説明

走査型撮像装置

走査型撮像装置は、湾曲偏光子/反射器と、回転可能反射板と、偏光回転板と、受光機アレイとを含む光学システムを備え、光学システムの焦点距離を増加させる副反射器として作用する凸面反射要素が光路に組み込まれている。このような光学焦点距離の増加は、イメージ面により大きな3dBスポットサイズをもたらし、したがって、所定の空間サンプリング間隔を維持しながら、受光機アレイの実装密度に対する設計制約を緩和することが分かった。他の有利点は、様々な走査位置からの放射が、イメージ面に近付くときに発散することであり、これによって、受光機電子回路を位置付けするより多くの体積が実現される。光学システムの焦点調節は、副反射器の移動によって達成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、実時間撮像システムで使用することができる走査装置に関し、他の波長だけでなく、実時間受動ミリメートル波撮像システムで特に有用である。走査型撮像装置は、また、他の放射システムでも使用することができる。
【背景技術】
【0002】
ミリメートル波長程度の電磁放射を使用する撮像は、全天候型監視誘導補助器として、および屋内および屋外セキュリティ用途のために場合によっては有用であるが、どんな実際的に有用なシステムも実時間の撮像が可能でなければならない。このことは、関心のある周波数で動作することができる多数の非常に高価な受光機が必要であるために、最近まで問題であった。
【0003】
ミリメートル波長程度で動作するイメージャは、受光機のアレイにイメージが形成される場面からの放射を集束させるために凹面鏡またはレンズを使用することが多い。現在、必要なイメージの全体に及ぶ受光機の大きな2次元アレイは利用できない。代わりに、完全な画像を作り上げるために、遥かに少ない数の受光機がイメージ全体にわたって走査される。
【0004】
現在のミリメートル波撮像システムは、1つまたは複数のチャネルの機械的な走査を使用してイメージを合成する。最終的には、実時間ミリメートル波撮像を実現するために、電子走査技術および2次元アレイ(staring array)技術が開発されるかもしれないが、そのような解決策に関連したいくつかの問題がある。第1に、波長は必ず長いので、悪天候条件の下でイメージを形成するために、システムのアパーチャは、適切な分解能を得るために大きくなければならない。いくつかのミリメートル波撮像システムでは、入力アパーチャは直径が約1mであることがある。第2に、1チャネル当たりのコストが高いので、その結果、どんな電子走査または2次元アレイ技術もたぶんひどく高価になりそうである。さらに、ミリメートル波2次元アレイの場合には、赤外システムで遭遇される低温遮蔽問題に似た基本的な問題がある。
【0005】
実際のミリメートル波撮像システムの他の要求条件は、理想的にはミリメートル波撮像システムがTV適合速度(すなわち、英国では50Hz、米国では60Hz)で動作できるべきであるということである。赤外では、走査システムは、その鏡の表面内に含まれた軸のまわりでフラッピングする平面鏡であることが多い。これは、ミリメートル波長帯で実際的な選択肢ではない。というのは、大きなアパーチャの鏡がTV適合速度で前後にフラッピングする必要があり、各走査の終わりに大きな加速度したがって大きな力を必要とし、その結果、非常に大きな複雑な機械装置を必要とするかもしれないからである。
【0006】
入力アパーチャの直径が一般にほんの10mmにすぎない赤外撮像システムでは、回転システムが使用されてきた(EP0226273)。さらに、赤外では、無限焦点望遠鏡を使用して、場面の視野を回転多角形走査手段の視野に合わせるのが普通である。入力アパーチャの直径がもっと相当に大きく、かつ無限焦点望遠鏡は過度に大きい必要があるかもしれない高分解能ミリメートル波撮像では、これは実際的でない。
【0007】
したがって、ミリメートル波撮像システムで使用されるどんな走査機構も、物体面かイメージ面かのどちらかになければならない。さらに、イメージ面にあるどんな走査機構も、優れた軸外し性能を持たなければならない。既存の技術を使用して、これを達成するのは困難である。
【0008】
赤外イメージャで使用される他の知られた走査方法は、そのディスク面の垂線に対して僅かに傾いた軸のまわりで回転する2つのディスクから成るシステムである(US−A−4923263)。第1のディスクに入射する放射は、第1の回転ディスクから傾斜入射で反射され、第2のディスクに進んで第2の反射を経験する。ディスクの向きおよび相対的な回転速度を変えることによって、走査パターンを変えることを実現することができる。しかし、そのような2軸回転ディスクシステムは、システムが不都合なほどに大きくなるので、ミリメートル波長程度で動作するイメージャで使用するのに理想的でないかもしれない。
【0009】
出願人の国際特許第WO2002/066998号(この出願の全内容は参照して本明細書に組み込まれる)は、イメージが形成される立体角を比較的少数のセンサを通して走査するという原理に基づいて動作する走査型撮像システムを開示し、この走査は、走査された体積の実時間ビデオイメージを生じるために十分な速度で行われる。この開示は、小型機械走査システムを生成する手段を提供する。これは、偏光格子反射器、直線アレイの受光機から成るイメージ面、偏光回転4分の1波長板またはフェライト、および回転傾斜ミラーから成る。場面からの放射は、格子を通って送られ、ミラーで反射され(このミラーの回転がビームを円錐状に走査する)、次に、イメージャに入射した偏光に対して直角の偏光で元の格子に達する。この放射は、次に、格子で反射され、受光機アレイに集束される。格子およびミラーは、一般に、光学収差を補正するように非球面形である。
【0010】
光学システムに比べて長波長であるために、WO2002/066998に開示されたもののようなイメージャは、有用な角度分解能を達成するために大きなアパーチャを持つことが必要である。ほぼ1mのアパーチャが一般的であるだろう。そのようなイメージャを展開可能にするためには、これまで「明るい」光学システムを必要としたアパーチャのために、イメージャは、焦点距離/アパーチャ比が一般に約0.5(すなわち、f/値はf/0.5)で、できるだけ小型でなければならない。これは、全体的な長さの比較的短いシステムをもたらし、格子の過大寸法(アパーチャに比べて)を最小限にする。f/0.5よりも明るいシステムは、普通、必要な一般的な視野を補正するには困難すぎる。
【0011】
隙間のあるイメージを作らないようにするために、イメージ面は、受光機アレイの方向で、3dBスポットサイズ毎に少なくとも一度サンプリングされるべきであり、どんな情報も失わないようにするためには、イメージ面は、3dBスポットサイズ毎に2度サンプリングされるのが好ましい(ナイキストレート)。このことは、特に所望の動作波長が減少したとき、イメージ面における受光機アレイの最大サイズに対して要求を課す。受光機アレイは、複数の受光要素で構成され、各々の受光要素が、受光電子回路に結合された受光アンテナを備えている。受光要素の受光アンテナは、最適受光位置にあるようにイメージ面に位置付けされる必要があり、それで、上で説明したサンプリング基準は、与えられたシステムの受光要素アンテナの空間間隔に最大値を課す。
【0012】
この問題は、受光機の2次元アレイを使用することによってある程度まで克服することができる。この場合、WO2002/066998に、より詳細には、そのパンフレットの6〜8ページに記載されているように、受光機の列は互い違いに配置されてもよいが、視野全体にわたって十分にイメージをサンプリングすることは依然として困難であり、さらに直線アレイが可能な場合に比べてより多くの受光機が必要である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、特に、ミリメートル波長帯程度またはレーダシステムで、実時間撮像を実現するために使用することができる小型な物体空間走査装置を提供することである。また、本発明の目的は、限られた電力要求で、均衡の崩れた力がない、かつ優れた軸外し性能を与える走査装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明によれば、光学システム、共に受光機アレイを形成する複数の受光要素、プロセッサ、およびディスプレイ手段を備えるミリメートル波長程度で動作可能な走査型撮像装置が提供され、光学システムは、
第1の偏光の放射を通過させ、かつ第1の偏光に対して直角の偏光を有する放射を反射する湾曲偏光子/反射器と、
回転可能反射板と、反射板は回転軸を有し、回転軸は、回転中心で反射板と反射板の垂線との両方に対して非ゼロの角度θaだけ傾きかつ放射を偏光子/反射板に反射するように構成されており、
湾曲偏光子/反射器と回転可能反射板の間に位置付けされ、入射直線偏光放射を円偏光に変換し、逆に入射円偏光放射を直線偏光に変換するか、通過するどんな放射の偏光面も45°非可逆的に回転するかのどちらかの作用を行うように構成された偏光回転板と、を備え、
光学システムが、湾曲偏光子/反射器と結合して放射をイメージ面の焦点に導くように作用する凸面副反射器をさらに含み、副反射器が、システム焦点距離の増加を実現することを特徴とする。
【0015】
本発明による焦点調節手段の焦点距離を増加することは、そのような手段に普通付随するシステム長さの増加のために、通常当業者が考えない方策であろう。ミリメートル波長帯程度で動作するイメージャの物理的な大きさは、現在、そのようなシステムの使用者の間で問題である。可能な場合大きさを減少させたいという一般的な欲求、およびシステムをいっそう大きくすることに反対する明確な偏見がある。したがって、イメージャを著しく大きくしたいという要望がないならば、焦点距離を増加することは直感に反していると考えられる。
【0016】
しかし、焦点距離を増加することには、従来技術のイメージャに優る著しい有利点があることを発見した。より長い焦点距離の使用は、イメージが形成されるべき場面の連続した被写域を保証するようにイメージ面の十分な空間サンプリングを依然として維持しながら、イメージ面の受光要素のアンテナの許容可能な間隔を大きくする。
【0017】
本発明は、焦点距離の増加を実現する凸面副反射器を放射の光路で使用する。このことは、従来技術WO2002/066998の光学システムを、修正シュミットシステムから修正シュミット−カセグレインシステムに有効に変える。このことには、イメージ面が従来技術のものと逆のやり方の湾曲を持つことができるという点で、従来技術に優るさらに他の有利点がある。実際に、いくつかの実施形態では、システムのイメージ面は、側面から見て凹面である。凹面のイメージ面から凹面の後ろの領域に投射された垂線の発散性は、イメージ面に位置する各アンテナ要素の後ろに、各アンテナに関連した電子回路を収容するより多くの空間があることを意味する。
【0018】
凸面副反射器焦点調節要素は、好ましくは、その他の焦点調節要素に対して動くように構成することができるので、システムの焦点を変える好都合な手段を可能にする。これによって、システムの焦点を合わせるために受光機アレイの全体を動かすことを必要として取付けおよびケーブル配線の複雑さをもたらす従来技術に優る顕著な有利点が可能になる。
【0019】
偏光回転板は、知られた光学デバイスである。偏光回転板は、蛇行線などの4分の1波長板を備えることができ、または、ミラーから反射しその成分を逆に反対方向に通過する放射がさらに45°回転して、合計90°の回転するようなやり方で、通過する放射の偏光面を45°非可逆的に回転させることができる成分を備えることができる。
【0020】
留意されたいことであるが、本明細書において「光学の」という用語の使用は、システムが可視波長で動作することを意味しないし、または含意しない。この用語は、たとえ動作波長が全く異なっても、可視波長で一般に使用される解析技術が、また、本システムにも応用できるという意味で使用される。また、本明細書で示された技術は、ミリメートル波長帯全体にわたって応用可能であり、また、サブミリメートル波長帯、例えばテラヘルツ周波数まで応用可能である。
【0021】
これから、以下の図面を参照して、ただ例として、本発明をより詳細に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図1に、出願人の同時継続特許出願PCT/2004/002520に記載された型の従来技術の走査イメージャが示されている。これは、特定の偏光100bの放射100aを通過させ同時に直交する偏光の放射を反射する湾曲偏光子/反射器2を組み込んだイメージャ1を示す。この湾曲偏光子/反射器2は、また、物理的な支持物としてだけでなく、システム収差を補正するのを助けるように使用できるレンズとして作用する誘電体材料3を含むことができる。
【0023】
光路の次の部品は、4分の1波長板4、その後に続く湾曲回転可能反射器5である。直線偏光放射100bは、4分の1波長板4を通過し、したがって円偏光100cになる。次に、放射は回転可能反射器5で反射され、ここで偏光は左右像100dを変え、そして再び4分の1波長板を通過し、この4分の1波長板4は、放射を、放射100bに対して直角方向の直線偏光放射100eに変換し、そこから湾曲偏光格子2に戻り、この湾曲偏光格子2は、前の部品からの放射の偏光変化のために、今度は反射器として作用する。システムのイメージ面7に配列された受光要素6の配列は、どんな受光放射も集め処理する。主な焦点調節力は、回転可能反射器5と湾曲偏光子/反射器2の間で分担されるが、これらの要素のただ1つだけの湾曲を使用して焦点調節を実現することが可能である。回転可能反射器5と偏光子/反射器2のどちらかまたは両方が、光学収差を補正するのを助けるように非球面湾曲であってもよい。
【0024】
回転可能反射器5は、それの軸が回転軸に対して小さなゼロでない角度を有して、取り付けられる。回転可能反射器5が回転するときに、反射器5は、様々な角度方向からの放射を受光要素の方に走査するという効果を有している。反射器として作用するときの湾曲偏光子2の焦点調節効果は、システムの主な焦点調節力を実現し、受光エネルギーをイメージ面の焦点に運ぶ。様々な範囲からエネルギーを受け取ることが必要な場合、イメージ面7の位置は、この範囲に依存する。システムがこれらの様々な範囲に焦点を合わせることができるようにするために、受光機アレイ6は、変化するイメージ面位置全体にわたって動くように構成される。この調整は、電力線および信号線を受光機アレイに接続された状態に保ちながら受光機アレイを動かすことができるようにするために、比較的複雑な機械的装置を必要とする。
【0025】
この装置のさらに他の問題は、放射がどのようにして湾曲偏光子/反射器2から受光機アレイ6に近付くかを調べることによって、理解することができる。場面の様々な部分からの放射は、その放射がイメージ面に到達する点に集束する。受光機6の受光アンテナが最適に取り付けられている場合には、受光アンテナの後ろのスペースは、いっそう限られるようになり、したがって、受光機内の電子回路に利用可能な体積を脅かすことになる。
【0026】
光学システムが回折限定されているイメージャを作ることは適度に簡単であり、図1のイメージャは、この型である。回折が限定されたシステムでは、イメージ面の3dBスポットサイズはほぼ1.22λ(f/D)であり、ここでλは波長で、f/Dはf/値であり、その結果、90GHzの動作周波数で、f/0.5システムのイメージ面の3dBスポットサイズは、ほぼ2.03mmになる。現在の技術は、アレイの面で5mmよりも小さなパッケージの90GHz帯域受光機を作ることができないので、1次元直線アレイは、最適イメージ生成に好ましいサンプリング速度でイメージ面をサンプリングすることができない。90GHzで受光機間隔を5mm未満の任意のものにすることが、現在の技術の問題であることがわかった。
【0027】
図2は、ミリメートル波長程度で動作可能なイメージャの簡略化された点広がり関数のグラフを示す。グラフは、縦軸に空間直線位置を有し、横軸に強度を有する。強度曲線は中間位置に強度のピークを有し、そのピークは、空間観察点が中間位置から遠ざかるにつれて減衰する。電力半値ビーム幅すなわち3dBビーム幅20が示され、代わりの点線21間の間隔に等しい。3dBビーム幅20毎に一度と同等のサンプリングが、グラフの中心22の空間サンプリング点24で示されている。これはレイリーサンプリングである。右に、ナイキストサンプリングと一致したサンプル点23が示され、3dBビーム幅毎に2つのサンプルが取られる。レイリー基準を使用してサンプリングされたときのイメージャの性能は、いくつかの目的に適しているが、ナイキストサンプリングが使用されたとき、イメージ品質の顕著な改善が得られる。明らかに、イメージャがナイキスト空間サンプリング速度により近い速度で動作できるほど、結果として得られたイメージャはより優れている。これは、上で示した理由のために困難である。
【0028】
図3は、本発明の実施形態を示す。94GHz実時間受動走査型撮像装置30は、湾曲偏光子/反射器31、回転可能反射器32を有し、それらの間に、4分の1波長板36および受光機アレイ33があり、受光機アレイからの出力はマイクロプロセッサおよびイメージディスプレイ(図示されない)に供給される。これらの要素は、従来技術のものとほとんど同様に動作する。誘電体材料37が湾曲偏光子/反射器31の後ろに位置付けされて、これの機械的支持を行っている。誘電体材料37の後面は、有利なことに、誘電体レンズとして作用するように形作ることができる。図1の従来技術で行われたように、このレンズは、システム中の他のどの焦点調節要素と共に、光学収差を補正するように設計することができる。一般に、これは、これらの要素の表面に非球面湾曲を追加することを含む。光学システムは、さらに、レンズアセンブリの焦点距離を増すために、凸面副反射器34を備える。副反射器34は、また、光学収差を補正するのを助けるように非球面湾曲を有することもできる。
【0029】
回転可能反射器32は、軸35のまわりに回転可能に取り付けられかつこの軸の垂線に対して角度θ(例えば、約5°)だけ傾いた平らなまたは僅かに湾曲した反射板を備える。
【0030】
入射放射200aは、偏光子/反射器31によって直線偏光され、この偏光子/反射器31は垂直線(例えば)に対して90°傾いたワイヤを含むことができ、その結果、垂直線(偏光子/反射器のワイヤの線から90°)に対して0°の偏光面を有する放射の成分200bがワイヤ格子を通過して送られるようになる。この直線偏光放射の大部分は、4分の1波長板36(一般に、蛇行線)に遭遇する。蛇行線板36は、格子のワイヤの方向に対して45°傾いた蛇行線の明るい軸および暗い軸を有する。蛇行線面36から出てくる放射200cは、円偏光であり、反射板で放射200dとして反射され、この放射200dは、反射板32への入射放射200cに対して逆の意味で円偏光である。次に、放射200dが再び蛇行線板36に遭遇したとき、放射200dは元の直線偏光放射200eに変換され、この放射200eは、放射200bに比べて90°回転した偏光面を有している。放射5eが偏光子/反射板に遭遇したとき、この放射は凸面副反射器34に反射され、この副反射器から受光機アレイ33に集束される。副反射器34の追加を除いて、光学システムは、偏光要素の動作の点で、図1に示された従来技術に非常に似ている。
【0031】
各受光機は、増幅器に接続された受光ホーンを備える。各ホーンに入った放射は、増幅器に進む。増幅器は、検出器(例えば、ショットキー検出器)に出力を供給する。マイクロプロセッサは、検出器から信号を受け取り、この信号を処理してディスプレイに表示されるイメージを生成する。
【0032】
最初に偏光子/反射器31を通過する放射200bの一部は、副反射器34に入射し、そこで直接受光機アレイの方に反射されるが、受光機アレイ33に不適切な偏光を有しているので、検出されない。
【0033】
凸面副反射器34を使用することの有益な効果は、システムの焦点距離fを増すことである。システムの全体的な直径Dは同じであるので、f/値も増加する。このことの結果は、本発明のイメージ面の3dBスポットは、焦点距離の増加のために大きくなり、システムのf/値の結果としての増加は、受光機アレイの隣接した受光機間により大きな間隔があることを意味する。
【0034】
図3に示された実施形態の3dBスポットサイズは8.2mmであり、このために、隣接した受光機がそれぞれ5mm離れて中心に置かれたとき、受光機の空間サンプリングが従来技術よりも遥かに改善されるようになるが、この実施形態は、受光機中心が5mmだけ隔てられた状態で、ナイキスト速度でのサンプリングを可能にするには依然として程遠い。この実施形態は、範囲が公称8.5mであり、全長が0.734mであり、さらに直径が1mである。反射器31、32、34およびレンズ37の配列は、システムの焦点が公称範囲に合わされたとき、2021mmの実効焦点距離を表し、f/2.02のf/値を与えるように設計されている。
【0035】
イメージ面は長さ410mmであるので、5mm間隔の82個の受光機を、上で述べた速度でサンプリングする必要がある。
【0036】
さらに他の有利点は、従来技術で行われたように受光機アレイ自体の移動ではなく、副反射器34の移動で焦点調節が達成されることである。副反射器34を偏光子/反射器31の方に52mmだけ動かすと、システムの焦点が無限遠に合い、回転反射器32の方に32mm動かすと、システムの焦点が5m範囲に合う。
【0037】
さらに他の有利点は、副反射器34がイメージ面に近付くにつれて、様々な走査位置からの副反射器34で反射された放射が発散性になることである。したがって、受光機アレイの各受光機のアンテナホーンは、凹面形の配列を形成するように最適に位置付けすることができ、このことは、各受光機の後ろ部分が隣接した受光機からもそれることを意味する。これによって、各受光要素の電子回路を取り付けるべきより多くの横方向スペースが可能になり、受光機アレイのいっそう小型の設計をもたらす。
【0038】
副反射器34は、前面から見たとき形が楕円形であり、長さ360mmの長軸および220mmの短軸を有する。本発明の1つの軽微な不利点は、副反射器の存在によって生じる暗くなることである。しかし、この実施形態での暗くなることは、おおよそ9%であるので、許容限度内である。
【0039】
図3に示された実施形態は、各受光機のアンテナがイメージャのイメージ面にある状態で配列された受光機のアレイを含む。各受光機は、イメージ面から偏光子/反射器の方に延びる深さを有している。この深さは、機械的な支持および追加の焦点調節を偏光子/反射器に与えるために使用された誘電体材料に影響を及ぼす。しかし、これは重要な問題でない。というのは、光学システムを著しく害すること無しに受光機に場所を与えるように、誘電体材料の一部を除去することができるからである。これは、誘電体材料が除去された領域は、受光機および副反射器でともかく遮られた光学システムの部分に関連しており、したがって、さらなる損失は生じない。
【0040】
本発明は、屋内用途と屋外用途の両方で、および静止動作および移動動作で有用である。
【0041】
当業者は気付くことだろうが、本発明の範囲内で他の実施形態を考えることができ、したがって、本発明は、本明細書で説明された通りの実施形態に限定されるべきでない。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】従来技術の走査イメージャを示す図である。
【図2】レイリーサンプリングとナイキストサンプリングの両方の空間サンプリング基準を示す図である。
【図3】本発明の実施形態を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学システム、共に受光機アレイを形成する複数の受光要素、プロセッサ、およびディスプレイ手段を備えるミリメートル波長程度で動作可能な走査型撮像装置であって、
光学システムが、
第1の偏光の放射を通過させ、かつ第1の偏光に対して直角の偏光を有する放射を反射する湾曲偏光子/反射器と、
回転可能反射板と、反射板は回転軸を有し、回転軸は、回転中心で反射板と反射板の垂線との両方に対して非ゼロの角度θaだけ傾き、かつ放射を偏光子/反射板に反射するように構成されており、
湾曲偏光子/反射器と回転可能反射板の間に位置付けされ、入射直線偏光放射を円偏光に変換し、逆に入射円偏光放射を直線偏光に変換するか、通過するどんな放射の偏光面も45°非可逆的に回転するかのどちらかの作用を行うように構成された偏光回転板と、を備え、
光学システムが、湾曲偏光子/反射器と結合して放射をイメージ面の焦点に導くように作用する凸面副反射器をさらに含み、副反射器がシステム焦点距離の増加を実現することを特徴とする、走査型撮像装置。
【請求項2】
屈折レンズ要素が、偏光子/反射板と凸面副反射器の間に組み込まれている、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
屈折レンズ要素が、副反射器と受光要素の間に組み込まれている、請求項1または請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
副反射器が、光学システムの焦点調節を容易にするように湾曲偏光子/反射器に対して動くように構成されている、請求項1から3のいずれかに記載の撮像装置。
【請求項5】
回転可能反射板が、入射放射をイメージ面に集束させるように偏光子/反射器および副反射器と協働する湾曲を有している、請求項1から3のいずれかに記載の撮像装置。
【請求項6】
イメージ面が凹面である、請求項1から5のいずれかに記載の撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2008−524555(P2008−524555A)
【公表日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−537368(P2007−537368)
【出願日】平成17年10月14日(2005.10.14)
【国際出願番号】PCT/GB2005/003942
【国際公開番号】WO2006/043032
【国際公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【出願人】(501352882)キネテイツク・リミテツド (93)
【Fターム(参考)】