質量分析計
衝突、フラグメンテーションまたは反応セル4を含む質量分析計を開示する。衝突、フラグメンテーションまたは反応セル4は、高フラグメンテーション動作モードと低フラグメンテーション動作モードとの間で繰り返し切り替えられる。質量スペクトルデータセットがこの2つの動作モードで得られる。小数質量フィルタを1つまたは両方のデータセットに適用する。特に、対象の親または前駆イオンに関係するフラグメントイオンまたは代謝産物を、該対象の親または前駆イオンと同様の小数質量を有することに基づいて同定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、質量分析の方法および質量分析計に関する。
【背景技術】
【0002】
タンデム質量分析(MS/MS)は、質量分析の方法に与えられた名称であって、この方法では、試料から生成された親または前駆イオンが第1の質量フィルタ/分析器によって選択され、次いで衝突セルに渡される。次いで、イオンは、中性ガス分子と衝突することによってフラグメンテーションされ、娘(または「生成」)イオンを生成する。次いで、フラグメントまたは娘イオンは、第2の質量フィルタ/分析器によって質量分析され、その結果得られるフラグメントまたは娘イオンスペクトルは、その構造、ひいてはその親(または「前駆」)イオンのアイデンティティを決定するために使用され得る。タンデム質量分析は、質量スペクトル分析の前に化学的クリーニングをする必要がないので、生体分子などの複雑な混合物の分析に特に有用である。
【0003】
親または前駆イオンスキャンと呼ばれる特定の形態のタンデム質量分析が公知である。この特定の形態のタンデム質量分析では、第1のステップにおいて、第2の質量フィルタ/分析器は、質量フィルタとして作用し、特定の質量電荷比を有するフラグメントまたは娘イオンを移送および検出するだけであるように構成される。特定の質量電荷比は、特定の親もしくは前駆イオンまたは特定の種類の親もしくは前駆イオンをフラグメンテーションして得られる特徴的な生成物であることが既知のフラグメントまたは娘イオンの質量電荷比に対応するように設定される。次いで、第2の質量フィルタ/分析器を特定の質量電荷比を有するフラグメントまたは娘イオンの存在をモニターするように固定したままで、衝突セルの上流にある第1の質量フィルタ/分析器は、スキャンされる。次いで、特徴的なフラグメントまたは娘イオンを生成する親または前駆イオン質量電荷比が決定される。次いで、第2のステップとして、特徴的なフラグメントまたは娘イオンを生成する親または前駆イオン質量電荷比のそれぞれに対する完全なフラグメントまたは娘イオンスペクトルが、特定の質量電荷比を有する親または前駆イオンを選択するように第1の質量フィルタ/分析器を動作させ、次いで第2の質量フィルタ/分析器をスキャンして、その結果得られる全フラグメントまたは娘イオンスペクトルを記録することによって得られ得る。次いで、これは、他の対象となる親または前駆イオンに対して繰り返され得る。親イオンスキャンは、例えば生体分子のエレクトロスプレー質量スペクトルにおいて頻繁に見られる化学的ノイズが存在することによって直接質量スペクトルにおいて親または前駆イオンを同定することが可能でない場合に有用である。
【0004】
第1の四重極質量フィルタ/分析器、衝突ガスが導入される四重極衝突セル、および第2の四重極質量フィルタ/分析器を有する三連四重極質量分析計が周知である。
【0005】
他の種類の質量分析計(ハイブリッド四重極−飛行時間質量分析計)が公知である。この質量分析計では、第2の四重極質量フィルタ/分析器が直交加速飛行時間質量分析器によって置き換えられる。
【0006】
後で説明するように、これらの種類の質量分析計は、親または前駆イオンをスキャンし、その後に候補の親または前駆イオンのフラグメントまたは娘イオンスペクトルを得る従来の方法において使用する場合、デューティサイクルが低いので、オンラインクロマトグラフィ用途などのより高いデューティサイクルを必要とする用途の使用には不適切である。
【0007】
四重極は、質量フィルタとして使用している際には、デューティサイクルが約100%であるが、次いで、例えば底辺(base)が1質量単位のピークを有する500質量単位の質量範囲を質量分析するために、質量分析器としてスキャンモードで使用される場合、そのデューティサイクルは、約0.1%に低下する。
【0008】
直交加速飛行時間分析器は、通常、スペクトルにおける異なるイオンの相対的質量電荷値に応じて、1〜20%の範囲内にデューティサイクルを有する。しかし、デューティサイクルは、飛行時間分析器が特定の質量電荷比を有するイオンを移送するために質量フィルタとして使用されているかどうか、または飛行時間分析器が全質量スペクトルを記録するために使用されているかどうかにかかわらず、同じままである。これは、飛行時間分析器の動作の性質によるものである。フラグメントまたは娘イオンスペクトルを取得または記録するために使用される場合、飛行時間分析器のデューティサイクルは、通常約5%である。
【0009】
おおよそ、三連四重極質量分析計を使用して候補の親または前駆イオンを発見しようとする際の従来のデューティサイクルは、約0.1%である(第1の四重極質量フィルタ/分析器は、0.1%のデューティサイクルでスキャンされ、第2の四重極質量フィルタ/分析器は、デューティサイクルが100%の質量フィルタとして作用する)。次いで特定の候補の親または前駆イオンに対するフラグメントまたは娘イオンスペクトルを得る際のデューティサイクルも約0.1%である(第1の四重極質量フィルタ/分析器は、デューティサイクルが100%の質量フィルタとして作用し、第2の四重極質量フィルタ/分析器は、約0.1%のデューティサイクルでスキャンされる)。したがって、その結果得られる、いくつかの候補の親または前駆イオンを発見し、その候補の親または前駆イオンのうちの1つについての娘スペクトルを生成するデューティサイクルは、約0.1%/2(各段のデューティサイクルが0.1%である2段階処理のため)=0.05%である。
【0010】
候補の親または前駆イオンを発見するための四重極−飛行時間質量分析計のデューティサイクルは、約0.005%である(四重極は、約0.1%のデューティサイクルでスキャンされ、飛行時間分析器は、デューティサイクルが約5%の質量フィルタとして作用する)。一旦候補の親または前駆イオンが発見されると、候補の親または前駆イオンのフラグメントまたは娘イオンスペクトルが5%のデューティサイクルで得られ得る(四重極は、デューティサイクルが約100%の質量フィルタとして作用し、飛行時間分析器は、5%のデューティサイクルでスキャンされる)。したがって、その結果得られる、いくつかの候補の親または前駆イオンを発見し、その候補の親または前駆イオンのうちの1つについての娘スペクトルを生成するデューティサイクルは、約0.005%である(なぜなら、0.005%≪5%)。
【0011】
以上のように、三連四重極質量分析計は、親または前駆イオンスキャンおよび発見された候補の親または前駆イオンの確証的なフラグメントまたは娘イオンスペクトルを得る従来の方法を行うためのデューティサイクルが四重極−飛行時間質量分析計よりもだいたい一桁高い。しかし、そのようなデューティサイクルの高さは、イオン源がクロマトグラフィデバイスからの溶出物である場合に必要とされるリアルタイムデータを分析するために実用的かつ効率よく使用するには十分でない。
【0012】
エレクトロスプレーおよびレーザ脱離技術は、非常に高い分子量を有する分子イオンを生成することを可能にしてきた。飛行時間質量分析器は、全質量スペクトルを記録する際の効率が高いのでそのような大きな質量生体分子を分析するのに有利である。また、それらは、高い分解能および質量精度を有する。
【0013】
四重極イオントラップなどの他の形態の質量分析器は、いくつかの点で飛行時間分析器と類似する。すなわち、飛行時間分析器と同様に、そのような他の形態の質量分析器は、連続出力を提供できず、したがって、イオンを連続的に移送するための質量フィルタとして使用される場合には、効率が低い。これは、親または前駆イオンスキャンの従来の方法の重要な特徴である。飛行時間質量分析器および四重極イオントラップは、両方とも「不連続出力質量分析器」と称されることがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
改善された質量分析の方法および改善された質量分析計を提供することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の一態様によると、
質量分析の方法であって、
(a)親または前駆イオンを衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスに渡すステップと、
(b)衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスを第1の動作モードにおいて動作させるステップであって、第1の動作モードにおいては、親または前駆イオンのうちの少なくともいくつかが衝突、フラグメンテーションまたは反応されて、フラグメント、生成、娘または付加イオンを生成する、ステップと、
(c)第1の動作モードにおいて動作する衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスから現れるか、またはそこを通って移送されてきたイオンに関係する第1の質量スペクトルデータを記録するステップと、
(d)衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスを第2の動作モードにおいて動作するように切り換え、改変、または変更するステップであって、第2の動作モードにおいては、実質的により少ない親または前駆イオンが衝突、フラグメンテーションまたは反応される、ステップと、
(e)第2の動作モードにおいて動作する衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスから現れるか、またはそこを通って移送されてきたイオンに関係する第2の質量スペクトルデータを記録するステップと、
(f)ステップ(b)〜(e)を複数回繰り返すステップと、
(g)1つまたはそれ以上の親もしくは前駆物質またはイオンの正確なまたは厳密な質量または質量電荷比を決定するステップであって、1つまたはそれ以上の親もしくは前駆物質またはイオンの正確なまたは厳密な質量または質量電荷比は、第1の整数質量または質量電荷比成分M1および第1の小数質量または質量電荷比成分m1を含む、ステップと、
(h)第1の質量スペクトルデータにおいてまたはそれから1つまたはそれ以上のフラグメント、生成、娘もしくは付加物質またはイオンを検索または決定するステップであって、1つまたはそれ以上のフラグメント、生成、娘もしくは付加物質またはイオンは、第2の整数質量または質量電荷比成分M2および第2の小数質量または質量電荷比成分m2を含み、第2の小数質量または質量電荷比成分m2は、第1の小数質量または質量電荷比成分m1よりも0〜x1mDaまたはミリ−質量電荷比単位大きい、および/または第1の小数質量または質量電荷比成分m1よりも0〜x2mDaまたはミリ−質量電荷比単位小さい、ステップとを含む方法が提供される。
【0016】
一実施形態によると、1つまたはそれ以上の親もしくは前駆物質またはイオンは、製薬(pharmaceutical)化合物、薬物または活性成分を含むか、またはそれらに関係し得る。他の実施形態によると、1つまたはそれ以上の親もしくは前駆物質またはイオンは、製薬化合物、薬物または活性成分の1つまたはそれ以上の代謝産物または誘導体を含むか、またはそれらに関係し得る。
【0017】
1つまたはそれ以上の親もしくは前駆物質またはイオンは、生体高分子、タンパク質、ペプチド、ポリペプチド、オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオシド、アミノ酸、炭水化物、糖、脂質、脂肪酸、ビタミン、ホルモン、DNAの部分もしくはフラグメント、cDNAの部分もしくはフラグメント、RNAの部分もしくはフラグメント、mRNAの部分もしくはフラグメント、tRNAの部分もしくはフラグメント、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、リボヌクレアーゼ、酵素、代謝産物、多糖類、リン酸化ペプチド、リン酸化タンパク質、糖ペプチド、糖タンパク質、またはステロイドを含むか、あるいはそれらに関係し得る。
【0018】
1つまたはそれ以上のフラグメント、生成、娘もしくは付加物質またはイオンを検索または決定するステップは、好ましくは、1つまたはそれ以上のフラグメント、生成、娘もしくは付加物質またはイオンの小数質量または質量電荷比成分にのみ基づき、1つまたはそれ以上のフラグメント、生成、娘もしくは付加物質またはイオンの整数質量または質量電荷比成分には基づかずに検索または決定するステップを含む。
【0019】
1つまたはそれ以上のフラグメント、生成、娘もしくは付加物質またはイオンを検索または決定するステップは、好ましくは、第1の整数質量または質量電荷比成分M1と異なる第2の整数質量または質量電荷比成分M2を有する一部またはすべてのフラグメント、生成、娘もしくは付加物質またはイオンを検索または決定するステップを含む。
【0020】
1つまたはそれ以上のフラグメント、生成、娘もしくは付加物質またはイオンを検索または決定するステップは、好ましくは、小数質量または質量電荷比ウィンドウを第1の質量スペクトルデータまたは質量スペクトルに適用するステップをさらに含む。小数質量または質量電荷比ウィンドウは、好ましくは、小数質量または質量電荷比ウィンドウから外れる小数質量または質量電荷比成分を有するフラグメント、生成、娘もしくは付加物質またはイオンの有意性(significance)をフィルタで取り除くか、除去するか、減衰させるか、または少なくとも低減する。
【0021】
第1の整数質量または質量電荷比M1から第2の整数質量または質量電荷比M2を差し引いたものが、好ましくは、ΔMダルトンまたは質量電荷比単位の値を有する。
【0022】
一実施形態によると、x1および/またはx2は、ΔMの関数として実質的に一定のままとなるように構成され得る。
【0023】
他の実施形態によると、x1および/またはx2は、ΔMの関数として変化するように構成され得る。例えば、x1および/またはx2は、ΔMの関数として対称的、非対称的、直線的、非直線的、曲線的または段階的に変化するように構成され得る。一実施形態によると、x1および/またはx2は、(i)0、(ii)±0〜5、(iii)±5〜10、(iv)±10〜15、(v)±15〜20、(vi)±20〜25、(vii)±25〜30、(viii)±30〜35、(ix)±35〜40、(x)±40〜45、(xi)±45〜50、(xii)±50〜55、(xiii)±55〜60、(xiv)±60〜65、(xv)±65〜70、(xvi)±70〜75、(xvii)±75〜80、(xviii)±80〜85、(xix)±85〜90、(xx)±90〜95、(xxi)±95〜100、(xxii)>100、および(xxiii)<−100からなる群から選択されるΔMの値を中心にして対称にΔMの関数として変化するように構成され得る。
【0024】
一実施形態によると、x1および/またはx2は、y%*ΔMの率で増加するか、または減少するように構成され得、ここでyは、(i)<0.01、(ii)0.01〜0.02、(iii)0.02〜0.03、(iv)0.03〜0.04、(v)0.04〜0.05、(vi)0.05〜0.06、(viii)0.06〜0.07、(ix)0.07〜0.08、(x)0.08〜0.09、(xi)0.09〜0.10、(xii)0.10〜0.11、(xiii)0.11〜0.12、(xiv)0.12〜0.13、(xv)0.13〜0.14、(xvi)0.14〜0.15、(xvii)0.15〜0.16、(xviii)0.16〜0.17、(xix)0.17〜0.18、(xx)0.18〜0.19、(xxi)0.19〜0.20、および(xxii)>0.20からなる群から選択され得る。
【0025】
一実施形態によると、ΔM<Mlowerおよび/またはΔM>Mlowerおよび/またはΔM<Mupperおよび/またはΔM>Mupperならば、x1および/またはx2は、実質的に一定値を有するように構成される。
【0026】
一実施形態によると、ΔM<Mlowerおよび/またはΔM>Mlowerおよび/またはΔM<Mupperおよび/またはΔM>Mupperならば、x1および/またはx2は、ΔMの関数として変化するように構成される。好ましくは、ΔM<Mlowerおよび/またはΔM>Mlowerおよび/またはΔM<Mupperおよび/またはΔM>Mupperならば、x1および/またはx2は、ΔMの関数として対称的、非対称的、直線的、非直線的、曲線的または段階的に変化するように構成される。
【0027】
一実施形態によると、x1および/またはx2は、(i)0、(ii)±0〜5、(iii)±5〜10、(iv)±10〜15、(v)±15〜20、(vi)±20〜25、(vii)±25〜30、(viii)±30〜35、(ix)±35〜40、(x)±40〜45、(xi)±45〜50、(xii)±50〜55、(xiii)±55〜60、(xiv)±60〜65、(xv)±65〜70、(xvi)±70〜75、(xvii)±75〜80、(xviii)±80〜85、(xix)±85〜90、(xx)±90〜95、(xxi)±95〜100、(xxii)>100、および(xxiii)<−100からなる群から選択されるΔMの値を中心にして対称にΔMの関数として変化するように構成され得る。
【0028】
一実施形態によると、ΔM<Mlowerおよび/またはΔM>Mlowerおよび/またはΔM<Mupperおよび/またはΔM>Mupperならば、x1および/またはx2は、y%*ΔMの率で増加するか、または減少するように構成され、ここでyは、(i)<0.01、(ii)0.01〜0.02、(iii)0.02〜0.03、(iv)0.03〜0.04、(v)0.04〜0.05、(vi)0.05〜0.06、(viii)0.06〜0.07、(ix)0.07〜0.08、(x)0.08〜0.09、(xi)0.09〜0.10、(xii)0.10〜0.11、(xiii)0.11〜0.12、(xiv)0.12〜0.13、(xv)0.13〜0.14、(xvi)0.14〜0.15、(xvii)0.15〜0.16、(xviii)0.16〜0.17、(xix)0.17〜0.18、(xx)0.18〜0.19、(xxi)0.19〜0.20、および(xxii)>0.20からなる群から選択される。
【0029】
好ましくは、Mupperは、ダルトンまたは質量電荷比単位の値であり、(i)<1、(ii)1〜5、(iii)5〜10、(iv)10〜15、(v)15〜20、(vi)20〜25、(vii)25〜30、(viii)30〜35、(ix)35〜40、(x)40〜45、(xi)45〜50、(xii)50〜55、(xiii)55〜60、(xiv)60〜65、(xv)65〜70、(xvi)70〜75、(xvii)75〜80、(xviii)80〜85、(xix)85〜90、(xx)90〜95、(xxi)95〜100、および(xxii)>100からなる群から選択される範囲に入る。
【0030】
好ましくは、Mlowerは、ダルトンまたは質量電荷比単位の値であり、(i)<−100、(ii)−100〜−95、(iii)−95〜−90、(iv)−90〜−85、(v)−85〜−80、(vi)−80〜−75、(vii)−75〜−70、(viii)−70〜−65、(ix)−65〜−60、(x)−60〜−55、(xi)−55〜−50、(xii)−50〜−45、(xiii)−45〜−40、(xiv)−40〜−35、(xv)−35〜−30、(xvi)−30〜−25、(xvii)−25〜−20、(xviii)−20〜−15、(xix)−15〜−10、(xx)−10〜−5、(xxi)−5〜−1、および(xxii)>−1からなる群から選択される範囲に入る。
【0031】
好ましくは、x1および/またはx2は、M1および/またはM2の関数として実質的に一定のままとなるように構成される。
【0032】
一実施形態によると、x1および/またはx2は、M1および/またはM2の関数として変化するように構成され得る。好ましくは、x1および/またはx2は、M1および/またはM2の関数として対称的、非対称的、直線的、非直線的、曲線的または段階的に変化するように構成される。
【0033】
一実施形態によると、質量スペクトルデータに好ましく適用される小数質量ウィンドウは、上閾値x1と下閾値x2とを有する。これら上下閾値x1、x2は好ましくは、絶対質量の関数として好ましくは変化する中央小数質量値(central decimal mass value)を中心とする。M1に近い絶対質量M2を有するイオンに対しては、中央小数質量値は、m1に近いことが好ましい。比較的小さい(すなわち、0に近づき始める)絶対質量M2を有するイオンに対しては、中央小数質量値は0に近づくことが好ましい。
【0034】
一実施形態によると、x1および/またはx2は、(i)0〜50、(ii)50〜100、(iii)100〜150、(iv)150〜200、(v)200〜250、(vi)250〜300、(vii)300〜350、(viii)350〜400、(ix)400〜450、(x)450〜500、(xi)500〜550、(xii)550〜600、(xiii)600〜650、(xiv)650〜700、(xv)700〜750、(xvi)750〜800、(xvii)800〜850、(xviii)850〜900、(xix)900〜950、(xx)950〜1000、および(xxi)>1000からなる群から選択されるM1および/またはM2の値を中心にして対称にM1および/またはM2の関数として変化するように構成され得る。
【0035】
一実施形態によると、x1および/またはx2は、y%*M1および/またはy%*M2の率で増加するか、または減少するように構成され得、ここでyは、(i)<0.01、(ii)0.01〜0.02、(iii)0.02〜0.03、(iv)0.03〜0.04、(v)0.04〜0.05、(vi)0.05〜0.06、(viii)0.06〜0.07、(ix)0.07〜0.08、(x)0.08〜0.09、(xi)0.09〜0.10、(xii)0.10〜0.11、(xiii)0.11〜0.12、(xiv)0.12〜0.13、(xv)0.13〜0.14、(xvi)0.14〜0.15、(xvii)0.15〜0.16、(xviii)0.16〜0.17、(xix)0.17〜0.18、(xx)0.18〜0.19、(xxi)0.19〜0.20、および(xxii)>0.20からなる群から選択され得る。
【0036】
一実施形態によると、M1<Mlowerおよび/またはM1>Mlowerおよび/またはM1<Mupperおよび/またはM1>Mupperおよび/またはM2<Mlowerおよび/またはM2>Mlowerおよび/またはM2<Mupperおよび/またはM2>Mupperならば、x1および/またはx2は、実質的に一定値を有するように構成される。
【0037】
一実施形態によると、M1<Mlowerおよび/またはM1>Mlowerおよび/またはM1<Mupperおよび/またはM1>Mupperおよび/またはM2<Mlowerおよび/またはM2>Mlowerおよび/またはM2<Mupperおよび/またはM2>Mupperならば、x1および/またはx2は、M1および/またはM2の関数として変化するように構成される。好ましくは、M1<Mlowerおよび/またはM1>Mlowerおよび/またはM1<Mupperおよび/またはM1>Mupperおよび/またはM2<Mlowerおよび/またはM2>Mlowerおよび/またはM2<Mupperおよび/またはM2>Mupperならば、x1および/またはx2は、M1および/またはM2の関数として対称的、非対称的、直線的、非直線的、曲線的または段階的に変化するように構成される。
【0038】
一実施形態によると、x1および/またはx2は、(i)0〜50、(ii)50〜100、(iii)100〜150、(iv)150〜200、(v)200〜250、(vi)250〜300、(vii)300〜350、(viii)350〜400、(ix)400〜450、(x)450〜500、(xi)500〜550、(xii)550〜600、(xiii)600〜650、(xiv)650〜700、(xv)700〜750、(xvi)750〜800、(xvii)800〜850、(xviii)850〜900、(xix)900〜950、(xx)950〜1000、および(xxi)>1000からなる群から選択されるM1および/またはM2の値を中心にして対称にM1および/またはM2の関数として変化するように構成され得る。
【0039】
好ましくは、M1<Mlowerおよび/またはM1>Mlowerおよび/またはM1<Mupperおよび/またはM1>Mupperおよび/またはM2<Mlowerおよび/またはM2>Mlowerおよび/またはM2<Mupperおよび/またはM2>Mupperならば、x1および/またはx2は、y%*M1またはy%*M2の率で増加するか、または減少するように構成され、ここでyは、(i)<0.01、(ii)0.01〜0.02、(iii)0.02〜0.03、(iv)0.03〜0.04、(v)0.04〜0.05、(vi)0.05〜0.06、(viii)0.06〜0.07、(ix)0.07〜0.08、(x)0.08〜0.09、(xi)0.09〜0.10、(xii)0.10〜0.11、(xiii)0.11〜0.12、(xiv)0.12〜0.13、(xv)0.13〜0.14、(xvi)0.14〜0.15、(xvii)0.15〜0.16、(xviii)0.16〜0.17、(xix)0.17〜0.18、(xx)0.18〜0.19、(xxi)0.19〜0.20、および(xxii)>0.20からなる群から選択される。
【0040】
好ましくは、Mupperは、ダルトンまたは質量電荷比単位の値であり、(i)0〜50、(ii)50〜100、(iii)100〜150、(iv)150〜200、(v)200〜250、(vi)250〜300、(vii)300〜350、(viii)350〜400、(ix)400〜450、(x)450〜500、(xi)500〜550、(xii)550〜600、(xiii)600〜650、(xiv)650〜700、(xv)700〜750、(xvi)750〜800、(xvii)800〜850、(xviii)850〜900、(xix)900〜950、(xx)950〜1000、および(xxi)>1000からなる群から選択される範囲に入る。
【0041】
好ましくは、Mlowerは、ダルトンまたは質量電荷比単位の値であり、(i)0〜50、(ii)50〜100、(iii)100〜150、(iv)150〜200、(v)200〜250、(vi)250〜300、(vii)300〜350、(viii)350〜400、(ix)400〜450、(x)450〜500、(xi)500〜550、(xii)550〜600、(xiii)600〜650、(xiv)650〜700、(xv)700〜750、(xvi)750〜800、(xvii)800〜850、(xviii)850〜900、(xix)900〜950、(xx)950〜1000、および(xxi)>1000からなる群から選択される範囲に入る。
【0042】
一実施形態によると、上記方法は、
(i)第1の小数質量または質量電荷比成分m1よりも0〜x1mDaまたはミリ−質量電荷比単位大きい、および/または第1の小数質量または質量電荷比成分m1よりも0〜x2mDaまたはミリ−質量電荷比単位小さい小数質量または質量電荷比成分を有する1つまたはそれ以上の第2の物質またはイオン、
および/または
(ii)衝突、フラグメンテーションまたは反応した場合、第1の小数質量または質量電荷比成分m1よりも0〜x1mDaまたはミリ−質量電荷比単位大きい、および/または第1の小数質量または質量電荷比成分m1よりも0〜x2mDaまたはミリ−質量電荷比単位小さい小数質量または質量電荷比成分を有する1つまたはそれ以上のフラグメント、生成、娘もしくは付加物質またはイオンを生成する1つまたはそれ以上の第2の物質またはイオン
のいずれかをさらなる分析のために選択するステップをさらに含む。
【0043】
さらなる分析のために選択するステップは、好ましくは、1つまたはそれ以上の第2の物質またはイオンをフラグメンテーションするステップを含む。
【0044】
さらなる分析のために選択するステップは、好ましくは、第1の小数質量または質量電荷比成分m1よりも0〜x1mDaまたはミリ−質量電荷比単位大きい、および/または第1の小数質量または質量電荷比成分m1よりも0〜x2mDaまたはミリ−質量電荷比単位小さい小数質量または質量電荷比成分を有する1つまたはそれ以上の第2の物質またはイオンを、衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスへ前方向に移送するステップを含む。
【0045】
本発明の別の態様によると、
質量分析の方法であって、
(a)親または前駆イオンを衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスに渡すステップと、
(b)衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスを第1の動作モードにおいて動作させるステップであって、親または前駆イオンの少なくともいくつかが衝突、フラグメンテーションまたは反応されて、フラグメント、生成、娘または付加イオンを生成する、ステップと、
(c)第1の動作モードにおいて動作する衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスから現れるか、またはそこを通って移送されてきたイオンに関係する第1の質量スペクトルデータを記録するステップと、
(d)衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスを第2の動作モードにおいて動作するように切り換え、改変、または変更するステップであって、実質的により少ない親または前駆イオンが衝突、フラグメンテーションまたは反応される、ステップと、
(e)第2の動作モードにおいて動作する衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスから現れるか、またはそこを通って移送されてきたイオンに関係する第2の質量スペクトルデータを記録するステップと、
(f)ステップ(b)〜(e)を複数回繰り返すステップと、
(g)1つまたはそれ以上の第1の親もしくは前駆物質またはイオンの正確なまたは厳密な質量または質量電荷比を決定するステップであって、1つまたはそれ以上の第1の親もしくは前駆物質またはイオンの正確なまたは厳密な質量または質量電荷比は、第1の整数質量または質量電荷比成分M1および第1の小数質量または質量電荷比成分m1を含む、ステップと、
(h)第1の質量スペクトルデータにおいてまたはそれから1つまたはそれ以上の第2の親もしくは前駆物質またはイオンを検索または決定するステップであって、1つまたはそれ以上の第2の親もしくは前駆物質またはイオンは、第2の整数質量または質量電荷比成分M2および第2の小数質量または質量電荷比成分m2を含み、第2の小数質量または質量電荷比成分m2は、第1の小数質量または質量電荷比成分m1よりも0〜x1mDaまたはミリ−質量電荷比単位大きい、および/または第1の小数質量または質量電荷比成分m1よりも0〜x2mDaまたはミリ−質量電荷比単位小さい、ステップとを含む方法が提供される。
【0046】
一実施形態によると、第1および/または第2の親もしくは前駆物質またはイオンは、好ましくは、製薬化合物、薬物または活性成分を含むか、あるいはそれらに関係する。
【0047】
一実施形態によると、第1および/または第2の親もしくは前駆物質またはイオンは、好ましくは、製薬化合物、薬物または活性成分の1つまたはそれ以上の代謝産物または誘導体を含むか、あるいはそれらに関係する。
【0048】
第1および/または第2の親もしくは前駆物質またはイオンは、好ましくは、生体高分子、タンパク質、ペプチド、ポリペプチド、オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオシド、アミノ酸、炭水化物、糖、脂質、脂肪酸、ビタミン、ホルモン、DNAの部分もしくはフラグメント、cDNAの部分もしくはフラグメント、RNAの部分もしくはフラグメント、mRNAの部分もしくはフラグメント、tRNAの部分もしくはフラグメント、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、リボヌクレアーゼ、酵素、代謝産物、多糖類、リン酸化ペプチド、リン酸化タンパク質、糖ペプチド、糖タンパク質、またはステロイドを含むか、あるいはそれらに関係する。
【0049】
1つまたはそれ以上の第2の親もしくは前駆物質またはイオンを検索または決定するステップは、好ましくは、第2の小数質量または質量電荷比成分m2にのみ基づき、第2の整数質量または質量電荷比成分M2には基づかずに検索するステップを含む。
【0050】
1つまたはそれ以上の第2の親もしくは前駆物質またはイオンを検索または決定するステップは、好ましくは、第1の整数質量または質量電荷比成分M1とは異なる第2の整数質量または質量電荷比成分M2を有する一部またはすべての第2の親もしくは前駆物質またはイオンを検索または決定するステップを含む。
【0051】
1つまたはそれ以上の第2の親もしくは前駆物質またはイオンを検索または決定するステップは、好ましくは、小数質量または質量電荷比ウィンドウを第1の質量スペクトルデータおよび/または第2の質量スペクトルデータおよび/または質量スペクトルに対して適用するステップをさらに含む。小数質量または質量電荷比ウィンドウは、好ましくは、小数質量または質量電荷比ウィンドウから外れる第2の小数質量または質量電荷比成分m2を有する第2の親もしくは前駆物質またはイオンの有意性をフィルタで取り除くか、除去するか、減衰させるか、または少なくとも低減する。
【0052】
第1の整数質量または質量電荷比M1から第2の整数質量または質量電荷比M2を差し引いたものが、好ましくは、ΔMダルトンまたは質量電荷比単位の値を有する。
【0053】
一実施形態によると、x1および/またはx2は、ΔMの関数として実質的に一定のままとなるように構成される。
【0054】
他の実施形態によると、x1および/またはx2は、ΔMの関数として変化するように構成される。好ましくは、x1および/またはx2は、ΔMの関数として対称的、非対称的、直線的、非直線的、曲線的または段階的に変化するように構成される。好ましくは、x1および/またはx2は、(i)0、(ii)±0〜5、(iii)±5〜10、(iv)±10〜15、(v)±15〜20、(vi)±20〜25、(vii)±25〜30、(viii)±30〜35、(ix)±35〜40、(x)±40〜45、(xi)±45〜50、(xii)±50〜55、(xiii)±55〜60、(xiv)±60〜65、(xv)±65〜70、(xvi)±70〜75、(xvii)±75〜80、(xviii)±80〜85、(xix)±85〜90、(xx)±90〜95、(xxi)±95〜100、(xxii)>100、および(xxiii)<−100からなる群から選択されるΔMの値を中心にして対称にΔMの関数として変化するように構成される。
【0055】
一実施形態によると、x1および/またはx2は、y%*ΔMの率で増加するか、または減少するように構成され、ここでyは、(i)<0.01、(ii)0.01〜0.02、(iii)0.02〜0.03、(iv)0.03〜0.04、(v)0.04〜0.05、(vi)0.05〜0.06、(viii)0.06〜0.07、(ix)0.07〜0.08、(x)0.08〜0.09、(xi)0.09〜0.10、(xii)0.10〜0.11、(xiii)0.11〜0.12、(xiv)0.12〜0.13、(xv)0.13〜0.14、(xvi)0.14〜0.15、(xvii)0.15〜0.16、(xviii)0.16〜0.17、(xix)0.17〜0.18、(xx)0.18〜0.19、(xxi)0.19〜0.20、および(xxii)>0.20からなる群より選択される。
【0056】
一実施形態によると、ΔM<Mlowerおよび/またはΔM>Mlowerおよび/またはΔM<Mupperおよび/またはΔM>Mupperならば、x1および/またはx2は、実質的に一定値を有するように構成される。
【0057】
一実施形態によると、ΔM<Mlowerおよび/またはΔM>Mlowerおよび/またはΔM<Mupperおよび/またはΔM>Mupperならば、x1および/またはx2は、ΔMの関数として変化するように構成される。好ましくは、ΔM<Mlowerおよび/またはΔM>Mlowerおよび/またはΔM<Mupperおよび/またはΔM>Mupperならば、x1および/またはx2は、ΔMの関数として対称的、非対称的、直線的、非直線的、曲線的または段階的に変化するように構成される。
【0058】
一実施形態によると、x1および/またはx2は、(i)0、(ii)±0〜5、(iii)±5〜10、(iv)±10〜15、(v)±15〜20、(vi)±20〜25、(vii)±25〜30、(viii)±30〜35、(ix)±35〜40、(x)±40〜45、(xi)±45〜50、(xii)±50〜55、(xiii)±55〜60、(xiv)±60〜65、(xv)±65〜70、(xvi)±70〜75、(xvii)±75〜80、(xviii)±80〜85、(xix)±85〜90、(xx)±90〜95、(xxi)±95〜100、(xxii)>100、および(xxiii)<−100からなる群から選択されるΔMの値を中心にして対称にΔMの関数として変化するように構成される。
【0059】
好ましくは、ΔM<Mlowerおよび/またはΔM>Mlowerおよび/またはΔM<Mupperおよび/またはΔM>Mupperならば、x1および/またはx2は、y%*ΔMの率で増加するか、または減少するように構成され、ここでyは、(i)<0.01、(ii)0.01〜0.02、(iii)0.02〜0.03、(iv)0.03〜0.04、(v)0.04〜0.05、(vi)0.05〜0.06、(viii)0.06〜0.07、(ix)0.07〜0.08、(x)0.08〜0.09、(xi)0.09〜0.10、(xii)0.10〜0.11、(xiii)0.11〜0.12、(xiv)0.12〜0.13、(xv)0.13〜0.14、(xvi)0.14〜0.15、(xvii)0.15〜0.16、(xviii)0.16〜0.17、(xix)0.17〜0.18、(xx)0.18〜0.19、(xxi)0.19〜0.20、および(xxii)>0.20からなる群から選択される。
【0060】
好ましくは、Mupperは、ダルトンまたは質量電荷比単位の値であり、(i)<1、(ii)1〜5、(iii)5〜10、(iv)10〜15、(v)15〜20、(vi)20〜25、(vii)25〜30、(viii)30〜35、(ix)35〜40、(x)40〜45、(xi)45〜50、(xii)50〜55、(xiii)55〜60、(xiv)60〜65、(xv)65〜70、(xvi)70〜75、(xvii)75〜80、(xviii)80〜85、(xix)85〜90、(xx)90〜95、(xxi)95〜100、および(xxii)>100からなる群から選択される範囲に入る。
【0061】
好ましくは、Mlowerは、ダルトンまたは質量電荷比単位の値であり、(i)<−100、(ii)−100〜−95、(iii)−95〜−90、(iv)−90〜−85、(v)−85〜−80、(vi)−80〜−75、(vii)−75〜−70、(viii)−70〜−65、(ix)−65〜−60、(x)−60〜−55、(xi)−55〜−50、(xii)−50〜−45、(xiii)−45〜−40、(xiv)−40〜−35、(xv)−35〜−30、(xvi)−30〜−25、(xvii)−25〜−20、(xviii)−20〜−15、(xix)−15〜−10、(xx)−10〜−5、(xxi)−5〜−1、および(xxii)>−1からなる群から選択される範囲に入る。
【0062】
一実施形態によると、x1および/またはx2は、M1および/またはM2の関数として実質的に一定のままとなるように構成される。
【0063】
一実施形態によると、x1および/またはx2は、M1および/またはM2の関数として変化するように構成される。好ましくは、x1および/またはx2は、M1および/またはM2の関数として対称的、非対称的、直線的、非直線的、曲線的または段階的に変化するように構成される。
【0064】
一実施形態によると、質量スペクトルデータに好ましく適用される小数質量ウィンドウは、上閾値x1と下閾値x2とを有する。これら上下閾値x1、x2は好ましくは、絶対質量の関数として好ましくは変化する中央小数質量値を中心とする。M1に近い絶対質量M2を有するイオンに対しては、中央小数質量値は、m1に近いことが好ましい。比較的小さい(すなわち、0に近づき始める)絶対質量M2を有するイオンに対しては、中央小数質量値は0に近づくことが好ましい。
【0065】
好ましくは、x1および/またはx2は、(i)0〜50、(ii)50〜100、(iii)100〜150、(iv)150〜200、(v)200〜250、(vi)250〜300、(vii)300〜350、(viii)350〜400、(ix)400〜450、(x)450〜500、(xi)500〜550、(xii)550〜600、(xiii)600〜650、(xiv)650〜700、(xv)700〜750、(xvi)750〜800、(xvii)800〜850、(xviii)850〜900、(xix)900〜950、(xx)950〜1000、および(xxi)>1000からなる群から選択されるM1および/またはM2の値を中心にして対称にM1および/またはM2の関数として変化するように構成される。
【0066】
一実施形態によると、x1および/またはx2は、y%*M1および/またはy%*M2の率で増加するか、または減少するように構成され得、ここでyは、(i)<0.01、(ii)0.01〜0.02、(iii)0.02〜0.03、(iv)0.03〜0.04、(v)0.04〜0.05、(vi)0.05〜0.06、(viii)0.06〜0.07、(ix)0.07〜0.08、(x)0.08〜0.09、(xi)0.09〜0.10、(xii)0.10〜0.11、(xiii)0.11〜0.12、(xiv)0.12〜0.13、(xv)0.13〜0.14、(xvi)0.14〜0.15、(xvii)0.15〜0.16、(xviii)0.16〜0.17、(xix)0.17〜0.18、(xx)0.18〜0.19、(xxi)0.19〜0.20、および(xxii)>0.20からなる群から選択され得る。
【0067】
一実施形態によると、M1<Mlowerおよび/またはM1>Mlowerおよび/またはM1<Mupperおよび/またはM1>Mupperおよび/またはM2<Mlowerおよび/またはM2>Mlowerおよび/またはM2<Mupperおよび/またはM2>Mupperならば、x1および/またはx2は、実質的に一定値を有するように構成される。
【0068】
一実施形態によると、M1<Mlowerおよび/またはM1>Mlowerおよび/またはM1<Mupperおよび/またはM1>Mupperおよび/またはM2<Mlowerおよび/またはM2>Mlowerおよび/またはM2<Mupperおよび/またはM2>Mupperならば、x1および/またはx2は、M1および/またはM2の関数として変化するように構成される。好ましくは、M1<Mlowerおよび/またはM1>Mlowerおよび/またはM1<Mupperおよび/またはM1>Mupperおよび/またはM2<Mlowerおよび/またはM2>Mlowerおよび/またはM2<Mupperおよび/またはM2>Mupperならば、x1および/またはx2は、M1および/またはM2の関数として対称的、非対称的、直線的、非直線的、曲線的または段階的に変化するように構成される。
【0069】
一実施形態によると、x1および/またはx2は、(i)0〜50、(ii)50〜100、(iii)100〜150、(iv)150〜200、(v)200〜250、(vi)250〜300、(vii)300〜350、(viii)350〜400、(ix)400〜450、(x)450〜500、(xi)500〜550、(xii)550〜600、(xiii)600〜650、(xiv)650〜700、(xv)700〜750、(xvi)750〜800、(xvii)800〜850、(xviii)850〜900、(xix)900〜950、(xx)950〜1000、および(xxi)>1000からなる群から選択されるM1および/またはM2の値を中心にして対称にM1および/またはM2の関数として変化するように構成される。
【0070】
好ましくは、M1<Mlowerおよび/またはM1>Mlowerおよび/またはM1<Mupperおよび/またはM1>Mupperおよび/またはM2<Mlowerおよび/またはM2>Mlowerおよび/またはM2<Mupperおよび/またはM2>Mupperならば、x1および/またはx2は、y%*M1またはy%*M2の率で増加するか、または減少するように構成され得、ここでyは、(i)<0.01、(ii)0.01〜0.02、(iii)0.02〜0.03、(iv)0.03〜0.04、(v)0.04〜0.05、(vi)0.05〜0.06、(viii)0.06〜0.07、(ix)0.07〜0.08、(x)0.08〜0.09、(xi)0.09〜0.10、(xii)0.10〜0.11、(xiii)0.11〜0.12、(xiv)0.12〜0.13、(xv)0.13〜0.14、(xvi)0.14〜0.15、(xvii)0.15〜0.16、(xviii)0.16〜0.17、(xix)0.17〜0.18、(xx)0.18〜0.19、(xxi)0.19〜0.20、および(xxii)>0.20からなる群から選択され得る。
【0071】
好ましくは、Mupperは、ダルトンまたは質量電荷比単位の値であり、(i)0〜50、(ii)50〜100、(iii)100〜150、(iv)150〜200、(v)200〜250、(vi)250〜300、(vii)300〜350、(viii)350〜400、(ix)400〜450、(x)450〜500、(xi)500〜550、(xii)550〜600、(xiii)600〜650、(xiv)650〜700、(xv)700〜750、(xvi)750〜800、(xvii)800〜850、(xviii)850〜900、(xix)900〜950、(xx)950〜1000、および(xxi)>1000からなる群から選択される範囲に入る。
【0072】
好ましくは、Mlowerは、ダルトンまたは質量電荷比単位の値であり、(i)0〜50、(ii)50〜100、(iii)100〜150、(iv)150〜200、(v)200〜250、(vi)250〜300、(vii)300〜350、(viii)350〜400、(ix)400〜450、(x)450〜500、(xi)500〜550、(xii)550〜600、(xiii)600〜650、(xiv)650〜700、(xv)700〜750、(xvi)750〜800、(xvii)800〜850、(xviii)850〜900、(xix)900〜950、(xx)950〜1000、および(xxi)>1000からなる群から選択される範囲に入る。
【0073】
上記方法は、好ましくは、第1の小数質量または質量電荷比成分m1よりも0〜x1mDaまたはミリ−質量電荷比単位大きい、および/または第1の小数質量または質量電荷比成分m1よりも0〜x2mDaまたはミリ−質量電荷比単位小さい小数質量または質量電荷比成分m2を有する1つまたはそれ以上の第2の親もしくは前駆物質またはイオンをさらなる分析のために選択するステップをさらに含む。
【0074】
さらなる分析のために選択するステップは、好ましくは、1つまたはそれ以上の第2の親もしくは前駆物質またはイオンをフラグメンテーションするステップを含む。
【0075】
さらなる分析のために選択するステップは、好ましくは、第1の小数質量または質量電荷比成分m1よりも0〜x1mDaまたはミリ−質量電荷比単位大きい、および/または第1の小数質量または質量電荷比成分m1よりも0〜x2mDaまたはミリ−質量電荷比単位小さい第2の小数質量または質量電荷比成分m2を有する1つまたはそれ以上の第2の親もしくは前駆物質またはイオンを、衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスへ前方向に移送するステップを含む。
【0076】
好ましくは、x1は、(i)<1、(ii)1〜5、(iii)5〜10、(iv)10〜15、(v)15〜20、(vi)20〜25、(vii)25〜30、(viii)30〜35、(ix)35〜40、(x)40〜45、(xi)45〜50、(xii)50〜55、(xiii)55〜60、(xiv)60〜65、(xv)65〜70、(xvi)70〜75、(xvii)75〜80、(xviii)80〜85、(xix)85〜90、(xx)90〜95、(xxi)95〜100、および(xxii)>100からなる群から選択される範囲に入る。
【0077】
好ましくは、x2は、(i)<1、(ii)1〜5、(iii)5〜10、(iv)10〜15、(v)15〜20、(vi)20〜25、(vii)25〜30、(viii)30〜35、(ix)35〜40、(x)40〜45、(xi)45〜50、(xii)50〜55、(xiii)55〜60、(xiv)60〜65、(xv)65〜70、(xvi)70〜75、(xvii)75〜80、(xviii)80〜85、(xix)85〜90、(xx)90〜95、(xxi)95〜100、および(xxii)>100からなる群から選択される範囲に入る。
【0078】
上記方法は、好ましくは、異なるアイデンティティ(identities)を有するか、または異なる種(species)を含む、少なくとも、2、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1500、2000、2500、3000、3500、4000、4500、または5000個の成分、分子または検体を含む試料を分析するステップをさらに含む。
【0079】
衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスは、好ましくは、衝突誘起解離デバイスを含む。
【0080】
他の実施形態によると、衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスは、(i)表面誘起解離(「SID」)フラグメンテーションデバイス、(ii)電子移動解離フラグメンテーションデバイス、(iii)電子捕獲解離フラグメンテーションデバイス、(iv)電子衝突または衝撃解離フラグメンテーションデバイス、(v)光誘起解離(「PID」)フラグメンテーションデバイス、(vi)レーザ誘起解離フラグメンテーションデバイス、(vii)赤外放射誘起解離デバイス、(viii)紫外放射誘起解離デバイス、(ix)ノズル−スキマ間インターフェースフラグメンテーションデバイス、(x)インソースフラグメンテーションデバイス、(xi)イオン源衝突誘起解離フラグメンテーションデバイス、(xii)熱または温度源フラグメンテーションデバイス、(xiii)電界誘起フラグメンテーションデバイス、(xiv)磁場誘起フラグメンテーションデバイス、(xv)酵素消化または酵素分解フラグメンテーションデバイス、(xvi)イオン−イオン反応フラグメンテーションデバイス、(xvii)イオン−分子反応フラグメンテーションデバイス、(xviii)イオン−原子反応フラグメンテーションデバイス、(xix)イオン−メタステーブルイオン反応フラグメンテーションデバイス、(xx)イオン−メタステーブル分子反応フラグメンテーションデバイス、(xxi)イオン−メタステーブル原子反応フラグメンテーションデバイス、(xxii)イオンを反応させて付加または生成イオンを形成するためのイオン−イオン反応デバイス、(xxiii)イオンを反応させて付加または生成イオンを形成するためのイオン−分子反応デバイス、(xxiv)イオンを反応させて付加または生成イオンを形成するためのイオン−原子反応デバイス、(xxv)イオンを反応させて付加または生成イオンを形成するためのイオン−メタステーブルイオン反応デバイス、(xxvi)イオンを反応させて付加または生成イオンを形成するためのイオン−メタステーブル分子反応デバイス、および(xxvii)イオンを反応させて付加または生成イオンを形成するためのイオン−メタステーブル原子反応デバイスからなる群から選択され得る。
【0081】
上記方法は、好ましくは、1つまたはそれ以上の第2の物質またはイオンまたは1つまたはそれ以上の第2の親もしくは前駆物質またはイオンのフラグメンテーションによって得られるフラグメント生成物またはイオンを質量分析するステップをさらに含む。
【0082】
上記方法は、好ましくは、分析されるべき試料中の成分、検体または分子を分離プロセスによって分離するステップをさらに含む。分離プロセスは液体クロマトグラフィを含み得る。分離プロセスは、(i)高速液体クロマトグラフィ(「HPLC」)、(ii)陰イオン変換、(iii)陰イオン変換クロマトグラフィ、(iv)陽イオン変換、(v)陽イオン変換クロマトグラフィ、(vi)イオン対逆相クロマトグラフィ、(vii)クロマトグラフィ、(viii)1次元電気泳動、(ix)多次元電気泳動、(x)サイズ排除、(xi)親和性、(xii)逆相クロマトグラフィ、(xiii)キャピラリ電気泳動クロマトグラフィ(「CEC」)、(xiv)電気泳動、(xv)イオン移動度分離、(xvi)フィールド非対称なイオン移動度分離またはスペクトロメトリ(「FAIMS」)、(xvii)キャピラリ電気泳動、(xviii)ガスクロマトグラフィ、および(xix)超臨界流体クロマトグラフィを含み得る。
【0083】
上記方法は、好ましくは、分析されるべき試料中の成分、検体または分子をイオン化するステップをさらに含む。上記方法は、好ましくは、成分、検体または分子を連続またはパルス化イオン源を用いてイオン化するステップをさらに含む。成分、検体または分子をイオン化するステップは、好ましくは、(i)エレクトロスプレーイオン化(「ESI」)イオン源、(ii)大気圧光イオン化(「APPI」)イオン源、(iii)大気圧化学イオン化(「APCI」)イオン源、(iv)マトリックス支援レーザ脱離イオン化(「MALDI」)イオン源、(v)レーザ脱離イオン化(「LDI」)イオン源、(vi)大気圧イオン化(「API」)イオン源、(vii)シリコンを用いた脱離イオン化(「DIOS」)イオン源、(viii)電子衝突(「EI」)イオン源、(ix)化学イオン化(「CI」)イオン源、(x)電界イオン化(「FI」)イオン源、(xi)電界脱離(「FD」)イオン源、(xii)誘導結合プラズマ(「ICP」)イオン源、(xiii)高速原子衝撃(「FAB」)イオン源、(xiv)液体二次イオン質量分析(「LSIMS」)イオン源、(xv)脱離エレクトロスプレーイオン化(「DESI」)イオン源、(xvi)ニッケル−63放射性イオン源、および(xvii)サーモスプレーイオン源からなる群から選択されるイオン源を用いて成分、検体または分子をイオン化するステップを含む。
【0084】
上記方法は、好ましくは、1つまたはそれ以上の第1の親もしくは前駆物質またはイオンおよび/または1つまたはそれ以上の第2の親もしくは前駆物質またはイオンおよび/または1つまたはそれ以上の第2の物質またはイオンおよび/またはフラグメント生成物またはイオンを質量分析器を用いて質量分析するステップをさらに含む。質量分析するステップは、好ましくは、(i)フーリエ変換(「FT」)質量分析器、(ii)フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴(「FTICR」)質量分析器、(iii)飛行時間(「TOF」)質量分析器、(iv)直交加速飛行時間(「oaTOF」)質量分析器、(v)軸方向加速飛行時間質量分析器、(vi)扇形磁場質量分析計、(vii)ポールまたは3D四重極質量分析器、(viii)2Dまたは直線四重極質量分析器、(ix)ペニングトラップ質量分析器、(x)イオントラップ質量分析器、(xi)フーリエ変換オービトラップ、(xii)静電イオンサイクロトロン共鳴質量分析計、(xiii)静電フーリエ変換質量分析計、および(xiv)四重極質量分析器からなる群から選択される質量分析器を用いて質量分析するステップを含む。
【0085】
1つまたはそれ以上の親もしくは前駆物質またはイオンおよび/または1つまたはそれ以上のフラグメント、生成、娘または付加イオンおよび/または1つまたはそれ以上の第1の親もしくは前駆物質またはイオンおよび/または1つまたはそれ以上の第2の親もしくは前駆物質またはイオンの厳密なまたは正確な質量または質量電荷比は、好ましくは、20ppm、19ppm、18ppm、17ppm、16ppm、15ppm、14ppm、13ppm、12ppm、11ppm、10ppm、9ppm、8ppm、7ppm、6ppm、5ppm、4ppm、3ppm、2ppm、1ppm以内または<1ppmに決定される。
【0086】
一実施形態によると、1つまたはそれ以上の親もしくは前駆物質またはイオンおよび/または1つまたはそれ以上のフラグメント、生成、娘または付加イオンおよび/または1つまたはそれ以上の第1の親もしくは前駆物質またはイオンおよび/または1つまたはそれ以上の第2の親もしくは前駆物質またはイオンの厳密なまたは正確な質量または質量電荷比は、0.40質量単位、0.35質量単位、0.30質量単位、0.25質量単位、0.20質量単位、0.15質量単位、0.10質量単位、0.05質量単位、0.01質量単位、0.009質量単位、0.008質量単位、0.007質量単位、0.006質量単位、0.005質量単位、0.004質量単位、0.003質量単位、0.002質量単位、0.001質量単位以内または<0.001質量単位に決定され得る。
【0087】
分析される試料は、疾患生体(organism)、非疾患生体、処置生体、非処置生体、変異生体または野生型生体から採取され得る。
【0088】
上記方法は、好ましくは、1つまたはそれ以上の親もしくは前駆物質またはイオンおよび/または1つまたはそれ以上のフラグメント、生成、娘または付加イオンおよび/または1つまたはそれ以上の第1の親もしくは前駆物質またはイオンおよび/または1つまたはそれ以上の第2の親もしくは前駆物質またはイオンの組成を同定または決定するステップをさらに含む。
【0089】
上記方法は、好ましくは、1つまたはそれ以上の親もしくは前駆物質またはイオンおよび/または1つまたはそれ以上のフラグメント、生成、娘または付加イオンおよび/または1つまたはそれ以上の第1の親もしくは前駆物質またはイオンおよび/または1つまたはそれ以上の第2の親もしくは前駆物質またはイオンの強度、濃度または発現レベルを定量または決定するステップをさらに含む。
【0090】
一実施形態によると、上記方法は、好ましくは、1つまたはそれ以上の親もしくは前駆物質またはイオンおよび/または1つまたはそれ以上のフラグメント、生成、娘または付加イオンおよび/または1つまたはそれ以上の第1の親もしくは前駆物質またはイオンおよび/または1つまたはそれ以上の第2の親もしくは前駆物質またはイオンを認識するステップをさらに含む。
【0091】
一実施形態によると、上記方法は、
第1の質量スペクトルまたは質量スペクトルデータを、実質的に同時に得られる第2の質量スペクトルまたは質量スペクトルデータと比較するステップと、
第2の質量スペクトルまたは質量スペクトルデータにおいて第1の質量スペクトルまたは質量スペクトルデータと比べて大きな強度を有するイオンを親または前駆イオンとして認識するステップとを含む。
【0092】
上記方法は、好ましくは、フラグメント、生成、娘または付加イオンを認識するステップをさらに含む。
【0093】
上記方法は、好ましくは、
第1の質量スペクトルまたは質量スペクトルデータを、実質的に同時に得られる第2の質量スペクトルまたは質量スペクトルデータと比較するステップと、
第1の質量スペクトルまたは質量スペクトルデータにおいて第2の質量スペクトルまたは質量スペクトルデータと比べて大きな強度を有するイオンをフラグメント、生成、娘または付加イオンとして認識するステップとを含む。
【0094】
一実施形態によると、上記方法は、すべての親または前駆イオンから1サブグループの可能な候補の親または前駆イオンを選択する工程をさらに含み得る。
【0095】
上記方法は、好ましくは、第1の質量スペクトルまたは第1の質量スペクトルデータおよび/または第2の質量スペクトルまたは第2の質量スペクトルデータから親または前駆イオンおよびフラグメント、生成、娘または付加イオンを認識するステップをさらに含む。
【0096】
上記方法は、
各親または前駆イオンに対して親または前駆イオン質量クロマトグラムを生成するステップと、
親または前駆イオン質量クロマトグラムにおける各ピークの中心を決定するステップと、
対応する親または前駆イオンの溶出時間を決定するステップと、
各フラグメント、生成、娘または付加イオンに対してフラグメント、生成、娘または付加イオン質量クロマトグラムを生成するステップと、
フラグメント、生成、娘または付加イオン質量クロマトグラムにおける各ピークの中心を決定するステップと、
対応するフラグメント、生成、娘または付加イオンの溶出時間を決定するステップとをさらに含み得る。
【0097】
一実施形態によると、上記方法は、好ましくは、フラグメント、生成、娘または付加イオンをそれらのそれぞれの溶出時間の一致度にしたがって親または前駆イオンに割り当てるステップをさらに含む。
【0098】
一実施形態によると、上記方法は、衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスの上流および/または下流に質量電荷比移送ウィンドウを有する質量フィルタを設けるステップをさらに含む。
【0099】
上記方法は、好ましくは、質量フィルタの移送ウィンドウ外にある質量電荷値を有する第1の質量スペクトルまたは第1の質量スペクトルデータに存在するイオンを認識することによってフラグメント、生成、娘または付加イオンを認識するステップをさらに含む。
【0100】
一実施形態によると、上記方法は、親または前駆イオンを親または前駆イオンの質量電荷比に基づいて同定するステップをさらに含む。
【0101】
一実施形態によると、上記方法は、親または前駆イオンを1つまたはそれ以上のフラグメント、生成、娘または付加イオンの質量電荷比に基づいて同定するステップをさらに含む。
【0102】
上記方法は、好ましくは、1つまたはそれ以上の親または前駆イオンの質量電荷比を決定することによってタンパク質を同定するステップであって、1つまたはそれ以上の親または前駆イオンは、タンパク質のペプチドを含む、ステップをさらに含む。
【0103】
上記方法は、好ましくは、1つまたはそれ以上のフラグメント、生成、娘または付加イオンの質量電荷比を決定することによってタンパク質を同定するステップであって、1つまたはそれ以上のフラグメント、生成、娘または付加イオンは、タンパク質のペプチドのフラグメントを含む、ステップをさらに含む。
【0104】
上記方法は、好ましくは、データベースと突き合わせて1つまたはそれ以上の親または前駆イオンおよび/または1つまたはそれ以上のフラグメント、生成、娘または付加イオンの質量電荷比を検索するステップであって、データベースは、既知のタンパク質を含む、ステップをさらに含む。
【0105】
一実施形態によると、上記方法は、データベースと突き合わせて1つまたはそれ以上の親または前駆イオンの質量電荷比を検索するステップであって、データベースは、既知のタンパク質を含む、ステップをさらに含む。
【0106】
上記方法は、好ましくは、親または前駆イオンのフラグメンテーションから得られると予想され得るフラグメント、生成、娘または付加イオンの存在を求めて第1の質量スペクトルまたは第1の質量スペクトルデータを検索するステップをさらに含む。
【0107】
一実施形態によると、所定量は、(i)0.25秒、(ii)0.5秒、(iii)0.75秒、(iv)1秒、(v)2.5秒、(vi)5秒、(vii)10秒、および(viii)クロマトグラフィピークの半分の高さ(half height)で測定された幅の5%に対応する時間からなる群から選択される。
【0108】
上記方法は、好ましくは、ヘリウム、アルゴン、窒素またはメタンを含むガスを衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス中に導入するステップをさらに含む。
【0109】
一実施形態によると、上記方法は、少なくとも、1ms、10ms、100ms、200ms、300ms、400ms、500ms、600ms、700ms、800ms、900ms、1s、2s、3s、4s、5s、6s、7s、8s、9sまたは10sに一度、少なくとも第1のモードと第2のモードとの間で衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスを自動的に切り替え、改変または変更するステップをさらに含む。
【0110】
一動作モードにおいて衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスを動作させた後であって、別の動作モードで衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスを動作させるために切り替え、改変または変更する前に、スキャン間遅延が好ましくは行われる。スキャン間遅延の継続時間は、好ましくは、少なくとも、1ms、2ms、3ms、4ms、5ms、6ms、7ms、8ms、9ms、10ms、11ms、12ms、13ms、14ms、15ms、16ms、17ms、18ms、19ms、20ms、30ms、40ms、50ms、60ms、70ms、80ms、90msまたは100msである。
【0111】
本発明の一態様によると、
質量分析計であって、
衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスと、
質量分析器と、
制御システムとを含み、
制御システムは、
(a)親または前駆イオンを衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスに渡すステップと、
(b)衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスを第1の動作モードにおいて動作させるステップであって、親または前駆イオンの少なくともいくつかが衝突、フラグメンテーションまたは反応されて、フラグメント、生成、娘または付加イオンを生成する、ステップと、
(c)第1の動作モードにおいて動作する衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスから現れるか、またはそこを通って移送されてきたイオンに関係する第1の質量スペクトルデータを記録するステップと、
(d)衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスを第2の動作モードにおいて動作するように切り換え、改変、または変更するステップであって、実質的により少ない親または前駆イオンが衝突、フラグメンテーションまたは反応される、ステップと、
(e)第2の動作モードにおいて動作する衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスから現れるか、またはそこを通って移送されてきたイオンに関係する第2の質量スペクトルデータを記録するステップと、
(f)ステップ(b)〜(e)を複数回繰り返すステップと、
(g)1つまたはそれ以上の親もしくは前駆物質またはイオンの正確なまたは厳密な質量または質量電荷比を決定するステップであって、1つまたはそれ以上の親もしくは前駆物質またはイオンの正確なまたは厳密な質量または質量電荷比は、第1の整数質量または質量電荷比成分M1および第1の小数質量または質量電荷比成分m1を含む、ステップと、
(h)第1の質量スペクトルデータにおいてまたはそれから1つまたはそれ以上のフラグメント、生成、娘もしくは付加物質またはイオンを検索または決定するステップであって、1つまたはそれ以上のフラグメント、生成、娘もしくは付加物質またはイオンは、第2の整数質量または質量電荷比成分M2および第2の小数質量または質量電荷比成分m2を含み、第2の小数質量または質量電荷比成分m2は、第1の小数質量または質量電荷比成分m1よりも0〜x1mDaまたはミリ−質量電荷比単位大きい、および/または第1の小数質量または質量電荷比成分m1よりも0〜x2mDaまたはミリ−質量電荷比単位小さい、ステップとを行うように構成および適合される、質量分析計が提供される。
【0112】
本発明の一態様によると、
質量分析計であって、
衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスと、
質量分析器と、
制御システムとを含み、
制御システムは、
(a)親または前駆イオンを衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスに渡すステップと、
(b)衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスを第1の動作モードにおいて動作させるステップであって、親または前駆イオンの少なくともいくつかが衝突、フラグメンテーションまたは反応されて、フラグメント、生成、娘または付加イオンを生成する、ステップと、
(c)第1の動作モードにおいて動作する衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスから現れるか、またはそこを通って移送されてきたイオンに関係する第1の質量スペクトルデータを記録するステップと、
(d)衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスを第2の動作モードにおいて動作するように切り換え、改変、または変更するステップであって、実質的により少ない親または前駆イオンが衝突、フラグメンテーションまたは反応される、ステップと、
(e)第2の動作モードにおいて動作する衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスから現れるか、またはそこを通って移送されてきたイオンに関係する第2の質量スペクトルデータを記録するステップと、
(f)ステップ(b)〜(e)を複数回繰り返すステップと、
(g)1つまたはそれ以上の第1の親もしくは前駆物質またはイオンの正確なまたは厳密な質量または質量電荷比を決定するステップであって、1つまたはそれ以上の第1の親もしくは前駆物質またはイオンの正確なまたは厳密な質量または質量電荷比は、第1の整数質量または質量電荷比成分M1および第1の小数質量または質量電荷比成分m1を含むステップと、
(h)第1の質量スペクトルデータにおいてまたはそれから1つまたはそれ以上の第2の親もしくは前駆物質またはイオンを検索または決定するステップであって、1つまたはそれ以上の第2の親もしくは前駆物質またはイオンは、第2の整数質量または質量電荷比成分M2および第2の小数質量または質量電荷比成分m2を含み、第2の小数質量または質量電荷比成分m2は、第1の小数質量または質量電荷比成分m1よりも0〜x1mDaまたはミリ−質量電荷比単位大きい、および/または第1の小数質量または質量電荷比成分m1よりも0〜x2mDaまたはミリ−質量電荷比単位小さい、ステップとを行うように構成および適合される、質量分析計が提供される。
【0113】
衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスは、好ましくは、衝突誘起解離デバイスを含む。
【0114】
衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスは、あるいは、(i)表面誘起解離(「SID」)衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス、(ii)電子移動解離衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス、(iii)電子捕獲解離衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス、(iv)電子衝突もしくは衝撃解離衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス、(v)光誘起解離(「PID」)衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス、(vi)レーザ誘起解離衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス、(vii)赤外放射誘起解離デバイス、(viii)紫外放射誘起解離デバイス、(ix)ノズル−スキマ間インターフェース衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス、(x)インソース衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス、(xi)イオン源衝突誘起解離衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス、(xii)熱または温度源衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス、(xiii)電界誘起衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス、(xiv)磁場誘起衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス、(xv)酵素消化または酵素分解衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス、(xvi)イオン−イオン反応衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス、(xvii)イオン−分子反応衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス、(xviii)イオン−原子反応衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス、(xix)イオン−メタステーブルイオン反応衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス、(xx)イオン−メタステーブル分子反応衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス、(xxi)イオン−メタステーブル原子反応衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス、(xxii)イオンを反応させて付加または生成イオンを形成するためのイオン−イオン反応デバイス、(xxiii)イオンを反応させて付加または生成イオンを形成するためのイオン−分子反応デバイス、(xxiv)イオンを反応させて付加または生成イオンを形成するためのイオン−原子反応デバイス、(xxv)イオンを反応させて付加または生成イオンを形成するためのイオン−メタステーブルイオン反応デバイス、(xxvi)イオンを反応させて付加または生成イオンを形成するためのイオン−メタステーブル分子反応デバイス、および(xxvii)イオンを反応させて付加または生成イオンを形成するためのイオン−メタステーブル原子反応デバイスからなる群から選択され得る。
【0115】
上記質量分析計は、好ましくは、イオン源をさらに含む。イオン源は、(i)エレクトロスプレーイオン化(「ESI」)イオン源、(ii)大気圧光イオン化(「APPI」)イオン源、(iii)大気圧化学イオン化(「APCI」)イオン源、(iv)マトリックス支援レーザ脱離イオン化(「MALDI」)イオン源、(v)レーザ脱離イオン化(「LDI」)イオン源、(vi)大気圧イオン化(「API」)イオン源、(vii)シリコンを用いた脱離イオン化(「DIOS」)イオン源、(viii)電子衝突(「EI」)イオン源、(ix)化学イオン化(「CI」)イオン源、(x)電界イオン化(「FI」)イオン源、(xi)電界脱離(「FD」)イオン源、(xii)誘導結合プラズマ(「ICP」)イオン源、(xiii)高速原子衝撃(「FAB」)イオン源、(xiv)液体二次イオン質量分析(「LSIMS」)イオン源、(xv)脱離エレクトロスプレーイオン化(「DESI」)イオン源、(xvi)ニッケル−63放射性イオン源、(xvii)大気圧マトリックス支援レーザ脱離イオン化イオン源、および(xviii)サーモスプレーイオン源からなる群から選択され得る。
【0116】
イオン源は、パルス化または連続イオン源を含み得る。
【0117】
イオン源には、好ましくは、所定期間にわたり溶出物が提供され、溶出物は、好ましくは、液体クロマトグラフィまたはキャピラリー電気泳動によって混合物から分離されてきたものである。
【0118】
あるいは、イオン源には、所定期間にわたり溶出物が提供され得、溶出物は、ガスクロマトグラフィによって混合物から分離されてきたものであり得る。
【0119】
質量分析器は、好ましくは、(i)四重極質量分析器、(ii)2Dまたは直線四重極質量分析器、(iii)ポールまたは3D四重極質量分析器、(iv)ペニングトラップ質量分析器、(v)イオントラップ質量分析器、(vi)扇形磁場質量分析器、(vii)イオンサイクロトロン共鳴(「ICR」)質量分析器、(viii)フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴(「FTICR」)質量分析器、(ix)静電またはオービトラップ質量分析器、(x)フーリエ変換静電またはオービトラップ質量分析器、および(xi)フーリエ変換質量分析器、(xii)飛行時間質量分析器、(xiii)直交加速飛行時間質量分析器、および(xiv)軸方向加速飛行時間質量分析器からなる群から選択される。
【0120】
一実施形態によると、上記質量分析計は、衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスの上流および/または下流に配置される質量フィルタをさらに含む。質量フィルタは、四重極ロッドセット質量フィルタを含み得る。質量フィルタは、好ましくは、高域通過質量電荷比フィルタとして動作される。質量フィルタは、好ましくは、(i)≧100、(ii)≧150、(iii)≧200、(iv)≧250、(v)≧300、(vi)≧350、(vii)≧400、(viii)≧450、および(ix)≧500からなる群から選択される質量電荷比を有するイオンを移送するように構成される。
【0121】
他の実施形態によると、質量フィルタは、低域通過または帯域通過質量フィルタとして動作される。
【0122】
上記質量分析計は、好ましくは、衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスの上流および/または下流に配置されるイオンガイドをさらに含む。イオンガイドは、好ましくは、(i)六重極、(ii)四重極、(iii)八重極、(iv)イオンが使用時に移送される開口を有する複数のリングまたはプレート電極、および(v)イオンの走行平面に一般に配置される複数の平面、プレートまたはメッシュ電極からなる群から選択される。
【0123】
衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスは、好ましくは、(i)六重極、(ii)四重極、(iii)八重極、(iv)イオンが使用時に移送される開口を有する複数のリングまたはプレート電極、および(v)イオンの走行平面に一般に配置される複数の平面、プレートまたはメッシュ電極からなる群から選択される。
【0124】
衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスは、好ましくは、筐体であって、イオン入口開口部、イオン出口開口部、および必要に応じてガスを筐体へ導入するための手段を別にすれば実質的に気密な封入体(gas−tight enclosure)を含む。ヘリウム、アルゴン、窒素またはメタンを含むガスを使用時に衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス中に導入することが好ましい。
【0125】
反応デバイスは、イオン、原子または分子が新しい種のイオン、原子または分子を形成するように再構成または反応されるデバイスを含むと理解されるべきである。X−Y反応フラグメンテーションデバイスは、XおよびYが組み合わさって生成物を形成し、次いでフラグメンテーションするデバイスを意味すると理解されるべきである。これは、イオンが最初に生成物を形成せずにフラグメンテーションされ得るフラグメンテーションデバイス自体とは異なる。X−Y反応デバイスは、XおよびYが組み合わさって生成物を形成し、かつ次いでその生成物が必ずしもフラグメンテーションしないデバイスを意味すると理解されるべきである。
【0126】
特定のクラスの親または前駆イオンに属し、かつ特徴的な娘もしくはフラグメントイオンまたは特徴的な「ニュートラルロス」によって認識可能な親または前駆イオンは、従来、「親または前駆イオン」スキャンまたは「コンスタントニュートラルロス」スキャンの方法によって発見される。
【0127】
「親または前駆イオン」スキャンまたは「コンスタントニュートラルロス」スキャンを記録するための従来の方法は、三連四重極質量分析計における1つまたは両方の四重極のスキャン、またはタンデム四重極直交加速飛行時間質量分析計における四重極のスキャン、または他の種類のタンデム質量分析計における少なくとも1つの要素のスキャンを含む。その結果、これらの方法は、スキャン機器(scanning instrument)に関連するデューティサイクルが低い。さらにその結果、質量分析計が「親または前駆イオン」スキャンまたは「コンスタントニュートラルロス」スキャンの記録に占有されている間に、情報が廃棄および喪失され得る。さらなる結果として、これらの方法を質量分析計がガスまたは液体クロマトグラフィ装置から直接溶出する物質を分析する必要がある場合に使用することは適当でない。
【0128】
一実施形態によると、タンデム四重極直交飛行時間質量分析計は、一連の比較的低フラグメンテーションまたは反応質量スペクトルに続いて比較的高フラグメンテーションまたは反応質量スペクトルが記録される方法を使用して候補の親または前駆イオンが発見されるようなやり方で使用される。衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスの行ったり来たり(back and forth)を切り換えることは、好ましくは中断されない。その代りに、完全な1セットのデータが好ましくは取得され、次いで、これは、好ましくは後で処理される。フラグメント、生成、娘または付加イオンは、それらのそれぞれの溶出時間の一致度によって親または前駆イオンと対応づけられ得る。このように、候補の親または前駆イオンは、確定され得、またはそうでなければ、データの取得は中断されず、かつ情報は喪失されずに済む。
【0129】
一旦1回の実験試行が完了すると、次いで、比較的高フラグメンテーションまたは反応質量スペクトルおよび比較的低フラグメンテーションまたは反応質量スペクトルが後処理され得る。親または前駆イオンは、高フラグメンテーションまたは反応質量スペクトルを実質的に同時に得られる低フラグメンテーションまたは反応質量スペクトルと比較し、低フラグメンテーションまたは反応質量スペクトルにおいて高フラグメンテーションまたは反応質量スペクトルと比べてより大きな強度を有するイオンに注目することによって認識され得る。同様に、フラグメント、生成、娘または付加イオンは、高フラグメンテーションまたは反応質量スペクトルにおいて低フラグメンテーションまたは反応質量スペクトルと比べてより大きな強度を有するイオンに注目することによって認識され得る。
【0130】
好ましい実施形態によると、小数質量フィルタは、比較的高フラグメンテーション質量スペクトルまたはデータセットおよび/または比較的低フラグメンテーション質量スペクトルまたはデータセットに対して適用される。
【0131】
一旦いくつかの親または前駆イオンが認識されると、1サブグループの可能な候補の親または前駆イオンがすべての親または前駆イオンから選択され得る。
【0132】
一実施形態によると、可能な対象の親または前駆イオンは、所定のフラグメント、生成、娘または付加イオンに対するそれらの関係に基づいて選択され得る。所定のフラグメント、生成、娘または付加イオンは、例えば、(i)ペプチドからのインモニウムイオン、(ii)リン酸化ペプチドからのリン酸基PO3-イオンを含む官能基、および(iii)特定の分子または特定クラスの分子から切断され、かつその後同定され、したがってその特定の分子または特定クラスの分子の存在を報告するように意図される質量タグからなる群から選択されるイオンを含み得る。
【0133】
親または前駆イオンは、高フラグメンテーションまたは反応質量スペクトルを使用して所定のフラグメント、生成、娘または付加イオンに対する質量クロマトグラムを生成することによって、可能な候補の親または前駆イオンとして選抜候補リストに載せられ得る。次いで、質量クロマトグラムにおける各ピークの中心が、対応する所定のフラグメント、生成、娘または付加イオンの溶出時間とともに決定される。次いで、所定のフラグメント、生成、娘または付加イオンの質量クロマトグラムにおける各ピークに対して、所定のフラグメント、生成、娘または付加イオンの溶出時間の直前に得られる低フラグメンテーションまたは反応質量スペクトル、および所定のフラグメント、生成、娘または付加イオンの溶出時間の直後に得られる低フラグメンテーションまたは反応質量スペクトルの両方が、以前に認識された親または前駆イオンの存在について調べられる。次いで、所定のフラグメント、生成、娘または付加イオンの溶出時間の直前に得られる低フラグメンテーションまたは反応質量スペクトル、および所定のフラグメント、生成、娘または付加イオン溶出時間の直後に得られる低フラグメンテーションまたは反応質量スペクトルの両方に存在すると分かった、いずれの以前に認識された親または前駆イオンに対しても質量クロマトグラムが生成され、各質量クロマトグラムにおける各ピークの中心が、対応する可能な候補の親または前駆イオン溶出時間とともに決定される。次いで、可能な候補の親または前駆イオンは、それらの溶出時間の所定のフラグメント、生成、娘または付加イオン溶出時間との一致度にしたがって順位づけされ得、最終候補の親または前駆イオンのリストが、可能な候補の親または前駆イオンを、それらの溶出時間が所定のフラグメント、生成、娘または付加イオン溶出時間よりも所定量より多く先行または超える場合に、棄却することによって作成され得る。
【0134】
別の実施形態によると、親または前駆イオンは、それが所定の質量損失を生じることに基づいて、可能な候補の親または前駆イオンとして選抜候補リストに載せられ得る。各低フラグメンテーションまたは反応質量スペクトルに対して、低フラグメンテーションまたは反応質量スペクトル中に存在する、各以前に認識された親または前駆イオンから所定のイオンまたは中性粒子が損失した結果得られ得るターゲットフラグメント、生成、娘または付加イオンの質量電荷値のリストが生成され得る。次いで、低フラグメンテーションまたは反応質量スペクトルの直前に得られる高フラグメンテーションまたは反応質量スペクトル、および低フラグメンテーションまたは反応質量スペクトルの直後に得られる高フラグメンテーションまたは反応質量スペクトルの両方が、ターゲットフラグメント、生成、娘または付加イオン質量電荷値に対応する質量電荷値を有するフラグメント、生成、娘または付加イオンの存在について調べられる。次いで、可能な候補の親または前駆イオンのリスト(必要に応じて、それらに対応するフラグメント、生成、娘または付加イオンを含む)が、ターゲットフラグメント、生成、娘または付加イオン質量電荷値に対応する質量電荷値を有するフラグメント、生成、娘または付加イオンが、低フラグメンテーションまたは反応質量スペクトルの直前の高フラグメンテーションまたは反応質量スペクトル、および低フラグメンテーションまたは反応質量スペクトルの直後の高フラグメンテーションまたは反応質量スペクトルの両方において存在することが分かった場合に、親または前駆イオンをリストに含めることによって作成され得る。次いで、質量損失クロマトグラム(mass loss chromatogram)が可能な候補の親または前駆イオンおよびそれらに対応するフラグメント、生成、娘または付加イオンに基づいて生成され得る。質量損失クロマトグラムにおける各ピークの中心が、対応する質量損失溶出時間とともに決定され得る。次いで、各可能な候補の親または前駆イオンに対して、質量クロマトグラムが低フラグメンテーションまたは反応質量スペクトルを使用して生成される。また、対応するフラグメント、生成、娘または付加イオン質量クロマトグラムが、対応するフラグメント、生成、娘または付加イオンに対して生成され得る。次いで、可能な候補の親または前駆イオン質量クロマトグラムおよび対応するフラグメント、生成、娘または付加イオン質量クロマトグラムにおける各ピークの中心が、対応する可能な候補の親または前駆イオン溶出時間および対応するフラグメント、生成、娘または付加イオン溶出時間とともに決定される。次いで、最終候補の親または前駆イオンのリストが、可能な候補の親または前駆イオンの溶出時間が対応するフラグメント、生成、娘または付加イオン溶出時間から所定量よりも大きく先行または超える場合に、可能な候補の親または前駆イオンを棄却することによって作成され得る。
【0135】
一旦最終候補の親または前駆イオンのリストが作成されると(好ましくは、元々認識された親または前駆イオンおよび可能な候補の親または前駆イオンのいくつかだけを含む)、各最終候補の親または前駆イオンが同定され得る。
【0136】
親または前駆イオンの同定は、情報の組み合わせを使用することによってなされ得る。これは、親または前駆イオンの正確に決定された質量または質量電荷比を含み得る。また、それは、フラグメントイオンの質量または質量電荷比を含み得る。いくつかの場合、フラグメント、生成、娘または付加イオンの正確に決定された質量が好適であり得る。酵素によって消化されたタンパク質からのペプチド生成物の質量または質量電荷比、好ましくは正確な質量または質量電荷比からタンパク質が同定され得ることが知られている。これらは、既知のタンパク質のライブラリから予想されるものと比較され得る。また、この比較結果が1つより多くの可能なタンパク質を示唆する場合、そのペプチドのうちの1つ以上についてそのフラグメントを分析することによって曖昧性が解決され得ることが知られている。
【0137】
上記好適な実施形態によって、酵素によって消化されたタンパク質の混合物が1回の分析によって同定されることが可能となる。すべてのペプチドおよびそれらの関連フラグメントイオンの質量もしくは質量電荷比または正確な質量もしくは質量電荷比は、既知のタンパク質のライブラリと突き合わせて検索され得る。あるいは、ペプチド質量もしくは質量電荷比または正確な質量もしくは質量電荷比は、既知のタンパク質のライブラリと突き合わせて検索され得る。1つより多くのタンパク質が示唆される場合、正しいタンパク質は、各候補タンパク質からの関連ペプチドから予想されるものに一致するフラグメントイオンを求めて検索することによって確定され得る。
【0138】
各最終候補の親または前駆イオンを同定するステップは、好ましくは、最終候補の親または前駆イオンの溶出時間を呼び戻すステップと、最終候補の親または前駆イオンの溶出時間の直前に得られる低フラグメンテーションまたは反応質量スペクトル、および最終候補の親または前駆イオンの溶出時間の直後に得られる低フラグメンテーションまたは反応質量スペクトルの両方に存在する、以前に認識されたフラグメント、生成、娘または付加イオンを含む可能な候補のフラグメント、生成、娘または付加イオンのリストを生成するステップと、各可能な候補のフラグメント、生成、娘または付加イオンの質量クロマトグラムを生成するステップと、各可能な候補のフラグメント、生成、娘または付加イオン質量クロマトグラムにおける各ピークの中心を決定するステップと、対応する可能な候補のフラグメント、生成、娘または付加イオン溶出時間を決定するステップとを含む。次いで、可能な候補のフラグメント、生成、娘または付加イオンは、それらの溶出時間の最終候補の親または前駆イオンの溶出時間との一致度にしたがって順位づけされ得る。次いで、最終候補のフラグメント、生成、娘または付加イオンのリストが、可能な候補のフラグメント、生成、娘または付加イオンの溶出時間が最終候補の親または前駆イオンの溶出時間から所定量よりも大きく先行または超える場合に、可能な候補のフラグメント、生成、娘または付加イオンを棄却することによって作成され得る。
【0139】
最終候補のフラグメント、生成、娘または付加イオンのリストは、最終候補の親または前駆イオンの溶出時間に時間的に最も近い時間に得られる低フラグメンテーションまたは反応質量スペクトルにおいて存在する近接の親または前駆イオンのリストを作成することによってさらに絞り込みまたは低減され得る。次いで、リストに含まれる各親または前駆イオンの質量クロマトグラムが生成され、各質量クロマトグラムの中心が、対応する近接の親または前駆イオン溶出時間とともに決定される。次いで、最終候補の親または前駆イオンの溶出時間よりも近接の親または前駆イオン溶出時間により接近して対応する溶出時間を有するいずれの最終候補のフラグメント、生成、娘または付加イオンも最終候補のフラグメント、生成、娘または付加イオンのリストから棄却され得る。
【0140】
最終候補のフラグメント、生成、娘または付加イオンは、それらの溶出時間の一致度にしたがって最終候補の親または前駆イオンに割り当てられ得、最終候補の親または前駆イオンに対応づけられたすべての最終候補のフラグメント、生成、娘または付加イオンがリストされ得る。
【0141】
また、より大量のデータ処理を含むが、本質的により簡単である別の実施形態が考えられる。一旦親およびフラグメント、生成、娘または付加イオンが同定されると、各認識された親または前駆イオンに対して親または前駆イオン質量クロマトグラムが生成される。次いで、親または前駆イオン質量クロマトグラムにおける各ピークの中心および対応する親または前駆イオン溶出時間が決定される。同様に、各認識されたフラグメント、生成、娘または付加イオンに対するフラグメント、生成、娘または付加イオン質量クロマトグラムが生成され、次いで、フラグメント、生成、娘または付加イオン質量クロマトグラムにおける各ピークの中心および対応するフラグメント、生成、娘または付加イオン溶出時間が決定される。次いで、認識された親または前駆イオンのサブセットだけを同定するのではなく、認識された親または前駆イオンのうちのすべて(または、ほとんどすべて)が同定される。娘、フラグメント、生成または付加イオンは、それらのそれぞれの溶出時間の一致度にしたがって親または前駆イオンに割り当てられ、次いで親または前駆イオンに対応づけられたすべてのフラグメント、生成、娘または付加イオンがリストされ得る。
【0142】
本発明にとって不可欠ではないが、イオン源によって生成されたイオンは、衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスに渡される前に、質量フィルタ、好ましくは四重極質量フィルタに通され得る。これは、フラグメント、生成、娘または付加イオンを認識する別のまたはさらなる方法を提供する。フラグメント、生成、娘または付加イオンは、衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスに移送されない質量電荷比を有する高フラグメンテーションまたは反応質量スペクトルにおけるイオンを認識することによって認識され得る、すなわち、フラグメント、生成、娘または付加イオンは、質量フィルタの移送ウィンドウ外にある質量電荷比を有するイオンによって認識される。イオンは、質量フィルタによって移送されない場合は、衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスにおいて生成されたものに違いない。
【0143】
特に好適な実施形態によると、イオン源は、エレクトロスプレー、大気圧化学イオン化、またはマトリックス支援レーザ脱離イオン化(「MALDI」)イオン源を含み得る。そのようなイオン源には、所定期間にわたり溶出物が提供され得、溶出物は、液体クロマトグラフィまたはキャピラリー電気泳動によって混合物から分離されてきたものである。
【0144】
あるいは、イオン源は、電子衝撃、化学イオン化または電界イオン化イオン源を含み得る。そのようなイオン源には、所定期間にわたり溶出物が提供され得、溶出物は、ガスクロマトグラフィによって混合物から分離されてきたものである。
【0145】
第1の動作モード(すなわち、高フラグメンテーションまたは反応モード)では、(i)≧15V、(ii)≧20V、(iii)≧25V、(iv)≧30V、(v)≧50V、(vi)≧100V、(vii)≧150V、および(viii)≧200Vからなる群から選択される電圧が衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスに供給され得る。第2の動作モード(すなわち、低フラグメンテーションまたは反応モード)では、(i)≦5V、(ii)≦4.5V、(iii)≦4V、(iv)≦3.5V、(v)≦3V、(vi)≦2.5V、(vii)≦2V、(viii)≦1.5V、(ix)≦1V、(x)≦0.5V、および(xi)実質的に0Vからなる群から選択される電圧が衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスに供給され得る。しかし、好ましさが劣る好ましい実施形態によると、第1のモードで15Vより低い電圧を供給し、および/または第2のモードで5Vを超える電圧を供給し得る。例えば、第1のまたは第2のモードのいずれかにおいて、約10Vの電圧を供給し得る。好ましくは、これら2つのモード間の電圧差は、少なくとも5V、10V、15V、20V、25V、30V、35V、40V、50Vであるか、あるいは50Vを超える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0146】
ここで、添付の図面を参照して本発明の種々の実施形態を、あくまで例として、説明する。
【0147】
本発明の好ましい実施形態について図1を参照して説明する。好ましくは、質量分析計6は、イオン源1、好ましくはエレクトロスプレーイオン化イオン源、イオンガイド2、四重極ロッドセット質量フィルタ3、衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス4、およびリフレクトロンを内蔵する直交加速飛行時間質量分析器5を含む。イオンガイド2および質量フィルタ3は、必要に応じて省略され得る。質量分析計6は、好ましくは液体クロマトグラフなどのクロマトグラフ(図示せず)と連結され、イオン源1に入る試料が液体クロマトグラフの溶出物から取り出され得るようにする。
【0148】
好ましくは、四重極ロッドセット質量フィルタ3は、好ましくは比較的低い圧力(例えば、10-5mbar未満)に維持される真空チャンバに配置される。質量フィルタ3を含むロッド電極が質量フィルタ3によって移送される質量電荷値の範囲を決定するRFおよびDCポテンシャルの両方を生成する電源に接続される。
【0149】
衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス4は、好ましくは衝突誘起解離フラグメンテーションデバイスを含む。
【0150】
他の実施形態によると、衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス4は、表面誘起解離(「SID」)フラグメンテーションデバイス、電子移動解離フラグメンテーションデバイス、電子捕獲解離フラグメンテーションデバイス、電子衝突または衝撃解離フラグメンテーションデバイス、光誘起解離(「PID」)フラグメンテーションデバイス、レーザ誘起解離フラグメンテーションデバイス、赤外放射誘起解離デバイス、紫外放射誘起解離デバイス、熱または温度源フラグメンテーションデバイス、電界誘起フラグメンテーションデバイス、磁場誘起フラグメンテーションデバイス、酵素消化または酵素分解フラグメンテーションデバイス、イオン−イオン反応フラグメンテーションデバイス、イオン−分子反応フラグメンテーションデバイス、イオン−原子反応フラグメンテーションデバイス、イオン−メタステーブルイオン反応フラグメンテーションデバイス、イオン−メタステーブル分子反応フラグメンテーションデバイス、イオン−メタステーブル原子反応フラグメンテーションデバイス、イオンを反応させて付加または生成イオンを形成するためのイオン−イオン反応デバイス、イオンを反応させて付加または生成イオンを形成するためのイオン−分子反応デバイス、イオンを反応させて付加または生成イオンを形成するためのイオン−原子反応デバイス、イオンを反応させて付加または生成イオンを形成するためのイオン−メタステーブルイオン反応デバイス、イオンを反応させて付加または生成イオンを形成するためのイオン−メタステーブル分子反応デバイス、またはイオンを反応させて付加または生成イオンを形成するためのイオン−メタステーブル原子反応デバイスを含み得る。
【0151】
一実施形態によると、衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスは、イオン源の一部を形成し得る。例えば、衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスは、ノズル−スキマ間インターフェースフラグメンテーションデバイス、インソースフラグメンテーションデバイス、またはイオン源衝突誘起解離フラグメンテーションデバイスを含み得る。
【0152】
一実施形態によると、衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス4は、四重極または六重極ロッドセットを含み得る。四重極または六重極ロッドセットは、ヘリウム、アルゴン、窒素、空気またはメタンなどのガスが10-4と10-1mbarとの間の圧力、好ましくは10-3mbar〜10-2mbarの圧力で導入され得る実質的に気密ケーシング(小さなイオン入口および出口孔は別にして)内に封入され得る。衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス4を構成する電極に対して適切なRFポテンシャルは、電源(図示せず)によって提供され得る。
【0153】
イオン源1によって生成されたイオンは、好ましくはイオンガイド2によって移送され、チャンバ間孔7を介して真空チャンバ8中へ渡される。イオンガイド2は、好ましくはイオン源および真空チャンバ8の中間の圧力に維持される。上記の実施形態において、イオンは、衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス4に入る前に質量フィルタ3によって質量フィルタリングされる。しかし、質量フィルタリングは、本発明において必要不可欠なものではない。衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス4から出たイオンは、好ましくは飛行時間質量分析器5中へ渡る。質量分析計の種々の部品または段(stage)の間のイオン移送を最大化するために、さらなるイオンガイドおよび/または静電レンズなどの他のイオン光学構成要素(図示せずかつ本明細書中で説明せず)が存在し得る。質量分析計において最適な真空条件を維持するために種々の真空ポンプ(図示せず)が提供され得る。リフレクトロンを内蔵する飛行時間質量分析器5は、1パケットのイオンに含まれるイオンの通過時間を測定して、それらの質量電荷比が決定され得るようにすることにより、公知のやり方で動作する。
【0154】
制御手段(図示せず)は好ましくは、イオン源1、イオンガイド2、四重極質量フィルタ3、衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス4および飛行時間質量分析器5に対して必要な動作ポテンシャルをそれぞれ提供する種々の電源(図示せず)に対する制御信号を提供する。これらの制御信号は、好ましくは、質量分析計の動作パラメータ(例えば、質量フィルタ3を通って移送される質量電荷比および質量分析器5の動作)を決定する。制御手段は、取得された質量スペクトルデータを処理するためにも使用され得るコンピュータ(図示せず)からの信号により制御され得る。また、コンピュータは、分析器5から生成された質量スペクトルを表示および格納し、操作者からの命令を受け取り、処理し得る。制御手段は、操作者の介入なしに、種々の方法を行いかつ種々の決定を行うように自動に設定され得るか、または種々の段階で操作者の入力を適宜必要とし得る。
【0155】
制御手段は、好ましくは少なくとも2つの異なるモードの間を行ったり来たりするように衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス4を切り換え、変更または改変するように構成される。1つのモードにおいて、≧15Vなどの比較的高い電圧または電位差が衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス4に適用または維持され得る。別のモードにおいては、≦5Vなどの比較的低い電圧または電位差が衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス4に適用または維持され得る。
【0156】
一実施形態によると、制御手段は約1秒に1度モードを切り替える。質量分析計6は、液体またはガスクロマトグラフィによって混合物から分離された溶出物が提供されているイオン源と併用して設けられる場合、数十分間試行され得る。この期間にわたり、数百個の高フラグメンテーションまたは反応質量スペクトルおよび数百個の低フラグメンテーションまたは反応質量スペクトルが得られ得る。
【0157】
好ましい実施形態によると、得られる質量スペクトルまたは質量スペクトルデータは、好ましくは、以下に詳細に説明される小数質量フィルタにかけられる。
【0158】
好ましくは、第1の(例えば、親)物質またはイオンの正確なまたは厳密な質量または質量電荷比が決定される。正確なまたは厳密な質量または質量電荷比は、好ましくは、第1の整数質量または質量電荷比成分および第1の小数質量または質量電荷比成分を含む。小数ウィンドウは、好ましくは、質量スペクトルデータに適用され、好ましくは、第1の小数質量または質量電荷比成分よりも0〜x1mDaまたはミリ−質量電荷比単位大きい、および/または第1の小数質量または質量電荷比成分m1よりも0〜x2mDaまたはミリ−質量電荷比単位小さい小数質量または質量電荷比成分を有する1つまたはそれ以上の第2の物質またはイオンを検索するように構成および適合される。
【0159】
好ましい実施形態は、好ましくは、親薬物の小数質量もしくは質量電荷比と実質的に同様の小数質量、または質量電荷比もしくは親薬物の小数質量が既知であるならば予測可能な範囲にある小数質量もしくは質量電荷比を有する代謝産物に基づいて、親薬物の潜在的な代謝産物を検索することを含む。
【0160】
親薬物の潜在的な代謝産物に関係するイオンは、複数のフラグメントイオンが生成されるようにフラグメンテーションされ得る。次いで、フラグメントイオンは好ましくは質量分析される。
【0161】
本発明の一実施形態によると、質量分析計は、親薬物の潜在的な代謝産物を検索し得、特に親薬物の小数質量または質量電荷比と実質的に同様の小数質量または質量電荷比を有するイオンを検索し得る。
【0162】
実験試行の終了時に、得られたデータが好ましくは分析され、親または前駆イオンおよびフラグメント、生成、娘または付加イオンは、好ましくは衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス4が第1のモードにおける場合に得られる質量スペクトルにおけるピークの相対強度と、衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス4が第2のモードにおける場合の時間的に約1秒後に得られる質量スペクトルにおける同じピークの強度との比較に基づいて認識される。
【0163】
一実施形態によると、各親およびフラグメント、生成、娘または付加イオンに対する質量クロマトグラムが好ましくは生成され、フラグメント、生成、娘または付加イオンは、好ましくはそれらの相対溶出時間に基づいて親または前駆イオンに割り当てられる。
【0164】
この方法の利点は、すべてのデータが取得され、その後処理されるので、すべてのフラグメント、生成、娘または付加イオンがそれらのそれぞれの溶出時間の一致度によって親または前駆イオンと対応づけられ得る。これにより、すべての親または前駆イオンが、それらが特徴的なフラグメント、生成、娘もしくは付加イオンまたは特徴的な「ニュートラルロス」の存在によって発見されたかどうかにかかわらず、それらのフラグメント、生成、娘または付加イオンから同定されることを可能にする。
【0165】
別の実施形態によると、対象の親または前駆イオンの数を低減するような試みがなされ得る。可能な(すなわち、まだ最終決定されていない)候補の親または前駆イオンのリストが、好ましくは対象の所定のフラグメント、生成、娘または付加イオン(例えば、ペプチドからのインモニウムイオン)を生じさせたかもしれない親または前駆イオンを探すことによって作成され得る。あるいは、親およびフラグメント、生成、娘または付加イオンを求めて検索がなされ得る。ここで、親または前駆イオンは、所定のイオンまたは中性粒子を含む第1の成分およびフラグメント、生成、娘または付加イオンを含む第2の成分にフラグメンテーションしていた可能性がある。次いで、種々のステップを行って、可能な候補の親または前駆イオンのリストをさらに低減/絞り込みして、いくらかの最終候補の親または前駆イオンを残し得る。次いで、その後に、最終候補の親または前駆イオンは、親およびフラグメント、生成、娘または付加イオンの溶出時間を比較することによって同定される。上記からわかるように、2つのイオンは、同様の質量電荷比を有しても、化学構造が異なる場合があり、したがってそのフラグメンテーションは異なる可能性が極めて高いので、フラグメント、生成、娘または付加イオンに基づいて親または前駆イオンを同定することができる。
【0166】
説明した構成に従って、Micromass社のモジュラーCapLCシステムによって試料を質量分析計中に導入する実験を行った。試料をC18カートリッジ(0.3mm×5mm)上に載せ、30μL/分の流量で0.1%HCOOHを用いて3分間脱塩した(図2を参照)。次いで、10ポートバルブを切り換えて、ペプチドが分離のための分析カラム上へ溶出するようにした(図2の挿入図を参照)。2つのポンプAおよびBからのフローを分割して、カラムを通る流量を約200nL/分にした。
【0167】
用いた分析カラムは、Waters(登録商標)社のSymmetryC18(www.waters.com)を詰めたPicoFrit(登録商標)(www.newobjective.com)カラムを使用した。質量分析計中へ直接スプレーするようにこれを設定した。エレクトロスプレーポテンシャル(約3kV)が低デッドボリュームステンレススチール継手を介して液体中に印加され得る。エレクトロスプレー処理を補助するために少量(約5psi)の霧状ガスをスプレー先端の周辺に導入した。
【0168】
Z−spray(登録商標)のナノフローエレクトロスプレーイオン源を取り付けたQ−Time of Flight2(登録商標)の四重極直交加速飛行時間ハイブリッド質量分析計(www.micromass.co.uk)を使用してデータを取得した。質量分析計を正イオンモードにおいて80℃のソース温度および40L/時間のコーンガス流量(cone gas flow)で動作させた。
【0169】
機器は、Glu−フィブリノペプチドbの衝突誘起解離(CID)から得られた選択フラグメントイオンを使用した多点較正で較正した。すべてのデータは、ソフトウェアのMassLynx suiteを使用して処理された。
【0170】
図3Aおよび図3Bは、アルコール脱水素酵素として知られるADHのトリプシン消化のフラグメントまたは娘および親または前駆イオンスペクトルをそれぞれ示す。図3Aに示すフラグメントまたは娘イオンスペクトルは、ガス衝突セルを約30Vの比較的高いポテンシャルに維持し、ガス衝突セルを通るイオンの著しいフラグメンテーションを生じさせることによって得た。図3Bに示す親または前駆イオンスペクトルは、低い衝突エネルギー、例えば<5Vで得た。図3Bに表すデータは、質量電荷比が>350であるイオンを移送するように設定された質量フィルタ3を使用して得た。この特定の例における質量スペクトルは、液体クロマトグラフから溶出した試料から得た。スペクトルは、十分に迅速かつ時間について互いに接近して得られたので、液体クロマトグラフから溶出した同じ1つまたは複数の成分に本質的に対応する。
【0171】
図3Bにおいて、親または前駆イオンスペクトルにおいていくつかの高強度ピーク、例えば、418.7724および568.7813におけるピークがある。これらは、対応のフラグメント、生成、娘または付加イオンスペクトルにおいては実質的に強度がより低い。したがって、これらのピークは、親または前駆イオンであると認識され得る。同様に、親または前駆イオンスペクトルよりもフラグメント、生成、娘または付加イオンスペクトルにおいて強度が高いイオンは、フラグメント、生成、娘または付加イオン(または、実際には衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスの上流の質量フィルタの動作により親または前駆イオンスペクトルにおいては存在しない)であると認識され得る。したがって、図3Aにおける質量電荷値<350を有するすべてのイオンは、それらのイオンが350未満の質量電荷値を有すること、またはより好ましくは、それらのイオンの対応の親または前駆イオンスペクトルに対する相対強度のいずれかに基づいて、フラグメント、生成、娘または付加イオンであると容易に認識され得る。
【0172】
図4A〜図4Eは、3つの親または前駆イオンおよび2つのフラグメントまたは娘イオンに対する質量クロマトグラム(すなわち、検出されたイオンの強度対取得時間のプロット)をそれぞれ示す。親または前駆イオンは、質量電荷比が406.2(ピーク「MC1」)、418.7(ピーク「MC2」)および568.8(ピーク「MC3」)であると決定され、2つのフラグメントまたは娘イオンは、質量電荷比が136.1(ピーク「MC4」および「MC5」)および120.1(ピーク「MC6」)であると決定された。
【0173】
親または前駆イオンピークMC1は、フラグメントまたは娘イオンピークMC5とよく相関すること、すなわち、m/z=406.2である親または前駆イオンがフラグメンテーションしてm/z=136.1であるフラグメントまたは娘イオンを生成したように見えることが分かる。同様に、親または前駆イオンピークMC2およびMC3は、フラグメントまたは娘イオンピークMC4およびMC6とよく相関するが、どの親または前駆イオンがどのフラグメントまたは娘イオンに対応するかを決定することは困難である。
【0174】
図5は、図4A〜図4Eのピークを順に重ねた(異なるスケールで再描画した)ものを示す。MC2、MC3、MC4およびMC6のピークを注意深く比較すると、実際に、親または前駆イオンMC2およびフラグメントまたは娘イオンMC4がよく相関し、他方親または前駆イオンMC3がフラグメントまたは娘イオンMC6とよく相関することが分かる。これは、m/z=418.7である親または前駆イオンがフラグメンテーションしてm/z=136.1であるフラグメントまたは娘イオンを生成すること、およびm/z=568.8である親または前駆イオンがフラグメンテーションしてm/z=120.1であるフラグメントまたは娘イオンを生成することを示す。
【0175】
この質量クロマトグラムの相互相関は、操作者によって、またはより好ましくは適切なコンピュータ上で実行する適切なピーク比較ソフトウェアプログラムなどの自動ピーク比較手段によって実施され得る。
【0176】
図6は、Micromass社のQ−TOF(登録商標)質量分析計を使用して得られたHPLC分離および質量分析から抽出されたm/z87.04に対する質量クロマトグラムを示す。アミノ酸であるアスパラギンに対するインモニウムイオンは、m/z値が87.04である。このクロマトグラムは、Q−TOF(登録商標)に記録されたすべての高エネルギースペクトルから抽出された。
【0177】
図7は、スキャン番号604に対応する全質量スペクトルを示す。これは、Q−TOF(登録商標)上に記録された低エネルギー質量スペクトルであり、m/zが87.04の質量クロマトグラムにおける最大のピークに対応するスキャン605における高エネルギースペクトルの隣の低いエネルギースペクトルである。これは、m/zが87.04でのアスパラギンインモニウムイオンに対する親または前駆イオンが1012.54の質量を有することを示す。なぜなら、m/zが1013.54での一価の(M+H)+イオンおよびm/zが507.27での二価の(M+2H)++イオンを示すからである。
【0178】
図8は、タンパク質β−カゼインのトリプシン消化物のQ−TOF(登録商標)質量分析計上に記録された低エネルギースペクトルからの質量スペクトルを示す。タンパク質消化生成物は、HPLCによって分離し、質量分析した。質量スペクトルは、MSモードにおいて動作するQ−TOF(登録商標)上で記録し、連続したスペクトルのためにガス衝突セルにおいて低および高衝突エネルギーを交番させた。
【0179】
図9は、上記図8と同じHPLC分離期間に記録された高エネルギースペクトルからの質量スペクトルを示す。
【0180】
図10は、上記図9と同じスペクトルを処理および拡大した図である。このスペクトルに対して、連続データを処理して、ピークを同定し、ピーク面積に比例した高さを有する線で表示し、かつそれらの質量中心(centroided masses)に対応する質量を注釈として付け加えた。m/zが1031.4395でのピークは、ペプチドの二価(M+2H)++イオンであり、m/zが982.4515でのピークは、二価フラグメントイオンである。それは、フラグメントまたは娘イオンのはずである。なぜなら、それは、低エネルギースペクトルには存在しないからである。これらのイオンの質量差は、48.9880である。H3PO4に対する理論質量は、97.9769であり、二価H3PO4++イオンに対するm/z値は、48.9884であり、観察値との差は、ほんの8ppmである。
【0181】
薬物代謝研究において、対象とする代謝産物は通常予測できない。なぜなら、代謝産物の形成は、新規な酵素反応、およびバイオアベイラビリィティ(bio−availability)などの事前に予測することの困難な因子によって決定され得るからである。
【0182】
現在、代謝産物を検出および同定するために、液体クロマトグラフィ(LCまたはHPLC)を使用して複雑な生物学的基質に存在する多くの異なる成分を分離することが公知である。次いで、液体クロマトグラフから溶出する成分の質量または質量電荷比が質量分析(MS)を使用して測定される。
【0183】
通常、LC−MS(液体クロマトグラフから溶出する親イオンが質量分析される)およびLC−MS−MS(液体クロマトグラフから溶出する特定の親イオンがフラグメンテーションされ、そのフラグメント産物が質量分析される)を使用し、しばしば正および負イオン化モードの両方で、多くの測定を行う必要がある。液体クロマトグラフから溶出する厳密で正確な質量または質量電荷比は通常決定される。なぜなら、液体クロマトグラフによって、異なる生物学的基質、胆汁、血漿、糞便および尿などに存在する多数の内因性のピークのうちの多くを無視できるようになるからである。
【0184】
次いで、対象代謝産物に関係し得ることを示す質量電荷比を有すると判断されたイオンは衝突セルにおいてフラグメンテーションされる。次いで、得られたフラグメント産物は質量分析され、各可能性のある代謝産物の構造を予測できるようにする。
【0185】
しかし、従来のアプローチは、潜在的な対象代謝産物を探すために質量スペクトルデータのすべてを検索する必要があるので比較的時間がかかる。次いで、対象代謝産物に関係する可能性があると考えられるすべてのイオンを配置して、次いで別々にフラグメンテーションされるようにして、次いで潜在的な対象代謝産物の構造を決定できるようにする必要がある。
【0186】
複雑な混合物に関係する質量スペクトルを検索し、対象代謝産物に関係し得る潜在的なイオンを同定し、フラグメンテーションされるべき所定のイオンを選択し、対象のイオンをフラグメンテーションし、次いでフラグメント産物を質量分析する処理は比較的時間がかかり得ることが理解される。
【0187】
製薬およびバイオテクノロジー産業においては、試料を短時間でかつ正確に分析できることが特に重要である。このため、質量スペクトルに存在する主要なピークが自動的に選択され、MS/MS(ここで、特定の親イオンがフラグメンテーションために選択される)によって分析されるという自動方法が開発されてきた。これにより、ユーザは、1回のHPLC注入から親イオン質量スペクトルおよびいくつかのMS/MSスペクトルを得ることができる。後のMS/MSによる分析のために親イオン質量スペクトル中のほとんどの強いピーク(すなわち、イオン)を自動的に選択することは公知である。少ないフィルタを規定するだけでこのプロセスを若干より効率的にできる従来のシステムもある。例えば、所定の質量または質量電荷比を有するイオンは、データシステムに入力されて考慮から自動的に外され得る。これらの質量または質量電荷比は、例えば、存在することが既知である溶媒ピークの質量または質量電荷比、またはすでに分析された成分の質量または質量電荷比に対応し得る。
【0188】
従来の自動モードのデータ獲得の利点は、1回のHPLC注入からかなりの量のデータが得られ得ることである。しかし、従来のアプローチの欠点は、あらかじめ定義された強度閾値を超える強度を有するピークだけが、後のMS/MS分析(すなわち、フラグメンテーション分析)のために通常選択されることである。重要なのは、任意の特定時間に多くの強いピークが存在するか、または観察される場合、これらのピークのいくつかはMS/MS分析のための選択から簡単に外れ得る。なぜなら、観察されるクロマトグラフィピークの比較的短い持続期間中に別々のMS/MSスペクトルをすべて記録する時間が十分にないからである。
【0189】
従来のアプローチについて特に問題となる別の点は、潜在的な代謝産物の質量または質量電荷比が一般に事前に分からないので、そのすべてまたは多くが後から興味が少ないか、またはほとんどないと判明される多くのピークを分析して時間を無駄にし得ることである。このことはまた、質量分析計が他のイオンの分析に忙しかったために、認識されていれば分析されたかもしれない対象となり得る実際のピークを全く分析できないことを意味し得る。
【0190】
好ましい実施形態の利点は、潜在的に薬物に関連する代謝産物ピークだけが後の分析のために選択または表示されること、および内因性のピークのすべてまたは少なくとも多数がさらなる検討から効果的に無視されることである。したがって、好ましい実施形態は、対象代謝産物に関係するイオンを検索し、質量分析し、同定するプロセスを著しく改善する。また、好ましい実施形態は、対象代謝産物が、例えば液体クロマトグラフィの本質的に短い時間スケール内でそれらをフラグメンテーションすることによってなされるさらなる分析のために選択されることを可能にする。
【0191】
好ましい実施形態は、薬物代謝研究における多くの可能性のある前駆イオンを、質量または質量電荷比の小数部が予め定義されかつ好ましくは比較的狭い小数質量または質量電荷比ウィンドウ内に入るような質量または質量電荷比を有するイオンだけを選択または表示することによって、効果的に、フィルタを用いて取り除くか、または実質的に除去して検討しない。小数質量ウィンドウは、好ましくは、絶対質量の関数として好ましくは変化する小数質量値を中心とする。一実施形態によると、小数質量ウィンドウは、好ましくは、親イオンの小数質量から0(低質量代謝産物に対して)に変更し得る小数質量値を中心とする。
【0192】
代謝研究において、親薬物の元素組成は通常一般によく知られているので、親薬物の理論的に厳密な質量または質量電荷比を計算できる。好ましい実施形態によって認識され得る(そして、したがってさらなる分析のために選択され得る)薬剤および関連の代謝産物の例を図11に示す。図11は、プロトン化分子のモノアイソトピック質量が326.0860Daであるミダゾラム(C18 H13 Cl F N3)と呼ばれる親薬物の元素組成を示す。この薬物の一般的な代謝経路は、酸素の付加である。したがって、酸素がミダゾラムに付加されると、その質量は+15.9949Daだけ増加され、新しい化合物(すなわち、ミダゾラムのヒドロキシル化代謝産物)のモノアイソトピック質量は342.0809Daとなる。
【0193】
ミダゾラムのヒドロキシル化代謝産物の構造も図11に示す。なお、親薬物ミダゾラムおよびそのヒドロキシル化代謝産物の正確な質量の小数部における差は、ほんの0.0860−0.0809=0.0051Da(すなわち、ほんの5.1mDaの質量不足度)である。したがって、親薬物およびその対応の代謝産物の総質量または絶対質量は16Da近く異なるが、親および代謝産物の小数質量成分の差は非常に小さいことが明らかである。
【0194】
質量分析において、イオンには、整数質量もしくは質量電荷比または絶対質量もしくは質量電荷比(例えば、ミダゾラムの場合、326)、あるいは正確な質量もしくは質量電荷比または厳密な質量もしくは質量電荷比(例えば、ミダゾラムの場合、326.0860)のいずれかが与えられ得る。正確なまたは厳密な質量または質量電荷比は、整数成分または値および小数成分または値を含むと考えられ得る。このことは、すべての元素(炭素を除く)がおよそでは整数質量であるが厳密には整数質量でないことに大きく起因する。原子質量のための国際スケールにおいて、炭素の最も大量にある同位体には、厳密な原子質量の12.0000ダルトン(Da)が与えられている。このスケールにおいて、生物学的系において最も大量にある元素の最も大量にある同位体の正確な原子質量は、水素(H)1.0078Da、窒素(N)14.0031Da、および酸素(O)15.9949Daである。
【0195】
正確なまたは厳密な(すなわち、非整数)質量または質量電荷比は、整数または絶対質量または質量電荷比値または成分と対応する質量の充足もしくは不足値または成分を合わせたものとして表され得る。質量の充足または不足度は、整数値からの偏差を表すと考えられ、ミリダルトン単位(mDa)で表現され得る。例えば、水素(H)は、整数または絶対質量が1および質量充足度が7.8mDaであると表現され得る。窒素(N)は、整数質量が14および質量充足度が3.1mDaであると表現され得る。酸素(O)は、整数質量が16および質量不足度が5.1mDaであると表現され得る。
【0196】
同様に、有機分子のイオンの質量または質量電荷比には、整数質量または質量電荷比とその整数値からの対応する質量充足または不足度を合わせたものが与えられる。
【0197】
好ましい実施形態に係るイオンまたは化合物の質量または質量電荷比を考える場合、イオン化の方法も考慮することも好ましい。なぜなら、これにより、イオン元素組成が決定でき、したがってまた、イオン質量または質量電荷比が計算できるからである。例えば、エレクトロスプレーイオン化によって溶液がイオン化される場合、検体分子はプロトン化されて正に荷電されたイオンを形成し得る。
【0198】
これらのイオンの理論的に正確な質量または質量電荷比が分かると、好ましい実施形態によれば、可能性のあるまたは潜在的な対象代謝産物の正確な質量または質量電荷比に関して所定の予測が可能である。このため、対象代謝産物である可能性のあるピークのより良い予測が可能となり、したがって、潜在的な代謝産物が検索され、認識され、そしてMS/MSによる構造分析などのさらなる分析のために通過させるかまたは選択され得る。
【0199】
代謝産物は、親薬物に対する生体内変換の結果である。好ましい実施形態の一態様は、潜在的な対象代謝産物の質量充足度または質量不足度が対応する親薬物の質量充足度または質量不足度に実質的に同様であるという事実の認識および活用である。
【0200】
好ましい実施形態の一態様は、親イオンと潜在的な代謝産物との質量充足度または質量不足度における潜在的な類似度を使用して潜在的な対象代謝産物をより戦略的に検索する、および/または対象親イオンに関係しない質量スペクトルデータからイオンをフィルタで取り除くことができることの認識である。特に、好ましい実施形態は、親薬物の正確なまたは厳密な質量または質量電荷比の小数部が親薬物の代謝産物の正確なまたは厳密な質量または質量電荷比の小数部と実質的に同様であることに基づいて質量スペクトルデータにおいて代謝産物を検索する。
【0201】
好ましい実施形態によると、親薬物の前駆イオンの正確な質量または質量電荷比の小数部が計算される。次いで、好ましくは、小数質量または質量電荷比ウィンドウが親薬物の精密な小数質量または質量電荷比について設定される。好ましい実施形態によると、好ましくは、小数質量ウィンドウに対する上限および下限が設定される。しかし、他の実施形態によると、小数質量ウィンドウに対して上限だけまたは下限だけが設定され得る。一実施形態によると、上限および下限は同じ大きさまたは幅を有し得か、あるいは、上限および下限は大きさまたは幅が異なり得る。
【0202】
好ましい実施形態によると、好ましくは、1つまたはそれ以上の対象代謝産物を含むと考えられる試料の前駆または親イオン質量スペクトルが得られる。親イオン質量スペクトルは、イオンの正確な質量または質量電荷比の小数部が既知の親化合物またはイオンの正確な質量または質量電荷比の小数質量部に非常に近くなければならないという判断基準を満たすいくつかのまたはすべての質量ピークを求めて自動的に検索され得る。好ましい実施形態によると、潜在的な対象イオン(好ましくは、親化合物の1つまたはそれ以上の代謝産物に関係する)は、イオンの小数質量または質量電荷比が親化合物またはイオンの小数質量または質量電荷比についての質量または質量電荷比の比較的狭い帯域または範囲に入ると決定される事実によって、認識されるか、同定されるか、またはそうでなければ、さらなる分析のために選択される。
【0203】
対象代謝産物を検索するプロセスにおいて好ましく使用される小数質量または質量電荷比ウィンドウの特性をここで図12を参照してより詳細に説明する。
【0204】
図12は、好ましい実施形態によって質量スペクトルデータに使用または適用され得る小数質量または質量電荷比ウィンドウの幅を示す。小数質量または質量電荷比ウィンドウ(単位はmDa)の幅は、親イオンまたは化合物と、検索中のイオンまたは化合物(代謝産物イオンまたは化合物を含み得る)との間の絶対質量(単位はDa)または質量電荷比における差の関数として示される。親イオンまたは化合物と、検索中のイオンまたは化合物(対象の代謝産物イオンまたは化合物を含み得る)との間の絶対質量または質量電荷比における差は、ΔMと称され得る。同様に、小数質量または質量電荷比ウィンドウの上限および下限は、値δmを有するとして称され得る。
【0205】
例えば、親イオンと潜在的な対象イオンとの間の質量または質量電荷比における絶対差が10Daならば、図12に示す実施形態によると、親イオンの精密な小数質量または質量電荷比よりも+20mDa大きい上限および親イオンの精密な小数質量または質量電荷比よりも20mDa低い下限を有する小数質量または質量電荷比ウィンドウが設定され得る。
【0206】
好ましい実施形態によると、小数質量または質量電荷比ウィンドウの上限および下限は、親イオンと可能性のある代謝産物イオンとの質量または質量電荷比における絶対差ΔMの関数として変化する。したがって、また図12に示されるように、親イオンと潜在的な対象イオンとの間の質量または質量電荷比における絶対差が例えば100Daならば、図12を参照して示しかつ説明される実施形態によると、小数質量または質量電荷比ウィンドウの上限および下限は非対称である。図12に示す特定の実施形態によると、質量または質量電荷比ウィンドウは、親イオンの精密な小数質量または質量電荷比よりも+92mDa大きい上限、および親イオンの精密な小数質量または質量電荷比よりもほんの50mDa低い下限を有する。
【0207】
一般的にかつ図12に示すように、親イオンまたは化合物と対象の代謝産物イオンまたは化合物との間の質量または質量電荷比における差ΔMが比較的小さい場合(例えば、±0〜30Da)、好ましい実施形態によると、小数質量または質量電荷比ウィンドウの上限および下限の大きさも比較的小さくあり得る(例えば、20〜30mDaの範囲)。しかし、親イオンまたは化合物と対象の可能性のある代謝産物イオンまたは化合物との間の質量または質量電荷比における絶対差ΔMは増加するにつれ、好ましくは小数質量または質量電荷比ウィンドウの上限および下限の大きさも増加する。
【0208】
図12に示す実施形態によると、質量または質量電荷比の差ΔM(すなわち、親イオンまたは化合物の質量または質量電荷比から代謝産物イオンまたは化合物の質量または質量電荷比を引く)が−40〜20Daの範囲内にあるとして対象代謝産物を検索する場合、好ましくは小数質量または質量電荷比ウィンドウの上限は一定値の20mDaに設定される。親イオンまたは化合物と対象の代謝産物イオンまたは化合物との間の質量または質量電荷比の差が>20Daであれば、好ましくは小数質量または質量電荷比ウィンドウの上限は+0.09%かける(20Daより上のΔM)(すなわち、ΔMが+100の場合、小数質量ウィンドウまたは質量電荷比の上限は好ましくは20mDa+0.09%*(100Da−20Da)=20mDa+0.072Da=92mDaに設定される)の率で増加する。親イオンまたは化合物と対象の代謝産物イオンまたは化合物との間の質量または質量電荷比の差が<−40Daならば、小数質量または質量電荷比ウィンドウの上限は、好ましくは0.05%かける(−40Daより下のΔM)(すなわち、ΔMが−100の場合、小数質量または質量電荷比ウィンドウの上限は20mDa+0.05%*(100Da−40Da)=20mDa+0.030Da=50mDaに設定される)の率で増加する。
【0209】
同様に、親イオンまたは化合物と代謝産物イオンまたは化合物との間の質量または質量電荷比の差ΔMが−20〜40Daの範囲内にあるとして対象代謝産物を検索する場合、小数質量または質量電荷比ウィンドウの下限は好ましくは一定値の−20mDaに設定される。親イオンまたは化合物と対象の代謝産物イオンまたは化合物との間の質量または質量電荷比の差が>40Daであれば、小数質量または質量電荷比ウィンドウの下限は好ましくは−0.05%かける(40Daより上のΔM)(すなわち、ΔMが+100の場合、小数質量ウィンドウまたは質量電荷比の下限は好ましくは−20mDa−0.05%*(100Da−40Da)=−20mDa−0.030Da=−50mDaに設定される)の率で負に増加する。親イオンまたは化合物と対象の代謝産物イオンまたは化合物との間の質量または質量電荷比の差が<−20Daならば、小数質量または質量電荷比ウィンドウの下限は、好ましくは−0.09%かける(−20Daより下のΔM)(すなわち、ΔMが−100の場合、小数質量または質量電荷比ウィンドウの下限は−20mDa−0.09%*(100Da−20Da)=−20mDa−0.072Da=−92mDaに設定される)の率で負に増加する。
【0210】
各異なる親薬物は特定の既知の質量または質量電荷比を有すると理解される。好ましい実施形態によるアプローチは、親薬物の代謝産物が親薬物の構造と同様の構造を有すること、および各代謝産物の正確な質量または質量電荷比の小数部が親薬物の正確な質量または質量電荷比の小数部と同様であることを仮定する。
【0211】
次いで、その小数部が好ましい実施形態によって決定されるような小数質量または質量電荷比ウィンドウ内に入る正確な質量または質量電荷比を有すると好ましい実施形態により決定されるイオンが、後の動作モードにおけるさらなる分析のために選択され得る。例えば、四重極質量フィルタなどの質量フィルタを使用して、衝突またはフラグメンテーションセルへ前方向に通過されるべき特定の質量電荷比を有する潜在的に対象代謝産物イオンであると考えられる特定のイオンが選択され得る。次いで、イオンは衝突またはフラグメンテーションセル内でフラグメンテーションされ、その後、得られたフラグメント産物イオンは質量分析され得る。
【0212】
好ましい実施形態によると、多くの内因性のイオンピークが自動的にさらなる検討から外されることが可能となる。これは特に利点であり、結果として、好ましい実施形態は、著しく改善された、試料において潜在的な代謝産物を認識する方法に関係する。
【0213】
代謝産物または他のイオンの正確な質量または質量電荷比の小数部が入るべき小数質量または質量電荷比ウィンドウは、LC−MSおよび/またはLC−MS−MS実験を始める前に定義され得る。小数質量または質量電荷比ウィンドウの値または大きさは、1回の実験中に起こる可能性のある質量誤差を調整するように設定され得る。また、値または大きさは、親薬物の元素組成にしたがって設定され得る。例えば、親薬物が炭素、水素、窒素、酸素およびフッ素以外の元素を含まないならば、小数質量または質量電荷比ウィンドウの上限および/または下限は、親薬物が元素のリン、硫黄および塩素のいずれかまたはすべてを含む場合よりも低い(小さい)値に設定され得る。なぜなら、リン、硫黄および塩素はすべて炭素、水素、窒素、酸素およびフッ素よりも大きな質量不足度を有するからである。
【0214】
親薬物と代謝産物との間の質量または質量電荷比の差が大きくなるほど、生体内変換に関与する可能性のある原子が多くなる。したがって、いくつかの原子が生体内変換に関与していると考えられるならば、正確な質量または質量電荷比の小数部の変化の許容度は好ましくはより大きくされるべきである。言い換えると、親薬物と代謝産物との間の絶対質量または質量電荷比における差が増加するにつれ、好ましくは小数質量または質量電荷比ウィンドウの幅または大きさ、または小数質量または質量電荷比ウィンドウの上限および/または下限も増加すべきである。なぜなら、代謝産物はより大きな質量不足または充足度を有する可能性があるからである。
【0215】
好ましい実施形態によると、生体内変換において起こったかもしれない質量充足度における最大変化は、起こったかもしれない質量不足度における最大の変化とは異なり得るという事実が許容され得る。したがって、非対称な小数質量または質量電荷比ウィンドウは、例えば、図12に図示された実施形態に関連して示しかつ説明された非対称な小数質量または質量電荷比ウィンドウと同様に使用され得る。
【0216】
他の好ましさが劣る好ましい実施形態によると、簡単で対称な小数質量または質量電荷比ウィンドウが使用され得る。例えば、±20Daまでの親薬物と対象イオンとの間の質量または質量電荷比の差ΔMに対して、±20mDの上限および下限を有する小数質量または質量電荷比ウィンドウが使用され得る。親薬物と対象イオンとの間の質量または質量電荷比の差が<−20Daまたは>20Daであれば、小数質量または質量電荷比ウィンドウの上限および下限は、<−20Daまたは>20Daである質量または質量電荷比の差に対して0.1%の率で増加し得る。
【0217】
一般に、小数質量または質量電荷比ウィンドウは、親薬物と対象イオンとの間の質量または質量電荷比の差ΔMに対して小数質量または質量電荷比の差δmの複数の値を有する。δmおよびΔMの値は、好ましくはδmおよびΔMの各極性に依存せずに定義され得る。
【0218】
好ましい実施形態によると、質量分析計は、好ましくはフラグメンテーションするように誘導される、選択された前駆または親イオンからの親イオン質量スペクトルおよびフラグメントイオン質量スペクトルを記録する。質量分析計は、例えば、扇形磁場、飛行時間、直交飛行時間、四重極質量フィルタ、3D四重極イオントラップ、直線四重極イオントラップもしくはFT−ICR質量分析部、またはそれらの組み合わせを備え得る。
【0219】
特に好適な実施形態によると、質量分析計は、扇形磁場、飛行時間、直交飛行時間またはFT−ICR質量分析部のいずれかを備え得る。
【0220】
質量分析計は、質量ピークが検出されないか、かつされるまでは、全親イオン質量スペクトルを獲得するようにデフォルト操作モードで設定され得る。ここで、検出されたイオンの正確な質量または質量電荷比の小数部は好ましくは予め定義された小数質量または質量電荷比ウィンドウに入る。一旦そのような質量ピークが検出されると、質量分析計および関連の制御ソフトウェアは、好ましくはその機器を切り換えて、特定の小数質量または質量電荷比を有するまたは対象の親イオンが質量フィルタによって選択され、移送され、他方小数質量または質量電荷比ウィンドウから外れる小数質量または質量電荷比を有する他のイオンは、好ましくはシステムに対して実質的に減衰されるか、または失われる。次いで、選択された対象の親イオンは、イオンガイドおよび好ましくは>10-3mbarの圧力に維持された衝突ガスを好ましくは備えるフラグメンテーションまたは衝突セルに好ましくは移される。イオンは、衝突またはフラグメンテーションセル中に存在する衝突ガスに衝突した際に、イオンが好ましくはフラグメント生成イオンにフラグメンテーションされるようなエネルギーで衝突またはフラグメンテーションセル中へ好ましくは加速される。次いで、フラグメント生成イオンは、好ましくは質量分析され、次いでフラグメント生成イオンの全質量スペクトルが好ましくは得られる。次いで、フラグメンテーションまたは衝突セルは、高フラグメンテーション動作モードと低フラグメンテーション動作モードとの間で繰り返し切り替えられ得る。
【0221】
小数質量または質量電荷比ウィンドウの大きさは好ましくは予め定義されるが、他の好ましさが劣る好ましい実施形態によると小数質量または質量電荷比ウィンドウの大きさは実験データに応じてまたは他のパラメータに基づいて変更され得る。一実施形態によると、例えば、ΔM、M1またはM2の関数として第1のプロファイルまたは大きさを有する小数質量または質量電荷比ウィンドウが適用され得る1回目の実験が行われ、次いでその後の2回目の実験において、ΔM、M1またはM2の関数として第2の異なるプロファイルまたは大きさを有する小数質量または質量電荷比ウィンドウが適用され得る。
【0222】
一実施形態によると、制御ソフトウェアは、選択された前駆または親イオンに対して適切な最適フラグメンテーション衝突エネルギーを含む他のパラメータを選択するかまたは決定し得る。
【0223】
好ましい実施形態の重要な利点は、より有用なMS/MSスペクトルが1回のLC−MS実験の限られた時間スケール内で獲得できることである。これにより、必要なデータを得るためにかかる時間が低減する。好ましい実施形態の他の重要な利点は、従来のアプローチを採用した場合には多くの比較的強い内因性の質量ピークによって検出されない低レベルの代謝産物を好ましい方法が容易に検出することである。
【0224】
ミダゾラムの例を参照し、図13はハイブリッド四重極飛行時間質量分析計を使用して記録されるような薬物ミダゾラムの親イオン質量スペクトルを示す。主同位体に対して測定された質量電荷比は、326.0872(参考:理論値は326.0860)であるとして決定された。図14は、同じハイブリッド四重極飛行時間質量分析計を使用して記録されるようなミダゾラムのヒドロキシル化代謝産物の親イオン質量スペクトルを示す。主同位体に対して測定された質量電荷比は、342.0822(参考:理論値は342.0809)であるとして決定された。実験データから、親薬物の正確に決定された質量電荷比の小数部とヒドロキシル化代謝産物の正確に決定された質量電荷比の小数部における差は、0.0872−0.0822=0.0050Da、すなわち、ほんの5mDaの質量不足度であった。
【0225】
図13および図14に示す実験データから、より一般には、ミダゾラムのヒドロキシル化代謝産物を含むミダゾラムの潜在的な代謝産物が検索され、位置づけられ、次いでさらなる検討および分析(好ましくはMS−MSによる)のための選択され得ることが理解される。これは、潜在的に全く異なる絶対質量電荷比を有し得るが、親薬物および対象イオンの小数質量または質量電荷比における差が、例えば、10mDa未満である質量ピークを親イオン質量スペクトルデータから検索することによって達成することができる。
【0226】
好ましい実施形態に係る方法は、内因性の成分に関係するイオンが分析されずに(またはされても少ない)、対象代謝産物である可能性のある(または少なくとも含む)質量ピークを効率的に検出できる有効な方法を提供する。したがって、好ましい方法は、従来の手法では検討に含まれてしまう多くの内因性の質量ピークを検討から有利に効果的にフィルタで取り除くか、除去する。
【0227】
好ましい実施形態によると、対象代謝産物ではないと判明される多くのイオンを分析する時間を無駄にせずに、典型的な液体クロマトグラフィ質量ピークが観察される間の時間スケール内において対象代謝産物に関係する可能性のあるイオンのフラグメントイオンスペクトルを記録するように質量分析計が切り換えることが有利に可能となる。
【0228】
一実施形態によると、インテリジェントな厳密質量不足アリゴリズムは、コンピュータによる(in silico)代謝産物予測とともに使用して、好ましくはハイブリッド四重極飛行時間質量分析計を使用する代謝研究のためのDDA実験を予め決定し得る。
【0229】
DDA(データ依存実験)を実行する際の主な問題の1つは、対象でないと判明するイオンについてDDA実験を行うために非常に多くの時間がかかり得ることである。その結果、重要な推定代謝産物が簡単に取り損なわれ得る。
【0230】
一実施形態によると、特定の代謝産物はコンピュータによって事前に予測され、適切である厳密な小数質量または質量電荷比データフィルタウィンドウが設定され得る。したがって、実施形態によると、ある新規な化学エンティティまたは標準の化合物からの代謝産物が予測され、次いで検索され得る。一旦代謝産物が予測されると、設定された小数質量または質量電荷比ウィンドウ(例えば、上限および/または下限の10〜20mDaを有し得る)内の小数質量または質量電荷比を有するイオンが存在するとして観察される場合に、厳密な小数質量ウィンドウがDDA実験を行うように単に切り換えるように設定され得る。
【0231】
一実施形態によると、潜在的に未知の代謝産物またはフラグメントが発見され得る。ユーザは、例えば、厳密な小数質量または質量電荷比ウィンドウを選択または設定して、厳密な小数質量または質量電荷比に基づいてすでに予測された代謝産物を検出し、動作モードにおいてMS/MS実験が実行され得る。これに加えて、親化合物の厳密な質量または質量電荷比に基づいた厳密な質量不足度が決定され得る。この特定のデータフィルタが上記の実施形態に係るデータフィルタよりも特異的であると考えられ得る。なぜなら、すべての代謝産物が予測されるとは限らない場合があるからである。したがって、予測されない代謝産物は、厳密な質量または質量電荷比データフィルタを用いたDDA実験において検出される。
【0232】
厳密な質量または質量電荷比不足度フィルタは、以下のモードで動作し得る。分析下において親薬物の質量または質量電荷の小数部に基づく厳密な質量または質量電荷比不足度フィルタが使用され得る。この実施形態によると、ユーザ定義判断基準に一致しないメタボリンクス(MetaboLynx)ブラウザにおける予期しない代謝産物エントリの除去が可能な後処理フィルタが使用され得る。このフィルタを使用することにより、潜在的な代謝産物と同じ整数質量を有し得る大多数の基質関連エントリをフィルタで除去することによって予期しない代謝産物テーブルにおける偽エントリの数を劇的に減らすことができる。これにより、ユーザは、データ処理中に低い閾値を使用することで、手動で偽陽性を除く面倒な作業を行わずに非常に低い代謝産物レベルを同定することが可能となる。フィルタは、好ましくは正確なおよび特異的なフィルタである。なぜなら、各対象親薬物に特異的な厳密な質量および質量不足度に基づくからである。
【0233】
各親薬物は特定の数の元素(C、H、N、Oなど)から構成される。上記の元素のそれぞれの数に応じて、薬物の小数質量または質量電荷比は非常に特異的である。例えば、図15Aを参照すると、ベラパミルは以下の元素を含む: C27 H38 N2 O4。これは、モノアイソトピックプロトン化質量の455.2910Daに相当する。アルキル基が除かれ(N−脱アルキル化、一般代謝経路)およびグルクロニドが付加されるならば、質量は精密に+162.0.164Daだけ移動する。したがって、代謝産物のモノアイソトピック質量は617.3074Daである。ベラパミルとそのN−脱アルキル化代謝産物との小数質量差は、厳密な質量不足度の0.3074−0.2910=0.0164Da(16.4mDa)に対応する。したがって、約20mDaの小数質量または質量電荷比ウィンドウが使用されるならば、そのN−脱アルキル化グルクロニド化代謝産物を検出できるであろう。以下の仮定の一部または全部が与えられるならば、ベラパミルの代謝産物を前もって知らなくてもよい。(i)すべての代謝産物は、対応する親の小数質量または質量電荷比の250mDa以内の小数質量または質量電荷比を有する、(ii)対象代謝産物は、一般に、さらにより小さなフラグメントへの大きな開裂がなければ(例えば、最大フェーズII生体内変換であるグルタチオン抱合により、親薬物に比較して質量不足度差が68mDaとなる)、親の100mDa以内の小数質量または質量電荷比を有する、および(iii)ほとんどの代謝産物は、所定の開裂が構造に起きてより小さなフラグメントを生じても、親化合物の180mDa小数質量または質量電荷比ウィンドウ内に入る。
【0234】
図15Aおよび図15Bは、ケトチフェン、ベラパミルおよびインジナビル(Indinavir)の代謝産物を示し、開裂を含む。最大小数質量または質量電荷比不足度はインジナビル(図15B)の場合であり、ここで代謝産物は、親化合物の小数質量または質量電荷比とは異なる167.7mDaの小数質量または質量電荷比を有する。質量不足度の変位は各代謝産物および親薬物に対して非常に特異的である。
【0235】
本発明の種々の実施形態は、好ましい実施形態に係るようなハイブリッド四重極直交飛行時間機器上だけに限らず、整数質量機器(三連四重極、直線および3Dイオントラップなど)、および厳密な質量機器(MALDI/四重極飛行時間およびFTMSなど)を使用しても実現され得る。
【0236】
一実施形態によると、質量スペクトルデータに適用される小数質量ウィンドウは、親イオンまたは化合物と代謝産物との間の質量における差の関数として図12に示すように変化する。しかし、小数質量フィルタの幅が、検査される化合物または代謝産物の絶対または整数質量の関数として変化する他の実施形態が考えられる。図16は、モノアイソトピック質量が454.2831Daの親薬物(ベラパミル)を示す。注目化合物または代謝産物の絶対質量の関数として変化する小数質量ウィドウを適用することにより、代謝産物を検索する。小数質量ウィンドウは、注目化合物または代謝産物の絶対質量の関数としても変化する質量不足値を中心に適用される。
【0237】
図16に示す例では、絶対または整数質量が260〜305Daの範囲にある化合物または代謝産物は、小数質量または質量不足値0.2060を中心に適用される小数質量ウィンドウにかけられる。適用される小数質量ウィンドウの上限は+7mDaであり、下限は−25mDaである。すなわち、絶対または整数質量が260〜305Daの範囲にあるイオンに対して、小数質量が0.1810〜0.2130の範囲にあるイオンは、潜在的な対象イオン(例えば、代謝産物イオン)であると考えられ、この範囲から外れる小数質量を有するイオンは、好ましくは、有意性において減衰または低減される。
【0238】
絶対または整数質量が400〜480Daの範囲にある化合物または代謝産物は、小数質量または質量不足値0.2910を中心に適用される小数質量ウィンドウにかけられる。小数質量ウィンドウの上限は+7mDaであり、下限は−30mDaである。すなわち、絶対または整数質量が400〜490Daの範囲にあるイオンに対して、小数質量が0.2610〜0.2980の範囲にあるイオンは、潜在的な対象イオン(例えば、代謝産物イオン)であると考えられ、この範囲から外れる小数質量を有するイオンは、好ましくは、有意性において減衰または低減される。
【0239】
図16に示すように、ベラパミルの第1の代謝産物のモノアイソトピック質量は、290.1994Daである。絶対または整数質量が260〜305の範囲にあるイオンに対して、0.1810〜0.2130の範囲を有する小数質量ウィンドウが適用され、これにより、小数質量が0.1994Daである第1の代謝産物がその小数質量ウィンドウ内に入るので、親薬物の潜在的な代謝産物であるとして同定され得る。
【0240】
ベラパミルの第2の代謝産物のモノアイソトピック質量は、440.2675Daである。絶対または整数質量が400〜480の範囲にあるイオンに対して、0.2610〜0.2980の範囲の小数質量ウィンドウが適用され、これにより、小数質量が0.2675である第2の代謝産物がその小数質量ウィンドウ内に入るので、同様に親薬物の潜在的な代謝産物であるとして同定され得る。
【0241】
図17は、従来の方法で得たベラパミルの質量クロマトグラムまたは総イオン電流および小数質量ウィンドウを質量スペクトルデータに適用した本発明の一実施形態によって得たベラパミルの別の質量クロマトグラムまたは総イオン電流を示す。好ましい実施形態に係るアプローチを用いた場合、親薬物および代謝産物が明確に認められる。
【0242】
本発明を好ましい実施形態を参照して説明したが、添付の特許請求の範囲に記載されるような発明の範囲から逸脱せずに種々の変更が形態および詳細になされ得ることが当業者に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0243】
【図1】図1は、本発明の実施形態の模式図である。
【図2】図2は、試料充填および脱塩の際のバルブスイッチ構成の模式図であり、挿入図は、分析カラムからの試料の脱離を示す。
【図3】図3Aは、フラグメントまたは娘イオン質量スペクトルを示す。図3Bは、質量フィルタが、質量電荷比が350より大きい親または前駆イオンを移送することが可能となった場合の対応する親または前駆イオン質量スペクトルを示す。
【図4】図4Aは、種々の質量範囲の時間プロフィールを示す質量クロマトグラムを示す。図4Bは、種々の質量範囲の時間プロフィールを示す質量クロマトグラムを示す。図4Cは、種々の質量範囲の時間プロフィールを示す質量クロマトグラムを示す。図4Dは、種々の質量範囲の時間プロフィールを示す質量クロマトグラムを示す。図4Eは、種々の質量範囲の時間プロフィールを示す質量クロマトグラムを示す。
【図5】図5は、図4A〜図4Eを順に重ねた質量クロマトグラムを示す。
【図6】図6は、87.04(アスパラギンインモニウムイオン)の質量クロマトグラムを示す。
【図7】図7は、ADH(配列:ANELLINVK、MW:1012.59)からのフラグメントT5を示す。
【図8】図8は、β−カゼインのトリプシン消化の低エネルギースペクトルに対する質量スペクトルを示す。
【図9】図9は、β−カゼインのトリプシン消化の高エネルギースペクトルに対する質量スペクトルを示す。
【図10】図10は、図9と同じスペクトルを処理および拡大した図である。
【図11】図11はミダゾラムと呼ばれる親薬物の構造および厳密な質量と、ミダゾラムのヒドロキシル化代謝産物の構造および厳密な質量とを示す。
【図12】図12は、親イオンまたはその親イオンに関係するフラグメントイオンの潜在的な代謝産物を求めて質量スペクトルデータまたは質量スペクトルを検索する際にイオンの小数質量または質量電荷比値に適用される好ましい実施形態に係る小数質量または質量電荷比ウィンドウの上限および下限を示す。
【図13】図13は、ミダゾラムの親イオン質量スペクトルを示す。
【図14】図14は、ミダゾラムのヒドロキシル化代謝産物の親イオン質量スペクトルを示す。
【図15A】図15Aは、ケトチフェンおよびベラパミルの構造および厳密な質量、およびケトチフェンおよびベラパミルの代謝産物の構造および厳密な質量を示す。
【図15B】図5Bは、インジナビルの構造および厳密な質量、およびインジナビルの代謝産物の構造および厳密な質量を示す。
【図16】図16は、絶対質量の関数として変化する小数質量値を中心に変化する異なる幅の小数質量フィルタが、親薬物の潜在的な代謝産物を同定するのに一実施形態によるとどのように用いられるかを示す。
【図17】図17は、ベラパミルの試料に対する、従来の方法で得た総イオン電流または質量クロマトグラムと、親薬物および潜在的な代謝産物の観察を可能にするデータに対して小数質量ウィンドウを適用した本発明の好ましい実施形態により得た総イオン電流または質量クロマトグラムとを示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は、質量分析の方法および質量分析計に関する。
【背景技術】
【0002】
タンデム質量分析(MS/MS)は、質量分析の方法に与えられた名称であって、この方法では、試料から生成された親または前駆イオンが第1の質量フィルタ/分析器によって選択され、次いで衝突セルに渡される。次いで、イオンは、中性ガス分子と衝突することによってフラグメンテーションされ、娘(または「生成」)イオンを生成する。次いで、フラグメントまたは娘イオンは、第2の質量フィルタ/分析器によって質量分析され、その結果得られるフラグメントまたは娘イオンスペクトルは、その構造、ひいてはその親(または「前駆」)イオンのアイデンティティを決定するために使用され得る。タンデム質量分析は、質量スペクトル分析の前に化学的クリーニングをする必要がないので、生体分子などの複雑な混合物の分析に特に有用である。
【0003】
親または前駆イオンスキャンと呼ばれる特定の形態のタンデム質量分析が公知である。この特定の形態のタンデム質量分析では、第1のステップにおいて、第2の質量フィルタ/分析器は、質量フィルタとして作用し、特定の質量電荷比を有するフラグメントまたは娘イオンを移送および検出するだけであるように構成される。特定の質量電荷比は、特定の親もしくは前駆イオンまたは特定の種類の親もしくは前駆イオンをフラグメンテーションして得られる特徴的な生成物であることが既知のフラグメントまたは娘イオンの質量電荷比に対応するように設定される。次いで、第2の質量フィルタ/分析器を特定の質量電荷比を有するフラグメントまたは娘イオンの存在をモニターするように固定したままで、衝突セルの上流にある第1の質量フィルタ/分析器は、スキャンされる。次いで、特徴的なフラグメントまたは娘イオンを生成する親または前駆イオン質量電荷比が決定される。次いで、第2のステップとして、特徴的なフラグメントまたは娘イオンを生成する親または前駆イオン質量電荷比のそれぞれに対する完全なフラグメントまたは娘イオンスペクトルが、特定の質量電荷比を有する親または前駆イオンを選択するように第1の質量フィルタ/分析器を動作させ、次いで第2の質量フィルタ/分析器をスキャンして、その結果得られる全フラグメントまたは娘イオンスペクトルを記録することによって得られ得る。次いで、これは、他の対象となる親または前駆イオンに対して繰り返され得る。親イオンスキャンは、例えば生体分子のエレクトロスプレー質量スペクトルにおいて頻繁に見られる化学的ノイズが存在することによって直接質量スペクトルにおいて親または前駆イオンを同定することが可能でない場合に有用である。
【0004】
第1の四重極質量フィルタ/分析器、衝突ガスが導入される四重極衝突セル、および第2の四重極質量フィルタ/分析器を有する三連四重極質量分析計が周知である。
【0005】
他の種類の質量分析計(ハイブリッド四重極−飛行時間質量分析計)が公知である。この質量分析計では、第2の四重極質量フィルタ/分析器が直交加速飛行時間質量分析器によって置き換えられる。
【0006】
後で説明するように、これらの種類の質量分析計は、親または前駆イオンをスキャンし、その後に候補の親または前駆イオンのフラグメントまたは娘イオンスペクトルを得る従来の方法において使用する場合、デューティサイクルが低いので、オンラインクロマトグラフィ用途などのより高いデューティサイクルを必要とする用途の使用には不適切である。
【0007】
四重極は、質量フィルタとして使用している際には、デューティサイクルが約100%であるが、次いで、例えば底辺(base)が1質量単位のピークを有する500質量単位の質量範囲を質量分析するために、質量分析器としてスキャンモードで使用される場合、そのデューティサイクルは、約0.1%に低下する。
【0008】
直交加速飛行時間分析器は、通常、スペクトルにおける異なるイオンの相対的質量電荷値に応じて、1〜20%の範囲内にデューティサイクルを有する。しかし、デューティサイクルは、飛行時間分析器が特定の質量電荷比を有するイオンを移送するために質量フィルタとして使用されているかどうか、または飛行時間分析器が全質量スペクトルを記録するために使用されているかどうかにかかわらず、同じままである。これは、飛行時間分析器の動作の性質によるものである。フラグメントまたは娘イオンスペクトルを取得または記録するために使用される場合、飛行時間分析器のデューティサイクルは、通常約5%である。
【0009】
おおよそ、三連四重極質量分析計を使用して候補の親または前駆イオンを発見しようとする際の従来のデューティサイクルは、約0.1%である(第1の四重極質量フィルタ/分析器は、0.1%のデューティサイクルでスキャンされ、第2の四重極質量フィルタ/分析器は、デューティサイクルが100%の質量フィルタとして作用する)。次いで特定の候補の親または前駆イオンに対するフラグメントまたは娘イオンスペクトルを得る際のデューティサイクルも約0.1%である(第1の四重極質量フィルタ/分析器は、デューティサイクルが100%の質量フィルタとして作用し、第2の四重極質量フィルタ/分析器は、約0.1%のデューティサイクルでスキャンされる)。したがって、その結果得られる、いくつかの候補の親または前駆イオンを発見し、その候補の親または前駆イオンのうちの1つについての娘スペクトルを生成するデューティサイクルは、約0.1%/2(各段のデューティサイクルが0.1%である2段階処理のため)=0.05%である。
【0010】
候補の親または前駆イオンを発見するための四重極−飛行時間質量分析計のデューティサイクルは、約0.005%である(四重極は、約0.1%のデューティサイクルでスキャンされ、飛行時間分析器は、デューティサイクルが約5%の質量フィルタとして作用する)。一旦候補の親または前駆イオンが発見されると、候補の親または前駆イオンのフラグメントまたは娘イオンスペクトルが5%のデューティサイクルで得られ得る(四重極は、デューティサイクルが約100%の質量フィルタとして作用し、飛行時間分析器は、5%のデューティサイクルでスキャンされる)。したがって、その結果得られる、いくつかの候補の親または前駆イオンを発見し、その候補の親または前駆イオンのうちの1つについての娘スペクトルを生成するデューティサイクルは、約0.005%である(なぜなら、0.005%≪5%)。
【0011】
以上のように、三連四重極質量分析計は、親または前駆イオンスキャンおよび発見された候補の親または前駆イオンの確証的なフラグメントまたは娘イオンスペクトルを得る従来の方法を行うためのデューティサイクルが四重極−飛行時間質量分析計よりもだいたい一桁高い。しかし、そのようなデューティサイクルの高さは、イオン源がクロマトグラフィデバイスからの溶出物である場合に必要とされるリアルタイムデータを分析するために実用的かつ効率よく使用するには十分でない。
【0012】
エレクトロスプレーおよびレーザ脱離技術は、非常に高い分子量を有する分子イオンを生成することを可能にしてきた。飛行時間質量分析器は、全質量スペクトルを記録する際の効率が高いのでそのような大きな質量生体分子を分析するのに有利である。また、それらは、高い分解能および質量精度を有する。
【0013】
四重極イオントラップなどの他の形態の質量分析器は、いくつかの点で飛行時間分析器と類似する。すなわち、飛行時間分析器と同様に、そのような他の形態の質量分析器は、連続出力を提供できず、したがって、イオンを連続的に移送するための質量フィルタとして使用される場合には、効率が低い。これは、親または前駆イオンスキャンの従来の方法の重要な特徴である。飛行時間質量分析器および四重極イオントラップは、両方とも「不連続出力質量分析器」と称されることがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
改善された質量分析の方法および改善された質量分析計を提供することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の一態様によると、
質量分析の方法であって、
(a)親または前駆イオンを衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスに渡すステップと、
(b)衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスを第1の動作モードにおいて動作させるステップであって、第1の動作モードにおいては、親または前駆イオンのうちの少なくともいくつかが衝突、フラグメンテーションまたは反応されて、フラグメント、生成、娘または付加イオンを生成する、ステップと、
(c)第1の動作モードにおいて動作する衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスから現れるか、またはそこを通って移送されてきたイオンに関係する第1の質量スペクトルデータを記録するステップと、
(d)衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスを第2の動作モードにおいて動作するように切り換え、改変、または変更するステップであって、第2の動作モードにおいては、実質的により少ない親または前駆イオンが衝突、フラグメンテーションまたは反応される、ステップと、
(e)第2の動作モードにおいて動作する衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスから現れるか、またはそこを通って移送されてきたイオンに関係する第2の質量スペクトルデータを記録するステップと、
(f)ステップ(b)〜(e)を複数回繰り返すステップと、
(g)1つまたはそれ以上の親もしくは前駆物質またはイオンの正確なまたは厳密な質量または質量電荷比を決定するステップであって、1つまたはそれ以上の親もしくは前駆物質またはイオンの正確なまたは厳密な質量または質量電荷比は、第1の整数質量または質量電荷比成分M1および第1の小数質量または質量電荷比成分m1を含む、ステップと、
(h)第1の質量スペクトルデータにおいてまたはそれから1つまたはそれ以上のフラグメント、生成、娘もしくは付加物質またはイオンを検索または決定するステップであって、1つまたはそれ以上のフラグメント、生成、娘もしくは付加物質またはイオンは、第2の整数質量または質量電荷比成分M2および第2の小数質量または質量電荷比成分m2を含み、第2の小数質量または質量電荷比成分m2は、第1の小数質量または質量電荷比成分m1よりも0〜x1mDaまたはミリ−質量電荷比単位大きい、および/または第1の小数質量または質量電荷比成分m1よりも0〜x2mDaまたはミリ−質量電荷比単位小さい、ステップとを含む方法が提供される。
【0016】
一実施形態によると、1つまたはそれ以上の親もしくは前駆物質またはイオンは、製薬(pharmaceutical)化合物、薬物または活性成分を含むか、またはそれらに関係し得る。他の実施形態によると、1つまたはそれ以上の親もしくは前駆物質またはイオンは、製薬化合物、薬物または活性成分の1つまたはそれ以上の代謝産物または誘導体を含むか、またはそれらに関係し得る。
【0017】
1つまたはそれ以上の親もしくは前駆物質またはイオンは、生体高分子、タンパク質、ペプチド、ポリペプチド、オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオシド、アミノ酸、炭水化物、糖、脂質、脂肪酸、ビタミン、ホルモン、DNAの部分もしくはフラグメント、cDNAの部分もしくはフラグメント、RNAの部分もしくはフラグメント、mRNAの部分もしくはフラグメント、tRNAの部分もしくはフラグメント、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、リボヌクレアーゼ、酵素、代謝産物、多糖類、リン酸化ペプチド、リン酸化タンパク質、糖ペプチド、糖タンパク質、またはステロイドを含むか、あるいはそれらに関係し得る。
【0018】
1つまたはそれ以上のフラグメント、生成、娘もしくは付加物質またはイオンを検索または決定するステップは、好ましくは、1つまたはそれ以上のフラグメント、生成、娘もしくは付加物質またはイオンの小数質量または質量電荷比成分にのみ基づき、1つまたはそれ以上のフラグメント、生成、娘もしくは付加物質またはイオンの整数質量または質量電荷比成分には基づかずに検索または決定するステップを含む。
【0019】
1つまたはそれ以上のフラグメント、生成、娘もしくは付加物質またはイオンを検索または決定するステップは、好ましくは、第1の整数質量または質量電荷比成分M1と異なる第2の整数質量または質量電荷比成分M2を有する一部またはすべてのフラグメント、生成、娘もしくは付加物質またはイオンを検索または決定するステップを含む。
【0020】
1つまたはそれ以上のフラグメント、生成、娘もしくは付加物質またはイオンを検索または決定するステップは、好ましくは、小数質量または質量電荷比ウィンドウを第1の質量スペクトルデータまたは質量スペクトルに適用するステップをさらに含む。小数質量または質量電荷比ウィンドウは、好ましくは、小数質量または質量電荷比ウィンドウから外れる小数質量または質量電荷比成分を有するフラグメント、生成、娘もしくは付加物質またはイオンの有意性(significance)をフィルタで取り除くか、除去するか、減衰させるか、または少なくとも低減する。
【0021】
第1の整数質量または質量電荷比M1から第2の整数質量または質量電荷比M2を差し引いたものが、好ましくは、ΔMダルトンまたは質量電荷比単位の値を有する。
【0022】
一実施形態によると、x1および/またはx2は、ΔMの関数として実質的に一定のままとなるように構成され得る。
【0023】
他の実施形態によると、x1および/またはx2は、ΔMの関数として変化するように構成され得る。例えば、x1および/またはx2は、ΔMの関数として対称的、非対称的、直線的、非直線的、曲線的または段階的に変化するように構成され得る。一実施形態によると、x1および/またはx2は、(i)0、(ii)±0〜5、(iii)±5〜10、(iv)±10〜15、(v)±15〜20、(vi)±20〜25、(vii)±25〜30、(viii)±30〜35、(ix)±35〜40、(x)±40〜45、(xi)±45〜50、(xii)±50〜55、(xiii)±55〜60、(xiv)±60〜65、(xv)±65〜70、(xvi)±70〜75、(xvii)±75〜80、(xviii)±80〜85、(xix)±85〜90、(xx)±90〜95、(xxi)±95〜100、(xxii)>100、および(xxiii)<−100からなる群から選択されるΔMの値を中心にして対称にΔMの関数として変化するように構成され得る。
【0024】
一実施形態によると、x1および/またはx2は、y%*ΔMの率で増加するか、または減少するように構成され得、ここでyは、(i)<0.01、(ii)0.01〜0.02、(iii)0.02〜0.03、(iv)0.03〜0.04、(v)0.04〜0.05、(vi)0.05〜0.06、(viii)0.06〜0.07、(ix)0.07〜0.08、(x)0.08〜0.09、(xi)0.09〜0.10、(xii)0.10〜0.11、(xiii)0.11〜0.12、(xiv)0.12〜0.13、(xv)0.13〜0.14、(xvi)0.14〜0.15、(xvii)0.15〜0.16、(xviii)0.16〜0.17、(xix)0.17〜0.18、(xx)0.18〜0.19、(xxi)0.19〜0.20、および(xxii)>0.20からなる群から選択され得る。
【0025】
一実施形態によると、ΔM<Mlowerおよび/またはΔM>Mlowerおよび/またはΔM<Mupperおよび/またはΔM>Mupperならば、x1および/またはx2は、実質的に一定値を有するように構成される。
【0026】
一実施形態によると、ΔM<Mlowerおよび/またはΔM>Mlowerおよび/またはΔM<Mupperおよび/またはΔM>Mupperならば、x1および/またはx2は、ΔMの関数として変化するように構成される。好ましくは、ΔM<Mlowerおよび/またはΔM>Mlowerおよび/またはΔM<Mupperおよび/またはΔM>Mupperならば、x1および/またはx2は、ΔMの関数として対称的、非対称的、直線的、非直線的、曲線的または段階的に変化するように構成される。
【0027】
一実施形態によると、x1および/またはx2は、(i)0、(ii)±0〜5、(iii)±5〜10、(iv)±10〜15、(v)±15〜20、(vi)±20〜25、(vii)±25〜30、(viii)±30〜35、(ix)±35〜40、(x)±40〜45、(xi)±45〜50、(xii)±50〜55、(xiii)±55〜60、(xiv)±60〜65、(xv)±65〜70、(xvi)±70〜75、(xvii)±75〜80、(xviii)±80〜85、(xix)±85〜90、(xx)±90〜95、(xxi)±95〜100、(xxii)>100、および(xxiii)<−100からなる群から選択されるΔMの値を中心にして対称にΔMの関数として変化するように構成され得る。
【0028】
一実施形態によると、ΔM<Mlowerおよび/またはΔM>Mlowerおよび/またはΔM<Mupperおよび/またはΔM>Mupperならば、x1および/またはx2は、y%*ΔMの率で増加するか、または減少するように構成され、ここでyは、(i)<0.01、(ii)0.01〜0.02、(iii)0.02〜0.03、(iv)0.03〜0.04、(v)0.04〜0.05、(vi)0.05〜0.06、(viii)0.06〜0.07、(ix)0.07〜0.08、(x)0.08〜0.09、(xi)0.09〜0.10、(xii)0.10〜0.11、(xiii)0.11〜0.12、(xiv)0.12〜0.13、(xv)0.13〜0.14、(xvi)0.14〜0.15、(xvii)0.15〜0.16、(xviii)0.16〜0.17、(xix)0.17〜0.18、(xx)0.18〜0.19、(xxi)0.19〜0.20、および(xxii)>0.20からなる群から選択される。
【0029】
好ましくは、Mupperは、ダルトンまたは質量電荷比単位の値であり、(i)<1、(ii)1〜5、(iii)5〜10、(iv)10〜15、(v)15〜20、(vi)20〜25、(vii)25〜30、(viii)30〜35、(ix)35〜40、(x)40〜45、(xi)45〜50、(xii)50〜55、(xiii)55〜60、(xiv)60〜65、(xv)65〜70、(xvi)70〜75、(xvii)75〜80、(xviii)80〜85、(xix)85〜90、(xx)90〜95、(xxi)95〜100、および(xxii)>100からなる群から選択される範囲に入る。
【0030】
好ましくは、Mlowerは、ダルトンまたは質量電荷比単位の値であり、(i)<−100、(ii)−100〜−95、(iii)−95〜−90、(iv)−90〜−85、(v)−85〜−80、(vi)−80〜−75、(vii)−75〜−70、(viii)−70〜−65、(ix)−65〜−60、(x)−60〜−55、(xi)−55〜−50、(xii)−50〜−45、(xiii)−45〜−40、(xiv)−40〜−35、(xv)−35〜−30、(xvi)−30〜−25、(xvii)−25〜−20、(xviii)−20〜−15、(xix)−15〜−10、(xx)−10〜−5、(xxi)−5〜−1、および(xxii)>−1からなる群から選択される範囲に入る。
【0031】
好ましくは、x1および/またはx2は、M1および/またはM2の関数として実質的に一定のままとなるように構成される。
【0032】
一実施形態によると、x1および/またはx2は、M1および/またはM2の関数として変化するように構成され得る。好ましくは、x1および/またはx2は、M1および/またはM2の関数として対称的、非対称的、直線的、非直線的、曲線的または段階的に変化するように構成される。
【0033】
一実施形態によると、質量スペクトルデータに好ましく適用される小数質量ウィンドウは、上閾値x1と下閾値x2とを有する。これら上下閾値x1、x2は好ましくは、絶対質量の関数として好ましくは変化する中央小数質量値(central decimal mass value)を中心とする。M1に近い絶対質量M2を有するイオンに対しては、中央小数質量値は、m1に近いことが好ましい。比較的小さい(すなわち、0に近づき始める)絶対質量M2を有するイオンに対しては、中央小数質量値は0に近づくことが好ましい。
【0034】
一実施形態によると、x1および/またはx2は、(i)0〜50、(ii)50〜100、(iii)100〜150、(iv)150〜200、(v)200〜250、(vi)250〜300、(vii)300〜350、(viii)350〜400、(ix)400〜450、(x)450〜500、(xi)500〜550、(xii)550〜600、(xiii)600〜650、(xiv)650〜700、(xv)700〜750、(xvi)750〜800、(xvii)800〜850、(xviii)850〜900、(xix)900〜950、(xx)950〜1000、および(xxi)>1000からなる群から選択されるM1および/またはM2の値を中心にして対称にM1および/またはM2の関数として変化するように構成され得る。
【0035】
一実施形態によると、x1および/またはx2は、y%*M1および/またはy%*M2の率で増加するか、または減少するように構成され得、ここでyは、(i)<0.01、(ii)0.01〜0.02、(iii)0.02〜0.03、(iv)0.03〜0.04、(v)0.04〜0.05、(vi)0.05〜0.06、(viii)0.06〜0.07、(ix)0.07〜0.08、(x)0.08〜0.09、(xi)0.09〜0.10、(xii)0.10〜0.11、(xiii)0.11〜0.12、(xiv)0.12〜0.13、(xv)0.13〜0.14、(xvi)0.14〜0.15、(xvii)0.15〜0.16、(xviii)0.16〜0.17、(xix)0.17〜0.18、(xx)0.18〜0.19、(xxi)0.19〜0.20、および(xxii)>0.20からなる群から選択され得る。
【0036】
一実施形態によると、M1<Mlowerおよび/またはM1>Mlowerおよび/またはM1<Mupperおよび/またはM1>Mupperおよび/またはM2<Mlowerおよび/またはM2>Mlowerおよび/またはM2<Mupperおよび/またはM2>Mupperならば、x1および/またはx2は、実質的に一定値を有するように構成される。
【0037】
一実施形態によると、M1<Mlowerおよび/またはM1>Mlowerおよび/またはM1<Mupperおよび/またはM1>Mupperおよび/またはM2<Mlowerおよび/またはM2>Mlowerおよび/またはM2<Mupperおよび/またはM2>Mupperならば、x1および/またはx2は、M1および/またはM2の関数として変化するように構成される。好ましくは、M1<Mlowerおよび/またはM1>Mlowerおよび/またはM1<Mupperおよび/またはM1>Mupperおよび/またはM2<Mlowerおよび/またはM2>Mlowerおよび/またはM2<Mupperおよび/またはM2>Mupperならば、x1および/またはx2は、M1および/またはM2の関数として対称的、非対称的、直線的、非直線的、曲線的または段階的に変化するように構成される。
【0038】
一実施形態によると、x1および/またはx2は、(i)0〜50、(ii)50〜100、(iii)100〜150、(iv)150〜200、(v)200〜250、(vi)250〜300、(vii)300〜350、(viii)350〜400、(ix)400〜450、(x)450〜500、(xi)500〜550、(xii)550〜600、(xiii)600〜650、(xiv)650〜700、(xv)700〜750、(xvi)750〜800、(xvii)800〜850、(xviii)850〜900、(xix)900〜950、(xx)950〜1000、および(xxi)>1000からなる群から選択されるM1および/またはM2の値を中心にして対称にM1および/またはM2の関数として変化するように構成され得る。
【0039】
好ましくは、M1<Mlowerおよび/またはM1>Mlowerおよび/またはM1<Mupperおよび/またはM1>Mupperおよび/またはM2<Mlowerおよび/またはM2>Mlowerおよび/またはM2<Mupperおよび/またはM2>Mupperならば、x1および/またはx2は、y%*M1またはy%*M2の率で増加するか、または減少するように構成され、ここでyは、(i)<0.01、(ii)0.01〜0.02、(iii)0.02〜0.03、(iv)0.03〜0.04、(v)0.04〜0.05、(vi)0.05〜0.06、(viii)0.06〜0.07、(ix)0.07〜0.08、(x)0.08〜0.09、(xi)0.09〜0.10、(xii)0.10〜0.11、(xiii)0.11〜0.12、(xiv)0.12〜0.13、(xv)0.13〜0.14、(xvi)0.14〜0.15、(xvii)0.15〜0.16、(xviii)0.16〜0.17、(xix)0.17〜0.18、(xx)0.18〜0.19、(xxi)0.19〜0.20、および(xxii)>0.20からなる群から選択される。
【0040】
好ましくは、Mupperは、ダルトンまたは質量電荷比単位の値であり、(i)0〜50、(ii)50〜100、(iii)100〜150、(iv)150〜200、(v)200〜250、(vi)250〜300、(vii)300〜350、(viii)350〜400、(ix)400〜450、(x)450〜500、(xi)500〜550、(xii)550〜600、(xiii)600〜650、(xiv)650〜700、(xv)700〜750、(xvi)750〜800、(xvii)800〜850、(xviii)850〜900、(xix)900〜950、(xx)950〜1000、および(xxi)>1000からなる群から選択される範囲に入る。
【0041】
好ましくは、Mlowerは、ダルトンまたは質量電荷比単位の値であり、(i)0〜50、(ii)50〜100、(iii)100〜150、(iv)150〜200、(v)200〜250、(vi)250〜300、(vii)300〜350、(viii)350〜400、(ix)400〜450、(x)450〜500、(xi)500〜550、(xii)550〜600、(xiii)600〜650、(xiv)650〜700、(xv)700〜750、(xvi)750〜800、(xvii)800〜850、(xviii)850〜900、(xix)900〜950、(xx)950〜1000、および(xxi)>1000からなる群から選択される範囲に入る。
【0042】
一実施形態によると、上記方法は、
(i)第1の小数質量または質量電荷比成分m1よりも0〜x1mDaまたはミリ−質量電荷比単位大きい、および/または第1の小数質量または質量電荷比成分m1よりも0〜x2mDaまたはミリ−質量電荷比単位小さい小数質量または質量電荷比成分を有する1つまたはそれ以上の第2の物質またはイオン、
および/または
(ii)衝突、フラグメンテーションまたは反応した場合、第1の小数質量または質量電荷比成分m1よりも0〜x1mDaまたはミリ−質量電荷比単位大きい、および/または第1の小数質量または質量電荷比成分m1よりも0〜x2mDaまたはミリ−質量電荷比単位小さい小数質量または質量電荷比成分を有する1つまたはそれ以上のフラグメント、生成、娘もしくは付加物質またはイオンを生成する1つまたはそれ以上の第2の物質またはイオン
のいずれかをさらなる分析のために選択するステップをさらに含む。
【0043】
さらなる分析のために選択するステップは、好ましくは、1つまたはそれ以上の第2の物質またはイオンをフラグメンテーションするステップを含む。
【0044】
さらなる分析のために選択するステップは、好ましくは、第1の小数質量または質量電荷比成分m1よりも0〜x1mDaまたはミリ−質量電荷比単位大きい、および/または第1の小数質量または質量電荷比成分m1よりも0〜x2mDaまたはミリ−質量電荷比単位小さい小数質量または質量電荷比成分を有する1つまたはそれ以上の第2の物質またはイオンを、衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスへ前方向に移送するステップを含む。
【0045】
本発明の別の態様によると、
質量分析の方法であって、
(a)親または前駆イオンを衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスに渡すステップと、
(b)衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスを第1の動作モードにおいて動作させるステップであって、親または前駆イオンの少なくともいくつかが衝突、フラグメンテーションまたは反応されて、フラグメント、生成、娘または付加イオンを生成する、ステップと、
(c)第1の動作モードにおいて動作する衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスから現れるか、またはそこを通って移送されてきたイオンに関係する第1の質量スペクトルデータを記録するステップと、
(d)衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスを第2の動作モードにおいて動作するように切り換え、改変、または変更するステップであって、実質的により少ない親または前駆イオンが衝突、フラグメンテーションまたは反応される、ステップと、
(e)第2の動作モードにおいて動作する衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスから現れるか、またはそこを通って移送されてきたイオンに関係する第2の質量スペクトルデータを記録するステップと、
(f)ステップ(b)〜(e)を複数回繰り返すステップと、
(g)1つまたはそれ以上の第1の親もしくは前駆物質またはイオンの正確なまたは厳密な質量または質量電荷比を決定するステップであって、1つまたはそれ以上の第1の親もしくは前駆物質またはイオンの正確なまたは厳密な質量または質量電荷比は、第1の整数質量または質量電荷比成分M1および第1の小数質量または質量電荷比成分m1を含む、ステップと、
(h)第1の質量スペクトルデータにおいてまたはそれから1つまたはそれ以上の第2の親もしくは前駆物質またはイオンを検索または決定するステップであって、1つまたはそれ以上の第2の親もしくは前駆物質またはイオンは、第2の整数質量または質量電荷比成分M2および第2の小数質量または質量電荷比成分m2を含み、第2の小数質量または質量電荷比成分m2は、第1の小数質量または質量電荷比成分m1よりも0〜x1mDaまたはミリ−質量電荷比単位大きい、および/または第1の小数質量または質量電荷比成分m1よりも0〜x2mDaまたはミリ−質量電荷比単位小さい、ステップとを含む方法が提供される。
【0046】
一実施形態によると、第1および/または第2の親もしくは前駆物質またはイオンは、好ましくは、製薬化合物、薬物または活性成分を含むか、あるいはそれらに関係する。
【0047】
一実施形態によると、第1および/または第2の親もしくは前駆物質またはイオンは、好ましくは、製薬化合物、薬物または活性成分の1つまたはそれ以上の代謝産物または誘導体を含むか、あるいはそれらに関係する。
【0048】
第1および/または第2の親もしくは前駆物質またはイオンは、好ましくは、生体高分子、タンパク質、ペプチド、ポリペプチド、オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオシド、アミノ酸、炭水化物、糖、脂質、脂肪酸、ビタミン、ホルモン、DNAの部分もしくはフラグメント、cDNAの部分もしくはフラグメント、RNAの部分もしくはフラグメント、mRNAの部分もしくはフラグメント、tRNAの部分もしくはフラグメント、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、リボヌクレアーゼ、酵素、代謝産物、多糖類、リン酸化ペプチド、リン酸化タンパク質、糖ペプチド、糖タンパク質、またはステロイドを含むか、あるいはそれらに関係する。
【0049】
1つまたはそれ以上の第2の親もしくは前駆物質またはイオンを検索または決定するステップは、好ましくは、第2の小数質量または質量電荷比成分m2にのみ基づき、第2の整数質量または質量電荷比成分M2には基づかずに検索するステップを含む。
【0050】
1つまたはそれ以上の第2の親もしくは前駆物質またはイオンを検索または決定するステップは、好ましくは、第1の整数質量または質量電荷比成分M1とは異なる第2の整数質量または質量電荷比成分M2を有する一部またはすべての第2の親もしくは前駆物質またはイオンを検索または決定するステップを含む。
【0051】
1つまたはそれ以上の第2の親もしくは前駆物質またはイオンを検索または決定するステップは、好ましくは、小数質量または質量電荷比ウィンドウを第1の質量スペクトルデータおよび/または第2の質量スペクトルデータおよび/または質量スペクトルに対して適用するステップをさらに含む。小数質量または質量電荷比ウィンドウは、好ましくは、小数質量または質量電荷比ウィンドウから外れる第2の小数質量または質量電荷比成分m2を有する第2の親もしくは前駆物質またはイオンの有意性をフィルタで取り除くか、除去するか、減衰させるか、または少なくとも低減する。
【0052】
第1の整数質量または質量電荷比M1から第2の整数質量または質量電荷比M2を差し引いたものが、好ましくは、ΔMダルトンまたは質量電荷比単位の値を有する。
【0053】
一実施形態によると、x1および/またはx2は、ΔMの関数として実質的に一定のままとなるように構成される。
【0054】
他の実施形態によると、x1および/またはx2は、ΔMの関数として変化するように構成される。好ましくは、x1および/またはx2は、ΔMの関数として対称的、非対称的、直線的、非直線的、曲線的または段階的に変化するように構成される。好ましくは、x1および/またはx2は、(i)0、(ii)±0〜5、(iii)±5〜10、(iv)±10〜15、(v)±15〜20、(vi)±20〜25、(vii)±25〜30、(viii)±30〜35、(ix)±35〜40、(x)±40〜45、(xi)±45〜50、(xii)±50〜55、(xiii)±55〜60、(xiv)±60〜65、(xv)±65〜70、(xvi)±70〜75、(xvii)±75〜80、(xviii)±80〜85、(xix)±85〜90、(xx)±90〜95、(xxi)±95〜100、(xxii)>100、および(xxiii)<−100からなる群から選択されるΔMの値を中心にして対称にΔMの関数として変化するように構成される。
【0055】
一実施形態によると、x1および/またはx2は、y%*ΔMの率で増加するか、または減少するように構成され、ここでyは、(i)<0.01、(ii)0.01〜0.02、(iii)0.02〜0.03、(iv)0.03〜0.04、(v)0.04〜0.05、(vi)0.05〜0.06、(viii)0.06〜0.07、(ix)0.07〜0.08、(x)0.08〜0.09、(xi)0.09〜0.10、(xii)0.10〜0.11、(xiii)0.11〜0.12、(xiv)0.12〜0.13、(xv)0.13〜0.14、(xvi)0.14〜0.15、(xvii)0.15〜0.16、(xviii)0.16〜0.17、(xix)0.17〜0.18、(xx)0.18〜0.19、(xxi)0.19〜0.20、および(xxii)>0.20からなる群より選択される。
【0056】
一実施形態によると、ΔM<Mlowerおよび/またはΔM>Mlowerおよび/またはΔM<Mupperおよび/またはΔM>Mupperならば、x1および/またはx2は、実質的に一定値を有するように構成される。
【0057】
一実施形態によると、ΔM<Mlowerおよび/またはΔM>Mlowerおよび/またはΔM<Mupperおよび/またはΔM>Mupperならば、x1および/またはx2は、ΔMの関数として変化するように構成される。好ましくは、ΔM<Mlowerおよび/またはΔM>Mlowerおよび/またはΔM<Mupperおよび/またはΔM>Mupperならば、x1および/またはx2は、ΔMの関数として対称的、非対称的、直線的、非直線的、曲線的または段階的に変化するように構成される。
【0058】
一実施形態によると、x1および/またはx2は、(i)0、(ii)±0〜5、(iii)±5〜10、(iv)±10〜15、(v)±15〜20、(vi)±20〜25、(vii)±25〜30、(viii)±30〜35、(ix)±35〜40、(x)±40〜45、(xi)±45〜50、(xii)±50〜55、(xiii)±55〜60、(xiv)±60〜65、(xv)±65〜70、(xvi)±70〜75、(xvii)±75〜80、(xviii)±80〜85、(xix)±85〜90、(xx)±90〜95、(xxi)±95〜100、(xxii)>100、および(xxiii)<−100からなる群から選択されるΔMの値を中心にして対称にΔMの関数として変化するように構成される。
【0059】
好ましくは、ΔM<Mlowerおよび/またはΔM>Mlowerおよび/またはΔM<Mupperおよび/またはΔM>Mupperならば、x1および/またはx2は、y%*ΔMの率で増加するか、または減少するように構成され、ここでyは、(i)<0.01、(ii)0.01〜0.02、(iii)0.02〜0.03、(iv)0.03〜0.04、(v)0.04〜0.05、(vi)0.05〜0.06、(viii)0.06〜0.07、(ix)0.07〜0.08、(x)0.08〜0.09、(xi)0.09〜0.10、(xii)0.10〜0.11、(xiii)0.11〜0.12、(xiv)0.12〜0.13、(xv)0.13〜0.14、(xvi)0.14〜0.15、(xvii)0.15〜0.16、(xviii)0.16〜0.17、(xix)0.17〜0.18、(xx)0.18〜0.19、(xxi)0.19〜0.20、および(xxii)>0.20からなる群から選択される。
【0060】
好ましくは、Mupperは、ダルトンまたは質量電荷比単位の値であり、(i)<1、(ii)1〜5、(iii)5〜10、(iv)10〜15、(v)15〜20、(vi)20〜25、(vii)25〜30、(viii)30〜35、(ix)35〜40、(x)40〜45、(xi)45〜50、(xii)50〜55、(xiii)55〜60、(xiv)60〜65、(xv)65〜70、(xvi)70〜75、(xvii)75〜80、(xviii)80〜85、(xix)85〜90、(xx)90〜95、(xxi)95〜100、および(xxii)>100からなる群から選択される範囲に入る。
【0061】
好ましくは、Mlowerは、ダルトンまたは質量電荷比単位の値であり、(i)<−100、(ii)−100〜−95、(iii)−95〜−90、(iv)−90〜−85、(v)−85〜−80、(vi)−80〜−75、(vii)−75〜−70、(viii)−70〜−65、(ix)−65〜−60、(x)−60〜−55、(xi)−55〜−50、(xii)−50〜−45、(xiii)−45〜−40、(xiv)−40〜−35、(xv)−35〜−30、(xvi)−30〜−25、(xvii)−25〜−20、(xviii)−20〜−15、(xix)−15〜−10、(xx)−10〜−5、(xxi)−5〜−1、および(xxii)>−1からなる群から選択される範囲に入る。
【0062】
一実施形態によると、x1および/またはx2は、M1および/またはM2の関数として実質的に一定のままとなるように構成される。
【0063】
一実施形態によると、x1および/またはx2は、M1および/またはM2の関数として変化するように構成される。好ましくは、x1および/またはx2は、M1および/またはM2の関数として対称的、非対称的、直線的、非直線的、曲線的または段階的に変化するように構成される。
【0064】
一実施形態によると、質量スペクトルデータに好ましく適用される小数質量ウィンドウは、上閾値x1と下閾値x2とを有する。これら上下閾値x1、x2は好ましくは、絶対質量の関数として好ましくは変化する中央小数質量値を中心とする。M1に近い絶対質量M2を有するイオンに対しては、中央小数質量値は、m1に近いことが好ましい。比較的小さい(すなわち、0に近づき始める)絶対質量M2を有するイオンに対しては、中央小数質量値は0に近づくことが好ましい。
【0065】
好ましくは、x1および/またはx2は、(i)0〜50、(ii)50〜100、(iii)100〜150、(iv)150〜200、(v)200〜250、(vi)250〜300、(vii)300〜350、(viii)350〜400、(ix)400〜450、(x)450〜500、(xi)500〜550、(xii)550〜600、(xiii)600〜650、(xiv)650〜700、(xv)700〜750、(xvi)750〜800、(xvii)800〜850、(xviii)850〜900、(xix)900〜950、(xx)950〜1000、および(xxi)>1000からなる群から選択されるM1および/またはM2の値を中心にして対称にM1および/またはM2の関数として変化するように構成される。
【0066】
一実施形態によると、x1および/またはx2は、y%*M1および/またはy%*M2の率で増加するか、または減少するように構成され得、ここでyは、(i)<0.01、(ii)0.01〜0.02、(iii)0.02〜0.03、(iv)0.03〜0.04、(v)0.04〜0.05、(vi)0.05〜0.06、(viii)0.06〜0.07、(ix)0.07〜0.08、(x)0.08〜0.09、(xi)0.09〜0.10、(xii)0.10〜0.11、(xiii)0.11〜0.12、(xiv)0.12〜0.13、(xv)0.13〜0.14、(xvi)0.14〜0.15、(xvii)0.15〜0.16、(xviii)0.16〜0.17、(xix)0.17〜0.18、(xx)0.18〜0.19、(xxi)0.19〜0.20、および(xxii)>0.20からなる群から選択され得る。
【0067】
一実施形態によると、M1<Mlowerおよび/またはM1>Mlowerおよび/またはM1<Mupperおよび/またはM1>Mupperおよび/またはM2<Mlowerおよび/またはM2>Mlowerおよび/またはM2<Mupperおよび/またはM2>Mupperならば、x1および/またはx2は、実質的に一定値を有するように構成される。
【0068】
一実施形態によると、M1<Mlowerおよび/またはM1>Mlowerおよび/またはM1<Mupperおよび/またはM1>Mupperおよび/またはM2<Mlowerおよび/またはM2>Mlowerおよび/またはM2<Mupperおよび/またはM2>Mupperならば、x1および/またはx2は、M1および/またはM2の関数として変化するように構成される。好ましくは、M1<Mlowerおよび/またはM1>Mlowerおよび/またはM1<Mupperおよび/またはM1>Mupperおよび/またはM2<Mlowerおよび/またはM2>Mlowerおよび/またはM2<Mupperおよび/またはM2>Mupperならば、x1および/またはx2は、M1および/またはM2の関数として対称的、非対称的、直線的、非直線的、曲線的または段階的に変化するように構成される。
【0069】
一実施形態によると、x1および/またはx2は、(i)0〜50、(ii)50〜100、(iii)100〜150、(iv)150〜200、(v)200〜250、(vi)250〜300、(vii)300〜350、(viii)350〜400、(ix)400〜450、(x)450〜500、(xi)500〜550、(xii)550〜600、(xiii)600〜650、(xiv)650〜700、(xv)700〜750、(xvi)750〜800、(xvii)800〜850、(xviii)850〜900、(xix)900〜950、(xx)950〜1000、および(xxi)>1000からなる群から選択されるM1および/またはM2の値を中心にして対称にM1および/またはM2の関数として変化するように構成される。
【0070】
好ましくは、M1<Mlowerおよび/またはM1>Mlowerおよび/またはM1<Mupperおよび/またはM1>Mupperおよび/またはM2<Mlowerおよび/またはM2>Mlowerおよび/またはM2<Mupperおよび/またはM2>Mupperならば、x1および/またはx2は、y%*M1またはy%*M2の率で増加するか、または減少するように構成され得、ここでyは、(i)<0.01、(ii)0.01〜0.02、(iii)0.02〜0.03、(iv)0.03〜0.04、(v)0.04〜0.05、(vi)0.05〜0.06、(viii)0.06〜0.07、(ix)0.07〜0.08、(x)0.08〜0.09、(xi)0.09〜0.10、(xii)0.10〜0.11、(xiii)0.11〜0.12、(xiv)0.12〜0.13、(xv)0.13〜0.14、(xvi)0.14〜0.15、(xvii)0.15〜0.16、(xviii)0.16〜0.17、(xix)0.17〜0.18、(xx)0.18〜0.19、(xxi)0.19〜0.20、および(xxii)>0.20からなる群から選択され得る。
【0071】
好ましくは、Mupperは、ダルトンまたは質量電荷比単位の値であり、(i)0〜50、(ii)50〜100、(iii)100〜150、(iv)150〜200、(v)200〜250、(vi)250〜300、(vii)300〜350、(viii)350〜400、(ix)400〜450、(x)450〜500、(xi)500〜550、(xii)550〜600、(xiii)600〜650、(xiv)650〜700、(xv)700〜750、(xvi)750〜800、(xvii)800〜850、(xviii)850〜900、(xix)900〜950、(xx)950〜1000、および(xxi)>1000からなる群から選択される範囲に入る。
【0072】
好ましくは、Mlowerは、ダルトンまたは質量電荷比単位の値であり、(i)0〜50、(ii)50〜100、(iii)100〜150、(iv)150〜200、(v)200〜250、(vi)250〜300、(vii)300〜350、(viii)350〜400、(ix)400〜450、(x)450〜500、(xi)500〜550、(xii)550〜600、(xiii)600〜650、(xiv)650〜700、(xv)700〜750、(xvi)750〜800、(xvii)800〜850、(xviii)850〜900、(xix)900〜950、(xx)950〜1000、および(xxi)>1000からなる群から選択される範囲に入る。
【0073】
上記方法は、好ましくは、第1の小数質量または質量電荷比成分m1よりも0〜x1mDaまたはミリ−質量電荷比単位大きい、および/または第1の小数質量または質量電荷比成分m1よりも0〜x2mDaまたはミリ−質量電荷比単位小さい小数質量または質量電荷比成分m2を有する1つまたはそれ以上の第2の親もしくは前駆物質またはイオンをさらなる分析のために選択するステップをさらに含む。
【0074】
さらなる分析のために選択するステップは、好ましくは、1つまたはそれ以上の第2の親もしくは前駆物質またはイオンをフラグメンテーションするステップを含む。
【0075】
さらなる分析のために選択するステップは、好ましくは、第1の小数質量または質量電荷比成分m1よりも0〜x1mDaまたはミリ−質量電荷比単位大きい、および/または第1の小数質量または質量電荷比成分m1よりも0〜x2mDaまたはミリ−質量電荷比単位小さい第2の小数質量または質量電荷比成分m2を有する1つまたはそれ以上の第2の親もしくは前駆物質またはイオンを、衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスへ前方向に移送するステップを含む。
【0076】
好ましくは、x1は、(i)<1、(ii)1〜5、(iii)5〜10、(iv)10〜15、(v)15〜20、(vi)20〜25、(vii)25〜30、(viii)30〜35、(ix)35〜40、(x)40〜45、(xi)45〜50、(xii)50〜55、(xiii)55〜60、(xiv)60〜65、(xv)65〜70、(xvi)70〜75、(xvii)75〜80、(xviii)80〜85、(xix)85〜90、(xx)90〜95、(xxi)95〜100、および(xxii)>100からなる群から選択される範囲に入る。
【0077】
好ましくは、x2は、(i)<1、(ii)1〜5、(iii)5〜10、(iv)10〜15、(v)15〜20、(vi)20〜25、(vii)25〜30、(viii)30〜35、(ix)35〜40、(x)40〜45、(xi)45〜50、(xii)50〜55、(xiii)55〜60、(xiv)60〜65、(xv)65〜70、(xvi)70〜75、(xvii)75〜80、(xviii)80〜85、(xix)85〜90、(xx)90〜95、(xxi)95〜100、および(xxii)>100からなる群から選択される範囲に入る。
【0078】
上記方法は、好ましくは、異なるアイデンティティ(identities)を有するか、または異なる種(species)を含む、少なくとも、2、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1500、2000、2500、3000、3500、4000、4500、または5000個の成分、分子または検体を含む試料を分析するステップをさらに含む。
【0079】
衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスは、好ましくは、衝突誘起解離デバイスを含む。
【0080】
他の実施形態によると、衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスは、(i)表面誘起解離(「SID」)フラグメンテーションデバイス、(ii)電子移動解離フラグメンテーションデバイス、(iii)電子捕獲解離フラグメンテーションデバイス、(iv)電子衝突または衝撃解離フラグメンテーションデバイス、(v)光誘起解離(「PID」)フラグメンテーションデバイス、(vi)レーザ誘起解離フラグメンテーションデバイス、(vii)赤外放射誘起解離デバイス、(viii)紫外放射誘起解離デバイス、(ix)ノズル−スキマ間インターフェースフラグメンテーションデバイス、(x)インソースフラグメンテーションデバイス、(xi)イオン源衝突誘起解離フラグメンテーションデバイス、(xii)熱または温度源フラグメンテーションデバイス、(xiii)電界誘起フラグメンテーションデバイス、(xiv)磁場誘起フラグメンテーションデバイス、(xv)酵素消化または酵素分解フラグメンテーションデバイス、(xvi)イオン−イオン反応フラグメンテーションデバイス、(xvii)イオン−分子反応フラグメンテーションデバイス、(xviii)イオン−原子反応フラグメンテーションデバイス、(xix)イオン−メタステーブルイオン反応フラグメンテーションデバイス、(xx)イオン−メタステーブル分子反応フラグメンテーションデバイス、(xxi)イオン−メタステーブル原子反応フラグメンテーションデバイス、(xxii)イオンを反応させて付加または生成イオンを形成するためのイオン−イオン反応デバイス、(xxiii)イオンを反応させて付加または生成イオンを形成するためのイオン−分子反応デバイス、(xxiv)イオンを反応させて付加または生成イオンを形成するためのイオン−原子反応デバイス、(xxv)イオンを反応させて付加または生成イオンを形成するためのイオン−メタステーブルイオン反応デバイス、(xxvi)イオンを反応させて付加または生成イオンを形成するためのイオン−メタステーブル分子反応デバイス、および(xxvii)イオンを反応させて付加または生成イオンを形成するためのイオン−メタステーブル原子反応デバイスからなる群から選択され得る。
【0081】
上記方法は、好ましくは、1つまたはそれ以上の第2の物質またはイオンまたは1つまたはそれ以上の第2の親もしくは前駆物質またはイオンのフラグメンテーションによって得られるフラグメント生成物またはイオンを質量分析するステップをさらに含む。
【0082】
上記方法は、好ましくは、分析されるべき試料中の成分、検体または分子を分離プロセスによって分離するステップをさらに含む。分離プロセスは液体クロマトグラフィを含み得る。分離プロセスは、(i)高速液体クロマトグラフィ(「HPLC」)、(ii)陰イオン変換、(iii)陰イオン変換クロマトグラフィ、(iv)陽イオン変換、(v)陽イオン変換クロマトグラフィ、(vi)イオン対逆相クロマトグラフィ、(vii)クロマトグラフィ、(viii)1次元電気泳動、(ix)多次元電気泳動、(x)サイズ排除、(xi)親和性、(xii)逆相クロマトグラフィ、(xiii)キャピラリ電気泳動クロマトグラフィ(「CEC」)、(xiv)電気泳動、(xv)イオン移動度分離、(xvi)フィールド非対称なイオン移動度分離またはスペクトロメトリ(「FAIMS」)、(xvii)キャピラリ電気泳動、(xviii)ガスクロマトグラフィ、および(xix)超臨界流体クロマトグラフィを含み得る。
【0083】
上記方法は、好ましくは、分析されるべき試料中の成分、検体または分子をイオン化するステップをさらに含む。上記方法は、好ましくは、成分、検体または分子を連続またはパルス化イオン源を用いてイオン化するステップをさらに含む。成分、検体または分子をイオン化するステップは、好ましくは、(i)エレクトロスプレーイオン化(「ESI」)イオン源、(ii)大気圧光イオン化(「APPI」)イオン源、(iii)大気圧化学イオン化(「APCI」)イオン源、(iv)マトリックス支援レーザ脱離イオン化(「MALDI」)イオン源、(v)レーザ脱離イオン化(「LDI」)イオン源、(vi)大気圧イオン化(「API」)イオン源、(vii)シリコンを用いた脱離イオン化(「DIOS」)イオン源、(viii)電子衝突(「EI」)イオン源、(ix)化学イオン化(「CI」)イオン源、(x)電界イオン化(「FI」)イオン源、(xi)電界脱離(「FD」)イオン源、(xii)誘導結合プラズマ(「ICP」)イオン源、(xiii)高速原子衝撃(「FAB」)イオン源、(xiv)液体二次イオン質量分析(「LSIMS」)イオン源、(xv)脱離エレクトロスプレーイオン化(「DESI」)イオン源、(xvi)ニッケル−63放射性イオン源、および(xvii)サーモスプレーイオン源からなる群から選択されるイオン源を用いて成分、検体または分子をイオン化するステップを含む。
【0084】
上記方法は、好ましくは、1つまたはそれ以上の第1の親もしくは前駆物質またはイオンおよび/または1つまたはそれ以上の第2の親もしくは前駆物質またはイオンおよび/または1つまたはそれ以上の第2の物質またはイオンおよび/またはフラグメント生成物またはイオンを質量分析器を用いて質量分析するステップをさらに含む。質量分析するステップは、好ましくは、(i)フーリエ変換(「FT」)質量分析器、(ii)フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴(「FTICR」)質量分析器、(iii)飛行時間(「TOF」)質量分析器、(iv)直交加速飛行時間(「oaTOF」)質量分析器、(v)軸方向加速飛行時間質量分析器、(vi)扇形磁場質量分析計、(vii)ポールまたは3D四重極質量分析器、(viii)2Dまたは直線四重極質量分析器、(ix)ペニングトラップ質量分析器、(x)イオントラップ質量分析器、(xi)フーリエ変換オービトラップ、(xii)静電イオンサイクロトロン共鳴質量分析計、(xiii)静電フーリエ変換質量分析計、および(xiv)四重極質量分析器からなる群から選択される質量分析器を用いて質量分析するステップを含む。
【0085】
1つまたはそれ以上の親もしくは前駆物質またはイオンおよび/または1つまたはそれ以上のフラグメント、生成、娘または付加イオンおよび/または1つまたはそれ以上の第1の親もしくは前駆物質またはイオンおよび/または1つまたはそれ以上の第2の親もしくは前駆物質またはイオンの厳密なまたは正確な質量または質量電荷比は、好ましくは、20ppm、19ppm、18ppm、17ppm、16ppm、15ppm、14ppm、13ppm、12ppm、11ppm、10ppm、9ppm、8ppm、7ppm、6ppm、5ppm、4ppm、3ppm、2ppm、1ppm以内または<1ppmに決定される。
【0086】
一実施形態によると、1つまたはそれ以上の親もしくは前駆物質またはイオンおよび/または1つまたはそれ以上のフラグメント、生成、娘または付加イオンおよび/または1つまたはそれ以上の第1の親もしくは前駆物質またはイオンおよび/または1つまたはそれ以上の第2の親もしくは前駆物質またはイオンの厳密なまたは正確な質量または質量電荷比は、0.40質量単位、0.35質量単位、0.30質量単位、0.25質量単位、0.20質量単位、0.15質量単位、0.10質量単位、0.05質量単位、0.01質量単位、0.009質量単位、0.008質量単位、0.007質量単位、0.006質量単位、0.005質量単位、0.004質量単位、0.003質量単位、0.002質量単位、0.001質量単位以内または<0.001質量単位に決定され得る。
【0087】
分析される試料は、疾患生体(organism)、非疾患生体、処置生体、非処置生体、変異生体または野生型生体から採取され得る。
【0088】
上記方法は、好ましくは、1つまたはそれ以上の親もしくは前駆物質またはイオンおよび/または1つまたはそれ以上のフラグメント、生成、娘または付加イオンおよび/または1つまたはそれ以上の第1の親もしくは前駆物質またはイオンおよび/または1つまたはそれ以上の第2の親もしくは前駆物質またはイオンの組成を同定または決定するステップをさらに含む。
【0089】
上記方法は、好ましくは、1つまたはそれ以上の親もしくは前駆物質またはイオンおよび/または1つまたはそれ以上のフラグメント、生成、娘または付加イオンおよび/または1つまたはそれ以上の第1の親もしくは前駆物質またはイオンおよび/または1つまたはそれ以上の第2の親もしくは前駆物質またはイオンの強度、濃度または発現レベルを定量または決定するステップをさらに含む。
【0090】
一実施形態によると、上記方法は、好ましくは、1つまたはそれ以上の親もしくは前駆物質またはイオンおよび/または1つまたはそれ以上のフラグメント、生成、娘または付加イオンおよび/または1つまたはそれ以上の第1の親もしくは前駆物質またはイオンおよび/または1つまたはそれ以上の第2の親もしくは前駆物質またはイオンを認識するステップをさらに含む。
【0091】
一実施形態によると、上記方法は、
第1の質量スペクトルまたは質量スペクトルデータを、実質的に同時に得られる第2の質量スペクトルまたは質量スペクトルデータと比較するステップと、
第2の質量スペクトルまたは質量スペクトルデータにおいて第1の質量スペクトルまたは質量スペクトルデータと比べて大きな強度を有するイオンを親または前駆イオンとして認識するステップとを含む。
【0092】
上記方法は、好ましくは、フラグメント、生成、娘または付加イオンを認識するステップをさらに含む。
【0093】
上記方法は、好ましくは、
第1の質量スペクトルまたは質量スペクトルデータを、実質的に同時に得られる第2の質量スペクトルまたは質量スペクトルデータと比較するステップと、
第1の質量スペクトルまたは質量スペクトルデータにおいて第2の質量スペクトルまたは質量スペクトルデータと比べて大きな強度を有するイオンをフラグメント、生成、娘または付加イオンとして認識するステップとを含む。
【0094】
一実施形態によると、上記方法は、すべての親または前駆イオンから1サブグループの可能な候補の親または前駆イオンを選択する工程をさらに含み得る。
【0095】
上記方法は、好ましくは、第1の質量スペクトルまたは第1の質量スペクトルデータおよび/または第2の質量スペクトルまたは第2の質量スペクトルデータから親または前駆イオンおよびフラグメント、生成、娘または付加イオンを認識するステップをさらに含む。
【0096】
上記方法は、
各親または前駆イオンに対して親または前駆イオン質量クロマトグラムを生成するステップと、
親または前駆イオン質量クロマトグラムにおける各ピークの中心を決定するステップと、
対応する親または前駆イオンの溶出時間を決定するステップと、
各フラグメント、生成、娘または付加イオンに対してフラグメント、生成、娘または付加イオン質量クロマトグラムを生成するステップと、
フラグメント、生成、娘または付加イオン質量クロマトグラムにおける各ピークの中心を決定するステップと、
対応するフラグメント、生成、娘または付加イオンの溶出時間を決定するステップとをさらに含み得る。
【0097】
一実施形態によると、上記方法は、好ましくは、フラグメント、生成、娘または付加イオンをそれらのそれぞれの溶出時間の一致度にしたがって親または前駆イオンに割り当てるステップをさらに含む。
【0098】
一実施形態によると、上記方法は、衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスの上流および/または下流に質量電荷比移送ウィンドウを有する質量フィルタを設けるステップをさらに含む。
【0099】
上記方法は、好ましくは、質量フィルタの移送ウィンドウ外にある質量電荷値を有する第1の質量スペクトルまたは第1の質量スペクトルデータに存在するイオンを認識することによってフラグメント、生成、娘または付加イオンを認識するステップをさらに含む。
【0100】
一実施形態によると、上記方法は、親または前駆イオンを親または前駆イオンの質量電荷比に基づいて同定するステップをさらに含む。
【0101】
一実施形態によると、上記方法は、親または前駆イオンを1つまたはそれ以上のフラグメント、生成、娘または付加イオンの質量電荷比に基づいて同定するステップをさらに含む。
【0102】
上記方法は、好ましくは、1つまたはそれ以上の親または前駆イオンの質量電荷比を決定することによってタンパク質を同定するステップであって、1つまたはそれ以上の親または前駆イオンは、タンパク質のペプチドを含む、ステップをさらに含む。
【0103】
上記方法は、好ましくは、1つまたはそれ以上のフラグメント、生成、娘または付加イオンの質量電荷比を決定することによってタンパク質を同定するステップであって、1つまたはそれ以上のフラグメント、生成、娘または付加イオンは、タンパク質のペプチドのフラグメントを含む、ステップをさらに含む。
【0104】
上記方法は、好ましくは、データベースと突き合わせて1つまたはそれ以上の親または前駆イオンおよび/または1つまたはそれ以上のフラグメント、生成、娘または付加イオンの質量電荷比を検索するステップであって、データベースは、既知のタンパク質を含む、ステップをさらに含む。
【0105】
一実施形態によると、上記方法は、データベースと突き合わせて1つまたはそれ以上の親または前駆イオンの質量電荷比を検索するステップであって、データベースは、既知のタンパク質を含む、ステップをさらに含む。
【0106】
上記方法は、好ましくは、親または前駆イオンのフラグメンテーションから得られると予想され得るフラグメント、生成、娘または付加イオンの存在を求めて第1の質量スペクトルまたは第1の質量スペクトルデータを検索するステップをさらに含む。
【0107】
一実施形態によると、所定量は、(i)0.25秒、(ii)0.5秒、(iii)0.75秒、(iv)1秒、(v)2.5秒、(vi)5秒、(vii)10秒、および(viii)クロマトグラフィピークの半分の高さ(half height)で測定された幅の5%に対応する時間からなる群から選択される。
【0108】
上記方法は、好ましくは、ヘリウム、アルゴン、窒素またはメタンを含むガスを衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス中に導入するステップをさらに含む。
【0109】
一実施形態によると、上記方法は、少なくとも、1ms、10ms、100ms、200ms、300ms、400ms、500ms、600ms、700ms、800ms、900ms、1s、2s、3s、4s、5s、6s、7s、8s、9sまたは10sに一度、少なくとも第1のモードと第2のモードとの間で衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスを自動的に切り替え、改変または変更するステップをさらに含む。
【0110】
一動作モードにおいて衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスを動作させた後であって、別の動作モードで衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスを動作させるために切り替え、改変または変更する前に、スキャン間遅延が好ましくは行われる。スキャン間遅延の継続時間は、好ましくは、少なくとも、1ms、2ms、3ms、4ms、5ms、6ms、7ms、8ms、9ms、10ms、11ms、12ms、13ms、14ms、15ms、16ms、17ms、18ms、19ms、20ms、30ms、40ms、50ms、60ms、70ms、80ms、90msまたは100msである。
【0111】
本発明の一態様によると、
質量分析計であって、
衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスと、
質量分析器と、
制御システムとを含み、
制御システムは、
(a)親または前駆イオンを衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスに渡すステップと、
(b)衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスを第1の動作モードにおいて動作させるステップであって、親または前駆イオンの少なくともいくつかが衝突、フラグメンテーションまたは反応されて、フラグメント、生成、娘または付加イオンを生成する、ステップと、
(c)第1の動作モードにおいて動作する衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスから現れるか、またはそこを通って移送されてきたイオンに関係する第1の質量スペクトルデータを記録するステップと、
(d)衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスを第2の動作モードにおいて動作するように切り換え、改変、または変更するステップであって、実質的により少ない親または前駆イオンが衝突、フラグメンテーションまたは反応される、ステップと、
(e)第2の動作モードにおいて動作する衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスから現れるか、またはそこを通って移送されてきたイオンに関係する第2の質量スペクトルデータを記録するステップと、
(f)ステップ(b)〜(e)を複数回繰り返すステップと、
(g)1つまたはそれ以上の親もしくは前駆物質またはイオンの正確なまたは厳密な質量または質量電荷比を決定するステップであって、1つまたはそれ以上の親もしくは前駆物質またはイオンの正確なまたは厳密な質量または質量電荷比は、第1の整数質量または質量電荷比成分M1および第1の小数質量または質量電荷比成分m1を含む、ステップと、
(h)第1の質量スペクトルデータにおいてまたはそれから1つまたはそれ以上のフラグメント、生成、娘もしくは付加物質またはイオンを検索または決定するステップであって、1つまたはそれ以上のフラグメント、生成、娘もしくは付加物質またはイオンは、第2の整数質量または質量電荷比成分M2および第2の小数質量または質量電荷比成分m2を含み、第2の小数質量または質量電荷比成分m2は、第1の小数質量または質量電荷比成分m1よりも0〜x1mDaまたはミリ−質量電荷比単位大きい、および/または第1の小数質量または質量電荷比成分m1よりも0〜x2mDaまたはミリ−質量電荷比単位小さい、ステップとを行うように構成および適合される、質量分析計が提供される。
【0112】
本発明の一態様によると、
質量分析計であって、
衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスと、
質量分析器と、
制御システムとを含み、
制御システムは、
(a)親または前駆イオンを衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスに渡すステップと、
(b)衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスを第1の動作モードにおいて動作させるステップであって、親または前駆イオンの少なくともいくつかが衝突、フラグメンテーションまたは反応されて、フラグメント、生成、娘または付加イオンを生成する、ステップと、
(c)第1の動作モードにおいて動作する衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスから現れるか、またはそこを通って移送されてきたイオンに関係する第1の質量スペクトルデータを記録するステップと、
(d)衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスを第2の動作モードにおいて動作するように切り換え、改変、または変更するステップであって、実質的により少ない親または前駆イオンが衝突、フラグメンテーションまたは反応される、ステップと、
(e)第2の動作モードにおいて動作する衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスから現れるか、またはそこを通って移送されてきたイオンに関係する第2の質量スペクトルデータを記録するステップと、
(f)ステップ(b)〜(e)を複数回繰り返すステップと、
(g)1つまたはそれ以上の第1の親もしくは前駆物質またはイオンの正確なまたは厳密な質量または質量電荷比を決定するステップであって、1つまたはそれ以上の第1の親もしくは前駆物質またはイオンの正確なまたは厳密な質量または質量電荷比は、第1の整数質量または質量電荷比成分M1および第1の小数質量または質量電荷比成分m1を含むステップと、
(h)第1の質量スペクトルデータにおいてまたはそれから1つまたはそれ以上の第2の親もしくは前駆物質またはイオンを検索または決定するステップであって、1つまたはそれ以上の第2の親もしくは前駆物質またはイオンは、第2の整数質量または質量電荷比成分M2および第2の小数質量または質量電荷比成分m2を含み、第2の小数質量または質量電荷比成分m2は、第1の小数質量または質量電荷比成分m1よりも0〜x1mDaまたはミリ−質量電荷比単位大きい、および/または第1の小数質量または質量電荷比成分m1よりも0〜x2mDaまたはミリ−質量電荷比単位小さい、ステップとを行うように構成および適合される、質量分析計が提供される。
【0113】
衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスは、好ましくは、衝突誘起解離デバイスを含む。
【0114】
衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスは、あるいは、(i)表面誘起解離(「SID」)衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス、(ii)電子移動解離衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス、(iii)電子捕獲解離衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス、(iv)電子衝突もしくは衝撃解離衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス、(v)光誘起解離(「PID」)衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス、(vi)レーザ誘起解離衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス、(vii)赤外放射誘起解離デバイス、(viii)紫外放射誘起解離デバイス、(ix)ノズル−スキマ間インターフェース衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス、(x)インソース衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス、(xi)イオン源衝突誘起解離衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス、(xii)熱または温度源衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス、(xiii)電界誘起衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス、(xiv)磁場誘起衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス、(xv)酵素消化または酵素分解衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス、(xvi)イオン−イオン反応衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス、(xvii)イオン−分子反応衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス、(xviii)イオン−原子反応衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス、(xix)イオン−メタステーブルイオン反応衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス、(xx)イオン−メタステーブル分子反応衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス、(xxi)イオン−メタステーブル原子反応衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス、(xxii)イオンを反応させて付加または生成イオンを形成するためのイオン−イオン反応デバイス、(xxiii)イオンを反応させて付加または生成イオンを形成するためのイオン−分子反応デバイス、(xxiv)イオンを反応させて付加または生成イオンを形成するためのイオン−原子反応デバイス、(xxv)イオンを反応させて付加または生成イオンを形成するためのイオン−メタステーブルイオン反応デバイス、(xxvi)イオンを反応させて付加または生成イオンを形成するためのイオン−メタステーブル分子反応デバイス、および(xxvii)イオンを反応させて付加または生成イオンを形成するためのイオン−メタステーブル原子反応デバイスからなる群から選択され得る。
【0115】
上記質量分析計は、好ましくは、イオン源をさらに含む。イオン源は、(i)エレクトロスプレーイオン化(「ESI」)イオン源、(ii)大気圧光イオン化(「APPI」)イオン源、(iii)大気圧化学イオン化(「APCI」)イオン源、(iv)マトリックス支援レーザ脱離イオン化(「MALDI」)イオン源、(v)レーザ脱離イオン化(「LDI」)イオン源、(vi)大気圧イオン化(「API」)イオン源、(vii)シリコンを用いた脱離イオン化(「DIOS」)イオン源、(viii)電子衝突(「EI」)イオン源、(ix)化学イオン化(「CI」)イオン源、(x)電界イオン化(「FI」)イオン源、(xi)電界脱離(「FD」)イオン源、(xii)誘導結合プラズマ(「ICP」)イオン源、(xiii)高速原子衝撃(「FAB」)イオン源、(xiv)液体二次イオン質量分析(「LSIMS」)イオン源、(xv)脱離エレクトロスプレーイオン化(「DESI」)イオン源、(xvi)ニッケル−63放射性イオン源、(xvii)大気圧マトリックス支援レーザ脱離イオン化イオン源、および(xviii)サーモスプレーイオン源からなる群から選択され得る。
【0116】
イオン源は、パルス化または連続イオン源を含み得る。
【0117】
イオン源には、好ましくは、所定期間にわたり溶出物が提供され、溶出物は、好ましくは、液体クロマトグラフィまたはキャピラリー電気泳動によって混合物から分離されてきたものである。
【0118】
あるいは、イオン源には、所定期間にわたり溶出物が提供され得、溶出物は、ガスクロマトグラフィによって混合物から分離されてきたものであり得る。
【0119】
質量分析器は、好ましくは、(i)四重極質量分析器、(ii)2Dまたは直線四重極質量分析器、(iii)ポールまたは3D四重極質量分析器、(iv)ペニングトラップ質量分析器、(v)イオントラップ質量分析器、(vi)扇形磁場質量分析器、(vii)イオンサイクロトロン共鳴(「ICR」)質量分析器、(viii)フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴(「FTICR」)質量分析器、(ix)静電またはオービトラップ質量分析器、(x)フーリエ変換静電またはオービトラップ質量分析器、および(xi)フーリエ変換質量分析器、(xii)飛行時間質量分析器、(xiii)直交加速飛行時間質量分析器、および(xiv)軸方向加速飛行時間質量分析器からなる群から選択される。
【0120】
一実施形態によると、上記質量分析計は、衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスの上流および/または下流に配置される質量フィルタをさらに含む。質量フィルタは、四重極ロッドセット質量フィルタを含み得る。質量フィルタは、好ましくは、高域通過質量電荷比フィルタとして動作される。質量フィルタは、好ましくは、(i)≧100、(ii)≧150、(iii)≧200、(iv)≧250、(v)≧300、(vi)≧350、(vii)≧400、(viii)≧450、および(ix)≧500からなる群から選択される質量電荷比を有するイオンを移送するように構成される。
【0121】
他の実施形態によると、質量フィルタは、低域通過または帯域通過質量フィルタとして動作される。
【0122】
上記質量分析計は、好ましくは、衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスの上流および/または下流に配置されるイオンガイドをさらに含む。イオンガイドは、好ましくは、(i)六重極、(ii)四重極、(iii)八重極、(iv)イオンが使用時に移送される開口を有する複数のリングまたはプレート電極、および(v)イオンの走行平面に一般に配置される複数の平面、プレートまたはメッシュ電極からなる群から選択される。
【0123】
衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスは、好ましくは、(i)六重極、(ii)四重極、(iii)八重極、(iv)イオンが使用時に移送される開口を有する複数のリングまたはプレート電極、および(v)イオンの走行平面に一般に配置される複数の平面、プレートまたはメッシュ電極からなる群から選択される。
【0124】
衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスは、好ましくは、筐体であって、イオン入口開口部、イオン出口開口部、および必要に応じてガスを筐体へ導入するための手段を別にすれば実質的に気密な封入体(gas−tight enclosure)を含む。ヘリウム、アルゴン、窒素またはメタンを含むガスを使用時に衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス中に導入することが好ましい。
【0125】
反応デバイスは、イオン、原子または分子が新しい種のイオン、原子または分子を形成するように再構成または反応されるデバイスを含むと理解されるべきである。X−Y反応フラグメンテーションデバイスは、XおよびYが組み合わさって生成物を形成し、次いでフラグメンテーションするデバイスを意味すると理解されるべきである。これは、イオンが最初に生成物を形成せずにフラグメンテーションされ得るフラグメンテーションデバイス自体とは異なる。X−Y反応デバイスは、XおよびYが組み合わさって生成物を形成し、かつ次いでその生成物が必ずしもフラグメンテーションしないデバイスを意味すると理解されるべきである。
【0126】
特定のクラスの親または前駆イオンに属し、かつ特徴的な娘もしくはフラグメントイオンまたは特徴的な「ニュートラルロス」によって認識可能な親または前駆イオンは、従来、「親または前駆イオン」スキャンまたは「コンスタントニュートラルロス」スキャンの方法によって発見される。
【0127】
「親または前駆イオン」スキャンまたは「コンスタントニュートラルロス」スキャンを記録するための従来の方法は、三連四重極質量分析計における1つまたは両方の四重極のスキャン、またはタンデム四重極直交加速飛行時間質量分析計における四重極のスキャン、または他の種類のタンデム質量分析計における少なくとも1つの要素のスキャンを含む。その結果、これらの方法は、スキャン機器(scanning instrument)に関連するデューティサイクルが低い。さらにその結果、質量分析計が「親または前駆イオン」スキャンまたは「コンスタントニュートラルロス」スキャンの記録に占有されている間に、情報が廃棄および喪失され得る。さらなる結果として、これらの方法を質量分析計がガスまたは液体クロマトグラフィ装置から直接溶出する物質を分析する必要がある場合に使用することは適当でない。
【0128】
一実施形態によると、タンデム四重極直交飛行時間質量分析計は、一連の比較的低フラグメンテーションまたは反応質量スペクトルに続いて比較的高フラグメンテーションまたは反応質量スペクトルが記録される方法を使用して候補の親または前駆イオンが発見されるようなやり方で使用される。衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスの行ったり来たり(back and forth)を切り換えることは、好ましくは中断されない。その代りに、完全な1セットのデータが好ましくは取得され、次いで、これは、好ましくは後で処理される。フラグメント、生成、娘または付加イオンは、それらのそれぞれの溶出時間の一致度によって親または前駆イオンと対応づけられ得る。このように、候補の親または前駆イオンは、確定され得、またはそうでなければ、データの取得は中断されず、かつ情報は喪失されずに済む。
【0129】
一旦1回の実験試行が完了すると、次いで、比較的高フラグメンテーションまたは反応質量スペクトルおよび比較的低フラグメンテーションまたは反応質量スペクトルが後処理され得る。親または前駆イオンは、高フラグメンテーションまたは反応質量スペクトルを実質的に同時に得られる低フラグメンテーションまたは反応質量スペクトルと比較し、低フラグメンテーションまたは反応質量スペクトルにおいて高フラグメンテーションまたは反応質量スペクトルと比べてより大きな強度を有するイオンに注目することによって認識され得る。同様に、フラグメント、生成、娘または付加イオンは、高フラグメンテーションまたは反応質量スペクトルにおいて低フラグメンテーションまたは反応質量スペクトルと比べてより大きな強度を有するイオンに注目することによって認識され得る。
【0130】
好ましい実施形態によると、小数質量フィルタは、比較的高フラグメンテーション質量スペクトルまたはデータセットおよび/または比較的低フラグメンテーション質量スペクトルまたはデータセットに対して適用される。
【0131】
一旦いくつかの親または前駆イオンが認識されると、1サブグループの可能な候補の親または前駆イオンがすべての親または前駆イオンから選択され得る。
【0132】
一実施形態によると、可能な対象の親または前駆イオンは、所定のフラグメント、生成、娘または付加イオンに対するそれらの関係に基づいて選択され得る。所定のフラグメント、生成、娘または付加イオンは、例えば、(i)ペプチドからのインモニウムイオン、(ii)リン酸化ペプチドからのリン酸基PO3-イオンを含む官能基、および(iii)特定の分子または特定クラスの分子から切断され、かつその後同定され、したがってその特定の分子または特定クラスの分子の存在を報告するように意図される質量タグからなる群から選択されるイオンを含み得る。
【0133】
親または前駆イオンは、高フラグメンテーションまたは反応質量スペクトルを使用して所定のフラグメント、生成、娘または付加イオンに対する質量クロマトグラムを生成することによって、可能な候補の親または前駆イオンとして選抜候補リストに載せられ得る。次いで、質量クロマトグラムにおける各ピークの中心が、対応する所定のフラグメント、生成、娘または付加イオンの溶出時間とともに決定される。次いで、所定のフラグメント、生成、娘または付加イオンの質量クロマトグラムにおける各ピークに対して、所定のフラグメント、生成、娘または付加イオンの溶出時間の直前に得られる低フラグメンテーションまたは反応質量スペクトル、および所定のフラグメント、生成、娘または付加イオンの溶出時間の直後に得られる低フラグメンテーションまたは反応質量スペクトルの両方が、以前に認識された親または前駆イオンの存在について調べられる。次いで、所定のフラグメント、生成、娘または付加イオンの溶出時間の直前に得られる低フラグメンテーションまたは反応質量スペクトル、および所定のフラグメント、生成、娘または付加イオン溶出時間の直後に得られる低フラグメンテーションまたは反応質量スペクトルの両方に存在すると分かった、いずれの以前に認識された親または前駆イオンに対しても質量クロマトグラムが生成され、各質量クロマトグラムにおける各ピークの中心が、対応する可能な候補の親または前駆イオン溶出時間とともに決定される。次いで、可能な候補の親または前駆イオンは、それらの溶出時間の所定のフラグメント、生成、娘または付加イオン溶出時間との一致度にしたがって順位づけされ得、最終候補の親または前駆イオンのリストが、可能な候補の親または前駆イオンを、それらの溶出時間が所定のフラグメント、生成、娘または付加イオン溶出時間よりも所定量より多く先行または超える場合に、棄却することによって作成され得る。
【0134】
別の実施形態によると、親または前駆イオンは、それが所定の質量損失を生じることに基づいて、可能な候補の親または前駆イオンとして選抜候補リストに載せられ得る。各低フラグメンテーションまたは反応質量スペクトルに対して、低フラグメンテーションまたは反応質量スペクトル中に存在する、各以前に認識された親または前駆イオンから所定のイオンまたは中性粒子が損失した結果得られ得るターゲットフラグメント、生成、娘または付加イオンの質量電荷値のリストが生成され得る。次いで、低フラグメンテーションまたは反応質量スペクトルの直前に得られる高フラグメンテーションまたは反応質量スペクトル、および低フラグメンテーションまたは反応質量スペクトルの直後に得られる高フラグメンテーションまたは反応質量スペクトルの両方が、ターゲットフラグメント、生成、娘または付加イオン質量電荷値に対応する質量電荷値を有するフラグメント、生成、娘または付加イオンの存在について調べられる。次いで、可能な候補の親または前駆イオンのリスト(必要に応じて、それらに対応するフラグメント、生成、娘または付加イオンを含む)が、ターゲットフラグメント、生成、娘または付加イオン質量電荷値に対応する質量電荷値を有するフラグメント、生成、娘または付加イオンが、低フラグメンテーションまたは反応質量スペクトルの直前の高フラグメンテーションまたは反応質量スペクトル、および低フラグメンテーションまたは反応質量スペクトルの直後の高フラグメンテーションまたは反応質量スペクトルの両方において存在することが分かった場合に、親または前駆イオンをリストに含めることによって作成され得る。次いで、質量損失クロマトグラム(mass loss chromatogram)が可能な候補の親または前駆イオンおよびそれらに対応するフラグメント、生成、娘または付加イオンに基づいて生成され得る。質量損失クロマトグラムにおける各ピークの中心が、対応する質量損失溶出時間とともに決定され得る。次いで、各可能な候補の親または前駆イオンに対して、質量クロマトグラムが低フラグメンテーションまたは反応質量スペクトルを使用して生成される。また、対応するフラグメント、生成、娘または付加イオン質量クロマトグラムが、対応するフラグメント、生成、娘または付加イオンに対して生成され得る。次いで、可能な候補の親または前駆イオン質量クロマトグラムおよび対応するフラグメント、生成、娘または付加イオン質量クロマトグラムにおける各ピークの中心が、対応する可能な候補の親または前駆イオン溶出時間および対応するフラグメント、生成、娘または付加イオン溶出時間とともに決定される。次いで、最終候補の親または前駆イオンのリストが、可能な候補の親または前駆イオンの溶出時間が対応するフラグメント、生成、娘または付加イオン溶出時間から所定量よりも大きく先行または超える場合に、可能な候補の親または前駆イオンを棄却することによって作成され得る。
【0135】
一旦最終候補の親または前駆イオンのリストが作成されると(好ましくは、元々認識された親または前駆イオンおよび可能な候補の親または前駆イオンのいくつかだけを含む)、各最終候補の親または前駆イオンが同定され得る。
【0136】
親または前駆イオンの同定は、情報の組み合わせを使用することによってなされ得る。これは、親または前駆イオンの正確に決定された質量または質量電荷比を含み得る。また、それは、フラグメントイオンの質量または質量電荷比を含み得る。いくつかの場合、フラグメント、生成、娘または付加イオンの正確に決定された質量が好適であり得る。酵素によって消化されたタンパク質からのペプチド生成物の質量または質量電荷比、好ましくは正確な質量または質量電荷比からタンパク質が同定され得ることが知られている。これらは、既知のタンパク質のライブラリから予想されるものと比較され得る。また、この比較結果が1つより多くの可能なタンパク質を示唆する場合、そのペプチドのうちの1つ以上についてそのフラグメントを分析することによって曖昧性が解決され得ることが知られている。
【0137】
上記好適な実施形態によって、酵素によって消化されたタンパク質の混合物が1回の分析によって同定されることが可能となる。すべてのペプチドおよびそれらの関連フラグメントイオンの質量もしくは質量電荷比または正確な質量もしくは質量電荷比は、既知のタンパク質のライブラリと突き合わせて検索され得る。あるいは、ペプチド質量もしくは質量電荷比または正確な質量もしくは質量電荷比は、既知のタンパク質のライブラリと突き合わせて検索され得る。1つより多くのタンパク質が示唆される場合、正しいタンパク質は、各候補タンパク質からの関連ペプチドから予想されるものに一致するフラグメントイオンを求めて検索することによって確定され得る。
【0138】
各最終候補の親または前駆イオンを同定するステップは、好ましくは、最終候補の親または前駆イオンの溶出時間を呼び戻すステップと、最終候補の親または前駆イオンの溶出時間の直前に得られる低フラグメンテーションまたは反応質量スペクトル、および最終候補の親または前駆イオンの溶出時間の直後に得られる低フラグメンテーションまたは反応質量スペクトルの両方に存在する、以前に認識されたフラグメント、生成、娘または付加イオンを含む可能な候補のフラグメント、生成、娘または付加イオンのリストを生成するステップと、各可能な候補のフラグメント、生成、娘または付加イオンの質量クロマトグラムを生成するステップと、各可能な候補のフラグメント、生成、娘または付加イオン質量クロマトグラムにおける各ピークの中心を決定するステップと、対応する可能な候補のフラグメント、生成、娘または付加イオン溶出時間を決定するステップとを含む。次いで、可能な候補のフラグメント、生成、娘または付加イオンは、それらの溶出時間の最終候補の親または前駆イオンの溶出時間との一致度にしたがって順位づけされ得る。次いで、最終候補のフラグメント、生成、娘または付加イオンのリストが、可能な候補のフラグメント、生成、娘または付加イオンの溶出時間が最終候補の親または前駆イオンの溶出時間から所定量よりも大きく先行または超える場合に、可能な候補のフラグメント、生成、娘または付加イオンを棄却することによって作成され得る。
【0139】
最終候補のフラグメント、生成、娘または付加イオンのリストは、最終候補の親または前駆イオンの溶出時間に時間的に最も近い時間に得られる低フラグメンテーションまたは反応質量スペクトルにおいて存在する近接の親または前駆イオンのリストを作成することによってさらに絞り込みまたは低減され得る。次いで、リストに含まれる各親または前駆イオンの質量クロマトグラムが生成され、各質量クロマトグラムの中心が、対応する近接の親または前駆イオン溶出時間とともに決定される。次いで、最終候補の親または前駆イオンの溶出時間よりも近接の親または前駆イオン溶出時間により接近して対応する溶出時間を有するいずれの最終候補のフラグメント、生成、娘または付加イオンも最終候補のフラグメント、生成、娘または付加イオンのリストから棄却され得る。
【0140】
最終候補のフラグメント、生成、娘または付加イオンは、それらの溶出時間の一致度にしたがって最終候補の親または前駆イオンに割り当てられ得、最終候補の親または前駆イオンに対応づけられたすべての最終候補のフラグメント、生成、娘または付加イオンがリストされ得る。
【0141】
また、より大量のデータ処理を含むが、本質的により簡単である別の実施形態が考えられる。一旦親およびフラグメント、生成、娘または付加イオンが同定されると、各認識された親または前駆イオンに対して親または前駆イオン質量クロマトグラムが生成される。次いで、親または前駆イオン質量クロマトグラムにおける各ピークの中心および対応する親または前駆イオン溶出時間が決定される。同様に、各認識されたフラグメント、生成、娘または付加イオンに対するフラグメント、生成、娘または付加イオン質量クロマトグラムが生成され、次いで、フラグメント、生成、娘または付加イオン質量クロマトグラムにおける各ピークの中心および対応するフラグメント、生成、娘または付加イオン溶出時間が決定される。次いで、認識された親または前駆イオンのサブセットだけを同定するのではなく、認識された親または前駆イオンのうちのすべて(または、ほとんどすべて)が同定される。娘、フラグメント、生成または付加イオンは、それらのそれぞれの溶出時間の一致度にしたがって親または前駆イオンに割り当てられ、次いで親または前駆イオンに対応づけられたすべてのフラグメント、生成、娘または付加イオンがリストされ得る。
【0142】
本発明にとって不可欠ではないが、イオン源によって生成されたイオンは、衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスに渡される前に、質量フィルタ、好ましくは四重極質量フィルタに通され得る。これは、フラグメント、生成、娘または付加イオンを認識する別のまたはさらなる方法を提供する。フラグメント、生成、娘または付加イオンは、衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスに移送されない質量電荷比を有する高フラグメンテーションまたは反応質量スペクトルにおけるイオンを認識することによって認識され得る、すなわち、フラグメント、生成、娘または付加イオンは、質量フィルタの移送ウィンドウ外にある質量電荷比を有するイオンによって認識される。イオンは、質量フィルタによって移送されない場合は、衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスにおいて生成されたものに違いない。
【0143】
特に好適な実施形態によると、イオン源は、エレクトロスプレー、大気圧化学イオン化、またはマトリックス支援レーザ脱離イオン化(「MALDI」)イオン源を含み得る。そのようなイオン源には、所定期間にわたり溶出物が提供され得、溶出物は、液体クロマトグラフィまたはキャピラリー電気泳動によって混合物から分離されてきたものである。
【0144】
あるいは、イオン源は、電子衝撃、化学イオン化または電界イオン化イオン源を含み得る。そのようなイオン源には、所定期間にわたり溶出物が提供され得、溶出物は、ガスクロマトグラフィによって混合物から分離されてきたものである。
【0145】
第1の動作モード(すなわち、高フラグメンテーションまたは反応モード)では、(i)≧15V、(ii)≧20V、(iii)≧25V、(iv)≧30V、(v)≧50V、(vi)≧100V、(vii)≧150V、および(viii)≧200Vからなる群から選択される電圧が衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスに供給され得る。第2の動作モード(すなわち、低フラグメンテーションまたは反応モード)では、(i)≦5V、(ii)≦4.5V、(iii)≦4V、(iv)≦3.5V、(v)≦3V、(vi)≦2.5V、(vii)≦2V、(viii)≦1.5V、(ix)≦1V、(x)≦0.5V、および(xi)実質的に0Vからなる群から選択される電圧が衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスに供給され得る。しかし、好ましさが劣る好ましい実施形態によると、第1のモードで15Vより低い電圧を供給し、および/または第2のモードで5Vを超える電圧を供給し得る。例えば、第1のまたは第2のモードのいずれかにおいて、約10Vの電圧を供給し得る。好ましくは、これら2つのモード間の電圧差は、少なくとも5V、10V、15V、20V、25V、30V、35V、40V、50Vであるか、あるいは50Vを超える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0146】
ここで、添付の図面を参照して本発明の種々の実施形態を、あくまで例として、説明する。
【0147】
本発明の好ましい実施形態について図1を参照して説明する。好ましくは、質量分析計6は、イオン源1、好ましくはエレクトロスプレーイオン化イオン源、イオンガイド2、四重極ロッドセット質量フィルタ3、衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス4、およびリフレクトロンを内蔵する直交加速飛行時間質量分析器5を含む。イオンガイド2および質量フィルタ3は、必要に応じて省略され得る。質量分析計6は、好ましくは液体クロマトグラフなどのクロマトグラフ(図示せず)と連結され、イオン源1に入る試料が液体クロマトグラフの溶出物から取り出され得るようにする。
【0148】
好ましくは、四重極ロッドセット質量フィルタ3は、好ましくは比較的低い圧力(例えば、10-5mbar未満)に維持される真空チャンバに配置される。質量フィルタ3を含むロッド電極が質量フィルタ3によって移送される質量電荷値の範囲を決定するRFおよびDCポテンシャルの両方を生成する電源に接続される。
【0149】
衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス4は、好ましくは衝突誘起解離フラグメンテーションデバイスを含む。
【0150】
他の実施形態によると、衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス4は、表面誘起解離(「SID」)フラグメンテーションデバイス、電子移動解離フラグメンテーションデバイス、電子捕獲解離フラグメンテーションデバイス、電子衝突または衝撃解離フラグメンテーションデバイス、光誘起解離(「PID」)フラグメンテーションデバイス、レーザ誘起解離フラグメンテーションデバイス、赤外放射誘起解離デバイス、紫外放射誘起解離デバイス、熱または温度源フラグメンテーションデバイス、電界誘起フラグメンテーションデバイス、磁場誘起フラグメンテーションデバイス、酵素消化または酵素分解フラグメンテーションデバイス、イオン−イオン反応フラグメンテーションデバイス、イオン−分子反応フラグメンテーションデバイス、イオン−原子反応フラグメンテーションデバイス、イオン−メタステーブルイオン反応フラグメンテーションデバイス、イオン−メタステーブル分子反応フラグメンテーションデバイス、イオン−メタステーブル原子反応フラグメンテーションデバイス、イオンを反応させて付加または生成イオンを形成するためのイオン−イオン反応デバイス、イオンを反応させて付加または生成イオンを形成するためのイオン−分子反応デバイス、イオンを反応させて付加または生成イオンを形成するためのイオン−原子反応デバイス、イオンを反応させて付加または生成イオンを形成するためのイオン−メタステーブルイオン反応デバイス、イオンを反応させて付加または生成イオンを形成するためのイオン−メタステーブル分子反応デバイス、またはイオンを反応させて付加または生成イオンを形成するためのイオン−メタステーブル原子反応デバイスを含み得る。
【0151】
一実施形態によると、衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスは、イオン源の一部を形成し得る。例えば、衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスは、ノズル−スキマ間インターフェースフラグメンテーションデバイス、インソースフラグメンテーションデバイス、またはイオン源衝突誘起解離フラグメンテーションデバイスを含み得る。
【0152】
一実施形態によると、衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス4は、四重極または六重極ロッドセットを含み得る。四重極または六重極ロッドセットは、ヘリウム、アルゴン、窒素、空気またはメタンなどのガスが10-4と10-1mbarとの間の圧力、好ましくは10-3mbar〜10-2mbarの圧力で導入され得る実質的に気密ケーシング(小さなイオン入口および出口孔は別にして)内に封入され得る。衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス4を構成する電極に対して適切なRFポテンシャルは、電源(図示せず)によって提供され得る。
【0153】
イオン源1によって生成されたイオンは、好ましくはイオンガイド2によって移送され、チャンバ間孔7を介して真空チャンバ8中へ渡される。イオンガイド2は、好ましくはイオン源および真空チャンバ8の中間の圧力に維持される。上記の実施形態において、イオンは、衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス4に入る前に質量フィルタ3によって質量フィルタリングされる。しかし、質量フィルタリングは、本発明において必要不可欠なものではない。衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス4から出たイオンは、好ましくは飛行時間質量分析器5中へ渡る。質量分析計の種々の部品または段(stage)の間のイオン移送を最大化するために、さらなるイオンガイドおよび/または静電レンズなどの他のイオン光学構成要素(図示せずかつ本明細書中で説明せず)が存在し得る。質量分析計において最適な真空条件を維持するために種々の真空ポンプ(図示せず)が提供され得る。リフレクトロンを内蔵する飛行時間質量分析器5は、1パケットのイオンに含まれるイオンの通過時間を測定して、それらの質量電荷比が決定され得るようにすることにより、公知のやり方で動作する。
【0154】
制御手段(図示せず)は好ましくは、イオン源1、イオンガイド2、四重極質量フィルタ3、衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス4および飛行時間質量分析器5に対して必要な動作ポテンシャルをそれぞれ提供する種々の電源(図示せず)に対する制御信号を提供する。これらの制御信号は、好ましくは、質量分析計の動作パラメータ(例えば、質量フィルタ3を通って移送される質量電荷比および質量分析器5の動作)を決定する。制御手段は、取得された質量スペクトルデータを処理するためにも使用され得るコンピュータ(図示せず)からの信号により制御され得る。また、コンピュータは、分析器5から生成された質量スペクトルを表示および格納し、操作者からの命令を受け取り、処理し得る。制御手段は、操作者の介入なしに、種々の方法を行いかつ種々の決定を行うように自動に設定され得るか、または種々の段階で操作者の入力を適宜必要とし得る。
【0155】
制御手段は、好ましくは少なくとも2つの異なるモードの間を行ったり来たりするように衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス4を切り換え、変更または改変するように構成される。1つのモードにおいて、≧15Vなどの比較的高い電圧または電位差が衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス4に適用または維持され得る。別のモードにおいては、≦5Vなどの比較的低い電圧または電位差が衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス4に適用または維持され得る。
【0156】
一実施形態によると、制御手段は約1秒に1度モードを切り替える。質量分析計6は、液体またはガスクロマトグラフィによって混合物から分離された溶出物が提供されているイオン源と併用して設けられる場合、数十分間試行され得る。この期間にわたり、数百個の高フラグメンテーションまたは反応質量スペクトルおよび数百個の低フラグメンテーションまたは反応質量スペクトルが得られ得る。
【0157】
好ましい実施形態によると、得られる質量スペクトルまたは質量スペクトルデータは、好ましくは、以下に詳細に説明される小数質量フィルタにかけられる。
【0158】
好ましくは、第1の(例えば、親)物質またはイオンの正確なまたは厳密な質量または質量電荷比が決定される。正確なまたは厳密な質量または質量電荷比は、好ましくは、第1の整数質量または質量電荷比成分および第1の小数質量または質量電荷比成分を含む。小数ウィンドウは、好ましくは、質量スペクトルデータに適用され、好ましくは、第1の小数質量または質量電荷比成分よりも0〜x1mDaまたはミリ−質量電荷比単位大きい、および/または第1の小数質量または質量電荷比成分m1よりも0〜x2mDaまたはミリ−質量電荷比単位小さい小数質量または質量電荷比成分を有する1つまたはそれ以上の第2の物質またはイオンを検索するように構成および適合される。
【0159】
好ましい実施形態は、好ましくは、親薬物の小数質量もしくは質量電荷比と実質的に同様の小数質量、または質量電荷比もしくは親薬物の小数質量が既知であるならば予測可能な範囲にある小数質量もしくは質量電荷比を有する代謝産物に基づいて、親薬物の潜在的な代謝産物を検索することを含む。
【0160】
親薬物の潜在的な代謝産物に関係するイオンは、複数のフラグメントイオンが生成されるようにフラグメンテーションされ得る。次いで、フラグメントイオンは好ましくは質量分析される。
【0161】
本発明の一実施形態によると、質量分析計は、親薬物の潜在的な代謝産物を検索し得、特に親薬物の小数質量または質量電荷比と実質的に同様の小数質量または質量電荷比を有するイオンを検索し得る。
【0162】
実験試行の終了時に、得られたデータが好ましくは分析され、親または前駆イオンおよびフラグメント、生成、娘または付加イオンは、好ましくは衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス4が第1のモードにおける場合に得られる質量スペクトルにおけるピークの相対強度と、衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス4が第2のモードにおける場合の時間的に約1秒後に得られる質量スペクトルにおける同じピークの強度との比較に基づいて認識される。
【0163】
一実施形態によると、各親およびフラグメント、生成、娘または付加イオンに対する質量クロマトグラムが好ましくは生成され、フラグメント、生成、娘または付加イオンは、好ましくはそれらの相対溶出時間に基づいて親または前駆イオンに割り当てられる。
【0164】
この方法の利点は、すべてのデータが取得され、その後処理されるので、すべてのフラグメント、生成、娘または付加イオンがそれらのそれぞれの溶出時間の一致度によって親または前駆イオンと対応づけられ得る。これにより、すべての親または前駆イオンが、それらが特徴的なフラグメント、生成、娘もしくは付加イオンまたは特徴的な「ニュートラルロス」の存在によって発見されたかどうかにかかわらず、それらのフラグメント、生成、娘または付加イオンから同定されることを可能にする。
【0165】
別の実施形態によると、対象の親または前駆イオンの数を低減するような試みがなされ得る。可能な(すなわち、まだ最終決定されていない)候補の親または前駆イオンのリストが、好ましくは対象の所定のフラグメント、生成、娘または付加イオン(例えば、ペプチドからのインモニウムイオン)を生じさせたかもしれない親または前駆イオンを探すことによって作成され得る。あるいは、親およびフラグメント、生成、娘または付加イオンを求めて検索がなされ得る。ここで、親または前駆イオンは、所定のイオンまたは中性粒子を含む第1の成分およびフラグメント、生成、娘または付加イオンを含む第2の成分にフラグメンテーションしていた可能性がある。次いで、種々のステップを行って、可能な候補の親または前駆イオンのリストをさらに低減/絞り込みして、いくらかの最終候補の親または前駆イオンを残し得る。次いで、その後に、最終候補の親または前駆イオンは、親およびフラグメント、生成、娘または付加イオンの溶出時間を比較することによって同定される。上記からわかるように、2つのイオンは、同様の質量電荷比を有しても、化学構造が異なる場合があり、したがってそのフラグメンテーションは異なる可能性が極めて高いので、フラグメント、生成、娘または付加イオンに基づいて親または前駆イオンを同定することができる。
【0166】
説明した構成に従って、Micromass社のモジュラーCapLCシステムによって試料を質量分析計中に導入する実験を行った。試料をC18カートリッジ(0.3mm×5mm)上に載せ、30μL/分の流量で0.1%HCOOHを用いて3分間脱塩した(図2を参照)。次いで、10ポートバルブを切り換えて、ペプチドが分離のための分析カラム上へ溶出するようにした(図2の挿入図を参照)。2つのポンプAおよびBからのフローを分割して、カラムを通る流量を約200nL/分にした。
【0167】
用いた分析カラムは、Waters(登録商標)社のSymmetryC18(www.waters.com)を詰めたPicoFrit(登録商標)(www.newobjective.com)カラムを使用した。質量分析計中へ直接スプレーするようにこれを設定した。エレクトロスプレーポテンシャル(約3kV)が低デッドボリュームステンレススチール継手を介して液体中に印加され得る。エレクトロスプレー処理を補助するために少量(約5psi)の霧状ガスをスプレー先端の周辺に導入した。
【0168】
Z−spray(登録商標)のナノフローエレクトロスプレーイオン源を取り付けたQ−Time of Flight2(登録商標)の四重極直交加速飛行時間ハイブリッド質量分析計(www.micromass.co.uk)を使用してデータを取得した。質量分析計を正イオンモードにおいて80℃のソース温度および40L/時間のコーンガス流量(cone gas flow)で動作させた。
【0169】
機器は、Glu−フィブリノペプチドbの衝突誘起解離(CID)から得られた選択フラグメントイオンを使用した多点較正で較正した。すべてのデータは、ソフトウェアのMassLynx suiteを使用して処理された。
【0170】
図3Aおよび図3Bは、アルコール脱水素酵素として知られるADHのトリプシン消化のフラグメントまたは娘および親または前駆イオンスペクトルをそれぞれ示す。図3Aに示すフラグメントまたは娘イオンスペクトルは、ガス衝突セルを約30Vの比較的高いポテンシャルに維持し、ガス衝突セルを通るイオンの著しいフラグメンテーションを生じさせることによって得た。図3Bに示す親または前駆イオンスペクトルは、低い衝突エネルギー、例えば<5Vで得た。図3Bに表すデータは、質量電荷比が>350であるイオンを移送するように設定された質量フィルタ3を使用して得た。この特定の例における質量スペクトルは、液体クロマトグラフから溶出した試料から得た。スペクトルは、十分に迅速かつ時間について互いに接近して得られたので、液体クロマトグラフから溶出した同じ1つまたは複数の成分に本質的に対応する。
【0171】
図3Bにおいて、親または前駆イオンスペクトルにおいていくつかの高強度ピーク、例えば、418.7724および568.7813におけるピークがある。これらは、対応のフラグメント、生成、娘または付加イオンスペクトルにおいては実質的に強度がより低い。したがって、これらのピークは、親または前駆イオンであると認識され得る。同様に、親または前駆イオンスペクトルよりもフラグメント、生成、娘または付加イオンスペクトルにおいて強度が高いイオンは、フラグメント、生成、娘または付加イオン(または、実際には衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスの上流の質量フィルタの動作により親または前駆イオンスペクトルにおいては存在しない)であると認識され得る。したがって、図3Aにおける質量電荷値<350を有するすべてのイオンは、それらのイオンが350未満の質量電荷値を有すること、またはより好ましくは、それらのイオンの対応の親または前駆イオンスペクトルに対する相対強度のいずれかに基づいて、フラグメント、生成、娘または付加イオンであると容易に認識され得る。
【0172】
図4A〜図4Eは、3つの親または前駆イオンおよび2つのフラグメントまたは娘イオンに対する質量クロマトグラム(すなわち、検出されたイオンの強度対取得時間のプロット)をそれぞれ示す。親または前駆イオンは、質量電荷比が406.2(ピーク「MC1」)、418.7(ピーク「MC2」)および568.8(ピーク「MC3」)であると決定され、2つのフラグメントまたは娘イオンは、質量電荷比が136.1(ピーク「MC4」および「MC5」)および120.1(ピーク「MC6」)であると決定された。
【0173】
親または前駆イオンピークMC1は、フラグメントまたは娘イオンピークMC5とよく相関すること、すなわち、m/z=406.2である親または前駆イオンがフラグメンテーションしてm/z=136.1であるフラグメントまたは娘イオンを生成したように見えることが分かる。同様に、親または前駆イオンピークMC2およびMC3は、フラグメントまたは娘イオンピークMC4およびMC6とよく相関するが、どの親または前駆イオンがどのフラグメントまたは娘イオンに対応するかを決定することは困難である。
【0174】
図5は、図4A〜図4Eのピークを順に重ねた(異なるスケールで再描画した)ものを示す。MC2、MC3、MC4およびMC6のピークを注意深く比較すると、実際に、親または前駆イオンMC2およびフラグメントまたは娘イオンMC4がよく相関し、他方親または前駆イオンMC3がフラグメントまたは娘イオンMC6とよく相関することが分かる。これは、m/z=418.7である親または前駆イオンがフラグメンテーションしてm/z=136.1であるフラグメントまたは娘イオンを生成すること、およびm/z=568.8である親または前駆イオンがフラグメンテーションしてm/z=120.1であるフラグメントまたは娘イオンを生成することを示す。
【0175】
この質量クロマトグラムの相互相関は、操作者によって、またはより好ましくは適切なコンピュータ上で実行する適切なピーク比較ソフトウェアプログラムなどの自動ピーク比較手段によって実施され得る。
【0176】
図6は、Micromass社のQ−TOF(登録商標)質量分析計を使用して得られたHPLC分離および質量分析から抽出されたm/z87.04に対する質量クロマトグラムを示す。アミノ酸であるアスパラギンに対するインモニウムイオンは、m/z値が87.04である。このクロマトグラムは、Q−TOF(登録商標)に記録されたすべての高エネルギースペクトルから抽出された。
【0177】
図7は、スキャン番号604に対応する全質量スペクトルを示す。これは、Q−TOF(登録商標)上に記録された低エネルギー質量スペクトルであり、m/zが87.04の質量クロマトグラムにおける最大のピークに対応するスキャン605における高エネルギースペクトルの隣の低いエネルギースペクトルである。これは、m/zが87.04でのアスパラギンインモニウムイオンに対する親または前駆イオンが1012.54の質量を有することを示す。なぜなら、m/zが1013.54での一価の(M+H)+イオンおよびm/zが507.27での二価の(M+2H)++イオンを示すからである。
【0178】
図8は、タンパク質β−カゼインのトリプシン消化物のQ−TOF(登録商標)質量分析計上に記録された低エネルギースペクトルからの質量スペクトルを示す。タンパク質消化生成物は、HPLCによって分離し、質量分析した。質量スペクトルは、MSモードにおいて動作するQ−TOF(登録商標)上で記録し、連続したスペクトルのためにガス衝突セルにおいて低および高衝突エネルギーを交番させた。
【0179】
図9は、上記図8と同じHPLC分離期間に記録された高エネルギースペクトルからの質量スペクトルを示す。
【0180】
図10は、上記図9と同じスペクトルを処理および拡大した図である。このスペクトルに対して、連続データを処理して、ピークを同定し、ピーク面積に比例した高さを有する線で表示し、かつそれらの質量中心(centroided masses)に対応する質量を注釈として付け加えた。m/zが1031.4395でのピークは、ペプチドの二価(M+2H)++イオンであり、m/zが982.4515でのピークは、二価フラグメントイオンである。それは、フラグメントまたは娘イオンのはずである。なぜなら、それは、低エネルギースペクトルには存在しないからである。これらのイオンの質量差は、48.9880である。H3PO4に対する理論質量は、97.9769であり、二価H3PO4++イオンに対するm/z値は、48.9884であり、観察値との差は、ほんの8ppmである。
【0181】
薬物代謝研究において、対象とする代謝産物は通常予測できない。なぜなら、代謝産物の形成は、新規な酵素反応、およびバイオアベイラビリィティ(bio−availability)などの事前に予測することの困難な因子によって決定され得るからである。
【0182】
現在、代謝産物を検出および同定するために、液体クロマトグラフィ(LCまたはHPLC)を使用して複雑な生物学的基質に存在する多くの異なる成分を分離することが公知である。次いで、液体クロマトグラフから溶出する成分の質量または質量電荷比が質量分析(MS)を使用して測定される。
【0183】
通常、LC−MS(液体クロマトグラフから溶出する親イオンが質量分析される)およびLC−MS−MS(液体クロマトグラフから溶出する特定の親イオンがフラグメンテーションされ、そのフラグメント産物が質量分析される)を使用し、しばしば正および負イオン化モードの両方で、多くの測定を行う必要がある。液体クロマトグラフから溶出する厳密で正確な質量または質量電荷比は通常決定される。なぜなら、液体クロマトグラフによって、異なる生物学的基質、胆汁、血漿、糞便および尿などに存在する多数の内因性のピークのうちの多くを無視できるようになるからである。
【0184】
次いで、対象代謝産物に関係し得ることを示す質量電荷比を有すると判断されたイオンは衝突セルにおいてフラグメンテーションされる。次いで、得られたフラグメント産物は質量分析され、各可能性のある代謝産物の構造を予測できるようにする。
【0185】
しかし、従来のアプローチは、潜在的な対象代謝産物を探すために質量スペクトルデータのすべてを検索する必要があるので比較的時間がかかる。次いで、対象代謝産物に関係する可能性があると考えられるすべてのイオンを配置して、次いで別々にフラグメンテーションされるようにして、次いで潜在的な対象代謝産物の構造を決定できるようにする必要がある。
【0186】
複雑な混合物に関係する質量スペクトルを検索し、対象代謝産物に関係し得る潜在的なイオンを同定し、フラグメンテーションされるべき所定のイオンを選択し、対象のイオンをフラグメンテーションし、次いでフラグメント産物を質量分析する処理は比較的時間がかかり得ることが理解される。
【0187】
製薬およびバイオテクノロジー産業においては、試料を短時間でかつ正確に分析できることが特に重要である。このため、質量スペクトルに存在する主要なピークが自動的に選択され、MS/MS(ここで、特定の親イオンがフラグメンテーションために選択される)によって分析されるという自動方法が開発されてきた。これにより、ユーザは、1回のHPLC注入から親イオン質量スペクトルおよびいくつかのMS/MSスペクトルを得ることができる。後のMS/MSによる分析のために親イオン質量スペクトル中のほとんどの強いピーク(すなわち、イオン)を自動的に選択することは公知である。少ないフィルタを規定するだけでこのプロセスを若干より効率的にできる従来のシステムもある。例えば、所定の質量または質量電荷比を有するイオンは、データシステムに入力されて考慮から自動的に外され得る。これらの質量または質量電荷比は、例えば、存在することが既知である溶媒ピークの質量または質量電荷比、またはすでに分析された成分の質量または質量電荷比に対応し得る。
【0188】
従来の自動モードのデータ獲得の利点は、1回のHPLC注入からかなりの量のデータが得られ得ることである。しかし、従来のアプローチの欠点は、あらかじめ定義された強度閾値を超える強度を有するピークだけが、後のMS/MS分析(すなわち、フラグメンテーション分析)のために通常選択されることである。重要なのは、任意の特定時間に多くの強いピークが存在するか、または観察される場合、これらのピークのいくつかはMS/MS分析のための選択から簡単に外れ得る。なぜなら、観察されるクロマトグラフィピークの比較的短い持続期間中に別々のMS/MSスペクトルをすべて記録する時間が十分にないからである。
【0189】
従来のアプローチについて特に問題となる別の点は、潜在的な代謝産物の質量または質量電荷比が一般に事前に分からないので、そのすべてまたは多くが後から興味が少ないか、またはほとんどないと判明される多くのピークを分析して時間を無駄にし得ることである。このことはまた、質量分析計が他のイオンの分析に忙しかったために、認識されていれば分析されたかもしれない対象となり得る実際のピークを全く分析できないことを意味し得る。
【0190】
好ましい実施形態の利点は、潜在的に薬物に関連する代謝産物ピークだけが後の分析のために選択または表示されること、および内因性のピークのすべてまたは少なくとも多数がさらなる検討から効果的に無視されることである。したがって、好ましい実施形態は、対象代謝産物に関係するイオンを検索し、質量分析し、同定するプロセスを著しく改善する。また、好ましい実施形態は、対象代謝産物が、例えば液体クロマトグラフィの本質的に短い時間スケール内でそれらをフラグメンテーションすることによってなされるさらなる分析のために選択されることを可能にする。
【0191】
好ましい実施形態は、薬物代謝研究における多くの可能性のある前駆イオンを、質量または質量電荷比の小数部が予め定義されかつ好ましくは比較的狭い小数質量または質量電荷比ウィンドウ内に入るような質量または質量電荷比を有するイオンだけを選択または表示することによって、効果的に、フィルタを用いて取り除くか、または実質的に除去して検討しない。小数質量ウィンドウは、好ましくは、絶対質量の関数として好ましくは変化する小数質量値を中心とする。一実施形態によると、小数質量ウィンドウは、好ましくは、親イオンの小数質量から0(低質量代謝産物に対して)に変更し得る小数質量値を中心とする。
【0192】
代謝研究において、親薬物の元素組成は通常一般によく知られているので、親薬物の理論的に厳密な質量または質量電荷比を計算できる。好ましい実施形態によって認識され得る(そして、したがってさらなる分析のために選択され得る)薬剤および関連の代謝産物の例を図11に示す。図11は、プロトン化分子のモノアイソトピック質量が326.0860Daであるミダゾラム(C18 H13 Cl F N3)と呼ばれる親薬物の元素組成を示す。この薬物の一般的な代謝経路は、酸素の付加である。したがって、酸素がミダゾラムに付加されると、その質量は+15.9949Daだけ増加され、新しい化合物(すなわち、ミダゾラムのヒドロキシル化代謝産物)のモノアイソトピック質量は342.0809Daとなる。
【0193】
ミダゾラムのヒドロキシル化代謝産物の構造も図11に示す。なお、親薬物ミダゾラムおよびそのヒドロキシル化代謝産物の正確な質量の小数部における差は、ほんの0.0860−0.0809=0.0051Da(すなわち、ほんの5.1mDaの質量不足度)である。したがって、親薬物およびその対応の代謝産物の総質量または絶対質量は16Da近く異なるが、親および代謝産物の小数質量成分の差は非常に小さいことが明らかである。
【0194】
質量分析において、イオンには、整数質量もしくは質量電荷比または絶対質量もしくは質量電荷比(例えば、ミダゾラムの場合、326)、あるいは正確な質量もしくは質量電荷比または厳密な質量もしくは質量電荷比(例えば、ミダゾラムの場合、326.0860)のいずれかが与えられ得る。正確なまたは厳密な質量または質量電荷比は、整数成分または値および小数成分または値を含むと考えられ得る。このことは、すべての元素(炭素を除く)がおよそでは整数質量であるが厳密には整数質量でないことに大きく起因する。原子質量のための国際スケールにおいて、炭素の最も大量にある同位体には、厳密な原子質量の12.0000ダルトン(Da)が与えられている。このスケールにおいて、生物学的系において最も大量にある元素の最も大量にある同位体の正確な原子質量は、水素(H)1.0078Da、窒素(N)14.0031Da、および酸素(O)15.9949Daである。
【0195】
正確なまたは厳密な(すなわち、非整数)質量または質量電荷比は、整数または絶対質量または質量電荷比値または成分と対応する質量の充足もしくは不足値または成分を合わせたものとして表され得る。質量の充足または不足度は、整数値からの偏差を表すと考えられ、ミリダルトン単位(mDa)で表現され得る。例えば、水素(H)は、整数または絶対質量が1および質量充足度が7.8mDaであると表現され得る。窒素(N)は、整数質量が14および質量充足度が3.1mDaであると表現され得る。酸素(O)は、整数質量が16および質量不足度が5.1mDaであると表現され得る。
【0196】
同様に、有機分子のイオンの質量または質量電荷比には、整数質量または質量電荷比とその整数値からの対応する質量充足または不足度を合わせたものが与えられる。
【0197】
好ましい実施形態に係るイオンまたは化合物の質量または質量電荷比を考える場合、イオン化の方法も考慮することも好ましい。なぜなら、これにより、イオン元素組成が決定でき、したがってまた、イオン質量または質量電荷比が計算できるからである。例えば、エレクトロスプレーイオン化によって溶液がイオン化される場合、検体分子はプロトン化されて正に荷電されたイオンを形成し得る。
【0198】
これらのイオンの理論的に正確な質量または質量電荷比が分かると、好ましい実施形態によれば、可能性のあるまたは潜在的な対象代謝産物の正確な質量または質量電荷比に関して所定の予測が可能である。このため、対象代謝産物である可能性のあるピークのより良い予測が可能となり、したがって、潜在的な代謝産物が検索され、認識され、そしてMS/MSによる構造分析などのさらなる分析のために通過させるかまたは選択され得る。
【0199】
代謝産物は、親薬物に対する生体内変換の結果である。好ましい実施形態の一態様は、潜在的な対象代謝産物の質量充足度または質量不足度が対応する親薬物の質量充足度または質量不足度に実質的に同様であるという事実の認識および活用である。
【0200】
好ましい実施形態の一態様は、親イオンと潜在的な代謝産物との質量充足度または質量不足度における潜在的な類似度を使用して潜在的な対象代謝産物をより戦略的に検索する、および/または対象親イオンに関係しない質量スペクトルデータからイオンをフィルタで取り除くことができることの認識である。特に、好ましい実施形態は、親薬物の正確なまたは厳密な質量または質量電荷比の小数部が親薬物の代謝産物の正確なまたは厳密な質量または質量電荷比の小数部と実質的に同様であることに基づいて質量スペクトルデータにおいて代謝産物を検索する。
【0201】
好ましい実施形態によると、親薬物の前駆イオンの正確な質量または質量電荷比の小数部が計算される。次いで、好ましくは、小数質量または質量電荷比ウィンドウが親薬物の精密な小数質量または質量電荷比について設定される。好ましい実施形態によると、好ましくは、小数質量ウィンドウに対する上限および下限が設定される。しかし、他の実施形態によると、小数質量ウィンドウに対して上限だけまたは下限だけが設定され得る。一実施形態によると、上限および下限は同じ大きさまたは幅を有し得か、あるいは、上限および下限は大きさまたは幅が異なり得る。
【0202】
好ましい実施形態によると、好ましくは、1つまたはそれ以上の対象代謝産物を含むと考えられる試料の前駆または親イオン質量スペクトルが得られる。親イオン質量スペクトルは、イオンの正確な質量または質量電荷比の小数部が既知の親化合物またはイオンの正確な質量または質量電荷比の小数質量部に非常に近くなければならないという判断基準を満たすいくつかのまたはすべての質量ピークを求めて自動的に検索され得る。好ましい実施形態によると、潜在的な対象イオン(好ましくは、親化合物の1つまたはそれ以上の代謝産物に関係する)は、イオンの小数質量または質量電荷比が親化合物またはイオンの小数質量または質量電荷比についての質量または質量電荷比の比較的狭い帯域または範囲に入ると決定される事実によって、認識されるか、同定されるか、またはそうでなければ、さらなる分析のために選択される。
【0203】
対象代謝産物を検索するプロセスにおいて好ましく使用される小数質量または質量電荷比ウィンドウの特性をここで図12を参照してより詳細に説明する。
【0204】
図12は、好ましい実施形態によって質量スペクトルデータに使用または適用され得る小数質量または質量電荷比ウィンドウの幅を示す。小数質量または質量電荷比ウィンドウ(単位はmDa)の幅は、親イオンまたは化合物と、検索中のイオンまたは化合物(代謝産物イオンまたは化合物を含み得る)との間の絶対質量(単位はDa)または質量電荷比における差の関数として示される。親イオンまたは化合物と、検索中のイオンまたは化合物(対象の代謝産物イオンまたは化合物を含み得る)との間の絶対質量または質量電荷比における差は、ΔMと称され得る。同様に、小数質量または質量電荷比ウィンドウの上限および下限は、値δmを有するとして称され得る。
【0205】
例えば、親イオンと潜在的な対象イオンとの間の質量または質量電荷比における絶対差が10Daならば、図12に示す実施形態によると、親イオンの精密な小数質量または質量電荷比よりも+20mDa大きい上限および親イオンの精密な小数質量または質量電荷比よりも20mDa低い下限を有する小数質量または質量電荷比ウィンドウが設定され得る。
【0206】
好ましい実施形態によると、小数質量または質量電荷比ウィンドウの上限および下限は、親イオンと可能性のある代謝産物イオンとの質量または質量電荷比における絶対差ΔMの関数として変化する。したがって、また図12に示されるように、親イオンと潜在的な対象イオンとの間の質量または質量電荷比における絶対差が例えば100Daならば、図12を参照して示しかつ説明される実施形態によると、小数質量または質量電荷比ウィンドウの上限および下限は非対称である。図12に示す特定の実施形態によると、質量または質量電荷比ウィンドウは、親イオンの精密な小数質量または質量電荷比よりも+92mDa大きい上限、および親イオンの精密な小数質量または質量電荷比よりもほんの50mDa低い下限を有する。
【0207】
一般的にかつ図12に示すように、親イオンまたは化合物と対象の代謝産物イオンまたは化合物との間の質量または質量電荷比における差ΔMが比較的小さい場合(例えば、±0〜30Da)、好ましい実施形態によると、小数質量または質量電荷比ウィンドウの上限および下限の大きさも比較的小さくあり得る(例えば、20〜30mDaの範囲)。しかし、親イオンまたは化合物と対象の可能性のある代謝産物イオンまたは化合物との間の質量または質量電荷比における絶対差ΔMは増加するにつれ、好ましくは小数質量または質量電荷比ウィンドウの上限および下限の大きさも増加する。
【0208】
図12に示す実施形態によると、質量または質量電荷比の差ΔM(すなわち、親イオンまたは化合物の質量または質量電荷比から代謝産物イオンまたは化合物の質量または質量電荷比を引く)が−40〜20Daの範囲内にあるとして対象代謝産物を検索する場合、好ましくは小数質量または質量電荷比ウィンドウの上限は一定値の20mDaに設定される。親イオンまたは化合物と対象の代謝産物イオンまたは化合物との間の質量または質量電荷比の差が>20Daであれば、好ましくは小数質量または質量電荷比ウィンドウの上限は+0.09%かける(20Daより上のΔM)(すなわち、ΔMが+100の場合、小数質量ウィンドウまたは質量電荷比の上限は好ましくは20mDa+0.09%*(100Da−20Da)=20mDa+0.072Da=92mDaに設定される)の率で増加する。親イオンまたは化合物と対象の代謝産物イオンまたは化合物との間の質量または質量電荷比の差が<−40Daならば、小数質量または質量電荷比ウィンドウの上限は、好ましくは0.05%かける(−40Daより下のΔM)(すなわち、ΔMが−100の場合、小数質量または質量電荷比ウィンドウの上限は20mDa+0.05%*(100Da−40Da)=20mDa+0.030Da=50mDaに設定される)の率で増加する。
【0209】
同様に、親イオンまたは化合物と代謝産物イオンまたは化合物との間の質量または質量電荷比の差ΔMが−20〜40Daの範囲内にあるとして対象代謝産物を検索する場合、小数質量または質量電荷比ウィンドウの下限は好ましくは一定値の−20mDaに設定される。親イオンまたは化合物と対象の代謝産物イオンまたは化合物との間の質量または質量電荷比の差が>40Daであれば、小数質量または質量電荷比ウィンドウの下限は好ましくは−0.05%かける(40Daより上のΔM)(すなわち、ΔMが+100の場合、小数質量ウィンドウまたは質量電荷比の下限は好ましくは−20mDa−0.05%*(100Da−40Da)=−20mDa−0.030Da=−50mDaに設定される)の率で負に増加する。親イオンまたは化合物と対象の代謝産物イオンまたは化合物との間の質量または質量電荷比の差が<−20Daならば、小数質量または質量電荷比ウィンドウの下限は、好ましくは−0.09%かける(−20Daより下のΔM)(すなわち、ΔMが−100の場合、小数質量または質量電荷比ウィンドウの下限は−20mDa−0.09%*(100Da−20Da)=−20mDa−0.072Da=−92mDaに設定される)の率で負に増加する。
【0210】
各異なる親薬物は特定の既知の質量または質量電荷比を有すると理解される。好ましい実施形態によるアプローチは、親薬物の代謝産物が親薬物の構造と同様の構造を有すること、および各代謝産物の正確な質量または質量電荷比の小数部が親薬物の正確な質量または質量電荷比の小数部と同様であることを仮定する。
【0211】
次いで、その小数部が好ましい実施形態によって決定されるような小数質量または質量電荷比ウィンドウ内に入る正確な質量または質量電荷比を有すると好ましい実施形態により決定されるイオンが、後の動作モードにおけるさらなる分析のために選択され得る。例えば、四重極質量フィルタなどの質量フィルタを使用して、衝突またはフラグメンテーションセルへ前方向に通過されるべき特定の質量電荷比を有する潜在的に対象代謝産物イオンであると考えられる特定のイオンが選択され得る。次いで、イオンは衝突またはフラグメンテーションセル内でフラグメンテーションされ、その後、得られたフラグメント産物イオンは質量分析され得る。
【0212】
好ましい実施形態によると、多くの内因性のイオンピークが自動的にさらなる検討から外されることが可能となる。これは特に利点であり、結果として、好ましい実施形態は、著しく改善された、試料において潜在的な代謝産物を認識する方法に関係する。
【0213】
代謝産物または他のイオンの正確な質量または質量電荷比の小数部が入るべき小数質量または質量電荷比ウィンドウは、LC−MSおよび/またはLC−MS−MS実験を始める前に定義され得る。小数質量または質量電荷比ウィンドウの値または大きさは、1回の実験中に起こる可能性のある質量誤差を調整するように設定され得る。また、値または大きさは、親薬物の元素組成にしたがって設定され得る。例えば、親薬物が炭素、水素、窒素、酸素およびフッ素以外の元素を含まないならば、小数質量または質量電荷比ウィンドウの上限および/または下限は、親薬物が元素のリン、硫黄および塩素のいずれかまたはすべてを含む場合よりも低い(小さい)値に設定され得る。なぜなら、リン、硫黄および塩素はすべて炭素、水素、窒素、酸素およびフッ素よりも大きな質量不足度を有するからである。
【0214】
親薬物と代謝産物との間の質量または質量電荷比の差が大きくなるほど、生体内変換に関与する可能性のある原子が多くなる。したがって、いくつかの原子が生体内変換に関与していると考えられるならば、正確な質量または質量電荷比の小数部の変化の許容度は好ましくはより大きくされるべきである。言い換えると、親薬物と代謝産物との間の絶対質量または質量電荷比における差が増加するにつれ、好ましくは小数質量または質量電荷比ウィンドウの幅または大きさ、または小数質量または質量電荷比ウィンドウの上限および/または下限も増加すべきである。なぜなら、代謝産物はより大きな質量不足または充足度を有する可能性があるからである。
【0215】
好ましい実施形態によると、生体内変換において起こったかもしれない質量充足度における最大変化は、起こったかもしれない質量不足度における最大の変化とは異なり得るという事実が許容され得る。したがって、非対称な小数質量または質量電荷比ウィンドウは、例えば、図12に図示された実施形態に関連して示しかつ説明された非対称な小数質量または質量電荷比ウィンドウと同様に使用され得る。
【0216】
他の好ましさが劣る好ましい実施形態によると、簡単で対称な小数質量または質量電荷比ウィンドウが使用され得る。例えば、±20Daまでの親薬物と対象イオンとの間の質量または質量電荷比の差ΔMに対して、±20mDの上限および下限を有する小数質量または質量電荷比ウィンドウが使用され得る。親薬物と対象イオンとの間の質量または質量電荷比の差が<−20Daまたは>20Daであれば、小数質量または質量電荷比ウィンドウの上限および下限は、<−20Daまたは>20Daである質量または質量電荷比の差に対して0.1%の率で増加し得る。
【0217】
一般に、小数質量または質量電荷比ウィンドウは、親薬物と対象イオンとの間の質量または質量電荷比の差ΔMに対して小数質量または質量電荷比の差δmの複数の値を有する。δmおよびΔMの値は、好ましくはδmおよびΔMの各極性に依存せずに定義され得る。
【0218】
好ましい実施形態によると、質量分析計は、好ましくはフラグメンテーションするように誘導される、選択された前駆または親イオンからの親イオン質量スペクトルおよびフラグメントイオン質量スペクトルを記録する。質量分析計は、例えば、扇形磁場、飛行時間、直交飛行時間、四重極質量フィルタ、3D四重極イオントラップ、直線四重極イオントラップもしくはFT−ICR質量分析部、またはそれらの組み合わせを備え得る。
【0219】
特に好適な実施形態によると、質量分析計は、扇形磁場、飛行時間、直交飛行時間またはFT−ICR質量分析部のいずれかを備え得る。
【0220】
質量分析計は、質量ピークが検出されないか、かつされるまでは、全親イオン質量スペクトルを獲得するようにデフォルト操作モードで設定され得る。ここで、検出されたイオンの正確な質量または質量電荷比の小数部は好ましくは予め定義された小数質量または質量電荷比ウィンドウに入る。一旦そのような質量ピークが検出されると、質量分析計および関連の制御ソフトウェアは、好ましくはその機器を切り換えて、特定の小数質量または質量電荷比を有するまたは対象の親イオンが質量フィルタによって選択され、移送され、他方小数質量または質量電荷比ウィンドウから外れる小数質量または質量電荷比を有する他のイオンは、好ましくはシステムに対して実質的に減衰されるか、または失われる。次いで、選択された対象の親イオンは、イオンガイドおよび好ましくは>10-3mbarの圧力に維持された衝突ガスを好ましくは備えるフラグメンテーションまたは衝突セルに好ましくは移される。イオンは、衝突またはフラグメンテーションセル中に存在する衝突ガスに衝突した際に、イオンが好ましくはフラグメント生成イオンにフラグメンテーションされるようなエネルギーで衝突またはフラグメンテーションセル中へ好ましくは加速される。次いで、フラグメント生成イオンは、好ましくは質量分析され、次いでフラグメント生成イオンの全質量スペクトルが好ましくは得られる。次いで、フラグメンテーションまたは衝突セルは、高フラグメンテーション動作モードと低フラグメンテーション動作モードとの間で繰り返し切り替えられ得る。
【0221】
小数質量または質量電荷比ウィンドウの大きさは好ましくは予め定義されるが、他の好ましさが劣る好ましい実施形態によると小数質量または質量電荷比ウィンドウの大きさは実験データに応じてまたは他のパラメータに基づいて変更され得る。一実施形態によると、例えば、ΔM、M1またはM2の関数として第1のプロファイルまたは大きさを有する小数質量または質量電荷比ウィンドウが適用され得る1回目の実験が行われ、次いでその後の2回目の実験において、ΔM、M1またはM2の関数として第2の異なるプロファイルまたは大きさを有する小数質量または質量電荷比ウィンドウが適用され得る。
【0222】
一実施形態によると、制御ソフトウェアは、選択された前駆または親イオンに対して適切な最適フラグメンテーション衝突エネルギーを含む他のパラメータを選択するかまたは決定し得る。
【0223】
好ましい実施形態の重要な利点は、より有用なMS/MSスペクトルが1回のLC−MS実験の限られた時間スケール内で獲得できることである。これにより、必要なデータを得るためにかかる時間が低減する。好ましい実施形態の他の重要な利点は、従来のアプローチを採用した場合には多くの比較的強い内因性の質量ピークによって検出されない低レベルの代謝産物を好ましい方法が容易に検出することである。
【0224】
ミダゾラムの例を参照し、図13はハイブリッド四重極飛行時間質量分析計を使用して記録されるような薬物ミダゾラムの親イオン質量スペクトルを示す。主同位体に対して測定された質量電荷比は、326.0872(参考:理論値は326.0860)であるとして決定された。図14は、同じハイブリッド四重極飛行時間質量分析計を使用して記録されるようなミダゾラムのヒドロキシル化代謝産物の親イオン質量スペクトルを示す。主同位体に対して測定された質量電荷比は、342.0822(参考:理論値は342.0809)であるとして決定された。実験データから、親薬物の正確に決定された質量電荷比の小数部とヒドロキシル化代謝産物の正確に決定された質量電荷比の小数部における差は、0.0872−0.0822=0.0050Da、すなわち、ほんの5mDaの質量不足度であった。
【0225】
図13および図14に示す実験データから、より一般には、ミダゾラムのヒドロキシル化代謝産物を含むミダゾラムの潜在的な代謝産物が検索され、位置づけられ、次いでさらなる検討および分析(好ましくはMS−MSによる)のための選択され得ることが理解される。これは、潜在的に全く異なる絶対質量電荷比を有し得るが、親薬物および対象イオンの小数質量または質量電荷比における差が、例えば、10mDa未満である質量ピークを親イオン質量スペクトルデータから検索することによって達成することができる。
【0226】
好ましい実施形態に係る方法は、内因性の成分に関係するイオンが分析されずに(またはされても少ない)、対象代謝産物である可能性のある(または少なくとも含む)質量ピークを効率的に検出できる有効な方法を提供する。したがって、好ましい方法は、従来の手法では検討に含まれてしまう多くの内因性の質量ピークを検討から有利に効果的にフィルタで取り除くか、除去する。
【0227】
好ましい実施形態によると、対象代謝産物ではないと判明される多くのイオンを分析する時間を無駄にせずに、典型的な液体クロマトグラフィ質量ピークが観察される間の時間スケール内において対象代謝産物に関係する可能性のあるイオンのフラグメントイオンスペクトルを記録するように質量分析計が切り換えることが有利に可能となる。
【0228】
一実施形態によると、インテリジェントな厳密質量不足アリゴリズムは、コンピュータによる(in silico)代謝産物予測とともに使用して、好ましくはハイブリッド四重極飛行時間質量分析計を使用する代謝研究のためのDDA実験を予め決定し得る。
【0229】
DDA(データ依存実験)を実行する際の主な問題の1つは、対象でないと判明するイオンについてDDA実験を行うために非常に多くの時間がかかり得ることである。その結果、重要な推定代謝産物が簡単に取り損なわれ得る。
【0230】
一実施形態によると、特定の代謝産物はコンピュータによって事前に予測され、適切である厳密な小数質量または質量電荷比データフィルタウィンドウが設定され得る。したがって、実施形態によると、ある新規な化学エンティティまたは標準の化合物からの代謝産物が予測され、次いで検索され得る。一旦代謝産物が予測されると、設定された小数質量または質量電荷比ウィンドウ(例えば、上限および/または下限の10〜20mDaを有し得る)内の小数質量または質量電荷比を有するイオンが存在するとして観察される場合に、厳密な小数質量ウィンドウがDDA実験を行うように単に切り換えるように設定され得る。
【0231】
一実施形態によると、潜在的に未知の代謝産物またはフラグメントが発見され得る。ユーザは、例えば、厳密な小数質量または質量電荷比ウィンドウを選択または設定して、厳密な小数質量または質量電荷比に基づいてすでに予測された代謝産物を検出し、動作モードにおいてMS/MS実験が実行され得る。これに加えて、親化合物の厳密な質量または質量電荷比に基づいた厳密な質量不足度が決定され得る。この特定のデータフィルタが上記の実施形態に係るデータフィルタよりも特異的であると考えられ得る。なぜなら、すべての代謝産物が予測されるとは限らない場合があるからである。したがって、予測されない代謝産物は、厳密な質量または質量電荷比データフィルタを用いたDDA実験において検出される。
【0232】
厳密な質量または質量電荷比不足度フィルタは、以下のモードで動作し得る。分析下において親薬物の質量または質量電荷の小数部に基づく厳密な質量または質量電荷比不足度フィルタが使用され得る。この実施形態によると、ユーザ定義判断基準に一致しないメタボリンクス(MetaboLynx)ブラウザにおける予期しない代謝産物エントリの除去が可能な後処理フィルタが使用され得る。このフィルタを使用することにより、潜在的な代謝産物と同じ整数質量を有し得る大多数の基質関連エントリをフィルタで除去することによって予期しない代謝産物テーブルにおける偽エントリの数を劇的に減らすことができる。これにより、ユーザは、データ処理中に低い閾値を使用することで、手動で偽陽性を除く面倒な作業を行わずに非常に低い代謝産物レベルを同定することが可能となる。フィルタは、好ましくは正確なおよび特異的なフィルタである。なぜなら、各対象親薬物に特異的な厳密な質量および質量不足度に基づくからである。
【0233】
各親薬物は特定の数の元素(C、H、N、Oなど)から構成される。上記の元素のそれぞれの数に応じて、薬物の小数質量または質量電荷比は非常に特異的である。例えば、図15Aを参照すると、ベラパミルは以下の元素を含む: C27 H38 N2 O4。これは、モノアイソトピックプロトン化質量の455.2910Daに相当する。アルキル基が除かれ(N−脱アルキル化、一般代謝経路)およびグルクロニドが付加されるならば、質量は精密に+162.0.164Daだけ移動する。したがって、代謝産物のモノアイソトピック質量は617.3074Daである。ベラパミルとそのN−脱アルキル化代謝産物との小数質量差は、厳密な質量不足度の0.3074−0.2910=0.0164Da(16.4mDa)に対応する。したがって、約20mDaの小数質量または質量電荷比ウィンドウが使用されるならば、そのN−脱アルキル化グルクロニド化代謝産物を検出できるであろう。以下の仮定の一部または全部が与えられるならば、ベラパミルの代謝産物を前もって知らなくてもよい。(i)すべての代謝産物は、対応する親の小数質量または質量電荷比の250mDa以内の小数質量または質量電荷比を有する、(ii)対象代謝産物は、一般に、さらにより小さなフラグメントへの大きな開裂がなければ(例えば、最大フェーズII生体内変換であるグルタチオン抱合により、親薬物に比較して質量不足度差が68mDaとなる)、親の100mDa以内の小数質量または質量電荷比を有する、および(iii)ほとんどの代謝産物は、所定の開裂が構造に起きてより小さなフラグメントを生じても、親化合物の180mDa小数質量または質量電荷比ウィンドウ内に入る。
【0234】
図15Aおよび図15Bは、ケトチフェン、ベラパミルおよびインジナビル(Indinavir)の代謝産物を示し、開裂を含む。最大小数質量または質量電荷比不足度はインジナビル(図15B)の場合であり、ここで代謝産物は、親化合物の小数質量または質量電荷比とは異なる167.7mDaの小数質量または質量電荷比を有する。質量不足度の変位は各代謝産物および親薬物に対して非常に特異的である。
【0235】
本発明の種々の実施形態は、好ましい実施形態に係るようなハイブリッド四重極直交飛行時間機器上だけに限らず、整数質量機器(三連四重極、直線および3Dイオントラップなど)、および厳密な質量機器(MALDI/四重極飛行時間およびFTMSなど)を使用しても実現され得る。
【0236】
一実施形態によると、質量スペクトルデータに適用される小数質量ウィンドウは、親イオンまたは化合物と代謝産物との間の質量における差の関数として図12に示すように変化する。しかし、小数質量フィルタの幅が、検査される化合物または代謝産物の絶対または整数質量の関数として変化する他の実施形態が考えられる。図16は、モノアイソトピック質量が454.2831Daの親薬物(ベラパミル)を示す。注目化合物または代謝産物の絶対質量の関数として変化する小数質量ウィドウを適用することにより、代謝産物を検索する。小数質量ウィンドウは、注目化合物または代謝産物の絶対質量の関数としても変化する質量不足値を中心に適用される。
【0237】
図16に示す例では、絶対または整数質量が260〜305Daの範囲にある化合物または代謝産物は、小数質量または質量不足値0.2060を中心に適用される小数質量ウィンドウにかけられる。適用される小数質量ウィンドウの上限は+7mDaであり、下限は−25mDaである。すなわち、絶対または整数質量が260〜305Daの範囲にあるイオンに対して、小数質量が0.1810〜0.2130の範囲にあるイオンは、潜在的な対象イオン(例えば、代謝産物イオン)であると考えられ、この範囲から外れる小数質量を有するイオンは、好ましくは、有意性において減衰または低減される。
【0238】
絶対または整数質量が400〜480Daの範囲にある化合物または代謝産物は、小数質量または質量不足値0.2910を中心に適用される小数質量ウィンドウにかけられる。小数質量ウィンドウの上限は+7mDaであり、下限は−30mDaである。すなわち、絶対または整数質量が400〜490Daの範囲にあるイオンに対して、小数質量が0.2610〜0.2980の範囲にあるイオンは、潜在的な対象イオン(例えば、代謝産物イオン)であると考えられ、この範囲から外れる小数質量を有するイオンは、好ましくは、有意性において減衰または低減される。
【0239】
図16に示すように、ベラパミルの第1の代謝産物のモノアイソトピック質量は、290.1994Daである。絶対または整数質量が260〜305の範囲にあるイオンに対して、0.1810〜0.2130の範囲を有する小数質量ウィンドウが適用され、これにより、小数質量が0.1994Daである第1の代謝産物がその小数質量ウィンドウ内に入るので、親薬物の潜在的な代謝産物であるとして同定され得る。
【0240】
ベラパミルの第2の代謝産物のモノアイソトピック質量は、440.2675Daである。絶対または整数質量が400〜480の範囲にあるイオンに対して、0.2610〜0.2980の範囲の小数質量ウィンドウが適用され、これにより、小数質量が0.2675である第2の代謝産物がその小数質量ウィンドウ内に入るので、同様に親薬物の潜在的な代謝産物であるとして同定され得る。
【0241】
図17は、従来の方法で得たベラパミルの質量クロマトグラムまたは総イオン電流および小数質量ウィンドウを質量スペクトルデータに適用した本発明の一実施形態によって得たベラパミルの別の質量クロマトグラムまたは総イオン電流を示す。好ましい実施形態に係るアプローチを用いた場合、親薬物および代謝産物が明確に認められる。
【0242】
本発明を好ましい実施形態を参照して説明したが、添付の特許請求の範囲に記載されるような発明の範囲から逸脱せずに種々の変更が形態および詳細になされ得ることが当業者に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0243】
【図1】図1は、本発明の実施形態の模式図である。
【図2】図2は、試料充填および脱塩の際のバルブスイッチ構成の模式図であり、挿入図は、分析カラムからの試料の脱離を示す。
【図3】図3Aは、フラグメントまたは娘イオン質量スペクトルを示す。図3Bは、質量フィルタが、質量電荷比が350より大きい親または前駆イオンを移送することが可能となった場合の対応する親または前駆イオン質量スペクトルを示す。
【図4】図4Aは、種々の質量範囲の時間プロフィールを示す質量クロマトグラムを示す。図4Bは、種々の質量範囲の時間プロフィールを示す質量クロマトグラムを示す。図4Cは、種々の質量範囲の時間プロフィールを示す質量クロマトグラムを示す。図4Dは、種々の質量範囲の時間プロフィールを示す質量クロマトグラムを示す。図4Eは、種々の質量範囲の時間プロフィールを示す質量クロマトグラムを示す。
【図5】図5は、図4A〜図4Eを順に重ねた質量クロマトグラムを示す。
【図6】図6は、87.04(アスパラギンインモニウムイオン)の質量クロマトグラムを示す。
【図7】図7は、ADH(配列:ANELLINVK、MW:1012.59)からのフラグメントT5を示す。
【図8】図8は、β−カゼインのトリプシン消化の低エネルギースペクトルに対する質量スペクトルを示す。
【図9】図9は、β−カゼインのトリプシン消化の高エネルギースペクトルに対する質量スペクトルを示す。
【図10】図10は、図9と同じスペクトルを処理および拡大した図である。
【図11】図11はミダゾラムと呼ばれる親薬物の構造および厳密な質量と、ミダゾラムのヒドロキシル化代謝産物の構造および厳密な質量とを示す。
【図12】図12は、親イオンまたはその親イオンに関係するフラグメントイオンの潜在的な代謝産物を求めて質量スペクトルデータまたは質量スペクトルを検索する際にイオンの小数質量または質量電荷比値に適用される好ましい実施形態に係る小数質量または質量電荷比ウィンドウの上限および下限を示す。
【図13】図13は、ミダゾラムの親イオン質量スペクトルを示す。
【図14】図14は、ミダゾラムのヒドロキシル化代謝産物の親イオン質量スペクトルを示す。
【図15A】図15Aは、ケトチフェンおよびベラパミルの構造および厳密な質量、およびケトチフェンおよびベラパミルの代謝産物の構造および厳密な質量を示す。
【図15B】図5Bは、インジナビルの構造および厳密な質量、およびインジナビルの代謝産物の構造および厳密な質量を示す。
【図16】図16は、絶対質量の関数として変化する小数質量値を中心に変化する異なる幅の小数質量フィルタが、親薬物の潜在的な代謝産物を同定するのに一実施形態によるとどのように用いられるかを示す。
【図17】図17は、ベラパミルの試料に対する、従来の方法で得た総イオン電流または質量クロマトグラムと、親薬物および潜在的な代謝産物の観察を可能にするデータに対して小数質量ウィンドウを適用した本発明の好ましい実施形態により得た総イオン電流または質量クロマトグラムとを示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
質量分析の方法であって、
(a)親または前駆イオンを衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスに渡すステップと、
(b)前記衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスを第1の動作モードにおいて動作させるステップであって、前記親または前駆イオンのうちの少なくともいくつかが衝突、フラグメンテーションまたは反応されて、フラグメント、生成、娘または付加イオンを生成する、ステップと、
(c)前記第1の動作モードにおいて動作する衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスから現れるか、またはそこを通って移送されてきたイオンに関係する第1の質量スペクトルデータを記録するステップと、
(d)前記衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスを第2の動作モードにおいて動作するように切り換え、改変、または変更するステップであって、実質的により少ない親または前駆イオンが衝突、フラグメンテーションまたは反応される、ステップと、
(e)前記第2の動作モードにおいて動作する衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスから現れるか、またはそこを通って移送されてきたイオンに関係する第2の質量スペクトルデータを記録するステップと、
(f)ステップ(b)〜(e)を複数回繰り返すステップと、
(g)1つまたはそれ以上の親もしくは前駆物質またはイオンの正確なまたは厳密な質量または質量電荷比を決定するステップであって、前記1つまたはそれ以上の親もしくは前駆物質またはイオンの正確なまたは厳密な質量または質量電荷比は、第1の整数質量または質量電荷比成分M1および第1の小数質量または質量電荷比成分m1を含む、ステップと、
(h)前記第1の質量スペクトルデータにおいてまたはそれから1つまたはそれ以上のフラグメント、生成、娘もしくは付加物質またはイオンを検索または決定するステップであって、前記1つまたはそれ以上のフラグメント、生成、娘もしくは付加物質またはイオンは、第2の整数質量または質量電荷比成分M2および第2の小数質量または質量電荷比成分m2を含み、前記第2の小数質量または質量電荷比成分m2は、前記第1の小数質量または質量電荷比成分m1よりも0〜x1mDaまたはミリ−質量電荷比単位大きい、および/または前記第1の小数質量または質量電荷比成分m1よりも0〜x2mDaまたはミリ−質量電荷比単位小さい、ステップとを含む方法。
【請求項2】
前記1つまたはそれ以上の親もしくは前駆物質またはイオンは、製薬化合物、薬物または活性成分を含むか、またはそれに関係する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記1つまたはそれ以上の親もしくは前駆物質またはイオンは、製薬化合物、薬物または活性成分の1つまたはそれ以上の代謝産物または誘導体を含むか、またはそれに関係する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記1つまたはそれ以上の親もしくは前駆物質またはイオンは、生体高分子、タンパク質、ペプチド、ポリペプチド、オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオシド、アミノ酸、炭水化物、糖、脂質、脂肪酸、ビタミン、ホルモン、DNAの部分もしくはフラグメント、cDNAの部分もしくはフラグメント、RNAの部分もしくはフラグメント、mRNAの部分もしくはフラグメント、tRNAの部分もしくはフラグメント、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、リボヌクレアーゼ、酵素、代謝産物、多糖類、リン酸化ペプチド、リン酸化タンパク質、糖ペプチド、糖タンパク質、またはステロイドを含むか、あるいはそれらに関係する、請求項1、2または3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記1つまたはそれ以上のフラグメント、生成、娘もしくは付加物質またはイオンを検索または決定するステップは、前記1つまたはそれ以上のフラグメント、生成、娘もしくは付加物質またはイオンの小数質量または質量電荷比成分にのみ基づき、前記1つまたはそれ以上のフラグメント、生成、娘もしくは付加物質またはイオンの整数質量または質量電荷比成分には基づかずに検索または決定するステップを含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記1つまたはそれ以上のフラグメント、生成、娘もしくは付加物質またはイオンを検索または決定するステップは、前記第1の整数質量または質量電荷比成分M1と異なる第2の整数質量または質量電荷比成分M2を有する一部またはすべてのフラグメント、生成、娘もしくは付加物質またはイオンを検索または決定するステップを含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記1つまたはそれ以上のフラグメント、生成、娘もしくは付加物質またはイオンを検索または決定するステップは、小数質量または質量電荷比ウィンドウを前記第1の質量スペクトルデータまたは質量スペクトルに適用するステップをさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記小数質量または質量電荷比ウィンドウは、前記小数質量または質量電荷比ウィンドウから外れる小数質量または質量電荷比成分を有するフラグメント、生成、娘もしくは付加物質またはイオンの有意性をフィルタで取り除くか、除去するか、減衰させるか、または少なくとも低減する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の整数質量または質量電荷比M1から前記第2の整数質量または質量電荷比M2を差し引いたものがΔMダルトンまたは質量電荷比単位の値を有する、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記x1および/またはx2は、ΔMの関数として実質的に一定のままとなるように構成される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記x1および/またはx2は、ΔMの関数として変化するように構成される、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記x1および/またはx2は、ΔMの関数として対称的、非対称的、直線的、非直線的、曲線的または段階的に変化するように構成される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記x1および/またはx2は、(i)0、(ii)±0〜5、(iii)±5〜10、(iv)±10〜15、(v)±15〜20、(vi)±20〜25、(vii)±25〜30、(viii)±30〜35、(ix)±35〜40、(x)±40〜45、(xi)±45〜50、(xii)±50〜55、(xiii)±55〜60、(xiv)±60〜65、(xv)±65〜70、(xvi)±70〜75、(xvii)±75〜80、(xviii)±80〜85、(xix)±85〜90、(xx)±90〜95、(xxi)±95〜100、(xxii)>100、および(xxiii)<−100からなる群から選択されるΔMの値を中心にして対称にΔMの関数として変化するように構成される、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
前記x1および/またはx2は、y%*ΔMの率で増加するか、または減少するように構成され、前記yは、(i)<0.01、(ii)0.01〜0.02、(iii)0.02〜0.03、(iv)0.03〜0.04、(v)0.04〜0.05、(vi)0.05〜0.06、(viii)0.06〜0.07、(ix)0.07〜0.08、(x)0.08〜0.09、(xi)0.09〜0.10、(xii)0.10〜0.11、(xiii)0.11〜0.12、(xiv)0.12〜0.13、(xv)0.13〜0.14、(xvi)0.14〜0.15、(xvii)0.15〜0.16、(xviii)0.16〜0.17、(xix)0.17〜0.18、(xx)0.18〜0.19、(xxi)0.19〜0.20、および(xxii)>0.20からなる群から選択される、請求項9〜13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
ΔM<Mlowerおよび/またはΔM>Mlowerおよび/またはΔM<Mupperおよび/またはΔM>Mupperならば、x1および/またはx2は、実質的に一定値を有するように構成される、請求項9〜14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
ΔM<Mlowerおよび/またはΔM>Mlowerおよび/またはΔM<Mupperおよび/またはΔM>Mupperならば、x1および/またはx2は、ΔMの関数として変化するように構成される、請求項9〜15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
ΔM<Mlowerおよび/またはΔM>Mlowerおよび/またはΔM<Mupperおよび/またはΔM>Mupperならば、x1および/またはx2は、ΔMの関数として対称的、非対称的、直線的、非直線的、曲線的または段階的に変化するように構成される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記x1および/またはx2は、(i)0、(ii)±0〜5、(iii)±5〜10、(iv)±10〜15、(v)±15〜20、(vi)±20〜25、(vii)±25〜30、(viii)±30〜35、(ix)±35〜40、(x)±40〜45、(xi)±45〜50、(xii)±50〜55、(xiii)±55〜60、(xiv)±60〜65、(xv)±65〜70、(xvi)±70〜75、(xvii)±75〜80、(xviii)±80〜85、(xix)±85〜90、(xx)±90〜95、(xxi)±95〜100、(xxii)>100、および(xxiii)<−100からなる群から選択されるΔMの値を中心にして対称にΔMの関数として変化するように構成される、請求項16または17に記載の方法。
【請求項19】
ΔM<Mlowerおよび/またはΔM>Mlowerおよび/またはΔM<Mupperおよび/またはΔM>Mupperならば、x1および/またはx2は、y%*ΔMの率で増加するか、または減少するように構成され、前記yは、(i)<0.01、(ii)0.01〜0.02、(iii)0.02〜0.03、(iv)0.03〜0.04、(v)0.04〜0.05、(vi)0.05〜0.06、(viii)0.06〜0.07、(ix)0.07〜0.08、(x)0.08〜0.09、(xi)0.09〜0.10、(xii)0.10〜0.11、(xiii)0.11〜0.12、(xiv)0.12〜0.13、(xv)0.13〜0.14、(xvi)0.14〜0.15、(xvii)0.15〜0.16、(xviii)0.16〜0.17、(xix)0.17〜0.18、(xx)0.18〜0.19、(xxi)0.19〜0.20、および(xxii)>0.20からなる群から選択される、請求項9〜18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
前記Mupperは、ダルトンまたは質量電荷比単位の値であり、(i)<1、(ii)1〜5、(iii)5〜10、(iv)10〜15、(v)15〜20、(vi)20〜25、(vii)25〜30、(viii)30〜35、(ix)35〜40、(x)40〜45、(xi)45〜50、(xii)50〜55、(xiii)55〜60、(xiv)60〜65、(xv)65〜70、(xvi)70〜75、(xvii)75〜80、(xviii)80〜85、(xix)85〜90、(xx)90〜95、(xxi)95〜100、および(xxii)>100からなる群から選択される範囲に入る、請求項15〜19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
前記Mlowerは、ダルトンまたは質量電荷比単位の値であり、(i)<−100、(ii)−100〜−95、(iii)−95〜−90、(iv)−90〜−85、(v)−85〜−80、(vi)−80〜−75、(vii)−75〜−70、(viii)−70〜−65、(ix)−65〜−60、(x)−60〜−55、(xi)−55〜−50、(xii)−50〜−45、(xiii)−45〜−40、(xiv)−40〜−35、(xv)−35〜−30、(xvi)−30〜−25、(xvii)−25〜−20、(xviii)−20〜−15、(xix)−15〜−10、(xx)−10〜−5、(xxi)−5〜−1、および(xxii)>−1からなる群から選択される範囲に入る、請求項15〜20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
前記x1および/またはx2は、M1および/またはM2の関数として実質的に一定のままとなるように構成される、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
前記x1および/またはx2は、M1および/またはM2の関数として変化するように構成される、請求項1〜21のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
前記x1および/またはx2は、M1および/またはM2の関数として対称的、非対称的、直線的、非直線的、曲線的または段階的に変化するように構成される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記x1および/またはx2は、(i)0〜50、(ii)50〜100、(iii)100〜150、(iv)150〜200、(v)200〜250、(vi)250〜300、(vii)300〜350、(viii)350〜400、(ix)400〜450、(x)450〜500、(xi)500〜550、(xii)550〜600、(xiii)600〜650、(xiv)650〜700、(xv)700〜750、(xvi)750〜800、(xvii)800〜850、(xviii)850〜900、(xix)900〜950、(xx)950〜1000、および(xxi)>1000からなる群から選択されるM1および/またはM2の値を中心にして対称にM1および/またはM2の関数として変化するように構成される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記x1および/またはx2は、y%*M1および/またはy%*M2の率で増加するか、または減少するように構成され、前記yは、(i)<0.01、(ii)0.01〜0.02、(iii)0.02〜0.03、(iv)0.03〜0.04、(v)0.04〜0.05、(vi)0.05〜0.06、(viii)0.06〜0.07、(ix)0.07〜0.08、(x)0.08〜0.09、(xi)0.09〜0.10、(xii)0.10〜0.11、(xiii)0.11〜0.12、(xiv)0.12〜0.13、(xv)0.13〜0.14、(xvi)0.14〜0.15、(xvii)0.15〜0.16、(xviii)0.16〜0.17、(xix)0.17〜0.18、(xx)0.18〜0.19、(xxi)0.19〜0.20、および(xxii)>0.20からなる群から選択される、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項27】
M1<Mlowerおよび/またはM1>Mlowerおよび/またはM1<Mupperおよび/またはM1>Mupperおよび/またはM2<Mlowerおよび/またはM2>Mlowerおよび/またはM2<Mupperおよび/またはM2>Mupperならば、x1および/またはx2は、実質的に一定値を有するように構成される、請求項9〜26のいずれかに記載の方法。
【請求項28】
M1<Mlowerおよび/またはM1>Mlowerおよび/またはM1<Mupperおよび/またはM1>Mupperおよび/またはM2<Mlowerおよび/またはM2>Mlowerおよび/またはM2<Mupperおよび/またはM2>Mupperならば、x1および/またはx2は、M1および/またはM2の関数として変化するように構成される、請求項9〜27のいずれかに記載の方法。
【請求項29】
M1<Mlowerおよび/またはM1>Mlowerおよび/またはM1<Mupperおよび/またはM1>Mupperおよび/またはM2<Mlowerおよび/またはM2>Mlowerおよび/またはM2<Mupperおよび/またはM2>Mupperならば、x1および/またはx2は、M1および/またはM2の関数として対称的、非対称的、直線的、非直線的、曲線的または段階的に変化するように構成される、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記x1および/またはx2は、(i)0〜50、(ii)50〜100、(iii)100〜150、(iv)150〜200、(v)200〜250、(vi)250〜300、(vii)300〜350、(viii)350〜400、(ix)400〜450、(x)450〜500、(xi)500〜550、(xii)550〜600、(xiii)600〜650、(xiv)650〜700、(xv)700〜750、(xvi)750〜800、(xvii)800〜850、(xviii)850〜900、(xix)900〜950、(xx)950〜1000、および(xxi)>1000からなる群から選択されるM1および/またはM2の値を中心にして対称にM1および/またはM2の関数として変化するように構成される、請求項28または29に記載の方法。
【請求項31】
M1<Mlowerおよび/またはM1>Mlowerおよび/またはM1<Mupperおよび/またはM1>Mupperおよび/またはM2<Mlowerおよび/またはM2>Mlowerおよび/またはM2<Mupperおよび/またはM2>Mupperならば、x1および/またはx2は、y%*M1またはy%*M2の率で増加するか、または減少するように構成され、前記yは、(i)<0.01、(ii)0.01〜0.02、(iii)0.02〜0.03、(iv)0.03〜0.04、(v)0.04〜0.05、(vi)0.05〜0.06、(viii)0.06〜0.07、(ix)0.07〜0.08、(x)0.08〜0.09、(xi)0.09〜0.10、(xii)0.10〜0.11、(xiii)0.11〜0.12、(xiv)0.12〜0.13、(xv)0.13〜0.14、(xvi)0.14〜0.15、(xvii)0.15〜0.16、(xviii)0.16〜0.17、(xix)0.17〜0.18、(xx)0.18〜0.19、(xxi)0.19〜0.20、および(xxii)>0.20からなる群から選択される、請求項9〜30のいずれかに記載の方法。
【請求項32】
前記Mupperは、ダルトンまたは質量電荷比単位の値であり、(i)0〜50、(ii)50〜100、(iii)100〜150、(iv)150〜200、(v)200〜250、(vi)250〜300、(vii)300〜350、(viii)350〜400、(ix)400〜450、(x)450〜500、(xi)500〜550、(xii)550〜600、(xiii)600〜650、(xiv)650〜700、(xv)700〜750、(xvi)750〜800、(xvii)800〜850、(xviii)850〜900、(xix)900〜950、(xx)950〜1000、および(xxi)>1000からなる群から選択される範囲に入る、請求項27〜31のいずれかに記載の方法。
【請求項33】
前記Mlowerは、ダルトンまたは質量電荷比単位の値であり、(i)0〜50、(ii)50〜100、(iii)100〜150、(iv)150〜200、(v)200〜250、(vi)250〜300、(vii)300〜350、(viii)350〜400、(ix)400〜450、(x)450〜500、(xi)500〜550、(xii)550〜600、(xiii)600〜650、(xiv)650〜700、(xv)700〜750、(xvi)750〜800、(xvii)800〜850、(xviii)850〜900、(xix)900〜950、(xx)950〜1000、および(xxi)>1000からなる群から選択される範囲に入る、請求項27〜32のいずれかに記載の方法。
【請求項34】
(i)前記第1の小数質量または質量電荷比成分m1よりも0〜x1mDaまたはミリ−質量電荷比単位大きい、および/または前記第1の小数質量または質量電荷比成分m1よりも0〜x2mDaまたはミリ−質量電荷比単位小さい小数質量または質量電荷比成分を有する1つまたはそれ以上の第2の物質またはイオン、
および/または
(ii)衝突、フラグメンテーションまたは反応した場合、前記第1の小数質量または質量電荷比成分m1よりも0〜x1mDaまたはミリ−質量電荷比単位大きい、および/または前記第1の小数質量または質量電荷比成分m1よりも0〜x2mDaまたはミリ−質量電荷比単位小さい小数質量または質量電荷比成分を有する1つまたはそれ以上のフラグメント、生成、娘もしくは付加物質またはイオンを生成する1つまたはそれ以上の第2の物質またはイオン
のいずれかをさらなる分析のために選択するステップをさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項35】
前記さらなる分析のために選択するステップは、前記1つまたはそれ以上の第2の物質またはイオンをフラグメンテーションするステップを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記さらなる分析のために選択するステップは、前記第1の小数質量または質量電荷比成分m1よりも0〜x1mDaまたはミリ−質量電荷比単位大きい、および/または前記第1の小数質量または質量電荷比成分m1よりも0〜x2mDaまたはミリ−質量電荷比単位小さい小数質量または質量電荷比成分を有する前記1つまたはそれ以上の第2の物質またはイオンを、衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスへ前方向に移送するステップを含む、請求項34または35に記載の方法。
【請求項37】
質量分析の方法であって、
(a)親または前駆イオンを衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスに渡すステップと、
(b)前記衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスを第1の動作モードにおいて動作させるステップであって、前記親または前駆イオンの少なくともいくつかが衝突、フラグメンテーションまたは反応されて、フラグメント、生成、娘または付加イオンを生成する、ステップと、
(c)前記第1の動作モードにおいて動作する衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスから現れるか、またはそこを通って移送されてきたイオンに関係する第1の質量スペクトルデータを記録するステップと、
(d)前記衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスを第2の動作モードにおいて動作するように切り換え、改変、または変更するステップであって、実質的により少ない親または前駆イオンが衝突、フラグメンテーションまたは反応される、ステップと、
(e)前記第2の動作モードにおいて動作する衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスから現れるか、またはそこを通って移送されてきたイオンに関係する第2の質量スペクトルデータを記録するステップと、
(f)ステップ(b)〜(e)を複数回繰り返すステップと、
(g)1つまたはそれ以上の第1の親もしくは前駆物質またはイオンの正確なまたは厳密な質量または質量電荷比を決定するステップであって、前記1つまたはそれ以上の第1の親もしくは前駆物質またはイオンの正確なまたは厳密な質量または質量電荷比は、第1の整数質量または質量電荷比成分M1および第1の小数質量または質量電荷比成分m1を含む、ステップと、
(h)前記第1の質量スペクトルデータにおいてまたはそれから1つまたはそれ以上の第2の親もしくは前駆物質またはイオンを検索または決定するステップであって、前記1つまたはそれ以上の第2の親もしくは前駆物質またはイオンは、第2の整数質量または質量電荷比成分M2および第2の小数質量または質量電荷比成分m2を含み、前記第2の小数質量または質量電荷比成分m2は、前記第1の小数質量または質量電荷比成分m1よりも0〜x1mDaまたはミリ−質量電荷比単位大きい、および/または前記第1の小数質量または質量電荷比成分m1よりも0〜x2mDaまたはミリ−質量電荷比単位小さい、ステップとを含む方法。
【請求項38】
前記第1および/または第2の親もしくは前駆物質またはイオンは、製薬化合物、薬物または活性成分を含むか、またはそれに関係する、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記第1および/または第2の親もしくは前駆物質またはイオンは、製薬化合物、薬物または活性成分の1つまたはそれ以上の代謝産物または誘導体を含むか、またはそれに関係する、請求項37または38に記載の方法。
【請求項40】
前記第1および/または第2の親もしくは前駆物質またはイオンは、生体高分子、タンパク質、ペプチド、ポリペプチド、オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオシド、アミノ酸、炭水化物、糖、脂質、脂肪酸、ビタミン、ホルモン、DNAの部分もしくはフラグメント、cDNAの部分もしくはフラグメント、RNAの部分もしくはフラグメント、mRNAの部分もしくはフラグメント、tRNAの部分もしくはフラグメント、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、リボヌクレアーゼ、酵素、代謝産物、多糖類、リン酸化ペプチド、リン酸化タンパク質、糖ペプチド、糖タンパク質、またはステロイドを含むか、あるいはそれらに関係する、請求項37、38または39に記載の方法。
【請求項41】
前記1つまたはそれ以上の第2の親もしくは前駆物質またはイオンを検索または決定するステップは、前記第2の小数質量または質量電荷比成分m2にのみ基づき、前記第2の整数質量または質量電荷比成分M2には基づかずに検索するステップを含む、請求項37〜40のいずれかに記載の方法。
【請求項42】
前記1つまたはそれ以上の第2の親もしくは前駆物質またはイオンを検索または決定するステップは、前記第1の整数質量または質量電荷比成分M1とは異なる第2の整数質量または質量電荷比成分M2を有する一部またはすべての第2の親もしくは前駆物質またはイオンを検索または決定するステップを含む、請求項37〜41のいずれかに記載の方法。
【請求項43】
前記1つまたはそれ以上の第2の親もしくは前駆物質またはイオンを検索または決定するステップは、小数質量または質量電荷比ウィンドウを前記第1の質量スペクトルデータおよび/または前記第2の質量スペクトルデータおよび/または質量スペクトルに対して適用するステップをさらに含む、請求項37〜42のいずれかに記載の方法。
【請求項44】
前記小数質量または質量電荷比ウィンドウは、前記小数質量または質量電荷比ウィンドウから外れる第2の小数質量または質量電荷比成分m2を有する第2の親もしくは前駆物質またはイオンの有意性をフィルタで取り除くか、除去するか、減衰させるか、または少なくとも低減する、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記第1の整数質量または質量電荷比M1から前記第2の整数質量または質量電荷比M2を差し引いたものがΔMダルトンまたは質量電荷比単位の値を有する、請求項37〜44のいずれかに記載の方法。
【請求項46】
前記x1および/またはx2は、ΔMの関数として実質的に一定のままとなるように構成される、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記x1および/またはx2は、ΔMの関数として変化するように構成される、請求項45に記載の方法。
【請求項48】
前記x1および/またはx2は、ΔMの関数として対称的、非対称的、直線的、非直線的、曲線的または段階的に変化するように構成される、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記x1および/またはx2は、(i)0、(ii)±0〜5、(iii)±5〜10、(iv)±10〜15、(v)±15〜20、(vi)±20〜25、(vii)±25〜30、(viii)±30〜35、(ix)±35〜40、(x)±40〜45、(xi)±45〜50、(xii)±50〜55、(xiii)±55〜60、(xiv)±60〜65、(xv)±65〜70、(xvi)±70〜75、(xvii)±75〜80、(xviii)±80〜85、(xix)±85〜90、(xx)±90〜95、(xxi)±95〜100、(xxii)>100、および(xxiii)<−100からなる群から選択されるΔMの値を中心にして対称にΔMの関数として変化するように構成される、請求項47または48に記載の方法。
【請求項50】
前記x1および/またはx2は、y%*ΔMの率で増加するか、または減少するように構成され、前記yは、(i)<0.01、(ii)0.01〜0.02、(iii)0.02〜0.03、(iv)0.03〜0.04、(v)0.04〜0.05、(vi)0.05〜0.06、(viii)0.06〜0.07、(ix)0.07〜0.08、(x)0.08〜0.09、(xi)0.09〜0.10、(xii)0.10〜0.11、(xiii)0.11〜0.12、(xiv)0.12〜0.13、(xv)0.13〜0.14、(xvi)0.14〜0.15、(xvii)0.15〜0.16、(xviii)0.16〜0.17、(xix)0.17〜0.18、(xx)0.18〜0.19、(xxi)0.19〜0.20、および(xxii)>0.20からなる群より選択される、請求項37〜49のいずれかに記載の方法。
【請求項51】
ΔM<Mlowerおよび/またはΔM>Mlowerおよび/またはΔM<Mupperおよび/またはΔM>Mupperならば、x1および/またはx2は、実質的に一定値を有するように構成される、請求項37〜50のいずれかに記載の方法。
【請求項52】
ΔM<Mlowerおよび/またはΔM>Mlowerおよび/またはΔM<Mupperおよび/またはΔM>Mupperならば、x1および/またはx2は、ΔMの関数として変化するように構成される、請求項37〜51のいずれかに記載の方法。
【請求項53】
ΔM<Mlowerおよび/またはΔM>Mlowerおよび/またはΔM<Mupperおよび/またはΔM>Mupperならば、x1および/またはx2は、ΔMの関数として対称的、非対称的、直線的、非直線的、曲線的または段階的に変化するように構成される、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記x1および/またはx2は、(i)0、(ii)±0〜5、(iii)±5〜10、(iv)±10〜15、(v)±15〜20、(vi)±20〜25、(vii)±25〜30、(viii)±30〜35、(ix)±35〜40、(x)±40〜45、(xi)±45〜50、(xii)±50〜55、(xiii)±55〜60、(xiv)±60〜65、(xv)±65〜70、(xvi)±70〜75、(xvii)±75〜80、(xviii)±80〜85、(xix)±85〜90、(xx)±90〜95、(xxi)±95〜100、(xxii)>100、および(xxiii)<−100からなる群から選択されるΔMの値を中心にして対称にΔMの関数として変化するように構成される、請求項52または53に記載の方法。
【請求項55】
ΔM<Mlowerおよび/またはΔM>Mlowerおよび/またはΔM<Mupperおよび/またはΔM>Mupperならば、x1および/またはx2は、y%*ΔMの率で増加するか、または減少するように構成され、前記yは、(i)<0.01、(ii)0.01〜0.02、(iii)0.02〜0.03、(iv)0.03〜0.04、(v)0.04〜0.05、(vi)0.05〜0.06、(viii)0.06〜0.07、(ix)0.07〜0.08、(x)0.08〜0.09、(xi)0.09〜0.10、(xii)0.10〜0.11、(xiii)0.11〜0.12、(xiv)0.12〜0.13、(xv)0.13〜0.14、(xvi)0.14〜0.15、(xvii)0.15〜0.16、(xviii)0.16〜0.17、(xix)0.17〜0.18、(xx)0.18〜0.19、(xxi)0.19〜0.20、および(xxii)>0.20からなる群から選択される、請求項37〜54のいずれかに記載の方法。
【請求項56】
前記Mupperは、ダルトンまたは質量電荷比単位の値であり、(i)<1、(ii)1〜5、(iii)5〜10、(iv)10〜15、(v)15〜20、(vi)20〜25、(vii)25〜30、(viii)30〜35、(ix)35〜40、(x)40〜45、(xi)45〜50、(xii)50〜55、(xiii)55〜60、(xiv)60〜65、(xv)65〜70、(xvi)70〜75、(xvii)75〜80、(xviii)80〜85、(xix)85〜90、(xx)90〜95、(xxi)95〜100、および(xxii)>100からなる群から選択される範囲に入る、請求項51〜55のいずれかに記載の方法。
【請求項57】
前記Mlowerは、ダルトンまたは質量電荷比単位の値であり、(i)<−100、(ii)−100〜−95、(iii)−95〜−90、(iv)−90〜−85、(v)−85〜−80、(vi)−80〜−75、(vii)−75〜−70、(viii)−70〜−65、(ix)−65〜−60、(x)−60〜−55、(xi)−55〜−50、(xii)−50〜−45、(xiii)−45〜−40、(xiv)−40〜−35、(xv)−35〜−30、(xvi)−30〜−25、(xvii)−25〜−20、(xviii)−20〜−15、(xix)−15〜−10、(xx)−10〜−5、(xxi)−5〜−1、および(xxii)>−1からなる群から選択される範囲に入る、請求項51〜56のいずれかに記載の方法。
【請求項58】
前記x1および/またはx2は、M1および/またはM2の関数として実質的に一定のままとなるように構成される、請求項37〜57のいずれかに記載の方法。
【請求項59】
前記x1および/またはx2は、M1および/またはM2の関数として変化するように構成される、請求項37〜57のいずれかに記載の方法。
【請求項60】
前記x1および/またはx2は、M1および/またはM2の関数として対称的、非対称的、直線的、非直線的、曲線的または段階的に変化するように構成される、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記x1および/またはx2は、(i)0〜50、(ii)50〜100、(iii)100〜150、(iv)150〜200、(v)200〜250、(vi)250〜300、(vii)300〜350、(viii)350〜400、(ix)400〜450、(x)450〜500、(xi)500〜550、(xii)550〜600、(xiii)600〜650、(xiv)650〜700、(xv)700〜750、(xvi)750〜800、(xvii)800〜850、(xviii)850〜900、(xix)900〜950、(xx)950〜1000、および(xxi)>1000からなる群から選択されるM1および/またはM2の値を中心にして対称にM1および/またはM2の関数として変化するように構成される、請求項59または60に記載の方法。
【請求項62】
前記x1および/またはx2は、y%*M1および/またはy%*M2の率で増加するか、または減少するように構成され、前記yは、(i)<0.01、(ii)0.01〜0.02、(iii)0.02〜0.03、(iv)0.03〜0.04、(v)0.04〜0.05、(vi)0.05〜0.06、(viii)0.06〜0.07、(ix)0.07〜0.08、(x)0.08〜0.09、(xi)0.09〜0.10、(xii)0.10〜0.11、(xiii)0.11〜0.12、(xiv)0.12〜0.13、(xv)0.13〜0.14、(xvi)0.14〜0.15、(xvii)0.15〜0.16、(xviii)0.16〜0.17、(xix)0.17〜0.18、(xx)0.18〜0.19、(xxi)0.19〜0.20、および(xxii)>0.20からなる群から選択される、請求項37〜61のいずれかに記載の方法。
【請求項63】
M1<Mlowerおよび/またはM1>Mlowerおよび/またはM1<Mupperおよび/またはM1>Mupperおよび/またはM2<Mlowerおよび/またはM2>Mlowerおよび/またはM2<Mupperおよび/またはM2>Mupperならば、x1および/またはx2は、実質的に一定値を有するように構成される、請求項37〜62のいずれかに記載の方法。
【請求項64】
M1<Mlowerおよび/またはM1>Mlowerおよび/またはM1<Mupperおよび/またはM1>Mupperおよび/またはM2<Mlowerおよび/またはM2>Mlowerおよび/またはM2<Mupperおよび/またはM2>Mupperならば、x1および/またはx2は、M1および/またはM2の関数として変化するように構成される、請求項37〜63のいずれかに記載の方法。
【請求項65】
M1<Mlowerおよび/またはM1>Mlowerおよび/またはM1<Mupperおよび/またはM1>Mupperおよび/またはM2<Mlowerおよび/またはM2>Mlowerおよび/またはM2<Mupperおよび/またはM2>Mupperならば、x1および/またはx2は、M1および/またはM2の関数として対称的、非対称的、直線的、非直線的、曲線的または段階的に変化するように構成される、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記x1および/またはx2は、(i)0〜50、(ii)50〜100、(iii)100〜150、(iv)150〜200、(v)200〜250、(vi)250〜300、(vii)300〜350、(viii)350〜400、(ix)400〜450、(x)450〜500、(xi)500〜550、(xii)550〜600、(xiii)600〜650、(xiv)650〜700、(xv)700〜750、(xvi)750〜800、(xvii)800〜850、(xviii)850〜900、(xix)900〜950、(xx)950〜1000、および(xxi)>1000からなる群から選択されるM1および/またはM2の値を中心にして対称にM1および/またはM2の関数として変化するように構成される、請求項64または65に記載の方法。
【請求項67】
M1<Mlowerおよび/またはM1>Mlowerおよび/またはM1<Mupperおよび/またはM1>Mupperおよび/またはM2<Mlowerおよび/またはM2>Mlowerおよび/またはM2<Mupperおよび/またはM2>Mupperならば、x1および/またはx2は、y%*M1またはy%*M2の率で増加するか、または減少するように構成され、前記yは、(i)<0.01、(ii)0.01〜0.02、(iii)0.02〜0.03、(iv)0.03〜0.04、(v)0.04〜0.05、(vi)0.05〜0.06、(viii)0.06〜0.07、(ix)0.07〜0.08、(x)0.08〜0.09、(xi)0.09〜0.10、(xii)0.10〜0.11、(xiii)0.11〜0.12、(xiv)0.12〜0.13、(xv)0.13〜0.14、(xvi)0.14〜0.15、(xvii)0.15〜0.16、(xviii)0.16〜0.17、(xix)0.17〜0.18、(xx)0.18〜0.19、(xxi)0.19〜0.20、および(xxii)>0.20からなる群から選択される、請求項37〜66のいずれかに記載の方法。
【請求項68】
前記Mupperは、ダルトンまたは質量電荷比単位の値であり、(i)0〜50、(ii)50〜100、(iii)100〜150、(iv)150〜200、(v)200〜250、(vi)250〜300、(vii)300〜350、(viii)350〜400、(ix)400〜450、(x)450〜500、(xi)500〜550、(xii)550〜600、(xiii)600〜650、(xiv)650〜700、(xv)700〜750、(xvi)750〜800、(xvii)800〜850、(xviii)850〜900、(xix)900〜950、(xx)950〜1000、および(xxi)>1000からなる群から選択される範囲に入る、請求項37〜67のいずれかに記載の方法。
【請求項69】
前記Mlowerは、ダルトンまたは質量電荷比単位の値であり、(i)0〜50、(ii)50〜100、(iii)100〜150、(iv)150〜200、(v)200〜250、(vi)250〜300、(vii)300〜350、(viii)350〜400、(ix)400〜450、(x)450〜500、(xi)500〜550、(xii)550〜600、(xiii)600〜650、(xiv)650〜700、(xv)700〜750、(xvi)750〜800、(xvii)800〜850、(xviii)850〜900、(xix)900〜950、(xx)950〜1000、および(xxi)>1000からなる群から選択される範囲に入る、請求項37〜68のいずれかに記載の方法。
【請求項70】
前記第1の小数質量または質量電荷比成分m1よりも0〜x1mDaまたはミリ−質量電荷比単位大きい、および/または前記第1の小数質量または質量電荷比成分m1よりも0〜x2mDaまたはミリ−質量電荷比単位小さい小数質量または質量電荷比成分m2を有する1つまたはそれ以上の第2の親もしくは前駆物質またはイオンをさらなる分析のために選択するステップをさらに含む、請求項37〜69のいずれかに記載の方法。
【請求項71】
前記さらなる分析のために選択するステップは、前記1つまたはそれ以上の第2の親もしくは前駆物質またはイオンをフラグメンテーションするステップを含む、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
前記さらなる分析のために選択するステップは、前記第1の小数質量または質量電荷比成分m1よりも0〜x1mDaまたはミリ−質量電荷比単位大きい、および/または前記第1の小数質量または質量電荷比成分m1よりも0〜x2mDaまたはミリ−質量電荷比単位小さい小数質量または質量電荷比成分m2を有する前記1つまたはそれ以上の第2の親もしくは前駆物質またはイオンを、衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスへ前方向に移送するステップを含む、請求項70または71に記載の方法。
【請求項73】
前記x1は、(i)<1、(ii)1〜5、(iii)5〜10、(iv)10〜15、(v)15〜20、(vi)20〜25、(vii)25〜30、(viii)30〜35、(ix)35〜40、(x)40〜45、(xi)45〜50、(xii)50〜55、(xiii)55〜60、(xiv)60〜65、(xv)65〜70、(xvi)70〜75、(xvii)75〜80、(xviii)80〜85、(xix)85〜90、(xx)90〜95、(xxi)95〜100、および(xxii)>100からなる群から選択される範囲に入る、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項74】
前記x2は、(i)<1、(ii)1〜5、(iii)5〜10、(iv)10〜15、(v)15〜20、(vi)20〜25、(vii)25〜30、(viii)30〜35、(ix)35〜40、(x)40〜45、(xi)45〜50、(xii)50〜55、(xiii)55〜60、(xiv)60〜65、(xv)65〜70、(xvi)70〜75、(xvii)75〜80、(xviii)80〜85、(xix)85〜90、(xx)90〜95、(xxi)95〜100、および(xxii)>100からなる群から選択される範囲に入る、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項75】
異なるアイデンティティを有するか、または異なる種を含む、少なくとも、2、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1500、2000、2500、3000、3500、4000、4500、または5000個の成分、分子または検体を含む試料を分析するステップをさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項76】
前記衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスは、衝突誘起解離デバイスを含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項77】
前記衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスは、(i)表面誘起解離(「SID」)フラグメンテーションデバイス、(ii)電子移動解離フラグメンテーションデバイス、(iii)電子捕獲解離フラグメンテーションデバイス、(iv)電子衝突または衝撃解離フラグメンテーションデバイス、(v)光誘起解離(「PID」)フラグメンテーションデバイス、(vi)レーザ誘起解離フラグメンテーションデバイス、(vii)赤外放射誘起解離デバイス、(viii)紫外放射誘起解離デバイス、(ix)ノズル−スキマ間インターフェースフラグメンテーションデバイス、(x)インソースフラグメンテーションデバイス、(xi)イオン源衝突誘起解離フラグメンテーションデバイス、(xii)熱または温度源フラグメンテーションデバイス、(xiii)電界誘起フラグメンテーションデバイス、(xiv)磁場誘起フラグメンテーションデバイス、(xv)酵素消化または酵素分解フラグメンテーションデバイス、(xvi)イオン−イオン反応フラグメンテーションデバイス、(xvii)イオン−分子反応フラグメンテーションデバイス、(xviii)イオン−原子反応フラグメンテーションデバイス、(xix)イオン−メタステーブルイオン反応フラグメンテーションデバイス、(xx)イオン−メタステーブル分子反応フラグメンテーションデバイス、(xxi)イオン−メタステーブル原子反応フラグメンテーションデバイス、(xxii)イオンを反応させて付加または生成イオンを形成するためのイオン−イオン反応デバイス、(xxiii)イオンを反応させて付加または生成イオンを形成するためのイオン−分子反応デバイス、(xxiv)イオンを反応させて付加または生成イオンを形成するためのイオン−原子反応デバイス、(xxv)イオンを反応させて付加または生成イオンを形成するためのイオン−メタステーブルイオン反応デバイス、(xxvi)イオンを反応させて付加または生成イオンを形成するためのイオン−メタステーブル分子反応デバイス、および(xxvii)イオンを反応させて付加または生成イオンを形成するためのイオン−メタステーブル原子反応デバイスからなる群から選択される、請求項1〜75のいずれかに記載の方法。
【請求項78】
前記1つまたはそれ以上の第2の物質またはイオンまたは前記1つまたはそれ以上の第2の親もしくは前駆物質またはイオンのフラグメンテーションによって得られるフラグメント生成物またはイオンを質量分析するステップをさらに含む、請求項35または71に記載の方法。
【請求項79】
分析されるべき試料中の成分、検体または分子を分離プロセスによって分離するステップをさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項80】
前記分離プロセスは液体クロマトグラフィを含む、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
分離プロセスは、(i)高速液体クロマトグラフィ(「HPLC」)、(ii)陰イオン変換、(iii)陰イオン変換クロマトグラフィ、(iv)陽イオン変換、(v)陽イオン変換クロマトグラフィ、(vi)イオン対逆相クロマトグラフィ、(vii)クロマトグラフィ、(viii)1次元電気泳動、(ix)多次元電気泳動、(x)サイズ排除、(xi)親和性、(xii)逆相クロマトグラフィ、(xiii)キャピラリ電気泳動クロマトグラフィ(「CEC」)、(xiv)電気泳動、(xv)イオン移動度分離、(xvi)フィールド非対称なイオン移動度分離またはスペクトロメトリ(「FAIMS」)、(xvii)キャピラリ電気泳動、(xviii)ガスクロマトグラフィ、および(xix)超臨界流体クロマトグラフィを含む、請求項79に記載の方法。
【請求項82】
分析されるべき試料中の成分、検体または分子をイオン化するステップをさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項83】
成分、検体または分子を連続またはパルス化イオン源を用いてイオン化するステップをさらに含む請求項82に記載の方法。
【請求項84】
前記成分、検体または分子をイオン化するステップは、(i)エレクトロスプレーイオン化(「ESI」)イオン源、(ii)大気圧光イオン化(「APPI」)イオン源、(iii)大気圧化学イオン化(「APCI」)イオン源、(iv)マトリックス支援レーザ脱離イオン化(「MALDI」)イオン源、(v)レーザ脱離イオン化(「LDI」)イオン源、(vi)大気圧イオン化(「API」)イオン源、(vii)シリコンを用いた脱離イオン化(「DIOS」)イオン源、(viii)電子衝突(「EI」)イオン源、(ix)化学イオン化(「CI」)イオン源、(x)電界イオン化(「FI」)イオン源、(xi)電界脱離(「FD」)イオン源、(xii)誘導結合プラズマ(「ICP」)イオン源、(xiii)高速原子衝撃(「FAB」)イオン源、(xiv)液体二次イオン質量分析(「LSIMS」)イオン源、(xv)脱離エレクトロスプレーイオン化(「DESI」)イオン源、(xvi)ニッケル−63放射性イオン源、および(xvii)サーモスプレーイオン源からなる群から選択されるイオン源を用いて前記成分、検体または分子をイオン化するステップを含む、請求項82または83に記載の方法。
【請求項85】
前記1つまたはそれ以上の第1の親もしくは前駆物質またはイオンおよび/または前記1つまたはそれ以上の第2の親もしくは前駆物質またはイオンおよび/または前記1つまたはそれ以上の第2の物質またはイオンおよび/またはフラグメント生成物またはイオンを質量分析器を用いて質量分析するステップをさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項86】
前記質量分析するステップは、(i)フーリエ変換(「FT」)質量分析器、(ii)フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴(「FTICR」)質量分析器、(iii)飛行時間(「TOF」)質量分析器、(iv)直交加速飛行時間(「oaTOF」)質量分析器、(v)軸方向加速飛行時間質量分析器、(vi)扇形磁場質量分析計、(vii)ポールまたは3D四重極質量分析器、(viii)2Dまたは直線四重極質量分析器、(ix)ペニングトラップ質量分析器、(x)イオントラップ質量分析器、(xi)フーリエ変換オービトラップ、(xii)静電イオンサイクロトロン共鳴質量分析計、(xiii)静電フーリエ変換質量分析計、および(xiv)四重極質量分析器からなる群から選択される質量分析器を用いて質量分析するステップを含む、請求項85に記載の方法。
【請求項87】
前記1つまたはそれ以上の親もしくは前駆物質またはイオンおよび/または前記1つまたはそれ以上のフラグメント、生成、娘または付加イオンおよび/または前記1つまたはそれ以上の第1の親もしくは前駆物質またはイオンおよび/または前記1つまたはそれ以上の第2の親もしくは前駆物質またはイオンの厳密なまたは正確な質量または質量電荷比は、20ppm、19ppm、18ppm、17ppm、16ppm、15ppm、14ppm、13ppm、12ppm、11ppm、10ppm、9ppm、8ppm、7ppm、6ppm、5ppm、4ppm、3ppm、2ppm、1ppm以内または<1ppmに決定される、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項88】
前記1つまたはそれ以上の親もしくは前駆物質またはイオンおよび/または前記1つまたはそれ以上のフラグメント、生成、娘または付加イオンおよび/または前記1つまたはそれ以上の第1の親もしくは前駆物質またはイオンおよび/または前記1つまたはそれ以上の第2の親もしくは前駆物質またはイオンの厳密なまたは正確な質量または質量電荷比は、0.40質量単位、0.35質量単位、0.30質量単位、0.25質量単位、0.20質量単位、0.15質量単位、0.10質量単位、0.05質量単位、0.01質量単位、0.009質量単位、0.008質量単位、0.007質量単位、0.006質量単位、0.005質量単位、0.004質量単位、0.003質量単位、0.002質量単位、0.001質量単位以内または<0.001質量単位に決定される、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項89】
分析される試料は、疾患生体、非疾患生体、処置生体、非処置生体、変異生体または野生型生体から採取される、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項90】
前記1つまたはそれ以上の親もしくは前駆物質またはイオンおよび/または前記1つまたはそれ以上のフラグメント、生成、娘または付加イオンおよび/または前記1つまたはそれ以上の第1の親もしくは前駆物質またはイオンおよび/または前記1つまたはそれ以上の第2の親もしくは前駆物質またはイオンの組成を同定または決定するステップをさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項91】
前記1つまたはそれ以上の親もしくは前駆物質またはイオンおよび/または前記1つまたはそれ以上のフラグメント、生成、娘または付加イオンおよび/または前記1つまたはそれ以上の第1の親もしくは前駆物質またはイオンおよび/または前記1つまたはそれ以上の第2の親もしくは前駆物質またはイオンの強度、濃度または発現レベルを定量または決定するステップをさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項92】
前記1つまたはそれ以上の親もしくは前駆物質またはイオンおよび/または前記1つまたはそれ以上のフラグメント、生成、娘または付加イオンおよび/または前記1つまたはそれ以上の第1の親もしくは前駆物質またはイオンおよび/または前記1つまたはそれ以上の第2の親もしくは前駆物質またはイオンを認識するステップをさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項93】
第1の質量スペクトルまたは質量スペクトルデータを、実質的に同時に得られる第2の質量スペクトルまたは質量スペクトルデータと比較するステップと、
第2の質量スペクトルまたは質量スペクトルデータにおいて第1の質量スペクトルまたは質量スペクトルデータと比べて大きな強度を有するイオンを親または前駆イオンとして認識するステップとを含む、請求項92に記載の方法。
【請求項94】
フラグメント、生成、娘または付加イオンを認識するステップをさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の質量分析の方法。
【請求項95】
第1の質量スペクトルまたは質量スペクトルデータを、実質的に同時に得られる第2の質量スペクトルまたは質量スペクトルデータと比較するステップと、
第1の質量スペクトルまたは質量スペクトルデータにおいて第2の質量スペクトルまたは質量スペクトルデータと比べて大きな強度を有するイオンをフラグメント、生成、娘または付加イオンとして認識するステップとを含む、請求項94に記載の質量分析の方法。
【請求項96】
すべての前記親または前駆イオンから1サブグループの可能な候補の親または前駆イオンを選択する工程をさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の質量分析の方法。
【請求項97】
所定のフラグメント、生成、娘または付加イオンに対するそれらの関係に基づいて可能な候補の親または前駆イオンを選択するステップをさらに含む、請求項96に記載の質量分析の方法。
【請求項98】
第1の質量スペクトルを用いて前記所定のフラグメント、生成、娘または付加イオンに対する所定のフラグメント、生成、娘または付加イオン質量クロマトグラムを生成するステップと、
前記所定のフラグメント、生成、娘または付加イオン質量クロマトグラムにおける各ピークの中心を決定するステップと、
対応する所定のフラグメント、生成、娘または付加イオン溶出時間を決定するステップとをさらに含む、先行する請求項97に記載の質量分析の方法。
【請求項99】
前記所定のフラグメント、生成、娘または付加イオン質量クロマトグラムにおける各ピークに対して、
以前に認識された親または前駆イオンの存在について、前記所定のフラグメント、生成、娘または付加イオン溶出時間の直前に得られる第2の質量スペクトルおよび前記所定のフラグメント、生成、娘または付加イオン溶出時間の直後に得られる第2の質量スペクトルの両方を調べるステップと、
前記所定のフラグメント、生成、娘または付加イオン溶出時間の直前の第2の質量スペクトルおよび前記所定のフラグメント、生成、娘または付加イオン溶出時間の直後の第2の質量スペクトルの両方に存在が見つかったいずれの以前に認識された親または前駆イオンに対して可能な候補の親または前駆イオン質量クロマトグラムを生成するステップと、
各前記可能な候補の親または前駆イオン質量クロマトグラムにおいて各ピークの中心を決定するステップと、
対応する可能な候補の親または前駆イオン溶出時間を決定するステップとをさらに含む、請求項98に記載の質量分析の方法。
【請求項100】
可能な候補の親または前駆イオンをそれらの溶出時間の前記所定のフラグメント、生成、娘または付加イオン溶出時間との一致度にしたがって順位づけするステップをさらに含む、請求項99に記載の質量分析の方法。
【請求項101】
可能な候補の親または前駆イオンの溶出時間が、前記所定のフラグメント、生成、娘または付加イオン溶出時間よりも所定量より多く先行または超える場合に、前記可能な候補の親または前駆イオンを棄却することにより、前記可能な候補の親または前駆イオンから最終候補の親または前駆イオンのリストを作成するステップをさらに含む、請求項100に記載の質量分析の方法。
【請求項102】
可能な候補の親または前駆イオンを、それらが所定の質量損失を生じることに基づいて、選択するステップをさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の質量分析の方法。
【請求項103】
各第2の質量スペクトルまたは第2の質量スペクトルデータに対して、
前記第2の質量スペクトルまたは第2の質量スペクトルデータ中に存在する各以前に認識された親または前駆イオンからの所定のイオンまたは中性粒子の損失によって得られ得るターゲットフラグメント、生成、娘または付加イオン質量電荷値のリストを生成するステップと、
前記ターゲットフラグメント、生成、娘または付加イオン質量電荷値に対応する質量電荷値を有するフラグメント、生成、娘または付加イオンの存在について、前記第2の質量スペクトルまたは第2の質量スペクトルデータの直前に得られる第1の質量スペクトルまたは第1の質量スペクトルデータおよび前記第2の質量スペクトルまたは第2の質量スペクトルデータの直後に得られる第1の質量スペクトルまたは第1の質量スペクトルデータの両方を調べるステップと、
前記ターゲットフラグメント、生成、娘または付加イオン質量電荷値に対応する質量電荷値を有するフラグメント、生成、娘または付加イオンが前記第2の質量スペクトルまたは第2の質量スペクトルデータの直前の前記第1の質量スペクトルまたは第1の質量スペクトルデータおよび前記第2の質量スペクトルまたは第2の質量スペクトルデータの直後の前記第1の質量スペクトルまたは第1の質量スペクトルデータの両方に存在することが見つかった場合に、前記リストに親または前駆イオンを含めることによって、可能な候補の親または前駆イオンのリストを、必要に応じてそれらに対応するフラグメント、生成、娘または付加イオンとともに、作成するステップとをさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の質量分析の方法。
【請求項104】
可能な候補の親または前駆イオンおよびそれらに対応するフラグメント、生成、娘または付加イオンに基づいて質量損失クロマトグラムを生成するステップと、
前記質量損失クロマトグラムにおいて各ピークの中心を決定するステップと、
対応する質量損失溶出時間を決定するステップとをさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の質量分析の方法。
【請求項105】
各可能な候補の親または前駆イオンに対して、
第2の質量スペクトルまたは第2の質量スペクトルデータを用いて前記可能な候補の親または前駆イオンに対する可能な候補の親または前駆イオン質量クロマトグラムを生成するステップと、
対応するフラグメント、生成、娘または付加イオンに対する対応のフラグメント、生成、娘または付加イオン質量クロマトグラムを生成するステップと、
前記可能な候補の親または前駆イオン質量クロマトグラムおよび対応するフラグメント、生成、娘または付加イオン質量クロマトグラムにおいて各ピークの中心を決定するステップと、
対応する可能な候補の親または前駆イオン溶出時間および対応するフラグメント、生成、娘または付加イオン溶出時間を決定するステップとをさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の質量分析の方法。
【請求項106】
可能な候補の親または前駆イオンの溶出時間が、対応するフラグメント、生成、娘または付加イオン溶出時間よりも所定量より多く先行または超える場合に、前記可能な候補の親または前駆イオンを棄却することにより、前記可能な候補の親または前駆イオンから最終候補の親または前駆イオンのリストを作成するステップをさらに含む、請求項105に記載の質量分析の方法。
【請求項107】
各最終候補の親または前駆イオンを同定するステップをさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項108】
各最終候補の親または前駆イオンに対して、
前記最終候補の親または前駆イオンの溶出時間を呼び戻すステップと、
前記最終候補の親または前駆イオンの溶出時間の直前に得られる第2の質量スペクトルまたは第2の質量スペクトルデータおよび前記最終候補の親または前駆イオンの溶出時間の直後に得られる第2の質量スペクトルまたは第2の質量スペクトルデータの両方に存在する以前に認識されたフラグメント、生成、娘または付加イオンを含む可能な候補のフラグメント、生成、娘または付加イオンのリストを生成するステップと、
各可能な候補のフラグメント、生成、娘または付加イオンの可能な候補のフラグメント、生成、娘または付加イオン質量クロマトグラムを生成するステップと、
各前記可能な候補のフラグメント、生成、娘または付加イオン質量クロマトグラムにおける各ピークの中心を決定するステップと、
対応する可能な候補のフラグメント、生成、娘または付加イオン溶出時間を決定するステップとをさらに含む、請求項107に記載の方法。
【請求項109】
可能な候補のフラグメント、生成、娘または付加イオンをそれらの溶出時間の前記最終候補の親または前駆イオンの溶出時間との一致度にしたがって順位づけするステップをさらに含む、請求項108に記載の方法。
【請求項110】
可能な候補のフラグメント、生成、娘または付加イオンの溶出時間が前記最終候補の親または前駆イオンの溶出時間を所定量より多く先行または超える場合に、可能な候補のフラグメント、生成、娘または付加イオンを棄却することにより、前記可能な候補のフラグメント、生成、娘または付加イオンから最終候補のフラグメント、生成、娘または付加イオンのリストを作成するステップをさらに含む、請求項108または109に記載の方法。
【請求項111】
前記最終候補の親または前駆イオンの溶出時間に時間的に最も近い時間に得られる第2の質量スペクトルまたは第2の質量スペクトルデータにおいて存在する近接の親または前駆イオンのリストを生成するステップと、
前記リストにおいて含まれる各親または前駆イオンの近接の親または前駆イオン質量クロマトグラムを生成するステップと、
各近接の親または前駆イオン質量クロマトグラムの中心を決定するステップと、
対応する近接の親または前駆イオン溶出時間を決定するステップとをさらに含む、請求項110に記載の方法。
【請求項112】
前記最終候補のフラグメント、生成、娘または付加イオンのリストから、前記最終候補の親または前駆イオンの溶出時間よりも近接の親または前駆イオンの溶出時間により接近して対応する溶出時間を有するいずれの最終候補のフラグメント、生成、娘または付加イオンを棄却するステップをさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項113】
最終候補のフラグメント、生成、娘または付加イオンをそれらの溶出時間の一致度にしたがって前記最終候補の親または前駆イオンに割り当てるステップをさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項114】
前記最終候補の親または前駆イオンに対応づけられたすべての最終候補のフラグメント、生成、娘または付加イオンをリストするステップをさらに含む、請求項113に記載の方法。
【請求項115】
各認識された親または前駆イオンに対して親または前駆イオン質量クロマトグラムを生成するステップと、
前記親または前駆イオン質量クロマトグラムにおける各ピークの中心を決定するステップと、
対応する親または前駆イオンの溶出時間を決定するステップと、
各認識されたフラグメント、生成、娘または付加イオンに対してフラグメント、生成、娘または付加イオン質量クロマトグラムを生成するステップと、
前記フラグメント、生成、娘または付加イオン質量クロマトグラムにおける各ピークの中心を決定するステップと、
対応するフラグメント、生成、娘または付加イオン溶出時間を決定するステップとをさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項116】
フラグメント、生成、娘または付加イオンをそれらのそれぞれの溶出時間の一致度にしたがって親または前駆イオンに割り当てるステップをさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項117】
各親または前駆イオンに対応づけられたすべてのフラグメント、生成、娘または付加イオンをリストするステップをさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項118】
イオン源によって生成されたイオンを、前記衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスに渡すか、またはそこを通って移送させる前に、質量フィルタに通すステップであって、前記質量フィルタは、所定の範囲内にある質量電荷値を有するイオンを実質的に移送し、かつ前記範囲外にある質量電荷値を有するイオンを実質的に減衰させる、ステップをさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項119】
イオンが第1の質量スペクトルまたは第1の質量スペクトルデータ中に存在し、かつ前記範囲外の質量電荷値を有する場合に、前記イオンをフラグメント、生成、娘または付加イオンとして認識するステップをさらに含む、請求項118に記載の方法。
【請求項120】
前記第1の質量スペクトルまたは第1の質量スペクトルデータおよび/または前記第2の質量スペクトルまたは第2の質量スペクトルデータから親または前駆イオンおよびフラグメント、生成、娘または付加イオンを認識するステップをさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項121】
各親または前駆イオンに対して親または前駆イオン質量クロマトグラムを生成するステップと、
前記親または前駆イオン質量クロマトグラムにおける各ピークの中心を決定するステップと、
対応する親または前駆イオンの溶出時間を決定するステップと、
各フラグメント、生成、娘または付加イオンに対してフラグメント、生成、娘または付加イオン質量クロマトグラムを生成するステップと、
前記フラグメント、生成、娘または付加イオン質量クロマトグラムにおける各ピークの中心を決定するステップと、
対応するフラグメント、生成、娘または付加イオンの溶出時間を決定するステップとをさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項122】
フラグメント、生成、娘または付加イオンをそれらのそれぞれの溶出時間の一致度にしたがって親または前駆イオンに割り当てるステップをさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項123】
前記衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスの上流および/または下流に質量電荷比移送ウィンドウを有する質量フィルタを設けるステップをさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項124】
前記質量フィルタの移送ウィンドウ外にある質量電荷値を有する第1の質量スペクトルまたは第1の質量スペクトルデータに存在するイオンを認識することによってフラグメント、生成、娘または付加イオンを認識するステップをさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項125】
親または前駆イオンを前記親または前駆イオンの質量電荷比に基づいて同定するステップをさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項126】
親または前駆イオンを1つまたはそれ以上のフラグメント、生成、娘または付加イオンの質量電荷比に基づいて同定するステップをさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項127】
1つまたはそれ以上の親または前駆イオンの質量電荷比を決定することによってタンパク質を同定するステップであって、前記1つまたはそれ以上の親または前駆イオンは、前記タンパク質のペプチドを含む、ステップをさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項128】
1つまたはそれ以上のフラグメント、生成、娘または付加イオンの質量電荷比を決定することによってタンパク質を同定するステップであって、前記1つまたはそれ以上のフラグメント、生成、娘または付加イオンは、前記タンパク質のペプチドのフラグメントを含む、ステップをさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項129】
データベースと突き合わせて前記1つまたはそれ以上の親または前駆イオンおよび/または前記1つまたはそれ以上のフラグメント、生成、娘または付加イオンの質量電荷比を検索するステップであって、前記データベースは、既知のタンパク質を含む、ステップをさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項130】
データベースと突き合わせて前記1つまたはそれ以上の親または前駆イオンの質量電荷比を検索するステップであって、前記データベースは、既知のタンパク質を含む、ステップをさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項131】
親または前駆イオンのフラグメンテーションから得られると予想され得るフラグメント、生成、娘または付加イオンの存在を求めて第1の質量スペクトルまたは第1の質量スペクトルデータを検索するステップをさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項132】
前記所定量は、(i)0.25秒、(ii)0.5秒、(iii)0.75秒、(iv)1秒、(v)2.5秒、(vi)5秒、(vii)10秒、および(viii)クロマトグラフィピークの半分の高さで測定された幅の5%に対応する時間からなる群から選択される、請求項101、106または110に記載の方法。
【請求項133】
ヘリウム、アルゴン、窒素またはメタンを含むガスを前記衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス中に導入するステップをさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項134】
少なくとも、1ms、10ms、100ms、200ms、300ms、400ms、500ms、600ms、700ms、800ms、900ms、1s、2s、3s、4s、5s、6s、7s、8s、9sまたは10sに一度、少なくとも前記第1のモードと前記第2のモードとの間で前記衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスを自動的に切り替え、改変または変更するステップを含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項135】
一動作モードにおいて前記衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスを動作させた後であって別の動作モードで前記衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスを動作させるために切り替え、改変または変更する前にスキャン間遅延が行われ、前記スキャン間遅延の継続時間は、少なくとも、1ms、2ms、3ms、4ms、5ms、6ms、7ms、8ms、9ms、10ms、11ms、12ms、13ms、14ms、15ms、16ms、17ms、18ms、19ms、20ms、30ms、40ms、50ms、60ms、70ms、80ms、90msまたは100msである、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項136】
質量分析計であって、
衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスと、
質量分析器と、
制御システムとを含み、
前記制御システムは、
(a)親または前駆イオンを前記衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスに渡すステップと、
(b)前記衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスを第1の動作モードにおいて動作させるステップであって、前記第1の動作モードにおいては、前記親または前駆イオンの少なくともいくつかが衝突、フラグメンテーションまたは反応されて、フラグメント、生成、娘または付加イオンを生成する、ステップと、
(c)前記第1の動作モードにおいて動作する衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスから現れるか、またはそこを通って移送されてきたイオンに関係する第1の質量スペクトルデータを記録するステップと、
(d)前記衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスを第2の動作モードにおいて動作するように切り換え、改変、または変更するステップであって、前記第2の動作モードにおいては、実質的により少ない親または前駆イオンが衝突、フラグメンテーションまたは反応される、ステップと、
(e)前記第2の動作モードにおいて動作する衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスから現れるか、またはそこを通って移送されてきたイオンに関係する第2の質量スペクトルデータを記録するステップと、
(f)ステップ(b)〜(e)を複数回繰り返すステップと、
(g)1つまたはそれ以上の親もしくは前駆物質またはイオンの正確なまたは厳密な質量または質量電荷比を決定するステップであって、前記1つまたはそれ以上の親もしくは前駆物質またはイオンの正確なまたは厳密な質量または質量電荷比は、第1の整数質量または質量電荷比成分M1および第1の小数質量または質量電荷比成分m1を含む、ステップと、
(h)前記第1の質量スペクトルデータにおいてまたはそれから1つまたはそれ以上のフラグメント、生成、娘もしくは付加物質またはイオンを検索または決定するステップであって、前記1つまたはそれ以上のフラグメント、生成、娘もしくは付加物質またはイオンは、第2の整数質量または質量電荷比成分M2および第2の小数質量または質量電荷比成分m2を含み、前記第2の小数質量または質量電荷比成分m2は、前記第1の小数質量または質量電荷比成分m1よりも0〜x1mDaまたはミリ−質量電荷比単位大きい、および/または前記第1の小数質量または質量電荷比成分m1よりも0〜x2mDaまたはミリ−質量電荷比単位小さい、ステップとを行うように構成および適合される、質量分析計。
【請求項137】
質量分析計であって、
衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスと、
質量分析器と、
制御システムとを含み、
前記制御システムは、
(a)親または前駆イオンを前記衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスに渡すステップと、
(b)前記衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスを第1の動作モードにおいて動作させるステップであって、前記親または前駆イオンの少なくともいくつかが衝突、フラグメンテーションまたは反応されて、フラグメント、生成、娘または付加イオンを生成する、ステップと、
(c)前記第1の動作モードにおいて動作する衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスから現れるか、またはそこを通って移送されてきたイオンに関係する第1の質量スペクトルデータを記録するステップと、
(d)前記衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスを第2の動作モードにおいて動作するように切り換え、改変、または変更するステップであって、実質的により少ない親または前駆イオンが衝突、フラグメンテーションまたは反応される、ステップと、
(e)前記第2の動作モードにおいて動作する衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスから現れるか、またはそこを通って移送されてきたイオンに関係する第2の質量スペクトルデータを記録するステップと、
(f)ステップ(b)〜(e)を複数回繰り返すステップと、
(g)1つまたはそれ以上の第1の親もしくは前駆物質またはイオンの正確なまたは厳密な質量または質量電荷比を決定するステップであって、前記1つまたはそれ以上の第1の親もしくは前駆物質またはイオンの正確なまたは厳密な質量または質量電荷比は、第1の整数質量または質量電荷比成分M1および第1の小数質量または質量電荷比成分m1を含むステップと、
(h)前記第1の質量スペクトルデータにおいてまたはそれから1つまたはそれ以上の第2の親もしくは前駆物質またはイオンを検索または決定するステップであって、前記1つまたはそれ以上の第2の親もしくは前駆物質またはイオンは、第2の整数質量または質量電荷比成分M2および第2の小数質量または質量電荷比成分m2を含み、前記第2の小数質量または質量電荷比成分m2は、前記第1の小数質量または質量電荷比成分m1よりも0〜x1mDaまたはミリ−質量電荷比単位大きい、および/または前記第1の小数質量または質量電荷比成分m1よりも0〜x2mDaまたはミリ−質量電荷比単位小さい、ステップとを行うように構成および適合される、質量分析計。
【請求項138】
前記衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスは、衝突誘起解離デバイスを含む、請求項136または137に記載の質量分析計。
【請求項139】
前記衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスは、(i)表面誘起解離(「SID」)衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス、(ii)電子移動解離衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス、(iii)電子捕獲解離衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス、(iv)電子衝突または衝撃解離衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス、(v)光誘起解離(「PID」)衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス、(vi)レーザ誘起解離衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス、(vii)赤外放射誘起解離デバイス、(viii)紫外放射誘起解離デバイス、(ix)ノズル−スキマ間インターフェース衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス、(x)インソース衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス、(xi)イオン源衝突誘起解離衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス、(xii)熱または温度源衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス、(xiii)電界誘起衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス、(xiv)磁場誘起衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス、(xv)酵素消化または酵素分解衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス、(xvi)イオン−イオン反応衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス、(xvii)イオン−分子反応衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス、(xviii)イオン−原子反応衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス、(xix)イオン−メタステーブルイオン反応衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス、(xx)イオン−メタステーブル分子反応衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス、(xxi)イオン−メタステーブル原子反応衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス、(xxii)イオンを反応させて付加または生成イオンを形成するためのイオン−イオン反応デバイス、(xxiii)イオンを反応させて付加または生成イオンを形成するためのイオン−分子反応デバイス、(xxiv)イオンを反応させて付加または生成イオンを形成するためのイオン−原子反応デバイス、(xxv)イオンを反応させて付加または生成イオンを形成するためのイオン−メタステーブルイオン反応デバイス、(xxvi)イオンを反応させて付加または生成イオンを形成するためのイオン−メタステーブル分子反応デバイス、および(xxvii)イオンを反応させて付加または生成イオンを形成するためのイオン−メタステーブル原子反応デバイスからなる群から選択される、請求項136または137に記載の質量分析計。
【請求項140】
イオン源をさらに含む、請求項136〜139のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項141】
前記イオン源は、(i)エレクトロスプレーイオン化(「ESI」)イオン源、(ii)大気圧光イオン化(「APPI」)イオン源、(iii)大気圧化学イオン化(「APCI」)イオン源、(iv)マトリックス支援レーザ脱離イオン化(「MALDI」)イオン源、(v)レーザ脱離イオン化(「LDI」)イオン源、(vi)大気圧イオン化(「API」)イオン源、(vii)シリコンを用いた脱離イオン化(「DIOS」)イオン源、(viii)電子衝突(「EI」)イオン源、(ix)化学イオン化(「CI」)イオン源、(x)電界イオン化(「FI」)イオン源、(xi)電界脱離(「FD」)イオン源、(xii)誘導結合プラズマ(「ICP」)イオン源、(xiii)高速原子衝撃(「FAB」)イオン源、(xiv)液体二次イオン質量分析(「LSIMS」)イオン源、(xv)脱離エレクトロスプレーイオン化(「DESI」)イオン源、(xvi)ニッケル−63放射性イオン源、(xvii)大気圧マトリックス支援レーザ脱離イオン化イオン源、および(xviii)サーモスプレーイオン源からなる群から選択される、請求項140に記載の質量分析計。
【請求項142】
前記イオン源は、パルス化または連続イオン源を含む、請求項140または141に記載の質量分析計。
【請求項143】
前記イオン源には、所定期間にわたり溶出物が提供され、前記溶出物は、液体クロマトグラフィまたはキャピラリー電気泳動によって混合物から分離されてきたものである、請求項140、141または142のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項144】
前記イオン源には、所定期間にわたり溶出物が提供され、前記溶出物は、ガスクロマトグラフィによって混合物から分離されてきたものである、請求項140、141または142のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項145】
前記質量分析器は、(i)四重極質量分析器、(ii)2Dまたは直線四重極質量分析器、(iii)ポールまたは3D四重極質量分析器、(iv)ペニングトラップ質量分析器、(v)イオントラップ質量分析器、(vi)扇形磁場質量分析器、(vii)イオンサイクロトロン共鳴(「ICR」)質量分析器、(viii)フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴(「FTICR」)質量分析器、(ix)静電またはオービトラップ質量分析器、(x)フーリエ変換静電またはオービトラップ質量分析器、および(xi)フーリエ変換質量分析器、(xii)飛行時間質量分析器、(xiii)直交加速飛行時間質量分析器、および(xiv)軸方向加速飛行時間質量分析器からなる群から選択される、請求項136〜144のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項146】
前記衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスの上流および/または下流に配置される質量フィルタをさらに含む、請求項136〜145のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項147】
前記質量フィルタは、四重極ロッドセット質量フィルタを含む、請求項145に記載の質量分析計。
【請求項148】
前記質量フィルタは、高域通過質量電荷比フィルタとして動作される、請求項146または147に記載の質量分析計。
【請求項149】
前記質量フィルタは、(i)≧100、(ii)≧150、(iii)≧200、(iv)≧250、(v)≧300、(vi)≧350、(vii)≧400、(viii)≧450、および(ix)≧500からなる群から選択される質量電荷比を有するイオンを移送するように構成される、請求項146、147または148のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項150】
前記質量フィルタは、低域通過または帯域通過質量フィルタとして動作される、請求項146または147に記載の質量分析計。
【請求項151】
前記衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスの上流および/または下流に配置されるイオンガイドをさらに含む、請求項136〜150のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項152】
前記イオンガイドは、(i)六重極、(ii)四重極、(iii)八重極、(iv)イオンが使用時に移送される開口を有する複数のリングまたはプレート電極、および(v)イオンの走行平面に一般に配置される複数の平面、プレートまたはメッシュ電極からなる群から選択される、請求項151に記載の質量分析計。
【請求項153】
前記衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスは、(i)六重極、(ii)四重極、(iii)八重極、(iv)イオンが使用時に移送される開口を有する複数のリングまたはプレート電極、および(v)イオンの走行平面に一般に配置される複数の平面、プレートまたはメッシュ電極からなる群から選択される、請求項136〜152のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項154】
前記衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスは、筐体であって、イオン入口開口部、イオン出口開口部、および必要に応じてガスを前記筐体へ導入するための手段を別にすれば実質的に気密な封入体を含む、請求項136〜153のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項155】
ヘリウム、アルゴン、窒素またはメタンを含むガスを使用時に前記衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス中に導入する、請求項136〜154のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項156】
前記第1の動作モードにおいて、前記制御システムは、(i)≧15V、(ii)≧20V、(iii)≧25V、(iv)≧30V、(v)≧50V、(vi)≧100V、(vii)≧150V、および(viii)≧200Vからなる群から選択される電圧を前記衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスに供給するように構成される、請求項136〜155のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項157】
前記第2の動作モードにおいて、前記制御システムは、(i)≦5V、(ii)≦4.5V、(iii)≦4V、(iv)≦3.5V、(v)≦3V、(vi)≦2.5V、(vii)≦2V、(viii)≦1.5V、(ix)≦1V、(x)≦0.5V、および(xi)実質的に0Vからなる群から選択される電圧を前記衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスに供給するように構成される、請求項136〜156のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項1】
質量分析の方法であって、
(a)親または前駆イオンを衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスに渡すステップと、
(b)前記衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスを第1の動作モードにおいて動作させるステップであって、前記親または前駆イオンのうちの少なくともいくつかが衝突、フラグメンテーションまたは反応されて、フラグメント、生成、娘または付加イオンを生成する、ステップと、
(c)前記第1の動作モードにおいて動作する衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスから現れるか、またはそこを通って移送されてきたイオンに関係する第1の質量スペクトルデータを記録するステップと、
(d)前記衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスを第2の動作モードにおいて動作するように切り換え、改変、または変更するステップであって、実質的により少ない親または前駆イオンが衝突、フラグメンテーションまたは反応される、ステップと、
(e)前記第2の動作モードにおいて動作する衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスから現れるか、またはそこを通って移送されてきたイオンに関係する第2の質量スペクトルデータを記録するステップと、
(f)ステップ(b)〜(e)を複数回繰り返すステップと、
(g)1つまたはそれ以上の親もしくは前駆物質またはイオンの正確なまたは厳密な質量または質量電荷比を決定するステップであって、前記1つまたはそれ以上の親もしくは前駆物質またはイオンの正確なまたは厳密な質量または質量電荷比は、第1の整数質量または質量電荷比成分M1および第1の小数質量または質量電荷比成分m1を含む、ステップと、
(h)前記第1の質量スペクトルデータにおいてまたはそれから1つまたはそれ以上のフラグメント、生成、娘もしくは付加物質またはイオンを検索または決定するステップであって、前記1つまたはそれ以上のフラグメント、生成、娘もしくは付加物質またはイオンは、第2の整数質量または質量電荷比成分M2および第2の小数質量または質量電荷比成分m2を含み、前記第2の小数質量または質量電荷比成分m2は、前記第1の小数質量または質量電荷比成分m1よりも0〜x1mDaまたはミリ−質量電荷比単位大きい、および/または前記第1の小数質量または質量電荷比成分m1よりも0〜x2mDaまたはミリ−質量電荷比単位小さい、ステップとを含む方法。
【請求項2】
前記1つまたはそれ以上の親もしくは前駆物質またはイオンは、製薬化合物、薬物または活性成分を含むか、またはそれに関係する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記1つまたはそれ以上の親もしくは前駆物質またはイオンは、製薬化合物、薬物または活性成分の1つまたはそれ以上の代謝産物または誘導体を含むか、またはそれに関係する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記1つまたはそれ以上の親もしくは前駆物質またはイオンは、生体高分子、タンパク質、ペプチド、ポリペプチド、オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオシド、アミノ酸、炭水化物、糖、脂質、脂肪酸、ビタミン、ホルモン、DNAの部分もしくはフラグメント、cDNAの部分もしくはフラグメント、RNAの部分もしくはフラグメント、mRNAの部分もしくはフラグメント、tRNAの部分もしくはフラグメント、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、リボヌクレアーゼ、酵素、代謝産物、多糖類、リン酸化ペプチド、リン酸化タンパク質、糖ペプチド、糖タンパク質、またはステロイドを含むか、あるいはそれらに関係する、請求項1、2または3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記1つまたはそれ以上のフラグメント、生成、娘もしくは付加物質またはイオンを検索または決定するステップは、前記1つまたはそれ以上のフラグメント、生成、娘もしくは付加物質またはイオンの小数質量または質量電荷比成分にのみ基づき、前記1つまたはそれ以上のフラグメント、生成、娘もしくは付加物質またはイオンの整数質量または質量電荷比成分には基づかずに検索または決定するステップを含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記1つまたはそれ以上のフラグメント、生成、娘もしくは付加物質またはイオンを検索または決定するステップは、前記第1の整数質量または質量電荷比成分M1と異なる第2の整数質量または質量電荷比成分M2を有する一部またはすべてのフラグメント、生成、娘もしくは付加物質またはイオンを検索または決定するステップを含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記1つまたはそれ以上のフラグメント、生成、娘もしくは付加物質またはイオンを検索または決定するステップは、小数質量または質量電荷比ウィンドウを前記第1の質量スペクトルデータまたは質量スペクトルに適用するステップをさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記小数質量または質量電荷比ウィンドウは、前記小数質量または質量電荷比ウィンドウから外れる小数質量または質量電荷比成分を有するフラグメント、生成、娘もしくは付加物質またはイオンの有意性をフィルタで取り除くか、除去するか、減衰させるか、または少なくとも低減する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の整数質量または質量電荷比M1から前記第2の整数質量または質量電荷比M2を差し引いたものがΔMダルトンまたは質量電荷比単位の値を有する、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記x1および/またはx2は、ΔMの関数として実質的に一定のままとなるように構成される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記x1および/またはx2は、ΔMの関数として変化するように構成される、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記x1および/またはx2は、ΔMの関数として対称的、非対称的、直線的、非直線的、曲線的または段階的に変化するように構成される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記x1および/またはx2は、(i)0、(ii)±0〜5、(iii)±5〜10、(iv)±10〜15、(v)±15〜20、(vi)±20〜25、(vii)±25〜30、(viii)±30〜35、(ix)±35〜40、(x)±40〜45、(xi)±45〜50、(xii)±50〜55、(xiii)±55〜60、(xiv)±60〜65、(xv)±65〜70、(xvi)±70〜75、(xvii)±75〜80、(xviii)±80〜85、(xix)±85〜90、(xx)±90〜95、(xxi)±95〜100、(xxii)>100、および(xxiii)<−100からなる群から選択されるΔMの値を中心にして対称にΔMの関数として変化するように構成される、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
前記x1および/またはx2は、y%*ΔMの率で増加するか、または減少するように構成され、前記yは、(i)<0.01、(ii)0.01〜0.02、(iii)0.02〜0.03、(iv)0.03〜0.04、(v)0.04〜0.05、(vi)0.05〜0.06、(viii)0.06〜0.07、(ix)0.07〜0.08、(x)0.08〜0.09、(xi)0.09〜0.10、(xii)0.10〜0.11、(xiii)0.11〜0.12、(xiv)0.12〜0.13、(xv)0.13〜0.14、(xvi)0.14〜0.15、(xvii)0.15〜0.16、(xviii)0.16〜0.17、(xix)0.17〜0.18、(xx)0.18〜0.19、(xxi)0.19〜0.20、および(xxii)>0.20からなる群から選択される、請求項9〜13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
ΔM<Mlowerおよび/またはΔM>Mlowerおよび/またはΔM<Mupperおよび/またはΔM>Mupperならば、x1および/またはx2は、実質的に一定値を有するように構成される、請求項9〜14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
ΔM<Mlowerおよび/またはΔM>Mlowerおよび/またはΔM<Mupperおよび/またはΔM>Mupperならば、x1および/またはx2は、ΔMの関数として変化するように構成される、請求項9〜15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
ΔM<Mlowerおよび/またはΔM>Mlowerおよび/またはΔM<Mupperおよび/またはΔM>Mupperならば、x1および/またはx2は、ΔMの関数として対称的、非対称的、直線的、非直線的、曲線的または段階的に変化するように構成される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記x1および/またはx2は、(i)0、(ii)±0〜5、(iii)±5〜10、(iv)±10〜15、(v)±15〜20、(vi)±20〜25、(vii)±25〜30、(viii)±30〜35、(ix)±35〜40、(x)±40〜45、(xi)±45〜50、(xii)±50〜55、(xiii)±55〜60、(xiv)±60〜65、(xv)±65〜70、(xvi)±70〜75、(xvii)±75〜80、(xviii)±80〜85、(xix)±85〜90、(xx)±90〜95、(xxi)±95〜100、(xxii)>100、および(xxiii)<−100からなる群から選択されるΔMの値を中心にして対称にΔMの関数として変化するように構成される、請求項16または17に記載の方法。
【請求項19】
ΔM<Mlowerおよび/またはΔM>Mlowerおよび/またはΔM<Mupperおよび/またはΔM>Mupperならば、x1および/またはx2は、y%*ΔMの率で増加するか、または減少するように構成され、前記yは、(i)<0.01、(ii)0.01〜0.02、(iii)0.02〜0.03、(iv)0.03〜0.04、(v)0.04〜0.05、(vi)0.05〜0.06、(viii)0.06〜0.07、(ix)0.07〜0.08、(x)0.08〜0.09、(xi)0.09〜0.10、(xii)0.10〜0.11、(xiii)0.11〜0.12、(xiv)0.12〜0.13、(xv)0.13〜0.14、(xvi)0.14〜0.15、(xvii)0.15〜0.16、(xviii)0.16〜0.17、(xix)0.17〜0.18、(xx)0.18〜0.19、(xxi)0.19〜0.20、および(xxii)>0.20からなる群から選択される、請求項9〜18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
前記Mupperは、ダルトンまたは質量電荷比単位の値であり、(i)<1、(ii)1〜5、(iii)5〜10、(iv)10〜15、(v)15〜20、(vi)20〜25、(vii)25〜30、(viii)30〜35、(ix)35〜40、(x)40〜45、(xi)45〜50、(xii)50〜55、(xiii)55〜60、(xiv)60〜65、(xv)65〜70、(xvi)70〜75、(xvii)75〜80、(xviii)80〜85、(xix)85〜90、(xx)90〜95、(xxi)95〜100、および(xxii)>100からなる群から選択される範囲に入る、請求項15〜19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
前記Mlowerは、ダルトンまたは質量電荷比単位の値であり、(i)<−100、(ii)−100〜−95、(iii)−95〜−90、(iv)−90〜−85、(v)−85〜−80、(vi)−80〜−75、(vii)−75〜−70、(viii)−70〜−65、(ix)−65〜−60、(x)−60〜−55、(xi)−55〜−50、(xii)−50〜−45、(xiii)−45〜−40、(xiv)−40〜−35、(xv)−35〜−30、(xvi)−30〜−25、(xvii)−25〜−20、(xviii)−20〜−15、(xix)−15〜−10、(xx)−10〜−5、(xxi)−5〜−1、および(xxii)>−1からなる群から選択される範囲に入る、請求項15〜20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
前記x1および/またはx2は、M1および/またはM2の関数として実質的に一定のままとなるように構成される、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
前記x1および/またはx2は、M1および/またはM2の関数として変化するように構成される、請求項1〜21のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
前記x1および/またはx2は、M1および/またはM2の関数として対称的、非対称的、直線的、非直線的、曲線的または段階的に変化するように構成される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記x1および/またはx2は、(i)0〜50、(ii)50〜100、(iii)100〜150、(iv)150〜200、(v)200〜250、(vi)250〜300、(vii)300〜350、(viii)350〜400、(ix)400〜450、(x)450〜500、(xi)500〜550、(xii)550〜600、(xiii)600〜650、(xiv)650〜700、(xv)700〜750、(xvi)750〜800、(xvii)800〜850、(xviii)850〜900、(xix)900〜950、(xx)950〜1000、および(xxi)>1000からなる群から選択されるM1および/またはM2の値を中心にして対称にM1および/またはM2の関数として変化するように構成される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記x1および/またはx2は、y%*M1および/またはy%*M2の率で増加するか、または減少するように構成され、前記yは、(i)<0.01、(ii)0.01〜0.02、(iii)0.02〜0.03、(iv)0.03〜0.04、(v)0.04〜0.05、(vi)0.05〜0.06、(viii)0.06〜0.07、(ix)0.07〜0.08、(x)0.08〜0.09、(xi)0.09〜0.10、(xii)0.10〜0.11、(xiii)0.11〜0.12、(xiv)0.12〜0.13、(xv)0.13〜0.14、(xvi)0.14〜0.15、(xvii)0.15〜0.16、(xviii)0.16〜0.17、(xix)0.17〜0.18、(xx)0.18〜0.19、(xxi)0.19〜0.20、および(xxii)>0.20からなる群から選択される、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項27】
M1<Mlowerおよび/またはM1>Mlowerおよび/またはM1<Mupperおよび/またはM1>Mupperおよび/またはM2<Mlowerおよび/またはM2>Mlowerおよび/またはM2<Mupperおよび/またはM2>Mupperならば、x1および/またはx2は、実質的に一定値を有するように構成される、請求項9〜26のいずれかに記載の方法。
【請求項28】
M1<Mlowerおよび/またはM1>Mlowerおよび/またはM1<Mupperおよび/またはM1>Mupperおよび/またはM2<Mlowerおよび/またはM2>Mlowerおよび/またはM2<Mupperおよび/またはM2>Mupperならば、x1および/またはx2は、M1および/またはM2の関数として変化するように構成される、請求項9〜27のいずれかに記載の方法。
【請求項29】
M1<Mlowerおよび/またはM1>Mlowerおよび/またはM1<Mupperおよび/またはM1>Mupperおよび/またはM2<Mlowerおよび/またはM2>Mlowerおよび/またはM2<Mupperおよび/またはM2>Mupperならば、x1および/またはx2は、M1および/またはM2の関数として対称的、非対称的、直線的、非直線的、曲線的または段階的に変化するように構成される、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記x1および/またはx2は、(i)0〜50、(ii)50〜100、(iii)100〜150、(iv)150〜200、(v)200〜250、(vi)250〜300、(vii)300〜350、(viii)350〜400、(ix)400〜450、(x)450〜500、(xi)500〜550、(xii)550〜600、(xiii)600〜650、(xiv)650〜700、(xv)700〜750、(xvi)750〜800、(xvii)800〜850、(xviii)850〜900、(xix)900〜950、(xx)950〜1000、および(xxi)>1000からなる群から選択されるM1および/またはM2の値を中心にして対称にM1および/またはM2の関数として変化するように構成される、請求項28または29に記載の方法。
【請求項31】
M1<Mlowerおよび/またはM1>Mlowerおよび/またはM1<Mupperおよび/またはM1>Mupperおよび/またはM2<Mlowerおよび/またはM2>Mlowerおよび/またはM2<Mupperおよび/またはM2>Mupperならば、x1および/またはx2は、y%*M1またはy%*M2の率で増加するか、または減少するように構成され、前記yは、(i)<0.01、(ii)0.01〜0.02、(iii)0.02〜0.03、(iv)0.03〜0.04、(v)0.04〜0.05、(vi)0.05〜0.06、(viii)0.06〜0.07、(ix)0.07〜0.08、(x)0.08〜0.09、(xi)0.09〜0.10、(xii)0.10〜0.11、(xiii)0.11〜0.12、(xiv)0.12〜0.13、(xv)0.13〜0.14、(xvi)0.14〜0.15、(xvii)0.15〜0.16、(xviii)0.16〜0.17、(xix)0.17〜0.18、(xx)0.18〜0.19、(xxi)0.19〜0.20、および(xxii)>0.20からなる群から選択される、請求項9〜30のいずれかに記載の方法。
【請求項32】
前記Mupperは、ダルトンまたは質量電荷比単位の値であり、(i)0〜50、(ii)50〜100、(iii)100〜150、(iv)150〜200、(v)200〜250、(vi)250〜300、(vii)300〜350、(viii)350〜400、(ix)400〜450、(x)450〜500、(xi)500〜550、(xii)550〜600、(xiii)600〜650、(xiv)650〜700、(xv)700〜750、(xvi)750〜800、(xvii)800〜850、(xviii)850〜900、(xix)900〜950、(xx)950〜1000、および(xxi)>1000からなる群から選択される範囲に入る、請求項27〜31のいずれかに記載の方法。
【請求項33】
前記Mlowerは、ダルトンまたは質量電荷比単位の値であり、(i)0〜50、(ii)50〜100、(iii)100〜150、(iv)150〜200、(v)200〜250、(vi)250〜300、(vii)300〜350、(viii)350〜400、(ix)400〜450、(x)450〜500、(xi)500〜550、(xii)550〜600、(xiii)600〜650、(xiv)650〜700、(xv)700〜750、(xvi)750〜800、(xvii)800〜850、(xviii)850〜900、(xix)900〜950、(xx)950〜1000、および(xxi)>1000からなる群から選択される範囲に入る、請求項27〜32のいずれかに記載の方法。
【請求項34】
(i)前記第1の小数質量または質量電荷比成分m1よりも0〜x1mDaまたはミリ−質量電荷比単位大きい、および/または前記第1の小数質量または質量電荷比成分m1よりも0〜x2mDaまたはミリ−質量電荷比単位小さい小数質量または質量電荷比成分を有する1つまたはそれ以上の第2の物質またはイオン、
および/または
(ii)衝突、フラグメンテーションまたは反応した場合、前記第1の小数質量または質量電荷比成分m1よりも0〜x1mDaまたはミリ−質量電荷比単位大きい、および/または前記第1の小数質量または質量電荷比成分m1よりも0〜x2mDaまたはミリ−質量電荷比単位小さい小数質量または質量電荷比成分を有する1つまたはそれ以上のフラグメント、生成、娘もしくは付加物質またはイオンを生成する1つまたはそれ以上の第2の物質またはイオン
のいずれかをさらなる分析のために選択するステップをさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項35】
前記さらなる分析のために選択するステップは、前記1つまたはそれ以上の第2の物質またはイオンをフラグメンテーションするステップを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記さらなる分析のために選択するステップは、前記第1の小数質量または質量電荷比成分m1よりも0〜x1mDaまたはミリ−質量電荷比単位大きい、および/または前記第1の小数質量または質量電荷比成分m1よりも0〜x2mDaまたはミリ−質量電荷比単位小さい小数質量または質量電荷比成分を有する前記1つまたはそれ以上の第2の物質またはイオンを、衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスへ前方向に移送するステップを含む、請求項34または35に記載の方法。
【請求項37】
質量分析の方法であって、
(a)親または前駆イオンを衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスに渡すステップと、
(b)前記衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスを第1の動作モードにおいて動作させるステップであって、前記親または前駆イオンの少なくともいくつかが衝突、フラグメンテーションまたは反応されて、フラグメント、生成、娘または付加イオンを生成する、ステップと、
(c)前記第1の動作モードにおいて動作する衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスから現れるか、またはそこを通って移送されてきたイオンに関係する第1の質量スペクトルデータを記録するステップと、
(d)前記衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスを第2の動作モードにおいて動作するように切り換え、改変、または変更するステップであって、実質的により少ない親または前駆イオンが衝突、フラグメンテーションまたは反応される、ステップと、
(e)前記第2の動作モードにおいて動作する衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスから現れるか、またはそこを通って移送されてきたイオンに関係する第2の質量スペクトルデータを記録するステップと、
(f)ステップ(b)〜(e)を複数回繰り返すステップと、
(g)1つまたはそれ以上の第1の親もしくは前駆物質またはイオンの正確なまたは厳密な質量または質量電荷比を決定するステップであって、前記1つまたはそれ以上の第1の親もしくは前駆物質またはイオンの正確なまたは厳密な質量または質量電荷比は、第1の整数質量または質量電荷比成分M1および第1の小数質量または質量電荷比成分m1を含む、ステップと、
(h)前記第1の質量スペクトルデータにおいてまたはそれから1つまたはそれ以上の第2の親もしくは前駆物質またはイオンを検索または決定するステップであって、前記1つまたはそれ以上の第2の親もしくは前駆物質またはイオンは、第2の整数質量または質量電荷比成分M2および第2の小数質量または質量電荷比成分m2を含み、前記第2の小数質量または質量電荷比成分m2は、前記第1の小数質量または質量電荷比成分m1よりも0〜x1mDaまたはミリ−質量電荷比単位大きい、および/または前記第1の小数質量または質量電荷比成分m1よりも0〜x2mDaまたはミリ−質量電荷比単位小さい、ステップとを含む方法。
【請求項38】
前記第1および/または第2の親もしくは前駆物質またはイオンは、製薬化合物、薬物または活性成分を含むか、またはそれに関係する、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記第1および/または第2の親もしくは前駆物質またはイオンは、製薬化合物、薬物または活性成分の1つまたはそれ以上の代謝産物または誘導体を含むか、またはそれに関係する、請求項37または38に記載の方法。
【請求項40】
前記第1および/または第2の親もしくは前駆物質またはイオンは、生体高分子、タンパク質、ペプチド、ポリペプチド、オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオシド、アミノ酸、炭水化物、糖、脂質、脂肪酸、ビタミン、ホルモン、DNAの部分もしくはフラグメント、cDNAの部分もしくはフラグメント、RNAの部分もしくはフラグメント、mRNAの部分もしくはフラグメント、tRNAの部分もしくはフラグメント、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、リボヌクレアーゼ、酵素、代謝産物、多糖類、リン酸化ペプチド、リン酸化タンパク質、糖ペプチド、糖タンパク質、またはステロイドを含むか、あるいはそれらに関係する、請求項37、38または39に記載の方法。
【請求項41】
前記1つまたはそれ以上の第2の親もしくは前駆物質またはイオンを検索または決定するステップは、前記第2の小数質量または質量電荷比成分m2にのみ基づき、前記第2の整数質量または質量電荷比成分M2には基づかずに検索するステップを含む、請求項37〜40のいずれかに記載の方法。
【請求項42】
前記1つまたはそれ以上の第2の親もしくは前駆物質またはイオンを検索または決定するステップは、前記第1の整数質量または質量電荷比成分M1とは異なる第2の整数質量または質量電荷比成分M2を有する一部またはすべての第2の親もしくは前駆物質またはイオンを検索または決定するステップを含む、請求項37〜41のいずれかに記載の方法。
【請求項43】
前記1つまたはそれ以上の第2の親もしくは前駆物質またはイオンを検索または決定するステップは、小数質量または質量電荷比ウィンドウを前記第1の質量スペクトルデータおよび/または前記第2の質量スペクトルデータおよび/または質量スペクトルに対して適用するステップをさらに含む、請求項37〜42のいずれかに記載の方法。
【請求項44】
前記小数質量または質量電荷比ウィンドウは、前記小数質量または質量電荷比ウィンドウから外れる第2の小数質量または質量電荷比成分m2を有する第2の親もしくは前駆物質またはイオンの有意性をフィルタで取り除くか、除去するか、減衰させるか、または少なくとも低減する、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記第1の整数質量または質量電荷比M1から前記第2の整数質量または質量電荷比M2を差し引いたものがΔMダルトンまたは質量電荷比単位の値を有する、請求項37〜44のいずれかに記載の方法。
【請求項46】
前記x1および/またはx2は、ΔMの関数として実質的に一定のままとなるように構成される、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記x1および/またはx2は、ΔMの関数として変化するように構成される、請求項45に記載の方法。
【請求項48】
前記x1および/またはx2は、ΔMの関数として対称的、非対称的、直線的、非直線的、曲線的または段階的に変化するように構成される、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記x1および/またはx2は、(i)0、(ii)±0〜5、(iii)±5〜10、(iv)±10〜15、(v)±15〜20、(vi)±20〜25、(vii)±25〜30、(viii)±30〜35、(ix)±35〜40、(x)±40〜45、(xi)±45〜50、(xii)±50〜55、(xiii)±55〜60、(xiv)±60〜65、(xv)±65〜70、(xvi)±70〜75、(xvii)±75〜80、(xviii)±80〜85、(xix)±85〜90、(xx)±90〜95、(xxi)±95〜100、(xxii)>100、および(xxiii)<−100からなる群から選択されるΔMの値を中心にして対称にΔMの関数として変化するように構成される、請求項47または48に記載の方法。
【請求項50】
前記x1および/またはx2は、y%*ΔMの率で増加するか、または減少するように構成され、前記yは、(i)<0.01、(ii)0.01〜0.02、(iii)0.02〜0.03、(iv)0.03〜0.04、(v)0.04〜0.05、(vi)0.05〜0.06、(viii)0.06〜0.07、(ix)0.07〜0.08、(x)0.08〜0.09、(xi)0.09〜0.10、(xii)0.10〜0.11、(xiii)0.11〜0.12、(xiv)0.12〜0.13、(xv)0.13〜0.14、(xvi)0.14〜0.15、(xvii)0.15〜0.16、(xviii)0.16〜0.17、(xix)0.17〜0.18、(xx)0.18〜0.19、(xxi)0.19〜0.20、および(xxii)>0.20からなる群より選択される、請求項37〜49のいずれかに記載の方法。
【請求項51】
ΔM<Mlowerおよび/またはΔM>Mlowerおよび/またはΔM<Mupperおよび/またはΔM>Mupperならば、x1および/またはx2は、実質的に一定値を有するように構成される、請求項37〜50のいずれかに記載の方法。
【請求項52】
ΔM<Mlowerおよび/またはΔM>Mlowerおよび/またはΔM<Mupperおよび/またはΔM>Mupperならば、x1および/またはx2は、ΔMの関数として変化するように構成される、請求項37〜51のいずれかに記載の方法。
【請求項53】
ΔM<Mlowerおよび/またはΔM>Mlowerおよび/またはΔM<Mupperおよび/またはΔM>Mupperならば、x1および/またはx2は、ΔMの関数として対称的、非対称的、直線的、非直線的、曲線的または段階的に変化するように構成される、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記x1および/またはx2は、(i)0、(ii)±0〜5、(iii)±5〜10、(iv)±10〜15、(v)±15〜20、(vi)±20〜25、(vii)±25〜30、(viii)±30〜35、(ix)±35〜40、(x)±40〜45、(xi)±45〜50、(xii)±50〜55、(xiii)±55〜60、(xiv)±60〜65、(xv)±65〜70、(xvi)±70〜75、(xvii)±75〜80、(xviii)±80〜85、(xix)±85〜90、(xx)±90〜95、(xxi)±95〜100、(xxii)>100、および(xxiii)<−100からなる群から選択されるΔMの値を中心にして対称にΔMの関数として変化するように構成される、請求項52または53に記載の方法。
【請求項55】
ΔM<Mlowerおよび/またはΔM>Mlowerおよび/またはΔM<Mupperおよび/またはΔM>Mupperならば、x1および/またはx2は、y%*ΔMの率で増加するか、または減少するように構成され、前記yは、(i)<0.01、(ii)0.01〜0.02、(iii)0.02〜0.03、(iv)0.03〜0.04、(v)0.04〜0.05、(vi)0.05〜0.06、(viii)0.06〜0.07、(ix)0.07〜0.08、(x)0.08〜0.09、(xi)0.09〜0.10、(xii)0.10〜0.11、(xiii)0.11〜0.12、(xiv)0.12〜0.13、(xv)0.13〜0.14、(xvi)0.14〜0.15、(xvii)0.15〜0.16、(xviii)0.16〜0.17、(xix)0.17〜0.18、(xx)0.18〜0.19、(xxi)0.19〜0.20、および(xxii)>0.20からなる群から選択される、請求項37〜54のいずれかに記載の方法。
【請求項56】
前記Mupperは、ダルトンまたは質量電荷比単位の値であり、(i)<1、(ii)1〜5、(iii)5〜10、(iv)10〜15、(v)15〜20、(vi)20〜25、(vii)25〜30、(viii)30〜35、(ix)35〜40、(x)40〜45、(xi)45〜50、(xii)50〜55、(xiii)55〜60、(xiv)60〜65、(xv)65〜70、(xvi)70〜75、(xvii)75〜80、(xviii)80〜85、(xix)85〜90、(xx)90〜95、(xxi)95〜100、および(xxii)>100からなる群から選択される範囲に入る、請求項51〜55のいずれかに記載の方法。
【請求項57】
前記Mlowerは、ダルトンまたは質量電荷比単位の値であり、(i)<−100、(ii)−100〜−95、(iii)−95〜−90、(iv)−90〜−85、(v)−85〜−80、(vi)−80〜−75、(vii)−75〜−70、(viii)−70〜−65、(ix)−65〜−60、(x)−60〜−55、(xi)−55〜−50、(xii)−50〜−45、(xiii)−45〜−40、(xiv)−40〜−35、(xv)−35〜−30、(xvi)−30〜−25、(xvii)−25〜−20、(xviii)−20〜−15、(xix)−15〜−10、(xx)−10〜−5、(xxi)−5〜−1、および(xxii)>−1からなる群から選択される範囲に入る、請求項51〜56のいずれかに記載の方法。
【請求項58】
前記x1および/またはx2は、M1および/またはM2の関数として実質的に一定のままとなるように構成される、請求項37〜57のいずれかに記載の方法。
【請求項59】
前記x1および/またはx2は、M1および/またはM2の関数として変化するように構成される、請求項37〜57のいずれかに記載の方法。
【請求項60】
前記x1および/またはx2は、M1および/またはM2の関数として対称的、非対称的、直線的、非直線的、曲線的または段階的に変化するように構成される、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記x1および/またはx2は、(i)0〜50、(ii)50〜100、(iii)100〜150、(iv)150〜200、(v)200〜250、(vi)250〜300、(vii)300〜350、(viii)350〜400、(ix)400〜450、(x)450〜500、(xi)500〜550、(xii)550〜600、(xiii)600〜650、(xiv)650〜700、(xv)700〜750、(xvi)750〜800、(xvii)800〜850、(xviii)850〜900、(xix)900〜950、(xx)950〜1000、および(xxi)>1000からなる群から選択されるM1および/またはM2の値を中心にして対称にM1および/またはM2の関数として変化するように構成される、請求項59または60に記載の方法。
【請求項62】
前記x1および/またはx2は、y%*M1および/またはy%*M2の率で増加するか、または減少するように構成され、前記yは、(i)<0.01、(ii)0.01〜0.02、(iii)0.02〜0.03、(iv)0.03〜0.04、(v)0.04〜0.05、(vi)0.05〜0.06、(viii)0.06〜0.07、(ix)0.07〜0.08、(x)0.08〜0.09、(xi)0.09〜0.10、(xii)0.10〜0.11、(xiii)0.11〜0.12、(xiv)0.12〜0.13、(xv)0.13〜0.14、(xvi)0.14〜0.15、(xvii)0.15〜0.16、(xviii)0.16〜0.17、(xix)0.17〜0.18、(xx)0.18〜0.19、(xxi)0.19〜0.20、および(xxii)>0.20からなる群から選択される、請求項37〜61のいずれかに記載の方法。
【請求項63】
M1<Mlowerおよび/またはM1>Mlowerおよび/またはM1<Mupperおよび/またはM1>Mupperおよび/またはM2<Mlowerおよび/またはM2>Mlowerおよび/またはM2<Mupperおよび/またはM2>Mupperならば、x1および/またはx2は、実質的に一定値を有するように構成される、請求項37〜62のいずれかに記載の方法。
【請求項64】
M1<Mlowerおよび/またはM1>Mlowerおよび/またはM1<Mupperおよび/またはM1>Mupperおよび/またはM2<Mlowerおよび/またはM2>Mlowerおよび/またはM2<Mupperおよび/またはM2>Mupperならば、x1および/またはx2は、M1および/またはM2の関数として変化するように構成される、請求項37〜63のいずれかに記載の方法。
【請求項65】
M1<Mlowerおよび/またはM1>Mlowerおよび/またはM1<Mupperおよび/またはM1>Mupperおよび/またはM2<Mlowerおよび/またはM2>Mlowerおよび/またはM2<Mupperおよび/またはM2>Mupperならば、x1および/またはx2は、M1および/またはM2の関数として対称的、非対称的、直線的、非直線的、曲線的または段階的に変化するように構成される、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記x1および/またはx2は、(i)0〜50、(ii)50〜100、(iii)100〜150、(iv)150〜200、(v)200〜250、(vi)250〜300、(vii)300〜350、(viii)350〜400、(ix)400〜450、(x)450〜500、(xi)500〜550、(xii)550〜600、(xiii)600〜650、(xiv)650〜700、(xv)700〜750、(xvi)750〜800、(xvii)800〜850、(xviii)850〜900、(xix)900〜950、(xx)950〜1000、および(xxi)>1000からなる群から選択されるM1および/またはM2の値を中心にして対称にM1および/またはM2の関数として変化するように構成される、請求項64または65に記載の方法。
【請求項67】
M1<Mlowerおよび/またはM1>Mlowerおよび/またはM1<Mupperおよび/またはM1>Mupperおよび/またはM2<Mlowerおよび/またはM2>Mlowerおよび/またはM2<Mupperおよび/またはM2>Mupperならば、x1および/またはx2は、y%*M1またはy%*M2の率で増加するか、または減少するように構成され、前記yは、(i)<0.01、(ii)0.01〜0.02、(iii)0.02〜0.03、(iv)0.03〜0.04、(v)0.04〜0.05、(vi)0.05〜0.06、(viii)0.06〜0.07、(ix)0.07〜0.08、(x)0.08〜0.09、(xi)0.09〜0.10、(xii)0.10〜0.11、(xiii)0.11〜0.12、(xiv)0.12〜0.13、(xv)0.13〜0.14、(xvi)0.14〜0.15、(xvii)0.15〜0.16、(xviii)0.16〜0.17、(xix)0.17〜0.18、(xx)0.18〜0.19、(xxi)0.19〜0.20、および(xxii)>0.20からなる群から選択される、請求項37〜66のいずれかに記載の方法。
【請求項68】
前記Mupperは、ダルトンまたは質量電荷比単位の値であり、(i)0〜50、(ii)50〜100、(iii)100〜150、(iv)150〜200、(v)200〜250、(vi)250〜300、(vii)300〜350、(viii)350〜400、(ix)400〜450、(x)450〜500、(xi)500〜550、(xii)550〜600、(xiii)600〜650、(xiv)650〜700、(xv)700〜750、(xvi)750〜800、(xvii)800〜850、(xviii)850〜900、(xix)900〜950、(xx)950〜1000、および(xxi)>1000からなる群から選択される範囲に入る、請求項37〜67のいずれかに記載の方法。
【請求項69】
前記Mlowerは、ダルトンまたは質量電荷比単位の値であり、(i)0〜50、(ii)50〜100、(iii)100〜150、(iv)150〜200、(v)200〜250、(vi)250〜300、(vii)300〜350、(viii)350〜400、(ix)400〜450、(x)450〜500、(xi)500〜550、(xii)550〜600、(xiii)600〜650、(xiv)650〜700、(xv)700〜750、(xvi)750〜800、(xvii)800〜850、(xviii)850〜900、(xix)900〜950、(xx)950〜1000、および(xxi)>1000からなる群から選択される範囲に入る、請求項37〜68のいずれかに記載の方法。
【請求項70】
前記第1の小数質量または質量電荷比成分m1よりも0〜x1mDaまたはミリ−質量電荷比単位大きい、および/または前記第1の小数質量または質量電荷比成分m1よりも0〜x2mDaまたはミリ−質量電荷比単位小さい小数質量または質量電荷比成分m2を有する1つまたはそれ以上の第2の親もしくは前駆物質またはイオンをさらなる分析のために選択するステップをさらに含む、請求項37〜69のいずれかに記載の方法。
【請求項71】
前記さらなる分析のために選択するステップは、前記1つまたはそれ以上の第2の親もしくは前駆物質またはイオンをフラグメンテーションするステップを含む、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
前記さらなる分析のために選択するステップは、前記第1の小数質量または質量電荷比成分m1よりも0〜x1mDaまたはミリ−質量電荷比単位大きい、および/または前記第1の小数質量または質量電荷比成分m1よりも0〜x2mDaまたはミリ−質量電荷比単位小さい小数質量または質量電荷比成分m2を有する前記1つまたはそれ以上の第2の親もしくは前駆物質またはイオンを、衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスへ前方向に移送するステップを含む、請求項70または71に記載の方法。
【請求項73】
前記x1は、(i)<1、(ii)1〜5、(iii)5〜10、(iv)10〜15、(v)15〜20、(vi)20〜25、(vii)25〜30、(viii)30〜35、(ix)35〜40、(x)40〜45、(xi)45〜50、(xii)50〜55、(xiii)55〜60、(xiv)60〜65、(xv)65〜70、(xvi)70〜75、(xvii)75〜80、(xviii)80〜85、(xix)85〜90、(xx)90〜95、(xxi)95〜100、および(xxii)>100からなる群から選択される範囲に入る、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項74】
前記x2は、(i)<1、(ii)1〜5、(iii)5〜10、(iv)10〜15、(v)15〜20、(vi)20〜25、(vii)25〜30、(viii)30〜35、(ix)35〜40、(x)40〜45、(xi)45〜50、(xii)50〜55、(xiii)55〜60、(xiv)60〜65、(xv)65〜70、(xvi)70〜75、(xvii)75〜80、(xviii)80〜85、(xix)85〜90、(xx)90〜95、(xxi)95〜100、および(xxii)>100からなる群から選択される範囲に入る、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項75】
異なるアイデンティティを有するか、または異なる種を含む、少なくとも、2、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1500、2000、2500、3000、3500、4000、4500、または5000個の成分、分子または検体を含む試料を分析するステップをさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項76】
前記衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスは、衝突誘起解離デバイスを含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項77】
前記衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスは、(i)表面誘起解離(「SID」)フラグメンテーションデバイス、(ii)電子移動解離フラグメンテーションデバイス、(iii)電子捕獲解離フラグメンテーションデバイス、(iv)電子衝突または衝撃解離フラグメンテーションデバイス、(v)光誘起解離(「PID」)フラグメンテーションデバイス、(vi)レーザ誘起解離フラグメンテーションデバイス、(vii)赤外放射誘起解離デバイス、(viii)紫外放射誘起解離デバイス、(ix)ノズル−スキマ間インターフェースフラグメンテーションデバイス、(x)インソースフラグメンテーションデバイス、(xi)イオン源衝突誘起解離フラグメンテーションデバイス、(xii)熱または温度源フラグメンテーションデバイス、(xiii)電界誘起フラグメンテーションデバイス、(xiv)磁場誘起フラグメンテーションデバイス、(xv)酵素消化または酵素分解フラグメンテーションデバイス、(xvi)イオン−イオン反応フラグメンテーションデバイス、(xvii)イオン−分子反応フラグメンテーションデバイス、(xviii)イオン−原子反応フラグメンテーションデバイス、(xix)イオン−メタステーブルイオン反応フラグメンテーションデバイス、(xx)イオン−メタステーブル分子反応フラグメンテーションデバイス、(xxi)イオン−メタステーブル原子反応フラグメンテーションデバイス、(xxii)イオンを反応させて付加または生成イオンを形成するためのイオン−イオン反応デバイス、(xxiii)イオンを反応させて付加または生成イオンを形成するためのイオン−分子反応デバイス、(xxiv)イオンを反応させて付加または生成イオンを形成するためのイオン−原子反応デバイス、(xxv)イオンを反応させて付加または生成イオンを形成するためのイオン−メタステーブルイオン反応デバイス、(xxvi)イオンを反応させて付加または生成イオンを形成するためのイオン−メタステーブル分子反応デバイス、および(xxvii)イオンを反応させて付加または生成イオンを形成するためのイオン−メタステーブル原子反応デバイスからなる群から選択される、請求項1〜75のいずれかに記載の方法。
【請求項78】
前記1つまたはそれ以上の第2の物質またはイオンまたは前記1つまたはそれ以上の第2の親もしくは前駆物質またはイオンのフラグメンテーションによって得られるフラグメント生成物またはイオンを質量分析するステップをさらに含む、請求項35または71に記載の方法。
【請求項79】
分析されるべき試料中の成分、検体または分子を分離プロセスによって分離するステップをさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項80】
前記分離プロセスは液体クロマトグラフィを含む、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
分離プロセスは、(i)高速液体クロマトグラフィ(「HPLC」)、(ii)陰イオン変換、(iii)陰イオン変換クロマトグラフィ、(iv)陽イオン変換、(v)陽イオン変換クロマトグラフィ、(vi)イオン対逆相クロマトグラフィ、(vii)クロマトグラフィ、(viii)1次元電気泳動、(ix)多次元電気泳動、(x)サイズ排除、(xi)親和性、(xii)逆相クロマトグラフィ、(xiii)キャピラリ電気泳動クロマトグラフィ(「CEC」)、(xiv)電気泳動、(xv)イオン移動度分離、(xvi)フィールド非対称なイオン移動度分離またはスペクトロメトリ(「FAIMS」)、(xvii)キャピラリ電気泳動、(xviii)ガスクロマトグラフィ、および(xix)超臨界流体クロマトグラフィを含む、請求項79に記載の方法。
【請求項82】
分析されるべき試料中の成分、検体または分子をイオン化するステップをさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項83】
成分、検体または分子を連続またはパルス化イオン源を用いてイオン化するステップをさらに含む請求項82に記載の方法。
【請求項84】
前記成分、検体または分子をイオン化するステップは、(i)エレクトロスプレーイオン化(「ESI」)イオン源、(ii)大気圧光イオン化(「APPI」)イオン源、(iii)大気圧化学イオン化(「APCI」)イオン源、(iv)マトリックス支援レーザ脱離イオン化(「MALDI」)イオン源、(v)レーザ脱離イオン化(「LDI」)イオン源、(vi)大気圧イオン化(「API」)イオン源、(vii)シリコンを用いた脱離イオン化(「DIOS」)イオン源、(viii)電子衝突(「EI」)イオン源、(ix)化学イオン化(「CI」)イオン源、(x)電界イオン化(「FI」)イオン源、(xi)電界脱離(「FD」)イオン源、(xii)誘導結合プラズマ(「ICP」)イオン源、(xiii)高速原子衝撃(「FAB」)イオン源、(xiv)液体二次イオン質量分析(「LSIMS」)イオン源、(xv)脱離エレクトロスプレーイオン化(「DESI」)イオン源、(xvi)ニッケル−63放射性イオン源、および(xvii)サーモスプレーイオン源からなる群から選択されるイオン源を用いて前記成分、検体または分子をイオン化するステップを含む、請求項82または83に記載の方法。
【請求項85】
前記1つまたはそれ以上の第1の親もしくは前駆物質またはイオンおよび/または前記1つまたはそれ以上の第2の親もしくは前駆物質またはイオンおよび/または前記1つまたはそれ以上の第2の物質またはイオンおよび/またはフラグメント生成物またはイオンを質量分析器を用いて質量分析するステップをさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項86】
前記質量分析するステップは、(i)フーリエ変換(「FT」)質量分析器、(ii)フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴(「FTICR」)質量分析器、(iii)飛行時間(「TOF」)質量分析器、(iv)直交加速飛行時間(「oaTOF」)質量分析器、(v)軸方向加速飛行時間質量分析器、(vi)扇形磁場質量分析計、(vii)ポールまたは3D四重極質量分析器、(viii)2Dまたは直線四重極質量分析器、(ix)ペニングトラップ質量分析器、(x)イオントラップ質量分析器、(xi)フーリエ変換オービトラップ、(xii)静電イオンサイクロトロン共鳴質量分析計、(xiii)静電フーリエ変換質量分析計、および(xiv)四重極質量分析器からなる群から選択される質量分析器を用いて質量分析するステップを含む、請求項85に記載の方法。
【請求項87】
前記1つまたはそれ以上の親もしくは前駆物質またはイオンおよび/または前記1つまたはそれ以上のフラグメント、生成、娘または付加イオンおよび/または前記1つまたはそれ以上の第1の親もしくは前駆物質またはイオンおよび/または前記1つまたはそれ以上の第2の親もしくは前駆物質またはイオンの厳密なまたは正確な質量または質量電荷比は、20ppm、19ppm、18ppm、17ppm、16ppm、15ppm、14ppm、13ppm、12ppm、11ppm、10ppm、9ppm、8ppm、7ppm、6ppm、5ppm、4ppm、3ppm、2ppm、1ppm以内または<1ppmに決定される、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項88】
前記1つまたはそれ以上の親もしくは前駆物質またはイオンおよび/または前記1つまたはそれ以上のフラグメント、生成、娘または付加イオンおよび/または前記1つまたはそれ以上の第1の親もしくは前駆物質またはイオンおよび/または前記1つまたはそれ以上の第2の親もしくは前駆物質またはイオンの厳密なまたは正確な質量または質量電荷比は、0.40質量単位、0.35質量単位、0.30質量単位、0.25質量単位、0.20質量単位、0.15質量単位、0.10質量単位、0.05質量単位、0.01質量単位、0.009質量単位、0.008質量単位、0.007質量単位、0.006質量単位、0.005質量単位、0.004質量単位、0.003質量単位、0.002質量単位、0.001質量単位以内または<0.001質量単位に決定される、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項89】
分析される試料は、疾患生体、非疾患生体、処置生体、非処置生体、変異生体または野生型生体から採取される、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項90】
前記1つまたはそれ以上の親もしくは前駆物質またはイオンおよび/または前記1つまたはそれ以上のフラグメント、生成、娘または付加イオンおよび/または前記1つまたはそれ以上の第1の親もしくは前駆物質またはイオンおよび/または前記1つまたはそれ以上の第2の親もしくは前駆物質またはイオンの組成を同定または決定するステップをさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項91】
前記1つまたはそれ以上の親もしくは前駆物質またはイオンおよび/または前記1つまたはそれ以上のフラグメント、生成、娘または付加イオンおよび/または前記1つまたはそれ以上の第1の親もしくは前駆物質またはイオンおよび/または前記1つまたはそれ以上の第2の親もしくは前駆物質またはイオンの強度、濃度または発現レベルを定量または決定するステップをさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項92】
前記1つまたはそれ以上の親もしくは前駆物質またはイオンおよび/または前記1つまたはそれ以上のフラグメント、生成、娘または付加イオンおよび/または前記1つまたはそれ以上の第1の親もしくは前駆物質またはイオンおよび/または前記1つまたはそれ以上の第2の親もしくは前駆物質またはイオンを認識するステップをさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項93】
第1の質量スペクトルまたは質量スペクトルデータを、実質的に同時に得られる第2の質量スペクトルまたは質量スペクトルデータと比較するステップと、
第2の質量スペクトルまたは質量スペクトルデータにおいて第1の質量スペクトルまたは質量スペクトルデータと比べて大きな強度を有するイオンを親または前駆イオンとして認識するステップとを含む、請求項92に記載の方法。
【請求項94】
フラグメント、生成、娘または付加イオンを認識するステップをさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の質量分析の方法。
【請求項95】
第1の質量スペクトルまたは質量スペクトルデータを、実質的に同時に得られる第2の質量スペクトルまたは質量スペクトルデータと比較するステップと、
第1の質量スペクトルまたは質量スペクトルデータにおいて第2の質量スペクトルまたは質量スペクトルデータと比べて大きな強度を有するイオンをフラグメント、生成、娘または付加イオンとして認識するステップとを含む、請求項94に記載の質量分析の方法。
【請求項96】
すべての前記親または前駆イオンから1サブグループの可能な候補の親または前駆イオンを選択する工程をさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の質量分析の方法。
【請求項97】
所定のフラグメント、生成、娘または付加イオンに対するそれらの関係に基づいて可能な候補の親または前駆イオンを選択するステップをさらに含む、請求項96に記載の質量分析の方法。
【請求項98】
第1の質量スペクトルを用いて前記所定のフラグメント、生成、娘または付加イオンに対する所定のフラグメント、生成、娘または付加イオン質量クロマトグラムを生成するステップと、
前記所定のフラグメント、生成、娘または付加イオン質量クロマトグラムにおける各ピークの中心を決定するステップと、
対応する所定のフラグメント、生成、娘または付加イオン溶出時間を決定するステップとをさらに含む、先行する請求項97に記載の質量分析の方法。
【請求項99】
前記所定のフラグメント、生成、娘または付加イオン質量クロマトグラムにおける各ピークに対して、
以前に認識された親または前駆イオンの存在について、前記所定のフラグメント、生成、娘または付加イオン溶出時間の直前に得られる第2の質量スペクトルおよび前記所定のフラグメント、生成、娘または付加イオン溶出時間の直後に得られる第2の質量スペクトルの両方を調べるステップと、
前記所定のフラグメント、生成、娘または付加イオン溶出時間の直前の第2の質量スペクトルおよび前記所定のフラグメント、生成、娘または付加イオン溶出時間の直後の第2の質量スペクトルの両方に存在が見つかったいずれの以前に認識された親または前駆イオンに対して可能な候補の親または前駆イオン質量クロマトグラムを生成するステップと、
各前記可能な候補の親または前駆イオン質量クロマトグラムにおいて各ピークの中心を決定するステップと、
対応する可能な候補の親または前駆イオン溶出時間を決定するステップとをさらに含む、請求項98に記載の質量分析の方法。
【請求項100】
可能な候補の親または前駆イオンをそれらの溶出時間の前記所定のフラグメント、生成、娘または付加イオン溶出時間との一致度にしたがって順位づけするステップをさらに含む、請求項99に記載の質量分析の方法。
【請求項101】
可能な候補の親または前駆イオンの溶出時間が、前記所定のフラグメント、生成、娘または付加イオン溶出時間よりも所定量より多く先行または超える場合に、前記可能な候補の親または前駆イオンを棄却することにより、前記可能な候補の親または前駆イオンから最終候補の親または前駆イオンのリストを作成するステップをさらに含む、請求項100に記載の質量分析の方法。
【請求項102】
可能な候補の親または前駆イオンを、それらが所定の質量損失を生じることに基づいて、選択するステップをさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の質量分析の方法。
【請求項103】
各第2の質量スペクトルまたは第2の質量スペクトルデータに対して、
前記第2の質量スペクトルまたは第2の質量スペクトルデータ中に存在する各以前に認識された親または前駆イオンからの所定のイオンまたは中性粒子の損失によって得られ得るターゲットフラグメント、生成、娘または付加イオン質量電荷値のリストを生成するステップと、
前記ターゲットフラグメント、生成、娘または付加イオン質量電荷値に対応する質量電荷値を有するフラグメント、生成、娘または付加イオンの存在について、前記第2の質量スペクトルまたは第2の質量スペクトルデータの直前に得られる第1の質量スペクトルまたは第1の質量スペクトルデータおよび前記第2の質量スペクトルまたは第2の質量スペクトルデータの直後に得られる第1の質量スペクトルまたは第1の質量スペクトルデータの両方を調べるステップと、
前記ターゲットフラグメント、生成、娘または付加イオン質量電荷値に対応する質量電荷値を有するフラグメント、生成、娘または付加イオンが前記第2の質量スペクトルまたは第2の質量スペクトルデータの直前の前記第1の質量スペクトルまたは第1の質量スペクトルデータおよび前記第2の質量スペクトルまたは第2の質量スペクトルデータの直後の前記第1の質量スペクトルまたは第1の質量スペクトルデータの両方に存在することが見つかった場合に、前記リストに親または前駆イオンを含めることによって、可能な候補の親または前駆イオンのリストを、必要に応じてそれらに対応するフラグメント、生成、娘または付加イオンとともに、作成するステップとをさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の質量分析の方法。
【請求項104】
可能な候補の親または前駆イオンおよびそれらに対応するフラグメント、生成、娘または付加イオンに基づいて質量損失クロマトグラムを生成するステップと、
前記質量損失クロマトグラムにおいて各ピークの中心を決定するステップと、
対応する質量損失溶出時間を決定するステップとをさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の質量分析の方法。
【請求項105】
各可能な候補の親または前駆イオンに対して、
第2の質量スペクトルまたは第2の質量スペクトルデータを用いて前記可能な候補の親または前駆イオンに対する可能な候補の親または前駆イオン質量クロマトグラムを生成するステップと、
対応するフラグメント、生成、娘または付加イオンに対する対応のフラグメント、生成、娘または付加イオン質量クロマトグラムを生成するステップと、
前記可能な候補の親または前駆イオン質量クロマトグラムおよび対応するフラグメント、生成、娘または付加イオン質量クロマトグラムにおいて各ピークの中心を決定するステップと、
対応する可能な候補の親または前駆イオン溶出時間および対応するフラグメント、生成、娘または付加イオン溶出時間を決定するステップとをさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の質量分析の方法。
【請求項106】
可能な候補の親または前駆イオンの溶出時間が、対応するフラグメント、生成、娘または付加イオン溶出時間よりも所定量より多く先行または超える場合に、前記可能な候補の親または前駆イオンを棄却することにより、前記可能な候補の親または前駆イオンから最終候補の親または前駆イオンのリストを作成するステップをさらに含む、請求項105に記載の質量分析の方法。
【請求項107】
各最終候補の親または前駆イオンを同定するステップをさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項108】
各最終候補の親または前駆イオンに対して、
前記最終候補の親または前駆イオンの溶出時間を呼び戻すステップと、
前記最終候補の親または前駆イオンの溶出時間の直前に得られる第2の質量スペクトルまたは第2の質量スペクトルデータおよび前記最終候補の親または前駆イオンの溶出時間の直後に得られる第2の質量スペクトルまたは第2の質量スペクトルデータの両方に存在する以前に認識されたフラグメント、生成、娘または付加イオンを含む可能な候補のフラグメント、生成、娘または付加イオンのリストを生成するステップと、
各可能な候補のフラグメント、生成、娘または付加イオンの可能な候補のフラグメント、生成、娘または付加イオン質量クロマトグラムを生成するステップと、
各前記可能な候補のフラグメント、生成、娘または付加イオン質量クロマトグラムにおける各ピークの中心を決定するステップと、
対応する可能な候補のフラグメント、生成、娘または付加イオン溶出時間を決定するステップとをさらに含む、請求項107に記載の方法。
【請求項109】
可能な候補のフラグメント、生成、娘または付加イオンをそれらの溶出時間の前記最終候補の親または前駆イオンの溶出時間との一致度にしたがって順位づけするステップをさらに含む、請求項108に記載の方法。
【請求項110】
可能な候補のフラグメント、生成、娘または付加イオンの溶出時間が前記最終候補の親または前駆イオンの溶出時間を所定量より多く先行または超える場合に、可能な候補のフラグメント、生成、娘または付加イオンを棄却することにより、前記可能な候補のフラグメント、生成、娘または付加イオンから最終候補のフラグメント、生成、娘または付加イオンのリストを作成するステップをさらに含む、請求項108または109に記載の方法。
【請求項111】
前記最終候補の親または前駆イオンの溶出時間に時間的に最も近い時間に得られる第2の質量スペクトルまたは第2の質量スペクトルデータにおいて存在する近接の親または前駆イオンのリストを生成するステップと、
前記リストにおいて含まれる各親または前駆イオンの近接の親または前駆イオン質量クロマトグラムを生成するステップと、
各近接の親または前駆イオン質量クロマトグラムの中心を決定するステップと、
対応する近接の親または前駆イオン溶出時間を決定するステップとをさらに含む、請求項110に記載の方法。
【請求項112】
前記最終候補のフラグメント、生成、娘または付加イオンのリストから、前記最終候補の親または前駆イオンの溶出時間よりも近接の親または前駆イオンの溶出時間により接近して対応する溶出時間を有するいずれの最終候補のフラグメント、生成、娘または付加イオンを棄却するステップをさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項113】
最終候補のフラグメント、生成、娘または付加イオンをそれらの溶出時間の一致度にしたがって前記最終候補の親または前駆イオンに割り当てるステップをさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項114】
前記最終候補の親または前駆イオンに対応づけられたすべての最終候補のフラグメント、生成、娘または付加イオンをリストするステップをさらに含む、請求項113に記載の方法。
【請求項115】
各認識された親または前駆イオンに対して親または前駆イオン質量クロマトグラムを生成するステップと、
前記親または前駆イオン質量クロマトグラムにおける各ピークの中心を決定するステップと、
対応する親または前駆イオンの溶出時間を決定するステップと、
各認識されたフラグメント、生成、娘または付加イオンに対してフラグメント、生成、娘または付加イオン質量クロマトグラムを生成するステップと、
前記フラグメント、生成、娘または付加イオン質量クロマトグラムにおける各ピークの中心を決定するステップと、
対応するフラグメント、生成、娘または付加イオン溶出時間を決定するステップとをさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項116】
フラグメント、生成、娘または付加イオンをそれらのそれぞれの溶出時間の一致度にしたがって親または前駆イオンに割り当てるステップをさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項117】
各親または前駆イオンに対応づけられたすべてのフラグメント、生成、娘または付加イオンをリストするステップをさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項118】
イオン源によって生成されたイオンを、前記衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスに渡すか、またはそこを通って移送させる前に、質量フィルタに通すステップであって、前記質量フィルタは、所定の範囲内にある質量電荷値を有するイオンを実質的に移送し、かつ前記範囲外にある質量電荷値を有するイオンを実質的に減衰させる、ステップをさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項119】
イオンが第1の質量スペクトルまたは第1の質量スペクトルデータ中に存在し、かつ前記範囲外の質量電荷値を有する場合に、前記イオンをフラグメント、生成、娘または付加イオンとして認識するステップをさらに含む、請求項118に記載の方法。
【請求項120】
前記第1の質量スペクトルまたは第1の質量スペクトルデータおよび/または前記第2の質量スペクトルまたは第2の質量スペクトルデータから親または前駆イオンおよびフラグメント、生成、娘または付加イオンを認識するステップをさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項121】
各親または前駆イオンに対して親または前駆イオン質量クロマトグラムを生成するステップと、
前記親または前駆イオン質量クロマトグラムにおける各ピークの中心を決定するステップと、
対応する親または前駆イオンの溶出時間を決定するステップと、
各フラグメント、生成、娘または付加イオンに対してフラグメント、生成、娘または付加イオン質量クロマトグラムを生成するステップと、
前記フラグメント、生成、娘または付加イオン質量クロマトグラムにおける各ピークの中心を決定するステップと、
対応するフラグメント、生成、娘または付加イオンの溶出時間を決定するステップとをさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項122】
フラグメント、生成、娘または付加イオンをそれらのそれぞれの溶出時間の一致度にしたがって親または前駆イオンに割り当てるステップをさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項123】
前記衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスの上流および/または下流に質量電荷比移送ウィンドウを有する質量フィルタを設けるステップをさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項124】
前記質量フィルタの移送ウィンドウ外にある質量電荷値を有する第1の質量スペクトルまたは第1の質量スペクトルデータに存在するイオンを認識することによってフラグメント、生成、娘または付加イオンを認識するステップをさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項125】
親または前駆イオンを前記親または前駆イオンの質量電荷比に基づいて同定するステップをさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項126】
親または前駆イオンを1つまたはそれ以上のフラグメント、生成、娘または付加イオンの質量電荷比に基づいて同定するステップをさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項127】
1つまたはそれ以上の親または前駆イオンの質量電荷比を決定することによってタンパク質を同定するステップであって、前記1つまたはそれ以上の親または前駆イオンは、前記タンパク質のペプチドを含む、ステップをさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項128】
1つまたはそれ以上のフラグメント、生成、娘または付加イオンの質量電荷比を決定することによってタンパク質を同定するステップであって、前記1つまたはそれ以上のフラグメント、生成、娘または付加イオンは、前記タンパク質のペプチドのフラグメントを含む、ステップをさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項129】
データベースと突き合わせて前記1つまたはそれ以上の親または前駆イオンおよび/または前記1つまたはそれ以上のフラグメント、生成、娘または付加イオンの質量電荷比を検索するステップであって、前記データベースは、既知のタンパク質を含む、ステップをさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項130】
データベースと突き合わせて前記1つまたはそれ以上の親または前駆イオンの質量電荷比を検索するステップであって、前記データベースは、既知のタンパク質を含む、ステップをさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項131】
親または前駆イオンのフラグメンテーションから得られると予想され得るフラグメント、生成、娘または付加イオンの存在を求めて第1の質量スペクトルまたは第1の質量スペクトルデータを検索するステップをさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項132】
前記所定量は、(i)0.25秒、(ii)0.5秒、(iii)0.75秒、(iv)1秒、(v)2.5秒、(vi)5秒、(vii)10秒、および(viii)クロマトグラフィピークの半分の高さで測定された幅の5%に対応する時間からなる群から選択される、請求項101、106または110に記載の方法。
【請求項133】
ヘリウム、アルゴン、窒素またはメタンを含むガスを前記衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス中に導入するステップをさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項134】
少なくとも、1ms、10ms、100ms、200ms、300ms、400ms、500ms、600ms、700ms、800ms、900ms、1s、2s、3s、4s、5s、6s、7s、8s、9sまたは10sに一度、少なくとも前記第1のモードと前記第2のモードとの間で前記衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスを自動的に切り替え、改変または変更するステップを含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項135】
一動作モードにおいて前記衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスを動作させた後であって別の動作モードで前記衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスを動作させるために切り替え、改変または変更する前にスキャン間遅延が行われ、前記スキャン間遅延の継続時間は、少なくとも、1ms、2ms、3ms、4ms、5ms、6ms、7ms、8ms、9ms、10ms、11ms、12ms、13ms、14ms、15ms、16ms、17ms、18ms、19ms、20ms、30ms、40ms、50ms、60ms、70ms、80ms、90msまたは100msである、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項136】
質量分析計であって、
衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスと、
質量分析器と、
制御システムとを含み、
前記制御システムは、
(a)親または前駆イオンを前記衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスに渡すステップと、
(b)前記衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスを第1の動作モードにおいて動作させるステップであって、前記第1の動作モードにおいては、前記親または前駆イオンの少なくともいくつかが衝突、フラグメンテーションまたは反応されて、フラグメント、生成、娘または付加イオンを生成する、ステップと、
(c)前記第1の動作モードにおいて動作する衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスから現れるか、またはそこを通って移送されてきたイオンに関係する第1の質量スペクトルデータを記録するステップと、
(d)前記衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスを第2の動作モードにおいて動作するように切り換え、改変、または変更するステップであって、前記第2の動作モードにおいては、実質的により少ない親または前駆イオンが衝突、フラグメンテーションまたは反応される、ステップと、
(e)前記第2の動作モードにおいて動作する衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスから現れるか、またはそこを通って移送されてきたイオンに関係する第2の質量スペクトルデータを記録するステップと、
(f)ステップ(b)〜(e)を複数回繰り返すステップと、
(g)1つまたはそれ以上の親もしくは前駆物質またはイオンの正確なまたは厳密な質量または質量電荷比を決定するステップであって、前記1つまたはそれ以上の親もしくは前駆物質またはイオンの正確なまたは厳密な質量または質量電荷比は、第1の整数質量または質量電荷比成分M1および第1の小数質量または質量電荷比成分m1を含む、ステップと、
(h)前記第1の質量スペクトルデータにおいてまたはそれから1つまたはそれ以上のフラグメント、生成、娘もしくは付加物質またはイオンを検索または決定するステップであって、前記1つまたはそれ以上のフラグメント、生成、娘もしくは付加物質またはイオンは、第2の整数質量または質量電荷比成分M2および第2の小数質量または質量電荷比成分m2を含み、前記第2の小数質量または質量電荷比成分m2は、前記第1の小数質量または質量電荷比成分m1よりも0〜x1mDaまたはミリ−質量電荷比単位大きい、および/または前記第1の小数質量または質量電荷比成分m1よりも0〜x2mDaまたはミリ−質量電荷比単位小さい、ステップとを行うように構成および適合される、質量分析計。
【請求項137】
質量分析計であって、
衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスと、
質量分析器と、
制御システムとを含み、
前記制御システムは、
(a)親または前駆イオンを前記衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスに渡すステップと、
(b)前記衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスを第1の動作モードにおいて動作させるステップであって、前記親または前駆イオンの少なくともいくつかが衝突、フラグメンテーションまたは反応されて、フラグメント、生成、娘または付加イオンを生成する、ステップと、
(c)前記第1の動作モードにおいて動作する衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスから現れるか、またはそこを通って移送されてきたイオンに関係する第1の質量スペクトルデータを記録するステップと、
(d)前記衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスを第2の動作モードにおいて動作するように切り換え、改変、または変更するステップであって、実質的により少ない親または前駆イオンが衝突、フラグメンテーションまたは反応される、ステップと、
(e)前記第2の動作モードにおいて動作する衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスから現れるか、またはそこを通って移送されてきたイオンに関係する第2の質量スペクトルデータを記録するステップと、
(f)ステップ(b)〜(e)を複数回繰り返すステップと、
(g)1つまたはそれ以上の第1の親もしくは前駆物質またはイオンの正確なまたは厳密な質量または質量電荷比を決定するステップであって、前記1つまたはそれ以上の第1の親もしくは前駆物質またはイオンの正確なまたは厳密な質量または質量電荷比は、第1の整数質量または質量電荷比成分M1および第1の小数質量または質量電荷比成分m1を含むステップと、
(h)前記第1の質量スペクトルデータにおいてまたはそれから1つまたはそれ以上の第2の親もしくは前駆物質またはイオンを検索または決定するステップであって、前記1つまたはそれ以上の第2の親もしくは前駆物質またはイオンは、第2の整数質量または質量電荷比成分M2および第2の小数質量または質量電荷比成分m2を含み、前記第2の小数質量または質量電荷比成分m2は、前記第1の小数質量または質量電荷比成分m1よりも0〜x1mDaまたはミリ−質量電荷比単位大きい、および/または前記第1の小数質量または質量電荷比成分m1よりも0〜x2mDaまたはミリ−質量電荷比単位小さい、ステップとを行うように構成および適合される、質量分析計。
【請求項138】
前記衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスは、衝突誘起解離デバイスを含む、請求項136または137に記載の質量分析計。
【請求項139】
前記衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスは、(i)表面誘起解離(「SID」)衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス、(ii)電子移動解離衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス、(iii)電子捕獲解離衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス、(iv)電子衝突または衝撃解離衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス、(v)光誘起解離(「PID」)衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス、(vi)レーザ誘起解離衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス、(vii)赤外放射誘起解離デバイス、(viii)紫外放射誘起解離デバイス、(ix)ノズル−スキマ間インターフェース衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス、(x)インソース衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス、(xi)イオン源衝突誘起解離衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス、(xii)熱または温度源衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス、(xiii)電界誘起衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス、(xiv)磁場誘起衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス、(xv)酵素消化または酵素分解衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス、(xvi)イオン−イオン反応衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス、(xvii)イオン−分子反応衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス、(xviii)イオン−原子反応衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス、(xix)イオン−メタステーブルイオン反応衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス、(xx)イオン−メタステーブル分子反応衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス、(xxi)イオン−メタステーブル原子反応衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス、(xxii)イオンを反応させて付加または生成イオンを形成するためのイオン−イオン反応デバイス、(xxiii)イオンを反応させて付加または生成イオンを形成するためのイオン−分子反応デバイス、(xxiv)イオンを反応させて付加または生成イオンを形成するためのイオン−原子反応デバイス、(xxv)イオンを反応させて付加または生成イオンを形成するためのイオン−メタステーブルイオン反応デバイス、(xxvi)イオンを反応させて付加または生成イオンを形成するためのイオン−メタステーブル分子反応デバイス、および(xxvii)イオンを反応させて付加または生成イオンを形成するためのイオン−メタステーブル原子反応デバイスからなる群から選択される、請求項136または137に記載の質量分析計。
【請求項140】
イオン源をさらに含む、請求項136〜139のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項141】
前記イオン源は、(i)エレクトロスプレーイオン化(「ESI」)イオン源、(ii)大気圧光イオン化(「APPI」)イオン源、(iii)大気圧化学イオン化(「APCI」)イオン源、(iv)マトリックス支援レーザ脱離イオン化(「MALDI」)イオン源、(v)レーザ脱離イオン化(「LDI」)イオン源、(vi)大気圧イオン化(「API」)イオン源、(vii)シリコンを用いた脱離イオン化(「DIOS」)イオン源、(viii)電子衝突(「EI」)イオン源、(ix)化学イオン化(「CI」)イオン源、(x)電界イオン化(「FI」)イオン源、(xi)電界脱離(「FD」)イオン源、(xii)誘導結合プラズマ(「ICP」)イオン源、(xiii)高速原子衝撃(「FAB」)イオン源、(xiv)液体二次イオン質量分析(「LSIMS」)イオン源、(xv)脱離エレクトロスプレーイオン化(「DESI」)イオン源、(xvi)ニッケル−63放射性イオン源、(xvii)大気圧マトリックス支援レーザ脱離イオン化イオン源、および(xviii)サーモスプレーイオン源からなる群から選択される、請求項140に記載の質量分析計。
【請求項142】
前記イオン源は、パルス化または連続イオン源を含む、請求項140または141に記載の質量分析計。
【請求項143】
前記イオン源には、所定期間にわたり溶出物が提供され、前記溶出物は、液体クロマトグラフィまたはキャピラリー電気泳動によって混合物から分離されてきたものである、請求項140、141または142のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項144】
前記イオン源には、所定期間にわたり溶出物が提供され、前記溶出物は、ガスクロマトグラフィによって混合物から分離されてきたものである、請求項140、141または142のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項145】
前記質量分析器は、(i)四重極質量分析器、(ii)2Dまたは直線四重極質量分析器、(iii)ポールまたは3D四重極質量分析器、(iv)ペニングトラップ質量分析器、(v)イオントラップ質量分析器、(vi)扇形磁場質量分析器、(vii)イオンサイクロトロン共鳴(「ICR」)質量分析器、(viii)フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴(「FTICR」)質量分析器、(ix)静電またはオービトラップ質量分析器、(x)フーリエ変換静電またはオービトラップ質量分析器、および(xi)フーリエ変換質量分析器、(xii)飛行時間質量分析器、(xiii)直交加速飛行時間質量分析器、および(xiv)軸方向加速飛行時間質量分析器からなる群から選択される、請求項136〜144のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項146】
前記衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスの上流および/または下流に配置される質量フィルタをさらに含む、請求項136〜145のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項147】
前記質量フィルタは、四重極ロッドセット質量フィルタを含む、請求項145に記載の質量分析計。
【請求項148】
前記質量フィルタは、高域通過質量電荷比フィルタとして動作される、請求項146または147に記載の質量分析計。
【請求項149】
前記質量フィルタは、(i)≧100、(ii)≧150、(iii)≧200、(iv)≧250、(v)≧300、(vi)≧350、(vii)≧400、(viii)≧450、および(ix)≧500からなる群から選択される質量電荷比を有するイオンを移送するように構成される、請求項146、147または148のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項150】
前記質量フィルタは、低域通過または帯域通過質量フィルタとして動作される、請求項146または147に記載の質量分析計。
【請求項151】
前記衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスの上流および/または下流に配置されるイオンガイドをさらに含む、請求項136〜150のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項152】
前記イオンガイドは、(i)六重極、(ii)四重極、(iii)八重極、(iv)イオンが使用時に移送される開口を有する複数のリングまたはプレート電極、および(v)イオンの走行平面に一般に配置される複数の平面、プレートまたはメッシュ電極からなる群から選択される、請求項151に記載の質量分析計。
【請求項153】
前記衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスは、(i)六重極、(ii)四重極、(iii)八重極、(iv)イオンが使用時に移送される開口を有する複数のリングまたはプレート電極、および(v)イオンの走行平面に一般に配置される複数の平面、プレートまたはメッシュ電極からなる群から選択される、請求項136〜152のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項154】
前記衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスは、筐体であって、イオン入口開口部、イオン出口開口部、および必要に応じてガスを前記筐体へ導入するための手段を別にすれば実質的に気密な封入体を含む、請求項136〜153のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項155】
ヘリウム、アルゴン、窒素またはメタンを含むガスを使用時に前記衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス中に導入する、請求項136〜154のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項156】
前記第1の動作モードにおいて、前記制御システムは、(i)≧15V、(ii)≧20V、(iii)≧25V、(iv)≧30V、(v)≧50V、(vi)≧100V、(vii)≧150V、および(viii)≧200Vからなる群から選択される電圧を前記衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスに供給するように構成される、請求項136〜155のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項157】
前記第2の動作モードにおいて、前記制御システムは、(i)≦5V、(ii)≦4.5V、(iii)≦4V、(iv)≦3.5V、(v)≦3V、(vi)≦2.5V、(vii)≦2V、(viii)≦1.5V、(ix)≦1V、(x)≦0.5V、および(xi)実質的に0Vからなる群から選択される電圧を前記衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスに供給するように構成される、請求項136〜156のいずれかに記載の質量分析計。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15A】
【図15B】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15A】
【図15B】
【図16】
【図17】
【公表番号】特表2009−536338(P2009−536338A)
【公表日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−508494(P2009−508494)
【出願日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際出願番号】PCT/GB2007/001726
【国際公開番号】WO2007/129107
【国際公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【出願人】(504142097)マイクロマス ユーケー リミテッド (57)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際出願番号】PCT/GB2007/001726
【国際公開番号】WO2007/129107
【国際公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【出願人】(504142097)マイクロマス ユーケー リミテッド (57)
【Fターム(参考)】
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