説明

走査型高精細画像処理装置

【課題】 本発明は、走査型高精細画像処理装置に関し、走査型顕微鏡で数万画素×数万画素という極めて高精細の走査画像を直接に印刷して観察することを実現すると共に必要な部分を抽出して表示して観察することも併せて実現することを目的とする。
【解決手段】荷電粒子を走査する走査手段と、高精細走査される試料上の領域中の指定された場所あるいは予め設定された場所について、焦点および非点の調整を行うために表示装置に表示可能な500画素×500画素から1800画素×1800画素までの表示用の第1の走査信号を走査手段に入力して第1の走査をさせる、あるいは高精細走査させるための第2の走査信号を走査手段に入力して第2の走査をさせる走査信号切替手段と、検出手段によって検出された信号が第1の走査による信号の場合には表示装置上に表示させ、一方、第2の走査による信号の場合には画像蓄積手段に蓄積させる制御手段と
を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒子線を細く絞って試料上を面走査して得られた高精細の画像を表示およびカラーの画像に変換して表示および高精細に印刷する走査型高精細画像処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、試料に細く絞った荷電粒子である電子やイオンなどを照射しつつ面走査しそのときに発生する2次電子や2次イオンを検出し、ブラウン管上に輝度変調して拡大した走査画像を表示したり、ブラウン管上の画像をポラロイドフィルムで撮影したり、通常のフィルムで撮影して印画紙に焼き付けて当該走査画像を観察したりしていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来のブラウン管では、通常、高々500から1600画素程度の矩形の画像しか当該ブラウン管の解像度がないために表示できなく、表示できる走査画像の大きさは、せいぜい20cm矩形であり、分解能が悪く奇麗に観察できないという問題があった。同様に、ブラウン管上の画像をフィルムで撮影してから印画紙に焼き付けても、ブラウン管を使う関係で上記と同様にそれほど細かい画素の走査画像を記録して観察できないという問題があった。
【0004】
このため、走査型顕微鏡でブラウン管などの表示装置を経由して走査画像を記録することではなく、走査型顕微鏡から得られた画像信号を直接に高精細かつ広視野で観察するすることが望まれている。
【0005】
本発明は、これらの問題を解決するため、走査型顕微鏡で数万画素×数万画素という極めて高精細の走査画像を直接に印刷して観察することを実現すると共に必要な部分を抽出して表示して観察することも併せて実現することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
図1を参照して課題を解決するための手段を説明する。
【0007】
図1において、照射系1は、荷電粒子(例えば電子線)を発生させて集束し試料7上に細く絞って照射した状態で平面走査するものであって、偏向コイル3、対物レンズ6、および2次電子検出器19などから構成されるものである。
【0008】
偏向コイル3は、試料7上に細く絞って照射されている電子線プローブを、偏向して平面走査するものである。
【0009】
試料7は、電子線プローブを平面走査してその時に発生する信号を検出し、表示あるいは高精細画像を印刷する対象の試料である。
【0010】
2次電子検出器19は、試料7から放射された2次電子を検出するものである。
【0011】
画像蓄積装置31は、2次電子検出器19などで検出された画像信号をA/D変換した高解像度の画像信号として蓄積するものである。
【0012】
表示装置32は、低解像度の表示画像を表示するものである。
【0013】
次に、動作を説明する。
【0014】
照射系1を構成する図示外の粒子線源から発生させた粒子線、例えば電子線を対物レンズ6によって細く絞った電子線プローブを試料7上に照射した状態で、偏向コイル3によって偏向して試料7上で電子線プローブを平面走査し、試料7から発生した例えば2次電子を2次電子検出器19によって検出して画面33上に画像を表示する。このとき、指定された倍率で高精細走査される試料7上の領域中の指定された場所あるいは予め設定された複数の場所について、走査線数を少なくして走査手段である偏向コイル3に走査信号を入力して第1の走査、あるいは高精細走査信号を入力して第2の走査をさせ、当該走査して発生された信号あるいは吸収された信号を例えば2次電子検出器19によって検出し、検出された信号が第1の走査による信号の場合に表示装置32あるいは走査型顕微鏡に設けた表示装置上に表示させ、一方、第2の走査による信号の場合に画像蓄積装置31に蓄積させるようにしている。
【0015】
この際、検出された信号が第1の走査による信号の場合に表示装置32の画面33上に、領域中の走査した場所に対応づけて画像をそれぞれ表示し、それぞれの場所の非点および焦点の調整を同時に行い得るようにしている。
【0016】
また、蓄積した高精細の画像信号中の指定された場所あるいは予め設定された複数の場所から切り出した画像信号を表示装置32の画面33上に1つあるいは複数を表示し、部分拡大画像を表示するようにしている。
【0017】
また、蓄積した高精細の画像信号の予め設定された区画あるいは指定されたサイズで分割した区画中のうち指定された区画から切り出した画像信号を表示装置32の画面33上に1つあるいは複数を同時に表示し、部分拡大画像を表示するようにしている。
【0018】
また、蓄積した高精細の画像信号中の指定された視点を中心に、サイズを順番に大きくした画像を切り出して画素数が多すぎるときは少なくして表示装置32の画面33を分割してそれぞれに表示し、視点を中心に異なる倍率の部分拡大画像を同時に表示するようにしている。
【0019】
また、各画像に対応づけて試料7上の実際の長さを表すマークと長さの単位を表示するようにしている。
【0020】
また、検出された信号を第1の計算機により画像蓄積装置31に格納し、第2の計算機により画像蓄積装置31から蓄積した高精細の画像信号を読み出して部分拡大画像を表示するようにしている。
【0021】
また、画像蓄積装置31に蓄積されている画像を複数に順番にサイクリックに分割して各計算機が分割した各画像を読み出して印刷用のデータにそれぞれ変換し、変換後の印刷用のデータを順番に1台の印刷装置に出力して1枚の用紙に印刷させるようにしている。
【0022】
また、画像蓄積装置31に蓄積されている画像を複数に分割して各計算機が分割した各画像を読み出して印刷用のデータにそれぞれ変換し、変換後の印刷用のデータを1台の印刷装置の各ヘッダにそれぞれ出力して1枚の用紙に印刷させるようにしている。
【0023】
また、画像蓄積装置31に蓄積されているモノクロの画像信号を対応する階調のカラーの画像信号に変換し、変換後のカラーの画像信号をもとに画像を表示あるいは印刷するようにしている。
【0024】
また、モノクロの画像信号を8ビット以上とし、カラーの画像信号がRGBのときにそれぞれ8ビットとするようにしている。
【0025】
また、モノクロの画像信号を8ビット以上とし、カラーの画像信号が印刷用のときに印刷装置で使用するカラーデータ形式のビット数とするようにしている。
【0026】
また、モノクロ表示時の階調に対応するカラー表示時の階調、あるいはモノクロ印刷時の階調に対応するカラー印刷時の階調を登録した変換テーブルを予め設け、変換テーブルを参照して、モノクロの画像信号からカラーの画像信号に変換するようにしている。
【0027】
従って、走査型顕微鏡で数万画素×数万画素という極めて高精細の走査画像を直接に印刷して観察を実現すると共に必要な部分を抽出して表示して観察を併せて実現することが可能となる。
【発明の効果】
【0028】
以上説明したように、本発明によれば、走査型顕微鏡で数万画素×数万画素という極めて高精細の走査画像を直接にカラー画像にデータ変換して印刷し、極めて広範囲の高精細の画像を観察できると共に必要な部分を抽出して表示することを併せて実現できる。
【実施例】
【0029】
次に、図1から図18を用いて本発明の実施の形態および動作を順次詳細に説明する。ここでは、荷電粒子(荷電粒子線)として、電子線を例に以下実施例を詳細に説明する。
【0030】
図1は、本発明のシステム構成図を示す。
【0031】
図1において、照射系1は、荷電粒子である電子線を発生させて集束し試料7上に細く絞って照射した状態で平面走査するものであって、2から6などによって構成されるものでる。
【0032】
集束レンズ2は、図示外の電子銃から発生されて加速された電子線を集束するものである。
【0033】
偏向コイル3は、細く絞って試料7上を照射された電子線プローブを偏向して平面走査するものである。
【0034】
非点補正コイル4は、電子線プローブの非点を補正するものである。
【0035】
ダイナミックフォーカスコイル5は、電子線プローブが試料7上の中心視野位置から外れた位置を照射したときでも細い電子線プローブになるようにフォーカスするものである。
【0036】
対物レンズ6は、電子線プローブを試料7上に細く絞って照射するものである。
【0037】
試料7は、電子線プローブを平面走査してその時に発生する信号を検出し、表示あるいは高精細画像を印刷する対象の試料である。
【0038】
高精細走査発生器11は、高精細の画像信号を生成するための高精度(例えば16,000画素×16,000画素)の走査信号(水平方向および垂直方向の走査信号)を発生するものである。
【0039】
走査発生器12は、通常の走査型電子顕微鏡などに用いる低精度(例えば500画素×500画素)の走査信号を発生するものである。
【0040】
走査信号切換装置13は、高精細の走査信号と、低精度の走査信号とを任意に、外部からの切換モードに対応して切りかえるものである。
【0041】
倍率制御回路14は、走査発生器12から供給された低精度の走査信号をもとに指定された倍率の信号を出力するものである。
【0042】
倍率制御回路15は、走査信号切換装置13から供給された走査信号をもとに指定された倍率の信号を出力するものである。
【0043】
倍率制御切換器16は、倍率制御回路14、15あるいは走査信号切換装置13のいずれかの信号を切り換えて選択して偏向コイル3に供給し、所定倍率となる走査電流などを偏向コイル3に供給するものである。
【0044】
非点補正制御回路17は、非点補正コイル4に電流を供給して非点補正するものである。
【0045】
ダイナミックフォーカス制御回路18は、ダイナミックフォーカスコイル5に電流を供給し、ダイナミックフォーカス(電子線プローブが試料7上の視野中心から偏向されてずれるにしたがい焦点が合わなくなるので、これを補正して常に焦点があうように走査信号に同期して電流を供給して補正)するものである。
【0046】
2次電子検出器19は、電子線プローブを試料7の表面に面走査したときに放出される2次電子を検出して増幅するものである。
【0047】
信号増幅器20は、2次電子検出器19によって検出された信号(画像信号)を増幅するものである。
【0048】
画像読込装置21は、信号増幅器20によって増幅された、試料7から放出された2次電子などの強度であるアナログの信号(画像信号)をデジタルの画像信号に変換(例えば試料7上の全走査範囲を16,000×16,000画素となるように水平走査信号および垂直走査信号に同期してサンプリングし12ビットのデータに量子化して画像信号を得るように変換)するものである。
【0049】
I/O22から25は、CPU34と倍率制御回路15、高精細走査発生器11、非点補正制御回路17、ダイナミックフォーカス制御回路18との間で信号の授受を行う入出力回路であって、例えばCPU34からのデジタルの信号をアナログの信号に変換するD/A変換等の信号の制御に使用するものである。
【0050】
プリンタ(大型高精細印刷機)27は、大型(例えばA0などのサイズ)の高精細のカラーのプリンタ(プロッタ)である。
【0051】
プリンタ(普及型)28は、通常の大きさ(例えばA3などのサイズ)のカラーのプリンタである。
【0052】
画像蓄積装置31は、デジタルの高精細の画像信号(例えば16,000×16,000画素)を蓄積するものである。
【0053】
表示装置32は、低解像度(500ないし1800ドット)の画像を表示するものであって、カラーCRT、カラー液晶、一般家電のテレビなどである。
【0054】
画面33は、表示装置32上に表示する画面である。
【0055】
CPU34は、プログラムに従い各種処理を行うものであって、ここでは、プログラムによって動作する画像編集手段35、画像変換手段36などから構成されるものである。
【0056】
画像編集手段35は、画像を編集して画面33上に表示させるものである。
【0057】
画像変換手段36は、モノクロの画像信号を、カラーの画像信号に変換(例えばモノクロの画像信号の階調を落とさずにカラーの画像信号に変換)したりなどするものである。
【0058】
次に、図2から図18を用いて図1の構成および動作を順次詳細に説明する。
【0059】
図2は、本発明の説明図(非点、焦点の調整)を示す。
【0060】
図2の(a)は、通常の画面の例を示す。この通常の画面は、ここでは、例えば800×800画素の画面である。
【0061】
図2の(b)は、本発明の画面(仮想画面)の例を示す。この本発明の仮想画面は、図示のように例えば16,000×16,000画素であって、図2の(a)の横方向に20倍、縦方向に20倍の大きさであり、画素数で言えば20×20=400倍の大きさである。このため、当該本発明の仮想画面では、図中の
・0(中心)
・1(右中央)
・2(上中央)
・3(左中央)
・4(下中央)
の5つの位置でそれぞれ800×800画素の画面が得られるように、走査信号を制御して表示装置32の画面33上に順次表示したり、あるいは0から4の位置で更に少ない画素数が得られるように走査信号を制御し表示装置32上の画面33を5分割して同時に表示し、0から4の5つの各画面(結果的に拡大された画像が表示)上でそれぞれ焦点合せ(ダイナミックフォーカス)および非点補正を行い、仮想画面の全体で焦点合せおよび非点補正を自動あるいは手動で行い、高精細の画像信号を得るようにしている(図3から図6参照)。
【0062】
図3は、本発明の説明図(走査)を示す。これは、図2の(b)の仮想画面(試料7の高精細時の全走査範囲)中で位置0から4までの5個所でそれぞれ面走査するときの水平走査信号(H)および垂直走査信号(V)を発生する(切り換える)回路の例である。
【0063】
図3の(a)は、水平走査信号(H)を発生する回路例を示す。
【0064】
図3の(a)において、左側の走査(H)は、高精細の水平走査信号(H)である。
【0065】
スイッチSWHは、上側のときに本画面(高精細の画面(=図2の(b)の仮想画面))用の図示の水平走査信号(H)を右側から出力するものであり、下側のときに画面0から4用の水平走査信号(H)(図中では画面1用の水平走査信号(H))を右側から出力するものである。出力された水平走査信号(H)は、図1の水平走査用の偏向コイル3に供給される。
【0066】
ボリュームVR1、VR2は、画面1,3のときの水平方向の位置を任意に調整する可変抵抗器である。
【0067】
図3の(b)は、垂直走査信号(V)を発生する回路例を示す。
【0068】
図3の(b)において、左側の垂直(V)は、高精細の垂直走査信号(V)である。
【0069】
スイッチSWVは、上側のときに本画面(高精細の画面(=図2の(b)の仮想画面))用の図示の垂直走査信号(V)を右側から出力するものであり、下側のときに画面0から4用の垂直走査信号(V)(図中では画面1用の垂直走査信号(V))を右側から出力するものである。出力された垂直走査信号(V)は、図1の垂直走査用の偏向コイル3に供給される。
【0070】
ボリュームVR3、VR4は、画面2,4のときの垂直方向の位置を任意に調整する可変抵抗器である。
【0071】
以上の回路を用い、スイッチSWHとSWVを下側に切り換えた状態で、左側の走査(H)および垂直(V)の走査信号にそれぞれ同期して、両者の画面0から4のスイッチを閉にしてボリュームVR1ないしVR4をそれぞれ調整することで、既述した図2の(b)の仮想画面(高精細時の画面)中の画面0(固定)および画面1から4(VR1ないしVR4で調整可)の位置を任意に調整することが可能となる。これら水平走査信号および垂直走査信号を図1の偏向コイル3にそれぞれ供給して面走査することで、図2の(b)の画面0から4の拡大画像を表示させることが可能となり、これら各拡大画像上で焦点合せ(特にダイナミックフォーカス合せ)および非点補正を簡易に行うことが可能となる。
【0072】
図4は、本発明の説明図(非点)を示す。これは、既述した図3の走査信号(H、V)を用いて走査したときに得られる図4の(a)の画面0から4の各画面で非点補正を同期して行うときの回路の例である。
【0073】
図4の(a)は、本画面(高精細時の画面)を示す。この本画面(仮想画面)は、既述した図2の(a)の画面(仮想画面)と同一であって、画面0から4の5つの拡大画像をそれぞれ表示するためのものである。
【0074】
図4の(b)から(d)は、ダイナミック非点補正する回路例を示す。
【0075】
図4の(b)は、2つのボリュームをそれぞれ調整して画面0から画面4用の非点補正信号(X、Y)を出力する回路例を示す。
【0076】
図4の(b−1)、(b−2)、(b−3)、(b−4)、(b−5)は、非点補正0(画面0の非点補正)用のX0、Y0、非点補正1用のX1、Y1、非点補正2用のX2、Y2、非点補正3用のX3、Y3、非点補正4のX4、Y4の信号をそれぞれ出力するものである。ここでは、図中の各X用およびY用のボリュームの値を個別に変えて、図4の(a)の画面0から4でそれぞれ非点が補正されて奇麗な画像が表示されるように、調整(手動あるいは自動(画像の解像度が最大(例えば微分した信号の総和が最大))で調整)する。
【0077】
図4の(c)は、図4の(b)で生成した信号を左側からそれぞれ入力しておき、アナログスイッチSによっていずれか1つを選択してアンプに入力し右側から非点補正信号(X,Y)をそれぞれ出力し、図1の非点補正コイル4に供給する。ここで、アナログスイッチSは、後述する図4の(d)に示す回路で1ないし4のうちの1つがそれぞれONとなり、いずれかか1つを選択するようにしている。
【0078】
図4の(d)は、図4の(c)のアナログスイッチを1つONにする信号1から4のいずれかを生成する回路例を示す。(d−1),(d−2)は、ここでは、左側から走査信号(H)、走査信号(V)をそれぞれ入力し、右側から図4の(c)のアナログスイッチSのいずれか1つをONにする制御信号をそれぞれ出力するようにしている。
【0079】
以上によって、図4の(a)の本画面(仮想画面)上の画面0から4の拡大画像上でそれぞれ個別に独立に非点補正を手動あるいは自動で行い設定することを必要に応じて随時行い、本画面の全域に渡って拡大画像上で高精度に非点補正を行うことが可能となる。
【0080】
図5は、本発明の説明図(ダイナミックフォーカス)を示す。これは、既述した図3の走査信号(H、V)を用いて走査したときに得られる図4の(a)の画面0から4の各画面でダイナミックフォーカスを同期して行うときの回路の例である。
【0081】
図5の(a)は、本画面(高精細時の画面)を示す。この本画面(仮想画面)は、既述した図2の(a)の画面(仮想画面)と同一であって、画面0から4の5つの拡大画像をそれぞれ表示するためのものである。
【0082】
図5(b)から(d)は、ダイナミックフォーカスする回路例を示す。
【0083】
図5の(b)は、ボリュームをそれぞれ調整して画面0から画面4用のダイナミックフォーカス用の信号を出力する回路例を示す。
【0084】
図5の(b−1)、(b−2)は、ダイナミックフォーカス用のX1、X3、Y2、Y4の信号を出力する回路例を示す。
【0085】
図5の(c)は、図5の(b)で生成した信号を左側からそれぞれ入力しておき、アナログスイッチSによっていずれか1つを選択してアンプに入力し右側からダイナミック補正制御信号を出力し、図1のダイナミックフォーカスコイル5に供給する。ここで、アナログスイッチSは、既述した図4の(d)に示す回路によって1ないし4のうちの1つがONとなり、1つを選択するようにしている。
【0086】
図5の(d)は、走査信号(H)、走査信号(V)から図5の(b)で必要な図示の信号を生成する回路例を示す。ここで、H2は2乗を表し、入力された信号を2乗した信号である。
【0087】
以上によって、図5の(a)の本画面(仮想画面)上の画面0から4の拡大画像上でそれぞれ個別に独立にダイナミックフォーカス調整を手動あるいは自動で行い設定することを必要に応じて随時行い、本画面の全域に渡って拡大画像上で高精度にダイナミックフォーカス合せを行うことが可能となる。
【0088】
図6および図7は、本発明の説明図(走査)を示す。これは、試料7上を電子線プローブで面走査して全体の外観観察および各種調整(明るさ、コントラストなど)を行うための低解像度の画像を表示するときの例をそれぞれ示す。
【0089】
図6の(a)は、荒い走査の例を示す。この場合には、(a−1)に示すように、試料7上の高精細画像の走査領域(仮想画面)上では16,000×16、000ドットのうちから、ここでは、垂直方向の走査線は32本飛び越し走査で500本の走査線に間引き、水平方向の1走査線の16,000ドットを32ドット毎に間引いて500ドットにし、(a−2)に示すように500×500ドットの画像を得て図示のように画面上に表示する。これにより、高精細の画像(16,000×16,000ドット)を約32×32=1024分の1に画素数を低減して高速に(a−2)に示すように等倍の画像を画面上に表示することが可能となる(試料7を電子線プローブで面走査してその時に発生した信号をA/D変換して、高精細画像の全領域の画素数を低減した等倍の画像を画面上に表示することが可能となる)。
【0090】
図6の(b)は、細かい走査の例を示す。この場合には、(b−1)に示すように、試料7上の高精細画像の走査領域(仮想画面)上では16,000×16000ドットのうちから、ここでは、垂直方向の指定された例えば先頭から500本だけ抽出し、水平方向の1走査線の16000ドットのうち図示の指定された位置から500ドットだけ抽出し、(a−2)に示すように500×500ドットの画像を得て図示のように画面上に表示する。これにより、高精細の画像(16,000×16,000ドット)の図では先頭の部分の約32×32=1024分の1に画素数を低減して高速に(a−2)に示すように高精細画像の一部をそのまま拡大した拡大画像を画面上に表示することが可能となる(試料7を電子線プローブで面走査してその時に発生した信号をA/D変換して、高精細画像の全領域の先頭部分を拡大した拡大画像を画面上に表示することが可能となる)。
【0091】
図6の(c)は、ライン走査の例を示す。この場合には、(b−1)に示すように、試料7上の高精細画像の走査線の1ライン、4ライン、・・・毎に飛び越し走査し、(a−2)に示すように、そのときの画像信号の振幅(輝度)を画面上に順次表示すると共に、図示のように基準線を表示する。そして、画像信号の明るさおよびコントラストを図示外の操作ボリューム(あるいは画面上の操作ボタン)を操作して調整(画像信号の明るさは2次電子検出器19の2次電子倍増管に印加する高電圧を調整して設定および明るさは2次電子検出器19の出力信号を増幅する信号増幅器20で直流成分を加算し調整)する。
【0092】
図7の(d)は、自動の回路例を示す。
【0093】
図7の(d)において、高電圧発生器は、調整器(コントラスト)および「振幅制御信号」によって任意の高電圧を発生するものである。
【0094】
2次電子倍増管は、高電圧発生器から印加された高電圧の値を大きくすると2次電子の増幅率(コントラストに相当)を増大させるものである。
【0095】
アンプ2は,2次電子倍増管によって増幅された画像信号を増幅するものであって、ここでは「明るさ制御信号」を入力側に入力して明るさ成分(画像信号の直流成分)を増減させるものである。
【0096】
以上の回路構成のもとで、既述した図6の(a)から(c)のいずれかの画面上に表示した画像の画像信号を取り出し、この画像信号の振幅の変化が所定の範囲に納まるように「振幅制御信号」を自動的に調整し、一方、この画像信号の直流成分が所定の範囲内に納まるように「明るさ制御信号」を自動的に調整する。これにより、試料7に電子線プローブを照射して発生した2次電子を一旦、光に変換した後に当該光を図7の(d)図示の2次電子倍増管に左側から入射して光電子を発生させて増幅し、アンプ2から所望のコントラストおよび明るさの画像信号を右側に出力することが可能となる。
【0097】
図8は、本発明の説明図(表示)を示す。
【0098】
図8の(a)は、平均化表示の例を示す。この平均化表示は、(a−1)に示す16,000×16,000画素の高精細の画像について、例えば500分割した32×32画素の各値を平均化して1画素(各画素の値の総和を求めて全画素数で除算した値を1画素)にし((a−3)に示すように変換し)、この変換後の画素を用いて(a−2)に示すように画面上に500×500画素の拡大画像を表示する。
【0099】
以上によって、元の高精細の画像(例えば16,000×16,000画素)を500分割して各分割領域内の画素の値を平均化して低画素の画像(例えば500×500画素)を生成して表示装置32上に等倍の画像として表示することが可能となると共に、平均化してS/N比を改善することが可能となる。
【0100】
図8の(b)は、重みづけ表示の例を示す。この重みづけ表示は、(b−1)に示す、図8の(a)で500分割した1つの分割領域内の32×32画素について、(b−2)に示すように、重みづけを行い、(b−3)に示すように、1画素に変換する。重みづけとしては、(b−4)に示すように、中心が大きく両端を0とした重み分布を持たせて各重みを各画素の値に乗算してその総和を求めて1画素の値とし、ここでは、低画素の等倍の画像(500×500画素)を表示する。
【0101】
以上によって、元の高精細の画像(例えば16,000×16,000画素)を500分割して各分割領域内の画素の値に重みづけして低画素の画像(例えば500×500画素)を生成して表示装置32上に等倍の画像として表示することが可能となると共に、重みづけしたことで、隣接する画素間の相関が加味された忠実な画像であって、S/N比を改善することが可能となる。
【0102】
図9および図10は、本発明の説明図(任意画像表示)を示す。
【0103】
図9の(a)は、任意切出の例を示す。この任意切出の場合には、(a−1)に示すように、画面上では図示のように間引きなどした画像500×500画素で表示し、印刷用には高精細の画像16,000×16,000画素で保持する。そして、(a−1)の画面上でマウスで切出しの左上と右下を指定した矩形領域が指定されると、(a−2)に示すように、マウス指定された領域を切出し(既述した図8の(a),(b))して画面上で500×500画素の画像として表示(切出された画像が500×500画素以下のときはその画素数で表示)すると共に切出された画素数の画像を保持する。そして、印刷時には保持している画像を印刷装置に送出して印刷させる。
【0104】
以上のように、高精細の画像(例えば16,000×16,000画素)を500×500画素の画像として全体を表示装置32上に表示した状態で、マウスで任意のサイズが指定されると、指定された領域の画像を切出して印刷用として保持すると共に、画面上に500×500画素の画像として表示(500×500画素以下のときは切出した画素の画像として表示)して画像の確認などを行った後、保持している画像を高解像度の印刷装置に送出して高精細に印刷させることが可能となる。
【0105】
図9の(b)は、区画切出の例を示す。この区画切出しの場合には、(b−1)に示すように、画面上では500×500画素の全体の画像を表示および図示のように指定された例えば分割数で分割して区画線を表示すると共に、印刷用には高精細の画像16,000×16,000画素で保持する。そして、(b−1)の画面上でマウスで任意の区画が指定されると、(b−2)に示すように、マウス指定された区画の画像を切出し(既述した図8の(a),(b))、画面上で500×500画素の画像として表示(切出された画像が500×500画素以下のときはその画素数で表示)すると共に切出された画素数の画像を保持する。この(b−2)の状態では、切出した画像を500×500画素として表示すると共に、図示のA,B,C,Dのボタンをそれぞれの辺に表示し、いずれかのボタンがマウスで選択されると、その方向の区画の画像を元の画像(16,000×16,000画素)から切出した同様に
表示すると共に、印刷用に切出した画像を保持する。そして、印刷時には保持している画像を印刷装置に送出して印刷させる。また、区画の画素数は画素数を指定あるいは上記した分割数を指定して任意にすることができる。
【0106】
以上のように、高精細の画像(例えば16,000×16,000画素)を500×500画素の画像として全体を表示装置32上に表示した状態で、マウスで任意の区画が指定されると、指定された区画の画像を切出して印刷用として保持すると共に、画面上に500×500画素の画像として表示(500×500画素以下のときは切出した画素の画像として表示)して画像の確認などを行い、隣接する区画の画像を表示したいときは周囲に表示されているボタンA,B,C,Dのいずれかを選択してその区画の画像を切出して表示およびその画像を印刷用として保持する。そして、保持している画像を高解像度の印刷装置に送出して高精細に印刷させることが可能となる。
【0107】
図10の(c)は、視点拡大表示の例を示す。この視点拡大表示の場合には、(c−1)に示すように、画面上では500×500画素の全体の画像を表示すると共に、印刷用には高精細の画像16,000×16,000画素で保持する。そして、(c−1)の画面上でマウスで大きさの領域1(全体),2,3,4が順次指定(あるいは全体に対する小さくする割合と画像の数が指定)されると、(c−2)に示すように、指定された領域1,2,3,4の画像を切出し、画面上で500×500画素を分割数で分割してその範囲に納まる画素の画像1,2,3,4にして表示すると共に切出された画素数の画像を保持する。この(c−2)の状態で、いずれかの画像の印刷指示があると、該当する保持している印刷用の切出した画像を印刷装置に送出して印刷させる。
【0108】
以上のように、高精細の画像(例えば16,000×16,000画素)を500×500画素の画像として全体を表示装置32上に表示した状態で、マウスで任意のサイズの領域1,2,3,4などが指定されると、指定された領域1,2,3,4などの画像を切出して印刷用として保持すると共に、画面上に500×500画素を画像の数で分割した画素に納まるようにした画像を表示し確認などを行い、いずれかの画像の印刷指定されると保持している印刷用の画像を高解像度の印刷装置に送出して高精細に印刷させることが可能となる。
【0109】
図10の(d)は、基準線表示の例を示す。この基準線表示の場合には、(d−1)に示すように、画面上では500×500画素の全体の画像を表示および画面上における試料7上の長さを表す基準線と当該基準線の単位(例えばμm)を併せて表示すると共に、印刷用には高精細の画像16,000×16,000画素で保持する。そして、(d−1)の画面上でマウスで大きさの領域が図示のように指定されると、(d−2)に示すように、指定された領域の画像を切出し、画面上で500×500画素となるようにした画像を表示および画面上における試料7上に基準線とその単位を表示すると共に切出された画素数の画像を保持する。
【0110】
以上のように、画面上に画像を表示する際に、併せて試料7上の長さを表す基準線とその単位を常に表示することにより、画面上に表示した画像の実際の大きさを容易に認識することが可能となる。
【0111】
次に、図11から図14を用いて複数のCPU(パソコン)が画像をそれぞれ読み込んで並列処理してプリンタに高精細の画像を印刷させるときの構成および動作を詳細に説明する。
【0112】
図11は、本発明の説明図(並列処理、その1)を示す。
【0113】
図11の(a)は、CPU1から4の4台を用いて画像をそれぞれ読み込んでプリンタ42でそれぞれ印刷する時の構成を示す。ここで、高精細走査発生器11は、図1の高精細走査発生器11と同一であるので説明を省略する。
【0114】
図11の(a)において、A/D取込装置41は、既述した図1の信号増幅器20からのアナログの画像信号をデジタルの画像信号(例えば16,000×16,000画素で各画素が12ビットの画像信号)に変換するものである。
【0115】
CPU1は、マスタのCPUであって、プログラムに従い画像処理およびデータ変換処理などを行うものであり、ここでは、他のスレーブのCPU2から4を統括制御も併せて行うものである。
【0116】
CPU2から4は、スレーブのCPUであって、プログラムに従い画像処理およびデータ変換処理などを行うものであり、ここでは、マスタのCPU1からの指示をもとに各種処理を行うものである。
【0117】
プリンタ42は、各CPU1から4にそれぞれ接続され、高精細の画像信号を分割してそれぞれ印刷するものである。
【0118】
図11の(b)は、画像の割り当て例を示す。ここでは、図11の(a)のマスタのCPU1が予め指定されたように、画像を4分割して図示のように各CPU1から4に割当てるように指令する。この指令により、A/D取込装置41から取り込まれる画像(16,000×16,000画素)のうちの、
・先頭の16,000×4,000画素はCPU1が自身のハードディスク装置などに取り込む。
【0119】
・同様に、次の16,000×4,000画素はCPU2が自身のハードディスク装置などに取り込む。
【0120】
・同様に、次の16,000×4,000画素はCPU3が自身のハードディスク装置などに取り込む。
【0121】
・同様に、次の16,000×4,000画素はCPU4が自身のハードディスク装置などに取り込む。
【0122】
以上によって、4台のCPU(パソコン)が高精細の画像を4分割してそれぞれ自身のハードディスクに取り込み、並列して画像処理を行う準備ができたこととなる。
【0123】
図12は、本発明の説明図(並列処理、その2)を示す。
【0124】
図12の(a)は、CPU1(マスタ)の動作の様子を示す。ここでは、マスタのCPU1が図11の(b)で読み込んだ、図12の(a−1)に示す元画像(16,000×4,000画素)から指定された領域の画像を切出して500×500画素にし、図12の(a−2)の画面上に示すように画像を表示すると共に、画像上のサンプルラインの信号を振幅変調してライン波形表示として表示し、コントラストおよび明るさを最適に調整(自動調整し、十分に調整できないときは手動で補正調整)し、そのときの調整した値(コントラスト、明るさなどの値)を記憶する。更に、必要に応じてプリンタ42に出力して印字し、印字条件などを確認して記憶する。
【0125】
以上のように、マスタのCPU1が元画像から指定された領域を切出して画面上に表示し、明るさやコントラスト、更に、印刷して印刷条件などを確認できたこととなる。調整および確認した情報をスレーブのCPU2から4に通知する。
【0126】
図12の(b)は、ファイル作成の例を示す。ここでは、図12の(a)でマスタのCPU1から最適な情報(明るさ、コントラスト、印刷条件)が通知されているので、各スレーブのCPU2から4、およびマスタのCPU1が一斉に、元画像(16,000×4,000画素)をここでは4分割して4,000×4,000画素の4つにし、通知された情報に従い画像処理を行い、図12の(b)の右側に示すように、それぞれ4つのファイル(BMPなどので4つのファイル)に分離する。
【0127】
図13は、本発明の説明図(印刷)を示す。
【0128】
図13の(a)は、図12の(b)で作成したファイル(BMP等の画像(4,000×4,000画素))を、画像処理ソフトでプリンタで印刷可能なフォーマットの印刷データにしてプリンタ42に送出してプリントすることを4回繰り返し、16,000×4,000画素の画像を用紙にそれぞれ印刷する。
【0129】
図13の(b)は、図13の(a)でそれぞれ印刷した16,000×4,000画素の用紙を貼り合わせた状態を示す。これにより、4台のCPU1から4によって4分割して画像処理してそれぞれプリンタ42によって用紙に印刷し、これら印刷した用紙を貼り合わせて1枚の高精細の画像を用紙に並列処理で迅速に印刷することが可能となる。
【0130】
図14は、本発明の説明図(印刷)を示す。
【0131】
図14の(a)は、高精細プロッタで大きな用紙に印刷する様子を示す。この場合には、CPU1からCPU4の4台のCPUで並列処理して作成した画像(16,000×4,000画素)を、1台の高精細プロッタ43に順次送出して1枚の用紙に右側に示すように順次打ち出す(印字する)。
【0132】
図14の(b)は、高精細プロッタで大きな用紙に2つのヘッダで印刷する様子を示す。この場合には、CPU1からCPU4の4台のCPUで並列処理して作成した画像(16,000×4,000画素)を、1台の高精細プロッタ43の2つのヘッドに順次送出して1枚の用紙に右側に示すように順次打ち出す(印字する)ことで、複数のヘッドを用いて同時印刷し、より高速に高精細の画像を大きな用紙(例えばA0)に印刷することが可能となる。
【0133】
また、2台のCPU1,2を設け、試料7のある角度の高精細の画像(例えば16,000×16,000画素)をCPU1に蓄積し、同じ視野の他の角度の高精細の画像(例えば16,000×16,000画素)をCPU2に蓄積し、指定した任意の領域の画像を両者からそれぞれ切出して画面上にそれぞれ表示してステレオメガネで立体観察したり、プリンタでそれぞれ印刷してステレオメガネで立体観察したりすることが可能となる。
【0134】
次に、図15から図18を参照して高精細のモノクロの画像をカラーの画像にデータ変換して表示および印刷するときの構成および手順を詳細に説明する。
【0135】
図15は、本発明の説明図(データ変換、その1)を示す。
【0136】
図15の(a)は、調整画面(SEM、コントラスト/ブライトネス)の例を示す。この調整画面の左側に低解像度のSEM像を表示してコントラストおよびブライトネス(明るさ)を既述したようにして調整する。例えば左側の画面上に、試料7を電子線プローブでライン走査したときの画像を振幅変調して図示の実線の曲線のように表示し、図中の点線の基準線の間い納まるように、ブライトネス(明るさ)およびコントラストの調整用のボリュームを調整する。調整が完了した後、高精細の走査を行い、図15の(b)の高精細の画像(16.000×16,000画素)を読み込む。
【0137】
図15の(b)は、高精細の画像の例を示す。ここでは、高精細の画像として図示の16,000×16,000画素で各画素が12ビットのモノクロの画像を取り込み、メモリやハードディスク装置に格納する。
【0138】
図15の(c)は、カラーの画像例を示す。これは、図15の(b)で取り込んだモノクロの画像の各画素が12ビットであり、カラーの画像の1画素は通常、RGBの各8ビットで表現されるので、いずれかの単色(R、G、B)の単独では階調を表現できないので、RGBを使って12ビットの階調を満たすように、後述する図18の変換テーブルによってモノクロの12ビットをカラーのRGBの各8ビットに変換する。これにより、画素数は16,000×16,000のままで各画素についてRGBの各8ビットに変換できたこととなる。
【0139】
以上によって、高精細のモノクロの画像を、階調数を低減することなくカラーの画像に変換できたこととなる。
【0140】
図16は、本発明の説明図(データ変換、その2)を示す。
【0141】
図16の(a)は、画像(カラー)の例を示す。ここでは、既述した図15の(c)でデータ変換した画像(カラー)であって、
・16000×16000画素
・カラー画像(RGBの各8ビット)
で表現される。
【0142】
図16の(b)は、図16の(a)の画像(カラー)をここでは4分割してファイル1)、2)、3)、4)を作成して格納した様子を示す。このように大きな画像を4つのファイル1)、2)、3)、4)に分割することにより、
【0143】
・他のアプリケーションで参照やプリントアウトするときにファイル毎に可能となる。
【0144】
・高精細の大容量データの転送や圧縮がし易くなる。
【0145】
・印刷時などに少ないメモリ容量でよくなる。
などの効果が発生する。
【0146】
図16の(c)は、プリント手順を示す。ここでは、図16の(b)で高精細の画像(カラー)を4分割してファイル1)、2)、3)、4)にして保存したので、これらファイルを順次取り出してプリンタに送出して1枚の用紙に順次印刷し16,000×16,000画素からなるカラーの画像を用紙に印刷することが可能となる。
【0147】
図17は、本発明の説明図(12ビットのRGB変換テーブル)を示す。このRGB変換テーブルは、12ビットの画素値(階調)を、1画素のRGB各8ビットの階調に変換するときのテーブル例である。左側の0から4096(12ビットで表現される数値範囲)について、8ビット(0から255で表現される数値範囲)の各RGBにデータ変換したときの値として、実験して求めた値が設定されている。このため、モノクロの12ビットの画像(16,000×16,000)を、RGB各8ビットの画像(16,000×16,000)に階調を保持しかつ同一画素数でデータ変換することが可能となる。
【0148】
図18は、本発明の説明図(画面の表示)を示す。
【0149】
図18の(a)は、表示エリアの例を示す。この表示エリアは、表示装置32の画面上に表示できる画素数であって、ここでは、図示のように、800×800画素とする。
【0150】
図18の(b)は、ジャストフィット表示の例を示す。ここでは、
・HD(走査線の方向)及びVD(走査線に垂直方向)に対し、画像データは16,000×16,000とする。
【0151】
・図18の(a)の画面(800×800画素)で表示しようとすると、水平方向および垂直方向にそれぞれ20分の1に間引きすれば、高精細のカラー画像(16,000×16,000)が丁度、表示エリア(800×800画素)となるので、ジャストフィット表示ができることとなる。
【0152】
尚、20分の1の間引きの代わりに、既述した20×20画素の平均値あるいは重みづけして求めた値にし、隣接する画素の相関を取り込んだ画像にしたりするようにしてもよい。
【0153】
図18の(c)は、算出式を示す。この算出式は、
16000/Pix=取得画素
で算出される。ここで、16000は元の高精細の画像の画素数であり、Pixは画面上に表示される画素数(例えば図18の(a)では800)であり、取得画素は当該取得画素数毎に元の画像から取得する間隔(例えば16000/800=20)である。
【図面の簡単な説明】
【0154】
【図1】本発明のシステム構成図である。
【図2】本発明の説明図(非点、主点の調整)である。
【図3】本発明の説明図(走査)である。
【図4】本発明の説明図(非点)である。
【図5】本発明の説明図(ダイナミックフォーカス)である。
【図6】本発明の説明図(走査、その1)である。
【図7】本発明の説明図(走査、その2)である。
【図8】本発明の説明図(表示)である。
【図9】本発明の説明図(任意画面表示、その1)である。
【図10】本発明の説明図(任意画面表示、その2)である。
【図11】本発明の説明図(並列処理、その1)である。
【図12】本発明の説明図(並列処理、その2)である。
【図13】本発明の説明図(印刷)である。
【図14】本発明の説明図(印刷)である。
【図15】本発明の説明図(データ変換、その1)である。
【図16】本発明の説明図(データ変換、その2)である。
【図17】本発明の説明図(12ビットのRGB変換テーブル)である。
【図18】本発明の説明図(画面の表示)である。
【符号の説明】
【0155】
1:照射系
2:集束レンズ
3:偏向コイル
4:非点補正コイル
5:ダイナミックフォーカスコイル
6:対物レンズ
7:試料
11:高精細走査発生器
12:走査発生器
13:走査信号切換装置
14、15:倍率制御回路
16:倍率制御切換器
17:非点補正制御回路
18:ダイナミックフォーカス制御回路
19:2次電子検出器
20:信号増幅器
21:画像取込装置
22から25:I/O
27、28:プリンタ
32:表示装置
33:画面
34:CPU
35:画像編集手段
36:画像変換手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷電粒子を細く絞って試料に照射する対物レンズと、
上記対物レンズによって荷電粒子を細く絞って試料を照射した状態で、当該荷電粒子を偏向して試料面上を線走査および当該線走査と直角方向に繰り返して走査する走査手段と、
指定された倍率で10,000画素×10,000画素以上の高精細走査される上記試料上の領域中の指定された場所あるいは予め設定された場所について、焦点および非点の調整を行うために表示装置に表示可能な500画素×500画素から1800画素×1800画素までの表示用の、上記高精細走査に比して走査線数を少なくした上記指定された場所あるいは上記予め設定された場所内で任意の複数の場所(「第1場所」という)を走査させる第1の走査信号を上記走査手段に入力して第1の走査をさせる、あるいは上記高精細走査させるための第2の走査信号を上記走査手段に入力して上記指定された倍率で上記指定された場所あるいは予め設定された場所について第2の走査をさせる、走査信号切替手段と、
上記荷電粒子を試料面上に走査して発生された信号あるいは吸収された信号を検出する検出手段と、
上記検出手段によって検出された信号が上記第1の走査による信号の場合には表示装置上に表示させ、一方、上記第2の走査による信号の場合には画像蓄積手段に蓄積させる制御手段と
を備えたことを特徴とする走査型高精細画像処理装置。
【請求項2】
上記第1場所を、上記指定された場所あるいは上記予め設定された場所内の、中心、および周辺の任意の複数の場所としたことを特徴とする請求項1記載の走査型高精細画像処理装置。
【請求項3】
上記第1の場所、あるいは上記指定された場所あるいは上記予め設定された場所内の中心、および周辺の任意の複数の上記場所で、焦点および非点をそれぞれ合わせたことを特徴とする請求項1あるいは請求項2記載の走査型高精細画像処理装置。
【請求項4】
上記蓄積した高精細の画像信号中の指定された場所あるいは予め設定された複数の場所から切り出した画像信号をもとに、表示装置の画面上に当該複数の場所の画像を同時に表示することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の走査型高精細画像処理装置。
【請求項5】
上記蓄積した高精細の画像信号の予め設定された区画あるいは指定されたサイズで分割した区画中から、指定された区画より切り出した複数の画像信号を、表示装置の画面上に複数の画像として同時に表示することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の走査型高精細画像処理
装置。
【請求項6】
上記蓄積した高精細の画像信号中の指定された視点を中心に、サイズを順番に大きくした画像を切り出して画素数が多すぎるときは少なくして表示装置の画面を分割して表示し、視点を中心に異なる倍率の複数の画像を同時に表示することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の走査型高精細画像処理装置
【請求項7】
上記検出手段によって検出された信号を第1の計算機により上記画像蓄積手段に格納し、第2の計算機により上記画像蓄積手段から蓄積した高精細の画像信号を読み出して上記画像を表示することを特徴とする請求項4から請求項6のいずれかに記載の走査型高精細画像処理装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate


【公開番号】特開2009−76469(P2009−76469A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−306763(P2008−306763)
【出願日】平成20年12月1日(2008.12.1)
【分割の表示】特願平11−46929の分割
【原出願日】平成11年2月24日(1999.2.24)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ポラロイド
【出願人】(591003208)サンユー電子株式会社 (9)