説明

赤外線吸収能繊維及び赤外線吸収能付与染色方法

【課題】小ロット生産を実現できる染色による方法を採用しても更なる高性能な赤外線吸収能を実現するための多量な黒色染料を必要とはせず、さらに、黒色系以外の色彩にも染色できる赤外線吸収能付与染色方法を提供する。
【解決手段】染料C.I.Acid Green 1 の鉄含金染料にC.I.Acid Yellow 129、C.I.Acid
Orange 88、C.I.Acid Orange 140、C.I.Acid Red 315、C.I.Acid Violet 75、C.I.Acid
Blue 127:1、C.I.Acid Blue 193、C.I.Acid Blue 229、C.I.Acid Brown 283等のクロム含金染料やC.I.Acid Yellow 79、C.I.Acid Orange 67、C.I.Acid Orange 95、C.I.Acid Red 52、C.I.Acid Red 111、C.I.Acid Red 138、C.I.Acid Violet 48、C.I.Acid Violet 97、C.I.Acid Blue 18、C.I.Acid Blue 205、C.I.Acid Blue 221等の非含金タイプ酸性染料から選ばれる酸性染料を配合してナイロン又はウール繊維を染色することによって、波長830nmにおける赤外線反射率が30%以下になる染色加工を施す赤外線吸収能付与染色方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、赤外線撮影における衣服の透過を防止できる赤外線吸収能繊維及び赤外線吸収能付与染色方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
周知の通り、スポーツ選手の活躍を記録目的に撮影することは一般に認められた行為である。一方、可視光の少ない状態での被写体の撮影を可能にするカメラの開発も進み、高性能な赤外線カメラが実用化されている。
【0003】
そして、身体にフィットしたユニホームを着用した競技選手の活躍を前記赤外線カメラで撮影する行為に対しては、透撮を防止するために赤外線を透過させないユニホームの開発が切望され、近赤外線領域の吸収が高い染料を使用して繊維を染色する方法や赤外線吸収剤を合成繊維に練り込んだり、コーティングする方法等により、繊維に赤外線を吸収する性能を付与する技術開発が進んでおり、具体的には、透視盗撮ブロック・ショーツ(商品名:SUNPLAY IR BIKINI:株式会社三愛と旭化成繊維株式会社の共同開発素材)や透過撮影防止インナー(商品名:SHOTGUARD inner short:株式会社クレーマージャパン製)として商品化されている。
【0004】
また、前記染色による方法では、近赤外線領域の吸収が黒色染料よりも大きい特性を持つ染料と他の染料を組み合わせて染色することにより、近赤外線吸収程度として、750から900nmでの生地の分光反射率が40%以下、900nmを超え1200nmの範囲で55%以下、および1200を超え1500nmの範囲で65%以下である近赤外線吸収加工方法が提案され(例えば、特許文献1参照)、前記練り込む方法では、衣服を構成する布帛の少なくとも一部を、繊維中または繊維表面に赤外線吸収剤を混練または付着させた構造の赤外線吸収特性を有する赤外線吸収繊維素材を少なくともその一部に使用した赤外線吸収布帛によって縫製して赤外線撮影時に衣服の透けを防止する赤外線吸収衣服(例えば、特許文献2参照)や人体に密着使用される下着等に用いられる布帛面に適宜手段によって金属、炭化物、金属炭化物又はセラミックを素材とする薄膜を形成して該薄膜によって赤外線を反射又は吸収して透撮防止を可能にした透撮防止用布帛又は衣類が提案されている(例えば、特許文献3)。
【0005】
【特許文献1】特開平9−291463号公報
【特許文献2】特開2000−178809号公報
【特許文献3】特開2005−42252号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、前記近赤外線吸収加工方法では、近赤外線吸収程度として750から900nmでの生地の分光反射率が40%以下、900nmを超え1200nmの範囲で55%以下、および1200を超え1500nmの範囲で65%以下であるから、十分な透撮防止効果は得られず、さらに分光反射率を抑える(赤外線吸収能を高める)ためには、黒色染料を多量に必要とし、生地の染色が黒色系になるという問題点があった。また、前記赤外線吸収衣服や透撮防止用布帛又は衣類においては、紡糸の段階で赤外線吸収剤を練込・付着させて当該練込・付着繊維糸により赤外線吸収繊維素材を製造しているので、練込・付着繊維糸を大量に生産してストックして受注に対応できるようにしておく必要があり、赤外線吸収能繊維の小ロット生産には不向きであるという問題点があった。
【0007】
そこで、本発明は、小ロット生産を実現できる染色による方法を採用しても更なる高性能な赤外線吸収能を実現するための多量な黒色染料を必要とはせず、さらに、黒色系以外の色彩にも染色できる赤外線吸収能付与染色方法を得ることを技術的課題として、その具現化をはかるべく研究・実験を重ねた結果、鉄含金染料を用いて染色すれば、染色された染色構造中に鉄キレートを有して有効な赤外線吸収能を持ち、さらに、鉄含金染料と酸性染料との組み合わせ、より具体的には鉄含金染料とクロム含金染料又は非含金タイプ酸性染料との組み合わせにより、高性能な赤外線吸収能を発揮すると共に、可視部の色相を調整できてカラーレンジが広がるという刮目すべき知見を得、前記技術的課題を達成したものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記技術的課題は、次の通りの本発明によって解決できる。
【0009】
即ち、本発明に係る赤外線吸収能繊維は、鉄含金染料を用いて染色してなるものである。
【0010】
また、本発明は、前記赤外線吸収能繊維において、鉄含金染料をC.I.Acid Green 1 としたものである。
【0011】
また、本発明は、前記いずれかの赤外線吸収能繊維において、鉄含金染料に酸性染料を配合して染色してなるものである。
【0012】
また、本発明は、前記鉄含金染料に酸性染料を配合して染色してなる赤外線吸収能繊維において、酸性染料がクロム含金染料と非含金タイプ酸性染料とから選ばれるものである。
【0013】
また、本発明は、前記鉄含金染料にクロム含金染料を配合して染色してなる赤外線吸収能繊維において、クロム含金染料がC.I.Acid Yellow 17、C.I.Acid Yellow 116、C.I.Acid Yellow 127、C.I.Acid Yellow 129、C.I.Acid Yellow 155、C.I.Acid Yellow 220、C.I.Acid Yellow 232、C.I.Acid Yellow 235、C.I.Acid Orange 86、C.I.Acid Orange 87、C.I.Acid Orange 88、C.I.Acid Orange 140、C.I.Acid Orange 162、C.I.Acid Orange 166、C.I.Acid Red 211、C.I.Acid Red 215、C.I.Acid Red 251、C.I.Acid Red 256、C.I.Acid Red 315、C.I.Acid Red 399、C.I.Acid Red 407、C.I.Acid Violet 75、C.I.Acid Blue 127:1、C.I.Acid Blue 171、C.I.Acid Blue 193、C.I.Acid Blue 229、C.I.Acid Blue 317、C.I.Acid Blue 335、C.I.Acid Brown 19、C.I.Acid Brown 28、C.I.Acid Brown 45、C.I.Acid Brown 224、C.I.Acid Brown 283、C.I.Acid Brown 298及びC.I.Acid Brown 413、Isolan Yellow NHF-S(商品名:ダイスタージャパン株式会社製)、Isolan Red NHF-S(商品名:ダイスタージャパン株式会社製)及びIsolan Blue NHF-S(商品名:ダイスタージャパン株式会社製)から少なくとも一つ選ばれるものである。
【0014】
また、本発明は、前記鉄含金染料に非含金タイプ酸性染料を配合して染色してなる赤外線吸収能繊維において、非含金タイプ酸性染料がC.I.Acid Yellow 79、C.I.Acid Orange 67、C.I.Acid Orange 95、C.I.Acid Red 52、C.I.Acid Red 111、C.I.Acid Red 138、C.I.Acid Violet 48、C.I.Acid Violet 97、C.I.Acid Blue 18、C.I.Acid Blue 205、C.I.Acid Blue 221、Kayanol Brilliant Flavine FL CONC(商品名:日本化薬株式会社製)、Kayanol Milling Yellow 5GW(商品名:日本化薬株式会社製)、Inolar Milling Red MNW(商品名:株式会社井上化学工業所製)及びLanaset Blue 2R(商品名:ハンツマン・ジャパン株式会社)から少なくとも一つ選ばれるものである。
【0015】
また、本発明は、前記いずれかの赤外線吸収能繊維において、波長830nmにおける赤外線反射率が30%以下となっているものである。
【0016】
また、本発明に係る赤外線吸収能付与染色方法は、鉄含金染料を用いてナイロン又はウール繊維を染色することによって、波長830nmにおける赤外線反射率が30%以下になる染色加工を施すものである。
【0017】
また、本発明に係る赤外線吸収能付与染色方法は、鉄含金染料に酸性染料を配合してナイロン又はウール繊維を染色することによって、波長830nmにおける赤外線反射率が30%以下になる染色加工を施すものである。
【0018】
また、本発明は、前記赤外線吸収能付与染色方法において、鉄含金染料をC.I.Acid Green 1 としたものである。
【0019】
また、本発明は、前記赤外線吸収能付与染色方法において、酸性染料がクロム含金染料と非含金タイプ酸性染料とから選ばれるものである。
【0020】
また、本発明は、前記赤外線吸収能付与染色方法において、クロム含金染料がC.I.Acid
Yellow 17、C.I.Acid Yellow 116、C.I.Acid Yellow 127、C.I.Acid Yellow 129、C.I.Acid Yellow 155、C.I.Acid Yellow 220、C.I.Acid Yellow 232、C.I.Acid Yellow
235、C.I.Acid Orange 86、C.I.Acid Orange 87、C.I.Acid Orange 88、C.I.Acid Orange 140、C.I.Acid Orange 162、C.I.Acid Orange 166、C.I.Acid Red 211、C.I.Acid Red 215、C.I.Acid Red 251、C.I.Acid Red 256、C.I.Acid Red 315、C.I.Acid Red 399、C.I.Acid Red 407、C.I.Acid Violet 75、C.I.Acid Blue 127:1、C.I.Acid Blue 171、C.I.Acid Blue 193、C.I.Acid Blue 229、C.I.Acid Blue 317、C.I.Acid Blue 335、C.I.Acid Brown 19、C.I.Acid Brown 28、C.I.Acid Brown 45、C.I.Acid Brown 224、C.I.Acid Brown 283、C.I.Acid Brown 298、C.I.Acid Brown 413、Isolan Yellow NHF-S(商品名:ダイスタージャパン株式会社製)、Isolan Red NHF-S(商品名:ダイスタージャパン株式会社製)及びIsolan Blue NHF-S(商品名:ダイスタージャパン株式会社製)から少なくとも一つ選ばれるものである。
【0021】
さらに、本発明は、前記赤外線吸収能付与染色方法において、非含金タイプ酸性染料がC.I.Acid Yellow 79、C.I.Acid Orange 67、C.I.Acid Orange 95、C.I.Acid Red 52、C.I.Acid Red 111、C.I.Acid Red 138、C.I.Acid Violet 48、C.I.Acid Violet 97、C.I.Acid Blue 18、C.I.Acid Blue 205、C.I.Acid Blue 221、Kayanol Brilliant Flavine FL CONC(商品名:日本化薬株式会社製)、Kayanol Milling Yellow 5GW(商品名:日本化薬株式会社製)、Inolar Milling Red MNW(商品名:株式会社井上化学工業所製)及びLanaset Blue 2R(商品名:ハンツマン・ジャパン株式会社製)から少なくとも一つ選ばれるものである。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、繊維を鉄含金染料を用いて染色することにより、染料構造中に鉄キレートを有するので、更なる赤外線吸収能を発揮することができ、さらに、鉄含金染料と酸性染料との組み合わせ、より具体的には鉄含金染料とクロム含金染料又は非含金タイプ酸性染料との組み合わせによって、加えて可視部の色相を調整することができるので、黒色系以外の緑色系、青色系、ベージュ色系及び赤色系の色彩にも染色することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0024】
実施の形態1.
【0025】
本実施の形態に係る赤外線吸収能繊維は、鉄含金染料によって緑色に染色したものであり、染料構造中に鉄キレートを有しているので、波長800nm付近において特に有効な赤外線吸収能を発揮する。
【0026】
また、前記鉄含金染料に酸性染料、より具体的にはクロム含金染料又は非含金タイプ酸性染料を配合して染色すれば、鉄含金染料と酸性染料との組み合わせによって可視部の色相を調整することができるので、染色においてカラーレンジが広がって緑色系、青色系、ベージュ色系及び赤色系の色彩にも染色することができる。
【0027】
前記鉄含金染料はC.I.Acid Green 1 であることが望ましい。
【0028】
前記クロム含金染料はC.I.Acid Yellow 17、C.I.Acid Yellow 116、C.I.Acid Yellow
127、C.I.Acid Yellow 129、C.I.Acid Yellow 155、C.I.Acid Yellow 220、C.I.Acid Yellow 232、C.I.Acid Yellow 235、C.I.Acid Orange 86、C.I.Acid Orange 87、C.I.Acid Orange 88、C.I.Acid Orange 140、C.I.Acid Orange 162、C.I.Acid Orange 166、C.I.Acid Red 211、C.I.Acid Red 215、C.I.Acid Red 251、C.I.Acid Red 256、C.I.Acid Red 315、C.I.Acid Red 399、C.I.Acid Red 407、C.I.Acid Violet 75、C.I.Acid Blue 127:1、C.I.Acid Blue 171、C.I.Acid Blue 193、C.I.Acid Blue 229、C.I.Acid Blue 317、C.I.Acid Blue 335、C.I.Acid Brown 19、C.I.Acid Brown 28、C.I.Acid Brown 45、C.I.Acid Brown 224、C.I.Acid Brown 283、C.I.Acid Brown 298、C.I.Acid Brown 413、Isolan Yellow NHF-S(商品名:ダイスタージャパン株式会社製)、Isolan Red NHF-S(商品名:ダイスタージャパン株式会社製)及びIsolan Blue NHF-S(商品名:ダイスタージャパン株式会社製)から少なくとも一つ選ばれる染料を使用するのが好ましい。これにより、波長830nm付近における赤外線反射率が30%以下となっている赤外線吸収能繊維を得ることができる。
【0029】
前記非含金タイプ酸性染料はC.I.Acid Yellow 79、C.I.Acid Orange 67、C.I.Acid Orange 95、C.I.Acid Red 52、C.I.Acid Red 111、C.I.Acid Red 138、C.I.Acid Violet 48、C.I.Acid Violet 97、C.I.Acid Blue 18、C.I.Acid Blue 205、C.I.Acid Blue 221、Kayanol Brilliant Flavine FL CONC(商品名:日本化薬株式会社製)、Kayanol Milling Yellow 5GW(商品名:日本化薬株式会社製)、Inolar Milling Red MNW(商品名:株式会社井上化学工業所製)及びLanaset Blue 2R(商品名:ハンツマン・ジャパン株式会社製)から少なくとも一つ選ばれる染料を使用するのが好ましい。これにより、波長830nm付近における赤外線反射率が30%以下となっている赤外線吸収能繊維を得ることができる。
【0030】
実施の形態2.
【0031】
本実施の形態に係る赤外線吸収能付与染色方法は、鉄含金染料を用いてナイロン又はウール繊維を染色することによって、波長830nmにおける赤外線反射率が30%以下になる染色加工を施すものである。
【0032】
また、鉄含金染料に酸性染料、より具体的にはクロム含金染料又は非含金タイプ酸性染料を配合してナイロン又はウール繊維を染色するのがより好ましい。なお、染色は常法に従って、浸染(浸漬)方法や捺染方法を適用できる。
【実施例】
【0033】
実施例1:水200mlに染料C.I.Acid Green 1 を0.04gと酢酸0.06gとを入れた染浴に6ナイロンジャージ4gを浸漬し、撹拌しながら昇温沸騰させて60分間保持させた。次いで、当該染浴を温度60℃まで冷却した後に染浴から6ナイロンジャージを取り出して、水洗・乾燥させて赤外線吸収能繊維を得た。なお、染料C.I.Acid Green 1の染色濃度は1.0%o.w.f.である。
【0034】
前記赤外線吸収能繊維をスペクトル測定方法によって830nmにおける赤外線反射率を測定したところ、10.5%であった。また、染色された6ナイロンジャージは緑色(CIELAB D65:L=52.24、a=-20.50、b=21.18)に染まっていた。
【0035】
前記スペクトル測定方法は、分光光度計(V-570:日本分光株式会社製)を使用してサンプル染色布を白色板に密着させて貼付して当該サンプル染色布表面をスペクトル測定する方法によった。
【0036】
実施例2:水200mlに染料C.I.Acid Green 1 を0.02gと染料C.I.Acid Orange 88を0.02gと酢酸0.06gとを入れた染浴に6ナイロンジャージ4gを浸漬し、撹拌しながら昇温沸騰させて60分間保持させた。次いで、当該染浴を温度60℃まで冷却した後に染浴から6ナイロンジャージを取り出して、水洗・乾燥させて赤外線吸収能繊維を得た。なお、染料C.I.Acid Green 1の染色濃度は0.5%o.w.f.、染料C.I.Acid Orange 88の染色濃度は0.5%o.w.fである。
【0037】
前記赤外線吸収能繊維を実施例1と同じスペクトル測定方法によって830nmにおける赤外線反射率を測定したところ、18.66%であった。また、染色された6ナイロンジャージはベージュ色(CIELABD65:L=46.03、a=13.13、b=20.93)に染まっていた。
【0038】
実施例3:水200mlに染料C.I.Acid Green 1 を0.02gと染料C.I.Acid Orange 140を0.02gと酢酸0.06gとを入れた染浴にウールセルサージ4gを浸漬し、撹拌しながら昇温沸騰させて60分間保持させた。次いで、当該染浴を温度60℃まで冷却した後に染浴からウールセルサージを取り出して、水洗・乾燥させて赤外線吸収能繊維を得た。なお、染料C.I.Acid Green 1の染色濃度は0.5%o.w.f.、染料C.I.Acid Orange 140の染色濃度は0.5%o.w.fである。
【0039】
前記赤外線吸収能繊維を実施例1と同じスペクトル測定方法によって830nmにおける赤外線反射率を測定したところ、18.48%であった。また、染色されたウールセルサージはベージュ色(CIELAB D65:L=45.38、a=13.82、b=20.36)に染まっていた。
【0040】
実施例4〜7:前記実施例2における染料C.I.Acid Orange 88に代えて染料C.I.Acid Orange 86(実施例4)、染料C.I.Acid Orange 87(実施例5)、染料C.I.Acid Orange 162(実施例6)及び染料C.I.Acid Orange 166(実施例7)の各染料を使用した外は、前記実施例2と同様にして各赤外線吸収能繊維を得た。なお、染料C.I.Acid Green 1の染色濃度は0.5%o.w.f.、染料C.I.Acid Orange 86、染料C.I.Acid Orange 87、染料C.I.Acid Orange 162及び染料C.I.Acid Orange 166の染色濃度はそれぞれ0.5%o.w.fである。
【0041】
実施例4の赤外線吸収能繊維は、830nmにおける赤外線反射率が18.30%、明るい茶色(CIELAB D65:L=44.41、a=15.85、b=23.77)に染まっていた。実施例5の赤外線吸収能繊維は、830nmにおける赤外線反射率が23.42%、濃い黄色(CIELABD65:L=52.66、a=3.89、b=31.82)に染まっていた。実施例6の赤外線吸収能繊維は、830nmにおける赤外線反射率が18.41%、黄味のオリーブ色(CIELABD65:L=49.99、a=0.89、b=34.27)に染まっていた。実施例7の赤外線吸収能繊維は、830nmにおける赤外線反射率が18.68%、赤茶色(CIELABD65:L=43.51、a=15.00、b=21.40)に染まっていた。
【0042】
実施例8:水200mlに染料C.I.Acid Green 1 を0.02gと染料C.I.Acid Yellow 129を0.02gと酢酸0.06gとを入れた染浴に6ナイロンジャージ4gを浸漬し、撹拌しながら昇温沸騰させて60分間保持させた。次いで、当該染浴を温度60℃まで冷却した後に染浴から6ナイロンジャージを取り出して、水洗・乾燥させて赤外線吸収能繊維を得た。なお、染料C.I.Acid Green 1の染色濃度は0.5%o.w.f.、染料C.I.Acid Yellow 129の染色濃度は0.5%o.w.fである。
【0043】
前記赤外線吸収能繊維を実施例1と同じスペクトル測定方法によって830nmにおける赤外線反射率を測定したところ、17.54%であった。また、染色された6ナイロンジャージは黄緑色(CIELAB D65:L=56.86、a=-14.56、b=40.78)に染まっていた。
【0044】
実施例9〜15:実施例8における染料C.I.Acid Yellow 129に代えて染料C.I.Acid Yellow 17(実施例9)、染料C.I.Acid Yellow 116(実施例10)、染料C.I.Acid
Yellow 127(実施例11)、染料C.I.Acid Yellow 155(実施例12)、染料C.I.Acid
Yellow 220(実施例13)、染料C.I.Acid Yellow 232(実施例14)及び染料C.I.Acid
Yellow 235(実施例15)の各染料を使用した外は、前記実施例8と同様にして各赤外線吸収能繊維を得た。なお、染料C.I.Acid Green 1の染色濃度は0.5%o.w.f.、染料C.I.Acid Yellow 17、染料C.I.Acid Yellow 116、染料C.I.Acid Yellow 127、染料C.I.Acid Yellow 155、染料C.I.Acid Yellow 220、染料C.I.Acid Yellow 232及び染料C.I.Acid Yellow 235の染色濃度はそれぞれ0.5%o.w.fである。
【0045】
実施例9の赤外線吸収能繊維は、830nmにおける赤外線反射率が18.65%、明るい黄味のさえた緑色(CIELAB D65:L=61.39、a=-23.31、b=36.33)に染まっていた。実施例10の赤外線吸収能繊維は、830nmにおける赤外線反射率が18.59%、明るいオリーブ色(CIELABD65:L=49.80、a=0.81、b=34.32)に染まっていた。実施例11の赤外線吸収能繊維は、830nmにおける赤外線反射率が19.00%、明るい黄緑色(CIELABD65:L=60.62、a=-22.02、b=36.96)に染まっていた。実施例12の赤外線吸収能繊維は、830nmにおける赤外線反射率が18.72%、黄緑色(CIELABD65:L=58.10、a=-15.76、b=38.84)に染まっていた。実施例13の赤外線吸収能繊維は、830nmにおける赤外線反射率が19.43%、明るい黄緑色(CIELABD65:L=55.07、a=-8.27、b=41.12)に染まっていた。実施例14の赤外線吸収能繊維は、830nmにおける赤外線反射率が18.95%、黄緑色(CIELABD65:L=55.70、a=-10.78、b=45.27)に染まっていた。実施例15の赤外線吸収能繊維は、830nmにおける赤外線反射率が18.74%、黄緑色(CIELABD65:L=56.27、a=-11.65、b=39.45)に染まっていた。
【0046】
実施例16:水200mlに染料C.I.Acid Green 1 を0.02gと染料C.I.Acid Red 315を0.02gと酢酸0.06gとを入れた染浴に6ナイロンジャージ4gを浸漬し、撹拌しながら昇温沸騰させて60分間保持させた。次いで、当該染浴を温度60℃まで冷却した後に染浴から6ナイロンジャージを取り出して、水洗・乾燥させて赤外線吸収能繊維を得た。なお、染料C.I.Acid Green 1の染色濃度は0.5%o.w.f.、染料C.I.Acid Red 315の染色濃度は0.5%o.w.fである。
【0047】
前記赤外線吸収能繊維を実施例1と同じスペクトル測定方法によって830nmにおける赤外線反射率を測定したところ、18.08%であった。また、染色された6ナイロンジャージは赤茶色(CIELAB D65:L=32.72、a=22.91、b=11.06)に染まっていた。
【0048】
実施例17〜22:実施例16における染料C.I.Acid Red 315に代えて染料C.I.Acid Red 211(実施例17)、染料C.I.Acid Red 215(実施例18)、染料C.I.Acid Red 251(実施例19)、染料C.I.Acid Red 256(実施例20)、染料C.I.Acid Red 399(実施例21)及び染料C.I.Acid Red 407(実施例22)の各染料を使用した外は、前記実施例16と同様にして各赤外線吸収能繊維を得た。なお、染料C.I.Acid Green 1の染色濃度は0.5%o.w.f.、染料C.I.Acid Red 211、染料C.I.Acid Red 215、染料C.I.Acid Red 251、染料C.I.Acid Red 256、染料C.I.Acid Red 399及び染料C.I.Acid Red 407の染色濃度はそれぞれ0.5%o.w.fである。
【0049】
実施例17の赤外線吸収能繊維は、830nmにおける赤外線反射率が19.27%、灰味の淡い赤紫色(CIELAB D65:L=45.98、a=10.37、b=11.16)に染まっていた。実施例18の赤外線吸収能繊維は、830nmにおける赤外線反射率が19.55%、灰味の淡い赤紫色(CIELABD65:L=47.56、a=8.34、b=8.14)に染まっていた。実施例19の赤外線吸収能繊維は、830nmにおける赤外線反射率が19.99%、灰味の紫色(CIELABD65:L=36.95、a=13.13、b=0.71)に染まっていた。実施例20の赤外線吸収能繊維は、830nmにおける赤外線反射率が20.05%、灰味の紫色(CIELABD65:L=40.35、a=10.48、b=1.16)に染まっていた。実施例21の赤外線吸収能繊維は、830nmにおける赤外線反射率が18.19%、赤茶色(CIELABD65:L=36.06、a=20.90、b=8.10)に染まっていた。実施例22の赤外線吸収能繊維は、830nmにおける赤外線反射率が19.59%、淡い赤茶色(CIELABD65:L=41.37、a=19.04、b=11.18)に染まっていた。
【0050】
実施例23:水200mlに染料C.I.Acid Green 1 を0.02gと染料C.I.Acid Violet 75を0.02gと酢酸0.06gとを入れた染浴に6ナイロンジャージ4gを浸漬し、撹拌しながら昇温沸騰させて60分間保持させた。次いで、当該染浴を温度60℃まで冷却した後に染浴から6ナイロンジャージを取り出して、水洗・乾燥させて赤外線吸収能繊維を得た。なお、染料C.I.Acid Green 1の染色濃度は0.5%o.w.f.、染料C.I.Acid Violet 75の染色濃度は0.5%o.w.fである。
【0051】
前記赤外線吸収能繊維を実施例1と同じスペクトル測定方法によって830nmにおける赤外線反射率を測定したところ、19.33%であった。また、染色された6ナイロンジャージは濃い紫色(CIELAB D65:L=34.66、a=13.90、b=-4.12)に染まっていた。
【0052】
実施例24:水200mlに染料C.I.Acid Green 1 を0.02gと染料C.I.Acid Blue 127:1を0.02gと酢酸0.06gとを入れた染浴に6ナイロンジャージ4gを浸漬し、撹拌しながら昇温沸騰させて60分間保持させた。次いで、当該染浴を温度60℃まで冷却した後に染浴から6ナイロンジャージを取り出して、水洗・乾燥させて赤外線吸収能繊維を得た。なお、染料C.I.Acid Green 1の染色濃度は0.5%o.w.f.、染料C.I.Acid Blue 127:1の染色濃度は0.5%o.w.fである。
【0053】
前記赤外線吸収能繊維を実施例1と同じスペクトル測定方法によって830nmにおける赤外線反射率を測定したところ、18.30%であった。また、染色された6ナイロンジャージは濃い青緑色(CIELABD65:L=39.35、a=-20.50、b=-11.78)に染まっていた。
【0054】
実施例25〜29:実施例24における染料C.I.Acid Blue 127:1に代えて染料C.I.Acid Blue 171(実施例25)、染料C.I.Acid Blue 193(実施例26)、C.I.Acid Blue 229(実施例27)、C.I.Acid Blue 317(実施例28)及びC.I.Acid Blue 335(実施例29)の各染料を使用した外は、前記実施例24と同様にして各赤外線吸収能繊維を得た。なお、染料C.I.Acid Green 1の染色濃度は0.5%o.w.f.、染料C.I.Acid Blue 171、染料C.I.Acid Blue 193、C.I.Acid Blue 229、C.I.Acid Blue 317及びC.I.Acid Blue 335の染料濃度はそれぞれ0.5%o.w.fである。
【0055】
実施例25の赤外線吸収能繊維は、830nmにおける赤外線反射率が17.82%、濃い青緑色(CIELAB D65:L=36.41、a=-11.29、b=-2.73)に染まっていた。実施例26の赤外線吸収能繊維は、830nmにおける赤外線反射率が18.66%、濃い青緑色(CIELABD65:L=33.57、a=-7.36、b=-7.39)に染まっていた。実施例27の赤外線吸収能繊維は、830nmにおける赤外線反射率が17.40%、濃い青色(CIELABD65:L=30.85、a=-5.94、b=-9.23)に染まっていた。実施例28の赤外線吸収能繊維は、830nmにおける赤外線反射率が17.51%、濃い青緑色(CIELABD65:L=32.38、a=-7.40、b=-6.58)に染まっていた。実施例29の赤外線吸収能繊維は、830nmにおける赤外線反射率が17.99%、濃い灰青色(CIELABD65:L=35.62、a=-6.05、b=-5.27)に染まっていた。
【0056】
実施例30:水200mlに染料C.I.Acid Green 1 を0.02gと染料C.I.Acid Brown 283を0.02gと酢酸0.06gとを入れた染浴に6ナイロンジャージ4gを浸漬し、撹拌しながら昇温沸騰させて60分間保持させた。次いで、当該染浴を温度60℃まで冷却した後に染浴から6ナイロンジャージを取り出して、水洗・乾燥させて赤外線吸収能繊維を得た。なお、染料C.I.Acid Green 1の染色濃度は0.5%o.w.f.、染料C.I.Acid Brown 283の染色濃度は0.5%o.w.fである。
【0057】
前記赤外線吸収能繊維を実施例1と同じスペクトル測定方法によって830nmにおける赤外線反射率を測定したところ、18.12%であった。また、染色された6ナイロンジャージはオリーブブラウン色(CIELABD65:L=36.67、a=0.03、b=8.90)に染まっていた。
【0058】
実施例31〜36:実施例30の染料C.I.Acid Brown 283に代えて染料C.I.Acid Brown
19(実施例31)、染料C.I.Acid Brown 28(実施例32)、染料C.I.Acid Brown 45(実施例33)、染料C.I.Acid Brown 224(実施例34)、染料C.I.Acid Brown 298(実施例35)及び染料C.I.Acid Brown 413(実施例36)の各染料を使用した外は、前記実施例30と同様にして各赤外線吸収能繊維を得た。なお、染料C.I.Acid Green 1の染色濃度は0.5%o.w.f.、染料C.I.Acid Brown 19、染料C.I.Acid Brown 28、染料C.I.Acid Brown 45、染料C.I.Acid Brown 224、染料C.I.Acid Brown 298及び染料C.I.Acid Brown 413の染料濃度はそれぞれ0.5%o.w.fである。
【0059】
実施例31の赤外線吸収能繊維は、830nmにおける赤外線反射率が19.33%、黄味のオリーブブラウン色(CIELAB D65:L=45.50、a=-3.99、b=14.50)に染まっていた。実施例32の赤外線吸収能繊維は、830nmにおける赤外線反射率が17.89%、淡いオリーブブラウン色(CIELABD65:L=43.65、a=-4.50、b=11.12)に染まっていた。実施例33の赤外線吸収能繊維は、830nmにおける赤外線反射率が18.55%、黄茶色(CIELABD65:L=40.68、a=4.58、b=12.42)に染まっていた。実施例34の赤外線吸収能繊維は、830nmにおける赤外線反射率が18.62%、黄味のオリーブブラウン色(CIELABD65:L=42.28、a=-1.54、b=13.31)に染まっていた。実施例35の赤外線吸収能繊維は、830nmにおける赤外線反射率が17.86%、濃いオリーブブラウン色(CIELABD65:L=35.71、a=1.30、b=11.30)に染まっていた。実施例36の赤外線吸収能繊維は、830nmにおける赤外線反射率が18.36%、緑味のオリーブブラウン色(CIELABD65:L=36.02、a=-0.14、b=8.83)に染まっていた。
【0060】
実施例37:水200mlに染料C.I.Acid Green 1 を0.02g、染料C.I.Acid Yellow 129を0.008g、染料C.I.Acid Blue 193を0.006g及び染料C.I.Acid Blue 229を0.006gと酢酸0.06gとを入れた染浴に6ナイロンジャージ4gを浸漬し、撹拌しながら昇温沸騰させて60分間保持させた。次いで、当該染浴を温度60℃まで冷却した後に染浴から6ナイロンジャージを取り出して、水洗・乾燥させて赤外線吸収能繊維を得た。なお、染料C.I.Acid Green 1の染色濃度は0.5%o.w.f.、染料C.I.Acid Yellow 129の染色濃度は0.2%o.w.f、染料C.I.Acid Blue 193の染色濃度は0.15%o.w.f、染料C.I.Acid Blue 229の染色濃度は0.15%o.w.fである。
【0061】
前記赤外線吸収能繊維を実施例1と同じスペクトル測定方法によって830nmにおける赤外線反射率を測定したところ、18.03%であった。また、染色された6ナイロンジャージは灰味の緑色(CIELABD65:L=37.05、a=-10.40、b=3.44)に染まっていた。
【0062】
実施例38:実施例37のクロム含金染料に代えて染料C.I.Acid Yellow 129を0.008g、染料C.I.Acid Red 315を0.004g及び染料C.I.Acid Blue 229を0.008g入れた外は、実施例37と同様にして赤外線吸収能繊維を得た。なお、染料C.I.Acid Green 1の染色濃度は0.5%o.w.f.、染料C.I.Acid Yellow 129の染色濃度は0.2%o.w.f、染料C.I.Acid
Red 315の染色濃度は0.1%o.w.f、染料C.I.Acid Blue 229の染色濃度は0.2%o.w.fである。
【0063】
前記赤外線吸収能繊維を実施例1と同じスペクトル測定方法によって830nmにおける赤外線反射率を測定したところ、18.53%であった。また、染色された6ナイロンジャージは灰味のオリーブブラウン色(CIELABD65:L=35.44、a=-1.21、b=5.12)に染まっていた。
【0064】
実施例39:実施例37のクロム含金染料に代えて染料C.I.Acid Yellow 129を0.012g及び染料C.I.Acid Red 315を0.008g入れた外は、実施例37と同様にして赤外線吸収能繊維を得た。なお、染料C.I.Acid Green 1の染色濃度は0.5%o.w.f.、染料C.I.Acid Yellow
129の染色濃度は0.3%o.w.f、染料C.I.Acid Red 315の染色濃度は0.2%o.w.fである。
【0065】
前記赤外線吸収能繊維を実施例1と同じスペクトル測定方法によって830nmにおける赤外線反射率を測定したところ、18.32%であった。また、染色された6ナイロンジャージは茶色(CIELAB D65:L=40.76、a=11.46、b=19.06)に染まっていた。
【0066】
実施例40:実施例37のクロム含金染料に代えて染料C.I.Acid Orange 88を0.01g及び染料C.I.Acid Blue 229を0.01g入れた外は、実施例37と同様にして赤外線吸収能繊維を得た。なお、染料C.I.Acid Green 1の染色濃度は0.5%o.w.f.、染料C.I.Acid Orange 88の染色濃度は0.25%o.w.f、染料C.I.Acid Blue 229の染色濃度は0.25%o.w.fである。
【0067】
前記赤外線吸収能繊維を実施例1と同じスペクトル測定方法によって830nmにおける赤外線反射率を測定したところ、18.06%であった。また、染色された6ナイロンジャージは灰色(CIELAB D65:L=34.82、a=-0.69、b=-0.36)に染まっていた。
【0068】
実施例41:実施例37のクロム含金染料に代えて染料C.I.Acid Red 315を0.01g及び染料C.I.Acid Blue 193を0.01g入れた外は、実施例37と同様にして赤外線吸収能繊維を得た。なお、染料C.I.Acid Green 1の染色濃度は0.5%o.w.f.、染料C.I.Acid Red 315の染色濃度は0.25%o.w.f、染料C.I.Acid Blue 193の染色濃度は0.25%o.w.fである。
【0069】
前記赤外線吸収能繊維を実施例1と同じスペクトル測定方法によって830nmにおける赤外線反射率を測定したところ、17.91%であった。また、染色された6ナイロンジャージは灰味の紫色(CIELABD65:L=30.96、a=8.24、b=-0.05)に染まっていた。
【0070】
実施例42〜59:水200mlに染料C.I.Acid Green 1 を0.032gと表1に示す各酸性染料(実施例42〜59)と酢酸0.06gとを入れた各染浴に6ナイロンジャージ4gをそれぞれ浸漬し、撹拌しながら昇温沸騰させて60分間保持させた。次いで、当該各染浴を温度60℃まで冷却した後に染浴から各6ナイロンジャージを取り出して、水洗・乾燥させて各赤外線吸収能繊維(実施例42〜59)を得た。
【0071】
各酸性染料の染色濃度、染色された6ナイロンジャージの目視による色相及び該色相のIELAB D65座標値、赤外線吸収能繊維の830nmにおける赤外線反射率を表1に示す。
【0072】
【表1】

【0073】
比較例1:透視盗撮防止ブロック・ショーツ(商品名:SUNPLAY IR BIKINI:株式会社三愛と旭化成繊維株式会社との共同開発素材)を実施例1と同じスペクトル測定方法によって830nmにおける赤外線反射率を測定した。
【0074】
一重部分における赤外線反射率が57.1%、二重部分における赤外線反射率が56.2%であった。
【0075】
比較例2:透過撮影防止インナー(商品名:SHOTGUARD inner short:株式会社クレーマージャパン製)を実施例1と同じスペクトル測定方法によって830nmにおける赤外線反射率を測定した。
【0076】
一重部分における赤外線反射率が46.2%、股の部分における赤外線反射率が47.3%であった。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明によれば、従来の830nmにおける赤外線反射率が46.2〜57.1%の赤外線吸収能に対して、更なる赤外線吸収能を付与した繊維を染色方法により得ることができるから、高性能な赤外線吸収能繊維を必要に応じて生産する小ロット生産に対応することができると共に、黒色系以外に緑色系、青色系、ベージュ色系及び赤色系の色彩に染色することができるから、水着や小・中学生・高校生の女子用赤外線吸収ユニフォームの製造に活用できる。
【0078】
従って、本発明の産業上利用性は非常に高いといえる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄含金染料を用いて染色してなる赤外線吸収能繊維。
【請求項2】
鉄含金染料がC.I.Acid Green 1 である請求項1記載の赤外線吸収能繊維。
【請求項3】
鉄含金染料に酸性染料を配合して染色してなる請求項1又は請求項2記載の赤外線吸収能繊維。
【請求項4】
酸性染料がクロム含金染料と非含金タイプ酸性染料とから選ばれる染料である請求項3記載の赤外線吸収能繊維。
【請求項5】
クロム含金染料がC.I.Acid Yellow 17、C.I.Acid Yellow 116、C.I.Acid Yellow 127、C.I.Acid Yellow 129、C.I.Acid Yellow 155、C.I.Acid Yellow 220、C.I.Acid Yellow 232、C.I.Acid Yellow 235、C.I.Acid Orange 86、C.I.Acid Orange 87、C.I.Acid Orange 88、C.I.Acid Orange 140、C.I.Acid Orange 162、C.I.Acid Orange 166、C.I.Acid Red 211、C.I.Acid Red 215、C.I.Acid Red 251、C.I.Acid Red 256、C.I.Acid Red 315、C.I.Acid Red 399、C.I.Acid Red 407、C.I.Acid Violet 75、C.I.Acid Blue 127:1、C.I.Acid Blue 171、C.I.Acid Blue 193、C.I.Acid Blue 229、C.I.Acid Blue 317、C.I.Acid Blue 335、C.I.Acid Brown 19、C.I.Acid Brown 28、C.I.Acid Brown 45、C.I.Acid Brown 224、C.I.Acid Brown 283、C.I.Acid Brown 298、C.I.Acid Brown 413、Isolan Yellow NHF-S(商品名:ダイスタージャパン株式会社製)、Isolan Red NHF-S(商品名:ダイスタージャパン株式会社製)及びIsolan Blue NHF-S(商品名:ダイスタージャパン株式会社製)から少なくとも一つ選ばれる染料である請求項4記載の赤外線吸収能繊維。
【請求項6】
非含金タイプ酸性染料がC.I.Acid Yellow 79、C.I.Acid Orange 67、C.I.Acid Orange 95、C.I.Acid Red 52、C.I.Acid Red 111、C.I.Acid Red 138、C.I.Acid Violet 48、C.I.Acid Violet 97、C.I.Acid Blue 18、C.I.Acid Blue 205、C.I.Acid Blue 221、Kayanol Brilliant Flavine FL CONC(商品名:日本化薬株式会社製)、Kayanol Milling Yellow 5GW(商品名:日本化薬株式会社製)、Inolar Milling Red MNW(商品名:株式会社井上化学工業所製)及びLanaset Blue 2R(商品名:ハンツマン・ジャパン株式会社製)から少なくとも一つ選ばれる染料である請求項4記載の赤外線吸収能繊維。
【請求項7】
波長830nmにおける赤外線反射率が30%以下である請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の赤外線吸収能繊維。
【請求項8】
鉄含金染料を用いてナイロン又はウール繊維を染色することによって、波長830nmにおける赤外線反射率が30%以下になる染色加工を施すことを特徴とする赤外線吸収能付与染色方法。
【請求項9】
鉄含金染料に酸性染料を配合してナイロン又はウール繊維を染色することによって、波長830nmにおける赤外線反射率が30%以下になる染色加工を施すことを特徴とする赤外線吸収能付与染色方法。
【請求項10】
鉄含金染料がC.I.Acid Green 1 である請求項8又は請求項9記載の赤外線吸収能付与染色方法。
【請求項11】
酸性染料がクロム含金染料と非含金タイプ酸性染料とから選ばれる染料である請求項9又は請求項10記載の赤外線吸収能付与染色方法。
【請求項12】
クロム含金染料がC.I.Acid Yellow 17、C.I.Acid Yellow 116、C.I.Acid Yellow 127、C.I.Acid Yellow 129、C.I.Acid Yellow 155、C.I.Acid Yellow 220、C.I.Acid Yellow 232、C.I.Acid Yellow 235、C.I.Acid Orange 86、C.I.Acid Orange 87、C.I.Acid Orange 88、C.I.Acid Orange 140、C.I.Acid Orange 162、C.I.Acid Orange 166、C.I.Acid Red 211、C.I.Acid Red 215、C.I.Acid Red 251、C.I.Acid Red 256、C.I.Acid Red 315、C.I.Acid Red 399、C.I.Acid Red 407、C.I.Acid Violet 75、C.I.Acid Blue 127:1、C.I.Acid Blue 171、C.I.Acid Blue 193、C.I.Acid Blue 229、C.I.Acid Blue 317、C.I.Acid Blue 335、C.I.Acid Brown 19、C.I.Acid Brown 28、C.I.Acid Brown 45、C.I.Acid Brown 224、C.I.Acid Brown 283、C.I.Acid Brown 298、C.I.Acid Brown 413、Isolan Yellow NHF-S(商品名:ダイスタージャパン株式会社製)、Isolan Red NHF-S(商品名:ダイスタージャパン株式会社製)及びIsolan Blue NHF-S(商品名:ダイスタージャパン株式会社製)から少なくとも一つ選ばれる染料である請求項11記載の赤外線吸収能付与染色方法。
【請求項13】
非含金タイプ酸性染料がC.I.Acid Yellow 79、C.I.Acid Orange 67、C.I.Acid Orange 95、C.I.Acid Red 52、C.I.Acid Red 111、C.I.Acid Red 138、C.I.Acid Violet 48、C.I.Acid Violet 97、C.I.Acid Blue 18、C.I.Acid Blue 205、C.I.Acid Blue 221、Kayanol Brilliant Flavine FL CONC(商品名:日本化薬株式会社製)、Kayanol Milling Yellow 5GW(商品名:日本化薬株式会社製)、Inolar Milling Red MNW(商品名:株式会社井上化学工業所製)及びLanaset Blue 2R(商品名:ハンツマン・ジャパン株式会社製)から少なくとも一つ選ばれる染料である請求項11記載の赤外線吸収能付与染色方法。

【公開番号】特開2009−299249(P2009−299249A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−278772(P2008−278772)
【出願日】平成20年10月29日(2008.10.29)
【出願人】(596054467)朝倉染布株式会社 (7)
【出願人】(000179306)山田化学工業株式会社 (29)
【Fターム(参考)】