説明

走行支援情報出力装置および走行支援情報出力方法

【課題】車両の進行方向前方の道路区間の道路状況情報に応じた走行支援情報を運転者に対して間に合うように提供することを可能にする「走行支援情報出力装置および走行支援情報出力方法」を提供する。
【解決手段】VICS情報を取得した場合に、VICS情報に基づいて走行支援情報の出力準備を行い、VICS情報により示される情報提供エリア20の道路状況情報の内容と後に取得したAHS情報により示される情報提供エリア20の道路状況情報の内容とを比較してそれらが一致する場合、あらかじめ出力準備をしておいた走行支援情報を出力することにより、AHS情報の取得に先行して、取得済みのVICS情報に基づいて走行支援情報の出力準備が行われるようにして、後に取得したAHS情報に応じた走行支援情報を運転者に対して間に合うように提供できるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の運転者に対して走行支援情報を提供する走行支援情報出力装置および走行支援情報出力方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、道路に設置した路側装置と車両に搭載した車載機とを連携して動作させ(路車協調)、路車間通信などを用いたITS(Intelligent Transport Systems)技術を駆使して交通事故や渋滞の削減を目指すAHS(Advanced Cruise−Assist Highway Systems)システムが提案されている。
【0003】
このAHSシステムでは、様々な事故要因のうち、その直接の引き金となる運転者による危険の発見の遅れ、判断の誤り、操作の誤りなど事故直前の行動事象に対し、情報提供、警報、操作支援といったサービスを行うことで効果的に事故の発生を防ぐことが行われている。その代表的なサービスとして、カーブなどの見通しの悪い箇所で車両から検出困難な停止車両などをセンサ等により検出し、走行中の車両に報知することによって衝突事故を防止する前方障害物衝突防止支援サービスがある。
【0004】
例えば、道路上を走行する車両の進行方向前方の情報提供エリアにおける渋滞情報、事故情報、落下物情報および道路工事情報等の道路状況情報を道路側に設置された路側装置から車載機にて取得し、その取得した道路状況情報に応じた画像情報を車載用モニタ装置に表示する(例えば、特許文献1を参照)。この特許文献1では、車載用モニタ装置は、路側装置から送信された道路状況情報に基づいて、走行の安全性を向上させるための走行支援情報(画像情報)を表示する。
【特許文献1】特開2002−260176号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術において、車載用モニタ装置に画像情報を表示する処理には多くの時間を要するため、運転者に対する画像情報の表示出力が遅れてしまうという問題があった。具体的に説明すると、車載用モニタ装置に画像情報を表示するためには、車載機が道路状況情報を受信した後に、その取得した道路状況情報を解析する処理、その解析結果に応じた画像情報の描画処理、および描画した画像情報の表示処理を行う必要がある。この一連の処理に多くの時間がかかるため、路側装置から道路状況情報を取得した位置から当該道路状況情報により示される情報提供エリアまでの距離が短い場合においては、運転者が安全にブレーキ操作できる位置に到達するまでに、運転者に対する画像情報の表示が間に合わなくなってしまうことがあった。
【0006】
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、車両の進行方向前方の情報提供エリアの道路状況情報を取得した位置から当該道路状況情報により示される情報提供エリアまでの距離が短い場合においても、取得した道路状況情報に応じた走行支援情報を運転者に対して間に合うように提供できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した課題を解決するために、本発明では、車両の進行方向前方の情報提供エリアを含む道路状況を表す第1道路状況情報を取得した場合に、当該第1道路状況情報に基づいて走行支援情報の出力準備を行い、第1道路状況情報により示される情報提供エリアの道路状況情報と後に取得した第2道路状況情報により示される情報提供エリアの道路状況情報とを比較してそれらが一致する場合、あらかじめ出力準備をしておいた走行支援情報を出力するようにしている。
【発明の効果】
【0008】
上記のように構成した本発明によれば、第2道路状況情報の取得に先行して、取得済みの第1道路状況情報に基づいて走行支援情報の出力準備が行われるため、第1道路状況情報により示される情報提供エリアの道路状況情報と、後に取得した第2道路状況情報により示される情報提供エリアの道路状況情報とが一致する場合には、車両の進行方向前方の情報提供エリアの道路状況情報(第2道路状況情報)を取得した位置から当該情報提供エリアまでの距離が短いときにおいても、その取得した道路状況情報(第2道路状況情報)に応じた走行支援情報を運転者に対して間に合うように提供できる。これにより、例えばカーブなどの先にある見通しの悪い情報提供エリアにおいて、運転者は、提供された走行支援情報に応じてブレーキ操作などを安全に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の第1の実施形態を図面に基づいて説明する。まず、第1の実施形態による走行支援情報出力装置を備えた車載機が、車両の運転を支援するための走行支援情報(画像情報)を当該車載機の車載用モニタに表示する様子を説明する。図1は、第1の実施形態による走行支援情報出力装置を備えた車載機が、走行支援情報を車載用モニタに表示する様子を示す図である。図1に示すように、車載機200を搭載した車両10が道路30を走行している。この道路30は、進行方向前方にカーブ区間があって、その先に位置する道路区間20の見通しがカーブ区間の手前からだと効かない。なお、本実施形態では、道路区間20では、複数の車両による交通渋滞が発生しているものとする。
【0010】
車両10が道路30の地点35(後述のAHS情報送信装置240の設置位置に該当する地点55の手前X[m])に到達する前に、走行支援情報出力装置は、VICS情報送信装置220からVICS情報(本発明の「第1道路状況情報」に対応)を取得する。ここで、VICS情報送信装置220は、道路30側に設置された路側装置(ビーコン送信装置)である。VICS情報は、車両10の進行方向前方の道路区間20を含む広域(例えば、数km四方)の道路区間における道路状況情報である。VICS情報は、広域の道路区間における交通障害(渋滞、事故、故障車、路上障害物、工事、通行止め、車線・速度規制等)を示す情報を含む。図1の例では、VICS情報送信装置220から取得したVICS情報により交通障害が発生していることが示されている道路区間50には道路区間20が含まれている。
【0011】
車両10が道路30の地点35に到達したときに、走行支援情報出力装置は、車載機200で動作中の各機能のうち所定の機能(詳細は後述する)を停止する。そして、走行支援情報出力装置は、VICS情報送信装置220からあらかじめ取得しておいたVICS情報に基づいて、運転を支援するための走行支援情報を車載機200の車載用モニタ280に出力する準備を開始する。具体的には、走行支援情報出力装置は、走行支援情報を車載機200の車載用モニタ280に出力するために、走行支援情報の描画処理を開始する。
【0012】
その後、車両10が道路30の地点55付近に到達したときに、走行支援情報出力装置は、AHS情報送信装置240からAHS情報(本発明の「第2道路状況情報」に対応)を取得する。ここで、AHS情報送信装置240は、道路30側に設置された路側装置(ビーコン送信装置)である。AHS情報は、車両10の進行方向前方の狭域(例えば、数十m四方)の道路区間(図1の例では、道路区間20に対応。以下、「情報提供エリア」という。)における道路状況情報である。AHS情報は、狭域の道路区間における交通障害(渋滞、事故、故障車、路上障害物、工事、通行止め、車線・速度規制等)を示す情報を含む。本実施形態では、AHS情報送信装置240から取得したAHS情報により情報提供エリア20にて交通障害が発生していることが示されている。
【0013】
なお、線80と線85とにより挟まれる範囲90は、車両10が道路30の地点55を通過するときにおける運転者の視野範囲を示している。つまり、車両10が道路30の地点55を通過するときには、運転者は、視野範囲から外れている情報提供エリア20の道路状況を目視で把握することはできない。
【0014】
走行支援情報出力装置は、AHS情報送信装置240からAHS情報を取得したときに、VICS情報送信装置220からあらかじめ取得しておいたVICS情報により示される情報提供エリア20の道路状況情報の内容と、当該AHS情報により示される情報提供エリア20における道路状況情報の内容とを比較してそれらが一致するか否かについて判定する。走行支援情報出力装置は、VICS情報により示される情報提供エリア20の道路状況情報の内容とAHS情報により示される情報提供エリア20の道路状況情報の内容とが一致すると判定した場合、AHS情報送信装置240から当該AHS情報を取得する前にあらかじめ出力準備しておいた(描画済みの)走行支援情報を運転席付近に設置された車載機200の車載用モニタ280に表示する。走行支援情報出力装置は、走行支援情報を車載用モニタ280に出力した後に、車両10が道路30の地点35に到達したときに停止した機能を起動する。
【0015】
図1を参照しながら詳しく説明したように、走行支援情報出力装置では、AHS情報の取得に先行して、あらかじめ取得しておいたVICS情報に基づいて走行支援情報の出力準備を行う。そのため、走行支援情報出力装置は、VICS情報により示される情報提供エリア20の道路状況情報の内容と、後に取得したAHS情報により示される情報提供エリア20の道路状況情報の内容とが一致する場合には、情報提供エリア20の道路状況情報(AHS情報)を取得した位置(本実施形態では、道路30の地点55に対応)から情報提供エリア20までの距離が短いときにおいても、その取得した情報提供エリア20の道路状況情報(AHS情報)に応じた走行支援情報を運転者に対して間に合うように提供できる。これにより、車両10が交通障害の発生している情報提供エリア20に到達する前に、運転者は、車載用モニタ280の表示画面に表示された走行支援情報に応じてブレーキ操作等を安全に行うことができる。
【0016】
次に、車載機200、VICS情報送信装置220およびAHS情報送信装置240の具体的な機能構成例について説明する。図2は、車載機200、VICS情報送信装置220およびAHS情報送信装置240の機能構成例を示すブロック図である。
【0017】
まず、VICS情報送信装置220の具体的な機能構成例について説明する。VICS情報送信装置220は、道路30上において、ある程度間隔を空けて複数設置された路側装置である。VICS情報送信装置220は、図2に示すように、VICS情報受信部300およびVICS情報送信部320を備えて構成されている。VICS情報受信部300は、VICSセンタ(図示せず)より送信されたVICS情報を受信する。VICSセンタでは、道路30側に設けられたセンサ(例えばカメラ、図示せず)を用いて検出された広域の道路区間における道路状況情報をデータ通信により収集し、当該道路状況情報に基づいて生成したVICS情報をVICS情報送信装置220に送信する。送信するVICS情報は、所定時間(例えば、5分)毎に更新される。VICS情報送信部320は、VICS情報受信部300により受信されたVICS情報を電波により車載機200に送信する。
【0018】
次に、AHS情報送信装置240の具体的な機能構成例について説明する。図2に示すように、AHS情報送信装置240は、道路30上において、ある程度間隔を空けて複数設置された路側装置である。AHS情報送信装置240は、図2に示すように、AHS情報受信部340およびAHS情報送信部360を備えて構成されている。AHS情報受信部340は、AHSセンタ(図示せず)より送信されたAHS情報を受信する。AHSセンタでは、道路30側に設けられたセンサ(例えばカメラ、図示せず)を用いて検出された狭域の道路区間(各々のAHS情報送信装置240の情報提供エリア20に対応)における道路状況情報をデータ通信により収集し、当該道路状況情報に基づいて生成したAHS情報をAHS情報送信装置240に送信する。送信するAHS情報は、所定時間(例えば、1分)毎に更新される。AHS情報送信部360は、AHS情報受信部340により受信されたAHS情報を電波により車載機200に送信する。
【0019】
次に、車載機200の具体的な機能構成例について説明する。図2に示すように、車載機200は、走行支援情報出力装置260および車載用モニタ280を備えて構成されている。図2に示すように、走行支援情報出力装置260は、第1道路状況情報取得部400、第2道路状況情報取得部420、地図情報記憶部440、現在位置検出部460、設置位置情報記憶部480、情報提供エリア情報記憶部500、出力準備部520、判定部540、走行支援情報出力部560、機能停止部580および機能起動部600を備えて構成されている。
【0020】
第1道路状況情報取得部400は、VICS情報送信部320により送信されたVICS情報を受信する。本実施形態では、VICS情報送信装置220の設置位置付近(VICS情報の受信可能エリア)において、第1道路状況情報取得部400は、VICS情報送信部320により送信されたVICS情報を受信する。
【0021】
第2道路状況情報取得部420は、AHS情報送信部360により送信されたAHS情報を受信する。本実施形態では、AHS情報送信装置240の設置位置付近(AHS情報の受信可能エリア)において、第2道路状況情報取得部420は、AHS情報送信部360により送信されたAHS情報を受信する。
【0022】
地図情報記憶部440は、地図表示や経路探索等に必要な各種の地図情報を記憶している。なお、地図情報記憶部440は、DVD(Digital Versatile Disk)、CD(Compact Disc)、ハードディスク、半導体メモリ等の記録媒体で構成することができる。
【0023】
現在位置検出部460は、車両10の現在位置を検出する。本実施形態では、現在位置検出部460は、車載機200に接続されたGPS受信機(図示せず)により取得された車両10の絶対経度、緯度を示す情報と地図情報記憶部440に記憶されている地図情報とに基づいて、地図上における車両10の現在位置を検出する。
【0024】
設置位置情報記憶部480は、各々のAHS情報送信装置240の設置位置を表す設置位置情報を記憶している。設置位置情報記憶部480に記憶されている設置位置情報は、各々のAHS情報送信装置240を識別するための「装置ID」と、当該「装置ID」に対応するAHS情報送信装置240の地図上における設置位置を示す「設置位置」とを項目情報として含む。なお、設置位置情報記憶部480は、DVD、CD、ハードディスク、半導体メモリ等の記録媒体で構成することができる。本実施形態では、走行支援情報出力装置260において、地図情報記憶部440と設置位置情報記憶部480とを別々に設ける構成にしているが、地図情報記憶部440に記憶される地図情報の一部として設置位置情報を含めるようにしても良い。
【0025】
情報提供エリア情報記憶部500は、各々のAHS情報送信装置240が送信するAHS情報により示される情報提供エリア20を表す情報提供エリア情報を記憶している。情報提供エリア情報記憶部500に記憶されている情報提供エリア情報は、各々のAHS情報送信装置240を識別するための「装置ID」と、当該「装置ID」に対応するAHS情報送信装置240が送信するAHS情報により示される情報提供エリア20を示す「情報提供エリア」を項目情報として含む。なお、情報提供エリア情報記憶部500は、DVD、CD、ハードディスク、半導体メモリ等の記録媒体で構成することができる。本実施形態では、走行支援情報出力装置260において、地図情報記憶部440と設置位置情報記憶部480とを別々に設ける構成にしているが、地図情報記憶部440に記憶される地図情報の一部として情報提供エリア情報を含めるようにしても良い。
【0026】
出力準備部520は、機能停止部580により所定の機能が停止された後に、第1道路状況情報取得部400により取得されたVICS情報、現在位置検出部460により検出された車両10の現在位置情報、設置位置情報記憶部480から読み出した設置位置情報、および情報提供エリア情報記憶部500から読み出した情報提供エリア情報に基づいて、車両10の運転を支援するための走行支援情報の出力準備を行う。具体的には、まず、出力準備部520は、車両10の進行方向前方に最も近く位置するAHS情報送信装置240を特定する。つまり、出力準備部520は、設置位置情報記憶部480に記憶されている各設置位置情報に含まれる項目情報「設置位置」を参照して、現在位置検出部460により検出された現在位置情報により示される車両10の現在位置からの距離が最短になる「設置位置」に関連付けられた「装置ID」を検索することによって、車両10の進行方向前方に最も近く位置するAHS情報送信装置240を特定する。
【0027】
次に、出力準備部520は、設置位置情報記憶部480から検索された「装置ID」と同一の「装置ID」を項目情報として含む情報提供エリア情報を情報提供エリア情報記憶部500から検索する。そして、出力準備部520は、情報提供エリア情報記憶部500から検索された情報提供エリア情報に含まれる項目情報「道路区間」を参照することによって、AHS情報送信装置240の情報提供エリアを特定する。
【0028】
最後に、出力準備部520は、第1道路状況情報取得部400で取得したVICS情報を参照して、AHS情報送信装置240の情報提供エリア20の道路状況情報に対応する走行支援情報の描画処理を行う。具体的には、出力準備部520は、VICS情報により情報提供エリア20における渋滞が示されているときには、渋滞用の画像を表した走行支援情報を描画する。また、出力準備部520は、VICS情報により情報提供エリア20における事故が示されているときには、事故用の画像を表した走行支援情報を描画する。また、出力準備部520は、VICS情報により情報提供エリア20における工事が示されているときには、工事用の画像を表した走行支援情報を描画する。
【0029】
本実施形態において、出力準備部520は、VICS情報送信装置220から取得済みのVICS情報を参照して、当該VICS情報により交通障害が発生していることが示されている道路区間にAHS情報送信装置240の情報提供エリア20が含まれている場合に限って、AHS情報送信装置240の情報提供エリアの道路状況情報に応じた走行支援情報を描画する。図1の例で言うと、VICS情報により交通障害が発生していることが示されている道路区間50に情報提供エリア20が含まれているため、出力準備部520は、情報提供エリア20の道路状況情報に応じた走行支援情報を描画する。
【0030】
判定部540は、第2道路状況情報取得部420によりAHS情報が取得されたときに、第1道路状況情報取得部400により取得済みのVICS情報を参照して、当該VICS情報により示されるAHS情報送信装置240の情報提供エリア20の道路状況情報の内容と、第2道路状況情報取得部440により取得されたAHS情報により示されるAHS情報送信装置240の情報提供エリア20の道路状況情報の内容とを比較してそれらが一致するか否かを判定する。例えば、VICS情報により示される情報提供エリア20の道路状況情報の内容およびAHS情報により示される情報提供エリア20の道路状況情報の内容が渋滞で一致する場合、判定部540は一致すると判定する。また、AHS情報により示される情報提供エリア20の道路状況情報の内容のみが渋滞である場合、判定部540は一致しないと判定する。また、VICS情報により示される情報提供エリア20の道路状況情報の内容が工事であり、AHS情報により示される情報提供エリア20の道路状況情報の内容が渋滞である場合、判定部540は一致しないと判定する。
【0031】
走行支援情報出力部560は、VICS情報により示されるAHS情報送信装置240の情報提供エリア20の道路状況情報の内容とAHS情報により示されるAHS情報送信装置240の情報提供エリア20の道路状況情報の内容とが一致すると判定部540にて判定された場合、出力準備部520にてあらかじめ出力準備(描画)しておいた走行支援情報を車載用モニタ280に出力する。
【0032】
一方、走行支援情報出力部560は、VICS情報により示されるAHS情報送信装置240の情報提供エリア20の道路状況情報の内容とAHS情報により示されるAHS情報送信装置240の情報提供エリア20の道路状況情報の内容とが一致していないと判定部540にて判定された場合(例えば、第1道路状況情報取得部420によりVICS情報を取得してから第2道路状況情報取得部420によりAHS情報を取得するまでの間に、道路状況の変化に応じて情報提供エリア20の道路状況情報が変わってしまった場合等)、第2道路状況情報取得部420により受信されたAHS情報により示されるAHS情報送信装置240の情報提供エリア20の道路状況情報に応じた走行支援情報を描画して車載用モニタ280に出力する。
【0033】
機能停止部580は、設置位置情報記憶部480から検索された車両10の進行方向前方に最も近く位置するAHS情報送信装置240の設置位置(図1では、地点55)と現在位置検出部460により検出された車両10の現在位置との間の距離が所定値(図1では、X[m])である位置(図1では、地点35)に到達したときに、出力準備部520により走行支援情報の出力準備を行う前に、車載機200で動作中の各機能のうち走行支援情報の出力準備の処理負荷に影響を与える機能を停止する。
【0034】
本実施形態では、機能停止部580は、出力準備部520による出力準備の処理負荷に影響を与える機能として、例えば、音楽CDに記録されているデジタル形式の音声データを抽出し車載機200で処理可能なファイル形式に変換して保存するCDリッピング機能、第1道路状況情報取得部400により取得したVICS情報に基づいて、現在の誘導経路と他の(仮の)誘導経路との間でコストの比較を即座に行い、仮の誘導経路の方がコストが小さければルート変更のアナウンスをするアクティブルートサーチ機能等を停止する。
【0035】
機能起動部600は、走行支援情報出力部560により走行支援情報が車載用モニタ280に出力された後に、機能停止部580により停止された機能を起動する。
【0036】
最後に、車載用モニタ280の具体的な機能構成例について説明する。図2に示すように、車載用モニタ280は、走行支援情報表示部620を備えて構成されている。走行支援情報表示部620は、走行支援情報出力部560により出力された走行支援情報を表示する。なお、走行支援情報表示部620は、走行支援情報出力部560により出力された走行支援情報を表示することに加えて、当該走行支援情報に対する運転者の注意を促すための喚起音を更に出力しても良い。
【0037】
次に、本実施形態における走行支援情報出力装置260による走行支援情報出力処理の流れを従来技術と比較して説明する。図3は、従来技術による走行支援情報出力処理を構成する各処理(上段)と、本実施形態における走行支援情報出力装置260による走行支援情報出力処理を構成する各処理(下段)とを左から時系列順に並べて示した図である。図3に示すように、従来技術では、AHS情報(情報提供エリア20の道路状況情報)を受信した後に、その取得したAHS情報を解析する処理、その解析結果に応じた走行支援画像の描画処理、および描画した走行支援情報の車載用モニタ280に対する表示処理が順に行われる。
【0038】
一方、本実施形態では、第2道路状況情報取得部420によるAHS情報受信処理の前に、機能停止部580による機能停止処理と、出力準備部520によるVICS解析処理および走行支援情報の出力準備処理とが順に行われる。また、第2道路状況情報取得部420によりAHS情報が受信された後に、判定部540による判定処理、走行支援情報出力部560による走行支援情報出力処理および機能起動部600による機能起動処理が順に行われる。
【0039】
図3に示すように、本実施形態では、AHS情報を受信してから1[s]程度で走行支援情報を出力することができる。つまり、本実施形態では、AHS情報を受信した後に画像情報の描画処理を行う(すなわち、AHS情報を受信してから走行支援情報を出力するまでの時間に2.5[s]程度を要する)従来技術と比べて、AHS情報が受信してから走行支援情報を出力するまでの時間を1.5[s]程度短縮することができる。
【0040】
また、本実施形態では、出力準備部520による走行支援情報の描画処理の前に機能停止部580による機能停止処理が行われる。これによって、車載機200において出力準備部520による走行支援情報の描画処理に対するCPUの占有率が増えるため、走行支援情報の描画処理に1.5[s]程度要していた従来技術と比べて、本実施形態による走行支援情報出力装置260では、当該走行支援情報の描画処理を短い時間(図3では、1[s]程度)で完了させることができる。
【0041】
なお、図3に示すように、機能停止部580による機能停止処理は、第2道路状況情報取得部420によるAHS情報受信処理の3[s]前に開始する。この3[s]は、AHS情報受信処理の前に機能停止部580による機能停止処理および出力準備部520による出力準備処理をある程度の余裕をもって完了させるために必要な時間である。例えば、図1の例で、車両10が走行している道路が高速道路(例えば、法定速度100[km])である場合、AHS情報受信処理の前に、走行距離に換算して地点55より約83[m]手前の地点35で機能停止部580による機能停止処理を開始する。なお、車両10が高速道路を走行中であることは、現在位置検出部460により検出される現在位置に基づいて判定することができる。
【0042】
また、図1の例で、AHS情報受信処理の前に、地点55より、車両10の走行速度に応じた3[s]における走行距離(X[m])手前の地点35で機能停止部580による機能停止処理を開始するようにしても良い。このようにすれば、各々の車両10の走行速度が異なっていたとしても、全ての車両10において、AHS情報受信処理の前に機能停止部580による機能停止処理および出力準備部520による出力準備処理をある程度の余裕をもって確実に完了させることができる。
【0043】
次に、第1の実施形態における走行支援情報出力装置260の動作例について説明する。図4は、第1の実施形態における走行支援情報出力装置260の動作例を示すフローチャートである。図4におけるステップS100の処理は、例えば、走行支援情報出力装置260が、運転者による車載機200が備える操作部(図示せず)の操作を介して走行支援情報の車載用モニタ280に対する表示要求を受け付けることにより開始する。
【0044】
まず、第1道路状況情報取得部400は、VICS情報送信部320により送信されたVICS情報を受信する(ステップS100)。次に、出力準備部520は、ステップS100において取得されたVICS情報を参照して、当該VICS情報により交通障害が発生していることが示されている道路区間に、車両10の進行方向前方に最も近く位置するAHS情報送信装置240の情報提供エリアが含まれているか否かについて判定する(ステップS120)。
【0045】
もし、VICS情報により交通障害が発生していることが示されている道路区間に情報提供エリアが含まれていないと出力準備部520にて判定した場合(ステップS120にてNO)、走行支援情報出力装置260は、図4における処理を終了する。一方、VICS情報により交通障害が発生していることが示されている道路区間に情報提供エリアが含まれていると出力準備部520にて判定した場合(ステップS120にてYES)、機能停止部580は、設置位置情報記憶部480から検索された車両10の進行方向前方に最も近く位置するAHS情報送信装置240の設置位置と現在位置検出部460により検出された車両10の現在位置との間の距離が所定値(X[m])以下になっているか否かについて判定する(ステップS140)。
【0046】
もし、AHS情報送信装置240の設置位置と車両10の現在位置との間の距離が所定値以下になっていないと機能停止部580にて判定された場合(ステップS140にてNO)、処理はステップS140に遷移し、当該距離が所定値以下になるまで、機能停止部580はステップS140の判定処理を繰り返す。
【0047】
一方、AHS情報送信装置240の設置位置と車両10の現在位置との間の距離が所定値以下になっていると機能停止部580にて判定した場合(ステップS140にてYES)、機能停止部580は、車載機200で動作中の各機能のうち走行支援情報の出力準備の処理負荷に影響を与える機能を停止する(ステップS160)。次に、出力準備部520は、ステップS100にて取得されたVICS情報等に基づいて、情報提供エリアの道路状況情報に応じた走行支援情報を描画する(ステップS180)。
【0048】
次に、第2道路状況情報取得部420は、AHS情報送信部360により送信されたAHS情報を受信する(ステップS200)。次に、判定部540は、ステップS100にて取得済みのVICS情報を参照して、当該VICS情報により示される情報提供エリアの道路状況情報の内容と、ステップS200にて取得されたAHS情報により示される情報提供エリアの道路状況情報の内容とを比較してそれらが一致するか否かを判定する(ステップS220)。
【0049】
もし、VICS情報により示される情報提供エリアの道路状況情報の内容とAHS情報により示される情報提供エリアの道路状況情報の内容とが一致すると判定部540にて判定された場合(ステップS220にてYES)、処理はステップS260に遷移する。
【0050】
一方、VICS情報により示される情報提供エリアの道路状況情報の内容とAHS情報により示される情報提供エリアの道路状況情報の内容とが一致していないと判定部540にて判定された場合(ステップS220にてNO)、走行支援画像出力部560は、ステップS200にて受信されたAHS情報により示される情報提供エリアの道路状況情報に応じた走行支援情報を描画する(ステップS240)。
【0051】
ステップS220またはステップS240の処理が完了した後、走行支援情報出力部560は、ステップS180またはステップS240にて描画された走行支援情報を車載用モニタ280に出力する(ステップS260)。最後に、機能起動部600は、ステップS160にて停止された機能を起動する(ステップS280)。その後、ステップS280の処理が完了することによって、走行支援情報出力装置260は、図4における処理を終了する。
【0052】
以上詳しく説明したように、第1の実施形態では、第1道路状況情報取得部400がVICS情報を受信した場合に、出力準備部520は、当該VICS情報に基づいて走行支援情報の出力準備(描画処理)を行う。その後、第2道路状況情報取得部420がAHS情報を受信したときに、第1道路状況情報取得部400により取得済みのVICS情報を参照して、当該VICS情報により示される情報提供エリアの道路状況情報の内容と、当該AHS情報により示される情報提供エリアの道路状況情報の内容とが一致するか否かを判定する。そして、一致すると判定された場合、走行支援情報出力部560は、あらかじめ出力準備(描画処理)をしておいた走行支援情報を車載用モニタ280に出力する。
【0053】
これにより、AHS情報の取得に先行して、あらかじめ取得しておいたVICS情報に基づいて走行支援情報の出力準備が行われるため、VICS情報により示される情報提供エリアの道路状況情報の内容と、後に取得したAHS情報により示される情報提供エリアの道路状況情報の内容とが一致する場合には、AHS情報を取得した位置から当該情報提供エリアまでの距離が短いときにおいても、後に取得したAHS情報に応じた走行支援情報を運転者に対して間に合うように提供できる。
【0054】
また、第1の実施形態によれば、出力準備部520は、VICS情報により交通障害が発生していることが示されている道路区間に情報提供エリアが含まれている場合に限って、走行支援情報の出力準備を行う。これにより、交通障害の発生していない情報提供エリアの道路状況情報に応じた走行支援情報の出力準備処理が無駄に行われることをなくすことができる。
【0055】
また、第1の実施形態によれば、機能停止部580は、出力準備部520により走行支援情報の出力準備(描画処理)が行われる前に、車載機200で動作中の各機能のうち走行支援情報の出力準備の処理負荷に影響を与える機能を停止する。そして、機能起動部600は、走行支援情報出力部560により走行支援情報が出力された後に、機能停止部580により停止された機能を起動する。これにより、車載機200において出力準備部520による走行支援情報の描画処理に対するCPUの占有率が増えるため、走行支援情報の出力準備処理(描画処理)を短い時間で完了させることができる。よって、例えば、VICS情報の受信からAHS情報の受信までの時間が短い(つまり、VICS情報送信装置220とAHS情報送信装置240との間の距離が短い)場合でも、AHS情報を受信する前に走行支援情報の出力準備処理を完了させることができる。
【0056】
また、第1の実施形態によれば、機能停止部580は、VICS情報を受信した直後に、車載機200で動作中の各機能のうち走行支援情報の出力準備の処理負荷に影響を与える機能を停止しても良いところ、設置位置情報記憶部480から検索された車両10の進行方向前方に最も近く位置するAHS情報送信装置240の設置位置と現在位置検出部460により検出された車両10の現在位置との間の距離が所定値以下になったときに上記機能を停止する。これにより、走行支援情報の出力準備処理が行われる前において、長い時間の間、車載機200で動作中の各機能が停止されることをなくすことができる。
【0057】
なお、上述した第1の実施形態では、出力準備部520が、第1道路状況情報取得部400により取得されたVICS情報に基づいて、走行支援情報の出力準備を行う例について説明したが、出力準備部520は、VICS情報に加えて、地図情報記憶部440から読み出した地図情報に基づいて、走行支援情報の出力準備を行っても良い。具体的には、出力準備部520は、VICS情報により示される情報提供エリアの道路状況情報と、地図情報記憶部440から読み出した当該情報提供エリア周辺の地図情報(例えば、情報提供エリアがカーブ区間に位置する場合、カーブ区間までの距離や当該カーブ区間の形状および曲率等を示すテキスト情報)とを合成した走行支援情報の描画処理を行う。これにより、車両10の安全走行支援につながるより多くの情報を含む走行支援情報を運転者に対して提供することができる。
【0058】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図5は、第2の実施形態による車載機200、VICS情報送信装置220およびAHS情報送信装置240の具体的な機能構成例を示すブロック図である。なお、この図5において、図2に示した符号と同一の符号をふしたものは同一の機能を有するものであるので、ここでは重複する説明を省略する。
【0059】
第2の実施形態において、走行支援情報出力装置260は、図1に示した構成に加えて、目的地取得部680、誘導経路探索部700および走行支援情報記憶部720を更に備えて構成されている。また、走行支援情報出力装置260は、図1の出力準備部520の代わりに出力準備部520′を備えている。目的地取得部680は、車載機200の操作部(図示せず)を介して運転者により設定された目的地を取得する。誘導経路探索部700は、地図情報記憶部440に記憶されている地図情報を参照して、現在位置検出部460により検出された車両10の現在位置から目的地取得部680により取得された目的地までの誘導経路を探索する。
【0060】
走行支援情報記憶部720は、車両10の進行方向前方の情報提供エリアの交通障害(渋滞、事故、故障車、路上障害物、工事、通行止め、車線・速度規制等)を表す道路状況情報に対応する複数の走行支援情報を記憶している。なお、走行支援情報記憶部720は、DVD、CD、ハードディスク、半導体メモリ等の記録媒体で構成することができる。本実施形態では、走行支援情報出力装置260において、地図情報記憶部440と走行支援情報記憶部720とを別々に設ける構成にしているが、地図情報記憶部440に記憶される地図情報の一部として走行支援情報を含めるようにしても良い。
【0061】
本実施形態では、出力準備部520′は、VICS情報を参照して、車両10の進行方向前方に最も近く位置するAHS情報送信装置240の情報提供エリアの道路状況情報に対応する走行支援情報を走行支援情報記憶部720から読み出すことにより、走行支援情報の出力準備を行う。
【0062】
また、本実施形態では、出力準備部520′は、VICS情報送信装置220から取得済みのVICS情報を参照して、当該VICS情報により交通障害が発生していることが示されている道路区間に情報提供エリアが含まれていて、かつ、その情報提供エリアが誘導経路探索部700により探索された誘導経路上に含まれているときに限って、VICS情報送信装置220から送信されるVICS情報により示される情報提供エリアの道路状況情報に応じた走行支援情報の出力準備を行う。
【0063】
次に、第2の実施形態における走行支援情報出力装置260の動作例について説明する。図6は、第2の実施形態による走行支援情報出力装置260の動作例を示すフローチャートである。図6におけるステップS300の処理は、例えば、走行支援情報出力装置260が、運転者による車載機200が備える操作部(図示せず)の操作を介して走行支援情報の車載用モニタ280に対する表示要求を受け付けることにより開始する。
【0064】
まず、第1道路状況情報取得部400は、VICS情報送信部320により送信されたVICS情報を受信する(ステップS300)。次に、出力準備部520′は、ステップS300において取得されたVICS情報を参照して、当該VICS情報により交通障害が発生していることが示されている道路区間に、車両10の進行方向前方に最も近く位置するAHS情報送信装置240の情報提供エリアが含まれているか否かについて判定する(ステップS320)。
【0065】
もし、VICS情報により交通障害が発生していることが示されている道路区間に情報提供エリアが含まれていないと出力準備部520′にて判定した場合(ステップS320にてNO)、走行支援情報出力装置260は、図6における処理を終了する。一方、VICS情報により交通障害が発生していることが示されている道路区間に情報提供エリアが含まれていると出力準備部520′にて判定した場合(ステップS320にてYES)、出力準備部520′は、情報提供エリアが誘導経路探索部700により探索された誘導経路上に含まれているか否かについて判定する(ステップS340)。
【0066】
もし、情報提供エリアが誘導経路上に含まれていないと出力準備部520′にて判定した場合(ステップS340にてNO)、走行支援情報出力装置260は、図6における処理を終了する。一方、情報提供エリアが誘導経路上に含まれていると出力準備部520′にて判定した場合(ステップS340にてYES)、機能停止部580は、設置位置情報記憶部480から検索されたAHS情報送信装置240の設置位置と現在位置検出部460により検出された車両10の現在位置との間の距離が所定値(X[m])以下になっているか否かについて判定する(ステップS360)。
【0067】
もし、AHS情報送信装置240の設置位置と車両10の現在位置との間の距離が所定値以下になっていないと機能停止部580にて判定された場合(ステップS360にてNO)、処理はステップS360に遷移し、当該距離が所定値以下になるまで、機能停止部580はステップS360の判定処理を繰り返す。
【0068】
一方、AHS情報送信装置240の設置位置と車両10の現在位置との間の距離が所定値以下になっていると機能停止部580にて判定した場合(ステップS360にてYES)、機能停止部580は、車載機200で動作中の各機能のうち走行支援情報の出力準備の処理負荷に影響を与える機能を停止する(ステップS380)。
【0069】
次に、出力準備部520′は、ステップS300にて取得されたVICS情報により示される情報提供エリアの道路状況情報に対応する走行支援情報を走行支援情報記憶部720から読み出すことにより、走行支援情報の出力準備を行う(ステップS400)。次に、第2道路状況情報取得部420は、AHS情報送信部360により送信されたAHS情報を受信する(ステップS420)。
【0070】
次に、判定部540は、ステップS300にて取得済みのVICS情報を参照して、当該VICS情報により示される情報提供エリアの道路状況情報の内容と、ステップS420にて取得されたAHS情報により示される情報提供エリアの道路状況情報の内容とを比較してそれらが一致するか否かを判定する(ステップS440)。もし、VICS情報により示される情報提供エリアの道路状況情報の内容とAHS情報により示される情報提供エリアの道路状況情報の内容とが一致すると判定部540にて判定された場合(ステップS440にてYES)、処理はステップS480に遷移する。
【0071】
一方、VICS情報により示される情報提供エリアの道路状況情報の内容とAHS情報により示される情報提供エリアの道路状況情報の内容とが一致していないと判定部540にて判定された場合(ステップS440にてNO)、走行支援画像出力部560は、ステップS420にて受信されたAHS情報により示される情報提供エリアの道路状況情報に応じた走行支援情報を走行支援情報記憶部720から読み出す(ステップS460)。
【0072】
ステップS440またはステップS460の処理が完了した後、走行支援情報出力部560は、ステップS400またはステップS460にて読み出された走行支援情報を車載用モニタ280に出力する(ステップS480)。最後に、機能起動部600は、ステップS380にて停止された機能を起動する(ステップS500)。その後、ステップS500の処理が完了することによって、走行支援情報出力装置260は、図6における処理を終了する。
【0073】
以上詳しく説明したように、第2の実施形態では、出力準備部520′は、VICS情報により示される情報提供エリアの道路状況情報に対応する走行支援情報を走行支援情報記憶部720から読み出すことにより、走行支援情報の出力準備を行っている。これにより、出力準備部520′は、走行支援情報の描画処理を行う必要がなくなり、走行支援情報をただ走行支援情報記憶部720から読み出すだけで良いので、走行支援情報の出力準備処理をより短い時間で完了させることができる。よって、例えば、VICS情報の受信からAHS情報の受信までの時間がより短い(つまり、VICS情報送信装置220とAHS情報送信装置240との間の距離が短い)場合でも、AHS情報を受信する前に走行支援情報の出力準備処理を完了させることができる。
【0074】
また、第2の実施形態によれば、出力準備部520′は、VICS情報送信装置220から取得済みのVICS情報を参照して、当該VICS情報により交通障害が発生していることが示されている道路区間に情報提供エリアが含まれていて、かつ、その情報提供エリアが誘導経路上に含まれているときに限って、走行支援情報の出力準備を行う。これにより、誘導経路上に含まれていない情報提供エリアの道路状況情報に応じた走行支援情報の出力準備処理が無駄に行われることをなくすことができる。
【0075】
なお、上述した第1および第2の実施形態では、走行支援情報出力装置260による走行支援情報出力処理において、機能停止部580による機能停止処理および機能起動部600による機能起動処理が行われる例について説明したが、上記機能停止処理および機能起動処理は必ずしも必須の処理ではない。もし、機能停止部580による機能停止処理を行わない場合は、出力準備部520により出力準備処理を開始するタイミング(図3の例では、第2道路状況取得部420によるAHS情報受信処理の3[s]前の時点)をより早くすれば良い。
【0076】
また、上述した第1および第2の実施形態では、AHS情報送信装置220およびVICS情報送信装置240が互いに異なるインフラの路側装置である例について説明したが、AHS情報送信装置220およびVICS情報送信装置240は同一のインフラの路側装置であっても良い。
【0077】
また、上述した第1および第2の実施形態では、第1道路状況情報取得部400により取得される情報がVICS情報である例について説明したが、当該取得される情報は、車両10の進行方向前方の情報提供エリアを含む広域の道路区間における道路状況情報であれば何でも良い。
【0078】
また、上述した第1および第2の実施形態では、第2道路状況情報取得部420により取得される情報がAHS情報である例について説明したが、当該取得される情報は、車両10の進行方向前方の狭域の道路区間における道路状況情報であれば何でも良い。
【0079】
また、上述した第1および第2の実施形態では、第2道路状況情報取得部420がAHS情報を取得する前に、出力準備部520(520′)により走行支援情報(画像情報)の出力準備が完了するように、AHS情報を取得する3[s]前に機能停止部580による機能停止処理を開始する例について説明したが、機能停止部580による機能停止処理を開始するタイミングは、第2道路状況情報取得部420がAHS情報の取得処理を開始する前に出力準備部520(520′)による走行支援情報の出力準備が開始されるタイミングであればいつでも良い。なお、この場合は、第2道路状況情報取得部420によるAHS情報の取得処理と、出力準備部520(520′)による走行支援情報の出力準備処理とが並列に実行される時間帯が発生する。
【0080】
また、上述した第1および第2の実施形態では、第1道路状況情報取得部400により受信されるVICS情報により示される広域の道路区間における道路状況情報が渋滞、事故、故障車、路上障害物、工事、通行止めまたは車線・速度規制等を示す交通障害情報である例について説明したが、当該道路状況情報はこれに限定されず、それ以外の車線の合流、連続カーブ、落石、高波または路面凍結等を示す交通障害情報であっても良い。
【0081】
また、上述した第1および第2の実施形態では、第2道路状況情報取得部420により受信されるAHS情報により示される狭域の道路区間(情報提供エリア)における道路状況情報が渋滞、事故、故障車、路上障害物、工事、通行止めまたは車線・速度規制等を示す交通障害情報である例について説明したが、当該道路状況情報はこれに限定されず、それ以外の車線の合流、連続カーブ、落石、高波または路面凍結を示す交通障害情報であっても良い。
【0082】
また、上述した第1の実施形態および第2の実施形態では、出力準備部520(520′)が、取得済みのVICS情報を参照して、当該VICS情報により交通障害が発生していることが示されている道路区間に情報提供エリアが含まれているか否かについての判定処理が行われる例について説明したが、この判定処理は必ずしも必須の処理ではない。ただし、交通障害の発生していない情報提供エリアの道路状況情報に応じた走行支援情報の出力準備処理が無駄に行われることをなくすという観点から、VICS情報により交通障害が発生していることが示されている道路区間に情報提供エリアが含まれているか否かについての判定処理を行うのが好適である。
【0083】
また、走行支援情報出力装置260機能構成は、上述した第1の実施形態および第2の実施形態で説明した機能構成に限定されず、VICS情報に加えて地図情報に基づいて出力準備を行う機能、走行支援情報を読み出すことにより出力準備を行う機能、情報提供エリアが誘導経路上に含まれる場合に出力準備を行う機能、交通障害が発生している道路区間に情報提供エリアが含まれている場合に出力準備を行う機能、出力準備の処理負荷に影響を与える機能を停止する機能、またはAHS情報送信装置の設置位置の手前所定距離の地点に車両が到達したときに所定機能を停止する機能の中から任意に選択した機能を備える機能構成であっても良い。
【0084】
その他、上記第1および第2の実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその精神、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】第1の実施形態による走行支援情報出力装置の動作例を説明する図である。
【図2】第1の実施形態による走行支援情報出力装置等の機能構成例を示すブロック図である。
【図3】第1の実施形態による走行支援情報出力装置の動作処理の流れの例を示す図である。
【図4】第1の実施形態による走行支援情報出力装置の動作例を示すフローチャートである。
【図5】第2の実施形態による走行支援情報出力装置の機能構成例を示すブロック図である。
【図6】第2の実施形態による走行支援情報出力装置の動作例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0086】
220 VICS情報送信装置
240 AHS情報送信装置
260 走行支援情報出力装置
400 第1道路状況情報取得部
420 第2道路状況情報取得部
440 地図情報記憶部
460 現在位置検出部
480 設置位置情報記憶部
500 情報提供エリア情報記憶部
520,520′ 出力準備部
540 判定部
560 走行支援情報出力部
580 機能停止部
600 機能起動部
720 走行支援情報記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の進行方向前方の情報提供エリアを含む道路状況を第1道路状況情報として取得する第1道路状況情報取得部と、
前記第1道路状況情報取得部により取得された前記第1道路状況情報に基づいて、前記車両の運転を支援するための走行支援情報の出力準備を行う出力準備部と、
前記出力準備部により前記走行支援情報の出力準備が開始された以降に、前記情報提供エリアの道路状況を第2道路状況情報として取得する第2道路状況情報取得部と、
前記第2道路状況情報取得部により前記第2道路状況情報を取得したときに、前記第1道路状況情報取得部により取得済みの前記第1道路状況情報により示される前記情報提供エリアの道路状況情報の内容と、前記第2道路状況情報取得部により取得した前記第2道路状況情報により示される前記情報提供エリアの道路状況情報の内容とを比較してそれらが一致するか否かを判定する判定部と、
前記判定部により前記第1道路状況情報により示される前記情報提供エリアの道路状況情報の内容と前記第2道路状況情報により示される前記情報提供エリアの道路状況情報の内容とが一致すると判定された場合、前記出力準備部により出力準備された前記走行支援情報を出力する走行支援情報出力部とを備えることを特徴とする走行支援情報出力装置。
【請求項2】
請求項1に記載の走行支援情報出力装置において、
前記出力準備部は、前記第1道路状況情報に加えて、地図情報を記憶する地図情報記憶部から読み出した前記地図情報に基づいて、前記走行支援情報の出力準備を行うことを特徴とする走行支援情報出力装置。
【請求項3】
請求項1に記載の走行支援情報出力装置において、
複数の道路状況に対応する複数の走行支援情報を記憶する走行支援情報記憶部を更に備え、
前記出力準備部は、前記第1道路状況情報により示される前記情報提供エリアの道路状況情報に対応する走行支援情報を前記走行支援情報記憶部から読み出すことにより、前記走行支援情報の出力準備を行うことを特徴とする走行支援情報出力装置。
【請求項4】
請求項1に記載の走行支援情報出力装置において、
前記第2道路状況情報により示される情報提供エリアを表す情報提供エリア情報を記憶する情報提供エリア情報記憶部を更に備え、
前記出力準備部は、前記情報提供エリア情報記憶部から読み出した前記情報提供エリア情報により示される前記情報提供エリアが誘導経路上に含まれる場合に限って、前記第1道路状況情報に基づいて前記走行支援情報の出力準備を行うことを特徴とする走行支援情報出力装置。
【請求項5】
請求項1に記載の走行支援情報出力装置において、
前記第2道路状況情報により示される情報提供エリアを表す情報提供エリア情報を記憶する情報提供エリア情報記憶部を更に備え、
前記出力準備部は、前記第1道路状況情報取得部により取得された前記第1道路状況情報により交通障害が発生していることが示されている道路区間に、前記情報提供エリア情報記憶部から読み出した前記情報提供エリア情報により示される情報提供エリアが含まれている場合に限って、前記第1道路状況情報に基づいて前記走行支援情報の出力準備を行うことを特徴とする走行支援情報出力装置。
【請求項6】
請求項1に記載の走行支援情報出力装置において、
前記出力準備部により前記走行支援情報の出力準備が行われる前に、前記走行支援情報出力装置を含む車載機で動作中の各機能のうち前記走行支援情報の出力準備の処理負荷に影響を与える機能を停止する機能停止部と、
前記走行支援情報出力部により前記走行支援情報が出力された後に、前記機能停止部により停止された前記機能を起動する機能起動部とを更に備えることを特徴とする走行支援情報出力装置。
【請求項7】
請求項6に記載の走行支援情報出力装置において、
前記第2道路状況情報を送信する路側装置の設置位置を表す設置位置情報を記憶する設置位置情報記憶部と、
前記車両の現在位置を検出する現在位置検出部とを更に備え、
前記機能停止部は、前記設置位置情報記憶部から読み出した前記設置位置情報により示される前記路側装置の設置位置の手前所定距離の地点に前記車両が到達したことが前記位置検出部により検出されたときに、前記機能を停止することを特徴とする走行支援情報出力装置。
【請求項8】
請求項6に記載の走行支援情報出力装置において、
前記第2道路状況情報により示される情報提供エリアを表す情報提供エリア情報を記憶する情報提供エリア情報記憶部を更に備え、
前記機能停止部は、前記情報提供エリア情報記憶部から読み出した前記情報提供エリア情報により示される前記情報提供エリアが誘導経路上に含まれる場合に限って、前記機能を停止することを特徴とする走行支援情報出力装置。
【請求項9】
請求項6に記載の走行支援情報出力装置において、
前記第2道路状況情報により示される情報提供エリアを表す情報提供エリア情報を記憶する情報提供エリア情報記憶部を更に備え、
前記機能停止部は、前記第1道路状況情報取得部により取得された前記第1道路状況情報により交通障害が発生していることが示されている道路区間に、前記情報提供エリア情報記憶部から読み出した前記情報提供エリア情報により示される情報提供エリアが含まれている場合に限って、前記機能を停止することを特徴とする走行支援情報出力装置。
【請求項10】
請求項1に記載の走行支援情報出力装置において、
前記第1道路状況情報取得部および前記第2道路状況情報取得部は、互いに異なるインフラの路側装置を介して前記情報提供エリアの道路状況を取得することを特徴とする走行支援情報出力装置。
【請求項11】
請求項10に記載の走行支援情報出力装置において、
前記第1道路状況情報はVICS情報であり、前記第2道路状況情報はAHS情報であることを特徴とする走行支援情報出力装置。
【請求項12】
車両の進行方向前方の情報提供エリアを含む道路状況を第1道路状況情報として取得する第1のステップと、
前記第1のステップにて取得された前記第1道路状況情報に基づいて、前記道路状況を示す走行支援情報の出力準備を行う第2のステップと、
前記情報提供エリアの道路状況を第2道路状況情報として取得する第3のステップと、
前記第3のステップにより前記第2道路状況情報を取得したときに、前記第1のステップにて取得済みの前記第1道路状況情報により示される前記情報提供エリアの道路状況情報と、前記第3のステップにて取得された前記第2道路状況情報により示される前記情報提供エリアの道路状況情報とを比較してそれらが一致するか否かを判定する第4のステップと、
前記第4のステップにて前記第1道路状況情報により示される前記情報提供エリアの道路状況情報と前記第2道路状況情報により示される前記情報提供エリアの道路状況情報とが一致すると判定された場合、前記第2のステップにて出力準備された前記走行支援情報を出力する第5のステップとを備えることを特徴とする走行支援情報出力方法。
【請求項13】
請求項14に記載の走行支援情報出力方法において、
前記第2のステップにて前記走行支援情報の出力準備が行われる前に、前記走行支援情報出力方法を実行する走行支援情報出力装置を含む車載機で動作中の各機能のうち前記走行支援情報の出力準備の処理負荷に影響を与える機能を停止する第6のステップを有し、
前記第5のステップにて前記走行支援情報が出力された後に、前記第6のステップにて停止された前記機能を起動する第7のステップを有することを特徴とする走行支援情報出力方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−176226(P2009−176226A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−16489(P2008−16489)
【出願日】平成20年1月28日(2008.1.28)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】