〜300eV、(xvi)300〜320eV、(xvii)320〜340eV、(xviii)340〜360eV、(xix)360〜380eV、(xx)380〜400eV、(xxi)400〜420eV、(xxii)420〜440eV、(xxiii)440〜460eV、(xxiv)460〜480eV、(xxv)480〜500eV、(xxvi)500〜550eV、(xxvii)550〜600eV、(xxviii)600〜650eV、(xxix)650〜700eV、(xxx)700〜750eV、(xxxi)750〜800eV、(xxxii)800〜850eV、(xxxiii)850〜900eV、(xxxiv)900〜950eV、(xxxv)950〜1000eV、および(xxxvi)>1keVからなる群から選択される、請求項46〜50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
前記第5の軸方向エネルギーが、(i)1.0〜1.2keV、(ii)1.2〜1.4keV、(iii)1.4〜1.6keV、(iv)1.6〜1.8keV、(v)1.8〜2.0keV、(vi)2.0〜2.2keV、(vii)2.2〜2.4keV、(viii)2.4〜2.6keV、(ix)2.6〜2.8keV、(x)2.8〜3.0keV、(xi)3.0〜3.2keV、(xii)3.2〜3.4keV、(xiii)3.4〜3.6keV、(xiv)3.6〜3.8keV、(xv)3.8〜4.0keV、(xvi)4.0〜4.2keV、(xvii)4.2〜4.4keV、(xviii)4.4〜4.6keV、(xix)4.6〜4.8keV、(xx)4.8〜5.0keV、(xxi)5.0〜5.5keV、(xxii)5.5〜6.0keV、(xxiii)6.0〜6.5keV、(xxiv)6.5〜7.0keV、(xxv)7.0〜7.5keV、(xxvi)7.5〜8.0keV、(xxvii)8.0〜8.5keV、(xxviii)8.5〜9.0keV、(xxix)9.0〜9.5keV、(xxx)9.5〜10.0keV、および(xxxi)>10keVからなる群から選択される、請求項46〜51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記第5遅延時間は、(i)<1μs、(ii)1〜5μs、(iii)5〜10μs、(iv)10〜15μs、(v)15〜20μs、(vi)20〜25μs、(vii)25〜30μs、(viii)30〜35μs、(ix)35〜40μs、(x)40〜45μs、(xi)45〜50μs、(xii)50〜55μs、(xiii)55〜60μs、(xiv)60〜65μs、(xv)65〜70μs、(xvi)70〜75μs、(xvii)75〜80μs、(xviii)80〜85μs、(xix)85〜90μs、(xx)90〜95μs、(xxi)95〜100μs、(xxii)100〜100μs、(xxiii)110〜120μs、(xxiv)120〜130μs、(xxv)130〜140μs、(xxvi)140〜150μs、(xxvii)150〜160μs、(xxviii)160〜170μs、(xxix)170〜180μs、(xxx)180〜190μs、(xxxi)190〜200μs、(xxxii)200〜250μs、(xxxiii)250〜300μs、(xxxiv)300〜350μs、(xxxv)350〜400μs、(xxxvi)400〜450μs、(xxxvii)450〜500μs、(xxxviii)500〜1000μs、および(xxxix)>1000μsからなる群から選択される、請求項46〜52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
前記複数の第5フラグメントまたは娘イオンの前記少なくとも一部を直交方向に加速し、前記複数の第5フラグメントまたは娘イオンの前記少なくとも一部が第5の直交方向エネルギーを有するようにする、請求項46〜53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
前記第5の直交方向エネルギーが、(i)<1.0keV、(ii)1.0〜1.5keV、(iii)1.5〜2.0keV、(iv)2.0〜2.5keV、(v)2.5〜3.0keV、(vi)3.0〜3.5keV、(vii)3.5〜4.0keV、(viii)4.0〜4.5keV、(ix)4.5〜5.0keV、(x)5.0〜5.5keV、(xi)5.5〜6.0keV、(xii)6.0〜6.5keV、(xiii)6.5〜7.0keV、(xiv)7.0〜7.5keV、(xv)7.5〜8.0keV、(xvi)8.0〜8.5keV、(xvii)8.5〜9.0keV、(xviii)9.0〜9.5keV、(xix)9.5〜10.0keV、(xx)10.0〜10.5keV、(xxi)10.5〜11.0keV、(xxii)11.0〜11.5keV、(xxiii)11.5〜12.0keV、(xxiv)12.0〜12.5keV、(xxv)12.5〜13.0keV、(xxvi)13.0〜13.5keV、(xxvii)13.5〜14.0keV、(xxviii)14.0〜14.5keV、(xxix)14.5〜15.0keV、(xxx)15.0〜15.5keV、(xxxi)15.5〜16.0keV、(xxxii)16.0〜16.5keV、(xxxiii)16.5〜17.0keV、(xxxiv)17.0〜17.5keV、(xxxv)17.5〜18.0keV、(xxxvi)18.0〜18.5keV、(xxxvii)18.5〜19.0keV、(xxxviii)19.0〜19.5keV、(xxxix)19.5〜20.0keV、(xl)>20keVからなる群から選択される、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記複合質量スペクトルを形成する工程が、前記第1の質量スペクトルデータ、前記第2の質量スペクトルデータ、前記第3の質量スペクトルデータ、前記第4の質量スペクトルデータ、および前記第5の質量スペクトルデータを使用する、組み合わせる、または部分的に重ねることをさらに含む、請求項46〜55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記方法が、
第6の親または前駆イオンのパケットまたは群を用意することと、
前記第6の親または前駆イオンのパケットまたは群を加速し、前記第6の親または前駆イオンのパケットまたは群が第6の異なる軸方向エネルギーを有するようにすることと、
前記第6の親または前駆イオンのパケットまたは群を、複数の第6フラグメントまたは娘イオンへとフラグメント化するか、あるいは、前記第6の親または前駆イオンのパケットまたは群を、複数の第6フラグメントまたは娘イオンへと自ずとフラグメント化させることと、
第6遅延時間の後、前記複数の第6フラグメントまたは娘イオンの少なくとも一部を直交方向に加速することと、
前記複数の第6フラグメントまたは娘イオンのうち、第6の範囲の軸方向エネルギーを有するフラグメントまたは娘イオンを検出することと、
複数の第6フラグメントまたは娘イオンのうち、前記第6の範囲の軸方向エネルギーを有する娘イオンのフラグメントに関する第6の質量スペクトルデータを生成することとをさらに含む、請求項46〜56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記第1、第2、第3、第4、第5、および第6の範囲の軸方向エネルギーが実質的に同一である、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記第1、第2、第3、第4、第5、および第6遅延時間が実質的に異なる、請求項57または58に記載の方法。
【請求項60】
前記第6の親または前駆イオンのパケットまたは群を加速する前記工程が、前記第1電場および/または前記第1フィールドフリー領域および/または前記第2電場および/または前記第2フィールドフリー領域および/または前記1以上の電極を、第6電場強度、電圧もしくは電位、または電圧もしくは電位差に保持することを含む、請求項57〜59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
前記第6電場強度、電圧または電位が、前記第1および/または第2および/または第3および/または第4および/または第5電場強度、電圧もしくは電位、または電圧もしくは電位差とは、少なくとも1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、110%、120%、130%、140%、150%、160%、170%、180%、190%、200%、210%、220%、230%、240%、250%、260%、270%、280%、290%、300%、350%、400%、450%、または500%異なる、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記第6の軸方向エネルギーが、(i)<20eV、(ii)20〜40eV、(iii)40〜60eV、(iv)60〜80eV、(v)80〜100eV、(vi)100〜120eV、(vii)120〜140eV、(viii)140〜160eV、(ix)160〜180eV、(x)180〜200eV、(xi)200〜220eV、(xii)220〜240eV、(xiii)240〜260eV、(xiv)260〜280eV、(xv)280〜300eV、(xvi)300〜320eV、(xvii)320〜340eV、(xviii)340〜360eV、(xix)360〜380eV、(xx)380〜400eV、(xxi)400〜420eV、(xxii)420〜440eV、(xxiii)440〜460eV、(xxiv)460〜480eV、(xxv)480〜500eV、(xxvi)500〜550eV、(xxvii)550〜600eV、(xxviii)600〜650eV、(xxix)650〜700eV、(xxx)700〜750eV、(xxxi)750〜800eV、(xxxii)800〜850eV、(xxxiii)850〜900eV、(xxxiv)900〜950eV、(xxxv)950〜1000eV、および(xxxvi)>1keVからなる群から選択される、請求項57〜61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
前記第6の軸方向エネルギーが、(i)1.0〜1.2keV、(ii)1.2〜1.4keV、(iii)1.4〜1.6keV、(iv)1.6〜1.8keV、(v)1.8〜2.0keV、(vi)2.0〜2.2keV、(vii)2.2〜2.4keV、(viii)2.4〜2.6keV、(ix)2.6〜2.8keV、(x)2.8〜3.0keV、(xi)3.0〜3.2keV、(xii)3.2〜3.4keV、(xiii)3.4〜3.6keV、(xiv)3.6〜3.8keV、(xv)3.8〜4.0keV、(xvi)4.0〜4.2keV、(xvii)4.2〜4.4keV、(xviii)4.4〜4.6keV、(xix)4.6〜4.8keV、(xx)4.8〜5.0keV、(xxi)5.0〜5.5keV、(xxii)5.5〜6.0keV、(xxiii)6.0〜6.5keV、(xxiv)6.5〜7.0keV、(xxv)7.0〜7.5keV、(xxvi)7.5〜8.0keV、(xxvii)8.0〜8.5keV、(xxviii)8.5〜9.0keV、(xxix)9.0〜9.5keV、(xxx)9.5〜10.0keV、および(xxxi)>10keVからなる群から選択される、請求項57〜62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
前記第6遅延時間が、(i)<1μs、(ii)1〜5μs、(iii)5〜10μs、(iv)10〜15μs、(v)15〜20μs、(vi)20〜25μs、(vii)25〜30μs、(viii)30〜35μs、(ix)35〜40μs、(x)40〜45μs、(xi)45〜50μs、(xii)50〜55μs、(xiii)55〜60μs、(xiv)60〜65μs、(xv)65〜70μs、(xvi)70〜75μs、(xvii)75〜80μs、(xviii)80〜85μs、(xix)85〜90μs、(xx)90〜95μs、(xxi)95〜100μs、(xxii)100〜100μs、(xxiii)110〜120μs、(xxiv)120〜130μs、(xxv)130〜140μs、(xxvi)140〜150μs、(xxvii)150〜160μs、(xxviii)160〜170μs、(xxix)170〜180μs、(xxx)180〜190μs、(xxxi)190〜200μs、(xxxii)200〜250μs、(xxxiii)250〜300μs、(xxxiv)300〜350μs、(xxxv)350〜400μs、(xxxvi)400〜450μs、(xxxvii)450〜500μs、(xxxviii)500〜1000μs、および(xxxix)>1000μsからなる群から選択される、請求項57〜63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
前記複数の第6フラグメントまたは娘イオンの前記少なくとも一部を直交方向に加速し、前記複数の第6フラグメントまたは娘イオンの前記少なくとも一部が第6の直交方向エネルギーを有するようにする、請求項57〜64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
前記第6の直交方向エネルギーが、(i)<1.0keV、(ii)1.0〜1.5keV、(iii)1.5〜2.0keV、(iv)2.0〜2.5keV、(v)2.5〜3.0keV、(vi)3.0〜3.5keV、(vii)3.5〜4.0keV、(viii)4.0〜4.5keV、(ix)4.5〜5.0keV、(x)5.0〜5.5keV、(xi)5.5〜6.0keV、(xii)6.0〜6.5keV、(xiii)6.5〜7.0keV、(xiv)7.0〜7.5keV、(xv)7.5〜8.0keV、(xvi)8.0〜8.5keV、(xvii)8.5〜9.0keV、(xviii)9.0〜9.5keV、(xix)9.5〜10.0keV、(xx)10.0〜10.5keV、(xxi)10.5〜11.0keV、(xxii)11.0〜11.5keV、(xxiii)11.5〜12.0keV、(xxiv)12.0〜12.5keV、(xxv)12.5〜13.0keV、(xxvi)13.0〜13.5keV、(xxvii)13.5〜14.0keV、(xxviii)14.0〜14.5keV、(xxix)14.5〜15.0keV、(xxx)15.0〜15.5keV、(xxxi)15.5〜16.0keV、(xxxii)16.0〜16.5keV、(xxxiii)16.5〜17.0keV、(xxxiv)17.0〜17.5keV、(xxxv)17.5〜18.0keV、(xxxvi)18.0〜18.5keV、(xxxvii)18.5〜19.0keV、(xxxviii)19.0〜19.5keV、(xxxix)19.5〜20.0keV、(xl)>20keVからなる群から選択される、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記複合質量スペクトルを形成する工程が、前記第1の質量スペクトルデータ、前記第2の質量スペクトルデータ、前記第3の質量スペクトルデータ、前記第4の質量スペクトルデータ、前記第5の質量スペクトルデータ、および前記第6の質量スペクトルデータを使用する、組み合わせる、または部分的に重ねることをさらに含む、請求項57〜66のいずれか一項に記載の方法。
【請求項68】
前記第1の軸方向エネルギーおよび/または前記第2の軸方向エネルギーおよび/または前記第3の軸方向エネルギーおよび/または前記第4の軸方向エネルギーおよび/または前記第5の軸方向エネルギーおよび/または前記第6の軸方向エネルギーが互いに実質的に異なる、請求項1〜67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
前記第1遅延時間および/または前記第2遅延時間および/または前記第3遅延時間および/または前記第4遅延時間および/または前記第5遅延時間および/または前記第6遅延時間が互いに実質的に異なる、請求項1〜68のいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
前記第1の直交方向エネルギーおよび/または前記第2の直交方向エネルギーおよび/または前記第3の直交方向エネルギーおよび/または前記第4の直交方向エネルギーおよび/または前記第5の直交方向エネルギーおよび/または前記第6の直交方向エネルギーが実質的に同一である、請求項1〜69のいずれか一項に記載の方法。
【請求項71】
衝突、フラグメント化、または反応装置を用意することをさらに含む、請求項1〜70のいずれか一項に記載の方法。
【請求項72】
前記衝突、フラグメント化、または反応装置が、衝突誘起解離(「CID」)によってイオンをフラグメント化するように構成される、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
前記衝突、フラグメント化、または反応装置が、(i)表面誘起解離(「SID」)フラグメント化装置、(ii)電子移動解離フラグメント化装置、(iii)電子捕獲解離フラグメント化装置、(iv)電子衝突または衝撃解離フラグメント化装置、(v)光誘起解離(「PID」)フラグメント化装置、(vi)レーザー誘起解離フラグメント化装置、(vii)赤外線誘起解離装置、(viii)紫外線誘起解離装置、(ix)ノズル−スキマー・インターフェースフラグメント化装置、(x)インソースフラグメント化装置、(xi)イオン源衝突誘起解離フラグメント化装置、(xii)熱または温度源フラグメント化装置、(xiii)電場誘起フラグメント化装置、(xiv)磁場誘起フラグメント化装置、(xv)酵素消化または酵素分解フラグメント化装置、(xvi)イオン−イオン反応フラグメント化装置、(xvii)イオン−分子反応フラグメント化装置、(xviii)イオン−原子反応フラグメント化装置、(xix)イオン−準安定イオン反応フラグメント化装置、(xx)イオン−準安定分子反応フラグメント化装置、(xxi)イオン−準安定原子反応フラグメント化装置、(xxii)イオンを反応させて付加または生成イオンを形成するイオン−イオン反応装置、(xxiii)イオンを反応させて付加または生成イオンを形成するイオン−分子反応装置、(xxiv)イオンを反応させて付加または生成イオンを形成するイオン−原子反応装置、(xxv)イオンを反応させて付加または生成イオンを形成するイオン−準安定イオン反応装置、(xxvi)イオンを反応させて付加または生成イオンを形成するイオン−準安定分子反応装置、および(xxvii)イオンを反応させて付加または生成イオンを形成するイオン−準安定原子反応装置からなる群から選択される、請求項71に記載の方法。
【請求項74】
前記イオンを自ずとフラグメント化させる工程が、ポストソース分解(「PSD」)によってイオンをフラグメント化させることを含む、請求項1〜73のいずれか一項に記載の方法。
【請求項75】
静電エネルギー分析器および/または質量フィルターおよび/または特定の親または前駆イオンを選択するためのイオンゲートを用意することをさらに含む、請求項1〜74のいずれか一項に記載の方法。
【請求項76】
前記質量フィルターが、磁場型質量フィルター、RF四重極質量フィルター、ウィーンフィルター、または直交加速式飛行時間質量フィルターを含む、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
直交加速領域を備えた直交加速式飛行時間質量分析器と、
(i)第1の親または前駆イオンのパケットまたは群を加速し、前記第1の親または前駆イオンのパケットまたは群が第1の軸方向エネルギーを有するようにし、
(ii)前記第1の親または前駆イオンのパケットまたは群を、複数の第1フラグメントまたは娘イオンへとフラグメント化するか、あるいは、前記第1の親または前駆イオンのパケットまたは群を、複数の第1フラグメントまたは娘イオンへと自ずとフラグメント化させ、
(iii)第1遅延時間の後、前記複数の第1フラグメントまたは娘イオンの少なくとも一部を直交方向に加速し、
(iv)第2の親または前駆イオンのパケットまたは群を加速し、前記第2の親または前駆イオンのパケットまたは群が第2の異なる軸方向エネルギーを有するようにし、
(v)前記第2の親または前駆イオンのパケットまたは群を、複数の第2フラグメントまたは娘イオンへとフラグメント化するか、あるいは、前記第2の親または前駆イオンのパケットまたは群を、複数の第2フラグメントまたは娘イオンへと自ずとフラグメント化させ、かつ
(vi)第2遅延時間の後、前記複数の第2フラグメントまたは娘イオンの少なくとも一部を直交方向に加速するように構成された制御システムと、
(i)前記複数の第1フラグメントまたは娘イオンのうち、第1の範囲の軸方向エネルギーを有するフラグメントまたは娘イオンを検出し、
(ii)前記複数の第2フラグメントまたは娘イオンのうち、第2の範囲の軸方向エネルギーを有するフラグメントまたは娘イオンを検出するように構成されたイオン検出器とを備えた質量分析計であって、
前記質量分析計が、
前記複数の第1フラグメントまたは娘イオンのうち、前記第1の範囲の軸方向エネルギーを有するフラグメントまたは娘イオンに関する第1の質量スペクトルデータを生成するように構成された手段と、
前記複数の第2フラグメントまたは娘イオンのうち、前記第2の範囲の軸方向エネルギーを有する前記フラグメントまたは娘イオンに関する第2の質量スペクトルデータを生成するように構成された手段と、
前記第1の質量スペクトルデータと前記第2の質量スペクトルデータを使用する、組み合わせる、または部分的に重ねることによって複合質量スペクトルを形成するように構成された手段とをさらに備えた質量分析計。
【請求項78】
前記第1の範囲の軸方向エネルギーが、前記第2の範囲の軸方向エネルギーと実質的に同一である、請求項77に記載の質量分析計。
【請求項79】
前記第1遅延時間が、前記第2遅延時間とは実質的に異なる、請求項77または78に記載の質量分析計。
【請求項80】
第1電場領域をさらに備えている、請求項77〜79のいずれか一項に記載の質量分析計。
【請求項81】
第1フィールドフリー領域をさらに備えている、請求項77〜80のいずれか一項に記載の質量分析計。
【請求項82】
前記第1フィールドフリー領域が、前記第1電場領域の下流に配置される、請求項80または81に記載の質量分析計。
【請求項83】
第2電場領域をさらに備えている、請求項77〜82のいずれか一項に記載の質量分析計。
【請求項84】
第2フィールドフリー領域をさらに備えている、請求項77〜83のいずれか一項に記載の質量分析計。
【請求項85】
前記第2フィールドフリー領域が、前記第2電場領域の下流に配置される、請求項83または84に記載の質量分析計。
【請求項86】
前記直交加速領域に隣接して配置された1以上の電極をさらに備えている、請求項77〜85のいずれか一項に記載の質量分析計。
【請求項87】
前記制御システムが、前記第1の親または前駆イオンのパケットまたは群を加速するため、前記第1電場および/または前記第1フィールドフリー領域および/または前記第2電場および/または前記第2フィールドフリー領域および/または前記1以上の電極を、第1電場強度、電圧もしくは電位、または電圧もしくは電位差に保持するように構成されている、請求項80〜86のいずれか一項に記載の質量分析計。
【請求項88】
前記制御システムが、前記第2の親または前駆イオンのパケットまたは群を加速するため、前記第1電場および/または前記第1フィールドフリー領域および/または前記第2電場および/または前記第2フィールドフリー領域および/または前記1以上の電極を、第2電場強度、電圧もしくは電位、または電圧もしくは電位差に保持するように構成されている、請求項80〜87のいずれか一項に記載の質量分析計。
【請求項89】
前記第2電場強度、電圧もしくは電位、または電圧もしくは電位差が、前記第1電場強度、電圧もしくは電位、または電圧もしくは電位差とは、少なくとも1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、110%、120%、130%、140%、150%、160%、170%、180%、190%、200%、210%、220%、230%、240%、250%、260%、270%、280%、290%、300%、350%、400%、450%、または500%異なる、請求項88に記載の質量分析計。
【請求項90】
前記第1の軸方向エネルギーが、(i)<20eV、(ii)20〜40eV、(iii)40〜60eV、(iv)60〜80eV、(v)80〜100eV、(vi)100〜120eV、(vii)120〜140eV、(viii)140〜160eV、(ix)160〜180eV、(x)180〜200eV、(xi)200〜220eV、(xii)220〜240eV、(xiii)240〜260eV、(xiv)260〜280eV、(xv)280〜300eV、(xvi)300〜320eV、(xvii)320〜340eV、(xviii)340〜360eV、(xix)360〜380eV、(xx)380〜400eV、(xxi)400〜420eV、(xxii)420〜440eV、(xxiii)440〜460eV、(xxiv)460〜480eV、(xxv)480〜500eV、(xxvi)500〜550eV、(xxvii)550〜600eV、(xxviii)600〜650eV、(xxix)650〜700eV、(xxx)700〜750eV、(xxxi)750〜800eV、(xxxii)800〜850eV、(xxxiii)850〜900eV、(xxxiv)900〜950eV、(xxxv)950〜1000eV、および(xxxvi)>1keVからなる群から選択される、請求項77〜89のいずれか一項に記載の質量分析計。
【請求項91】
前記第1の軸方向エネルギーが、(i)1.0〜1.2keV、(ii)1.2〜1.4keV、(iii)1.4〜1.6keV、(iv)1.6〜1.8keV、(v)1.8〜2.0keV、(vi)2.0〜2.2keV、(vii)2.2〜2.4keV、(viii)2.4〜2.6keV、(ix)2.6〜2.8keV、(x)2.8〜3.0keV、(xi)3.0〜3.2keV、(xii)3.2〜3.4keV、(xiii)3.4〜3.6keV、(xiv)3.6〜3.8keV、(xv)3.8〜4.0keV、(xvi)4.0〜4.2keV、(xvii)4.2〜4.4keV、(xviii)4.4〜4.6keV、(xix)4.6〜4.8keV、(xx)4.8〜5.0keV、(xxi)5.0〜5.5keV、(xxii)5.5〜6.0keV、(xxiii)6.0〜6.5keV、(xxiv)6.5〜7.0keV、(xxv)7.0〜7.5keV、(xxvi)7.5〜8.0keV、(xxvii)8.0〜8.5keV、(xxviii)8.5〜9.0keV、(xxix)9.0〜9.5keV、(xxx)9.5〜10.0keV、および(xxxi)>10keVからなる群から選択される、請求項77〜90のいずれか一項に記載の質量分析計。
【請求項92】
前記第1遅延時間が、(i)<1μs、(ii)1〜5μs、(iii)5〜10μs、(iv)10〜15μs、(v)15〜20μs、(vi)20〜25μs、(vii)25〜30μs、(viii)30〜35μs、(ix)35〜40μs、(x)40〜45μs、(xi)45〜50μs、(xii)50〜55μs、(xiii)55〜60μs、(xiv)60〜65μs、(xv)65〜70μs、(xvi)70〜75μs、(xvii)75〜80μs、(xviii)80〜85μs、(xix)85〜90μs、(xx)90〜95μs、(xxi)95〜100μs、(xxii)100〜100μs、(xxiii)110〜120μs、(xxiv)120〜130μs、(xxv)130〜140μs、(xxvi)140〜150μs、(xxvii)150〜160μs、(xxviii)160〜170μs、(xxix)170〜180μs、(xxx)180〜190μs、(xxxi)190〜200μs、(xxxii)200〜250μs、(xxxiii)250〜300μs、(xxxiv)300〜350μs、(xxxv)350〜400μs、(xxxvi)400〜450μs、(xxxvii)450〜500μs、(xxxviii)500〜1000μs、および(xxxix)>1000μsからなる群から選択される、請求項77〜91のいずれか一項に記載の質量分析計。
【請求項93】
前記複数の第1フラグメントまたは娘イオンの前記少なくとも一部を直交方向に加速し、前記複数の第1フラグメントまたは娘イオンの前記少なくとも一部が第1の直交方向エネルギーを有するようにする、請求項77〜92のいずれか一項に記載の質量分析計。
【請求項94】
前記第1の直交方向エネルギーが、(i)<1.0keV、(ii)1.0〜1.5keV、(iii)1.5〜2.0keV、(iv)2.0〜2.5keV、(v)2.5〜3.0keV、(vi)3.0〜3.5keV、(vii)3.5〜4.0keV、(viii)4.0〜4.5keV、(ix)4.5〜5.0keV、(x)5.0〜5.5keV、(xi)5.5〜6.0keV、(xii)6.0〜6.5keV、(xiii)6.5〜7.0keV、(xiv)7.0〜7.5keV、(xv)7.5〜8.0keV、(xvi)8.0〜8.5keV、(xvii)8.5〜9.0keV、(xviii)9.0〜9.5keV、(xix)9.5〜10.0keV、(xx)10.0〜10.5keV、(xxi)10.5〜11.0keV、(xxii)11.0〜11.5keV、(xxiii)11.5〜12.0keV、(xxiv)12.0〜12.5keV、(xxv)12.5〜13.0keV、(xxvi)13.0〜13.5keV、(xxvii)13.5〜14.0keV、(xxviii)14.0〜14.5keV、(xxix)14.5〜15.0keV、(xxx)15.0〜15.5keV、(xxxi)15.5〜16.0keV、(xxxii)16.0〜16.5keV、(xxxiii)16.5〜17.0keV、(xxxiv)17.0〜17.5keV、(xxxv)17.5〜18.0keV、(xxxvi)18.0〜18.5keV、(xxxvii)18.5〜19.0keV、(xxxviii)19.0〜19.5keV、(xxxix)19.5〜20.0keV、(xl)>20keVからなる群から選択される、請求項93に記載の質量分析計。
【請求項95】
前記第2の軸方向エネルギーが、(i)<20eV、(ii)20〜40eV、(iii)40〜60eV、(iv)60〜80eV、(v)80〜100eV、(vi)100〜120eV、(vii)120〜140eV、(viii)140〜160eV、(ix)160〜180eV、(x)180〜200eV、(xi)200〜220eV、(xii)220〜240eV、(xiii)240〜260eV、(xiv)260〜280eV、(xv)280〜300eV、(xvi)300〜320eV、(xvii)320〜340eV、(xviii)340〜360eV、(xix)360〜380eV、(xx)380〜400eV、(xxi)400〜420eV、(xxii)420〜440eV、(xxiii)440〜460eV、(xxiv)460〜480eV、(xxv)480〜500eV、(xxvi)500〜550eV、(xxvii)550〜600eV、(xxviii)600〜650eV、(xxix)650〜700eV、(xxx)700〜750eV、(xxxi)750〜800eV、(xxxii)800〜850eV、(xxxiii)850〜900eV、(xxxiv)900〜950eV、(xxxv)950〜1000eV、および(xxxvi)>1keVからなる群から選択される、請求項77〜94のいずれか一項に記載の質量分析計。
【請求項96】
前記第2の軸方向エネルギーが、(i)1.0〜1.2keV、(ii)1.2〜1.4keV、(iii)1.4〜1.6keV、(iv)1.6〜1.8keV、(v)1.8〜2.0keV、(vi)2.0〜2.2keV、(vii)2.2〜2.4keV、(viii)2.4〜2.6keV、(ix)2.6〜2.8keV、(x)2.8〜3.0keV、(xi)3.0〜3.2keV、(xii)3.2〜3.4keV、(xiii)3.4〜3.6keV、(xiv)3.6〜3.8keV、(xv)3.8〜4.0keV、(xvi)4.0〜4.2keV、(xvii)4.2〜4.4keV、(xviii)4.4〜4.6keV、(xix)4.6〜4.8keV、(xx)4.8〜5.0keV、(xxi)5.0〜5.5keV、(xxii)5.5〜6.0keV、(xxiii)6.0〜6.5keV、(xxiv)6.5〜7.0keV、(xxv)7.0〜7.5keV、(xxvi)7.5〜8.0keV、(xxvii)8.0〜8.5keV、(xxviii)8.5〜9.0keV、(xxix)9.0〜9.5keV、(xxx)9.5〜10.0keV、および(xxxi)>10keVからなる群から選択される、請求項77〜95のいずれか一項に記載の質量分析計。
【請求項97】
前記第2遅延時間が、(i)<1μs、(ii)1〜5μs、(iii)5〜10μs、(iv)10〜15μs、(v)15〜20μs、(vi)20〜25μs、(vii)25〜30μs、(viii)30〜35μs、(ix)35〜40μs、(x)40〜45μs、(xi)45〜50μs、(xii)50〜55μs、(xiii)55〜60μs、(xiv)60〜65μs、(xv)65〜70μs、(xvi)70〜75μs、(xvii)75〜80μs、(xviii)80〜85μs、(xix)85〜90μs、(xx)90〜95μs、(xxi)95〜100μs、(xxii)100〜100μs、(xxiii)110〜120μs、(xxiv)120〜130μs、(xxv)130〜140μs、(xxvi)140〜150μs、(xxvii)150〜160μs、(xxviii)160〜170μs、(xxix)170〜180μs、(xxx)180〜190μs、(xxxi)190〜200μs、(xxxii)200〜250μs、(xxxiii)250〜300μs、(xxxiv)300〜350μs、(xxxv)350〜400μs、(xxxvi)400〜450μs、(xxxvii)450〜500μs、(xxxviii)500〜1000μs、および(xxxix)>1000μsからなる群から選択される、請求項77〜96のいずれか一項に記載の質量分析計。
【請求項98】
前記複数の第2フラグメントまたは娘イオンの前記少なくとも一部を直交方向に加速し、前記複数の第2フラグメントまたは娘イオンの前記少なくとも一部が第2の直交方向エネルギーを有するようにする、請求項77〜97のいずれか一項に記載の質量分析計。
【請求項99】
前記第2の直交方向エネルギーが、(i)<1.0keV、(ii)1.0〜1.5keV、(iii)1.5〜2.0keV、(iv)2.0〜2.5keV、(v)2.5〜3.0keV、(vi)3.0〜3.5keV、(vii)3.5〜4.0keV、(viii)4.0〜4.5keV、(ix)4.5〜5.0keV、(x)5.0〜5.5keV、(xi)5.5〜6.0keV、(xii)6.0〜6.5keV、(xiii)6.5〜7.0keV、(xiv)7.0〜7.5keV、(xv)7.5〜8.0keV、(xvi)8.0〜8.5keV、(xvii)8.5〜9.0keV、(xviii)9.0〜9.5keV、(xix)9.5〜10.0keV、(xx)10.0〜10.5keV、(xxi)10.5〜11.0keV、(xxii)11.0〜11.5keV、(xxiii)11.5〜12.0keV、(xxiv)12.0〜12.5keV、(xxv)12.5〜13.0keV、(xxvi)13.0〜13.5keV、(xxvii)13.5〜14.0keV、(xxviii)14.0〜14.5keV、(xxix)14.5〜15.0keV、(xxx)15.0〜15.5keV、(xxxi)15.5〜16.0keV、(xxxii)16.0〜16.5keV、(xxxiii)16.5〜17.0keV、(xxxiv)17.0〜17.5keV、(xxxv)17.5〜18.0keV、(xxxvi)18.0〜18.5keV、(xxxvii)18.5〜19.0keV、(xxxviii)19.0〜19.5keV、(xxxix)19.5〜20.0keV、(xl)>20keVからなる群から選択される、請求項98に記載の質量分析計。
【請求項100】
イオン源をさらに備えている、請求項77〜99のいずれか一項に記載の質量分析計。
【請求項101】
前記イオン源が、(i)エレクトロスプレーイオン化(「ESI」)イオン源、(ii)大気圧光イオン化(「APPI」)イオン源、(iii)大気圧化学イオン化(「APCI」)イオン源、(iv)マトリックス支援レーザー脱離イオン化(「MALDI」)イオン源、(v)レーザー脱離イオン化(「LDI」)イオン源、(vi)大気圧イオン化(「API」)イオン源、(vii)シリコン基板上脱離イオン化(「DIOS」)イオン源、(viii)電子衝撃(「EI」)イオン源、(ix)化学イオン化(「CI」)イオン源、(x)電界イオン化(「FI」)イオン源、(xi)電界脱離(「FD」)イオン源、(xii)誘導結合プラズマ(「ICP」)イオン源、(xiii)高速原子衝撃(「FAB」)イオン源、(xiv)液体二次イオン質量分析(「LSIMS」)イオン源、(xv)脱離エレクトロスプレーイオン化(「DESI」)イオン源、(xvi)ニッケル63放射性イオン源、(xvii)大気圧マトリックス支援レーザー脱離イオン化イオン源、および(xviii)サーモスプレーイオン源からなる群から選択される、請求項100に記載の質量分析計。
【請求項102】
連続またはパルスイオン源をさらに備えている、請求項100または101に記載の質量分析計。
【請求項103】
衝突、フラグメント化、または反応装置をさらに備えている、請求項77〜102のいずれか一項に記載の質量分析計。
【請求項104】
前記衝突、フラグメント化、または反応装置が、衝突誘起解離(「CID」)によってイオンをフラグメント化するように構成されている、請求項103に記載の質量分析計。
【請求項105】
前記衝突、フラグメント化、または反応装置が、(i)表面誘起解離(「SID」)フラグメント化装置、(ii)電子移動解離フラグメント化装置、(iii)電子捕獲解離フラグメント化装置、(iv)電子衝突または衝撃解離フラグメント化装置、(v)光誘起解離(「PID」)フラグメント化装置、(vi)レーザー誘起解離フラグメント化装置、(vii)赤外線誘起解離装置、(viii)紫外線誘起解離装置、(ix)ノズル−スキマー・インターフェースフラグメント化装置、(x)インソースフラグメント化装置、(xi)イオン源衝突誘起解離フラグメント化装置、(xii)熱または温度源フラグメント化装置、(xiii)電場誘起フラグメント化装置、(xiv)磁場誘起フラグメント化装置、(xv)酵素消化または酵素分解フラグメント化装置、(xvi)イオン−イオン反応フラグメント化装置、(xvii)イオン−分子反応フラグメント化装置、(xviii)イオン−原子反応フラグメント化装置、(xix)イオン−準安定イオン反応フラグメント化装置、(xx)イオン−準安定分子反応フラグメント化装置、(xxi)イオン−準安定原子反応フラグメント化装置、(xxii)イオンを反応させて付加または生成イオンを形成するイオン−イオン反応装置、(xxiii)イオンを反応させて付加または生成イオンを形成するイオン−分子反応装置、(xxiv)イオンを反応させて付加または生成イオンを形成するイオン−原子反応装置、(xxv)イオンを反応させて付加または生成イオンを形成するイオン−準安定イオン反応装置、(xxvi)イオンを反応させて付加または生成イオンを形成するイオン−準安定分子反応装置、および(xxvii)イオンを反応させて付加または生成イオンを形成するイオン−準安定原子反応装置からなる群から選択される、請求項103に記載の質量分析計。
【請求項106】
親または前駆イオンの少なくとも一部は、使用時に前記衝突、フラグメント化、または反応装置内でフラグメント化されるか、または反応させられ、フラグメント、娘、付加、または生成イオンを形成し、また、前記フラグメント、娘、付加または生成イオンおよび/またはこれらに対応するあらゆる親または前駆イオンは、実質的に同じ速度で前記衝突、フラグメント化、または反応装置から離脱し、実質的に同時に前記直交加速領域に到達する、請求項103〜105のいずれか一項に記載の質量分析計。
【請求項107】
ポストソース分解(「PSD」)によりイオンのフラグメント化を引き起こす、および/またはイオンをフラグメント化させる手段をさらに備えている、請求項77〜106のいずれか一項に記載の質量分析計。
【請求項108】
静電エネルギー分析器および/または質量フィルターおよび/または特定の親または前駆イオンを選択するためのイオンゲートをさらに備えている、請求項77〜107のいずれか一項に記載の質量分析計。
【請求項109】
前記質量フィルターが、磁場型質量フィルター、RF四重極質量フィルター、ウィーンフィルター、または直交加速式飛行時間質量フィルターを含む、請求項108に記載の質量分析計。
【請求項110】
直交加速領域を備えた直交加速式飛行時間質量分析器を用意することと、
第1の親または前駆イオンのパケットまたは群を用意することと、
前記第1の親または前駆イオンのパケットまたは群を、複数の第1フラグメントまたは娘イオンへとフラグメント化するか、あるいは、前記第1の親または前駆イオンのパケットまたは群を、複数の第1フラグメントまたは娘イオンへと自ずとフラグメント化させることと、
前記複数の第1フラグメントまたは娘イオンの少なくとも一部を直交方向に加速し、前記複数の第1フラグメントまたは娘イオンの前記少なくとも一部が第1の直交方向エネルギーを有するようにすることと、
前記複数の第1フラグメントまたは娘イオンのうち、前記第1の直交方向エネルギーを有するフラグメントまたは娘イオンを検出することと、
前記複数の第1フラグメントまたは娘イオンのうち、前記第1の直交方向エネルギーを有するフラグメントまたは娘イオンに関する第1の質量スペクトルデータを生成することと、
第2の親または前駆イオンのパケットまたは群を用意することと、
前記第2の親または前駆イオンのパケットまたは群を、複数の第2フラグメントまたは娘イオンへとフラグメント化するか、あるいは、前記第2の親または前駆イオンのパケットまたは群を、複数の第2フラグメントまたは娘イオンへと自ずとフラグメント化させることと、
前記複数の第2フラグメントまたは娘イオンの少なくとも一部を直交方向に加速し、前記複数の第2フラグメントまたは娘イオンの前記少なくとも一部が第2の異なる直交方向エネルギーを有するようにすることと、
前記複数の第2フラグメントまたは娘イオンのうち、前記第2の直交方向エネルギーを有するフラグメントまたは娘イオンを検出することと、
前記複数の第2フラグメントまたは娘イオンのうち、前記第2の直交方向エネルギーを有する前記フラグメントまたは娘イオンに関する第2の質量スペクトルデータを生成することと、
前記第1の質量スペクトルデータと前記第2の質量スペクトルデータを使用する、組み合わせる、または部分的に重ねることによって複合質量スペクトルを形成することとを含む質量分析法。
【請求項111】
前記第1の直交方向エネルギーが、(i)<1.0keV、(ii)1.0〜1.5keV、(iii)1.5〜2.0keV、(iv)2.0〜2.5keV、(v)2.5〜3.0keV、(vi)3.0〜3.5keV、(vii)3.5〜4.0keV、(viii)4.0〜4.5keV、(ix)4.5〜5.0keV、(x)5.0〜5.5keV、(xi)5.5〜6.0keV、(xii)6.0〜6.5keV、(xiii)6.5〜7.0keV、(xiv)7.0〜7.5keV、(xv)7.5〜8.0keV、(xvi)8.0〜8.5keV、(xvii)8.5〜9.0keV、(xviii)9.0〜9.5keV、(xix)9.5〜10.0keV、(xx)10.0〜10.5keV、(xxi)10.5〜11.0keV、(xxii)11.0〜11.5keV、(xxiii)11.5〜12.0keV、(xxiv)12.0〜12.5keV、(xxv)12.5〜13.0keV、(xxvi)13.0〜13.5keV、(xxvii)13.5〜14.0keV、(xxviii)14.0〜14.5keV、(xxix)14.5〜15.0keV、(xxx)15.0〜15.5keV、(xxxi)15.5〜16.0keV、(xxxii)16.0〜16.5keV、(xxxiii)16.5〜17.0keV、(xxxiv)17.0〜17.5keV、(xxxv)17.5〜18.0keV、(xxxvi)18.0〜18.5keV、(xxxvii)18.5〜19.0keV、(xxxviii)19.0〜19.5keV、(xxxix)19.5〜20.0keV、(xl)>20keVからなる群から選択される、請求項110に記載の方法。
【請求項112】
前記第2の直交方向エネルギーが、(i)<1.0keV、(ii)1.0〜1.5keV、(iii)1.5〜2.0keV、(iv)2.0〜2.5keV、(v)2.5〜3.0keV、(vi)3.0〜3.5keV、(vii)3.5〜4.0keV、(viii)4.0〜4.5keV、(ix)4.5〜5.0keV、(x)5.0〜5.5keV、(xi)5.5〜6.0keV、(xii)6.0〜6.5keV、(xiii)6.5〜7.0keV、(xiv)7.0〜7.5keV、(xv)7.5〜8.0keV、(xvi)8.0〜8.5keV、(xvii)8.5〜9.0keV、(xviii)9.0〜9.5keV、(xix)9.5〜10.0keV、(xx)10.0〜10.5keV、(xxi)10.5〜11.0keV、(xxii)11.0〜11.5keV、(xxiii)11.5〜12.0keV、(xxiv)12.0〜12.5keV、(xxv)12.5〜13.0keV、(xxvi)13.0〜13.5keV、(xxvii)13.5〜14.0keV、(xxviii)14.0〜14.5keV、(xxix)14.5〜15.0keV、(xxx)15.0〜15.5keV、(xxxi)15.5〜16.0keV、(xxxii)16.0〜16.5keV、(xxxiii)16.5〜17.0keV、(xxxiv)17.0〜17.5keV、(xxxv)17.5〜18.0keV、(xxxvi)18.0〜18.5keV、(xxxvii)18.5〜19.0keV、(xxxviii)19.0〜19.5keV、(xxxix)19.5〜20.0keV、(xl)>20keVからなる群から選択される、請求項110または111に記載の方法。
【請求項113】
直交加速領域を備えた直交加速式飛行時間質量分析器と、
(i)第1の親または前駆イオンのパケットまたは群を、複数の第1フラグメントまたは娘イオンへとフラグメント化するか、あるいは、前記第1の親または前駆イオンのパケットまたは群を、複数の第1フラグメントまたは娘イオンへと自ずとフラグメント化させ、
(ii)前記複数の第1フラグメントまたは娘イオンの少なくとも一部を直交方向に加速し、前記複数の第1フラグメントまたは娘イオンの前記少なくとも一部が第1の直交方向エネルギーを有するようにし、
(iii)第2の親または前駆イオンのパケットまたは群を、複数の第2フラグメントまたは娘イオンへとフラグメント化するか、あるいは、前記第2の親または前駆イオンのパケットまたは群を、複数の第2フラグメントまたは娘イオンへと自ずとフラグメント化させ、かつ
(iv)前記複数の第2フラグメントまたは娘イオンの少なくとも一部を直交方向に加速し、前記複数の第2フラグメントまたは娘イオンの前記少なくとも一部が第2の異なる直交方向エネルギーを有するようにするように構成された制御システムと、
(i)前記複数の第1フラグメントまたは娘イオンのうち、前記第1の直交方向エネルギーを有するフラグメントまたは娘イオンを検出し、
(ii)前記複数の第2のフラグメントまたは娘イオンのうち、前記第2の直交方向エネルギーを有するフラグメントまたは娘イオンを検出するように構成されたイオン検出器とを備えた質量分析計であって、
前記質量分析計が、
前記複数の第1フラグメントまたは娘イオンのうち、前記第1の直交方向エネルギーを有するフラグメントまたは娘イオンに関する第1の質量スペクトルデータを生成するように構成された手段と、
前記複数の第2フラグメントまたは娘イオンのうち、前記第2の直交方向エネルギーを有する前記フラグメントまたは娘イオンに関する第2の質量スペクトルデータを生成するように構成された手段と、
前記第1の質量スペクトルデータと前記第2の質量スペクトルデータを使用する、組み合わせる、または部分的に重ねることによって複合質量スペクトルを形成するように構成された手段とをさらに備えた質量分析計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2008−524789(P2008−524789A)
【公表日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−546196(P2007−546196)
【出願日】平成17年12月19日(2005.12.19)
【国際出願番号】PCT/GB2005/004911
【国際公開番号】WO2006/064280
【国際公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【出願人】(504142097)マイクロマス ユーケー リミテッド (57)
【Fターム(参考)】