説明

走行ローラ、走行ローラの製造方法、及び画像形成装置

【課題】複雑な機構や加工方法等を付与することなく被走行体を寄りの発生を防止して走行させる。そして、被走行体の走行を安定した状態に保ち走行ローラの薄い肉厚部の破損も防止して安全である。更に、高品質の画像を形成できる走行ローラを提供する。
【解決手段】連れ回りまたは回転駆動力が与えられて回転可能に支持される円筒形状のローラ本体1と、ローラ本体1が被走行体2の接触面2aに接触して被走行体2を走行させる円筒形の胴部3と、胴部3の表面中央部30から一方のジャーナル31側の螺旋進行方向に形成される螺旋形状の溝4と、螺旋形状の溝4と胴部3のローラ本体の表面の軸方向中央部30から対象に他方のジャーナル32側に形成される螺旋形状の溝4とは逆方向に螺旋回転する螺旋形状の溝5と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行ローラ、及びその走行ローラの製造方法、並びにその走行ローラを備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の走行ローラ、及びその走行ローラを備えて、被走行体を走行させる装置は、例えば、画像形成装置である電子写真方式の複写機等の定着装置、被記録媒体の搬送ベルト駆動装置等に用いられることは周知である。
例えば、定着装置には、未定着トナー画像を被記録媒体に定着させるための定着ローラ、被記録媒体を定着ローラに押し付ける加圧ローラ等が組み込まれたものがある。定着ローラの代わりに定着ベルトを用いる場合であれば、定着ベルトやテンションローラ等が組み込まれる。
定着ローラは、通常アルミもしくは鉄系の金属製芯金の表面にPFA(テトラフルオロエチレンーパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)やPTFE(四フッ化エチレン樹脂)等のフッ素樹脂層を離型層として形成する。あるいは、プライマー層を下地として、その上にPFAやPTFEを離型層として形成しているハードローラタイプや、弾性層を有する弾性定着ローラを用いている(特許文献1、特許文献2を参照)。
【0003】
図12は、従来の走行ローラ301を備える走行装置300の基本構成図である。
図12に図示する従来の走行装置300を備える定着装置310は、被走行体302である無端形状で帯形状の定着ベルト323を用いる場合である。その用途は、電子写真方式等のフルカラープリンターやカラー複写機等である。定着ベルト323は、ポリイミド等の耐熱樹脂製のエンドレスベルト基体の上に弾性層を、さらにその上に離型層を形成した構成である。そして、定着ベルト323は、少なくとも2本以上のローラ301の、例えば、加熱ローラ311と定着ローラ312間に張架される。そして、加熱ローラ311または定着ローラ312のどちらか一方に回転駆動力が与えられて矢印A方向の走行方向に走行される。または、定着ベルト323と被記録媒体320をローラ301の定着ベルト加圧ローラ313と定着ローラ312で挟み込んだ状態で定着ニップ部314を形成する。そして、定着ベルト加圧ローラ313に回転駆動力が与えられて矢印A方向に走行される(特許文献4、特許文献5を参照)。
一方、被走行体である定着ベルトは、定着装置内で安定走行をさせるため、定着ベルトの幅方向の両開口端内面側に寄り止めガイドまたは蛇行防止部材と呼ばれる耐熱性護謨や樹脂製のリング状部材を接着等の手段により装着されている。
そして、寄り止めガイドまたは蛇行防止部材は、定着ローラならびに加熱ローラの胴部両端面を挟み込むように嵌合し、定着ベルト走行中の索脱を未然に防止する構成となっている(特許文献3、特許文献6を参照)。
【0004】
ところが、定着装置内の構成において、何らかの理由、例えば、加熱ローラと定着ローラの軸間平行度等が狂いを生じた状態、あるいは、定着ローラ弾性層のゴム硬度等物性値が軸方向や円周方向で偏差を持つ状態になる場合がある。その結果として、定着ベルトのテンションが軸方向位置によりばらつきを持つ等の理由で定着ベルトの送りが不安定になり、また、定着ベルトの周長が左右で差がある等の理由により、周速に差が出る。
上述した現象によって、本来、張架している2本のローラ軸に対して垂直に周回すべき定着ベルトに、軸方向に移動させる力が働き、時間が経つに連れて定着ベルトは徐々にどちらかの軸方向に寄り移動していく。
それでも、この移動させる力が弱いうちは、前述した定着ベルトに装着した寄り止めガイドまたは蛇行防止部材がストッパーとしての機能を果たす。然し、この移動させる力が限界を越える場合は、寄り止めガイドまたは蛇行防止部材が加熱ローラや定着ローラの胴部端面から胴部表面に乗り上げてしまう。あるいは、装着されていた寄り止めガイドまたは蛇行防止部材を外してしまい、完全に索脱を起こすといった不具合も発生する。
更に、定着ベルトは、ポリイミドの基体ごと破断したり、塊状になったりして、定着装置として使用不能状態に陥る。最悪の場合は、上述の胴部が薄肉厚である加熱ローラの芯金を破損させ、芯金の内部に配設している発熱源のハロゲンヒーターをも破壊する危険な状態を招く可能性も生じる。それだけでなく形成する画像品質も低下すると言う不具も生じていた。
【特許文献1】特開2003−208053公報
【特許文献2】特開2003−248391公報
【特許文献3】特開2005−258341公報
【特許文献4】特開2005−338623公報
【特許文献5】特開2006−11061公報
【特許文献6】特開2007−108525公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の走行ローラ、及びその走行ローラの製造方法、並びにその走行ローラを備える走行装置、例えば画像形成装置であれば、被走行体である被記録媒体や定着ベルト等を走行ローラで走行をさせる際に、被走行体は軸方向に寄り移動する。そこで、複雑な機構を付与する寄り止めガイド等を使用するが、時間が経つにつれて徐々に両端のどちらかの軸方向に寄り移動して索脱を起こして外れる。
被走行体が定着ベルトであれば、胴部が薄い肉厚である加熱ローラの芯金を破損または破断して定着装置として使用不能な状態を招く可能性も生じる。結果として画像品質も低下させるという問題が発生していた。
そこで本発明の課題は、このような問題点を解決するものである。即ち、複雑な機構や加工方法等を付与することなく被走行体の寄り発生を防止して走行させる。そして、被走行体の走行を安定した状態に保ち、走行ローラの薄い肉厚部の破損も防止する。更に、高品質の画像を形成することができる走行ローラ、走行ローラの製造方法、及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の本発明は、ベルト状またはシート状の被走行体を走行させる円筒形状の走行ローラにおいて、回転可能に支持される円筒形状のローラ本体と、前記ローラ本体の外周面が前記被走行体に接触して前記被走行体を走行させる円筒形状の胴部と、前記胴部の表面の前記ローラ本体の軸方向中央部から一方のジャーナル側の螺旋進行方向に形成された螺旋形状の溝と、前記螺旋形状の溝と前記胴部の表面の前記ローラ本体の軸方向中央部から他方のジャーナル側に形成された前記螺旋形状の溝の螺旋回転方向とは逆方向に螺旋回転する螺旋形状の溝と、を備えることを特徴とする。
また請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載の走行ローラにおいて、前記ローラ本体は、前記被走行体が記録画像を形成するシート形状の被記録媒体を走行させる被記録媒体搬送ローラであることを特徴とする。
また請求項3に記載の本発明は、請求項1に記載の走行ローラにおいて、前記ローラ本体は、前記被走行体である前記被記録媒体上の未定着トナーを加熱定着して走行させる加熱定着ローラであることを特徴とする。
【0007】
また請求項4に記載の本発明は、請求項1に記載の走行ローラにおいて、請求項1に記載の走行ローラにおいて、前記ローラ本体は、前記被走行体が無端形状で帯形状のベルトを張架して走行させるベルト張架ローラであることを特徴とする走行ローラであることを特徴とする。
また請求項5に記載の本発明は、請求項4に記載の走行ローラにおいて、前記ベルト張架ローラは、前記ベルトが搬送ベルトを張架して走行させる搬送ベルト張架ローラであることを特徴とする。
また請求項6に記載の本発明は、請求項4に記載の走行ローラにおいて、前記ベルト張架ローラは、ベルト状の前記被走行体が定着ベルトであり、前記定着ベルトを張架走行させて被記録媒体上の未定着トナーを加熱定着する定着走行ローラであることを特徴とする。
また請求項7に記載の本発明は、請求項1に記載の走行ローラにおいて、前記ローラ本体は、ローラ対で張架される定着ベルトによって前記被記録媒体上の未定着トナーを定着する前記定着ベルトに対向配置される定着ベルト加圧ローラであることを特徴とする。
また請求項8に記載の本発明は、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の走行ローラにおいて、前記螺旋形状の溝と前記螺旋形状の溝とは逆方向に螺旋回転する螺旋形状の溝は、切削加工によって得られた溝であることを特徴とする。
また請求項9に記載の本発明は、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の走行ローラにおいて、前記螺旋形状の溝と前記螺旋形状の溝とは逆方向に螺旋回転する螺旋形状は、研削によって得られた溝であることを特徴とする。
【0008】
また請求項10に記載の本発明は、ベルト状またはシート状被走行体を走行させる円筒体の走行ローラの製造方法において、前記円筒体を形成する工程と、前記ローラ本体の外周面が前記被走行体に接触して前記被走行体を走行させる円筒形状の胴部の表面に、前記ローラ本体の軸方向中央部から一方のジャーナル側の螺旋進行方向に螺旋形状の溝を形成する工程と、前記ローラ本体の軸方向中央部から対象に他方のジャーナル側の前記胴部の表面に前記螺旋形状の溝とは逆方向に螺旋回転する螺旋形状の溝を形成する工程と、前記螺旋形状の溝および前記螺旋形状の溝とは逆方向に螺旋回転する螺旋形状の溝を形成した前記胴部の表面に、表面処理または洗浄処理をする後処理工程と、を備えることを特徴とする。
また請求項11に記載の本発明は、請求項10に記載の走行ローラの製造方法において、前記胴部の表面に前記螺旋形状の溝を形成する工程とおよび前記螺旋形状の溝とは逆方向に螺旋回転する螺旋形状の溝を形成する工程は、前記一方のジャーナル側または前記他方のジャーナル側から前記円筒体の軸方向中央部の方向に向かって溝を形成することを特徴とする。
また請求項12に記載の本発明は、記録画像を形成する画像形成ユニットおよび、記録画像または前記記録画像を有する被記録媒体を載置したベルト状またはシート状の被走行体を走行させるための円筒形状の走行ローラを備え、被記録媒体上に記録画像を形成する画像形成装置において、前記走行ローラは請求項1乃至9のいずれか一項に記載の前記走行ローラであることを特徴とする。
また請求項13に記載の本発明は、請求項12に記載の画像形成装置において、前記画像形成ユニットは、電子写真方式の作像プロセスで記録画像を形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、複雑な機構や加工方法等を付与することなく被走行体の寄りの発生を防止して走行させる。そして、被走行体の走行を安定した状態に保ち走行ローラの薄い肉厚部の破損も防止して安全である。更に、高品質の画像を形成することができる走行ローラ及びその走行ローラの製造方法並びにその走行ローラを備える画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態例にかかる走行ローラ10の基本構成の上面図である。
図1において、連れ回りまたは回転駆動力が与えられて被走行体を走行させる円筒形の走行ローラ10は、連れ回りまたは駆動力が与えられて矢印B方向に回転可能に支持される円筒形のローラ本体1を備えている。そして、ローラ本体1が被走行体2の下側の接触面2aに接触して被走行体2を矢印C方向に走行させる円筒形の胴部3を備えている。更に、胴部3の表面の走行ローラ10の軸方向中央部30から一方のジャーナル31側の矢印D方向の螺旋進行方向に形成される螺旋形状の溝4を備えている。更に、螺旋形状の溝4と胴部3の表面の走行ローラ10の軸方向中央部30から対象に他方のジャーナル32側の矢印E方向に形成される前記螺旋形状の溝とは逆方向に螺旋回転する螺旋形状の溝5を備えている。
ローラ本体1は、両端部の支持部36が軸受37で矢印B方向に回転可能に支持される。そして、被走行体2である記録画像を形成するシート状の被記録媒体20の記録用紙を矢印C方向に走行させる被記録媒体搬送ローラ11である。そして、被走行体2である被記録媒体20上の未定着トナー(図示せず。)を加熱定着して走行させる加熱定着ローラ12、被走行体2である被記録媒体20上の未定着トナーを加圧して走行させる加圧ローラ13である。更に、被走行体2である無端形状のベルト21を張架して走行させるベルト張架ローラ14、ベルト21である搬送ベルト22を張架して走行させる搬送ベルト張架ローラ15である。更に、定着ベルト23を張架加熱して走行させる加熱ローラ16、定着ベルト23を張架走行させて定着する定着ローラ17、定着ベルト23に被記録媒体20上の未定着トナーを加圧して走行させる定着ベルト加圧ローラ18等である。
【0011】
胴部3の金属製の芯金33または弾性層34の表面に螺旋形状の溝4と該溝4と前記螺旋形状の溝の螺旋回転方向とは逆方向に螺旋回転する螺旋形状の溝5は、切削加工で形成される溝6または研削加工で形成される溝7である。そして、螺旋形状の溝4と前記螺旋形状の溝の螺旋回転方向とは逆方向に螺旋回転する螺旋形状の溝5の各ピッチは、0.05mm以上0.3mm以下の範囲で形成されている。更に、螺旋形状の溝4と前記螺旋形状の溝の螺旋回転方向とは逆方向に螺旋回転する螺旋形状の溝5が形成される胴部3の各表面粗さは、十点平均粗さRzが5μm以上または算術平均粗さRaが1μm以上の範囲で形成されている。
被走行体2の接触面2aに接触して被走行体2を矢印C方向に走行させる胴部3の表面の螺旋形状の溝4と前記螺旋形状の溝の螺旋回転方向とは逆方向に螺旋回転する螺旋形状の溝5は、胴部3の表面の前記ローラ本体1の軸方向中央部30を中央から半分ずつに分割されている。そして、各々お互いに一方のジャーナル31側の矢印D方向の螺旋進行方向と他方のジャーナル32側の矢印E方向の逆螺旋進行方向が逆方向の螺旋とした。すなわち、胴部3の半分ずつ螺旋形状の溝4と前記螺旋形状の溝の螺旋回転方向とは逆方向に螺旋回転する螺旋形状の溝5が対称になるように形成されている。この構成にすることで、被走行体2の接触面2aの上の被走行体2にかかる胴部3の表面の中央部30を中央から半分ずつに分割されている各領域の搬送力は、お互いに相反する向きに等しい応力が発生し、結果として、被走行体の走行を安定した状態に保つことができる。
尚、螺旋形状の溝4の螺旋進行方向と前記螺旋形状の溝の螺旋回転方向とは逆方向に螺旋回転する螺旋形状の溝5の螺旋進行方向の進む向きは、胴部3の表面の中央部30からそれぞれ一方の各端部側へ逃げていく方向であるので被走行体2に張りを与えることになり、接触状態や走行安定性には有利である。
【0012】
走行ローラ10は、以下に説明する形態のいずれであっても良い。具体的にはローラ本体1が被記録媒体20の記録用紙を矢印C方向に走行させる被記録媒体搬送ローラ11であれば被記録媒体走行ローラ10a。ローラ本体1が被記録媒体20上の未定着トナーを加圧して走行させる加圧ローラ13であれば加圧走行ローラ10c。ローラ本体1が被走行体2である無端形状のベルト21を張架して走行させるベルト張架ローラ14であればベルト張架走行ローラ10d。ローラ本体1が前記ベルト21である搬送ベルト22を張架して走行させる搬送ベルト張架ローラ15であれば搬送ベルト張架走行ローラ10e。ローラ本体1が定着ベルト23を張架加熱して走行させる加熱ローラ16であれば加熱走行ローラ10f。ローラ本体1が定着ベルト23を張架走行させる定着ベルト搬送ローラ17であれば定着ベルト搬送走行ローラ10g。ローラ本体1が定着ベルト23に被記録媒体20上の未定着トナーの画像を加圧して走行させる定着ベルト加圧ローラ18であれば定着ベルト加圧走行ローラ10h等である。
従って、複雑な機構や加工方法等を付与することなく、被走行体2の寄りの発生を防止して走行させる。そして、被走行体2の走行を安定した状態に保ち走行ローラ10薄い肉厚部の破損も防止して安全で、高品質の画像を形成することができる走行ローラ10を提供することができる。
【0013】
図2は、本発明の実施の形態例にかかる走行ローラ10の製造方法を説明する工程図である。
図3は、本発明の実施の形態例にかかる走行ローラ10の製造方法における刃物台92の動作を説明する刃物台動作説明図である。
図4は、本発明の実施の形態例にかかる走行ローラ10の製造方法における切削によって得られた螺旋形状の溝6の拡大断面図である。
図2乃至図4において、連れ回りまたは駆動力が与えられて回転可能に支持される円筒形状の走行ローラ10の製造方法は、円筒体8を形成する円筒体形成工程(a)を備えている。そして、螺旋形状の溝4を形成する工程(b)と螺旋形状の溝とは逆方向に螺旋回転する螺旋形状の溝5を形成する工程(c)を備えている。更に、螺旋形状の溝4とは逆方向に螺旋回転する螺旋形状の溝5を形成した後の表面処理または洗浄処理等を行う後処理工程(d)を備えている。
まず、円筒体形成工程(a)では、ローラ本体1となる金属または弾性体からなる円筒体8を形成する。ここでは、ローラ本体1は、図示しない定着ベルト23を張架加熱して走行させる加熱ローラ16である。芯金33となる材質としてアルミ合金から成る円筒体8を普通旋盤やNC旋盤等の加工機90の支持部91に支持して矢印B方向に回転駆動する。そして、刃物台92にセッティングするダイヤモンド製のバイト93で矢印B方向に回転駆動される円筒体8に切削加工を行って芯金33の胴部3を形成する。胴部3の切削加工時のバイト91の送り方向は通常一方通行で行う。
【0014】
次に、螺旋形状の溝形成工程(b)では、円筒体形成工程(a)で形成した芯金33の胴部3の表面に切削加工または研削加工で螺旋形状の溝4を形成する。ここでは、刃物台92とバイト93を矢印F方向の進行方向に一方のジャーナル31側から胴部3の中央部30に切削加工により形成溝6である螺旋形状の溝4を形成する。
この際に、胴部3の表面に切削加工で螺旋形状の溝4と逆方向に螺旋回転する螺旋形状の溝5を形成するバイト93の送り方向を、胴部3の中央部30を境に各々反対方向に設定して加工する。
例えば、図3(a)に図示する螺旋形状の溝4は、刃物台92とバイト93を矢印F方向の一方のジャーナル31側から胴部3の中央部30の進行方向に、胴部3の中央部30まで切削加工する。そして、その時点で、バイト93を矢印H方向に逃がして形成する。
次に、逆方向に螺旋回転する螺旋形状の溝の形成工程(c)では、円筒体形成工程(a)で形成した芯金33の胴部3の表面に切削加工または研削加工で逆方向に螺旋回転する螺旋形状の溝5を形成する。ここでは、刃物台92とバイト93を矢印G方向の進行方向に他方のジャーナル32側から胴部3の中央部30に切削加工を行って切削条痕6である逆方向に螺旋回転する螺旋形状の溝5を形成する。
この際に、胴部3の表面に切削加工で螺旋形状の溝4と逆方向に螺旋回転する螺旋形状の溝5を形成するバイト93の送り方向を、胴部3の中央部30を境に各々反対方向に設定して加工する。
例えば、図3(a)に図示する螺旋形状の溝4とは逆方向に螺旋回転する螺旋形状の溝5は、刃物台92とバイト93を他方のジャーナル32側に送り、再度矢印G方向の他方のジャーナル32側から胴部3の中央部30の進行方向に切削加工される。そして、中央部30まで切削加工した時点で、同様にバイト93を矢印H方向に逃がして形成する。
【0015】
このような切削加工の動作は、NC旋盤の加工機90であればプログラムにより簡単に制御が可能である。バイト93の動きは、中央部30から切り込んで端面側へ送る方式よりも、胴部3の両端面から中央部30に向かう方式の方が中央付近の境目部分に段差ができにくいため加工精度的には都合が良い。
上述の切削加工の動作の様子は、刃物台93が1台の場合であるが、1台の加工機90に2台の刃物台92が装着されていれば、胴部3の半分ずつを同時に加工することも可能であり、加工時間低減とコスト低減を図ることができる。ただし、この場合は、2台の刃物台93や加工ツールが干渉を起こさないよう配慮しなければならない。図3(b)に図示するように刃物台92は、回転軸95を挟み、180度対向した位置に配設する。または、2台の各刃物台92の進行時間に時間差を設けることで解決できる。
また、切削によって得られた螺旋形状の溝6の形としては、図4に図示するように送りピッチpを細かくする方が走行ローラ10と被走行体2の接触面2aと接触する点が増え、軸方向送りの力が大きくなり、正確にそれらを相殺することができる。
螺旋形状の溝4と該螺旋形状の溝4とは逆方向に螺旋回転する螺旋形状の溝5を形成する送りピッチ(p)は、0.05mm/rev以上0.3mm/rev以下で加工することが好ましい。ここでの加熱ローラ16では、0.10mm/rev以下の送りピッチpのほうが効果的で、0.08mm/revで切削加工したところ、定着ベルト23の寄り速度を目標仕様値である0.1mm/sec以下にすることができた。
更に、表面粗さ波形において、走行ローラ10の加熱走行ローラ10fと被走行体2の定着ベルト23の接触面2aとが接触する点は頂点近傍でしかないのだが、十点平均粗さRzで5μm、算術平均粗さRaで1μm程度以上が好ましい。
【0016】
図4に図示する切削波形は一例である。その切削波形は矢印F方向または矢印G方向の切削方向において、対称な形状であってももちろん効果は同一である。
一方、上述した説明は、ローラ本体1が加熱ローラ16や加熱定着ローラ12の芯金33の胴部3の表面に切削加工で切削によって得られた螺旋形状の溝6である螺旋形状の溝4と該螺旋形状の溝4とは逆方向に螺旋回転する螺旋形状の溝5を形成する場合である。同様に、刃物台92のバイト93に変えて研磨材94をセッティングする。そして、ローラ本体1が被記録媒体走行ローラ11、加圧ローラ13、ベルト張架ローラ14等の弾性層34の胴部3の表面に研削加工によって得られた溝7である螺旋形状の溝4と該螺旋形状の溝4とは逆方向に螺旋回転する螺旋形状の溝5を形成することができる。
後処理工程(d)では、芯金33の胴部3の表面に螺旋形状の溝4と該螺旋形状の溝4とは逆方向に螺旋回転する螺旋形状の溝5を形成した後に表面処理または洗浄処理等を行なう。ここでは、切削加工によって得られた溝6である螺旋形状の溝4と該螺旋形状の溝4とは逆方向に螺旋回転する螺旋形状の溝5を芯金33の胴部3の表面に形成した後に離型層を形成する。離型層としては、PFA(テトラフルオロエチレンーパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)やPTFE(四フッ化エチレン樹脂)等のフッ素樹脂層を吹き付け装置96によって胴部3に吹き付ける塗装をして形成する。あるいは、プライマー層を下地として、その上にPFA(テトラフルオロエチレンーパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)やPTFE(四フッ化エチレン樹脂)等のフッ素樹脂層を離型層として形成する。あるいは、耐磨耗を要求されるときはアルマイト等の表面処理が施される。
更に、研削加工によって得られた溝7である螺旋形状の溝4と該螺旋形状の溝4とは逆方向に螺旋回転する螺旋形状の溝5を形成した場合には、空気洗浄器97でエアーを吹き付ける洗浄をして走行ローラ10の製造方法の工程は終了する。
【0017】
本発明の実施の形態例にかかる走行ローラ10の製造方法で製造する芯金33に切削加工によって得られた溝6である螺旋形状の溝4と該螺旋形状の溝4とは逆方向に螺旋回転する螺旋形状の溝5を形成する加熱走行ローラ10fの仕様は次のようである。外径はφ35mm、胴部3の肉厚は0.6mm、芯金33の材質はアルミ合金である(図8を参照)。そして、切削加工の送りピッチpは、0.08mm/rev、表面粗さは十点平均粗さRzで5μm、算術平均粗さRaで1μm、ローラ本体1となる円筒体8の回転数は190rpmで線速は350mm/secである。
本発明の実施の形態例にかかる走行ローラ10の製造方法で製造する弾性層34に研削加工によって得られた溝7である螺旋形状の溝4と前記螺旋形状の溝とは逆方向に螺旋回転する螺旋形状の溝5を形成する定着走行ローラ10gの仕様は次のようである。外径はφ52mm、護謨肉厚は5mm、護謨硬度は40Hs、表面粗さは十点平均粗さRz8μm、芯軸38の材質はステンレスである(図8を参照)。
【0018】
本発明の実施の形態例にかかる走行ローラ10の製造方法で製造する弾性層34に研削によって得られた溝7である螺旋形状の溝4と前記螺旋形状の溝とは逆方向に螺旋回転する螺旋形状の溝5を形成する定着ベルト加圧走行ローラ10hの仕様は次のようである。外径はφ60mm、弾性層34の肉厚は3mm、芯軸38の材質はステンレスである(図8を参照)。
本発明の実施の形態例にかかる走行ローラ10の製造方法での切削加工の条件は、支持部91の主軸回転数は4000rpm、送りピッチpは0.08mm/rev、仕上げ切り込みは0.1mmである。そして仕上げのバイト93は、焼結ダイヤでノーズR0.8mmである。
従って、複雑な機構や加工方法等を付与することなく被走行体2の寄りの発生を防止して走行させる。そして、被走行体2の走行を安定した状態に保ち走行ローラ10薄い肉厚部の破損も防止して安全で、高品質の画像を形成することができる走行ローラ10の製造方法を提供することができる。
【0019】
図5は、本発明の実施の形態例にかかる走行ローラ10である被記録媒体走行ローラ10aを備える走行装置100である被記録媒体搬送装置111の基本構成図である。
図5において、被走行体を走行させる走行装置100である被記録媒体搬送装置111は、被走行体2である被記録媒体20の記録画像を形成する記録用紙が走行するガイド部材110で形成される走行路101を備えている。そして、走行路101を走行する被記録媒体20の接触面2aに接触して被記録媒体20を矢印L方向に走行させる上記いずれかの実施形態にかかる走行ローラ10である被記録媒体走行ローラ10aを備えている。被記録媒体走行ローラ10aは、複数個の配列となる一対の駆動ローラと従動ローラで被記録媒体20の上下の接触面2aに接触して矢印L方向の画像形成ユニット201の方向での寄り発生を防止しながら走行させるようになっている。
従って、複雑な機構や加工方法等を付与することなく被走行体2である被記録媒体20の寄りの発生を防止して走行させる。そして、被記録媒体20の走行を安定した状態に保ち走行ローラ10a薄い肉厚部の破損も防止して安全で、高品質の画像を形成する被記録媒体走行ローラ10aを備える走行装置100である被記録媒体搬送装置111を提供することができる。
【0020】
図6は、本発明の実施の形態例にかかる走行ローラ10である加圧走行ローラ10cに加熱定着ローラ10bを組み合わせたローラ対を備える走行装置100である定着装置112の基本構成図である。
図6において、被走行体を走行させる走行装置100である定着装置112は、被走行体2である被記録媒体20の記録用紙が走行するガイド部材110で形成される走行路101を備えている。そして、走行路101は、進入する被走行体2の被記録媒体20に形成された未定着トナーTの画像を挟み込んで加圧と加熱で定着して矢印L方向に走行させる定着ニップ部102を備えている。定着ニップ部102は、上記いずれかの実施形態にかかる走行ローラ10である加圧走行ローラ10cに加熱定着ローラ10bを組み合わせたローラ対で構成されている。加熱定着ローラ10bは、発熱源35であるハロゲンヒーターを内部に配設して金属製の芯金33で構成されている。加圧走行ローラ10cは、弾性層34を介して加圧手段で加熱定着走行ローラ10bに当接する構成になっている。
従って、複雑な機構や加工方法等を付与することなく被走行体2である被記録媒体20を寄りの発生を防止して、被記録媒体20上に形成された未定着トナーTの画像を定着して走行させることができる。
【0021】
図7は、本発明の実施の形態例にかかる走行ローラ10であるベルト張架走行ローラ10dの搬送ベルト張架走行ローラ10eを備える走行装置100である搬送ベルト回動装置113の基本構成図である。
図7において、被走行体を走行させる走行装置100である搬送ベルト回動装置113は、被走行体2であるベルト21の搬送ベルト22が被記録媒体20または未定着トナーTの画像等を載置して走行する走行路101を備えている。
そして、走行路101を走行する搬送ベルト22の接触面2aに接触して搬送ベルト22を矢印L方向に走行させる上記いずれかの実施形態にかかる走行ローラ10であるベルト張架走行ローラ10dを備えている。ベルト張架走行ローラ10dである搬送ベルト張架走行ローラ10eは、複数個の配列となる一対の駆動ローラと従動ローラで搬送ベルト22の接触面2aに接触して矢印L方向の走行方向に寄りの発生を防止して走行させるようになっている。
【0022】
図8は、本発明の実施の形態例にかかる走行ローラ10である加熱走行ローラ10f、定着走行ローラ10gと定着ベルト加圧走行ローラ10hを備える走行装置100であるベルト定着装置114の基本構成図である。
図9は、本発明の実施の形態例にかかる走行ローラ10である加熱走行ローラ10fと定着ローラ17に被走行体2である定着ベルト23を張架する走行装置100であるベルト定着装置114の上面図である。
図10は、本発明の実施の形態例にかかる走行ローラ10である加熱走行ローラ10fと定着走行ローラ10gに被走行体2である定着ベルト23を張架する走行装置100であるベルト定着装置114の上面図である。
図8乃至図10において、被走行体を走行させる走行装置100であるベルト定着装置114は、被走行体2である定着ベルト23が走行する走行路101を備えている。そして、定着ベルト23を張架して接触面2aに接触して走行路101を矢印L方向の走行方向に走行させる上記いずれかの実施形態にかかる走行ローラ10である加熱走行ローラ10fと定着走行ローラ10gを備えている。更に、走行路101は、進入する被走行体2の被記録媒体20に形成された未定着トナーTの画像を挟み込んで加圧と加熱で定着して矢印L方向の走行方向に走行させる定着ニップ部102を備えている。
【0023】
定着ニップ部102は、上記いずれかの実施形態にかかる走行ローラ10である定着走行ローラ10gに定着ベルト23と被記録媒体20に形成された未定着トナーTの画像を挟み込んで加圧する定着ベルト加圧走行ローラ10hで構成される。加熱走行ローラ10fは、発熱源35であるハロゲンヒーターを内部に配設して金属製の芯金33で構成されている。定着ベルト加圧走行ローラ10hの弾性層34は、被記録媒体20と定着ベルト23とを介して加圧手段で定着走行ローラ10gの弾性層34に当接する構成になっている。この定着ベルト23の基体はポリイミド製、基体の厚さは90μm、外径はφ70mm、弾性層はシリコーン護謨で厚さは200μmである。
走行ローラ10である加熱走行ローラ10fは、多くの場合、内側に発熱源35であるハロゲンヒーターを配設し、定着ベルト23の接触面2aに効率よく熱伝達しなければならないため、アルミ合金が用いられる。そして、胴部3は、切削加工により0.5mm〜0.6mm前後の肉厚に仕上げている。表層には、離型性を持たせる場合は、離型層としては、PFA(テトラフルオロエチレンーパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)やPTFE(四フッ化エチレン樹脂)等のフッ素樹脂を塗装等の手段で形成する。あるいは、耐磨耗を要求されるときはアルマイトなど表面処理が施される。これら表面処理は表層の数ミクロン程度の膜厚であるため、上述した切削加工によって得られた溝6は螺旋状のまま表層に残る。
【0024】
まず、図9に図示するように、走行ローラ10である加熱走行ローラ10fと従来の定着ローラ17をベルト定着装置114に組み付ける。この場合、定着ベルト23の基体内面の接触面2aに加熱走行ローラ10fの切削加工によって得られた溝6の先端部分が接触する(図4を参照)。その状態で加熱走行ローラ10fが回転すれば、螺子を回転させるのと同様に、螺旋が進む方向に定着ベルト23の基体は送りの力の矢印Mを受ける。
従来は、切削加工で胴部3の表面を形成すれば、この切削により得られた溝6は1本であり、螺旋の進む向きは片側の方向のみである。その結果、定着ベルト23の基体の受ける力の方向も片側のみとなる。
然し、本件発明の走行ローラ10である加熱走行ローラ10fは、胴部3の表面の切削により得られた溝6を、胴部3を中央部30から半分ずつ螺旋形状の溝4と前記螺旋形状の溝の螺旋回転方向とは逆方向に螺旋回転する螺旋形状の溝5に分割して、各々お互い逆方向の螺旋とした。即ち、胴部3を半分ずつ螺旋形状の溝とは逆方向に螺旋回転する螺旋形状の溝5が対象になるように切削加工されている。これにより、図9に図示するように、被走行体2である定着ベルト23にかかる軸方向の送りの力の矢印Mは、お互いに相反する向きに等しい応力が発生し、結果として、被走行体の走行を安定した状態に保つことができる。
螺旋形状の溝4と前記螺旋形状の溝とは逆方向に螺旋回転する螺旋形状の溝5の螺旋の進む向きは、双方が胴部3の中央部30から定着ベルト23の開口部側の一方のジャーナル31と他方のジャーナル32へ逃げていく方向となっている。これにより、定着ベルト23に張りを与えることになり、走行ローラ10である加熱走行ローラ10f及び加熱走行ローラ10fの胴部3との接触状態や走行安定性には有利である。
【0025】
図9に図示する走行装置100であるベルト定着装置114は、走行ローラ10である加熱走行ローラ10fと従来の定着ローラ17に被走行体2である定着ベルト23を張架する構成である。
然し、図8と図10に図示する走行装置100であるベルト定着装置114は、走行ローラ10である加熱走行ローラ10fと走行ローラ10である定着走行ローラ10gに被走行体2である定着ベルト23を張架する構成である。この構成により、更に、被走行体2である定着ベルト23の接触状態や走行安定性は有利となる。
定着走行ローラ10gは、シリコーン護謨よりなる弾性層34を有しており、これは表層を研削加工して表面形状を形成している。
従来の研削加工は、通常一方向で行うため、当然その研削目は一方向の螺旋状になっている。
然し、本件発明の走行ローラ10である定着走行ローラ10gは、胴部3の表面の研削で形成された溝7を、胴部3を前記走行ローラ10の軸方向中央部30から半分ずつ螺旋形状の溝4と該螺旋形状の溝4とは逆方向に螺旋回転する螺旋形状の溝5に分割して、各々お互い逆方向の螺旋とした。即ち、胴部3を半分ずつ螺旋形状の溝4と螺旋形状の溝4とは逆方向に螺旋回転する螺旋形状の溝5が対象になるように研削加工されている。これにより、定着走行ローラ10gによっても、被走行体2である定着ベルト23の接触状態や走行安定性は有利となる。
【0026】
定着走行ローラ10gと定着ベルト加圧走行ローラ10hもベルト定着装置114に組み付ける際、やはり螺旋形状の溝4と該螺旋形状の溝4とは逆方向に螺旋回転する螺旋形状の溝5の螺旋の進む向きを胴部3の前記走行ローラ10gの軸方向中央部30から一方のジャーナル31と他方のジャーナル32へ逃げていく方向にする。これにより、走行ローラ10である加熱走行ローラ10fのみで対処するよりも、定着ベルト23の寄り速度を低減する効果が、更に向上する。
上記のように、走行ローラ10である加熱走行ローラ10fの切削加工における加工条件を、送りピッチpを0.1mm/rev以下にし、表面粗さを算術平均粗さRaが1μm以上とし、切削により得られた溝6の螺旋の向きを対称にする。そして、同時に定着走行ローラ10gと定着ベルト加圧走行ローラ10hの弾性層34の表層の研削により得られた溝7の螺旋の向きを同様に対称にする。これだけで、被走行体2である定着ベルト23の寄りを防止して、走行安定性を確保し、信頼性の高い走行装置100であるベルト定着装置114を提供することができるようになった。
【0027】
図11は、本発明の実施の形態例にかかる走行ローラ10を備える画像形成装置200の基本構成図である。
図11において、被走行体を走行させて記録画像を形成する画像形成装置200は、記録画像を形成する画像形成ユニット201と、画像形成ユニット201で記録画像を形成する被走行体2を走行する上記いずれかの実施形態にかかる走行ローラ10を備えている。
画像形成装置200は、画像形成ユニット201の上部に原稿画像読み取りユニット202が載置されている。そして、画像形成ユニット201は、被記録媒体20の記録用紙を給送する被記録媒体給送ユニット203の上部に保持されている。
画像形成ユニット201は、電子写真方式の作像プロセスで利便性や汎用性に優れ高速で高品質のトナーの記録画像を被記録媒体20の記録用紙等に転写して形成するようになっている。
原稿画像読み取りユニット202において、原稿台220に載置される原稿Oの原稿画像は、原稿読取部221によって光学的に読み取られて原稿画像情報として画像処理される。
そして、画像処理された原稿画像情報に基づく制御されたレーザ光が、画像形成ユニット201の書き込み装置212によって像担持体210のドラム形状の感光体ドラム上に露光することで原稿画像情報が書き込まれる。
【0028】
像担持体210の感光体ドラムは、矢印P方向の時計方向に回転し、この時、帯電装置211によって表面を一様に帯電され、その帯電面に書き込み装置212により原稿画像が書き込まれる。これによって、像担持体210上に静電潜像が形成される。この静電潜像は、現像装置213によってトナー画像として可視像化される。
一方、被記録媒体給送ユニット203から被記録媒体20が像担持体210に向けて一対の走行ローラ10の被記録媒体走行ローラ10aで走行される。そして、転写装置214によって像担持体210上のトナーの記録画像が被記録媒体20に転写される。
転写装置214で転写工程後の被記録媒体20は、走行ローラ10である駆動と従動の一対の搬送ベルト張架走行ローラ10eに張架される搬送ベルト22を備える搬送ベルト回動装置113で走行されてベルト定着装置114に達する。
ベルト定着装置114に達した被記録媒体20は、定着ニップ部102に進入する。定着ニップ部102は、走行ローラ10である加熱走行ローラ10fと定着走行ローラ10gに張架された定着ベルト23を備えている。そして、定着ベルト23と被記録媒体20に形成された未定着トナーTの画像を挟み込んで加圧する定着ベルト加圧走行ローラ10hで構成される。
【0029】
定着ニップ部102に進入する被記録媒体20に形成された未定着トナーTの画像は、加熱走行ローラ10fで加熱された定着ベルト23の加熱と定着ベルト加圧走行ローラ10hの加圧で定着される。トナーの記録画像が定着された被記録媒体20は、排紙トレイ215に搬送して排出されて収納される。
他方、転写装置214における転写工程後の像担持体210上に残留するトナーは、クリーニング装置216によって除去されて次工程に備えられる。
従って、複雑な機構や加工方法等を付与することなく被走行体2を寄りの発生を防止して走行させる。そして、被走行体2の走行を安定した状態に保ち薄い肉厚部の破損も防止して安全である。更に、高品質の画像を形成することができる走行ローラ10を備える画像形成装置200を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施の形態例にかかる走行ローラの基本構成の上面図である。
【図2】本発明の実施の形態例にかかる走行ローラの製造方法を説明する工程図である。
【図3】本発明の実施の形態例にかかる走行ローラの製造方法における刃物台の動作を説明する刃物台動作説明図である。
【図4】本発明の実施の形態例にかかる走行ローラの製造方法における切削条痕の拡大断面図である。
【図5】本発明の実施の形態例にかかる走行ローラである被記録媒体走行ローラを備える走行装置である被記録媒体搬送装置の基本構成図である。
【図6】本発明の実施の形態例にかかる走行ローラである加熱定着走行ローラと加圧走行ローラを備える走行装置である定着装置の基本構成図である。
【図7】本発明の実施の形態例にかかる走行ローラであるベルト張架走行ローラの搬送ベルト張架走行ローラを備える走行装置である搬送ベルト回動装置の基本構成図である。
【図8】本発明の実施の形態例にかかる走行ローラである加熱走行ローラ、定着走行ローラと定着ベルト加圧走行ローラを備える走行装置であるベルト定着装置の基本構成図である。
【図9】本発明の実施の形態例にかかる走行ローラである加熱走行ローラと定着ローラに被走行体である定着ベルトを張架する走行装置であるベルト定着装置の上面図である。
【図10】本発明の実施の形態例にかかる走行ローラである加熱走行ローラと定着走行ローラに被走行体である定着ベルトを張架する走行装置であるベルト定着装置の上面図である。
【図11】本発明の実施の形態例にかかる走行ローラを備える画像形成装置の基本構成図である。
【図12】従来のローラを備える走行装置の基本構成図である。
【符号の説明】
【0031】
1 ローラ本体、2 被走行体、2a 接触面、3 胴部、4 螺旋形状の溝、5 逆方向に螺旋回転する螺旋形状の溝、6 切削加工によって得られた溝、7 研削によって得られた溝、8 円筒体、10 走行ローラ、10a 被記録媒体走行ローラ、10b 加熱定着ローラ、10c 加圧走行ローラ、10d ベルト張架走行ローラ、10e 搬送ベルト張架走行ローラ、10f 加熱走行ローラ、10g 定着走行ローラ、10h 定着ベルト加圧走行ローラ、11 被記録媒体搬送ローラ、12 加熱定着ローラ、13 加圧ローラ、14 ベルト張架ローラ、15 搬送ベルト張架ローラ、16 加熱ローラ、17 定着ローラ、18 定着ベルト加圧ローラ、20 被記録媒体、21 ベルト、22 搬送ベルト、23 定着ベルト、30 中央部、31 一方のジャーナル、32 他方のジャーナル、33 芯金、34 弾性層、35 発熱源、36 支持部、37 軸受、38 芯軸、90 加工機、91 支持部、92 刃物台、93 バイト、94 研磨材、95 回転軸、96 吹き付け装置、97 空気洗浄器、100 走行装置、101 走行路、102 定着ニップ部、110 ガイド部材、111 被記録媒体搬送装置、112 定着装置、113 搬送ベルト回動装置、114 ベルト定着装置、200 画像形成装置、201 画像形成ユニット、202 原稿画像読み取りユニット、203 被記録媒体給送ユニット、210 像担持体、211 帯電装置、212 書き込み装置、213 現像装置、214 転写装置、215 排紙トレイ、216 クリーニング装置、220 原稿台、221 原稿読取部、300 走行装置、301 ローラ、302 被走行体、302a 接触面、303 胴部、310 定着装置、311 加熱ローラ、312 定着ローラ、313 定着ベルト加圧ローラ、314 定着ニップ部、320 被記録媒体、323 定着ベルト、333 芯金、335 発熱源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベルト状またはシート状の被走行体を走行させる円筒形状の走行ローラにおいて、回転可能に支持される円筒形状のローラ本体と、前記ローラ本体の外周面が前記被走行体に接触して前記被走行体を走行させる円筒形状の胴部と、前記胴部の表面の前記ローラ本体の軸方向中央部から一方のジャーナル側の螺旋進行方向に形成された螺旋形状の溝と、前記螺旋形状の溝と前記胴部の表面の前記ローラ本体の軸方向中央部から他方のジャーナル側に形成された前記螺旋形状の溝とは逆方向に螺旋回転する螺旋形状の溝と、を備えることを特徴とする走行ローラ。
【請求項2】
請求項1に記載の走行ローラにおいて、前記ローラ本体は、記録画像を形成するシート状の被記録媒体を前記被走行体として走行させる被記録媒体搬送ローラであることを特徴とする走行ローラ。
【請求項3】
請求項1に記載の走行ローラにおいて、前記ローラ本体は、前記被記録媒体上の未定着トナーを加熱定着するシート状の被記録媒体を前記被走行体として走行させる加熱定着ローラであることを特徴とする走行ローラ。
【請求項4】
請求項1に記載の走行ローラにおいて、前記ローラ本体は、無端形状のベルト状の前記被走行体を前記被走行体として走行させるベルト張架ローラであることを特徴とする走行ローラ。
【請求項5】
請求項4に記載の走行ローラにおいて、前記ベルト張架ローラは、前記定着ベルトを張架加熱し、さらに前記定着ベルトを被走行体として走行させる加熱走行ローラであることを特徴とする走行ローラ。
【請求項6】
請求項4に記載の走行ローラにおいて、前記ベルト張架ローラは、ベルト状の前記被走行体が定着ベルトであり、前記定着ベルトを張架走行させて被記録媒体上の未定着トナーを加熱定着する定着走行ローラであることを特徴とする走行ローラ。
【請求項7】
請求項1に記載の走行ローラにおいて、前記ローラ本体は、ローラ対で張架される定着ベルトによって前記被記録媒体上の未定着トナーを定着する前記定着ベルトに対向配置される定着ベルト加圧ローラであることを特徴とする走行ローラ。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載の走行ローラにおいて、前記螺旋形状の溝と前記螺旋形状の溝とは逆方向に螺旋回転する螺旋形状の溝は、切削加工によって得られた溝であることを特徴とする走行ローラ。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか一項に記載の走行ローラにおいて、前記螺旋形状の溝と前記螺旋形状の溝とは逆方向に螺旋回転する螺旋形状は、研削によって得られた溝であることを特徴とする走行ローラ。
【請求項10】
ベルト状またはシート状被走行体を走行させる円筒体の走行ローラの製造方法において、前記円筒体を形成する工程と、前記ローラ本体の外周面が前記被走行体に接触して前記被走行体を走行させる円筒形状の胴部の表面に、前記ローラ本体の軸方向中央部から一方のジャーナル側の螺旋進行方向に螺旋形状の溝を形成を形成する工程と、前記ローラ本体の軸方向中央部から対象に他方のジャーナル側の前記胴部の表面に前記螺旋形状の溝とは逆方向に螺旋回転する螺旋形状の溝を形成する工程と、前記螺旋形状の溝および前記螺旋形状の溝とは逆方向に螺旋回転する螺旋形状の溝を形成した前記胴部の表面に、表面処理または洗浄処理をする後処理工程と、を備えることを特徴とする走行ローラの製造方法。
【請求項11】
請求項10に記載の走行ローラの製造方法において、前記胴部の表面に前記螺旋形状の溝を形成する工程とおよび前記螺旋形状の溝とは逆方向に螺旋回転する螺旋形状の溝を形成する工程は、前記一方のジャーナル側または前記他方のジャーナル側から前記円筒体の軸方向中央部の方向に向かって溝を形成することを特徴とする走行ローラの製造方法。
【請求項12】
記録画像を形成する画像形成ユニットおよび、記録画像または前記記録画像を有する被記録媒体を載置したベルト状またはシート状の被走行体を走行させるための円筒形状の走行ローラを備え、被記録媒体上に記録画像を形成する画像形成装置において、前記走行ローラは請求項1乃至9のいずれか一項に記載の前記走行ローラであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項13】
請求項12に記載の画像形成装置において、前記画像形成ユニットは、電子写真方式の作像プロセスで記録画像を形成することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−264447(P2009−264447A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−112665(P2008−112665)
【出願日】平成20年4月23日(2008.4.23)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】