説明

質量分析計

【課題】質量分析計
【解決手段】連続的な軸方向電場を印加することによってイオンをそれらのイオン移動度にしたがって時間的に分離するための第1の動作モードで動作することができる装置(2)を含む質量分析計が開示される。装置(2)は、印加される軸方向電場をONとOFFとでパルス切り替えすることによってイオンをそれらの質量電荷比にしたがって時間的に分離する第2の動作モードでも動作可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、質量分析計及び質量分析方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
イオン移動度分析計(「IMS」)は、緩衝ガスの存在下でイオンに弱い電場をかけることによってイオン移動度にしたがってイオン種を分離する十分に確立された分析技術である。既知のイオン移動度分析計は、ガスで満たされた直線状の管を含む。管の長さに沿って、静的な均一電場が維持される。イオンは、電場に起因する一方向の力を受け、緩衝ガスとの衝突に起因する反対方向の有効な力を受ける。第一近似では、既知のイオン移動度分析計内におけるイオンの運動方程式を次式で表すことができる。
【0003】
【数1】

【0004】
ここで、tは時間であり、xはイオン移動度分析計の長さに沿った軸方向の位置であり、λは抗力係数であり、mはイオンの質量であり、Eは電場強度であり、qはイオンの電荷である。
【0005】
この状況では、イオンは急速に定常状態速度に達し、平均加速度はゼロになる。これらの条件下では、上記の運動方程式は次のように簡単にされる。
【0006】
【数2】

【0007】
式(2)において、比率q/λは、イオン移動度Kと称される。比較的低いイオン移動度を有するイオンは、比較的高いイオン移動度を有するイオンよりも低い安定状態速度に達するので、イオン移動度分析計の長さを突っ切るのに長い時間を要する。
【0008】
別の既知の一イオン移動度分析計は、一連のリング電極を含む。イオン移動度分析計内にイオンを径方向に閉じ込める働きをする径方向の擬ポテンシャル井戸を発生させるために、リング電極に、二相のRF電圧が印加される。一連のパルス又は過渡DC電圧が電極に印加され、イオン移動度分析計の長さに沿って平行移動される。イオン移動度分析計の長さに沿って平行移動される一連のDCパルスについて行くイオンの能力は、そのイオンの移動度の関数である。比較的低い移動度のイオンは、比較的高い移動度のイオンよりも頻繁に過渡DC電圧に追い越される。その結果、比較的高いイオン移動度を有するイオンが、イオン移動度分析計の長さに沿って優先的に追い立てられる一方で、比較的低いイオン移動度を有するイオンは、イオン移動度分析計の長さを突っ切るのに比較的長い時間を要する。
【0009】
イオン移動度分析計を四重極ロッドセット質量分析器又は直交加速方式飛行時間型質量分析器のいずれかに結合することが知られている。既知のイオン移動度分析計の分離特性は、四重極ロッドセット質量分析器又は飛行時間型質量分析器のデューティサイクル及び感度の向上を可能にする。さらに、既知のイオン移動度分析計を通るイオンのドリフト時間の決定も、イオンに関する構造情報を明らかにする。
【発明の概要】
【0010】
改良された質量分析計を提供することが望まれている。
本発明の一態様として、質量分析計であって、
イオンを時間的に分離するための装置であって、第1の動作モードではイオンをそれらのイオン移動度にしたがって時間的に分離するように構成及び適応され、第2の動作モードではイオンをそれらの質量電荷比にしたがって分離するように構成及び適応される装置を含む質量分析計が提供される。
装置は、複数の電極を含むイオンガイドを含むことが好ましい。
【0011】
イオンガイドは、(i)多重極ロッドセット若しくはセグメント化多重極ロッドセット、(ii)イオントンネル若しくはイオンファネル、又は(iii)積層状若しくは配列状の、平坦電極、平板電極、若しくはメッシュ電極を含むことが好ましい。
【0012】
多重極ロッドセットは、四重極ロッドセット、六重極ロッドセット、八重極ロッドセット、又は8を超えるロッドを含むロッドセットを含むことが好ましい。
【0013】
イオントンネル又はイオンファネルは、使用時にイオンを通過させるアパーチャを有する複数の電極又は少なくとも2、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、若しくは100の電極を含むことが好ましく、電極の少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は100%は、実質的に同サイズ若しくは同面積の又はサイズ若しくは面積が漸進的に大きくなる及び/若しくは小さくなるアパーチャを有する。
【0014】
好ましい実施形態にしたがうと、電極の少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は100%は、(i)≦1.0mm、(ii)≦2.0mm、(iii)≦3.0mm、(iv)≦4.0mm、(v)≦5.0mm、(vi)≦6.0mm、(vii)≦7.0mm、(viii)≦8.0mm、(ix)≦9.0mm、(x)≦10.0mm、及び(xi)>10.0mmからなる群より選択される内径又は内部寸法を有する。積層状又は配列状の、平坦電極、平板電極、又はメッシュ電極は、複数の又は少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、若しくは20の平坦電極、平板電極、又はメッシュ電極を含み、平坦電極、平板電極、又はメッシュ電極の少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は100%は、使用時にイオンが移動する平面内に概して配置される。好ましくは、平坦電極、平板電極、又はメッシュ電極の少なくとも一部又は少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、若しくは100%が、AC電圧又はRF電圧を供給され、隣り合う平坦電極、平板電極、又はメッシュ電極は、逆位相のAC電圧又はRF電圧を供給される。
【0015】
イオンガイドは、複数の軸方向セグメント又は少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、若しくは100の軸方向セグメントを含むことが好ましい。
【0016】
隣り合う電極間の中心間距離は、(i)<0.5mm、(ii)0.5〜1.0mm、(iii)1.0〜1.5mm、(iv)1.5〜2.0mm、(v)2.0〜2.5mm、(vi)2.5〜3.0mm、(vii)3.0〜3.5mm、(viii)3.5〜4.0mm、(ix)4.0〜4.5mm、(x)4.5〜5.0mm、(xi)5.0〜5.5mm、(xii)5.5〜6.0mm、(xiii)6.0〜6.5mm、(xiv)6.5〜7.0mm、(xv)7.0〜7.5mm、(xvi)7.5〜8.0mm、(xvii)8.0〜8.5mm、(xviii)8.5〜9.0mm、(xix)9.0〜9.5mm、(xx)9.5〜10.0mm、及び(xxi)>10.0mmからなる群より選択されることが好ましい。
【0017】
イオンガイドは、(i)<20mm、(ii)20〜40mm、(iii)40〜60mm、(iv)60〜80mm、(v)80〜100mm、(vi)100〜120mm、(vii)120〜140mm、(viii)140〜160mm、(ix)160〜180mm、(x)180〜200mm、(xi)200〜220mm、(xii)220〜240mm、(xiii)240〜260mm、(xiv)260〜280mm、(xv)280〜300mm、及び(xvi)>300mmからなる群より選択される軸方向長さを有することが好ましい。
【0018】
質量分析計は、装置内にイオンを径方向に閉じ込めるように構成及び適応される第1の手段をさらに含むことが好ましい。第1の手段は、イオンガイド内にイオンを径方向に閉じ込めるために、イオンガイドを構成する電極の少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は100%に第1のAC電圧又はRF電圧を印加するように構成及び適応される第1のAC電圧手段又はRF電圧手段を含むことが好ましい。
【0019】
第1のAC電圧手段又はRF電圧手段は、イオンガイドの電極に(i)<50V、(ii)50〜100V、(iii)100〜150V、(iv)150〜200V、(v)200〜250V、(vi)250〜300V、(vii)300〜350V、(viii)350〜400V、(ix)400〜450V、(x)450〜500V、及び(xi)>500Vからなる群より選択される最高最低振幅を有する第1のAC電圧又はRF電圧を供給するように構成及び適応されることが好ましい。
【0020】
第1のAC電圧手段又はRF電圧手段は、イオンガイドの電極に(i)<100kHz、(ii)100〜200kHz、(iii)200〜300kHz、(iv)300〜400kHz、(v)400〜500kHz、(vi)0.5〜1.0MHz、(vii)1.0〜1.5MHz、(viii)1.5〜2.0MHz、(ix)2.0〜2.5MHz、(x)2.5〜3.0MHz、(xi)3.0〜3.5MHz、(xii)3.5〜4.0MHz、(xiii)4.0〜4.5MHz、(xiv)4.5〜5.0MHz、(xv)5.0〜5.5MHz、(xvi)5.5〜6.0MHz、(xvii)6.0〜6.5MHz、(xviii)6.5〜7.0MHz、(xix)7.0〜7.5MHz、(xx)7.5〜8.0MHz、(xxi)8.0〜8.5MHz、(xxii)8.5〜9.0MHz、(xxiii)9.0〜9.5MHz、(xxiv)9.5〜10.0MHz、及び(xxv)>10.0MHzからなる群より選択される周波数を有する第1のAC電圧又はRF電圧を供給するように構成及び適応されることが好ましい。
【0021】
隣り合う電極間又は隣り合う電極群間における第1のAC電圧又はRF電圧の位相差は、(i)>0o、(ii)1〜30o、(iii)30〜60o、(iv)60〜90o、(v)90〜120o、(vi)120〜150o、(vii)150〜180o、(viii)180o、(ix)180〜210o、(x)210〜240o、(xi)240〜270o、(xii)270〜300o、(xiii)300〜330o、及び(xiv)330〜360oからなる群より選択されることが好ましい。
【0022】
第1のAC電圧又はRF電圧は、使用時に電極に印加されることが好ましく、使用時にイオンガイド内にイオンを径方向に閉じ込める働きをする径方向の擬ポテンシャル井戸を生じさせる又は生成することが好ましい。
【0023】
第1のAC電圧又はRF電圧は、二相又は多相のAC電圧又はRF電圧を含むことが好ましい。
【0024】
好ましい実施形態にしたがうと、質量分析計は、装置の軸方向長さの少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は100%に沿って軸方向電場を印加するように構成及び適応される第2の手段をさらに含むことが好ましい。
【0025】
第1の動作モードにおいて、第2の手段は、軸方向電場を実質的に連続的に印加するように構成及び適応されることが好ましい。
【0026】
第1の動作モードにおいて、装置の軸方向長さに沿った1つ又は2つ以上の点における軸方向電場の最大振幅は、時間によらずに実質的に一定に留まるように構成されてよい。或いは、第1の動作モードにおいて、装置の軸方向長さに沿った1つ又は2つ以上の点における軸方向電場の最大振幅は、時間とともに変化、増大、又は減少するように構成されてよい、或いは最大振幅は、時間とともに連続的に変化、段階的に変化、スキャン、又は直線的に若しくは非直線的に変化されるように構成されてよい。
【0027】
第2の手段は、装置の軸方向長さの少なくとも一部分又は少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、若しくは100%に沿って少なくとも一部のイオンを追い立てるために、第1の動作モードにおいて、装置の軸方向長さの少なくとも一部分又は少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、若しくは100%に沿って非ゼロのDC電圧勾配を維持するためのDC電圧手段をさらに含むことが好ましい。
【0028】
質量分析計は、DC電圧勾配を時間とともに変化、増大、又は減少させるように、或いはDC電圧勾配を時間とともに連続的に変化、段階的に変化、スキャン、又は直線的に若しくは非直線的に変化させるように構成及び適応される手段をさらに含むことが好ましい。
【0029】
第2の手段は、装置の軸方向長さの少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は100%に沿って少なくとも一部のイオンを追い立てるために、装置を構成する電極の少なくとも一部に1つ又は2つ以上のDC電圧を印加するための手段をさらに含むことが好ましく、DC電圧の振幅は、時間とともに変化、増大、又は減少するように構成される、或いはDC電圧は、時間とともに連続的に変化、段階的に変化、スキャン、又は直線的に若しくは非直線的に変化される。
【0030】
第2の手段は、装置を構成する電極の少なくとも一部に単相のAC電圧又はRF電圧を印加するための手段をさらに含むことが好ましく、全ての電極は、実質的に同位相に維持され、装置の軸方向長さの少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は100%に沿って少なくとも一部のイオンを追い立てる働きをする軸方向の擬ポテンシャルが生成される。
【0031】
第2の手段は、軸方向の擬ポテンシャルの振幅を時間とともに変化、増大、又は減少させるようにさらに構成されることが好ましい、或いは軸方向の擬ポテンシャルは、時間とともに連続的に変化、段階的に変化、スキャン、又は直線的に若しくは非直線的に変化される。
【0032】
第2の手段は、装置の軸方向長さの少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は100%に沿って少なくとも一部のイオンを追い立てるために、第1の動作モードにおいて、装置を構成する電極の少なくとも一部に1つ若しくは2つ以上の過渡DC電圧若しくは過渡DC電位又は1つ若しくは2つ以上の過渡DC電圧波形若しくは過渡DC電位波形を印加するように構成及び適応される過渡DC電圧手段をさらに含むことが好ましい。
【0033】
第2の手段は、1つ若しくは2つ以上の過渡DC電圧若しくは過渡DC電位又は1つ若しくは2つ以上の過渡DC電圧波形若しくは過渡DC電位波形の振幅を時間とともに変化、増大、又は減少させるようにさらに構成されることが好ましい、或いは1つ若しくは2つ以上の過渡DC電圧若しくは過渡DC電位又は1つ若しくは2つ以上の過渡DC電圧波形若しくは過渡DC電位波形の振幅は、時間とともに連続的に変化、段階的に変化、スキャン、又は直線的に若しくは非直線的に変化される。
【0034】
第1の動作モードにおいて、1つ若しくは2つ以上の過渡DC電圧若しくは過渡DC電位又は1つ若しくは2つ以上の過渡DC電圧波形若しくは過渡DC電位波形は、(i)<100m/s、(ii)100〜200m/s、(iii)200〜300m/s、(iv)300〜400m/s、(v)400〜500m/s、(vi)500〜600m/s、(vii)600〜700m/s、(viii)700〜800m/s、(ix)800〜900m/s、(x)900〜1000m/s、(xi)1000〜1100m/s、(xii)1100〜1200m/s、(xiii)1200〜1300m/s、(xiv)1300〜1400m/s、(xv)1400〜1500m/s、(xvi)1500〜1600m/s、(xvii)1600〜1700m/s、(xviii)1700〜1800m/s、(xix)1800〜1900m/s、(xx)1900〜2000m/s、(xxi)2000〜2100m/s、(xxii)2100〜2200m/s、(xxiii)2200〜2300m/s、(xxiv)2300〜2400m/s、(xxv)2400〜2500m/s、(xxvi)2500〜2600m/s、(xxvii)2600〜2700m/s、(xxviii)2700〜2800m/s、(xxix)2800〜2900m/s、(xxx)2900〜3000m/s、及び(xxxi)>3000m/sからなる群より選択される速度で装置の軸方向長さに沿って平行移動されることが好ましい。
【0035】
一実施形態にしたがうと、装置を構成する電極に沿って1つ若しくは2つ以上の過渡DC電圧若しくは過渡DC電位又は1つ若しくは2つ以上の過渡DC電圧波形若しくは過渡DC電位波形が平行移動される又はそれらの電極に印加される速度又は速さは、時間の関数として変化されてよい。一実施形態にしたがうと、1つ又は2つ以上の過渡DC電圧又は過渡DC電位が電極に沿って平行移動される又はそれらの電極に印加される速さ(速度)は、時間とともに変化、増大、又は減少されてよい。1つの実施形態にしたがうと、1つ又は2つ以上の過渡DC電圧又は過渡DC電位の速度又は速さは、時間とともに連続的に変化、段階的に変化、スキャン、又は直線的に若しくは非直線的に変化されてよい。例えば、進行波又は1つ若しくは2つ以上の過渡DC電圧若しくは過渡DC電位の速度が増大、減少、又は変化されるのにともなって好ましいイオン移動度−質量分析器をイオン移動度による分離の動作モードから質量電荷比による分離の動作モードに(又はその逆に)切り替えられる一実施形態が考えられる。
【0036】
質量分析計は、装置の軸方向長さの少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は100%に沿って少なくとも一部のイオンを追い立てるために、第1の動作モードにおいて、装置を構成する電極に2つ又は3つ以上の位相シフトされたAC電圧又はRF電圧を印加するように構成及び適応されるAC電圧手段又はRF電圧手段をさらに含んでよい。
【0037】
第1の動作モードにおいて、イオンは、実質的に最終速度に達するように装置内において加速されることが好ましい。
【0038】
第1の動作モードにおいて、1〜100、100〜200、200〜300、300〜400、400〜500、500〜600、600〜700、700〜800、800〜900、900〜1000、又は>1000の範囲の質量電荷比を有する一価イオンは、装置を通る(i)0〜1ms、(ii)1〜2ms、(iii)2〜3ms、(iv)3〜4ms、(v)4〜5ms、(vi)5〜6ms、(vii)6〜7ms、(viii)7〜8ms、(ix)8〜9ms、(x)9〜10ms、(xi)10〜11ms、(xii)11〜12ms、(xiii)12〜13ms、(xiv)13〜14ms、(xv)14〜15ms、(xvi)15〜16ms、(xvii)16〜17ms、(xviii)17〜18ms、(xix)18〜19ms、(xx)19〜20ms、(xxi)20〜21ms、(xxii)21〜22ms、(xxiii)22〜23ms、(xxiv)23〜24ms、(xxv)24〜25ms、(xxvi)25〜26ms、(xxvii)26〜27ms、(xxviii)27〜28ms、(xxix)28〜29ms、(xxx)29〜30ms、(xxxi)30〜35ms、(xxxii)35〜40ms、(xxxiii)40〜45ms、(xxxiv)45〜50ms、(xxxv)50〜55ms、(xxxvi)55〜60ms、(xxxvii)60〜65ms、(xxxviii)65〜70ms、(xxxix)70〜75ms、(xl)75〜80ms、(xli)80〜85ms、(xlii)85〜90ms、(xliii)90〜95ms、(xliv)95〜100ms、及び(xlv)>100msの範囲のドリフト時間又は通過時間を有することが好ましい。
【0039】
第1の動作モードにおいて、装置のスキャン時間又はサイクル時間は、(i)0〜1ms、(ii)1〜2ms、(iii)2〜3ms、(iv)3〜4ms、(v)4〜5ms、(vi)5〜6ms、(vii)6〜7ms、(viii)7〜8ms、(ix)8〜9ms、(x)9〜10ms、(xi)10〜11ms、(xii)11〜12ms、(xiii)12〜13ms、(xiv)13〜14ms、(xv)14〜15ms、(xvi)15〜16ms、(xvii)16〜17ms、(xviii)17〜18ms、(xix)18〜19ms、(xx)19〜20ms、(xxi)20〜21ms、(xxii)21〜22ms、(xxiii)22〜23ms、(xxiv)23〜24ms、(xxv)24〜25ms、(xxvi)25〜26ms、(xxvii)26〜27ms、(xxviii)27〜28ms、(xxix)28〜29ms、(xxx)29〜30ms、(xxxi)30〜35ms、(xxxii)35〜40ms、(xxxiii)40〜45ms、(xxxiv)45〜50ms、(xxxv)50〜55ms、(xxxvi)55〜60ms、(xxxvii)60〜65ms、(xxxviii)65〜70ms、(xxxix)70〜75ms、(xl)75〜80ms、(xli)80〜85ms、(xlii)85〜90ms、(xliii)90〜95ms、(xliv)95〜100ms、及び(xlv)>100msからなる群より選択されることが好ましい。
【0040】
第1の動作モードにおいて、装置の少なくとも一部分は、(i)>0.001ミリバール、(ii)>0.01ミリバール、(iii)>0.1ミリバール、(iv)>1ミリバール、(v)>10ミリバール、(vi)>100ミリバール、(vii)>1000ミリバール、(viii)0.001〜1000ミリバール、(ix)0.001〜0.1ミリバール、(x)0.1〜10ミリバール、及び(xi)10〜1000ミリバールからなる群より選択される圧力に維持されるように構成されることが好ましい。
【0041】
第1の動作モードにおいて、装置の少なくとも一部分は、(i)0.001〜0.005ミリバール、(ii)0.005〜0.010ミリバール、(iii)0.01〜0.05ミリバール、(iv)0.05〜0.10ミリバール、(v)0.1〜0.5ミリバール、(vi)0.5〜1.0ミリバール、(vii)1〜5ミリバール、(viii)5〜10ミリバール、(ix)10〜50ミリバール、(x)50〜100ミリバール、(xi)100〜500ミリバール、(xii)500〜1000ミリバール、及び(xiii)>1000ミリバールからなる群より選択される圧力に維持されるように構成されることが好ましい。
【0042】
好ましい一実施形態にしたがうと、装置は、低大気圧を含む比較的高い圧力で動作させることができる。一実施形態にしたがうと、装置は、第1の動作モードにおいて、大気圧で動作させることができる。
【0043】
第2の動作モードにおいて、第2の手段は、パルス式又は時間変化式に軸方向電場を印加するように構成及び適応されることが好ましい。
【0044】
第2の動作モードにおいて、第2の手段は、1つのサイクルにおいて、第1の期間t1は軸方向電場を第1の振幅A1で印加するように又はそのような振幅に維持するように、そして第2の期間t2は軸方向電場を第2の振幅A2で印加するように又はそのような振幅に維持するように構成されることが好ましい。比率A1/A2は、(i)<−1000、(ii)−1000から−500、(iii)−500から−100、(iv)−100から−50、(v)−50から−10、(vi)−10から−5、(vii)−5から0、(viii)0〜5、(ix)5〜10、(x)10〜50、(xi)50〜100、(xii)100〜500、(xiii)500〜1000、及び(xiv)≧1000ミリバールからなる群より選択されることが好ましい。
【0045】
一実施形態にしたがうと、軸方向電場は、第1の期間t1はONに切り替えられてよく、次いで、第2の期間t2はOFFに切り替えられる又は振幅若しくは強さを低減されてよい。しかしながら、第2の期間t2に軸方向電場を逆方向に印加することができるその他の実施形態も考えられる。この実施形態にしたがうと、第1の期間t1は、第1の振幅A1を有する軸方向電場が第1の方向に印加されてよく、第2の期間t2は、第2の振幅A2を有する軸方向電場が第2の方向(第1の方向に直交する又は第1の方向と反対であることが好ましい)に印加されてよい。この実施形態は、好ましいイオン移動度−質量分析計の分解能又は分離特性を向上させる又は高めることを可能にする。
【0046】
好ましい実施形態にしたがうと、A2は、ゼロであることが好ましい。
【0047】
比率t1/t2は、(i)<0.01、(ii)0.01〜0.02、(iii)0.02〜0.03、(iv)0.03〜0.04、(v)0.04〜0.05、(vi)0.05〜0.06、(vii)0.06〜0.07、(viii)0.07〜0.08、(ix)0.08〜0.09、(x)0.09〜0.10、(xi)0.10〜0.11、(xii)0.11〜0.12、(xiii)0.12〜0.13、(xiv)0.13〜0.14、(xv)0.14〜0.15、(xvi)0.15〜0.16、(xvii)0.16〜0.17、(xviii)0.17〜0.18、(xix)0.18〜0.19、(xx)0.19〜0.20、(xxi)0.20〜0.21、(xii)0.21〜0.22、(xxiii)0.22〜0.23、(xxiv)0.23〜0.24、(xxv)0.24〜0.25、(xxvi)0.25〜0.26、(xxvii)0.26〜0.27、(xxviii)0.27〜0.28、(xxix)0.28〜0.29、(xxx)0.29〜0.30、(xxxi)0.30〜0.31、(xxxii)0.31〜0.32、(xxxiii)0.32〜0.33、(xxxiv)0.33〜0.34、(xxxv)0.34〜0.35、(xxxvi)0.35〜0.36、(xxxvii)0.36〜0.37、(xxxviii)0.37〜0.38、(xxxix)0.38〜0.39、(xl)0.39〜0.40、(xli)0.40〜0.41、(xlii)0.41〜0.42、(xliii)0.42〜0.43、(xliv)0.43〜0.44、(xlv)0.44〜0.45、(xlvi)0.45〜0.46、(xlvii)0.46〜0.47、(xlviii)0.47〜0.48、(xlix)0.48〜0.49、及び(l)0.49〜0.50からなる群より選択されることが好ましい。
【0048】
比率t1/t2は、(i)0.50〜0.51、(ii)0.51〜0.52、(iii)0.52〜0.53、(iv)0.53〜0.54、(v)0.54〜0.55、(vi)0.55〜0.56、(vii)0.56〜0.57、(viii)0.57〜0.58、(ix)0.58〜0.59、(x)0.59〜0.60、(xi)0.60〜0.61、(xii)0.61〜0.62、(xiii)0.62〜0.63、(xiv)0.63〜0.64、(xv)0.64〜0.65、(xvi)0.65〜0.66、(xvii)0.66〜0.67、(xviii)0.67〜0.68、(xix)0.68〜0.69、(xx)0.69〜0.70、(xxi)0.70〜0.71、(xii)0.71〜0.72、(xxiii)0.72〜0.73、(xxiv)0.73〜0.74、(xxv)0.74〜0.75、(xxvi)0.75〜0.76、(xxvii)0.76〜0.77、(xxviii)0.77〜0.78、(xxix)0.78〜0.79、(xxx)0.79〜0.80、(xxxi)0.80〜0.81、(xxxii)0.81〜0.82、(xxxiii)0.82〜0.83、(xxxiv)0.83〜0.84、(xxxv)0.84〜0.85、(xxxvi)0.85〜0.86、(xxxvii)0.86〜0.87、(xxxviii)0.87〜0.88、(xxxix)0.88〜0.89、(xl)0.89〜0.90、(xli)0.90〜0.91、(xlii)0.91〜0.92、(xliii)0.92〜0.93、(xliv)0.93〜0.94、(xlv)0.94〜0.95、(xlvi)0.95〜0.96、(xlvii)0.96〜0.97、(xlviii)0.97〜0.98、(xlix)0.98〜0.99、及び(l)0.99〜1.00からなる群より選択されることが好ましい。
【0049】
比率t1/t2は、(i)1.0〜1.5、(ii)1.5〜2.0、(iii)2.0〜2.5、(iv)2.5〜3.0、(v)3.0〜3.5、(vi)3.5〜4.0、(vii)4.0〜4.5、(viii)4.5〜5.0、(ix)5.0〜5.5、(x)5.5〜6.0、(xi)6.0〜6.5、(xii)6.5〜7.0、(xiii)7.0〜7.5、(xiv)7.5〜8.0、(xv)8.0〜8.5、(xvi)8.5〜9.0、(xvii)9.0〜9.5、(xviii)9.5〜10.0、及び(xix)>10からなる群より選択されることが好ましい。
【0050】
第2の動作モードにおいて、装置の軸方向長さに沿った1つ又は2つ以上の点における軸方向電場の最大振幅は、時間によらずに実質的に一定に留まるように構成されてよい。
【0051】
第2の動作モードにおいて、装置の軸方向長さに沿った1つ又は2つ以上の点における軸方向電場の最大振幅は、時間とともに変化、増大、又は減少するように構成されてよい、或いは最大振幅は、時間とともに連続的に変化、段階的に変化、スキャン、又は直線的に若しくは非直線的に変化されるように構成されてよい。
【0052】
第2の手段は、装置の軸方向長さの少なくとも一部分又は少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、若しくは100%に沿って少なくとも一部のイオンを追い立てるために、第2の動作モードにおいて、装置の軸方向長さの少なくとも一部分又は少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、若しくは100%に沿って非ゼロのDC電圧勾配を維持するためのDC電圧手段を含むことが好ましい。
【0053】
質量分析計は、DC電圧勾配を時間とともに変化、増大、又は減少させるように、或いはDC電圧勾配を時間とともに連続的に変化、段階的に変化、スキャン、又は直線的に若しくは非直線的に変化させるように構成及び適応される手段をさらに含むことが好ましい。
【0054】
一実施形態にしたがうと、第2の手段は、装置の軸方向長さの少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は100%に沿って少なくとも一部のイオンを追い立てるために、装置を構成する電極の少なくとも一部に1つ又は2つ以上のDC電圧を印加するための手段をさらに含むことが好ましく、DC電圧の振幅は、時間とともに変化、増大、又は減少するように構成される、或いはDC電圧は、時間とともに連続的に変化、段階的に変化、スキャン、又は直線的に若しくは非直線的に変化される。
【0055】
第2の手段は、装置を構成する電極の少なくとも一部に単相のAC電圧又はRF電圧を印加するための手段をさらに含むことが好ましく、こ全ての電極は、実質的に同位相に維持され、装置の軸方向長さの少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は100%に沿って少なくとも一部のイオンを追い立てる働きをする軸方向の擬ポテンシャルが生成される。軸方向の擬ポテンシャルは、装置の軸方向長さの少なくとも一部分に沿って平行移動されることが好ましい。
【0056】
第2の手段は、擬ポテンシャルの振幅を時間とともに変化、増大、又は減少させるようにさらに構成されることが好ましい、或いは軸方向の擬ポテンシャルは、時間とともに連続的に変化、段階的に変化、スキャン、又は直線的に若しくは非直線的に変化される。
【0057】
一実施形態にしたがうと、第2の手段は、装置の軸方向長さの少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は100%に沿って少なくとも一部のイオンを追い立てるために、装置を構成する電極の少なくとも一部に、時間変化するAC電場、RF電場、又は正弦波状若しくは正弦波輪郭の軸方向DC電場、或いは不均一なDC軸方向電場を印加するように構成及び適応される手段を含んでよい。
【0058】
第2の手段は、装置の軸方向長さの少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は100%に沿って少なくとも一部のイオンを追い立てるために、第2の動作モードにおいて、装置を構成する電極の少なくとも一部に1つ若しくは2つ以上の過渡DC電圧若しくは過渡DC電位又は1つ若しくは2つ以上の過渡DC電圧波形若しくは過渡DC電位波形を印加するように構成及び適応される過渡DC電圧手段をさらに含むことが好ましい。
【0059】
一実施形態にしたがうと、第2の手段は、1つ若しくは2つ以上の過渡DC電圧若しくは過渡DC電位又は1つ若しくは2つ以上の過渡DC電圧波形若しくは過渡DC電位波形の振幅を時間とともに変化、増大、又は減少させるようにさらに構成される、或いは1つ若しくは2つ以上の過渡DC電圧若しくは過渡DC電位又は1つ若しくは2つ以上の過渡DC電圧波形若しくは過渡DC電位波形の振幅は、時間とともに連続的に変化、段階的に変化、スキャン、又は直線的に若しくは非直線的に変化されることが好ましい。
【0060】
第2の動作モードにおいて、1つ若しくは2つ以上の過渡DC電圧若しくは過渡DC電位又は1つ若しくは2つ以上の過渡DC電圧波形若しくは過渡DC電位波形は、(i)<100m/s、(ii)100〜200m/s、(iii)200〜300m/s、(iv)300〜400m/s、(v)400〜500m/s、(vi)500〜600m/s、(vii)600〜700m/s、(viii)700〜800m/s、(ix)800〜900m/s、(x)900〜1000m/s、(xi)1000〜1100m/s、(xii)1100〜1200m/s、(xiii)1200〜1300m/s、(xiv)1300〜1400m/s、(xv)1400〜1500m/s、(xvi)1500〜1600m/s、(xvii)1600〜1700m/s、(xviii)1700〜1800m/s、(xix)1800〜1900m/s、(xx)1900〜2000m/s、(xxi)2000〜2100m/s、(xxii)2100〜2200m/s、(xxiii)2200〜2300m/s、(xxiv)2300〜2400m/s、(xxv)2400〜2500m/s、(xxvi)2500〜2600m/s、(xxvii)2600〜2700m/s、(xxviii)2700〜2800m/s、(xxix)2800〜2900m/s、(xxx)2900〜3000m/s、及び(xxxi)>3000m/sからなる群より選択される速度で装置の軸方向長さに沿って平行移動されることが好ましい。
【0061】
質量分析計は、装置の軸方向長さの少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は100%に沿って少なくとも一部のイオンを追い立てるために、第2の動作モードにおいて、装置を構成する電極に2つ又は3つ以上の位相シフトされたAC電圧又はRF電圧を印加するように構成及び適応されるAC電圧手段又はRF電圧手段をさらに含むことが好ましい。
【0062】
第2の動作モードにおいて、イオンは装置内において加速されることが好ましいものの最終速度への到達を実質的に阻止される、又はイオンは最終速度に達しない。
【0063】
第2の動作モードにおいて、1〜100、100〜200、200〜300、300〜400、400〜500、500〜600、600〜700、700〜800、800〜900、900〜1000、又は>1000の範囲の質量電荷比を有する一価イオンは、装置を通る(i)0〜5ms、(ii)5〜10ms、(iii)10〜15ms、(iv)15〜20ms、(v)20〜25ms、(vi)25〜30ms、(vii)30〜35ms、(viii)35〜40ms、(ix)40〜45ms、(x)45〜50ms、(xi)50〜55ms、(xii)55〜60ms、(xiii)60〜65ms、(xiv)65〜70ms、(xv)70〜75ms、(xvi)75〜80ms、(xvii)80〜85ms、(xviii)85〜90ms、(xix)90〜95ms、(xx)95〜100ms、(xxi)100〜110ms、(xxii)110〜120ms、(xxiii)120〜130ms、(xxiv)130〜140ms、(xxv)140〜150ms、(xxvi)150〜160ms、(xxvii)160〜170ms、(xxviii)170〜180ms、(xxix)180〜190ms、(xxx)190〜200ms、(xxxi)200〜250ms、(xxxii)250〜300ms、(xxxiii)300〜350ms、(xxxiv)350〜400ms、(xxxv)400〜450ms、(xxxvi)450〜500ms、及び(xxxvii)>500msの範囲のドリフト時間又は通過時間を有することが好ましい。
【0064】
第2の動作モードにおいて、装置のスキャン時間又はサイクル時間は、(i)0〜5ms、(ii)5〜10ms、(iii)10〜15ms、(iv)15〜20ms、(v)20〜25ms、(vi)25〜30ms、(vii)30〜35ms、(viii)35〜40ms、(ix)40〜45ms、(x)45〜50ms、(xi)50〜55ms、(xii)55〜60ms、(xiii)60〜65ms、(xiv)65〜70ms、(xv)70〜75ms、(xvi)75〜80ms、(xvii)80〜85ms、(xviii)85〜90ms、(xix)90〜95ms、(xx)95〜100ms、(xxi)100〜110ms、(xxii)110〜120ms、(xxiii)120〜130ms、(xxiv)130〜140ms、(xxv)140〜150ms、(xxvi)150〜160ms、(xxvii)160〜170ms、(xxviii)170〜180ms、(xxix)180〜190ms、(xxx)190〜200ms、(xxxi)200〜250ms、(xxxii)250〜300ms、(xxxiii)300〜350ms、(xxxiv)350〜400ms、(xxxv)400〜450ms、(xxxvi)450〜500ms、及び(xxxvii)>500msからなる群より選択されることが好ましい。
【0065】
第2の動作モードにおいて、装置の少なくとも一部分は、(i)>0.001ミリバール、(ii)>0.01ミリバール、(iii)>0.1ミリバール、(iv)>1ミリバール、(v)>10ミリバール、(vi)>100ミリバール、(vii)>1000ミリバール、(viii)0.001〜1000ミリバール、(ix)0.001〜0.1ミリバール、(x)0.1〜10ミリバール、及び(xi)10〜1000ミリバールからなる群より選択される圧力に維持されるように構成されることが好ましい。
【0066】
第2の動作モードにおいて、装置の少なくとも一部分は、(i)0.001〜0.005ミリバール、(ii)0.005〜0.010ミリバール、(iii)0.01〜0.05ミリバール、(iv)0.05〜0.10ミリバール、(v)0.1〜0.5ミリバール、(vi)0.5〜1.0ミリバール、(vii)1〜5ミリバール、(viii)5〜10ミリバール、(ix)10〜50ミリバール、(x)50〜100ミリバール、(xi)100〜500ミリバール、(xii)500〜1000ミリバール、及び(xiii)>1000ミリバールからなる群より選択される圧力に維持されるように構成されることが好ましい。
【0067】
好ましい一実施形態にしたがうと、装置は、低大気圧を含む比較的高い圧力で動作させることができる。一実施形態にしたがうと、装置は、第2の動作モードにおいて、大気圧で動作させることができる。
【0068】
第1の動作モードにおいて、イオンは、実質的にそれらのイオン移動度にしたがって分離される。第2の動作モードにおいて、イオンは、実質的にそれらの質量電荷比にしたがって分離される。
【0069】
質量分析計は、装置の上流及び/又は下流に配置されるさらなるイオンガイド、イオントラップ、又はイオン捕捉領域をさらに含むことが好ましい。さらなるイオンガイド、イオントラップ、又はイオン捕捉領域は、イオンを捕捉、貯蔵、又は蓄積するように、そして、次いでイオンを装置に周期的にパルス入力する又は向かわせるように構成されることが好ましい。
【0070】
第1の動作モード及び/又は第2の動作モードにおいて、装置の軸方向長さに沿った1つ又は2つ以上の地点における軸方向電場の強度は、時間とともに変化、増大、又は減少するように構成されてよい、或いは装置の上流及び/又は下流に配置されるさらなるイオンガイド、イオントラップ、又はイオン捕捉領域からのイオンの放出に実質的に同期化されたかたちで時間とともに連続的に変化、段階的に変化、スキャン、又は直線的に若しくは非直線的に変化されるように構成されてよい。
【0071】
装置は、複数の電極を含むことが好ましく、第1の動作モード及び/又は第2の動作モードでは、電極に、1つ若しくは2つ以上の過渡DC電圧若しくは過渡DC電位又は1つ若しくは2つ以上の過渡DC電圧波形若しくは過渡DC電位波形が印加されることが好ましい。1つ若しくは2つ以上の過渡DC電圧若しくは過渡DC電位又は1つ若しくは2つ以上の過渡DC電圧波形若しくは過渡DC電位波形の振幅は、時間とともに変化、増大、又は減少するように構成されることが好ましい、或いは1つ若しくは2つ以上の過渡DC電圧若しくは過渡DC電位又は1つ若しくは2つ以上の過渡DC電圧波形若しくは過渡DC電位波形の振幅は、時間とともに連続的に変化、段階的に変化、スキャン、又は直線的に若しくは非直線的に変化されることが好ましい。
【0072】
1つ若しくは2つ以上の過渡DC電圧若しくは過渡DC電位又は1つ若しくは2つ以上の過渡DC電圧波形若しくは過渡DC電位波形の振幅は、時間とともに変化、増大、又は減少するように構成されることが好ましい、或いは1つ若しくは2つ以上の過渡DC電圧若しくは過渡DC電位又は1つ若しくは2つ以上の過渡DC電圧波形若しくは過渡DC電位波形の振幅は、装置の上流及び/又は下流に配置されるイオンガイド、イオントラップ、又はイオン捕捉領域からのイオンの放出に実質的に同期化されたかたちで時間とともに連続的に変化、段階的に変化、スキャン、又は直線的に若しくは非直線的に変化されることが好ましい。
【0073】
質量分析計は、装置の上流及び/又は下流に配置されるさらなる質量フィルタ又は質量分析器をさらに含むことが好ましい。さらなる質量フィルタ又は質量分析器は、(i)四重極ロッドセット質量フィルタ、(ii)飛行時間型の質量フィルタ又は質量分析器、(iii)ウィーンフィルタ、及び(iv)磁場セクタ型の質量フィルタ又は質量分析器からなる群より選択されることが好ましい。
【0074】
一実施形態にしたがうと、質量分析計は、装置の上流及び/又は下流に配置される質量分析器をさらに含んでよい。質量分析器は、(i)四重極質量分析器、(ii)2D型又は直線型の四重極質量分析器、(iii)Paulによる又は3D型の四重極質量分析器、(iv)Penningトラップ質量分析器、(v)イオントラップ質量分析器、(vi)磁場セクタ型質量分析器、(vii)イオンサイクロトロン共鳴(「ICR」)質量分析器、(viii)フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴(「FTICR」)質量分析器、(ix)静電型又はオービトラップ質量分析器、(x)フーリエ変換静電型又はオービトラップ質量分析器、(xi)フーリエ変換質量分析器、(xii)飛行時間型質量分析器、(xiii)直交加速方式飛行時間型質量分析器、(xiv)軸方向加速方式飛行時間型質量分析器、及び(xv)ウィーンフィルタからなる群より選択されることが好ましい。
【0075】
質量分析器の1つ又は2つ以上の質量電荷比伝送窓は、使用時に変化、増大、又は減少されてよい、或いは1つ又は2つ以上の質量電荷比伝送窓は、時間とともに連続的に変化、段階的に変化、スキャン、又は直線的に若しくは非直線的に変化されてよい。質量分析器の1つ又は2つ以上の質量電荷比伝送窓は、好ましくは、使用時に変化、増大、又は減少されてよい、或いは質量分析器の1つ又は2つ以上の質量電荷比伝送窓は、装置からのイオンの出現に実質的に同期化されたかたちで時間とともに連続的に変化、段階的に変化、スキャン、又は直線的に若しくは非直線的に変化されてよい。
【0076】
質量分析計は、装置の上流及び/又は下流に配置され複数の電極を含む第2のイオンガイドを、さらに含むことが好ましい。第2のイオンガイドは、(i)多重極ロッドセット若しくはセグメント化多重極ロッドセット、(ii)イオントンネル若しくはイオンファネル、又は(iii)積層状若しくは配列状の、平坦電極、平板電極、若しくはメッシュ電極を含むことが好ましい。
【0077】
多重極ロッドセットは、四重極ロッドセット、六重極ロッドセット、八重極ロッドセット、又は8を超えるロッドを含むロッドセットを含むことが好ましい。
【0078】
イオントンネル又はイオンファネルは、使用時にイオンを通過させるアパーチャを有する複数の電極又は少なくとも2、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、若しくは100の電極を含むことが好ましく、電極の少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は100%は、実質的に同サイズ若しくは同面積の又はサイズ若しくは面積が漸進的に大きくなる及び/若しくは小さくなるアパーチャを有する。好ましくは、電極の少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は100%は、(i)≦1.0mm、(ii)≦2.0mm、(iii)≦3.0mm、(iv)≦4.0mm、(v)≦5.0mm、(vi)≦6.0mm、(vii)≦7.0mm、(viii)≦8.0mm、(ix)≦9.0mm、(x)≦10.0mm、及び(xi)>10.0mmからなる群より選択される内径又は内部寸法を有する。
【0079】
積層状又は配列状の、平坦電極、平板電極、又はメッシュ電極は、複数の又は少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、若しくは20の平坦電極、平板電極、又はメッシュ電極を含むことが好ましく、平坦電極、平板電極、又はメッシュ電極の少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は100%は、使用時にイオンが移動する平面内に概して配置される。
【0080】
平坦電極、平板電極、又はメッシュ電極の少なくとも一部又は少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、若しくは100%は、AC電圧又はRF電圧を供給されることが好ましく、隣り合う平坦電極、平板電極、又はメッシュ電極は、逆位相のAC電圧又はRF電圧を供給される。
【0081】
第2のイオンガイドは、複数の軸方向セグメント又は少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、若しくは100の軸方向セグメントを含むことが好ましい。
【0082】
第2のイオンガイドの隣り合う電極間の中心間距離は、(i)<0.5mm、(ii)0.5〜1.0mm、(iii)1.0〜1.5mm、(iv)1.5〜2.0mm、(v)2.0〜2.5mm、(vi)2.5〜3.0mm、(vii)3.0〜3.5mm、(viii)3.5〜4.0mm、(ix)4.0〜4.5mm、(x)4.5〜5.0mm、(xi)5.0〜5.5mm、(xii)5.5〜6.0mm、(xiii)6.0〜6.5mm、(xiv)6.5〜7.0mm、(xv)7.0〜7.5mm、(xvi)7.5〜8.0mm、(xvii)8.0〜8.5mm、(xviii)8.5〜9.0mm、(xix)9.0〜9.5mm、(xx)9.5〜10.0mm、及び(xxi)>10.0mmからなる群より選択されることが好ましい。
【0083】
第2のイオンガイドは、(i)<20mm、(ii)20〜40mm、(iii)40〜60mm、(iv)60〜80mm、(v)80〜100mm、(vi)100〜120mm、(vii)120〜140mm、(viii)140〜160mm、(ix)160〜180mm、(x)180〜200mm、(xi)200〜220mm、(xii)220〜240mm、(xiii)240〜260mm、(xiv)260〜280mm、(xv)280〜300mm、及び(xvi)>300mmからなる群より選択される軸方向長さを有することが好ましい。
【0084】
質量分析計は、第2のイオンガイドの軸方向長さの少なくとも一部分又は少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、若しくは100%に沿って少なくとも一部のイオンを追い立てるために、第2のイオンガイドの軸方向長さの少なくとも一部分又は少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、若しくは100%に沿って実質的に一定のDC電圧勾配を維持するためのDC電圧手段をさらに含むことが好ましい。
【0085】
質量分析計は、第2のイオンガイドの軸方向長さの少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は100%に沿って少なくとも一部のイオンを追い立てるために、第2のイオンガイドを構成する電極の少なくとも一部に1つ若しくは2つ以上の過渡DC電圧若しくは過渡DC電位又は1つ若しくは2つ以上の過渡DC電圧波形若しくは過渡DC電位波形を印加するように構成及び適応される過渡DC電圧手段をさらに含むことが好ましい。
【0086】
質量分析計は、第2のイオンガイドの軸方向長さの少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は100%に沿って少なくとも一部のイオンを追い立てるために、第2のイオンガイドを構成する電極に2つ又は3つ以上の位相シフトされたAC電圧又はRF電圧を印加するように構成及び適応されるAC電圧手段又はRF電圧手段をさらに含むことが好ましい。
【0087】
質量分析計は、衝突、フラグメンテーション、又は反応の装置をさらに含むことが好ましい。衝突、フラグメンテーション、又は反応の装置は、装置の上流及び/又は下流に提供されてよい。衝突、フラグメンテーション、又は反応の装置は、衝突誘起解離(「CID」)によってイオンを断片化するように構成及び適応されることが好ましい。衝突、フラグメンテーション、又は反応の装置は、或いは、(i)表面誘起解離(「SID」)フラグメンテーション装置、(ii)電子移動解離フラグメンテーション装置、(iii)電子捕獲解離フラグメンテーション装置、(iv)電子衝突又は電子衝撃解離フラグメンテーション装置、(v)光誘起解離(「PID」)フラグメンテーション装置、(vi)レーザ誘起解離フラグメンテーション装置、(vii)赤外線放射誘起解離装置、(viii)紫外線放射誘起解離装置、(ix)ノズル−スキマ界面フラグメンテーション装置、(x)インソースフラグメンテーション装置、(xi)イオン源衝突誘起解離フラグメンテーション装置、(xii)熱源又は温度源フラグメンテーション装置、(xiii)電場誘起フラグメンテーション装置、(xiv)磁場誘起フラグメンテーション装置、(xv)酵素消化又は酵素分解フラグメンテーション装置、(xvi)イオン−イオン反応フラグメンテーション装置、(xvii)イオン−分子反応フラグメンテーション装置、(xviii)イオン−原子反応フラグメンテーション装置、(xix)イオン−準安定イオン反応フラグメンテーション装置、(xx)イオン−準安定分子反応フラグメンテーション装置、(xxi)イオン−準安定原子反応フラグメンテーション装置、(xxii)イオンを反応させて付加イオン又は生成イオンを形成するためのイオン−イオン反応装置、(xxiii)イオンを反応させて付加イオン又は生成イオンを形成するためのイオン−分子反応装置、(xxiv)イオンを反応させて付加イオン又は生成イオンを形成するためのイオン−原子反応装置、(xxv)イオンを反応させて付加イオン又は生成イオンを形成するためのイオン−準安定イオン反応装置、(xxvi)イオンを反応させて付加イオン又は生成イオンを形成するためのイオン−準安定分子反応装置、及び(xxvii)イオンを反応させて付加イオン又は生成イオンを形成するためのイオン−準安定原子反応装置からなる群より選択されてよい。
【0088】
質量分析計は、衝突、フラグメンテーション、又は反応の装置内へとイオンを加速するように構成及び適応される加速手段をさらに含むことが好ましく、一動作モードにおいて、イオンの少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は100%は、衝突、フラグメンテーション、又は反応の装置に進入する際に断片化又は反応を引き起こされる。
【0089】
質量分析計は、イオンが衝突、フラグメンテーション、又は反応の装置に進入する前に通る電位差を、衝突、フラグメンテーション、又は反応の装置に進入する際にイオンが実質的に断片化又は反応される比較的高いフラグメンテーション又は反応の動作モードと、衝突、フラグメンテーション、又は反応の装置に進入する際に断片化又は反応されるイオンが大幅に少ない又は実質的にない比較的低いフラグメンテーション又は反応の動作モードとの間で切り替える又は繰り返し切り替えるように構成及び適応される制御システムをさらに含むことが好ましい。
【0090】
比較的高いフラグメンテーション又は反応の動作モードにおいて、衝突、フラグメンテーション、又は反応の装置に進入するイオンは、(i)≧10V、(ii)≧20V、(iii)≧30V、(iv)≧40V、(v)≧50V、(vi)≧60V、(vii)≧70V、(viii)≧80V、(ix)≧90V、(x)≧100V、(xi)≧110V、(xii)≧120V、(xiii)≧130V、(xiv)≧140V、(xv)≧150V、(xvi)≧160V、(xvii)≧170V、(xviii)≧180V、(xix)≧190V、及び(xx)≧200Vからなる群より選択される電位差を通して加速されることが好ましい。
【0091】
比較的低いフラグメンテーション又は反応の動作モードにおいて、衝突、フラグメンテーション、又は反応の装置に進入するイオンは、(i)≦20V、(ii)≦15V、(iii)≦10V、(iv)≦5V、及び(v)≦1Vからなる群より選択される電位差を通して加速されることが好ましい。
【0092】
制御システムは、衝突、フラグメンテーション、又は反応の装置を、1ms、5ms、10ms、15ms、20ms、25ms、30ms、35ms、40ms、45ms、50ms、55ms、60ms、65ms、70ms、75ms、80ms、85ms、90ms、95ms、100ms、200ms、300ms、400ms、500ms、600ms、700ms、800ms、900ms、1s、2s、3s、4s、5s、6s、7s、8s、9s、又は10sごとに少なくとも1回づつ、比較的高いフラグメンテーション又は反応の動作モードと比較的低いフラグメンテーション又は反応の動作モードとの間で切り替えるように構成及び適応されることが好ましい。
【0093】
イオンが衝突、フラグメンテーション、又は反応の装置に進入する前に通る電位差は、使用時に変化、増大、又は減少されてよい。電位差は、装置からのイオンの出現に実質的に同期化されたかたちで時間とともに連続的に変化、段階的に変化、スキャン、又は直線的に若しくは非直線的に変化されてよい。一実施形態にしたがうと、イオンが衝突、フラグメンテーション、又は反応の装置に進入する前に通る電位差は、使用時に変化、増大、又は減少されてよい、或いは電位差は、装置からのイオンの出現に実質的に同期化されたかたちで、なおかつ時間の関数として装置から出現するものと予測されるイオンの質量電荷比又は時間の関数として装置から出現するものと予測されるイオンのイオン移動度のいずれかの関数として又はそれに関連して、時間とともに連続的に変化、段階的に変化、スキャン、又は直線的に若しくは非直線的に変化されてよい。
【0094】
衝突、フラグメンテーション、又は反応の装置は、イオンのビームを受け取り、任意の特定の時間において少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20の個別のイオングループ又はイオンパケットが衝突、フラグメンテーション、又は反応の装置内に閉じ込められるなおかつ/又は隔離されるようにイオンのビームを変換する又は分割するように構成及び適応されることが好ましく、各イオングループ又は各イオンパケットは、衝突、フラグメンテーション、又は反応の装置内に形成される個別の軸方向のポテンシャル井戸内に個別に閉じ込められるなおかつ/又は隔離される。
【0095】
一動作モードにおいて、装置は、衝突、フラグメンテーション、又は反応の装置として動作するように構成及び適応されてよい。
【0096】
一動作モードにおいて、装置は、装置内においてイオンを衝突によって冷却する又は熱運動化するように構成及び適応されてよい。
【0097】
質量分析計は、イオン源をさらに含むことが好ましい。イオン源は、(i)エレクトロスプレイイオン化(「ESI」)イオン源、(ii)大気圧光イオン化(「APPI」)イオン源、(iii)大気圧化学イオン化(「APCI」)イオン源、(iv)マトリックス支援レーザ脱離イオン化(「MALDI」)イオン源、(v)レーザ脱離イオン化(「LDI」)イオン源、(vi)大気圧イオン化(「API」)イオン源、(vii)シリコン上脱離イオン化(「DIOS」)イオン源、(viii)電子衝撃(「EI」)イオン源、(ix)化学イオン化(「CI」)イオン源、(x)電界イオン化(「FI」)イオン源、(xi)電界脱離(「FD」)イオン源、(xii)誘導結合プラズマ(「ICP」)イオン源、(xiii)高速原子衝撃(「FAB」)イオン源、(xiv)液体二次イオン質量分析(「LSIMS」)イオン源、(xv)脱離エレクトロスプレイイオン化(「DESI」)イオン源、(xvi)ニッケル63放射性イオン源、(xvii)サーモスプレイイオン源、(xviii)粒子ビーム(「PB:」)イオン源、及び(xix)フロー高速原子衝撃(「フローFAB」)イオン源からなる群より選択されることが好ましい。
【0098】
質量分析計は、連続イオン源又はパルスイオン源をさらに含むことが好ましい。
【0099】
好ましい実施形態にしたがうと、第1の質量電荷比を有する一価イオンは、第1の動作モードにおいて、装置を通る第1の通過時間又はドリフト時間t1を有し、第1の質量電荷比を有する一価イオンは、第2の動作モードにおいて、装置を通る第2の通過時間又はドリフト時間t2を有し、t2>t1である。一実施形態にしたがうと、比率t2/t1は、1〜2、2〜3、3〜4、4〜5、5〜6、6〜7、8〜9、9〜10、10〜11、11〜12、12〜13、13〜14、14〜15、15〜16、16〜17、17〜18、18〜19、19〜20、20〜25、25〜30、30〜35、35〜40、40〜45、45〜50、50〜60、60〜70、70〜80、80〜90、90〜100、又は>100の範囲であってよい。
【0100】
本発明の別の一態様にしたがって、質量分析方法であって、
装置を提供することと、
装置を、イオンが装置内においてそれらのイオン移動度にしたがって時間的に分離される第1のモードで動作させることと、
装置を、イオンが装置内においてそれらの質量電荷比にしたがって時間的に分離される第2の動作モードで動作させることと、
を含む方法が提供される。
【0101】
本発明の別の一態様にしたがって、質量分析器であって、
複数の電極と、
イオンが最終速度に達することなく軸方向に加速されるように、質量分析器内において軸方向電場をONとOFFとでパルス切り替えするように構成及び適応される装置と、
を含む質量分析器が提供される。
【0102】
質量分析器は、(i)0.001〜0.005ミリバール、(ii)0.005〜0.010ミリバール、(iii)0.01〜0.05ミリバール、(iv)0.05〜0.10ミリバール、(v)0.1〜0.5ミリバール、(vi)0.5〜1.0ミリバール、(vii)1〜5ミリバール、(viii)5〜10ミリバール、(ix)10〜50ミリバール、(x)50〜100ミリバール、(xi)100〜500ミリバール、(xii)500〜1000ミリバール、及び(xiii)>1000ミリバールからなる群より選択される圧力に維持されるように構成されることが好ましい。
【0103】
本発明の別の一態様にしたがって、イオンを質量分析する方法であって、
複数の電極を含む質量分析器を提供することと、
イオンが最終速度に達することなく軸方向に加速されるように、質量分析器内において軸方向電場をONとOFFとでパルス切り替えすることと、
を含む方法が提供される。
【0104】
方法は、(i)0.001〜0.005ミリバール、(ii)0.005〜0.010ミリバール、(iii)0.01〜0.05ミリバール、(iv)0.05〜0.10ミリバール、(v)0.1〜0.5ミリバール、(vi)0.5〜1.0ミリバール、(vii)1〜5ミリバール、(viii)5〜10ミリバール、(ix)10〜50ミリバール、(x)50〜100ミリバール、(xi)100〜500ミリバール、(xii)500〜1000ミリバール、及び(xiii)>1000ミリバールからなる群より選択される圧力に質量分析器を維持することをさらに含むことが好ましい。
【0105】
本発明の別の一態様にしたがって、質量分析器であって、
複数の電極と、
イオンが最終速度に達することなく軸方向に加速されるように、軸方向電場を第1の方向に、次いで軸方向電場を第1の方向と反対の第2の方向に繰り返し印加するように構成及び適応される装置と、
を含む質量分析器が提供される。
【0106】
質量分析器は、(i)0.001〜0.005ミリバール、(ii)0.005〜0.010ミリバール、(iii)0.01〜0.05ミリバール、(iv)0.05〜0.10ミリバール、(v)0.1〜0.5ミリバール、(vi)0.5〜1.0ミリバール、(vii)1〜5ミリバール、(viii)5〜10ミリバール、(ix)10〜50ミリバール、(x)50〜100ミリバール、(xi)100〜500ミリバール、(xii)500〜1000ミリバール、及び(xiii)>1000ミリバールからなる群より選択される圧力に維持されるように構成されることが好ましい。
【0107】
本発明の別の一態様にしたがって、イオンを質量分析する方法であって、
複数の電極を含む質量分析器を提供することと、
イオンが最終速度に達することなく軸方向に加速されるように、軸方向電場を第1の方向に、次いで軸方向電場を第1の方向と反対の第2の方向に繰り返し印加することと、
を含む方法が提供される。
【0108】
方法は、(i)0.001〜0.005ミリバール、(ii)0.005〜0.010ミリバール、(iii)0.01〜0.05ミリバール、(iv)0.05〜0.10ミリバール、(v)0.1〜0.5ミリバール、(vi)0.5〜1.0ミリバール、(vii)1〜5ミリバール、(viii)5〜10ミリバール、(ix)10〜50ミリバール、(x)50〜100ミリバール、(xi)100〜500ミリバール、(xii)500〜1000ミリバール、及び(xiii)>1000ミリバールからなる群より選択される圧力に質量分析器を維持することをさらに含むことが好ましい。
【0109】
好ましい実施形態は、実質的に同じ動作電圧に維持されている間に、1つ又は2つ以上の印加される軸方向電場を2つの動作モード間で切り替えられる装置に関する。第1の動作モードでは、装置は、イオンを主にそれらのイオン移動度にしたがって分離するように構成されることが好ましい。第2の動作モードでは、装置は、イオンを主にそれらの質量電荷比にしたがって分離するように構成されることが好ましい。好ましい装置は、したがって、デュアルモードのイオン移動度−質量分析装置に関する。
【0110】
好ましい実施形態は、一動作モードにおいて、イオンが従来のイオン移動度分析計又はイオン移動度分離器のように定常状態速度に達することがないようにイオン移動度分析計又はIMS装置を動作させる方法に関する。この動作モードでは、イオンの分離は、イオン移動度ではなくイオンの質量電荷比に強く依存する。イオンは、緩衝ガスの存在下で比較的短期間にわたって繰り返し電場を受けることが好ましい。例えば、イオンは、時間変化する電場の印加によって、又は位置変化する電場と時間変化する電場との組み合わせの印加によって、比較的短期間にわたって電場を受けてよい。
【0111】
従来のドリフト管イオン移動度分析計を参照すると、式(1)で与えられた運動方程式を速度について解いた一般解は、次のとおりである。但し、Uoは、時刻t=0におけるイオンの速度である。
【0112】
【数3】

【0113】
運動方程式を位置について解いた一般解は、次のとおりである。但し、Xoは、時刻t=0におけるイオンの位置である。
【0114】
【数4】

【0115】
Xo及びUoがゼロに等しく設定され、K=q/λ、τ=mK/qに定めると、2つの式は、次のようになる。
【0116】
【数5】

【0117】
【数6】

【0118】
t>>τに設定すると、次のようになることがわかる。
【0119】
【数7】

【0120】
【数8】

【0121】
上記の一般関係式は、イオン移動度に基づく様々な分離技術に関して成立する。上記の式において、τは、イオンが平均定常状態速度に達するためにかかる時間に関連した時定数と見なすことができる。電場が印加される時間の長さtがτと同程度である場合は、指数項が重要になり、速度と位置の両方が質量電荷比及び移動度の関数になる。
【0122】
速度及び位置についての近似式は、指数項を展開することによって得られ、以下の式で与えられる。
【0123】
【数9】

【0124】
【数10】

【0125】
上で与えられた式からは、t<τである場合に、速度及び位置が質量電荷比に強く依存するようになることがわかる。時間tの後にイオンが電場を受けなくなり、t<τである場合は、イオンの速度及び位置は、イオンの質量電荷比に主に依存するままである。
【0126】
印加される電場がOFFに切り替えられた後にイオンが減速するにつれて、イオンの速度及び位置について同様の式が得られる。E=0を代入すると、速度について次式が得られる。
【0127】
【数11】

【0128】
ここで、Uは、電場が除去された又はOFFに切り替えられた時点におけるイオンの前進速度である。
【0129】
もしイオンが、再び電場を受ける前に、ガス分子との衝突を通じてそれらの前進速度の実質的に全部又は大部分を失う場合は、平均のイオン速度は、主にイオンの質量電荷比に依存する状態のままである。例えば、直線型のイオン移動度分析計又はイオン移動度分離器の長さに沿って比較的短期間にわたって印加される電場をONとOFFとでパルス切り替えする(パルスの継続時間は、時定数τと同程度又はそれ未満である)と、イオンの通過時間が主に質量電荷比に依存する結果となる。イオン移動度分析計又はイオン移動度分離器には、入口端を通じて実質的に同時にイオン集団が導入されてよい。イオンは、次いで、それらの質量電荷比にしたがって、イオン移動度分析計又はイオン移動度分離器の出口端から出現することが好ましい。
【0130】
時間変化する離散的な電場の印加、或いは正弦波電場、又は湾曲、段差、若しくは正弦波輪郭を有する電場などの連続的な印加を含む様々な方式で質量電荷比依存式のイオン分離が実現されえる本発明の実施形態が考えられる。印加される電場を比較的短期間で連続的に変化させるなどの上記2つの方式の組み合わせが採用されえるさらなる実施形態も考えられる。
【0131】
別の一実施形態にしたがうと、イオンを少なくとも一部にはそれらの質量電荷比にしたがって分離するために、静的な電場又は軸方向に不均一なDC電場が印加されてよい。別の一実施形態にしたがうと、時間変化する軸方向電場と、軸方向に不均一な電場との組み合わせが印加されてよい。不均一な電場にあるイオンは、比較的高い電場強度の領域から比較的低い電場強度の領域へと素早く移動する。これは、電場を比較的短期間にわたって印加して次いでその電場を除去する場合と同様の効果をもたらす。
【0132】
一実施形態にしたがって、進行波イオン移動度分析計又は進行波イオン移動度分離器が提供されてよい。イオン移動度分析計又はイオン移動度分離器は、使用時にイオンを通過させることが好ましいアパーチャを有する一連の電極を含むことが好ましい。進行波は、1つ又は複数の電極に1つ若しくは2つ以上の過渡DC電圧若しくは過渡DC電位又は1つ若しくは2つ以上の過渡DC電圧波形若しくは過渡DC電位波形を印加することによって生成されることが好ましい。1つ又は2つ以上の電極に印加されることが好ましい過渡DC電圧又は過渡DC電位は、比較的短期間の後、イオンが移動される方向に1つ又は2つ以上の隣りの電極へとシフトされることが好ましい。進行波の速度が増すと、イオンは、過渡DC電圧又は過渡DC電位に起因する場を、より高い頻度で、しかしながらより短い期間にわたって受ける。したがって、適切な条件下では、波の速度が増すにつれて、イオンの分離は、イオン移動度に依存するのではなく、よりいっそう質量電荷比に依存するようになる。
【0133】
有利なことに、本発明の好ましい一実施形態にしたがった好ましい装置即ちイオン移動度−質量分析器は、10-2ミリバールから10ミリバールの範囲の比較的高い圧力で質量分析器として機能することができる。この動作圧力は、ガス分子の平均自由行程を質量分析器内におけるイオンの飛行経路よりも大幅に長くするために圧力を低く維持する必要がある市販の質量分析器の動作圧力よりも大幅に高い。本発明の一実施形態にしたがったイオン移動度−質量分析器の比較的高い動作圧力は、イオンをイオン源から質量分析計のその他のイオン光学部品へと導くために提供されえるイオンガイド内の圧力と同程度である。好ましい装置の比較的高い動作圧力は、また、ガス衝突セル又はイオン移動度分析計若しくはイオン移動度分離器の動作圧力とも同程度である。好ましい装置を比較的高い圧力に維持するには、回転ポンプ又はスクロールポンプなどの粗引きポンプを使用するだけでよい。したがって、都合の良いことに、好ましいイオン移動度−質量分析器装置を比較的低い圧力に維持するために、ターボ分子ポンプ又は拡散ポンプなどの、より複雑でなおかつ高価で上質の真空ポンプを提供する必要はない。
【0134】
質量電荷比による分離の動作モードで動作されるときの好ましい装置は、比較的低い質量分解能を有してよい。例えば、質量分解能は、10から20(FWHM)の範囲であってよい。しかしながら、好ましい装置は、目立った損失がないゆえに、高い伝送効率を有する。イオンは、好ましい装置内に径方向に閉じ込められることが好ましく、実質的に全てのイオンは、それらの質量電荷比の順に前方に伝送されることが好ましい。好ましい装置の上流には、イオントラップ、イオン貯蔵領域、又はイオン貯蔵装置が提供されてよく、このイオントラップ又はイオン貯蔵領域には、その他のイオンがそれらの質量電荷比にしたがって好ましい装置内で分離されている間にイオンを蓄積及び貯蔵しておくことができる。好ましい装置は、進行波RFイオンガイドを含むことが好ましい。上流のイオントラップ、イオン貯蔵領域、又はイオン貯蔵装置と、本発明の一実施形態にしたがったイオン移動度−質量分析器との組み合わせは、高いデューティサイクルの達成を可能にする。
【0135】
一実施形態にしたがうと、好ましいイオン移動度−質量分析器は、上流のイオントラップ、イオン貯蔵領域、又はイオン貯蔵装置及び下流の第2の質量分析器と組み合わせて提供されてよい。上流のイオントラップ、イオン貯蔵領域、又はイオン貯蔵装置と、本発明の一実施形態にしたがったイオン移動度−質量分析器と、好ましいイオン移動度−質量分析器の下流に配置される高分解能の質量分析器との組み合わせは、好ましいことに、高デューティサイクル、高伝送、高質量分解能の質量分析計の提供を可能にする。
【0136】
本発明の一実施形態にしたがったイオン移動度−質量分析器は、別のタイプの質量分析器と併せて又は組み合わせて提供されてよい。例えば、好ましいイオン移動度−質量分析器は、軸方向加速方式飛行時間型質量分析器、直交加速方式飛行時間型質量分析器、3D型四重極イオントラップ、直線型四重極イオントラップ、四重極質量フィルタ、磁場セクタ型質量分析器、イオンサイクロトロン共鳴質量分析器、又はオービトラップ質量分析器と組み合わせて提供されてよい。質量依存共鳴周波数のフーリエ変換を用いる上述のタイプの質量分析器の変形も、本発明の一実施形態にしたがったイオン移動度−質量分析器と組み合わせて提供されてよい。
【0137】
本発明の様々な実施形態が、添付の図面を参照にしながら単なる例として説明される。
【図面の簡単な説明】
【0138】
【図1】本発明の一実施形態にしたがったイオン移動度−質量分析器を示している。
【図2】軸方向電場を連続的に印加されるイオン移動度による分離の動作モードで好ましいイオン移動度−質量分析器が動作されるときのイオンの速度と、軸方向電場を短いパルスのかたちで印加される質量電荷比による分離の動作モードで好ましいイオン移動度−質量分析器が動作されるときのイオンの速度とを、時間の関数として示したグラフである。
【図3】好ましいイオン移動度−質量分析器が移送レンズを通じて直交加速方式飛行時間型分析器に結合される一実施形態を示している。
【図4】本発明の一実施形態にしたがったイオン移動度−質量分析器がイオン移動度による分離の動作モードで動作されるときの出力を示している。
【図5】本発明の一実施形態にしたがったイオン移動度−質量分析器が質量電荷比による分離の動作モードで動作されるときの出力を示している。
【図6】好ましいイオン移動度−質量分析器が走査型の四重極ロッドセット質量分析器に結合される一実施形態を示している。
【図7】イオン移動度−質量分析器がイオンガイドを通じて直交加速方式飛行時間型質量分析器に結合される一実施形態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0139】
本発明の好ましい一実施形態にしたがったイオン移動度−質量分析器が、図1を参照にして説明される。好ましい装置は、ゲート電極1と、入口電極3と、リングスタックRFイオンガイド2と、出口電極4とを含むことが好ましい。イオンガイド2は、使用時にイオンを通過させることが好ましいアパーチャを有する複数の電極を含むことが好ましい。イオンガイド2内にイオンを径方向に閉じ込める働きをすることが好ましい径方向の擬ポテンシャル井戸を生成するために、隣り合う電極に、逆位相のAC電圧又はRF電圧が印加されることが好ましい。イオンは、イオンガイド2に進入するにつれて、イオンをイオンガイド2内に径方向に閉じ込める働きをするRF場を受けることが好ましい。これは、イオンガイド2を通るイオンの伝送を中間圧力で最大にすることを可能にする。
【0140】
別の一実施形態にしたがうと、別々のゲート電極1及び入口電極3に代わって単一の電極が提供されてよい。イオンは、イオンガイド2の上流に配置することができるゲート電極1又は別の電極に対するパルスの印加によって、RFイオンガイド2に周期的にパルス入力されることが好ましい。
【0141】
好ましい一実施形態にしたがうと、付加的な又は過渡的なDC電圧若しくはDC電位又は1つ若しくは2つ以上の過渡的なDC電圧波形若しくはDC電位波形が1つ又は2つ以上のリング電極2に印加されてよい。図1に示された一実施形態にしたがうと、付加的な又は過渡的なDC電位が2つの電極に同時に印加されてよい。過渡的なDC電圧又はDC電位は、1つ又は2つ以上の電極に比較的短期間にわたって印加されることが好ましい。DC電圧又はDC電位は、次いで、隣りの電極対に切り替えられる又は印加されることが好ましい。したがって、一実施形態にしたがうと、電極には、進行波又は過渡的なDC電圧若しくはDC電位が印加されることが好ましい。進行波の速度及び振幅は、プログラム可能であることが好ましく、進行波の速度及び/又は振幅は、時間とともに変化させられる。好ましい実施形態にしたがうと、少なくとも一部のイオンをイオン移動度−質量分析器の長さに沿って追い立てるために、1つ若しくは2つ以上の過渡DC電圧若しくは過渡DC電位又は1つ若しくは2つ以上の過渡DC電圧波形若しくは過渡DC電位波形が電極に印加されてよい。
【0142】
好ましい実施形態にしたがうと、イオンガイド2は、第1の即ちイオン移動度による分離の動作モードで動作されるときに、10-2から100ミリバールの範囲の圧力に、又はより好ましくは10-1から10ミリバールの範囲の圧力に維持されてよい。好ましい実施形態にしたがうと、イオンガイド2は、第2の即ち質量電荷比による分離の動作モードでも動作されてよい。イオンガイド2は、第2の即ち質量電荷比による分離の動作モードで動作されるときも、実質的に同じ圧力に維持されてよい、即ち10-2から100ミリバールの範囲の圧力に、又はより好ましくは10-1から10ミリバールの範囲の圧力に維持されてよい。
【0143】
図2は、好ましい装置が第1の即ちイオン移動度による動作モードで動作されるときのイオンの速度を時間の関数として(実線で)示したグラフである。第1の即ちイオン移動度による動作モードで動作されるときの好ましい装置は、実質的に、イオン移動度分析計又はイオン移動度分離器として動作するので、イオンは、それらのイオン移動度にしたがって時間的に分離される。この動作モードでは、装置の長さに沿って、実質的に連続的に軸方向電場が印加又は維持されることが好ましい。図2は、また、好ましい装置が第2の即ち質量電荷比による分離の動作モードで動作されるときのイオンの速度も時間の関数として(破線で)示している。第2の即ち質量電荷比による分離の動作モードで動作されるときの好ましい装置は、実質的に、質量電荷比分離器又は質量分析器として動作するので、イオンは、それらの質量電荷比にしたがって時間的に分離される。この動作モードでは、装置の長さに沿って、比較的短いパルスのかたちで又は比較的短期間にわたって軸方向電場が印加されることが好ましい。
【0144】
図2に示されたデータは、950の質量電荷比及び0.39m2/V/sのイオン移動度を有するイオンに対応している。実線は、イオンの速度が初期のゼロ速度から加速されておおよそE×Kの定常状態速度に達することを示している。ここで、Eは電場、Kはイオン移動度である。この動作モードでは、電圧は、実質的に連続的に電極に印加されることが好ましく、イオンの速度は、主にイオンの移動度によって決定されることが好ましい。
【0145】
図2に示された破線は、好ましい装置が第2の即ち質量電荷比による分離の動作モードで動作され、印加される軸方向電場が2μs後にOFFに切り替えられた場合のイオンの速度を示している。第2の動作モードでは、イオンは、定常状態速度に達するのに十分な時間がなく、定常状態速度に達することを実質的に阻止されている。後続のパルス又は軸方向電場が印加される前にイオンの前進速度が比較的低い値まで減衰された場合は、イオンの平均速度は、イオンの質量電荷比に強く依存することになる。
【0146】
一実施形態にしたがうと、好ましい装置は、好ましい装置を適切なガス圧で動作させつつ、実質的に連続的な軸方向電場が維持される動作モードと短命で過渡的で繰り返し的な適切な軸方向電場が維持又は印加されることが好ましい別の動作モードとの間で切り替えられてよい。好ましい装置は、したがって、2つの動作モード間で切り替えられてよく、第1の動作モードでは、イオンはそれらのイオン移動度にしたがって時間的に分離され、第2の動作モードでは、イオンはそれらの質量電荷比にしたがって時間的に分離される。
【0147】
図3は、本発明の一実施形態にしたがったイオン移動度−質量分析器2が移送レンズ6を通じて直交加速方式飛行時間型質量分析器7に結合される本発明の一実施形態を示している。イオンは、イオン源によって生成されることが好ましく、次いで、イオン移動度−質量分析器2の上流に配置されることが好ましいイオントラップ5内に蓄積されることが好ましい。イオンは、イオントラップ5の出口に配置されることが好ましくなおかつイオン移動度−質量分析器2の上流にあることが好ましいゲート電極に対するパルスの印加によって、イオントラップ5から周期的に放出されることが好ましい。イオンのパルスがイオントラップ5から放出されるときには、イオン移動度−質量分析器2の電極に、進行波又は1つ若しくは2つ以上の過渡DC電圧若しくは過渡DC電位が印加されることが好ましい。進行波電圧の振幅は、最初、最小の又は比較的低い電圧又は振幅を有するように構成されることが好ましい。一実施形態にしたがうと、進行波の振幅は、例えば、最初、ゼロに設定されてよい。一実施形態にしたがうと、進行波電圧の振幅は、次いで、直線的に又はその他のかたちで最終的な最大電圧まで連続的に変化されることが好ましい。
【0148】
イオンは、イオン移動度−質量分析器2を通り抜けることが好ましく、次いで、イオン移動度−質量分析器2の出口から出現することが好ましい。イオンは、RFイオンガイド2又はイオン移動度−質量分析器2から退出するのにともなって、移送レンズ6を通り抜けることが好ましい。イオンは、次いで、直交加速方式飛行時間型質量分析器7へと前方に伝送されることが好ましい。飛行時間型質量分析器7に進入する少なくとも一部のイオンは、次いで、直交加速電極に対する直交加速電圧の印加によって、直交加速方式飛行時間型質量分析器7によって質量分析されることが好ましい。
【0149】
様々な動作モードを実証するために、2つの実験が実施され、実質的に図3に示されるように配置された質量分析計にタンパク質消化物が注入された。イオン移動度−質量分析器2は、最初、イオンをそれらのイオン移動度にしたがって時間的に分離するように構成された第1の動作モードで動作された。イオンガイド2内の圧力は、1ミリバールヘリウムに設定された。イオントラップ5の出口にある電極3に、幅200μs、周期13msのゲートパルスが印加された。進行波振幅(即ち好ましい装置2の電極に印加される1つ又は2つ以上の過渡DC電圧又は過渡DC電位の振幅)は、相次ぐゲートパルスとゲートパルスとの間の期間に3Vから7Vへと直線的に連続的に変化された。波のパターンは、10μsごとにシフトされ、その結果、イオンガイド2に平均速度300m/sの進行波が印加されることになった。
【0150】
図4は、第1の実験の結果を2Dグラフの形態で示している。分布は、黒を最も密とする対数逆グレースケール上に示されている。データは、イオン移動度にしたがうイオン分離に関連した古典的な特徴を呈している。荷電状態分離帯が推定され、所定の荷電状態を有するイオンについてのみ、おおよその質量電荷比相関がある。
【0151】
波パターンのシフト時間間隔を10μsから2μsに短くすることによって、第2の実験が実施された。その結果、進行波の平均速度は、300m/sから1500m/sへと増加した。参考のために、1ミリバールヘリウム内にある質量電荷比950の二価ペプチドを、およそ0.39m2-1-1のイオン移動度を有するものと考えてよい。これは、τ=km/q=〜3.8μsの時定数に対応する。第2の実験では、進行波振幅は、相次ぐパルスとパルスとの間の期間に8Vから20Vへと直線的に連続的に変化された。相次ぐパルスとパルスとの間の期間は、80msに延長された。
【0152】
図5は、第2の実験の結果を2Dグラフの形態で示している。分布は、黒を最も密とする対数逆グレースケール上に示されている。データは、質量電荷比に対する強い依存性を呈しており、イオンがそれらのイオン移動度にしたがって分離されるときに観察される電荷に基づく分離性を失っている。
【0153】
好ましいイオン移動度−質量分析器2は、いずれの動作モードにおいても実質的に全てのイオンを前方に伝送するように構成されるが、このデュアルモード装置2は、質量電荷比による分離の動作モードで動作されるときに、四重極ロッドセット質量フィルタ又は四重極ロッドセット質量分析器などの従来の質量電荷比質量フィルタ又は質量電荷比質量分析器ほどの高い特異性を有さないと考えられる。質量電荷比による分離の動作オードで動作されるときのデュアルモード装置2の実効分解能が、例えば、10から20の範囲であるのに対して、従来の四重極質量電荷比フィルタの分解能は、単位質量であると考えられる(即ち、従来の四重極質量フィルタは、質量電荷比100において分解能100を、質量電荷比200において分解能200を、そして質量電荷比500において分解能500を有すると考えられる)。
【0154】
図6は、好ましい一実施形態にしたがったイオン移動度−質量分析器2の下流に質量フィルタ8が配置される一実施形態を示している。質量分析器8の下流には、イオン検出器9が配置されることが好ましい。質量フィルタ8は、四重極ロッドセット質量フィルタ8を含むことが好ましいが、その他のタイプの質量フィルタが提供されてもよい。質量フィルタ8は、実質的に全てのイオンを伝送する動作モードに構成されてよい。或いは、質量フィルタ8は、特定の質量電荷比を有する対象イオンのみを伝送するように構成されてよい。
【0155】
好ましい装置2は、器具全体のデューティサイクル及び感度を向上させるために、四重極ロッドセット質量分析器などの高分解能のスキャン装置/段階操作装置に結合されてよい。好ましい装置2から退出するイオンの質量電荷比は、好ましい実施形態にしたがうと、時間とともにおおよそ又は実質的に直線的に増大することが好ましい。どの所定の時間においても、好ましい装置2から退出又は出現するイオンの質量電荷比の範囲は、比較的限られる。したがって、特定の質量電荷比を有するイオンは全て、好ましいことに、比較的狭い即ち短い期間に好ましい装置2から退出又は出現する。本発明の一実施形態にしたがうと、走査型の四重極ロッドセット質量分析器8の質量電荷比伝送窓は、好ましい装置2から退出又は出現すると予測されるイオンの質量電荷比に同期化されてよい。したがって、走査型の四重極ロッドセット質量分析器8のデューティサイクルを有利に増加させられる結果になる。
【0156】
四重極ロッドセット質量フィルタ又は四重極ロッドセット質量分析器8は、四重極ロッドセットの長さに依存する最大スキャン速度を有する。最大スキャン速度は、例えば、1000ダルトンの質量範囲にわたってスキャンする場合に100ms程度であってよい。一実施形態にしたがうと、本発明の一実施形態にしたがったイオン移動度−質量分析器2は、四重極ロッドセット質量フィルタ8と併せて又は組み合わせて使用されてよい。この実施形態にしたがうと、好ましい装置2は、好ましい装置2のサイクル時間が大体10msから100ms程度まで増加されるように動作されてよい。図5に結果を示された質量電荷比による分離の実験では、80msのスキャン時間が通常の四重極ロッドセット質量フィルタの最大スキャン速度におおむね適合することがわかる。
【0157】
別の一実施形態にしたがうと、本発明の一実施形態にしたがったイオン移動度−質量分析器2の下流に配置される四重極ロッドセット質量分析器8の質量電荷比伝送窓は、好ましい装置2から退出又は出現するイオンの質量電荷比に同期させるために、事前決定された限られた数の質量電荷比の値に段階分けされてよい。このようにすれば、特定の質量電荷比を有するイオンのみが潜在的対象となる一動作モードのために、四重極ロッドセット質量フィルタ又は四重極ロッドセット質量分析器8の伝送効率及びデューティサイクルを向上させることができる。
【0158】
質量フィルタ又は質量分析器8は、好ましいイオン移動度−質量分析器2のサイクル時間内における事前選択又は事前決定された時間にいくつかの事前選択又は事前決定された質量電荷比に切り替わるように設定されてよい。事前選択又は事前決定された質量電荷比は、例えば、一連の特定の対象フラグメントイオンの質量電荷比に対応するように選ばれてよい。事前選択又は事前決定された時間は、例えば、特定の対象フラグメントイオンの好ましいイオン移動度−質量分析器2からの退出時間を内包するように構成されてよい。デューティサイクルにいかなる損失も生じることなく、したがって感度にいかなる損失も生じることなく、高分解能質量フィルタの特異性によって、2種以上のフラグメントイオンが測定されえる。
【0159】
一実施形態にしたがうと、1つ又は2つ以上の質量電荷比を有する親イオン又は前駆イオンは、好ましいイオン移動度−質量分析器2の上流に配置される第1の質量フィルタに通されるように構成されてよい。対象となる親イオン又は前駆イオンは、次いで、衝突セル又はフラグメンテーションセル内において断片化されてよい。結果得られるフラグメントイオン又は娘イオンは、次いで、本発明の一実施形態にしたがったイオン移動度−質量分析器2に引き渡されてよい。フラグメントイオン又は娘イオンは、次いで、イオン移動度−質量分析器2内において時間的に分離されることが好ましい。次いで、1つ又は2つ以上の質量電荷比を有するフラグメントイオン又は娘イオンが、好ましいイオン移動度−質量分析器2の下流に配置されることが好ましい第2の質量フィルタによって前方に伝送されてよい。第2の質量フィルタによって前方に伝送されるフラグメントイオン又は娘イオンは、次いで、検出されることが好ましい。第1の質量フィルタ及び第2の質量フィルタは、四重極ロットセット質量フィルタを含むことが好ましい。しかしながら、第1の質量フィルタ及び/又は第2の質量フィルタが別の形態の質量フィルタを含みえるその他の実施形態も考えられる。
【0160】
図6を参照すると、衝突セル及び/又はイオントラップ5として動作されることが好ましいイオントラップ又はイオン捕捉領域5の上流に、第1の四重極質量フィルタ(不図示)が提供されてよい。衝突セル及び/又はイオントラップ5の下流には、好ましい一実施形態にしたがったイオン移動度−質量分析器2が配置されることが好ましい。好ましいイオン移動度−質量分析器2の下流には、第2の四重極質量フィルタ8又は四重極質量分析器が配置されることが好ましく、第2の四重極質量フィルタ8の下流には、イオン検出器9が配置されることが好ましい。
【0161】
第1の四重極質量フィルタによって前方に伝送される親イオン又は前駆イオンは、ガス衝突セル及び/又はイオントラップ5で受け取られ、その中で断片化されることが好ましい。衝突セル及び/又はイオントラップ5は、10-4ミリバールと1ミリバールとの間の圧力に、より好ましくは10-3ミリバールと10-1ミリバールとの間の圧力に維持されることが好ましい。衝突セル及び/又はイオントラップ5は、たとえバックグラウンドガス分子との衝突を経ているときでもイオンを中心軸近くに閉じ込めることが好ましいRFイオンガイドを含むことが好ましい。衝突セル及び/又はイオントラップ5は、隣り合うロッド間又は電極間にRF電極を印加されることが好ましい多重極ロッドセットイオンガイドを含んでよい。或いは、衝突セル及び/又はイオントラップ5は、隣り合うリング間にAC電圧又はRF電圧を印加されることが好ましいリングスタックイオンガイドを含んでよい。衝突セル及び/又はイオントラップ5がその他の形態のイオンガイド又はイオントラップを含みえるその他の実施形態も考えられる。イオンは、少なくとも10eVのエネルギで衝突セル及び/又はイオントラップ5に進入してガス分子と複数の衝突を経るように構成されることが好ましく、したがって、衝突誘起解離によって断片化を誘起される。
【0162】
ガス衝突セル及び/又はイオントラップ5は、さらに、イオンを格納するために、そして好ましいイオン移動度−質量分析器2へとイオンをパルス状に放出するために使用されてよい。ガス衝突セル及び/又はイオントラップ5の出口には、プレート1又はその他の電極が配置されてよく、ポテンシャル障壁を形成することによってガス衝突セル及び/又はイオントラップ5からのイオンの退出を阻止するような電圧又は電位に設定又は維持されてよい。正イオンの場合は、プレート1又はその他の電極は、ガス衝突セル及び/又はイオントラップ5内にイオンを軸方向に閉じ込める又は保持するために、ガス衝突セル及び/又はイオントラップ5を構成するその他の電極に対して約+10Vの電位に維持されてよい。イオンが入口を通じて軸方向にガス衝突セル及び/又はイオントラップ5から去る又は退出するのを阻止するために、同様のプレート又は電極が、同様の電位でガス衝突セル及び/又はイオントラップ5の入口に提供されてよい。
【0163】
ガス衝突セル及び/又はイオントラップ5の出口に配置されるプレート1又は電極における電位は、一実施形態にしたがって、ガス衝突セル及び/又はイオントラップ5を構成するその他の電極の電位に対して瞬時に0V又は0V未満に引き下げられてよい。その結果、イオンは、ガス衝突セル及び/又はイオントラップ5からパルス状に放出されることが好ましく、イオン移動度−質量分析器2に向かうようにそしてその中に入るように方向付けられることが好ましい。イオン移動度−質量分析器2の電極には、進行波或いは1つ若しくは2つ以上の過渡DC電圧又は過渡DC電位又は1つ若しくは2つ以上の過渡DC電圧波形若しくは過渡DC電位波形が印加されることが好ましい。好ましいイオン移動度−質量分析器2の電極に印加される進行波或いは1つ若しくは2つ以上の過渡DC電圧又は過渡DC電位又は1つ若しくは2つ以上の過渡DC電圧波形若しくは過渡DC電位波形の速度は、イオンがそれらの質量電荷比にしたがって時間的に分離されるように設定されることが好ましい。進行波或いは1つ若しくは2つ以上の過渡DC電圧又は過渡DC電位又は1つ若しくは2つ以上の過渡DC電圧波形若しくは過渡DC電位波形の速度は、また、質量又は質量電荷比についてスキャン又は段階操作されることが好ましい下流の四重極質量フィルタ8に同期するように設定されることも好ましい。
【0164】
図7は、好ましいイオン移動度−質量分析器2がイオンガイド10を通じて直交加速方式飛行時間型質量分析器7に結合される本発明の別の一実施形態を示している。イオンガイド10は、進行波イオンガイド10を含むことが好ましい。イオン移動度−質量分析器2及びイオンガイド10は、飛行時間型質量分析器7のデューティサイクル及び感度を向上させられることが好ましい。イオンは、好ましい装置2から、質量電荷比及び時間に依存するかたちで出力されることが好ましい。進行波イオンガイド10は、好ましい装置2からのイオンの出力をサンプリングするように構成されることが好ましい。イオン移動度−質量分析器2からは、任意の所定の瞬間に、限られた即ち比較的狭い範囲の質量電荷比を有するイオンが出現することが好ましい。任意の所定の瞬間にイオン移動度−質量分析器2から出現するイオンは、進行波イオンガイド10内に発生されることが好ましい1つ又は2つ以上の軸方向のポテンシャル井戸内に閉じ込められることが好ましい。1つ又は2つ以上の軸方向のポテンシャル井戸は、進行波イオンガイド10の長さに沿って平行移動されることが好ましい。軸方向のポテンシャル井戸は、イオンガイド10内において連続的に発生されることが好ましく、イオンガイド10の長さに沿って連続的に運ばれることが好ましい。軸方向のポテンシャル井戸がイオンガイド10の出口に達するのにともなって、イオンは、イオンガイド10から放出されることが好ましく、直交加速方式飛行時間型質量分析器7の直交加速領域に向かわされることが好ましい。直交加速電極7aには、直交加速方式飛行時間型抽出パルスが周期的に印加されることが好ましい。所定の軸方向ポテンシャル井戸から直交加速方式飛行時間型質量分析器7のドリフト領域内へのイオンの伝送を最大にするには、抽出パルスのタイミングが進行波イオンガイド10からのイオンの放出に同期化されることが好ましい。
【0165】
この実施形態にしたがうと、実質的に100%のサンプリングデューティサイクルが実現されえる。好ましい装置2と進行波イオンガイド10は、比較的接近して結合されることが好ましいので、好ましい装置2から出現する又は退出するイオンは、一連のパケット又は軸方向ポテンシャル井戸のかたちでイオンガイド10の長さに沿って運ばれることが好ましい。イオンは、イオンが好ましい装置2から出現するのと実質的に同じ順序でイオンガイド10内に維持されることが好ましい。
【0166】
直交加速方式飛行時間型質量分析器は、進行波RFイオンガイド10の下流に位置決めされることが好ましい。進行波イオンガイド10と直交加速方式飛行時間型質量分析計7は、進行波イオンガイド10の出口から放出されることが好ましい各イオンパケットが好ましくは実質的に100%のサンプリングデューティサイクルで直交加速方式飛行時間型質量分析計によってサンプリングされるように、十分に接近して結合されることが好ましい。
【0167】
一実施形態にしたがうと、イオン移動度−質量分析器2は、イオン移動度分析計又はイオン移動度分離器として機能するように、第1の動作モードで動作されてよい。サイクル時間は、例えば、10ms程度であるように構成されてよく、イオン移動度−質量分析器2の出口から出現するイオンは、例えば、進行波イオンガイド10内に形成されることが好ましい200のパケット又は軸方向ポテンシャル井戸の1つに集められることが好ましい。イオンは、イオンガイド10の長さに沿って平行移動されることが好ましく、進行波イオンガイド10の各波又は軸方向ポテンシャル井戸は、50μsのサイクル時間を有することが好ましい。
【0168】
好ましい装置2が、質量電荷比分離器又は質量分析器として第2の動作モードで動作するように選択又は構成される場合は、サイクル時間は、例えば100ms程度になるように増加されることが好ましい。好ましい装置2から出現するイオンは、例えば、進行波イオンガイド10内に形成されることが好ましい200のパケット又は軸方向ポテンシャル井戸の1つに集められることが好ましい。進行波イオンガイド10内において形成又は発生されることが好ましい各波又は各軸方向ポテンシャル井戸は、500μsのサイクル時間を有するように構成されることが好ましい。進行波インガイド10の長さに沿って平行移動される各波又は各軸方向ポテンシャル井戸は、対応する直交加速方式飛行時間型質量分析器7の動作サイクルに対応するように構成されることが好ましい。一実施形態にしたがうと、進行波イオンガイド10からのイオンパケットの放出と、飛行時間型質量分析器7の押し電極7aに対する直交加速押し電圧の印加との間の遅延時間は、各パケット内のイオンの質量電荷比にしたがってサイクルごとに徐々に増加するように構成されてよい。
【0169】
別の一実施形態にしたがうと、1つ又は2つ以上の特定の質量電荷比を有する親イオン又は前駆イオンが、第1の質量フィルタ(不図示)によって前方に伝送されてよい。イオンは、次いで、衝突セル及び/又はイオントラップ5内において断片化されることが好ましい。結果得られるフラグメントイオン又は娘イオンは、次いで、好ましい装置又はイオン移動度−質量分析器2に引き渡されることが好ましい。フラグメントイオン又は娘イオンは、イオン移動度−質量分析器2内において時間的に分離されることが好ましい。次いで、1つ又は2つ以上の特定の質量電荷比を有するフラグメントイオン又は娘イオンが、進行波イオンガイド10を通じて直交加速方式飛行時間型質量分析器7へと前方に伝送されることが好ましい。すると、イオンは、続いて、質量分析及び検出を経る。第1の質量フィルタは、四重極質量フィルタを含むことが好ましいが、その他のタイプの質量フィルタも考えられる。
【0170】
本発明の一実施形態にしたがった質量分析計は、質量分析計の上流の端に提供されることが好ましいイオン源を含むことが好ましい。イオン源は、レーザ脱離イオン化(「LDI」)イオン源、マトリックス支援レーザ脱離/イオン化(「MALDI」)イオン源、又はシリコン上脱離/イオン化(「DIOS」)イオン源などのパルスイオン源を含んでよい。或いは、質量分析計は、連続イオン源を含んでよい。質量分析計が連続イオン源を含む場合は、イオン源の下流に、イオンを格納するためそしてイオンを周期的に放出するためのイオントラップ5が提供されると好ましいであろう。連続イオン源は、エレクトロスプレイイオン化(「ESI」)イオン源、大気圧化学イオン化(「APCI」)イオン源、電子衝撃(「EI」)イオン源、大気圧光イオン化(「APPI」)イオン源、化学イオン化(「CI」)イオン源、脱離エレクトロスプレイイオン化(「DESI」)イオン源、大気圧MALDI(「AP−MALDI」)イオン源、高速原子衝撃(「FAB」)イオン源、液体二次イオン質量分析(「LSIMS」)イオン源、電界イオン化(「FI」)イオン源、又は電界脱離(「FD」)イオン源を含んでよい。その他の連続イオン源又は擬似的連続イオン源が使用されてもよい。
【0171】
次善の好ましい一実施形態にしたがうと、イオン移動度−質量分析器2は、長方形、四角形、又は楕円形のアパーチャを有する複数の電極を含んでよい。イオン移動度−質量分析計2がセグメント化ロットセットイオンガイドを含みえるその他の次善の好ましい実施形態も考えられる。
【0172】
好ましい実施形態にしたがうと、イオンは、ゲート電極を使用して好ましい装置2にパルス入力されることが好ましい。しかしながら、MALDIイオン源などのパルスイオン源が使用されえるその他の実施形態も考えられる。この実施形態にしたがうと、イオンは、好ましい装置又はイオン移動度−質量分析器2に直接にパルス入力されてよい。
【0173】
別の一実施形態にしたがうと、質量分離領域又は好ましいイオン移動度−質量分析器2の後に即ち下流に、フラグメンテーション領域又は衝突セル(不図示)が提供されてよい。イオン移動度−質量分析器2とフラグメンテーション領域との間の電位差は、一実施形態にしたがうと、注入パルス間の時間の関数として連続的に変化又はその他のかたちで変化されてよいので、任意の所定の時間に好ましいイオン移動度−質量分析器2から退出又は出現するイオンは、好ましいことに、実質的に最適なかたちで断片化される。
【0174】
本発明は、好ましい実施形態を参照にして説明されてきたが、当業者ならば、添付の特許請求の範囲に定められた本発明の範囲から逸脱することなく各種の変更を形態及び詳細に加えられることが明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
質量分析計であって、
イオンを時間的に分離するための装置であって、第1の動作モードではイオンをそれらのイオン移動度にしたがって時間的に分離するように構成及び適応され、第2の動作モードではイオンをそれらの質量電荷比にしたがって分離するように構成及び適応される装置を備える質量分析計。
【請求項2】
請求項1に記載の質量分析計であって、
前記装置は、複数の電極を含むイオンガイドを含む質量分析計。
【請求項3】
請求項2に記載の質量分析計であって、
前記イオンガイドは、
(i)多重極ロッドセット若しくはセグメント化多重極ロッドセット、
(ii)イオントンネル若しくはイオンファネル、又は
(iii)積層状若しくは配列状の、平坦電極、平板電極、若しくはメッシュ電極を含む質量分析計。
【請求項4】
請求項3に記載の質量分析計であって、
前記多重極ロッドセットは、四重極ロッドセット、六重極ロッドセット、八重極ロッドセット、又は8を超えるロッドを含むロッドセットを含む質量分析計。
【請求項5】
請求項3に記載の質量分析計であって、
前記イオントンネル又はイオンファネルは、使用時にイオンを通過させるアパーチャを有する複数の電極又は少なくとも2、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、若しくは100の電極を含み、前記電極の少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は100%は、実質的に同サイズ若しくは同面積の又はサイズ若しくは面積が漸進的に大きくなる及び/若しくは小さくなるアパーチャを有する質量分析計。
【請求項6】
請求項5に記載の質量分析計であって、
前記電極の少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は100%は、(i)≦1.0mm、(ii)≦2.0mm、(iii)≦3.0mm、(iv)≦4.0mm、(v)≦5.0mm、(vi)≦6.0mm、(vii)≦7.0mm、(viii)≦8.0mm、(ix)≦9.0mm、(x)≦10.0mm、及び(xi)>10.0mmからなる群より選択される内径又は内部寸法を有する質量分析計。
【請求項7】
請求項3に記載の質量分析計であって、
前記積層状又は配列状の、平坦電極、平板電極、又はメッシュ電極は、複数の又は少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、若しくは20の平坦電極、平板電極、又はメッシュ電極を含み、前記平坦電極、平板電極、又はメッシュ電極の少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は100%は、使用時にイオンが移動する平面内に概して配置される質量分析計。
【請求項8】
請求項7に記載の質量分析計であって、
前記平坦電極、平板電極、又はメッシュ電極の少なくとも一部又は少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、若しくは100%は、AC電圧又はRF電圧を供給され、隣り合う平坦電極、平板電極、又はメッシュ電極は、逆位相の前記AC電圧又はRF電圧を供給される質量分析計。
【請求項9】
請求項2ないし8のいずれかに記載の質量分析計であって、
イオンガイドは、複数の軸方向セグメント又は少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、若しくは100の軸方向セグメントを含む質量分析計。
【請求項10】
請求項2ないし9のいずれかに記載の質量分析計であって、
隣り合う電極間の中心間距離は、(i)<0.5mm、(ii)0.5〜1.0mm、(iii)1.0〜1.5mm、(iv)1.5〜2.0mm、(v)2.0〜2.5mm、(vi)2.5〜3.0mm、(vii)3.0〜3.5mm、(viii)3.5〜4.0mm、(ix)4.0〜4.5mm、(x)4.5〜5.0mm、(xi)5.0〜5.5mm、(xii)5.5〜6.0mm、(xiii)6.0〜6.5mm、(xiv)6.5〜7.0mm、(xv)7.0〜7.5mm、(xvi)7.5〜8.0mm、(xvii)8.0〜8.5mm、(xviii)8.5〜9.0mm、(xix)9.0〜9.5mm、(xx)9.5〜10.0mm、及び(xxi)>10.0mmからなる群より選択される質量分析計。
【請求項11】
請求項2ないし10のいずれかに記載の質量分析計であって、
前記イオンガイドは、(i)<20mm、(ii)20〜40mm、(iii)40〜60mm、(iv)60〜80mm、(v)80〜100mm、(vi)100〜120mm、(vii)120〜140mm、(viii)140〜160mm、(ix)160〜180mm、(x)180〜200mm、(xi)200〜220mm、(xii)220〜240mm、(xiii)240〜260mm、(xiv)260〜280mm、(xv)280〜300mm、及び(xvi)>300mmからなる群より選択される軸方向長さを有する質量分析計。
【請求項12】
請求項2ないし11のいずれかに記載の質量分析計であって、さらに、
前記イオンガイド内にイオンを径方向に閉じ込めるように構成及び適応される第1の手段を備える質量分析計。
【請求項13】
請求項12に記載の質量分析計であって、
前記第1の手段は、前記イオンガイド内にイオンを径方向に閉じ込めるために、前記イオンガイドを構成する電極の少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は100%に第1のAC電圧又はRF電圧を印加するように構成及び適応される第1のAC電圧手段又はRF電圧手段を含む質量分析計。
【請求項14】
請求項13に記載の質量分析計であって、
前記第1のAC電圧手段又はRF電圧手段は、前記イオンガイドの電極に(i)<50V、(ii)50〜100V、(iii)100〜150V、(iv)150〜200V、(v)200〜250V、(vi)250〜300V、(vii)300〜350V、(viii)350〜400V、(ix)400〜450V、(x)450〜500V、及び(xi)>500Vからなる群より選択される最高最低振幅を有する第1のAC電圧又はRF電圧を供給するように構成及び適応される質量分析計。
【請求項15】
請求項13又は14に記載の質量分析計であって、
前記第1のAC電圧手段又はRF電圧手段は、前記イオンガイドの電極に(i)<100kHz、(ii)100〜200kHz、(iii)200〜300kHz、(iv)300〜400kHz、(v)400〜500kHz、(vi)0.5〜1.0MHz、(vii)1.0〜1.5MHz、(viii)1.5〜2.0MHz、(ix)2.0〜2.5MHz、(x)2.5〜3.0MHz、(xi)3.0〜3.5MHz、(xii)3.5〜4.0MHz、(xiii)4.0〜4.5MHz、(xiv)4.5〜5.0MHz、(xv)5.0〜5.5MHz、(xvi)5.5〜6.0MHz、(xvii)6.0〜6.5MHz、(xviii)6.5〜7.0MHz、(xix)7.0〜7.5MHz、(xx)7.5〜8.0MHz、(xxi)8.0〜8.5MHz、(xxii)8.5〜9.0MHz、(xxiii)9.0〜9.5MHz、(xxiv)9.5〜10.0MHz、及び(xxv)>10.0MHzからなる群より選択される周波数を有する第1のAC電圧又はRF電圧を供給するように構成及び適応される質量分析計。
【請求項16】
請求項13、14、又は15に記載の質量分析計であって、
隣り合う電極間又は隣り合う電極群間における前記第1のAC電圧又はRF電圧の位相差は、(i)>0o、(ii)1〜30o、(iii)30〜60o、(iv)60〜90o、(v)90〜120o、(vi)120〜150o、(vii)150〜180o、(viii)180o、(ix)180〜210o、(x)210〜240o、(xi)240〜270o、(xii)270〜300o、(xiii)300〜330o、及び(xiv)330〜360oからなる群より選択される質量分析計。
【請求項17】
請求項13ないし16のいずれかに記載の質量分析計であって、
使用時に前記電極に印加される前記第1のAC電圧又はRF電圧は、使用時に前記イオンガイド内にイオンを径方向に閉じ込める働きをする径方向の擬ポテンシャル井戸を生じさせる又は生成する質量分析計。
【請求項18】
請求項13ないし17のいずれかに記載の質量分析計であって、
前記第1のAC電圧又はRF電圧は、二相又は多相のAC電圧又はRF電圧を含む質量分析計。
【請求項19】
請求項1ないし18のいずれかに記載の質量分析計であって、さらに、
前記装置の軸方向長さの少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は100%に沿って軸方向電場を印加するように構成及び適応される第2の手段を備える質量分析計。
【請求項20】
請求項19に記載の質量分析計であって、
前記第1の動作モードにおいて、前記第2の手段は、前記軸方向電場を実質的に連続的に印加するように構成及び適応される質量分析計。
【請求項21】
請求項19又は20に記載の質量分析計であって、
前記第1の動作モードにおいて、前記装置の軸方向長さに沿った1つ又は2つ以上の点における前記軸方向電場の最大振幅は、時間によらずに実質的に一定に留まるように構成される質量分析計。
【請求項22】
請求項19、20、又は21に記載の質量分析計であって、
前記第1の動作モードにおいて、前記装置の軸方向長さに沿った1つ又は2つ以上の点における前記軸方向電場の最大振幅は、時間とともに変化、増大、又は減少するように構成される、或いは最大振幅は、時間とともに連続的に変化、段階的に変化、スキャン、又は直線的に若しくは非直線的に変化されるように構成される質量分析計。
【請求項23】
請求項19ないし22のいずれかに記載の質量分析計であって、
前記第2の手段は、前記装置の軸方向長さの少なくとも一部分又は少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、若しくは100%に沿って少なくとも一部のイオンを追い立てるために、前記第1の動作モードにおいて、前記装置の軸方向長さの少なくとも一部分又は少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、若しくは100%に沿って非ゼロのDC電圧勾配を維持するためのDC電圧手段を含む質量分析計。
【請求項24】
請求項23に記載の質量分析計であって、さらに、
前記DC電圧勾配を時間とともに変化、増大、又は減少させるように、或いは前記DC電圧勾配を時間とともに連続的に変化、段階的に変化、スキャン、又は直線的に若しくは非直線的に変化させるように構成及び適応される手段を備える質量分析計。
【請求項25】
請求項19ないし24のいずれかに記載の質量分析計であって、
前記第2の手段は、前記装置の軸方向長さの少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は100%に沿って少なくとも一部のイオンを追い立てるために、前記装置を構成する電極の少なくとも一部に1つ又は2つ以上のDC電圧を印加するための手段をさらに含み、前記DC電圧の振幅は、時間とともに変化、増大、又は減少するように構成される、或いは前記DC電圧は、時間とともに連続的に変化、段階的に変化、スキャン、又は直線的に若しくは非直線的に変化される質量分析計。
【請求項26】
請求項19ないし25のいずれかに記載の質量分析計であって、
前記第2の手段は、前記装置を構成する電極の少なくとも一部に単相のAC電圧又はRF電圧を印加するための手段をさらに含み、全ての電極は、実質的に同位相に維持され、前記装置の軸方向長さの少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は100%に沿って少なくとも一部のイオンを追い立てる働きをする軸方向の擬ポテンシャルが生成される質量分析計。
【請求項27】
請求項26に記載の質量分析計であって、
前記第2の手段は、前記軸方向の擬ポテンシャルの振幅を時間とともに変化、増大、又は減少させるようにさらに構成される、或いは前記軸方向の擬ポテンシャルは、時間とともに連続的に変化、段階的に変化、スキャンされる、又は直線的に若しくは非直線的に変化される質量分析計。
【請求項28】
請求項19ないし27のいずれかに記載の質量分析計であって、
前記第2の手段は、前記装置の軸方向長さの少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は100%に沿って少なくとも一部のイオンを追い立てるために、前記第1の動作モードにおいて、前記装置を構成する電極の少なくとも一部に1つ若しくは2つ以上の過渡DC電圧若しくは過渡DC電位又は1つ若しくは2つ以上の過渡DC電圧波形若しくは過渡DC電位波形を印加するように構成及び適応される過渡DC電圧手段をさらに含む質量分析計。
【請求項29】
請求項28に記載の質量分析計であって、
前記第2の手段は、前記1つ若しくは2つ以上の過渡DC電圧若しくは過渡DC電位又は1つ若しくは2つ以上の過渡DC電圧波形若しくは過渡DC電位波形の振幅を時間とともに変化、増大、又は減少させるようにさらに構成される、或いは前記1つ若しくは2つ以上の過渡DC電圧若しくは過渡DC電位又は1つ若しくは2つ以上の過渡DC電圧波形若しくは過渡DC電位波形の振幅は、時間とともに連続的に変化、段階的に変化、スキャン、又は直線的に若しくは非直線的に変化される質量分析計。
【請求項30】
請求項28又は29に記載の質量分析計であって、
前記第1の動作モードにおいて、前記1つ若しくは2つ以上の過渡DC電圧若しくは過渡DC電位又は1つ若しくは2つ以上の過渡DC電圧波形若しくは過渡DC電位波形は、(i)<100m/s、(ii)100〜200m/s、(iii)200〜300m/s、(iv)300〜400m/s、(v)400〜500m/s、(vi)500〜600m/s、(vii)600〜700m/s、(viii)700〜800m/s、(ix)800〜900m/s、(x)900〜1000m/s、(xi)1000〜1100m/s、(xii)1100〜1200m/s、(xiii)1200〜1300m/s、(xiv)1300〜1400m/s、(xv)1400〜1500m/s、(xvi)1500〜1600m/s、(xvii)1600〜1700m/s、(xviii)1700〜1800m/s、(xix)1800〜1900m/s、(xx)1900〜2000m/s、(xxi)2000〜2100m/s、(xxii)2100〜2200m/s、(xxiii)2200〜2300m/s、(xxiv)2300〜2400m/s、(xxv)2400〜2500m/s、(xxvi)2500〜2600m/s、(xxvii)2600〜2700m/s、(xxviii)2700〜2800m/s、(xxix)2800〜2900m/s、(xxx)2900〜3000m/s、及び(xxxi)>3000m/sからなる群より選択される速度で前記装置の軸方向長さに沿って平行移動される質量分析計。
【請求項31】
請求項19ないし30のいずれかに記載の質量分析計であって、さらに、
前記装置の軸方向長さの少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は100%に沿って少なくとも一部のイオンを追い立てるために、前記第1の動作モードにおいて、前記装置を構成する電極に2つ又は3つ以上の位相シフトされたAC電圧又はRF電圧を印加するように構成及び適応されるAC電圧手段又はRF電圧手段を備える質量分析計。
【請求項32】
請求項19ないし31のいずれかに記載の質量分析計であって、
前記第1の動作モードにおいて、イオンは、実質的に最終速度に達するように前記装置内において加速される質量分析計。
【請求項33】
請求項1ないし32のいずれかに記載の質量分析計であって、
前記第1の動作モードにおいて、1〜100、100〜200、200〜300、300〜400、400〜500、500〜600、600〜700、700〜800、800〜900、900〜1000、又は>1000の範囲の質量電荷比を有する一価イオンは、前記装置を通る(i)0〜1ms、(ii)1〜2ms、(iii)2〜3ms、(iv)3〜4ms、(v)4〜5ms、(vi)5〜6ms、(vii)6〜7ms、(viii)7〜8ms、(ix)8〜9ms、(x)9〜10ms、(xi)10〜11ms、(xii)11〜12ms、(xiii)12〜13ms、(xiv)13〜14ms、(xv)14〜15ms、(xvi)15〜16ms、(xvii)16〜17ms、(xviii)17〜18ms、(xix)18〜19ms、(xx)19〜20ms、(xxi)20〜21ms、(xxii)21〜22ms、(xxiii)22〜23ms、(xxiv)23〜24ms、(xxv)24〜25ms、(xxvi)25〜26ms、(xxvii)26〜27ms、(xxviii)27〜28ms、(xxix)28〜29ms、(xxx)29〜30ms、(xxxi)30〜35ms、(xxxii)35〜40ms、(xxxiii)40〜45ms、(xxxiv)45〜50ms、(xxxv)50〜55ms、(xxxvi)55〜60ms、(xxxvii)60〜65ms、(xxxviii)65〜70ms、(xxxix)70〜75ms、(xl)75〜80ms、(xli)80〜85ms、(xlii)85〜90ms、(xliii)90〜95ms、(xliv)95〜100ms、及び(xlv)>100msの範囲のドリフト時間又は通過時間を有する質量分析計。
【請求項34】
請求項1ないし33のいずれかに記載の質量分析計であって、
前記第1の動作モードにおいて、前記装置のスキャン時間又はサイクル時間は、(i)0〜1ms、(ii)1〜2ms、(iii)2〜3ms、(iv)3〜4ms、(v)4〜5ms、(vi)5〜6ms、(vii)6〜7ms、(viii)7〜8ms、(ix)8〜9ms、(x)9〜10ms、(xi)10〜11ms、(xii)11〜12ms、(xiii)12〜13ms、(xiv)13〜14ms、(xv)14〜15ms、(xvi)15〜16ms、(xvii)16〜17ms、(xviii)17〜18ms、(xix)18〜19ms、(xx)19〜20ms、(xxi)20〜21ms、(xxii)21〜22ms、(xxiii)22〜23ms、(xxiv)23〜24ms、(xxv)24〜25ms、(xxvi)25〜26ms、(xxvii)26〜27ms、(xxviii)27〜28ms、(xxix)28〜29ms、(xxx)29〜30ms、(xxxi)30〜35ms、(xxxii)35〜40ms、(xxxiii)40〜45ms、(xxxiv)45〜50ms、(xxxv)50〜55ms、(xxxvi)55〜60ms、(xxxvii)60〜65ms、(xxxviii)65〜70ms、(xxxix)70〜75ms、(xl)75〜80ms、(xli)80〜85ms、(xlii)85〜90ms、(xliii)90〜95ms、(xliv)95〜100ms、及び(xlv)>100msからなる群より選択される質量分析計。
【請求項35】
請求項1ないし34のいずれかに記載の質量分析計であって、
前記第1の動作モードにおいて、前記装置の少なくとも一部分は、(i)>0.001ミリバール、(ii)>0.01ミリバール、(iii)>0.1ミリバール、(iv)>1ミリバール、(v)>10ミリバール、(vi)>100ミリバール、(vii)>1000ミリバール、(viii)0.001〜1000ミリバール、(ix)0.001〜0.1ミリバール、(x)0.1〜10ミリバール、及び(xi)10〜1000ミリバールからなる群より選択される圧力に維持されるように構成される質量分析計。
【請求項36】
請求項1ないし35のいずれかに記載の質量分析計であって、
前記第1の動作モードにおいて、前記装置の少なくとも一部分は、(i)0.001〜0.005ミリバール、(ii)0.005〜0.010ミリバール、(iii)0.01〜0.05ミリバール、(iv)0.05〜0.10ミリバール、(v)0.1〜0.5ミリバール、(vi)0.5〜1.0ミリバール、(vii)1〜5ミリバール、(viii)5〜10ミリバール、(ix)10〜50ミリバール、(x)50〜100ミリバール、(xi)100〜500ミリバール、(xii)500〜1000ミリバール、及び(xiii)>1000ミリバールからなる群より選択される圧力に維持されるように構成される質量分析計。
【請求項37】
請求項1ないし36のいずれかに記載の質量分析計であって、
前記第2の動作モードにおいて、前記第2の手段は、パルス式又は時間変化式に前記軸方向電場を印加するように構成及び適応される質量分析計。
【請求項38】
請求項37に記載の質量分析計であって、
前記第2の動作モードにおいて、前記第2の手段は、1つのサイクルにおいて、第1の期間t1は前記軸方向電場を第1の振幅A1で印加するように又はそのような振幅に維持するように、そして第2の期間t2は前記軸方向電場を第2の振幅A2で印加するように又はそのような振幅に維持するように構成される質量分析計。
【請求項39】
請求項38に記載の質量分析計であって、
比率A1/A2は、(i)<−1000、(ii)−1000から−500、(iii)−500から−100、(iv)−100から−50、(v)−50から−10、(vi)−10から−5、(vii)−5から0、(viii)0〜5、(ix)5〜10、(x)10〜50、(xi)50〜100、(xii)100〜500、(xiii)500〜1000、及び(xiv)≧1000ミリバールからなる群より選択される質量分析計。
【請求項40】
請求項38に記載の質量分析計であって、
A2はゼロである質量分析計。
【請求項41】
請求項38、39、又は40に記載の質量分析計であって、
比率t1/t2は、(i)<0.01、(ii)0.01〜0.02、(iii)0.02〜0.03、(iv)0.03〜0.04、(v)0.04〜0.05、(vi)0.05〜0.06、(vii)0.06〜0.07、(viii)0.07〜0.08、(ix)0.08〜0.09、(x)0.09〜0.10、(xi)0.10〜0.11、(xii)0.11〜0.12、(xiii)0.12〜0.13、(xiv)0.13〜0.14、(xv)0.14〜0.15、(xvi)0.15〜0.16、(xvii)0.16〜0.17、(xviii)0.17〜0.18、(xix)0.18〜0.19、(xx)0.19〜0.20、(xxi)0.20〜0.21、(xii)0.21〜0.22、(xxiii)0.22〜0.23、(xxiv)0.23〜0.24、(xxv)0.24〜0.25、(xxvi)0.25〜0.26、(xxvii)0.26〜0.27、(xxviii)0.27〜0.28、(xxix)0.28〜0.29、(xxx)0.29〜0.30、(xxxi)0.30〜0.31、(xxxii)0.31〜0.32、(xxxiii)0.32〜0.33、(xxxiv)0.33〜0.34、(xxxv)0.34〜0.35、(xxxvi)0.35〜0.36、(xxxvii)0.36〜0.37、(xxxviii)0.37〜0.38、(xxxix)0.38〜0.39、(xl)0.39〜0.40、(xli)0.40〜0.41、(xlii)0.41〜0.42、(xliii)0.42〜0.43、(xliv)0.43〜0.44、(xlv)0.44〜0.45、(xlvi)0.45〜0.46、(xlvii)0.46〜0.47、(xlviii)0.47〜0.48、(xlix)0.48〜0.49、及び(l)0.49〜0.50からなる群より選択される質量分析計。
【請求項42】
請求項38、39、又は40に記載の質量分析計であって、
比率t1/t2は、(i)0.50〜0.51、(ii)0.51〜0.52、(iii)0.52〜0.53、(iv)0.53〜0.54、(v)0.54〜0.55、(vi)0.55〜0.56、(vii)0.56〜0.57、(viii)0.57〜0.58、(ix)0.58〜0.59、(x)0.59〜0.60、(xi)0.60〜0.61、(xii)0.61〜0.62、(xiii)0.62〜0.63、(xiv)0.63〜0.64、(xv)0.64〜0.65、(xvi)0.65〜0.66、(xvii)0.66〜0.67、(xviii)0.67〜0.68、(xix)0.68〜0.69、(xx)0.69〜0.70、(xxi)0.70〜0.71、(xii)0.71〜0.72、(xxiii)0.72〜0.73、(xxiv)0.73〜0.74、(xxv)0.74〜0.75、(xxvi)0.75〜0.76、(xxvii)0.76〜0.77、(xxviii)0.77〜0.78、(xxix)0.78〜0.79、(xxx)0.79〜0.80、(xxxi)0.80〜0.81、(xxxii)0.81〜0.82、(xxxiii)0.82〜0.83、(xxxiv)0.83〜0.84、(xxxv)0.84〜0.85、(xxxvi)0.85〜0.86、(xxxvii)0.86〜0.87、(xxxviii)0.87〜0.88、(xxxix)0.88〜0.89、(xl)0.89〜0.90、(xli)0.90〜0.91、(xlii)0.91〜0.92、(xliii)0.92〜0.93、(xliv)0.93〜0.94、(xlv)0.94〜0.95、(xlvi)0.95〜0.96、(xlvii)0.96〜0.97、(xlviii)0.97〜0.98、(xlix)0.98〜0.99、及び(l)0.99〜1.00からなる群より選択される質量分析計。
【請求項43】
請求項38、39、又は40に記載の質量分析計であって、
比率t1/t2は、(i)1.0〜1.5、(ii)1.5〜2.0、(iii)2.0〜2.5、(iv)2.5〜3.0、(v)3.0〜3.5、(vi)3.5〜4.0、(vii)4.0〜4.5、(viii)4.5〜5.0、(ix)5.0〜5.5、(x)5.5〜6.0、(xi)6.0〜6.5、(xii)6.5〜7.0、(xiii)7.0〜7.5、(xiv)7.5〜8.0、(xv)8.0〜8.5、(xvi)8.5〜9.0、(xvii)9.0〜9.5、(xviii)9.5〜10.0、及び(xix)>10からなる群より選択される質量分析計。
【請求項44】
請求項37ないし43のいずれかに記載の質量分析計であって、
前記第2の動作モードにおいて、前記装置の軸方向長さに沿った1つ又は2つ以上の点における前記軸方向電場の最大振幅は、時間によらずに実質的に一定に留まるように構成される質量分析計。
【請求項45】
請求項37ないし43のいずれかに記載の質量分析計であって、
前記第2の動作モードにおいて、前記装置の軸方向長さに沿った1つ又は2つ以上の点における前記軸方向電場の最大振幅は、時間とともに変化、増大、又は減少するように構成される、或いは最大振幅は、時間とともに連続的に変化、段階的に変化、スキャン、又は直線的に若しくは非直線的に変化されるように構成される質量分析計。
【請求項46】
請求項37ないし45のいずれかに記載の質量分析計であって、
前記第2の手段は、前記装置の軸方向長さの少なくとも一部分又は少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、若しくは100%に沿って少なくとも一部のイオンを追い立てるために、前記第2の動作モードにおいて、前記装置の軸方向長さの少なくとも一部分又は少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、若しくは100%に沿って非ゼロのDC電圧勾配を維持するためのDC電圧手段を含む質量分析計。
【請求項47】
請求項46に記載の質量分析計であって、さらに、
前記DC電圧勾配を時間とともに変化、増大、又は減少させるように、或いは前記DC電圧勾配を時間とともに連続的に変化、段階的に変化、スキャンする、又は直線的に若しくは非直線的に変化させるように構成及び適応される手段をさらに備える質量分析計。
【請求項48】
請求項37ないし47のいずれかに記載の質量分析計であって、
前記第2の手段は、前記装置の軸方向長さの少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は100%に沿って少なくとも一部のイオンを追い立てるために、前記装置を構成する電極の少なくとも一部に1つ又は2つ以上のDC電圧を印加するための手段をさらに含み、前記DC電圧の振幅は、時間とともに変化、増大、又は減少するように構成される、或いは前記DC電圧は、時間とともに連続的に変化、段階的に変化、スキャン、又は直線的に若しくは非直線的に変化される質量分析計。
【請求項49】
請求項37ないし48のいずれかに記載の質量分析計であって、
前記第2の手段は、前記装置を構成する電極の少なくとも一部に単相のAC電圧又はRF電圧を印加するための手段をさらに含み、全ての電極は、実質的に同位相に維持され、前記装置の軸方向長さの少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は100%に沿って少なくとも一部のイオンを追い立てる働きをする軸方向の擬ポテンシャルが生成される質量分析計。
【請求項50】
請求項49に記載の質量分析計であって、
前記第2の手段は、前記擬ポテンシャルの振幅を時間とともに変化、増大、又は減少させるようにさらに構成される、或いは前記軸方向の擬ポテンシャルは、時間とともに連続的に変化、段階的に変化、スキャン、又は直線的に若しくは非直線的に変化される質量分析計。
【請求項51】
請求項37ないし50のいずれかに記載の質量分析計であって、
前記第2の手段は、前記装置の軸方向長さの少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は100%に沿って少なくとも一部のイオンを追い立てるために、前記第2の動作モードにおいて、前記装置を構成する電極の少なくとも一部に1つ若しくは2つ以上の過渡DC電圧若しくは過渡DC電位又は1つ若しくは2つ以上の過渡DC電圧波形若しくは過渡DC電位波形を印加するように構成及び適応される過渡DC電圧手段をさらに含む質量分析計。
【請求項52】
請求項51に記載の質量分析計であって、
前記第2の手段は、前記1つ若しくは2つ以上の過渡DC電圧若しくは過渡DC電位又は1つ若しくは2つ以上の過渡DC電圧波形若しくは過渡DC電位波形の振幅を時間とともに変化、増大、又は減少させるようにさらに構成される、或いは前記1つ若しくは2つ以上の過渡DC電圧若しくは過渡DC電位又は1つ若しくは2つ以上の過渡DC電圧波形若しくは過渡DC電位波形の振幅は、時間とともに連続的に変化、段階的に変化、スキャン、又は直線的に若しくは非直線的に変化される質量分析計。
【請求項53】
請求項52に記載の質量分析計であって、
前記第2の動作モードにおいて、前記1つ若しくは2つ以上の過渡DC電圧若しくは過渡DC電位又は1つ若しくは2つ以上の過渡DC電圧波形若しくは過渡DC電位波形は、(i)<100m/s、(ii)100〜200m/s、(iii)200〜300m/s、(iv)300〜400m/s、(v)400〜500m/s、(vi)500〜600m/s、(vii)600〜700m/s、(viii)700〜800m/s、(ix)800〜900m/s、(x)900〜1000m/s、(xi)1000〜1100m/s、(xii)1100〜1200m/s、(xiii)1200〜1300m/s、(xiv)1300〜1400m/s、(xv)1400〜1500m/s、(xvi)1500〜1600m/s、(xvii)1600〜1700m/s、(xviii)1700〜1800m/s、(xix)1800〜1900m/s、(xx)1900〜2000m/s、(xxi)2000〜2100m/s、(xxii)2100〜2200m/s、(xxiii)2200〜2300m/s、(xxiv)2300〜2400m/s、(xxv)2400〜2500m/s、(xxvi)2500〜2600m/s、(xxvii)2600〜2700m/s、(xxviii)2700〜2800m/s、(xxix)2800〜2900m/s、(xxx)2900〜3000m/s、及び(xxxi)>3000m/sからなる群より選択される速度で前記装置の軸方向長さに沿って平行移動される質量分析計。
【請求項54】
請求項37ないし53のいずれかに記載の質量分析計であって、さらに、
前記装置の軸方向長さの少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は100%に沿って少なくとも一部のイオンを追い立てるために、前記第2の動作モードにおいて、前記装置を構成する電極に2つ又は3つ以上の位相シフトされたAC電圧又はRF電圧を印加するように構成及び適応されるAC電圧手段又はRF電圧手段を備える質量分析計。
【請求項55】
請求項37ないし54のいずれかに記載の質量分析計であって、
前記第2の動作モードにおいて、イオンは前記装置内において加速されるものの最終速度への到達を実質的に阻止される、又は前記イオンは最終速度に達しない質量分析計。
【請求項56】
請求項1ないし55のいずれかに記載の質量分析計であって、
前記第2の動作モードにおいて、1〜100、100〜200、200〜300、300〜400、400〜500、500〜600、600〜700、700〜800、800〜900、900〜1000、又は>1000の範囲の質量電荷比を有する一価イオンは、前記装置を通る(i)0〜5ms、(ii)5〜10ms、(iii)10〜15ms、(iv)15〜20ms、(v)20〜25ms、(vi)25〜30ms、(vii)30〜35ms、(viii)35〜40ms、(ix)40〜45ms、(x)45〜50ms、(xi)50〜55ms、(xii)55〜60ms、(xiii)60〜65ms、(xiv)65〜70ms、(xv)70〜75ms、(xvi)75〜80ms、(xvii)80〜85ms、(xviii)85〜90ms、(xix)90〜95ms、(xx)95〜100ms、(xxi)100〜110ms、(xxii)110〜120ms、(xxiii)120〜130ms、(xxiv)130〜140ms、(xxv)140〜150ms、(xxvi)150〜160ms、(xxvii)160〜170ms、(xxviii)170〜180ms、(xxix)180〜190ms、(xxx)190〜200ms、(xxxi)200〜250ms、(xxxii)250〜300ms、(xxxiii)300〜350ms、(xxxiv)350〜400ms、(xxxv)400〜450ms、(xxxvi)450〜500ms、及び(xxxvii)>500msの範囲のドリフト時間又は通過時間を有する質量分析計。
【請求項57】
請求項1ないし56のいずれかに記載の質量分析計であって、
前記第2の動作モードにおいて、前記装置のスキャン時間又はサイクル時間は、(i)0〜5ms、(ii)5〜10ms、(iii)10〜15ms、(iv)15〜20ms、(v)20〜25ms、(vi)25〜30ms、(vii)30〜35ms、(viii)35〜40ms、(ix)40〜45ms、(x)45〜50ms、(xi)50〜55ms、(xii)55〜60ms、(xiii)60〜65ms、(xiv)65〜70ms、(xv)70〜75ms、(xvi)75〜80ms、(xvii)80〜85ms、(xviii)85〜90ms、(xix)90〜95ms、(xx)95〜100ms、(xxi)100〜110ms、(xxii)110〜120ms、(xxiii)120〜130ms、(xxiv)130〜140ms、(xxv)140〜150ms、(xxvi)150〜160ms、(xxvii)160〜170ms、(xxviii)170〜180ms、(xxix)180〜190ms、(xxx)190〜200ms、(xxxi)200〜250ms、(xxxii)250〜300ms、(xxxiii)300〜350ms、(xxxiv)350〜400ms、(xxxv)400〜450ms、(xxxvi)450〜500ms、及び(xxxvii)>500msからなる群より選択される質量分析計。
【請求項58】
請求項1ないし57のいずれかに記載の質量分析計であって、
前記第2の動作モードにおいて、前記装置の少なくとも一部分は、(i)>0.001ミリバール、(ii)>0.01ミリバール、(iii)>0.1ミリバール、(iv)>1ミリバール、(v)>10ミリバール、(vi)>100ミリバール、(vii)>1000ミリバール、(viii)0.001〜1000ミリバール、(ix)0.001〜0.1ミリバール、(x)0.1〜10ミリバール、及び(xi)10〜1000ミリバールからなる群より選択される圧力に維持されるように構成される質量分析計。
【請求項59】
請求項1ないし58のいずれかに記載の質量分析計であって、
前記第2の動作モードにおいて、前記装置の少なくとも一部分は、(i)0.001〜0.005ミリバール、(ii)0.005〜0.010ミリバール、(iii)0.01〜0.05ミリバール、(iv)0.05〜0.10ミリバール、(v)0.1〜0.5ミリバール、(vi)0.5〜1.0ミリバール、(vii)1〜5ミリバール、(viii)5〜10ミリバール、(ix)10〜50ミリバール、(x)50〜100ミリバール、(xi)100〜500ミリバール、(xii)500〜1000ミリバール、及び(xiii)>1000ミリバールからなる群より選択される圧力に維持されるように構成される質量分析計。
【請求項60】
請求項1ないし59のいずれかに記載の質量分析計であって、
前記第1の動作モードにおいて、イオンは、実質的にそれらのイオン移動度にしたがって分離される質量分析計。
【請求項61】
請求項1ないし60のいずれかに記載の質量分析計であって、
前記第2の動作モードにおいて、イオンは、実質的にそれらの質量電荷比にしたがって分離される質量分析計。
【請求項62】
請求項1ないし61のいずれかに記載の質量分析計であって、さらに、
前記装置の上流及び/又は下流に配置されるさらなるイオンガイド、イオントラップ、又はイオン捕捉領域を備える質量分析計。
【請求項63】
請求項62に記載の質量分析計であって、
前記さらなるイオンガイド、イオントラップ、又はイオン捕捉領域は、イオンを捕捉、貯蔵、又は蓄積するように、次いでイオンを前記装置に周期的にパルス入力する又は向かわせるように構成される質量分析計。
【請求項64】
請求項62又は63に記載の質量分析計であって、
前記第1の動作モード及び/又は前記第2の動作モードにおいて、前記装置の軸方向長さに沿った1つ又は2つ以上の地点における軸方向電場強度は、時間とともに変化、増大、又は減少するように構成される、或いは前記装置の上流及び/又は下流に配置される前記さらなるイオンガイド、イオントラップ、又はイオン捕捉領域からのイオンの放出に実質的に同期化されたかたちで時間とともに連続的に変化、段階的に変化、スキャン、又は直線的に若しくは非直線的に変化されるように構成される質量分析計。
【請求項65】
請求項1ないし64のいずれかに記載の質量分析計であって、
前記装置は、複数の電極を含み、前記第1の動作モード及び/又は前記第2の動作モードでは、前記電極に、1つ若しくは2つ以上の過渡DC電圧若しくは過渡DC電位又は1つ若しくは2つ以上の過渡DC電圧波形若しくは過渡DC電位波形が印加され、前記1つ若しくは2つ以上の過渡DC電圧若しくは過渡DC電位又は1つ若しくは2つ以上の過渡DC電圧波形若しくは過渡DC電位波形の振幅は、時間とともに変化、増大、又は減少するように構成される、或いは前記1つ若しくは2つ以上の過渡DC電圧若しくは過渡DC電位又は1つ若しくは2つ以上の過渡DC電圧波形若しくは過渡DC電位波形の振幅は、時間とともに連続的に変化、段階的に変化、スキャン、又は直線的に若しくは非直線的に変化される質量分析計。
【請求項66】
請求項65に記載の質量分析計であって、
前記1つ若しくは2つ以上の過渡DC電圧若しくは過渡DC電位又は1つ若しくは2つ以上の過渡DC電圧波形若しくは過渡DC電位波形の振幅は、時間とともに変化、増大、又は減少するように構成される、或いは前記1つ若しくは2つ以上の過渡DC電圧若しくは過渡DC電位又は1つ若しくは2つ以上の過渡DC電圧波形若しくは過渡DC電位波形の振幅は、前記装置の上流及び/又は下流に配置されるイオンガイド、イオントラップ、又はイオン捕捉領域からのイオンの放出に実質的に同期化されたかたちで時間とともに連続的に変化、段階的に変化、スキャン、又は直線的に若しくは非直線的に変化される質量分析計。
【請求項67】
請求項1ないし66のいずれかに記載の質量分析計であって、さらに、
前記装置の上流及び/又は下流に配置されるさらなる質量フィルタ又は質量分析器を備える質量分析計。
【請求項68】
請求項67に記載の質量分析計であって、
前記さらなる質量フィルタ又は質量分析器は、(i)四重極ロッドセット質量フィルタ、(ii)飛行時間型の質量フィルタ又は質量分析器、(iii)ウィーンフィルタ、及び(iv)磁場セクタ型の質量フィルタ又は質量分析器からなる群より選択される質量分析計。
【請求項69】
請求項1ないし68のいずれかに記載の質量分析計であって、さらに、
前記装置の上流及び/又は下流に配置される質量分析器を備える質量分析計。
【請求項70】
請求項69に記載の質量分析計であって、
前記質量分析器は、(i)四重極質量分析器、(ii)2D型又は直線型の四重極質量分析器、(iii)Paulによる又は3D型の四重極質量分析器、(iv)Penningトラップ質量分析器、(v)イオントラップ質量分析器、(vi)磁場セクタ型質量分析器、(vii)イオンサイクロトロン共鳴(「ICR」)質量分析器、(viii)フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴(「FTICR」)質量分析器、(ix)静電型又はオービトラップ質量分析器、(x)フーリエ変換静電型又はオービトラップ質量分析器、(xi)フーリエ変換質量分析器、(xii)飛行時間型質量分析器、(xiii)直交加速方式飛行時間型質量分析器、(xiv)軸方向加速方式飛行時間型質量分析器、及び(xv)ウィーンフィルタからなる群より選択される質量分析計。
【請求項71】
請求項69又は70に記載の質量分析計であって、
前記質量分析器の1つ又は2つ以上の質量電荷比伝送窓は、使用時に変化、増大、又は減少される、或いは前記1つ又は2つ以上の質量電荷比伝送窓は、時間とともに連続的に変化、段階的に変化、スキャン、又は直線的に若しくは非直線的に変化される質量分析計。
【請求項72】
請求項71に記載の質量分析計であって、
前記質量分析器の前記1つ又は2つ以上の質量電荷比伝送窓は、使用時に変化、増大、又は減少される、或いは前記1つ又は2つ以上の質量電荷比伝送窓は、前記装置からのイオンの出現に実質的に同期化されたかたちで時間とともに連続的に変化、段階的に変化、スキャン、又は直線的に若しくは非直線的に変化される質量分析計。
【請求項73】
請求項1ないし72のいずれかに記載の質量分析計であって、さらに、
前記装置の上流及び/又は下流に配置され複数の電極を含む第2のイオンガイドを備える質量分析計。
【請求項74】
請求項73に記載の質量分析計であって、
前記第2のイオンガイドは、
(i)多重極ロッドセット若しくはセグメント化多重極ロッドセット、
(ii)イオントンネル若しくはイオンファネル、又は
(iii)積層状若しくは配列状の、平坦電極、平板電極、若しくはメッシュ電極を含む質量分析計。
【請求項75】
請求項74に記載の質量分析計であって、
前記多重極ロッドセットは、四重極ロッドセット、六重極ロッドセット、八重極ロッドセット、又は8を超えるロッドを含むロッドセットを含む質量分析計。
【請求項76】
請求項74に記載の質量分析計であって、
前記イオントンネル又はイオンファネルは、使用時にイオンを通過させるアパーチャを有する複数の電極又は少なくとも2、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、若しくは100の電極を含み、前記電極の少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は100%は、実質的に同サイズ若しくは同面積の又はサイズ若しくは面積が漸進的に大きくなる及び/若しくは小さくなるアパーチャを有する質量分析計。
【請求項77】
請求項76に記載の質量分析計であって、
前記電極の少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は100%は、(i)≦1.0mm、(ii)≦2.0mm、(iii)≦3.0mm、(iv)≦4.0mm、(v)≦5.0mm、(vi)≦6.0mm、(vii)≦7.0mm、(viii)≦8.0mm、(ix)≦9.0mm、(x)≦10.0mm、及び(xi)>10.0mmからなる群より選択される内径又は内部寸法を有する質量分析計。
【請求項78】
請求項74に記載の質量分析計であって、
前記積層状又は配列状の、平坦電極、平板電極、又はメッシュ電極は、複数の又は少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、若しくは20の平坦電極、平板電極、又はメッシュ電極を含み、前記平坦電極、平板電極、又はメッシュ電極の少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は100%は、使用時にイオンが移動する平面内に概して配置される質量分析計。
【請求項79】
請求項78に記載の質量分析計であって、
前記平坦電極、平板電極、又はメッシュ電極の少なくとも一部又は少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、若しくは100%は、AC電圧又はRF電圧を供給され、隣り合う平坦電極、平板電極、又はメッシュ電極は、逆位相の前記AC電圧又はRF電圧を供給される質量分析計。
【請求項80】
請求項73ないし79のいずれかに記載の質量分析計であって、
前記第2のイオンガイドは、複数の軸方向セグメント又は少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、若しくは100の軸方向セグメントを含む質量分析計。
【請求項81】
請求項73ないし80のいずれかに記載の質量分析計であって、
前記第2のイオンガイドの隣り合う電極間の中心間距離は、(i)<0.5mm、(ii)0.5〜1.0mm、(iii)1.0〜1.5mm、(iv)1.5〜2.0mm、(v)2.0〜2.5mm、(vi)2.5〜3.0mm、(vii)3.0〜3.5mm、(viii)3.5〜4.0mm、(ix)4.0〜4.5mm、(x)4.5〜5.0mm、(xi)5.0〜5.5mm、(xii)5.5〜6.0mm、(xiii)6.0〜6.5mm、(xiv)6.5〜7.0mm、(xv)7.0〜7.5mm、(xvi)7.5〜8.0mm、(xvii)8.0〜8.5mm、(xviii)8.5〜9.0mm、(xix)9.0〜9.5mm、(xx)9.5〜10.0mm、及び(xxi)>10.0mmからなる群より選択される質量分析計。
【請求項82】
請求項73ないし81のいずれかに記載の質量分析計であって、
前記第2のイオンガイドは、(i)<20mm、(ii)20〜40mm、(iii)40〜60mm、(iv)60〜80mm、(v)80〜100mm、(vi)100〜120mm、(vii)120〜140mm、(viii)140〜160mm、(ix)160〜180mm、(x)180〜200mm、(xi)200〜220mm、(xii)220〜240mm、(xiii)240〜260mm、(xiv)260〜280mm、(xv)280〜300mm、及び(xvi)>300mmからなる群より選択される軸方向長さを有する質量分析計。
【請求項83】
請求項73ないし82のいずれかに記載の質量分析計であって、さらに、
前記第2のイオンガイドの軸方向長さの少なくとも一部分又は少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、若しくは100%に沿って少なくとも一部のイオンを追い立てるために、前記第2のイオンガイドの軸方向長さの少なくとも一部分又は少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、若しくは100%に沿って実質的に一定のDC電圧勾配を維持するためのDC電圧手段を備える質量分析計。
【請求項84】
請求項73ないし83のいずれかに記載の質量分析計であって、さらに、
前記第2のイオンガイドの軸方向長さの少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は100%に沿って少なくとも一部のイオンを追い立てるために、前記第2のイオンガイドを構成する電極の少なくとも一部に1つ若しくは2つ以上の過渡DC電圧若しくは過渡DC電位又は1つ若しくは2つ以上の過渡DC電圧波形若しくは過渡DC電位波形を印加するように構成及び適応される過渡DC電圧手段を備える質量分析計。
【請求項85】
請求項73ないし84のいずれかに記載の質量分析計であって、さらに、
前記第2のイオンガイドの軸方向長さの少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は100%に沿って少なくとも一部のイオンを追い立てるために、前記第2のイオンガイドを構成する電極に2つ又は3つ以上の位相シフトされたAC電圧又はRF電圧を印加するように構成及び適応されるAC電圧手段又はRF電圧手段を備える質量分析計。
【請求項86】
請求項1ないし85のいずれかに記載の質量分析計であって、さらに、
衝突、フラグメンテーション、又は反応の装置を備える質量分析計。
【請求項87】
請求項86に記載の質量分析計であって、
前記衝突、フラグメンテーション、又は反応の装置は、衝突誘起解離(「CID」)によってイオンを断片化するように構成及び適応される質量分析計。
【請求項88】
請求項86に記載の質量分析計であって、
前記衝突、フラグメンテーション、又は反応の装置は、(i)表面誘起解離(「SID」)フラグメンテーション装置、(ii)電子移動解離フラグメンテーション装置、(iii)電子捕獲解離フラグメンテーション装置、(iv)電子衝突又は電子衝撃解離フラグメンテーション装置、(v)光誘起解離(「PID」)フラグメンテーション装置、(vi)レーザ誘起解離フラグメンテーション装置、(vii)赤外線放射誘起解離装置、(viii)紫外線放射誘起解離装置、(ix)ノズル−スキマ界面フラグメンテーション装置、(x)インソースフラグメンテーション装置、(xi)イオン源衝突誘起解離フラグメンテーション装置、(xii)熱源又は温度源フラグメンテーション装置、(xiii)電場誘起フラグメンテーション装置、(xiv)磁場誘起フラグメンテーション装置、(xv)酵素消化又は酵素分解フラグメンテーション装置、(xvi)イオン−イオン反応フラグメンテーション装置、(xvii)イオン−分子反応フラグメンテーション装置、(xviii)イオン−原子反応フラグメンテーション装置、(xix)イオン−準安定イオン反応フラグメンテーション装置、(xx)イオン−準安定分子反応フラグメンテーション装置、(xxi)イオン−準安定原子反応フラグメンテーション装置、(xxii)イオンを反応させて付加イオン又は生成イオンを形成するためのイオン−イオン反応装置、(xxiii)イオンを反応させて付加イオン又は生成イオンを形成するためのイオン−分子反応装置、(xxiv)イオンを反応させて付加イオン又は生成イオンを形成するためのイオン−原子反応装置、(xxv)イオンを反応させて付加イオン又は生成イオンを形成するためのイオン−準安定イオン反応装置、(xxvi)イオンを反応させて付加イオン又は生成イオンを形成するためのイオン−準安定分子反応装置、及び(xxvii)イオンを反応させて付加イオン又は生成イオンを形成するためのイオン−準安定原子反応装置からなる群より選択される質量分析計。
【請求項89】
請求項86、87、又は88に記載の質量分析計であって、さらに、
イオンを前記衝突、フラグメンテーション、又は反応の装置内へと加速するように構成及び適応される加速手段を備え、一動作モードにおいて、前記イオンの少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は100%は、前記衝突、フラグメンテーション、又は反応の装置に進入する際に断片化又は反応を引き起こされる質量分析計。
【請求項90】
請求項86ないし89のいずれかに記載の質量分析計であって、さらに、
イオンが前記衝突、フラグメンテーション、又は反応の装置に進入する前に通る電位差を、前記衝突、フラグメンテーション、又は反応の装置に進入する際にイオンが実質的に断片化又は反応される比較的高いフラグメンテーション又は反応の動作モードと、前記衝突、フラグメンテーション、又は反応の装置に進入する際に断片化又は反応されるイオンが大幅に少ない又は実質的にない比較的低いフラグメンテーション又は反応の動作モードとの間で切り替える又は繰り返し切り替えるように構成及び適応される制御システムを備える質量分析計。
【請求項91】
請求項90に記載の質量分析計であって、
前記比較的高いフラグメンテーション又は反応の動作モードにおいて、前記衝突、フラグメンテーション、又は反応の装置に進入するイオンは、(i)≧10V、(ii)≧20V、(iii)≧30V、(iv)≧40V、(v)≧50V、(vi)≧60V、(vii)≧70V、(viii)≧80V、(ix)≧90V、(x)≧100V、(xi)≧110V、(xii)≧120V、(xiii)≧130V、(xiv)≧140V、(xv)≧150V、(xvi)≧160V、(xvii)≧170V、(xviii)≧180V、(xix)≧190V、及び(xx)≧200Vからなる群より選択される電位差を通して加速される質量分析計。
【請求項92】
請求項90又は91に記載の質量分析計であって、
前記比較的低いフラグメンテーション又は反応の動作モードにおいて、前記衝突、フラグメンテーション、又は反応の装置に進入するイオンは、(i)≦20V、(ii)≦15V、(iii)≦10V、(iv)≦5V、及び(v)≦1Vからなる群より選択される電位差を通して加速される質量分析計。
【請求項93】
請求項90、91、又は92に記載の質量分析計であって、
前記制御システムは、前記衝突、フラグメンテーション、又は反応の装置を、1ms、5ms、10ms、15ms、20ms、25ms、30ms、35ms、40ms、45ms、50ms、55ms、60ms、65ms、70ms、75ms、80ms、85ms、90ms、95ms、100ms、200ms、300ms、400ms、500ms、600ms、700ms、800ms、900ms、1s、2s、3s、4s、5s、6s、7s、8s、9s、又は10sごとに少なくとも1回づつ、前記比較的高いフラグメンテーション又は反応の動作モードと前記比較的低いフラグメンテーション又は反応の動作モードとの間で切り替えるように構成及び適応される質量分析計。
【請求項94】
請求項86ないし93のいずれかに記載の質量分析計であって、
イオンが前記衝突、フラグメンテーション、又は反応の装置に進入する前に通る電位差は、使用時に変化、増大、又は減少される、或いは電位差は、前記装置からのイオンの出現に実質的に同期化されたかたちで時間とともに連続的に変化、段階的に変化、スキャン、又は直線的に若しくは非直線的に変化される質量分析計。
【請求項95】
請求項86ないし94のいずれかに記載の質量分析計であって、
前記衝突、フラグメンテーション、又は反応の装置は、イオンのビームを受け取り、任意の特定の時間において少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20の個別のイオングループ又はイオンパケットが前記衝突、フラグメンテーション、又は反応の装置内に閉じ込められるなおかつ/又は隔離されるように前記イオンのビームを変換する又は分割するように構成及び適応され、各イオングループ又は各イオンパケットは、前記衝突、フラグメンテーション、又は反応の装置内に形成される個別の軸方向のポテンシャル井戸内に個別に閉じ込められるなおかつ/又は隔離される質量分析計。
【請求項96】
請求項1ないし95のいずれかに記載の質量分析計であって、
動作モードにおいて、前記装置は、衝突、フラグメンテーション、又は反応の装置として動作するように構成及び適応される質量分析計。
【請求項97】
請求項1ないし96のいずれかに記載の質量分析計であって、
動作モードにおいて、前記装置は、前記装置内においてイオンを衝突によって冷却する又は熱運動化するように構成及び適応される質量分析計。
【請求項98】
請求項1ないし97のいずれかに記載の質量分析計であって、さらに
イオン源を備える質量分析計。
【請求項99】
請求項98に記載の質量分析計であって、さらに、
(i)エレクトロスプレイイオン化(「ESI」)イオン源、(ii)大気圧光イオン化(「APPI」)イオン源、(iii)大気圧化学イオン化(「APCI」)イオン源、(iv)マトリックス支援レーザ脱離イオン化(「MALDI」)イオン源、(v)レーザ脱離イオン化(「LDI」)イオン源、(vi)大気圧イオン化(「API」)イオン源、(vii)シリコン上脱離イオン化(「DIOS」)イオン源、(viii)電子衝撃(「EI」)イオン源、(ix)化学イオン化(「CI」)イオン源、(x)電界イオン化(「FI」)イオン源、(xi)電界脱離(「FD」)イオン源、(xii)誘導結合プラズマ(「ICP」)イオン源、(xiii)高速原子衝撃(「FAB」)イオン源、(xiv)液体二次イオン質量分析(「LSIMS」)イオン源、(xv)脱離エレクトロスプレイイオン化(「DESI」)イオン源、(xvi)ニッケル63放射性イオン源、(xvii)サーモスプレイイオン源、(xviii)粒子ビーム(「PB:」)イオン源、及び(xix)フロー高速原子衝撃(「フローFAB」)イオン源からなる群より選択されるイオン源を備える質量分析計。
【請求項100】
請求項98又は99に記載の質量分析計であって、さらに、
連続イオン源又はパルスイオン源を備える質量分析計。
【請求項101】
請求項1ないし100のいずれかに記載の質量分析計であって、
第1の質量電荷比を有する一価イオンは、前記第1の動作モードにおいて、前記装置を通る第1の通過時間又はドリフト時間t1を有し、前記第1の質量電荷比を有する一価イオンは、前記第2の動作モードにおいて、前記装置を通る第2の通過時間又はドリフト時間t2を有し、t2>t1である質量分析計。
【請求項102】
質量分析方法であって、
装置を提供し、
前記装置を、イオンが前記装置内においてそれらのイオン移動度にしたがって時間的に分離される第1のモードで動作させ、
前記装置を、イオンが前記装置内においてそれらの質量電荷比にしたがって時間的に分離される第2の動作モードで動作させる
方法。
【請求項103】
質量分析器であって、
複数の電極と、
イオンが最終速度に達することなく軸方向に加速されるように、前記質量分析器内において軸方向電場をONとOFFとでパルス切り替えするように構成及び適応される装置と、
を備える質量分析器。
【請求項104】
請求項103に記載の質量分析器であって、
前記質量分析器は、(i)0.001〜0.005ミリバール、(ii)0.005〜0.010ミリバール、(iii)0.01〜0.05ミリバール、(iv)0.05〜0.10ミリバール、(v)0.1〜0.5ミリバール、(vi)0.5〜1.0ミリバール、(vii)1〜5ミリバール、(viii)5〜10ミリバール、(ix)10〜50ミリバール、(x)50〜100ミリバール、(xi)100〜500ミリバール、(xii)500〜1000ミリバール、及び(xiii)>1000ミリバールからなる群より選択される圧力に維持されるように構成される質量分析器。
【請求項105】
イオンを質量分析する方法であって、
複数の電極を含む質量分析器を提供し、
イオンが最終速度に達することなく軸方向に加速されるように、前記質量分析器内において軸方向電場をONとOFFとでパルス切り替えを行なう
方法。
【請求項106】
請求項105に記載の方法であって、さらに、
(i)0.001〜0.005ミリバール、(ii)0.005〜0.010ミリバール、(iii)0.01〜0.05ミリバール、(iv)0.05〜0.10ミリバール、(v)0.1〜0.5ミリバール、(vi)0.5〜1.0ミリバール、(vii)1〜5ミリバール、(viii)5〜10ミリバール、(ix)10〜50ミリバール、(x)50〜100ミリバール、(xi)100〜500ミリバール、(xii)500〜1000ミリバール、及び(xiii)>1000ミリバールからなる群より選択される圧力に前記質量分析器を維持する方法。
【請求項107】
質量分析器であって、
複数の電極と、
イオンが最終速度に達することなく軸方向に加速されるように、軸方向電場を第1の方向に、次いで前記第1の方向と反対の第2の方向に繰り返し印加するように構成及び適応される装置と、
を備える質量分析器。
【請求項108】
請求項107に記載の質量分析器であって、
前記質量分析器は、(i)0.001〜0.005ミリバール、(ii)0.005〜0.010ミリバール、(iii)0.01〜0.05ミリバール、(iv)0.05〜0.10ミリバール、(v)0.1〜0.5ミリバール、(vi)0.5〜1.0ミリバール、(vii)1〜5ミリバール、(viii)5〜10ミリバール、(ix)10〜50ミリバール、(x)50〜100ミリバール、(xi)100〜500ミリバール、(xii)500〜1000ミリバール、及び(xiii)>1000ミリバールからなる群より選択される圧力に維持されるように構成される質量分析器。
【請求項109】
イオンを質量分析する方法であって、
複数の電極を含む質量分析器を提供し、
イオンが最終速度に達することなく軸方向に加速されるように、軸方向電場を第1の方向に、次いで前記第1の方向と反対の第2の方向に繰り返し印加する
方法。
【請求項110】
請求項109に記載の方法であって、さらに、
(i)0.001〜0.005ミリバール、(ii)0.005〜0.010ミリバール、(iii)0.01〜0.05ミリバール、(iv)0.05〜0.10ミリバール、(v)0.1〜0.5ミリバール、(vi)0.5〜1.0ミリバール、(vii)1〜5ミリバール、(viii)5〜10ミリバール、(ix)10〜50ミリバール、(x)50〜100ミリバール、(xi)100〜500ミリバール、(xii)500〜1000ミリバール、及び(xiii)>1000ミリバールからなる群より選択される圧力に前記質量分析器を維持する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2010−512633(P2010−512633A)
【公表日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−540855(P2009−540855)
【出願日】平成19年12月12日(2007.12.12)
【国際出願番号】PCT/GB2007/004774
【国際公開番号】WO2008/071967
【国際公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【出願人】(505156282)マイクロマス・ユーケイ・リミテッド (5)
【氏名又は名称原語表記】MICROMASS UK LIMITED
【Fターム(参考)】