説明

赤外センサモジュール及び赤外センサモジュールの製造方法

【課題】赤外センサモジュールにおいて、レンズと赤外センサとの位置合わせを高精度に行えるようにすると共に、表面実装への対応を可能にする。
【解決手段】赤外センサモジュール1は、回路基板2と、赤外信号を受信する赤外センサ3と、赤外センサ3に赤外信号を結像させるためのレンズ5と、レンズ5を保持するためのレンズ台座6と、赤外センサ3を収納するための金属ケース7とを備える。赤外センサ3は、回路基板2に配置されている。レンズ5は、レンズ台座6に保持されて、赤外センサ3の上方に配置されている。レンズ台座6は、開口部60が赤外センサ3とレンズ5との間に位置するように、回路基板2に搭載されている。金属ケース7は、入射窓70がレンズ5の位置に合うように、回路基板2に搭載されている。金属ケース7とレンズ5及び回路基板2が封止樹脂17により接合されて、赤外センサ3が中空封止されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、赤外信号を受信して、例えば温度分布や熱源の有無などを検出する赤外センサモジュール及び赤外センサモジュールの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、赤外センサモジュールにおいて、金属ケース内に赤外センサを収納したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1に記載の赤外センサモジュールは、図11に示す構成になっている。すなわち、赤外センサモジュール80は、赤外信号を受信する赤外センサ81、回路基板82、回路部品83、84が、金属ケース85とベース86により中空封止された空間内に収納されており、回路基板82と電気的接続を行うためのリード端子87、88、89がベース86から引き出されている。金属ケース85には、赤外信号を入射させるための入射窓90が形成されており、入射窓90には、光学フィルタ91が配置されている。このような構成の赤外センサモジュール80によれば、金属ケース85とベース86により囲まれた空間内に赤外センサ81、回路基板82、回路部品83、84を収納していることにより、耐ノイズ性が向上し、また、金属ケース85とベース86により囲まれた空間が中空封止されていることにより、赤外センサ81、回路基板82、回路部品83、84が保護される。
【0003】
また、このような赤外センサモジュールにおいて、金属ケースの入射窓にレンズを配置したものも知られている(例えば、特許文献2参照)。この特許文献2に記載の赤外センサモジュールは、特許文献1に記載の赤外センサモジュールと同様に、赤外センサ、回路基板、回路部品が、金属ケースとベースにより中空封止された空間内に収納されており、回路基板と電気的接続を行うためのリード端子がベースから引き出されている。このような金属ケースの入射窓にレンズを配置した赤外センサモジュールでは、赤外センサをアレイ状に形成すると共に、赤外信号をレンズにより赤外センサに結像させることによって、例えば温度分布を検出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平6−80139号公報
【特許文献2】特開平9−297064号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、赤外センサモジュールを用いた各種装置において、装置の小型化を図るためには、赤外センサモジュールを表面実装することが考えられる。しかしながら、上述した従来の赤外センサモジュールでは、ベースからリード端子を引き出しているため、表面実装に対応できない。また、金属ケースの入射窓にレンズを配置した赤外センサモジュールにおいては、レンズと赤外センサとの位置合わせを高精度に行う必要がある。しかしながら、上述した従来の赤外センサモジュールでは、赤外センサとレンズとの間に介在する部品(赤外センサとレンズとの位置合わせに影響を及ぼす部品)が多く、レンズと赤外センサとの位置合わせを高精度に行うことができない。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、レンズと赤外センサとの位置合わせを高精度に行うことができると共に、表面実装への対応が可能な赤外センサモジュール及び赤外センサモジュールの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、回路基板と、回路基板に配置され、赤外信号を受信する赤外センサと、赤外センサの上方に配置され、赤外センサに赤外信号を結像させるためのレンズと、赤外信号を通過させるための開口部を有し、該開口部が赤外センサとレンズとの間に位置するように回路基板に搭載され、レンズを保持するためのレンズ台座と、赤外信号を入射させるための入射窓を有し、該入射窓がレンズの位置に合うように回路基板に搭載され、赤外センサを収納するための金属ケースとを備え、金属ケースとレンズ及び回路基板が封止樹脂により接合されて、赤外センサが中空封止されている赤外センサモジュールである。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載の赤外センサモジュールにおいて、回路基板には、グランドパターンが形成されており、グランドパターンと金属ケース、及び金属ケースとレンズが導電性樹脂により接合されているものである。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の赤外センサモジュールにおいて、回路基板には、グランドパターンが形成されていると共に、該グランドパターンと電気的に接続された金属ブロックが実装されており、金属ブロックと金属ケースが接合されているものである。
【0010】
請求項4の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の赤外センサモジュールにおいて、回路基板には、グランドパターンが形成されており、レンズ台座は金属材料からなり、レンズ台座とグランドパターンが導電材料により接合されているものである。
【0011】
請求項5の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の赤外センサモジュールにおいて、レンズとレンズ台座がシリコン系樹脂により接合されているものである。
【0012】
請求項6の発明は、請求項5に記載の赤外センサモジュールにおいて、レンズとレンズ台座を接合しているシリコン系樹脂は導電性樹脂であるものである。
【0013】
請求項7の発明は、請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の赤外センサモジュールにおいて、レンズの上面の外周部に切り欠きが形成されているものである。
【0014】
請求項8の発明は、請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の赤外センサモジュールにおいて、回路基板には、赤外センサとレンズとの位置合わせに用いるアライメントマークが形成されており、アライメントマークは、レンズ台座が回路基板に搭載されていない状態と、レンズ台座が回路基板に搭載された状態の、両方の状態で視認可能な位置に形成されているものである。
【0015】
請求項9の発明は、赤外センサを、回路基板のアライメントマークを見ながら、回路基板にダイボンド及びワイヤボンドする工程と、レンズ台座を、該レンズ台座の開口部が赤外センサの上方に位置するように、回路基板に搭載する工程と、レンズを、回路基板のアライメントマークを見ながら、レンズ台座の開口部に合うように、レンズ台座に搭載する工程と、レンズの外周と回路基板の外周に封止樹脂を塗布する工程と、金属ケースを、該金属ケースの入射窓がレンズの位置に合うように、回路基板に搭載して、該金属ケースとレンズ及び回路基板とを封止樹脂により接合する工程と、を含む赤外センサモジュールの製造方法である。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明によれば、赤外センサとレンズとの位置合わせを高精度に行うことができる。しかも、回路基板をベースにしているので、表面実装への対応が可能である。
【0017】
請求項2の発明によれば、金属ケース及びレンズが回路基板のグランドパターンと同電位となり、シールド機能を持たせることができる。
【0018】
請求項3の発明によれば、金属ケースが回路基板のグランドパターンと同電位となり、シールド機能を持たせることができる。
【0019】
請求項4の発明によれば、レンズ台座が回路基板のグランドパターンと同電位となり、シールド機能を持たせることができる。
【0020】
請求項5の発明によれば、レンズをレンズ台座と金属ケースの両方から接合したことにより発生する応力集中を、シリコン系樹脂によって緩和することができる。
【0021】
請求項6の発明によれば、レンズがレンズ台座と同電位となり、シールド機能を持たせることができる。
【0022】
請求項7の発明によれば、レンズと金属ケースの接合に用いる封止樹脂がレンズ表面へ塗れ広がるのを切り欠きで止めることができ、赤外信号を入射させるための入射窓の領域を確保することができる。
【0023】
請求項8の発明によれば、赤外センサとレンズを同一のアライメントマークを見ながら組み付けることができ、赤外センサとレンズとの位置合わせを高精度に行うことができる。
【0024】
請求項9の発明によれば、赤外センサとレンズを同一のアライメントマークを見ながら組み付けることにより、赤外センサとレンズとの位置合わせを高精度に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】(a)は本発明の第1の実施形態に係る赤外センサモジュールの構成を示す平面図、(b)は同側面図、(c)は(a)のA−A線断面図、(d)は(a)のB−B線断面図。
【図2】(a)は同赤外センサモジュールの構成を示す金属ケースを透視した平面図、(b)は同金属ケース、レンズ、及びレンズ台座を透視した平面図。
【図3】(a)は同赤外センサモジュールの製造方法を示す、赤外センサをダイボンドする工程を行った段階の断面図、(b)は同平面図。
【図4】(a)は同赤外センサモジュールの製造方法を示す、赤外センサをワイヤボンドする工程を行った段階の断面図、(b)は同平面図。
【図5】(a)は同赤外センサモジュールの製造方法を示す、レンズ台座を搭載する工程を行った段階の断面図、(b)は同平面図。
【図6】(a)は同赤外センサモジュールの製造方法を示す、レンズを搭載する工程を行った段階の断面図、(b)は同平面図。
【図7】(a)は同赤外センサモジュールの製造方法を示す、封止樹脂を塗布する工程を行った段階の断面図、(b)は同平面図。
【図8】(a)は同赤外センサモジュールの製造方法を示す、金属ケースを搭載する工程を行った段階の断面図、(b)は同平面図。
【図9】本発明の第2の実施形態に係る赤外センサモジュールの構成を示す平面図。
【図10】(a)は本発明の第3の実施形態に係る赤外センサモジュールの構成を示す図1(a)のA−A線断面に相当する断面の断面図、(b)は同金属ケースを透視した平面図。
【図11】従来の赤外センサモジュールの構成を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明を具体化した実施形態による赤外センサモジュール及び赤外センサモジュールの製造方法について図面を参照して説明する。
<第1の実施形態>
図1(a)(b)(c)(d)、図2(a)(b)は、第1の実施形態による赤外センサモジュールの構成を示す。赤外センサモジュール1は、赤外信号(赤外線)を受信して、例えば温度分布や熱源の有無などを検出する装置である。
【0027】
赤外センサモジュール1は、回路基板(平面基板)2と、赤外信号を受信する赤外センサ3と、赤外センサ3の出力信号を処理する処理回路であるIC4と、赤外センサ3に赤外信号を結像させるためのレンズ5と、レンズ5を保持するためのレンズ台座6と、赤外センサ3及びIC4を収納するための金属ケース7等を備える。
【0028】
回路基板2は、略矩形の平板形状をしている。回路基板2は、樹脂系のプリント基板やセラミック基板などの多層基板であり、回路基板2の内層には、グランドパターン21、及び電気回路配線(不図示)が形成されている。グランドパターン21は、ベタグランドパターンであり、回路基板2内を通って外部端子(不図示)でグランドに接続される。
【0029】
また、回路基板2の上面(表面)には、赤外センサ3とレンズ5との位置合わせに用いるアライメントマーク22が形成されている。アライメントマーク22は、レンズ台座6が回路基板2に搭載されていない状態と、レンズ台座6が回路基板2に搭載された状態の、両方の状態で視認可能な位置に形成されている。本実施形態では、アライメントマーク22は、回路基板2の対角上の2箇所の角の位置に形成されている。また、アライメントマーク22は、金属ケース7とグランドパターン21を接合するためのケース接合部を兼ねており、グランドパターン21の一部(グランドパターン21と電気的に接続された導電部材)により形成されている。
【0030】
また、回路基板2の上面(表面)には、レンズ台座6とグランドパターン21を接合するための台座接合部23が形成されている。台座接合部23は、グランドパターン21の一部(グランドパターン21と電気的に接続された導電部材)により形成されている。
【0031】
赤外センサ3及びIC4は、回路基板2の上面に配置され、ダイボンド樹脂11及びワイヤ12によりダイボンド、ワイヤボンド実装されている。赤外センサ3及びIC4は、ワイヤ12を介して、相互に接続されていると共に、回路基板2の電気回路配線(不図示)に接続されている。赤外センサ3は、多数の受光部がアレイ状に(縦横に)配列された構造となっており、各受光部毎に、赤外信号を受光して、赤外信号の受光強度に対応する出力信号を出力するようになっている。IC4は、赤外センサ3の出力信号を処理し、赤外センサ3の出力信号に基いて、例えば温度分布や熱源の有無などの検出処理を行う。
【0032】
レンズ5は、レンズ台座6に保持されており、赤外センサ3に赤外信号を結像させるための所定距離をおいて、赤外センサ3の上方に配置されている。レンズ5は、赤外線透過率の良いSi(シリコン)により、赤外信号の集光機能を司るレンズ母体が形成され、レンズ母体の表面に、赤外線周辺波長を選択的に透過させる光学多層膜(絶縁物質の多層膜)からなるバンドパスフィルターが形成されている。レンズ5は、略矩形をしており、レンズ5の上面の外周部の4辺には、ハーフダイシング等によって、切り欠き51が形成されている。レンズ5は、切り欠き51を上側(レンズ台座6と反対側)にして、レンズ台座6に搭載されている。
【0033】
レンズ台座6は、レンズ5を保持し、赤外センサ3とレンズ5との所定距離(赤外センサ3に赤外信号を結像させるための所定距離)を高精度に保つためのものである。レンズ台座6は、赤外信号を通過させるための開口部60を有し、開口部60が赤外センサ3の真上において赤外センサ3とレンズ5との間に位置するように、回路基板2に搭載されている。レンズ台座6は、導電性を有すると共に高さ精度の良い金属材料からなり、開口部60が形成された略矩形の座壁61と、座壁61から連続して相互に対向する1対の脚壁62、63と、座壁61及び脚壁62、63から連続して相互に対向する1対の補強壁64、65とを有している。
【0034】
脚壁62、63の下端縁は、接合材15により、回路基板2の台座接合部23(グランドパターン21の一部)と接合されている。すなわち、レンズ台座6と回路基板2(台座接合部23)は、接合材15により接合されている。接合材15は、Agペースト等の導電性樹脂である。補強壁64、65の下端縁は、ワイヤ12と接触しないように、脚壁62、63の下端縁よりも高くなっており、ワイヤ12は、補強壁64、65の下を通っている。
【0035】
上記レンズ5は、切り欠き51を上側(レンズ台座6と反対側)にして、レンズ台座6の開口部60に合うように(開口部60に重なり合うように)、レンズ台座6の座壁61に搭載されている。そして、レンズ5の下面の外周部は、接合材16により、レンズ台座6の座壁61と接合されている。すなわち、レンズ5とレンズ台座6は、接合材16により接合されている。接合材16は、弾性率の小さいシリコン系樹脂であり、弾性率の小さいシリコン系樹脂にAg等を含ませて導電性を持たせた導電性樹脂である。なお、開口部60の外形をレンズ5の外形よりも小さくする(例えば0.3mm以上小さくする)ことにより、レンズ台座6(座壁61)にレンズ5を接合するための糊代を設けている。また、接合材16は、レンズ5の側面のレンズ母体(Si)が露出した部分(絶縁物質の多層膜からなるバンドパスフィルターが形成されていない部分)に接触するように塗布されている。
【0036】
金属ケース7は、赤外信号を入射させるための入射窓70を有し、入射窓70がレンズ5の位置に合うように、回路基板2に搭載されている。金属ケース7は、導電性を有する金属材料からなり、入射窓70が形成された略矩形の上壁71と、上壁71から連続する周側壁72とを有し、略矩形の箱状をしている。
【0037】
周側壁72は、上壁71の外周方向に連続しており、周側壁72の下端縁は同一平面を形成している。そして、周側壁72の下端縁の外周全周は、封止樹脂17により、回路基板2のアライメントマーク22(グランドパターン21の一部)の一部と接合されるように、回路基板2の上面の外周部と接合されている。また、上壁71の入射窓70の周縁の全周は、封止樹脂17により、レンズ5の上面の外周部の切り欠き51上(この箇所には、絶縁物質の多層膜からなるバンドパスフィルターが形成されておらず、レンズ母体(Si)が露出している)において、レンズ5と接合されている。すなわち、金属ケース7とレンズ5及び回路基板2(アライメントマーク22の一部を含む)が封止樹脂17により接合されて、金属ケース7とレンズ5及び回路基板2により囲まれた空間が気密封止され、赤外センサ3及びIC4が中空封止されている。封止樹脂17は、Agペースト等の導電性樹脂である。なお、入射窓70の外形をレンズ5の外形よりも小さくする(例えば0.3mm以上小さくする)ことにより、金属ケース7(上壁71)にレンズ5を接合するための糊代を設けている。
【0038】
図3(a)(b)、図4(a)(b)、図5(a)(b)、図6(a)(b)、図7(a)(b)、図8(a)(b)は、上記赤外センサモジュール1の製造方法を示す。赤外センサモジュール1は、赤外センサ3とレンズ5との位置合わせ(光軸合わせ及び距離合わせ)が重要となる。赤外センサモジュール1は、以下のようにして製造される。
【0039】
まず、回路基板2にアライメントマーク22を形成する。このとき、アライメントマーク22は、レンズ台座6が回路基板2に搭載されていない状態と、レンズ台座6が回路基板2に搭載された状態の、両方の状態で視認可能な位置(回路基板2の対角上の2箇所の角の位置)に形成する。
【0040】
続いて、作業者が、赤外センサ3を、回路基板2のアライメントマーク22を見ながら、回路基板2にダイボンド及びワイヤボンドすると共に、IC4を、回路基板2にダイボンド及びワイヤボンドする。すなわち、回路基板2のアライメントマーク22を見ながら、赤外センサ3をダイボンド樹脂11により回路基板2の規定の位置に接合すると共に、IC4をダイボンド樹脂11により回路基板2の規定の位置に接合し(図3(a)(b))、そして、ワイヤ12を回路基板2、赤外センサ3、及びIC4に接合(例えば半田接合)する(図4(a)(b))。
【0041】
次に、レンズ台座6を、レンズ台座6の開口部60が赤外センサ3の上方に位置するように、回路基板2に搭載する。すなわち、レンズ台座6の脚壁62、63の下端縁を接合材15により回路基板2の台座接合部23に接合する(図5(a)(b))。これにより、レンズ台座6の開口部60が赤外センサ3の真上に位置するように回路基板2に搭載される。
【0042】
続いて、作業者が、レンズ5を、回路基板2のアライメントマーク22を見ながら、レンズ台座6の開口部60に合うように(開口部60に重なり合うように)、レンズ台座6に搭載する。すなわち、回路基板2のアライメントマーク22を見ながら、赤外センサ3に対するレンズ5の位置合わせ(赤外センサ3とレンズ5との位置合わせ)をして、レンズ5の下面の外周部を接合材16によりレンズ台座6の座壁61に接合する(図6(a)(b))。このとき、接合材16は、レンズ5の側面のレンズ母体(Si)が露出した部分(絶縁物質の多層膜からなるバンドパスフィルターが形成されていない部分)に接触するように塗布しておく。
【0043】
次に、レンズ5の外周と回路基板2の外周に封止樹脂17を塗布する。すなわち、レンズ5の上面の外周部の4辺に形成されている切り欠き51上において、レンズ5の上面の外周部の全周に封止樹脂17を塗布すると共に、回路基板2に形成されているアライメントマーク22の少なくとも一部と接触するように、回路基板2の上面の外周部の全周に封止樹脂17を塗布する(図7(a)(b))。
【0044】
そして、金属ケース7を、金属ケース7の入射窓70がレンズ5の位置に合うように、回路基板2に搭載して、金属ケース7とレンズ5及び回路基板2とを封止樹脂17により接合する。すなわち、金属ケース7の周側壁72の下端縁の外周全周を封止樹脂17により回路基板2の上面の外周部(アライメントマーク22の一部を含む)に接合すると共に、金属ケース7の上壁71の入射窓70の周縁の全周を封止樹脂17によりレンズ5の上面の外周部の切り欠き51に接合する(図8(a)(b))。これにより、赤外センサ3及びIC4が金属ケース7内に収納された状態になり、また、金属ケース7とレンズ5及び回路基板2により囲まれた空間が気密封止されて、赤外センサ3及びIC4が中空封止された状態になり、赤外センサモジュール1が完成する。赤外センサモジュール1は、このようにして製造される。
【0045】
本実施形態の赤外センサモジュール1によれば、赤外センサ3を配置した回路基板2にレンズ台座6を搭載し、そのレンズ台座6にレンズ5を保持する構成であるため、赤外センサ3とレンズ5との間に介在する部品(赤外センサ3とレンズ5との位置合わせに影響を及ぼす部品)が回路基板2及びレンズ台座6だけであり、赤外センサ3とレンズ5との位置合わせを高精度に行うことができる。しかも、回路基板2をベースにしているので、赤外センサモジュール1の表面実装への対応が可能である。
【0046】
また、レンズ台座6は、回路基板2に接合される1対の足壁62、63が相互に対向して座壁61及び補強壁64、65から連続している構成であるため、レンズ台座6の強度が高く、レンズ台座6を安定して回路基板2に固定することができ、赤外センサ3とレンズ5との位置合わせを高精度に行うことができる。
【0047】
また、アライメントマーク22(回路基板2のグランドパターン21の一部)と金属ケース7、及び金属ケース7とレンズ5が封止樹脂17として導電性樹脂を用いて接合されているため、金属ケース7及びレンズ5が回路基板2のグランドパターン21と同電位となり、シールド機能を持たせることができ、耐ノイズ性が向上する。
【0048】
また、レンズ台座6が金属材料からなり、レンズ台座6と台座接合部23(回路基板2のグランドパターン21の一部)が接合材15として導電材料を用いて接合されているため、レンズ台座6が回路基板2のグランドパターン21と同電位となり、シールド機能を持たせることができ、耐ノイズ性が向上する。
【0049】
また、レンズ5とレンズ台座6が接合材16として弾性率の小さいシリコン系樹脂を用いて接合されているため、レンズ5をレンズ台座6と金属ケース7の両方から接合したことにより発生する応力集中を、接合材16(シリコン系樹脂)によって緩和することができ、赤外センサ3とレンズ5との位置合わせを高精度に行うことができる。
【0050】
また、レンズ5とレンズ台座6を接合している接合材16(シリコン系樹脂)が導電性樹脂である(すなわち、レンズ5とレンズ台座6が接合材16として導電性樹脂を用いて接合されている)ため、レンズ5がレンズ台座6と同電位となり、シールド機能を持たせることができ、耐ノイズ性が向上する。
【0051】
また、レンズ5の上面の外周部に切り欠き51が形成されているため、レンズ5と金属ケース7の接合に用いる封止樹脂17がレンズ5の表面へ塗れ広がるのを切り欠き51で止めることができ、赤外信号を入射させるための入射窓70の領域を確保することができる。
【0052】
また、アライメントマーク22が回路基板2の対角上の2箇所の角の位置(すなわち、レンズ台座6が回路基板2に搭載されていない状態と、レンズ台座6が回路基板2に搭載された状態の、両方の状態で視認可能な位置)に形成されているため、レンズ台座6を搭載する前に赤外センサ3を搭載するときと、レンズ台座6を搭載した後にレンズ6を搭載するときとで、同一のアライメントマーク22を視認することができる。従って、赤外センサ3とレンズ5を同一のアライメントマーク22を見ながら組み付けることができ、赤外センサ3とレンズ5との位置合わせを高精度に行うことができる。
【0053】
また、本実施形態の赤外センサモジュール1の製造方法によれば、赤外センサ3をアライメントマーク22を見ながら回路基板2にダイボンド及びワイヤボンドし、その後、レンズ5をアライメントマーク22を見ながらレンズ台座6に搭載する(すなわち、赤外センサ3とレンズ5を同一のアライメントマーク22を見ながら組み付ける)ことにより、赤外センサ3とレンズ5との位置合わせを高精度に行うことができる。
【0054】
<第2の実施形態>
図9は、第2の実施形態による赤外センサモジュールの構成を示す。本実施形態の赤外センサモジュール1は、金属ケース7と回路基板2とを接合する構成が上記第1の実施形態と異なっている。
【0055】
本実施形態の赤外センサモジュール1では、上記第1の実施形態における封止樹脂17(導電性樹脂)に代えて、封止樹脂18により金属ケース7と回路基板2が接合されており、また、接合材19によりアライメントマーク22と金属ケース7が接合されている。封止樹脂18は、機械的な接合性のより高いエポキシ樹脂であり、絶縁性樹脂である。接合材19は、Agペースト等の導電性樹脂である。本実施形態における他の構成については、上記第1の実施形態と同様である。
【0056】
本実施形態の赤外センサモジュール1は、以下のようにして製造される。まず、上記第1の実施形態と同様に、回路基板2にアライメントマーク22を形成し、赤外センサ3(及びIC4)を回路基板2にダイボンド及びワイヤボンドし、レンズ台座6を回路基板2に搭載し、レンズ5をレンズ台座6に搭載する。
【0057】
次に、上記第1の実施形態と同様に、封止樹脂17をレンズ5の外周に塗布すると共に、上記第1の実施形態の封止樹脂17(導電性樹脂)に代えて、封止樹脂18(エポキシ樹脂)を回路基板2の外周に塗布する。このとき、封止樹脂18は、アライメントマーク22の少なくとも一部には、塗布しないようにしておく。
【0058】
そして、金属ケース7を、金属ケース7の入射窓70がレンズ5の位置に合うように、回路基板2に搭載して、金属ケース7とレンズ5を封止樹脂17により接合すると共に、金属ケース7と回路基板2を封止樹脂18により接合する。
【0059】
その後、接合材19(Agペースト)を、アライメントマーク22と金属ケース7の両方に接触するように点塗布する。これにより、本実施形態の赤外センサモジュール1が完成する。本実施形態の赤外センサモジュール1は、このようにして製造される。
【0060】
本実施形態の赤外センサモジュール1によれば、金属ケース7と回路基板2が封止樹脂18として機械的な接合性のより高いエポキシ樹脂を用いて接合されているため、振動や衝撃等に対する強度を高めることができる。また、アライメントマーク22(回路基板2のグランドパターン21の一部)と金属ケース7が接合材19として導電性樹脂を用いて接合されているため、金属ケース7及びレンズ5が回路基板2のグランドパターン21と同電位となり、シールド機能を持たせることができ、耐ノイズ性が向上する。
【0061】
<第3の実施形態>
図10(a)(b)は、第3の実施形態による赤外センサモジュールの構成を示す。本実施形態の赤外センサモジュール1は、金属ケース7と回路基板2とを接合する構成が上記第1の実施形態と異なっている。
【0062】
本実施形態の赤外センサモジュール1では、上記第1の実施形態における封止樹脂17(導電性樹脂)に代えて、封止樹脂18により金属ケース7と回路基板2が接合されており、また、回路基板2に実装された金属ブロック27と金属ケース7が接合されている。封止樹脂18は、機械的な接合性のより高いエポキシ樹脂であり、絶縁性樹脂である。金属ブロック27は、導電性を有する金属材料からなり、グランドパターン21の一部(グランドパターン21と電気的に接続された導電部材)により形成されたブロック接合部28に、接合材29により接合されている。接合材29は、半田やAgペースト等の導電性樹脂である。本実施形態における他の構成については、上記第1の実施形態と同様である。
【0063】
本実施形態の赤外センサモジュール1は、以下のようにして製造される。まず、金属ブロック27を回路基板2に実装する。すなわち、金属ブロック27を接合材29により回路基板2のブロック接合部28に接合する。
【0064】
続いて、上記第1の実施形態と同様に、回路基板2にアライメントマーク22を形成し、赤外センサ3(及びIC4)を回路基板2にダイボンド及びワイヤボンドし、レンズ台座6を回路基板2に搭載し、レンズ5をレンズ台座6に搭載する。
【0065】
次に、上記第1の実施形態と同様に、封止樹脂17をレンズ5の外周に塗布すると共に、上記第1の実施形態の封止樹脂17(導電性樹脂)に代えて、封止樹脂18(エポキシ樹脂)を回路基板2の外周に塗布する。
【0066】
そして、金属ケース7を、金属ケース7の入射窓70がレンズ5の位置に合うと共に金属ケース7の周側壁72の内壁面が金属ブロック27に接触するように、回路基板2に搭載して、金属ケース7とレンズ5を封止樹脂17により接合すると共に、金属ケース7と回路基板2を封止樹脂18により接合する。
【0067】
その後、金属ケース7の周側壁72に形成した微小な孔72aを介して、金属ブロック27と金属ケース7の周側壁72をレーザー等でスポット溶接することにより接合する。これにより、本実施形態の赤外センサモジュール1が完成する。本実施形態の赤外センサモジュール1は、このようにして製造される。
【0068】
本実施形態の赤外センサモジュール1によれば、金属ケース7と回路基板2が封止樹脂18として機械的な接合性のより高いエポキシ樹脂を用いて接合されているため、振動や衝撃等に対する強度を高めることができる。また、グランドパターン21と電気的に接続された金属ブロック27と金属ケース7が接合されているため、金属ケース7及びレンズ5が回路基板2のグランドパターン21と同電位となり、シールド機能を持たせることができ、耐ノイズ性が向上する。また、金属ブロック27と金属ケース7の周側壁72をレーザー等でスポット溶接することにより、金属ケース7の周側壁72と金属ブロック27の接触部が2次封止されることになり、より良好な気密性を確保することができる。
【0069】
なお、本発明は、上記各実施形態の構成に限られず、種々の変形が可能である。例えば、ICは、金属ケースの外部に配置されていてもよい。また、レンズは、矩形に限られず、円形であってもよい。また、グランドパターンは、回路基板の内層に限られず、回路基板の表層に形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0070】
1 赤外センサモジュール
2 回路基板
3 赤外センサ
4 IC
5 レンズ
6 レンズ台座
7 金属ケース
11 ダイボンド樹脂
12 ワイヤ
15 接合材
16 接合材
17 封止樹脂
18 封止樹脂
19 接合材
21 グランドパターン
22 アライメントマーク
23 台座接合部
27 金属ブロック
28 ブロック接合部
29 接合材
51 切り欠き
60 開口部
61 座壁
62、63 脚壁
64、65 補強壁
70 入射窓
71 上壁
72 周側壁
72a 孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板と、
前記回路基板に配置され、赤外信号を受信する赤外センサと、
前記赤外センサの上方に配置され、前記赤外センサに赤外信号を結像させるためのレンズと、
赤外信号を通過させるための開口部を有し、該開口部が前記赤外センサと前記レンズとの間に位置するように前記回路基板に搭載され、前記レンズを保持するためのレンズ台座と、
赤外信号を入射させるための入射窓を有し、該入射窓が前記レンズの位置に合うように前記回路基板に搭載され、前記赤外センサを収納するための金属ケースとを備え、
前記金属ケースと前記レンズ及び前記回路基板が封止樹脂により接合されて、前記赤外センサが中空封止されていることを特徴とする赤外センサモジュール。
【請求項2】
前記回路基板には、グランドパターンが形成されており、
前記グランドパターンと前記金属ケース、及び前記金属ケースと前記レンズが導電性樹脂により接合されていることを特徴とする請求項1に記載の赤外センサモジュール。
【請求項3】
前記回路基板には、グランドパターンが形成されていると共に、該グランドパターンと電気的に接続された金属ブロックが実装されており、
前記金属ブロックと前記金属ケースが接合されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の赤外センサモジュール。
【請求項4】
前記回路基板には、グランドパターンが形成されており、
前記レンズ台座は金属材料からなり、
前記レンズ台座と前記グランドパターンが導電材料により接合されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の赤外センサモジュール。
【請求項5】
前記レンズと前記レンズ台座がシリコン系樹脂により接合されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の赤外センサモジュール。
【請求項6】
前記レンズと前記レンズ台座を接合しているシリコン系樹脂は導電性樹脂であることを特徴とする請求項5に記載の赤外センサモジュール。
【請求項7】
前記レンズの上面の外周部に切り欠きが形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の赤外センサモジュール。
【請求項8】
前記回路基板には、前記赤外センサと前記レンズとの位置合わせに用いるアライメントマークが形成されており、
前記アライメントマークは、前記レンズ台座が前記回路基板に搭載されていない状態と、前記レンズ台座が前記回路基板に搭載された状態の、両方の状態で視認可能な位置に形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の赤外センサモジュール。
【請求項9】
赤外センサを、回路基板のアライメントマークを見ながら、前記回路基板にダイボンド及びワイヤボンドする工程と、
レンズ台座を、該レンズ台座の開口部が前記赤外センサの上方に位置するように、前記回路基板に搭載する工程と、
レンズを、前記回路基板のアライメントマークを見ながら、前記レンズ台座の開口部に合うように、前記レンズ台座に搭載する工程と、
前記レンズの外周と前記回路基板の外周に封止樹脂を塗布する工程と、
金属ケースを、該金属ケースの入射窓が前記レンズの位置に合うように、前記回路基板に搭載して、該金属ケースと前記レンズ及び前記回路基板とを前記封止樹脂により接合する工程と、
を含むことを特徴とする赤外センサモジュールの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−69649(P2011−69649A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−219163(P2009−219163)
【出願日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】