説明

質量分析計

開示される質量分析計は、エレクトロスプレーイオン化イオン源(11)と電界非対称イオン移動度分光分析デバイス(13)とによって、燃焼室(16)と同位体比質量分析器(19)とのインターフェースがとられる高圧液体クロマトグラフィシステム(10)を備える。検体分子と溶媒分子は、イオン源(11)によってイオン化される。所望の検体イオンは、電界非対称イオン移動度分光分析デバイス(13)によって燃焼室(16)へ実質的に前向きに移送され、他方、望ましくない溶媒イオンは、電界非対称イオン移動度分光分析デバイス(13)によって実質的に減衰される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同位体比質量分析計及び同位体比質量分析方法に関する。
【背景技術】
【0002】
質量分析計を用いて元素の特定の同位体の相対存在量を測定することが知られている。この測定分野は、一般に、同位体比質量分析(「IRMS」)と呼ばれる。
【0003】
有機物質を構成する炭素の同位体の測定は、まず、酸素雰囲気を有する燃焼室において有機物質を燃焼させることによって行われ得る。この処理によって、二酸化炭素、水、及び、有機物質におけるいずれか他の元素の酸化物が生成される。燃焼室は、例えば、約900℃に加熱され得る、例えば、酸化銅などの触媒を含み得る。次いで、二酸化炭素は、例えば、低温トラッピング処理により、他の酸化生成物から分離される。次いで、二酸化炭素は、その同位体の相対存在量を測定するために同位体比質量分析計に通される。
【0004】
公知の同位体比質量分析計は、電子衝突イオン源と、磁場型質量分析器と、3つのファラデーイオン検出器とを備えている。イオン検出器のうちの1つは、質量電荷比44のイオンを検出するように構成され、別のイオン検出器は、質量電荷比45のイオンを検出するように構成され、さらに別のイオン検出器は、質量電荷比46のイオンを検出するように構成されている。これら3つの質量電荷比値に対する相対イオン信号を測定することにより、炭素同位体比13C/14C及び酸素同位体比18O/16Oを決定することができる。あるいは、試料が炭素の放射性同位体(14C)を含むことが既知であり、かつ、酸素同位体比が既知であれば、炭素同位体比14C/12Cが決定され得る。
【0005】
また、磁場型質量分析器の代わりに四重極質量フィルタを使用することが知られている。四重極質量フィルタは、質量電荷比値44、45、46のイオンを1つのイオン検出器上へ順次移送するように切り替えられるように構成され得る。
【0006】
炭素の同位体を測定するのに適した別の公知の装置は、加速式質量分析計(「AMS」)を備えている。しかし、加速式質量分析計は、比較的大きくかつ高価である。
【0007】
燃焼して二酸化炭素とする前にガスクロマトグラフィによって混合物の成分を分離することが知られている。しかし、多くの物質は、ガスクロマトグラフィによって容易には分離されない。ガスクロマトグラフィによって分離され得ない物質は、有極性分子及び熱的に不安定な分子を含む。これらのクラスの物質は、対象となる可能性のある生体分子を大きな割合で含む。また、このクラスの物質は、内因性及び生体異物化合物の代謝生成物を含む。
【0008】
逆相液体クロマトグラフィによって分離された有機物質又は検体における炭素の同位体を測定しようとする試みが知られている。しかし、逆相液体クロマトグラフィにおいて使用される溶媒は、通常、水及び有機溶媒(メタノール又はアセトニトリルなど)の変化しやすい混合物であるので特に問題がある。従って、溶媒は、炭素及び水素元素を含む(並びに、おそらくは酸素、窒素及び硫黄も含む)、様々な量の有機物質を含む。これらは、測定が所望される検体の濃度よりも数桁大きな濃度で存在する。その結果、検体における炭素の同位体比を測定しようとしても、溶媒からの著しくより大きな炭素存在量によって甚だしく歪められるか、又はマスクされる。
【0009】
高圧液体クロマトグラフィ(「HPLC」)液体溶離液から分画(fraction)を集めようとする試みが知られている。この場合、分画に存在する溶媒が、蒸発させられる。次いで、残留する検体物質を、酸素を用いて燃焼させて、二酸化炭素と他の酸化物が生成される。しかし、このアプローチにおいては、比較的大きな数の分画が集められ、分析される必要がある。なぜなら、いずれの特定の対象検体の正確な溶離時間は、確実には予測できないからである。試料中にどんな検体が存在し得、これらの検体のうちのどれが分析される必要があるのかがあらかじめ既知でないならば、非常に大きな数の分画を得、その後分析される必要がある可能性があり得る。従って、このアプローチは、著しく時間がかかり、かつ、高価である。さらに、溶離する検体は、結局2つ以上の分画に分かれ、及び/又は、分画は、2つ以上の検体を含み得る。検体が2つ以上の分画に分かれるならば、同位体比測定の精度は低減し得る。分画が2つ以上の検体を含むならば、その同位体比は、異なる同位体比を有する別の成分が存在することによって歪められ得る。
【0010】
現在、燃焼生成物が同位体比質量分析計へ通される前にすべての溶媒(及び、特に、すべての有機溶媒)が首尾よく除去されるように、高圧液体クロマトグラフィ(「HPLC」)システムと、同位体比質量分析計の上流に配置される燃焼領域とのインターフェースをとる実用的な方法は、知れていない。さらに、実時間での同位体比の測定を可能にするインターフェースも知られていない。同様に、クロマトグラフィ分解能を維持しながら、HPLCカラムから溶離する際に各成分に対して炭素及び他の元素についての同位体比が測定できるようなインターフェースも知られていない。
【0011】
HPLCシステムと同位体比質量分析計とのインターフェースを直接とる試みがなされてきたが、これらは、従来、水溶液のみが関わるHPLC分離に限られていた。しかし、これによって、分析され得る検体物質の範囲及び複雑性が甚だしく限られてきた。
【0012】
HPLCシステムと同位体比質量分析計とのインターフェースを直接とろうと試みる機械的構成が知られている。この構成において、HPLCシステムからの液体溶離液は、連続移動(continuously moving)ワイヤループ上に堆積される。液滴は、表面張力によって前記ワイヤに付着する。次いで、前記ワイヤは、電流を通すことによって加熱され、これにより、溶媒が蒸発することが促進される。次いで、脱溶媒和された検体物質を伴う前記ワイヤは、燃焼領域中へ直接通される。検体は、燃焼領域において酸素雰囲気中で燃焼され、これにより、二酸化炭素及び他の酸化物が形成される。次いで、二酸化炭素同位体比が測定され得る。
【0013】
しかし、この既知の構成は、特に調整に問題がある。逆相液体クロマトグラフィにおいては、典型的には2つ以上の溶媒が使用されるが、その比は、液体クロマトグラフィの実行過程中に変動する。従って、液体クロマトグラフィの実行中に、溶媒組成は、変化し、その結果、溶媒の表面張力及び不安定さも変化する。従って、最適な液体流量も変化する。さらに複雑化させる問題は、加熱要件も液体クロマトグラフィ分離過程で変化することである。不完全な脱溶媒和及び不完全な燃焼(背景汚染及びメモリ効果を招き得る)と過剰な燃焼(ワイヤループの破損を招き得る)との間には維持すべき微妙なバランスがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従って、改善された質量分析計を提供することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の一局面によれば、
検体原子、分子又はイオンを分離又は分散させる第1のデバイスと、
前記第1のデバイスの下流に配置され、前記第1のデバイスから受け取った検体原子、分子又はイオンをイオン化するように構成及び適合される第1のイオン源と、
1つ以上の電極を含み、検体イオンを他のイオンから分離する第2のデバイスと、
少なくともいくつかの検体イオンを受け取り、少なくとも部分的に燃焼するように構成された燃焼室と、
前記燃焼室の下流に配置された質量分析器とを備えた、質量分析計が提供される。
【0016】
前記第1のデバイスは、好ましくは、クロマトグラフィによって検体原子又は分子を分離又は分散させるクロマトグラフィデバイスを備える。
【0017】
一実施の形態によれば、前記第1のデバイスは、ガスクロマトグラフィデバイスを備える。しかし、より好ましくは、前記第1のデバイスは、液体クロマトグラフィデバイスを備え得る。別の実施の形態も想起される。すなわち、前記第1のデバイスは、(i)超臨界流体クロマトグラフィデバイス、(ii)キャピラリー電気泳動デバイス、及び、(iii)キャピラリー電気泳動クロマトグラフィデバイスからなる群から選択される。
【0018】
前記第1のイオン源は、好ましくは、(i)エレクトロスプレーイオン化(「ESI」)イオン源、(ii)大気圧光イオン化(「APPI」)イオン源、(iii)大気圧化学イオン化(「APCI」)イオン源、(iv)マトリックス支援レーザ脱離イオン化(「MALDI」)イオン源、(v)レーザ脱離イオン化(「LDI」)イオン源、(vi)大気圧イオン化(「API」)イオン源、(vii)シリコンを用いた脱離イオン化(「DIOS」)イオン源、(viii)電子衝突(「EI」)イオン源、(ix)化学イオン化(「CI」)イオン源、(x)電界イオン化(「FI」)イオン源、(xi)電界脱離(「FD」)イオン源、(xii)誘導結合プラズマ(「ICP」)イオン源、(xiii)高速原子衝撃(「FAB」)イオン源、(xiv)液体二次イオン質量分析(「LSIMS」)イオン源、(xv)脱離エレクトロスプレーイオン化(「DESI」)イオン源、(xvi)ニッケル−63放射性イオン源、(xvii)大気圧マトリックス支援レーザ脱離イオン化イオン源、及び、(xviii)サーモスプレーイオン源からなる群から選択される。
【0019】
前記第1のイオン源は、パルス化又は連続イオン源を備え得る。
【0020】
前記第2のデバイスは、好ましくは、(i)高電界非対称波形イオン移動度セパレータ又は分光計、(ii)イオン移動度セパレータ又は分光計、(iii)気相電気泳動デバイス、(iv)差動式の(differential)イオン移動度セパレータ、分光計又はデバイス、(v)電界非対称イオン移動度分光分析(「FAIMS」)デバイス、(vi)気相イオンセパレータ又は分光計、(vii)イオンをその移動度にしたがって分離するデバイス、及び、(viii)イオン移動度の電界強さに対する差又は変化にしたがってイオンを分離するデバイスからなる群から選択される。
【0021】
前記質量分析計は、好ましくは、非対称な電圧波形を前記1つ以上の電極に印加するように構成及び適合される第1の電圧手段をさらに備える。前記非対称な電圧波形は、第1のピーク振幅を有する少なくとも第1の電圧成分Vhighと第2のピーク振幅を有する少なくとも第2の電圧成分Vlowとを含み、前記第1のピーク振幅は、前記第2のピーク振幅と実質的に異なる。
【0022】
前記第1のピーク振幅は、好ましくは、正又は負であり、及び/又は、前記第2のピーク振幅は、好ましくは、正又は負である。前記第1のピーク振幅及び/又は前記第2のピーク振幅は、好ましくは、(i)<−5000V、(ii)−5000〜−4500V、(iii)−4500〜−4000V、(iv)−4000〜−3500V、(v)−3500〜−3000V、(vi)−3000〜−2900V、(vii)−2900〜−2800V、(viii)−2800〜−2700V、(ix)−2700〜−2600、(x)−2600〜−2500V、(xi)−2500〜−2400V、(xii)−2400〜−2300V、(xiii)−2300〜−2200V、(xiv)−2200〜−2100V、(xv)−2100〜−2000V、(xvi)−2000〜−1900V、(xvii)−1900〜−1800V、(xviii)−1800〜−1700V、(xix)−1700〜−1600V、(xx)−1600〜−1500V、(xxi)−1500〜−1400V、(xxii)−1400〜−1300V、(xxiii)−1300〜−1200V、(xxiv)−1200〜−1100V、(xxv)−1100〜−1000V、(xxvi)−1000〜−900V、(xxvii)−900〜−800V、(xxviii)−800〜−700V、(xxix)−700〜−600V、(xxx)−600〜−500V、(xxxi)−500〜−400V、(xxxii)−400〜−300V、(xxxiii)−300〜−200V、(xxxiv)−200〜−100V、(xxxv)−100〜0V、(xxxvi)0〜100V、(xxxvii)100〜200V、(xxxviii)200〜300V、(xxxix)300〜400V、(xl)400〜500V、(xli)500〜600V、(xlii)600〜700V、(xliii)700〜800V、(xliv)800〜900V、(xlv)900〜1000V、(xlvi)1000〜1100V、(xlvii)1100〜1200V、(xlviii)1200〜1300V、(xlix)1300〜1400V、(l)1400〜1500V、(li)1500〜1600V、(lii)1600〜1700V、(liii)1700〜1800V、(liv)1800〜1900V、(lv)1900〜2000V、(lvi)2000〜2100V、(lvii)2100〜2200V、(lviii)2200〜2300V、(lix)2300〜2400V、(lx)2400〜2500V、(lxi)2500〜2600V、(lxii)2600〜2700V、(lxiii)2700〜2800V、(lxiv)2800〜2900、(lxv)2900〜3000V、(lxvi)3000〜3500V、(lxvii)3500〜4000V、(lxviii)4000〜4500V、(lxix)4500〜5000V、及び、(lxx)>5000Vからなる群から選択される。
【0023】
第1及び/又は第2のピーク振幅は、好ましくは、前記第2のデバイスの1つ以上の電極に印加される時間平均電圧に対するものである。
【0024】
前記第1の電圧成分は、好ましくは、第1の期間Thighの間、印加されるか又は存在し、前記第2の電圧成分は、好ましくは、第2の期間Tlowの間、印加されるか又は存在する。前記第1の期間Thighは、好ましくは、前記第2の期間Tlowよりも短いか長いか又は実質的に同じである。前記第1の期間Thigh及び/又は前記第2の期間Tlowは、好ましくは、(i)<0.1μs、(ii)0.1〜0.5μs、(iii)0.5〜1μs、(iv)1〜2μs、(v)2〜3μs、(vi)3〜4μs、(vii)4〜5μs、(viii)5〜6μs、(ix)6〜7μs、(x)7〜8μs、(xi)8〜9μs、(xii)9〜10μs、(xiii)10〜11μs、(xiv)11〜12μs、(xv)12〜13μs、(xvi)13〜14μs、(xvii)14〜15μs、(xviii)15〜16μs、(xix)16〜17μs、(xx)17〜18μs、(xxi)18〜19μs、(xxii)19〜20μs、及び、(xxiii)>20μsからなる群から選択される。
【0025】
前記非対称な電圧波形は、好ましくは、(i)矩形状、(ii)非矩形状、(iii)曲線状、(iv)規則的、(v)不規則的、(vi)階段状、(vii)鋸歯状、及び、(viii)正弦波状からなる群から選択される波形を含む。
【0026】
前記質量分析計は、好ましくは、DC補償電圧を前記1つ以上の電極に印加するように構成及び適合される第2の電圧手段をさらに備えている。前記DC補償電圧は、好ましくは、(i)<−1000V、(ii)−900〜−800V、(iii)−800〜−700V、(iv)−700〜−600V、(v)−600〜−500V、(vi)−500〜−400V、(vii)〜400〜−300V、(viii)−300〜−200V、(ix)−200〜−100V、(x)−100〜−90V、(xi)−90〜−80V、(xii)−80〜−70V、(xiii)−70〜−60V、(xiv)−60〜−50V、(xv)−50〜−40V、(xvi)−40〜−30V、(xvii)−30〜−20V、(xviii)−20〜−10V、(xix)−10〜0V、(xx)0〜10V、(xxi)10〜20V、(xxii)20〜30V、(xxiii)30〜40V、(xiv)40〜50V、(xxv)50〜60V、(xxvi)60〜70V、(xxvii)70〜80V、(xxviii)80〜90V、(xxix)90〜100V、(xxx)100〜200V、(xxxi)200〜300V、(xxxii)300〜400V、(xxxiii)400〜500V、(xxxiv)500〜600V、(xxxv)600〜700V、(xxxvi)700〜800V、(xxxvii)800〜900V、(xxxviii)900〜1000V、及び、(xxxix)>1000Vからなる群から選択される。
【0027】
動作モードにおいて、前記第2の電圧手段は、前記1つ以上の電極に印加される前記DC補償電圧を掃引し、変化させ、漸進的に変化させ又は切り替えるように構成及び適合され得る。前記第2の電圧手段は、前記DC補償電圧を、概して又は実質的に階段状、直線状、規則的、不規則的、周期的又は非周期的な方法で、掃引し、変化させ、漸進的に変化させ又は切り替えるように構成及び適合され得る。
【0028】
好適な実施の形態によれば、前記質量分析計は、好ましくは、使用時に前記第2のデバイスを流れる第1のガス流を提供するように配置される手段をさらに備える。好ましくは、少なくともいくつかのイオンは、前記第1のガス流に同伴することにより、前記第2のデバイスを通って軸方向に前方移送されるように配置される。
【0029】
前記第1のガス流は、(i)窒素、(ii)ヘリウム、及び、(iii)酸素からなる群から選択される1つ以上のガスを含み得る。
【0030】
前記第2のデバイスは、2つ以上の実質的に平行な電極を備え得る。あるいは、前記第2のデバイスは、2つ以上の実質的に同軸の円筒状、球状又は半球状の電極を備え得る。
【0031】
前記第2のデバイスは、イオンが使用時に前記第2のデバイスを通って移送される実質的に又は概して平面に配置される1つ以上の電極を備え得る。前記第2のデバイスは、複数の軸方向セグメント又はアレイ電極を備え得る。前記第2のデバイスは、例えば、少なくとも2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、又は20個を超える軸方向セグメント又は電極を備え得る。
【0032】
前記質量分析計は、少なくともいくつかのイオンを前記第2のデバイスの軸方向長さの少なくとも一部を通って及び/又はそれに沿って駆動、推進、強制移動又は加速させるために、1つ以上の電圧もしくは電位又は1つ以上の電圧もしくは電位波形を前記複数の軸方向セグメント又は前記アレイ電極に印加するように構成及び適合されるさらなる電圧手段をさらに備え得る。
【0033】
前記さらなる電圧手段は、少なくともいくつかのイオンを前記第2のデバイスの軸方向長さの少なくとも一部又は少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%もしくは100%を通って及び/又はそれに沿って駆動、推進、強制移動又は加速させるために、1つ以上の過渡DC電圧もしくは電位又は1つ以上の過渡DC電圧もしくは電位波形を前記複数の軸方向セグメント又は前記アレイ電極に印加するように構成及び適合され得る。
【0034】
前記さらなる電圧手段は、少なくともいくつかのイオンを前記第2のデバイスの軸方向長さの少なくとも一部又は少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%もしくは100%を通って及び/又はそれに沿って駆動、推進、強制移動又は加速させるために、1つ以上の実質的に一定のDC電圧又は電位を前記複数の軸方向セグメント又は前記アレイ電極に印加するように構成及び適合され得る。
【0035】
前記さらなる電圧手段は、少なくともいくつかのイオンを前記第2のデバイスの軸方向長さの少なくとも一部又は少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%もしくは100%を通って及び/又はそれに沿って駆動、推進、強制移動又は加速させるために、2つ以上の位相シフトAC又はRF電圧を前記複数の軸方向セグメント又は前記アレイ電極に印加するように構成及び適合され得る。
【0036】
一実施の形態によれば、前記質量分析計は、少なくともいくつかのイオンを前記第2のデバイス内に半径方向に閉じ込めるために、二相もしくは多相ACもしくはRF電圧又は信号を前記第2のデバイスの前記1つ以上の電極に印加する手段をさらに備え得る。前記ACもしくはRF電圧又は信号は、好ましくは、(i)<100kHz、(ii)100〜200kHz、(iii)200〜300kHz、(iv)300〜400kHz、(v)400〜500kHz、(vi)0.5〜1.0MHz、(vii)1.0〜1.5MHz、(viii)1.5〜2.0MHz、(ix)2.0〜2.5MHz、(x)2.5〜3.0MHz、(xi)3.0〜3.5MHz、(xii)3.5〜4.0MHz、(xiii)4.0〜4.5MHz、(xiv)4.5〜5.0MHz、(xv)5.0〜5.5MHz、(xvi)5.5〜6.0MHz、(xvii)6.0〜6.5MHz、(xviii)6.5〜7.0MHz、(xix)7.0〜7.5MHz、(xx)7.5〜8.0MHz、(xxi)8.0〜8.5MHz、(xxii)8.5〜9.0MHz、(xxiii)9.0〜9.5MHz、(xxiv)9.5〜10.0MHz、及び、(xxv)>10.0MHzからなる群から選択される周波数を有し得る。前記ACもしくはRF電圧又は信号の振幅は、好ましくは、(i)<50Vピーク・トゥ・ピーク、(ii)50〜100Vピーク・トゥ・ピーク、(iii)100〜150Vピーク・トゥ・ピーク、(iv)150〜200Vピーク・トゥ・ピーク、(v)200〜250Vピーク・トゥ・ピーク、(vi)250〜300Vピーク・トゥ・ピーク、(vii)300〜350Vピーク・トゥ・ピーク、(viii)350〜400Vピーク・トゥ・ピーク、(ix)400〜450Vピーク・トゥ・ピーク、(x)450〜500Vピーク・トゥ・ピーク、及び、(xi)>500Vピーク・トゥ・ピークからなる群から選択される。
【0037】
前記第2のデバイスは、好ましくは、実質的に直線状、非直線状、規則的、不規則的又は曲線状のイオンガイド領域を備える。
【0038】
好適な実施の形態によれば、前記第2のデバイスは、電界非対称イオン移動度分光分析デバイスを備える。しかし、前記第2のデバイスが、イオンをそのイオン移動度にしたがって分離するイオン移動度分光計又はセパレータを備えるという、好ましさが劣る好ましい実施の形態も想起される。そのような実施の形態において、前記第2のデバイスは、好ましくは、ドリフト管を備える。前記ドリフト管は、使用時にイオンが移送される複数の環状電極を備え得る。好ましくは、DCのみの電圧勾配が使用時に前記ドリフト管の軸方向長さの少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又は100%に沿って維持される。
【0039】
前記第2のデバイスは、好ましくは、使用時に、(i)>0.0001mbar、(ii)>0.001mbar、(iii)>0.01mbar、(iv)>0.1mbar、(v)>1mbar、(vi)>10mbar、(vii)>100mbar、(viii)>1000mbar、(ix)0.0001〜0.001mbar、(x)0.001〜0.01mbar、(xi)0.01〜0.1mbar、(xii)0.1〜1mbar、(xiii)1〜10mbar、(xiv)10〜100mbar、及び、(xv)100〜1000mbarからなる群から選択される圧力に維持される。前記第2のデバイスは、使用時に、(i)<0.0001mbar、(ii)<0.001mbar、(iii)<0.01mbar、(iv)<0.1mbar、(v)<1mbar、(vi)<10mbar、(vii)<100mbar、及び、(viii)<1000mbarからなる群から選択される圧力に維持され得る。
【0040】
前記第2のデバイスは、好ましくは、検体イオンを溶媒イオンから分離するように構成及び適合される。前記検体イオンは、好ましくは、前記第2のデバイスによって実質的に前へ向かって移送されるように配置される。他方、前記溶媒イオンは、好ましくは、前記第2のデバイスによって実質的に減衰されるように配置される。
【0041】
前記第2のデバイスは、実質的に連続したイオンビームを受け取るように構成及び適合され得、かつ、複数のイオンパケット又はイオン束としてイオンを放出又は射出するように構成及び適合され得る。
【0042】
前記燃焼室は、好ましくは、検体イオンを酸素雰囲気中で燃焼するように構成及び適合される。前記燃焼室は、好ましくは、酸化銅などの触媒を含む。二酸化炭素は、好ましくは、前記燃焼室において形成されるように配置される。
【0043】
前記質量分析計は、使用時に前記燃焼室中に流れ込む第2のガス流を提供するように構成される手段をさらに備え得る。好ましくは、前記第2のデバイスから出てくる少なくともいくつかの原子、分子又はイオンが前記第2のガス流に混入するように構成される。前記第2のガス流は、(i)窒素、(ii)ヘリウム、及び、(iii)酸素からなる群から選択される1つ以上のガスを含み得る。
【0044】
二酸化炭素を他の燃焼生成物から分離する1つ以上の低温トラップが設けられ得る。1つ以上の低温トラップは、好ましくは、前記燃焼室の下流及び/又は第2のイオン源の上流に設けられる。
【0045】
前記質量分析計は、好ましくは、前記燃焼室から受け取られるか又は前記燃焼室から出射する1つ以上の燃焼生成物をイオン化するように構成及び適合される第2のイオン源を備える。前記第2のイオン源は、好ましくは、(i)エレクトロスプレーイオン化(「ESI」)イオン源、(ii)大気圧光イオン化(「APPI」)イオン源、(iii)大気圧化学イオン化(「APCI」)イオン源、(iv)マトリックス支援レーザ脱離イオン化(「MALDI」)イオン源、(v)レーザ脱離イオン化(「LDI」)イオン源、(vi)大気圧イオン化(「API」)イオン源、(vii)シリコンを用いた脱離イオン化(「DIOS」)イオン源、(viii)電子衝突(「EI」)イオン源、(ix)化学イオン化(「CI」)イオン源、(x)電界イオン化(「FI」)イオン源、(xi)電界脱離(「FD」)イオン源、(xii)誘導結合プラズマ(「ICP」)イオン源、(xiii)高速原子衝撃(「FAB」)イオン源、(xiv)液体二次イオン質量分析(「LSIMS」)イオン源、(xv)脱離エレクトロスプレーイオン化(「DESI」)イオン源、(xvi)ニッケル−63放射性イオン源、(xvii)大気圧マトリックス支援レーザ脱離イオン化イオン源、及び、(xviii)サーモスプレーイオン源からなる群から選択される。
【0046】
前記質量分析器は、好ましくは、同位体比質量分析器からなる。特に好適な実施の形態によれば、前記質量分析器は、2つ、3つ又は3つよりも多いイオンコレクタを有する磁場型質量分析器からなる。
【0047】
他の実施の形態によれば、前記質量分析器は、(i)四重極質量分析器、(ii)二次元又は線形四重極質量分析器、(iii)ポール又は三次元四重極質量分析器、(iv)ペニングトラップ質量分析器、(v)イオントラップ質量分析器、(vi)磁場型質量分析器、(vii)イオンサイクロトロン共鳴(「ICR」)質量分析器、(viii)フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴(「FTICR」)質量分析器、(ix)静電又はオービトラップ質量分析器、(x)フーリエ変換静電又はオービトラップ質量分析器、(xi)フーリエ変換質量分析器、(xii)飛行時間質量分析器、(xiii)軸方向加速式飛行時間質量分析器、(xiv)直交加速式飛行時間質量分析器、及び、(xv)加速式質量分析計(「AMS」)からなる群から選択され得る。
【0048】
前記質量分析器は、好ましくは、1つ、2つ、3つ又は3つよりも多い二酸化炭素の同位体の相対強度又は存在量を質量分析又は測定するように構成され、前記二酸化炭素は、前記燃焼室において炭素を含む検体イオンを燃焼することによって形成される。
【0049】
本発明の一局面によれば、
第1のデバイスにおいて検体原子又は分子を分離又は分散させる工程と、
前記第1のデバイスの下流に配置されるイオン源において前記第1のデバイスから受け取った検体原子又は分子をイオン化する工程と、
1つ以上の電極を備える第2のデバイスにおいて検体イオンを他のイオンから分離する工程と、
燃焼室において少なくともいくつかの検体イオンを受け取り、少なくとも部分的に燃焼する工程と、
イオンを質量分析又は測定する工程とを含む、質量分析の方法が提供される。
【0050】
前記方法は、好ましくは、前記燃焼室において形成される燃焼生成物のうちの少なくともいくつかをイオン化する工程をさらに含む。前記イオンを質量分析又は測定する工程は、好ましくは、1つ、2つ、3つ又は3つよりも多い二酸化炭素の同位体の相対強度又は存在量を質量分析又は測定する工程を含む。前記二酸化炭素は、好ましくは、前記燃焼室において炭素を含む検体イオンを燃焼することによって形成される。
【0051】
本発明の別の局面によれば、
所定の所望の検体イオンを移送し、望ましくない溶媒イオンを実質的に減衰させるように構成される電界非対称イオン移動度分光分析デバイスと、
前記電界非対称イオン移動度分光分析デバイスの下流に配置され、検体イオンを受け取るように構成される燃焼室とを備えた、質量分析計が提供される。
【0052】
本発明の別の局面によれば、
所定の所望の検体イオンを移送し、望ましくない溶媒イオンを実質的に減衰させるように構成される電界非対称イオン移動度分光分析デバイスと、
前記電界非対称イオン移動度分光分析デバイスの下流に配置され、イオン化された燃焼生成物の相対強度又は存在量を質量分析又は測定するように構成される同位体比質量分析器又は同位体比質量分析計とを備えた、質量分析計が提供される。
【0053】
本発明の別の局面によりば、
液体クロマトグラフィシステムと、
燃焼デバイスと、
前記燃焼デバイスの下流に配置された質量分析器と、
前記液体クロマトグラフィシステムと前記燃焼デバイスとのインターフェースをとり、検体イオンを溶媒イオンから少なくとも部分的に分離し、少なくともいくつかの溶媒イオンを実質的に減衰させながら少なくともいくつかの検体イオンを前記燃焼デバイスへ前方移送するように構成されるインターフェースデバイスとを備えた、質量分析計が提供される。
【0054】
前記インターフェースデバイスは、好ましくは、検体及び/又は溶媒原子、分子もしくはイオンをイオン化するイオン源、及び/又は、検体イオンを溶媒イオンから分離する電界非対称イオン移動度分光分析(「FAIMS」)デバイスを備えている。好ましさが劣る好ましい実施の形態によれば、前記インターフェースデバイスは、イオンをそのイオン移動度にしたがって分離するイオン移動度分光計又はセパレータを備えている。
【0055】
本発明の別の局面によれば、
所定の所望の検体イオンを望ましくない溶媒イオンから分離するように構成されるイオン移動度分光計又はセパレータと、
前記イオン移動度分光計又はセパレータの下流に配置され、検体イオンを受け取るように構成される燃焼室とを備えた、質量分析計が提供される。
【0056】
本発明の別の局面によれば、
所定の所望の検体イオンを望ましくない溶媒イオンから分離するように構成されるイオン移動度分光計又はセパレータと、
前記イオン移動度分光計又はセパレータの下流に配置され、イオン化された燃焼生成物を質量分析又は測定するように構成される同位体比質量分析器又は同位体比質量分析計とを備えた、質量分析計が提供される。
【0057】
好適な実施の形態によれば、高圧液体クロマトグラフィ(「HPLC」)システムと同位体比質量分析計とのインターフェースは、エレクトロスプレーイオン化イオン源と電界非対称イオン移動度分光分析デバイスとによってとられる。
【0058】
好適な実施の形態は、高圧液体クロマトグラフィ(「HPLC」)出射口と、好ましくは同位体比質量分析計の上流に配置される燃焼室との間のインターフェースに関する。前記インターフェースは、好ましくは、電界非対称イオン移動度分光分析(「FAIMS」)デバイスと共にエレクトロスプレーイオン化プローブ又はイオン源を備える。
【0059】
高圧液体クロマトグラフィシステムからの液体溶離液は、その液体が、好ましくは、一続きの微小な荷電滴としてスプレーされるように、好ましくは、エレクトロスプレーイオン化プローブに接続される。スプレー処理は、霧状ガスを使用することによって補助され得る。微小滴は、好ましくは、急速に蒸発して検体イオンと溶媒イオンのストリームを残す。脱溶媒和処理は、加熱された乾燥ガスを使用することによって補助され得る。
【0060】
検体イオンと溶媒イオンの前記ストリームは、好ましくは、電界非対称イオン移動度分光分析(「FAIMS」)デバイスを通るように構成される。イオンは、好ましくは、前記電界非対称イオン移動度分光分析デバイスを通る際に差動式のイオン移動度にしたがって分離される。好ましくは、前記電界非対称イオン移動度分光分析デバイスは、所定の所望の検体イオンを移送し、かつ、好ましくは、少なくともいくつかの又は実質的にすべての溶媒又は背景イオンを排出又は実質的に減衰させるように調整又は構成される。次いで、検体イオンは、好ましくは、燃焼室又は領域中へ通される。ここで、前記検体イオンは、好ましくは、酸化されて二酸化炭素及び他の酸化物となる。必要に応じて、二酸化炭素は、例えば、低温トラッピングによって水及び他の酸化物から分離され得る。次いで、二酸化炭素は、好ましくは、炭素同位体比を測定するための同位体比質量分析計中へ通される。
【0061】
好適な実施の形態によれば、分析対象の試料内の成分は、好ましくは、まずクロマトグラフィによって分離された後、イオン化のための前記第1のイオン源へ輸送される。好適な実施の形態において、クロマトグラフィによる分離のための手段は、液体クロマトグラフィデバイスを備えている。しかし、他の好ましさが劣る好ましい実施の形態によれば、分離のための手段は、超臨界流体クロマトグラフィデバイス、キャピラリー電気泳動デバイス又はキャピラリー電気泳動クロマトグラフィデバイスを備え得る。
【0062】
分析対象の物質又は試料を含む液体ストリームは、好ましくは、大気圧で動作するエレクトロスプレーイオン化(「ESI」)イオン源によってイオン化される。しかし、好ましさが劣る好ましい実施の形態によれば、前記液体ストリームは、あるいは、大気圧化学イオン化(「APCI」)イオン源、大気圧光イオン化(「APPI」)イオン源によって、又は、放射線によってイオン化され得る。
【0063】
イオン化処理は、好ましくは、大気圧においてガスストリーム中に溶媒イオンと検体イオンのストリームを生成する。前記ガスは、純粋なガスを含み得るか、又は複数のガスの混合物を含み得る。好適な実施の形態において、ガスストリームは、好ましくは、窒素、又は、窒素とヘリウムとの混合物である。前記窒素ガスは、スプレー処理を補助するために霧状の窒素ガスを使用した結果として、又は脱溶媒和処理を補助するために加熱された窒素乾燥ガスを使用した結果として(又は両処理の組み合わせとして)存在し得る。あるいは、ガス又はガスの一成分が別に供給され得る。他のガス又はガス混合物が使用され得る。例えば、酸素が前記ガスストリームに付加され得る。前記酸素は、前記検体イオンが前記燃焼室に入る前に付加され得る。
【0064】
好適な実施の形態によれば、検体イオンと溶媒イオンとの混合物は、好ましくは、電界非対称イオン移動度分光分析デバイスへ通される。前記イオンの混合物は、好ましくは、イオンの電界強さに対するイオン移動度の変化率にしたがって分離される。検体イオンは、好ましくは、溶媒イオンから分離され、電界非対称イオン移動度分光分析デバイスは、好ましくは、所望の検体イオンを移送し、好ましくは同時に、望ましくない溶媒又は背景イオンの前向きの移送を実質的に減衰させるように調整又は構成される。検体イオン又は所望のイオンは、好ましくは、電界非対称イオン移動度分光分析デバイスから燃焼室中へ通される。燃焼室において、次いで、検体イオンは、好ましくは酸化される。次いで、得られた二酸化炭素は、好ましくは、同位体比を決定するために同位体比質量分析計へ通される。
【0065】
電界非対称イオン移動度分光分析(「FAIMS」)の技術は、好ましくは、異なる種のイオンが電界強さに対するイオン移動度の変化率にしたがって分離されることを可能にする。電界非対称イオン移動度分光分析の技術は、気相イオンが大気圧において圧力及び温度の広い範囲にわたって分離されることを可能にする。電界非対称イオン移動度分光分析デバイスを動作させるために、比較的高い周期的な電界が、好ましくは、1つ以上の電極に印加され、その電極の間を検体イオンと溶媒イオンとが、好ましくは、通されるように構成される。印加される電界は、10,000V/cmまでの強さを有し得る。好ましくは、周期的な電界又は印加される電圧波形は、前記電極に印加されるピーク正電圧とピーク負電圧との間に好ましくは著しい差があるという意味で非対称である。正又は負の電圧のいずれか一方がより高くなり得る。
【0066】
電界非対称イオン移動度分光分析デバイスの動作原理は、イオン移動度に基づいている。好ましくは、電界は、好ましくはイオンが急速に終端速度に達するほど十分に密であるガスを通ってイオンを引っ張るために使用される。終端速度は、電界の強さにおおよそ比例する。この比例関係は、電界の強さが大きいと変化し、また、化合物(compound)に依存するので、イオンを互いに分離することが可能となる。
【0067】
イオン移動度の電界の強さに対する変化率は、必ずしもイオンの移動度に関係するとは現在のところ考えられていない。イオン移動度の電界の強さに対する変化は、現在のところ十分に理解されておらず、一般に予測可能でないと考えられている。その依存性は、イオンの磁化率が強い電界下で歪むことによるものであり得る可能性がある。
【0068】
異なるサイズのイオンの混合物が2つの金属プレートの間に導入されると、電圧がプレートに印加され得る。これにより、ドリフトして金属プレートに当たるイオン種もあれば、プレート間に留まるイオン種もあるような状態が生成される。プレート間のイオンを分離するためには、非対称な電圧波形を印加することが必要である。非対称な電圧波形は、例えば、方形電圧波形を含む。ここで、高い正の電圧は、短時間印加され、低い負の電圧は、比較的より長い時間印加される。
【0069】
好ましくは、非対称な電圧波形を印加して生成される電界が比較的弱いならば(例えば、電界が200V/cmを超えないならば)、イオンは、波形中に(during the waveform)前後に動くか又は振動するが、イオンは、いずれのプレートに向かっても駆動されない。波形の高電圧部分中の電界が約5000V/cmよりも高ければ、電圧波形を印加することにより、好ましくは、イオンがプレートのうちの1つに向かって一方向又は他方向へドリフトされる。
【0070】
イオンがプレートへ向かってドリフトする理由は、比較的大きい強さの電界を印加している際のイオンの移動度が、比較的小さい強さの電界を印加している際のイオンの移動度と異なるという事実による。イオンの移動度は、イオンがどのような速さで電界中を移動するかを定義するので、印加される電界が第1の電界強さを有する場合、印加される電界が第2の異なる電界強さを有する場合に比べて、イオンは比例してより遠くに移動する。
【0071】
好ましくは、印加される電圧波形は、好ましくは、比較的高い周波数(例えば、>200kHz)を有し、各高電圧期間において少し余分な距離を走行することにより、好ましくは、前記プレートのうちの1つに向かうイオンの正味のドリフトが生じる。電界の強さが増加するにつれて増加するイオン移動度を有するイオンもあるが、電界の強さが増加するにつれて低減するイオン移動度を有するイオンもある。これらのイオンは、前記プレート間を互いに逆方向に走行する。
【0072】
窒素又は酸素ガス中の塩化物イオンなどの所定のイオンは、イオン移動度が電界の強さに対して非常に大きく変化することが知られている。非対称な電圧波形を印加している間、塩化物イオンは、プレートへ向かって非常に急速にドリフトする。これに対して、テトラプロピルアンモニウムイオンなどのいくつかのイオンは、電界の強さに対してイオン移動度の変化が非常に小さく、前記プレートのうちの1つに向かって比較的ゆっくりとのみドリフトし得る。
【0073】
金属プレートのうちの1つに向かうイオンの正味のドリフトは、比較的小さい電圧を前記プレートのうちの1つに印加することによって停止又は補償され得る。適切な大きさ及び極性を有するDC電圧が印加されると、イオンは、このさらなる電界の力を受け、イオンのドリフトは有効に停止される。正味のイオンドリフトを逆転又は補償するように印加される電圧は、以下、補償電圧(「CV」)と称される。塩化物イオンの正味のドリフトを補償するために必要な電圧は、比較的高い。なぜなら、そのようなイオンのイオン移動度は、高電界において実質的に増加するからである。一方、テトラプロピルアンモニウムイオンのドリフトを停止するために必要な補償電圧は、比較的小さい。適切な補償電圧を選択し、印加することにより、イオンの分離を有効に制御することが可能となる。
【0074】
イオンの混合物が2つのプレート又は電極の間に置かれ、高電圧非対称波形がそこへ印加されると、異なる種のイオンは、それぞれのイオンに固有の速度で前記プレートのうちの一方又は他方に向かって移動し始める。補償電圧が印加されると、大多数のイオンはなおも前記プレートのうちの一方に当たる。しかし、印加された補償電圧が非対称な電圧波形の印加によるイオンドリフトを打ち消すのにちょうどの電圧となるようなイオンは、正味のイオンドリフトがゼロとなる。これにより、1種のイオンをイオンの混合物から分離することが可能となる。前記プレート間において任意の特定の時間に釣り合った状態のイオン種は、電極に印加される補償電圧を調節することによって選択され得る。
【0075】
ガス流に同伴するイオンの混合物は、補償電圧をスキャンし、同時に前記プレート間の間隙を首尾よく移送されるイオンを検出することによっていくつかのピークに分解され得る。異なる種のイオンは、異なる固有の補償電圧で前へ向かって移送される。補償電圧を漸進的に変化させ又はスキャンすることによって観測されるピークのスペクトルは、以下、補償電圧スペクトルと称される。
【0076】
一実施の形態によれば、前記平坦な金属プレートは、同軸円筒状のプレートに置き換えられ得る。非対称な電圧波形が、印加補償電圧がなければ特定のイオン種が内側の円筒電極にドリフトするような極性を有し、かつ、これらのイオンを内側の円筒電極から遠ざかるように反発させるために補償電圧が印加される場合、補償電界は、特定の半径方向距離において釣り合う。所望のイオンが内側の円筒電極により近い場合、そのイオンは、内側の円筒電極から補償電界の釣り合う半径方向位置へ遠ざかるように移動する。同様に、所望のイオンが外側の円筒電極により近い場合、そのイオンは、外側の円筒電極から補償電界の釣り合う半径方向位置へ遠ざかるように移動する。その結果、所望のイオンは、好ましくは、電極間の固定の半径方向位置に向かって集束される。前記イオンは、好ましくは、拡散、空間電荷イオン間反発力、及びガスの乱流/運動効果によってこの理想的な位置の周りに分布される。
【0077】
別の実施の形態によれば、同心球を用いても同様の集束効果が得られ得る。さらなる実施の形態によれば、一端における2つの同心半球部分において終端する2つの同軸円筒電極が提供され得る。この実施の形態は、デバイスの一端において特定のイオンをさらに集中させるために使用され得る。
【0078】
好適な実施の形態において、イオンは、まず、前記電界非対称イオン移動度分光分析デバイスを通り、その後、前記燃焼室へ通される。前記電界非対称イオン移動度分光分析デバイスは、好ましくは、溶媒イオンではなく、検体イオンを移送するように調整又は構成される。前記電界非対称イオン移動度分光分析デバイスの、検体イオンを溶媒イオンから分離する能力は、好ましくは、デバイスに印加されるAC又はRF電圧波形の振幅及び形状、デバイスの温度、デバイスを通るガスの流量、及びイオンが好ましくは同伴されるガスの組成によって影響され得る。窒素とヘリウムとの混合物が、好ましくは、使用され得る。ガス組成は、検体イオンの他のイオンからの分離を最適化するために調節され得る。他のガス混合物も使用され得る。
【0079】
次いで、前向きに移送される検体イオンは、好ましくは、ガスストリームにおいて燃焼室へ運搬される。燃焼室において、検体イオンは、好ましくは、酸素を用いて燃焼され、二酸化炭素、水及び他の酸化物を生成する。燃焼室は、触媒(例えば、酸化銅)を備え得、好ましくは、約900℃に加熱され得る。次いで、二酸化炭素は、好ましくは、例えば低温トラッピング処理によって他の酸化生成物から分離され得る。次いで、二酸化炭素は、好ましくは、同位体の相対存在量を測定するための同位体比質量分析計へ通される。
【0080】
好適な実施の形態において、同位体比質量分析器は、複数のイオン検出器を含む磁場型質量分析器を備え得る。好ましさが劣る好ましい実施の形態において、質量分析器は、四重極質量分析器、飛行時間質量分析器、イオントラップ質量分析器又はフーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴(「FTICR」)質量分析器を備え得る。
【0081】
別の実施の形態によれば、質量分析計は、加速式質量分析計(「AMS」)を備え得る。加速式質量分析計は、二酸化炭素を直接分析するために使用され得る。しかし、より好ましくは、試料は、黒鉛の形態でイオン源に置かれ得る。二酸化炭素は、好ましくは、還元剤としての水酸化チタン及び亜鉛粉末と触媒としてのコバルトとを含むガラス黒鉛化管に通される。この管は、好ましくは、二酸化炭素を黒鉛に還元するように500〜550℃に加熱される。次いで、黒鉛は、好ましくは、セシウム蒸気を打ち込まれて負の炭素イオンを形成する。この方法は、14C同位体を測定する際に特に有利である。なぜなら、14N負イオンは不安定だからである。結果として、測定は、窒素の存在に実質的に影響されない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0082】
以下に、本発明の種々の実施の形態を、説明のためのみに与えられる構成とともに、添付の図面を参照してあくまで例として説明する。
【0083】
図1は、従来技術における電界非対称イオン移動度分光分析デバイスを示す図である。
【0084】
図2は、本発明の好適な実施の形態を示す図である。
【0085】
公知の電界非対称イオン移動度分光分析デバイスを図1に示す。イオンは、イオン源1において生成又は発生され、次いで、2つの平行な金属電極2の間を通るように配置される。イオンが2つの電極2の間の間隙中へ入り及びそこを通るようにイオンを方向付けるために、ガス流が使用され得る。周期的な非対称電圧波形5及びDC補償電圧が平行な金属電極2に印加される。電界の強さの関数として特定の変化の仕方をするイオン移動度を有するイオンは、金属電極2間を前へ向かって移送されるように配置され得る。しかし、他のすべてのイオンは、電極2のうちの一方へ向かって移動し、システムから失われ得る。前へ向かって移送されるイオンは、プレート検出器3によって検出される。次いで、プレート検出器3から出力されたイオン電流は、増幅器4によって増幅される。
【0086】
図2は、本発明の好適な実施の形態を示す図である。この好適な実施の形態は、好ましくは、2つのHPLCポンプ6、7を備えている。HPLCポンプ6、7は、好ましくは、溶媒A及びBを供給する(deliver)ように構成される。溶媒のうちの一方は、好ましくは水であり、他方の溶媒は、好ましくはメタノールなどの有機溶媒である。2つの流れは、好ましくは、混合T字管8において混合される。
【0087】
通常動作において、2つのポンプ6、7の相対流量は、総流量を実質的に一定に維持しつつ変化させるのが好ましい。従って、混合T字管8から出てくる混合物は、溶媒A及び溶媒Bの割合が時間の関数として可変である。従って、HPLCシステムは、好ましくは、勾配流(gradient flow)を提供するように構成される。
【0088】
次いで、混合T字管8からの流れは、好ましくは、注入器9を通るように配置される。分析対象の検体混合物を含む試料は、好ましくは、注入器9によって液体流に注入される。次いで、その結果得られた溶媒と検体の混合物は、好ましくは、高圧液体クロマトグラフィ(「HPLC」)カラム(column)10へ通されるように配置される。
【0089】
溶媒勾配は、好ましくは、検体混合物の異なる成分がHPLCカラム10から異なる時間に出てくるように構成される。次いで、HPLCカラム10から溶離した検体成分は、好ましくは、イオン化プローブ11へ運搬又は通される。次いで、イオンは、好ましくは、エレクトロスプレーイオン化によって生成又は発生される。プローブの先端は、好ましくは、比較的高い電圧に保持される(例えば、正イオン形成のためには3kV〜4kV、及び、負イオン形成のためには−3kV〜−4kV)。スプレー処理は、同軸流の霧状ガスによって補助され得る。霧状ガスは、より微小なスプレー滴を生成するのに役立ち得、また、スプレー滴を方向付け得、これにより散乱を低減することができる。霧状ガスは、注入口12を介してプローブ11へ導入され得る。加熱された乾燥ガスもまた、微小滴の脱溶媒和処理を補助するためにスプレーへ向けられ得る。脱溶媒和ガス流は、単に例示を簡略化するために、図2においては示されていない。
【0090】
好ましくは、エレクトロスプレーイオン化イオン源11において生成されるイオンは、好ましくは脱溶媒和され、好ましくは電界非対称イオン移動度分光分析(「FAIMS」)デバイス13を形成する2つの平行な金属電極の間を好ましくは通るように方向付けられる。しかし、別の実施の形態によれば、電界非対称イオン移動度分光分析デバイス13は、同軸円筒状、球状又は半球状の電極を備え得る。ガス流は、好ましくは、第1のガス注入口14を通って、好ましくは電界非対称イオン移動度分光分析デバイス13を入れるハウジングへ導入される。前記ガス流は、好ましくは、イオンが電極間の間隙中へ入り及びそこを通るようにイオンを方向付けるために使用される。前記ガス流は、ヘリウム、窒素、又は、ヘリウムと窒素との混合物を含み得る。非対称で周期的な電圧波形及びDC補償電圧は、好ましくは、電界非対称イオン移動度分光分析デバイス13を構成する電極の間又はそれらに印加される。イオン移動度が電界の強さの関数として特定の変化の仕方をするイオンは、好ましくは、電極間を移送される。他のすべてのイオンは、好ましくは、一方の電極又は他方の電極に向かって移動し、システムから放出されるか、又は、そうでなければ失われる。
【0091】
電界非対称イオン移動度分光分析デバイス13は、好ましくは、所望の検体イオンを移送し、望ましくない溶媒イオンを退けるか又は実質的に減衰させるように、調整されるか、又は、そうでなければ構成される。次いで、移送された前記検体イオンは、好ましくは、燃焼室又は燃焼領域16へ通される。酸素ガスは、好ましくは、第2のガス注入口15を通って燃焼室16へ導入される。第2のガス注入口15は、好ましくは、電界非対称イオン移動度分光分析デバイス13の下流及び/又は燃焼室又は燃焼領域16の上流に配置される。あるいは、酸素ガスは、好ましくは電界非対称イオン移動度分光分析デバイス13の上流に配置される前記第1のガス注入口14を通って導入され得る。燃焼室16は、触媒(例えば、酸化銅)を含み得、例えば約900℃に加熱され得る。次いで、その結果得られた二酸化炭素、水及び他の酸化物は、好ましくは、1つ以上の低温トラップ17を通され、低温トラップ17内で、二酸化炭素は、好ましくは他の酸化生成物から分離される。次いで、分離された二酸化炭素は、好ましくは、同位体の相対存在量を測定するための同位体比質量分析計へ渡されるか又は通される。
【0092】
図2に示す特定の実施の形態において、二酸化炭素は、好ましくは、まず、質量分析器の上流に配置された電子衝突イオン源18に通される。二酸化炭素は、好ましくは、電子衝突イオン源18によってイオン化され、電子衝突イオン源18によって加速されたその結果のイオンは、好ましくは、磁場型質量分析器19へ通される。次いで、イオンは、好ましくは、磁場型質量分析器19において分離される。磁場型質量分析器19は、好ましくは、質量電荷比値44、45、46のイオンのイオン電流をそれぞれ測定するための3つの別個のイオンコレクタを備える。あるいは、1つ、2つ又は3つよりも多いイオンコレクタが提供され得る。他のタイプの質量分析計又は質量分析器が提供され得る他の実施の形態が想起され得る。前記3つのイオンコレクタから出力される3つの信号の比は、好ましくは、炭素の同位体の相対存在量を決定するために使用される。次いで、これらの比は、機器因子(instrumental factor)を最小限にするか又は排除するために既知の基準と比較され得る。そうしなければ、機器因子は、これらの測定値を歪め得る。
【0093】
好適な実施の形態を参照しながら本発明を説明してきたが、当業者には、添付の特許請求の範囲に記載の発明の範囲を逸脱せずに形態及び詳細の種々の変更がなされ得ることが理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】図1は、従来技術における電界非対称イオン移動度分光分析デバイスを示す図である。
【図2】図2は、本発明の好適な実施の形態を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体原子、分子又はイオンを分離又は分散させる第1のデバイスと、
前記第1のデバイスの下流に配置され、前記第1のデバイスから受け取った検体原子、分子又はイオンをイオン化するように構成及び適合される第1のイオン源と、
1つ以上の電極を含み、検体イオンを他のイオンから分離する第2のデバイスと、
少なくともいくつかの検体イオンを受け取り、少なくとも部分的に燃焼するように構成された燃焼室と、
前記燃焼室の下流に配置された質量分析器とを備えた、質量分析計。
【請求項2】
前記第1のデバイスが、クロマトグラフィによって検体原子又は分子を分離又は分散させるクロマトグラフィデバイスを備えた、請求項1に記載の質量分析計。
【請求項3】
前記第1のデバイスが、ガスクロマトグラフィデバイスを備えた、請求項1又は2に記載の質量分析計。
【請求項4】
前記第1のデバイスが、液体クロマトグラフィデバイスを備えた、請求項1又は2に記載の質量分析計。
【請求項5】
前記第1のデバイスが、(i)超臨界流体クロマトグラフィデバイス、(ii)キャピラリー電気泳動デバイス、及び、(iii)キャピラリー電気泳動クロマトグラフィデバイスからなる群から選択される、請求項1に記載の質量分析計。
【請求項6】
前記第1のイオン源が、(i)エレクトロスプレーイオン化(「ESI」)イオン源、(ii)大気圧光イオン化(「APPI」)イオン源、(iii)大気圧化学イオン化(「APCI」)イオン源、(iv)マトリックス支援レーザ脱離イオン化(「MALDI」)イオン源、(v)レーザ脱離イオン化(「LDI」)イオン源、(vi)大気圧イオン化(「API」)イオン源、(vii)シリコンを用いた脱離イオン化(「DIOS」)イオン源、(viii)電子衝突(「EI」)イオン源、(ix)化学イオン化(「CI」)イオン源、(x)電界イオン化(「FI」)イオン源、(xi)電界脱離(「FD」)イオン源、(xii)誘導結合プラズマ(「ICP」)イオン源、(xiii)高速原子衝撃(「FAB」)イオン源、(xiv)液体二次イオン質量分析(「LSIMS」)イオン源、(xv)脱離エレクトロスプレーイオン化(「DESI」)イオン源、(xvi)ニッケル−63放射性イオン源、(xvii)大気圧マトリックス支援レーザ脱離イオン化イオン源、及び、(xviii)サーモスプレーイオン源からなる群から選択される、先行する請求項のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項7】
前記第1のイオン源が、パルス化又は連続イオン源を備えた、先行する請求項のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項8】
前記第2のデバイスが、(i)高電界非対称波形イオン移動度セパレータ又は分光計、(ii)イオン移動度セパレータ又は分光計、(iii)気相電気泳動デバイス、(iv)差動式のイオン移動度セパレータ、分光計又はデバイス、(v)電界非対称イオン移動度分光分析(「FAIMS」)デバイス、(vi)気相イオンセパレータ又は分光計、(vii)イオンをその移動度にしたがって分離するデバイス、及び、(viii)イオン移動度の電界強さに対する差又は変化にしたがってイオンを分離するデバイスからなる群から選択される、先行する請求項のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項9】
非対称な電圧波形を前記1つ以上の電極に印加するように構成及び適合される第1の電圧手段をさらに備えた、先行する請求項のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項10】
前記非対称な電圧波形が、第1のピーク振幅を有する少なくとも第1の電圧成分Vhighと第2のピーク振幅を有する少なくとも第2の電圧成分Vlowとを含み、前記第1のピーク振幅が、前記第2のピーク振幅と実質的に異なっている、請求項9に記載の質量分析計。
【請求項11】
前記第1のピーク振幅が正又は負であり、及び/又は、前記第2のピーク振幅が正又は負である、請求項10に記載の質量分析計。
【請求項12】
前記第1のピーク振幅及び/又は前記第2のピーク振幅が、(i)<−5000V、(ii)−5000〜−4500V、(iii)−4500〜−4000V、(iv)−4000〜−3500V、(v)−3500〜−3000V、(vi)−3000〜−2900V、(vii)−2900〜−2800V、(viii)−2800〜−2700V、(ix)−2700〜−2600、(x)−2600〜−2500V、(xi)−2500〜−2400V、(xii)−2400〜−2300V、(xiii)−2300〜−2200V、(xiv)−2200〜−2100V、(xv)−2100〜−2000V、(xvi)−2000〜−1900V、(xvii)−1900〜−1800V、(xviii)−1800〜−1700V、(xix)−1700〜−1600V、(xx)−1600〜−1500V、(xxi)−1500〜−1400V、(xxii)−1400〜−1300V、(xxiii)−1300〜−1200V、(xxiv)−1200〜−1100V、(xxv)−1100〜−1000V、(xxvi)−1000〜−900V、(xxvii)−900〜−800V、(xxviii)−800〜−700V、(xxix)−700〜−600V、(xxx)−600〜−500V、(xxxi)−500〜−400V、(xxxii)−400〜−300V、(xxxiii)−300〜−200V、(xxxiv)−200〜−100V、(xxxv)−100〜0V、(xxxvi)0〜100V、(xxxvii)100〜200V、(xxxviii)200〜300V、(xxxix)300〜400V、(xl)400〜500V、(xli)500〜600V、(xlii)600〜700V、(xliii)700〜800V、(xliv)800〜900V、(xlv)900〜1000V、(xlvi)1000〜1100V、(xlvii)1100〜1200V、(xlviii)1200〜1300V、(xlix)1300〜1400V、(l)1400〜1500V、(li)1500〜1600V、(lii)1600〜1700V、(liii)1700〜1800V、(liv)1800〜1900V、(lv)1900〜2000V、(lvi)2000〜2100V、(lvii)2100〜2200V、(lviii)2200〜2300V、(lix)2300〜2400V、(lx)2400〜2500V、(lxi)2500〜2600V、(lxii)2600〜2700V、(lxiii)2700〜2800V、(lxiv)2800〜2900、(lxv)2900〜3000V、(lxvi)3000〜3500V、(lxvii)3500〜4000V、(lxviii)4000〜4500V、(lxix)4500〜5000V、及び、(lxx)>5000Vからなる群から選択される、請求項10又は11に記載の質量分析計。
【請求項13】
前記第1の電圧成分が、第1の期間Thighの間、印加されるか又は存在し、前記第2の電圧成分が、第2の期間Tlowの間、印加されるか又は存在する、請求項10、11又は12のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項14】
前記第1の期間Thighが、前記第2の期間Tlowよりも短いか長いか又は実質的に同じである、請求項13に記載の質量分析計。
【請求項15】
前記第1の期間Thigh及び/又は前記第2の期間Tlowが、(i)<0.1μs、(ii)0.1〜0.5μs、(iii)0.5〜1μs、(iv)1〜2μs、(v)2〜3μs、(vi)3〜4μs、(vii)4〜5μs、(viii)5〜6μs、(ix)6〜7μs、(x)7〜8μs、(xi)8〜9μs、(xii)9〜10μs、(xiii)10〜11μs、(xiv)11〜12μs、(xv)12〜13μs、(xvi)13〜14μs、(xvii)14〜15μs、(xviii)15〜16μs、(xix)16〜17μs、(xx)17〜18μs、(xxi)18〜19μs、(xxii)19〜20μs、及び、(xxiii)>20μsからなる群から選択される、請求項13又は14に記載の質量分析計。
【請求項16】
前記非対称な電圧波形が、(i)矩形状、(ii)非矩形状、(iii)曲線状、(iv)規則的、(v)不規則的、(vi)階段状、(vii)鋸歯状、及び、(viii)正弦波状からなる群から選択される波形を含む、請求項9〜15のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項17】
DC補償電圧を前記1つ以上の電極に印加するように構成及び適合される第2の電圧手段をさらに備えた、先行する請求項のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項18】
前記DC補償電圧が、(i)<−1000V、(ii)−900〜−800V、(iii)−800〜−700V、(iv)−700〜−600V、(v)−600〜−500V、(vi)−500〜−400V、(vii)〜400〜−300V、(viii)−300〜−200V、(ix)−200〜−100V、(x)−100〜−90V、(xi)−90〜−80V、(xii)−80〜−70V、(xiii)−70〜−60V、(xiv)−60〜−50V、(xv)−50〜−40V、(xvi)−40〜−30V、(xvii)−30〜−20V、(xviii)−20〜−10V、(xix)−10〜0V、(xx)0〜10V、(xxi)10〜20V、(xxii)20〜30V、(xxiii)30〜40V、(xiv)40〜50V、(xxv)50〜60V、(xxvi)60〜70V、(xxvii)70〜80V、(xxviii)80〜90V、(xxix)90〜100V、(xxx)100〜200V、(xxxi)200〜300V、(xxxii)300〜400V、(xxxiii)400〜500V、(xxxiv)500〜600V、(xxxv)600〜700V、(xxxvi)700〜800V、(xxxvii)800〜900V、(xxxviii)900〜1000V、及び、(xxxix)>1000Vからなる群から選択される、請求項17に記載の質量分析計。
【請求項19】
動作モードにおいて、前記第2の電圧手段が、前記1つ以上の電極に印加される前記DC補償電圧を掃引し、変化させ、漸進的に変化させ又は切り替えるように構成及び適合される、請求項17又は18に記載の質量分析計。
【請求項20】
前記第2の電圧手段が、前記DC補償電圧を、概して又は実質的に階段状、直線状、規則的、不規則的、周期的又は非周期的な方法で、掃引し、変化させ、漸進的に変化させ又は切り替えるように構成及び適合される、請求項19に記載の質量分析計。
【請求項21】
使用時に前記第2のデバイスを流れる第1のガス流を提供するように構成される手段をさらに備え、少なくともいくつかのイオンが、前記第1のガス流に同伴することにより、前記第2のデバイスを通って軸方向に前方移送されるように配置される、先行する請求項のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項22】
前記第1のガス流が、(i)窒素、(ii)ヘリウム、及び、(iii)酸素からなる群から選択される1つ以上のガスを含む、請求項21に記載の質量分析計。
【請求項23】
前記第2のデバイスが、2つ以上の実質的に平行な電極を備えた、先行する請求項のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項24】
前記第2のデバイスが、2つ以上の実質的に同軸の円筒状、球状又は半球状の電極を備えた、請求項1〜22のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項25】
前記第2のデバイスが、イオンが使用時に前記第2のデバイスを通って移送される実質的に又は概して平面に配置される1つ以上の電極を備えた、先行する請求項のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項26】
前記第2のデバイスが、複数の軸方向セグメント又はアレイ電極を備えた、先行する請求項のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項27】
前記第2のデバイスが、少なくとも2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、又は20個を超える軸方向セグメント又は電極を備えた、請求項26に記載の質量分析計。
【請求項28】
少なくともいくつかのイオンを前記第2のデバイスの軸方向長さの少なくとも一部を通って及び/又はそれに沿って駆動、推進、強制移動又は加速させるために、1つ以上の電圧もしくは電位又は1つ以上の電圧もしくは電位波形を前記複数の軸方向セグメント又は前記アレイ電極に印加するように構成及び適合されるさらなる電圧手段をさらに備えた、請求項26又は27に記載の質量分析計。
【請求項29】
前記さらなる電圧手段が、少なくともいくつかのイオンを前記第2のデバイスの軸方向長さの少なくとも一部又は少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%もしくは100%を通って及び/又はそれに沿って駆動、推進、強制移動又は加速させるために、1つ以上の過渡DC電圧もしくは電位又は1つ以上の過渡DC電圧もしくは電位波形を前記複数の軸方向セグメント又は前記アレイ電極に印加するように構成及び適合される、請求項28に記載の質量分析計。
【請求項30】
前記さらなる電圧手段が、少なくともいくつかのイオンを前記第2のデバイスの軸方向長さの少なくとも一部又は少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%もしくは100%を通って及び/又はそれに沿って駆動、推進、強制移動又は加速させるために、1つ以上の実質的に一定のDC電圧又は電位を前記複数の軸方向セグメント又は前記アレイ電極に印加するように構成及び適合される、請求項28又は29に記載の質量分析計。
【請求項31】
前記さらなる電圧手段が、少なくともいくつかのイオンを前記第2のデバイスの軸方向長さの少なくとも一部又は少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%もしくは100%を通って及び/又はそれに沿って駆動、推進、強制移動又は加速させるために、2つ以上の位相シフトAC又はRF電圧を前記複数の軸方向セグメント又は前記アレイ電極に印加するように構成及び適合される、請求項28、29又は30に記載の質量分析計。
【請求項32】
少なくともいくつかのイオンを前記第2のデバイス内に半径方向に閉じ込めるために、二相もしくは多相ACもしくはRF電圧又は信号を前記第2のデバイスの前記1つ以上の電極に印加する手段をさらに備えた、先行する請求項のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項33】
前記ACもしくはRF電圧又は信号が、(i)<100kHz、(ii)100〜200kHz、(iii)200〜300kHz、(iv)300〜400kHz、(v)400〜500kHz、(vi)0.5〜1.0MHz、(vii)1.0〜1.5MHz、(viii)1.5〜2.0MHz、(ix)2.0〜2.5MHz、(x)2.5〜3.0MHz、(xi)3.0〜3.5MHz、(xii)3.5〜4.0MHz、(xiii)4.0〜4.5MHz、(xiv)4.5〜5.0MHz、(xv)5.0〜5.5MHz、(xvi)5.5〜6.0MHz、(xvii)6.0〜6.5MHz、(xviii)6.5〜7.0MHz、(xix)7.0〜7.5MHz、(xx)7.5〜8.0MHz、(xxi)8.0〜8.5MHz、(xxii)8.5〜9.0MHz、(xxiii)9.0〜9.5MHz、(xxiv)9.5〜10.0MHz、及び、(xxv)>10.0MHzからなる群から選択される周波数を有する、請求項32に記載の質量分析計。
【請求項34】
前記ACもしくはRF電圧又は信号の振幅が、(i)<50Vピーク・トゥ・ピーク、(ii)50〜100Vピーク・トゥ・ピーク、(iii)100〜150Vピーク・トゥ・ピーク、(iv)150〜200Vピーク・トゥ・ピーク、(v)200〜250Vピーク・トゥ・ピーク、(vi)250〜300Vピーク・トゥ・ピーク、(vii)300〜350Vピーク・トゥ・ピーク、(viii)350〜400Vピーク・トゥ・ピーク、(ix)400〜450Vピーク・トゥ・ピーク、(x)450〜500Vピーク・トゥ・ピーク、及び、(xi)>500Vピーク・トゥ・ピークからなる群から選択される、請求項32又は33に記載の質量分析計。
【請求項35】
前記第2のデバイスが、実質的に直線状、非直線状、規則的、不規則的又は曲線状のイオンガイド領域を備えた、先行する請求項のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項36】
前記第2のデバイスが、ドリフト管を備えた、先行する請求項のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項37】
前記ドリフト管が、使用時にイオンが移送される複数の環状電極を備えた、請求項36に記載の質量分析計。
【請求項38】
DCのみの電圧勾配が使用時に前記ドリフト管の軸方向長さの少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又は100%に沿って維持されている、請求項36又は37に記載の質量分析計。
【請求項39】
前記第2のデバイスが、イオンをそのイオン移動度にしたがって分離するイオン移動度分光計又はセパレータを備えた、請求項36、37又は38に記載の質量分析計。
【請求項40】
前記第2のデバイスが、使用時に、(i)>0.0001mbar、(ii)>0.001mbar、(iii)>0.01mbar、(iv)>0.1mbar、(v)>1mbar、(vi)>10mbar、(vii)>100mbar、(viii)>1000mbar、(ix)0.0001〜0.001mbar、(x)0.001〜0.01mbar、(xi)0.01〜0.1mbar、(xii)0.1〜1mbar、(xiii)1〜10mbar、(xiv)10〜100mbar、及び、(xv)100〜1000mbarからなる群から選択される圧力に維持される、先行する請求項のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項41】
前記第2のデバイスが、使用時に、(i)<0.0001mbar、(ii)<0.001mbar、(iii)<0.01mbar、(iv)<0.1mbar、(v)<1mbar、(vi)<10mbar、(vii)<100mbar、及び、(viii)<1000mbarからなる群から選択される圧力に維持される、先行する請求項のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項42】
前記第2のデバイスが、検体イオンを溶媒イオンから分離するように構成及び適合される、先行する請求項のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項43】
前記検体イオンが、前記第2のデバイスによって実質的に前へ向かって移送されるように配置される、請求項42に記載の質量分析計。
【請求項44】
前記溶媒イオンが、前記第2のデバイスによって実質的に減衰されるように配置される、請求項42又は43に記載の質量分析計。
【請求項45】
前記第2のデバイスが、実質的に連続したイオンビームを受け取るように構成及び適合され、かつ、複数のイオンパケット又はイオン束としてイオンを放出又は射出するように構成及び適合される、先行する請求項のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項46】
前記燃焼室が、検体イオンを酸素雰囲気中で燃焼するように構成及び適合される、先行する請求項のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項47】
前記燃焼室が、触媒を含む、請求項46に記載の質量分析計。
【請求項48】
前記触媒が、酸化銅を含む、請求項47に記載の質量分析計。
【請求項49】
二酸化炭素が、前記燃焼室において形成されるように配置される、先行する請求項のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項50】
使用時に前記燃焼室中に流れ込む第2のガス流を提供するように構成される手段をさらに備え、前記第2のデバイスから出てくる少なくともいくつかの原子、分子又はイオンが前記第2のガス流に混入するように構成された、先行する請求項のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項51】
前記第2のガス流が、(i)窒素、(ii)ヘリウム、及び、(iii)酸素からなる群から選択される1つ以上のガスを含む、請求項50に記載の質量分析計。
【請求項52】
二酸化炭素を他の燃焼生成物から分離する1つ以上の低温トラップをさらに備えた、先行する請求項のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項53】
前記燃焼室から受け取られるか又は前記燃焼室から出射する1つ以上の燃焼生成物をイオン化するように構成及び適合される第2のイオン源をさらに備えた、先行する請求項のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項54】
前記第2のイオン源が、(i)エレクトロスプレーイオン化(「ESI」)イオン源、(ii)大気圧光イオン化(「APPI」)イオン源、(iii)大気圧化学イオン化(「APCI」)イオン源、(iv)マトリックス支援レーザ脱離イオン化(「MALDI」)イオン源、(v)レーザ脱離イオン化(「LDI」)イオン源、(vi)大気圧イオン化(「API」)イオン源、(vii)シリコンを用いた脱離イオン化(「DIOS」)イオン源、(viii)電子衝突(「EI」)イオン源、(ix)化学イオン化(「CI」)イオン源、(x)電界イオン化(「FI」)イオン源、(xi)電界脱離(「FD」)イオン源、(xii)誘導結合プラズマ(「ICP」)イオン源、(xiii)高速原子衝撃(「FAB」)イオン源、(xiv)液体二次イオン質量分析(「LSIMS」)イオン源、(xv)脱離エレクトロスプレーイオン化(「DESI」)イオン源、(xvi)ニッケル−63放射性イオン源、(xvii)大気圧マトリックス支援レーザ脱離イオン化イオン源、及び、(xviii)サーモスプレーイオン源からなる群から選択される、請求項53に記載の質量分析計。
【請求項55】
前記質量分析器が、同位体比質量分析器からなる、先行する請求項のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項56】
前記質量分析器が、2つ、3つ又は3つよりも多いイオンコレクタを有する磁場型質量分析器からなる、先行する請求項のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項57】
前記質量分析器が、(i)四重極質量分析器、(ii)二次元又は線形四重極質量分析器、(iii)ポール又は三次元四重極質量分析器、(iv)ペニングトラップ質量分析器、(v)イオントラップ質量分析器、(vi)磁場型質量分析器、(vii)イオンサイクロトロン共鳴(「ICR」)質量分析器、(viii)フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴(「FTICR」)質量分析器、(ix)静電又はオービトラップ質量分析器、(x)フーリエ変換静電又はオービトラップ質量分析器、(xi)フーリエ変換質量分析器、(xii)飛行時間質量分析器、(xiii)軸方向加速式飛行時間質量分析器、(xiv)直交加速式飛行時間質量分析器、及び、(xv)加速式質量分析計(「AMS」)からなる群から選択される、請求項1〜55のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項58】
前記質量分析器が、1つ、2つ、3つ又は3つよりも多い二酸化炭素の同位体の相対強度又は存在量を質量分析又は測定するように構成され、前記二酸化炭素は、前記燃焼室において炭素を含む検体イオンを燃焼することによって形成される、先行する請求項のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項59】
第1のデバイスにおいて検体原子又は分子を分離又は分散させる工程と、
前記第1のデバイスの下流に配置されるイオン源において前記第1のデバイスから受け取った検体原子又は分子をイオン化する工程と、
1つ以上の電極を備える第2のデバイスにおいて検体イオンを他のイオンから分離する工程と、
燃焼室において少なくともいくつかの検体イオンを受け取り、少なくとも部分的に燃焼する工程と、
イオンを質量分析又は測定する工程とを含む、質量分析の方法。
【請求項60】
前記燃焼室において形成される燃焼生成物のうちの少なくともいくつかをイオン化する工程をさらに含み、前記イオンを質量分析又は測定する工程が、1つ、2つ、3つ又は3つよりも多い二酸化炭素の同位体の相対強度又は存在量を質量分析又は測定する工程を含み、前記二酸化炭素が、前記燃焼室において炭素を含む検体イオンを燃焼することによって形成される、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
所定の所望の検体イオンを移送し、望ましくない溶媒イオンを実質的に減衰させるように構成される電界非対称イオン移動度分光分析デバイスと、
前記電界非対称イオン移動度分光分析デバイスの下流に配置され、検体イオンを受け取るように構成される燃焼室とを備えた、質量分析計。
【請求項62】
所定の所望の検体イオンを移送し、望ましくない溶媒イオンを実質的に減衰させるように構成される電界非対称イオン移動度分光分析デバイスと、
前記電界非対称イオン移動度分光分析デバイスの下流に配置され、イオン化された燃焼生成物の相対強度又は存在量を質量分析又は測定するように構成される同位体比質量分析器又は同位体比質量分析計とを備えた、質量分析計。
【請求項63】
液体クロマトグラフィシステムと、
燃焼デバイスと、
前記燃焼デバイスの下流に配置された質量分析器と、
前記液体クロマトグラフィシステムと前記燃焼デバイスとのインターフェースをとり、検体イオンを溶媒イオンから少なくとも部分的に分離し、少なくともいくつかの溶媒イオンを実質的に減衰させながら少なくともいくつかの検体イオンを前記燃焼デバイスへ前方移送するように構成されるインターフェースデバイスとを備えた、質量分析計。
【請求項64】
前記インターフェースデバイスが、検体及び/又は溶媒原子、分子もしくはイオンをイオン化するイオン源を備えた、請求項63に記載の質量分析計。
【請求項65】
前記インターフェースデバイスが、検体イオンを溶媒イオンから分離する電界非対称イオン移動度分光分析(「FAIMS」)デバイスを備えた、請求項63又は64に記載の質量分析計。
【請求項66】
前記インターフェースデバイスが、イオンをそのイオン移動度にしたがって分離するイオン移動度分光計又はセパレータを備えた、請求項63又は64に記載の質量分析計。
【請求項67】
所定の所望の検体イオンを望ましくない溶媒イオンから分離するように構成されるイオン移動度分光計又はセパレータと、
前記イオン移動度分光計又はセパレータの下流に配置され、検体イオンを受け取るように構成される燃焼室とを備えた、質量分析計。
【請求項68】
所定の所望の検体イオンを望ましくない溶媒イオンから分離するように構成されるイオン移動度分光計又はセパレータと、
前記イオン移動度分光計又はセパレータの下流に配置され、イオン化された燃焼生成物を質量分析又は測定するように構成される同位体比質量分析器又は同位体比質量分析計とを備えた、質量分析計。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−535170(P2008−535170A)
【公表日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−503596(P2008−503596)
【出願日】平成18年4月3日(2006.4.3)
【国際出願番号】PCT/GB2006/001207
【国際公開番号】WO2006/103465
【国際公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【出願人】(504142097)マイクロマス ユーケー リミテッド (57)
【Fターム(参考)】