説明

走行実績データベース作成システム,走行実績データ提供システム,及びナビゲーションシステム

【課題】中大型車にも対応可能な走行実績データベース作成システムを提供する。
【解決手段】複数の車両10の走行実績データが格納されるデータベース35を有するデータセンタ30と、車両10に搭載されデータセンタ30と通信可能な通信部22を有する車載器20とを備える走行実績データベース作成システム100であって、車載器20は、車両10の位置情報を取得する位置情報取得部21を備え、データセンタ30は、車載器20から送信された車両10の識別情報と位置情報とを含む走行履歴データを受信し、走行履歴データに基づいて、車両10の車格を識別する車格情報を、車両10の位置情報と当該位置情報が取得された時刻とともに走行実績データとしてデータベース35に格納する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の走行実績のデータベースを作成するシステム,データベースに格納された車両の走行実績データを提供するシステム,及び走行実績データを用いたナビゲーションシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、走行する車両の運転者に交通情報を提供するシステムが用いられている。特許文献1には、走行する車両の位置と時間との配列によって構成されるプローブデータを用いて交通情報を生成する交通情報生成装置が開示されている。この交通情報生成装置では、その道路を実際に走行した車両の走行実績に基づいて交通情報を生成するため、実際の状況に合致した交通情報を生成可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平2007−241987号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、一般に、特許文献1のような交通情報生成装置は、乗用車を対象としたものである。そのため、車格の区分によって通行可能な道路が制限される中大型車には、交通情報生成装置によって生成された交通情報をそのまま適用することができなかった。
【0005】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、中大型車にも対応可能な走行実績データベース作成システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、複数の車両の走行実績データが格納されるデータベースを有するデータセンタと、前記車両に搭載され前記データセンタと通信可能な通信部を有する車載器と、を備える走行実績データベース作成システムであって、前記車載器は、前記車両の位置情報を取得する位置情報取得部を備え、前記データセンタは、前記車載器から送信された前記車両の識別情報と位置情報とを含む走行履歴データを受信し、前記走行履歴データに基づいて、前記車両の車格を識別する車格情報を、前記車両の位置情報と当該位置情報が取得された時刻とともに走行実績データとして前記データベースに格納することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明では、車両の車格を識別する車格情報が、車両の位置情報と当該位置情報が取得された時刻とともに走行実績データとしてデータベースに格納される。よって、車両の車格情報を含む走行実績データベースを作成することができる。したがって、中大型車にも対応可能な走行実績データベース作成システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態に係る走行実績データベース作成システム,走行実績データ提供システム,及びナビゲーションシステムの制御ブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態の変形例に係る走行実績データベース作成システム,走行実績データ提供システム,及びナビゲーションシステムの制御ブロック図である。
【図3】走行実績データが格納されたデータベースの例を示す図である。
【図4】走行実績データが重ねて表示された地図データの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態に係る走行実績データベース作成システム100,走行実績データ提供システム200,及びナビゲーションシステム300について説明する。
【0010】
まず、図1及び図3を参照して、本発明の実施の形態に係る走行実績データベース作成システム100について説明する。
【0011】
走行実績データベース作成システム100は、複数の車両10の走行実績データが格納されるデータベース35を有するデータセンタ30と、車両10に搭載されデータセンタ30と通信可能な車載器20とを備える。
【0012】
車両10は、GPS(Global Positioning System:全地球測位システム)衛星(図示省略)から位置データを受信するGPSアンテナ11と、データ通信網5を介して他の機器との間でデータ通信可能なデータ通信モジュール12と、運転者によって操作及び視認可能な位置に搭載される車載器20と、ナビゲーションシステム300とを備える。
【0013】
GPSアンテナ11は、車載器20の位置情報取得部21と、ナビゲーションシステム300の位置情報取得部51とに車両10の位置データを送信する。GPSアンテナ11は、車載器20の外部に設ける代わりに、車載器20内に設けたり、ナビゲーションシステム300内に設けたりしてもよい。
【0014】
データ通信モジュール12は、車載器20からデータセンタ30にデータを送信するとともに、ナビゲーションシステム300にて用いられるデータをデータセンタ30から受信するものである。データ通信モジュール12もまた、車載器20の外部に設ける代わりに、車載器20内に設けたり、ナビゲーションシステム300内に設けたりしてもよい。
【0015】
車載器20は、車両10の位置情報を取得する位置情報取得部21と、データ通信モジュール12を介してデータセンタ30と通信可能な通信部22と、時刻を取得する時刻取得部23と、車両10の識別情報を記憶する車両情報記憶部24とを備える。
【0016】
位置情報取得部21は、GPSアンテナ11からの位置データを受信し、車両10が位置する地点における緯度及び経度等の情報を取得する。位置情報取得部21にて取得された緯度及び経度等の情報は、通信部22に送信される。
【0017】
時刻取得部23は、車載器20に内蔵された時計から、時刻を取得する。時刻取得部23は、車載器20に内蔵された時計に代えて、GPSアンテナ11を介して受信したデータに含まれる時刻データに基づいて時刻を取得してもよい。時刻取得部23にて取得された時刻は、通信部22に送信される。
【0018】
車両情報記憶部24は、車両10の車格を識別する車格情報を含む車両10の識別情報をあらかじめ記憶する。
【0019】
車両10の車格情報は、通行可能な道路が制限される車両10の区分に基づいて設定される情報である。具体的には、車両10の車格情報は、当該車両10の車幅と車高と総重量との情報である。
【0020】
例えば、幅が狭い区間がある道路などでは、車幅が2.2[m]を超える車両10の走行が制限される場合があったり、歩道橋や立体交差のある道路などでは、車高が3.8[m]を超える車両10の走行が制限される場合がある。また、道路に橋梁が含まれる場合などは、総重量が20[t]を超える車両10の走行が制限される場合がある。このように、車両10は、車幅,車高,総重量などの区分によって通行可能な道路が制限される場合がある。
【0021】
車両情報記憶部24には、車格情報の他に、車両10の種別を識別する車種情報と、車両10に搭載される積荷の種別を識別する積荷情報とが、車両10の識別情報として記憶される。
【0022】
車両10の車種情報とは、バン,平ボディ,ダンプ,タンクローリ,トラクタなどの種別を識別する情報である。また、車両10の車種情報には、当該車両10がトラクタである場合には、トラクタに連結されるトレーラの有無を識別するトレーラ連結情報が含まれる。トレーラ連結情報は、トレーラがトラクタに連結された場合に自動的に生成されるようにしてもよく、また、連結されたトレーラの大きさの情報を車載器20の入力部(図示省略)を介して運転者が入力可能としてもよい。
【0023】
車両10に搭載される積荷の積荷情報とは、通行可能な道路が制限される積荷の種別に基づいて設定される情報である。
【0024】
例えば、道路にトンネルが含まれる場合などには、ガソリン等の危険物を搭載したタンクローリの走行が制限される場合がある。また、毒物や劇物などを搭載した車両10も同様に、走行が制限される場合がある。このように、車両10は、搭載される積荷の種別によって通行可能な道路が制限される場合がある。
【0025】
通信部22は、位置情報と時刻と車格情報と車種情報と積荷情報とを含む走行履歴データを、データ通信モジュール12を介してデータセンタ30に送信する。この走行履歴データが、いわゆるプローブデータである。このとき、車両10における車載器20ごとに設定される個体識別情報を走行履歴データに含めてデータセンタ30に送信してもよい。
【0026】
また、例えば、通信部22が、積荷情報のみを、位置情報と時刻とともにデータセンタ30に送信するようにしてもよい。このように、走行履歴データの全てをデータセンタ30に送信するのではなく、必要な情報のみをデータセンタ30に送信してデータベース35に格納してもよい。
【0027】
データセンタ30は、車載器20から送信された車両10の識別情報と位置情報とを含む走行履歴データを受信し、車両10の走行実績データとしてデータベース35に格納する。データセンタ30は、データ通信網5を介して他の機器との間でデータ通信可能なデータ通信モジュール31と、走行履歴データに基づいて生成した走行実績データが格納されるデータベース35とを備える。
【0028】
データ通信モジュール31は、車載器20からデータセンタ30に送信されたデータを受信する。また、データ通信モジュール31は、ナビゲーションシステム300にて用いられるデータを送信可能である。
【0029】
データベース35には、走行履歴データに基づき、車両10の車格を識別する車格情報と、車両10の種別を識別する車種情報と、車両に搭載される積荷の種別を識別する積荷情報とが、車両10の位置情報と当該位置情報が取得された時刻とともに走行実績データとして格納される。データベース35は、例えば、図3に示されるものである。
【0030】
図3に示すように、データベース35には、車両10の所属先の会社ID,車両10の所属先の会社名,車両10の登録番号,車両10の車体番号,車両10の総重量(GVW:Gross Vehicle Weight),車幅,車高,車種,トレーラ連結の有無,GPSアンテナ11を介して位置データが測位された時刻,当該時刻における緯度,及び経度の情報が格納される。
【0031】
このとき、車両10の総重量の情報は、図3に示すように、20[t]以下の場合が区分「A」,20[t]より大きく25[t]以下の場合が区分「B」,25[t]より大きい場合が区分「C」と、重量の区分に分けて格納される。
【0032】
同様に、車両10の車幅の情報は、2.2[m]以下の場合が区分「A」,2.2[m]より大きい場合が区分「B」と、車幅の区分に分けて格納され、車両10の車高の情報は、3.8[m]以下の場合が区分「A」,3.8[m]より大きい場合が区分「B」と、車高の区分に分けて格納される。
【0033】
以上より、走行実績データベース作成システム100では、データベース35には、車両10の車格を識別する車格情報が、車両10の位置情報と当該位置情報が取得された時刻とともに走行実績データとして格納される。よって、車両10の車格情報を含む走行実績データのデータベース35を作成することができる。したがって、データベース35に格納された走行実績データから、中大型車に対応するデータを抽出することによって、中大型車に対応可能な走行実績データを生成することができる。
【0034】
また、データベース35には、車両10の種別を識別する車種情報と、車両10に搭載された積荷の種別を識別する積荷情報が、車両10の位置情報と当該位置情報が取得された時刻とともに走行実績データとして格納される。よって、データベース35に格納された走行実績データから、車両10の種別や搭載された積荷の種別に対応するデータを抽出することによって、当該車両10に適応した走行実績データを生成することができる。
【0035】
次に、図2を参照して、本発明の実施の形態の変形例に係る走行実績データベース作成システム101の構成について説明する。以下では、上述した実施の形態と同様の構成には同一の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。
【0036】
走行実績データベース作成システム101は、車両10の識別情報が当該車両10ごとに設定される個体識別情報である点で、上述した実施の形態とは相違する。
【0037】
車載器20は、車両情報記憶部24に代えて、車両10の個体識別情報を記憶する個体識別情報記憶部25を備える。車両10の個体識別情報は、車載器20の固有のID(Identification:個体識別)情報である。個体識別情報として、車両10の車体番号,登録番号などの固有の情報を用いてもよい。
【0038】
車載器20は、個体識別情報記憶部25に記憶された車両10の個体識別情報を、位置情報取得部21によって取得された車両10の位置情報と当該位置情報が取得された時刻とともに、走行履歴データとしてデータセンタ30へ送信する。この場合、車両10の車格情報,車種情報,及び積荷情報を走行履歴データとして送信する場合と比較して、データ通信量が小さくなる。よって、データ通信網5の通信負荷を低減することができる。
【0039】
データセンタ30は、個体識別情報に対応する車両10の車格情報,車種情報,及び積荷情報などの各種情報が格納された対応情報記憶部33と、車載器20から送信された走行履歴データと対応情報記憶部33に格納された各種情報に基づき走行実績データを生成する走行実績データ生成部32とを備える。
【0040】
対応情報記憶部33は、車両10の個体識別情報と、個体識別情報に対応する車両10の車格情報,車種情報,及び積荷情報などの各種情報が、あらかじめ登録されている。これにより、個体識別情報に基づいて、車両10の車格情報,車種情報,及び積荷情報などの各種情報を読み込むことができる。
【0041】
走行実績データ生成部32は、対応情報記憶部33から読み込まれた車両10の車格情報,車種情報,及び積荷情報などの各種情報と、走行履歴データに含まれる車両10の位置情報と時刻とを合わせて、走行実績データを生成する。走行実績データ生成部32によって生成された走行実績データは、データベース35に格納される。
【0042】
よって、データベース35には、車両10の車格情報,車種情報,及び積荷情報などの各種情報が、位置情報と時刻とともに走行実績データとして格納される。これにより、上述した実施の形態と同様に、図3に示されるデータベース35を作成することが可能である。
【0043】
以上より、走行実績データベース作成システム101によっても同様に、データベース35に格納された走行実績データから、中大型車に対応するデータを抽出することによって、中大型車に対応可能な走行実績データを生成することができる。
【0044】
次に、図1,図3,及び図4を参照して、走行実績データ提供システム200について説明する。走行実績データベース作成システム101によって作成されるデータベース35は、走行実績データベース作成システム100によって作成されたデータベース35と同様であるため、以下では、走行実績データベース作成システム100を用いた場合についてのみ説明する。
【0045】
走行実績データ提供システム200は、走行実績データベース作成システム100によってデータベース35に格納された走行実績データをユーザに提供するものである。ここでいうユーザとは、車両10の運転者や搭乗者、車両10の所属先の事務所などにて走行実績データを要求する管理者、又はパソコン61やスマートフォン62を介して走行実績データを要求する一般ユーザなどである。
【0046】
走行実績データ提供システム200は、地図データを生成する地図データ生成部41と、走行実績データを地図データに重ねて表示する走行実績マップ生成部42と、走行実績データが重ねて表示された地図データをユーザに提供するデータ提供部43とを備える。
【0047】
地図データ生成部41は、ユーザの現在位置を含む地図データを生成する。地図データ生成部41は、ユーザの現在位置に代えて、ユーザによって指定された位置を含む地図データを生成してもよい。
【0048】
走行実績マップ生成部42は、車両10の車格,種別,及び車両10に搭載された積荷の種別ごとに認識可能なように、地図データに重ねて車両10の走行実績データをプロットして表示する。また、走行実績マップ生成部42は、同一の車両10から取得された時間的に連続する走行実績データを、連続する線状に表示可能である。
【0049】
走行実績マップ生成部42は、例えば、図4に示すように、プロットの種類や線種によって車両10の車格,種別,及び車両10に搭載された積荷の種別を認識可能に表示する。これに限らず、例えば、表示する色の相違によって車両10の車格,種別,及び車両10に搭載された積荷の種別を認識可能に表示してもよい。
【0050】
データ提供部43は、走行実績データが重ねて表示された地図データを、ユーザからの要求によって又は自動的にユーザに提供する。データ提供部43は、インターネット網6を介してパソコン61やスマートフォン62などに地図データを提供可能である他、プリントアウトされた紙媒体やメモリーカードに記録された地図データをレポート63として提供可能である。
【0051】
また、データ提供部43は、データ通信モジュール31を介して、データベース35に格納された走行実績データを、車両10に搭載されたナビゲーションシステム300に提供可能である。これにより、ナビゲーションシステム300では、走行実績データを用いた経路案内が可能となる。
【0052】
なお、図1及び図2では、データ提供部43はデータセンタ30内に設けられているが、これに限らず、データ提供部43をデータセンタ30とは別に、外部に設けるようにしてもよい。
【0053】
走行実績データが重ねて表示された地図データは、例えば、図4に示されるものである。図4に示すように、地図データにおける道路上には、総重量が20[t]以下の車両と20[t]より大きい車両との走行実績データが認識可能なようにプロットされている。同様に、車高が3.8[m]以下の車両と3.8[m]より大きい車両との走行実績データが認識可能なように、車幅が2.2[mm]以下の車両と2.2[m]より大きい車両との走行実績データが認識可能なようにプロットされている。
【0054】
このように、地図データに走行実績データを重ねて表示することによって、この地図データを見た車両10の運転者は、自分の運転する車両10が走行可能な道路と走行できない道路とを見分けることができる。したがって、車両10を安全に運行することが可能となる。また、車両10が走行不可能な誤った道路に侵入して途中で引き返すような事態を防止できるため、省燃費運行が可能となる。
【0055】
なお、走行実績マップ生成部42は、走行実績データを走行する車両10に提供する場合、当該車両10の車格以上の車両による走行実績データのみを選択的に地図データに重ねて表示することも可能である。また、当該車両10と同一の種別の車両による走行実績データや、同一の種別の積荷を搭載した車両による走行実績データのみを選択的に地図データに重ねて表示することも可能である。これにより、車両10の運転者は、自分の運転する車両10がどの道路を走行可能であるかの認識が容易となる。
【0056】
また、走行実績マップ生成部42は、ユーザの指定に基づいて、データベース35に格納された時刻に応じて指定された期間における走行実績データのみを選択的に地図データに重ねて表示することも可能である。例えば、過去一週間分の走行実績データをユーザから要求された場合には、過去一週間分の走行実績データのみを抽出して地図データに重ねて表示する。
【0057】
これにより、ユーザは、車格の区分による通行可能な道路の制限が変更された場合など、道路の変化を知ることができる。また、ユーザは、災害や事故などによって道路が通行不能になっていることや、道路に通行規制がかけられていることなどを認識することができる。
【0058】
また、ユーザによって指定された期間の中で、所定回数以上の走行実績データがデータベース35に格納されている場合にのみ、走行実績データを地図データに重ねて表示するようにしてもよい。この所定回数は、例えば、5回や10回などの固定の回数であってもよく、また、ユーザによって指定可能な任意の回数であってもよい。
【0059】
これにより、ある車格の車両の運転者が本来は走行してはいけない道路を誤って走行した場合にデータベース35に格納された走行実績データが、地図データに重ねて表示されることを防止できる。したがって、ユーザが、本来は走行してはいけない道路を、誤って走行可能と認識して走行することを防止できる。
【0060】
次に、図1,図3,及び図4を参照して、ナビゲーションシステム300について説明する。
【0061】
ナビゲーションシステム300は、走行実績データ提供システム200によって提供された走行実績データを用いて車両10の現在位置から目的地までの経路を案内するものである。本実施形態のナビゲーションシステム300は、車両10に搭載される車載型のものであるが、これに限らず、スマートフォンやタブレット型パソコンなどを用いてユーザの現在位置から目的地までの経路を案内するものであってもよい。
【0062】
ナビゲーションシステム300は、車両10の位置情報を取得する位置情報取得部51と、データ通信モジュール12を介してデータセンタ30と通信可能な通信部52と、データ提供部43から提供された走行実績データを表示可能な表示部54と、車両10が走行する位置から目的地までの経路を設定する経路設定部53とを備える。
【0063】
位置情報取得部51は、GPSアンテナ11からの位置データを受信し、車両10が位置する地点における緯度及び経度の情報を取得する。位置情報取得部51にて取得された緯度及び経度の情報は、経路設定部53と表示部54とに送信される。
【0064】
表示部54は、ナビゲーションシステム300に内蔵される地図データを表示可能な画面である。表示部54には、車両10の現在位置とデータセンタ30から受信した走行実績データとを地図データに重ねて表示可能である。
【0065】
通信部52は、表示部54に表示された地図データの範囲を含む走行実績データを、データ通信モジュール12を介してデータセンタ30から受信する。通信部52は、車両10が走行して地図データが更新されると、更新された地図データの範囲を含む走行実績データを、データセンタ30から受信する。これにより、表示部54に表示される地図データには、常に走行実績データが重ねて表示されることとなる。
【0066】
経路設定部53は、車両10が走行する位置から目的地までの経路を、当該車両10以上の車格の車両の走行実績データが登録されている道路を選択して設定する。これにより、車両10が走行する経路として、当該車両10以上の車格の車両が走行した実績のある経路を案内することが可能となる。したがって、車両10を安全に運行することが可能となる。また、車両10が走行不可能な誤った道路に侵入して途中で引き返すような事態を防止できるため、省燃費運行が可能となる。
【0067】
また、経路設定部53は、車両10が走行する位置から目的地までの経路を、当該車両10と同じ種別の積荷を搭載する車両の走行実績データが登録されている道路を選択して設定する。これにより、例えば、車両10に搭載される積荷がガソリン等の危険物である場合には、同様に危険物を搭載した車両の走行実績データが登録されている道路を選択して経路が設定される。よって、危険物を搭載した車両が走行した実績のある経路を案内することが可能となる。
【0068】
なお、経路設定部53は、車両10が走行する位置から目的地までの経路を、当該車両10と同じ種別の車両の走行実績データが登録されている道路を選択して設定することも可能である。これにより、車両10と同じタイプの車種が走行した実績のある経路を案内することが可能となる。よって、例えば、車両10がトレーラを牽引するトラクタである場合には、同様にトレーラを牽引するトラクタが走行した実績のある経路を案内することが可能となる。
【0069】
以上の実施の形態によれば、以下に示す効果を奏する。
【0070】
走行実績データベース作成システム100,101によれば、データベース35には、車両10の車格を識別する車格情報が、車両10の位置情報と当該位置情報が取得された時刻とともに走行実績データとして格納される。よって、車両10の車格情報を含む走行実績データのデータベース35を作成することができる。したがって、データベース35に格納された走行実績データから、中大型車に対応するデータを抽出することによって、中大型車に対応可能な走行実績データを生成することができる。
【0071】
また、走行実績データ提供システム200によれば、データベース35に格納された走行実績データが重ねて表示された地図データがユーザに提供される。これにより、提供された地図データを見た車両10の運転者は、自分の運転する車両10が走行可能な道路と走行できない道路とを見分けることができる。
【0072】
また、ナビゲーションシステム300では、車両10が走行する位置から目的地までの経路を、当該車両10以上の車格の車両の走行実績データが登録されている道路を選択して設定する。これにより、車両10が走行する経路として、当該車両10以上の車格の車両が走行した実績のある経路を案内することが可能となる。
【0073】
したがって、走行実績データ提供システム200及びナビゲーションシステム300によれば、車両10を安全に運行することが可能となる。また、車両10が走行不可能な誤った道路に侵入して途中で引き返すような事態を防止できるため、省燃費運行が可能となる。
【0074】
本発明は上記の実施の形態に限定されずに、その技術的な思想の範囲内において種々の変更がなしうることは明白である。
【符号の説明】
【0075】
100 走行実績データベース作成システム
200 走行実績データ提供システム
300 ナビゲーションシステム
10 車両
20 車載器
21 位置情報取得部
22 通信部
23 時刻取得部
24 車両情報記憶部
25 個体識別情報記憶部
30 データセンタ
33 対応情報記憶部
35 データベース
41 地図データ生成部
42 走行実績マップ生成部
43 データ提供部
53 経路設定部
54 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の車両の走行実績データが格納されるデータベースを有するデータセンタと、
前記車両に搭載され前記データセンタと通信可能な通信部を有する車載器と、を備える走行実績データベース作成システムであって、
前記車載器は、前記車両の位置情報を取得する位置情報取得部を備え、
前記データセンタは、前記車載器から送信された前記車両の識別情報と位置情報とを含む走行履歴データを受信し、前記走行履歴データに基づいて、前記車両の車格を識別する車格情報を、前記車両の位置情報と当該位置情報が取得された時刻とともに走行実績データとして前記データベースに格納することを特徴とする走行実績データベース作成システム。
【請求項2】
前記車両の識別情報は、前記車両の車格を識別する車格情報を含み、
前記車載器は、
時刻を取得する時刻取得部と、
前記車両の識別情報を記憶する車両情報記憶部と、をさらに備え、
走行履歴データには、位置情報と時刻と車格情報とが含まれることを特徴とする請求項1に記載の走行実績データベース作成システム。
【請求項3】
前記車両の識別情報は、前記車両ごとに設定される個体識別情報であり、
前記車載器は、
時刻を取得する時刻取得部と、
前記車両の個体識別情報を記憶する個体識別情報記憶部と、をさらに備え、
走行履歴データには、位置情報と時刻と個体識別情報とが含まれ、
前記データセンタは、個体識別情報に対応する車両の車格情報が格納された対応情報記憶部をさらに備え、
前記データベースには、前記対応情報記憶部から読み込んだ前記車両の車格情報が、位置情報と時刻とともに走行実績データとして格納されることを特徴とする請求項1に記載の走行実績データベース作成システム。
【請求項4】
前記車両の車格情報は、通行可能な道路が制限される前記車両の区分に基づいて設定されることを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の走行実績データベース作成システム。
【請求項5】
前記車両の車格情報は、車両の車幅と車高と総重量とに基づいて設定されることを特徴とする請求項4に記載の走行実績データベース作成システム。
【請求項6】
前記データセンタは、走行履歴データに基づいて、前記車両の種別を識別する車種情報を前記データベースにさらに格納することを特徴とする請求項1から5のいずれか一つに記載の走行実績データベース作成システム。
【請求項7】
前記車両の車種情報は、前記車両がトラクタである場合には、当該トラクタに連結されるトレーラの有無を識別するトレーラ連結情報を含むことを特徴とする請求項6に記載の走行実績データベース作成システム。
【請求項8】
前記データセンタは、走行履歴データに基づいて、前記車両に搭載される積荷の種別を識別する積荷情報を前記データベースにさらに格納することを特徴とする請求項1から7のいずれか一つに記載の走行実績データベース作成システム。
【請求項9】
前記車両の積荷情報は、通行可能な道路が制限される前記積荷の種別に基づいて設定されることを特徴とする請求項8に記載の走行実績データベース作成システム。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一つに記載の走行実績データベース作成システムによって前記データベースに格納された走行実績データを提供する走行実績データ提供システムであって、
地図データを生成する地図データ生成部と、
走行実績データを前記車両の車格ごとに認識可能なように地図データに重ねて表示する走行実績マップ生成部と、
走行実績データが重ねて表示された地図データをユーザに提供するデータ提供部と、を備えることを特徴とする走行実績データ提供システム。
【請求項11】
前記走行実績マップ生成部は、同一の車両から取得された時間的に連続する走行実績データを、連続する線状に地図データに重ねて表示することを特徴とする請求項10に記載の走行実績データ提供システム。
【請求項12】
前記走行実績マップ生成部は、走行実績データを前記車両の種別ごとに認識可能なように地図データに重ねて表示することを特徴とする請求項10又は11に記載の走行実績データ提供システム。
【請求項13】
前記走行実績マップ生成部は、走行実績データを前記車両に搭載される積荷の種別ごとに認識可能なように地図データに重ねて表示することを特徴とする請求項10から12のいずれか一つに記載の走行実績データ提供システム。
【請求項14】
前記走行実績マップ生成部は、前記データベースに格納された時刻に応じた走行実績データのみを選択的に地図データに重ねて表示可能であることを特徴とする請求項10から13のいずれか一つに記載の走行実績データ提供システム。
【請求項15】
請求項10から14のいずれか一つに記載の走行実績データ提供システムによって提供された走行実績データを用いるナビゲーションシステムであって、
前記データ提供部から提供された走行実績データを地図データに重ねて表示可能な表示部と、
前記車両が走行する位置から目的地までの経路を、当該車両以上の車格の車両の走行実績データが登録されている道路を選択して設定する経路設定部と、を備えることを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項16】
前記経路設定部は、前記車両が走行する位置から目的地までの経路を、当該車両と同じ種別の車両の走行実績データが登録されている道路を選択して設定することを特徴とする請求項15に記載のナビゲーションシステム。
【請求項17】
前記経路設定部は、前記車両が走行する位置から目的地までの経路を、当該車両と同じ種別の積荷を搭載する車両の走行実績データが登録されている道路を選択して設定することを特徴とする請求項15又は16に記載のナビゲーションシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−92921(P2013−92921A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−234791(P2011−234791)
【出願日】平成23年10月26日(2011.10.26)
【出願人】(000003908)UDトラックス株式会社 (1,028)
【Fターム(参考)】