説明

走査光源による導波管に基づく検出システム

本発明は、空間的走査光源を用いて、1つ以上の導波管内に光学的パルスを生成するための方法及び装置を供給する。検出システム、その使用方法、及び生物活性のある検体分子を検出するためのキットもまた供給される。システムは、走査光源と、複数の導波管及び基板の1つ以上の導波管と光通信する複数の光学感知部位を備える基板と、基板に結合され、かつ光通信する検出器と、光線がその走査経路に沿ったある点で基板の導波管と結合され、かつ光通信するように前記走査光源から発せられる光線を空間的に平行移動するための手段とを含む。走査光源の使用は、簡単で費用効率の良いやり方での基板の導波管内への光の結合を可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は空間的走査光源を用いた1つ以上の導波管内の光パルスの発生のための方法、及び装置、並びに生物活性のある検体分子の検出のための検出システム、その使用方法、及びキットに関する。
【背景技術】
【0002】
光学手段に基づく生物学的物質解析方法は、ここ数十年で人気を増している。全てのこうした方法に共通するのは、生体分子間の化学的相互作用が発光スペクトル、吸収スペクトル、又は屈折率のような、一部の測定可能な光学特性に影響を与える変化を生むことである。光学特性の変化は、検体自身、又は相互作用がその上で起こる面のような、仲介物を通して起こることがある。こうした変化は、その後入射光(通常レーザー光)を用いて監視され、これは次に出射光スペクトル(例えば、蛍光)、強度(例えば、吸収)又は位相(例えば、表面プラズモン共鳴、及び任意の干渉計測法)を変化させる。
【0003】
ほとんどのこうした光学的生体分析方法は、ニッチの用途と隙間市場を見出し、非常に人気があり影響力のある1つの方法はマイクロアレイ光学蛍光走査であった。かかる光学的走査は、比較的短時間で数万の微小試料の検査の実施を可能にした。この方法の主要な利点としては、a) 性能(感度及び信号対雑音比(SNR))、b)速度、及びc)試料検体の小型化が挙げられる。これらのパラメータは、この方法の効率及び優位性を画定する。
【0004】
現在マイクロアレイ要素は、通常、ガラス、プラスチック、またはエポキシから作成された平坦な基板チップの上に置かれる。続いて、チップは、励起光と結果として生じる蛍光との両方が光り、且つ上から集められ、単一の光電子増倍管(PMT)検出器を用いて分析される共焦点走査システムを用いて走査される。この配設は、生体試料と(通常単一の単層の)光との間の非常に短い相互作用長を含むいくつかの固有の制限という弱点がある。これは信号強度と、かくしてSNRを制限する。別な制限として、後方反射光と放射された蛍光が同じ方向に進むことにより、背景又はノイズが高いことがある。更なる制限は、合焦した状態に維持される必要があるチップの、平面性と位置との両方に対する高い感度である。さらに別の制限は、あらゆる試料内の十分に多い数の「ピクセル」(走査点)、及び十分長い積分時間を有する必要性による遅い作動である。さらに別の制限は、大きく高価なシステムを伴う複雑な光学的及び機械的構造の必要性である。
【0005】
別の光学的生体分析方法は導波管に基づく生体センサーである。導波管に基づく生体感知は昔からある。こうした生体センサーは3種類に大別することができる。1番目はチップの上か下からの集光を伴うスラブ導波管蛍光励起を伴う。この配設では、生体分析点は、単一スラブ導波管を包含するチップの表面上に配置される。光はレンズ又は全ての生体分析された点で同時にチップ全体を励起する回折格子を用いて導波管内に結合される。蛍光は、チップの上又は下から光学撮像システム及び電荷結合素子(CCD)検出器を用いて集められる。この種のシステムの欠点の1つは、励起の均一性及び集光による比較的低い性能である。これは繰り返し不能な結果をもたらす。別の欠点は、異なる点の間のクロストークによる高いノイズレベルである。更なる欠点は、大きい点及び比較的少数の要素がCCDによる効率的な撮像のための十分大きい信号を生むために必要なことである。なおさらに別の欠点は、SNRの問題を克服するための長い積分時間である。上記方法の実施例は米国特許第5,814,565号、第 6,911,344号、及び第6,395,558号に記載される。
【0006】
第2の導波管に基づく生体センサーは、干渉計測光学装置を用いる。この場合、チャネル導波管は、マッハ・ツェンダー干渉計(MZI)又はリング共振器のような干渉計測装置と共に用いられる。こうした感知式干渉計測装置は、導波管面近くの生体分子の結合による屈折率の変化を感知する。この種のシステムに関する主要な問題は、他の材料の蒸着と温度変化から起きることがある指数変化の正確な理由を認識できないことによる非特異性を含む。別な問題はこの方法が多数の素子配列を行うのを不適格とする異なる素子の処理における非常に遅い速度である。上記方法の実施例は、米国特許第5,494,798号、第4,515,430号、第5,623,561号及び第6,618,536号に記載される。
【0007】
第3の導波管ベースの生体センサーは、表面プラズモン共鳴(SPR)を用いる。ここで、1つの実施例において、薄い金層がガラス基板の上に蒸着される。この金の上の生体解析試料は、金層の上の屈折率の変化を誘発し、金層に沿った表面プラズモンを生成するための共鳴角度を変える。プラズモンの生成は、屈折された光線の増幅されたピークとして検出される。SPR方法の実施例は、例えば、米国特許第6,956,651 B2号に扱われる。米国特許第6,396,995 B1号に記載されるような他の種類の光学的生体センサー及び配列スキャナが存在する。
【0008】
全てのこうした導波管に基づくセンサーに共通する1つの特徴は、最初に光を導波管中へ結合する必要性である。全てのこうした光学的導波管は、100マイクロメートルからマイクロメートルの数分の1の範囲の微小な断面を有するので、導波管内への光の結合は光の合焦のための特殊な光学、導波管に関して光源を正確に配置するための精密な機械的整合、及び光と干渉すること無く全ての構成要素を低位置に接合するための特殊な接着剤に関与する。この工程は、こうしたほとんどの場合に、相当な費用と複雑さをシステム全体に加える。
【0009】
こうした光学的導波管用途の多数では、光は短パルスの形で導波管内を進む。こうしたパルスは、ピコ(10−12)秒ほども短い可能性があり、かつ数ミリ(10−3)秒ほども長い可能性がある。さらに、こうしたパルスは、全て同じ波長であったり、多くの異なる波長の組み合わせであったりする可能性がある。こうしたパルスは、最初に光学的導波管に結合された1つ以上の光源を変調することで生成される。2つ以上の波長のパルスが必要な場合、結合器、例えばアレイ導波路格子(AWG)をシステムに加えなければならない。
【0010】
様々な用途、例えば生体解析、および検出システムにおいて、光学的導波管は、低コストの消耗型チップの一部であってもよい。 導波管に基づく光学的検出システムが、例えば、共に全体が参照により本明細書に組み込まれる2007年9月13日に公開された米国特許公報第20070211985号、及び2009年3月12日に公開された第20090068668号に開示される。かかる消耗型チップを用いるシステムにおいて、光は何度も新しいチップに結合される必要がある。かかる場合、当技術分野で周知の光結合技術の費用と複雑さ(例えば、米国特許第4,881,789号、第5,734,768号、第5,600,744号、第5,581,646号、第5,444,805号、第5,217,568号、第5,121,457号、第5,077,878号、第4,744,623号、及び第4,478,485号参照)は耐え難い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、簡単で費用効率の良いやり方での1つ以上の光学的導波管内への光の結合を可能にする方法及び装置を提供する。本発明は、さらに光学的導波管内への多波長のパルスの列の簡単な結合のための方法及び装置を提供する。本発明は、さらに複数の光学的導波管内への1つ以上の波長の相関したパルスの列の結合のための方法及び装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
1つの態様において、本発明は、光学的導波管内で光学パルスを生成する方法であって、光信号を運ぶように構成された内部、及び前記内部に接する第1の端面を有する光学的導波管を提供することと、光線を提供することと、導波管内で光学パルスが生成される、光線が一時的に光学的導波管の第1の端面に接触するように光学的導波管に対して光線を空間的に平行移動することと、を含み、これにより光学的導波管内で光学パルスが生成される、方法を提供する。
【発明の効果】
【0013】
さらなる実施形態において、本発明は、光学的導波管内で光パルスを生成する方法であって、光線が光モードを有し、光学的導波管が光モードを有し、光線が一時的に光学的導波管に接触する間に、光線光学モードが一時的に、光線からの光が光学的導波管内、及び光学的導波管中に達するように導波管の光学モードに重なる、方法を提供する。
【0014】
本発明の実施形態において、この方法は、光線を発することができる光源を供給することをさらに含む。いくつかの実施形態において、光源はレーザーである。いくつかの実施形態において、光源は発光ダイオード(LED)である。いくつかの実施形態において、光線は光学的導波管に接触する前に反射される。いくつかの実施形態において、光線は光学的導波管に接触する前に屈折される。
【0015】
本発明の実施形態において、光源は移動可能であり、光源から発せられた光線の空間的な平行移動は光源の移動によって実施される。様々な実施形態において、光源の動きは回転方向、垂直方向、水平方向、横方向又は長手方向である。本発明の他の実施形態において、導波管は移動可能であり、光源から発せられた光線の空間的な平行移動は、導波管の移動によって実施される。様々な実施形態において、導波管の動きは回転方向、垂直方向、水平方向、横方向又は長手方向である。
【0016】
本発明の実施形態において、光源は、操作可能に作動装置に接続される。他の実施形態において、導波管は、操作可能に作動装置に接続される。作動装置の動きは、電力、熱的な力、磁力、又は機械的な力(すなわち、手動)により実施されてもよい。様々な実施形態において、作動装置は圧電に基づくモーター、ステップモーター、電気モーター、磁気作動装置、「形状記憶合金」作動装置、ソレノイド又は油圧作動装置である。
【0017】
1つの実施形態において、光源は圧電曲げ作動装置上に搭載される。作動装置に力を加えることで作動装置を上、又は下に動かし、これにより空間内に線を走査する。この線に沿った任意の光学的導波管の光モードは、ある点で光源の光モードのいくつかに重なり、光パルスが光学的導波管内に投入される。
【0018】
さらなる実施形態において、複数の光源が圧電曲げ作動装置上に搭載される。作動装置がその経路を走査する度に、いくつかの光パルスが光学的導波管内に投入される。いくつかの実施形態において、複数の光源は、各々異なる波長を有する光線を発する。作動装置がその経路を走査する度に、いくつかの光パルスが、各々異なる波長で、光学的導波管内に投入される。
【0019】
さらなる実施形態において、複数の光学的導波管が1つ以上の光源の走査経路に沿って配設される。
【0020】
本発明のある実施形態において、光源は回転ディスクの外端に搭載され、光源から発せられた光線がディスクから外側に向けられ、かつディスクが回転するにつれて一時的に光学的導波管に接するように配置される。さらなる実施形態において、複数の光源が回転ディスク上に搭載される。さらなる実施形態において、複数の光学的導波管が、光モードを内向きに(ディスクの中心の方に向かって)回転ディスクの周囲に搭載される。ディスクの回転ごとに、ありとあらゆる光源の光モードは、ありとあらゆる光学的導波管の光モードと1度重なる。それゆえ各光学的導波管内で生成されるパルスの総数は、ディスク上に搭載される光源の総数に等しいようになる。
【0021】
本発明のさらなる実施形態において、光源から発せられた光線は空間的に平行移動される。様々な実施形態において、発せられた光線は、レンズ、プリズム、鏡又はその組み合わせによって空間的に平行移動される。いくつかの実施形態において、鏡は攪拌鏡である。
【0022】
1つの実施形態において、光源の前に配置されたレンズは、空間において移動され、光源から発せられた光線は、その光モードが光学的導波管の光モードと重なるまで空間を通して走査を生じる。
【0023】
別の実施形態において、光源の前に配置された攪拌鏡は、その光モードが光学的導波管の光モードと重なるまで空間を通して発せられた光線を攪拌する。
【0024】
さらなる態様において、本発明は、光学的導波管内で光パルスを生成するための器具であって、光線を発するための光源と、第1の端部を有する光学的導波管と、光源の光モードが、導波管内に光パルスを供給するように光学的導波管の前記第1の端部に一時的に接触するように前記光源からの光線を空間的に平行移動するための手段と、を備える器具を提供する。
【0025】
本発明の実施形態において、器具はさらに1つ以上の追加の光源及び/又は1つ以上の追加の光学的導波管を備える。いくつかの実施形態において、器具は異なる波長を有する光線を各々発する多数の光源を備える。
【0026】
様々な実施形態において、光学的導波管に対して光源からの光線を空間的に平行移動するための手段は、回転ディスク、モーター、ソレノイド、油圧機構、圧電機構、及び「形状記憶合金」機構から選ばれた機構を含む。
【0027】
ある実施形態において、光源は回転ディスクの外端に搭載され、前記光源は、前記光源から発せられた光線が前記回転ディスクの外側に向けられ、前記ディスクが回転するにつれて一時的に光学的導波管の第1の端部に接するように前記光源によって発せられた前記光線が向けられるように配置される。
【0028】
さらなる実施形態において、光源は、前記作動装置が動くにつれて一時的に光学的導波管の第1の端部に接するように前記光源によって発せられた光線が向けられるように作動装置の上に搭載される。
【0029】
さらなる実施形態において、器具は、作動装置の上に搭載された走査レンズを備え、前記作動装置の動きが、一時的に光学的導波管の第1の端部に接するように前記レンズによって前記光源によって発せられた光線を向けさせるようにするように前記走査レンズが光源と光学的導波管との間に配置される。
【0030】
さらなる実施形態において、器具は攪拌鏡を備え、前記攪拌鏡の動きが、前記攪拌鏡によって前記光源によって発せられた光線を、一時的に光学的導波管の第1の端部に接するように向けるようにするように、前記攪拌鏡が光源と光学的導波管との間に配置される。
【0031】
さらなる態様において、本発明は、光を光学的導波管内へに結合するための上記のいずれかの方法又は装置を用いる光学的検出システムを供給する。本発明は、生物学的指標の検出、化学又は生物兵器剤の検出、ウイルス性又は細菌性感染症の検出又は診断、遺伝病又は癌の診断、タンパク質間、タンパク質リガンド間、又はタンパク質小分子間の相互作用、核酸配列の検出、並びに空気、水、土及び食物試料の環境モニタリングを含むがこれらに制限されない用途のためのかかる検出システムの使用をさらに供給する。
【0032】
本発明はさらに複数の導波管及び複数の光学的感知部位を備える走査光源、検出器、及び基板を含むその使用の検出システム及び方法を供給する。光源は、光源から発せられた光が走査経路に沿ったある点で基板の導波管と結合され、かつ光通信するように基板に対して空間的に平行移動される。走査光源の使用は、簡単で費用効率の高いやり方での基板の導波管内への光の結合を可能にする。
【0033】
一般に本発明は、走査光源と、複数の導波管及び基板の1つ以上の導波管と光通信する複数の光学感知部位を備える基板と、基板に結合され、かつ基板と光通信する検出器と、光線が走査経路に沿ってある点で基板の1つ以上の導波管と結合され、かつ光通信するような前記走査光源から発せられる光線を空間的に平行移動するための手段と、を含む検出システム及びその使用方法を特徴とする。
【0034】
本発明のいくつかの実施形態において、走査光源は光発生素子を備えるチップである。さらなる実施形態において、走査光源チップはさらに導波管を備える。代替実施形態において、走査光源はさらに外部光源に結合され、かつ外部光源と光通信するチップである。いくつかの実施形態において、外部光源は光ファイバーにより走査光源チップに結合される。いくつかの実施形態において、走査光源チップはさらに導波管を含む。
【0035】
いくつかの実施形態において、基板は、複数の実質的に平行な励起導波管、及び複数の実質的に平行な集光導波管であって、励起導波管及び集光導波管は、励起導波管及び集光導波管が交差する交差領域の2次元配列を形成し、かつ各交差で交差領域との光通信を供供するように交差し、かつ交差領域と各々光通信する複数の光学感知部位を備える。システムは、さらに基板の第1の端部で1つ以上の励起導波管と結合し、かつ光通信する、その走査経路に沿ったある点における走査光源及び、基板の第2の端部で1つ以上の集光導波管と結合し、かつ光通信する検出器を備える。いくつかの実施形態において、2つ以上の検出器が基板の様々な端部において、1つ以上の集光導波管と結合し、かつ光通信する。
【0036】
他の実施形態において、基板は、複数の実質的に平行な導波管、及び導波管と各々光通信する複数の光学的感知部位を備える。システムは、基板の第1の端部において、1つ以上の導波管と結合し、かつ光通信する、その走査経路に沿ったある点における走査光源及び、基板の同じ又は反対側の端部で前記導波管と結合し光通信する検出器をさらに備える。いくつかの実施形態において、基板は、複数のインカップリング導波管及び複数のアウトカップリング導波管、並びにインカップリング及びアウトカップリング導波管と各々光通信する複数の光学的感知部位を備える。システムは、基板の第1の端部において、1つ以上のインカップリング導波管と結合し、かつ光通信する、その走査経路に沿ったある点における走査光源、並びに基板の1つ以上のアウトカップリング導波管と結合し、かつ光通信する検出器をさらに備える。
【0037】
いくつかの実施形態において、走査光源は検出器をさらに備え、光源が、光感知部位と光通信する複数の導波管の1つ以上と結合し、かつ光通信する点において、検出器はまた前記1つ以上の導波管と結合し光通信する。いくつかの実施形態において、基板は、複数のインカップリング導波管及び複数のアウトカップリング導波管を備え、光源が1つ以上のインカップリング導波管と結合し、かつ光通信する点で、検出器が1つ以上のアウトカップリング導波管と結合し、かつ光通信する。
【0038】
本発明のいくつかの実施形態において、走査光源は、光発生素子及び検出素子を備えるチップである。さらなる実施形態において、走査光源チップは、インカップリング及びアウトカップリング導波管をさらに備える。さらなる実施形態において、走査光源チップは少なくとも1つの結合器をさらに備える。代替実施形態において、走査光源は、外部光源及び外部検出源にさらに結合され、かつ光通信するチップである。いくつかの実施形態において、外部光源は、光ファイバーにより走査光源チップに結合される。いくつかの実施形態において、走査光源チップは、インカップリング及びアウトカップリング導波管をさらに含む。さらなる実施形態において、走査光源チップは、少なくとも1つの結合器をさらに備える。
【0039】
本発明のいくつかの実施形態において、光学的感知部位は、導波管内の光源によって生成された第1の光波を変換するように構成され、異なる導波管内に第2の光波をもたらし、第2の光波が検出器によって検出可能であるセンサーをさらに備える。他の実施形態において、光学的感知部位は、導波管内の光源によって生成された第1の光波を変換するように構成され、同じ導波管内に第2の光波をもたらし、第2の光波が検出器によって検出可能であるセンサーをさらに備える。
【0040】
いくつかの実施形態において、光源素子は様々な波長の光を供給可能である。いくつかの実施形態において、光源は広帯域源である。他の実施形態において、光源は可変源である。様々な実施形態において、光源は発光ダイオード(LED)、又はレーザーダイオード(LD)であってもよい。様々な実施形態において、検出器の検出器素子、又は走査光源チップは、PINダイオード、アバランシェフォトダイオード、又は一群の電荷結合素子(CCD)アレイの一部のピクセルであってもよい。いくつかの実施形態において、検出器はシリコンフォトダイオードアレイである。
【0041】
本発明の実施形態において、走査光源は移動可能で、光源から発せられた光線の空間的な平行移動は走査光源の移動によって実施される。さらなる実施形態において、光源から発せられた光線の空間的な平行移動は、1つ以上の鏡、レンズ、又はプリズムのような走査光源の構成要素の動きによって実施される。代替の実施形態において、基板は移動可能で、光源から発せられた光線の空間的な平行移動は基板の移動によって実施される。様々な実施形態において、基板の光学的導波管に対して光源からの光線を空間的に平行移動するための手段は回転ディスク、モーター、ソレノイド、油圧機構、圧電機構、及び形状記憶合金機構から選択される機構を含む。本発明の実施形態において、走査光源は操作可能に作動装置に接続される。作動装置の動きは電力、熱的な力、磁力、又は機械的な力(すなわち、手動)で実施されてもよい。様々な実施形態において、作動装置は圧電ベースのモーター、ステップモーター、電気モーター、磁気作動装置、形状記憶合金作動装置、ソレノイド又は油圧作動装置である。いくつかの実施形態において、作動装置は圧電曲げ作動装置である。
【0042】
一般に、さらに別の態様において、本発明は、検出システムの基板上の光学感知部位に対して検出されるべき生物活性のある検体分子を包含する疑いのある試料を送ることと、光源が光学感知部位と光通信する複数の導波管の1つ又はそれ以上に結合され、かつ光通信する点へ走査光源を空間的に平行移動することと、を含み、それにより、第1の光波が光学感知部位に関するセンサーによって第2の光波に変換可能な、前記導波管内で第1の光波を生成する、検出方法を提供する。さらに、方法は、センサーが生物活性のある検体分子と相互作用するときに第2の光波の測定可能な変化が起きる、基板と光通信する検出器を用いた第2の光波の測定可能な変化の検出を備える。
【0043】
いくつかの実施形態において、基板は、光学感知部位と光通信する複数の実質平行な励起導波管を備え、第1の光波は、光学感知部位に組み込まれたセンサーによって、光学感知部位と光通信する実質平行な複数の集光導波管の1つ以上に運び込まれる第2の光波に変換可能で、かつ励起導波管と公差し、第2の光波内の測定可能な変化は、集光導波管と光通信する検出器を用いて検出され、第2の光波内の測定可能な変化は、センサーが生物活性のある検体分子と相互作用するときに起きる。
【0044】
他の実施形態において、基板は光学感知部位と光通信する複数のインカップリング及びアウトカップリング導波管を備え、光源が光学感知部位と光通信する複数のインカップリング導波管の1つ以上と結合し、かつ光通信する点で、検出器が1つ以上のアウトカップリング導波管と結合し、かつ光通信する。
【0045】
他の実施形態において、走査光源は検出器をさらに備え、光源が光感知部位と光通信する1つ以上の導波管と結合し、かつ光通信する点で、検出器はまた前記1つ以上の導波管とも結合し、かつ光通信する。さらなる実施形態において、基板は光学感知部位と光通信する複数のインカップリング及びアウトカップリング導波管を備え、走査光源がさらに検出器を備え、かつ光源が光学感知部位と光通信する複数のインカップリング導波管の1つ以上と結合し、かつ光通信する点で、検出器が1つ以上のアウトカップリング導波管と結合し光通信する。
【0046】
本発明の方法の様々な実施形態において、生物活性のある検体は、核酸、タンパク質、抗原、抗体、微生物、気体、化学物質及び汚染物質からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、第2の光波の測定可能な変化の検出は診断結果を供給する。
【0047】
本発明のいくつかの実施形態において、SNPは生物活性のある検体において検出される。本発明の他の実施形態において、遺伝子の発現は生物活性のある検体の検出において検出される。いくつかの実施形態において、方法は、光学感知部位でのリアルタイムのPCR反応の実施をさらに含む。
【0048】
本発明のいくつかの実施形態において、センサーは、生物活性のある検体と相互作用するセンサーが免疫測定法の結果を備える免疫測定法に対応するように適合される。さらなる実施形態において、対応する免疫測定法は酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)である。さらなる実施形態において、対応する免疫測定法は蛍光免疫測定法である。
【0049】
本発明は、生物学的指標の検出、化学又は生物兵器剤の検出、ウイルス性又は細菌性感染症の検出又は診断、遺伝病又は癌の診断、タンパク質間、タンパク質リガンド間、又はタンパク質小分子間の相互作用、核酸配列の検出、並びに空気、水、土及び食物試料の環境モニタリングを含むがこれらに制限されない用途のための検出システムの使用をさらに提供する。
【0050】
参照による組み込み
本明細書に記載される全ての出版物及び特許出願は、参照として組み込まれるものとして各個別の出版物又は特許出願が具体的かつ個別に示されているように、同じ範囲の参照により本明細書に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
本発明の新しい特徴が添付の特許請求の範囲において詳細に述べられる。本方法及び組成物の特徴及び利点をより良い理解が、本方法の原理、組成物、装置、及び器具が用いられる例示的な実施形態を述べる次の発明を実施するための形態、及び添付の図面から得られる場合がある。
【0052】
【図1】光学的導波管の概略図である。
【図2A】本発明での使用のための光源の1つの可能な構成を示す概略図である。
【図2B】一般的な光源光モードを示すグラフである。
【図3A】本発明による走査結合システムの実施形態の概略図である。
【図3B】複数の光学的導波管を含む本発明による走査結合システムの第2の実施形態の概略図である。
【図3C】複数の光源及び複数の光学的導波管を含む本発明による走査結合システムの第3の実施形態の概略図である。
【図4A】回転ディスクを含む本発明による走査結合システムの第4の実施形態の概略図である。
【図4B】回転ディスク、複数の光源及び複数の光学的導波管を含む本発明による走査結合システムの第5の実施形態の概略図である。
【図5】走査レンズを含む本発明による走査結合システムの第6の実施形態の概略図である。
【図6】攪拌鏡を含む本発明による走査結合システムの第7の実施形態の概略図である。
【図7A】能動的走査光源チップ、基板、検出器及び光学感知部位を含む本発明の1つの実施形態による検出システムの概略図である。
【図7B】能動的走査光源/検出器チップ、基板及び光学感知部位を含む本発明の別の実施形態による検出システムの概略図である。
【図7C】光源、線維、チップ、受動的走査光源チップ、基板、光学感知部位及び検出器を含む本発明の別の実施形態による検出システムの概略図である。
【図7D】光源、検出器、線維、受動的光源/検出器チップ、基板及び光学感知部位を含む本発明の別の実施形態による検出システムの概略図である。
【図7E】走査光源/検出器チップ、圧電曲げ作動装置及び基板を含む本発明のある実施形態による検出システムの概略側面図である。
【図8】動作中のシステムの一部としての筐体内の本発明の検出システムの代表的な実施例を示すブロック図である。
【図9A】光学感知部位及びバリアと併用される光学的導波管を含む1つの実施形態による本発明の基板の概略図である。
【図9B】光学感知部位及びバリアと併用される光学的導波管及び結合器を含む別の実施形態による本発明の基板の概略図である。
【図9C】光学感知部位と併用される光学的導波管を含む1つの実施形態による本発明の基板の概略断面図である。
【図9D】光学感知部位及びバリアと併用される励起光学的導波管及び集光光学的導波管を含む別の実施形態による本発明の基板の概略図である。
【図9E】光学感知部位と併用される励起光学的導波管及び集光光学的導波管を含む図9Dに示される本発明の実施形態の基板の斜視図である。
【図9F】図9D及び図9Eに示される基板の2つの断面図(AA及びBB)である。
【図9G】熱電冷却器に関する本発明の1つの実施形態の基板の側面図である。
【図9H】加熱器及びサーミスタを含む光学感知部位の詳細を示す本発明の基板の1つの実施形態の概略図である。
【図9I】加熱器及びサーミスタを含む光学感知部位の詳細を示す本発明の基板の別の実施形態の概略図である。
【図9J】光学感知部位に関する貯槽及びマイクロ流路を含む本発明の基板の1つの実施形態の概略図である。
【図9K】光学感知部位に関する貯槽及びマイクロ流路を含む本発明の基板の別の実施形態の概略図である。
【図10A】光学感知部位、バリア及び漏斗と併用される励起光学的導波管及び集光光学的導波管を含む本発明の基板の概略図である。
【図10B】図10Aに示されるある実施形態による基板の特徴の拡大図である。
【図10C】1つの実施形態による基板の断面図である。
【図11A】光学感知部位、バリア、及び枝と併用される励起光学的導波管及び集光光学的導波管を含む本発明の基板の1つの実施形態の概略図である。
【図11B】図11Aに示されるある実施形態による基板の特徴の拡大図である。
【図11C】1つの実施形態による基板の平面(AA)の断面図である。
【図11D】1つの実施形態による基板の平面(BB)の断面図である。
【図12A】光学的インカップリング導波管を含む1つの実施形態による本発明の受動走査光源チップの概略図である。
【図12B】光学インカップリング及びアウトカップリング導波管及び光学結合器を含む1つの実施形態による本発明の受動走査光源/検出器チップの概略図である。
【図12C】光学インカップリング及びアウトカップリング導波管を含む別の実施形態による本発明の受動走査光源/検出器チップの概略図である。
【図13A】本発明を表す典型的な層及び導波管を含む基板全体の概略図である。
【図13B】本発明の代表的な導波管及びシリカ層の顕微鏡写真の画像である。
【図13C】導波管及び関連する基板層の斜視図である。
【図14A】光源素子及び光学インカップリング導波管を含む1つの実施形態による本発明の能動走査光源チップの概略図である。
【図14B】光源素子、検出器素子、光学インカップリング及びアウトカップリング導波管及び光学結合器を含む1つの実施形態による本発明の能動走査光源/検出器チップの概略図である。
【図15】本発明の検出システムとともに使用するための器具と通信する代表例の論理デバイスを示すブロック図である。
【図16】キットの代表例を示すブロック図である。
【図17A】本発明の基板及び導波管の代表的な製造工程を示す概略図である。
【図17B】本発明の基板及び導波管の代表的な製造工程を示す概略図である。
【図17C】本発明の基板及び導波管の代表的な製造工程を示す概略図である。
【図17D】本発明の基板及び導波管の代表的な製造工程を示す概略図である。
【図18】基板のための代表的な製造工程を示すフローチャートである。
【図19】オボアルブミンに特有の固体化抗体への蛍光標識されたオボアルブミンの結合のデータのプロットである。
【図20】本発明の検出システムの1つの実施形態を用いて検出されるプライマ伸長反応中のDNA分子中へのCy5.5標識付きのシトシンの取り込みのデータのプロットである。
【図21】本発明の検出システムを用いた10チャンネルのチップ上のウシ血清内のクロストリジウム・ディフィシル毒素Aのリアルタイム検出を示すグラフである。
【図22】本発明の検出システムを用いた一連の10の10チャンネルのチップ上で測定されるクロストリジウム・ディフィシル毒素Aの標準曲線を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0053】
本発明の詳細な説明
本発明は、簡単で費用効率の良いやり方で1つ以上の光学的導波管内に光1つ以上の波長の光を結合するための方法及び装置を提供する。走査光源、検出器、基板、及び複数の導波管及び光学感知部位を含む検出システムを用いた光学的検出のための器具、方法、及びキットもまた供給される。本システムの1つの基板は、複数の実質的に平行な励起導波管及び複数の実質的に平行な集光導波管を含む。励起導波管及び集光導波管は、交差して交差領域及び2次元のアレイを形成する。本システムの他の基板は、複数の実質的に平行な導波管、及び複数の感知部位を含む。光学感知部位はセンサーを含み、1つ以上の導波管と光通信する。様々な環境及び生体試料の検出は、本明細書に記載される器具、方法及びキットを用いて達成することができる。光波誘導及びエバネッセント場蛍光励起の一般的な理論的原理は本明細書に開示される実施形態に当てはまる。
【0054】
本明細書及び付属の特許請求の範囲で用いられる場合、単数形の「ある(a、an)」及び「その(the)」は状況が明示されない限り複数の言及を含む。
【0055】
別途規定されない限り、本明細書に用いられる全ての技術及び化学的用語は、本明細書に記載される本発明が属する業界の当業者が一般に理解するものと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと同様または同等のいかなる方法、装置及び材料を、本明細書に記載される本発明の実践、または試験に用いることができるが、ここでは、好ましい方法、装置及び材料が記載される。
【0056】
定義
「生物活性のある検体」という用語は、本明細書で用いられるときには、ウイルス、細菌、菌類、植物、動物及び人間を含むがそれらに制限されるものではない生物有機体の何らかの物理的又は生化学的特性に影響を与えることがある任意の物質を意味する。特に本明細書で用いられる場合、本発明による生物活性のある検体は、発現タンパク質、細胞指標、抗体、血清タンパク質、コレステロール、多糖類、核酸、生物学的検体、遺伝子、タンパク質又はホルモン、もしくはそれらの任意の組み合わせなどのような薬、プロドラッグ、医薬品、薬物代謝産物、生体指標を含むが、それらに制限されるものではない。生物活性のある検体はさらに、気体、化学物質もしくは汚染物質、又はそれらの組み合わせ(例えば、環境源からの)を含むがそれらに制限されるものではない天然又は人工の物質を含むことができる。分子レベルにおいて、生物活性のある検体は、ポリペプチド、糖タンパク質、多糖、脂質、核酸又はそれらの組み合わせとすることができる。
【0057】
特に興味深いのは特定の疾患又は特定の病期に関する生体指標である。
【0058】
かかる生物活性のある検体は、自己免疫疾患、肥満、高血圧、糖尿病、神経及び/又は筋肉の変性疾患、心臓病、内分泌障害、およびそれらの任意の組み合わせに関するものを含むが、それらに制限されるものではない。
【0059】
又興味深いのは、心臓、肝臓、前立腺、肺、腎臓、骨髄、血液、皮膚、膀胱、脳、筋肉、神経、及び異なる種類の癌(悪性又は非転移性)、自己免疫疾患、炎症、又は変性疾患のような様々な疾患によって影響される選択された組織を含む1つ以上の生体組織内に様々な量で存在する生体指標である。
【0060】
又興味深いのは、微生物を示す生物活性のある検体である。例示的な微生物としては、細菌、ウイルス、菌類、及び原虫があげられるがそれらに制限されるものではない。主題の方法によって検出することができる生物活性のある検体は、表皮ブドウ球菌、大腸菌、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MSRA)、黄色ブドウ球菌、スタフィロコッカス・ホミニス、エンテロコッカス・フェカリス、緑膿菌、スタフィロコッカス・キャピティス、スタフィロコッカス・ワーネリ、肺炎桿菌、インフルエンザ菌、スタフィロコッカス・シミュランス、肺炎球菌、及びカンジダアルビカンスからなる、限定されない群から選択される血液由来病原体も含む。
【0061】
主題の装置及び方法により検出可能な生物活性のある検体は、淋病(淋菌)、梅毒(梅毒トレポネーマ)、クラミジア(クラミジアトラコマチス)、非淋菌性尿道炎(ウレアプラズマ・ウレアリチカム)、イースト菌感染症(カンジダアルビカンス)、軟性下疳(軟性下疳菌)、トリコモナス症(膣トリコモナス)、性器ヘルペス(HSV1型及び2型)HIV1型、HIV2型、及びA、B、C、G型肝炎、並びにTTウイルスによる肝炎、から選択される様々な性感染病を含む。
【0062】
主題の装置及び方法により検出可能な追加の生物活性のある検体は、緑膿菌、メチシリン耐性の黄色ブドウ球菌(MSRA)、肺炎かん菌、インフルエンザ菌、黄色ブドウ球菌、ステノトロホモナス・マルトフィリア、パラインフルエンザ菌、大腸菌、エンテロコッカス・フェカリス、霊菌、パラヘモリチカス菌、エンテロコッカスクロアカエ、カンジダアルビカンス、モラクセラカタラーリス、肺炎球菌、サイトロバクター・フレウンディイ、エンテロコッカス・フェシウム、クレブシエラ・オキシトカ、蛍光菌、髄膜炎菌、化膿連鎖球菌、肺炎かん菌、レジオネラニューモフィラ、肺炎マイコプラズマ、及び結核菌を含むがそれらに制限されるものではない、広範にわたる呼吸器病原体を含む。
【0063】
以下に列記するのは、本発明による追加の典型的な標識である。すなわち、テオフィリン、CRP、CKMB、PSA、ミオグロビン、CA125、プロゲステロン、TxB2、6−ケト−PGF−1−アルファ及びテオフィリン、エストラジオール、黄体形成ホルモン、高感度CRP、トリグリセリド、トリプターゼ、低比重リポタンパクコレステロール、高比重リポタンパクコレステロール、コレステロール、IGFRである。
【0064】
例示的な肝臓標識としては、LDH、(LD5)、(ALT)、 アルギナーゼ1(肝臓型)、アルファフェトプロテイン(AFP)、アルカリホスファターゼ、アラニンアミノトランスフェラーゼ、乳酸脱水素酵素及びビリルビンが挙げられるが、それらに制限されるものではない。
【0065】
例示的な腎臓標識としては、TNFa受容体、シスタチンC、リポカリン型の尿中プロスタグランジンD、合成酵素(LPGDS)、肝細胞増殖因子受容体、ポリシスティン2、ポリシスティン1、フィブロシスチン、ウロモジュリン、アラニン、アミノペプチダーゼ、N−アセチル−B−D−グルコサミニダーゼ、アルブミン、及びレチノール結合タンパク質(RBP)が挙げられるがそれらに制限されるものではない。
【0066】
例示的な心臓標識としては、トロポニンI(TnI)、トロポニンT(TnT)、CK、CKMB、ミオグロビン、脂肪酸結合タンパク質(FABP)、CRP、D二量体、S−100タンパク質、BNP、NT−proBNP、PAPP−A、ミエロペルオキシダーゼ(MPO)、グリコーゲン・ホスホリラーゼ・アイソザイムBB(GPBB)、トロンビン活性化線溶阻害因子(TAFI)、フィブリノーゲン、虚血修飾アルブミン(IMA)、カルジオトロフィン−1、及びMLC−I(ミオシンL鎖−I)が挙げられるがそれらに制限されるものではない。
【0067】
例示的な膵臓標識としては、アミラーゼ、膵臓関連タンパク質(PAP−1)及び再生タンパク質(REG)が挙げられるがそれらに制限されるものではない。
【0068】
例示的な筋肉組織の標識としては、ミオスタチンが挙げられるがこれに制限されるものではない。
【0069】
例示的な血液の標識としては、エリスロポエチン(EPO)が挙げられるがこれに制限されるものではない。
【0070】
例示的な骨の標識としては、骨I型コラーゲンの架橋N−テロペプチド(NTx)、骨コラーゲンのカルボキシル末端架橋テロペプチド、リシル・ピリジノリン(デオキシピリジノリン)、ピリジノリン、酒石酸塩耐性の酸ホスファターゼ、I型プロコラーゲンCプロペプチド、I型プロコラーゲンNプロペプチド、オステオカルシン(骨のグラタンパク質)、アルカリホスファターゼ、カテプシンK、COMP(軟骨オリゴマー基質タンパク質)、オステオクリン、オステオプロテゲリン(OPG)、RANKL、sRANK、TRAP5(TRACP5)、骨芽細胞特異因子1(OSF−1、プレイオトロフィン)、可溶性細胞接着分子、sTfR、sCD4、sCD8、sCD44及び骨芽細胞特異因子2(OSF− 2、ペリオスチン)が挙げられるがこれに制限されるものではない。
【0071】
いくつかの実施形態において本発明による標識は疾患特異的である。例示的な癌の標識としては、PSA(総前立腺特異抗原)、クレアチニン、前立腺酸性ホスファターゼ、PSA複合体、前立腺特異遺伝子1型、CA12−5、癌胎児性抗原(CEA)、アルファ胎児型タンパク(AFP)HCG(ヒト柔毛膜性ゴナドトロピン)、インヒビン、CAA卵巣C1824、CA27.29、CA15−3、CAA胸C1924、Her−2、膵臓、CA19−9、癌胎児性抗原、CAA膵臓、神経特異的なエノラーゼ、アンギオスタチンをが挙げられるがこれに制限されるものではない。DcR3(可溶性デコイ受容体)、エンドスタチン、Ep−CAM(MK−1)、遊離免疫グロブリン軽鎖κ型、遊離免疫グロブリン軽鎖λ型、ハースタチン、クロモグラニンA、アドレノメジュリン、インテグリン、上皮細胞成長因子受容体、上皮細胞成長因子受容体−チロシンキナーゼ、プロアドレノメデュリンN末20ペプチド、血管内皮成長因子、血管内皮成長因子受容体、幹細胞因子受容体、c−kit/KDR、KDR及びミドカイン。
【0072】
例示的な感染症標識としては、ウイルス血症、菌血症、敗血症、PMNエラスターゼ、PMNエラスターゼ/α1−パイ錯体、界面活性タンパク質D(SP−D)、HBVc抗原、HBVs抗原、抗HBVc、抗HIV、Tサプレッサー細胞抗原、T細胞抗原比、Tヘルパー細胞抗原、抗HCV、ピロゲン、p24抗原、及びムラミルジペプチドが挙げられるがこれに制限されるものではない。
【0073】
例示的な糖尿病標識としては、Cペプチド、ヘモグロビンA1c、糖化アルブミン、終末糖化産物(AGEs)、1,5−アンヒドログルシトール、胃抑制ポリペプチド、グルコース、ヘモグロビン、ANGPTL3及びANGPTL4が挙げられるがこれに制限されるものではない。
【0074】
例示的な炎症標識としては、リウマチ因子(RF)、抗核抗体(ANA)、C反応性タンパク(CRP)及びクララ細胞タンパク質(ウテログロビン)が挙げられるがこれに制限されるものではない。
【0075】
例示的なアレルギーの標識としては、総IgE及び特異IgEが挙げられるがこれに制限されるものではない。
【0076】
例示的な自閉症標識としては、セルロプラスミン、メタロチオネイン、亜鉛、銅、B6、B12、グルタチオン、アルカリホスファターゼ及び アポアルカリホスファターゼの活性化が挙げられるがこれに制限されるものではない。
【0077】
例示的な凝固障害標識としては、Tトロンボグロブリン、血小板第4因子、及びフォン・ヴィレブランド因子が挙げられるがこれに制限されるものではない。
【0078】
いくつかの実施形態において、標識は治療特異的である場合がある。COX阻害剤としては、 TxB2(Cox−1)、6−ケト−PGF−1−アルファ(Cox 2)及び11−脱水−TxB−1a(Cox−1)が挙げられるがこれに制限されるものではない。
【0079】
本他の標識としては、レプチン、レプチン受容体、プロカルシトニン、脳S100タンパク質、P物質及び8−Iso−PGF−2aが挙げられるがこれに制限されるものではない。
【0080】
例示的な老年標識としては、ニューロン特異エノラーゼ、GFAP、及びS100Bが挙げられるがこれに制限されるものではない。
【0081】
例示的な栄養状態の標識としては、プレアルブミン、アルブミン、レチノール結合タンパク質(RBP)、 トランスフェリン、アシル化刺激タンパク質(ASP)、アディポネクチン、アグーチ関連タンパク質(AgRP)、アンジオポエチン様タンパク質4(ANGPTL4, FIAF)、Cペプチド、AFABP(脂肪細胞特異的脂肪酸結合タンパク質、FABP4)、アシル化刺激タンパク質(ASP)、EFABP(表皮脂肪酸結合タンパク質FABP5)、グリセンチン、グルカゴン、グルカゴン様ペプチド1、グルカゴン様ペプチド2、グレリン、インスリン、レプチン、レプチン受容体、PYY、RELMs、レジスチン及びsTfR(可溶性トランスフェリン受容体)が挙げられるがこれに制限されるものではない。
【0082】
例示的な脂質代謝の標識としては、アポリポタンパク質(数種)、Apo−A1、Apo−B、Apo−C−CII、Apo−D及びApo−Eが挙げられるがこれに制限されるものではない。
【0083】
例示的な凝固状態標識としては、因子1:フィブリノーゲン、因子2:プロトロンビン、因子3:組織因子、因子4:カルシウム、因子5:プロアクセレリン、因子6、因子7:プロコンベルチン、因子8:抗溶血性因子、因子9:クリスマス因子、因子10:スチュアート・プロワー因子、因子11:血漿トロンボプラスチン前駆体、因子12:ハーゲマン因子、因子13:フィブリン安定化因子、プレカリクレイン、高分子量キニノーゲン、プロテインC、プロテインS、D二量体、組織プラスミノゲン活性化因子、プラスミノゲン、a2抗プラスミン、及びプラスミノゲン活性化因子阻害剤1(PAI1)が挙げられるがこれに制限されるものではない。
【0084】
例示的なモノクローナル抗体標識としては、EGFR、ErbB2、及びIGF1Rのためのものが挙げられる。
【0085】
例示的なチロシンキナーゼ阻害剤の標識としては、Ab1、Kit、PDGFR、Src、ErbB2、ErbB 4、EGFR、EphB、VEGFR1−4、PDGFRb、FLt3、FGFR、PKC、Met、Tie2、RAF及びTrkAが挙げられるがこれに制限されるものではない。
【0086】
例示的なセリン/トレオニンキナーゼ阻害剤の標識としては、AKT、オーロラA/B/B、CDK、CDK(pan)、CDK1−2、VEGFR2、PDGFRb、CDK4/6、MEK1−2、mTOR、及びPKCβが挙げられるがこれに制限されるものではない。
【0087】
GPCR目標標識としては、ヒスタミン受容体、セロトニン受容体、アンジオテンシン受容体、アドレナリン受容体、ムスカリン性アセチルコリン受容体、GnRH受容体、ドーパミン受容体、プロスタグランジン受容体、及びADP受容体が挙げられるがこれに制限されるものではない。
【0088】
本発明の目的において、「治療薬」は、治療的有用性及び/又は可能性を有するいかなる物質も含むことを意図する。かかる物質としては、単純又は複雑な、有機又は無機分子、ペプチド、タンパク質(例えば、抗体)、又はポリヌクレオチド(例えば、アンチセンス)などのような生物学的化合物又は化学化合物が挙げられるがそれらに制限されるものではない。多くの化合物、例えば、ポリペプチド、及びポリヌクレオチド、並びに様々なコア構造に基づく合成有機化合物のようなポリマーが合成可能で、これらは又「治療薬」の用語に含まれる。加えて、植物や動物抽出物などのような、様々な天然源がスクリーニングのための化合物を供給することができる。常に明示されるわけではないが、物質は、単独で、又は本発明のスクリーンで特定される物質と同じ又は異なる生物活性を有する別の物質と組み合わせて用いられることを理解されたい。物質及び方法もまた、他の治療と組み合わせることを意図される。
【0089】
本発明による薬力学(PD)パラメータとしては、温度、心拍/脈、血圧及び呼吸数、並びにタンパク質、細胞、及び細胞指標のような生体指標のような物理パラメータが挙げられるがこれに制限されるものではない。生体指標は、疾病を示す又は薬の作用の結果である可能性がある。本発明の薬物動態(PK)パラメータとしては、薬物、及び薬物代謝産物濃度を含むがこれに制限されるものではない。試料容量からの素早いPKパラメータの同定化又は定量化は、薬物の適正な安全及び薬効のためにきわめて望ましい。薬物及び代謝産物濃度が、所望の範囲外であり、かつ/又は薬物に対する予期せぬ反応により予期せぬ代謝産物が生成される場合、患者の安全を確保するために早急な対策が必要な場合がある。同様に、PDパラメータのいずれかが、治療計画の間に所望の範囲外になった場合、また早急な対策をとらなければならない場合がある。
【0090】
好ましい実施形態において、物理パラメータデータは、毒性及び投薬の特定のためのモデルに薬物ゲノムのデータ、及び薬物動態データを組み込む外部装置上にあることがある、生物情報学システム内の物理パラメータデータの格納されたプロフィールに格納される又はこれと比較される。これは現在の過程の数年前に臨床試験に対するデータを生成するだけでなく、リアルタイムの継続的なモニタリングを通した見かけ上の薬効と実際の薬物の毒性との間の現在の差異の除去も可能にする。臨床研究の決行か中止かの決定プロセスの間に、大規模な比較集団調査をデータベースに格納されたデータに行うことができる。データのこの編集及びリアルタイムのモニタリングは、現在可能なものより早く、安全なやり方で、より多くの患者が臨床試験に参加することを可能にする。別の実施形態において、人間の組織の研究で発見された生体指標は、癌の研究における薬経路及び薬効の特定における向上した精度のための検出システムによって標的とすることができる。
【0091】
本明細書で用いられる際に「核酸」という言葉はデオキシリボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオシド、リボヌクレオシド、又はリボヌクレオチド、及びそのポリマーの、一本又は二本鎖の形式を指す。特に限定されない限り、この用語は、参照の核酸と同様の結合特性を有し、自然発生のヌクレオチドと似た方法で代謝される、天然ヌクレオチドの既知の相似器官を包含する核酸を含む。別途特に限定されない限り、この用語は、PNA(ペプチド核酸)、アンチセンス技術で用いられるDNAの相似器官(ホスホロチオ酸、ホスホロアミダート等)を含むオリゴヌクレオチドの相似器も指す。別途指示されない限り、特定の核酸配列は、控えめに変性されたその亜種(縮重コドン置換物を含むがそれらに制限されるものではない)、及び相補配列も暗示的に包含し、並びに明示される配列も包含する。特に、縮重コドン置換物は、1つ以上の選択された(又は全ての)コドンの第3位置が混合基及び/又はデオキシイノシン残基と置換される配置の生成によって達成されてもよい(Batzer et al.,Nucleic Acid Res. 19:5081 (1991)、Ohtsuka et al.,N,J.Biol.Chem.260:2605−2608 (1985)、及びRossolini et al.,N,Mol.Cell.Probes 8:91−98(1994))。
【0092】
「微生物」という用語は、本明細書で用いられるときに、細菌、放線菌目、藍色細菌(単細胞藻類)、菌類、原虫、動物細胞、もしくは植物細胞、又はウイルスを指す。微生物の例は病原体を含むがそれらに制限されるものではない。
【0093】
「ポリペプチド」、「ペプチド」、及び「タンパク質」という用語は、本明細書では、アミノ酸残基のポリマーを指して、同じ意味で使用される。すなわち、ポリペプチドを対象にする記述は、ペプチドの記述、及びタンパク質の記述に等価に適用され、その逆も適用される。この用語は、自然発生的なアミノ酸ポリマー、並びに1つ以上のアミノ酸残基が非天然アミノ酸であるアミノ酸ポリマーに適用される。本明細書で用いられる場合、この用語は、アミノ酸残基が共有ペプチド結合により結合される全長タンパク質(すなわち、抗原)を含む、任意の長さのアミノ酸鎖を含む。加えて、共有及び/又は非共有結合性相互作用を通して関連する複数のポリペプチド鎖を包含するタンパク質は、又本明細書で用いられる場合、「タンパク質」に含まれる。
【0094】
本明細書で用いられる場合、「多型」は、2つ以上の遺伝的に決定された選択的配列又は集団内の対立遺伝子を指す。多型指標又は部位は、逸脱が起きる遺伝子座である。好ましい指標は、少なくとも2つの、各々が選択集団の1%を超える、より好ましくは10%、又は20%を超える頻度で起きる対立遺伝子を有する。多型は、1つ以上の塩基の変化、挿入、反復又は欠失を含んでもよい。多型座は1つの塩基対ほど小さくてもよい。多型指標は、制限断片長多型、縦列反復配列多型(VNTR)、超可変領域、ミニサテライト、ジヌクレオチド反復、トリブクレオチド反復、テトラヌクレオチド反復、単純配列反復及びAluのような挿入因子を含む。第1の同定された対立遺伝子の形式は、参照形式として適宜に表され、他の対立形質は代替又は亜種の対立遺伝子として表される。選択集団調査で最も頻繁に起きる対立形質は、時々野生型形態と呼ばれる。2倍体生物は、対立形質にたいして同型又は異型であってもよい。2対立遺伝子多型は2つの形式を有する。3対立遺伝子多型は3つの形式を有する。
【0095】
単一ヌクレオチド多型(SPN)は、対立遺伝子配列間の変形例の部位の単一ヌクレオチドによって占められる多型部位で起きる。部位は通常、対立遺伝子の高度に保存された配列(例えば集団調査の1/100又は1/1000要素未満が異なる配列)に先行されるまたは後続される。
【0096】
単一ヌクレオチド多型は通常、多型部位における1つのヌクレオチドと別のヌクレオチドとの置換によって起こる。転移は、1つのプリンと別のプリンと、又は1つのピリミジンと別のピリミジンとの置換である。トランスバージョンは、プリンのピリミジンによる置換又はその逆である。単一ヌクレオチド多型は、ヌクレオチドの欠失、又は参照対立遺伝子に対するヌクレオチドの挿入から又起きることがある。
【0097】
「個別の」という用語は、本明細書で用いられるときは人類のみの限定でなく、哺乳類、植物、細菌又は上記のいずれかに由来する細胞を含むがそれらに制限されるものではない他の有機体を含んでもよい。
【0098】
本発明の態様は次の有利な特徴のうちの1つ以上を含んでもよい。光学操作素子の密で正確な統合は、平面光波回路技術を用いて達成することができる。本明細書に記載される平面光波回路の用途は、新しい薬物の発見及び開発、疾患調査、生体指標の発見、化学又は生物兵器剤の検出、環境モニタリング、毒物学及び疾患感受性を含むSNP関連研究、並びに疾患にかかりやすい患者の識別、及び特定の薬物感受性を有する患者の識別を含む診断を含む。
【0099】
1つの要素から別の要素への(例えば、発光体から光学的導波管への)「光学的結合」は、2つの要素の「光モード」間に何らかの重なりがあればいつでも起こる。本明細書で定義される場合、要素の「光モード」は、その要素によって発せられた、又は受けられた光の空間的及び一時的挙動を表す。
【0100】
本発明において1つ以上の光源、又は代替的に、それらの発せられた光線は、1つ以上の光学的導波管のいくつかの光モードの適宜の時間及び適宜の場所で重なるように空間を通して走査する光源の光モードで、1つ以上の光学導波管に対して空間的に平行移動される。重なりの間、光は光源の重なる光モードから光学的導波管の重なる光モードへ結合され、それによって、重なり時間と等しい持続時間を有するパルスで、重なる光源に等しい波長で、光学的導波管内の光パルスを生む。
【0101】
「光学的導波管に対し空間的に平行移動される」という用語は、光源が空間を通して物理的に平行移動されること、又は発せられた光線が光学手段(例えば、レンズ、プリズム、鏡等)を用いて平行移動されるか光モードの重なりが起こるまで、光学的導波管が空間を通して物理的に平行移動されることのいずれかを意味する。
【0102】
空間的走査光線を用いた光パルスを生成するこの方法を使用する器具は、本明細書で本発明の「走査結合システム」とよばれる。
【0103】
光学的導波管101全体が図1に描かれる。これは2つの主領域、コア領域111及びクラッド領域110からなる。光は閉じ込められコア領域内の導波管に沿って伝わる。この閉じ込めは、コア領域がクラッド領域より高い屈折率を有するように設計することによって最も一般的に達成される。こうしてコア領域を「逃れようとする」光は、「全内部反射」になりコア領域に捕らわれたままになる。特定の特性(例えば、伝播角度)を有する光のみがコア領域内に捕らえられる。全ての光学的導波管は、こうした特性を有し導波管に沿った伝播を可能にする離散する一組の「モード」を有する。これらは導波管112の「光モード」と呼ばれる。
【0104】
代表的な光源202が図2Aに概略で示される。光源は、レーザーチップ223、及びこれを駆動するための導線221からなる。レーザーは導波管内に光を結合するための最も一般的な源であるが、場合によって発光ダイオード(LED)が用いられてもよい。図中のレンズ222は、発せられた光の操作(すなわち、視準を合わせる、焦点を合わせる合、フィルタリングする、偏向する等)に用いることが可能な様々な光学部品を表す。全てのこうした部品は、単一又は複数の基板224上でコンパクトなやり方で組み立て可能である。
【0105】
かかる光源は、光またはパルスの連続波(CW)を生成するために操作する方法を制御する駆動電子機器に接続される。光源は1つ又はいくつかの異なる波長で光を生成する。場合によって、光源によって発せられた光の波長は、その温度の変更によって、又は発せられたスペクトルから1つの波長を選ぶために光源の前にフィルターを配置することによって調整することができる。光源によって発せられ、レンズ(及び/又は他の光学部品)を通る光は、特定の強度分布及び本明細書で光源「光モード」と呼ばれる伝播角度を有する。図2Bは光源光モード213、所定の距離(Z)でのその強度分布214、そのY分布215及びそのX分布216の例を示す。
【0106】
本発明の実施形態において、光源からの光パルスは、2つの光モード間に重なりがある点を通じて1つを他方に対して動かすことにより光学的導波管に結合され、光学的導波管内に光パルスの生成をもたらす。同じ光源及び光学的導波管による同じ工程の繰り返しは、同一な光パルスの列を生成する。異なる光源による同じ工程の繰り返しは、波長、及び/又は持続時間、及び/又は光源によって発せられた光の任意の他の特性(例えば、強度、時間的コヒーレンス、空間的コヒーレンス、又は振幅変調)の異なるパルスの列を生成する。複数の光源、及び複数の光学的導波管による走査工程の繰り返しは、光学的導波管の全て又はいくつかによるパルスの、相関性がある列を生成する。
【0107】
生成されたパルスは、光源及び光学的導波管の2つの光モードの空間内の畳み込みになる。この畳み込みは、光モードと空間及び時間の重なりとの両方に影響される。もたらされるパルスは、又2つのビームの大きさに影響される。走査速度は、移動する光モードの時間的依存性を通して生成されたパルスにも影響する。導波管が2つ以上のモードを有する場合、もたらされるパルスは全ての重なりの合計である。
【0108】
パルス持続時間は、光源の有効ビーム直径、及び導波管の有効ビーム直径の取得によってより簡単に計算される場合がある。近似パルス持続時間は、これら2つのビーム直径の合計を走査振幅で割り、走査期間を掛けたものである。
【0109】
1つ以上の光源、又は1つ以上の光学的導波管に対する発せられた光線の相対運動を達成するための多くの可能な手段がある。これらの手段は、例えば、回転ディスク、モーター、ソレノイド、油圧機構、圧電機構、及び「形状記憶合金」機構のような機構を含んでもよい。加えて、相対運動は、単純な手動駆動の作動装置を通じて生成されてもよい。光源又は光学的導波管のいずれかは、空間中を物理的に移動されてもよい。代替的に、光学的手段(例えば、レンズ、プリズム、鏡等)を用いて光源から発せられた光線は平行移動する一方で、光源は固定でもよい。光学的手段の空間的な平行移動は、上記のいずれかの手段を用いて達成されてもよい。
【0110】
本発明の光学的結合の方法及び装置の様々な非限定的な実施形態が以下に記される。
【0111】
本発明の1つの実施形態において、図3Aに示されるように、光源302は、圧電曲げ作動装置305上に搭載される。走査結合システム300は、光学的導波管301をさらに備える。圧電曲げ作動装置駆動装置(図示せず)は、電線306を通じて作動装置と相互作用する。駆動装置は作動装置の運転に必要な電圧を発生する。この電圧は、圧電曲げ作動装置の上及び/又は下の曲げを生じる「鋸歯状」波、又は「正弦」波、又は「矩形」波の形状、又は任意の他の形状の電気波であってもよく、このようにして光学的導波管に対して光源を動かす。光源の経路に沿ったどこかで、光源の光モードと光学的導波管の光モードとの間で重なりが起こり、これにより光学的導波管内を進む光パルスが生成される。
【0112】
パルスの持続時間は、2つの光モードの重なり時間に等しい。パルスの持続時間は、光モードのうちの1つの変更、又は走査速度の調節のいずれかによって制御されてもよい。光源の光モードは、例えば、エミッター(図2A参照)の前のレンズを遠く、又は近くに動かすことで制御可能で、これによって、発せられた光線(すなわち光モード)を広げる、又は収束する。
【0113】
例えば、幅10ミクロンのガウス形光モードの光源、及び幅1ミクロンのガウス形光モードの光学的導波管を備えるシステム内で、2つの光モードの重なりの幅は1つの畳み込みとなり、幅が約10ミクロンのガウス形光モードがもたらされる。圧電曲げ作動装置が300ミクロンの走査振幅で、100Hzの周波数を有する周期的な「鋸歯状」波で駆動される場合、結果は5ミリ秒ごとに一度光学的導波管内で生成される167マイクロ秒パルスである。
【0114】
いかなる他の機械システムと同様に、圧電曲げ作動装置は、その走査速度に制限を有する。本発明の走査結合システムの構成要素は、それゆえ特定用途に要求される走査速度を満たすことができるように選択又は設計される。本発明は、関連する光パルスの持続時間が約マイクロ(10−6)秒以上である場合に特に有利な場合がある。
【0115】
本発明の更なる実施形態が図3Bに示され、走査結合システム300は、圧電曲げ作動装置305及びその電線306、光源302並びに複数の光学的導波管301からなる。走査光源はここで、選択された走査経路に基づき光学的導波管のいくつか又は全ての中でパルス列を生成する。
【0116】
図3Cに本発明の更なる実施形態が示される。走査結合システム300は、複数の光源302、複数の光学的導波管301、圧電曲げ作動装置305、及びその電線306を備える。異なる光源の特性(例えば、その波長又は光モード)を選択することによって、各光学的導波管内で多くの異なる波長の様々な持続時間のパルス列を生成することが可能である。
【0117】
図4Aに描かれる更なる実施形態において、走査結合システム400を作成するために光源402が回転ディスク403上に搭載される。システムは光学的導波管401をさらに備える。回転ディスクは、電子駆動装置(図示せず)によって駆動され、光源光モードが、光学的導波管の光モードに重なる点を通してディスクの周辺を走査するようにする。この重なりの間に、光パルスが光学的導波管内で生成され、その持続時間は重なりの持続時間に等しい。この場合、パルス持続時間は、2つの光モードの形状及びディスクの回転速度によって制御される。
【0118】
図4Bに走査結合システム400のさらなる実施形態が示される。複数の光学的導波管401が、ディスクの周りに内向きで配置された状態で、複数の光源402が、外向きにディスク403上に搭載される。同じ光学的導波管内の2つの隣接するパルスの間の時間は、光源間の間隔、並びにディスクの回転速度によって制御される。全ての光学的導波管内のパルス列間にも明確に定義された時間相関がある。
【0119】
本発明のなお、さらなる実施形態が、図5に概略的に示され、走査結合システム500は、走査レンズ507を搭載した、圧電曲げ作動装置、及びその電線506からなる。本発明のこの実施形態において、光源502及び光学的導波管501は固定される。光源によって発せられた光線の走査は、光源の前のレンズを動かすことで達成される。レンズは、作動装置の動きが、光源によって発せられる光線がレンズによって向けられ、光線の光モードと光学的導波管との間に重なりが生じるように、光源と使用される光学的導波管との間に配置される。
【0120】
図6は攪拌鏡608が、光学的導波管601の「光モード」に重なるまで空間を走査するために光源602からの光線を偏向するように機能する、走査結合システム600のさらに別の非限定的な実施例を示す。1つの具体例における光経路609もまた示される。攪拌鏡の動きは、例えば、回転ディスク、モーター、ソレノイド、油圧機構、圧電機構、及び「形状記憶合金」機構、又は手動で駆動される作動装置を含む、本明細書で開示される手段のいずれかで実施されてもよい。
【0121】
上記全ての実施形態において、光源は、選択された時間周期で「オン」及び「オフ」することで制御可能で、これにより、光源が光学的導波管を通して走査される間に潜在的パルスのどれが実際に生成されるかを制御する。さらに、絶えずスキャナを周期的なやり方で操作することによって、光源の走査、又はその発せられた光線は周期的とすることができ、又はスキャナを「要求に応じて」操作して、単一のパルスから多数のパルスの間のいずれかを生成することができることが理解されるべきである。
【0122】
本発明は、上記の走査結合装置及び方法のいずれかを用いる光学的検出システムをさらに備える。 かかる光学的検出システムのさらなる構成要素は、例えば、試料結合及び/又は処理のための基板、伝熱素子、サーミスタ、微小流路、貯槽、電子制御盤、試料処理システム、インターフェースパネル、及び覆い又は筐体を含んでもよい。図8は、本発明の走査結合システムが用いられてもよい1つの可能なシステムを表す検出システムのブロック図である。本発明の走査結合システムが特に有益な、具体的な光学的走査システムが2007年9月13日に公開された米国特許公報第20070211985号、及び2009年3月12日に公開された第20090068668号に記載される。
【0123】
様々な実施形態において、本発明の検出システムは、走査光源及び複数の導波管を備える基板を含む。走査光源は、光線が走査経路に沿ったある点で基板の導波管と結合され、かつ光通信するように基板の導波管に対して空間的に平行移動される1つ以上の光線を発する。「基板の導波管に対して空間的に平行移動される」は、走査光源が物理的に空間を通して並行移動される、又は導波管を備える基板が物理的に空間を通して並行移動されることのいずれかを意味する。
【0124】
様々な実施形態において、走査光源は、本明細書で「走査光源チップ」と呼ばれるチップである。走査光源がさらに検出器要素を含む実施形態において、これは本明細書で「走査光源/検出器」、又は「走査光源/検出器チップ」と呼ばれる。本発明の走査光源チップ及び走査光源/検出器チップは、本明細書で光発生素子(及び存在する場合検出器素子)がチップと一体化される実施形態において「能動的走査」チップとさらに呼ばれ、光発生素子(及び存在する場合検出器素子)がチップの外部である実施形態において「受動的走査」チップとさらに呼ばれる。一般用語の「走査光源」は、走査光源チップ及び走査光源/検出器チップのいずれか又は全ての実施形態を包含するように本明細書で用いられることがある。これらの種類の走査光源の各々を含む本発明のシステムの例示的な実施形態が以下に記載される。
【0125】
図7Aは能動的な走査光源チップ702、基板704、光学感知部位712及び検出器706を含む本発明の例示的な検出システム700を示す。基板は、交差領域714で交差又は交わる励起導波管708及び集光導波管710を含む。
【0126】
図7Aに示すように、1つの実施形態において、能動的な走査光源チップ702は、基板704の第1の端部で、1つ以上の励起導波管708と結合し、かつ光通信する走査経路に沿ったある点にある。加えて、検出器706は、基板704の第2の端部で1つ以上の集光導波管710と結合し、かつ光通信する。基板の1つの端部にある単一の検出器が示されるが、2つ以上の検出器が基板の様々な端部で1つ以上の集光導波管又は励起導波管と結合し、かつ光通信することがあると想定される(図示せず)。例えば、能動的な走査光源チップが基板の第1の端部に結合された1つの実施形態において、第1の検出器は、隣接する端部に結合され、かつ集光導波管の第1の端部と光通信する可能性があり、一方で、第2の検出器は別の隣接する端部に結合され、かつ集光導波管の第2の端部と光通信する可能性がある。第3の検出器は、能動的な走査光源チップに結合された1つの端部の反対側の端部に結合され、かつ励起導波管の第2の端部と光通信することができる(図示せず)。
【0127】
図7Aに示されるように、1つの実施形態において、システム700は実質的に平面とすることができる。例えば、能動的な走査光源チップ702は平面のチップとすることができる。これは第3のチップである平面の検出器706にさらに結合される第2のチップである平面の基板704に結合することができる。図7Aに示されるように、特定の実施形態において、システム700は3つの結合されたチップを含む平面光波回路である。1つの実施形態において、2つのチップは単一のチップに統合される(例えば、基板チップ及び検出器チップ)。かかる構成は、基板チップが再使用可能で長期間効率的に使用可能な場合に有益である。かかる構成の1つの用途は、生物的な戦争関連の病原体を検出するためのシステム内にあってもよい。かかる用途において、チップの交換の必要無しに長期間システムを作動することが有利であろう。加えて、単一の基板の上に統合された2つのチップを有することが2つのチップの相対的な整合を維持する問題を解決する。
【0128】
システムが、核酸、タンパク質又は微生物を含む生物活性のある検体の検出を含むがそれらに制限されるものではない生物学的用途で用いられる場合、基板は複数素子の生体分析チップとすることができる。
【0129】
図7A及び図7Cの実施形態において、励起導波管及び集光導波管の交差又は交わりは、例えば、基板内で、単一又は複数の層内に励起導波管及び集光導波管が埋め込まれる、直接の物理的交差又は交わりとすることができると想定される。代替的に、交差又は交わりは、励起導波管及び集光導波管が別の層内の基板内に埋め込まれる、励起導波管と集光導波管との間の物理的間隔又は距離に関与すると想定される。システム700の光学感知部位712は一般的に交差領域714に関連する。
【0130】
一般的に、1つの光学感知部位712は、各交差領域714に関連する。図示のように、1つの実施形態において、交差領域714及び光学感知部位712の数は、100の交差領域714及び100の光学感知部位712の配列である。交差領域及び基板チップの上の光学的感知領域の数は、10を超える、100を超える、1,000を超える、又は10,000を超えることができる想定される。交差領域の密度は、平方センチメートルあたり10を超える、平方センチメートルあたり100を超える、平方センチメートルあたり1,000を超える 又は平方センチメートルあたり10,000を超えることができるとさらに想定される。1つの実施形態において、交差領域の密度は、平方センチメートルあたり2,000を超える。
【0131】
図7A及び図7Cにさらに示されるように、励起導波管708及び集光導波管710の交差又は交わりは、実質垂直で、例えば90°の角度とすることができる。代替的に、ある実施形態においては、交差又は交わりは90°未満又は90°超とすることができる。
【0132】
また図7A及び図7Cの実施形態において、励起導波管内の能動的な走査光源チップによって生成された第1の光波が、センサーが光信号を変換するよう誘導し、集光導波管内に第2の光波をもたらし、第2の光波が検出器によって検出可能であることもまた想定される。
【0133】
図7Aに示されるように、1つの有利な実施形態において、システム700は、平面的な2次元の検出システムである。この実施形態内のシステム700は、走査経路に沿ったある点で1つ以上の光パルスを、例えば生体分析チップ面の、基板704の面に結合するために、基板の面に垂直に走査される、例えば切替可能レーザーの列の、複数の光源素子718を備える平面の能動的な走査光源チップ702を含む。さらに、能動的な走査光源チップ702は、個々の導波管708に対して選択的で、かつプログラムされた励起のために動的光源を設け、その励起導波管708に沿って全ての光学感知部位712に励起を提供してもよい。動的光源は、調節可能な波長及び/又は調節可能な帯域幅光源を含むがそれらに制限されるものではない。加えて、この実施形態のシステム700は、具体的には、集光が励起導波管708内で作られる光の方向に実質的に垂直であるように、基板704の面内の、集光導波管710内の全ての励起感知部位712からの発せられた光の平面集光を設ける。
【0134】
図7B及び図7Dの実施形態において、光学感知部位712は各導波管708に組み込むことができることが想定される。基板チップの上の光学的感知部位の数は、10を超える、100を超える、200を超える、1,000を超える、5,000を超える、又は10,000を超えることができると想定される。光学感知部位の密度は、平方センチメートルあたり10を超える、平方センチメートルあたり100を超える、平方センチメートルあたり1,000を超える 又は平方センチメートルあたり10,000を超えることができることがさらに想定される。1つの実施形態において、光学感知部位の密度は平方センチメートルあたり2,000超である。
【0135】
図7B及び図7Dの実施形態において、インカップリング導波管内の能動的な走査光源/検出器チップによって生成された第1の光パルスが、アウトカップリング導波管内の第2の光パルスをもたらす光信号を変換するようにセンサーを誘導し、第2の光パルスが検出器によって検出可能であることが想定される。
【0136】
図7Bは、能動的な走査光源/検出器チップ702、基板704、及び光学感知部位712を含む本発明の例示的な検出システム700を示す。光源素子(718)は、切替可能光源、又は受動的な光源を含むがそれらに制限されるものではない多数の種類のいずれかの光源とすることができると想定される。能動的な走査光源/検出器チップは、インカップリング導波管728、アウトカップリング導波管726、及びインカップリング及びアウトカップリング導波管を結合する結合器730を含むことができる。かかる結合器730は当技術分野で周知である。基板704は、導波管708、及び導波管708に対する感知部位712を含むことができる。例えば感知部位712は、導波管708の上で、かつ導波管708と光通信することができる。能動的な走査光源/検出器チップは、1つ以上の検出器素子を含むことができる。
【0137】
図7Bに示されるように、第2の実施形態において、光源素子718は、能動的な走査光源/検出器チップの上のインカップリング導波管728と結合し、かつ光通信する。光源によって生成された光は、インカップリング導波管728に沿って進み、結合器730によってアウトカップリング導波管726内に結合される。能動的な走査光源/検出器チップは、各導波管726が、基板704上の相対する導波管708と結合し、かつ光通信する点を通して基板の面に垂直に空間的に走査をする。この点で、左から右に進む導波管708内の光パルスが生成される。光パルスは、変換器として機能する感知領域712と相互作用し、右から左に導波管708内を進む第2の光パルスを生成する。この第2のパルスは、能動的な走査光源/検出器チップの上のアウトカップリング導波管726に結合する。第2の光パルスは、導波管726内を能動的な走査光源/検出器チップの上の検出器素子へ進む。
【0138】
図7Cは、光源素子718、基板704、光学感知部位712及び検出器706を備える外部光源に光ファイバー720を通して接続される、受動的な走査光源チップ702を含む本発明の例示的な検出システム700を示す。受動的な光源チップ702は、インカップリング導波管を含むか、又は単にファイバーの端部を保持することができる。基板704は、励起導波管708、集光導波管110、並びに励起導波管708及び集光導波管710の上で、かつこれらと光通信する感知部位712を含む。検出器706は本明細書に記載されるように1つ以上の素子716を含むことができる。
【0139】
図7Cに示されるように、第3の実施形態において、光源素子718は、一組の光ファイバー720を通して受動的な走査光源チップ702のインカップリング導波管と結合し、かつ光通信する。受動的な走査光源チップ702は、走査経路に沿ったある点で、基板704の端部で各励起導波管708とさらに結合し、かつ光通信する。加えて、検出器706は、基板704の第2の端部で集光導波管710と結合し、かつ光通信する。
【0140】
図7Dは、受動的な走査光源/検出器チップ702、2組の光ファイバー720、光源素子718を備える光源、検出器706、基板704、インカップリング導波管708及び728、アウトカップリング導波管710及び726、並びに光学感知部位712を含む、本発明の例示的な検出システム700を示す。
【0141】
図7Dに示されるように、第4の実施形態において、光源素子718は、一組の光ファイバー720を通して、受動的な走査光源/検出器チップ702の上のインカップリング導波管728と接続し、かつ光通信する。加えて、検出器106は、第2の組の光ファイバー720を通して受動的な走査光源/検出器チップ702の上のアウトカップリング導波管726と接続し、かつ光通信する。受動的な走査光源/検出器チップは、その走査経路に沿ったある点で、基板704の上のインカップリング導波管708と結合し、かつ光通信する。走査経路に沿った同じ点で、基板704の上のアウトカップリング導波管710は、受動的な走査光源/検出器チップの上のアウトカップリング導波管726と光通信する。
【0142】
図7Eは、走査光源/検出器チップ702、基板704、及び圧電曲げ作動装置705を含む本発明の例示的な検出システム700の側面図を示す。
【0143】
図7Eに示される側面図では、圧電曲げ作動装置は、走査光源/検出器チップを上下に動かし、これによって走査光源/検出器チップが基板704の上の導波管と結合し、かつ光通信する、走査経路に沿ったある点を通して走査するために用いられる。その点で、基板704のインカップリング導波管内で第1の光パルスが生成される。同じ点で、第2の光パルスが基板704のアウトカップリング導波管から走査光源/検出器チップの上のアウトカップリング導波管に戻って結合される。図7Eは図7Dに示される検出システムの具体的な実施形態を示すが、この具体的な実施形態は、本発明の検出システムの任意の他の実施形態を代表する。同様に、圧電曲げ作動装置は、基板に対して光源から発せられた光を空間的に平行移動するための様々な可能な手段を代表する。様々な実施形態において、基板に対して光源から発せられた光の相対的な動きを生成するための手段は、圧電に基づくモーター、ステップモーター、電気モーター、磁気作動装置、形状記憶合金作動装置、ソレノイド又は油圧作動装置を含んでもよい。作動装置の動きは、電力、熱的な力、磁力又は機械的な力(すなわち、手動)で実施されてもよい。
【0144】
本発明の検出システムの4つの例示的な実施形態は、具体的に本明細書で開示されるが、構成要素/チップの異なる端部で、本明細書で開示される異なる構成要素/チップの結合の多数の他の組み合わせの任意のものが可能であることが想定される。例えば、1つの実施形態において、第1の走査光源/検出器チップは基板の第1の端部に結合され、及び第2の走査光源/検出器チップは基板の第2の端部に結合される(図示せず)。「左」及び「右」の用語で記載されるが、本明細書に記載される装置及びシステム内の光パルスの通路は、本明細書で提供される構成要素の柔軟な配置に基づき、様々な方向及び配向で実践することができることを適宜理解することができる。さらに、異なる基板を伴う異なる走査チップの追加の組み合わせが想定される。例えば、図7A及び図7Cに示される走査光源チップは、基板の反対側と光通信する検出器と共に、図7B及び図7Dに示される基板との組み合わせで用いられてもよい。加えて、図7B及び図7Dに示される実施形態において、走査チップ又は基板のいずれかは、少なくとも1つの結合器を備えてもよい。
【0145】
全ての上記の実施形態で走査光源は基板に対して空間的に平行移動されるが、基板の導波管に対する発せられた光の走査は、光源に対して基板を空間的に平行移動すること、又は1つ以上の鏡、レンズ、又はプリズムのような走査光源の任意の部品又は構成要素を、本明細書で開示されるいかなる手段を用いて空間的に平行移動することによっても、又実施されてもよいことがさらに想定される。
【0146】
光学感知部位712は、各導波管708に組み込むことができることが想定される。基板チップの上の光学感知部位の数は、10を超える、100を超える、200を超える、1,000を超える、5,000を超える、又は10,000を超えることができると想定される。光学感知部位の密度は、平方センチメートルあたり10を超える、平方センチメートルあたり100を超える、平方センチメートルあたり1,000を超える 又は平方センチメートルあたり10,000を超えることができることがさらに想定される。1つの実施形態において、光学感知部位の密度は、平方センチメートルあたり2,000を超える。
【0147】
本明細書に記載される任意の実施形態において、インカップリング又は励起導波管内の走査光源チップによって生成された第1の光パルスは、センサーがアウトカップリング又は集光導波管内に第2の光パルスをもたらす光信号を変換するように誘導し、第2の光波が検出器によって検出可能になると想定される。
【0148】
図8は、動作システム801の一部としての筐体809内の本発明の検出システムの例示的な図である。図7A〜図7Eに示される検出システムは本発明の核心部であるが、このシステムの操作を容易にするために、1つ以上の他のモジュールが本発明の検出システム構成要素を含む動作システム内に含まれてもよい。
【0149】
図8は、基板804、ロボットシステム803、走査光源チップ802、多素子検出器806、電子ボード807及びインターフェースパネル805を含むがそれらに制限されるものではない動作システム801の様々なモジュールを覆うための筐体809を含むことができる動作システム801の1つの可能な構成を示す。基板804、走査光源チップ802、及び多素子検出器806が以下に詳細に記載される。
【0150】
図8に示されるように、筐体809に関し、1つの実施形態において、覆い又は筐体809は、2つの固定チップ(例えば、3チップ構造の)、すなわち、走査光源チップ802及び多素子検出器806を適所に保つ。それゆえ、この実施形態において基板チップ804は、走査光源チップ802及び多素子検出器806に対して移動可能である。筐体809は、本明細書に記載される任意の数の正確に機械加工された部品及び又は構成要素を含むことができ、例えば、3つの光学チップの相対的な整列、及び基板の面に垂直な走査光源チップの動きを可能にする。動作システム筐体は、任意選択で動作システム(図示せず)のための温度制御及び振動絶縁を含む。
【0151】
図8に示されるように、動作システム801は、動作システム801内で必要とされる基板804を配置するためのX、Y、Z、θロボットシステム803をさらに含んでもよい。X、Y、Z、θロボットシステム803は、基板804を受け取る又は受け入れ、定位置に保持し動作システム801の残りの部分に対して整列するためのいくつかの自由度を伴う並行移動ステージとすることができる。所望に応じて、運転の終わりに、X、Y、Z、θロボットシステム803は基板804を動作システム801から取り出すことができる。
【0152】
動作システムは整列システム(図示せず)をさらに含むことができることが想定される。整列システムは、本発明の基板の位置の能動的検出のための1つ以上の光源と、1つ以上の検出器と、1つ以上のカメラとを含むことができる。検出位置に基づいて、整列システムは、基板を動作システムモジュールのそれ以外の部分と整列させ、例えば、基板と走査光源/検出器チップとの間に整列した光通信を提供することができる。
【0153】
図8に示されるように、動作システム801は、1つ以上の電子ボード807、例えば、電子駆動ボード及び制御盤をさらに含むことができる。1つ以上の電子ボードが、動作システムの全ての異なる部分を制御することができることが想定される。電子ボード807は、システム内に存在する走査光源802、及び任意の他の光源を制御することができる。電子ボード807は、動作システム801内の任意の又は全ての検出器及びカメラを読むように適合することができる。電子ボード807は、走査光源チップの動きを制御し、任意選択で、システムの異なる領域の温度を監視及び制御するためにロボットシステム803を駆動し、かつその動きを制御するようにさらに適合することができる。電子ボードは論理素子及びプロセッサ(図示せず)を含むことができる。電子ボードが、動作システムの制御と外部とインターフェース接続との両方のために、例えば、キーパッド又は任意の他の入力/出力ポートを含むことができるインターフェースパネル805の手段により、組み込みソフトウェアをさらに含むことができることが想定される。
【0154】
図8に示されるように、動作システム801は、追加で1つ以上のインターフェースパネル805を含むことができる。ユーザーがシステムと相互作用し、かつシステムを操作できるように、システムが1つ以上のインターフェースパネル805を有することが予想される。インターフェースパネルは、システムを他のシステム又は外部制御卓(図示せず)に接続するために、当技術分野で周知の任意の数の入力及び出力ポートを含むことができる。
【0155】
図9Aは基板内の迷光を遮断し、かつ基板の異なる素子の間のクロストークを減らすことを意図したバリア911をさらに含む、(図7Bに示されるような)本発明の検出システムの第2の実施形態の例示的な基板904を示す。バリア911は、光吸収性、又は光反射性とすることができる。バリア911は、所望の光学的効果を達成するための多数の配向のうちのいずれかで、導波管908の間に、様々に寸法設定し、形状にし、かつ配置することができる。図9Aに示されるように、バリア911は、2つの隣接する導波管の間に光学感知部位912に近接して配置することができる。導波管908は、一次光波(励起光、破線矢印参照)を基板904の左端から光学感知部位912に導くために用いられる。導波管908は、その後、二次光波(光学感知部位912で集められた、破線矢印参照)を光学感知部位912から基板904の左端に戻すように導く。
【0156】
図9Bは、インカップリング導波管908及び結合器926をさらに含む、(図7Dに示されるような)本発明の検出システムの第4の実施形態の例示的な基板904を示す。一次光波(励起光、破線矢印参照)は、基板904の左端で基板904にインカップリング導波管を通って結合される。左から右に進む励起光は、結合器926によってアウトカップリング導波管910内に結合され、これは励起光を光学感知部位にさらに案内する。アウトカップリング導波管910は、その後、二次光波(感知部位912で集められた、破線矢印参照)を、光学感知部位912から基板904の左端に戻すように導くために用いられる。バリア911は図9Aで上述されたのと同じ目的を有する。
【0157】
図9Cは、本発明の1つの実施形態の基板904の断面を概略的に示す。描かれた実施例で、イン/アウトカップリング導波管908は、基板904の表面下に埋め込まれる。光学感知部位912は、表面、例えば、基板904の上クラッディングにエッチングされ、かつ、例えば、それらの間の光通信を容易にする導波管908に隣接する上に位置することができる。異なる実施形態において、光学感知部位は、基板904の表面上に位置すること、又は途中までのみ上クラッディングの中にエッチングされ、もしくは導波管(図示せず)全体を通して上クラッディングの中にエッチングすることもできることが想定される。導波管は、単一モード導波管、多モード導波管、又は2つの任意の組み合わせ、すなわち、縦軸の単一モード及び横軸の多モードであってもよいことも想定される。
【0158】
図9Dは、基板内の迷光を遮断し、かつ基板の異なる素子の間のクロストークを減らすためのバリア911をさらに含む、(図7A及び図7Cに示されるような)本発明の検出システムの第1及び第3の実施形態の例示的な基板904を示す。バリア911は、光吸収性又は光反射性とすることができる。バリア911は、所望の光学的効果を達成するための多数の配向のうちのいずれかで、集光導波管910及び/又は励起導波管908の間に、様々に寸法設定し、形状にし、かつ配置することができる。図9Dに示されるように、バリア911は、2つの隣接する集光導波管の間に1列に、かつ光学感知部位912及び交差領域914に近接して配置することができる。
【0159】
図9E(この図では一番上のクラッディング層は図示されない)に示されるように、1つの実施形態において、基板904は、多層状の基板904の表面の下に埋め込まれる励起導波管908及び集光導波管910を含むことができる。図示のように、励起導波管908は、交差領域914で集光導波管910と交差し、物理的に交わり、かつ光通信する。図9Eに示される実施形態において、光学感知部位912は、励起導波管908の上方の交差領域914に位置し、かつ励起導波管908と光通信する。図9Eにさらに示されるように、基板904はシリコン層920及びシリカ(SiO2)層922を含む複数の層を含み、励起導波管908及び集光導波管910はシリカ(SiO2)層922内に埋め込まれる。
【0160】
図9Fに示されるように、別の実施形態において、基板は単一の層の基板904の表面の下に組み込まれる励起導波管908及び集光導波管910を含むことができる。図示のように、励起導波管908は、集光導波管910と交差し、物理的に交わり、かつ光通信する。図9Eに示される実施形態とは対照的に、ここでは、励起導波管908と集光導波管910との間の交差点は、集光導波管910の内部で起こる。図9Fにさらに示されるように、基板904はシリコン層920、シリカ(SiO2)層922、及びクラッディング層924を含む複数の層を含む。図示のように、励起導波管908、及び集光導波管910は、シリカ(SiO2)層922内に埋め込むことができる。加えて、光学感知部位912は、クラッディング層924、及びシリカ(SiO2)層922の両方の内部に埋め込むことができる。任意選択で、光学感知部位は、クラッディング層(図示せず)内にのみ埋め込むことができる。
【0161】
励起導波管及び集光導波管は、単一モード又は多モード導波管とすることができることが想定される。1つの実施形態において、励起導波管は、単一モードであり、集光導波管は多モードである。導波管構成は、導波管内の縦又は横の配向のいずれかで、単一モード構成又は多モード構成を含むことができることが想定される。例えば、1つの具体的で限定されない実施形態において、励起導波管908は、縦軸の単一モード及び横軸の多モードに対応することができる。任意選択で、図9Dに示されるように、励起導波管908及び集光導波管910は、基板の1つの端部からもう1つの端部まで全体にわたる可能性がある。
【0162】
図9Fに示されるように、基板904構成要素及び光学感知部位912は、寸法を含むことができる。図9Fは基板904の2つの断面図を示す。図AAは、図9D及び図9Eに示される平面Aでの断面図である。図BBは図9D及び図9Eに示される平面Bでの断面図である。図9Fに示されるように、励起導波管の上のクラッディング層924の厚さは、約0.1μmから約20μmとすることができる。1つの実施形態において、クラッディング層924厚さは、約1μmから約2μmである。図9Fに示されるように、非限定的な実施例として、光学感知部位912の開口は、次の寸法、すなわち、約20μm×約2μm、を含むことができる。集光導波管910間の距離は、約1μmから約1000μmの範囲とすることができる。例えば、図9Fに示されるように、集光導波管910間の距離は、約100μmとすることができる。集光導波管910とシリコン層920との間の距離は、約1μmから約100μmとすることができる。例えば、図9Fに示されるように、集光導波管910間とシリコン層920との間の距離は、約10μmから約20μmとすることができる。
【0163】
図9E及び図9Fに示されるように、励起導波管908及び集光導波管910は、チャネル導波管とすることができる。図9E及び図9Fに示される実施形態の導波管の寸法の例示的な範囲は、厚さ約0.1μmから約10μm、及び幅約1μmから約100μmを含む。非限定的な例のみの目的で、励起導波管908は約0.1μm×約100μmの断面寸法を含むことができ、集光導波管910は約0.2μm×約100μmの断面寸法を含むことができる。
【0164】
図9Gは、伝熱素子903、例えば、熱電冷却器(TEC)に関する、本発明の基板904の別の実施形態を側面図で示す。伝熱素子903は、チップを加熱又は冷却するために有益な温度制御システム、例えば、基板904である。伝熱素子は本明細書で冷却素子と呼ばれることがあるが、伝熱素子がチップの温度を増減するように構成される場合、構成要素は電流の誘導方向によって本質的に加熱として及び冷却素子として機能する。伝熱素子は、ある範囲の有益な温度を供給することができる。例えば、熱交換素子は、所望に応じて約−40℃から約120℃の範囲の温度を供給するように構成することができる。伝熱903素子は、本発明の基板904を受けるように適合することができる。熱交換素子903は、本発明の基板904の表面の一部又は全部に接触するように適合することができる。
【0165】
本発明の基板904と併せて熱交換素子903を供給することは、例えば、本明細書に記載されるようにポリメラーゼ連鎖反応(PCR)のような工程を通した検査済み試料分子の増幅に有益である。使用において、図9Gに対して記述される実施形態は、基板全体の温度が循環されるにつれて、任意の光学感知部位における試料が同時にPCRによって増幅されることが可能なように、基板全体の温度を制御する能力を提供する。
【0166】
図9Hは、光学感知部位912が、加熱器905、及びサーミスタ907を含む本発明の基板904の別の実施形態を示す。この実施形態において、基板904の光学感知部位912は、各感知部位912の近くに、加熱器905、例えば薄膜加熱器を含むことができる。加熱器905は、各感知部位912の個々の温度制御を可能にするように適合することができる。加熱器905に加えて、サーミスタ907は、各感知部位912において、又は近くに位置し、それにより局部温度の測定を供給することができる。使用において、この実施形態は、同じ又は任意の所望の異なる数のサイクル、及びありとあらゆる感知部位のための同じ、又は任意の所望の異なる温度プロフィールを行う能力を提供する。
【0167】
図9Iは、光学感知部位912が加熱器905及びサーミスタ907を含む、本発明の基板904のさらに別の実施形態を示す。この実施形態において、基板904の光学感知部位912は、1つ以上の感知部位912の近くの加熱器905、例えば、薄膜加熱器を含むことができる。加熱器905は、各感知部位912の個々の温度制御を可能にするように適合することができる。加熱器905に加えて、サーミスタ907は、1つ以上の感知部位912に、又は近くに位置し、それにより局部温度の測定を供給することができる。使用において、この実施形態は、同じ又は任意の所望の異なる数のサイクル、及びありとあらゆる感知部位のための同じ、又は任意の所望の異なる温度プロフィールを行う能力を提供する。
【0168】
有利にも、図9G、図9H、及び図9Iについて記載される実施形態は、リアルタイムのPCRに対応することができる。本明細書に記載されるように、光学的検出は基板内から行われるので、信号検出これら両方の実施形態(図9G、図9H、及び図9I参照)は、試料が増幅サイクルの工程にあるうちに行なうことができ、それによりPCRプロセスのリアルタイムの分析を可能にする。
【0169】
図9Jは、基板904が光学感知部位912に関して貯槽913及び微小流路909を追加的に含む、本発明の基板904のさらに別の実施形態を示す。かくして、この実施形態において、微小流体工学が基板内に関連付けられる。微小流体工学は、基板にわたる毛管効果を用いた液体(この場合試験試料)を駆動するように適合することができる。図9Jに描かれるように、試料を受けるためのエッチングされたウェルを含むことができる光学感知部位912に1つ以上の貯槽913から強制的に試料を送る、任意選択の様々な幅の、微小流路909の配設によってこれは達成することができる。微小流路はチップ自身の面にエッチングされる又は基板の表面上に外部構造として追加されるのいずれかを行うことができる。
【0170】
図9Kは、基板904が追加で、光学感知部位912に関して貯槽913、及び微小流路909を含む、本発明の基板904のさらに別の実施形態を示す。かくして、この実施形態において、微小流体工学が基板内に関連付けられる。微小流体工学は、基板にわたる毛管効果を用いた液体(この場合試験試料)を駆動するように適合することができる。図9Kに描かれるように、、試料を受けるためのエッチングされたウェルを含むことができる光学感知部位912に1つ以上の貯槽913から強制的に試料を送る、任意選択の様々な幅の、微小流路909の配設によってこれは達成することができる。微小流路は、チップ自身の面にエッチングされる、又は基板904の表面上に外部構造として追加されるのいずれかを行なうことができる。
【0171】
使用において、試験すべき試料を基板の1つの端部における貯槽にピペットで取ることができることが想定される。その後、試料は、微小流体工学システムを用いて光学感知部位及びあらかじめスポットされたプローブに結合することを可能にされる感知ウェルに分配することができ、続いて光学的に検出及び分析することができる。いくつかの貯槽は、異なる試料/患者を分けるため、又はいくつかの平行検査を行うために用いられてもよい。
【0172】
システムの基板は、所望の生物活性のある検体分子と生化学的に相互作用する構成の1つ以上のプローブで浸漬被覆されてもよい。実施例1は、抗体又はオリゴヌクレオチド付着のためのチップ被膜プロトコルを記載する。
【0173】
加えて、1つ以上のプローブが、印字ヘッドを用いた光学感知部位のセンサーに適用されてもよいと想定される。さらに、システムの光学感知部位への試料の供給はアッセイヘッドを用いた試料の送達を備えると想定される。 1つの可能な印字ヘッド技術は、2005年9月30日出願の米国特許出願整理番号第11/241,060号及び2005年7月6日出願の米国特許出願整理番号第11/632,086号に記載される。
【0174】
図10Aは、集光導波管1010が集光のための漏斗1017(図10Bに詳細に示される)を含む本発明のシステムの例示的な基板1004を示す上面図である。
【0175】
図10Aの実施例に示すように、基板1004は、10の励起導波管1008(例えば、幅約5μm×深さ約2μm)、10の集光導波管1010(例えば、幅約30μm×深さ約10μm)、100の光学感知部位1012(例えば、長さ約30μm×幅約5μm×深さ約10μmのウェル)、光学感知部位1012から集光するための100の漏斗1017、及び光学感知部位1012間のクロストークを減らすためのバリア1011(例えば、光吸収性チャネル)からなる10×10の配列を含んでもよい。図10Aに示される実施例は、10×10の配列の励起導波管1008及び集光導波管1010を含むが、基板は、10を超える、100を超える、又は1,000を超える励起導波管1008及び集光導波管1010を含むことができると想定される。
【0176】
図10Aに示される実施形態において、励起光は、例えば、走査光源チップから、基板1004の左側の1つ以上の励起導波管1008内に結合することができる。励起光は、励起導波管1008に沿って進み、エバネセント場テールを通して光学感知部位(例えば、ウェル)の中に結合することができる。光学感知部位1012内で生成された励起蛍光は、光学感知部位1012の長い面に沿って漏斗1017内に集光されてもよい。漏斗1017は光を集光導波管1010内に光を導くことができる。集光導波管1010内の光は、基板1004の「底」で結合され検出器配列(図示せず)内に入ってもよい。光学感知部位1012の外で散乱された光は、平行集光導波管1010間のクロストークを避けるために一連のバリア1011(例えば、光吸収体)によって遮断することができる。
【0177】
1つの実施形態において、図10Aに示される基板は、2つの導波管層を含む。図10Cの断面図に示されるように、約2μm厚の、底層は励起導波管1008を含むことができる。底層は、光学感知部位内にあるエバネセント場テールを増やすためにより高い屈折率を有することができる。約10μm厚の、上層は、光学感知部位及び集光構造(漏斗及び導波管)を包含することができる。上層は、基板から出る光を検出器に結合するときに光損失を最小化するために底層より低い屈折率を有することができる。
【0178】
上記の特定の実施形態において、励起導波管、及び集光導波管の両方が多モードである。
【0179】
図10Cの断面図に示されるように、集光導波管1010から励起導波管1008内への光結合による導波管交点での光の損失を最小化するために、励起導波管1008は、集光導波管1010より薄くすることができる。例えば、図10B及び図10Cに示されるように、励起導波管1008は、約5μm(図10B参照)の幅、及び約2μm(図10C参照)の高さを有することができる。さらに記載されるように、集光導波管1010は約30μm(図10B及び図10C参照)の幅、及び約10μm(図10C参照)の高さを有することができる。
【0180】
励起導波管と集光導波管との間の導波管交点で結合される光は、光学感知部位内に直接輝き、それにより光の励起を失われるよりむしろ増やすことができることが想定される。
【0181】
図10Bに示されるように、光学感知部位は、光が長い面に沿って収集可能な狭く(約5μm)、かつ長い(約30μm)ウェルとすることができる。こうした構成は、集光の効率を増す。加えて、長い結合長さによりウェル内への光励起結合を増すことができる。ウェルの寸法(5×30×10μm) により、1.5ピコリットルの体積が得られる。より大きいウェルも、約0.1ピコリットルから約100マイクロリットルの範囲の体積を得る様々な大きさで想定される。
【0182】
漏斗は、光の収集、閉じ込め、及び集光導波管内への結合のための半径を有することができる。半径の適切な範囲は、約100μmから約1000μmの範囲を含むことができる。
【0183】
図10A及び図10Bに示されるバリア1011は、光吸収物質(例えば、金の様な金属)で満たされた溝とすることができる。バリア1011が溝のとき、交点(図示せず)での損失を避けるために、溝は励起導波管1008の上方に開口を含むことができる。
【0184】
図10Aに示される基板の全体寸法は、約1.2×約1.2mmとすることができる。消耗に応じて全体寸法を調整するために、基板の周りに余裕を任意選択で含むことができる。
【0185】
図11Aは、励起導波管1108が励起導波管から光をタッピングし、感知ウェルの中に結合するための複数の枝1121(図11Bに詳細に示される)を含む、本発明のシステムの例示的な基板1104を示す。
【0186】
図11Aに示される実施形態において、基板1104は、いくつかの導波管層(例えば、3つの導波管層)から作成することができる。かかる構成は、例えば、損失及びクロストークを最小にしながら励起及び蛍光収集を最適化するために有益とすることができる。図11C及び図11Dは、図11Bに示される基板1104のそれぞれ(AA)及び(BB)における平面を通した概略の断面図である。
【0187】
1つの実施形態において、基板は、1.7のコア屈折率、及び1.4のクラッド屈折率を有する3つの導波管層からなる。有益なコア屈折率値は、約1.45から約2.1の範囲で、有益なクラッド屈折率値は、約1.4から約1.5の範囲である。
【0188】
図11C及び図11Dに示されるように、基板1104が3つの導波管層を有する1つの実施形態において、第1の底層は、厚さ約10μmで集光導波管1110を含む。図11Aに示される実施形態において、集光導波管1110は、幅約30μmの多モードで基板1104を実質的に端から端まで横切ることができる。第2の中間導波管層は、厚さ約0.5μmから約1μmで、結合導波管枝1221(図10A及び図10B参照)を含むことができる。枝1121は、ウェルとすることができる光学感知部位内に励起光を結合することができる。第3の最上層は、厚さ約2μmで、単一モード励起導波管1108を含み、基板1104を実質的に端から端まで横切ることができる。
【0189】
図14Aは、本発明の検出システムの第1の実施形態(図7A参照)の能動的な走査光源チップ1402を示す。能動的な走査光源チップ1402は、光源素子1418及びインカップリング導波管1440を含む。光源素子によって生成された一次光波は、左からインカップリング導波管1440内に結合される。導波管1440は、一次光波を能動的な走査光源チップ1402の右端に導き、基板(図示せず)に出すように結合する。
【0190】
図14Bは、本発明の検出システムの第2の実施形態(図7B参照)の能動的な走査光源/検出器チップ1402を示す。能動的な走査光源/検出器チップ1402は、光源素子1418、検出器素子1416、インカップリング導波管1440、アウトカップリング導波管1438、及び結合器1436を含む。光源1418によって生成された一次光波(励起光)は、左からインカップリング導波管1440内に結合される。その後、励起光は、結合器1436によってアウトカップリング導波管1438内に結合され、アウトカップリング導波管1438は次に、励起光を能動的な走査光源/検出器チップ1402の右端に導き、基板(図示せず)に出すように結合する。基板(図示せず)は、第2の光波(図示されない光学感知部位で収集される)を、能動的な走査光源/検出器チップ1402の右端でアウトカップリング導波管1438に戻すように結合する。第2の光波は、アウトカップリング導波管1438によって、能動的な走査光源/検出器チップの上の検出器素子1416に導かれる。
【0191】
図12Aは、本発明の検出システムの第3の実施形態(図7C参照)の受動的な走査光源チップ1202を示す。受動的な走査光源チップ1202は、インカップリング導波管1228を含む。一次光波(励起光)は、一組の光ファイバー(図示せず)を通して左からインカップリング導波管1228内に結合される。導波管1228は、一次光波を受動的な走査光源チップ1202の右端に導き、基板(図示せず)に出すように結合する。
【0192】
図12Bは、本発明の検出システムの第4の実施形態(図7D参照)の受動的な走査光源/検出器チップ1202を示す。受動的な走査光源/検出器チップ1202は、インカップリング導波管1228、アウトカップリング導波管1226及び結合器1230を含む。一次光波(励起光)は、一組の光ファイバー(図示せず)を通して左からインカップリング導波管1228内に結合される。その後、励起光は、結合器1230によってアウトカップリング導波管1226内に結合され、次に、アウトカップリング導波管1226は、励起光を受動的な走査光源/検出器チップ1202の右端に導き、基板(図示せず)に出すように結合する。基板(図示せず)は、第2の光波(図示されない光学感知部位で収集される)を受動的な走査光源/検出器チップ1202の右端でアウトカップリング導波管1226に戻すように結合する。第2の光波は、導波管1226によって右から左に導かれ、受動的な走査光源/検出器チップ1202から出るように、その左端で検出器(図示せず)に、一組の光ファイバー(図示せず)を通して結合される。
【0193】
図12Cは、本発明の検出システムの第4の実施形態(図7D参照)の受動的な走査光源/検出器チップ1202の第2の可能な設計を示す。受動的な走査光源/検出器チップ1202は、インカップリング導波管1228及びアウトカップリング導波管1226を含む。一次光波(励起光)は、一組の光ファイバー(図示せず)を通して左からインカップリング導波管1228内に結合される。その後、励起光は、受動的な走査光源/検出器チップ1202の右端に導かれ、そこで励起光は基板(図示せず)に出るように結合される。基板(図示せず)は、第2の光波(図示されない光学感知部位で収集される)を受動的な走査光源/検出器チップ1202の右端で、アウトカップリング導波管1226に戻すように結合する。第2の光波は、導波管1226によって右から左に導かれ、受動的な走査光源/検出器チップ1202からでるように、その左端で検出器(図示せず)に、一組の光ファイバー(図示せず)を通して結合される。
【0194】
図7Aから1Dの光源素子718(又は図14A及び図14Bの1418)は、動的光源を備え、1つ以上の個々の素子の中の一次光波の選択的かつプログラムされた生成を可能にすることができると想定される。
【0195】
いくつかの実施形態において、光源素子718は、様々な波長の光を供給することができる。1つの実施形態において、光源素子は、4広帯域源である。別の実施形態において、光源素子は調整可能源である。
【0196】
いくつかの実施形態において、光源素子718の数は、システムの基板内の励起導波管の数に等しい。走査光源出力間のインターフェースは、走査経路に沿ったある点において、これら2つの素子が効率的に走査光源チップから励起導波管に、又は基板のインカップリング導波管に、光を結合及び変換するのを可能にするために、基板内の励起導波管を、ピッチについて、一致するべきである。
【0197】
図7A〜図7D、ならびに図14A及び図14Bに描かれる光源素子は、異なる種類の光発生素子を含むことができる。いくつかの実施形態において、光発生素子は発光ダイオード(LED)である。他の実施形態において光発生素子はレーザーダイオード(LD)である。各個々の光発生素子は、別個に制御され、かつ所望に応じてオン又はオフにすることができる。1つの実施形態において、走査光源チップは、10以上の光発生素子を含む。別の実施形態において走査光源チップは100以上の光発生素子を含む。さらに別の実施形態において走査光源チップは1000以上の光発生素子を含む。なお、さらに別の実施形態において走査光源チップは10から100の間の光発生素子を含む。
【0198】
図7A〜図7D、並びに図14A、及び図14Bに描かれる検出器素子は、異なる種類の検出器素子を含むことができる。いくつかの実施形態において、検出器素子は、PINダイオードである。いくつかの実施形態において、検出器素子は、アバランシェフォトダイオード(APD)である。いくつかの実施形態において検出器素子は、CCDアレイの一部である一群のピクセルである。各個々の検出器素子は、別個に制御され読まれる。1つの実施形態において、走査光源チップは、10以上の検出器素子を含む。別の実施形態において、走査光源チップは、100以上の検出器素子を含む。さらに別の実施形態において、走査光源チップは1000以上の検出器素子を含む。なお、さらに別の実施形態において走査光源チップは10から100の間の検出器素子を含む。
【0199】
非限定的な1つの実施例において、検出器素子は、400から1000nmの間の範囲のスペクトル、>0.3の光感受性(A/W)、1つの素子に付き0.005mmの活性領域、128素子、及び< 0.1mmのピッチを有する。
【0200】
1つの実施形態において、検出器はシリコンフォトダイオード(PN、PIN、CCD又はAPD)アレイである。適切な検出器配列の例はHamamatsu64×2048CCDチップ(PN−S10420−1106)である。
【0201】
いくつかの実施形態において、走査光源チップ上の光源素子及び検出器素子は、2つ以上の光源素子のアレイ、2つ以上の検出器素子、2つ以上のインカップリング導波管のアレイ、2つ以上のアウトカップリング導波管のアレイ、及び2つ以上の結合器のアレイを含む単一チップの上に一体化することができる。1つの実装において、各光源素子は、1つのインカップリング導波管に光学的に連結され、かつ光発生素子に発せられた光のほとんどが導波管に沿って伝わるのに適合される。導波管は、その中を基板に伝わる光を結合するためにチップの走査経路に沿ったある点にもたらされるチップの端部に延在することができる。1つの実装において、各々任意選択で異なる波長で発する、2つの光源素子は単一のインカップリング導波管に結合することができる。別の実装において、各々任意選択で異なる波長で発する、2つを超える光源素子は、単一のインカップリング導波管に結合することができる。
【0202】
他の実施形態において、走査光源チップの上の光源素子は、一連の2つ以上の光源素子及び2つ以上の導波管のアレイを含む単一チップ上に統合することができる。1つの実装において、各光源素子は、1つの導波管に光学的に連結され、光源素子によって発せられた光のほとんどが導波管に沿って伝わるのに適合する。導波管は、その中を基板に伝わる光を結合するためにもたらすことができるチップの端に延在することができる。1つの実装において、各々任意選択で異なる波長で発する、2つの光源素子は、単一の導波管に結合することができる。別の実装において、各々任意選択で異なる波長で発する、3つ以上の光源素子を単一の導波管に結合することができる。
【0203】
走査光源チップは、光源素子に加え、検出器素子及び導波管、レンズ、フィルター、スイッチ、変調器、スプリッタ、結合器、鏡及びサーキュレータなどのような光操作機能を含むことができる。
【0204】
走査光源チップの制御は、光源素子、検出器素子、及び導波管として同じチップ上に統合することができるか、又は代替的にチップの外側とすることができるかのいずれかである。走査光源チップは、外部駆動装置への電気的インターフェース、又は外部制御器、又は外部制御システムへの論理インターフェースを有することができる。光源素子及び検出器素子の制御は、各光源素子及び各検出器素子の別個の駆動を可能にする。これは、例えば、変調器及びスイッチなおのような走査光源チップ上に存在する他の機能の制御もさらに可能にする。
【0205】
結合器、フィルター、鏡、サーキュレータ、スプリッタ、変調器、スイッチ及び溝を含むがそれらに制限されるものではない、平面光波回路内で有用な追加的な素子は、本明細書に記載されるシステムの一部(図示せず)として想定される。そうした素子は、基板内に又は走査光源チップ内に統合されたときに、インカップリング導波管内の入射する第1の光波、又はアウトカップリング導波管内の出射する第2の光波の操作に作用することができる。他の実施形態において、かかる素子は、基板内に又は走査光源チップ内に統合されたときに、励起導波管内の入射する第1の光波、又は集光導波管内の出射する第2の光波の操作に作用することができる。
【0206】
本明細書に記載される様々な特徴のための様々な寸法の範囲としては、導波管厚さ約20nmから約50μm、導波管幅約1μmから約500μm、導波管長さ約1mmから約100mm、光学感知部位長さ約100μmから約100mm、光学感知部位幅約1μmから約500μm、光学感知部位深さ約0μmから約20μm、導波管ピッチ約10μmから約10mm、基板厚さ約100μmから約5mm、上クラッディング厚さ約0μmから約20μm、及び下クラッディング約0.1μmから約20μmが挙げられる。
【0207】
検出システムの基板は、平面光波回路内での使用に適するいずれかの数の周知の材料から作成することができる。例えば、有益な基板材料としては、シリカ(SiO2)、ガラス、エポキシ、ニオブ酸リチウム、及びリン化インジウム、並びにその組み合わせが挙げられるがそれらに制限されるものではない。本明細書で開示される導波管は、シリコン、シリカ(SiO2)及びその誘導体、酸窒化珪素(SiON) 及びその誘導体、窒化珪素(SiN)及びその誘導体、タンタル酸化物(TaOx)及びその誘導体、ポリマー、ニオブ酸リチウム、及びリン化インジウム、ならびにその組み合わせから作成することができる。1つの実施形態において、紫外線は、蒸着後の導波管材料の屈折率を変えるために用いられる。
【0208】
図13Aは、基板1304の例示的なシリコン層1326を示す。例えば、シリコン層1326は、約0.1mmから約10mmの厚さを有するシリコンウエハから作成することができる。別の実施形態においてシリコンウエハは約0.3から約1mmの厚さを有することができる。図13Aに示される特定の実施例において、シリコンウエハは0.65mmの厚さを有する。図13Aに示されるように、1つの実施形態において、シリカ(SiO2)層1322は、シリコンを高温で炉内の酸素に富んだ環境内に置くことにより作られたシリカ(SiO2)の14μmの熱酸化物の層である。最上シリコン層は、時間と共に(数時間)酸化しSiO2層を生じる。加えて、図13Aに示されるように、1つの実施形態において、クラッディング層1324は、厚さ15μmで導波管1308を生じるためにエッチングしたた後でPECVD(プラズマ増強化学蒸着)処理によって蒸着される。
【0209】
基板の様々な層が、異なる屈折率特性を含むことができることが想定される。例えば、導波管層(SiN)は、その上に蒸着されたシリカのクラッディング層より高い屈折率を有する。
【0210】
図13Bに示されるように(クラッディング層の蒸着前の顕微鏡写真で示される)、いくつかの実施形態において、基板1304は、シリカ(SiO2)層1322上の光波結合のために配設された2つの導波管1308を含むことができる。代替方法として、図13Cに示されるように、2つの導波管1308は、シリカ(SiO2)層1322及びクラッディング層1324付きオーバークラッド上の結合されない光波を導くために配設することができる。
【0211】
1つの実施形態において、光学感知部位はウェルの形式であり、例えば、エッチングされたウェル(図9C断面図参照)である。光学感知部位がウェルである場合、液体試料のための容器として機能することができる。別の実施形態において、光学感知部位は、基板の表面上の領域で、例えば、導波管の上にある。さらなる実施形態において、光学感知部位は、生化学的相互作用部位である。例えば、光学感知部位が蛍光タグの付いたセンサー一本鎖DNAオリゴヌクレオチドを包含するウェルである場合、ウェルに加えられた標的相補性一本鎖DNAを包含する溶液は光学感知部位(図示せず)内のセンサーと塩基対合することにより生化学的に相互作用する可能性がある。別の例において、光学感知部位は、本明細書に記載される免疫測定法を行うための1つ以上の免疫測定法試薬を包含する場所又はウェルである。
【0212】
特定の実施形態において、光学感知部位は、光変換器(図示せず)を備える。光変換器は、測定可能な変化(波長、振幅、又は位相)を入射一次光波に生じ、かくしてこれを出射二次光波内でモニターすることができる任意の装置として定義される。1つの実施形態において、光変換器は、蛍光又は発光化合物を含む蛍光ウェルであり、導波管によって導かれる光波が標的内の存在のもとでウェルの中の蛍光又は発光化合物を励起し、同じ導波管が、例えば、チップ(図示せず)の端部で、ウェルから検出器に(場合によってアダプターチップを通して)発せられる光を収集し、かつ導く。
【0213】
システムの光学感知部位のセンサーは、例えば、生物学的、人為的、又は環境要因からの、試料内の標的(例えば、生物活性のある検体)を判別又は相互作用するセンサーとすることができる。上記のように、第1の光波は、センサーが光信号を第2の光波に変換するのを誘導することができる。センサーが、試料内の標的を判別又は相互作用する能力がある1つの実施形態において、センサーが標的を判別又は相互作用するとき第2の光波内の測定可能な変化がもたらされる可能性がある。システムの検出器を用いた第2の光波内の変化を検出すると、試料内の標的の存在が示される。
【0214】
多数のセンサーのいずれかを、試料内の標的の感知に関する現象を測定するための検出システムと共に用いることが可能である。適切なセンサーの実施例としては、蛍光ウェル又はセル、吸収セル、干渉センサー、回折センサー、又は表面プラズモン共鳴(SPR)検出器が挙げられるがそれらに制限されるものではない。蛍光ウェル又はセルについて、測定可能な現象は、発光又は蛍光分子タグからの光の放射とすることができる。例えば、変更された波長で発せられた光を測定することができる。吸収セルの場合、試料光学密度(OD)内の変化は、試料を通り抜ける光の強度に測定可能に影響する可能性がある。干渉センサーについて、導波管の有効な屈折率の変化は、検出器における強度の差として測定可能な異なる干渉パターンにつながる2つの光波の間の位相差を生じる。回折センサーについて、回折素子、例えば回折格子、の表面での有効な屈折率の変化は、所与の波長に対する光の回折角度に影響を与える、又は代替的に所与の回折角度の波長に影響を与える。SPRセンサーの場合、金属誘電体界面での有効な屈折率の変化は、表面プラズモンを生成するための共鳴条件に影響を与える。
【0215】
検出システムの操作の異なる手順を管理するための制御システムが想定される。
【0216】
制御システムは、光源からの光出力の切替、検出器配列の読み込み及び検出された結果のレポートに加えて、基板の端部を走査するための走査光源チップの整列及び駆動のような手順を管理することができる。
【0217】
一般に、1つの態様において、本明細書に記載される単一の生物活性のある検体分子の試料中の存在を検出するためのシステム及び装置を用いる方法が設けられる。この状況において、生物活性のある検体分子は、本明細書で開示される任意の生物活性のある検体分子を含む。
【0218】
本発明の方法の実践において、分子生物学における多くの在来型技術が任意選択で用いられる。これらの技術は周知であり、例えば、Ausubel et al. (Eds.) Current Protocols in Molecular Biology, Volumes I, II, and III, (1997)、Ausubel et al. (Eds.), Short Protocols in Molecular Biology: A Compendium of Methods from Current Protocols in Molecular Biology, 5th Ed., John Wiley & Sons,Inc.(2002)、Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 3rd Ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press (2000)、及びInnis et al. (Eds.) PCR Protocols: A Guide to Methods and Applications, Elsevier Science & Technology Books(1990)に説明され、これら全ては本明細書に参照として組み込まれる。
【0219】
本明細書に記載されるシステム及び方法での使用に適切な試料の準備は、生体及び/又は環境試料の収集および分析のための任意の数の周知の方法を含むことができる。生体試料の場合、試料は、例えば、任意の対象の標的の所望の純度レベルに操作、処理又は抽出される可能性がある。
【0220】
試料は生物活性のある検体を包含する疑いのある体液である可能性がある。一般的に用いられる体液としては、血液、血清、唾液、尿、胃液及び消化液、涙、便、精液、膣液、腫瘍性組織に由来する間質液、及び脳脊髄液が挙げられるがそれらに制限されるものではない。
【0221】
本明細書に記載されるシステムは、非常に様々な資料のスクリーニングに使用することができると予想される。調査対象が生物である場合、上記のように試料は体液に由来する場合がある。資料の獲得方法としては、頬スワブ、鼻腔スワブ、直腸スワブ、皮膚脂肪抽出、又は生物学的もしくは化学物質を得るための他の収集方策が挙げられるがそれらに制限されるものではない。検査対象が非生物又は環境物体の場合、試料は固相、液相、又は気相の任意の物質に由来する場合がある。試料は、基板上に収集及び配置されてもよく、基板は調査される試料源(例えば、水貯槽、自由空気)に直接露出され、かつ試料源と相互作用してもよい。
【0222】
いくつかの実施形態において、体液は、その内部に存在する1つ以上の生物活性のある検体を更なる処理なしに検出するために直接用いられる。しかしながら所望の場合、体液は、検出システムで分析を実施する前に前処理されてもよい。前処理の選択は、用いられる体液の種類、及び/又は調査中の生物活性のある検体の性質に依存する。例えば、体液の試料内に生物活性のある検体が低いレベルで存在する場合、試料は任意の従来の手段を用いて生物活性のある検体の濃度を高めるために濃縮することができる。生物活性のある検体の濃縮の方法としては、乾燥、蒸発、遠心分離、堆積、沈殿、及び増幅が挙げられるがそれらに制限されるものではない。生物活性のある検体が核酸の場合、Sambrook等(Molecular Cloning: A Laboratory Manual)に示される手順に従い様々な溶菌酵素又は化学溶液を用いて、又は製造者によって供給される付属指示に従った核酸結合樹脂を用いて抽出することができる。生物活性のある検体が細胞の上、又は細胞の中に存在する分子の場合、抽出は、SDSのような変性界面活性剤、又はThesit(2−ドデコキシエタノール)、デオキシル酸ナトリウム、Triton(登録商標)X−100及びTween(登録商標)20のような非変性界面活性剤を含むがそれらに制限されるものではない溶解剤を用いて行うことができる。
【0223】
いくつかの実施形態において、前処理は、試料の希釈及び/又は混合、及び、例えば、血液試料から赤血球を、除去するための試料の濾過を含むことができる。
【0224】
検出システムを用いた検出可能な標的としては、核酸、タンパク質、抗原、抗体、微生物、気体、化学物質、及び汚染物質を含む生物活性のある検体が挙げられるがそれらに制限されるものではない。
【0225】
1つの実施形態において、標的は、例えばcDNAなどの、DNAである核酸である。関連する実施形態において、DNA標的は、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)による、増幅反応により生成される。主題発明の別の実施形態において、検出された生物活性のある検体は、疾患又は調査された有機体の特定の条件に対する既知の生体指標を現すタンパク質である。別の実施形態において、いくつかの異なる生物活性のある検体は、生体指標の相対濃度が疾病又は調査された有機体の他の状態を示す、生体指標のパネルとして提供されるタンパク質である可能性がある。さらなる実施形態において、標的は病原体である微生物である。別の実施形態において標的は化学物質、例えば、有毒化学物質である。
【0226】
標的が核酸の場合、これは一本鎖、二本鎖又はより高次であってもよく、及び線状又は環状である可能性がある。例示的な一本鎖標的核酸としては、mRNA、rRNA、tRNA、hnRNA、ssRNA、又はssDNAウイルスゲノムが挙げられるが、これら核酸は、内部に相補配列及び重要な二次構造を包含する場合がある。例示的な二本鎖標的核酸としては、ゲノムDNA、ミトコンドリアDNA、葉緑体DNA、dsRNA、又はdsDNAウイルスゲノム、プラスミド、ファージ、及びウイロイドが挙げられる。標的核酸は、合成的に又は生物源から精製されて調製することができる。標的核酸は、試料の1つ以上の不要な成分の除去又は減少のため、又は標的核酸の濃縮のために精製されてもよい。逆に、標的核酸が特定の検体に対して濃縮されすぎる場合、標的核酸は希釈されてもよい。
【0227】
試料収集及び任意選択の核酸抽出に続いて、標的核酸を備える試料の核酸部は、1つ以上の分取反応を受けてもよい。こうした分取反応は、インビトロ転写(IVT)、標識化、分断、増幅反応及びその他の反応を含むことができる。mRNAは、検出及び/又は増幅の前にcDNAを作り出すために最初に逆転写酵素及びプライマで処理することができ、これは、精製されたmRNAと共にインビトロで、又は原位置で、例えば、スライドに付けられた細胞又は組織内で行われてもよい。核酸増幅は、標的核酸のような対象の配列のコピー数を増やす。様々な増幅方法が使用に適し、ポリメラーゼ連鎖反応方法(PCR)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、自家持続配列複製法(3SR)、核酸配列ベース増幅(NASBA)、Qβレプリカーゼの使用、逆転写、ニックトランスレーションなどを含む。
【0228】
標的核酸が一本鎖の場合、増幅の最初のサイクルは、標的核酸に相補的なプライマ延長物を形成する。標的核酸が一本鎖RNAの場合、逆転写酵素活性を伴うポリメラーゼがRNAをDNAに逆転写するために最初の増幅に用いられ、かつ追加の増幅サイクルをプライマ延長物を複製するために行うことができる。PCRのためのプライマは、当然ながら、増殖可能なセグメントを生じることになる対応するテンプレート内の領域に雑種を作るように設計しなければならず、かくして、PCR内のその相補的テンプレート鎖を複製するために用いられた、プライマの3’ヌクレオチドから3’に位置する、相補的テンプレート鎖内のヌクレオチドに3’ヌクレオチドが対合されるように、各プライマが雑種を作らなければならない。
【0229】
標的核酸は、プライマを伸長し、かつ標的核酸を複製して、完全長の相補形核酸又はそのより小さい部分を生成するために、適切な活性を有するプライマ及びポリメラーゼを備える標的核酸の1つ以上の鎖を接触することで、増幅することができる。DNAポリメラーゼ、RNAポリメラーゼ、逆転写酵素、及び1つを超える種類のポリメラーゼ活性を有する酵素を含む、標的核酸を複製することができるポリメラーゼ活性を有する任意の酵素を使用することができ、酵素は、熱不安定性又は熱安定性とすることができる。酵素の混合も使用することができる。例示的な酵素としては、DNAポリメラーゼI(“Pol I”)、Pol Iのクレノウ断片、T4、T7、Sequenase(登録商標)T7、 Sequenase(登録商標)バージョン2.0 T7、 Tub、 Tag、 Tth、 Pfx、 Pfu、 Tsp、 Tfl、 Tli、及びPyrococcus sp GB D DNAポリメラーゼなどのようなDNAポリメラーゼ、大腸菌、SP6、T3及びT7RNAポリメラーゼのようなRNAポリメラーゼ、ならびにAMV、M MuLV、MMLV、RNAse H’ MMLV (Superscript(登録商標))、Superscript(登録商標)II、ThermoScript(登録商標)、HIV 1、及びRAV2逆転写酵素などのような逆転写酵素が挙げられる。全てのこうした酵素は市販されている。複数の特異性を有する例示的なポリメラーゼとしては、RAV2、及びTli (exo)ポリメラーゼが挙げられる。例示的な熱安定性ポリメラーゼとしては、Tub、 Taq、Tth、Pfx、Pfu、Tsp、Tfl、Tli及びPyrococcus sp. GB D DNAポリメラーゼが挙げられる。
【0230】
適切な反応条件は、pH、バッファ、イオン強度、1つ以上の塩の存在及び濃縮、ヌクレオチド、マグネシウム及び/又は他の金属イオン(例えば、マンガン)などのような反応物質及び補因子の存在及び濃縮、任意選択の共溶媒、温度、及びポリメラーゼ連鎖反応を含む増幅方式のための熱循環プロフィールを含む標的核酸の増幅を許すために選択され、使用されるポリメラーゼ、ならびに試料の性質に部分的に依存してもよい。共溶媒としては、ホルムアミド(一般的に約2から約10%の)、グリセロール(一般的に約5から約10%の)、及びDMSO(一般的に約0.9から約10%の)が挙げられる。増幅中の偽陽性又はアーチファクトの生成を最小にするために増幅方式内に技術が用いられてもよい。プライマダイマー形成の場合ステムループ構造を形成し、かくして増幅されないように、これらは「タッチダウン」PCR、ホットスタート技術、ネステッド・プライマの使用、又はPCRプライマの設計を含む。PCRを加速するための技術、例えば、試料内のより大きい対流を可能にし、試料の素早い加熱及び冷却のための赤外線加熱手順を含む、遠心分離PCRを、用いることができる。1つ以上の増幅のサイクルを実行することができる。PCR中の過度の1つのプライマ延長物を生成するために、過度の1つのプライマを用いることができ、好ましくは、過度に生成されたプライマ延長物は、検出されるべき増幅産物である。異なる標的核酸又は試料内の特定の標的核酸の異なる領域を増幅するために複数の異なるプライマが用いられてもよい。
【0231】
増幅された標的核酸は、増幅後処理を受けてもよい。例えば、場合によって、より容易にアクセス可能なセグメントを提供するために、混成前に標的核酸を断片化することが望ましい場合がある。核酸の断片化は、行われている検体に有益な大きさの断片を生成する任意の方法で実行することができ、適切な物理的、化学的、及び酵素的方法は、当技術分野で周知である。
【0232】
増幅反応は、光学感知部位に関する核酸が、少なくとも増幅サイクルの一部の間に増幅産物に雑種を作ることを可能にする状況下で行うことができる。検体がこうしたやり方で行われる場合、この混成イベントのリアルタイム検出は、増幅中の光の放射をモニターすることで行うことができる。
【0233】
リアルタイムPCR産物分析(及び関連するリアルタイムの逆転写PCR)は、本明細書に記載される方法(Laurendeau et al.(1999)“TaqMan PCR−based gene dosage assay for predictive testing in individuals from a cancer family with INK4 locus haploinsufficiency” Clin Chem 45(7):982−6、Bieche et al.(1999) “Quantitation of MYC gene expression in sporadic breast tumors with a real−time reverse transcription−PCR assay” Cancer Res 59(12):2759−65、及びKreuzer et al.(1999) “LightCycler technology for the quantitation of bcr/abl fusion transcripts” Cancer Res 59(13):3171−4参照、これら全ては参照として組み込まれる)とともに使用するために適合することができる、様々な状況で用いられたリアルタイムPCRモニタリングのための周知の技術を提供する。加えて、線状PCR及び直線後指数的(LATE)−PCRを本明細書に記載される方法とともに使用するために適合することができる。
【0234】
免疫測定法は、本発明の検出システム上で、例えば、システムの1つ以上の光学感知部位において行うことができる。適切な免疫測定法システムとしては、競合的及び非競合的測定システムが挙げられるがそれらに制限されるものではない。かかる測定システムは、一般的に、例をいくつか挙げるとウエスタンブロット法、放射免疫測定、EIA(酵素免疫測定法)、ELISA(酵素結合免疫吸着測定法)「サンドイッチ」免疫測定法、免疫沈降法、沈降素反応、ゲル拡散沈降反応、免疫拡散法、凝集法、補体固定分析法、免疫放射定量測定法、蛍光免疫法、タンパク質A免疫法、及び細胞免疫染色(固定又はネイティブ)法のような、技術と共に用いられる。かかる測定法は、決められた方法であり、当技術分野で周知である(例えば、Ausubel等、上記を参照)。本明細書に記載される検出システムに特に有用な免疫測定法としては、ELISA、「サンドイッチ」免疫測定法、及び蛍光免疫法が挙げられるがそれらに制限されるものではない。例示的な免疫測定法は、以下に簡潔に記載される(しかしながら限定を意図しない)。
【0235】
ELISAは、一般に抗原の準備、ウェル(例えば、検出システムの光学感知部位)の抗原での塗膜、酵素的基板(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ又はアルカリホスファターゼ)のような検出可能な化合物へ合成された対象の抗体のウェルへの付加及びある期間の培養、ならびに抗原の存在の検出を含む。ELISAにおいて、対象の抗体は、検出可能な化合物に合成される必要は無く、代わりに、検出可能な化合物に合成された(対象の抗体を識別する)第2の抗体がウェルに付加されてもよい。さらに、ウェルを抗原で被膜する代わりに、抗体がウェルに被膜されてもよい。この場合、検出可能な化合物に合成された第2の抗体は、対象の抗原の被膜されたウェルへの付加に続いて付加されてもよい。当業者には、検出された信号、ならびに当技術分野で周知のELISAの他の変形例とを増大するために変更することができるパラメータが周知であろう。
【0236】
1つの例示的な免疫測定法において、試料は、例えばタンパク質であってもよい、測定すべき未知の量の生物活性のある検体を包含する。検体は抗原と呼ばれてもよい。試料は既知又は固定量の標識検体と混ぜられてもよい。その後、混ぜられた試料は、試料内の検体及び試料に付加された標識検体が、利用可能な抗体結合部位への結合を競合するように、検体に結合する抗体と共に培養される。試料内に存在する非標識検体の相対濃度に応じて多少の標的検体が抗体結合部位に結合できることになる。それゆえ、抗体に結合された標識検体の量が測定されるとき、試料内の非標識検体の量に逆比例する。その後、元試料内の検体の量は、当技術分野の標準的技術を用いて、測定された標識検体の量に基づいて計算されてもよい。
【0237】
1つの例示型的な競合免疫測定法において、生物活性のある検体に結合する抗体は、リガンドと結合又は共役されてもよく、リガンドは、試験されている試料に付加される追加の抗体に結合する。かかるリガンドの1つの例としてフルオレセインが挙げられる。追加の抗体が、固体担体(例えば、検出システムの光学感知部位)に結合されてもよい。追加の抗体は、さらに検体、又は代替的に標識検体と結合する抗体に結合されたリガンドと結合し、単離及び標識検体に結合された標識によって生成された信号の測定を可能にする大量の合成物を生じる。
【0238】
別の種類の例示的な競合免疫測定法において、測定すべき生物活性のある検体は、固体担体(例えば、検出システムの光学感知部位)に結合され、検体と結合する抗体と測定すべき検体を包含する試料との両方と共に培養されてもよい。試料内の検体の濃度に応じた相対的な割合で、抗体は、固体担体に結合された検体又は試料内の検体のいずれかと結合する。固体担体に結合された検体と結合する抗体は、その後、標識に結合される抗マウスIgGのような、別の抗体に結合される。その後、標識から生成された信号の量は、固体担体に結合される検体に結合する抗体の量を測定するために検出される。かかる測定は、試料内に存在する検体の量に逆比例する。かかる測定法は、本発明の検出システム内で用いられる場合がある。
【0239】
対象測定法を行うために用いることができる多様な標識が、当技術分野で入手可能である。いくつかの実施形態において、標識は分光、光化学、生化学、免疫化学、又は化学的手段によって検出可能である。例えば、有用な核酸標識は、そのための抗血清又はモノクローナル抗体が入手可能な蛍光染料、酵素、ビオチン、ジオキシゲニン又はハプテン及びタンパク質を含む。生物学的構成要素の標識化に適した様々な標識が、既知であり、かつ科学及び特許の両方の文献に広く報告され、生物学的要素の標識化のために本発明に一般的に適用可能である。適切な標識としては、酵素、基板、補因子、抑制因子、蛍光部、化学発光部、又は生物発光標識が挙げられる。標識薬剤は、親和性マトリックス、炭水化物、又は脂質のような、例えばモノクローナル抗体、ポリクロナール抗体、タンパク質、又は他のポリマーを任意選択で含む。検出は、本明細書に記載される方法のいずれかで、例えば光学的導波管内の光信号の検出によって実施される。検出可能な部位は、検出可能な物理的又は化学的特性を有する任意の材料とすることができる。かかる検出可能な標識は、ゲル電気泳動、カラムクロマトグラフィー、固体基板、分光技術等の分野で非常に発達していて、一般にこうした方法で有益な標識を本発明に適用することができる。好ましい標識は、光信号を生み出す標識を含む。かくして、標識は、分光、光化学、生化学、免疫化学、電気的、光学的、熱的又は化学的手段によって検出可能である任意の成分を含むがこれに制限されるものではない。
【0240】
いくつかの実施形態において、標識は当技術分野で周知の方法によって、生成物、基板、又は酵素のような検出されるべき分子に直接または間接に結合される。上記のように、必要な感度、成分の合成の簡単さ、安定性要件、入手可能な器具、及び廃棄条件に応じて様々な標識が標識の選択と共に用いられる。非放射性標識が、しばしば間接手段で付加される。一般にリガンド分子は、ポリマーに共有結合される。その後、リガンドは、検出可能な酵素、蛍光化合物又は化学発光化合物のような、本質的に検出可能な又は信号システムに共有結合される抗リガンド分子に結合する。複数のリガンド及び抗リガンドが用いられてもよい。リガンドが天然の抗リガンド、例えば、ビオチン、チロキシン及びコルチゾルを有する場合、標識抗リガンドと共に用いられてもよい。代替的に、ハプテンの又は抗原成分を抗体との組み合わせで使用することができる。
【0241】
いくつかの実施形態において、標識は、例えば、酵素又は蛍光色素分子との合成によって、信号発生化合物に直接合成もすることができる。標識としての対象の酵素は、主に加水分解酵素、具体的にはホスファターゼ、エステラーゼ及びグリコシダーゼ、又は酸化還元酵素、具体的にはペルオキシダーゼとなる。蛍光化合物としては、フルオレセイン及びその誘導体、ローダミン及びその誘導体、ダンシル、ならびにウンベリフェロンが挙げられる。化学発光化合物としては、ルシフェリン、及びルミノールのような2,3−ジヒドロフタラジンジオンを含む。
【0242】
標識を検出する方法は、当技術分野で周知である。かくして、例えば、標識が蛍光標識の場合、適切な光の波長をによる蛍光色素の励起、及び結果として生じる蛍光を、例えば、本明細書に記載される検出システムで検出することにより検出されてもよい。同様に酵素的標識は、酵素のための適切な基板を設けること、及び結果として生じる反応生成物(例えば、検出可能な光信号を生成可能な反応生成物)の検出により検出される。
【0243】
いくつかの実施形態において、検出可能な信号は発光原によって提供されてもよい。「発光」は、温度上昇以外のいかなる理由による物質からの光の放出を意味するために一般に用いられる用語である。一般に「励起状態」からより低いエネルギー状態(通常基底状態)に動くときに、原子又は分子は、電磁エネルギーの光子を発し、この工程はしばしば「放射性崩壊」と呼ばれる。励起の多くの原因がある。励起の原因が光子の場合、発光過程は「フォトルミネッセンス」と呼ばれる。励起の原因が電子の場合、発光過程は「エレクトロルミネッセンス」と呼ばれる。より具体的には、エレクトロルミネッセンスは電子正孔対を形成するための電子の直接的な発射及び除去、及び光子を発するためのそれに続く電子正孔対の再結合からもたらされる。化学反応からもたらされる発光は一般に「化学発光」と呼ばれる。生体により生成される発光は、一般に「生体発光」と呼ばれる。フォトルミネッセンスがスピン許容遷移(例えば、一次一重遷移、三重項・三重項遷移)の結果の場合、フォトルミネッセンス過程は、一般に「蛍光」と呼ばれる。一般的に、蛍光発光は、こうしたスピン許容遷移によりすぐに和らぐことがある短い励起状態の結果、励起原因が除かれた後、持続しない。フォトルミネッセンスがスピン禁制遷移(例えば、三重項・一重項遷移)の結果の場合、フォトルミネッセンス過程は一般に「燐光」と呼ばれる。一般的に、蛍光発光は、かかるスピン禁制遷移のみによって和らぐことがある長い励起状態の結果励起原因が除かれた後、長く持続する。「発光標識」は、上記特性のいずれかを有してもよい。
【0244】
適切な化学発光源は、化学反応によって電子的に励起される成分を含み、かつその後、検出可能な信号として機能する、又は蛍光アクセプタにエネルギーを与える光を発する場合がある。多様な数の化合物の族が、様々な状況下で化学発光を提供することが発見されている。化合物の1つの族は、2,3−ジヒドロ−1,4−フタラジンジオンである。頻繁に用いられる化合物は、ルミノールで、これは5−アミノ化合物である。この族の他の構成物としては、5―アミノ―6,7,8−トリメトキシ−、及びジメチルアミノ[ca]ベンズ類似体が挙げられる。これらの化合物は、アルカリ性過酸化水素又は次亜塩素酸カルシウム及び塩基により冷光を発光するように作ることができる。化合物の別の族は、2,4,5−トリフェニルイミダゾールで、ロフィンが親商品の通称である。化学発光類似体としては、パラジメチルアミノ、及び―メトキシ置換基が挙げられる。化学発光はまた、シュウ酸塩、通常オキサリル活性エステル、例えばp−ニトロフェニル及び過酸化水素のような過酸化物でも、塩基性条件で、得られる場合がある。既知の他の有用な化学発光化合物としては、N−アルキル・アクリジナム・エステル及びジオキセタンが挙げられる。代替的に、生物発光をもたらすためにルシフェラーゼ又はルシゲニンと共にルシフェリンが用いられてもよい。
【0245】
別の実施形態において、本発明は、1つ以上の薬理学的パラメータ、例えば、治療薬の薬効及び/又は毒性の評価に有用な、薬力学(PD)及び/又は薬物動態(PK)パラメータをモニターする方法を提供する。この方法は、1つ以上の薬理学的パラメータをモニターするために、治療薬を投与された被験者からの体液の試料を検出装置の対象とすることができると、試料から2つ以上の薬理学的パラメータの値を示す検出可能な信号を生じるための本明細書に記載される検出装置を使用することと、体液の前記試料から生じる検出可能な信号の検出することを含む。
【0246】
1つの実装において、検査された試料は、新薬の調査時に対象となる多数の様々な低分子(例えば、スクリーニングライブラリ)を含むことができる。それゆえ、本明細書に記載される検出システムは、効き目があるかもしれない新薬を明らかにするために特定の生物活性のある検体と相互作用する性能を調査するために、低分子のライブラリのスクリーニングに有用である。候補の低分子の一部又は全てのさらなるスクリーニングは、好ましくない薬物作用及び毒性を明らかにする場合がある。
【0247】
1つの実施において試料は毒性が検査される分子を含むことができる。
【0248】
概して、別の態様において、本明細書に記載される検出システムを用いる方法が提供される。
【0249】
1つの実施形態において、走査光源は、その走査経路を通して1つ以上のインカップリング又は励起導波管と結合され光通信する点に動き、かくして導波管内で光のパルスを生じる。光は導波管に沿って進み、光学感知部位に到達し、センサー、例えば、光変換器を通して相互作用する。試料は導波管において、又は近くに位置する。次に、センサーを離れる第2の光は、アウトカップリング又は集光導波管内に結合し、基板、例えば、チップ面、の端部を終端まで導波管を下って進む。その後、アウトカップリング又は集光導波管を出るる光は、検出器配列とすることができる検出器の異なる素子によって検出される。いくつかの実施形態において、基板は光源及び検出器が導波管の対向する側に結合し、かつ光通信する、イン/アウトカップリング導波管の両方として機能する複数の導波管を備える。他の実施形態において、イン/アウトカップリング導波管は、光源からの光を収集し、かつ1つ以上のアダプターを通して検出器に第2の光を導く。
【0250】
別の実施形態において、走査光源/検出器は、その走査経路を通して光源が1つ以上のインカップリング導波管と結合され、かつ光通信する点に動き、かくして導波管内で光のパルスを生じる。同時に、検出器は、1つ以上のアウトカップリング導波管と結合し、かつ光通信する。光は導波管に沿って進み、光学感知部位に到達し、センサー、例えば、光変換器を通して相互作用する。試料は、導波管において、又は導波管の近くに位置する。次に、センサーを離れる第2の光は、アウトカップリング導波管内に結合し、基板、例えば、チップ面、の端部を終端まで、導波管を下って進む。その後、アウトカップリング導波管を出る光は、検出器配列であってもよい検出器の異なる素子によって検出される。いくつかの実施形態において、基板はイン/アウトカップリング導波管の両方として機能する複数の導波管を備え、光源/検出器チップは、少なくとも1つの結合器を通して結合されるインカップリング及びアウトカップリング導波管を備える。光源素子によって生成された光波は、光源/検出器チップのインカップリング導波管内に結合され、その後、結合器によってアウトカップリング導波管内に結合され、これはこの1次光を基板の導波管に結合する。センサーを離れる2次光波は、基板の同じ導波管を通して、光波を検出器素子に導く光源/検出器チップのアウトカップリング導波管に進む。
【0251】
別の実施形態において、試料の検出は、検出すべき標的を包含する疑いのある試料の検出システムの光学感知部位への送達を含む。試料のシステムへの送達は、光学感知部位への流体のピペット操作を含むことができる。他の供給手段としては、ロボット流体送達システム、又は手動か、又は工具もしくはロボット操縦システムの補助によるかのいずれかによる、光学感知部位での非流体又は半流動体の試料の物理的配置が挙げられるがこれに限定されるものではない。次に、走査光源によって生じた第1の光波が、光学感知部位と光通信する複数の導波管の1つ以上に提供される。第1の光波は、光学感知部位と光通信する、複数のアウトカップリング又は集光導波管の1つ以上内で戻される第2の光波を形成するために、光学感知部位に関するセンサーによって変換される(例えば、測定可能に変えられる)。次に第2の光波内の測定可能な変化は、アウトカップリング又は集光導波管と光通信する検出器を用いて検出される。第2の光波の測定可能な変化の検出は、センサーが標的と相互作用したことを示す。様々な実施形態において、本明細書に記載される導波管は添付の図面に概して示されるように実質平行に配設することができることが想定される。
【0252】
さらなる実施形態において、検出方法は、制御されたやり方で1つ以上の導波管内の第1の光波を生じるために走査経路に沿ったある点で基板内に結合する走査光源による1つ以上の光波の生成を含む。
【0253】
別の実施形態において、走査光源の異なる光源素子は、1つ以上の入力光波を生成するために、同時にスイッチをオンにすることができる。複数の光波は、1つ以上の導波管内で第1の光波を制御可能に生じるために基板内に結合することができる。
【0254】
1つの実施形態において、全てのインカップリング導波管には、第1の光波が供給され、かつ各アウトカップリング導波管での第2の光波の同時検出は、光検出器アレイである検出器を用いて達成される。
【0255】
異なる光源素子の制御された切替により、各導波管は、個々に第1の光波を向けることができる。導波管の向ける順番は、順次、交互、ランダム、又は任意の所望の順とすることができる。各アウトカップリング導波管に関する任意の第2の光波を同時に検出することができるので、光学感知部位の全配列の素早い走査を光検出器アレイを活用して達成することができる。
【0256】
別の実施形態において、単一の励起導波管に第1の光波が供給され、各集光導波管での第2の光波の同時検出は、光検出器アレイである検出器を用いて達成される。例えば、2次元の導波管アレイが128の励起導波管及び128の集光導波管のアレイである場合、第1の励起導波管内の単一の第1の光波の供給後に、128の光学的センサー部位からの生成された第2の光波(存在する場合)を同時に検出することが可能であろう。かくして、128の光学感知部位に標的の有無を同時に問い合わせることができる。次に、第2の励起導波管が提供することができ、それにより、128の光学感知部位の第2の組の監視をトリガすることができる。全ての励起導波管が励起され、かつ光学感知部位の全配列が問い合わせされるまでこの工程は素早く繰り返すことができる。
【0257】
様々な実施形態において、検出システムを用いる方法は、核酸、タンパク質、抗原、抗体、タンパク質の一団、微生物、気体、化学物質及び汚染物質を含む生物活性のある検体を含むがそれに制限されるものではない、物質の検出に関する。特定の実施形態において、単一ヌクレオチド多型(SNP)が標的内で検出される。1つの実施形態において、遺伝子の発現は、標的の検出において検出される。
【0258】
SNPの光学的検出のための平面導波管を用いるシステムが前述された。例えば、SNPを検出するための平面導波管蛍光生体センサー技術を伴う一塩基伸長(「SBEX」)は、2004年11月8日出願の「一塩基伸長」というタイトルの米国特許出願整理番号第10/984,629号にHerron及びTolleyにより記載される。簡潔に述べると、内部全反射蛍光法(TIRF)を、平面導波管技術を用いたSNP検出のためのリアルタイム検出条件下で、SBEXと組み合わせて用いることができる。導波管基板内で生成されたエバネセント波は、定常捕捉用オリゴヌクレオチドに結合された蛍光標識された検体DNA分子を励起するだけである。Herronは、測定に有用なエバネセント波の深さは、センサー面から約300nm以内であることを発見した。SBEX法は、例えば、Cy5標識のジデオキシヌクレオ三リン酸(ddNTPs)を組み込むために、DNAポリメラーゼを用いる。追加の標識は本明細書の他の部分に記載される。
【0259】
プローブ分子の3’末端に付加された一塩基の識別(「同定」)は、3つの方法のうちの1つで行うことができる。すなわち、各チャネル内の異なる標識化されたddNTPを用いた4つの塩基の各々のための平行チャネル、各反応内の異なる標識化されたddNTPを用いた逐次SBEX反応、又は各ddNTPのための異なる蛍光標識を用いた4つの可能性の波長識別である。こうした方法の1番目が好ましい場合がある。SBEXは、オリゴヌクレオチド遺伝子型決定、及びSNP検出システムに用いられてもよく、例えば、より大きい塩基特異性により、標識化されたddNTPとプローブとの間の共有結合の生成、及び多塩基の同時検出に、伝統的な雑種形成分析よりも有利である。
【0260】
導波管にSBEXを用いることで、いくつかの異なる多型の同時検出を簡単にすることができる。異なる捕捉配列を用いて導波管をパターン化することにより、配列の異なる点、例えば、ゲノム、染色体、及び/又は遺伝子が測定される場合がある。SBEXは、用いられるddNTPモノマー上の蛍光標識を要求するのみなので、特定の塩基の全例が検出される。伝統的DNA雑種形成分析で同じことを行うためには、各捕捉配列のための各DNAが蛍光標識されなければならない。
【0261】
酵素触媒反応は、2つの明白な利点を有する。第一に、安定した共有結合が、固定相と標識化されたモノマー、例えばCy5−標識との間にできる。これは、非共有結合性相互作用(二重鎖形成)を介した固定相によって蛍光標識が捕捉される、従来の雑種形成分析に対する測定法感度を増加させる。任意選択で、厳密な洗浄手順を用いることができる。第2に、ポリメラーゼの複製精度によって、ポリメラーゼ酵素は、ジデオキシヌクレオチドを高い忠実度で取り込み、一般に標的塩基を補完する塩基のみ反応する。SBEXは、ウォッシュレスアッセイのより高い速度、及び動的データにより提供されるより高い感度から恩恵を受ける平面導波管技術に特に適する。
【0262】
導波管プラットフォーム上のSBEXの使用は、50℃未満の温度で単一ヌクレオチド多型と野生型配列を識別可能な実行すべき速い測定法(<5 min)を可能にする。
【0263】
蛍光画像は、速度、感度、ノイズ、及び解像度に敏感で、各々は本発明での使用のために最適化される場合がある。例えば、測定回数を減らすために速度が増やされてよい。塩基伸長は、CCDカメラ、ストリークカメラ、蛍光分光計、蛍光スキャナ、又は概して4つの要素、すなわち、励起源、蛍光色素分子、放出と励起光子を分けるためのフィルター、及び放出光子を検知し記録可能出力、典型的には、電気的出力、又は写真出力を生じるための検出器、を備える他の既知の蛍光検出装置を用いて検出されてもよい。
【0264】
本発明で有用なポリメラーゼ酵素は、当技術分野で周知で、pfu、 Taq、 Bst、 Tfl、 Tgo、及びTthポリメラーゼなどのような熱安定性ポリメラーゼ、DNAポリメラーゼI、クレノウ断片、及び/又はT4 DNAポリメラーゼを含むがそれらに制限されるものではない。ポリメラーゼは、用いられるテンプレート、プライマ、及びNTPに応じて、DNA依存性DNAポリメラーゼ、DNA依存性RNAポリメラーゼ、RNA依存性RNAポリメラーゼ、RNA依存性DNAポリメラーゼ、又はその混合であってもよい。ポリメラーゼはプルーフリーディング活性(3’エキソヌクレアーゼ活性)及び/又は5’エキソヌクレアーゼ活性)を有しても有しなくてもよい。
【0265】
本発明の捕捉分子、及び/又は検体分子は、DNA及び/又はRNA、ならびに当技術分野で周知のそれらの変更形態を含むがそれらに制限されるものではない、任意の核酸であってもよく、5’−O−(1−チオ)ヌクレオシド類似体三リン酸塩、α−三リン酸塩、7−デアザ−α−三リン酸塩、N6−Me−α−チオ三リン酸塩、2’−O−メチル三リン酸塩、モルホリノ、PNA、アミノアルキル類似体、及び/又はホスホロチオ酸塩を組み込んでもよい。
【0266】
1つの実施形態において、免疫測定法は、検出システムの使用の本方法と共に使用することができる。本発明の検出システムの光学感知部位は、免疫測定法に対応するために、例えば、光学感知部位における、又は光学感知部位の内部の、1つ以上の免疫測定試薬を含むことにより、適合することができる。この実施形態において、光学感知部位と生物活性のある検体のために検査されている試料との間の相互作用は、光学感知部位で行われる免疫測定法を含むことができる。かくして、生物活性のある検体と相互作用する光学感知部位は、免疫測定法の結果を含むことができる。このようにして、検体の有無を判別することができる。加えて、検体の量が定量化されてもよい。1つの実施形態において、対応する免疫測定法は蛍光測定法である。免疫測定法は競合又は非競合免疫測定法とすることができることが想定される。1つの実施形態において、対応する免疫測定法はELISAである。
【0267】
生体試料又は環境試料の準備に関する様々な計装、取り扱い、及び分析を、本明細書に記載されるシステム及び方法と共に用いることができることが想定される。かかる計装の実施例としては、セルソーター、DNA増幅サーマルサイクラー、又はクロマトグラフィー機械(例えばGC又はHPLC)が挙げられるがそれらに制限されるものではない。かかる計装は、当業者には周知である。ロボットインターフェースを、本明細書の検出システムと生体試料又は環境試料の準備、取り扱い、及び分析に関する様々な計装との間に用いることができる可能性があることが想定される。
【0268】
光学的検出システムは、生物医学及び遺伝子研究、ならびに臨床診断を含む様々な範囲の用途に用いられてもよい。核酸のようなポリマーの配列は、例えば、結合親和性の特定のためのスクリーニング検査、及び診断測定法における、相補形ヌクレオチドのような、標的への特異結合のためにスクリーニングされてもよい。1つの実施形態において、ポリヌクレオチドのシークエンシングは、米国特許第5,547,839号に開示されるように行うことができる。核酸配列は、米国特許第6,027,880号及び米国特許第5,861,242号に開示されるように嚢胞性線維症のような遺伝病の検出又はHIVのような疾病の診断を含む多くの他の用途に用いられてもよい。遺伝子変異は、シークエンシング、又は雑種形成により検出されてもよい。1つの実施形態において、遺伝子標識は、米国特許第5,710,000号に開示されるようにタイプIIs制限エンドヌクレアーゼを用いてシーケンシング及びマッピングされてもよい。
【0269】
他の用途は、米国特許第6,228,575号に記載されるようにチップに基づく遺伝子型決定、種同定、及び表現型の特徴を含む。癌疾患の診断、及びウイルス性、細菌性、及びその他の病理学的又は非病理学的感染の診断を含む、さらに他の用途が米国特許第5,800,992号に記載される。 更なる用途は、米国特許第6,361,947号に記載されるように、チップに基づく単一ヌクレオチド多型(SNP)検出を含む。
【0270】
遺伝子の発現は、Lockhart et al., Nature Biotechnology, 14:1675−1680 (1996)に記載されるように、イーストのような微生物のような、細胞内の核酸の高密度アレイを用いた並列の多数のmRNAの混成によってモニタリングされてもよい。全RNAの雑種形成による細菌の核酸配列への転写画像化は、Saizieu et al., Nature Biotechnology, 16:45−48(1998)に記載されるように行われてもよい。高密度DNAアレイを用いた遺伝子情報へのアクセスは、さらにChee, Science 274:610−614(1996)に記載される。
【0271】
上記の核酸配列に加え、本発明の光学的検出システムは、例えばXu,Q.及びLam,K.S.、J.Biomed.Biotechnol.5:257−266(2003)に記載されるように、タンパク質の配列、抗体、低分子合成物、ペプチド、及び炭水化物、又は細胞もしくは組織配列を含むタンパク質及び化学的マイクロアレイと組み合わせて用いられてもよい。タンパク質及び化学配列は、プロテオミクス(タンパク質間相互作用及びタンパク質リガンド間相互作用の両方の測定法を含む)、創薬のためのスクリーニング測定法、及び毒物学検査を含むがそれらに制限されるものではない多くの潜在用途内の本発明の方法及び装置と組み合わせて用いられてもよい。いくつかの用途において、これらの測定法は、例えば、米国特許第7,349,080号及び米国特許第7,292,336号に記載されるように、無標識の光学的感知方法を用いてもよい。
【0272】
更なる潜在用途は、細菌胞子(例えば米国特許第6,498,041号に記載される); 細菌因子(例えば、炭疽菌、ペスト菌、野兎病菌、ブルセラ菌、ボツリヌス菌、破傷風菌、コクシエラ・バーネッティ及びコレラ菌);ウイルス性因子(例えば、天然痘ウイルス、及びベネズエラウマ脳炎、西部ウマ脳炎及び東部ウマ脳炎のようなウイルス性脳炎因子;ならびにアレナウイルス、ブンヤウイルス、フィロウイルス及びフラビウイルスのようなウイルス性出血熱因子)及び毒素(例えば、ブドウ球菌エンテロトキシンB、ボツリヌス毒素、リシン、及びマイトキシン、ならびに穀類枯死剤(例えば、コムギ黒銹病菌、いもち病菌、コムギなまぐさ黒穂病菌、黒穂病菌、フサリウム真菌及び除草剤) を含むがそれらに制限されるものではない化学及び/又は生物兵器剤の検出である。細菌及びウイルス性因子は、例えば、リアルタイムPCRのような核酸に基づく方法、ELISAのような抗体に基づく検出方法を用いて、又はKulagina et al., Sens. Actuators B. Chem. 121:150−157 (2007)に記載されるように抗微生物ペプチドを用いて検出される場合がある。
【0273】
更なる潜在用途は、食物由来の病原体(例えば、チフス菌、ネズミチフス菌、カンピロバクタージェジュニ、大腸菌O157H:H7、リステリア菌、黄色ブドウ球菌、及びウェルシュ菌)の検出;例えば、酸化の過程により生じる劣化の指標として機能する化学物質の検出;及び微量の汚染化合物、毒素、添加物、又は農薬の検出を含む食品安全にある。
【0274】
更なる非限定的な潜在用途としては、ウイルス性及び細菌性感染症(例えば、エイズ、鳥インフルエンザ、SARS、西ナイルウイルス)の検出及び診断;患者のポイントオブケア・モニタリング(例えば、糖尿病患者の糖及びインスリン値の検出、血液ガス濃度又は乳酸レベルの検出);妊娠検査;薬物や麻薬(例えば、コカイン、エクスタシー、メタンフェタミン、アヘン)の検出;化学物質及び爆発物(例えば、RDX、TNT、ニトログリセリン)の検出;及び農薬、重金属、硝酸塩又はリン酸塩の検出を含む大気、水または土壌試料の環境モニタリングの検出が挙げられる。
【0275】
本明細書に記載される動作システムは、ずっと大きい生体分析システム内のサブシステムとすることもできる。生体分析システムは、光学的検出前の試料調製、光学的検出位相で収集されたデータの後処理、及びこうした結果に基づく最終判断の全ての態様を含むことができる可能性がある。試料調製は、被験対象(ヒト、動物、植物環境等)からの試料の抽出、調査中の分子のより高い濃度及び純度を達成するための試料の異なる部分の分離、(例えばPCRを通した)試料増幅、試料の異なる部分への蛍光タグ又はマーカーの付加、及び基板上への試料のスポッティング、などのような手順を含んでもよい。収集されたデータの後処理は、正規化、バックグラウンド及びノイズの低減、及び繰り返された検査の平均化又は異なる検査間の相関関係などのような統計分析を含んでもよい。判断は、所定の規則の組に対する試験、及び外部データベースに保存された情報との比較を含んでもよい。
【0276】
本明細書に記載される検出システムの用途及び使用は、個体、例えば、患者の疾病状態の診断に有用な1つ以上の結果を生じることができる。1つの実施形態において、疾病の診断の方法は、試料内の標的の存在及び/又は濃度レベルに関するデータの精査又は分析を含む。データの精査又は分析に基づく結論は、患者、健康管理供給者、又は健康管理者に提供することができる。1つの実施形態において、結論は疾病診断に関するデータの精査又は分析に基づく。別の実施形態において、患者、健康管理供給者、又は健康管理者への結論の供給は、ネットワークによるデータの送信を含むことが想定される。
【0277】
それゆえ、本明細書に記載される検出システム及び方法を用いた業務システム及び方法が供給される。
【0278】
本発明の1つの態様は、検体に関するデータを生成するための生物活性のある検体の有無のための患者の試験試料のスクリーニング、検体データの収集、及び疾病診断に関するデータの精査又は分析に基づく結論を下すための検体データの患者、健康管理供給者又は健康管理者への提供を含む業務方法である。1つの実施形態において、患者、健康管理供給者又は健康管理者への結論の提供は、ネットワークによるデータの送信を含む。
【0279】
それにより、図15は本発明に関するデータの精査又は分析がそれにより達成可能な論理デバイスの代表例を示すブロック図である。かかるデータは、個人の疾病、障害、又は疾患に関する可能性がある。図15は、例えば、結果を生じるために、検出システム1524とともに用いるための器具1520に接続されたコンピューターシステム(又はデジタル装置)1500を示す。コンピューターシステム1500は、メディア1511、及び/又は任意選択で固定メディア1512を有するサーバー1509に接続されることができるネットワークポート1505から命令を読み取ることができる論理装置として理解されてもよい。図15に示されるシステムは、CPU1501、ディスクドライブ1503、キーボード1515及び/又はマウス1516、ならびに任意選択のモニター1507などのような任意選択の入力装置を含む。データ通信は、示された通信媒体を通してローカル又はリモート位置におけるサーバー1509に到達することができる。通信媒体は、データを送信及び/又は受信する任意の手段を含むことができる。例えば、通信媒体は、ネットワーク接続、無線接続、又はインターネット接続とすることができる。かかる接続は、ワールドワイドウェブを通した通信を提供することができる。本発明に関するデータを、当事者1522による受信及び/又は精査のためのかかるネットワーク又は接続を通して送信することができることが想定される。受け取る当事者1522は、患者、健康管理供給者又は健康管理者とすることができるがこれに制限されるものではない。
【0280】
1つの実施形態において、コンピューター可読の媒体は、環境又は生体試料の分析の結果の送信に適する媒体を含む。媒体は、かかる結果が本明細書に記載される方法を用いて由来する被験者の病状又は状態に関する結果を含むことができる。
【0281】
本明細書に記載される方法を行うのに有用な試薬を備えるキットも提供される。
【0282】
いくつかの実施形態において、キットは、本明細書に記載される検出システム、及び試料内の標的を検出するための試薬を含む。キットは、任意選択で以下の1つ以上を包含してもよい。すなわち、1つ以上の蛍光又は発光分子タグ、及び核酸、タンパク質、微生物、又は化学物質を含む1つ以上の生物活性のある検体である。
【0283】
キットの成分は、筐体によって保持されてもよい。記載された方法を行うためのキットの取り扱い説明を、筐体とともに提供することができ、任意の固定の媒体内に提供することができる。取り扱い説明は、筐体の内側又は筐体の外側に配置されてもよく、読者が取り扱い説明を読むことができるように、筐体を形成する任意の面の内側又は外側の上に印刷されていてもよい。キットは、核酸、タンパク質、微生物、気体、化学物質、又は汚染物質を含む1つ以上の異なる標的生物活性のある検体の検出のための複数の形式であってもよい。
【0284】
本明細書に記載され、図16に例示的実施例で示されるように、ある実施形態において、キット1603は、検出システム1600、様々な構成要素を収納するための筐体、又は容器1602を含むことができる。図16に示され、及び本明細書に記載されるように、キット1603は、任意選択で、取り扱い説明1601、及び試薬1605、例えば、DNA雑種形成又は免疫測定法試薬を含むことができる。構成要素が本明細書に記載される様々な追加の特徴を含む、キット1603の他の実施形態が想定される。
【0285】
1つの実施形態において、標的のための試料を測定するためのキットは、走査光源、検出器、及び基板を含む検出システムを含む。基板は、複数の励起導波管、及び本明細書に記載される複数の集光導波管を含むことができる。基板の励起導波管及び集光導波管は、交差又は交わって交差領域及び2次元の配列を形成する。システムは、複数の光学感知部位をさらに含む。光学感知部位は、1つ以上の励起導波管及び1つ以上の集光導波管と光通信する。キットはパッケージング及びシステムの取り扱い説明をさらに含む。
【0286】
別の実施形態において、励起導波管と集光導波管の交差は実質垂直である。
【0287】
別の実施形態において、標的のための試料を測定するためのキットは、走査光源、検出器、及び基板を含む検出システムを含む。基板は、本明細書に記載される、複数の実質的に平行なインカップリング導波管、及び複数の実質的に平行なアウトカップリング導波管を含むことができる。システムは、複数の光学感知部位をさらに含んでもよい。光学感知部位は、1つ以上の導波管と光通信する。キットは、パッケージング及びシステムの取り扱い説明をさらに含む。
【0288】
1つの実施形態において、キットは、平面光波回路(PLC)である検出システムを含む。
【0289】
一般に、別の態様において、標的のための試料を測定するための基板を製造する方法が提供される。1つの実施形態において、基板はPLCである。
【0290】
PLC装置の製造のための出発物質は、通常シリコン(Si)又はシリカ(SiO2)からなるウエハである。使用される最も一般的なウエハ径は4インチ、6インチ、及び8インチである。PLC装置のための製造工程は、2つの基本工程、すなわち、蒸着及びエッチングを伴う。それら各々の簡単な説明が以下に記される。
【0291】
特定の実施形態において本明細書に記載されるシステムの製造方法は、レーザー書き込み、UV書き込み、及び光バンドギャップ導波管方法を含むがそれらに制限されるものではない。いくつかの実施形態における製造工程は、蒸着、マスキング及びエッチングの1つ以上の手順を含む。
【0292】
蒸着:
蒸着手順中に、良く制御された厚さを有する良く定義された材料の層が全ウエハにわたり蒸着される。導波管層蒸着に用いられる最も一般的な材料は、ガラスとしても知られるシリカ(SiO2)、及び窒化珪素(Si3N4)である。シリカの光学特性(主にその屈折率)は、蒸着中に導入されるドーピング(Ge、P、及びB等)の量により制御される。シリコン、ガラス、エポキシ、ニオブ酸リチウム、リン化インジウム及びSiON(酸窒化珪素)及びその誘導体などのような他の材料も用いられる。クラッディング層に対しては、材料はシリコン、シリカ(SiO2)、ガラス、エポキシ、ニオブ酸リチウム及びリン化インジウムを含むことができるがそれらに制限されるものではない。
【0293】
蒸着手順は、PECVD(プラズマ増強化学蒸着)、LPCVD(低圧CVD)、APCVD(常圧CVD)、FHD(火炎加水分解蒸着)、及び当技術分野で周知の他の技術などのようないくつかの技術を用いて行われる。
【0294】
図17Aは、ウエハであってもよいシリコン1726層の上のクラッディング1721層及びコア1423層の2つの連続した蒸着手順の後作り出される概略の構造としての例示的な基板1704を示す。上記のように、これら2つの層は、異なるレベルのドーピングを用いることにより達成されるが、屈折率が異なる。異なる層の一般的な厚さは、最大約20μmのクラッディング、及び最大6μmのコアである。シリコン1726ウエハの厚さは、約0.5mmから1mmの範囲とすることができる。
【0295】
マスキング:
蒸着に続いて、エッチング手順の前に、削り取られないように領域をマスキングすることにより、蒸着されたウエハにPLC装置の所望の2次元構造が転写される。マスキングは、ウエハを感光性材料で覆うこと、これをリソグラフマスクを通して光にさらすこと、及びマスクを低位置に残したまま、露光された材料を取り除くことを含むいくつかの手順で行われる。こうした手順の結果は、マスク1725が、基板1704のコア1723層の頂部に示される図17Bに示される。
【0296】
エッチング:
エッチング手順において、マスクされない領域の材料は、基板(図17C参照)の頂部コア1723層から除去される。エッチング速度は、既知のパラメータであり、それゆえエッチング深さは時間によって制御可能することができる。エッチングの2つの最も一般的な技術は、ウェットエッチング、及び反応性イオンエッチング(RIO)である。図17Cは、導波管1727をもたらすエッチング手順の結果を示す。
【0297】
エッチング手順の後で、オーバークラッディング、又は頂部クラッディング1729層が、上記に似た蒸着手順を用いて生成される。結果は図17Dに示される。図17Dに示されるように、結果として生じる導波管1727は、リコン1726層の上の頂部クラッディング1729、及びクラッディング1721によって覆われる。
【0298】
上記手順は、いくつかの導波管の層を順に重ねて作り出すために繰り返すことができる。この場合、1つの導波管の層と他の導波管の層との間に平坦化手順が必要なことがある。これは化学機械平坦化(CMP)として知られる技術を用いて行われる。
【0299】
ウエハ処理が完了すると、個々のチップに切断することができる。製造工程の例示的な単純化されたフローチャートが図18に示される。
【0300】
本発明の好ましい実施形態が本明細書に示され、かつ記載されるが、かかる実施形態が例示の目的のみで提供されることは当業者には明らかであろう。当業者であれば、ここで、本発明から逸脱することなく多数の変形例、変更、及び代替を思いつくであろう。本発明の実践において、本明細書に記載される本発明の実施形態に対する様々な代替案が用いられてもよい事を理解するべきである。以下の特許請求の範囲は、本発明の範囲を定義し、これらの特許請求の範囲およびその均等物の範囲内の方法及び構造が、これにより網羅されることが意図される。
【実施例】
【0301】
実施例1:検出の制限の設定
本発明のセンサーの1つの特徴は、少数の生物活性のある検体分子を検出する能力である。次の実験は、この能力を示す。センサーの検出限界(LOD)は、溶液中の蛍光標識されたオボアルブミンの測定により判定された。使用された染料はAlexa Fluor 660であった。これは658nmで励起され、発光は690nmで測定された。全ての測定は室温(25℃)で行われた。LODは、2つの異なる方法を用いて測定された。すなわち、1)95%を超える信頼度の上記のバッファバックグラウンドにおける、検出可能な標識化されたオボアルブミンの最低濃度の判定(P<0.05、スチューデントt−検定)、及び2)センサー応答対濃度の標準曲線対濃度からの分析感度の判定(MDL = 2*SD/傾斜、ここでSDはバッファーバックグラウンド測定の標準偏差であり、傾斜は標準曲線の初期傾斜)である。こうした方法は、両者がLODに対して95%信頼水準を特定する点で比較可能である。3つの異なる手順の等温線からのLODの値が表1に示される。

【0302】
試料あたりの検出された分子数は、次のように計算された。全ての実験に用いられた試料体積は50マイクロリットルであった。 かくして、例えば、0.1pMの濃度で、試料あたり3×10の分子数があった。全ての分子が全体積にわたり均一に分散されたので、センサーあたりの利用可能な分子数は〜1000であった。 この数の分子を包含する流体の厚さは〜1.7mmであった。拡散パラメータを用いて、こうした分子の0.1%から1%、すなわち1から10の分子が、各センサー表面に結合できたと推定される。
【0303】
実施例2:タンパク質間相互作用の検出
本発明は、タンパク質間相互作用の測定に有用である。この実施例において、オボアルブミンの抗オボアルブミン抗体への結合を測定するために、導波管に基づく光学的検出技術が用いられた。実験が行われる前、52.5×4,500μm感知素子付きチップは、抗オボアルブミン抗体で浸漬被覆された。この処置は、いくつかの手順を伴った。第1にチップが洗浄された。チップをウエハの切断中に保護するために、チップ製造者は、チップの活性表面を薄いポリマー層で被膜した。ポリマー層は、チップをアセトンに5分間、続いてイソプロパノールに5分間浸漬し、第2のイソプロパノールすすぎを追加で1分間行うことにより除去された。その後、チップは、脱イオン水中で3回洗われ、減圧デシケーター内で乾燥された。次に、表面が活性化された。導波管に捕捉分子を固定するために、二酸化珪素の薄い層(〜10nm)が、ピラニア処理によってチップ上に形成された。チップは、9%(v/v)H2O2及び66.5%(v/v)H2SO4を包含するピラニア溶液に45分間攪拌して浸漬された。この手順は、有機汚染物質を除去し、抗体結合に用いられた反応性シラノール基の薄い(1〜2ナノメートル)層を生成した。その後、チップは、4回脱イオン水中ですすがれ、続いて再蒸留水中で最終すすぎされた。
【0304】
オボアルブミン特有の抗体は、自己集合単分子層を形成するアビジン・ビオチン化学を用いてチップに固定された。(Herron、J.N.,H.−K.Wang,V.Janatova,J.D.Durtschi,K.D.Caldwell,D.A.Christensen,I.−N.Chang and S.−C.Huang(2003) Orientation and Activity of Immobilized Antibodies. In:Biopolymers at Interfaces, 2nd Edition (M. Malmsten, ed.), Surfactant Science Series, Vol. 110, Marcel Dekker, new York, pp. 115−163。)アビジンは、静電相互作用によりシラノール基を包含する表面に吸着することができる。抗体固定化は、2つの手順で進められた。すなわち、アビジンのピラニヤ処理チップへの吸着(リン酸緩衝食塩水中の100nMアビジン、pH 7.4、1時間の吸着時間に続いて5回のPBSすすぎ)に続いて、ビオチン化抗オボアルブミン抗体(例えば、US Biological、多クローン)の吸着されたアビジン(PBS内の100nMビオチン化抗オボアルブミン抗体)への結合である。チップは、それからPBS内で3回、脱イオン水中でさらに5回すすがれ、その後ゼロプロテクタント(脱イオン水中の0.1mg/mLトレハロース)で後被覆し、窒素気流、続いて減圧デシケーターで乾燥された。
【0305】
処理の最後における捕捉抗体濃度は、平方センチメートルあたり1pMと推定された。
【0306】
図7Dに示されるように、オボアルブミンの抗オボアルブミン抗体との相互作用を測定するために、リン酸緩衝食塩水を包含する溶液中の蛍光標識されたオボアルブミン、pH 7.4、及び0.1mg/mLウシ血清アルブミンが、チップの面上の試料ウェルに付加された。 4桁程度の濃度範囲(0.1pMから1,000pM)のオボアルブミンが用いられた。 その後、結合反応の動態は室温で10分間の間モニターされ、蛍光強度が690nmで測定された。
【0307】
図19は、結合反応に対する定量的センサー応答を示す。使用された各オボアルブミン濃度での蛍光強度は、プロットシンボル及びエラーバーで示され、対数横座標及び縦座標軸によりグラフ上にプロットされた。図19の実線は、曲線適合である。二定数モデルは結合データに適合し、1μm厚の励起導波管と一体の超高感度(フェムトモル)センサーを用いた実験の結果に一致する結合性質を表す(Plowman,T.E.,W.M.Reichert,C.R.Peters,H.K. Wang,D. A. Christensen and J.N.Herron(1996),“Femtomolar Sensitivity using a Channel−etched Thin Film Waveguide Fluoroimmunosensor,” Biosensors & Bioelectronics 11, 149−160)。オボアルブミン分子のごく一部(0.22%)は、同時に2つの異なる固体化抗体分子と結合し、オボアルブミンの圧倒的過半数(>99%)は、単一の固体化抗体と結合した。二価結合のごく一部は、より高い親和性結合定数(K1)への上昇、ならびに結合曲線のpM以下の部分に見られる「足」を生じる。高い親和性結合のごく一部のみが、センサーのpM以下の範囲の高感度及び優れた精度により見られた。精度は、測定の4ログ濃度範囲にわたり概ね良好であった。
【0308】
実施例3:核酸の重合の検出
導波管に基づく光学的検出システムは、プライマ伸長測定でのDNAの重合の定量化に用いることができる。プライマ伸長反応において、mRNA標的はDNAプライマと雑種を作り、逆転写酵素はmRNA標的をデオキシヌクレオチド(dATP、 dTTP、 dGTP、 dCTP)をDNAプライマーの3’末端に付加するためのテンプレートとして用いる。
【0309】
導波管に基づく光学的検出システムを用いる高感度は、低いフェムトモル範囲の濃度でプライマ伸長反応の混成が起きることを必要とする。かくして、混成がチップの面上で低い濃度で起きることが最初に設定された。この実験で、捕捉オリゴヌクレオチドプライマがチップに固定され、5’末端をCy5.5で標識された相補的合成DNAがプライマで培養された。実験の厳密さのために、捕捉オリゴヌクレオチド及び相補的合成DNAの両方の配列が質量分析によって検証された。
【0310】
実験が行われる前に、浸漬被覆処理によってチップの面上に捕捉オリゴヌクレオチドが固定された。第1にチップが洗浄された。チップをウエハ切断中に保護するためにチップ製造者はチップの活性表面を薄いポリマー層で被膜した。ポリマー層は、チップをアセトンに5分間、続いてイソプロパノールに5分間浸漬し、第2のイソプロパノールすすぎを追加で1分間することにより除去された。その後、チップは、脱イオン水中で3回洗われ、減圧デシケーター内で乾燥された。
【0311】
次に表面が活性化された。導波管に捕捉分子を固定するために、二酸化珪素の薄い層(〜10nm)が、ピラニヤ処理又は酸素プラズマ処理のいずれかによってチップ上に蒸着された。ピラニヤ処理されたチップは、9%(v/v)H2O2及び66.5%(v/v)H2SO4を包含するピラーニヤ溶液に45分間攪拌して浸漬された。この手順は反応性シラノール基の薄い(1−2ナノメートル)層を生成した。その後、チップは4回脱イオン水中ですすがれ、続いて再蒸留水中で最終すすぎされた。酸素プラズマ処理チップは、プラズマ炉を用いて酸素プラズマ(100W、0.15Torr)に5分間露出された。
【0312】
オリゴヌクレオチドを付加するために、活性化されたチップ(ピラニヤ処理、又はプラズマ処理のいずれかがされた)は、チップの面上にエポキシ基の反応性単一層を形成するために3−グリシジルオキシプロピル)トリメトキシシラン(GPS)で誘導体化された。チップは、40℃で無水トルエン中の0.1%(v/v)GPSに30分間浸漬され、続いて99.9%トルエン内で3回洗浄された。その後、チップは窒素内で乾燥され、110℃で20分間硬化された。GPS被膜されたチップは、1mM EDTAを伴う0.1Mの炭酸−重炭酸塩緩衝液(pH9)に溶解された捕捉オリゴヌクレオチドの5マイクロモル溶液に40℃で6時間浸漬された。捕捉オリゴヌクレオチドは、安定した共有結合を形成するためにチップ上のエポキシ基にすぐに反応する、第1級アミノ基で終了する5’末端における可撓性スペーサで合成された。0.2%SDS中での結合反応の後で、チップが洗われ、続いて脱イオン水中で3回すすがれた。その後、チップは、脱イオン水中で40℃で30分間培養され、それから窒素気流内で、続いて減圧デシケーターにより一晩乾燥された。
【0313】
処理の終わりでの捕捉オリゴヌクレオチドの濃度は平方センチメートルあたり10pMであったと推定された。
【0314】
雑種形成反応は、10フェムトモル(10fM)から10ピコモル(10pM)の合成DNA検体濃度範囲にわたって、10分間室温で行われた。 検体溶液は、0.01%ドデシル硫酸ナトリウム及び1mMのEDTAを伴う3X塩化ナトリウム−クエン酸ナトリウム緩衝液(0.45MのNaCl、45mMのクエン酸ナトリウム、pH 7)で調製された。検出限界(LOD)は、各濃度からの混成データが負の制御(緩衝)のものと比べられたダネットのポストホック試験で分散分析(ANOVA)を用いて評価された。2つの異なる実験(実験1及び実験2)の結果が表2に示される。

【0315】
各濃度のセンサー応答は、負の制御(緩衝)のものから引かれたため平均差値は負であった。確率値は、所定の濃度に見られるセンサー応答が負の制御に見られるものと統計的に異ならないという帰無仮説のためである。帰無仮説を排除するための基準としてp < 0.05を用いて、30fM以上の濃度は、両方の実験の緩衝と統計的に異なった(MDL=30fM)。実験1及び2の10fM濃度のP値の比較(実験1でp =0.4881及び実験2でp = 0.1148)は、感度が2つ目の実験ではより良く、10fMに近づいていることを示す。
【0316】
チップの捕捉分子の層を前述の過酸化水素/硫酸洗浄液で剥離し、その後1回捕捉分子の新しい層を固定することによるチップのリサイクルは、(低いピコモル範囲の、データは図示せず)低下した感度で、減少した、しかし測定可能な混成をもたらした。
【0317】
Promega,Incから購入したRNAスタンダード(カナマイシン対照RNA)を用いてプライマ伸長実験が行われた。捕捉オリゴヌクレオチドプライマは、RNAスタンダードの3’末端近くの24塩基配列に相補的であった。この配列は、RNAスタンダードの5’末端から971塩基下流に位置し、224のグアニンを包含する。シトシンデオキシヌクレオチドは、蛍光染料(Cy5.5)で標識された。ロシュのトランスクリプター逆転写酵素が、プライマを伸長するために用いられた。プライマ伸長反応は、48℃で行われ、これにより減少した非特異性混成が生じた。 1pMカナマイシンRNAのプライマ伸長の結果が図20に示される。おそらく計装ノイズにより、対照の伸長率は若干負である(−9.7 mV/min)。1pMカナマイシンRNAの伸長率は、128mV/minで、対照のものより著しく高い。さらに、信号は、飽和の兆候無しに10.5分間の反応期間にわたり直線的に増える。潜在的に2つの試験の間の温度差(1〜2℃)により、1pMのRNA反応の初期信号レベルは、対照試験より若干低かった。
【0318】
実施例4:転写産物の定量リアルタイムPCR検出
転写産物の定量リアルタイムPCR検出は、例えば、bcr/abl融合転写産物は、Kreuzer等(上記参照)に記載されたものから修正されたPCR測定法プロトコルを用いて、本発明の検出システムを用いて達成することができる。システムは、励起導波管付き基板チップ、集光導波管、及び交差領域を含む。励起導波管及び集光導波管が交差する交差領域は、定量リアルタイムPCRを行うための感知ウェル付き光学感知部位を含む。検出システムは、走査経路に沿ったある点で、基板の励起導波管と結合しかつ、光通信する走査光源をさらに含む。システムはさらに光学的検出器を含む。
【0319】
対象のRNA転写産物(例えば、被験者の血液)の包含が疑われる試料は、当技術分野で周知の技術を用いてcDNA内への逆転写酵素を用いて続いて逆転写される全RNA源を得るために処理される。cDNA試料はシステムの基板上の感知部位に送達される。所望に応じて、特定のcDNA試料の適切な制御及び異なる希釈を、異なる感知ウェルに送達することができる。
【0320】
リアルタイム逆転写酵素PCRの試薬は、感知部位に提供される。PCR反応は、1つ以上のbcr/abl易切断領域に特有のプライマ/プローブを用いて行われる。かかるプライマ/プローブは、当技術分野で周知(例えば、上述のKreuzer等参照)で、5’末端で6−カルボキシ−フルオレセインホスホラミダイトで標識化され、消光剤として、5−カルボキシ−テトラメチル−ローダミンがプライマ/プローブ配列に沿ってさらに取り込まれてもよい。プライマ/プローブは、Taq DNAポリメラーゼの5’ヌクレアーゼ活性で加水分解されるので、フルオレセイン(レポーター)染料からの非消光蛍光を誘導することができる。プローブ伸長を防ぐためにプライマ/プローブ3’末端にリン酸基が付加される。10−μlのPCR反応混合は、1μlの10xPCRバッファ、4.5 mMのMgCl2、0.8 mMのdNTP、各0.5μMのプライマ、1μMのプローブ、0.2ユニットの温度放出Taq DNAポリメラーゼ(Platinum(登録商標)Pfx DNAポリメラーゼ、Invitrogen,Corp.)、及び20ngの試料cDNAを包含する。PCR増幅は、94℃で5分変性手順で開始され、45サイクルの94℃における30秒の変性及び65℃の60秒の焼きなまし/伸長が後に続く。
【0321】
PCR増幅が進む間、約658nmの波長の励起光が走査光源によって生成され、励起導波管によって各感知ウェルに向けられる。cDNA試料がbcr/abl融合転写産物のための転写産物を含む場合、cDNAへのプライマ/プローブの焼きなましが起きるべきである。ポリメラーゼによるプローブの続く加水分解、及びフルオレセインレポーターの非消光は、感知ウェル内の蛍光を生じる。サイクルの数が増えるにつれて、非消光フルオレセインの量は反応中のbcr/abl融合転写物cDNAの量に対して増える。
【0322】
集光導波管の手段により、感知ウェル内の蛍光はシステムの光学的検出器によって検出可能である。かくして、bcr/abl融合転写産物の検出は、リアルタイムで測定することができ、適切な制御及び分析に基づいて試料内のbcr/abl融合転写産物の量は定量化することができる。
【0323】
実施例5:複数被験者のHIV状態の検出
複数の被験者のHIV+状態の蛍光免疫法に基づく検出は、図7Aに示される実施例のような検出システムを用いて達成することができる。システムは、励起導波管付き基板チップ、集光導波管、及び交差領域を含む。励起導波管及び集光導波管が交差する交差領域は、蛍光免疫法を行うための感知ウェル付き光学感知部位を含む。検出システムは、走査経路に沿ったある点で基板と結合し、かつ光通信する走査光源、及び励起導波管をさらに含む。システムはさらに光学的検出器を含む。
【0324】
部分的に精製された抗原、例えば、不活性HIVタンパク質p29抗原が、光学感知部位の感知ウェル上に予被覆される。次に、HIV p29に対する抗体を包含する場合がある多数の被験者の血清が、別個の感知部位に送達される。複数の患者からの試料が貯留され、各貯留は別個の感知部位に送達されることも想定される。被験者がHIV+の場合、その血清は、HIVタンパク質p29に対する抗体を包含する場合があり、そうした抗体は、感知部位上のHIV p29抗原に結合することになる。洗浄手順の後で、蛍光染料(フルオレセイン)に結合された抗ヒト免疫グロブリンが、感知部位に付加される。この二次抗体は、感知部位内のヒト抗体(すなわち、抗p−29抗体)に結合する。次に、約658nmの波長の励起光が、走査光源によって生成され、励起導波管によって各感知ウェルに向けられる。二次抗体が存在する場合、結合されたフルオレセインはウェル内の励起光の存在下で蛍光を発する。
【0325】
集光導波管の手段により、感知ウェル内の蛍光は、システムの光学的検出器によって検出可能である。光学的検出器によって受け取られた信号は、所与の被験者又は複数の被験者から貯留された試料がHIV p29に対する抗体を有するかどうかを判定するために解釈することができる。適切な制御を測定法の結果を確認するために用いることができる。かくして、HIV p29の有無を試料内で測定することができ、複数の被験者又は貯留のHIV+又はHIV(−)状態を判定することができる。
【0326】
実施例6:2部位サンドイッチ免疫測定法
2部位サンドイッチ免疫測定法を、本発明の検出システム(例えば、図7A〜図7Eに示されるシステム)を用いた測定法に使用することができる。抗体は、かかる測定法において2つの異なる役割を果たし、それにより、固体化抗体が検体を捕捉し、一方で、可溶性の、蛍光標識された抗体が検体結合を検出する、すなわち「トレースする」。競合的結合を防ぐために、捕捉及びトレーサー抗体は、検体分子上の異なる部位に結合しなければならない。反復エピトープを伴う大きな検体(例えば、ウイルス及び細菌)において、単一の抗体(反復エピトープに特異的)は、捕捉及びトレーサーの役割の両方に通常用いることができる。複数の、固有のエピトープを表すより小さい検体(例えば、タンパク質及び多糖)は、各々固有のエピトープに特有の2つの異なる抗体を必要とする。
【0327】
3つの2部位サンドイッチ免疫測定法試験が想定される。すなわち、1)光学感知部位の連続的検査、2)光学感知部位の低複雑度並列試験、及び3)感度試験である。これらの1番目において、少量の(1〜5μL)の試料(検体及びトレーサー抗体を包含する)は、マイクロピペットを用いて捕捉抗体を包含する光学感知部位に直接落とされる。部位での結合速度論は、室温で5分間にわたりモニターされる。光学的検出の異なる光学感知部位と接続がある励起及び集光導波管への転移が行われ、測定法が新しい部位で反復される。この連続操作を用いて少なくとも10の光学感知部位を検査することができることが想定される。かかる検査は、感度及びシステムのイントラアッセイ精度を示すことができる。
【0328】
検査の第2の形式で、10×10配列の励起導波管及び集光導波管(例えば、図7A参照)を含むシステムの基板を用いて、基板の単一の励起導波管が励起され、直線的検出器配列を用いて全ての10の集光導波管がモニターされる。検体及びトレーサー抗体(例えば、10nM、最終濃度)を包含する等しい体積(例えば、50μL)の試料が、予め混合されてから捕捉抗体を包含する光学感知部位の試料ウェル内に注入される。結合動態は、室温で5分間にわたり、10の光学感知部位で同時にモニターされる。この形式の検査は、イントラアッセイ精度についてのより詳しい情報を供給すると共にシステムの平行測定能力を示すことが可能である。
【0329】
試験の第3の形式において、装置の感度、精度、及び線形性は、平均反応率対検体濃度の標準曲線を引くことで示すことができる。装置構成は、第2の形式の検査の上記(すなわち、10の同時測定法)と同じである。 検査される検体の臨床的濃度範囲次第で正確な範囲は調整可能であるが、検体濃度は少なくとも100倍の範囲、例えば10pMから1nMにわたり変化する。 別個の基板チップが試験される各濃度に用いられる。6から8の濃度が検査される。もたらされる標準曲線は、一般的に低濃度で線的だが、より高い濃度で飽和する。
【0330】
Herron研究所はヒト心筋トロポニンI(cTnI)、絨毛性性腺刺激ホルモン(hCG)、クレアチンホスホキナーゼ・アイソフォームMB(CKMB)、ミオグロビン、オボアルブミン(リシン及びSEBのような毒のための「模擬物質」として軍に用いられる) 、リシン、ブドウ球菌エンテロトキシンB(SEB)を含む、多くの異なる検体のための免疫測定法を開発した。(Herron,J.N.等(2003)参照。Orientation and Activity of Immobilized Antibodies. In: Biopolymers at Interfaces, 2nd Edition (M. Malmsten, ed.), Surfactant Science Series, Vol. 110, Marcel Dekker, New York, pp. 115−163及びHerron,J.N.等(2005)。Planar Waveguide Biosensors for Point−Of−Care Clinical and Molecular Diagnostics. In: Fluorescence Sensors and Biosensors (R.B.Thompson、 Ed.),CRC Press Taylor & Francis Group, Boca Raton,FL.pp.283−332)。
【0331】
Herronのオボアルブミン測定法は、上記の第1の免疫測定法、及び第2の免疫測定法で用いることができる。有利にも、この測定法の試薬は比較的安価で、特別な取り扱いは必要でない。cTnI及びSEBの検出要件は最も厳密で、かくしてこれらの検体に特有の免疫測定法は感度試験免疫測定法に有用である。しかしながら、CDC、NIH、及びUSDAは全て、SEBを特別な取扱が必要な選択された物質として列挙するので、感度検査にcTnIを用いることが好ましい場合がある。cTnIは、同時の免疫測定法感度検査のために2つの他の心臓標識(CKMB及びミオグロビン)と対にされてもよい。
【0332】
クロストリジウム・ディフィシレ毒素Aの検出は、本発明の検出システムの迅速さ及び感度を実証するために上述の第2の免疫測定法、及び第3の免疫測定法で用いられた。図21は、10チャンネルのチップ上のウシ血清内のクロストリジウム・ディフィシレ毒素Aのリアルタイム検出を示す。最初の5分(300秒)で、検体は存在せず、したがって信号はフラットである。 5分後、10pMの濃度に達するために検体が付加される。 検体がチップ面に固定された捕捉抗体に結合し、第2の標識化された抗体がサンドイッチ分析形式の複合体に結合するにつれ、全てのチャネル内の光信号が増加する。増加する信号の傾斜は検体濃度に比例する。
【0333】
図22は、一連の10の10チャンネルのチップ上で測定されるクロストリジウム・ディフィシレ毒素Aの標準曲線を示す。光信号傾斜は増加する濃度に応じて増加する。 0.1pMから始まり、最高1μMまでの10の異なる濃度が測定された。 示された通り、傾斜濃度相関は0.3pMから1nMの間で直線的である。 検出限界(LOD)は約0.1pMである。 これらの結果は、15から75分の範囲の測定時間及び2.7から133pMの範囲のLODを有し、クロストリジウム・ディフィシレ毒素Aのための市販の検査に比べて敏速さ及び感度の著しい向上を示す。
【0334】
本発明の好ましい実施形態が、本明細書に示され、かつ記載されるが、そうした実施形態が例示の目的のみとして提供されることは当業者には明らかであろう。当業者であれば、本発明を逸脱することなく多数の変形例、変更及び代替を思いつくであろう。本発明の実践に本明細書に記載される本発明の実施形態への様々な代替案が用いられてもよい事を理解するべきである。以下の特許請求の範囲は本発明の範囲を定義し、これら特許請求の範囲およびその均等物の範囲内の方法及び構造が網羅されることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学導波管内で光パルスを生成するための方法であって、
光信号を伝えるように構成される内部、及び前記内部と接触する第1の端部を有する光学的導波管を提供することと、
光線を提供することと、
光線が一時的に前記光学的導波管の第1の端部に接触するように前記光学的導波管に対して前記光線を空間的に平行移動することとを備え、
それにより、光パルスが前記導波管内で生成される、方法。
【請求項2】
前記光線が光モードを有し、
前記光学的導波管が光モードを有し、
前記光線が一時的に前記光学的導波管に接触する間、前記光線からの光が前記光学的導波管の中に入り、かつ内部を通るように、前記光線光モードが一時的に前記光学導波管光モードに重なる、請求項1の方法。
【請求項3】
光線を発することができる光源を供給することをさらに備える、請求項1の方法。
【請求項4】
前記光線が前記光源から発せられる、請求項3の方法。
【請求項5】
前記光源がレーザーである、請求項4の方法。
【請求項6】
前記光源が発光ダイオード(LED)である、請求項4の方法。
【請求項7】
前記光線が前記光学的導波管に接触する前に反射される、請求項3の方法。
【請求項8】
前記光線が前記光学的導波管に接触する前に屈折される、請求項3の方法。
【請求項9】
前記光源が移動可能で、前記光線の前記空間的な平行移動が前記光源の移動によって実行される、請求項3の方法。
【請求項10】
導波管が移動可能で、前記光線の前記空間的な平行移動が前記導波管の移動によって実行される、請求項3の方法。
【請求項11】
前記光源の前記動きが、回転的、垂直、水平、横方向、又は長手方向からなる動きの群から選択される、請求項9の方法。
【請求項12】
前記導波管の前記動きが、回転的、垂直、水平、横方向、又は長手方向からなる動きの群から選択される、請求項10の方法。
【請求項13】
前記光源が操作可能に作動装置に接続される、請求項9の方法。
【請求項14】
前記導波管が操作可能に作動装置に接続される、請求項10の方法。
【請求項15】
前記作動装置が、圧電に基づくモーター、ステップモーター、電気モーター、磁気作動装置、「形状記憶合金」作動装置、ソレノイド及び油圧作動装置から選択される、請求項13又は請求項14の方法。
【請求項16】
前記作動装置への力の印加がその移動を起こさせる、請求項13又は請求項14の方法。
【請求項17】
前記作動装置が圧電曲げ作動装置である、請求項13又は請求項14の方法。
【請求項18】
前記光源から発せられた光線が、前記回転ディスク近くに配置された光学的導波管に一時的に接するように、前記光源が回転ディスクの外端に搭載される、請求項9の方法。
【請求項19】
前記光源の前記発せられた光線がレンズによって空間的に平行移動される、請求項8の方法。
【請求項20】
前記光源の前記発せられた光線がプリズムによって空間的に平行移動される、請求項8の方法。
【請求項21】
前記光源の前記発せられた光線が鏡によって空間的に平行移動される、請求項7の方法。
【請求項22】
前記鏡が攪拌鏡である、請求項21の方法。
【請求項23】
走査経路に沿って前記光線を空間的に平行移動するための手段を提供することと、
各々が光信号を伝えるように構成される内部及び前記内部と接触する端面を有する、複数の光学的導波管を提供することであって、前記複数の光学的導波管が、前記光線の前記走査経路に沿って配置された、提供することと、
前記光線が空間的に平行移動されるにつれ順に前記複数の光学的導波管の各々の端面に、前記光線が一時的に接触するように、前記光線を空間的に平行移動することと、をさらに含み、
これにより、光パルスが複数の光学導波管内の各々の中で生成される、請求項1の方法。
【請求項24】
各々が異なる波長を有する光線を発し、前記光線が共通の手段によって空間的に平行移動されてもよいように、前記光源が操作可能に接続される、複数の光源を提供することと、
前記光源を空間的に平行移動するための手段を供給することと、
前記発せられた光線の各々が、光学的導波管の端面と順次一時的に接触するように、前記複数の光源の空間的に平行移動することとをさらに備え、
これにより、各光線が前記光学的導波管内で光パルスを生成し、それにより光学的導波管の光パルスの多波長列を生成する、請求項1の方法。
【請求項25】
光線を発するための光源と、
第1の端を有する光学的導波管と、
光源の光モードが導波管内で光パルスを供給するために前記光学的導波管の前記第1の端に一時的に接触するように前記光源からの光線を空間的に平行移動するための手段とを備える光学的導波管内で光パルスを生成するための器具。
【請求項26】
1つ以上の追加の光源をさらに備える、請求項25の器具。
【請求項27】
1つ以上の追加の光学的導波管をさらに備える、請求項25の器具。
【請求項28】
1つ以上の追加の光学的導波管をさらに備える、請求項26の器具。
【請求項29】
各々の前記光源が異なる波長を有する光線を発する、請求項26の器具。
【請求項30】
前記手段が回転ディスク、モーター、ソレノイド、油圧機構、圧電機構、及び「形状記憶合金」機構から選択される機構を備える、請求項25の器具。
【請求項31】
前記光源が回転ディスクの外端に搭載され、前記光源が前記光源から発せられた光線が前記回転ディスクの外側に向けられ、前記光源によって発せられた前記光線が前記ディスクが回転するにつれて一時的に光学的導波管の第1の端に接するように向けられるように配置される、請求項27の器具。
【請求項32】
前記光源が前記作動装置が動くにつれて一時的に光学的導波管の第1の端に接するように前記光源によって発せられた光線が向けられるように作動装置の上に搭載される、請求項25の器具。
【請求項33】
作動装置の上に搭載された走査レンズをさらに備え、前記作動装置の動きが一時的に光学的導波管の第1の端に接するように前記レンズによって前記光源によって発せられた光線が向けられるようにするように前記走査レンズが前記光源と前記光学的導波管との間に配置される、請求項25の器具。
【請求項34】
攪拌鏡をさらに備え、前記攪拌鏡の動きが一時的に光学的導波管の第1の端に接するように前記攪拌鏡によって前記光源によって発せられた光線が向けられるように、前記攪拌鏡が前記光源と前記光学的導波管との間に配置される、請求項25の器具。
【請求項35】
請求項25の器具を備える光学的検出システム。
【請求項36】
請求項35の光学的検出システムを用いる生物学的指標の検出のための方法。
【請求項37】
請求項35の光学的検出システムを用いる化学兵器剤又は生物兵器剤の検出のための方法。
【請求項38】
請求項35の光学的検出システムを用いるウイルス性感染症又は細菌性感染症の検出又は診断のための方法。
【請求項39】
請求項35の光学的検出システムを用いる遺伝病又は癌の診断のための方法。
【請求項40】
請求項35の光学的検出システムを用いる核酸配列のための方法。
【請求項41】
請求項35の光学的検出システムを用いるタンパク質間、タンパク質リガンド間、又はタンパク質薬物間相互作用の検出のための方法。
【請求項42】
請求項35の光学的検出システムを用いる大気、水、土壌、又は食品試料の環境モニタリングための方法。
【請求項43】
生物活性検体分子を検出するための検出システムであって、
走査光源と、
複数の導波管、及び基板の1つ以上の導波管と光通信する複数の光学的感知部位を備える基板と;
前記基板に結合し、かつ光通信する検出器と;
光線が走査経路に沿ってある点で前記基板の前記導波管と結合され、かつ光通信するように前記基板に対して前記走査光源から発せられた前記光線を空間的に平行移動するための手段とを備える、システム。
【請求項44】
前記走査光源が光発生素子を備える走査光源チップである、請求項43のシステム。
【請求項45】
前記走査光源が外部光源にさらに結合され、かつ光通信する走査光源チップである、請求項43のシステム。
【請求項46】
前記外部光源が光ファイバーで前記走査光源チップに結合された請求項45のシステム。
【請求項47】
前記走査光源チップが複数の導波管をさらに備える請求項44、45及び46のうちのいずれか1つのシステム。
【請求項48】
前記基板が、複数の実質的に平行な励起導波管、及び複数の実質的に平行な集光導波管であって、前記励起導波管と集光導波管とが交差して交差領域の2次元配列を形成し、励起導波管と集光導波管とが交差し、各交差で前記交差領域と光通信を提供する導波管と、交差領域と各々光通信する複数の光学感知部位とを備え、
走査光源が、走査経路に沿ったある点で、前記基板の第1の端部で1つ以上の前記励起導波管と結合し、かつ光学的に通信し、
前記検出器が前記基板の第2の端部で1つ以上の前記集光導波管と結合し、かつ光通信する、前述の請求項のうちのいずれか1つのシステム。
【請求項49】
前記基板が複数のインカップリング導波管及び複数のアウトカップリング導波管を備え、複数の光学感知部位が、各々インカップリング導波管及びアウトカップリング導波管と光通信し、前記走査光源が前記基板の第1の端部で1つ以上のインカップリング導波管に結合され、かつ光通信する走査経路に沿ったある点にあり、前記検出器が前記基板の1つ以上の前記アウトカップリング導波管と結合され、かつ光通信する、請求項43のシステム。
【請求項50】
前記走査光源が検出器をさらに備え、前記光源が光感知部位と光通信する複数の導波管の1つ以上と結合され、かつ光通信する点で、検出器がまた前記1つ以上の導波管と結合され、かつ光通信する、請求項43のシステム。
【請求項51】
前記基板が複数のインカップリング導波管及び複数のアウトカップリング導波管を備え、前記光源が1つ以上の前記インカップリング導波管と結合され、かつ光通信する点で、前記検出器が1つ以上の前記アウトカップリング導波管と結合され、かつ光通信する、請求項50のシステム。
【請求項52】
前記走査光源が、光発生素子及び検出器素子を備える走査光源/検出器チップである、請求項50又は請求項51のシステム。
【請求項53】
前記走査光源が外部光源及び外部検出器にさらに結合され、かつ光学的通信のある走査光源/検出器チップである、請求項50又は請求項51のシステム。
【請求項54】
前記結合が光ファイバーを通る、請求項53のシステム。
【請求項55】
前記走査光源/検出器チップが、インカップリング及びアウトカップリング導波管をさらに備える、請求項52、53及び54のうちのいずれか1つのシステム。
【請求項56】
前記走査光源/検出器チップが、少なくとも1つの結合器をさらに備える、請求項52〜請求項55のうちのいずれか1つのシステム。
【請求項57】
前記光学的感知部位が、導波管内の前記光源によって生成された第1の光波を変換するように構成されたセンサーをさらに備え、異なる導波管内で第2の光波を結果として生じ、前記第2の光波が前記検出器によって検出可能である、請求項43のシステム。
【請求項58】
前記光学的感知部位は、導波管内の前記光源によって生成された第1の光波を変換するように構成されたセンサーをさらに備え、同じ導波管内で第2の光波が結果として生じ、前記第2の光波が前記検出器によって検出可能である、請求項43のシステム。
【請求項59】
前記源が広帯域源である、請求項43のシステム。
【請求項60】
前記光源が調整可能源である、請求項43のシステム。
【請求項61】
前記光源素子が光の可変波長を提供する、請求項44又は請求項45のシステム。
【請求項62】
前記光源素子が、発光ダイオード又はレーザーダイオードである、請求項44又は請求項45のシステム。
【請求項63】
前記検出器又は前記走査光源が検出器素子を備え、前記検出器素子がPINダイオード、アバランシェフォトダイオード、又は電荷結合素子アレイの一部のピクセルの群である、請求項43のシステム。
【請求項64】
前記検出器がシリコンフォトダイオードアレイである、請求項43のシステム。
【請求項65】
前記走査光源全体又はその任意の部分が移動可能で、前記光線の前記空間的な平行移動が前記走査光源全体又はその任意の部分の移動によって実行される、請求項43のシステム。
【請求項66】
前記基板が移動可能で、前記光線の前記空間的な平行移動が前記基板の移動によって実行される、請求項43のシステム。
【請求項67】
前記基板に対する前記走査光源から発せられた光線を空間的に平行移動するための前記手段が圧電に基づくモーター、ステップモーター、電気モーター、磁気作動装置、形状記憶合金作動装置、ソレノイド、又は油圧作動装置である、請求項65又は請求項66のシステム。
【請求項68】
前記基板に対する前記走査光源から発せられた光線を空間的に平行移動するための前記手段が圧電曲げ作動装置である、請求項67のシステム。
【請求項69】
検出方法であって、
検出すべき生物活性のある検体分子を包含する疑いのある試料を検出システムの基板上の光学感知部位へ送達することと、
前記光源が前記基板の複数の導波管の1つ又はそれ以上に結合され、かつ光通信する点への走査光源を空間的に平行移動することであって、前記導波管が前記光学感知部位と光通信し、それにより前記1つ以上の導波管内の第1の光波を生成し、前記第1の光波が前記光学感知部位に組み込まれたセンサーによって第2の光波に変換可能な、平行移動することと、
前記基板と光通信する検出器を用いた前記第2の光波の測定可能な変化を検出することであって、前記センサーが前記生物活性のある検体分子と相互作用するときに前記第2の光波の測定可能な変化が起きる、検出することと、を備える検出方法。
【請求項70】
前記基板が前記光学感知部位と光通信する複数の実質的に平行な励起導波管を備え、前記第1の光波は、前記光学感知部位に組み込まれるセンサーによって、前記光学感知部位と光学的に通信があり、前記励起導波管と交差する複数の実質平行な集光導波管のうちの1つ以上で伝えられる第2の光波に光学感知部位に変換可能で、
前記第2の光波の測定可能な変化が前記集光導波管と光通信する検出器を用いて検出され、前記センサーが前記生物活性のある検体分子と相互作用するときに前記第2の光波の測定可能な変化が起きる、請求項69の方法。
【請求項71】
前記走査光源が検出器をさらに備え、前記光源が前記光感知部位と光通信する1つ以上の導波管と結合され、かつ光通信する点で、前記検出器がまた前記1つ以上の導波管とも結合され、かつ光通信する、請求項69の方法。
【請求項72】
前記基板が複数のインカップリング導波管、及び前記光学的感知部位と光通信する複数のアウトカップリング導波管を備え、前記光源が1つ以上の前記インカップリング導波管と結合され、かつ光通信する点で、前記検出器が1つ以上のアウトカップリング導波管と結合され、かつ光通信する、請求項69又は請求項71の方法。
【請求項73】
前記生物活性のある検体が、核酸、タンパク質、抗原、抗体、微生物、気体、化学物質及び汚染物質からなる群から選択される、請求項69の方法。
【請求項74】
前記生物活性のある検体がタンパク質である、請求項73の方法。
【請求項75】
SNPが前記生物活性のある検体内で検出される、請求項69の方法。
【請求項76】
遺伝子の発現が前記生物活性のある検体の検出において検出される、請求項69の方法。
【請求項77】
前記センサーが免疫測定法に対応するように適合していて、前記生物活性のある検体と相互作用する前記センサーが免疫測定法の結果を備える、請求項69の方法。
【請求項78】
対応する前記免疫測定法が、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)である、請求項77の方法。
【請求項79】
対応する前記免疫測定法が、蛍光免疫法である、請求項77の方法。
【請求項80】
前記第2の光波の測定可能な変化を検出することが、診断結果を供給する、請求項69の方法。
【請求項81】
前記光学感知部位でのリアルタイムのPCR反応の実施をさらに備える、請求項69の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図7E】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図9D】
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【図9E】
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【図9F】
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【図9G】
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【図9H】
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【図9I】
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【図9J】
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【図9K】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図11D】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図13A】
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【図13B】
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【図13C】
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【図14A】
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【図14B】
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【図15】
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【図16】
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【図17A】
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【図17B】
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【図17C】
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【図17D】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公表番号】特表2012−525595(P2012−525595A)
【公表日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−508642(P2012−508642)
【出願日】平成22年4月28日(2010.4.28)
【国際出願番号】PCT/US2010/032761
【国際公開番号】WO2010/127001
【国際公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(510331397)ピーエルシー ダイアグノスティクス, インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】