説明

赤外線カット、絞り一体装置

【課題】昼夜連続撮影用監視カメラレンズで、赤外線を透過するダミーフィルタと、赤外線を遮断する赤外線カットフィルタを、切り替える機構において、支持体(ホルダー)の全長が長くなるのを防止し、外形寸法が小さく簡単な構造の赤外線フィルタ切替機構を得る。
【解決手段】撮像部に対応する開口部2を備えた支持板(ホルダー)3に、赤外線を透過させるダミーフィルターと赤外線を遮断する赤外線カットフィルタ、とを前記開口部2に切替え配置可能に対応させて、前記撮像部への赤外線の入射と遮断とを二枚の取付板に取り付けたフィルタを、互いに逆方向に移動可能に重ね合わせて形成された開口部に対応させて、取付板それぞれの相反する方向への移動により赤外線の入射と遮断を切替える切替え部材6,7と、二枚の絞り羽根4,5を互いに逆方向に移動可能に重ね合わせて形成された絞り孔を拡縮させて撮像部への光の量を調整する絞り部材とを取り付けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、昼夜連続撮影用監視カメラレンズなどに組み入れられて、その監視カメラの撮像部側への赤外線の入射及び遮断を切替えるとともに、画像を明確に映し出すために光の量を調整する、赤外線カット、絞り一体装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から24時間昼夜連続撮影用監視カメラレンズなどにおいては、夜間時や照明が落とされた場所でも撮影できるようにする必要があることから、夜間時や暗部に対する撮影となるときには入射する赤外線を利用して画像を得るようにしている。
そのため、このような昼夜連続撮影用監視カメラレンズなどでは、必要時に赤外線撮影が行われるように赤外線の入射と遮断とを切替える赤外線切替機構を有するものがある。
【0003】
赤外線の入射と遮断とを切替える構造が無いカメラを昼夜連続撮影用監視カメラレンズとして使用されることもあり、このような場合、赤外線を入射又は遮断するどちらかのフィルタをカメラレンズに固定して撮影を行うようにしている。








【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
昼夜連続撮影用監視カメラレンズに使用されている上記赤外線切替機構は、カメラ本体内部のCCD素子などからなる撮像部に達する光路に必要時にフィルタが配置されるようにそのフィルタを移動可能に支持している。
しかしながら、赤外線を透過するダミーフィルターと、赤外線を遮断する赤外線カットフィルターは薄板状の部品に各々は並べて配置されて固定されており、フィルタの切替えをさせる場合のスライド移動距離を確保しなければならず、必要に応じて、フィルタの確保と支持のために、前記支持体(ホルダー)の全長が長くなってしまう。
そこで、本発明は赤外線を入射および遮断するフィルタの配置を課題とし、外形寸法は小さく簡単な構造とした装置をカメラレンズ内に組み入れるようにすることで、昼夜を問わず鮮明な画像が得られるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記課題を考慮してなされたもので、監視カメラレンズの撮像部に対応する開口部を備えた支持板(ホルダー)に、赤外線を透過させるダミーフィルターと赤外線を遮断する赤外線カットフィルタとを前記開口部に切替え配置可能に対応させて、前期撮像部への赤外線の入射と遮断とを二枚の取付板に取り付けたフィルタを互いに逆方向に移動可能に重ね合わせて形成された開口部に対応させて、取付板それぞれの相反する方向への移動により赤外線の入射と遮断を切替える切替え部材と、二枚の絞り羽根を互いに逆方向に移動可能に重ね合わせて形成された絞り孔を拡縮させて撮像部への光の量を調整する絞り部材とを取り付けたことを特徴とする赤外線カット、絞り一体装置を提供して、上記課題を解消するものである。





【0006】
本発明において、上記切替え部材における取付板を互いに逆方向に上記支持板(ホルダー)に対してスライド移動させる切替え部材用駆動部と、上記絞り部材における絞り羽根を互いに逆方向に上記支持板(ホルダー)に対してスライド移動させる絞り部材用駆動部とが支持板の端部側に並べ設けられ、前記切り替え部材用駆動部と絞り部材用駆動部とのそれぞれは、回転軸を有する永久磁石回転体と、巻きつけたコイルへの通電により磁界を生じさせて前記永久磁石回転体を回転させる一対のボビンと、前記ボビンが取り付けられる装着孔を有して、該装着孔にボビンそれぞれのコイル端子が位置するプリント配線板と、前記プリント配線板における前記コイル端子に接続されているとともに監視カメラの制御部側に着脱可能なコネクタを備えた電線とからなるものであることが良好である。そして、上記切替え部材用駆動部は上記永久磁石回転体とボビンとを内部に配する筒状のヨークを有し、該ヨークの断面形状を楕円型にして、ボビンに通電された切替え部材用駆動部の動作により上記切替え部材がスライドし、切替え部材の赤外線を透過させるダミーフィルタが支持板(ホルダー)の開口部に位置した時と、赤外線を遮断させる赤外線カットフィルタが支持板(ホルダー)の開口部に位置した時に、ボビンへの非通電状態で永久磁石回転体とヨークとの間で生じる磁性吸着力により、支持板(ホルダー)の開口部に相対する前記フィルタの位置を保持するように磁気回路を構成することが良好である。
【0007】
また、本発明において、上記支持板(ホルダー)に切替え部材と絞り部材とが積層配置されて、支持板(ホルダー)が切替え部材と絞り部材をスライド可能に支持し、この支持板(ホルダー)に監視カメラ側への取付部が設けられていることが良好である。さらに、上記切替え部材用駆動部における一対のボビンのコイルを並列接続することが良好である。





【発明の効果】
【0008】
以上説明した本発明の構成によれば、赤外線の入射と遮断を切替える切替え部の二枚の取付板を積層配置し、支持板(ホルダー)に対してスライド移動させ、ダミーフィルタと赤外線カットフィルタを切替える構造にすることにより、外形寸法が小さくなり、昼夜を問わずに鮮明な画像が得られる小型軽量および省資源の監視カメラが得られるように成るなど、実用性に優れた効果を奏するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
この赤外線カット、絞り一体装置1は、監視カメラレンズの撮像部に対する開口部2を備えた支持板3に、絞り部材4、絞り部材5と切替え部材6、切替え部材7とを積層配置し、支持板3の長辺側で立ち上げられている側壁の間で前記絞り部材4、絞り部材5をスライド可能に支持している。更に、支持板3に切替え部材6、切替え部材7がスライド可能な側壁を備えている。
そして、支持板3の側壁にはこの赤外線カット、絞り一体装置1を監視カメラ側の図示しないケーシングやプリント配線板などにセットするための取付部8が一体に設けられ、この支持板3を監視カメラレンズ側のケーシングやプリント配線板などに固定することで、絞り部材4、絞り部材5と切替え部材6、切替え部材7とがそれぞれスライド可能な状態で撮像部側に対応するようにしている。










【0010】
上記切替え部材6は開口部を有した取付板9に赤外線を透過するダミーフィルタ10を貼付したものである。
切替え部材7も開口部を有した取付板11に赤外線を遮断する赤外線カットフィルタ12を貼付したものである。取付板9、取付板11の一端部は延長され、その先に連結孔13を配している。絞り部材4、絞り部材5はそれぞれ開口を有した二枚の絞り部材5をそれぞれが上記支持板3の長手方向に移動可能に重ね合わせたものであり、全体として薄型に形成されている。
二枚の絞り部材5を互いに逆方向に移動させることで開口部2が定位置で拡縮するようにしている。前記絞り部材5それぞれは、上記切替え部材6、の取付板9と同じように一端部が延長されその先端に連結孔14を配している。
【0011】
上記支持板3の側壁それぞれの内面側には高さが異なる複数の突起15が設けられていて、支持板3側の低い位置にある突起15は、切替え部材6、切替え部材7を移動可能に支持するとともに切替え部材6と絞り部材5との直接的な接触を防止して、僅かな間隔が生じるようにこの切替え部材6と絞り部材5との間を離間させるものである。上位の突起15は絞り部材4、絞り部材5がスライド可能にしながら絞り部材5が上下に外れないようにしている。
【産業上の利用可能性】
【0012】
本発明の活用例としては、小型軽量の昼夜連続撮影用監視カメラに活用できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1は、監視カメラレンズの撮像部に達する光路での赤外線の入射と遮断とを切替えるとともに光の量を調整する赤外線カット絞り一体装置である。
図2は、赤外線カット、絞り一体装置の詳細図である。
図3は、赤外線カット、絞り一体装置の赤外線遮断時の詳細図である。
図4は、赤外線カット、絞り一体装置の赤外線入射時の詳細図である。

【符号の説明】
【0014】
1:赤外線カット、絞り一体装置
2:開口部
3:支持板
4:絞り部材
5:絞り部材
6:切替え部材
7:切替え部材
8:監視カメラへの取付部
9:取付板
10:ダミーフィルタ
11:取付板
12:赤外線カットフィルタ
13:切替え部部材連続孔
14:絞り部材連続孔
15突起
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視カメラレンズの撮像部に対応する開口部を備えた支持板(ホルダー)に、赤外線を透過させるダミーフィルタと赤外線を遮断する赤外線カットフィルタとを前記開口部に切替え配置可能に対応させて、前記撮像部への赤外線の入射と遮断とを二枚の取付板に取り付けたフィルタを互いに逆方向に移動可能に重ね合わせて形成された開口部を前記開口部に対応させて、取付板をそれぞれ相反する方向への移動により、赤外線の入射と遮断を切替える切替え部材と、二枚の絞り羽根を互いに逆方向に移動可能に重ね合わせて形成された絞り孔を前記開口部に対応させて、絞り羽根それぞれの相反する方向への移動により絞り孔を拡縮させて撮像部への光の量を調整する絞り部材とを取り付けたことを特徴とする赤外線カット、絞り一体装置。
【請求項2】
上記切替え部材における取付板を上記支持板(ホルダー)に対して互いに逆方向にスライド移動させる切替え部材用駆動部と、上記絞り部材における絞り羽根を上記支持板(ホルダー)に対して互いに逆方向にスライド移動させる絞り部材用駆動部とが支持板(ホルダー)の端部側に並べ設けられ、前記切替え部材用駆動部と絞り部材用駆動部とのそれぞれは、回転軸を有する永久磁石回転体と、巻きつけたコイルへの通電により磁界を生じさせて前記永久磁石回転体を回転させる一対のボビンと、前記ボビンが取り付けられる装着孔を有して、該装着孔にボビンそれぞれのコイル端子が位置するプリント配線板における前記コイル端子に接続されているとともに監視カメラの制御部側に着脱可能なコネクタを備えた電線とからなるものである。請求項1に記載の赤外線カット、絞り一体装置。






【請求項3】
上記切替え部材用駆動部は上記永久磁石回転体とボビンとを内部に配する筒状のヨークを有し、該ヨークの断面形状を楕円形にして、ボビンに通電された切替え部材用駆動部の動作により上記切替え部材がスライドし、切替え部材の赤外線を透過させるダミーフィルタが支持板(ホルダー)の開口部に位置した時と、赤外線を遮断させる赤外線カットフィルタが支持板(ホルダー)の開口部に位置した時に、ボビンへの非通電状態で永久磁石回転体とヨークとの間で生ずる磁性吸着力により、支持板(ホルダー)の開口部に相対する前記フィルタの位置を保持するように磁気回路を構成した請求項2に記載の赤外線カット、絞り一体装置。
【請求項4】
上記支持板(ホルダー)に切替え部材と絞り部材とが積層配置されて、支持板(ホルダー)が切替え部材と絞り部材をスライド可能に支持し、この支持板(ホルダー)に監視カメラ側への取付部が設けられている請求項1から3の何れか一項に記載の赤外線カット、絞り一体装置。
【請求項5】
上記切替え部材用駆動部における一対のボビンのコイルを並列接続した請求項1から4の何れか一項に記載の赤外線カット、絞り一体装置。

【公開番号】特開2012−242463(P2012−242463A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−110024(P2011−110024)
【出願日】平成23年5月17日(2011.5.17)
【出願人】(301032621)株式会社藤田電機製作所 (10)
【Fターム(参考)】