説明

走行作業機械又は船舶の遠隔監視端末装置

【課題】走行作業機械又は船舶の全稼動期間を通じた稼動状態に関するデータを自機でより多く格納でき、それだけ該稼動状態を利用者に把握させやすくすることができる走行作業機械又は船舶の遠隔監視端末装置を提供する。
【解決手段】接続端子T,…と、接続端子T,…入力されたデータを所定周期毎に最新分から直近の所定回数分だけ第1データ記憶部261に格納するデータ記憶制御部244と、第1データ記憶部261が格納しているデータからサンプリング周期TC毎のサンプリングデータを第2データ記憶部262に格納するサンプリングデータ記憶制御部245と、通信部210とを備え、サンプリングデータ記憶制御部245は、遠隔監視装置130からの要求受付時又は作業終了時に第2データ記憶部262が格納しているサンプリングデータを通信部210から遠隔監視装置130へ送信する遠隔監視端末装置200。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械や農業機械など走行作業機械又はプレジャーボードや漁船など船舶に備えられ、遠隔監視装置との間で通信を行うことにより前記遠隔監視装置で遠隔監視される走行作業機械又は船舶の遠隔監視端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
走行作業機械等に備えられる遠隔監視端末装置と、遠隔監視センターに設けられる遠隔監視装置との間で通信を行って、走行作業機械等を監視する遠隔監視システムは従来から公知となっている。
【0003】
例えば、特許文献1には、移動作業機械の管理システムにおいて、移動作業機械の保守に係わる作動状態に関する各種データを移動作業機械におけるデータ記憶部に格納し、格納した各種データを移動作業機械から管理部側へ送信することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3011256号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような従来の移動作業機械の管理システムにおいて、移動作業機械の全稼動期間を通じた稼動状態に関するデータを自機で格納し、管理部側から要求を受けたときに、格納したデータを全て管理部側へ送信する場合には、遠隔監視端末装置における記憶容量に制限があることから、移動作業機械の全稼動期間を通じた稼動状態に関するデータを自機で全て格納することが困難であり、従って、全稼動期間を通じた稼動状態を利用者に把握させることが困難である。
【0006】
そこで、本発明は、走行作業機械又は船舶に備えられ、遠隔監視装置との間で通信を行うことにより前記遠隔監視装置で遠隔監視される走行作業機械又は船舶の遠隔監視端末装置であって、前記走行作業機械又は前記船舶の全稼動期間を通じた稼動状態に関するデータを自機でより多く格納することができ、それだけ前記走行作業機械又は前記船舶の全稼動期間を通じた稼動状態を利用者に把握させやすくすることができる走行作業機械又は船舶の遠隔監視端末装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記課題を解決するために、走行作業機械又は船舶に備えられ、遠隔監視装置との間で通信を行うことにより前記遠隔監視装置で遠隔監視される走行作業機械又は船舶の遠隔監視端末装置であって、前記走行作業機械又は前記船舶の稼動状態に関するデータが入力される複数の接続端子と、前記接続端子を介して入力された前記データを予め定めた所定周期毎に最新分から直近の予め定めた所定回数分だけ第1データ記憶部に一時的に格納するデータ記憶制御部と、前記第1データ記憶部が格納している前記所定回数分のデータから前記所定周期に対して2以上の整数倍としたサンプリング周期毎のサンプリングデータを第2データ記憶部に格納するサンプリングデータ記憶制御部と、前記遠隔監視装置と通信する通信部とを備え、前記サンプリングデータ記憶制御部は、前記遠隔監視装置から要求を受けたとき、または作業が終了したときに、前記第2データ記憶部が格納している前記サンプリングデータを前記通信部から前記遠隔監視装置へ送信する構成とされていることを特徴とする走行作業機械又は船舶の遠隔監視端末装置を提供する。
【0008】
本発明によれば、前記遠隔監視装置から要求を受けたとき、または作業が終了したときに、前記所定周期毎のデータから前記サンプリング周期毎に大まかに取得した前記サンプリングデータといった、前記走行作業機械又は前記船舶の全稼動期間を通じた稼動状態に関するデータをより多く前記第2データ記憶部に格納することができ、それだけ前記走行作業機械又は前記船舶の全稼動期間を通じた稼動状態を利用者に把握させやすくすることが可能となる。
【0009】
本発明において、前記データ記憶制御部は、前記第1データ記憶部への前記データの格納回数が前記所定回数に到達したときに、前記第1データ記憶部が格納している前記所定回数分のデータを前記通信部から前記遠隔監視装置へ送信し、前記格納回数を初期化する態様を例示できる。
【0010】
この特定事項では、前記遠隔監視装置から要求を受けたか否かに拘わらず、前記格納回数が前記所定回数に到達したときに、前記第1データ記憶部が格納している前記所定回数分の全てのデータを前記遠隔監視装置へ送信することができる。従って、前記走行作業機械又は前記船舶の全稼動期間を通じた稼動状態に関するデータを全て前記遠隔監視装置へ送信することができ、これにより、前記走行作業機械又は前記船舶の全稼動期間を通じた稼動状態を利用者に確実に把握させることが可能となる。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように、本発明に係る走行作業機械又は船舶の遠隔監視端末装置によると、前記走行作業機械又は前記船舶の全稼動期間を通じた稼動状態に関するデータを自機でより多く格納することができ、それだけ前記走行作業機械又は前記船舶の全稼動期間を通じた稼動状態を利用者に把握させやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】農業機械を遠隔監視する遠隔監視システムを模式的に示す概略構成図である。
【図2】遠隔監視端末装置を備えた農業機械の概略構成を示すブロック図である。
【図3】農業機械における遠隔監視端末装置の概略構成を示すブロック図である。
【図4】農業機械がコンバインの場合での各種接続端子に対応する出力要素の具体例を示す表である。
【図5】制御部における起動情報送信制御部による起動情報送信機能の動作過程を模式的に示す動作図である。
【図6】起動情報送信制御部により使用される位置情報記憶部のデータ構造を模式的に示す概略構成図である。
【図7】起動情報送信制御部による動作例を示すフローチャートである。
【図8】制御部における稼動情報送信制御部による稼動情報送信機能の動作過程を模式的に示す動作図である。
【図9】稼動情報送信制御部によって検出値情報の最大値、最小値、平均値、イベントの発生回数及び発生時間を求める動作例を説明するための説明図である。
【図10】稼動情報送信制御部により使用される第3データ記憶部のデータ構造を模式的に示す概略構成図である。
【図11】稼動情報送信制御部による動作例の前半部分を示すフローチャートである。
【図12】稼動情報送信制御部による動作例の後半部分を示すフローチャートである。
【図13】制御部におけるイベント情報送信制御部によるイベント情報送信機能の動作過程を模式的に示す動作図である。
【図14】イベント情報送信制御部による動作例の前半部分を示すフローチャートである。
【図15】イベント情報送信制御部による動作例の後半部分を示すフローチャートである。
【図16】図14及び図15に示すイベント情報送信制御部による動作の他の例を示すフローチャートである。
【図17】制御部におけるトレンド情報送信制御部によるトレンド情報送信機能の動作過程を模式的に示す動作図である。
【図18】トレンド情報送信制御部によって平均値を算出する算出例を説明するための説明図である。
【図19】トレンド情報送信制御部による動作例の前半部分を示すフローチャートである。
【図20】トレンド情報送信制御部による動作例の後半部分を示すフローチャートである。
【図21】制御部における位置情報送信制御部による位置情報送信機能の動作過程を模式的に示す動作図である。
【図22】位置情報送信制御部による動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について走行作業機械又は船舶としてコンバイン、耕耘機や田植機等の農業機械を例にとって添付図面を参照しつつ説明する。なお、以下の実施の形態は、本発明を具体化した例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
【0014】
[遠隔監視システムの全体構成について]
図1は、農業機械110,…を遠隔監視する遠隔監視システム100を模式的に示す概略構成図である。図2は、遠隔監視端末装置200を備えた農業機械110,…の概略構成を示すブロック図である。また、図3は、農業機械110における遠隔監視端末装置200の概略構成を示すブロック図である。
【0015】
図1に示すように、遠隔監視システム100は、1つ又は複数(ここでは複数)の農業機械(走行作業機械の一例)110,…と、農業機械110,…にそれぞれ設けられた遠隔監視端末装置200と、遠隔監視端末装置200に通信網140を介して接続される遠隔監視装置130とを備えている。
【0016】
遠隔監視装置130は、農業機械110,…に対して遠く離れた位置にある遠隔監視センター120に配置されており、農業機械110の稼動状態に関するデータを収集して蓄積するようになっている。そして、遠隔監視装置130は、LAN(Local Area Network)等のネットワーク150を介してパーソナルコンピュータや携帯端末機等の端末装置160,…に接続され、蓄積したデータが端末装置160,…に取り込まれることで、農業機械110のユーザやディーラ等の利用者によって利用されるようになっている。
【0017】
詳しくは、遠隔監視端末装置200及び遠隔監視装置130は、それぞれ、通信部210,131(具体的には通信モジュール)を有し、通信網140を介して互いの通信部210,131で接続されることで、遠隔監視端末装置200と遠隔監視装置130との間で情報の送受信を行うことが可能とされている。これにより、遠隔監視装置130は、遠隔監視センター120で利用者により農業機械110,…を遠隔監視できるようになっている。
【0018】
なお、通信網140は、有線通信網でもよいし、無線通信網でもよく、有線通信網及び無線通信網を組み合わせたものであってもよい。通信網140としては、代表的には、電気通信事業者が提供する公衆回線網であって、固定電話機や携帯電話機等の端末機同士を通信させる公衆回線網を挙げることができる。
【0019】
図2に示すように、農業機械110,…は、1つ又は複数(ここでは複数)の作業部111,…と、遠隔監視端末装置200とを備えている。ここで、作業部111,…としては、例えば、農業機械がコンバインである場合には、走行作業部、刈り取り作業部、脱穀作業部等を挙げることができる。
【0020】
各作業部111,…には、電子制御装置(具体的にはコントローラ)113,…が設けられている。電子制御装置113,…は、各種アクチュエータ(図示せず)に対して指令し、各作業部111,…への運転状態を適切に制御する。各電子制御装置113,…は、CAN(Controller Area Network)規格に基づいて互いにデータ転送されるようになっている。
【0021】
詳しくは、各電子制御装置113,…は、各作業部111,…での後述する各種センサにて検出した検出値情報(信号)及び後述する各種スイッチのオン・オフ情報に基づいて各作業部111,…への運転状態を作動制御する。また、各電子制御装置113,…は、農業機械110の故障等の異常が発生した否かの異常発生の有無を適宜判断し、異常が発生した場合には、該異常に応じたエラー情報(具体的にはエラーコード)を生成する。
【0022】
作業部111,…のうちのエンジン112を作動させる作動部(走行作業部111a)は、エンジン112と、エンジン112の回転数や負荷状態などを監視し、最適な噴射圧力や噴射時期を燃料システムに指示してエンジン全体を制御する電子制御装置113(エンジンコントローラ113a)と、発電機114と、起動スイッチSWとを備えており、バッテリーBTが搭載されている。そして、電子制御装置113(エンジンコントローラ113a)は、作動部111(走行作業部111a)の作動制御の他、運転開始/休止の操作や、エンジン112の駆動による運転状態の制御が行われるようになっている。
【0023】
なお、作動部111(走行作業部111a)の起動状態(エンジン112の稼動状態)において、発電機114から供給される電力によってバッテリーBTの充電が適宜行われるようになっている。
【0024】
作動部111(走行作業部111a)に備えられている起動スイッチSWは、バッテリーBTから遠隔監視端末装置200における制御部240及び電子制御装置113(エンジンコントローラ113a)へ電力を供給する電源オン状態と、バッテリーBTから遠隔監視端末装置200における制御部240及び電子制御装置113(エンジンコントローラ113a)への電力供給を遮断する電源オフ状態とを選択的に切り替える切り替えスイッチとされている。
【0025】
詳しくは、バッテリーBTは、遠隔監視端末装置200における制御部240に接続された電源接続ラインL1及び電子制御装置113(エンジンコントローラ113a)に接続された電源接続ラインL2の双方に起動スイッチSWを介して接続されている。
【0026】
この例では、起動スイッチSWは、所謂キースイッチと呼ばれるスイッチであり、「ON」端子は、エンジン112の運転状態での電源接続ラインL1,L2の接続端子である。「OFF」端子は、起動スイッチSWがオフ状態のときの端子である。
【0027】
なお、後述するように、定期的に電源を起動させるために、起動スイッチSWのオン状態及びオフ状態に関わらず、バッテリーBTと遠隔監視端末装置200における電源制御部220とが電源接続ラインLbtを介して接続されている。これにより、遠隔監視端末装置200における電源制御部220は、バッテリーBTからの電力が常時供給されるようになっている。
【0028】
[遠隔監視端末装置について]
図3に示すように、遠隔監視端末装置200は、通信部210と、農業機械110の起動スイッチSWがオフ状態のときに、定期的に電源を起動させる電源制御部220と、通信時におけるデータの送受信、各種の入出力制御及び演算処理の制御を行う制御部240と、農業機械110の稼動状態に関するデータが入力される複数の接続端子T,…とを備えている。
【0029】
(通信部)
通信部210は、遠隔監視センター120における遠隔監視装置130の通信部131と同一の通信プロトコル(通信規約)で通信可能とされている。通信時に送受信されるデータは、通信プロトコルに従うように通信部210で変換される。そして、通信部210は、制御部240にて取得した農業機械110の稼動状態に関するデータを遠隔監視装置130に送信する。
【0030】
(電源制御部)
電源制御部220は、タイマー機能を有しており、起動スイッチSWのオフ状態及びオン状態に関わらず、バッテリーBTに接続されている。具体的には、バッテリーBTと電源制御部220の入力側電源ライン(図示せず)とが電源接続ラインLbtによって接続されている。これにより、電源制御部220は、バッテリーBTからの電力が常時供給されるようになっている。
【0031】
また、電源制御部220の出力側電源ライン(図示せず)と制御部240の電源ライン(図示せず)とが電源接続ラインL3によって接続されている。
【0032】
そして、バッテリーBTの電力消費量を抑えるという観点から、起動スイッチSWがオフ状態となり、バッテリーBTと制御部240の入力側電源ラインとを接続する電源接続ラインL1への電力供給が遮断されているときに、遠隔監視端末装置200において、電源制御部220のタイマー機能によりバッテリーBTからの電力を定期的に制御部240へ供給するようになっている。
【0033】
詳しくは、電源制御部220には所定周期の時間(例えば30分)が予め設定されている。つまり、電源制御部220は、所定周期の時間が到来するまでは、入力側電源ラインと出力側電源ラインとが非導通状態となっている。そして、電源制御部220は、所定周期の時間が到来すると、予め定めた所定時間(例えば360秒(6分))だけ入力側電源ラインと出力側電源ラインとが導通状態になる。これにより、電源制御部220は、所定周期毎に、バッテリーBTからの電力を制御部240へ供給することができる。
【0034】
(位置検出部)
本実施の形態では、遠隔監視端末装置200は、GPS(Global Positioning System)衛星からの電波を受信するGPSセンサ(位置センサの一例)231と、GPSセンサ231にて受信した電波に基づいて農業機械110の位置情報を検出する位置検出部232と、位置検出部232にて検出した位置情報を一時的に格納する位置情報記憶部233とをさらに備えている。
【0035】
GPSセンサ231は、GPS衛星からの電波(世界標準時刻を含む情報)を受信するようになっている。
【0036】
位置検出部232は、農業機械110の位置情報の他、農業機械110の速度情報を検出したり、農業機械110の方位情報を検出したりすることができる。すなわち、位置情報は、農業機械110の緯度、経度、速度及び方位の情報を含んでいる。
【0037】
具体的には、位置検出部232は、GPSセンサ231及びGPS衛星と共に測位システムを構成している。位置検出部232は、GPSセンサ231で3以上のGPS衛星からの電波を受信してGPS衛星の発信時刻と受信時刻との時刻差からそれぞれとの距離を割り出すことにより、農業機械110の現在位置の位置情報(例えば緯度及び経度)を測定することができる。また、単位時間当たりの変位を割り出すことにより、農業機械110の速度情報及び方位情報を測定することができる。
【0038】
位置情報記憶部233は、RAM(Random Access Memory)等の揮発性メモリとされている。位置情報記憶部233は、電源制御部220に接続されており、バッテリーBTからの電力が常時供給されるようになっている。これにより、位置情報記憶部233は、起動スイッチSWがオフ状態のときでも、位置情報を保持できるようになっている。
【0039】
(制御部)
制御部240は、CPU(Central Processing Unit)等のマイクロコンピュータからなる処理部250と、ROM(Read Only Memory)、RAM等の揮発性メモリを含む記憶部(データ記憶部の一例)260とを有している。
【0040】
制御部240は、処理部250が記憶部260のROMに予め格納された制御プログラムを記憶部260のRAM上にロードして実行することにより、各種構成要素の作動制御を行うようになっている。記憶部260のRAMは、第1から第4データ記憶部261〜264とを提供する。
【0041】
(接続端子)
複数(ここでは70個)の接続端子T,…は、農業機械110の稼動状態に関するデータを出力する出力要素Q,…に接続される複数種類の接続端子であり、本実施の形態では、1個又は2個以上(ここでは32個)の第1接続端子T1,…と、1個又は2個以上(ここでは20個)の第2接続端子T2,…と、1個又は2個以上(ここでは4個)の第3接続端子T3,…と、1個又は2個以上(ここでは4個)の第4接続端子T4,…と、1個又は2個以上(ここでは8個)の第5接続端子T5,…と、1個又は2個以上(ここでは2個)の第6接続端子T6,…とを備えている。
【0042】
第1接続端子T1,…、第2接続端子T2,…、第3接続端子T3,…及び第4接続端子T4,…は、制御部240に接続されており、第1接続端子T1,…及び第2接続端子T2は、各作業部111,…における出力要素Q,…と電子制御装置113,…を介して接続するようになっている。また、第5接続端子T5,…及び第6接続端子T6,…は、制御部240に接続されており、各作業部111,…における出力要素Q,…と直接的に接続するようになっている。
【0043】
第1接続端子T1,…は、オン・オフ情報(具体的には0又は1の接点情報)、故障等の異常の有無を示すエラー状態情報(具体的には0又は1のエラー有無情報)等の二値情報(具体的には二値化信号)を出力する出力要素Qa,…に接続されて出力要素Qa,…からの二値情報が入力される。ここでは、二値情報は、CANのビットデータとして伝送される。
【0044】
二値情報を出力する出力要素Qa,…としては、電子制御装置113,…の入力系に接続されて農業機械110の稼動状態におけるオン・オフ情報を出力する各種スイッチWa,…や、電子制御装置113,…に設けられて各作業部111,…での故障等の異常の有無を示すエラー状態情報を出力する出力制御部Paを例示できる。
【0045】
具体的には、出力要素Qa,…が各種スイッチWa,…である場合には、第1接続端子T1,…は、各種スイッチWa,…からのオン・オフ情報が電子制御装置113,…を経て入力され、出力要素Qa,…が出力制御部Paである場合には、第1接続端子T1,…は、電子制御装置113,…における出力制御部Paからのエラー状態情報が入力される。
【0046】
第2接続端子T2,…は、予め定めた物理量を測定(検出)した値を示す数値データ、故障等の異常の内容を示すエラーコード、バッテリーBTの電圧値等の検出値情報(具体的には多値化デジタル信号)を出力する出力要素Qb,…に接続されて出力要素Qb,…からの検出値情報が入力される。ここでは、検出値情報は、CANの数値データとして伝送される。
【0047】
検出値情報を出力する出力要素Qb,…としては、電子制御装置113,…の入力系に接続されて農業機械110の稼動状態を検知する各種センサWb,…や、電子制御装置113(エンジンコントローラ113a)に設けられてバッテリーBTの電圧値を出力する出力制御部Pbを例示できる。
【0048】
具体的には、出力要素Qb,…が各種センサWb,…である場合には、第2接続端子T2,…は、各種センサWb,…からの数値データが電子制御装置113,…を経て入力され、出力要素Qb,…が出力制御部Pbである場合には、第2接続端子T2,…は、電子制御装置113(エンジンコントローラ113a)における出力制御部PbからのバッテリーBTの電圧値が入力される。
【0049】
第3接続端子T3,…は、積算時間等の積算情報を出力する出力要素Qc,…に接続されて出力要素Qc,…からの積算情報が入力される。ここでは、積算情報は、CANの積算データとして伝送される。
【0050】
積算情報を出力する出力要素Qc,…としては、電子制御装置113(エンジンコントローラ113a)に設けられてエンジン112の運転開始時(起動スイッチSWのオン操作を受け付けた時点)からエンジン112の運転停止時(起動スイッチSWのオフ操作を受け付けた時点)までのエンジン112の運転時間を積算した積算時間を出力する出力制御部Pcを例示できる。
【0051】
具体的には、出力要素Qc,…が出力制御部Pcである場合には、第3接続端子T3,…は、電子制御装置113(エンジンコントローラ113a)における出力制御部Pcからのエンジン112の積算時間が入力される。
【0052】
第4接続端子T4,…は、CANの通信プロトコル(通信規約)に関するエラー情報を出力する出力要素Qd,…に接続されて出力要素Qd,…からのエラー情報が入力される。
【0053】
エラー情報を出力する出力要素Qd,…としては、電子制御装置113,…に設けられてCANの通信プロトコルに関する仕様のエラーを認識して該エラーに応じたエラー情報を出力する出力制御部Pdを例示できる。
【0054】
具体的には、出力要素Qd,…が出力制御部Pdである場合には、第4接続端子T4,…は、電子制御装置113,…における出力制御部Pdからのエラー情報が入力される。
【0055】
第5接続端子T5,…は、二値情報を出力する出力要素Qe,…に接続されて出力要素Qe,…からの二値情報が入力される。
【0056】
二値情報を出力する出力要素Qe,…としては、農業機械110の稼動状態におけるオン・オフ情報を出力する各種スイッチWe,…を例示できる。
【0057】
具体的には、出力要素Qe,…が各種スイッチWe,…である場合には、第5接続端子T5,…は、各種スイッチWe,…からのオン・オフ情報が直接的に入力される。なお、第5接続端子T5,…は、各作業部111,…に電子制御装置113,…が存在する場合にも用いることができるが、主として、各作業部111,…に電子制御装置113,…が存在しない場合に有利である。
【0058】
第6接続端子T6,…は、予め定めた物理量を測定(検出)した値を示す数値データ(例えばバッテリーBTの電圧値や電子制御装置113,…に搭載された基板(図示せず)の温度)等の検出値情報(具体的にはアナログ信号)を出力する出力要素Qf,…に接続されて出力要素Qf,…からの検出値情報が入力される。
【0059】
検出値情報を出力する出力要素Qf,…としては、農業機械110の稼動状態を検知する各種センサWf,…を例示できる。
【0060】
具体的には、出力要素Qf,…が各種センサWf,…である場合には、第6接続端子T6,…は、各種センサWf,…からの数値データが直接的に入力される。
【0061】
なお、図3に示す起動情報送信制御部241、稼動情報送信制御部242、イベント情報送信制御部243、データ記憶制御部244、サンプリングデータ記憶制御部245、トレンド情報送信制御部246及び位置情報送信制御部247については、後述する。
【0062】
図4は、農業機械110がコンバインの場合での各種接続端子T1,…〜T6,…に対応する出力要素Qa,…〜Qf,…の具体例を示す表である。
【0063】
図4に示すように、第1接続端子T1,…に接続された出力要素Qa,…は、脱穀スイッチ、刈り取りスイッチ、エンジン関係のチャージ、油圧、水温、オーバーロード、エアクリーナ詰まり、排わら・カッタ詰まり、エンジン緊急停止等の警報といった32項目の二値情報を第1接続端子T1,…から入力する。第2接続端子T2,…に接続された出力要素Qb,…は、作業時及び非作業時での単位時間当たりのエンジン112の回転数、作業時及び非作業時でのエンジン112への負荷の程度を示すエンジン負荷率、作業時及び非作業時での車速、作業時及び非作業時での旋回モータの単位時間当たりの回転数といった20項目の検出値情報を第2接続端子T2,…から入力する。第3接続端子T3,…に接続された出力要素Qc,…は、4項目の積算情報(この例では1項目の積算情報)を第3接続端子T3,…から入力する。第4接続端子T4,…に接続された出力要素Qd,…は、4項目のエラー情報を第4接続端子T4,…から入力する。第5接続端子T5,…に接続された出力要素Qe,…は、8項目の二値情報を第5接続端子T5,…から入力する。また、第6接続端子T6,…に接続された出力要素Qf,…は、2項目の検出値情報(具体的にはバッテリー電圧及び基板温度)を第6接続端子T6,…から入力する。
【0064】
そして、制御部240は、特定の条件の場合において、起動情報を送信する起動情報送信機能として作用する起動情報送信制御部241と、稼動情報を送信する稼動情報送信機能として作用する稼動情報送信制御部242と、イベント情報を送信するイベント情報送信機能として作用するイベント情報送信制御部243と、トレンド情報を送信するトレンド情報送信機能として作用するトレンド情報送信制御部246と、位置情報及び日時を送信する位置情報送信機能として作用する位置情報送信制御部247と有している。
【0065】
次に、起動情報送信機能、稼動情報送信機能、イベント情報送信機能、トレンド情報送信機能及び位置情報送信機能について順に説明する。
【0066】
[起動情報送信機能]
図5は、制御部240における起動情報送信制御部241による起動情報送信機能の動作過程を模式的に示す動作図である。
【0067】
制御部240は、農業機械110の起動スイッチSWのオン操作時(図5のα1参照)に起動情報を遠隔監視装置130に送信する起動情報送信制御部241を備えている。ここで、起動情報は、起動時の農業機械110の位置情報(具体的には経度、緯度)及び日時(具体的には国際標準の西暦、年、月、日、時、分、秒)とされている。なお、位置情報は、農業機械110の速度や方位を含んでいてもよい。
【0068】
詳しくは、起動情報送信制御部241は、農業機械110の起動スイッチSWのオン操作を受け付けるオン操作受付部241aと、オン操作受付部241にて受け付けたときに、GPSセンサ231及び位置検出部232により農業機械110の位置情報及び日時を検出して取得するデータ取得部241bと、データ取得部241bにて取得した位置情報及び日時を位置情報記憶部233に一時的に格納させるデータ格納制御部241cと、位置情報記憶部233が格納している位置情報及び日時を通信部210から遠隔監視装置130に送信するデータ送信部241dとを含む動作部として機能する構成とされている。
【0069】
図6は、起動情報送信制御部241により使用される位置情報記憶部233のデータ構造を模式的に示す概略構成図である。
【0070】
図6に示すように、位置情報記憶部233には、農業機械110の起動スイッチSWのオン操作を受け付けたとき(起動時)の日時(具体的には国際標準の西暦、年、月、日、時、分、秒)及び位置情報(緯度、経度)が格納される。なお、位置情報記憶部233には、後述する位置情報送信制御部247のオフ操作受付部247a、データ取得部247b及びデータ格納制御部247cによって、農業機械110の起動スイッチSWのオフ操作を受け付けたとき(停止時)の日時(具体的には国際標準の西暦、年、月、日、時、分、秒)及び位置情報(緯度、経度)も格納される。
【0071】
ここで、起動スイッチSWのオン操作を受け付けた時点から、GPSセンサ231による検知動作によって農業機械110の位置情報及び日時を取得するまでの時間t(図5参照)としては、40秒〜180秒程度を例示できる。
【0072】
そして、起動情報送信制御部241は、起動スイッチSWのオン操作を受け付けた時点から予め定めた所定時間(例えば300秒(5分))の間に起動情報を取得できなかった場合には、起動情報の代わりに、データ送信部241dにより、起動スイッチSWがオン操作されたことを示すオン操作情報を遠隔監視装置130に送信する。
【0073】
なお、位置情報記憶部233には、起動スイッチSWのオン・オフ操作を1オン・オフ操作回数として過去の予め定めたオン・オフ操作回数分(例えば1オン・オフ操作回数分)の起動情報が保持される。
【0074】
また、遠隔監視端末装置200は、通信部210にて起動情報を遠隔監視装置130の通信部131の通信プロトコルに応じたフォーマットに変換した後、通信網140及び通信部131を経て遠隔監視装置130に送信する。これにより、遠隔監視センター側で農業機械110の起動情報(具体的には緯度、経度及び国際標準の西暦、年、月、日、時、分、秒)を確認することができる。このことは、後述する稼動情報送信機能の稼動情報、イベント情報送信機能のイベント情報、トレンド情報送信機能のトレンド情報及び位置情報送信機能の位置情報についても同様である。
【0075】
(起動情報送信制御部による動作例)
次に、起動情報送信制御部241による動作例について図7を参照しながら以下に説明する。図7は、起動情報送信制御部241による動作例を示すフローチャートである。
【0076】
図7に示すフローチャートでは、起動スイッチSWのオン操作を受け付けると(ステップSa1:Yes)、GPSセンサ231及び位置検出部232により農業機械110の起動情報(ここでは位置情報及び日時)を検出する(ステップSa2)。
【0077】
次に、農業機械110の起動情報を取得したか否かを判断し(ステップSa3)、起動情報を取得した場合には(ステップSa3:Yes)、取得した起動情報を位置情報記憶部233に格納し(ステップSa4)、位置情報記憶部233が格納している起動情報を遠隔監視装置130に送信し(ステップSa5)、処理を終了する。一方、ステップSa3で農業機械110の起動情報を取得できなかった場合には(ステップSa3:No)、所定時間(ここでは300秒)経過したか否かを判断し(ステップSa6)、所定時間経過していない場合には(ステップSa6:No)、ステップSa2に移行する。一方、ステップSa6で所定時間経過した場合には(ステップSa6:Yes)、起動スイッチSWがオン操作されたことを示すオン操作情報を遠隔監視装置130に送信し(ステップSa7)、処理を終了する。
【0078】
以上説明した起動情報送信機能によれば、運転開始時での農業機械110の起動情報(具体的には位置情報及び日時)を利用者に把握させるために必要なデータを遠隔監視装置130へ送信することができる。従って、農業機械110の運転開始時での起動情報(具体的には位置情報及び日時)を利用者に把握させることが可能となる。
【0079】
[稼動情報送信機能]
図8は、制御部240における稼動情報送信制御部242による稼動情報送信機能の動作過程を模式的に示す動作図である。なお、図8において、GPSセンサ231、位置検出部232及び位置情報記憶部233は図示を省略している。
【0080】
制御部240は、農業機械110の起動スイッチSWのオフ操作時(図8のα2参照)に稼動情報を遠隔監視装置130に送信する稼動情報送信制御部(データ要約制御部の一例)242を備えている。
【0081】
詳しくは、稼動情報送信制御部242は、接続端子T,…を介して入力された農業機械110の稼動状態に関するデータ(図4及び図6参照)を予め定めた所定周期(例えば0.1秒)毎に取得するデータ取得部242aと、データ取得部242aにて取得した所定周期毎のデータを最新分から直近の予め定めた所定回数(ポイント)分(例えば600回(ポイント))だけ第1データ記憶部(具体的にはリングバッファ)261に一時的に格納させる第1データ格納制御部242bと、第1データ格納制御部242bにて格納した所定周期毎のデータに基づいて起動スイッチSWのオン操作時から最新データ取得時までの稼動状態に関するデータの最小値、最大値及び平均値並びに予め定めた所定のイベントの発生回数及び発生時間を演算するデータ演算部242cと、データ演算部242cにて演算した農業機械110の稼動状態に関するデータの最小値、最大値並びに所定のイベントの発生回数及び発生時間を第3データ記憶部263に一時的に格納させる第2データ格納制御部242dとを含む動作部として機能する構成とされている。また、第2データ格納制御部242dは、積算情報及びエラー情報も第3データ記憶部263に一時的に格納させる。なお、本実施の形態では、第1データ記憶部261は、記憶領域が直列的に並んだバッファの両端を論理的に繋げてリング状に扱うことでデータを格納するリングバッファとして使用される。
【0082】
ここで、「稼動情報」は、農業機械110の起動スイッチSWのオン操作時での位置情報(具体的には経度、緯度)及び日時(具体的には国際標準の西暦、年、月、日、時、分、秒)(図6参照)、農業機械110の起動スイッチSWのオフ操作時での位置情報(具体的には経度、緯度)及び日時(具体的には国際標準の西暦、年、月、日、時、分、秒)(図6参照)、農業機械110の起動スイッチSWのオン操作時からオフ操作時までの各種スイッチWa,Weがオン操作された回数である各種スイッチWa,Weのオン回数及び各種スイッチWa,Weがオン状態となっていた時間である各種スイッチWa,Weのオン時間、各種センサWb,Wfからの検出値の最小値、最大値、平均値及び起動時と起動停止時との積算情報、予め定めた所定のイベントの発生回数及び発生時間、並びに、発生順での予め定めた所定発生回数分のエラー情報(具体的にはエラーコード)とされている。なお、エラー情報(具体的にはエラーコード)は、所定発生回数(例えば4回)を超えたエラー情報は送信(記憶)対象とはされていない。
【0083】
また、「予め定めた所定周期」としては、それには限定されないが、0秒を超え1秒未満の値のうちから選択された一定の第1周期(具体的には0.1秒)や、1秒以上60秒未満の値のうちから選択された一定の第2周期(具体的には1秒)を例示できる。ここでは、所定周期は、0.1秒とされている。なお、稼動情報送信制御部242は、第1周期(具体的には0.1秒)と第2周期(具体的には1秒)とを選択的に切り替える構成とされていていてもよい。この場合、第1周期と第2周期との切り替えは、遠隔監視端末装置200で行うようにしてもよいし、遠隔監視装置130で行うようにしてもよい。
【0084】
また、第1周期、第2周期、二値情報、検出値情報及びエラー情報の項目の設定値は、設定変更可能とされていてもよい。この場合、第1周期、第2周期、二値情報、検出値情報及びエラー情報の項目の設定値は、遠隔監視端末装置200で設定変更するようにしてもよいし、遠隔監視装置130で設定変更するようにしてもよい。また、遠隔監視端末装置200は、遠隔監視装置130からの第1周期、第2周期、二値情報、検出値情報及びエラー情報の項目の設定値変更に対する指示の許可を行うことができるようになっていてもよい。
【0085】
また、「所定のイベントの発生」とは、農業機械110において偶発的或いは非計画的に生じる予め定めた所定の操作や動作、状態の変化の発生をいう。「所定のイベントが発生するとき」としては、例えば、予め定めた作業項目に対する異常(具体的にはチャージ(発電)異常、油圧異常、水温異常等)を示すエラーが発生したとき、予め定めた所定操作部(具体的には走行操作部、刈り取り操作部、脱穀操作部等)で予め定めた作業項目に対するスイッチ(例えば走行スイッチ、刈り取りスイッチ、脱穀スイッチ等)のオン操作又はオフ操作を受け付けたとき、或いは、各種センサにて検知した検知値が予め設定した所定閾値を超えたときなどを挙げることができる。
【0086】
また、稼動情報送信制御部242による検出値情報の最大値、最小値、平均値、イベントの発生回数及び発生時間は、例えば、次のようにして求めることができる。
【0087】
なお、図8に示すオフ操作受付部242及びデータ送信部242fについては、後述する。
【0088】
図9は、稼動情報送信制御部242によって検出値情報の最大値、最小値、平均値、イベントの発生回数及び発生時間を求める動作例を説明するための説明図である。
【0089】
図9に示す稼動情報送信制御部242による動作例では、データ取得部242aは、農業機械110の起動スイッチSWのオン操作時から所定周期TA(例えば0.1秒)でデータDT(1)〜DT(n)(nは2以上の整数)を第1データ格納制御部242bにより第1データ記憶部261に一時的に格納していく。このとき、第1データ記憶部261には、出力要素(Qa,…),(Qe,…)で検知した所定周期毎の二値情報(具体的には接点情報及びエラー有無情報)、及び、出力要素(Qb,…),(Qf,…)で検知した所定周期毎の検出値情報(具体的には単位時間当たりのエンジン112の回転数、エンジン負荷率、車速、エラーコード、基板温度、バッテリー電圧など)が第1データ格納制御部242bにより格納される。また、第1データ記憶部261には、出力要素(Qc,…)で検知した所定周期毎の積算情報(積算時間)、及び、出力要素(Qd,…)で検知した所定周期毎のエラー情報も第1データ格納制御部242bにより格納される。
【0090】
そして、データ演算部242cは、検出値情報(具体的には単位時間当たりのエンジン112の回転数、エンジン負荷率、車速など)の最大値を求めるときには、出力要素(Qb,…),(Qf,…)で検知した検出値情報を第2データ格納制御部242dにより第3データ記憶部263に格納し、出力要素(Qb,…),(Qf,…)で次に検知した検出値情報と第3データ記憶部263に格納している検出値情報とを比較して出力要素(Qb,…),(Qf,…)で検知した検出値情報が第3データ記憶部263に格納している検出値情報よりも大きければ第3データ記憶部263に格納している検出値情報を出力要素(Qb,…),(Qf,…)で検知した検出値情報に入れ替えて最大値Dmaxを更新していく。
【0091】
また、データ演算部242cは、検出値情報の最小値を求めるときには、出力要素(Qb,…),(Qf,…)で検知した検出値情報を第2データ格納制御部242dにより第3データ記憶部263に格納し、出力要素(Qb,…),(Qf,…)で次に検知した検出値情報と第3データ記憶部263に格納している検出値情報とを比較して出力要素(Qb,…),(Qf,…)で検知した検出値情報が第3データ記憶部263に格納している検出値情報よりも小さければ第3データ記憶部263に格納している検出値情報を出力要素(Qb,…),(Qf,…)で検知した検出値情報に入れ替えて最小値Dminを更新していく。
【0092】
また、データ演算部242cは、検出値情報の平均値を算出するときは、第1データ記憶部261に格納した個々のデータDT(1)〜DT(n)(nは2以上の整数)の所定周期TA(例えば0.1秒)に対する2以上の整数倍m(例えばm=10倍)の平均化周期TB(例えばTA×m=0.1秒×10=1秒)毎のサンプリングデータDTA(1)(=DT(1)),DTA(2)(=DT(11)),DTA(3)(=DT(21)),…,DTA(i)(=DT(n−9))(i=n/m)のうち、最新の所定個数分j(例えばj=60)を第2データ格納制御部242dにより中間記憶部(具体的にはリングバッファ)261aに一時的に格納していく。
【0093】
次に、データ演算部242cは、個々のサンプリングデータDTA(1)〜DTA(i)の平均化周期TBに対する2以上の整数倍j(例えばj=60)のサンプリング周期TC(例えばTB×j=1秒×60=1分)毎の総和TLA(1)(=DTA(1)+…+DTA(j)),…,TLA(k)(=DTA(i−(j−1))+…+DTA(i))(k=i/j)をそれぞれ整数倍j(例えばj=60)で割った値(TLA(1)/j,…,TLA(k)/j)を1分平均値AVA(1),…,AVA(k)とし、こうして得られた1分平均値AVA(1),…,AVA(k)を第2データ格納制御部242dによりサンプリング周期TC毎に第2データ記憶部262に一時的に格納していく。
【0094】
そして、データ演算部242cは、起動スイッチSWのオフ操作時に第2データ記憶部262に格納している個々の1分平均値AVA(1),…,AVA(k)の総和TLBを個々の1分平均値AVA(1),…,AVA(k)の個数kで割った値(TLB/k)を平均値AVBとし、第2データ格納制御部242dにより第3データ記憶部263に格納に格納する。
【0095】
また、データ演算部242cは、イベントの発生回数及び発生時間を算出するときには、出力要素(Qa,…),(Qe,…)からの接点情報のオン回数(オフからオンに変化したときの回数)DTE1及びオン時間DTE2、出力要素(Qa,…),(Qe,…)からのエラー有無情報のオン回数DTE1及びオン時間DTE2を第2データ格納制御部242dによりそれぞれ第3データ記憶部263に格納し、出力要素(Qa,…),(Qe,…)で次に得られた接点情報とエラー有無情報とのオン回数及びオン時間を、第3データ記憶部263に格納しているオン回数DTE1及びオン時間DTE2にそれぞれ加算して更新していく。
【0096】
また、第2データ格納制御部242dは、出力要素Qc,…からの積算時間DSを起動時及び起動停止時に第3データ記憶部263に格納する。また、第2データ格納制御部242dは、出力要素Qd,…からのエラー情報を発生順から所定発生回数だけ第3データ記憶部263に格納する。
【0097】
図10は、稼動情報送信制御部242により使用される第3データ記憶部263のデータ構造を模式的に示す概略構成図である。
【0098】
図10に示すように、第3データ記憶部263には、起動スイッチSWのオン操作を受け付けた時点からオフ操作を受け付けた時点までの二値情報(具体的には接点情報とエラー有無情報と)のオン回数及びオン時間、起動スイッチSWのオン操作を受け付けた時点からオフ操作を受け付けた時点までの検出値情報(具体的には単位時間当たりのエンジン112の回転数、エンジン負荷率、車速など)の最大値、最小値、平均値及び積算情報が第2データ格納制御部242dにより格納される。
【0099】
そして、稼動情報送信制御部242(図8参照)は、農業機械110の起動スイッチSWのオフ操作を受け付けるオフ操作受付部242eと、オフ操作受付部242eにて起動スイッチSWのオフ操作を受け付けたときに、第3データ記憶部263が格納している最小値、最大値、平均値、イベントの発生回数及び発生時間並びに積算情報を通信部210から遠隔監視装置130へ送信するデータ送信部242fとを含む動作部としても機能する構成とされている。また、データ送信部242fは、オフ操作受付部242eにて起動スイッチSWのオフ操作を受け付けたときに、位置情報記憶部233が格納している位置情報及び日時も通信部210から遠隔監視装置130へ送信する。
【0100】
ここで、制御部240は、起動スイッチSWのオフ操作がなされても、電源制御部220により電源がオフされることはなく、データ送信部242fにて最小値、最大値、平均値、イベントの発生回数及び発生時間並びに積算情報さらには位置情報及び日時を送信した後に、電源制御部220により電源がオフされるようになっている。
【0101】
また、第3データ記憶部263には、起動スイッチSWのオン・オフ操作を1オン・オフ操作回数として過去の予め定めたオン・オフ操作回数分(例えば30オン・オフ操作回数分)の稼動情報が保持される。
【0102】
(稼動情報送信制御部による動作例)
次に、稼動情報送信制御部242による動作例について図11及び図12を参照しながら以下に説明する。図11及び図12は、それぞれ、稼動情報送信制御部242による動作例の前半部分及び後半部分を示すフローチャートである。
【0103】
図11に示すフローチャートでは、起動スイッチSWのオン操作を受け付けると(ステップSb1:Yes)、GPSセンサ231及び位置検出部232(図3参照)により農業機械110の位置情報及び日時を取得して位置情報記憶部233(図6参照)に格納する(ステップSb2)。
【0104】
次に、出力要素Q,…で農業機械110の稼動情報を検出し(ステップSb3)、所定周期TA(ここでは0.1秒)のタイミングか否かを判断し(ステップSb4)、所定周期TAのタイミングでない場合には(ステップSb4:No)、ステップSb3に移行する。一方、ステップSb4で所定周期TAのタイミングである場合には(ステップSb4:Yes)、出力要素Q,…から二値情報及び検出値情報を取得し(ステップSb5)、検出値情報の最大値Dmax及び最小値Dminを第3データ記憶部263に更新し(ステップSb6)、検出値情報の1分平均値AV(1)〜AV(k)を算出して第2データ記憶部262に格納し(ステップSb7)、接点情報とエラー有無情報とのオン回数DTE1及びオン時間DTE2を加算して第3データ記憶部263に格納し(ステップSb8)、さらに、エラーコード及び起動時の積算時間DSを第3データ記憶部263に格納する(ステップSb9)。
【0105】
次に、起動スイッチSWのオフ操作を受け付けたか否かを判断し(ステップSb10)、オフ操作を受け付けていない場合には(ステップSb10:No)、ステップSb3に移行する。一方、ステップSb10でオフ操作を受け付けた場合には(ステップSb10:Yes)、図12に示すように、GPSセンサ231及び位置検出部232(図3参照)により農業機械110の位置情報及び日時を取得して位置情報記憶部233(図6参照)に格納し(ステップSb11)、第2データ記憶部262が格納している個々の1分平均値AV(1)〜AV(k)の平均値AVBを算出して第3データ記憶部263に格納する(ステップSb12)。
【0106】
次に、起動停止時の積算時間DSを第3データ記憶部263に格納し(ステップSb13)、第3データ記憶部263が格納している最大値Dmax、最小値Dmin及び平均値AVB、接点情報とエラー有無情報とのオン回数DTE1及びオン時間DTE2並びにエラーコード及び起動時と起動停止時との積算時間DSを遠隔監視装置130に送信し(ステップSb14)、処理を終了する。このとき、位置情報記憶部233が格納している起動開始時及び起動停止時の位置情報及び日時も遠隔監視装置130に送信する。
【0107】
以上説明した稼動情報送信機能によれば、農業機械110の起動スイッチSWのオフ操作を受け付けたときに、起動時から最新データ取得時までの農業機械110の稼動状態に関するデータの最小値、最大値、平均値及び積算情報並びに所定のイベントの発生回数及び発生時間といった稼動状態を利用者に把握させるために必要なデータを遠隔監視装置130へ送信することができる。従って、農業機械110の各センサの最大値、最小値、平均値、スイッチのオン回数などの稼動状態を利用者に把握させることが可能となる。これにより、利用者は、情報蓄積による長期的な農業機械110の運転管理(例えば、作業日報、計画的なメンテナンス、市場での使用状況の把握、長期データの解析による部品の診断(経年劣化)などの運転管理)を行うことができる。また、稼動情報送信制御部242により、最小値、最大値、平均値、イベントの発生回数及び発生時間並びに積算情報といった、検出値情報を要約した稼動情報を遠隔監視装置130へ送信するので、遠隔監視装置130で集計しやすく、しかも遠隔監視装置130における記憶部(図示せず)の記憶容量や通信網140の通信負荷を軽減させることができる。
【0108】
[イベント情報送信機能]
図13は、制御部240におけるイベント情報送信制御部243によるイベント情報送信機能の動作過程を模式的に示す動作図である。なお、図13において、GPSセンサ231、位置検出部232及び位置情報記憶部233は図示を省略している。
【0109】
制御部240は、所定のイベントの発生時(図13のα3参照)にイベント情報を遠隔監視装置130に送信するイベント情報送信制御部(データ記憶制御部の一例)243を備えている。
【0110】
詳しくは、イベント情報送信制御部243は、接続端子T,…を介して入力された農業機械110の稼動状態に関するデータ(図4及び図6参照)を予め定めた所定周期TA(例えば0.1秒)毎に取得するデータ取得部243aと、データ取得部243aにて取得した所定周期毎のデータを最新分から直近の予め定めた所定回数(ポイント)分(例えば600回(ポイント))だけ第1データ記憶部(具体的にはリングバッファ)261に一時的に格納させる第1データ格納制御部243bと、農業機械110における予め定めた所定のイベントの発生を検出するイベント検出部243cと、イベント検出部243cにて検出した所定のイベントの発生時を条件として、所定のイベントが発生した時点のデータを含む所定回数(ポイント)分(具体的には600回(ポイント))のデータを第4データ記憶部264に格納させる第2データ格納制御部243dとを含む動作部として機能する構成とされている。
【0111】
ここで、「所定のイベントの発生時を条件として、第4データ記憶部264に格納した、所定のイベントが発生した時点のデータを含む所定回数(ポイント)分のデータ」は、第4データ記憶部264において、所定イベントの発生時点のデータが最新の格納位置のデータ(最新のデータ)とされていてもよいし、所定イベントの発生時点のデータが最も古い格納位置のデータ(最も古いデータ)とされていてもよく、また、所定イベントの発生時点のデータが最新の格納位置と最も古い格納位置との間の格納位置のデータ(最新のデータと最も古いデータとの間のデータ)とされていてもよい。なお、第2データ格納制御部243dは、所定イベントの発生時点のデータを、最も古い格納位置のデータ、又は、最新の格納位置と最も古い格納位置との間の格納位置のデータとする場合には、所定のイベントが発生した後も、必要な回数(ポイント)分のデータを第4データ記憶部264に格納させる。
【0112】
また、「所定のイベントが発生した時点のデータ」の格納位置は、設定変更可能とされていてもよい。この場合、「所定のイベントが発生した時点のデータ」の格納位置は、遠隔監視端末装置200で設定変更するようにしてもよいし、遠隔監視装置130で設定変更するようにしてもよい。また、遠隔監視端末装置200は、遠隔監視装置130からの「所定のイベントが発生した時点のデータ」の格納位置の設定値変更に対する指示の許可を行うことができるようになっていてもよい。
【0113】
また、「イベント情報」は、所定周期毎の農業機械110の位置情報(具体的には経度、緯度)及び日時(具体的には国際標準の西暦、年、月、日、時、分、秒)、所定周期毎の所定周期TA毎の二値情報(具体的には接点情報及びエラー有無情報)、所定周期毎の検出値情報(具体的には単位時間当たりのエンジン112の回転数、エンジン負荷率、車速、エラーコード、基板温度、バッテリー電圧など)、所定周期毎の積算情報、所定周期毎のエラー情報とされている。なお、位置情報は、農業機械110の速度や方位を含んでいてもよい。
【0114】
すなわち、第1データ記憶部261には、所定周期TA毎の瞬時データとして、位置情報及び日時、二値情報(具体的には接点情報及びエラー有無情報)、検出値情報(具体的には単位時間当たりのエンジン112の回転数、エンジン負荷率、車速、エラーコード、基板温度、バッテリー電圧など)、積算情報及びエラー情報が格納される。
【0115】
また、「予め定めた所定周期TA」は、稼動情報送信機能で説明した所定周期TAと同じであり、ここでは説明を省略する。
【0116】
また、「所定のイベントの発生」は、稼動情報送信機能で説明したイベントの発生と同じであり、ここでは説明を省略する。
【0117】
そして、イベント情報送信制御部243は、イベント検出部243cによる所定のイベントの検出によって、検出した所定のイベントを示す情報と、第4データ記憶部264が格納している所定回数(ポイント)分の全てのデータとを通信部210から遠隔監視装置130へ送信するデータ送信部243eを含む動作部としても機能する構成とされている。
【0118】
なお、第4データ記憶部264には、起動スイッチSWのオン・オフ操作を1オン・オフ操作回数として過去の予め定めたオン・オフ操作回数分(例えば4オン・オフ操作回数分)のイベント情報が保持される。
【0119】
(イベント情報送信制御部による動作例)
次に、イベント情報送信制御部243による動作例について図14及び図15を参照しながら以下に説明する。図14及び図15は、それぞれ、イベント情報送信制御部243による動作例の前半部分及び後半部分を示すフローチャートである。なお、本実施の形態では、第1データ記憶部261は、既述したように、記憶領域が直列的に並んだバッファの両端を論理的に繋げてリング状に扱うことでデータを格納するリングバッファとして使用される。
【0120】
図14に示すフローチャートでは、起動スイッチSWのオン操作を受け付けると(ステップSc1:Yes)、リングバッファとして使用される第1データ記憶部261をオールクリアする(ステップSc2)。
【0121】
次に、出力要素Q,…で農業機械110の稼動情報を検出し(ステップSc3)、所定周期TA(ここでは0.1秒)のタイミングか否かを判断し(ステップSc4)、所定周期TAのタイミングでない場合には(ステップSc4:No)、ステップSc3に移行する。一方、ステップSc4で所定周期TAのタイミングである場合には(ステップSc4:Yes)、GPSセンサ231及び位置検出部232(図3参照)により農業機械110の位置情報及び日時を取得して第1データ記憶部261に格納し(ステップSc5)、出力要素Q,…から二値情報、検出値情報、積算情報及びエラー情報を取得して第1データ記憶部261に格納する(ステップSc6)。
【0122】
次に、所定のイベントが発生したか否かを判断し(ステップSc7)、所定のイベントが発生していない場合には(ステップSc7:No)、ステップSc3へ移行する。一方、ステップSc7で所定のイベントが発生した場合には(ステップSc7:Yes)、図15に示すように、第1データ記憶部261から所定数回分(例えば600回分)の位置情報、日時、二値情報、検出値情報、積算情報及びエラー情報を取得し(ステップSc8)、取得した所定数回分の位置情報、日時、二値情報、検出値情報、積算情報及びエラー情報を第4データ記憶部264に格納し(ステップSc9)、第4データ記憶部264が格納している所定数回分の位置情報、日時、二値情報、検出値情報、積算情報及びエラー情報を所定のイベントを示す情報と共に遠隔監視装置130に送信する(ステップSc10)。
【0123】
次に、起動スイッチSWのオフ操作を受け付けたか否かを判断し(ステップSc11)、オフ操作を受け付けていない場合には(ステップSc11:No)、図14に示すステップSc3に移行する。一方、ステップSc11でオフ操作を受け付けた場合には(ステップSc11:Yes)、処理を終了する。
【0124】
以上説明したイベント情報送信機能によれば、所定のイベントの発生時を条件として、所定のイベントが発生した時点のデータを含む所定回数(ポイント)分のデータといった、所定のイベントが発生した農業機械110の稼動状態を利用者に精度良く把握させるために必要なデータを遠隔監視装置130へ送信することができる。従って、農業機械110において所定のイベントが発生した場合に所定のイベントが発生した農業機械110の稼動状態を利用者に精度良く把握させることが可能となる。例えば、所定のイベントの発生時が農業機械110の異常を検知した時である場合には、農業機械110の異常検知時での稼動状態を利用者に精度良く把握させることが可能となる。また、所定のイベントの発生時が農業機械110の予め定めた所定の動作を指示する操作スイッチ(具体的には走行操作スイッチ、刈り取り操作スイッチ、脱穀操作スイッチ)によるオン操作又はオフ操作を受け付けた時である場合には、農業機械110の操作スイッチによるオン操作又はオフ操作の受け付け時での稼動状態を利用者に精度良く把握させることが可能となる。これにより、所定のイベント(特に異常等の不都合)が発生したことを即時通知することができ、従って、該所定のイベント(特に異常等の不都合)に対して迅速な対応を行うことができる。また、所定のイベントの発生前、発生後或いは発生前後での農業機械110の稼動状態を詳細に解析でき、これにより、原因究明に有効に寄与することができる。
【0125】
なお、送信部243cは、所定のイベントの発生時を条件として、所定のイベントを示す情報と、第1データ記憶部261が格納している所定回数(ポイント)分のデータのうち何れか1回分のデータ(例えばイベントの発生時点のデータ)とを遠隔監視装置130に送信し、この1回(ポイント)分のデータにより、遠隔監視装置130から、第1データ記憶部261が格納している所定回数(ポイント)分のデータの送信要求があれば、第1データ記憶部261が格納している所定回数(ポイント)分の全てデータを前記遠隔監視装置に送信するようにしてもよい。
【0126】
図16は、図14及び図15に示すイベント情報送信制御部243による動作の他の例を示すフローチャートである。
【0127】
図16に示すフローチャートは、図15に示すイベント情報送信制御部243による動作の一例において、ステップSc8の前に、ステップSc71〜ステップSc74を設けたフローチャートである。
【0128】
図16に示すフローチャートでは、図14に示すステップSc7で所定のイベントが発生した場合には(ステップSc7:Yes)、第1データ記憶部261から所定数回分(ここでは600回分)のうち何れか1回分(例えば所定のイベントが発生した時点)の位置情報、日時、二値情報、検出値情報、積算情報及びエラー情報を取得し(ステップSc71)、取得した1回分の位置情報、日時、二値情報、検出値情報、積算情報及びエラー情報を所定のイベントを示す情報と共に遠隔監視装置130に送信する(ステップSc72)。
【0129】
次に、遠隔監視装置130から所定回数(ポイント)分のデータの送信要求があるか否かを判断し(ステップSc73)、送信要求がなく(ステップSc73:No)、予め定めた所定時間経過した場合には(ステップSc74:Yes)、ステップSc11へ移行する。一方、所定時間内に(ステップSc74:No)送信要求があれば(ステップSc73:Yes)、図15に示すステップSc8以降の処理と同じ処理を行う。
【0130】
図16に示すイベント情報送信制御部243による動作例では、第1データ記憶部261における所定回数(ポイント)分のデータのうちの1回(ポイント)分のデータにより、遠隔監視装置130側で必要に応じて第1データ記憶部261が格納している所定回数(ポイント)分の全てのデータを遠隔監視装置130に送信することができる。
【0131】
[トレンド情報送信機能]
図17は、制御部240におけるトレンド情報送信制御部246によるトレンド情報送信機能の動作過程を模式的に示す動作図である。なお、図17において、GPSセンサ231、位置検出部232及び位置情報記憶部233は図示を省略している。
【0132】
制御部240は、イベント情報を第1データ記憶部261に一時的に格納するデータ記憶制御部244と、遠隔監視装置130からの要求時(図17のα4参照)に、第2データ記憶部262が格納している全てのサンプリングデータを遠隔監視装置130に送信するサンプリングデータ記憶制御部245とを含むトレンド情報送信制御部246を備えている。
【0133】
詳しくは、データ記憶制御部244は、接続端子T,…を介して入力された農業機械110の稼動状態に関するデータ(図4及び図6参照)を予め定めた所定周期TA(例えば0.1秒)毎に取得する第1データ取得部244aと、第1データ取得部244aにて取得した所定周期毎のデータを最新分から直近の予め定めた所定回数(ポイント)分(例えば600回)だけ第1データ記憶部(具体的にはリングバッファ)261に一時的に格納させる第1データ格納制御部244bとを含む動作部として機能する構成とされている。
【0134】
サンプリングデータ記憶制御部245は、第1データ記憶部261が格納している所定回数分(例えば600回(ポイント))のデータから所定周期TA(例えば0.1秒)に対する2以上の整数倍(例えば600倍)のサンプリング周期TC(例えば1分)毎のサンプリングデータ(具体的には位置情報、日時、二値情報、検出値情報、積算情報、エラー情報)を取得する第2データ取得部245aと、第2データ取得部245aにて取得したサンプリングデータのうち平均値の演算対象となるサンプリングデータの平均値(具体的には単位時間当たりのエンジン112の回転数、エンジン負荷率、車速などの検出値情報の平均値)を演算するデータ演算部245bと、第2データ取得部245aにて取得したサンプリングデータ(具体的には二値情報、検出値情報、積算情報、エラー情報)及びデータ演算部245bにて演算したサンプリングデータの平均値(具体的には単位時間当たりのエンジン112の回転数、エンジン負荷率、車速などの検出値情報の平均値)を第2データ記憶部262に一時的に格納させる第2データ格納制御部245cとを含む動作部として機能する構成とされている。
【0135】
ここで、「トレンド情報」は、サンプリング周期TC毎の農業機械110の位置情報(具体的には経度、緯度)及び日時(具体的には国際標準の西暦、年、月、日、時、分、秒)、サンプリング周期TC毎の二値情報、検出値情報、検出値情報の平均値、積算情報、エラー情報とされている。なお、位置情報は、農業機械110の速度や方位を含んでいてもよい。
【0136】
また、「予め定めた所定周期TA」は、稼動情報送信機能で説明した所定周期TAと同じであり、ここでは説明を省略する。
【0137】
また、トレンド情報送信制御部246によるサンプリングデータ(具体的には検出値情報)の平均値の算出は、例えば、次のようにして行うことができる。
【0138】
なお、図17に示す要求検出部245d及びデータ送信部245eについては、後述する。
【0139】
図18は、トレンド情報送信制御部246によって平均値を算出する算出例を説明するための説明図である。
【0140】
図18に示すトレンド情報送信制御部246による算出例では、データ記憶制御部244において、データ取得部244aは、農業機械110の起動スイッチSWのオン操作時から所定周期TA(例えば0.1秒)でデータDT(1)〜DT(n)(nは2以上の整数)を第1データ格納制御部244bにより第1データ記憶部261に一時的に格納していく。このとき、第1データ記憶部261には、出力要素(Qa,…),(Qe,…)で検知した所定周期毎の二値情報(具体的には接点情報及びエラー有無情報)、出力要素(Qb,…),(Qf,…)で検知した所定周期毎の検出値情報(具体的には単位時間当たりのエンジン112の回転数、エンジン負荷率、車速、エラーコード、基板温度、バッテリー電圧など))が第1データ格納制御部244bにより格納される。また、第1データ記憶部261には、出力要素(Qc,…)で検知した所定周期毎の積算情報(積算時間)、出力要素(Qd,…)で検知した所定周期毎のエラー情報も第1データ格納制御部244bにより格納される。
【0141】
次に、サンプリングデータ記憶制御部245において、データ演算部245bは、第2データ取得部245aで第1データ記憶部261から取得した個々のデータDT(1)〜DT(n)(nは2以上の整数)の所定周期TA(例えば0.1秒)に対する2以上の整数倍m(例えばm=10倍)の平均化周期TB(例えばTA×m=0.1秒×10=1秒)毎のサンプリングデータDTA(1)(=DT(1)),DTA(2)(=DT(11)),DTA(3)(=DT(21)),…,DTA(i)(=DT(n−9))(i=n/m)のうち、最新の所定個数分j(例えばj=60)を第2データ格納制御部245cにより中間記憶部(具体的にはリングバッファ)261aに一時的に格納していく。
【0142】
次に、データ演算部245bは、個々のサンプリングデータDTA(1)〜DTA(i)の平均化周期TBに対する2以上の整数倍j(例えばj=60)のサンプリング周期TC(例えばTB×j=1秒×60=1分)毎の総和TLA(1)(=DTA(1)+…+DTA(j)),…,TLA(k)(=DTA(i−(j−1))+…+DTA(i))(k=i/j)をそれぞれ整数倍j(例えばj=60)で割った値(TLA(1)/j,…,TLA(k)/j)を1分平均値AVA(1),…,AVA(k)とし、こうして得られた1分平均値AVA(1),…,AVA(k)を第2データ格納制御部245cによりサンプリング周期TC毎に第2データ記憶部262に一時的に格納していく。
【0143】
なお、サンプリングデータ記憶制御部245は、1分平均値の第2データ記憶部262へのサンプリング周期TC毎の平均値格納動作と、瞬時データの検出値情報の第2データ記憶部262へのサンプリング周期TC毎の瞬時データ格納動作とを選択的に切り替える構成とされていてもよい。
【0144】
また、第2データ記憶部262には、サンプリング周期TC毎の瞬時データとして、二値情報(具体的には接点情報及びエラー有無情報)、検出値情報(具体的には単位時間当たりのエンジン112の回転数、エンジン負荷率、車速、エラーコード、基板温度、バッテリー電圧など)、積算情報及びエラー情報が第2データ格納制御部245cにより格納される。
【0145】
そして、サンプリングデータ記憶制御部245は、遠隔監視装置130からの要求を検出する要求検出部245dと、要求検出部245dにて遠隔監視装置130から要求を受けた時、及び、作業が終了した時(具体的には起動スイッチSWのオフ操作を受け付けた時)のうち少なくとも一方の時(ここでは双方の時)に、第2データ記憶部262が格納しているサンプリングデータを通信部210から遠隔監視装置130へ送信するデータ送信部245eとを含む動作部としても機能する構成とされている。
【0146】
ここで、第2データ記憶部262に格納されるサンプリング周期TC(具体的には1分)毎のデータの容量は、予め定めた所定回数(ポイント)(具体的には720回(ポイント))分の容量とされている。
【0147】
また、第2データ記憶部262には、起動スイッチSWのオン・オフ操作を1オン・オフ操作回数として過去の予め定めたオン・オフ操作回数分(例えば1オン・オフ操作回数分)のトレンド情報が保持される。
【0148】
また、平均化周期TB及びサンプリング周期TC並びに平均値格納動作と瞬時データ格納動作との切り替え設定は、設定変更可能とされていてもよい。この場合、平均化周期TB及びサンプリング周期TC並びに平均値格納動作と瞬時データ格納動作との切り替え設定は、遠隔監視端末装置200で設定変更するようにしてもよいし、遠隔監視装置130で設定変更するようにしてもよい。また、遠隔監視端末装置200は、遠隔監視装置130からの平均化周期TB及びサンプリング周期TC並びに平均値格納動作と瞬時データ格納動作との切り替え設定の設定値変更に対する指示の許可を行うことができるようになっていてもよい。
【0149】
本実施の形態では、データ送信部245eは、第1データ記憶部261へのデータの格納回数が所定回数(例えば記憶容量の限界に相当する回数)に到達したときに、第1データ記憶部261が格納している所定回数(ポイント)分の全てのデータを通信部210から遠隔監視装置130へ送信し、格納回数を初期化する(具体的には格納回数を0にする)。
【0150】
(トレンド情報送信制御部による動作例)
次に、トレンド情報送信制御部246による動作例について図19及び図20を参照しながら以下に説明する。図19及び図20は、それぞれ、トレンド情報送信制御部246による動作例の前半部分及び後半部分を示すフローチャートである。なお、本実施の形態では、第1データ記憶部261は、既述したとおり、記憶領域が直列的に並んだバッファの両端を論理的に繋げてリング状に扱うことでデータを格納するリングバッファとして使用される。
【0151】
図19に示すフローチャートでは、起動スイッチSWのオン操作を受け付けると(ステップSd1:Yes)、第1データ記憶部261へのデータの格納回数を0にして、リングバッファとして使用される第1データ記憶部261をオールクリアする(ステップSd2)。
【0152】
次に、出力要素Q,…で農業機械110の稼動情報を検出し(ステップSd3)、所定周期TA(ここでは0.1秒)のタイミングか否かを判断し(ステップSd4)、所定周期TAのタイミングでない場合には(ステップSd4:No)、ステップSd3に移行する。一方、ステップSd4で所定周期TAのタイミングである場合には(ステップSd4:Yes)、GPSセンサ231及び位置検出部232(図3参照)により農業機械110の位置情報及び日時を取得して第1データ記憶部261に格納し(ステップSd5)、出力要素Q,…から二値情報、検出値情報、積算情報及びエラー情報を取得して第1データ記憶部261に格納する(ステップSd6)。このとき格納回数に1を加算する。
【0153】
次に、サンプリング周期TC(ここでは1分)のタイミングか否かを判断し(ステップSd7)、サンプリング周期TCのタイミングでない場合には(ステップSd7:No)、ステップSd3に移行する。一方、ステップSd7でサンプリング周期TCのタイミングである場合には(ステップSd7:Yes)、第1データ記憶部261が格納している所定回数(ポイント)分(ここでは600回(ポイント))のデータからサンプリング周期TC毎の二値情報、検出値情報、積算情報及びエラー情報(サンプリングデータ)を取得し(ステップSd8)、検出値情報の平均値(サンプリングデータの平均値)を算出し(ステップSd9)、取得したサンプリングデータ及び算出したサンプリングデータの平均値を第2データ記憶部262に格納する(ステップSd10)。
【0154】
次に、図20に示すように、遠隔監視装置130から要求を受けたか否かを判断し(ステップSd11)、遠隔監視装置130から要求を受けた場合には(ステップSd11:Yes)、第2データ記憶部262が格納しているサンプリングデータ及びサンプリングデータの平均値を全て遠隔監視装置130に送信する(ステップSd12)。
【0155】
そして、起動スイッチSWがオフ操作されたか否かを判断し(ステップSd13)、オフ操作されていない場合には(ステップSd13:No)、図19に示すステップSd2に移行する。また、ステップSd13でオフ操作された場合には(ステップSd13:Yes)、第2データ記憶部262が格納しているサンプリングデータ及びサンプリングデータの平均値を全て遠隔監視装置130に送信し(ステップSd14)、処理を終了する。
【0156】
一方、ステップSd11で遠隔監視装置130から要求を受けていない場合には(ステップSd11:No)、第1データ記憶部261へのデータの格納回数が所定回数(ここでは記憶容量の限界に相当する回数)に到達したか否かを判断し(ステップSd14)、第1データ記憶部261へのデータの格納回数が所定回数に到達していない場合には(ステップSd14:No)、そのままステップSd13に移行する。一方、ステップSd14で第1データ記憶部261へのデータの格納回数が所定回数に到達した場合には(ステップSd14:Yes)、第1データ記憶部261へのデータの格納回数を0にして、第1データ記憶部261が格納している所定回数(ポイント)分の全てのデータを遠隔監視装置130に送信し(ステップSd15)、ステップSd13に移行する。
【0157】
なお、図19及び図20のフローチャートにおいて、図20のステップSd14,Sd15の処理を除去し、図19のステップSd6とステップSd7との間にステップSd14,Sd15の処理を設けてもよい。
【0158】
以上説明したトレンド情報送信機能によれば、遠隔監視装置130から要求を受けた時、及び/又は、作業が終了した時(具体的には起動スイッチSWのオフ操作を受け付けた時)に、第2データ記憶部262の記憶容量を抑えつつ、所定周期TA毎のデータからサンプリング周期TC毎に大まかに取得したサンプリングデータといった、農業機械110の全稼動期間を通じた稼動状態に関するデータをより多く第2データ記憶部262に格納して遠隔監視装置130へ送信することができる。ここで、本実施の形態では、第2データ記憶部262に格納されるサンプリング周期TC(具体的には1分)毎のデータの容量は、所定回数(ポイント)(具体的には720回(ポイント))分の容量(12時間(=720分)分の容量)とされており、よって、通常は、起動スイッチSWが12時間を超えて連続してオン状態となることは少ないために、実質的には、第2データ記憶部262には、農業機械110の全稼動期間を通じた稼動状態に関するデータを格納して遠隔監視装置130へ送信することができる。
【0159】
従って、農業機械110の全稼動期間を通じた稼動状態(例えば異常等の不都合)を利用者に把握させやすくすることが可能となる。また、農業機械110の初期安定管理、モニタや試験等に好適に利用することができる。
【0160】
しかも、第1データ記憶部261へのデータの格納回数が所定回数に到達したときに、第1データ記憶部261が格納している所定回数(ポイント)分の全てのデータを遠隔監視装置130へ送信することで、遠隔監視装置130から要求を受けたか否かに拘わらず、格納回数が所定回数に到達したときに、第1データ記憶部261における所定回数(ポイント)分の全てのデータを遠隔監視装置130へ送信することができる。従って、第1データ記憶部261の記憶容量を所定回数(ポイント)分に抑えつつ、農業機械110の全稼動期間を通じた稼動状態に関するデータを全て遠隔監視装置130へ送信することができ、これにより、農業機械110の全稼動期間を通じた稼動状態を利用者に確実に把握させることが可能となる。
【0161】
[位置情報送信機能]
図21は、制御部240における位置情報送信制御部247による位置情報送信機能の動作過程を模式的に示す動作図である。
【0162】
制御部240は、農業機械110の起動スイッチSWのオフ操作(図21のα5参照)を受け付けたときに、位置情報(具体的には経度、緯度)及び日時(具体的には国際標準の西暦、年、月、日、時、分、秒)を位置情報記憶部233に格納し、起動スイッチSWのオフのときに格納した位置情報と、起動スイッチSWのオフの期間に検出した位置情報とが異なる場合に、検出した位置情報及び日時を遠隔監視装置130に送信する位置情報送信制御部247を備えている。
【0163】
詳しくは、位置情報送信制御部247は、農業機械110の起動スイッチSWのオフ操作を受け付けるオフ操作受付部247aと、オフ操作受付部247aにて受け付けたときに、GPSセンサ231及び位置検出部232により位置情報及び日時を検出して取得するデータ取得部247bと、データ取得部247bにて取得した位置情報及び日時を位置情報記憶部233に一時的に格納させるデータ格納制御部247cと、起動スイッチSWのオフの期間には、予め定めた所定周期TD(例えば30分)毎にGPSセンサ231及び位置検出部232にて位置情報及び日時を検出するデータ検出部247dとを含む動作部として機能する構成とされている。
【0164】
位置情報記憶部233(図6参照)には、農業機械110の起動スイッチSWのオフ操作を受け付けたときの位置情報(緯度、経度)及び日時(具体的には国際標準の西暦、年、月、日、時、分、秒)がデータ格納制御部247cにより格納される。ここで、位置情報は、農業機械110の速度や方位を含んでいてもよい。
【0165】
詳しくは、データ検出部247dは、起動スイッチSWのオフの期間に、電源制御部220により所定周期TD(例えば30分)毎に電源がオンされて農業機械110の位置情報及び日時を検出する。
【0166】
そして、起動情報送信制御部241は、位置情報記憶部233が格納している(起動スイッチSWのオフ時に格納した)位置情報と、データ検出部247dにより所定周期TD(例えば30分)毎に検出した位置情報とが異なる場合に、GPSセンサ及び位置検出部232で検出した位置情報及び日時を通信部210から遠隔監視装置130へ送信するデータ送信部247eを含む動作部としても機能する構成とされている。
【0167】
ここで、所定周期TDは、設定変更可能とされていてもよい。この場合、所定周期TDは、遠隔監視端末装置200で設定変更するようにしてもよいし、遠隔監視装置130で設定変更するようにしてもよい。また、遠隔監視端末装置200は、遠隔監視装置130からの所定周期TDの設定値変更に対する指示の許可を行うことができるようになっていてもよい。
【0168】
ここで、制御部240は、起動スイッチSWのオフ操作がなされても、電源制御部220により電源がオフされることはなく、データ格納制御部247cにて位置情報及び日時を位置情報記憶部233に格納した後に、電源制御部220により電源がオフされるようになっている。
【0169】
(位置情報送信制御部による動作例)
次に、位置情報送信制御部247による動作例について図22を参照しながら以下に説明する。図22は、位置情報送信制御部247による動作例を示すフローチャートである。
【0170】
図22に示すフローチャートでは、起動スイッチSWのオフ操作を受け付けると(ステップSe1)、GPSセンサ231及び位置検出部232により農業機械110の位置情報及び日時を検出して取得し(ステップSe2)、取得した位置情報及び日時を位置情報記憶部233に格納し(ステップSe3)、電源制御部220により電源をオフする(ステップSe4)。
【0171】
次に、所定周期TD(ここでは30分)のタイミングか否かを判断し(ステップSe5)、所定周期TDのタイミングになるまで待機する(ステップSe5:No)。一方、ステップSe5で所定周期TDのタイミングである場合には(ステップSe5:Yes)、電源制御部220によるオフ制御を解除して電源をオンし(ステップSe6)、GPSセンサ231及び位置検出部232により農業機械110の位置情報及び日時を検出して取得する(ステップSe7)。
【0172】
次に、位置情報記憶部233が格納している位置情報が検出した位置情報と異なるか否かを判断し(ステップSe8)、位置情報記憶部233が格納している位置情報が検出した位置情報と同じ場合には(ステップSe8:No)、ステップSe5に移行する。一方、ステップSe8で位置情報記憶部233が格納している位置情報が検出した位置情報と異なる場合には(ステップSe8:Yes)、検出した位置情報及び日時を遠隔監視装置130に送信し(ステップSe9)、電源制御部220によるオフ制御を戻して電源をオフする(ステップSe10)。
【0173】
次に、起動スイッチSWのオン操作を受け付けたか否かを判断し(ステップSe11)、オン操作を受け付けていない場合には(ステップSe11:No)、ステップSe5に移行する。一方、ステップSe11でオン操作を受け付けた場合には(ステップSe11:Yes)、処理を終了する。
【0174】
以上説明した位置情報送信機能によれば、農業機械110の起動スイッチSWのオフ操作を受け付けたときに、GPSセンサ231で位置情報及び日時を検出して位置情報記憶部233に格納し、起動スイッチSWのオフの期間には、所定周期TD毎に定期的に電源を起動してGPSセンサ231で位置情報及び日時を検出し、位置情報記憶部233が格納している位置情報と所定周期TD毎に定期的に検出した位置情報とが異なる場合に、GPSセンサ231で検出した位置情報及び日時を遠隔監視装置130に送信することで、バッテリーの消費電力を抑えながら農業機械110の位置情報を監視でき、起動スイッチSWをオフした時点の位置から前記走行作業機械又は前記船舶が移動させられたか否かを利用者に把握させることが可能となる。これにより、起動スイッチSWをオフした時点の位置から、盗難等により農業機械110が移動させられた場合に対応させることが可能となる。
【0175】
(他の実施の形態について)
本実施の形態に係る遠隔監視端末装置200は、コンバイン、耕耘機や田植機等の走行作業機械に適用したが、それに限定されるものではなく、トラクター、ショベルカー、ホイルローダやキャリヤ等の建設作業機械といった走行作業機や、プレジャーボート、漁船といった船舶にも好適に適用することができる。
【符号の説明】
【0176】
100 遠隔監視システム
110 農業機械(走行作業機械の一例)
120 遠隔監視センター
130 遠隔監視装置
140 通信網
200 遠隔監視端末装置
210 通信部
220 電源制御部
231 GPSセンサ(位置センサの一例)
232 位置検出部
233 位置情報記憶部
240 制御部
241 起動情報送信制御部
242 稼動情報送信制御部(データ要約制御部の一例)
243 イベント情報送信制御部(データ記憶制御部の一例)
244 データ記憶制御部
245 サンプリングデータ記憶制御部
246 トレンド情報送信制御部
247 位置情報送信制御部
250 処理部
260 記憶部(データ記憶部の一例)
261 第1データ記憶部
262 第2データ記憶部
263 第3データ記憶部
264 第4データ記憶部
BT バッテリー
SW 起動スイッチ
T,… 接続端子
TA 所定周期
TB 平均化周期
TC サンプリング周期
TD 所定周期

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行作業機械又は船舶に備えられ、遠隔監視装置との間で通信を行うことにより前記遠隔監視装置で遠隔監視される走行作業機械又は船舶の遠隔監視端末装置であって、
前記走行作業機械又は前記船舶の稼動状態に関するデータが入力される複数の接続端子と、
前記接続端子を介して入力された前記データを予め定めた所定周期毎に最新分から直近の予め定めた所定回数分だけ第1データ記憶部に一時的に格納するデータ記憶制御部と、
前記第1データ記憶部が格納している前記所定回数分のデータから前記所定周期に対して2以上の整数倍としたサンプリング周期毎のサンプリングデータを第2データ記憶部に格納するサンプリングデータ記憶制御部と、
前記遠隔監視装置と通信する通信部と
を備え、
前記サンプリングデータ記憶制御部は、前記遠隔監視装置から要求を受けたとき、または作業が終了したときに、前記第2データ記憶部が格納している前記サンプリングデータを前記通信部から前記遠隔監視装置へ送信する構成とされていることを特徴とする走行作業機械又は船舶の遠隔監視端末装置。
【請求項2】
請求項1に記載の走行作業機械又は船舶の遠隔監視端末装置であって、
前記データ記憶制御部は、前記第1データ記憶部への前記データの格納回数が前記所定回数に到達したときに、前記第1データ記憶部が格納している前記所定回数分のデータを前記通信部から前記遠隔監視装置へ送信し、前記格納回数を初期化する構成とされていることを特徴とする走行作業機械又は船舶の遠隔監視端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2013−81439(P2013−81439A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−225242(P2011−225242)
【出願日】平成23年10月12日(2011.10.12)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】