走査形プローブ顕微鏡
【課題】本発明が解決しようとする問題点は、カンチレバーの試料表面上での微小変位の変位量や変位スピードを高精度にコントロールしてカンチレバーと試料表面に働く局所的な微小な摩擦力の測定することができなかったという点である。また、上記測定において、長い時間をかけた状態と同等の状態を作り出して測定を行うことができなかったという点である。
【解決手段】試料と対向する探針との間に作用する物理量により検出される信号に基づいて像を表示する走査形プローブ顕微鏡の測定方法において、前記探針を有するカンチレバーを加振手段により前記試料表面方向に振動させ、前記試料と前記探針との間の距離をスキャナにより変化させ、前記探針を前記試料に押し込んで前記試料の微小摩擦を測定する方法。
【解決手段】試料と対向する探針との間に作用する物理量により検出される信号に基づいて像を表示する走査形プローブ顕微鏡の測定方法において、前記探針を有するカンチレバーを加振手段により前記試料表面方向に振動させ、前記試料と前記探針との間の距離をスキャナにより変化させ、前記探針を前記試料に押し込んで前記試料の微小摩擦を測定する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は原子間力顕微鏡、磁気力顕微鏡、摩擦力顕微鏡、マイクロ粘弾性顕微鏡、表面電位差顕微鏡及びその類似装置の総称である走査形プローブ顕微鏡に関するものである。
【背景技術】
【0002】
探針付きカンチレバーと試料を対向配置し、探針と試料の距離を数ナノメートル以下の距離にして、探針により試料表面を走査することにより、探針と試料間に働く原子間力,磁気力,摩擦力或いは静電気力等の物理量を測定し、測定に基づいて試料表面の凹凸像・摩擦像等を得るように成した走査プローブ顕微鏡が注目されている。この探針に働く物理量を測定する方法には、探針を有するカンチレバーの背面にレーザ光を照射し、反射したレーザ光を検出器で受光し、その位置の変位又はレーザ光の周波数変位を測定する方法がとられる。
【0003】
図1にカンチレバーの変位検出に光てこ方式を用いた従来技術における走査プローブ顕微鏡の構成を示す。試料1に対向するように先端に探針を有するカンチレバー2が配置されている。カンチレバー2の背面にレーザ光源3のレーザ光が照射されている。カンチレバー2からの反射光10は検出器4で出力を検出している。カンチレバー2が変位すると、検出器4に入射するレーザ光のスポットがシフトする。これにあわせて検出器4の出力が変化し、カンチレバー2の変位を検出することができる。カンチレバー2が撓むと分割フォトダイオードで構成される検出器14上でレーザ光のスポットはZ方向にシフトする。カンチレバー2が捻れると検出器14上でレーザ光のスポットはY方向にシフトする。
【0004】
図2のように、カンチレバー2を矢印で示す方向に試料1表面を走査した際に、カンチレバー2先端の探針15の探針15と試料1表面間に摩擦がほとんど存在しない場合にはカンチレバー2は変形しない。しかし図3のように、カンチレバー2先端の探針15と試料1表面間に摩擦が発生した場合にはカンチレバー2は捻れ方向に変形する。捻れが発生するとカンチレバー2からの反射光10は検出器4上でY方向にシフトする。このシフトによる検出器4の出力変化からカンチレバー2先端の探針15と試料1表面間に働く摩擦力を画像化することができる。しかしこの方法では試料1表面の凹凸によってもカンチレバー2が捻れることで、凹凸の影響が画像に混入してしまう。
【0005】
上記の問題を克服する方法を図4に示す。試料1を走査方向に数nm程度に振動させる。試料1の振動はカンチレバー2先端の探針15と試料1表面間に摩擦がほとんど存在しない場合にはカンチレバー2は試料1の振動に追従せず、変形しない。しかし図5に示すように、カンチレバー2先端の探針15と試料1表面間に摩擦が発生した場合には、カンチレバー2は試料1の振動に追従し、捻れ方向に変形する。摩擦の大きさにより捻れの度合いや、試料1の振動に対して捻れの周期に位相の遅れが生じる。これらの変化を画像化することで、カンチレバー2先端の探針15と試料1表面間に働く摩擦力を画像化することができる。この方法では上記のような試料1表面の凹凸の影響が画像に混入することを防ぐことができる。
【0006】
近年、カンチレバーと試料表面に働く局所的な微小な摩擦力の測定を高分子等の分子力学物性の評価等に応用しようと試みられている。これらを実現するには更に微小な領域で動的または静的な摩擦力を高精度に測定することが要求されており、そのためにはカンチレバーの試料表面上での微小変位の変位量や変位スピードを高精度にコントロール必要がある。
【0007】
しかしながら、上述の方法ではスキャナに変位信号と基準信号の差信号を重畳することでカンチレバーを変位させている。スキャナは数十〜数百μmの走査のために設計され、装置に組み込まれている。そのため、数nm単位の変位量やスピードを高精度にコントロールすることはできない。
【0008】
また、高分子はその性質を非常に長い時間の経過の中で変化させる。長いときには数年という時間を要する場合もある。しかし、実際の測定ではこのような長い時間をかけて実施することは不可能である。
【0009】
なお、従来技術としては、試料を横方向に振動させることにより、凹凸の影響を排除し、振動振幅像及び振動位相像を得る原子間力顕微鏡がある(例えば、特許文献1)。
【0010】
【特許文献1】特開平6−323834
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明が解決しようとする問題点は、カンチレバーの試料表面上での微小変位の変位量や変位スピードを高精度にコントロールしてカンチレバーと試料表面に働く局所的な微小な摩擦力の測定することができなかったという点である。また、上記測定において、長い時間をかけた状態と同等の状態を作り出して測定を行うことができなかったという点である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1の発明は、試料と対向する探針との間に作用する物理量により検出される信号に基づいて像を表示する走査形プローブ顕微鏡の測定方法において、前記探針を有するカンチレバーを加振手段により前記試料表面方向に振動させ、前記試料と前記探針との間の距離をZ変位手段により変化させ、前記探針を前記試料に押し込んで前記試料の微小摩擦を測定する方法である。
【0013】
請求項2の発明は、前記加振手段を制御する制御手段により前記カンチレバーを可変自在に前記振動させることを特徴とする請求項1に記載した走査形プローブ顕微鏡の測定方法である。
【0014】
請求項3の発明は、前記Z変位手段を制御する制御手段により前記探針を前記試料に可変自在に押し込むことを特徴とする請求項1又は2に記載した走査形プローブ顕微鏡の測定方法である。
【0015】
請求項4の発明は、前記試料の温度を温度変化手段により変化させ、前記試料の温度変化による摩擦の変化を測定することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載した走査形プローブ顕微鏡の測定方法である。
【0016】
請求項5の発明は、気密に保持された観察室に雰囲気ガスを導入して測定を行うことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載した走査形プローブ顕微鏡の測定方法である。
【0017】
請求項6の発明は、高分子である前記試料の測定を行うことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載した走査形プローブ顕微鏡の測定方法である。
【0018】
請求項7の発明は、試料と対向する探針の間に作用する物理量により検出される信号に基づいて像を表示する走査形プローブ顕微鏡において、前記探針を有するカンチレバーと、前記カンチレバーを前記試料表面方向に振動させる加振手段と、前記試料と前記探針との間の距離を変化させるZ変位手段と、を備え、前記探針を前記試料に押し込んで前記試料の微小摩擦を測定する走査形プローブ顕微鏡である。
【0019】
請求項8の発明は、前記加振手段が剪断ピエゾ素子であることを特徴とした請求項7に記載した走査形プローブ顕微鏡である。
【0020】
請求項9の発明は、前記加振手段を制御する制御手段を備えた請求項7又は8に記載した走査形プローブ顕微鏡であって、前記加振手段により前記振動が可変自在である走査形プローブ顕微鏡である。
【0021】
請求項10の発明は、前記Z変位手段を制御するZ制御手段を備えた請求項7乃至9のいずれかに記載した走査形プローブ顕微鏡であって、前記Z変位手段により前記探針が前記試料を押しつける力が可変自在である走査形プローブ顕微鏡である。
【0022】
請求項11の発明は、前記試料の温度を変化させる温度変化手段を備えた請求項7乃至10のいずれかに記載された走査形プローブ顕微鏡であって、前記試料の温度変化による摩擦の変化を測定することを特徴とする走査形プローブ顕微鏡である。
【0023】
請求項12の発明は、気密に保持された観察室を備えた請求項7乃至11のいずれかに記載された走査形プローブ顕微鏡であって、前記観察室に雰囲気ガスを導入して観察を行うことを特徴とする走査形プローブ顕微鏡である。
【0024】
請求項13の発明は、前記試料が高分子である請求項7乃至12のいずれかに記載された走査形プローブ顕微鏡である。
【発明の効果】
【0025】
本発明により剪断ピエゾを用いてカンチレバーを試料表面方向に振動させることにより、カンチレバーの試料表面上での微小変位量や変位スピードを高精度にコントロールしてカンチレバーと試料表面に働く局所的な微小な摩擦力の測定が可能となった。また、上記測定において、試料周りの環境を変化させることで、長い時間をかけた状態と同等の状態を作り出して測定を行うことが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、発明を実施するための最良の形態により、本発明を詳細に説明する。
【実施例1】
【0027】
原子間力顕微鏡のコンタクトモードは、試料表面と探針間の原子間斥力を用いて観察・測定を行う。片持ちばりの端に取り付けた探針を試料表面に近づけていくと、試料と探針の間に原子間力が働くことから、この原子間力や探針と試料との距離制御に基づき試料表面の観察を行うものである。ここで、原子間力は、試料と探針が離れている間は引力が働き、近づいてくると斥力が働くので、この原子間力によって片持ちばりがたわむ。そこで、レーザを用いた光てこ方式などでこの片持ちばりのたわみを検出して、原子間力が一定となるようにZ変位手段であるチューブ型圧電素子を用いたスキャナにより試料をZ方向に制御して、かつ、試料表面上を二次元的に走査を行い、試料の観察を行う。
【0028】
本発明の構成を図6を用いて説明する。先端に探針15を有するカンチレバー2が試料1に対向して設置されている。試料1は高分子や生体等の分子力学物性の評価を行うものである。カンチレバー2の他端には剪断ピエゾ素子6が設置されており、剪断ピエゾ素子6は図示しないベースに固定されている。また、剪断ピエゾ素子6は発振器7に接続されており、発振器7はコントローラ8に接続されている。
【0029】
図13はカンチレバー2の詳細図であり、図14は図13における矢視Aである。剪断ピエゾ素子6は方向16の方向に分極している。分極方向16に電圧を印加すると、剪断ピエゾ素子16が剪断するように振動する。
【0030】
さらに、探針15と試料1表面間に作用する原子間力(斥力)をカンチレバー2の撓みから検知する構成で、カンチレバー2先端にレーザ光源3から照射したレーザ光線の反射光10を検出器4で検出している。この光学検出系は光てこ法を利用したもので、カンチレバー2の微小な変位を検出器4上に拡大投影して検出している。検出器4には4分割フォトダイオードを使用し、それぞれの検出信号量の差をコントローラ8によって演算することで位置情報を得る。
【0031】
また、試料1はスキャナ5に交換自在に載置されており、XYZ方向に変位自在である。スキャナ5はコントローラ8に接続されており、コントローラ8はコンピュータ9に接続されている。
【0032】
以上、図における各部の構成について説明したが、次に動作について説明する。
【0033】
コンピュータ9からの命令はコントローラ8を経て、発振器7に与えられる。発振器7からカンチレバー2をY方向(横方向)に振動させるための信号が剪断ピエゾに印加されると、カンチレバー2及び探針15がY方向に振動する。
【0034】
カンチレバー2が振動による試料1からの摩擦で変位すると、検出器4に入射するレーザ光のスポットがシフトする。これにあわせて検出器4の出力が変化し、カンチレバー2の変位を検出する。変位の情報はコントローラ8を経て、コンピュータ9で管理される。
【0035】
また、試料1と探針15間に適切な摩擦が生じるように、コンピュータ9はコントローラ8経由でスキャナ5を変位させる。
【0036】
ここで、図7に示すように、剪断ピエゾ素子6に加振信号を加え、カンチレバー2をY方向に数nm程度振動させる。カンチレバー2先端の探針15と試料1表面間に摩擦がほとんど存在しない場合にはカンチレバー2先端の探針15は振動に追従せず、変形しない。しかし図8に示すように、カンチレバー2先端の探針15と試料1表面間に摩擦が発生した場合には、カンチレバー2先端の探針15は振動に追従し、カンチレバー2は捻れ方向に変形する。
【0037】
また、摩擦の大きさにより捻れの度合いや、試料の振動に対して捻れの周期に位相の遅れが生じる。これらの変化を画像化することで、カンチレバー2先端の探針15と試料1表面間に働く摩擦力を画像化することができる。
【0038】
例えば、剪断ピエゾ素子6の大きさは幅4mm長さ8mm程度であり、スキャナ5の大きさは直径20mm長さ50mm程度である。剪断ピエゾ素子6はスキャナ5と比較すると薄く、小さく、変位量も非常に小さい。そのために微小に高速に変形させることができるので、カンチレバー2の試料1表面上での微小変位の変位量や変位スピードを高精度にコントロールすることが可能となる。また、押し込み量は多くとも数百nm程度であるが、探針15を試料1に押し込んでも試料の組織や構造を破壊することがない。
【0039】
以上、図における動作について説明したが、カンチレバーを試料表面に近づけて、試料、カンチレバー先端に働く力を用いて、試料表面の形状または物性を観察する走査プローブ顕微鏡において、カンチレバーの近傍にカンチレバーを横方向に振動させるための剪断ピエゾ素子が配置することにより、カンチレバーの横振動の振幅やスピードを高精度にコントロールが可能となり、カンチレバーを横振動させたときのカンチレバーの捻れを検出しすることで、カンチレバー先端を試料に押し込んだときに働く局所的な微小な摩擦力が可能となった。また、垂直方向にカンチレバーの押しつける力を連続的に変化させながら摩擦力を測定することで、局所領域での静摩擦係数、動摩擦係数を求めることができる。
【実施例2】
【0040】
実施例2の装置の構成は実施例1と同様であり、実施例1との相違はスキャナのZ方向を変位させるところである。
【0041】
図6において、スキャナのZ方向を制御し、カンチレバー2の試料表面に押しつける力(垂直抗力)を変化させながらカンチレバー2をY方向(横方向)に数nm程度振動させる。カンチレバー2の試料表面に押しつける力が変化すると、カンチレバー2が撓む。カンチレバー2からの反射光10は検出器14上で上下方向にシフトする。このシフトによる検出器14の出力変化から、コンピュータ9によりカンチレバー2の試料表面に押しつける力が求められる。
【0042】
図9に示すように、押しつける力が弱いときにはカンチレバー2と試料1表面に働く摩擦力は小さく、カンチレバー2の捻れも小さい。図10に示すように、押しつける力が強くなるとカンチレバー2と試料1表面に働く摩擦力は大きくなり、カンチレバー2の捻れも大きくなる。カンチレバー2の試料へ押しつける力を連続的に変化させ、そのときのカンチレバー2の捻れる度合い(摩擦力)を測定する。
【0043】
カンチレバー2の試料表面への押しつける力を横軸にし、カンチレバー2の捻れによる摩擦力を縦軸にプロットすると、図11のようになる。カーブの傾き(k1またはk2)から、動摩擦係数(k1/k2)が求められる。また、カンチレバー2を試料に強く押しつけた状態から徐々に押しつける力を弱くしていったとき、カンチレバー2が滑り出すときの押しつける力(垂直抗力 Fv)と、最大摩擦力(FH)から静擦係数(Fv/FH)が求められる。また、この一連の動作はコンピュータ8により制御され、静/動摩擦係数を自動的に求められる。
【実施例3】
【0044】
実施例3の構成を図12を用いて説明する。図12は、実施例1、2の構成に試料の温度をコントロール可能な機能を付加した構成である。装置は真空チャンバ13内に設置されており、図示しない真空ポンプにより装置周辺を真空状態にしたり、図示しないガス供給装置により特定のガス雰囲気で測定可能となっている。試料1はヒータ14の上にセットされている。また、試料1はヒートコンダクタ11を介して冷却装置12に接続されており、試料1を任意の温度に保つ機能を有する。
【0045】
以上、図における各部の構成について説明したが、次に動作について説明する。真空チャンバ13内を真空にすることで、試料1をヒータ14や冷却装置12を用いて高温または低温で保持することができる。また、真空チャンバ13を真空にした後に、腐食性を有する有機ガス等のガスや湿度コントロールされたガスを真空チャンバ13内に導入することで、試料の雰囲気をコントロールすることが可能となる。以上のような温度や雰囲気のコントロールにより、長時間の時間経過を擬似的に作り出し、高分子材料の時間経過による特性の変化を観察することが可能となる。また、試料1を加熱、冷却することにより、高分子材料の相転移御温度付近の特性変化を測定することが可能となる。
【0046】
以上、図における動作について説明したが、このような装置によれば、試料温度を高温に保持したり、雰囲気のガスや湿度をコントロールすること等の試料周りの環境を変化させることで、長い時間をかけた状態と同等の状態を作り出し、測定を行うことが可能となった。また、試料を加熱、冷却することにより、相転移御温度付近の特性変化を測定することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】従来技術による装置の図である。
【図2】従来技術における、摩擦のない場合に試料走査する模式図である。
【図3】従来技術における、摩擦のある場合に試料走査する模式図である。
【図4】従来技術における、摩擦のない場合に試料を横振動させて走査する模式図である。
【図5】従来技術における、摩擦のある場合に試料を横振動させて走査する模式図である。
【図6】本発明による実施例1、2の装置の図である。
【図7】本発明における、摩擦のない場合に試料を測定する模式図である。
【図8】本発明における、摩擦のある場合に試料を測定する模式図である。
【図9】本発明における、垂直抗力の小さい場合に試料を測定する模式図である。
【図10】本発明における、垂直抗力の大きい場合に試料を測定する模式図である。
【図11】垂直抗力とねじれ力の図である。
【図12】本発明による実施例3の装置の図である。
【図13】本発明によるカンチレバーの詳細図である。
【図14】図13における矢視Aである。
【符号の説明】
【0048】
1 試料
2 カンチレバー
3 レーザ光源
4 検出器
5 スキャナ
6 剪断ピエゾ素子
7 発振器
8 コントローラ
9 コンピュータ
10 反射光
11 ヒートコンダクタ
12 冷却器
13 真空チャンバ
14 ヒータ
15 探針
16 分極方向
【技術分野】
【0001】
本発明は原子間力顕微鏡、磁気力顕微鏡、摩擦力顕微鏡、マイクロ粘弾性顕微鏡、表面電位差顕微鏡及びその類似装置の総称である走査形プローブ顕微鏡に関するものである。
【背景技術】
【0002】
探針付きカンチレバーと試料を対向配置し、探針と試料の距離を数ナノメートル以下の距離にして、探針により試料表面を走査することにより、探針と試料間に働く原子間力,磁気力,摩擦力或いは静電気力等の物理量を測定し、測定に基づいて試料表面の凹凸像・摩擦像等を得るように成した走査プローブ顕微鏡が注目されている。この探針に働く物理量を測定する方法には、探針を有するカンチレバーの背面にレーザ光を照射し、反射したレーザ光を検出器で受光し、その位置の変位又はレーザ光の周波数変位を測定する方法がとられる。
【0003】
図1にカンチレバーの変位検出に光てこ方式を用いた従来技術における走査プローブ顕微鏡の構成を示す。試料1に対向するように先端に探針を有するカンチレバー2が配置されている。カンチレバー2の背面にレーザ光源3のレーザ光が照射されている。カンチレバー2からの反射光10は検出器4で出力を検出している。カンチレバー2が変位すると、検出器4に入射するレーザ光のスポットがシフトする。これにあわせて検出器4の出力が変化し、カンチレバー2の変位を検出することができる。カンチレバー2が撓むと分割フォトダイオードで構成される検出器14上でレーザ光のスポットはZ方向にシフトする。カンチレバー2が捻れると検出器14上でレーザ光のスポットはY方向にシフトする。
【0004】
図2のように、カンチレバー2を矢印で示す方向に試料1表面を走査した際に、カンチレバー2先端の探針15の探針15と試料1表面間に摩擦がほとんど存在しない場合にはカンチレバー2は変形しない。しかし図3のように、カンチレバー2先端の探針15と試料1表面間に摩擦が発生した場合にはカンチレバー2は捻れ方向に変形する。捻れが発生するとカンチレバー2からの反射光10は検出器4上でY方向にシフトする。このシフトによる検出器4の出力変化からカンチレバー2先端の探針15と試料1表面間に働く摩擦力を画像化することができる。しかしこの方法では試料1表面の凹凸によってもカンチレバー2が捻れることで、凹凸の影響が画像に混入してしまう。
【0005】
上記の問題を克服する方法を図4に示す。試料1を走査方向に数nm程度に振動させる。試料1の振動はカンチレバー2先端の探針15と試料1表面間に摩擦がほとんど存在しない場合にはカンチレバー2は試料1の振動に追従せず、変形しない。しかし図5に示すように、カンチレバー2先端の探針15と試料1表面間に摩擦が発生した場合には、カンチレバー2は試料1の振動に追従し、捻れ方向に変形する。摩擦の大きさにより捻れの度合いや、試料1の振動に対して捻れの周期に位相の遅れが生じる。これらの変化を画像化することで、カンチレバー2先端の探針15と試料1表面間に働く摩擦力を画像化することができる。この方法では上記のような試料1表面の凹凸の影響が画像に混入することを防ぐことができる。
【0006】
近年、カンチレバーと試料表面に働く局所的な微小な摩擦力の測定を高分子等の分子力学物性の評価等に応用しようと試みられている。これらを実現するには更に微小な領域で動的または静的な摩擦力を高精度に測定することが要求されており、そのためにはカンチレバーの試料表面上での微小変位の変位量や変位スピードを高精度にコントロール必要がある。
【0007】
しかしながら、上述の方法ではスキャナに変位信号と基準信号の差信号を重畳することでカンチレバーを変位させている。スキャナは数十〜数百μmの走査のために設計され、装置に組み込まれている。そのため、数nm単位の変位量やスピードを高精度にコントロールすることはできない。
【0008】
また、高分子はその性質を非常に長い時間の経過の中で変化させる。長いときには数年という時間を要する場合もある。しかし、実際の測定ではこのような長い時間をかけて実施することは不可能である。
【0009】
なお、従来技術としては、試料を横方向に振動させることにより、凹凸の影響を排除し、振動振幅像及び振動位相像を得る原子間力顕微鏡がある(例えば、特許文献1)。
【0010】
【特許文献1】特開平6−323834
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明が解決しようとする問題点は、カンチレバーの試料表面上での微小変位の変位量や変位スピードを高精度にコントロールしてカンチレバーと試料表面に働く局所的な微小な摩擦力の測定することができなかったという点である。また、上記測定において、長い時間をかけた状態と同等の状態を作り出して測定を行うことができなかったという点である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1の発明は、試料と対向する探針との間に作用する物理量により検出される信号に基づいて像を表示する走査形プローブ顕微鏡の測定方法において、前記探針を有するカンチレバーを加振手段により前記試料表面方向に振動させ、前記試料と前記探針との間の距離をZ変位手段により変化させ、前記探針を前記試料に押し込んで前記試料の微小摩擦を測定する方法である。
【0013】
請求項2の発明は、前記加振手段を制御する制御手段により前記カンチレバーを可変自在に前記振動させることを特徴とする請求項1に記載した走査形プローブ顕微鏡の測定方法である。
【0014】
請求項3の発明は、前記Z変位手段を制御する制御手段により前記探針を前記試料に可変自在に押し込むことを特徴とする請求項1又は2に記載した走査形プローブ顕微鏡の測定方法である。
【0015】
請求項4の発明は、前記試料の温度を温度変化手段により変化させ、前記試料の温度変化による摩擦の変化を測定することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載した走査形プローブ顕微鏡の測定方法である。
【0016】
請求項5の発明は、気密に保持された観察室に雰囲気ガスを導入して測定を行うことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載した走査形プローブ顕微鏡の測定方法である。
【0017】
請求項6の発明は、高分子である前記試料の測定を行うことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載した走査形プローブ顕微鏡の測定方法である。
【0018】
請求項7の発明は、試料と対向する探針の間に作用する物理量により検出される信号に基づいて像を表示する走査形プローブ顕微鏡において、前記探針を有するカンチレバーと、前記カンチレバーを前記試料表面方向に振動させる加振手段と、前記試料と前記探針との間の距離を変化させるZ変位手段と、を備え、前記探針を前記試料に押し込んで前記試料の微小摩擦を測定する走査形プローブ顕微鏡である。
【0019】
請求項8の発明は、前記加振手段が剪断ピエゾ素子であることを特徴とした請求項7に記載した走査形プローブ顕微鏡である。
【0020】
請求項9の発明は、前記加振手段を制御する制御手段を備えた請求項7又は8に記載した走査形プローブ顕微鏡であって、前記加振手段により前記振動が可変自在である走査形プローブ顕微鏡である。
【0021】
請求項10の発明は、前記Z変位手段を制御するZ制御手段を備えた請求項7乃至9のいずれかに記載した走査形プローブ顕微鏡であって、前記Z変位手段により前記探針が前記試料を押しつける力が可変自在である走査形プローブ顕微鏡である。
【0022】
請求項11の発明は、前記試料の温度を変化させる温度変化手段を備えた請求項7乃至10のいずれかに記載された走査形プローブ顕微鏡であって、前記試料の温度変化による摩擦の変化を測定することを特徴とする走査形プローブ顕微鏡である。
【0023】
請求項12の発明は、気密に保持された観察室を備えた請求項7乃至11のいずれかに記載された走査形プローブ顕微鏡であって、前記観察室に雰囲気ガスを導入して観察を行うことを特徴とする走査形プローブ顕微鏡である。
【0024】
請求項13の発明は、前記試料が高分子である請求項7乃至12のいずれかに記載された走査形プローブ顕微鏡である。
【発明の効果】
【0025】
本発明により剪断ピエゾを用いてカンチレバーを試料表面方向に振動させることにより、カンチレバーの試料表面上での微小変位量や変位スピードを高精度にコントロールしてカンチレバーと試料表面に働く局所的な微小な摩擦力の測定が可能となった。また、上記測定において、試料周りの環境を変化させることで、長い時間をかけた状態と同等の状態を作り出して測定を行うことが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、発明を実施するための最良の形態により、本発明を詳細に説明する。
【実施例1】
【0027】
原子間力顕微鏡のコンタクトモードは、試料表面と探針間の原子間斥力を用いて観察・測定を行う。片持ちばりの端に取り付けた探針を試料表面に近づけていくと、試料と探針の間に原子間力が働くことから、この原子間力や探針と試料との距離制御に基づき試料表面の観察を行うものである。ここで、原子間力は、試料と探針が離れている間は引力が働き、近づいてくると斥力が働くので、この原子間力によって片持ちばりがたわむ。そこで、レーザを用いた光てこ方式などでこの片持ちばりのたわみを検出して、原子間力が一定となるようにZ変位手段であるチューブ型圧電素子を用いたスキャナにより試料をZ方向に制御して、かつ、試料表面上を二次元的に走査を行い、試料の観察を行う。
【0028】
本発明の構成を図6を用いて説明する。先端に探針15を有するカンチレバー2が試料1に対向して設置されている。試料1は高分子や生体等の分子力学物性の評価を行うものである。カンチレバー2の他端には剪断ピエゾ素子6が設置されており、剪断ピエゾ素子6は図示しないベースに固定されている。また、剪断ピエゾ素子6は発振器7に接続されており、発振器7はコントローラ8に接続されている。
【0029】
図13はカンチレバー2の詳細図であり、図14は図13における矢視Aである。剪断ピエゾ素子6は方向16の方向に分極している。分極方向16に電圧を印加すると、剪断ピエゾ素子16が剪断するように振動する。
【0030】
さらに、探針15と試料1表面間に作用する原子間力(斥力)をカンチレバー2の撓みから検知する構成で、カンチレバー2先端にレーザ光源3から照射したレーザ光線の反射光10を検出器4で検出している。この光学検出系は光てこ法を利用したもので、カンチレバー2の微小な変位を検出器4上に拡大投影して検出している。検出器4には4分割フォトダイオードを使用し、それぞれの検出信号量の差をコントローラ8によって演算することで位置情報を得る。
【0031】
また、試料1はスキャナ5に交換自在に載置されており、XYZ方向に変位自在である。スキャナ5はコントローラ8に接続されており、コントローラ8はコンピュータ9に接続されている。
【0032】
以上、図における各部の構成について説明したが、次に動作について説明する。
【0033】
コンピュータ9からの命令はコントローラ8を経て、発振器7に与えられる。発振器7からカンチレバー2をY方向(横方向)に振動させるための信号が剪断ピエゾに印加されると、カンチレバー2及び探針15がY方向に振動する。
【0034】
カンチレバー2が振動による試料1からの摩擦で変位すると、検出器4に入射するレーザ光のスポットがシフトする。これにあわせて検出器4の出力が変化し、カンチレバー2の変位を検出する。変位の情報はコントローラ8を経て、コンピュータ9で管理される。
【0035】
また、試料1と探針15間に適切な摩擦が生じるように、コンピュータ9はコントローラ8経由でスキャナ5を変位させる。
【0036】
ここで、図7に示すように、剪断ピエゾ素子6に加振信号を加え、カンチレバー2をY方向に数nm程度振動させる。カンチレバー2先端の探針15と試料1表面間に摩擦がほとんど存在しない場合にはカンチレバー2先端の探針15は振動に追従せず、変形しない。しかし図8に示すように、カンチレバー2先端の探針15と試料1表面間に摩擦が発生した場合には、カンチレバー2先端の探針15は振動に追従し、カンチレバー2は捻れ方向に変形する。
【0037】
また、摩擦の大きさにより捻れの度合いや、試料の振動に対して捻れの周期に位相の遅れが生じる。これらの変化を画像化することで、カンチレバー2先端の探針15と試料1表面間に働く摩擦力を画像化することができる。
【0038】
例えば、剪断ピエゾ素子6の大きさは幅4mm長さ8mm程度であり、スキャナ5の大きさは直径20mm長さ50mm程度である。剪断ピエゾ素子6はスキャナ5と比較すると薄く、小さく、変位量も非常に小さい。そのために微小に高速に変形させることができるので、カンチレバー2の試料1表面上での微小変位の変位量や変位スピードを高精度にコントロールすることが可能となる。また、押し込み量は多くとも数百nm程度であるが、探針15を試料1に押し込んでも試料の組織や構造を破壊することがない。
【0039】
以上、図における動作について説明したが、カンチレバーを試料表面に近づけて、試料、カンチレバー先端に働く力を用いて、試料表面の形状または物性を観察する走査プローブ顕微鏡において、カンチレバーの近傍にカンチレバーを横方向に振動させるための剪断ピエゾ素子が配置することにより、カンチレバーの横振動の振幅やスピードを高精度にコントロールが可能となり、カンチレバーを横振動させたときのカンチレバーの捻れを検出しすることで、カンチレバー先端を試料に押し込んだときに働く局所的な微小な摩擦力が可能となった。また、垂直方向にカンチレバーの押しつける力を連続的に変化させながら摩擦力を測定することで、局所領域での静摩擦係数、動摩擦係数を求めることができる。
【実施例2】
【0040】
実施例2の装置の構成は実施例1と同様であり、実施例1との相違はスキャナのZ方向を変位させるところである。
【0041】
図6において、スキャナのZ方向を制御し、カンチレバー2の試料表面に押しつける力(垂直抗力)を変化させながらカンチレバー2をY方向(横方向)に数nm程度振動させる。カンチレバー2の試料表面に押しつける力が変化すると、カンチレバー2が撓む。カンチレバー2からの反射光10は検出器14上で上下方向にシフトする。このシフトによる検出器14の出力変化から、コンピュータ9によりカンチレバー2の試料表面に押しつける力が求められる。
【0042】
図9に示すように、押しつける力が弱いときにはカンチレバー2と試料1表面に働く摩擦力は小さく、カンチレバー2の捻れも小さい。図10に示すように、押しつける力が強くなるとカンチレバー2と試料1表面に働く摩擦力は大きくなり、カンチレバー2の捻れも大きくなる。カンチレバー2の試料へ押しつける力を連続的に変化させ、そのときのカンチレバー2の捻れる度合い(摩擦力)を測定する。
【0043】
カンチレバー2の試料表面への押しつける力を横軸にし、カンチレバー2の捻れによる摩擦力を縦軸にプロットすると、図11のようになる。カーブの傾き(k1またはk2)から、動摩擦係数(k1/k2)が求められる。また、カンチレバー2を試料に強く押しつけた状態から徐々に押しつける力を弱くしていったとき、カンチレバー2が滑り出すときの押しつける力(垂直抗力 Fv)と、最大摩擦力(FH)から静擦係数(Fv/FH)が求められる。また、この一連の動作はコンピュータ8により制御され、静/動摩擦係数を自動的に求められる。
【実施例3】
【0044】
実施例3の構成を図12を用いて説明する。図12は、実施例1、2の構成に試料の温度をコントロール可能な機能を付加した構成である。装置は真空チャンバ13内に設置されており、図示しない真空ポンプにより装置周辺を真空状態にしたり、図示しないガス供給装置により特定のガス雰囲気で測定可能となっている。試料1はヒータ14の上にセットされている。また、試料1はヒートコンダクタ11を介して冷却装置12に接続されており、試料1を任意の温度に保つ機能を有する。
【0045】
以上、図における各部の構成について説明したが、次に動作について説明する。真空チャンバ13内を真空にすることで、試料1をヒータ14や冷却装置12を用いて高温または低温で保持することができる。また、真空チャンバ13を真空にした後に、腐食性を有する有機ガス等のガスや湿度コントロールされたガスを真空チャンバ13内に導入することで、試料の雰囲気をコントロールすることが可能となる。以上のような温度や雰囲気のコントロールにより、長時間の時間経過を擬似的に作り出し、高分子材料の時間経過による特性の変化を観察することが可能となる。また、試料1を加熱、冷却することにより、高分子材料の相転移御温度付近の特性変化を測定することが可能となる。
【0046】
以上、図における動作について説明したが、このような装置によれば、試料温度を高温に保持したり、雰囲気のガスや湿度をコントロールすること等の試料周りの環境を変化させることで、長い時間をかけた状態と同等の状態を作り出し、測定を行うことが可能となった。また、試料を加熱、冷却することにより、相転移御温度付近の特性変化を測定することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】従来技術による装置の図である。
【図2】従来技術における、摩擦のない場合に試料走査する模式図である。
【図3】従来技術における、摩擦のある場合に試料走査する模式図である。
【図4】従来技術における、摩擦のない場合に試料を横振動させて走査する模式図である。
【図5】従来技術における、摩擦のある場合に試料を横振動させて走査する模式図である。
【図6】本発明による実施例1、2の装置の図である。
【図7】本発明における、摩擦のない場合に試料を測定する模式図である。
【図8】本発明における、摩擦のある場合に試料を測定する模式図である。
【図9】本発明における、垂直抗力の小さい場合に試料を測定する模式図である。
【図10】本発明における、垂直抗力の大きい場合に試料を測定する模式図である。
【図11】垂直抗力とねじれ力の図である。
【図12】本発明による実施例3の装置の図である。
【図13】本発明によるカンチレバーの詳細図である。
【図14】図13における矢視Aである。
【符号の説明】
【0048】
1 試料
2 カンチレバー
3 レーザ光源
4 検出器
5 スキャナ
6 剪断ピエゾ素子
7 発振器
8 コントローラ
9 コンピュータ
10 反射光
11 ヒートコンダクタ
12 冷却器
13 真空チャンバ
14 ヒータ
15 探針
16 分極方向
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料と対向する探針との間に作用する物理量により検出される信号に基づいて像を表示する走査形プローブ顕微鏡の測定方法において、
前記探針を有するカンチレバーを加振手段により前記試料表面方向に振動させ、
前記試料と前記探針との間の距離をZ変位手段により変化させ、
前記探針を前記試料に押し込んで前記試料の微小摩擦を測定する方法。
【請求項2】
前記加振手段を制御する制御手段により前記カンチレバーを可変自在に前記振動させることを特徴とする請求項1に記載した走査形プローブ顕微鏡の測定方法。
【請求項3】
前記Z変位手段を制御する制御手段により前記探針を前記試料に可変自在に押し込むことを特徴とする請求項1又は2に記載した走査形プローブ顕微鏡の測定方法。
【請求項4】
前記試料の温度を温度変化手段により変化させ、
前記試料の温度変化による前記微小摩擦の変化を測定することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載した走査形プローブ顕微鏡の測定方法。
【請求項5】
気密に保持された観察室に雰囲気ガスを導入して測定を行うことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載した走査形プローブ顕微鏡の測定方法。
【請求項6】
高分子である前記試料の測定を行うことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載した走査形プローブ顕微鏡の測定方法。
【請求項7】
試料と対向する探針の間に作用する物理量により検出される信号に基づいて像を表示する走査形プローブ顕微鏡において、
前記探針を有するカンチレバーと、
前記カンチレバーを前記試料表面方向に振動させる加振手段と、
前記試料と前記探針との間の距離を変化させるZ変位手段と、を備え、
前記探針を前記試料に押し込んで前記試料の微小摩擦を測定する走査形プローブ顕微鏡。
【請求項8】
前記加振手段が剪断ピエゾ素子であることを特徴とした請求項7に記載した走査形プローブ顕微鏡。
【請求項9】
前記加振手段を制御する制御手段を備えた請求項7又は8に記載した走査形プローブ顕微鏡であって、
前記加振手段により前記振動が可変自在である走査形プローブ顕微鏡。
【請求項10】
前記Z変位手段を制御するZ制御手段を備えた請求項7乃至9のいずれかに記載した走査形プローブ顕微鏡であって、
前記Z変位手段により前記探針が前記試料を押しつける力が可変自在である走査形プローブ顕微鏡。
【請求項11】
前記試料の温度を変化させる温度変化手段を備えた請求項7乃至10のいずれかに記載された走査形プローブ顕微鏡であって、
前記試料の温度変化による前記微小摩擦の変化を測定することを特徴とする走査形プローブ顕微鏡。
【請求項12】
気密に保持された観察室を備えた請求項7乃至11のいずれかに記載された走査形プローブ顕微鏡であって、
前記観察室に雰囲気ガスを導入して観察を行うことを特徴とする走査形プローブ顕微鏡。
【請求項13】
前記試料が高分子である請求項7乃至12のいずれかに記載された走査形プローブ顕微鏡。
【請求項1】
試料と対向する探針との間に作用する物理量により検出される信号に基づいて像を表示する走査形プローブ顕微鏡の測定方法において、
前記探針を有するカンチレバーを加振手段により前記試料表面方向に振動させ、
前記試料と前記探針との間の距離をZ変位手段により変化させ、
前記探針を前記試料に押し込んで前記試料の微小摩擦を測定する方法。
【請求項2】
前記加振手段を制御する制御手段により前記カンチレバーを可変自在に前記振動させることを特徴とする請求項1に記載した走査形プローブ顕微鏡の測定方法。
【請求項3】
前記Z変位手段を制御する制御手段により前記探針を前記試料に可変自在に押し込むことを特徴とする請求項1又は2に記載した走査形プローブ顕微鏡の測定方法。
【請求項4】
前記試料の温度を温度変化手段により変化させ、
前記試料の温度変化による前記微小摩擦の変化を測定することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載した走査形プローブ顕微鏡の測定方法。
【請求項5】
気密に保持された観察室に雰囲気ガスを導入して測定を行うことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載した走査形プローブ顕微鏡の測定方法。
【請求項6】
高分子である前記試料の測定を行うことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載した走査形プローブ顕微鏡の測定方法。
【請求項7】
試料と対向する探針の間に作用する物理量により検出される信号に基づいて像を表示する走査形プローブ顕微鏡において、
前記探針を有するカンチレバーと、
前記カンチレバーを前記試料表面方向に振動させる加振手段と、
前記試料と前記探針との間の距離を変化させるZ変位手段と、を備え、
前記探針を前記試料に押し込んで前記試料の微小摩擦を測定する走査形プローブ顕微鏡。
【請求項8】
前記加振手段が剪断ピエゾ素子であることを特徴とした請求項7に記載した走査形プローブ顕微鏡。
【請求項9】
前記加振手段を制御する制御手段を備えた請求項7又は8に記載した走査形プローブ顕微鏡であって、
前記加振手段により前記振動が可変自在である走査形プローブ顕微鏡。
【請求項10】
前記Z変位手段を制御するZ制御手段を備えた請求項7乃至9のいずれかに記載した走査形プローブ顕微鏡であって、
前記Z変位手段により前記探針が前記試料を押しつける力が可変自在である走査形プローブ顕微鏡。
【請求項11】
前記試料の温度を変化させる温度変化手段を備えた請求項7乃至10のいずれかに記載された走査形プローブ顕微鏡であって、
前記試料の温度変化による前記微小摩擦の変化を測定することを特徴とする走査形プローブ顕微鏡。
【請求項12】
気密に保持された観察室を備えた請求項7乃至11のいずれかに記載された走査形プローブ顕微鏡であって、
前記観察室に雰囲気ガスを導入して観察を行うことを特徴とする走査形プローブ顕微鏡。
【請求項13】
前記試料が高分子である請求項7乃至12のいずれかに記載された走査形プローブ顕微鏡。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2006−267027(P2006−267027A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−89006(P2005−89006)
【出願日】平成17年3月25日(2005.3.25)
【出願人】(000004271)日本電子株式会社 (811)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月25日(2005.3.25)
【出願人】(000004271)日本電子株式会社 (811)
【Fターム(参考)】
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