説明

赤外光照射装置

【課題】雪・霜・氷の融解と霧の消去を効率良く行うことができ、かつ、装置の費用や維持費を抑制できる装置を提供する。
【解決手段】赤外光照射装置1の制御部10は、氷センサ3が雪・霜・氷のいずれかを検出すると、反射角変更部26A〜26D、ユニット方向変更部6C,6D、及びユニット高さ変更部6E,6Fを制御して、照射ユニット2の赤外光照射方向、高さ、及び反射板23A〜23Dの角度を変更し、融氷領域91に赤外光を照射する。また、制御部10は、霧センサ4が霧を検出すると、同様に照射ユニット2の赤外光照射方向、高さ、及び反射板23A〜23Dの角度を変更し、消霧領域93に赤外光を照射する。制御部10は、雪・霜・氷のいずれかが融解して氷センサ3が検出しなくなるか、または霧が晴れて霧センサ4が検出しなくなると、ハロゲンランプ22A,22Cを消灯する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、赤外光を照射して、路面の雪、霜、氷などの融解や、路面から所定高さの空間における霧の消去を行う赤外光照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、交通を円滑化するために、様々な対策が行われている。
【0003】
例えば、寒冷な地域では、冬季に路面に雪が積もったり霜が発生したり水分が凍結して氷が発生したりすると、交通に障害が発生して様々な問題が生じている。そこで、従来、雪・霜・氷の対策として、凍結防止剤の散布、除雪車による積雪の除去、融雪(融氷)装置による雪・霜・氷の融解などが行われている。
【0004】
従来の融雪装置には、道路に電熱線や温水循環パイプを埋設して路面を加熱するもの(ロードヒーティング)や、道路の上側から赤外光を照射して路面を加熱するものがあった(例えば、特許文献1、2を参照。)。
【0005】
また、霧の発生が多い地域では、道路上に霧が発生すると視界が不良となって危険なため、車両の通行速度が制限されたり通行止めとなったりする。しかし、このような対策では交通が滞って物流が停止するなどの問題が発生する。そこで、従来、消霧装置により、路面の上の空間に発生した霧が除去されていた(特許出願3、4を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−212702号公報
【特許文献2】特開平11−241304号公報
【特許文献3】特開2007−51540号公報
【特許文献4】特開2002−30632号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
寒冷な地域では、上記のように冬季において雪が降ったり霜が発生したりするが、春季や秋季には霧が発生することが多い。そのため、このような地域では、従来、雪や霜の対策と霧の対策として、高速道路の路側帯などに融雪(融氷)装置と消霧装置を設置しなければならない。
【0008】
融雪装置と消霧装置の設置方法としては、道路の上側から赤外光を照射して路面を加熱する赤外光照射型の融雪装置と、路面の上の空間に発生した霧に対して側方から赤外光を照射する赤外光照射型の消霧装置と、を水平方向に一列になるように交互に並べて、路側帯などに設置する方法がある。しかしながら、この方法では、一方の装置の間に他方の装置を設置するので、融雪装置の設置間隔や消霧装置の設置間隔が開いてしまうため、雪・霜・氷の融解や霧の消去を、同じ場所において効率良く行うことができないという問題があった。
【0009】
融雪装置と消霧装置の別の設置方法としては、赤外光照射型の融雪装置を水平方向に一列に並べて複数台設置し、赤外光照射型の消霧装置を、融雪装置と平行に、複数台を並べて設置する方法がある。このように融雪装置と消霧装置を2列に並べて水平に設置することで各装置の設置間隔が開くことがなく、雪・霜・氷の融解と霧の消去を、同じ場所において効率良く行うことができる。しかしながら、この設置方法は、1つ目に述べた設置方法と比べて装置の設置台数が増加するため、装置の費用や維持費が高額になるという問題があった。
【0010】
そこで、この発明は、雪・霜・氷の融解と霧の消去を効率良く行うことができ、かつ、装置の費用や維持費を抑制することができる赤外光照射装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明の赤外光照射装置は、照射ユニットと、方向変更手段と、氷検出手段と、霧検出手段と、制御手段と、を備えている。照射ユニットは、赤外光放射手段と、反射手段と、反射角変更手段と、を備えており、対象物に赤外光を照射する。赤外光放射手段は、赤外光を放射する。反射手段は、赤外光放射手段から放射された赤外光を反射する。反射角変更手段は、反射手段が赤外光を反射する角度を変更する。方向変更手段は、照射ユニットが赤外光を照射する方向を変更する。氷検出手段は、照射ユニットの周囲に設定した氷を融解する領域である融氷領域における氷の有無を検出する。霧検出手段は、照射ユニットの周囲に設定した霧を消す領域である消霧領域における霧の有無を検出する。制御手段は、氷検出手段が氷を検出すると、反射角変更手段と方向変更手段を制御して照射ユニットが赤外光を照射する方向と反射角を変更して、照射ユニットに赤外光を融氷領域に対して照射させ、霧検出手段が霧を検出すると、反射角変更手段と方向変更手段を制御して照射ユニットが赤外光を照射する方向と反射角を変更して、照射ユニットに赤外光を消霧領域に対して照射させる。
【0012】
この構成において、氷検出手段が検出する氷には、氷の一種である雪や霜が含まれるものとする。この構成によれば、雪・霜・氷を検出したときと、霧を検出したときと、で照射ユニットが赤外光を照射する方向と反射板の角度を変更できる。これにより、赤外光照射装置のみを設置することで、雪・霜・氷の融解と霧の消去を効率良く行うことができる。また、一種類の装置を取り付ければよいので、装置の費用や維持費を抑制できる。
【0013】
上記発明において、赤外光照射装置は、高さ変更手段を備えている。高さ変更手段は、照射ユニットが赤外光を照射する高さを変更する。制御手段は、氷検出手段が氷を検出すると、さらに高さ変更手段を制御して照射ユニットが赤外光を照射する高さを変更して、照射ユニットに赤外光を融氷領域に対して照射させ、霧検出手段が霧を検出すると、さらに高さ変更手段を制御して照射ユニットが赤外光を照射する高さを変更して、照射ユニットに赤外光を消霧領域に対して照射させる。
【0014】
この構成によれば、照射ユニットの高さを変更できるので、赤外光を照射する領域を自由に変更して、雪・霜・氷や霧を消去できる。また、照射ユニットに高い位置から赤外光を照射させることができるので、反射角変更手段が反射板の角度を大きく変更しなくても広い範囲に赤外光を照射することが可能となり、反射手段や反射角変更手段の構成をシンプルにすることができる。
【0015】
上記発明において、赤外光照射装置は、光量切替手段を備えている。光量切替手段は、赤外光放射手段が放射する赤外光の光量を切り替える。制御手段は、光量切替手段を制御して、霧検出手段が霧を検出したときには、氷検出手段が氷を検出したときよりも強い光量の赤外光を赤外光放射手段に放射させる。
【0016】
消霧領域が広い場合などには、霧を消すには融氷時よりも強い光量の赤外光を照射するのが好ましく、赤外光放射手段が放射する赤外光の光量を切り替えて強い光量の赤外光を照射することで、霧を確実に消すことができる。
【0017】
上記発明において、赤外光照射装置は、距離変更手段を備えている。距離変更手段は、反射手段に対する赤外光放射手段の距離を変更する。制御手段は、氷検出手段が氷を検出すると、さらに距離変更手段を制御して照射ユニットが赤外光を照射する領域を変更して、照射ユニットに赤外光を融氷領域に対して照射させ、霧検出手段が霧を検出すると、さらに距離変更手段を制御して照射ユニットが赤外光を照射する領域を変更して、照射ユニットに赤外光を消霧領域に対して照射させる。
【0018】
この構成においては、反射手段に対する赤外光放射手段の距離を変更することで、赤外光の照射範囲を変更できる。これにより、雪・霜・氷を融解するときと、霧を消去するときと、で赤外光の照射範囲を変更することで、雪・霜・氷の融解と、霧の消去と、を効率良く行うことができる。
【0019】
上記発明において、赤外光照射装置は、選択手段を備えている。選択手段は、融氷領域に優先的に赤外光を照射させる融氷優先機能、または消霧領域に赤外光を優先的に放射させる消霧優先機能を選択する。制御手段は、氷検出手段が氷を検出し、かつ霧検出手段が霧を検出しているときには、少なくとも反射角変更手段と方向変更手段を制御して、選択手段が選択した優先機能に応じた領域に赤外光を照射させる。
【0020】
この構成においては、選択手段により融氷と消霧のいずれを優先的に行うかを予め選択しておくことで、雪、霜または氷と、霧を同時に検出した場合に、どちらかを先に除去することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、雪・霜・氷の融解と霧の消去を効率良く行うことができ、かつ、取り付け費用や維持費を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】(A)は、本発明の実施形態に係る赤外光照射装置の設置例を示す概観図である。(B)は、赤外光照射装置の概略構成を示す外観図である。
【図2】照射ユニットの構成を示す断面図である。
【図3】赤外光照射装置のブロック図である。
【図4】赤外光照射装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図5】赤外光照射装置が融氷領域に赤外光を照射する状態と、消霧領域に赤外光を照射する状態を示す図である。
【図6】(A)は、図2とは異なる構成のユニットの断面図である。(B)は、図2及び図6(A)とは異なる構成のユニットの断面図である。
【図7】図5とは異なる構成の赤外光照射装置が融氷領域に赤外光を照射する状態と、消霧領域に赤外光を照射する状態を示す図である。
【図8】図5に示した赤外光照射装置と構成が一部異なる赤外光照射装置が融氷領域に赤外光を照射する状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1(A)に示すように、本発明の実施形態に係る赤外光照射装置1は、道路面または道路面上方の空間に赤外光を照射する照射ユニット2と、路面の雪・霜・氷を検出する氷センサ(氷検出部)3と、道路面上の空間を漂う霧を検出する霧センサ(霧検出部)4と、照射ユニット2を取り付けるポール5A,5Bと、を備えている。図1(A)には、高速道路100の路側帯に赤外光照射装置1を設置して、1つの氷センサ3と1つの霧センサ4により検出した情報に基づいて複数の照射ユニット2を制御する例を示している。
【0024】
赤外光照射装置1は、照射ユニット2が赤外光(赤外線)を照射する方向を変更するユニット方向変更部6C,6Dと、照射ユニット2の高さを変更するユニット高さ変更部6E,6Fと、を備えている。図1(B)には、ユニット方向変更部とユニット高さ変更部を兼ねる変更ユニット6Aと6Bを示している。
【0025】
照射ユニット2は、背面においてバー28に固定されている。バー28の両端部は、それぞれ変更ユニット6Aと変更ユニット6Bに挿入されている。変更ユニット6A,6Bのユニット方向変更部6C,6Dは、バー28を回転させる回転機構を備えており、バー28を回転させることで照射ユニット2が赤外光を放射する方向を変更する。また、変更ユニット6Aと変更ユニット6Bは、高速道路100の路面に対して垂直に立てられたポール5A(5B)に対し上下に移動する移動機構を内蔵している。変更ユニット6Aと変更ユニット6Bは、ポール5A,5Bに対し上下に移動することで、照射ユニット2が赤外光を放射する高さを変更する。
【0026】
氷センサ3は、バー31に固定されている。バー31は、固定具32A、32Bによりポール5C、5Aに固定されている。また、霧センサ4は、バー41に固定されている。バー41は、固定具42A、42Bによりポール5B、5Dに固定されている。氷センサ3は、例えば路面から高さ3.1mの位置に取り付けられている。また、霧センサ4は、例えば路面から高さ1.3mの位置に取り付けられている。氷センサ3及び霧センサ4は、照射ユニット2の影響を受けないように、照射ユニット2を取り付けたポール5A、5B間と異なるポール間に取り付けられている。
【0027】
氷センサ3としては、反射率計または距離計の機能と、放射温度計の機能と、を備えたものが好適である。路面上の雪・霜・氷の有無により、路面の反射率やセンサから路面までの距離が異なるので、氷センサ3の反射率計または距離計の機能により路面の反射率または路面までの距離を計測することで、雪・霜・氷の有無を検出できる。なお、路面の反射率及び路面までの距離を計測することで、雪・霜・氷の検出精度を向上できる。また、氷センサ3の放射温度計の機能により路面の温度を計測することで、水と氷の反射率が同じであっても温度は異なるので、水を誤検出することなく、雪・霜・氷を正確に検出できる。なお、図1には氷センサ3を1個設置した場合を示したが、赤外光照射装置1の設置数や設置場所に応じて必要な数を設置するとよい。
【0028】
霧センサ4としては、例えば、透過率計(VI計)が好適である。透過率計(VI計)は、公知の計測器で、ビーム状の光線の送受を行う本体部と、所定距離離れて配置される反射部(不図示)とから構成されたものである。透過率計の基本動作を説明すると、本体部から、霧に対して吸収率の高い波長域を有する光線が射出され、2分岐されて一方は参照光とされ、他方は測定光として反射部へ向けて進行させられ、反射部で反射された測定光は本体部に帰来して受光され、前記参照光とレベル比較されることで、測定光の吸収量の計測を行って、測定光の伝搬空間内の霧の発生状況を計測するものである。測定結果は、具体的には視界距離(視程という)で表される。透過率計は、対象区間を走行路方向に分割して、所定数を設置することができ、また、走行路を挟んで両側に設置してもよい。透過率計は、赤外光照射装置1の設置数や設置場所に応じて必要な数を設置するとよい。
【0029】
図2に示すように、照射ユニット2は、第1ユニット20Aと第2ユニット20Bを備えている。第1ユニット20Aと第2ユニット20Bは同じ構成なので、第1ユニット20Aの構成について説明する。
【0030】
第1ユニット20Aは、直方体形状の筐体21Aの内部に、ハロゲンランプ22A、反射板23A,23B、反射板支持部25A,25B、及び反射角変更部26A,26Bを備えている。
【0031】
筐体21Aは、一面が開口しており、この開口部には、格子状の防護網21Bが取り付けられている。
【0032】
ハロゲンランプ22Aは、管型(棒状)で、黒色の遠赤外線放射セラミックスが外周面にコーティングされている。ハロゲンランプ22Aは、本発明の赤外光放射手段に相当し、石英ガラスで作られたバルブ内のほぼ中央部に、タングステンを材料とするフィラメントが配置され、ハロゲンガスと、アルゴンや窒素などの不活性ガスが封入されている。ハロゲンランプにコーティングされた遠赤外線放射セラミックスは、ハロゲンランプから放射された可視光線や近赤外線を吸収して発熱し、2.5μmから15μmの波長領域にピークを有する遠赤外線(遠赤外光)を放射する。例えば、約3μm及び約6μmがピーク値である遠赤外線を放射する。また、雪・霜・氷の融解、及び霧の消去に好適な遠赤外線の波長は、約3μm及び約10μmである。ハロゲンランプ22Aが放射する遠赤外線は、上記のように約3μm及び約6μmにピーク値を有しているので、約3μm及び約10μmの遠赤外線の放射輝度も高い。したがって、雪・霜・氷の融解、霧の消去を行うのに好適な遠赤外線を大量に照射して、雪・霜・氷の融解、霧の消去を効率良く行うことができる。また、遠赤外線放射セラミックスは、ハロゲンランプのフィラメントと同様に熱容量が小さいので、短時間で昇温を行うことができる。
【0033】
反射板23A,23Bは、U字型に曲げ加工されており、ハロゲンランプ22Aに対向する部分に設けられた可動接続部24Aにより接続されている。反射板23A(23B)は反射角変更部26A(26B)に接続されており、反射角変更部26A(26B)により位置が変更されると、ハロゲンランプ22Aが放射した赤外光の反射角が変更される。反射角変更部26A,26Bとしては、ソレノイドやアクチュエータが好適である。反射板23A(23B)の可動範囲は、反射板支持部25A(25B)により規制されており、第1ユニット20Aにおいて反射板23A,23Bは、点線で示す第1反射位置23−1と、第1ユニット20Aにおいて反射板23A,23Bを実線で示す第2反射位置23−2と、の間を移動可能である。
【0034】
筐体21Aと筐体21Cは、支持板27に接続されており、バー28が支持板27に接着材料29により接着されている。バー28は支持板27に溶接されていてもよい。
【0035】
次に、赤外光照射装置1の制御系統を説明する。図3に示すように、制御部10は、氷センサ3が雪・霜・氷のいずれかを検出するか、または霧センサ4が霧を検出すると、反射角変更部26A〜26D、ユニット方向変更部6C,6D、及びユニット高さ変更部6E,6Fを制御して、反射板23A〜23Dの反射角、照射ユニット2が赤外光を照射する方向、及び照射ユニット2の高さを変更する。また、制御部10は、光量切替手段である電源部30を制御して、ハロゲンランプ22A,22Cを点灯したり、赤外光の光量を変更したりする。また、制御部10は、遠隔操作部7Aまたは操作部7Bで受け付けた操作に応じて、各部を制御する。また、制御部10は、各部の制御状況やユーザに伝達する事項等を遠隔表示部8Aや表示部8Bに表示させる。制御部10は、記憶部9から読み出したプログラムに基づいて各部を制御する。また、制御部10は、反射角変更部26A〜26D、ユニット方向変更部6C,6D、及びユニット高さ変更部6E,6Fを制御するためのデータを予め記憶部9に記憶しており、随時データを読み出す。
【0036】
次に、赤外光照射装置1の動作について説明する。以下の説明では、融氷領域91の雪・霜・氷と消霧領域93の霧を検出する場合を説明する。図4に示すように、制御部10は、氷センサ3が雪・霜・氷を検出するかまたは霧センサ4が霧を検出するまでハロゲンランプ22A,22Cを消灯した状態で、検出動作を繰り返している(S1:N、S11:N、S21:N、S31)。
【0037】
制御部10は、氷センサ3のみが雪・霜・氷のいずれかを検出すると(S1:Y)、図5に示す融氷領域91に赤外光を照射可能な状態(姿勢)になっているかを確認する(S2)。ここで、融氷領域91は、例えば赤外光照射装置1の直下から前方の路面上に設定した、縦(道幅の方向)3m、横(道の進行方向:図5における前後方向)4mの領域である。赤外光照射装置1を片側2車線の路側に設置した場合には、融氷領域91は路側帯及び走行車線に相当する。なお、融氷領域91は、実際には、短軸3m、長軸4mの楕円形の領域である。融氷領域92も、融氷領域91と同様の大きさの領域である。
【0038】
なお、赤外光照射装置1は、変更ユニット6Aと6Bにより照射ユニット2が赤外光を照射する方向を変更して、別の融氷領域に赤外光を照射することができる。例えば、追い越し車線に相当する領域を融氷領域92に設定した場合、この融氷領域92にも赤外光を照射して融氷を行うことができる。
【0039】
制御部10は、照射ユニット2が融氷領域91に赤外光を照射可能な状態(姿勢)になっていないときには(S2:N)、融氷領域91に赤外光を照射するときにおける照射ユニット2の赤外光照射方向と高さ、及び反射板23A〜23Dの角度のデータを記憶部9から読み出す。そして、制御部10は、反射角変更部26A〜26D、ユニット方向変更部6C,6D、及びユニット高さ変更部6E,6Fを制御して、照射ユニット2の赤外光照射方向、高さ、及び反射板23A〜23Dの角度を変更し(S3)、続いてステップS4の処理を実行する。
【0040】
図5に示した例では、照射ユニット2の赤外光照射方向は、融氷領域91に赤外光を照射するときには、路面に対して防護網21B,21Dが約20度傾斜した状態(ポール5A,5Bに対して約70度傾斜した状態)である。また、照射ユニット2の高さは、融氷領域91に赤外光を照射するときには、路面に対してバー28の高さが約3.0mである。また、反射板23A〜23Dは、第1反射位置である。第1反射位置のときには照射ユニット2から拡散光が照射されるので、赤外光照射装置1は、融氷領域91のような広い範囲に対して、照射ユニット2から赤外光を照射することができる。なお、図5に示した例では、融氷領域91の中央部911は、照射ユニット2の第1ユニット20Aと第2ユニット20Bから赤外光が照射されるので、赤外光の照射エネルギーが高くなり、融氷領域91の周縁部912よりも早く融氷することができる。
【0041】
制御部10は、ステップS2において、照射ユニット2が融氷領域91に赤外光を照射可能な状態(姿勢)になっているときには(S2:Y)、続いてステップS4の処理を実行する。
【0042】
制御部10は、ハロゲンランプ22A,22Cを点灯して、融氷領域91に赤外光を照射させる(S4)。このとき、制御部10は、電源部30を制御して、ハロゲンランプ22A,22Cの光量を消霧領域93に赤外光を照射する場合よりも弱い光量に設定する。例えば、ハロゲンランプ22A,22Cについて、4kWと8kWの切り替えが可能な場合には4kWに設定する。
【0043】
制御部10は、ハロゲンランプ22A,22Cを点灯させると、ステップS1以降の処理を繰り返し、雪・霜・氷が融解して氷センサ3が検出しなくなったら、電源部30を制御してハロゲンランプ22A,22Cを消灯し(S31)、雪・霜・氷または霧を検出するまで待機する。
【0044】
なお、赤外光照射装置1では、ステップS1において、制御部10が氷センサ3により融氷領域92において雪・霜・氷を検出した場合、上記ステップS1〜S4を行って融氷領域92の融氷を行うように設定できる。但し、図5に示すように照射ユニット2と各反射板の角度を、融氷領域91に赤外光を照射するときとは異なる角度に変更して、融氷領域92全体に赤外光を照射させる。融氷領域92は、融氷領域91よりも赤外光照射装置1から離れており、ハロゲンランプ22A,22Cの光量が融氷領域91に照射する光量と同じであると、完全に融氷できない場合がある。そのため、融氷領域92に対して赤外光を照射する際には、ステップS4において、ハロゲンランプ22A,22Cを強い光量に切り替えるとよい。例えば、4kWと8kWの切り替えが可能な場合には8kWに設定する。
【0045】
また、融氷領域91と融氷領域92において雪・霜・氷を同時に検出した場合には、融氷領域91を先に融氷するように設定しておくと良い。これは、通常、走行車線の方が通行車両が多く、走行車線の融氷を優先することで、交通を早く円滑化できるからである。
【0046】
制御部10は、ステップS1において、氷センサ3が雪・霜・氷を検出しておらず(S1:N)、霧センサ4が霧を検出したときには(S11:Y)、図5に示す消霧領域93に赤外光を照射可能な状態(姿勢)になっているかを確認する(S12)。ここで、消霧領域93は、例えば赤外光照射装置1の前方における路面の上方(路面からの高さが1.1m〜1.6m)であって、縦(道幅の方向)8m、横(道の進行方向:図5における前後方向)4mの領域に設定されている。消霧領域93は、片側2車線の走行車線と追い越し車線(道路全体)上の領域に相当する。消霧領域93を、路面から高さ1.1m〜1.6mに設定するのは、乗用車の運転手の目の高さが、一般的にこの高さだからである。なお、赤外光照射装置1から消霧領域93に向かって赤外光を照射した場合、実際には、図5に示した消霧領域93だけでなく、消霧領域93を中心としてその上下の領域を含む、高さ方向において1.5m〜2.0m程度の消霧領域93よりも広い領域の霧を消すことができる。これは、赤外光の照射エネルギーが消霧領域93の周囲にも伝搬するためだと考えられる。
【0047】
制御部10は、消霧領域93に赤外光を照射可能な状態(姿勢)になっていないときには(S12:N)、消霧領域93に赤外光を照射するときにおける照射ユニット2の赤外光照射方向、高さ、及び反射板23A〜23Dの角度のデータを記憶部9から読み出す。そして、制御部10は、反射角変更部26A〜26D、ユニット方向変更部6C,6D、及びユニット高さ変更部6E,6Fを制御して、照射ユニット2の赤外光照射方向、高さ、及び反射板23A〜23Dの角度を変更し(S13)、続いてステップS14の処理を実行する。
【0048】
また、制御部10は、ステップS12において、消霧領域93に赤外光を照射可能な状態(姿勢)になっているときには(S12:Y)、続いてステップS4の処理を実行する。
【0049】
図5に示した例では、照射ユニット2の赤外光照射方向は、消霧領域93に赤外光を照射するときには、路面に対して防護網21B,21Dが約90度傾斜した状態である。また、照射ユニット2の高さは、消霧領域93に赤外光を照射するときには、路面に対してバー28の高さが約1.35mである。また、反射板23A〜23Dは、第2反射位置である。第2反射位置のときには照射ユニット2から平行光が照射される。赤外光照射装置1は、消霧領域93に対して、照射ユニット2から照射領域が広がらずに水平な赤外光(平行光)を照射する(S14)。照射ユニット2から照射される赤外光が平行光の場合、拡散光の場合より単位面積あたりの照射エネルギーが高くなる。そのため、消霧領域93の霧を効率良く消すことができる。
【0050】
このとき、制御部10は、電源部30を制御して、ハロゲンランプ22A,22Cの光量を融氷領域91に赤外光を照射する場合よりも強い光量に設定する。例えば、4kWと8kWの切り替えが可能な場合には8kWに設定する。上記のように、消霧領域が広い場合には、霧を消すには融氷時よりも強い光量の赤外光を照射するのが好ましく、ハロゲンランプ22A,22Cが放射する赤外光の光量を切り替えて強い光量の赤外光を照射することで、霧を確実に消すことができる。
【0051】
制御部10は、ステップS11において、霧センサ4が霧のみを検出しているのではなく(S11:N)、氷センサ3も雪・霜・氷のいずれかを検出している場合には(S21:Y)、氷センサ3と霧センサ4が共に検出している場合の優先情報を記憶部9から読み出して確認する(S22)。
【0052】
なお、赤外光照射装置1では、氷センサ3が雪・霜・氷のいずれかを検出し、かつ霧センサ4が霧を検出した場合には、融氷を優先するか消霧を優先するかを、選択手段である遠隔操作部7Aまたは操作部7Bにより予め選択しておくことができる。制御部10は、融氷領域に優先的に赤外光を照射させる融氷優先機能と、消霧領域に赤外光を優先的に放射させる消霧優先機能のうち、選択された優先機能を記憶部9で記憶している。
【0053】
制御部10は、雪・霜・氷のいずれかの融解を優先する場合には(S23:Y)、ステップS2以降の処理を行う。
【0054】
また、制御部10は、霧の消去を優先する場合には(S23:N、S24:Y)、ステップS12以降の処理を行う。
【0055】
また、制御部10は、いずれの優先設定もなされていない場合には(S24:N)、一定時間毎に、照射ユニット2の赤外光照射方向を切り替える(S25〜S28)。図1(A)に示したように複数の照射ユニット2を備えている場合には、例えば、融氷領域91に赤外光を照射する照射ユニット2と、消霧領域93に赤外光を照射する照射ユニット2と、が交互または所定数毎に配置されるように設定して(S25)、各照射ユニット2のハロゲンランプ22A,22Cを点灯する(S26、S27:N)。このとき、前記のように、消霧領域93に赤外光を照射する照射ユニット2のハロゲンランプ22A,22Cを、融氷領域91に赤外光を照射する照射ユニット2のハロゲンランプ22A,22Cよりも強い光量の赤外光を照射するように設定するとよい。
【0056】
制御部10は、一定時間(例えば、5分乃至10分)が経過すると(S27:Y)、消霧領域93に赤外光を照射する照射ユニット2と、融氷領域91に赤外光を照射する照射ユニット2と、の赤外光照射方向を切り替える(S28)。
【0057】
また、ステップS25においては、複数の照射ユニット2を全て融氷領域91に赤外光を照射させて(S25)、ハロゲンランプ22A,22Cを点灯後に(S26、S27:N)、一定時間が経過すると(S27:Y)、複数の照射ユニット2を全て消霧領域93に赤外光を照射させるように制御してもよい(S28)。すなわち、全照射ユニット2の赤外光照射方向と光量を一定時間毎に切り替えることも可能である。
【0058】
照射ユニット2の照射方向及び切り替え方法は、これに限らず他の方法でもよい。
【0059】
制御部10は、ステップS4、ステップS14、またはステップS28の処理を行うと、続いてステップS1以降の処理を繰り返し行う。また、制御部10は、氷センサ3及び霧センサ4が検出しなくなると(S21)、電源部30を制御してハロゲンランプ22A,22Cを消灯して(S31)、次に雪・霜・氷または霧を検出するまで、検出動作を繰り返す(S1:N、S11:N、S21:N、S31)。
【0060】
次に、赤外光照射装置の別の実施形態を説明する。赤外光照射装置1は、図2に示した第1ユニット20Aと第2ユニット20Bに代えて、図6(A)に示すユニット120Aを備えた構成とすることも可能である。図6(A)に示すユニット120Aは、図2に示した第1ユニット20Aのハロゲンランプ22Aと、反射板23A及び反射板23Bと、の距離を変更するランプ移動部(距離変更手段)60を設けたものである。ユニット120Aの他の構成は、第1ユニット20Aと同じあり、同符号を付して説明を省略する。
【0061】
図6(A)に示したように、ハロゲンランプ22Aと、反射板23A及び反射板23Bと、の距離を変更することで、ユニット120Aが照射する赤外光の照射範囲を変更することができる。例えば、図6(A)において、反射板23A,23Bを実線で示す第2反射位置に設定した場合、ハロゲンランプ22Aが実線で示す位置のときには、ユニット120Aから平行光が照射される。一方、図6(A)において、反射板23A,23Bを実線で示す第2反射位置に設定した場合、ハロゲンランプ22Aが点線で示す位置のときには、第1ユニット120Aから拡散光が照射される。また、ランプ移動部60によりハロゲンランプ22Aの位置を変更したときに、さらに、反射角変更部26A,26Bにより反射板23A,23Bの反射位置を変更することで、ユニット120Aから照射される赤外光の照射範囲を制御できる。これにより、任意の範囲に赤外光を照射することが可能となる。
【0062】
なお、ハロゲンランプ22Aを移動させる構成に限らず、反射板23A,23Bを移動させて、ハロゲンランプ22Aに対する反射板23A,23Bの位置を変更する構成にすることも可能である。
【0063】
なお、図6(A)には、反射板23A,23Bの反射位置を反射角変更部26A,26Bにより変更可能な構成を示したが、これに限らず、ユニット120Aにおいて、反射角変更部26A,26Bを設けずに、ランプ移動部60のみを設けた構成であっても、ユニット120Aの赤外光照射範囲を十分変更可能である。
【0064】
次に、赤外光照射装置のさらに別の実施形態を説明する。赤外光照射装置1は、図2に示した第1ユニット20Aと第2ユニット20Bに代えて、図6(B)に示すユニット220Aを備えた構成とすることも可能である。図6(B)に示すユニット220Aは、図2に示した第1ユニット20Aの反射板23A及び反射板23Bを、N個の反射板223−1〜223−Nに変更し、反射角変更部26A,26Bを反射角変更部226(一点鎖線で図示)に変更したものである。ユニット220Aの他の構成は、第1ユニット20Aと同じあり、同符号を付して説明を省略する。
【0065】
反射板223−1〜223−Nは、それぞれ中央部に回転軸224−1〜224−Nを備えており、各回転軸224−1〜224−Nの端部は、反射角変更部226に接続されている。反射角変更部226は、角度変更機構(モータ、歯車など)を内蔵しており、回転軸224−1〜224−Nが赤外光を反射する角度を個別に変更することができる。これにより、ユニット220Aが照射する赤外光の照射範囲を、図6(A)に示したユニット120Aと同様に変更することができ、任意の範囲に赤外光を照射することが可能となる。
【0066】
次に、赤外光照射装置のさらに別の実施形態を説明する。図7に示す赤外光照射装置101は、図1及び図5に示した赤外光照射装置1の変更ユニット6Aと6Bからユニット高さ変更部6E,6Fを取り除いて、ユニット方向変更部6C,6Dのみを有する変更ユニット106Aと106Bに変更している。また、照射ユニット2の第1ユニット20A,第2ユニット20Bを、図6(A)に示したユニット120Aに変更した照射ユニット102に変更している。また、上記のように変更ユニット106Aと106Bは、ユニット高さ変更部を備えておらず、照射ユニット102(202)の高さを変更しないので、ポール5A,5Bを長さの短いポール105A,105Bに変更している。
【0067】
照射ユニット102は一例として路面から1.35mの高さに固定しており、変更ユニット106Aと106Bにより、赤外光の照射方向が変更される。
【0068】
なお、この場合、氷センサ3は、例えば高さ1.0m〜1.7mの位置に取り付けるとよい。
【0069】
なお、照射ユニット102の第1ユニット120A,第2ユニット120Bを、図6(B)に示したユニット220Aを備えた照射ユニット202に変更することも可能である。
【0070】
赤外光照射装置101は、融氷領域91と、消霧領域94に赤外光を照射するように設定されている。図7に示すように、融氷領域91は、図5に示した融氷領域91と同様の範囲に設定されている。消霧領域94は、赤外光照射装置101の前方における路面の上方(路面からの高さが1.1m〜1.6m)であって、縦(道幅の方向)4m、横(道の進行方向:図7における前後方向)4mの領域に設定されている。消霧領域93は、片側1車線の走行車線上の領域に相当する。
【0071】
赤外光照射装置101では、照射ユニット102の高さが1.35mに固定されており、高さ3mから赤外光を照射する赤外光照射装置1よりも、照射ユニット102が赤外光を照射する放射角を大きくする必要がある。そこで、赤外光照射装置101では、前記のように照射ユニット102に、図6(A)に示したユニット120A、または図6(B)に示したユニット220Aを備えた構成に変更している。ユニット120Aは、前記のように、反射角変更部26A,26Bに加えてランプ移動部60を備えているので、反射板の角度を変更するとともにハロゲンランプ22Aの位置を変更することで、赤外光の照射角をさらに大きくすることができる。また、図6(B)に示したユニット220Aは、前記のように、複数の反射板223−1〜223−Nの反射角を個別に変更できるので、反射板の角度の設定によって、赤外光の照射角をさらに大きくすることができる。
【0072】
したがって、照射ユニット102(202)の高さを変更しなくても、融氷領域91全体に赤外光を照射することができる。
【0073】
また、照射ユニット102(202)は、上記のような構成なので、ハロゲンランプ22Aの位置や反射板の角度を調整することで、当然平行な赤外光を照射することができ、消霧領域94に対しても赤外光を照射して、霧を消すことができる。
【0074】
なお、図2及び図5に示した照射ユニット2では、路面からの高さが1.35mであると、融氷領域91全体に赤外光を照射することができない。しかし、反射板23A〜23Dの形状変更や、反射板23A〜23Dが赤外光を反射する角度を変更することで、融氷領域91全体に赤外光を照射することが可能である。
【0075】
次に、赤外光照射装置のさらに別の実施形態を説明する。赤外光照射装置301の照射ユニット302は、図2に示した照射ユニット2の第1ユニット20Aを、別の第1ユニット320Aに変更したものであり、第2ユニット320Bは照射ユニット2の第2ユニット20Bと同様である。第1ユニット320Aは、第1ユニット20Aの反射板23Aの可動範囲をさらに広くした反射板323Aと、反射板23Bと同様の可動範囲の反射板323Bを備えている。赤外光照射装置301の制御部10は、融氷領域91に赤外光を照射する際には、図8に示すように、反射板323Aと反射板323Bを非対称な位置(角度)に設定する。一方、第2ユニット320Bの2つの反射板323Cと反射板323Dは、対照的な位置(角度)に設定する。
【0076】
融氷領域91における赤外光照射装置301から遠い側の端部である遠端領域916は、赤外光照射装置301からの距離が離れているので、融氷領域91の赤外光照射装置301に近い領域よりも赤外光の照射量が少なく、第1ユニット320Aから照射した赤外光だけでは、融氷領域91の赤外光照射装置301に近い領域よりも雪・霜・氷が解けにくいことがある。そこで、本発明では、図5に基づいて説明したように、反射板の位置を変更することで、照射ユニット2から照射される赤外光を、拡散光または平行光に切り替えて、単位面積あたりの照射エネルギーを変更できることを用いて、遠端領域916の雪・霜・氷を融解する。すなわち、赤外光照射装置301は、反射板323Aが反射する赤外光が平行光になるように、第1ユニット320Aの反射板323Aの反射角を変更して、遠端領域916に照射する赤外光の単位面積あたりの照射エネルギーを高くする。一方、赤外光照射装置301は、第1ユニット320Aの反射板323B、第2ユニット320Bの反射板323Cと323Dについては、各反射板が反射する赤外光が拡散光となるように、反射角を設定する。これにより、融氷領域91の遠端領域916には赤外光の平行光が照射されて雪・霜・氷を効率良く融解できる。また,融氷領域91の遠端領域916以外の領域については、拡散光が照射されるが、赤外光照射装置1からの距離が近いので、雪・霜・氷を問題なく融解できる。
【0077】
なお、赤外光照射装置1の直下に赤外光を照射しないように照射ユニット302のポール5A,5Bに対する角度を、例えば70度から65〜68度に変更するとともに、反射板323Aの反射角(反射方向)を調整することで、第1ユニット320Aの反射板323Aからの平行光が照射される領域(遠端領域916)に、第2ユニット320Bから照射される拡散光も照射させることができる。これにより、遠端領域916に照射される赤外光の単位面積あたりの照射エネルギーがさらに高くなるので、遠端領域916の雪・霜・氷をより確実に融解できる。
【0078】
以上のように、本発明では、雪・霜・氷の融解と霧の消去を効率良く行うことができる。
【符号の説明】
【0079】
1,101,301…赤外光照射装置 2,102,202…照射ユニット 3…氷センサ 4…霧センサ 5A,5B,5C…ポール 6A,6B…変更ユニット 6C,6D…ユニット方向変更部 6E,6F…ユニット高さ変更部 7A…遠隔操作部 7B…操作部 8A…遠隔表示部 8B…表示部 9…記憶部 10…制御部 20A,120A,220A…第1ユニット 20B…第2ユニット 21A,21C…筐体 21B,21D…防護網 22A,22C…ハロゲンランプ 23A,23B,223−1〜223−N,323C,323D…反射板 24A…可動接続部 25A,25B…反射板支持部 26A,26B…反射角変更部 27…支持板 28…バー 29…接着材料 30…電源部 31…バー 32A…固定具 41…バー 42A…固定具 60…ランプ移動部 91…融氷領域 92…消霧領域 100…高速道路 101…赤外光照射装置 102…照射ユニット 105A,105B…ボール 106A…変更ユニット 202…照射ユニット 224−1〜224−N…回転軸 226…反射角変更部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
赤外光を放射する赤外光放射手段と、前記赤外光放射手段から放射された赤外光を反射する反射手段と、前記反射手段が赤外光を反射する角度を変更する反射角変更手段と、を備え、所定の領域に赤外光を照射する照射ユニットと、
前記照射ユニットが赤外光を照射する方向を変更する方向変更手段と、
前記照射ユニットの周囲に設定した氷を融解する領域である融氷領域における氷の有無を検出する氷検出手段と、
前記照射ユニットの周囲に設定した霧を消す領域である消霧領域における霧の有無を検出する霧検出手段と、
前記氷検出手段が氷を検出すると、前記反射角変更手段と前記方向変更手段を制御して、前記照射ユニットに赤外光を前記融氷領域に対して照射させ、
前記霧検出手段が霧を検出すると、前記反射角変更手段と前記方向変更手段を制御して、前記照射ユニットに赤外光を前記消霧領域に対して照射させる制御手段と、
を備えた赤外光照射装置。
【請求項2】
前記照射ユニットが赤外光を照射する高さを変更する高さ変更手段を備え、
前記制御手段は、前記氷検出手段が氷を検出すると、さらに前記高さ変更手段を制御して、前記照射ユニットに赤外光を前記融氷領域に対して照射させ、
前記霧検出手段が霧を検出すると、さらに前記高さ変更手段を制御して、前記照射ユニットに赤外光を前記消霧領域に対して照射させる、請求項1に記載の赤外光照射装置。
【請求項3】
前記赤外光放射手段が放射する赤外光の光量を切り替える光量切替手段を備え、
前記制御手段は、前記光量切替手段を制御して、前記霧検出手段が霧を検出したときには、前記氷検出手段が氷を検出したときよりも強い光量の赤外光を前記赤外光放射手段に放射させる請求項1または2に記載の赤外光照射装置。
【請求項4】
前記反射手段に対する前記赤外光放射手段の距離を変更する距離変更手段を備え、
前記制御手段は、前記氷検出手段が氷を検出すると、さらに前記距離変更手段を制御して、前記照射ユニットに赤外光を前記融氷領域に対して照射させ、
前記霧検出手段が霧を検出すると、さらに前記距離変更手段を制御して、前記照射ユニットに赤外光を前記消霧領域に対して照射させる、請求項1乃至3のいずれかに記載の赤外光照射装置。
【請求項5】
前記融氷領域に優先的に赤外光を照射させる融氷優先機能、または前記消霧領域に赤外光を優先的に放射させる消霧優先機能を選択する選択手段を備え、
前記制御手段は、前記氷検出手段が氷を検出し、かつ前記霧検出手段が霧を検出しているときには、少なくとも前記反射角変更手段と前記方向変更手段を制御して、前記選択手段が選択した優先機能に応じた領域に赤外光を照射させる請求項1乃至4のいずれかに記載の赤外光照射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−162907(P2012−162907A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−23665(P2011−23665)
【出願日】平成23年2月7日(2011.2.7)
【出願人】(505398952)中日本高速道路株式会社 (94)
【出願人】(391007460)中日本ハイウェイ・エンジニアリング名古屋株式会社 (47)
【出願人】(502390474)株式会社ユニ・ロット (3)