説明

赤熱コークスを受けるバケットのバケットカバー装置

【課題】コークス排出ガイド車の停車位置がばらついてもバケットカバーの着脱が可能で、バケットカバーが熱変形してもバケットとバケットカバーの間に隙間が生じにくい赤熱コークスを受けるバケットのバケットカバー装置を提供する。
【解決手段】台車17に搭載されて、コークス排出ガイド車14を介してコークス炉から赤熱コークスを受骸するバケット12に被せるバケットカバー13と、コークス排出ガイド車14の進行方向側部に設けられて、バケットカバー13の着脱を行うバケットカバー着脱機構16を有し、バケットカバー13は、バケット12の上端部に形成された上方に拡大するテーパー部18に合わせて下方に縮小する内側勾配部21を備え、かつバケットカバー13の外側に下方に拡大しバケット12の頂部22が内側に嵌入する外側勾配部23を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コークス炉から赤熱コークスをバケットで受骸した後、バケットからのダストの飛散防止のためのバケットカバーをバケットに着脱するバケットカバー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コークス炉から窯出しされた赤熱コークスの消火は、赤熱コークスを積載した消火車を消火塔に移動させ、上部から大量の水を散水して消火する湿式消火が採用されている。しかしながら、赤熱コークスの湿式消火は、赤熱コークスの保有する膨大な熱量が蒸気となって大気中に逃散するばかりでなく、発生する水蒸気に同伴されて粉コークスが周囲近傍に飛散して問題となり、赤熱コークスの保有する膨大な熱量の有効利用、粉塵公害の問題を低減できるコークス乾式消火に代わってきた。
【0003】
また、このようなコークス乾式消火設備においては、赤熱コークスを積載したコークスバケットを完全に密閉することができないために、粉塵を飛散させる可能性があった。特にコークス炉から窯出しされた赤熱コークスをバケットに受入れ、コークス乾式消火設備まで輸送する間にバケットの上部からダストが飛散するので、工場の環境悪化や住宅地域に対してのダスト飛散が課題であった。
【0004】
この問題を解決するため、例えば特許文献1には、バケットの上にバケットカバーを設け、コークス排出ガイド車の側部に、このバケットカバーを着脱するための昇降枠とこれに設けられてバケットカバーを係脱する可動フックとを有するカバー着脱機構を有するコークス乾式消火設備が開示されている。
【0005】
さらに、特許文献2では、バケットの上部に水平方向に開閉可能なスライドカバーを設けたコークスバケットが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開平5−46939号公報
【特許文献2】実開平7−28950号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1記載の技術においては、赤熱コークスを受骸する際に、コークス排出ガイド車は、バケットカバーを外す停止位置と装着する停止位置がばらつくので、バケットカバーをバケットから外すとき、フックとバケットカバー掛止部がずれて、バケットカバーの着脱が不可となる場合がある。
また、特許文献2記載の技術においては、スライド式カバーが熱変形して、カバー分割部よりダストが飛散するという問題がある。また、旋回バケットでは、バケットを旋回させる前にバケットカバーを少し上昇させてから開閉する必要があり、バケットカバーの開閉構造が複雑となる。
【0008】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、コークス排出ガイド車の停車位置がばらついてもバケットカバーの着脱が可能で、バケットカバーが熱変形してもバケットとバケットカバーの間に隙間が生じにくい赤熱コークスを受けるバケットのバケットカバー装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的に沿う第1の発明に係る赤熱コークスを受けるバケットのバケットカバー装置は、台車に搭載されて、コークス排出ガイド車を介してコークス炉から赤熱コークスを受骸するバケットに被せるバケットカバーと、前記コークス排出ガイド車の進行方向側部に設けられて、前記バケットカバーの着脱を行うバケットカバー着脱機構を有する赤熱コークスを受けるバケットのバケットカバー装置であって、
前記バケットカバーは、前記バケットの上端部に形成された上方に拡大するテーパー部に合わせて下方に縮小する内側勾配部を備え、かつ前記バケットカバーの外側に下方に拡大し前記バケットの頂部が内側に嵌入する外側勾配部を有する。
【0010】
また、第2の発明に係る赤熱コークスを受けるバケットのバケットカバー装置は、第1の発明に係るバケットカバー装置において、前記バケットカバーの中央には、一方向に開口部を有する吊り下げ把手が設けられ、前記バケットカバー及び前記バケットの周囲には、対となる勾配ガイドを上下に備えた周方向位置決め手段が少なくとも2個対向して設けられ、前記バケットカバーを前記バケットカバー着脱機構を用いて前記バケットに被せる場合、その周方向位置を保持する。
【0011】
第3の発明に係る赤熱コークスを受けるバケットのバケットカバー装置は、第2の発明に係るバケットカバー装置において、前記バケットカバー着脱機構は、前記コークス排出ガイド車の進行方向側部に揺動可能に吊り下げられる固定フレームと、該固定フレームに昇降可能に設けられた昇降フレームと、該昇降フレームを上下する昇降手段と、前記昇降フレームの下部中央に設けられた支持金具にピンを介して回動自在に設けられて、前記昇降フレームが下がった状態で、前記吊り下げ把手の開口部に嵌入可能な吊りフックと、該吊りフックを前記ピンを介して回動する進退手段とを有する。
【0012】
第4の発明に係る赤熱コークスを受けるバケットのバケットカバー装置は、第3の発明に係るバケットカバー装置において、前記昇降フレームの下部には、前記吊り下げ把手の周囲を覆って、前記バケットカバーの上面に被さる傾き防止リングが緩衝バネを介して設けられている。
【0013】
第5の発明に係る赤熱コークスを受けるバケットのバケットカバー装置は、第4の発明に係るバケットカバー装置において、前記傾き防止リングは前記バケットカバーを囲む円形部材と該円形部材に斜め連結部材を介して連結される上板材とを有し、該上板材に前記緩衝バネの下端が固定され、更に、該上板材の下部中央には、上から前記吊り下げ把手に嵌入するテーパーガイドが設けられている。
【0014】
そして、第6の発明に係る赤熱コークスを受けるバケットのバケットカバー装置は、第3〜第5の発明に係るバケットカバー装置において、前記固定フレームには、上位置にある前記昇降フレームの落下を防止する落下防止手段が設けられている。
【発明の効果】
【0015】
第1〜第6の発明に係る赤熱コークスを受けるバケットのバケットカバー装置は、バケットカバーが、バケットの上端部に形成された上方に拡大するテーパー部に合わせて下方に縮小する内側勾配部を備え、かつバケットカバーの外側に下方に拡大しバケットの頂部が内側に嵌入する外側勾配部を有するので、バケットの中心位置とバケットカバーの中心位置がずれても、バケットカバーの内側勾配部がテーパー部に沿って移動して、円滑にバケットカバーの装着ができる。
【0016】
特に、第2の発明に係る赤熱コークスを受けるバケットのバケットカバー装置は、バケットカバーの周囲に、対となる勾配ガイドを上下に備えた周方向位置決め手段が少なくとも2個対向して設けられているので、バケットに対するバケットカバーの装着角度が一定に保持され、バケットカバーの着脱を行うバケットカバー着脱機構がバケットカバーを把持又は吊り下げる場合、バケットカバーの吊り下げ把手が一定方向を向き、バケットカバー着脱機構の構造が簡略化される。
【0017】
第3の発明に係る赤熱コークスを受けるバケットのバケットカバー装置は、バケットカバーの中央に、一方向に開口部を有する吊り下げ把手が設けられ、バケットカバー着脱機構は、コークス排出ガイド車の進行方向側部に揺動可能に吊り下げられる固定フレームと、固定フレームに昇降可能に設けられた昇降フレームと、昇降フレームを上下する昇降手段と、昇降フレームの下部中央に設けられた支持金具にピンを介して回動自在に設けられて吊り下げ把手の開口部に嵌入可能な吊りフックと、吊りフックをピンを介して回動する進退手段とを有するので、吊りフックを戻した(吊りフックの先部を上げた)状態で、昇降フレームを下げ、吊りフックの先部を下げて、進退手段によって吊りフックを吊り下げ把手に掛止し、昇降フレームを上昇させることによって、バケットカバーを開くことができ、この動作の逆の動作でバケットカバーをバケットの上に被せることができる。
【0018】
第4の発明に係る赤熱コークスを受けるバケットのバケットカバー装置は、昇降フレームの下部に、吊り下げ把手の周囲を覆って、バケットカバーの上面に被さる傾き防止リングが緩衝バネを介して設けられているので、傾き防止リングをバケットカバーの上に当接させると、昇降フレームを略垂直にバケットカバーの上に配置できる。
第5の発明に係る赤熱コークスを受けるバケットのバケットカバー装置は、傾き防止リングがバケットカバーを囲む円形部材と円形部材に斜め連結部材を介して連結される上板材とを有し、上板材に緩衝バネの下端が固定され、更に、上板材の下部中央には、上から吊り下げ把手に嵌入するテーパーガイドが設けられているので、テーパーガイドを確実に吊り下げ把手に嵌入させて、吊りフックを吊り下げ把手の開口部に装着できる。
【0019】
そして、第6の発明に係る赤熱コークスを受けるバケットのバケットカバー装置は、固定フレームに、上位置にある昇降フレームの落下を防止する落下防止手段が設けられているので、移動中に昇降フレームが下がってバケットカバーに当接するのが防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】(A)、(B)はそれぞれ本発明の第1の実施の形態に係る赤熱コークスを受けるバケットのバケットカバー装置の一部省略平面図及び正面図である。
【図2】同バケットカバー装置の取付け状態を説明する正面図である。
【図3】(A)は同バケットカバー装置のバケットカバーをバケットに取付けた状態の平面図、(B)、(C)はそれぞれバケットカバーをバケットに取付ける状態の一部省略側断面図である。
【図4】(A)、(B)は同バケットカバー装置の周方向位置決め手段の説明図である。
【図5】同バケットカバー装置でバケットカバーをバケットに装着した状態の正面図である。
【図6】(A)、(B)はそれぞれ本発明の第2の実施の形態に係る赤熱コークスを受けるバケットのバケットカバー装置の一部省略平面図、正面図である。
【図7】(A)バケットカバーの変形例を示す平面図、(B)はバケットの変形例を示す一部省略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
続いて、添付した図面を参照しながら、本発明を具体化した第1の実施の形態に係る赤熱コークスを受けるバケットのバケットカバー装置10を説明する。
図1(A)、(B)、図2に示すように、赤熱コークスを受けるバケットのバケットカバー装置10は、赤熱コークスを受骸するバケット12に被せるバケットカバー13と、コークス排出ガイド車14の進行方向側部に(即ち、進行方向にある)支持部材15を介して設けられ、バケットカバー13の着脱を行うバケットカバー着脱機構16を有する。バケット12は台車17に搭載されて、所定位置にあるバケット12にバケットカバー13を開いた(取り外した)状態で、図示しないコークス炉からコークス排出ガイド車14を介して赤熱コークスが充填される。
【0022】
バケット12は図1、図3に示すように、上端部に上方に拡径(拡大)するテーパー部18を有し、投入される大量の赤熱コークスを漏れなく受骸できる構造となっている。
バケットカバー13は円形の板材20の底部に、バケット12の上端部に形成され上方に拡径するテーパー部18に隙間を有して嵌入する内側勾配部21を有し、板材20の半径方向外側端部には、バケット12の環状の頂部22が半径方向内側に隙間を有して嵌入する外側勾配部23を有している。なお、内側勾配部21はテーパー部18に合わせて下方に縮径(縮小)し、外側勾配部23は下方に拡径するそれぞれ円錐台状となっている。また、環状の頂部22には耐磨耗性を向上させるライナーが設けられている。これによって、バケットカバー13の軸心とバケット12の軸心が一致しない場合でも、余裕をもってバケットカバー13をバケット12に被せ、バケットカバー13を被せた後は、バケットカバー13の軸心とバケット12の軸心をある程度合わせることができる。
なお、図7(A)、(B)に示すように、バケットカバー13a及びバケット12aは平面視して角部が円弧となった矩形形状であってもよい。その場合、バケット12aの上端部に形成された上方に拡大するテーパー部18aの形状に適合するように、バケットカバー13aの矩形板材の底部にある内側勾配部21aは下方に縮小し、外側勾配部23aは下方に拡大する四角錐台状(角部は円弧となっている)となっている(図示せず)。
【0023】
また、図3(A)〜(C)、図4(A)、(B)示すように、バケットカバー13とバケット12の側部には、このバケットカバー13の円周方向の取付け位置を決める2以上の周方向位置決め手段25、26が均等角度位置に対向して設けられている。周方向位置決め手段25、26は、バケットカバー13に取付けられた上金具27とバケット12に支持部材28aを介して取付けられる下金具28、29とを有し、これらは下金具28、29に設けられて上方に開く勾配ガイド30、31と上金具27に設けられて下方に狭まる勾配ガイド32、33とを有し、上金型27が下金型28、29に噛み合って、バケットカバー13の円周方向の位置を決めている。なお、上下に設けられた勾配ガイド30、32、勾配ガイド31、33がそれぞれ円周方向に対となっている。なお、図7(A)に示すように、バケットカバー13aが平面視して矩形形状の場合、バケットカバー13aの周方向の取付け位置を決める周方向位置決め手段25a、26aは対向して、バケットカバー13a及びバケット12aの対辺に設けられている。
【0024】
バケットカバー13の中央上部には、一方向に開口部35を有する吊り下げ把手37が設けられている。図3(B)、(C)に示すように、この吊り下げ把手37は両側に柱38、39を上部に梁40を有し門型となって中央に前記した開口部35が設けられている。以上に説明した周方向位置決め手段25、26によってバケットカバー13をバケット12に対して一定角度に保持すると、吊り下げ把手37の開口部35が一定方向を向くようになる。
【0025】
続いて、バケットカバー着脱機構16について図1、図5を参照しながら説明する。
バケットカバー着脱機構16は、支持部材15に取付けられた垂直部材42、43に第1のピン44、45、長尺ロッド46、47及び第2のピン48、49を介して揺動可能に吊り下げられた固定フレーム50と、固定フレーム50に設けられた断面コ字状のガイド溝(ガイド部材の一例)51、52に沿って昇降する昇降フレーム54と、固定フレーム50の上部に固定されて昇降フレーム54を上下させる油圧シリンダー55(昇降手段の一例)とを有している。
【0026】
固定フレーム50は円板状の上部材57及び環状の下部材58を有し、上部材57及びこの下部材58は複数のロッド59、前記したガイド溝51、52によって連結されている。昇降フレーム54はガイド溝51、52に嵌入するガイド60を有し、昇降フレーム54の下部には取付け部材61が設けられている。そして、この取付け部材61に環状に隙間を有して配置された複数のスプリング62(緩衝バネの一例)を介して傾き防止リング63が設けられている。このスプリング62によって、バケットカバー13着脱時の衝撃を吸収することができる。
【0027】
この傾き防止リング63はバケットカバー13の中央に設けられている吊り下げ把手37の周囲を十分な隙間を有して囲む大きさを有し、バケットカバー13の上に載った場合、揺動可能に取り付けられたバケットカバー着脱機構16(具体的には固定フレーム50)の角度をバケットカバー13の表面に合わせて傾動できるようになっている。その結果、バケットカバー13が熱変形や傾き等によって高さ方向や左右方向にずれが生じても、吊り下げ把手37はテーパーガイド77に嵌入できるようになっている。
【0028】
昇降フレーム54(即ち、取付け部材61)の中央下端には、支持金具65が設けられて、この支持金具65にピン66を介して吊りフック67の基部が回動可能に取付けられている。この吊りフック67は側面視してコ字状となって、中間部に駆動ピン68を介して傾動金具69に上端がピン結合される駆動ロッド70が連結され、傾動金具69を傾動する油圧シリンダー71(進退手段の一例)によって、吊りフック67が回動するようになっている。
【0029】
一方、傾き防止リング63は下端に設けられてバケットカバー13を囲む円形部材73と上部に設けられスプリング62の下端が固定された上板材74とこれらを連結する斜め連結部材75とを有し、上板材74の底部中央には、下方にある吊り下げ把手37を、上から中央に嵌入させるテーパーガイド77が設けられている。このテーパーガイド77は対となる板材78、79からなって下方に拡幅し、傾き防止リング63がバケットカバー13に当接した場合、板材78、79の間に吊り下げ把手37が嵌入するようになっている。そして、この板材78、79には中央に開口が設けられ、吊り下げ把手37の開口部35に符合し、油圧シリンダー71によって押し下げられた吊りフック67が嵌入するようになっている。
【0030】
従って、この赤熱コークスを受けるバケットのバケットカバー装置10を用いる場合は、図1に示すように、バケットカバー13が装着された空のバケット12を台車17によって搬送する。なお、バケット12は台車17に所定の角度、即ち、吊り下げ把手37が台車17の進行方向に対して直交する向きになっている。そして、赤熱コークスを受けるバケットのバケットカバー装置10の油圧シリンダー55を伸ばして、昇降フレーム54を押し下げる。これによって、テーパーガイド77に吊り下げ把手37が嵌入し、次に傾き防止リング63の円形部材73がバケットカバー13に当接する。これによって、バケットカバー着脱機構16の台車進行方向に対する傾きが修正されるので、台車17の停車位置がばらついても対応できるようになっている。
【0031】
この後、油圧シリンダー71を作動させて吊りフック67をテーパーガイド77の開口部を通して、吊り下げ把手37の開口部35に貫通させる(図5参照)。この状態で油圧シリンダー55を縮めると、昇降フレーム54がバケットカバー13と共に持ち上がる。これによって、バケット12の蓋であるバケットカバー13がバケット12と分離することになる。この状態で、台車17を移動させ、バケット12内に赤熱コークスを入れ、再度、台車17を移動させて赤熱コークスを受けるバケットのバケットカバー装置10の位置にバケット12を搬送する。
【0032】
この状態で、油圧シリンダー55を伸ばすと、バケット12にバケットカバー13が被さる。このとき、バケットカバー13の下部には、十分な隙間を有して内側勾配部21と外側勾配部23が設けられているので、バケットカバー13とバケット12の軸心が多少ずれても、バケットカバー13はバケット12の上に自動調心しながら被さる。
また、バケットカバー13の周囲には周方向位置決め手段25、26が設けられているので、バケットカバー13の下降時に、バケットカバー13の向きも調整されることになる。
【0033】
この状態で、油圧シリンダー71を縮めると、吊りフック67が吊り下げ把手37の開口部35から外れる。次に油圧シリンダー55を縮めると、バケットカバー13をバケット12の上に残した状態となる。
この場合、バケットカバー13に多少の熱変形があっても、内側勾配部21と外側勾配部23とでバケットカバー13がバケット12を覆い、ダストの漏れが減少する。
【0034】
続いて、図6(A)、(B)を参照しながら、本発明の第2の実施の形態に係る赤熱コークスを受けるバケットのバケットカバー装置82について説明するが、第1の実施の形態に係る赤熱コークスを受けるバケットのバケットカバー装置10と同一の構成要素は同一の符号を用いて、詳しい説明を省略する。
【0035】
この赤熱コークスを受けるバケットのバケットカバー装置82が、赤熱コークスを受けるバケットのバケットカバー装置10と相違する点は、昇降フレーム54の上部に落下防止手段83を設けた点である。この落下防止手段83は、固定フレーム50にピン84を介して設けられたロック部材85とロック部材85を回動する油圧シリンダー86と、昇降フレーム54の上位置にあるロック受け部材87とを有し、油圧シリンダー86を伸ばすことによって、ロック受け部材87にロック部材85が嵌合し、上位置にある昇降フレーム54が下降できないようになっている。また、油圧シリンダー86を縮めてロック部材85をロック受け部材87から引き抜くと、昇降フレーム54が下降できるようになっている。
【0036】
以上、本発明を、実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。特に、バケットカバー及びバケットは、平面視して円形又は矩形形状に限定されるものではなく、多角形形状や楕円形状であってもバケットカバーがバケットに被せることが可能な形状であればよい。
【符号の説明】
【0037】
10:赤熱コークスを受けるバケットのバケットカバー装置、12、12a:バケット、13、13a::バケットカバー、14:コークス排出ガイド車、15:支持部材、16:バケットカバー着脱機構、17:台車、18、18a:テーパー部、20:板材、21、21a:内側勾配部、22:頂部、23、23a:外側勾配部、25、25a、26、26a:周方向位置決め手段、27:上金具、28、29:下金具、28a:支持部材、30〜33:勾配ガイド、35:開口部、37:吊り下げ把手、38、39:柱、40:梁、42、43:垂直部材、44、45:第1のピン、46、47:長尺ロッド、48、49:第2のピン、50:固定フレーム、51、52:ガイド溝、54:昇降フレーム、55:油圧シリンダー、57:上部材、58:下部材、59:ロッド、60:ガイド、61:取付け部材、62:スプリング、63:傾き防止リング、65:支持金具、66:ピン、67:吊りフック、68:駆動ピン、69:傾動金具、70:駆動ロッド、71:油圧シリンダー、73:円形部材、74:上板材、75:斜め連結部材、77:テーパーガイド、78、79:板材、82:赤熱コークスを受けるバケットのバケットカバー装置、83:落下防止手段、84:ピン、85:ロック部材、86:油圧シリンダー、87:ロック受け部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
台車に搭載されて、コークス排出ガイド車を介してコークス炉から赤熱コークスを受骸するバケットに被せるバケットカバーと、前記コークス排出ガイド車の進行方向側部に設けられて、前記バケットカバーの着脱を行うバケットカバー着脱機構を有する赤熱コークスを受けるバケットのバケットカバー装置であって、
前記バケットカバーは、前記バケットの上端部に形成された上方に拡大するテーパー部に合わせて下方に縮小する内側勾配部を備え、かつ前記バケットカバーの外側に下方に拡大し前記バケットの頂部が内側に嵌入する外側勾配部を有することを特徴とする赤熱コークスを受けるバケットのバケットカバー装置。
【請求項2】
請求項1記載の赤熱コークスを受けるバケットのバケットカバー装置において、前記バケットカバーの中央には、一方向に開口部を有する吊り下げ把手が設けられ、前記バケットカバー及び前記バケットの周囲には、対となる勾配ガイドを上下に備えた周方向位置決め手段が少なくとも2個対向して設けられ、前記バケットカバーを前記バケットカバー着脱機構を用いて前記バケットに被せる場合、その周方向位置を保持することを特徴とする赤熱コークスを受けるバケットのバケットカバー装置。
【請求項3】
請求項2記載の赤熱コークスを受けるバケットのバケットカバー装置において、前記バケットカバー着脱機構は、前記コークス排出ガイド車の進行方向側部に揺動可能に吊り下げられる固定フレームと、該固定フレームに昇降可能に設けられた昇降フレームと、該昇降フレームを上下する昇降手段と、前記昇降フレームの下部中央に設けられた支持金具にピンを介して回動自在に設けられて、前記昇降フレームが下がった状態で、前記吊り下げ把手の開口部に嵌入可能な吊りフックと、該吊りフックを前記ピンを介して回動する進退手段とを有することを特徴とする赤熱コークスを受けるバケットのバケットカバー装置。
【請求項4】
請求項3記載の赤熱コークスを受けるバケットのバケットカバー装置において、前記昇降フレームの下部には、前記吊り下げ把手の周囲を覆って、前記バケットカバーの上面に被さる傾き防止リングが緩衝バネを介して設けられていることを特徴とする赤熱コークスを受けるバケットのバケットカバー装置。
【請求項5】
請求項4記載の赤熱コークスを受けるバケットのバケットカバー装置において、前記傾き防止リングは前記バケットカバーを囲む円形部材と該円形部材に斜め連結部材を介して連結される上板材とを有し、該上板材に前記緩衝バネの下端が固定され、更に、該上板材の下部中央には、上から前記吊り下げ把手に嵌入するテーパーガイドが設けられていることを特徴とする赤熱コークスを受けるバケットのバケットカバー装置。
【請求項6】
請求項3〜5のいずれか1に記載の赤熱コークスを受けるバケットのバケットカバー装置において、前記固定フレームには、上位置にある前記昇降フレームの落下を防止する落下防止手段が設けられていることを特徴とする赤熱コークスを受けるバケットのバケットカバー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−87268(P2013−87268A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−232059(P2011−232059)
【出願日】平成23年10月21日(2011.10.21)
【出願人】(306022513)新日鉄住金エンジニアリング株式会社 (897)
【出願人】(390022873)NSプラント設計株式会社 (275)